(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-19
(54)【発明の名称】地面係合ツールの摩耗および損失検出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240612BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240612BHJP
G06T 7/521 20170101ALI20240612BHJP
G06T 7/593 20170101ALI20240612BHJP
G01S 17/86 20200101ALI20240612BHJP
G01B 11/16 20060101ALI20240612BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20240612BHJP
E02F 9/28 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
E02F9/26 B
G06T7/00 610
G06T7/521
G06T7/593
G01S17/86
G01B11/16 Z
G01S17/89
E02F9/28 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572742
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022029386
(87)【国際公開番号】W WO2022256163
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミアンゾ、ローレンス エイ.
(72)【発明者】
【氏名】オブラク、トッド エイ.
(72)【発明者】
【氏名】プルゼック、ジョン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ワイズ、レイモンド エイ.
(72)【発明者】
【氏名】マシュー、ショーン エヌ.
【テーマコード(参考)】
2D015
2F065
5J084
5L096
【Fターム(参考)】
2D015HA03
2D015HB05
2D015JA01
2F065AA63
2F065FF05
2F065FF31
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2F065QQ01
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2F065QQ33
5J084AA05
5J084AA13
5J084AC02
5J084BA48
5J084EA04
5L096AA09
5L096BA02
5L096FA54
5L096FA64
5L096HA11
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
地面係合ツールの摩耗および損失検出システムおよび方法を提供する。例示的な摩耗検出システム(110)は、作業機械(100)に関連する1つまたは複数のセンサ(126、128)から第1イメージングデータを受信する。第1イメージングデータは、作業機械の少なくとも1つの地面係合ツール(GET)(125)に関するデータを含む。例示的なシステムは、第1イメージングデータ内の少なくとも1つのGETのデータを含む関心領域を識別する。識別された関心領域に基づいて、例示的なシステムは、第1イメージングデータよりも高解像度の少なくとも1つのGETをキャプチャする第2イメージングデータをキャプチャするようにLiDARセンサ(126)を制御する。例示的なシステムは、第2イメージングデータに基づいて、少なくとも1つのGETの3次元点群を生成し、3次元点群に基づいて、少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
作業機械(100)に関連する1つまたは複数のセンサ(126、128)から第1イメージングデータを受信するステップであって、前記第1イメージングデータは、前記作業機械の少なくとも1つの地面係合ツール(GET)(125)に関するデータを含み、前記第1イメージングデータは、第1解像度で少なくとも1つのGETを識別する、ステップと、
前記第1イメージングデータ内の関心領域(550)を識別するステップであって、前記関心領域は、前記少なくとも1つのGETに関するデータを含む、ステップと、
光検出測距(LiDAR)センサ(126)を制御して、前記識別された関心領域に対応する第2イメージングデータを取得するステップであって、前記第2イメージングデータは、前記第1解像度よりも高い第2解像度で前記少なくとも1つのGETを識別する、ステップと、
前記第2イメージングデータに基づいて、前記少なくとも1つのGETの3次元点群(820)を生成するステップと、
前記3次元点群に基づいて、前記少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を決定するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1イメージングデータを受信する前記1つまたは複数のセンサは、LiDARセンサを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記LiDARセンサは、第1視野を用いて前記第1イメージングデータをキャプチャするステップと、
前記LiDARセンサは、第2視野を用いて前記第2イメージングデータをキャプチャするステップと、を含み、
前記第1視野は前記第2視野よりも広い、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数のセンサは、ステレオカメラ(128)の左画像センサおよび右画像センサを含み、
前記第1イメージングデータは、
前記左画像センサによってキャプチャされた前記少なくとも1つのGETの左画像と、
前記右画像センサによってキャプチャされた前記少なくとも1つのGETの右画像と、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を決定するステップは、さらに、
前記少なくとも1つのGETに対応する前記左画像内の左エッジを決定するステップと、
前記少なくとも1つのGETに対応する前記右画像内の右エッジを決定するステップと、
前記左エッジおよび前記右エッジに基づいて疎なステレオ視差情報を決定するステップと、
前記疎なステレオ視差情報を3次元点群と融合するステップと、を含む、請求項4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
システム(110)であって、
作業機械(100)に関連する1つまたは複数のセンサ(126、128)であって、前記1つまたは複数のセンサのうちの少なくとも1つは、光検出測距(LiDAR)センサ(128)である、1つまたは複数のセンサ(126、128)と、
1つまたは複数のプロセッサ(140)と、
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されるときに、
1つまたは複数のセンサから第1イメージングデータを受信する動作であって、前記第1イメージングデータは、前記作業機械の少なくとも1つの地面係合ツール(GET)(125)に関するデータを含み、前記第1イメージングデータは、第1解像度で前記少なくとも1つのGETを識別する、動作と、
前記第1イメージングデータ内の関心領域(550)を識別する動作であって、前記関心領域は、少なくとも1つのGETに関するデータを含む、動作と、
LiDARセンサを制御して、識別された関心領域に対応する第2イメージングデータを取得する動作であって、前記第2イメージングデータは、前記第1解像度よりも高い解像度で前記少なくとも1つのGETを識別する、動作と、
前記第2イメージングデータに基づいて、前記少なくとも1つのGETの3次元点群(820)を生成する動作と、
前記3次元点群に基づいて、前記少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を決定する動作と、を含む動作を、前記1つまたは複数のプロセッサに実行させる実行可能命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体(150)と、を含む、システム(110)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を決定する前記ステップは、前記少なくとも1つのGETのためのCADベースモデルに少なくとも部分的に基づいている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記LiDARセンサは、第1視野を用いて前記第1イメージングデータをキャプチャし、前記第2視野を用いて前記第2イメージングデータをキャプチャし、前記第1視野は前記第2視野よりも広い、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つまたは複数のセンサは、ステレオカメラの左画像センサおよび右画像センサをさらに含み、
前記第1イメージングデータは、
前記左画像センサによってキャプチャされた前記少なくとも1つのGETの左画像と、
前記右画像センサによってキャプチャされた前記少なくとも1つのGETの右画像と、を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を決定する前記ステップは、さらに、
前記少なくとも1つのGETに対応する前記左画像内の左エッジを決定するステップと、
前記少なくとも1つのGETに対応する前記右画像内の右エッジを決定するステップと、
前記左エッジおよび前記右エッジに基づいて、疎なステレオ視差情報を決定するステップと、
前記疎なステレオ視差情報を前記3次元点群と融合するステップと、を含む、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体の経時的な摩耗を検出するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、イメージング技術を用いて、1つまたは複数の地面接合ツール(GET)の経時的な摩耗または損失を検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械は、工事現場で様々なタスクを実行するために使用することができる。例えば、機械は、砂利、コンクリート、アスファルト、土壌、および/または他の材料など、作業現場に存在する材料を掘削、移動、成形、輪郭形成、および/または除去するために使用され得る。これらの機械には、そのような材料を収集するために使用されるバケットを含めることができ、バケットには、材料をほぐすための歯などのGETグループを含めることができる。GETはまた、バケットのエッジを保護するために歯間バケットに接続されたシュラウドを含んでもよい。時間の経過とともに、GETは摩耗してサイズが小さくなり、その効果が低下し、バケットが現場の材料を収集することがより困難になる。GETはバケットから破断することもできる。GET破断が検出されない場合、GETは工事現場の材料と混合することができ、それに破砕機や粉砕機などの下流処理装置にダメージを与えることができる。作業機械は摩耗検出システムを利用して、下流の機器に損傷が発生する前に摩耗または破損したGETを特定する場合がある。
【0003】
摩耗検出システムを提供する試みは、2016年8月18日に発行された、米国特許出願公開第2016/0237640(「公開第640号」)に記載されている。公開第640号には、コンポーネントの識別、存在、状態、使用状況、および/または性能などの製品の特性を監視する、土工機器用の地面に係合する製品を監視するためのシステムおよびツールが記載されている。公開第640号に開示されている監視ツールは、光検出測距(「LiDAR」)センサを含んでもよいが、開示されているLiDARセンサは静的であり、異なる視野または解像度を有する物体のスキャンを可能にする適応スキャン技術を採用していない。さらに、公開第640号に記載されている監視ツールは、約2センチメートル以下の精度および正確さで粗い物体検出を提供するだけである。
【0004】
低解像度および非適応スキャンLiDARセンサに依存することは、GETにおける摩耗を検出する上で欠点がある。まず、約2cmの解像度は、ミリメートル(またはそれ以下)オーダーの測定が好ましいので、効果的または正確なGET測定を確実に提供する。さらに、非適応スキャンLiDARセンサでが、iDARセンサが固定視野を維持する必要があるため、画像キャプチャの調整やキャプチャされた画像情報の解像度の変更が妨げられる。結果として、公開第640号に記載されたシステムは、GETの摩損または損失を検出する際にエラーを起こしやすく、所望の精度レベルの測定値を提供することができない。本明細書に記載さらえているシステムおよび方法は、これらの問題のうちの1つまたは複数を解決することを意図している。
【発明の概要】
【0005】
第1態様によれば、GETの摩損または損失を検出する方法は、作業機械に関連する1つまたは複数のセンサから第1イメージングデータを受信するステップを含む。第1イメージングデータは、作業機械の少なくとも1つのGETに関するデータを含む。第1イメージングデータは、第1解像度で少なくとも1つのGETを識別する。本方法は、第1イメージングデータ内の関心領域を識別し、関心領域は、少なくとも1つのGETに関するデータを含む。本方法は、LiDARセンサを制御して、識別された関心領域に対応する第2イメージングデータをキャプチャする。第2イメージングデータは、第1解像度よりも高い第2解像度で少なくとも1つのGETを識別する。本方法は、第2イメージングデータに基づいて、少なくとも1つのGETの3次元点群を生成し、3次元点群に基づいて、少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を決定する。
【0006】
別の態様によれば、摩耗検出システムは、作業機械に関連する1つまたは複数のセンサと、1つまたは複数のプロセッサと、実行可能命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体とを含む。1つまたは複数のセンサのうちの少なくとも1つは、LiDARセンサである。実行可能命令は、プロセッサによって実行されるときに、1つまたは複数のセンサから第1イメージングデータを受信することを含む動作をプロセッサに実行させる。第1イメージングデータは、作業機械の少なくとも1つのGETに関するデータを含む。第1イメージングデータは、第1解像度でGETを識別する。動作は、少なくとも1つのGETに関するデータを含む第1イメージングデータ内の関心領域を識別し、LiDARセンサを制御して、第1解像度よりも高い第2解像度で、識別された関心領域に対応する第2イメージングデータをキャプチャすることをさらに含み、動作は、第2イメージングデータに基づいて少なくとも1つのGETの3次元点群を生成し、3次元点群に基づいて少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を決定することをさらに含む。
【0007】
別の態様によれば、作業機械は、少なくとも1つのGETを含むバケットと、左画像センサおよび右画像センサを含むステレオカメラと、LiDARセンサと、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによって実行されるときに動作を1つまたは複数のプロセッサに実行させる実行可能命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体と、を含む。動作は、左画像センサによってキャプチャされた少なくとも1つのGETの左画像を受信することと、右画像センサによってキャプチャされた少なくとも1つのGETの右画像を受信することと、を含む。動作は、左画像および右画像に基づいて密なステレオ視差マップを生成することと、密なステレオ視差マップに基づいて関心領域を識別することと、をさらに含む。動作は、LiDARセンサを制御して、識別された関心領域に基づいてイメージングデータをキャプチャすることをさらに含む。イメージングデータは、左画像または右画像よりも高い解像度で少なくとも1つのGETをキャプチャする。動作は、イメージングデータに基づいて、少なくとも1つのGETの3次元点群を生成することと、3次元点群に基づいて、少なくとも1つのGETの摩耗レベルまたは損失を決定することと、をさらに含む。
【0008】
図面を参照して具体的な実施形態について説明する。図において、参照番号の最左の桁は、その参照番号が最初に現れる図を識別する。異なる図面における同一の符号は、類似または同一の項目を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】GETにおける摩耗を検出するための例示的なシステムを含む例示的な機械を示す概略図のブロック図である。
【
図2】GETにおける摩耗を検出するための例示的なシステムを含む例示的な機械の例示的な環境を示す概略側面図である。
【
図3】GETにおける摩耗を検出するための例示的なシステムを含む例示的な機械の他の例示的な環境を示す概略側面図である。
【
図4】GETにおいて摩耗を検出するための例示的なシステムを含む例示的な機械を有する別の例示的な環境の概略側面図を示す図である。
【
図5】コンピュータビジョン技術を用いた関心領域検出処理の画像データの流れの一例を示す画像データフロー図である。
【
図6】深層学習技術を使用した関心領域検出プロセスのための画像データの流れの例を示す画像データフロー図である。
【
図7】LiDARセンサおよびイメージングデータを用いた関心領域検出プロセスのための画像データの流れの例を示す画像データフロー図である。
【
図8】摩耗検出処理のための画像データの流れの一例を示す画像データフロー図である。
【
図9】例示的な環境において摩耗を検出するための例示的なプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、一般に、1つまたは複数のセンサを使用して、作業現場などの環境における作業機械のコンポーネントの摩耗を検出するためのシステムおよび方法を対象とする。1つまたは複数のセンサは、コンポーネントに関連するイメージングデータをキャプチャすることができる(ステレオカメラまたは「ステレオカメラ」の一部とすることができる)画像センサと、LiDARセンサとを含んでもよい。イメージングデータは、ビデオ、画像またはLiDAイメージングデータを含んでもよいが、これらに限定されない。イメージングデータは、作業機械に関連する摩耗検出コンピュータシステムによって分析されて、コンポーネントの摩耗を検出し、作業機械の様々な側面が、作業機械上、ステレオカメラ内、LiDARセンサ内、またはこれらのコンポーネントの外部に配置され得る。例えば、このコンポーネントは、作業機械のバケットの1つまたは複数のGETであってもよい。摩耗検出コンピュータシステムは、1つまたは複数の段階でイメージングデータを分析する。例示的な第1段階では、摩耗検出コンピュータシステムは、より低い解像度イメージングデータを受信し、分析されたコンポーネント(例えば、GET)を含む関心領域を検出するために使用する。例示的な第2段階では、摩耗検出コンピュータシステムは、関心領域の位置を用いてLiDARセンサを制御して、分析されたコンポーネントのより高解像度のLiDAイメージングデータをキャプチャする。高解像度イメージングデータの3次元点群を分析して、分析されたコンポーネントの摩耗レベルまたは損失を決定する。この技術を用いると、摩耗検出コンピュータシステムは、分析されたコンポーネントの画像をミリメートルレベルの精度でキャプチャするようにLiDARセンサに命令することができる(例えば、LiDARセンサは、約1~2ミリメートルごとにデータ「ヒット」を受信する)。
【0011】
図1は、例示的な摩耗検出コンピュータシステム110を含む例示的な作業機械100の概略図を示すブロック図である。一方、
図1において、作業機械100は、油圧採掘ショベルとして描かれており、他の例では、作業機械100は、土壌、岩石、または鉱物などの材料を移動、彫刻、掘削、または除去する任意の機械を含んでもよい。
図1に示すように、作業機械100は、アーム122に取り付けられたバケット120を含んでもよい。バケット120は、作業機械100が材料を緩めるのを助ける歯のような1つまたは複数の接地係合ツール(GET)125を含んでもよい。本開示で提供される例は、GET 125を一般に歯と呼ぶが、他のタイプのGETは、本開示で提供される実施形態の範囲内であることが予想される。例えば、GETは、リップシュラウド、エッジガード、アダプター、リッパープロテクター、刃先、サイドバープロテクター、チップ、または作業現場の材料との摩擦により時間の経過とともに摩耗する作業機械に関連するその他のツールを含んでもよい。
【0012】
作業機械100はまた、視野127を有するLiDARセンサ126および視野129を有するステレオカメラ128のような、それぞれの視野を有する1つまたは複数のセンサを含んでもよい。視野127と視野129は両方ともバケット120とGET 125に向けられている。
図1に示すように、視野127および視野129は実質的に重なっている。
【0013】
LiDARセンサ126は、適応スキャンLiDARセンサ、すなわち、その解像度および視野が命令され、制御され、構成され得るLiDARセンサを含むことができる。LiDARセンサは、解像度および視野を命令し、制御し、構成することができる。例えば、LiDARセンサ126は、AEYE4Sight M(商標)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、視野127は、60度×30度のベースラインから開始し(「低」解像度範囲スキャンを表す)、その後、0.025度にわたる高精細関心領域まで0.1度ずつ調整されてもよいが、他の実施形態では、他の視野および角度解像度が存在してもよい。LiDARセンサ126は、100Hzの周波数で1乗度当たり最大1,600個の点を収集するように構成されてもよい。LiDARセンサ126の精度は、視野127の角度解像度と、LiDARセンサ126とGET 125との間の距離との関数である。例えば、GET 125がLiDARセンサ126から約6メートル離れており、視野127が60度×30度に構成されている場合、1乗度当たり1,600ポイントのスキャンは、約7.2メートル×3.2メートルのキャプチャ矩形内にLiDAヒットを生成する。視野の焦点を再調整することにより、LiDARのヒットは水平方向と垂直方向に2.6ミリメートルを記録できる。LiDARセンサ126の一例を上述したが、適応スキャンが可能な異なるLiDARセンサを様々な実施形態で使用することができる。
【0014】
ステレオカメラ128は、バケット120およびGET 125のような視野129内の物体のステレオ画像をキャプチャするために、間隔を置いて配置された左および右の画像センサを含む。いくつかの実施形態では、左画像センサおよび右画像センサは、モノクロ画像をキャプチャする。ステレオカメラ128は、視野129内の物体のカラー画像をキャプチャするためのカラー画像センサをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、カメラ128はデジタル画像を出力し、または作業機械100は、カメラ128と摩耗検出コンピュータシステム110との間に配置され、摩耗検出コンピュータシステム110がアナログ画像を受信する前にデジタル画像に変換するアナログデジタル変換器を含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、LiDARセンサ126およびカメラ128のような作業機械100の1つまたは複数のセンサは、1つまたは複数のセンサのレンズの表面(またはスクリーン)から破片、霧、または他の障害物を除去するためのレンズクリーニング装置を含んでもよい。レンズクリーニング装置は、例えば、圧縮空気、洗浄溶剤、または洗浄不凍液を噴出するノズルを含んでもよい。レンズクリーニング装置は、レンズの表面に接触して拭き取り、破片または他の障害物をレンズ表面から押し出すように構成された可動ワイパーをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンサのレンズのカバーは、レンズスクリーンを(円筒形レンズスクリーンの場合)回転させるか、またはレンズスクリーンを(平面レンズスクリーンの場合)スライドさせて、1つまたは複数のワイパーに接触させてスクリーンからゴミを取り除くアクチュエータを含んでもよい。
【0016】
作業機械100が作業現場内で動作するとき、掘削・投棄サイクルの一部として作業現場内で材料を移動または掘削するためにアーム122を動かしてバケット120を位置決めすることができる。作業機械100は、掘削・投棄サイクルによりバケット120を位置決めする際に、バケット120を視野127および視野129に出し入れすることができる。LiDARセンサ126およびカメラ128は、ディグ投棄サイクル中にGET 125を遮るものなく見えるように配置されてもよい。例えば、LiDARセンサ126およびカメラ128は、掘削・投棄サイクル内でバケット120が材料を空にする瞬間にバケット120およびGET 125が見えるように、作業機械100上に配置されてもよい。別の例として、LiDARセンサ126およびカメラ128は、掘削・投棄期間中にアーム122が完全に伸張または収縮したときにバケット120が視野に入るように配置されてもよい。
図2~4に関して以下に説明するように、LiDARセンサ126およびカメラ128の位置(およびそれぞれの視野127および視野129)は、作業機械100のタイプおよび作業場所に関する詳細に応じて変化してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、作業機械100は、運転者制御パネル130を含む。運転者制御パネル130は、作業機械100の運転者のための出力を生成するディスプレイ133を含むことができ、これにより、運転者は、摩耗検出コンピュータシステム110に関する状態または警報を受信することができる。ディスプレイ133は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、陰極線管(CRT)ディスプレイ、または当技術分野で知られている他のタイプのディスプレイを含むことができ、いくつかの例では、ディスプレイ133は、ヘッドホンまたは周辺スピーカのためのスピーカまたはポートのようなオーディオ出力を含む。ディスプレイ133はまた、マイクロホンまたは周辺マイクロホン用ポートなどのオーディオ入力デバイスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイ133は、入力デバイスとしても機能するタッチ感知ディスプレイを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、運転者制御パネル130はまた、キーボード137を含む。キーボード137は、摩耗検出コンピュータシステム110のための入力能力を提供する。キーボード137は、作業機械100の運転者が摩耗検出コンピュータシステム110に入力を提供することを可能にする複数のキーを含む。例えば、本開示の例によれば、運転者は、作業機械100、バケット120、および/またはGET 125のタイプを選択または入力するために、キーボード137のキーを押下することができる。キーボード137は、非仮想であってもよく(例えば、物理的にキーを押すことができるものを含む)、または、ディスプレイ133のタッチに敏感な実施形態上に表示される仮想キーボードであってもよい。
【0019】
図1に示すように、摩耗検出コンピュータシステム110は、1つまたは複数のプロセッサ140を含む。プロセッサ140は、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、CPU、GPUまたはFPGAのある組み合わせ、または任意の他のタイプの処理ユニットのうちの1つまたは複数を含んでもよい。プロセッサ140は、算術演算および論理演算を実行する複数の算術論理ユニット(ALU)と、プロセッサキャッシュメモリから命令および記憶内容を抽出した後、プログラム実行中に必要に応じてALUを呼び出して命令を実行する1つまたは複数の制御ユニット(CU)とを有することができる。プロセッサ140は、一般的なタイプの揮発性(RAM)および/または不揮発性(ROM)メモリに関連付けられ得る、メモリ150に記憶されたアプリケーション、ルーチンまたはプロセスのドライバおよび他のコンピュータ実行可能命令を実行する役割も負ってもよい。
【0020】
摩耗検出コンピュータシステム110は、メモリ150をさらに含む。メモリ150は、揮発性(例えば、RAM)、不揮発性(例えば、ROM、フラッシュメモリなど)、またはこれらのいずれかの組み合わせとすることができるシステムメモリを含んでもよい。メモリ150は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術によって実現される、揮発性および不揮発性、可動性および非可動性媒体などの非一時的なコンピュータ可読媒体を含むこともできる。システムメモリ、リムーバブルストレージ、およびリムーバブルストレージは、非一時的なコンピュータ可読媒体の例である。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD?ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学メモリ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクメモリまたは他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するために使用され、摩耗検出コンピュータシステム110によってアクセスされ得る他の任意の非一時的媒体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
メモリ150は、本明細書で説明されるように、摩耗検出コンピュータシステム110のためのコンピュータ実行可能命令を含むデータを記憶する。例えば、メモリ150は、物理パラメータライブラリ160、画像分析装置170、摩耗分析装置175、および警報管理装置180のような摩耗検出コンピュータシステム110の1つまたは複数のコンポーネントを記憶することができる。メモリ150は、摩耗検出コンピュータシステム110の動作を可能にするために、プロセッサ140によって実行可能な追加のコンポーネント、モジュール、または他のコードを記憶することもできる。例えば、メモリ150は、入出力機能、ソフトウェアドライバ、オペレーティングシステム、または他のコンポーネントに関するコードを含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、摩耗検出コンピュータシステム110の様々な態様は、カメラ128内に配置されてもよい。例えば、カメラ128は、プロセッサ140および/またはメモリ150のうちの1つまたは複数を含んでもよい。同様に、摩耗検出コンピュータシステム110の様々な態様は、LiDARセンサ126内に配置されてもよい。加えて、または代替的に、摩耗検出コンピュータシステム110の様々な態様は、作業機械100上に配置され、LiDARセンサ126またはカメラ128の外部に配置されてもよい。
【0023】
物理パラメータライブラリ160は、作業機械100、バケット120、GET 125、LiDARセンサ126、および/またはカメラ128に関する物理パラメータセットを含む。例えば、物理パラメータライブラリ160は、いくつかの例として、バケット120のサイズ、バケット120の形状、GET 125のサイズ、GET 125の形状、およびGET 125とバケット120との間の空間的関係、および/またはLiDARセンサ126とカメラ128との間の空間的関係に関する測定データを含んでもよい。物理パラメータライブラリ160は、新しい状態または摩耗していない状態でのGET 125のサイズおよび形状に関するパラメータ、および最大摩耗に達したときのGET 125のサイズおよび形状に関するパラメータをさらに含んでもよい。
【0024】
物理パラメータライブラリ160は、バケット120とGET 125との組み合わせに関するテンプレートまたは参照画像(例えば、バケットツールテンプレート)も含んでもよい。例えば、作業機械100の場合、物理パラメータライブラリ160に記憶されたテンプレートのうちの1つは、バケット120が視野127および視野129内に位置することが予想されるので、GET 125を有するバケット120の画像を含んでもよい。バケットツールテンプレートは、摩耗していないGET 125(例えば、摩耗していない、または予期されるエッジ)、または最大摩耗に達したGET 125(例えば、閾値エッジ)を表すことができる。物理パラメータライブラリ160は、GETが交換を必要とするほど摩耗したときを摩耗分析装置175が判断するのを助けるために、GET 125の摩耗に関する他の情報も含んでもよい。GET 125に関する摩耗データは、実際に測定された形式(例えば、メートル法またはインチ法のサイズ)またはピクセル値の形式であり得る。
【0025】
別の例として、物理パラメータライブラリ160は、GET 125のCADベースモデルを含んでもよい。CADベースのモデルには、AutoCAD(登録商標)、Autodesk(登録商標)、SolidWorks(登録商標)、または他のよく知られたCADプログラムなどのコンピュータ支援設計プログラムを用いて開発されたリファレンスGET 125モデルを使用してもよい。摩耗検出コンピュータシステム110は、観察されたGET 125のサイズおよび形状を、CADベースのモデルを基準点として、同じタイプのモデル、標準的な、または摩耗していないGETと比較して、GET 125の摩耗または損失を決定してもよい。
【0026】
物理パラメータライブラリ160は、複数の物理パラメータセットを含むことができ、各物理パラメータセットは、作業機械、バケット、GET、またはこれらの組合せに対応する。作動中、運転者は、運転者制御パネル130を使用して、バケット120およびGET 125、または作業機械100に適合する物理パラメータライブラリ160から物理パラメータセットを選択することができる。例えば、作業機械100がモデル番号「6015B」を有する油圧マイニングショベルである場合、運転者は運転者コントロールパネル130を用いてモデル番号「6015B」を入力することができ、摩耗検出コンピュータシステム110は、モデル番号「6015B」の油圧マイニングショベルに対応する物理パラメータセットを物理パラメータライブラリ160からメモリ150にロードすることができる。いくつかの例では、摩耗検出コンピュータシステム110の電源投入またはリセット動作時に、物理パラメータライブラリ160で利用可能なテンプレートのリストをディスプレイ133に表示することができ、運転者は、作業機械100のモデル、バケット120のバケットタイプまたはGET 125のタイプに応じて、リストから1つの物理パラメータセットを選択して動作させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、運転者は、作業シフトの開始時に、カメラ128の視野129内にバケット120およびGET 125を配置し、摩耗検出コンピュータシステム110に、運転者制御パネル130上の入力を用いてバケット120およびGET 125の画像をキャプチャすることができる。次いで、摩耗検出コンピュータシステム110は、バケット120およびGET 125を物理パラメータセットと照合する画像照合プロセスを実行し、一致する物理パラメータセットに基づいて、本明細書に開示される摩耗検出プロセスおよび画像処理プロセスのためにそれ自体を構成することができる。いくつかの実施形態では、摩耗検出コンピュータシステム110は、カメラ128および視野129の代わりに、LiDARセンサ126および視野127を構成プロセスに使用することができる。
【0028】
画像分析装置170は、視野127および視野129内のGET 125を識別するために、LiDARセンサ126またはカメラ128によってキャプチャされたイメージングデータを分析し、イメージングデータの処理に基づいてGET 125の摩耗を測定するように構成されてもよい。例えば、画像分析装置170は、左補正画像(カメラ128の左画像センサによってキャプチャされる)および右補正画像(カメラ128の右画像センサによってキャプチャされる)の形態でステレオ画像をカメラ128から受信することができる。画像分析装置170は、GET 125に対応する関心領域を識別または決定するために、左補正画像および右補正画像に対して様々なコンピュータビジョン技術を実行することができる。別の例として、画像分析装置170は、GET 125に対応する関心領域を識別するために使用することができるLiDARセンサ126によってキャプチャされたイメージングデータを受信することができる。開示された実施形態では、画像分析装置170は、以下により詳細に説明するように、LiDARセンサ126からデータを受信して、GET 125の摩損または損失を決定する。
【0029】
画像分析装置170は、GET 125の摩耗または欠損が検出された場合に、2セットのイメージングデータを処理する。第1イメージングデータセットは、視野127または視野129内の関心領域を識別するためにキャプチャされる。関心領域は、視野127または視野129内のGET 125の相対位置に対応する。関心領域を検出するための第1イメージングデータセットは、GET 125の一般的な関心領域の位置を特定するように設計された、広く低解像度イメージングデータキャプチャであり、「粗いスキャン」と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、第1イメージングデータセットはカメラ128を用いてキャプチャされてもよく、画像分析装置170は、コンピュータビジョンまたは機械学習技術を用いて関心領域を決定する。他の実施形態では、第1イメージングデータセットは、LiDARセンサ126を用いて、比較的広い第1低解像度(例えば、60度×30度)でキャプチャされてもよい。いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、LiDARセンサ126およびカメラ128から第1イメージングデータセットを受信する。
【0030】
画像分析装置170は、GET 125に対応する関心領域を識別すると、LiDARセンサ126を制御して、関心領域に焦点を合わせ、より高解像度のスキャンまたは「微細スキャン」を行う。例えば、画像分析装置170は、識別された関心領域に焦点を合わせて視野127を狭めるように変更するようにLiDARセンサ126のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)と通信することができる。次に、LiDARセンサ126は、GET 125をもう1回スキャンして、第2イメージングデータセットを収集する。狭い視野127を有するLiDARセンサ126によってキャプチャされた第2イメージングデータセットは、LiDARセンサ126(広い視野に設定されている場合)またはカメラ128によってキャプチャされた第1イメージングデータセットよりも高い解像度を有する。
【0031】
一実施形態では、画像分析装置170は、第1イメージングデータ(すなわち、関心領域を決定するための低解像度イメージングデータ)を受信すると、左補正画像および右補正画像に基づいて密なステレオ視差マップを作成する。画像分析装置は、関心領域を識別するために、密なステレオ視差マップを分割することができる。加えて、画像分析装置170は、密なステレオ視差マップに基づいて3次元点群を作成することもでき、また、3次元点群を分割して関心領域を識別することもできる。
【0032】
コンピュータビジョン技術に加えて、またはコンピュータビジョン技術を使用する代わりに、画像分析装置170は、深層学習または機械学習技術を用いて、カメラ128によってキャプチャされた左補正画像および/または右補正画像内の関心領域を識別することができる。例えば、画像分析装置170は、個々のGET、GETグループ、またはGETとバケットの組み合わせがラベル付けされた画像コーパスに基づいて関心領域を識別するように訓練されたニューラルネットワークを使用する深層学習GET検出アルゴリズムを使用することができる。画像分析装置170はまた、画像内のGETの位置を特定するように訓練されたニューラルネットワークを使用する深層学習GET位置アルゴリズムを使用することもできる。GET位置アルゴリズムは、個々のGETがタラベル付けされた画像コーパスを用いて訓練することができる。GET位置アルゴリズムは、画像内の個々のGETを識別すると、GETの対応する位置を出力する。例えば、GET位置アルゴリズムは、GET位置に関するピクセル位置またはバウンディングボックス出力を出力することができる。
【0033】
上述したように、画像分析装置170は、GET 125を含む関心領域を識別すると、関心領域に視野127の焦点を合わせるようにLiDAR126に命令および制御する。いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、LiDARセンサ126とカメラ128との間の空間的関係データを用いて、LiDARセンサ126に関心領域上の視野127を変更するように命令する。LiDARセンサ126は、その視野を変更するコマンドを受信すると、そのMEMS(微小電気機械システム)ミラーの構成を狭い視野127に変更して、GET 125に関するより高解像度イメージングデータをキャプチャすることができる。
【0034】
画像分析装置170は、キャプチャされた高解像度イメージングデータから、GET 125に対応する3次元点群を作成することができる。3次元点群内の各点は、LiDARセンサ126によってキャプチャされたLiDA「ヒット」または検出点に対応する。いくつかの実施形態では、点間の実際の距離は1mmまで小さくてもよい。十分に高い解像度を有する実施形態(すなわち、実際の点間距離が約2.5mm未満である場合)では、画像分析装置170は、摩耗検出分析のために3次元点群データを摩耗分析装置175に送る。他の実施形態では、画像分析装置170は、摩耗分析のために3次元点群データをさらに洗練するための追加処理を実行してもよい。
【0035】
例えば、いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、3次元点群を密なメッシュサーフェスに変換することができる。画像分析装置170はさらに、GETイメージングデータを摩耗分析装置175に通信する前に、密なメッシュサーフェスを疎なメッシュサーフェスに変換することができる。LiDARセンサ126によってキャプチャされたイメージングデータをCADベースのGETモデルと比較するときに、3次元点群から密なメッシュサーフェス、次いで疎なメッシュサーフェスへの変換は、計算コストを削減するために望ましい場合がある。3次元点群から密なメッシュサーフェス、そして疎なメッシュサーフェスへの変換でも、オーバーサンプリングによりイメージングデータに存在する可能性のあるノイズを除去できる。
【0036】
いくつかの実施形態では、摩耗分析装置175は、カメラ128からのより低い解像度の第1受信イメージングデータを、LiDA126からのより高い解像度の第2受信イメージングデータと融合させて、GET 125の観測測定に対する信頼性を得る。このような実施形態では、画像分析装置170は、カメラ128によってキャプチャされた左画像および右画像に対して追加の処理を実行する。例えば、画像分析装置170は、関心領域を識別すると、さらにそれらを処理して、左補正画像に対応する左エッジデジタル画像と、右補正画像に対応する右エッジデジタル画像とを生成することができる。画像分析装置170は、勾配マグニチュード検索ベースのエッジ検出を採用してもよいが、コンピュータビジョンの分野で採用されている他のエッジ検出技術(例えば、ゼロクロスに基づくエッジ検出技術)を他の実施形態で採用して、左エッジデジタル画像および右エッジデジタル画像を生成してもよい。
【0037】
いくつかの例では、画像分析装置170は、GET 125のエッジ推定を調整し、および/または、キャプチャされた画像内のGET 125の意図された位置を使用することによって、個々のGET 125を識別することができる。例えば、画像分析装置170は、使用中のバケット120のタイプに対応する物理パラメータライブラリ160に記憶された物理パラメータセットに基づいて、バケット120に対するGET 125の意図された位置を知ることができる。この情報を用いて、画像分析装置170は、選択された画像内の所望の位置に到達し、歯に最も近いピクセル領域をキャプチャすることができる。次に、畳み込みフィルタ、分割分析、エッジ検出、または画素領域内の画素強度/暗さ分析を適用するなどのコンピュータ視覚技術に基づいて、画素領域を使用して歯をさらに識別することができる。いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、個々の歯テンプレートを用いてピクセル領域に適用し、コンピュータビジョン技術を用いて歯の位置をさらに洗練することができる。画像分析装置170は、動的プログラミング技術を用いてエッジをさらに洗練することが動的プログラミング技術は、エッジの強度に基づく平滑化、エッジが高密度ステレオ視差マップ内の穴や不確実な領域に近いかどうか、または他のエッジ検出最適化手法を含んでもよい。画像分析装置170は、GET位置アルゴリズムの出力を使用して、GETの位置を決定する際の信頼を得て、GET位置アルゴリズムの出力に基づいてエッジ推定をさらに改良することもできる。
【0038】
画像分析装置170はまた、GET 125における摩耗または損失を決定するために、LiDARセンサ126によってキャプチャされたより高解像度イメージングデータと共に使用され得る摩耗分析装置175に提供される疎ステレオ視差を生成することができる。いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、左エッジデジタル画像(左補正画像に関連する)と右エッジデジタル画像(右補正画像に関連する)との間に疎なステレオ視差を生成し、この視差は、摩耗分析装置175によって使用される。代替的に、画像分析装置170は、第1関心領域画像(左補正画像に関連する)と第2関心領域画像(右補正画像に関連する)とから疎ステレオ視差を算出し、疎ステレオ視差画像からエッジを検出してもよい。
【0039】
摩耗分析装置175は、画像分析装置170によって生成された間引いたステレオ視差を摩耗のために分析するように構成されてもよい。例えば、バケット120およびGET 125に関する物理パラメータセットは、摩耗していないGET 125またはカメラ128の予期される画像取得に基づいて較正された摩耗していないGET 125のセットに関連する予期されるデータを含んでもよい。いくつかの例として、予期されるデータは、ピクセル、実測値、GET 125のCADベースモデル、または摩耗していないGETに関するエッジ画像の形式であり得る。摩耗分析装置175は、疎なステレオ視差を受信すると、疎なステレオ視差を、LiDARセンサ126によってキャプチャされたより高解像度イメージングデータ(または、いくつかの実施形態では、3次元点群に基づいて決定された密なメッシュサーフェスまたは疎なメッシュサーフェス)の3次元点群と融合し、相関させ、GET 125に関する測定データを決定することができる。次に、GET 125の摩耗レベルまたは損失を決定するために、決定された測定データを、GET 125の摩耗していないバージョンに対応する予想データと比較することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、疎なステレオ視差に関連するピクセル数を用いて、GETの摩耗または損失を測定することができる。ピクセル数には、領域(例えば、GETの総ピクセル)、ピクセル単位のGET高さ、ピクセル単位のGET幅、GETの高さと幅の合計が含まれるが、これはほんの一部の例にすぎない。ピクセル数の特定方法は、GETの形状やスタイルによって変化することができる。例えば、長さが幅よりもはるかに大きいGETには、高さピクセル数を使用することができ、幅が長さよりもはるかに大きいGETには、幅ピクセル数を使用することができる。本開示の精神および範囲を逸脱することなく、ピクセル数を決定するための様々な方法を使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、摩耗分析装置175は、決定された測定データ(高解像度のLiDAスキャンから導出された情報、カメラ128からの低解像度イメージングデータに基づいて決定された疎なステレオ視差、またはその両方の組み合わせを含んでもよい)と、摩耗していないGET 125に対応する予期されるデータとの間の類似スコアを計算することができる。類似性スコアは、GET 125の決定された測定データが物理パラメータセットの予想されるデータとどの程度一致するかのメトリックを反映することができる。例えば、類似性スコアは、類似性を検出する和集合交点またはJaccardインデックス法を使用することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、類似性スコアは、類似性を検出するためのダイス係数またはF1スコア法を用いて決定されてもよい。類似性スコアはまた、疎なステレオ視差のピクセルが所望のエッジ画像と重なる割合を反映する値も含んでもよい。いくつかの実施形態では、類似度スコアは0から100までスケーリングまたは正規化されてもよい。
【0042】
類似性スコアは、GET 125の摩耗指標を提供することができる。例えば、低いスコア(例えば、0から20の範囲)は、GET 125の1つが壊れているか、または歯の喪失を示す欠損を示している可能性がある。高いスコア(例えば、80~100の範囲)は、歯の健康状態が良好であり、交換する必要がないことを示している可能性がある。低いスコアと高いスコアの間のスコアは、歯の摩耗レベルを示し、より高いスコアは、より低いスコアよりも歯の交換のリードタイム時間が長いことを示す。
【0043】
いくつかの実施形態では、摩耗分析装置175は、GET 125に関する測定データを経時的に収集し、収集された測定データを用いて、GET 125の摩耗レベルおよびGET 125の摩耗傾向を決定することができる。例えば、作業機械100は、仕事のために数日間にわたって作業現場で動作し続けることができる。作業機械100が作業中に材料を移動させると、カメラ128は、ステレオ画像バケット120とGET 125とを摩耗検出コンピュータシステム110に提供し、画像分析装置170は、GET 125のために疎なステレオ視差を生成する。摩耗分析装置175は、ジョブの期間にわたるいくつかの時点でのGET 125に関連する測定データ(例えば、ピクセル数、メートル法測定、フィート/インチ法測定)をマッピングすることができる。バケット120およびGET 125が作業現場で材料と係合するにつれて、GET 125は摩耗によりサイズが減少することが予想される。したがって、GET 125に関連する測定データも時間とともに減少し、時間の経過に伴うピクセル数は摩耗傾向を反映することにある。摩耗分析装置175は、特定の時点における摩耗傾向を用いて、特定の時点におけるGET 125の摩耗レベルを決定することができる。GET 125の摩耗レベルは、GET 125の交換が必要であることを示している場合もあれば、GET 125の1つまたは複数の損失を示している場合もある。いくつかの実施形態では、GET 125に関連する測定データはメモリ150に記憶され、複数の仕事および複数の作業現場に適用され得、摩耗傾向はGET 125の寿命に適用可能であり得る。このような実施形態では、バケット120またはGET 125が交換されると、摩耗分析装置175によってキャプチャされたGET 125に関連するピクセル数をリセットすることができ、摩耗分析装置175は、ゼロ時間点からGET 125のピクセル数の収集を再開することができる。
【0044】
摩耗分析装置175は、GET 125によって経時的に測定された測定データに基づいて摩耗傾向を決定するので、GET 125の交換が必要になる可能性がある場合の予測も作成することができる。例えば、摩耗分析装置175は、GET 125に関連する測定データが、GET 125が10作業時間ごとに1%の寿命を失うことを示しており(測定データは10作動時間ごとに1%減少するため)、GET 125が800作業時間使用されていると判断した場合、200時間以内にGET 125を交換する必要があると判断することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、摩耗検出コンピュータシステム110は、警報管理装置180を含んでもよい。警報管理装置180は、摩耗分析装置175と通信することができ、摩耗分析装置175によって特定された摩耗傾向および摩耗レベルを監視することができる。警報管理装置180は、摩耗解析器175によって特定された情報に基づいて運転者制御パネル130にメッセージ警報を提供することができる。例えば、摩耗レベルが摩耗閾値に達した場合、警報管理装置180は、運転者制御パネル130のディスプレイ133に表示される警報を生成することができる。閾値は、極端なGET摩耗、または場合によっては完全なGET損失を示す値に対応することができる。警報は、作業機械100の運転者に、1つまたは複数のGET 125が交換を必要としていることを示すことができる。摩耗閾値は、実施形態によって異なる可能性があり、GET 125の種類およびGET 125が係合する作業現場の材料に依存し得る。
【0046】
警報管理装置180はまた、GET 125が2週間以内に交換する必要があるなど、将来のある時点でGET 125の交換が必要になる可能性があるという警報を提供することができる。交換警報は、GET 125の摩耗傾向予測に関する情報を含んでもよい。例えば、交換警報は、摩耗傾向の定量化(例えば、GET 125が1日当たり2%摩耗している)、歯が使用された時間、または使用データに基づいてGET 125が摩耗閾値に達すると予想される日付または時間を含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、警報管理装置180は、摩耗分析装置175によって決定された摩耗傾向を監視し、現在の摩耗レベルを作業機械100の運転者に通知するための摩耗レベル値をディスプレイ133に提供することができる。例えば、摩耗傾向がGET 125が60%摩耗していることを示している場合、警報管理装置180は、摩耗傾向に基づいて、交換が必要になる前にGET 125の寿命が40%残っていることを示す表示を提供することができる。ディスプレイ133は、また、歯が折れたこと、歯の喪失を示すこと(例えば、GET 125の1つ以上の寿命が20%未満であるとき)を運転者に知らせることもできる。
【0048】
摩耗検出コンピュータシステム110は、GET 125が広範囲の摩耗により交換が必要になった場合、または損傷した場合に、作業機械100の運転者に通知することを可能にする。摩耗検出コンピュータシステム110によって採用され、以下により詳細に説明されるプロセスは、5mm未満のスケールでのGET摩耗の精度高いかつ正確な測定を提供し、これにより、運転者は、極端なGET摩耗またはGET損失の場合に作業機械100の動作を停止することができる。摩耗検出コンピュータシステム110によって展開されるプロセスおよび技術は、様々な作業機械に使用することができる。
【0049】
例えば、
図2は、ホイールローダ作業機械201が動作する環境例200の概略側面図を示す図である。ホイールローダ作業機械201は、バケット220と1つまたは複数のバケット225とを含んでもよい。
図2に示されるように、GET 225およびバケット220は、掘削・投棄サイクルの投棄終了中に(LiDARセンサ226の)視野227および(カメラ228の)視野229内にあるように、LiDARセンサ226およびカメラ228が位置決めされる。その結果、このような実施形態では、LiDARセンサ226およびカメラ228は、バケット220が掘削投棄サイクルの投棄終了時に停止しているときにイメージングデータをキャプチャするように構成され得る。
【0050】
別の例として、
図3は、油圧マイニングショベル作業機械301が動作している環境例300の概略側面図を示す図である。油圧マイニングショベル作業機械301は、バケット320と、1つまたは複数のバケット325とを含んでもよい。ホイールローダ作業機械201のLiDARセンサ226およびカメラ228の位置とは対照的に、LiDARセンサ326およびカメラ328は、掘削投棄サイクルの掘削終了中にGET325が(LiDARセンサ326の)視野327および(カメラ328の)視野329内にあるように配置される。このような実施形態では、LiDARセンサ326およびカメラ328は、バケット320が掘削・投棄サイクルの掘削端で静止している間にイメージングデータをキャプチャするように構成されてもよい。
【0051】
さらに別の例では、
図4は、電動ロープショベル作業機械401が動作している環境400の例の概略側面図を示す図である。電動ロープショベル作業機械401は、バケット420と、1つまたは複数のGET425と、LiDARセンサ426と、カメラ428とを備えることができる。
図4に示すように、GET425は、掘削・投棄サイクルの中間点において(LiDARセンサ426の)視野427および(カメラ428の)視野429内に位置することができるが、バケット420がLiDARセンサ426およびカメラ428に相対的に近いときに位置する。このような実施形態では、LiDARセンサ426およびカメラ428は、バケット420が視野427および視野429に関連する位置範囲に入ったときにイメージングデータをキャプチャするように構成されてもよい。
【0052】
図5は、コンピュータビジョン技術を使用した関心領域検出プロセスのイメージングデータのストリームの一例を示す画像データフロー
図500を示す。画像データフロー
図500は、GET 125に関してカメラ128によってキャプチャされたイメージングデータ中の関心領域が検出されたときに、画像分析装置170によって受信され、処理され、生成された画像を含む。画像データフロー
図500は、カメラ128によってキャプチャされた左画像510および右画像520を含む。左画像510は、カメラ128の左画像センサによってキャプチャされた補正画像であってもよい。右画像520は、カメラ128の右画像センサによってキャプチャされた補正画像であってもよい。左画像510および右画像520の両方は、バケット120およびGET 125の画像を含む。
【0053】
画像分析装置170は、視差マップ530を作成するために左画像510および右画像520を処理することができる。視差マップ530は、左画像510の各ピクセルと右画像520の各ピクセルとの間の視差を示す密なステレオ視差マップであってもよい。視差マップ530と、物理パラメータライブラリ160から得られ、バケット120、GET 125、および/または作業機械100に関連付けられた物理パラメータセット535とを用いて、画像分析装置170は、3次元点群540を構築することができる。3次元点群540は、左画像510と右画像520との間の視差を3次元的に示す。次に、画像分析装置170は、GET 125を含む関心領域550を識別するために、3次元点群540に対して分割分析を実行することができる。画像分析装置170は、関心領域550を用いて、GET 125のためのより高い解像度イメージングデータをキャプチャするようにLiDARセンサ126を命令し制御することができる。
【0054】
図6は、深層学習技術を使用した関心領域検出プロセスのためのイメージングデータの流れの例を示す画像データフロー
図600を示す。上述の画像データフロー
図500と同様に、関心領域検出プロセスの出力は、GET 125に対応する関心領域550となり、画像分析装置170は、領域550を用いて、より高解像度のイメージングデータをGET 125のためにキャプチャするようにLiDARセンサ126に命令し、制御する。しかし、画像分析装置170は、画像データフロー
図500とは異なり、深層学習技術を利用して関心領域550を検出する。
【0055】
画像データフロー
図600は、カメラ128によってキャプチャされた画像610を含む。画像610は、カメラ128の左画像センサまたは右画像センサによってキャプチャされた補正画像であってもよい。画像分析装置170は、深層学習GET検出アルゴリズムを画像610に適用することができる。深層学習GET検出アルゴリズムは、GETが個別に識別され、ラベル付けされ、および/またはGETグループが個別に識別され、ラベル付けされた画像データコーパスで訓練されたニューラルネットワークを採用することができる。画像分析装置170は、深層学習GET検出アルゴリズムを画像610に適用すると、個々のGET 125を含む画像の複数の単一GETバウンディングボックス620を識別することができる。いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、個々のGETバウンディングボックス620を含むGETグループバウンディングボックス630を識別することもできる。画像分析装置170がGETグループバウンディングボックス630を識別すると、画像分析装置170は、その中のピクセルを関心領域550として抽出することができる。
【0056】
図7は、LiDARセンサ126によってキャプチャされたイメージングデータの関心領域検出プロセスのためのイメージングデータの流れの一例を示す画像データフロー
図700を示す。LiDARセンサ126によって画像データフロー
図700に従ってキャプチャされたイメージングデータは、画像710に示される視野に実質的に対応する。図に示すように、視野にはバケット120とGET 125が含まれている。LiDARセンサ126は、例えばバケット120やGET 125に対応する表面などの物体表面を検出した場合に、複数のLiDA「ヒット」を含むLiDAデータキャプチャを行う。LiDAヒットは、3次元点群720として表すことができ、3次元点群720の各点はLiDAヒットに対応する。画像分析装置170は、セグメンテーション分析または他の物体識別分析技術を実行することにより、3次元点群720に基づいて関心領域510を決定する。いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、物理パラメータセット535を用いて、関心領域550を識別することができる。例えば、画像分析装置170は、バケツ歯テンプレート、GET 125のCADベースモデル、またはパターンマッチング技術を使用して、3次元点群720内の関心領域550を識別することができる。
【0057】
図8は、LiDARセンサ126によってキャプチャされた高解像度データを使用する摩耗検出プロセスのためのイメージングデータの流れの一例を示す画像データフロー
図800を示す。画像分析装置170は、関心領域550を識別すると、LiDARセンサ126に関心領域550の高解像度スキャンを実行するように命令し、制御して、GET 125に関するより正確なデータをキャプチャする。LiDARセンサ126は、そのMEMSミラーを狭い視野127に調整して高解像度スキャンを行い、関心領域550に限定された物体識別データ(ひいてはGET 125)をキャプチャする。画像分析装置170は、LiDARセンサ126によってキャプチャされた高解像度イメージングデータ810を受信し、高解像度3次元点群820内の各点がLiDAヒットに対応する高解像度3次元点群820を生成することができる。いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、摩耗分析装置175がGET 125のGET摩耗または損失測定値830を決定できるように、高解像度の3次元点群820を摩耗分析装置175に通信する。いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、摩耗分析装置175に通信する前に、最初に高解像度の3次元点群820を密なメッシュサーフェス840に変換することができ、またはさらに、密なメッシュサーフェス840を疎なメッシュサーフェス850に変換することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、摩耗分析装置175は、GET摩耗または損失測定値830を決定するために、高解像度イメージングデータ810から導出される情報に加えて情報を利用する。例えば、いくつかの実施形態では、摩耗分析装置175は、摩耗していない状態のGETのCADベースモデルなどの物理パラメータセット535からの情報を、GET摩耗または損失測定値830を決定するためのベースラインとして使用する。摩耗分析装置175はまた、物理パラメータセット535からの情報の代わりに、または物理パラメータセット535からの情報に加えて、GET 125に対する以前のGET摩耗または損失測定値830を使用することもできる。いくつかの実施形態では、摩耗分析装置175は、カメラ128によってキャプチャされたイメージングデータから生成された関心領域550の疎なステレオ視差860を使用し、それを高解像度イメージングデータ810から導出された情報と融合して、GET摩耗または損失測定値830を決定することができる。
【0059】
図9は、GET 125の摩耗を検出するための例示的な摩耗検出プロセス900を表すフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、プロセス900は、画像分析装置170および摩耗分析装置175によって実行されてもよい。プロセス900は、一般に、
図5~
図8の画像データフローに従っており、また、これらの図の説明、および
図1に関して上述した画像分析装置170および摩耗分析装置175の説明と一致して解釈されるべきである。以下の説明では、画像分析装置170または摩耗分析装置175によって実行されるプロセス900の様々な態様について説明するが、摩耗検出コンピュータシステム110の他のコンポーネントは、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、プロセス900の1つまたは複数のブロックを実行することができる。
【0060】
プロセス900は、ブロック910で始まり、画像分析装置170は、作業機械100に関連する1つまたは複数のセンサから第1イメージングデータを受信する。例えば、1つまたは複数のセンサは、LiDARセンサ126およびカメラ128を含んでもよい。ブロック910で受信される第1イメージングデータは、通常、作業機械100のバケット120およびGET 125をキャプチャするのに十分な広さを有する1つまたは複数のセンサの視野に対応する。本開示で説明されるように、ブロック920において、第1イメージングデータは、GET 125を含む関心領域を識別するために使用されることができるGET 125の「粗いスキャン」または「低解像度スキャン」であると考えることができる。
【0061】
GET 125を含む関心領域は、カメラ128によってキャプチャされたイメージングデータに対して標準的なセグメンテーション分析またはエッジ検出分析を実行し、その結果を物理パラメータライブラリ160に格納されているGETまたはバケットとGETの組み合わせのパターンと比較することによって決定することができる。勾配分析などの他のコンピュータビジョン技術を使用することもできる。GET 125を含む関心領域は、LiDARセンサ126によってキャプチャされたイメージングデータに対して深度ベースのセグメンテーションを実行し、同様にその結果を物理パラメータライブラリ160に格納されているGETまたはバケットとGETの組み合わせのパターンと比較することによって決定することもできる。いくつかの実施形態では、ブロック920において関心領域が決定されるとき、画像分析装置170は、CADベースのGETモデルを用いてもよい。
【0062】
ブロック930において、画像分析装置170は、関心領域を用いて、LiDARセンサ126の視野を縮小または調整して関心領域に焦点を合わせ、拡大することによってGET 125に焦点を合わせるように命令し制御する。LiDARセンサ126は、視野を縮小して方向を変更することにより、GET 125の高解像度スキャンをキャプチャすることができる。LiDARセンサ126がGET 125の高解像度スキャンを実行した後、画像分析装置170は、ブロック940でLiDARセンサ126から第2イメージングデータを受信する。第2イメージングデータは、より狭く、より焦点の合った視野でLiDARセンサ126によってキャプチャされており、ブロック910で受信された第1イメージングデータよりも解像度が高い。
【0063】
ブロック950において、画像分析装置170は、第2イメージングデータに基づいて3次元点群を生成する。3次元点群内の点は、GET 125からの高解像度スキャンのLiDAヒットに対応する。いくつかの実施形態では、3次元点群は正確なGET測定(例えば、2mm以内のヒット)を計算するのに十分な解像度を有し、画像分析装置170は3次元点群を摩耗分析装置175に送る。いくつかの実施形態では、画像分析装置170は、摩耗分析装置175と通信する前に、密なメッシュサーフェスまたは疎なメッシュサーフェスを作成することにより、3次元点群をさらに処理する。
【0064】
ブロック960において、摩耗分析装置175は、第2イメージングデータ(例えば、より高解像度の画像データ)から導き出された情報を用いて、摩耗レベルまたはGETの損失を決定する。摩耗レベルまたは損失は、現実世界の測定(例えば、ミリメートル)、ピクセル単位、または予想されるサイズのパーセンテージ単位で定量化できる(例えば、GET 125ベースのCADベースモデル)。上述したように、摩耗分析装置175は、摩耗していない状態のGET 125のCADベースモデルを使用し、これを観察されたGET 125測定値と比較して、GET摩耗レベルまたは損失を決定することができる。摩耗分析装置175はまた、GETの過去の測定データを用いて、経時的な摩耗レベルを決定するか、または摩耗レベル傾向を決定して、GET 125の交換が必要な時期を予測することができる。いくつかの実施形態では、摩耗分析装置175は、摩耗が閾値を超えたときに損失を決定するように構成されてもよい。例えば、GETのサイズが50%以上減少した場合、または一定の測定量(例えば、長さが5cm)が減少した場合、摩耗分析装置はGETの損失を決定することができる。摩耗分析装置175は、GETの摩耗が閾値に達したときまたはそれを超えたときに警報を発することができる。
【0065】
上記の説明全体を通して、摩耗検出コンピュータシステム110のいくつかのコンポーネントは、いくつかの動作を実行するものとして説明されている。しかし、摩耗検出コンピュータシステム110のいくつかの実施形態では、上記以外のコンポーネントがこれらの動作を実行することができる。さらに、摩耗検出コンピュータシステム110は、実施形態例において上述したものよりも追加的なコンポーネント、またはより少ないコンポーネントを含むことができる。摩耗検出コンピュータシステム110は、上記に開示された特定の実施形態に限定される必要はないことを、当業者は理解するであろう。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示のシステムおよび方法は、土壌、岩石、鉱物などの材料を掘削、移動、成形、輪郭形成、および/または除去する作業現場での作業機械の動作に関連して使用することができる。これらの作業機械には、作業現場で材料をすくったり、掘ったり、捨てたりするために使用されるバケットが装備されていてもよい。バケットは、作業中に材料を緩めるのを助けるために1つまたは複数のバケットを備えていてもよい。作業機械はまた、本明細書に記載された例に従って摩耗検出方法を実行するように構成されたプロセッサおよびメモリを有するシステムを含んでもよい。このシステムおよび方法は、GETのような作業機械のコンポーネントの摩耗または損失を検出することができ、したがって、このような作業機械の運転者は、下流の処理装置に損傷を与える故障が発生する前に是正措置を講じることができる。
【0067】
いくつかの例では、システムおよび方法は、作業機械の1つまたは複数のセンサからGETに関連するイメージングデータを取得し、次にイメージングデータを処理してGETの摩損または損失を決定する。1つまたは複数のセンサは、LiDARセンサ、画像センサ、および/またはステレオカメラを含んでもよい。
【0068】
いくつかの例では、1つまたは複数のセンサは、作業機械の掘削・投棄期間中に2回のイメージングデータを収集する。第1イメージングデータの収集は、バケットおよびGETの「粗いスキャン」または「低解像度スキャン」であると考えられる。粗いスキャンに基づいて、システムおよび方法は、第1イメージングデータ内の関心領域を決定することができる。関心領域はGETグループ(場合によっては、個々のGET)に対応する。関心領域に基づいて、システムおよび方法は、LiDARセンサにその視野の焦点をGETに合わせて第2イメージングデータの収集を実行するように命令する。第2イメージングデータの収集は、GETの「微細スキャン」または「高解像度スキャン」と考えられる。
【0069】
本開示で説明されるプロセスは、処理効率を提供しながら、GETの高精度の測定を提供する。例えば、バケットの粗いスキャンとGETを使用すると、システムと方法は、高解像度のLiDARスキャン(計算コストがかかる)を、LiDARセンサの視野内の関連物体に制限することができる。微細スキャンを使用することで、1または2mm以内のGET測定が可能になる。
【0070】
さらに、微細スキャンにLiDARを使用すると(画像処理やコンピュータビジョン技術とは対照的に)、他の利点も得られる。例えば、照明が不十分である場合、霧や悪天候(雨や雪など)でカメラに障害物がある場合、取得した掘削物間のコントラストが低い場合、照明条件に陰影が生じている場合などには、LiDAによるイメージングデータのキャプチャを、純粋な画像によるデータのキャプチャよりも良好に行うことができる。したがって、LiDAを用いた微細スキャンは、GETの摩耗をより正確に検出することができ、下流の加工機に損傷を与える致命的なGET損失や摩耗の可能性を低減することができる。
【0071】
本開示の態様は、上記の例を参照して特に示され、説明されてきたが、当業者は、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、本開示の装置、システム、および方法を修正することによって、様々な追加の実施形態を想定することができることを理解する。そのような実施形態は、請求項およびその任意の均等物に基づいて決定される本開示の範囲内に入るものとして理解されるべきである。
【国際調査報告】