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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-19
(54)【発明の名称】自律型GPRシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/88 20060101AFI20240612BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240612BHJP
   G05D 1/672 20240101ALI20240612BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240612BHJP
   G05D 1/248 20240101ALI20240612BHJP
【FI】
G01S13/88 200
B25J5/00 C
G05D1/672
G05D1/43
G05D1/248
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572951
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2021063903
(87)【国際公開番号】W WO2022248024
(87)【国際公開日】2022-12-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503003234
【氏名又は名称】プロセク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ポザー
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ カバジェロ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス ツォリカー
【テーマコード(参考)】
3C707
5H301
5J070
【Fターム(参考)】
3C707AS14
3C707CS08
3C707WA14
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301GG16
5H301HH01
5J070AE11
5J070AF04
5J070BE03
5J070BG00
(57)【要約】
本発明は、GPR装置(2)を用いて、地表面に囲まれた地下のGPR調査を自律的に実施する方法に関する。GPR装置(2)は自律型ロボット(1)に機械的に接続されている。この方法は、(S3)調査ジオメトリにおいて地表面上に調査経路(Sp)を定義するステップと、(S4)ロボット(1)を調査経路(Sp)に沿って自律的に移動させ、それによってGPR装置(2)の位置を制御するステップと、(S5)GPR装置(2)により、地下にレーダー波を送信し、そのエコーをGPRデータとして、GPR装置(2)の位置を示す位置データとともに記録するステップと、を含む。本発明のさらなる態様は、地表面に囲まれた地下のGPRデータを取得するためのGPRシステムに関する。GPRシステムは、特に脚部(21)を備えた自律型ロボット(1,4,7,9)と、特に代替的に独立型装置として使用可能なGPR装置(2,5,8,10)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPR装置(2)を用いて、地表面に囲まれた地下のGPR調査を自律的に実施する方法であって、
前記GPR装置(2)は自律型ロボット(1)に機械的に接続され、
前記方法は、
(S3)調査ジオメトリにおいて、前記地表面上に調査経路(Sp)を定義するステップと、
(S4)前記ロボット(1)を前記調査経路(Sp)に沿って自律的に移動させ、それによって前記GPR装置(2)の位置を制御するステップと、
(S5)前記GPR装置(2)によって、前記地下にレーダー波を送信し、そのエコーをGPRデータとして、前記GPR装置(2)の前記位置を示す位置データとともに記録するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
(S2)前記調査ジオメトリを受信するステップをさらに含み、
特に、前記調査ジオメトリを受信するステップ(S2)は、前記調査ジオメトリを定義する地図データを取得するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調査ジオメトリを受信するステップ(S2)は、センサ(15,16)を用いて前記調査ジオメトリの境界線を検出することを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記GPR装置(2)は、前記自律型ロボット(1)に接続してGPR調査を行い、かつ、前記自律型ロボット(1)なしでもGPR調査を行うように設定されており、
複数の調査を実施するステップをさらに含み、各調査について、
(S1)前記GPR装置(2)を前記自律型ロボット(1)に機械的に接続し、
(S6)前記GPRデータを記録した後、前記自律型ロボット(1)から前記GPR装置(2)を切り離す、
ことをさらに含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記GPR装置(2)は、車輪(21)付きカート上、または、ソリ上に配置されたレーダーアンテナ(22)を備え、該レーダーアンテナは、コネクタ(3)を介して前記自律型ロボット(1)に機械的に接続され、特に、前記コネクタはボールジョイント(31)を備え、
前記調査経路(Sp)に沿って前記自律型ロボット(1)の後方で前記GPR装置(2)を牽引するステップをさらに含む、
請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記調査経路(Sp)上の前記GPR装置(2)の位置、特に前記調査経路(Sp)に沿った屈曲部に応じて、前記コネクタ(3)を下降または上昇させるステップと、
特に、それによって、前記カートの前記車輪(21)の一部を前記地表面から持ち上げるステップと、
をさらに含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記自律型ロボット(1)は、脚部(11)を有するロボットであり、
前記ロボット(1)を前記調査経路(Sp)に沿って移動させることは、前記ロボット(1)の前記脚部(11)を動かし、それによって前記ロボット(1)を前記調査経路(Sp)に沿って移動させることを含む、
請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記GPR装置(2)と前記地表面との間の距離を、特に、閾値未満になるように制御するステップであって、特に前記ロボット(1)の前記脚部(11)を動かすことにより前記距離を調整する、制御するステップをさらに含む、
請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記調査ジオメトリが、調査エリア(Sa)および、さらなる調査パラメータ、特に測定間隔(Ms1,Ms2)を含み、
前記調査経路(Sp)を定義することは、
前記調査エリア(Sa)をカバーするように、かつ、前記さらなる調査パラメータ、特に前記測定間隔(Ms1,Ms2)を考慮するように、前記調査経路(Sp)を生成するステップを含む、
請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
地表面で囲まれた地下のGPRデータを取得するための自律型GPRシステムであって、
特に、脚部(21)を有する自律型ロボット(1,4,7,9)と、
GPR装置(2,5,8,10)と、
を備える、システム。
【請求項11】
前記ロボットは、
アクチュエータ(12,13)を有する、少なくとも2本、特に4本の脚部(21)と、
前記アクチュエータ(12,13)を制御して、前記脚部(21)により前記ロボットを歩行モードで調査経路に沿って前記地表面上で自律的に移動させるように構成されたロボット制御ユニット(17,71,91)と、
を備える、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
位置決定ユニット、特にGNSS受信機(83,93)をさらに含み、
前記GPR装置は、
レーダー波を送受信するように構成されたGPRアンテナ(22,51,82,102)と、
前記GPRアンテナおよび前記位置決定ユニットに接続され、前記GPRアンテナから受信したGPRデータを、前記位置決定ユニットから受信した対応する位置データとともに記録するデータ記録装置を備えるGPR制御ユニット(24,81)と、
を備える、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記位置決定ユニットは、前記GPR装置に機械的に取り付け可能である、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記位置決定ユニットは、前記ロボットに機械的に取り付け可能であり、
前記位置データは、前記ロボットの位置および向きを含む、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記GPR装置は、前記GPRアンテナが取り付けられる、車輪を有するカートまたはソリを備え、
特に、前記カートまたはソリは、ハンドル(23)を備える、
請求項12乃至14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記GPR装置(2,5,8,10)を前記ロボット(1,4,7,9)に取り外し可能に接続するように構成されたコネクタ(3,6)をさらに備える、
請求項10乃至15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
前記コネクタ(3)は、ボールジョイント(31)を備える、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記コネクタ(3)は、前記ロボットと前記GPR装置との間で3つの回転自由度を示し、
特に、前記コネクタ(3)は、前記ロボットと前記GPR装置との間の3つの並進自由度に沿って剛性を有する、
請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ロボットは、さらに、
底面側および上面側を有する本体(14)を備え、
前記脚部(11)は、前記本体(14)から前記底面側を越えて延在し、
前記コネクタ(3)は、前記上面側に配置されている、
請求項16乃至18のいずれかに記載のシステム。
【請求項20】
前記コネクタ(3)は、前記ハンドル(23)を取り外し可能に保持するように構成されたクランプ(32)を備える、
請求項15および請求項16乃至19のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記ロボットは、前記ロボット制御ユニット(17,71,91)に接続され、かつ、前記コネクタ(3)を下降または上昇させるように構成されたリフト駆動装置を備え、
特に、前記リフト駆動装置は、前記コネクタ(3)を第1の垂直位置と第2の垂直位置との間で移動させ、それによって前記カートを第1の傾斜位置と第2の傾斜位置との間で傾斜させるように設定されている、
請求項11乃至20のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
前記ロボット制御ユニット(17,71,91)は、調査エリア(Sa)および更なる調査パラメータ、特に測定間隔(Ms1,Ms2)および/または分解能に基づいて、前記調査経路(Sp)を生成するように構成され、
特に、前記GPRデータは、前記調査エリア(Sa)をカバーするようにする、
請求項11乃至21のいずれかに記載のシステム。
【請求項23】
前記自律型ロボットは、移動のための車輪またはチェーンを備える、
請求項10に記載のシステム。
【請求項24】
前記GPR装置は、前記コネクタ(6)によって、前記ロボットに直接取付け可能であり、
特に、前記GPR装置は、動作位置において、前記地表面と接触しない、
請求項16乃至23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記ロボット制御ユニット(17,71,91)は、前記GPR装置の位置、特に向きを制御するように構成されている、
請求項16乃至24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
前記コネクタ(6)は、前記ロボット制御ユニットに接続された少なくとも1つのアームアクチュエータ(61,63,65)を有するアーム(62,64)を備え、
特に、前記少なくとも1つのアームアクチュエータ(61,63,65)は、前記ロボット(4)の本体に対して少なくとも5自由度、特に6自由度で前記GPR装置(5)を動かすように構成されている、
請求項16乃至25のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
前記ロボット制御ユニット(17,71,91)は、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法を実行するように設定されている、請求項10乃至26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
前記地下における地質学的特徴をマッピングすることと、
前記地下における人工的な特徴または欠陥を、特に建設物または舗装道路において検出することと、
前記地下におけるバイオマスの量、特に根の量を推定することと、
のうちの少なくとも1つのための請求項10乃至27のいずれかに記載のシステムの使用。
【請求項29】
調査経路(Sp)に沿った前記GPR装置の移動を手動で制御することにより、前記自律型ロボット(1,4,7,9)を使用せずにGPR調査を実施するための、請求項10乃至27のいずれか一項に記載の前記GPRシステムからの前記GPR装置(2,5,8,10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPR調査を自律的に実施する方法、自律型GPRシステム、および自律型GPRシステムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
地中レーダー(GPR)は、非破壊検査(NDT)や地球物理学的・地質学的調査のための従来の手法である。GPRアンテナは、通常、10MHzから3.5GHzの周波数帯域のレーダー波を地下または検査対象物に放射し、反射されたレーダー波を地下または検査対象物から受信する。反射されたレーダー波は、例えば、地下の画像を生成したり、地下や対象物の物理的特性を決定したりするために処理される。
【0003】
従来のGPR装置は、GPRアンテナと、アンテナを制御し、GPRアンテナから受信したGPRデータを記録するように構成された制御ユニットと、を備えている。従来、GPR装置は、調査経路、即ち、GPRデータが取得されるラインに沿って手動で押されるか、牽引される。あるいは、GPR装置は自動車などの車両に搭載され、運転手が手動で制御して調査経路に沿って移動する。
【0004】
手作業でGPR調査を行うこのような方法には、いくつかの欠点がある。第一に、GPR調査中は常に人間のオペレータが必要であるため、時間がかかる。第二に、調査エリアの地形やアクセスの難易度によっては、GPR調査を行うことが困難で、オペレータが疲労する恐れがある。第三に、調査エリアによっては、地雷原や石油プラットフォームなど、オペレータの健康や生命に危険が及ぶため、人間のオペレータが調査を行うことが極めて望ましくない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明が解決しようとする課題は、上記の欠点を克服した、GPR調査を実施するための方法および対応するシステムを提供することである。特に、この方法は、効率的で、時間を節約でき、人間のオペレータにとって安全であるとともに、遠隔地やアクセスしにくい調査エリアでも実行可能である。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、この課題は、GPR装置によって地下のGPR調査を自律的に実施する方法によって解決される。
【0007】
特に地下は、地表面上をGPR装置が移動できるような、地表面に覆われた媒体であればどのようなものでもよい。地下は、例えば、建物や建築物のような健全性や欠陥について検査される対象物内にある場合もあれば、舗装道路や土壌のように地下にある場合もある。特に、GPR調査には、地下にレーダー波を送信し、地下の境界や、その他の材料特性の変化によって反射されたレーダー波を受信することによってGPRデータを取得することが含まれる。
【0008】
特に、自律型とは、人為的な入力がないこと、換言すれば、GPR調査中に自己制御されること、あるいは人間のオペレータから独立していることを意味する。
【0009】
本方法によれば、GPR装置は自律型ロボットに機械的に接続される。本方法は、
- 調査ジオメトリにおいて地表面上の調査経路を定義するステップを含む。調査ジオメトリは、例えば、GPRデータが取得されるエリア、即ち、調査エリアを含んでよい。調査経路は、予め定義された調査経路であってよく、つまり人間のオペレータによって提供されてよい。あるいは、調査経路は、例えば調査エリアに基づいて、調査前に自動的に決定されてもよい。あるいは、調査経路は、調査中に、例えば、カメラや近接センサなどの、ロボットによって取得されたセンサデータに基づいて、調整されてよく、特に自動的に調整されてもよい。
【0010】
好ましくは、上記のステップを実行するために必要な調査ジオメトリは、本方法を実行する際に受信することができる。一実施形態において、これは、調査ジオメトリを定義する地図データを取得することを含む。さらなる実施形態においては、ロボットのセンサ、例えば、カメラ、ライダまたはRFトランスデューサを用いて、調査ジオメトリの境界線を検出することを含む。境界線は、例えば、調査エリアに存在する壁や障害物である。あるいは、それに加えて、境界線は、ロボットのRFトランスデューサによって検出されうるRFIDタグのような、調査エリアを区切る設定された境界線を含んでもよい。
【0011】
本方法は、
- ロボットを自律的に調査経路に沿って移動させ、それによってGPR装置の位置を制御するステップを含む。GPR装置はロボットに機械的に接続されているため、GPR装置の位置はロボットの位置に依存する。一実施形態において、GPR装置はロボットに直接取り付けることができ、これはGPR装置が地表面に接触しておらず、特にロボットによって完全に支持されていることを意味する。他の実施形態において、GPR装置は、ロボットとは別のカートまたはソリを備えてもよく、これらはロボットによって地表面上を牽引されるか、または押される。
【0012】
本方法は、
- GPR装置によって、地下にレーダー波を送信し、そのエコーをGPR装置の位置を示す位置データとともにGPRデータとして記録するステップを含む。GPR装置の位置を示すデータは、特に、GNSS受信機によって測定されたGPR装置の位置を含んでよい。あるいは、GPR装置の位置が得られるロボットのGNSS受信機や磁力計などのセンサによって測定されたロボットの位置および向きを含んでよい。位置データは、2021年5月6日に改訂されたウィキペディアの「Simultaneous localization and mapping(同時定位およびマッピング)」に記載されているように、同時定位およびマッピング(SLAM)アルゴリズムによって代替的または追加的に決定することができる。この目的のために、センサデータは、カメラ、ライダ、レーザー距離計、IMUなどのロボットのセンサによって取得され、SLAMアルゴリズムによって処理される。このように、原則として、位置データは屋内だけでなく屋外でも取得可能である。また、自律的にGPR調査を実行する方法全体は、屋内だけでなく屋外でも適用することができる。
【0013】
一実施形態において、上述したステップは、順次実行されるのではなく、入れ替えられたり、反復されたりする。特に、調査経路の第1の区間は、調査ジオメトリの第1のバージョン(例えば、初期マップデータ)を受信したときに定義することができる。調査経路の第2の区間は、調査ジオメトリの第2のバージョン、例えば、調査エリア内の障害物などの境界線に関する追加のセンサデータを受信した後に定義または設定される。
【0014】
明らかに、このような自律的な方法は、GPR調査を実行する際の時間を節約する。さらに、人間の健康や生命さえも脅かすようなエリアでのGPR調査も容易になる。
【0015】
好ましくは、GPR装置は、自律型ロボットに接続して、または自律型ロボットなしでGPR調査を実行するように設定されている。換言すれば、GPR装置は、従来のGPR装置であってもよく、特に、手動または手動制御で調査経路に沿って移動させることができる。この場合、本方法は、複数の調査を実施するステップと、調査ごとに、GPR装置を自律型ロボットに機械的に接続するステップと、GPRデータを記録した後、GPR装置を自律型ロボットから切り離すステップと、をさらに含む。このような方法は、GPR装置を自律型調査にも手動型調査にも使用できるため、応用範囲が広い。また、ロボットは、GPR装置をロボットに接続することが望ましくない他の目的に使用することもできる。
【0016】
実施形態において、本方法は、調査経路に沿って自律型ロボットの後方でGPR装置を牽引することをさらに含む。この目的のために、GPR装置は、車輪付きカート上またはソリ上に配置されたレーダーアンテナを備えてよい。カートまたはソリは、コネクタを介して自律型ロボットに機械的に接続され、特に、コネクタはボールジョイントを備える。ロボットとは分離したカートまたはソリを備えるGPR装置には、ロボットがGPR装置の全重量を支える必要がないという利点がある。これは、GPR装置の典型的な重量が10kg以上のオーダーであることを考慮すると、特に有利である。
【0017】
好ましくは、本方法は、調査経路上のGPR装置の位置に応じてコネクタを下降または上昇させることをさらに含む。これは、障害物がある場合や地表面が粗い場合に有効である。また、コネクタは、特に、調査経路に沿った屈曲部において上昇または下降させることができ、例えば、それにより、カートの車輪の一部を地表面から持ち上げることができる。このようにして、カートは屈曲部に沿ってより容易に牽引することができる。
【0018】
あるいは、コネクタは、GPR装置をロボットに接続し、カートの車輪の1つまたは2つだけが地表面と接触するように設定されてよい。この場合も、カートを屈曲部に沿って牽引することが容易になる。
【0019】
好ましい実施形態において、自律型ロボットは脚部を有するロボットである。この場合、ロボットを調査経路に沿って移動させることは、ロボットの脚部を動かすことを含み、それによってロボットを調査経路に沿って移動させることを含む。このようなロボットは、移動に車輪やチェーンを必要としない。特に、このようなロボットは全地形に対応でき、階段の上でも移動できる。後者は、アクセスしにくいエリアや石油プラットフォームのような産業建造物内で、人間のオペレータが現場にいなくてもGPRデータを測定する場合に有利である。
【0020】
原則として、本方法は、例えば障害物がある場合や地表面が粗い場合、あるいは地中とのカップリングや良好な信号伝送を確保するために、GPR装置と地表面との間の距離を制御することを含むことが好ましい。特に、距離は閾値未満、例えば0.1m未満になるように制御することができる。脚部を有するロボットの場合、距離を調整するためにロボットの脚部を動かすことによって距離を制御することができる。あるいは、別の方法、例えばリフトモーターによってコネクタを下降または上昇させることによって距離を制御することもできる。
【0021】
本方法の一実施形態において、調査ジオメトリは、調査エリアと、入力パラメータとしての更なる調査パラメータ、特に測定間隔(measurement spacing)と、を含む。この場合、調査経路を定義することは、さらなる調査パラメータ、特に測定間隔を考慮しながら、調査エリアをカバーするように調査経路を生成することを含むことが好ましい。これは、例えばロボットの制御ユニットによって自動的に行うことができる。特に、調査経路の生成は、最適化問題を解くこと、例えば調査経路の長さを最小化することを含み、一方で、所定の測定間隔を確保するなど、更なる調査パラメータによって表される特定の制約を満たすことを含んでもよい。
【0022】
さらなる調査パラメータは、GPRデータの解像度や幾何学的な制約を含んでいてもよい。GPRデータを処理し、特に地下を画像化するための従来のアルゴリズムは、GPRデータが直線に沿って取得されること、つまり、調査経路が直線で構成される割合が高いこと、例えば、調査経路の全長の少なくとも50%または80%が直線であることを前提としている。このため、通常、蛇行した形状の調査経路となる。従って、追加的な制約として、蛇行形状を示すように調査経路を生成することができる。
【0023】
本発明の第2の態様は、地表面に囲まれた地下のGPRデータを取得するための自律型GPRシステムに関する。このようなシステムは、特に脚部を備えた自律型ロボットと、GPR装置と、を備える。特に、このシステムは、上述の方法を実行するように構成することができる。
【0024】
方法に関して説明されている全ての特徴は、システムにも適用可能であり、その逆もまた同様である。
【0025】
一実施形態において、ロボットは、アクチュエータを有する少なくとも2つ、特に4つの脚部と、ロボット制御ユニットと、を備える。ロボット制御ユニットは、アクチュエータを制御して、脚部により歩行モードで調査経路に沿ってロボットを地表面上で自律的に移動させるように構成されている。上述したように、このようなロボットは全地形対応型である。
【0026】
あるいは、自律型ロボットは、車輪やチェーンを備えていてもよい。舗道や適度に平坦な地表面の下の土壌を探査するような多くの用途では、これで十分であろう。説明した全ての特徴は、実現可能であれば、あらゆるタイプの自律型ロボット、特に車輪やチェーンを備えたロボットだけでなく、脚部を備えたロボットにも適用可能である。
【0027】
好ましくは、システムは位置決定ユニット、特にGNSS受信機を備える。さらに、GPR装置は、通常、レーダー波を送受信するように構成されたGPRアンテナと、GPR制御ユニットと、を備える。GPR制御ユニットは、GPRアンテナと位置決定ユニットに接続されている。GPR制御ユニットは、GPRアンテナから受信したGPRデータを、位置決定ユニットから受信した対応する位置データとともに記録するデータレコーダを備える。
【0028】
位置決定ユニットは、GPR装置に機械的に取り付けられるか、または取り付け可能であってもよい。この場合、位置決定ユニットから受信した位置データは、さらに計算することなくGPR装置の位置を示すことができる。
【0029】
あるいは、位置決定ユニットをロボットに取り付けるか、取り付け可能にしてもよい。この場合、位置データには、ロボットの位置、好ましくは向きも含まれる。このような位置データから、GPR装置の位置、即ちGPRデータが取得される位置は、GPR装置とロボットとの間の固定された関係、特にGPR装置とロボットとの間の既知の距離および向き(例えば、3つの角度によって定義される)を仮定して推定することができる。
【0030】
一実施形態において、GPR装置は、調査経路に沿って移動する方向から見て、ロボットの後方で牽引される。この場合、有利なことに、GPR装置は横方向に傾くことなくロボットの後方で牽引される、即ち、GPR装置はロボットと同じ調査経路をたどるものと仮定される。その場合、GPR装置の位置は、ロボットの位置と向き、およびGPR装置とロボットの間の既知の距離から計算することができる。このような考慮事項は、特に以下の実施形態に適用できる。
【0031】
この実施形態において、GPR装置は、GPRアンテナを取り付けた車輪付きカートまたはソリを備えている。上述のように、このようなGPR装置は、例えば土壌に適用するための従来のGPR装置であってもよく、通常、人間のオペレータによって押されたり牽引されたりする。特に、このようなカートまたはソリはハンドルを備えている。
【0032】
好ましくは、システムは、GPR装置をロボットに着脱可能に接続するように構成されたコネクタを備える。特に、コネクタは、カートまたはソリのハンドルを取り外し可能に保持するように構成されたクランプを含むことができる。他の実施形態において、例えば、GPR装置がロボットに直接搭載可能である場合、コネクタはスライドロックを備えていてもよい。
【0033】
一実施形態において、コネクタはボールジョイントを備えている。換言すれば、コネクタは、好ましくは、ロボットとGPR装置との間で3つの回転自由度を示す。同時に、コネクタは、好ましくは、ロボットとGPR装置との間の3つの並進自由度に沿って剛性を有する。あるいは、コネクタは、ロボットとGPR装置との間の加速度を低減するために、可撓性要素、例えばバネやゴム要素を備えていてもよい。特に、可撓性要素は、コネクタの寸法の10%以内、特に1%以内の精度で、ロボットに対するGPR装置の位置を規定する。これにより、GPR装置とロボットとの間の柔軟な機械的接続が保証され、例えば、地球物理学的用途や農業用途において、畑や岩場などの不整地を車輪付きカートまたはソリで牽引するのに適している。同時に、GPR装置と地面との良好なカップリングが確保されるため、GPR信号の良好な伝送が保証される。
【0034】
一実施形態において、ロボットは、底面側と上面側とを有する本体をさらに備える。脚部は、本体から底面側を越えて延在している。好ましくは、コネクタは上面側に配置される。これにより、カートまたはソリを牽引し、調査経路に沿って粗い地表面または障害物を乗り越えることが容易になる。
【0035】
一実施形態において、ロボットは、ロボット制御ユニットに接続され、コネクタを下降または上昇させるように構成されたリフト駆動部を備える。特に、リフト駆動部は、コネクタを第1の垂直位置と第2の垂直位置との間で移動させ、それによりカートを第1の傾斜位置と第2の傾斜位置との間で傾斜させるように設定されている。第1の傾斜位置は、例えば、カートの全車輪またはソリの底面全体が、特に均等な地表面に接している状況に対応してもよい。次に、第2の傾斜位置は、カートの車輪の一部、例えば2つの前輪が地表面から浮いている状態、またはそれぞれ、ソリの底面の端部のみが地表面に接している状態に対応してもよい。第2の傾斜位置では、カートまたはソリの操縦性、例えば調査経路に沿った屈曲部周辺での操縦性がより良くなる可能性がある。あるいは、脚部を有するロボットの場合、ロボット制御ユニットによって制御される脚部の対応する動きによってロボット本体を下降または上昇させることによって、同じ効果を達成することができる。
【0036】
さらに、コネクタまたはGPR装置、特にハンドルは、特に水平軸の周りに、特に調査経路に沿った前方方向に対して垂直に回動するヒンジを備えていてもよい。ヒンジは、バネを搭載することもできるし、能動的な調整のためのアクチュエータを備えてもよい。
【0037】
上述のように、ロボット制御ユニットは、調査エリアと更なる調査パラメータ、特に測定間隔および/または分解能に基づいて調査経路を生成するように構成されてもよい。特に、制約条件として、調査経路に沿って取得されたGPRデータが、例えば所定の空間分解能内で調査エリアをカバーすることが考えられる。
【0038】
GPR装置は、ロボットの後方で牽引されるカートまたはソリの場合のように、それ自体が地表面に接触する、即ち地表面に直接触れるのではなく、代わりに、GPR装置は、コネクタによってロボットに直接取り付けることができる。この場合、GPR装置は、動作位置では地表面に接触しない。GPR装置とロボットの間のこのような接続は、GPR装置の他の設計オプション、例えば、堅牢でない底面などを可能にする。また、このような接続により、石油プラットフォームなど、階段のような車輪付きカートではアクセスできないエリアでのGPR調査が容易になる。
【0039】
一実施形態において、コネクタは、ロボット制御ユニットに接続された少なくとも1つのアームアクチュエータを有するアームを備える。GPR装置は、アームの遠位端に接続されていてもよい。アームは、GPRユニットの全重量を支えるように構成されていることが好ましい。特に、少なくとも1つのアームアクチュエータは、GPR装置をロボット本体に対して少なくとも5自由度、特に6自由度で動かすように構成されている。そのようにして、GPR装置、特にGPRアンテナは、水平な地表面だけでなく、壁や天井に対しても任意の方向に向けることができ、例えば、建設現場やトンネルやパイプ内でレーダーデータを取得することができる。
【0040】
GPR装置がロボットに直接取り付けられている場合、ロボット制御ユニットは、GPR装置の位置、特に向きを制御するように構成されていることが好ましい。特に、GPR装置と地表面との間の距離が閾値を超えないように、GPR装置の位置を制御することができる。さらに、GPR装置の向きは、GPRアンテナの主要な送信方向が、例えば、壁などの表面に直交する、または傾斜面などの重力に平行な法線方向と一致するように制御することができる。
【0041】
本発明の第3の態様は、上記システムの様々な可能な用途に関する。本システムは特に、以下の少なくとも1つに使用することができる。
- 地下の地質学的特徴をマッピングする。その場合、地下は、例えば、土壌、岩盤、地下水または氷を含む場合がある。地質学的特徴は、岩石や地下水などの異なる物質の層である可能性がある。
- 地下の人工的な特徴や欠陥(特に、建設物や舗装道路)を検出する。このような人工物には、パイプ、電線、トンネルなどが含まれる。建築物には、橋のデッキや駐車場のような大きなコンクリートエリアが含まれる。
- 地下のバイオマス、特に、根の量を推定する。これは農業分野で有用であり、例えば作物畑や他の植林地において、地表面の下のバイオマス量を植物成長の指標として測定することができる。このような用途では、上述したシステムが特に有利であり、なぜなら、システムが小型軽量であるため、特に土壌を圧縮することなく、植物の畝間の調査経路に沿って移動することができるからである。
【0042】
上述のように、本システムで使用されているものと同じGPR装置を、ロボットから独立して使用することもできる。換言すれば、自律型ロボットを用いずに、調査経路に沿ったGPR装置の移動を手動で制御することで、GPR装置を使用してGPR調査を行うことができる。これにより、GPR装置の汎用性を高めることができ、応用分野を広げることができる。
【0043】
その他の好ましい実施形態は、以下の説明と同様に、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明は、以下の詳細な説明から、よりよく理解され、上記以外の目的も明らかになるであろう。当該説明は、添付図面を参照する。
図1a図1aは、本発明の一実施形態による自律型GPRシステムの透視側面図、上面図および側面図を示す。
図1b図1bは、本発明の一実施形態による自律型GPRシステムの透視側面図、上面図および側面図を示す。
図1c図1cは、本発明の一実施形態による自律型GPRシステムの透視側面図、上面図および側面図を示す。
図1d図1dは、本発明の実施形態によるGPRシステムで使用されるコネクタの切断面図および裏面図である。
図1e図1eは、本発明の実施形態によるGPRシステムで使用されるコネクタの切断面図および裏面図である。
図2図2は、GPRシステムの他の実施形態の概略側面図である。
図3図3は、本発明によるGPRシステムの異なる実施形態のブロック図である。
図4図4は、本発明によるGPRシステムの異なる実施形態のブロック図である。
図5図5は、本発明の実施形態によるGPR調査を自律的に実施する方法のフロー図である。
図6a図6aは、調査経路を自動的に決定することに関する方法の実施形態の一態様を示す。
図6b図6bは、調査経路を自動的に決定することに関する方法の実施形態の一態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1aから図1cは、上述のような地下のGPRデータを取得するための自律型GPRシステムの一実施形態を示す。GPRシステムは、自律型ロボット1と、GPR装置2と、を備えており、これらは、コネクタ3によって相互に接続されている。ロボット1は、本体14に接続された4本の脚部11を備えている。特に、脚部11は、本体の横側面に接続され、参照数字14は本体の底面を示す。脚部11は、本体の底面の下方に延びており、移動のために動かすことができる。脚部11は、典型的には本体14内に配置されたロボット制御ユニット17によって制御されるアクチュエータ12,13によって動かされる。
【0046】
GPR調査を実施するため、即ち、調査経路に沿って移動するため、ロボット1は、好ましくは、図1a~図1cに太矢印で示すように前進するように構成される。これは、GPR装置2が調査経路に沿ってロボット1の後方で牽引されることを意味する。あるいは、ロボット1は、調査経路または調査経路の少なくとも一部に沿ってGPR装置2を押すように構成することもできる。しかしながら、GPR装置2をロボット1の後方で牽引することにより、特に後述するようにフレキシブルコネクタ3を使用する場合には、GPR装置2の位置制御が容易になる。
【0047】
ロボット1は、さらに、例えば少なくとも1つのカメラ、超音波センサのような距離センサ、および光検出器のような照明センサのようなセンサ15,16を備える。センサ15,16は、センサデータをロボット制御ユニット17に送り、ロボット制御ユニット17は、センサデータを処理し、ロボット1の動き、特にアクチュエータ12,13の動きを制御して、調査経路に沿った移動を実現する。このような自律型ロボット1の例としては、ボストンダイナミクス社のSpot(登録商標)がある。
【0048】
図1aから図1cにおけるGPR装置2は、GPRアンテナ22が配置された筐体25を支持する4つの車輪21を備える。特に、GPRアンテナ22は、参照数字22の矢印で示すように、筐体25の底面に配置されている。GPRアンテナ22は、レーダー波を放射および受信するように構成されている。この目的のために、GPRアンテナ22は、典型的には、同じく筐体25内に配置されたGPR制御ユニット24に接続されている。GPR制御ユニット24は、特に、送信すべきレーダー信号、例えば、ステップ周波数連続波(SFCW)信号を生成し、GPRアンテナ22に信号を送信させる。放射された信号は、特に地下を移動し、物質の変化、特に誘電率や反磁性率の変化で反射または散乱される。このような地下の物質の変化の例としては、鉄筋、パイプ、電線、欠陥、異なる種類の土壌や岩石、地下などがある。反射または散乱されたレーダー波の一部はGPRアンテナ22に戻り、GPRアンテナ22はそれを受信波として受信する。受信波は、任意選択でフィルタ処理などの前処理が行われ、その後、GPR制御ユニット24によって、GPR装置2の位置を示す位置データ(例えば、GPR装置2に取り付けられたGNSS受信機(図1a~図1cには図示せず)から受信したもの)とともにGPRデータとして記録される。
【0049】
GPR調査が実施される地表面によっては、GPR装置2は車輪21を装備せず、荒れた地形などではチェーンを装備する場合もある。あるいは、GPR装置2は車輪やチェーンを一切使わず、氷の上などでソリとして地表面上を直接牽引される場合もある。
【0050】
図1a~図1cからわかるように、GPR装置2は、コネクタ3によって接続されていない場合、ロボット1から独立してGPR調査を実施するために使用することができる独立型装置であってもよい。特に、GPR装置2は、無線モジュールやブルートゥース(登録商標)モジュールなどの通信ユニットを備え、現場のラップトップやiPad(登録商標)などの外部制御ユニットから制御データを受信し、GPRデータを外部制御ユニットに送信するように構成されている。
【0051】
さらに、GPR装置2は、筐体25に取り付けられたハンドル23を備える。ハンドル23は、例えば、図1a~図1cに示すように、ジョイントによって、高さおよび向きを調節することができる。特に、ハンドル23は、筐体25の上面側または側面側に取り付けることができる。ハンドルは、GPR装置2の位置と向きの制御を可能にするように設定されていることが好ましい。単独で使用する場合、オペレータは、通常、ハンドル23によって、特にオペレータの手でハンドル23を握ることによって、地表経路に沿ってGPR装置2を押したり牽引したりする。このようなGPR装置2の例としては、Proceq社のGPRサブサーフェスGS8000がある。
【0052】
図1aから図1cにおいて、GPR装置2は、ロボット1に固定されたコネクタ3によって自律型ロボット1に接続されている。コネクタ3は、ハンドル23を取り外し可能に保持するように設定されている。この目的のために、コネクタ3は、ハンドル23を取り外し可能に保持するように設定されたクランプ32を備えている。さらに、コネクタ3は、ロボット1とGPR装置2との間で3つの回転自由度を示すボールジョイント31を備え、即ち、ボールジョイント31は、垂直軸と異なる水平軸に沿った回転を可能にする。ボールジョイント31は、ロボット1とGPR装置2との間の並進自由度を示さない、即ち、ロボット1とGPR装置2との間の変位は、ボールジョイント31によって防止される。このようなコネクタ3は、GPR装置が牽引される地表面の変化に対応するために、GPR装置の向きに関して柔軟であるため、ロボット1の後方でGPR装置2を牽引するのに適している。特に、ボールジョイント31は、GPRアンテナ22の地下への良好なカップリングだけでなく、スムーズな移動を容易にするために、地表面の傾斜の変化や局所的な障害物に対するGPR装置2の向きに対応することができる。
【0053】
図1eおよび図1dは、それぞれ、コネクタ3を裏側から、即ち図1a~図1cに示した前方方向とは反対側から見た詳細図と、コネクタ3を平面B-Bに沿って切断した図とを示している。コネクタの下部は、コネクタ3をロボットに取り付けるための固定部に固定されたボール33を備えている。コネクタの上部は、一部がボール33の上部となる空洞部分を有する空洞部34を備え、これによってボールジョイント31におけるボール33の対応部分を形成している。上述したように、ボール33の周りの空洞部34の回転は、図1dから推測されるように、少なくともある角度までは、3つの空間軸の周りで許容される。特に、ボールジョイント31は、水平軸周りに少なくとも30度、特に少なくとも45度の回転を許容することができる。さらに、例えば、図1eのB-Bに示されているような垂直軸回りの回転は、ボールジョイント31によって全く制限されないようにしてもよい。
【0054】
コネクタ3の上部は、上述のようにクランプ32を備える。図1dの切断面に示されているように、クランプ32は、枢動ジョイント36と、クランプ32を閉じるためのネジ37とを備えている。このようにして、GPR装置のハンドルを取り外し可能に保持するためのスルーホール35が形成される。堅牢性の観点から、コネクタは金属製、特にアルミニウム製とすることができる。
【0055】
他の実施形態において、コネクタ3は、GPR装置2、特にハンドル23に固定され、ロボット1に取り外し可能に接続することができる。原則として、コネクタ3は、ボールジョイント31の代わりに任意の種類の可撓性要素を備えていてもよいし、可撓性要素を全く備えていなくてもよい。シンプルな実施形態においては、GPR装置2は、コネクタ3として機能する牽引ロープによってロボット1に接続することができる。
【0056】
さらに、ロボット1へのコネクタ3の取り付け位置は、原則として、図1a~図1cとは異なっていてもよい。例えば本体14の上面側などの高い取り付け位置は、例えば地表面に障害物がある場合などに、より良好な操縦性が得られるという利点がある。しかしながら、例えば、建設現場のような高さ制限のある調査エリアでは、GPRシステムの全高を低くするために、例えば、本体14の下側や、GPR装置2に対向する裏側のような横側の低い取り付け位置が望ましい場合がある。
【0057】
図2は、GPRシステムの他の実施形態を示している。このシステムも、自律型ロボット4と、コネクタ6によって相互接続可能なGPR装置5とを備える。この実施形態においては、GPR装置5は、図1a~図1cに関して説明したものとは異なるタイプのものであってもよい。特に、GPR装置5は、やはりGPRアンテナ51を備えた独立型装置であってもよく、この装置は、例えば調査経路に沿って運ばれるなどして調査経路に沿って移動されることによってGPR調査を実施するように設定されており、換言すれば、ハンドヘルド型のGPR装置である。このようなGPR装置5は、図2に描かれているように、ロボット4に直接取り付けることができる。換言すれば、ロボット4、特にコネクタ6は、動作位置において、GPR装置5の重量の大部分、例えば少なくとも50%、80%、あるいは100%を支える。
【0058】
図2に示すコネクタ6は、ロボット4に対して6自由度でGPR装置5を動かすように設定された2つのアーム要素62,64を有するアームを備える。これは、アームアクチュエータ61,63,65によって実現され、これらのアクチュエータは、1軸または2軸を中心に回転および/または揺動可能であり、特にロボット制御ユニットによって能動的に制御される。これは、GPRアンテナ51を、例えば壁や天井のような傾斜に関係なく、任意の地表面に向けて方向付け、また、例えば良好なカップリングを達成するためや、例えば地表面が粗い場合にGPR装置5の機械的損傷を防ぐために、地表面に対するGPR装置5の距離を変更するのに有用である。こうして、取得したGPRデータの品質が向上する。
【0059】
原則として、自律型ロボットとGPR装置の両方は、独立型装置、即ち、もう一方の装置から独立してそれぞれのタスクを実行するように設定されていてもよい。このような状況は、図3のブロック図に示されている。自律型GPRシステムは、自律型ロボット7とGPR装置8を備える。ロボット7は、ロボット7に関する全てのプロセスを制御するように構成されたロボット制御ユニット71を備え、特にロボット7の自律的な移動を制御するように構成されている。GPR装置8は、GPR装置8に関する全てのプロセスを制御するように構成されたGPR制御ユニット81を備え、特に、GPRアンテナ82によってGPRデータを取得することを制御するように構成されている。GNSSアンテナ83、またはその他の測位システムがGPR装置8に取り付けられ、GPR装置8の位置を決定するように構成されている。GPR制御ユニット81は、GNSSアンテナ83から位置データを受信し、対応するGPRデータに関連付ける。このような実施形態では、GPR装置の位置が直接測定される。
【0060】
あるいは、GNSSアンテナ83、または他の測位システムを代わりにロボット7に取り付けてもよいし、ロボット7の内部測位システム(例えば加速度計および/または磁力計を含む)からの位置データを使用してもよい。この場合、ロボット7とGPR装置8との間の距離、例えば2つの装置間のコネクタによって固定される距離、および調査経路に沿って移動するときのGPRシステムの向きを考慮することが好ましい。向きは、例えばロボットの磁力計によって測定されたロボット7の向きと、GPR装置8がロボット7の後方で牽引されているという仮定から推測することができる。したがって、ロボット7の位置は、ロボット7の向きとともに、GPR装置8の位置を示すデータとして使用することができる。
【0061】
他の実施形態において、GPRシステムは、図4に示されているように、少なくとも部分的に、マスタ-スレーブ構成で動作することができる。自律型ロボット9は、ロボット9に関する全てのプロセスを制御するように構成されたロボット制御ユニット91を再び備えており、特にロボット9の自律的な移動を制御するように構成されている。ロボット制御ユニット91は、さらに、図示のようにロボット9に取り付けられたGNSS受信機93、またはその他の測位システム、あるいはGPRアンテナ102を備えたGPR装置10から位置データを受信することができる。図3の実施形態とは対照的に、ロボット制御ユニット91は、GPR装置10に関するプロセスの少なくとも一部を制御するように構成されている。したがって、ロボット制御ユニット91は、例えば、GPRアンテナ102によってGPRデータを取得することを制御するように構成されていてもよい。このように、GPR装置10は、それ自身のGPR制御ユニット(図4には示されていない)を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0062】
原則として、図3および図4などの自律型ロボットは、脚部付きロボットではなく、車輪またはチェーンを備えている場合がある。これにより、GPR調査が実施される地表面によっては、より効率的な、例えば、より高速な、あるいは、より少ないエネルギー消費で移動することができる。
【0063】
さらに一般的なケースとして、自律型ロボットは、GPR装置を運搬または牽引するように構成された空中ドローンであってもよい。しかしながら、ペイロード(GPR装置の可能な最大重量)および地上までの距離の点で厳しい制限が生じるため、ほとんどの用途では、ロボットは空中を飛行しないことが好ましい。特に、陸上ロボットは、GPRアンテナと地表面との距離が小さいため、レーダー波の地中へのカップリングが良く、空中ロボットよりも高いデータ品質でGPRデータを取得するのに適している場合がある。
【0064】
図5は、地下のGPR調査を自律的に実施する方法の一実施形態のフロー図である。この方法は、特に、上述したGPRシステムのいずれかによって実施することができる。
【0065】
ステップS1において、GPR装置は、特にコネクタによって自律型ロボットに機械的に接続される。ステップS1は任意であり、GPR装置とロボットが既に相互接続されている場合(例えば、以前のGPR調査の後)には省略することができる。
【0066】
ステップS2において、任意選択的に、調査ジオメトリが受信される。調査ジオメトリは、特に、調査エリア、即ち、GPR調査が実施されるエリアを含んでよく、例えば、そのエリアの大きさ、および、任意選択的にそのエリアの形状によって定義される。シンプルなケースでは、調査ジオメトリは所定の調査経路を含む。調査ジオメトリは、好ましくはロボット制御ユニットに入力され、ロボット制御ユニットは、調査ジオメトリに従ってロボットの移動を開始するように構成される。他の実施形態においては、調査ジオメトリは、上述したように、例えばロボットのセンサによって測定された境界線の位置を含む。
【0067】
ステップS3において、調査経路が調査ジオメトリに定義される。例を図6a、図6bに示し、以下に説明する。
【0068】
ステップS4において、ロボットを自律的に調査経路に沿って移動させる。ロボットとGPR装置は機械的に接続されているため、ロボットはGPR装置の位置を制御する。
【0069】
ステップS5において、GPR装置は地下にレーダー波を送信し、そのエコーをGPR装置の位置を示す位置データとともにGPRデータとして記録する。位置データの例については、例えば、図3および図4の文脈で上述した。GPRデータは、好ましくは外部機器に、特にリアルタイムで送信され、保存されるとともに、任意選択的に外部機器(例えば、iPad(登録商標))で処理され、表示される。
【0070】
任意のステップS6では、GPRデータを記録した後、GPR装置を自律型ロボットから切り離すことができる。このように、ロボットとGPR装置を独立型装置として使用することもできるし、GPRシステムを使って自律的にさらなるGPR調査を行うこともできる。
【0071】
図6aおよび図6bは、上記方法のステップS2およびS3の実施形態を概略的に示している。図6aは、ステップS2で受信される調査ジオメトリ、即ち、GPRシステムの移動を制御するためにロボット制御ユニットが必要とするデータを示している。この場合、調査ジオメトリは、形状および寸法で与えられる調査エリアSa、調査経路に沿った方向の第1の測定間隔Ms1、および調査経路を横切る方向の第2の測定間隔Ms2を含む。
【0072】
次に、システム、特にロボット制御ユニットは、入力された調査ジオメトリに基づいて、例えば最適化問題を解くことによって、特に調査経路の長さ、または、調査経路の平均曲率を最小化することによって、調査経路を自動的に生成する。これは図5のステップS3に相当する。
【0073】
図6bは、生成された調査経路Sp0の一例を示している。図5のステップS4において、ロボットは調査経路Sp0に沿って自律的に移動させられる。しかしながら、調査経路Sp0には、木、岩、柱などの障害物Obが含まれている可能性があり、それは入力された調査ジオメトリの一部ではない。このような障害物Obは、ロボットの自律能力により、説明したGPRシステムには問題とならない。調査経路をたどる際、ロボットは、例えばカメラや近接センサなどのセンサを用いて、周囲に障害物がないかチェックする。障害物Obを検出すると、ロボットがたどる実際の調査経路Spが調整され、例えば、障害物Obの周囲を逸脱し、その後、最初に生成された調査経路Sp0に戻る。
【0074】
上記から明らかなように、このような自律型GPRシステムおよび自律的にGPRデータを取得する方法は、用途の点で汎用性があり、様々な調査ジオメトリおよび地表面の特性、例えば、現場または建物、橋、道路、沖合の石油プラットフォームなどの人工構造物の上や、その中において適応可能である。また、このようなシステムおよび方法は効率的であり、特にオペレータ側の時間を節約し、信頼性の高い位置データを有する良質なGPRデータを提供する。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
【国際調査報告】