IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サバント システムズ インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-フレキシブルな負荷管理システム 図1
  • 特表-フレキシブルな負荷管理システム 図2
  • 特表-フレキシブルな負荷管理システム 図3
  • 特表-フレキシブルな負荷管理システム 図4
  • 特表-フレキシブルな負荷管理システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-20
(54)【発明の名称】フレキシブルな負荷管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240613BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20240613BHJP
   H02J 9/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J13/00 301A
H02J3/14 130
H02J9/00 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575639
(86)(22)【出願日】2022-06-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022032286
(87)【国際公開番号】W WO2022260973
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】17/343,122
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520268997
【氏名又は名称】サバント システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Savant Systems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】マドンナ,ロバート,ピー
(72)【発明者】
【氏名】ディロン,ウィリアム,エイチ
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン,ダニエル,エイチ
(72)【発明者】
【氏名】デメオ,アンナ,イー
(72)【発明者】
【氏名】ウィギンズ,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】マドンナ,ニコール
【テーマコード(参考)】
5G015
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G015GA11
5G015HA11
5G015JA48
5G015JA52
5G064AC06
5G064AC09
5G064CB11
5G064CB21
5G064DA05
5G066HB01
5G066HB09
5G066JA02
5G066JA03
5G066JB03
5G066KD01
(57)【要約】
【課題】施設の電力消費を状況に応じて監視及び管理するフレキシブルな負荷管理(FLM)システム及び技術を提供すること。
【解決手段】フレキシブルな負荷管理(FLM)システム及び技術は、施設の電力消費を状況に応じて監視及び管理する。FLMシステムは、回路遮断器をコンパニオンモジュール(すなわち、インテリジェントコントローラ)と組み合わせて使用して、時間帯、季節ごとに、あるいは動的に施設内の負荷の優先順位付け配列を変化させる仮想重要負荷パネル(vCLP)を含む。vCLPは、施設内の負荷の優先順位の列挙(すなわち、優先順位付け)である。負荷は十分に重要であると考えられ、したがってローカル電源によって保護される。vCLPは、優先順位付けされた負荷に対する瞬間的需要に応じて、ユーザーがリアルタイムで動的に設定可能である。瞬間的需要を使用して、いつでも電源投入可能な負荷に関連する分岐回路の数が決定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気パネルに接続された1つ以上の分岐回路から負荷データを収集し、各分岐回路が、関連モジュールによって監視されており、前記関連モジュールが、各自の分岐回路上の負荷に応答して各自のブレーカの有効化及び無効化の何れか一方を行うように構成されており、
電力の予備閾値に基づいて、前記電気パネルへの電力のシステム容量の割合として予備容量を決定し、
前記システム容量から前記負荷データを差し引くことにより、使用可能な電力容量を計算し、
前記各自の分岐回路上の負荷の増加により、前記使用可能な電力容量が前記予備容量を下回ったことに応答して、前記各自のブレーカを無効化するために、第1のモジュール群を更新すること
を含む、方法。
【請求項2】
無効化するために、第2のモジュール群を更新することをさらに含み、
前記第2のモジュール群は、前記第1のモジュール群よりも低い優先順位を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のモジュール群の各自の分岐回路上の負荷は、既知の最大消費電力を有する所定の電力プロファイルを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のモジュール群の各自の分岐回路上の負荷は、所定の電力プロファイルを有しない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記使用可能な電力容量が前記予備容量を超えて増加することに応答して、有効化するために、第2のモジュール群を更新することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記使用可能な電力容量が前記予備容量未満に低下したことに応答して、有効化を維持するために、第2のモジュール群を更新することをさらに含み、
前記第2のモジュール群は、前記第1のモジュール群よりも高い優先順位を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のモジュール群を更新することが、少なくとも1秒に1回行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
公益事業体からの停電に応答して、ローカル電源から順番に有効化するように前記モジュールを構成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記使用可能な電力容量を計算する前に、前記負荷データを平滑化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記決定された予備容量は、前記システム容量の少なくとも5パーセントである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上のモジュールに結合されたプロセッサを有するエネルギーモニタを含み、各モジュールが電気パネルの分岐回路を監視しており、各モジュールが各自の分岐回路上の負荷に応答して各自のブレーカの有効化及び無効化の何れか一方を行うように構成されている装置であって、前記プロセッサが、
前記モジュールから負荷データを収集し、
電力の予備閾値に基づいて、前記電気パネルへの電力のシステム容量の割合として予備容量を決定し、
前記システム容量から前記負荷データを差し引くことにより、使用可能な電力容量を計算し、
前記各自の分岐回路上の負荷の増加により、前記使用可能な電力容量が前記予備容量を下回ったことに応答して、前記各自のブレーカを無効化するために、第1のモジュール群を更新する
ように構成されている、装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、無効化するために、第2のモジュール群を更新するようにさらに構成され、
前記第2のモジュール群は、前記第1のモジュール群よりも低い優先順位を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第2のモジュール群の各自の分岐回路上の負荷は、既知の最大消費電力を有する所定の電力プロファイルを有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のモジュール群の各自の分岐回路上の負荷は、所定の電力プロファイルを有しない、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記使用可能な電力容量が前記予備容量を超えて増加することに応答して、有効化するために、第2のモジュール群を更新するようにさらに構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記使用可能な電力容量が前記予備容量未満に低下したことに応答して、有効化を維持するために、前記第2のモジュール群を更新するようにさらに構成され、
前記第2のモジュール群は、前記第1のモジュール群よりも高い優先順位を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のモジュール群を更新することが、少なくとも1秒に1回行われる、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、公益事業体からの停電に応答して、ローカル電源から連続的に有効化するように前記モジュールを構成するようにさらに構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記使用可能な電力容量を計算する前に、前記負荷データを平滑化することをさらに含む、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
プロセッサ上で実行するように構成されたプログラム命令を有する非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって、前記プログラム命令が、
電気パネルに接続された1つ以上の分岐回路から負荷データを収集し、各分岐回路が、関連モジュールによって監視されており、前記関連モジュールが、各自の分岐回路上の負荷に応答して各自のブレーカの有効化及び無効化の何れか一方を行うように構成されており、
電力の予備閾値に基づいて、前記電気パネルへの電力のシステム容量の割合として予備容量を決定し、
前記システム容量から前記負荷データを差し引くことにより、使用可能な電力容量を計算し、
前記各自の分岐回路上の負荷の増加により、前記使用可能な電力容量が前記予備容量を下回ったことに応答して、前記各自のブレーカを無効化するために、第1のモジュール群を更新する
ように構成されている、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示は、概して電力の分野に関し、より具体的には、施設内の負荷の電力消費を柔軟に管理するためのシステム及び技術に関する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
発電機やバッテリーインバータのような電力システムソースは、多くの場合、様々なタイプ及びサイズの施設の顧客又はユーザーによって、商業的にローカルに配置される。ローカル電源の総電力容量は、家庭や事業所のような施設が消費する可能性がある電力(エネルギー)量よりも少ない(小さい)可能性が高い。そのため、施設が消費する電力量が、ローカル電源から使用可能な電力量よりも少なくなるようにする必要がある。
【0003】
ローカル電源又はフェイルオーバー電源を有する施設にとって使用可能な従来の負荷管理ソリューションは、通常、所定の優先順位にしたがって電源投入(オンに)され、配置される装置を含む。しかしながら、ローカル電源の容量が過大(オーバーサブスクライブ)になると、負荷管理システムは、逆の優先順位で装置への電力供給を終了(遮断)し始めることがあり、これが電力不足の際に、柔軟性を制限する。このような「静的な」負荷管理の問題点は、負荷の分岐回路が各自の回路遮断器にハードワイヤ接続されており、負荷の負荷管理優先順位が施設に対して固定されているため、ユーザーは設定された優先順位に拘束されたままになることである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本明細書における実施形態の上記及びさらなる利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより、よりよく理解され得る。添付の図面において、同様の参照符号は、同一の要素又は機能的に類似の要素を示している。
図1】建物内のフレキシブルな負荷管理(FLM)システムの例示的配置を示す図である。
図2】FLMシステムの様々な構成要素間の制御パスのタイミング図である。
図3】FLMシステム内の負荷の優先順位付けを示すブロック図である。
図4】FLMシステム内の負荷の優先順位付けを実施するための単純化された手順を示す図である。
図5】負荷の優先順位付けを提示するためのワイヤーフレームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
概要
本明細書に記載される種々の実施形態は、施設の電力消費を状況に応じて監視及び管理するように構成されたフレキシブルな負荷管理(FLM)システム及び技術に向けられている。FLMシステム及び技術は、発電機やバッテリーインバータのようなローカル電源から使用可能な電力量に対し、かかる電力消費を閾値未満に維持するように構成される。その目的のために、FLMシステムは、回路遮断器をコンパニオンモジュール(すなわち、インテリジェントコントローラ)と組み合わせて使用して、時間帯、季節ごとに、あるいは動的に負荷の優先順位付けを変化させる仮想重要負荷パネル(vCLP:virtual Critical Load Panel)を含む。例えば、vCLPは、施設内の負荷の優先順位の列挙(すなわち、優先順位付け)である。負荷は十分に重要であると考えられ、したがってローカル電源によって保護される。特筆すべき点として、vCLPは、優先順位付けされた負荷に対する瞬間的需要に応じて、ユーザーがリアルタイムで動的に設定可能である。すなわち、いつでも電源投入可能な負荷に関連する分岐回路の数は、瞬間的需要によって決定される。例えば、回路が比較的少量の電力しか消費しない場合、少数の回路が比較的多量の電力を消費する場合に比べて、より多くの回路に電力が供給される可能性がある。
【0006】
一実施形態において、vCLPは、負荷の設定である。ユーザーは、vCLPにしたがって電力の供給を受ける負荷(及び、電力の供給を受けない負荷)を認識して、vCLPを切り替えることができる。しかしながら、動作中にユーザーが特定のvCLP設定を変更した場合、モバイルアプリケーション(例えば、モバイルデバイス上で実行される)は、ユーザーがその変更を続けるか否かを決定できるように、警告又は通知を発する場合がある。例えば、ある時間帯(例えば、夕方モード)に設定されたvCLPが、ケーブルテレビサービスやエンターテイメントサービスのようなサービスの負荷を優先すると仮定する。本明細書で使用されるように、サービスとは、サービスを実施する(すなわち、有効化する)ために必要なコンポーネントの集合体である(例えば、ケーブルテレビサービスは、ケーブルボックス、テレビ、オーディオ(サラウンドサウンド)システムを含み、サービスを実施するにはこれらが集合的に必要である)。ここでユーザーが、洗濯機や乾燥機のようなコンポーネントを含むランドリーサービスを優先するvCLPに切り替えたと仮定する。これに応答して、vCLPは、モバイルアプリケーションによるユーザーへの警告又は通知の有無に関わらず、ランドリーサービスの優先順位付けされた負荷を、次の(i)~(v)にしたがってエンターテイメントサービスの除外に移行することができる。すなわち、(i)タイムスケジュール(例えば、1日の時間帯、1年の時間帯など)、(ii)サービス/負荷のクラス又はタイプ(例えば、既知の最大消費電力のプロファイルを有する負荷や、所定の電力プロファイルを持たない動的負荷など)、(iii)特定のサービス/負荷、(iv)警告及び許可があったこと(例えば、サービス及び負荷を無効化/有効化するには、ユーザーに警告が与えられ、許可が与えられなければならない)、及び(v)許可がないこと(例えば、ユーザーに警告が与えられたが、ユーザーがサービス及び負荷の有効化を優先できないこと)である。特筆すべき点は、負荷の消費及び対応する有効化/無効化の適用は、負荷の集合体のようなサービスにしたがって編成され、負荷は、分岐回路全体(例えば、洗濯機)及び/又は個々のコンセント(例えば、テレビ)によってグループ化されてもよい点である。
【0007】
説明
図1は、事業所や家庭のような施設内のフレキシブルな負荷管理(FLM:Flexible Load Management)システム100の例示的配置を示している。本明細書に記載されるように、FLMシステム100は、1つ以上の仮想重要負荷パネル(vCLP)を使用する。各仮想重要負荷パネル(vCLP)は、フェイルオーバーとして、及び/又は電力の利用可能性を補うために、施設のローカル電源102による保護を保証するのに十分に重要であると考えられる負荷の優先順位付けを提供する。本明細書に記載される技術によれば、FLMシステム100は、回路遮断器又はブレーカ122をコンパニオンモジュール124(すなわち、インテリジェントコントローラ)と組み合わせて使用して、時間帯、季節ごとに、あるいは動的に施設内の負荷の優先順位付けを変化させる。
【0008】
1つ以上の実施形態では、施設のローカル電源102は、発電機又はバッテリーインバータであってよく、後者は、バッテリーからの直流(DC)を高電圧の交流(AC)に変換する。例えば、ローカル電源102は、多数の異なるタイプの負荷に電力を供給するのに十分な、例えば5キロワット(kW)から30kWの範囲の実質的電力を生成するように構成される。常開(NO)リレー104は、FLMシステム100が安全な状態(すなわち、始動時に電源が過負荷にならないことが確実となるくらいに、接続されているコンパニオンモジュールの数が十分に少ない状態)にならない限り、またなるまで、ローカル電源102がオンにならないようにする抑制装置として機能する。この後者の条件が確保されるのであれば、NOリレー104の使用は必要ない場合があることに留意されたい。
【0009】
ホスト106は、FLM100の電力消費及び/又は他の高レベル制御機能を管理するように構成され、例えば、どの負荷を有効化(給電)するかを決定する。この目的のために、ホスト106は、ソフトウェアを実行し、メモリ(例えば、永続性メモリ又は揮発性メモリ)に保持されたデータ構造を操作するように構成されたプロセッサを含む場合がある。メモリは、それらのソフトウェア及びデータ構造を記憶するための場所を有する。データ構造は状態センターを含む場合がある。状態センターは、FLMシステム100内の種々のコンポーネント/デバイスの状態を使用して、コンポーネント/デバイスの設定を記述するとともに、他のタイプの情報を管理することができる。ホスト106は、これらのコンポーネント/デバイスとの接続及び通信に必要な機械的、電気的及び信号伝達回路を含むインターフェースをさらに含む場合がある。一実施形態では、ホスト106は、Savant Systems,LLCから市販されているホストを使用して実施されてもよい。
【0010】
パネルブリッジコントローラ(PBC)108は、イーサネット(登録商標)のようなローカルエリアネットワーク(LAN)110を介してホスト106に接続する。PBC108は、ホスト106からLAN110を介して受信した種々のコマンドを、ブルートゥース(登録商標)のような無線メッセージングプロトコルにしたがって、無線LAN(WLAN)112を介して負荷センター120に提供されるメッセージに変換するように構成されている。ホスト106からLAN110及びWLAN112を介して受信されたコマンドは、負荷センター120のコンパニオンモジュール124を制御するように構成されている。
【0011】
負荷センター120は1つ以上の電気パネルを含む場合があり、通常動作中に、例えば、公益事業体の送電網(グリッド)140から、200アンペア(amp)サービスが1つ以上の電気パネルに提供される。一実施形態において、負荷センター120は、公益事業体の送電網140から主電力給電線132及び自動移行スイッチ(ATS:Automatic Transfer Switch)130を介し、給電線136を介して電力を受け取り、その電力(すなわち電流)を、電気パネルに収容された回路遮断器122を介して施設の種々の分岐回路に分配するように構成されている。本明細書に記載されるFLM技術によれば、電気パネルは、各自の回路遮断器の有効化/無効化を制御するために、種々の回路遮断器122と(例えば、直列に)ハードワイヤ接続されたコンパニオンモジュール124を含むことによって、vCLP125として実現される。例えば、コンパニオンモジュール124及び関連回路遮断器122は、負荷センター120内の別々の電気ボックス(例えば、主電気パネル及びコンパニオンモジュールパネル)に配置されてもよい。
【0012】
一実施形態において、ATS130は、公益事業体の送電網140からの電力がダウンした(すなわち、停電又は利用不能になった)ときに、公益事業体の送電網140の主電力給電線132から自動的に切断し、ローカル電源102のローカル電力給電線134に接続するように構成されたマイクロプロセッサベースのコントローラを有するインテリジェント電力切替え装置である。例えば、ATS130は、(例えば、NOリレー104を介して)ローカル電源102と通信する低電圧接点135を含み、公益事業体の送電網140からの電力の供給がないときに、ローカル電源102の起動を開始(トリガ)するように構成される。例えば、ATS130は、主電力給電線132に接続されたコイルをさらに含み、当該コイルは、主電力給電線132上に電力が存在するときは接点135を閉状態に維持する。公益事業体の送電網140からの電力の供給が低下(停止)すると、コイルは非通電状態になり、接点135を開いてローカル電源102を起動する。すると、電力はローカル電力給電線134を介し、ATS130を介し、さらに給電線136を介して、負荷センター120に供給される。
【0013】
送電網電圧変成器(VT:Voltage Transformer)142は、電圧監視分岐回路138を介して公益事業体の送電網140の電圧を監視し、ローカル電源102をオンに(有効化)しても安全であるように、電圧が十分に低下するタイミング(例えば、ゼロクロス付近)を判定するように構成される。一実施形態では、送電網電圧変成器(VT)142は、公益事業体のライン電圧(例えば240V)をデジタルサンプリングに適した低電圧に変換し、絶縁する。パネルVT146は、負荷センター120に供給される電圧を監視するように構成された電圧変成器である。一実施形態において、FLMシステム100は、負荷センター120に供給される公益事業体の送電網140からの電流を監視するように構成された1つ以上の電流変成器(CT:Current Transformer)をさらに含む場合がある。
【0014】
スマートエネルギーモニタ(SEM)144は、変成器からの電圧及び電流、ならびに施設内の他の負荷(エアコンなど)からの電圧及び電流を監視(測定)するように構成されている。例えば、SEM144は、VT/CTからの電圧/電流を収集しサンプリングするアナログ/デジタル(A-D)変換器として実現される。電圧及び電流は、SEM144によって高データレート(例えば、1kHz)でサンプリングされることが好ましい。SEM144は、種々の電力管理計算のために、例えば、力率、皮相電力/実電力などに対する種々の演算(すなわち、計算)を実施する。その後、サンプリングされたデータは、制御信号線及びデータ信号線148を介してホスト108に提供され、本明細書に記載されるFLM技術による、FLMシステムの電力容量レベルの決定に使用される。
【0015】
図2は、FLMシステムの種々のコンポーネント間の制御パス200のタイミング図である。本技術によれば、ホスト106が所定の時間間隔、例えば5秒以内に公益事業体の送電網140からの電力の喪失を検知し、それに応答することができれば、FLMシステム100の信頼できる性能を実現することができる。したがって、ATS130は、送電網電力の喪失を検知した後、ローカル電源102の起動を開始する前に、所定の時間間隔だけ待つように構成される。所定の時間間隔の間、ホスト106は、ローカル電源102が過負荷にならないようにするため、例えば負荷を(一度に1つずつ)直列に接続するように、さらに、負荷の分岐回路上の負荷の突入電流を考慮するように、すなわち、あらゆる突入電流ピークを時間的に平滑化又は拡散するように、負荷センター120のコンパニオンモジュール124を構成する。
【0016】
図3は、FLMシステム100内の負荷の優先順位付けを示すブロック図である。一実施形態において、FLMシステム内の負荷には、最大(max)電力負荷310(すなわち、既知の電力プロファイル又は消費量を有する)と、動的負荷350(すなわち、未知の若しくは予測不可能な電力プロファイルを有する)との2つの種類(すなわち、クラス)がある。最大電力負荷310は、当該負荷310によって消費される可能性がある電力の最大量が既知の量である。例えば、最大電力負荷310は、排水ポンプ、暖房炉、及び冷蔵庫のような主要電化製品であってよい。最大電力負荷310はそれぞれ、専用コンセント(すなわち、負荷センターの専用分岐回路)に接続される。例えば、排水ポンプは専用プラグ312に接続され、暖房炉は専用プラグ314に接続され、冷蔵庫は専用プラグ316に接続される場合がある。最大電力負荷310は通常、施設内の固定負荷であり、これらの負荷が変化する可能性はわずかである。そのため、FLMシステムの設置時に、最大電力負荷310の電力消費をプロファイルとして取得し、設定することができる。さらに、これらの負荷310は、施設の運用及び/又は安全性にとって重要(すなわち、「恒久的重要負荷」)であると考えられるため、常に電力が供給される。
【0017】
対照的に、動的負荷350は、予測不可能に変化する可能性があり、未知の電力プロファイルを有している。そのため、動的負荷350は、そのような負荷の変化を監視及び管理するように構成された関連コンパニオンモジュール124を有している。動的負荷350には、例えば、ヘアドライヤー、電話充電器、小型暖房機、及び照明が含まれ得る。これらの動的負荷350の各々は、負荷センターの分岐回路に接続された浴室プラグ352、居間プラグ354、寝室プラグ356、及び照明プラグ358のような通常プラグに接続され、関連コンパニオンモジュールによって監視される場合がある。ユーザーは、任意の時点で動的負荷350のうちの1つ以上を接続する可能性があるため、場合によっては、例えば、ローカル電源102が施設に供給する電力よりも多くの電力が消費されることがあり、それによって通常のプラグに対応する分岐回路に過剰な負荷をかける可能性がある。動的負荷350は、施設の運用にとって重要であると考えられるが、これらは一般に、施設の安全性にとって重要であるとは考えられてはいない。そのため、動的負荷350は、優先順位付け配列の対象とされており、その結果、動的負荷350の電源は、本明細書に記載されるようにオン/オフされる場合がある。
【0018】
例えば、FLMシステム100は、施設のシステム全体の電力容量300内で2つの異なるタイプの負荷を考慮するように構成され、同時に、そのような考慮により、システムは、余裕を見て予備電力容量370を保存しておくことができる。本明細書で使用されるように、予備電力容量370とは、ユーザーが動的負荷350を電気的に接続したときに、その動的負荷350によってシステム容量300のうちの相当な電力が消費されるが、遮断器122への電気の流れが遮断される(すなわち、失われる)ことはないときに保存される余分な電力容量である。要するに、予備容量によれば、プロファイルを持たない負荷の予測不可能な電力消費に対し、余裕を確保することができる。FLMシステム100は、予備容量条件が維持されることを保証するために、電源がオン(及びオフ)される様々な負荷を常に監視及び管理する。
【0019】
一実施形態において、予備容量条件は、予備閾値に基づいて、システム全体の電力容量300に対する予備容量370の割合として決定(例えば、計算)されてもよく、例えば、少なくとも5%又は約2kWとして決定(例えば、計算)される場合がある。例えば、公称120Vの定格を有する20アンペアの回路遮断器122は、約2kWの電力を供給できる可能性があり、約2kWが閾値として表される予備容量として望ましいと仮定する。したがって、120Vで200アンペアのサービスパネル(約24kWを供給)の場合、2kWの予備閾値に基づいて割合として表される予備容量は、8.3%(2kW÷24kW)になるであろう。一般的なヘアドライヤー(動的負荷350)は2kWを消費する可能性があるため、2kWの予備容量370は、ユーザーが浴室プラグ356にヘアドライヤーを挿入して使用するのに十分であり、ローカル電源102に過剰負荷を与えないはずである。ただし、他の実施形態では、特に予測不可能な消費電力を測定する能力が低い、古い(精度の低い)モジュール、コントローラ、及び/又はモニターを有するFLMシステムの場合、予備容量条件は30%にまで増加する可能性があることに留意すべきである。
【0020】
本技術によれば、負荷に接続されたプラグの優先順位の順番列挙(例えば、最も高いものから最も低いものへの列挙)による、それらの負荷を優先順位付けする規則によって、フレキシブルな負荷管理を実施することができる。例えば、(排水ポンプに接続された)専用プラグ312は最も高い優先順位#1として列挙され、(暖房炉に接続された)専用プラグ314は優先順位#3として列挙され、(冷蔵庫に接続された)専用プラグ316は優先順位#5として列挙される場合がある。さらに、照明プラグ358は優先順位#4として列挙され、寝室プラグ356は優先順位#6として列挙され、居間プラグ354は優先順位#7として列挙され、浴室プラグ352は最低の優先順位#8として列挙される場合がある。
【0021】
一方、優先順位に基づく負荷の有効化/無効化により、種々の動的負荷を、電力プールとして管理することができる。例えば、ユーザーが寝室プラグ356(優先順位#6)に動的負荷(小型暖房機など)を挿入し、その負荷によって消費される電力が実質的に(例えば1kWだけ)増加したと仮定する。消費電力の増加を検出すると、ホスト106は、1つ以上のコンパニオンモジュール124に命令して、浴室プラグ352(優先順位#8)、及び必要に応じて居間プラグ354(優先順位#7)のような優先順位の低いプラグに接続された負荷への電力供給の遮断を開始させることができる。特筆すべき点は、FLM技術によれば、予備容量条件が再び満たされるまで、優先順位の低いプラグに接続された負荷への電力供給の停止を続けることができる点である。あるいは、優先順位に基づいて、消費増加の原因になっている負荷を無効化してもよい。例えば、ユーザーが小型暖房機を浴室プラグ352(優先順位#8)に挿入したところ、動的負荷によって消費される電力が予備容量370に突入したと仮定する。本技術によれば、ホスト106は、プラグ352に関連するコンパニオンモジュール124に命令して、関連分岐回路への電力供給を遮断させることができる。
【0022】
FLM技術によれば、ホスト106は、電力供給を受ける複数の負荷(すなわち、各自のプラグ)に予備容量370を分配することによってシステム全体の容量300を設定することができ、動的負荷350により消費される電力が所定の量だけ増加した場合、コンパニオンモジュール124に命令して、関連分岐回路への電力供給を遮断させることができる。すなわち、電力管理は、動的負荷のプール全体についての電力消費の増加によってのみ実行されるのではなく、部分的に、分岐回路ごとの相対的な電力消費の増加にしたがって実行されてもよい。電力管理機能(例えば、短時間電力スパイク)によっては、分岐回路ごとにリアルタイムで動作するように、複数のコンパニオンモジュールに分散されてもよい。このように、分散構成によれば、予期しない高電力ピークが発生した場合や、残りの予備容量が限られている場合でも、予備容量370を確実に、保護及び維持することができる。さらに、このような負荷管理の負担をコンパニオンモジュール124に移すことで、FLMシステム100は、動的負荷の突然の変化に、非常に短い(速い)時間(例えば数ミリ秒)で応答することができる。対照的に、負荷管理の集中構成では、例えば、コンパニオンモジュールによる電力測定、ホストへの測定値の伝達、ホストによる決定の実施、及び、コンパニオンモジュールへの決定の送信が必要になる場合がある。そのため、突然の負荷の変化に対する応答時間(例えば、1~2秒)は、大幅に増加する可能性がある。このように、負荷の有効化/無効化のための電力管理は、ホスト106によって発動(実施)されても、あるいは、ホストの指示の下でコンパニオンモジュール124によって発動(実施)されてもよく、その際、動的負荷が増加するときの予備電力容量の減少に応答して、分散モードの動作が行われてもよい。
【0023】
図4は、FLMシステム内の負荷の優先順位付けを実施するための単純化された手順を示す図である。一実施形態において、ホスト106は、コンパニオンモジュール124、及びFLMシステム100の他のコンポーネントの設定を提供するために、データ構造(すなわち、状態センター)に関連してソフトウェアを実行することによって、手順400を実施することができる。手順400はボックス402から開始され、ボックス404へ進み、そこで、種々のコンポーネントの電力測定値及び状態(すなわち、負荷データ)をSEM144によって収集し、状態センターの情報として整理する。ボックス406で、ホスト106は、ソフトウェアの電力平滑化アルゴリズムにしたがって負荷データを処理し、負荷データの値を平滑化する。結果として得られた平滑化データ値によれば、負荷の状態が過度に変化しないことが保証され、最大電力負荷がその動作中に恰もオン・オフされているかのように見えることが防止される。ボックス408で、ホスト106は、平滑化データを処理して、FLMシステムの現在使用可能な電力容量を計算する。例えば、そのような処理は、ローカル電源102のシステム容量300から平滑化された負荷データ値を差し引き、その結果(すなわち、デルタ)を予備容量370と比較することを含む場合がある。
【0024】
決定ボックス410では、デルタを調べることにより、負荷状態の変更が必要であるか否かについての決定が実施される。例えば、デルタが負であった場合(予備容量の不足を意味する)、ボックス412で、最も優先順位の低い負荷が切断される場合がある。あるいは、デルタが正であった場合(予備容量が過剰であることを意味する)、ボックス414で、追加の負荷が接続される場合がある。ボックス416で、ホスト106は、処理後の状態を、更新された設定としてコンパニオンモジュール124に送信する。例えば、ホスト106は、SEM144によって監視され提供される状態(データ)を常に計算し、計算されたデータに基づいて、通常は毎秒の速度で、新しい更新された設定をコンパニオンモジュールに提供する。計算結果は、予備容量370の変化として表され、その結果、毎秒ごとに、コンパニオンモジュールの設定のリバランスが行われる。その後、手順はボックス418で終了する。
【0025】
一実施形態では、FLMシステム100に複数のPBCが存在してもよく、各PBC108が、複数のコンパニオンモジュール124のコーディネータ(調整装置)として機能する場合がある。各PBCは、限られた数のコンパニオンモジュール(例えば、80個のモジュール)を管理することができ、施設が限られた数よりも多くのモジュールを有する場合、FLMシステム100に別のPBCが必要になる場合がある。コンパニオンモジュールは、無線プロトコル(例えば、ブルートゥース)のような通信により、一本のアンテナ当たり所定数の物理デバイスに制限される場合があることに留意されたい。予備容量の計算結果は、複数のPBC間で同期され、それによって、複数のPBCに同じ更新された予備容量条件が提供される。
【0026】
図5は、負荷の優先順位付けをユーザーに提示するためのワイヤーフレームを示す図である。ワイヤーフレーム500は、施設が相当数(例えば、200~300)の負荷と複数のvCLP125とを有する場合に、特に有用である。本明細書で使用されるように、vCLPは、施設内の負荷の優先順位の列挙(すなわち、優先順位付け)である。負荷は十分に重要であると考えられ、したがって電力システムによって保護される。特筆すべき点として、vCLPは、優先順位付けされた負荷に対する瞬間的需要に応じて、ユーザーがリアルタイムで動的に設定可能である。重要負荷シーンは、関連コンパニオンモジュールを有するデバイス/コンポーネントのvCLP設定を含むのに対し、シーンは、関連コンパニオンモジュールを有しないデバイス/コンポーネント(サーモスタットなど)をさらに含む。例えばシーンは、施設のデバイス/コンポーネントの状態を定義するのに対し、重要負荷シーンは、施設内のvCLPのコンパニオンモジュールの状態(例えば、オン/オフ)を定義する。基本的に、重要負荷シーンは、重要負荷に関連するコンパニオンモジュールに向けられるのに対し、シーンは、コンパニオンモジュールの有無にかかわらず、すべての負荷に向けられる。
【0027】
1つ以上の実施形態において、重要負荷シーンは、ホストの(ホーム)オートメーションシステムによって生成及び処理されるのに対し、vCLPは、一般に、施設の他のコンポーネントと情報のやりとりや通信をしないコンパニオンモジュール及び/又はコントローラによって生成及び処理される。言い換えれば、コンパニオンモジュールとコントローラは、優先順位付けに基づいてオン/オフ(有効化/無効化)を行うように、仮想的に配線されている(そのように命じられる)。特筆すべき点として、vCLPのコンパニオンモジュールは、モバイルデバイス上で実行されるモバイルアプリケーションにより、ユーザーが設定可能である。ただし、動作中にユーザーが特定のvCLP設定を変更した場合、モバイルアプリケーションは、ユーザーがその変更を続けるか否かを決定できるように、警告又は通知を発することができる。
【0028】
例えば、ワイヤーフレーム500は、vCLP負荷の論理的グループ化(及び並べ替え)をデフォルト重要負荷シーン550として示している。デフォルト重要負荷シーン550は、必要に応じて一緒に電源のオン/オフがなされる種々の負荷(すなわち、動的負荷350)の優先順位付け配列として表されている。シーン550のサブセットは、優先順位付け配列から除外された恒久的重要負荷510(すなわち、最大電力負荷310)を含む。一実施形態において、FLMシステム100は、vCLP負荷をヒューリスティック(発見的手法)に基づいてグループ化し、vCLP負荷の種々の論理的グループを負荷の優先順位リストとして自動的に配列し、例えばモバイルデバイスのようなユーザーインターフェース(UI)を介して、それをユーザーに提示することができる。ユーザーは、モバイルアプリケーションを介したホスト106との情報のやりとりにより、vCLP設定を上書きすることで、負荷の優先順位を再指定することができる。
【0029】
有利なことに、本明細書に記載されるFLMシステム及び技術によれば、施設の電力消費の監視及び管理を柔軟な(状況に応じた)形で行うことが可能になる。その目的のために、FLMシステムは、回路遮断器を種々のコンパニオンモジュール(すなわち、インテリジェントコントローラ)と組み合わせて使用して、時間帯、季節ごとに、あるいは動的に負荷の優先順位付け配列を変更する1つ以上のvCLPを採用している。vCLPのコンパニオンモジュールは、ホストが負荷管理の情報(例えば、動的負荷のような負荷への電力供給を遮断するタイミング)をコンパニオンモジュールとその関連回路遮断器に分散できるようにすることで、施設内で消費される電力の大きな変化に対するレイテンシのばらつきを低減することができる。FLM技術によれば、コンパニオンモジュールに消費電力のパラメータ(例えば、範囲)を設定してもよく、その範囲を超えた場合、コンパニオンモジュールは、関連回路遮断器を介して負荷への電力供給を遮断してもよい。特筆すべき点として、負荷の制限パラメータの範囲を超える電力を検出したことに応答して例えばリレー等によって電力供給を遮断する「ソフト遮断」機能が、各コンパニオンモジュールに組み込まれてもよい。vCLPは、優先順位付けされた負荷に対する瞬間的需要に応じて、ユーザーがリアルタイムで動的に設定可能である。すなわち、いつでも電源投入可能な負荷に関連する分岐回路の数は、瞬間的需要によって決定される。例えば、回路が比較的少量の電力しか消費しない場合、少数の回路が比較的多量の電力を消費する場合に比べて、より多くの回路に電力が供給される可能性がある。
【0030】
施設の電力消費を状況に応じて監視及び管理するように構成された、フレキシブルな負荷管理(FLM)システム及び技術の例示的実施形態を示し、説明してきたが、本明細書に記載された種々の実施形態の思想及び範囲内で、様々な他の改変及び修正が行われてもよいことを理解されたい。例えば、本明細書では、ローカル電源から使用可能な電力量に対し、閾値未満の電力消費を維持することに関して、種々の実施形態を示し、説明してきた。FLMシステムは、コンパニオンモジュールを使用して、時間帯、時期(例えば、季節)ごと、あるいは動的に負荷の優先順位付け配列を変化させる1つ以上のvCLPを含む。しかしながら、広義の実施形態は、そのように限定されず、実際には、施設内の電力供給を受ける機器に基づいて(ホーム)オートメーションシステムのUIを設定する、FLMシステムの「サービス電源」機能を実施してもよい。ただし、FLMシステムをホームオートメーションシステムと組み合わせた場合、ユーザーが要求するサービスを提供するためのコンポーネント(及び、関連分岐回路)を追跡し、それらに自動的に電力を供給することに関して、問題が生じる可能性がある。
【0031】
例えば、ケーブルテレビサービスは、ケーブルボックス、テレビ、及びオーディオ(サラウンドサウンドシステム)のような複数のコンポーネントを含む場合がある。これらは異なる分岐回路上に配置されているが、集合的にそのサービスを提供する。サービスを有効化する(すなわち、すべてのコンポーネントの電源を入れる)ためには、コンポーネントの電源を入れる前に、すべての分岐回路を識別し、それらを有効化する必要がある。特筆すべき点は、負荷の消費及び対応する有効化/無効化の適用は、負荷の集合体のようなサービスにしたがって編成され、負荷は、分岐回路全体(例えば、洗濯機)及び/又は個々のコンセント(例えば、テレビ)によってグループ化されてもよい点である。このように、FLMシステムを使用して、ケーブルテレビサービスを分岐回路にマッピング(対応付け)することができ、サービス有効化の前に確実に分岐回路を有効化することが可能になる。ここで、FLMシステムは、サービスの分岐回路依存関係を含むシーン及びサービスを活用して、サービスを提供するためのvCLPのコンパニオンモジュールを有効化することができる。一実施形態において、サービス及びマッピングは、階層依存マッピングとして編成されたホストベースの「サービス電源」設定を構成することができる。階層依存マッピングでは、シーンがサービスにマッピングされ、そのサービスが1つ以上のコンパニオンモジュール及びそれらに関連する分岐回路にマッピングされる。
【0032】
一実施形態において、vCLPは、モバイルアプリケーションによるユーザーへの警告又は通知の有無に関わらず、優先順位付けされた負荷を次の(i)~(v)にしたがって移行することができる。すなわち、(i)タイムスケジュール(例えば、1日の時間帯、1年の時間帯など)、(ii)サービス/負荷のクラス又はタイプ(例えば、既知の最大消費電力のプロファイルを有する負荷や、所定の電力プロファイルを持たない動的負荷など)、(iii)特定のサービス/負荷、(iv)警告及び許可があったこと(例えば、サービス及び負荷を無効化/有効化するには、ユーザーに警告が与えられ、許可が与えられなければならない)、及び(v)許可がないこと(例えば、ユーザーに警告が与えられたが、ユーザーがサービス及び負荷の有効化を優先できないこと)である。例えば、毎日午後9時に、ランドリーサービスは、エンターテイメントサービスよりも優先されるが、警告が発せられ、ユーザーの許可が必要とされる。しかしながら、1月には、任意の暖房サービス(例えば、施設内のすべての暖房炉)が、許可なく有効化される可能性がある(例えば、警告が発せられる可能性があるが、ユーザーは暖房炉サービスを優先することはできず、そのため、暖房サービスの要求を満たすために、いくつかの現在の負荷がオフされる場合がある。)。
【0033】
上記の説明は、特定の幾つかの実施形態に向けられている。しかしながら、説明した実施形態に対し、その利点の一部又は全部を達成しつつ、他の変形及び修正が行われてもよいことは明らかであろう。例えば、本明細書に記載したコンポーネント及び/又は要素は、コンピュータ上で実行されるプログラム命令を有する有形の(非一時的)コンピュータ読み取り可能媒体(例えば、ディスク、電子メモリ、及び/又はコンパクトディスク)上に符号化されたソフトウェアとして実施されてもよいし、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせとして実施されてもよいことが、明示的に企図されている。したがって、この説明は、例としてのみ解釈されるべきであり、本明細書に記載した種々の実施形態の範囲を何ら限定しようとするものではない。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、本明細書に記載した種々の実施形態の真の思想及び範囲内に入るようなあらゆる変形及び修正をカバーすることにある。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】