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特表2024-522409撮像装置およびフォーカス制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】撮像装置およびフォーカス制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/67 20230101AFI20240614BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20240614BHJP
   H04N 23/45 20230101ALI20240614BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20240614BHJP
   G02B 7/36 20210101ALI20240614BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240614BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20240614BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20240614BHJP
   G02B 3/12 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
H04N23/67
H04N23/54
H04N23/45
G02B7/34
G02B7/36
G02B7/04 Z
G02B7/08 C
G03B19/07
G02B3/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538156
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2022094276
(87)【国際公開番号】W WO2023221141
(87)【国際公開日】2023-11-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】小黒 裕介
【テーマコード(参考)】
2H044
2H054
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H044BF00
2H044BF07
2H044BF10
2H044DC10
2H054BB05
2H054BB07
2H151BA06
2H151BA45
2H151CB22
2H151CB26
2H151CE32
2H151CE33
5C122EA37
5C122EA67
5C122FA18
5C122FC01
5C122FC02
5C122FC06
5C122FD07
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
撮像装置は、第1光学系を有する第1カメラユニットと、第1カメラユニットと同一方向へ向けて配置される第2カメラユニットと、第1カメラユニットおよび第2カメラユニットのフォーカス制御を実行するフォーカス制御部とを備え、第1カメラユニットおよび第2カメラユニットは、画像を形成するための画像信号を出力する通常画素と、通常画素に囲まれて離散的に配置された、焦点を検出するための位相差信号を出力する位相画素とが二次元的に配列された撮像素子をそれぞれ有し、フォーカス制御部は、第1カメラユニットの撮像素子から出力される画像信号を用いて画像を形成する場合に、第2カメラユニットの撮像素子から出力される位相差信号から取得される第2デフォーカス情報を参照して、第1光学系のフォーカス制御を実行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光学系を有する第1カメラユニットと、
前記第1カメラユニットと同一方向へ向けて配置される第2カメラユニットと、
前記第1カメラユニットおよび前記第2カメラユニットのフォーカス制御を実行するフォーカス制御部と
を備え、
前記第1カメラユニットおよび前記第2カメラユニットは、画像を形成するための画像信号を出力する通常画素と、前記通常画素に囲まれて離散的に配置された、焦点を検出するための位相差信号を出力する位相画素とが二次元的に配列された撮像素子をそれぞれ有し、
前記フォーカス制御部は、前記第1カメラユニットの前記撮像素子から出力される前記画像信号を用いて前記画像を形成する場合に、前記第2カメラユニットの前記撮像素子から出力される前記位相差信号から取得される第2デフォーカス情報を参照して、前記第1光学系のフォーカス制御を実行する撮像装置。
【請求項2】
前記フォーカス制御部は、前記第1カメラユニットと前記第2カメラユニットの配置によって定まる基線長に基づいて前記第1光学系のフォーカス制御における合焦領域を決定する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記フォーカス制御部は、第2デフォーカス情報で前記第1光学系のフォーカス制御を支援する必要があると決定する場合に、前記第2デフォーカス情報に基づいて、前記第1光学系のフォーカス制御を実行する請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記フォーカス制御部は、前記第1デフォーカス情報と前記第2デフォーカス情報とをに並行的に取得する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記フォーカス制御部は、前記第1デフォーカス情報と前記第2デフォーカス情報を比較することにより、前記第1光学系のフォーカス制御を実行することが困難であるか否かを判断する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記フォーカス制御部は、前記第2デフォーカス情報を参照して前記第1光学系のフォーカスレンズを駆動した後に、前記第1カメラユニットの前記撮像素子から出力される前記画像信号を用いて算出されるコントラスト情報に基づいて前記フォーカスレンズの位置を修正する請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1光学系は、電気信号に応じてフォーカス可能な液体レンズを含み、
前記フォーカス制御部は、第1デフォーカス情報及び/または第2デフォーカス情報により決定される前記電気信号に基づいて第1光学系を制御してフォーカスする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
第1光学系を有する第1カメラユニットと、前記第1カメラユニットと同一方向へ向けて配置される第2光学系を有する第2カメラユニットとを備え、
前記第1カメラユニットおよび前記第2カメラユニットが、画像を形成するための画像信号を出力する通常画素と、前記通常画素に囲まれて離散的に配置された、焦点を検出するための位相差信号を出力する位相画素とが二次元的に配列された撮像素子をそれぞれ有する撮像装置の、前記第1カメラユニットおよび前記第2カメラユニットのフォーカス制御を行うフォーカス制御プログラムであって、
前記第1カメラユニットの前記撮像素子から出力される前記画像信号を用いて前記画像を形成する場合に、
前記第2カメラユニットの前記撮像素子から出力される前記位相差信号に基づいて第2デフォーカス情報を取得する取得ステップと、
前記第2デフォーカス情報を参照して前記第1光学系のフォーカスレンズを駆動する駆動ステップと
をコンピュータに実行させるフォーカス制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびフォーカス制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子の像面で得られる位相差信号を用いてオートフォーカス制御を行う撮像装置が知られている。そのような位相差信号を出力する撮像素子の例として、専ら画像を生成するための画像信号を出力する通常画素と、専らオートフォーカスのための位相差信号を出力する位相画素とが二次元的に配列された撮像素子が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。このような撮像素子は、すべての画素が各々のマイクロレンズに対して瞳分割された2つの光電変換部を備え画像信号の出力と位相差信号の出力を切り替えられる撮像素子よりも安価に製造できるなどの点において有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-90785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
専ら位相差信号を出力する位相画素は、画像を生成するための画像信号を出力しないため、画像を生成する場合には、位相画素が配置されたアドレスにおける画素値は、周辺画素の画素値から補間処理によって生成される。したがって、撮像素子を形成する画素のうち位相画素の割合を大きくすると、生成される画像の質を低下させる原因となる。特に、複数の位相画素を隣接して連続的に配列すると、生成される画像に視認可能なノイズとなって現れる場合がある。したがって、位相画素は、それぞれが通常画素に囲まれるように離散的に配置されることが望ましく、また、その割合も小さくすることが望ましい。しかし、そのように位相画素が配置されると、撮像素子が捉える像の全体に対して相対的に小さく写り込む被写体に対する位相差信号の検出が難しくなり、当該被写体に対して合焦させることができなくなってしまう場合がある。例えば、高周波成分の多い背景の手前に細長い主被写体が存在するようなシーンにおいては、主被写体に合焦できず、背景側に合焦してしまうという不都合が生じる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、主被写体が相対的に小さく写り込む広角画像を生成する場合であっても、当該主被写体に精度よくオートフォーカスすることができる撮像装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様における撮像装置は、第1光学系を有する第1カメラユニットと、第1カメラユニットと同一方向へ向けて配置される第2カメラユニットと、第1カメラユニットおよび第2カメラユニットのフォーカス制御を実行するフォーカス制御部とを備え、第1カメラユニットおよび第2カメラユニットは、画像を形成するための画像信号を出力する通常画素と、通常画素に囲まれて離散的に配置された、焦点を検出するための位相差信号を出力する位相画素とが二次元的に配列された撮像素子をそれぞれ有し、フォーカス制御部は、第1カメラユニットの撮像素子から出力される画像信号を用いて画像を形成する場合に、第2カメラユニットの撮像素子から出力される位相差信号から取得される第2デフォーカス情報を参照して、第1光学系のフォーカス制御を実行する。
【0007】
本発明の第2の態様におけるフォーカス制御プログラムは、第1光学系を有する第1カメラユニットと、第1カメラユニットと同一方向へ向けて配置される第2カメラユニットとを備え、第1カメラユニットおよび第2カメラユニットが、画像を形成するための画像信号を出力する通常画素と、通常画素に囲まれて離散的に配置された、焦点を検出するための位相差信号を出力する位相画素とが二次元的に配列された撮像素子をそれぞれ有する撮像装置の、第1カメラユニットおよび第2カメラユニットのフォーカス制御を行うフォーカス制御プログラムであって、第1カメラユニットの撮像素子から出力される画像信号を用いて画像を形成する場合に、第2カメラユニットの撮像素子から出力される位相差信号に基づいて第2デフォーカス情報を取得する取得ステップと、第2デフォーカス情報を参照して第1光学系のフォーカスレンズを駆動する駆動ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、主被写体が相対的に小さく写り込む広角画像を生成する場合であっても、当該主被写体に精度よくオートフォーカスすることができる撮像装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る撮像装置の外観を示す図である。
図2】撮像装置の主なハードウェア構成を示す図である。
図3】撮像素子の画素配列を説明する図である。
図4】撮像対象となるシーンの一例を示す図である。
図5】第1カメラユニットからの位相差信号でオートフォーカス制御を行った場合に第1カメラユニットから得られる画像の例を示す図である。
図6】同一シーンを第2カメラユニットからの位相差信号でオートフォーカス制御を行った場合に第2カメラユニットから得られる画像の例を示す図である。
図7】第2デフォーカス情報を参照して第1光学系のオートフォーカス制御を行った場合に第1カメラユニットから得られる画像の例を示す図である。
図8】2つの合焦領域の対応について説明する図である。
図9】広角画像を生成するまでの処理手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。なお、各図において、同一又は同様の構成を有する構造物が複数存在する場合には、煩雑となることを回避するため、一部に符号を付し、他に同一符号を付すことを省く場合がある。
【0011】
図1は、本実施形態に係る撮像装置100の外観を示す図である。特に、図1(A)は、撮像装置100の第1面側を主に示す図であり、図1(B)は、第1面側とは反対の第2面側を主に示す図である。本実施形態に係る撮像装置100は、いわゆるスマートフォンであり、換言すれば、撮像装置としても機能するスマートフォンである。以下においては、スマートフォンの機能のうち本発明に関する撮像機能について説明するものとし、撮像によって生成された画像データの利用などの、スマートフォンとしての他の機能の説明については省略する。なお、本実施形態においてはスマートフォンを例として撮像装置100を説明するが、もちろん単体カメラとしての撮像装置であってもよく、また、タブレット端末等に組み込まれて撮像機能を備えた装置であっても構わない。
【0012】
撮像装置100は、第1面側において同一方向へ向けて配置された第1カメラユニット110と第2カメラユニット120を備える。第1カメラユニット110は、広角画像を生成するためのカメラユニットである。第2カメラユニット120は、望遠画像を生成するためのカメラユニットである。ユーザは、広角画像を得たい場合には第1カメラユニットを指定して撮像を行い、望遠画像を得たい場合には第2カメラユニットを指定して撮像を行う。第1カメラユニット110と第2カメラユニット120は、図においては撮像装置100の長辺に対して平行となるように配置されているが、2つのカメラユニットの配置はこれに限らず、例えば当該長辺に斜交する直線に沿って配置されていても構わない。また、第1カメラユニット110と第2カメラユニット120の配置は、互いに図の位置とは逆であってもよい。
【0013】
撮像装置100は、第2面側においてディスプレイ130を備える。ディスプレイ130は、例えば有機EL(Electro Luminescence)パネルを採用した表示デバイスであり、撮像前に被写体のリアルタイム画像を表示(ライブビュー表示)したり、撮像後の画像を表示したりする。なお、第1カメラユニット110および第2カメラユニット120とは独立した自撮り用のカメラユニットが第2面側に設けられていても構わない。
【0014】
撮像装置100の側方部にはシャッタボタン161が設けられている。ユーザは、シャッタボタン161を押下することにより撮像装置100へ撮像の指示を与えることができる。また、ディスプレイ130に重畳してタッチパネル162が設けられている。ユーザは、シャッタボタン161を押下する代わりに、ディスプレイ130に表示されたシャッタボタンをタップすることにより撮像装置100へ撮像の指示を与えることもできる。また、ユーザは、ライブビュー表示された被写体像の任意の箇所をタップすることにより、当該箇所を含む一定領域を合焦領域に指定することもできる。その他にも、ユーザは、タップ等の接触動作により、第1カメラユニット110と第2カメラユニット120の切換えを行ったり、表示されたメニュー項目の選択を行ったりすることができる。
【0015】
図2は、撮像装置100の主なハードウェア構成を示す図である。撮像装置100は、上述の第1カメラユニット110、第2カメラユニット120、ディスプレイ130に加え、これらを制御するシステム制御部150、システム制御部150と連携する周辺要素によって構成される。
【0016】
第1カメラユニット110は、上述のように広角画像を生成するためのカメラユニットであり、主に、第1光学系111、第1駆動機構112、第1撮像素子113、第1アナログフロントエンド(AFE)114を備える。第1光学系111は、入射する被写体光束を第1撮像素子113の撮像面に結像させるための光学系である。図では1枚のレンズで表しているが、一般的には複数枚のレンズで構成され、少なくともその一部は光軸方向に沿って進退可能なフォーカスレンズである。第1駆動機構112は、第1光学系111のフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させるための駆動機構であり、システム制御部150の指示に従って作動するアクチュエータを含む。
【0017】
第1撮像素子113は、例えばCMOSイメージセンサである。第1撮像素子113については後に詳述する。第1撮像素子113は、システム制御部150の指示に従って、出力信号である画素信号(後述する画像信号および位相差信号)を第1アナログフロントエンド114へ引き渡す。第1アナログフロントエンド114は、画素信号をシステム制御部150から指示されるゲインに応じてレベル調整してデジタルデータへA/D変換し、ワークメモリ151へ引き渡す。
【0018】
第2カメラユニット120は、上述のように望遠画像を生成するためのカメラユニットであり、主に、第2光学系121、第2駆動機構122、第2撮像素子123、第2アナログフロントエンド(AFE)124を備える。第2光学系121は、入射する被写体光束を第2撮像素子123の撮像面に結像させるための光学系である。図では1枚のレンズで表しているが、第2光学系121も第1光学系111と同様に一般的には複数枚のレンズで構成され、少なくともその一部は光軸方向に沿って進退可能なフォーカスレンズである。第2駆動機構122は、第2光学系121のフォーカスレンズを光軸方向に沿って移動させるための駆動機構であり、システム制御部150の指示に従って作動するアクチュエータを含む。
【0019】
第2撮像素子123は、例えばCMOSイメージセンサである。第2撮像素子123については第1撮像素子113と共に後に詳述する。第2撮像素子123は、システム制御部150の指示に従って、出力信号である画素信号を第2アナログフロントエンド124へ引き渡す。第2アナログフロントエンド124は、画素信号をシステム制御部150から指示されるゲインに応じてレベル調整してデジタルデータへA/D変換し、ワークメモリ151へ引き渡す。
【0020】
本実施形態においては、第1光学系111も第2光学系121も焦点距離が固定である単焦点光学系を想定しているが、少なくともいずれかが焦点距離を変えられる可変焦点光学系(ズームレンズ)であっても構わない。可変焦点光学系を採用する場合であっても、第1光学系111の焦点距離は、第2光学系121の焦点距離よりも短くなるように設定される。別言すれば、第2光学系121の画角は、第1光学系111の画角よりも望遠画角に設定される。
【0021】
システム制御部150は、撮像装置100を構成する各要素を直接的または間接的に制御するプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)である。システム制御部150は、実行する制御プログラムに応じて様々な機能制御部としての役割を担い、例えば、第1カメラユニット110および第2カメラユニット120のフォーカス制御を実行するときにはフォーカス制御部として機能し、撮像した画像をディスプレイ130に表示するときには表示制御部として機能する。
【0022】
撮像装置100は、システム制御部150と連携する周辺要素として、主に、ワークメモリ151、画像処理部152、操作部160、記録部170、通信インタフェース180を備える。ワークメモリ151は、揮発性の高速メモリであり、例えばSRAM(Static Random Access Memory)によって構成される。ワークメモリ151は、第1アナログフロントエンド114および第2アナログフロントエンド124からそれぞれ順次変換された画素データを受け取り、当該画素データが画像信号から変換されたデータであれば1フレーム分のフレームデータに纏めて記憶する。また、当該データが位相差信号から変換されたデータであれば2つの波形データに纏めて記憶する。ワークメモリ151は、フレームデータを画像処理部153へ引き渡し、波形データをシステム制御部150へ引き渡す。また、ワークメモリ151は、画像処理部153が画像処理する処理段階やシステム制御部150が合焦処理する処理段階においても一時的な記憶領域として適宜利用される。
【0023】
画像処理部153は、例えば専ら画像処理を実行するASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成され、受け取ったフレームデータに対して補間処理等の各種の画像処理を施し、予め定められたフォーマットに即した画像データを生成する。生成された画像データが記録用であれば記録部170に記録され、表示用であればディスプレイ130に表示される。
【0024】
操作部160は、シャッタボタン161やタッチパネル162を含む入力デバイスであり、ユーザが撮像装置100へ指示を与える場合に操作する部材である。撮像装置100が音声入力を受け付ける場合には、マイクも操作部160に含み得る。記録部170は、不揮発性のメモリであり、例えばSSD(Solid State Drive)によって構成される。記録部170は、撮像によって生成された画像データを記録する他にも、撮像装置100の動作時に必要な定数、変数、設定値、制御プログラム等を保持する。通信インタフェース180は、5G回線や無線LANの通信ユニットを含み得る。通信インタフェース180は、生成された画像データを外部機器へ転送する場合などに用いられる。
【0025】
図3は、第1撮像素子113の画素配列を説明する図である。本実施形態においては、第2撮像素子114も第1撮像素子113と同じものであるので、ここでは第1撮像素子113について説明する。
【0026】
第1撮像素子113は、専ら画像を生成するための画像信号を出力する通常画素210と、専ら焦点を検出するための位相差信号を出力する位相画素220とが二次元的に配列された撮像素子である。通常画素210は、一つのマイクロレンズに対して略正方形の一つの光電変換部が偏位なく配置された画素である。通常画素210は、マイクロレンズと光電変換部の間にRGBのいずれかのカラーフィルターが配置されている。
【0027】
位相画素220は、1つのマイクロレンズに対して通常画素の光電変換部を二分割したうちの一方の形状に類似する略長方形の1つの光電変換部が当該マイクロレンズの光軸に対して偏位して配置された画素である。位相画素220は、マイクロレンズと光電変換部の間にカラーフィルターは配置されていない。位相画素220は、隣接する画素が全て通常画素210であり、換言すれば、それぞれの位相画素220は、通常画素210に囲まれて互いに離散的に配置されている。なお、位相画素220の構成は、光電変換部の構成を通常画素210と同様にして、代わりに、光電変換部を上述のように偏位させた場合と同様の効果を生じさせる偏位開口を有する遮光マスクをマイクロレンズと光電変換部の間に配置するようにしてもよい。
【0028】
位相画素220は、光電変換部が第1の方向(図においては下側)へ偏位された第1位相画素221と、光電変換部が第1の方向とは反対方向(図においては上側)へ偏位された第2位相画素222の2種類が存在する。第1位相画素221および第2位相画素222は、それぞれ決まったパターンによって配列されている。具体的には、偏位画素の偏位方向(図においては上下方向)に沿って検出ラインが複数設定され、それぞれの検出ラインの一方側(図においては右側)に第1位相画素221が周期的に配列され、他方側(図においては左側)に第2位相画素222が同一周期であって位相をずらして配列されている。
【0029】
第1位相画素221の出力信号である位相差信号から第1位相波形が形成され、第2位相画素222の出力信号である位相差信号から第2位相波形が形成される。そして、システム制御部150は、フォーカス制御において、第1位相波形と第2位相波形の相対的なずれ量であるデフォーカス量とずれ方向であるデフォーカス方向、および両波形の一致度から得られる合焦評価値などを算出してデフォーカス情報を取得する。システム制御部150は、取得したデフォーカス情報に基づいて、特定の被写体に焦点が合うように合焦処理を行う。合焦処理については、後に詳述する。
【0030】
なお、第1撮像素子113と第2撮像素子123は、それぞれが通常画素と、通常画素に囲まれて離散的に配置された位相画素とが二次元的に配列された撮像素子であれば、互いに同一の撮像素子でなくてもよい。それぞれの撮像素子は、例えば、互いに全体の画素数や位相画素の配列パターンが異なっていてもよい。
【0031】
また、図の例では上下方向である1軸方向に沿って検出ラインを設定したが、さらに直交する方向(図の例では左右方向)にも検出ラインを設定し、それに適した位相画素(図の例では右側に偏位した位相画素と左側に偏位した位相画素)を配列してもよい。その場合でも、それぞれの位相画素は、通常画素に囲まれていることが好ましい。このように直交する2軸方向に検出ラインを設定すれば、合焦精度を高めることができる。
【0032】
さて、専ら位相差信号を出力する位相画素は画像を生成するための画像信号を出力しないため、通常画素が出力する画像信号から画像を生成する場合には、位相画素が配置されたアドレスの画素の画素値は、一般的には周辺画素の画素値から補間処理によって生成される。したがって、撮像素子を形成する画素のうち位相画素の割合を大きくすると、生成される画像の質を低下させる原因となり得る。特に、複数の位相画素を隣接して連続的に配列すると、生成される画像に視認可能なノイズとなって現れる場合がある。したがって、位相画素は、本実施形態における第1撮像素子113および第2撮像素子123のように、それぞれが通常画素に囲まれるように離散的に配置されることが望ましく、また、その割合も小さくすることが望ましい。本実施形態における第1撮像素子113および第2撮像素子123は、位相画素220の総数が全画素数の5%未満である。
【0033】
しかし、そのように少数かつ離散的に位相画素が配置されると、フォーカス制御部は、撮像素子が捉える像の全体に対して相対的に小さく写り込む被写体の精確なデフォーカス情報を取得できなくなり、その結果として当該被写体に対して合焦させることができなくなってしまうことがある。例えば、高周波成分の多い背景の手前に細長い主被写体が存在するようなシーンにおいては、当該主被写体に合焦できず、背景側に合焦してしまうという不都合が生じやすい。このような不都合は、広角画角の光学系を用いて撮像する場合ほど生じやすい。そこで、本実施形態における撮像装置100は、第1カメラユニット110の第1撮像素子113から出力される画像信号を用いて広角画像を形成する場合に、第2カメラユニット120の第2撮像素子123から出力される位相差信号から取得される第2デフォーカス情報を参照して、第1光学系111のフォーカス制御を実行する。当該フォーカス制御について、具体的なシーンを交えて以下に順に説明する。
【0034】
図4は、撮像対象となるシーンの一例を示す図である。具体的には、主被写体となる人物910の背後に森920が広がるシーンを、ユーザが撮像装置100を構えて撮像しようとする様子を表している。ここでは、ユーザは、人物910にピントを合わせたいと考えているものとする。ユーザは、第1カメラユニット110または第2カメラユニット120によって連続的に取得されてディスプレイ130に表示されるライブビュー映像を確認しながら構図を決定することができる。
【0035】
図5は、第1カメラユニット110からの位相差信号のみで第1光学系111のオートフォーカス制御を行った場合に、第1カメラユニット110から得られる画像の例を示す図である。シーンの背景である森920は木々の集合であるので、第1カメラユニット110が捉える画角内において森920の像領域(背景領域)は、空間周波数の高い領域となる。一方、主被写体である人物910の像領域(主要領域)は、第1カメラユニット110が捉える画角内のごく一部を占有するに留まり、相対的に空間周波数の低い領域となる。
【0036】
検出ラインが空間周波数の高い背景領域と空間周波数の低い主要領域を跨ぐと、いわゆる遠近競合が生じ、フォーカス制御部は、空間周波数の高い背景領域に対するデフォーカス情報を算出してしまう。このように算出されたデフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカスレンズを駆動すると、第1光学系111は背景である森920に合焦し、その合焦後に生成される広角画像301は、図示するように、主被写体である人物910がぼけた画像となる。特に、検出ラインに沿って配置された位相画素220が離散的であると、小さな主要領域に含まれる位相画素220の数はより少なくなり、フォーカス制御部は、当該主要領域に含まれる位相画素220が出力する位相差信号から形成される波形を基準にデフォーカス情報を算出することが増々難しくなる。
【0037】
すなわち、図4のシーンにおいて、第1撮像素子113が出力する位相差信号から取得される第1デフォーカス情報のみでオートフォーカス制御を行う場合には、ユーザが合焦させたい人物910に合焦させることは難しいといえる。
【0038】
図6は、同一シーンを第2カメラユニット120からの位相差信号で第2光学系121のオートフォーカス制御を行った場合に第2カメラユニット120から得られる画像の例を示す図である。第2カメラユニット120の第2光学系121は、第1光学系111よりも望遠画角であるので、人物910の像領域(主要領域)が全体領域に対して占有する割合は、図5の場合に比べて大きくなる。すると、主要領域に含まれる位相画素220の数も多くなり、人物910のより細部まで解像するので、その空間周波数は高くなる。
【0039】
検出ラインが主要領域と背景領域を跨ぐ場合であっても、主要領域の割合が大きく、主要領域内の位相画素220が出力する位相差信号から形成される波形が支配的になると、遠近競合は生じにくい。したがって、フォーカス制御部は、主要領域に対するデフォーカス情報を算出することができる。このように算出されたデフォーカス情報に基づいて第2光学系121のフォーカスレンズを駆動すると、第2光学系121は主被写体である人物910に合焦し、その合焦後に生成される望遠画像302は、図示するように、人物910にピントが合った画像となる。
【0040】
すなわち、図4のシーンにおいて、第2撮像素子123が出力する位相差信号から取得される第2デフォーカス情報に基づいてオートフォーカス制御を行えば、ユーザが合焦させたい人物910に合焦させやすいと言える。したがって、ユーザが第1カメラユニット110を選択して広角画像を得ようとしている場合でも、第2撮像素子123が出力する位相差信号から取得される第2デフォーカス情報を参照すれば、第1光学系111でも人物910に合焦させる可能性を高めることができる。
【0041】
そのようなフォーカス制御を実行するために、フォーカス制御部は、ユーザが第1カメラユニット110を選択している場合であっても、第2撮像素子123を駆動して位相画素220に位相差信号を出力させ、第2デフォーカス情報を取得する。フォーカス制御部は、第2デフォーカス情報を参照することにより、第1光学系111のフォーカスレンズを移動させ人物910に合焦させる。第2デフォーカス情報は、具体的には、第2撮像素子123において合焦評価を行った領域である第2合焦領域320の領域情報と、当該第2合焦領域におけるデフォーカス量、デフォーカス方向、合焦評価値を含む。
【0042】
図7は、第2デフォーカス情報を参照して第1光学系111のオートフォーカス制御を行った場合に、第1カメラユニット110から得られる画像の例を示す図である。フォーカス制御部は、第2デフォーカス情報に含まれる第2合焦領域320の領域情報から、第1カメラユニット110における合焦領域である第1合焦領域310を決定する。第1カメラユニット110と第2カメラユニット120は互いに近接して配置されており、また第1光学系111の光軸と第2光学系121の光軸は互いに平行であることから、簡易的には被写体の奥行きを考慮せず、それぞれの画角を踏まえて予め一対一に対応せる換算式や参照テーブルを用意することができる。フォーカス制御部は、このような換算式や参照テーブルを利用して、第2合焦領域320の領域情報から第1合焦領域310を決定する。
【0043】
第1合焦領域310が決まると、フォーカス制御部は、この領域に主被写体が存在することを前提に第1光学系111のフォーカス制御を実行する。具体的には、第1撮像素子113が出力する位相差信号のうち第1合焦領域310に含まれるものに限定して位相波形を生成する。そして、第2デフォーカス情報のデフォーカス量とデフォーカス方向を参照することにより合焦レンジ(すなわち、主被写体が存在すると想定する奥行き範囲)を限定し、背景領域の影響を受けないようにする。このように限定された条件から、第1デフォーカス情報としてのデフォーカス量とデフォーカス方向を決定する。フォーカス制御部は、決定したデフォーカス量とデフォーカス方向から第1光学系111のフォーカスレンズの移動方向と移動量を決定し、そのように移動させることで、主被写体である人物910に合焦させる。
【0044】
フォーカス制御部は、フォーカスレンズの移動後に再度第1撮像素子113に位相差信号を出力させ、その位相波形を評価して合焦状態であるか否かを判断する。合焦状態にあると判断した場合には、撮像処理を実行し、広角画像301を生成する。合焦状態に到達していないと判断した場合には、再度第1デフォーカス情報を取得してフォーカスレンズの位置を修正することができる。あるいは、フォーカスレンズをウォブリングさせつつ、第1合焦領域310に含まれる通常画素が出力する画像信号から生成される部分画像のコントラストが最も高くなるようにフォーカスレンズの位置を修正してもよい。後者は、いわゆるコントラストAFである。また、より簡易的には、フォーカス制御部は、第2合焦領域320に基づいて第1合焦領域310を決定したら、第1撮像素子113から第1デフォーカス情報を取得することなく、第1合焦領域310を対象として直ちにコントラストAFを実行してもよい。
【0045】
なお、フォーカス制御部は、第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカス制御を実行することが困難であると判断した場合に、第2デフォーカス情報を参照して第1光学系のフォーカス制御を実行するようにしてもよい。すなわち、第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカス制御を実行することが可能であると判断した場合には、第2デフォーカス情報を参照することなく、第1光学系のフォーカス制御を実行すればよい。第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカス制御を実行することが困難であるか否かは、例えば、第1デフォーカス情報における合焦評価値が閾値未満であるか以上であるかによって判断することができる。あるいは、第1デフォーカス情報の取得に並行して第2デフォーカス情報も取得し、それぞれのデフォーカス量とデフォーカス方向を比較することによっても判断することができる。具体的には、第1デフォーカス情報に含まれるデフォーカス量とデフォーカス方向から算出される被写体の奥行きと、第2デフォーカス情報に含まれるデフォーカス量とデフォーカス方向から算出される被写体の奥行きとが一定範囲内であれば、それぞれが同一の被写体を捉えていると想定されるので、第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカス制御を実行することが可能であると判断する。一定範囲内になく、それぞれが別々の被写体を捉えていると想定される場合には、第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカス制御を実行することが困難であると判断する。
【0046】
以上においては、第2合焦領域320から第1合焦領域310を決定する場合に、簡易的に換算式等を用いる例を説明したが、実際には、被写体の奥行き(被写体までの距離)によって、第2合焦領域320に対応する第1合焦領域310は変化し得る。図8は、2つの合焦領域の対応について説明する図である。具体的には、撮像装置100から距離dに存在する人物と距離dに存在する人物を、第1カメラユニット110と第2カメラユニット120がそれぞれ捉える様子と、そのように撮像された望遠画像302と広角画像301を表す図である。
【0047】
図示するように、近い距離dに存在する人物も遠い距離dに存在する人物も第2カメラユニット120側に寄っている場合を想定する。このような場合、第2カメラユニット120から生成される望遠画像302と第1カメラユニットから生成される広角画像301を比較すると、遠い距離dに存在する人物を撮像した場合のその人物を捉える第2合焦領域320と第1合焦領域310の間隔より、近い距離dに存在する人物を撮像した場合のその人物を捉える第2合焦領域320と第1合焦領域310の間隔の方が大きい。また、同じ広角画像301で比較すると、人物が距離dに存在するときよりも距離dに存在するときの方が第1合焦領域310はより右側に偏位する。
【0048】
このような対応関係は、三角測量の手法により算出することができる。具体的には、望遠画像302において第2合焦領域320と主被写体である人物までの距離が算出されると、2つの光学系の光軸間距離である基線長、2つの光学系の画角比を用いて広角画像301における第1合焦領域310を決定することができる。なお、人物までの距離は、第2デフォーカス情報におけるデフォーカス量とデフォーカス方向、およびそのときのフォーカスレンズ位置から算出し得る。
【0049】
フォーカス制御部は、第2合焦領域320に対応する第1合焦領域310をこのようにより精確に決定すれば、第1光学系111のフォーカス制御の精度をより向上させることができる。
【0050】
なお、ユーザから合焦領域を特に指定されていない場合には、フォーカス制御部は、一般的な近点優先(撮像装置から近い被写体を優先)や中央優先(画角の中央付近の被写体を優先)といったアルゴリズムに従って合焦すべき主被写体を決定すればよい。この場合、第1デフォーカス情報に含まれるデフォーカス量とデフォーカス方向から算出される被写体が、第2デフォーカス情報に含まれるデフォーカス量とデフォーカス方向から算出される被写体よりも遠い位置に存在する場合や中央から離れた位置に存在する場合に、第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカス制御を実行することが困難であると判断してもよい。
【0051】
また、ユーザから特定の領域を指定された場合には、当該領域を第1合焦領域310とすればよい。また、顔領域認識プログラム等により特定の領域が指定された場合には、当該領域を第1合焦領域310とすればよい。そのような場合でも、第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカス制御を実行することが困難であると判断したら、第2合焦領域320を決定して当該領域における第2デフォーカス情報を参照することにより、第1光学系111のフォーカス制御を実行すればよい。
【0052】
次に、ユーザが第1カメラユニット110を選択して広角画像を撮像する場合において、システム制御部150が主にフォーカス制御部として機能する一連の処理の一例について説明する。図9は、システム制御部150が広角画像を生成するまでの主な処理手順を示すフロー図である。フローは、例えばシャッタボタン161がユーザに押下された時点から開始する。
【0053】
フォーカス制御部は、ステップS101で、第1デフォーカス情報を取得する。具体的には、上述したように、第1撮像素子113を駆動して位相画素220に位相差信号を出力させ、種々の演算を行って第1デフォーカス情報を得る。フォーカス制御部は、ステップS102で、第1デフォーカス情報の取得と同様に、第2デフォーカス情報を取得する。ステップS102の処理は、ステップS101と並行して行ってもよい。
【0054】
フォーカス制御部は、ステップS103で、第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカス制御を実行することが可能であるか否かを判断する。可能であると判断したらステップS104をスキップしてステップS105へ進み、可能でないと判断したらステップS104へ進む。
【0055】
ステップS104へ進んだ場合には、フォーカス制御部は、ステップS102で取得した第2デフォーカス情報を参照して第1撮像素子113における第1合焦領域310を決定し、ステップS105へ進む。
【0056】
ステップS105へ進むと、フォーカス制御部は、ステップS104をスキップした場合には、第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカスレンズを移動させ、主被写体に合焦させる。ステップS104を経由した場合には、決定された第1合焦領域310において、上述のように例えば限定条件を課して再度第1デフォーカス情報を取得し、当該第1デフォーカス情報に基づいて第1光学系111のフォーカスレンズを移動させ、主被写体に合焦させる。
【0057】
フォーカス制御部は、ステップS106へ進み、再度第1撮像素子113に位相差信号を出力させ、その位相波形を評価して合焦状態であるか否かを判断する。合焦状態であると判断したらステップS107をスキップしてステップS108へ進み、合焦状態でないと判断したらステップS107へ進む。
【0058】
ステップS107へ進んだ場合には、フォーカス制御部は、上述のようにコントラストAFを実行してフォーカスレンズの位置を修正し、主被写体に合焦させる。その後、ステップS108へ進む。
【0059】
ステップS108へ進むと、システム制御部150は、第1撮像素子113を駆動して通常画素に画像信号を出力させ、画像処理部153に画像データを生成させる。システム制御部150は、生成された画像データを、予め設定された指示に従って記録部170に記録したり、ディスプレイ130に表示したり、通信インタフェース180を介して外部機器へ送信したりして、一連の処理を終了する。
【0060】
以上で説明した本実施形態においては、第1カメラユニット110で静止画像を撮像する場合を想定したが、動画像を撮像する場合であっても同様のフォーカス制御を実行し得る。例えば、第1撮像素子113が出力する画素信号のうち画像信号からはフレーム画像を継続して生成し、位相差信号から第1デフォーカス情報を生成するようにすれば、動画像の撮像においても、並行して生成される第2デフォーカス情報を参照しつつ、上述と同様のフォーカス制御を実行することができる。
【0061】
また、以上で説明した本実施形態においては、撮像装置100が2つのカメラユニットを備える場合について説明したが、3つ以上のカメラユニットを備える撮像装置においても同様のフォーカス制御を実行し得る。例えば、3つのカメラユニットがそれぞれ望遠画角、標準画角、広角画角の光学系を備えるのであれば、広角画角のカメラユニットのフォーカス制御は、標準画角のカメラユニットおよび望遠画角のカメラユニットのそれぞれから取得されるデフォーカス情報を参照し得る。また、標準画角のカメラユニットのフォーカス制御は、望遠画角のカメラユニットから取得されるデフォーカス情報を参照し得る。
【0062】
また、以上で説明した本実施形態においては、第1光学系111および第2光学系121のそれぞれのフォーカスレンズが任意の状態で取得される一つのデフォーカス情報に基づいてフォーカス制御を行う例を説明したが、フォーカスレンズの位置を変化させつつ複数のデフォーカス情報を取得してフォーカス制御を行ってもよい。例えば、開放F値が小さい光学系を採用する場合や焦点距離の長い光学系を採用する場合は、その特性に応じてフォーカスレンズの位置を複数回に分けて変化させ、その都度デフォーカス情報を取得するようにしてもよい。このとき、望遠画角のカメラユニットが電気信号に応じて焦点距離を変更可能な液体レンズを採用するような場合には、その電気信号に基づいてフォーカスレンズの移動範囲を決定するとよい。すなわち、そのような液体レンズは高倍率のズームレンズとなり得るので、例えば望遠領域では1.5mより遠方の被写体に合焦させることを前提として、その範囲に限ってフォーカスレンズの移動を許容すれば、デフォーカス情報の取得時間を短縮することができる。
【0063】
もう一つの可能な実施形態において、液体レンズは広角レンズまたは望遠レンズでもよい。液体レンズがフォーカスする時に、モータにより液体ユニットの厚さを変更する必要があるため、フォーカスする時に必要とされる変位が長く、または、モータの移動スピードが遅いので、フォーカス速度を影響する懸念がある。このときに、他の光学系のデフォーカス情報で液体レンズが備えられる該光学系を支援してフォーカス制御を行う。例えば、複数のフォーカス距離の区間を決定することにより、フォーカス距離の小さい範囲にフォーカスする必要があるだけであるため、フォーカス速度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0064】
100…撮像装置、110…第1カメラユニット、111…第1光学系、112…第1駆動機構、113…第1撮像素子、114…第1アナログフロントエンド(AFE)、120…第2カメラユニット、121…第2光学系、122…第2駆動機構、123…第2撮像素子、124…第2アナログフロントエンド(AFE)、130…ディスプレイ、150…システム制御部、151…ワークメモリ、152…画像処理部、160…操作部、161…シャッタボタン、162…タッチパネル、170…記録部、180…通信インタフェース、210…通常画素、220…位相画素、221…第1位相画素、222…第2位相画素、301…広角画像、302…望遠画像、310…第1合焦領域、320…第2合焦領域、910…人物、920…森
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】