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特表2024-522417二酸化炭素からカルバノゲルバッキーペーパーを作るための装置、システム及び方法並びにその製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素からカルバノゲルバッキーペーパーを作るための装置、システム及び方法並びにその製品
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/15 20170101AFI20240614BHJP
   B01J 21/18 20060101ALI20240614BHJP
   C25B 1/135 20210101ALI20240614BHJP
   C25B 9/09 20210101ALI20240614BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240614BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20240614BHJP
   H01G 11/34 20130101ALI20240614BHJP
【FI】
C01B32/15
B01J21/18
C25B1/135
C25B9/09
H05K9/00 W
H01G11/86
H01G11/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531607
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 US2022030204
(87)【国際公開番号】W WO2022246165
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/191,122
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523192048
【氏名又は名称】ダイレクト エア キャプチャー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リヒト,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】リヒト,ガド
【テーマコード(参考)】
4G146
4G169
4K021
5E078
5E321
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AA07
4G146AA08
4G146AA09
4G146AA10
4G146AA11
4G146AB07
4G146AD20
4G146AD22
4G146AD31
4G146AD35
4G146AD37
4G146AD40
4G146BA09
4G146BC18
4G146CA01
4G146CB02
4G146CB03
4G146CB10
4G146CB11
4G146DA03
4G146DA07
4G146DA25
4G169AA01
4G169BA08A
4G169EA07
4G169EB11
4K021AA09
5E078BA15
5E078BB03
5E078BB23
5E321BB32
5E321BB53
5E321BB60
5E321GG05
(57)【要約】
本開示の実施形態は、カルバノゲルバッキーペーパー製品を作るプロセスに関する。そのようなカルバノゲルバッキーペーパー製品は、他のバッキーペーパー製品と比べて改良された特性を与えられ得る。本開示のいくつかの実施形態では、カルバノゲルは、炭素含有ガスをカーボンナノ材料に変換し得る電気分解プロセスによって生成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルバノゲルバッキーペーパー(CB)製品を調製する方法であって、
a.溶融電解質中で二酸化炭素(CO)を分割するための電気分解プロセスにより、カルバノゲルを受け取るステップであって、前記カルバノゲルは、カーボンナノ材料(CNM)及び電解質を含む、ステップ、
b.前記カルバノゲルを型内に配置するステップ、
c.前記CB製品を形成するために前記カルバノゲルを圧縮するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記配置するステップは、高温のカルバノゲルを、電解質融点を上回る温度で受け取る前記ステップ後に続く、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記配置するステップは、カルバノゲルを、電解質融点を下回る温度で受け取る前記ステップ後に続く、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記配置するステップは、前記カルバノゲルを処理するステップ後に続く、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
処理するステップは、前記カルバノゲルを冷却すること、前記冷却されたカルバノゲルを抽出すること及び前記冷却されたカルバノゲルを破砕することの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記圧縮するステップは、繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記圧縮するステップは、約1ポンド毎平方インチ(psi)~約2,000psiの圧力を印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記圧縮するステップは、約2000psiを上回る圧力を印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カルバノゲル中の電解質の量を低減させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記低減させるステップは、押圧すること、反応させること、洗浄すること、濾過すること及びこれらの任意の組合せを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記CNMは、球状ナノカーボン、中実ナノオニオン、中空ナノオニオン、円筒形同素体のナノカーボン、平面同素体のナノカーボン、らせん状同素体のナノカーボン、カーボンナノチューブ(CNT)、ナノファイバー、グラフェン、ナノプレートレット、ナノスキャフォールド、ナノツリー、ナノベルト、ナノフラワー、ナノドラゴン、ナノツリー、ナノロッド、表面修飾又は金属被覆CNM、図形的特徴のない非晶質ナノカーボン、図形的特性のない非晶質ナノカーボン及びこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記圧力を印加するステップ前、その間又はその後に熱を加えるステップをさらに含み、前記熱は、約0℃~約1000℃、又は約15℃~約900℃、又は約399℃~約850℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記圧力を印加するステップ前、その間又はその後に整列力を印加することにより、前記CNMを整列させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記整列力は、機械力、電流、磁場及びこれらの任意の組合せである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記整列力は、1つ又は複数の異方性特性を前記CB製品に与えるための線形、放射状、円筒形、球状又は他の方向性のある形状を生じさせるために、放射状形状、円筒形状、球形状又は他の形状のものである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記カルバノゲル、前記CB製品又は両方における空隙を部分的に又は実質的に完全に充填するための空隙充填剤を適用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記空隙充填剤は、強化剤、触媒、ドーパント、磁気材料、薬剤、電磁力遮蔽剤又はこれらの組合せである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記強化剤は、エポキシ、樹脂、別のポリマー、セメント質材料、金属、合金及びこれらの任意の組合せを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記触媒は、エポキシ、樹脂、他のポリマー、セメント質材料、金属、合金及びこれらの任意の組合せを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ドーパントは、ホウ素、窒素、硫黄、リン、コバルト、アルミニウム、シリコン、セリウム、白金、金、ルテニウム、オスミウム、テルル、タングステン、それぞれの酸化物、それぞれの塩及びこれらの任意の組合せを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記磁気材料は、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、サマリウム、ネオジム、鋼、それぞれの炭化物、強磁性、常磁性、反磁性を備えた1つ又は複数の磁気材料を含む他の合金及びこれらの任意の組合せである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
カルバノゲルバッキーペーパー(CB)であって、
a.カーボンナノ材料(CNM)と、
b.電解質と
を含むカルバノゲルバッキーペーパー(CB)。
【請求項23】
非CB材料の1つ又は複数の層をさらに含む、請求項22に記載のCB。
【請求項24】
形状記憶材料である、請求項22に記載のCB。
【請求項25】
前記形状記憶材料の形状記憶特性は、電気的に、磁気的に、化学的に、熱的に、光によって及びこれらの任意の組合せで活性化される、請求項24に記載のCB。
【請求項26】
空隙充填剤をさらに含む、請求項22に記載のCB。
【請求項27】
前記空隙充填剤は、強化剤、触媒、ドーパント、磁気材料、薬剤、電磁力遮蔽増強剤及びこれらの任意の組合せである、請求項26に記載のCB。
【請求項28】
前記強化剤は、エポキシ、樹脂、他のポリマー、セメント質材料、金属、合金及びこれらの任意の組合せを含む、請求項27に記載のCB。
【請求項29】
前記触媒は、エポキシ、樹脂、他のポリマー、セメント質材料、金属、合金及びこれらの任意の組合せを含む、請求項27に記載のCB。
【請求項30】
前記ドーパントは、ホウ素、窒素、硫黄、リン、コバルト、アルミニウム、シリコン、セリウム、白金、金、ルテニウム、オスミウム、テルル、タングステン、そのそれぞれの酸化物、そのそれぞれの塩及びこれらの任意の組合せを含む、請求項27に記載のCB。
【請求項31】
前記磁気材料は、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、サマリウム、ネオジム、鋼、それぞれの炭化物、強磁性、常磁性、反磁性を備えた1つ又は複数の磁気材料を含む他の合金及びこれらの任意の組合せである、請求項27に記載のCB。
【請求項32】
1つ又は複数の異方性特性を有する、請求項22に記載のCB。
【請求項33】
加熱要素としての、請求項22に記載のCBの使用。
【請求項34】
高速であり、安全であり、及び迅速な変更のための軽量ツーリング用途、穿孔、衝撃及び/又は鋸引きのための工具、熱管理のための工具、折り曲げ可能な材料、繊維及び布地の前駆体、CNMの輸送及び送達のための貯蔵パケット、二酸化炭素の隔離のため、スポンジとして、複合材料のための予め作られた積層体シート、バリスティックシールド、電磁(EMF)シールド、複合材料であって、前記複合材料の構造中の孔に浸透することによって大量のCNMを有する複合材料、パラシュート、ドラッグエンハンサー並びにCNMのバルク特性を研究するためのいずれか1つとしての、請求項22に記載のCBの使用。
【請求項35】
構造の一部及び電気エネルギー貯蔵、構造の一部及び熱エネルギー貯蔵、構造の一部及び電気導管又はワイヤとして、構造の一部及び材料性能のリアルタイムデータを取集するためのひずみ又は安全センサとして、構造の一部及び触媒として、構造の一部及び熱導管として並びにこれらの任意の組合せとしての、請求項22に記載のCBの二重使用。
【請求項36】
放熱部材としての、請求項22に記載のCBの使用。
【請求項37】
カルバノゲルバッキーペーパーを作るためのシステムであって、
a.カルバノゲルを製造するために溶融電解質中で二酸化炭素(CO)を分割する電気分解プロセスを行うための装置であって、前記カルバノゲルは、カーボンナノ材料(CNM)及び電解質を含む、装置と、
b.型と、
c.圧縮ユニットと
を含むシステム。
【請求項38】
処理ユニットをさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
電解質低減ユニットをさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
整列ユニットをさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項41】
絶縁ユニットをさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項42】
前記圧縮機構は、前記カルバノゲルを、フィルタを通して引くための真空を含む、請求項37に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年5月20日に出願された米国仮特許出願第63/191,122号に対する優先権及びその利益を主張する。
【0002】
[0002] 本開示は、電気分解プロセスを使用して製品を製造することに関する。特に、本開示は、電気分解プロセスを使用して分割される二酸化炭素からカルバノゲル生成物を作る方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] バッキーペーパーは、カーボンナノ材料(CNM)のシートである。研究の大多数は、カーボンナノチューブからなるバッキーペーパーについて報告している。追加的に、バッキーペーパーは、グラフェン、グラフェン酸化物及びカーボンナノオニオンから構成され得、研究されてきた。
【0004】
[0004] バッキーペーパーは、限定しないが、高張力、高導電性、高熱伝導性、電子的遮蔽、磁気的遮蔽、バッテリで使用するための電荷蓄積、燃料電池及びキャパシタ、触媒活性、低減した摩擦並びに標的を定めた治療活性を含む多様な向上した物理的及び化学的特性を示す。これらの特性の多くは、グラフェン円筒の単一又は同軸、複数の壁(カーボンナノチューブ、CNT)、カーボンナノファイバー、単層又は多層(ナノプレートレット)グラフェン、中空又は同軸(ナノオニオン)バッキーボール球体及び3次元幾何学形状、例えばグラフェンナノスキャフォールドを含む異なる幾何学的配置構成におけるグラフェンの平面sp2結合炭素に由来する。
【0005】
[0005] バッキーペーパーの許容及び広範な使用は、CNM構成要素を製造するのに費用がかかること及び関連する高いカーボンフットプリントによって阻まれてきた。製造プロセスは、CNMの商業的製造で従来使用されている化学蒸着(CVD)プロセスを含む。現在、CNM、例えばCNT、グラフェン及びカーボンナノオニオンの価格は、1トンあたり$100,000USD~$10,000,000である。比較して、鋼は、1トンあたり$400~$700の価格である。
【0006】
[0006] 典型的なバッキーペーパー形成プロセスでは、CNMは、第1に、液体に追加され、次いで超音波で分解されて均一な分散を提供し、液体は、濾過及び/又は乾燥されて、分散されたCNMの固体シートとして形成されたバッキーペーパーを残す。
【0007】
[0007] したがって、高い費用及び関連する高いカーボンフットプリントに対処する、バッキーペーパーの商業的製造の新たな方式が望ましい。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本開示の実施形態は、カルバノゲルから、本明細書でバッキーペーパー製品と呼ばれるカーボンナノ材料(CNM)のシートを製作又は他に製造するプロセスに関し、そのようなプロセスは、COレベルがより低い場合もある。プロセスは、二酸化炭素(CO)の分割のための溶融電気分解プロセスにより、カルバノゲル生成物を含むCNMを形成するステップと、カルバノゲル生成物を押圧、篩過、剥離及び/又は破砕すること又はこれらの組合せにより、カルバノゲル生成物を回収することと、破砕されたカルバノゲル生成物を濾過あり又はなし及び化学的、熱的、機械的処理又は電気化学的処理あり又はなしで型に移すことと、バッキーペーパー製品を形成するために型内でカルバノゲル生成物を圧縮することとを含む。
【0009】
[0009] 本開示のいくつかの実施形態は、カーボンナノ材料(CNM)及び電解質を含むカルバノゲルバッキーペーパー(CB)に関する。
【0010】
[0010] 本開示のいくつかの実施形態は、カルバノゲルバッキーペーパーを作るためのシステムに関する。システムは、カルバノゲルを製造するために溶融電解質中で二酸化炭素(CO)を分割する電気分解プロセスを行うための装置であって、カルバノゲルは、カーボンナノ材料(CNM)及び電解質を含む、装置と、型と、圧縮ユニットとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011] 本開示のこれらの及び他の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明でより明らかになる。
【0012】
図1】[0012]本開示の実施形態における使用のための、カルバノゲル生成物を作るための装置の概略図である。
図2】[0013]カルバノゲルバッキーペーパー製品を作るための、本開示の実施形態によるシステムの概略図である。
図3】[0014]本開示の実施形態による方法のステップを表す概略図である。
図4】[0015]本開示の実施形態によるさらなる方法のステップを表す概略図である。
図5】[0016]本開示の実施形態によって作られたカルバノゲルバッキーペーパーの写真である。
図6】[0017]本開示の実施形態によって作られたさらなるカルバノゲルバッキーペーパーの写真である。
図7】[0018]本開示の実施形態によって作られたカルバノゲルの走査型電子顕微鏡画像の写真を示し、上図は730倍の倍率の画像を示し、下図は8600倍の倍率の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0019] 2009年以降、COの炭素へのエネルギー効率的な変換及び溶融炭酸塩電気分解による酸化が知られている。続いて、COの様々な黒鉛状カーボンナノ材料(CNM)への化学的変換が実証された。これらの黒鉛状CNMは、長期間の安定性と、これらの材料が有用な特性、例えば超高強度、高導電性、高熱伝導性、高蓄電池容量、電磁放射線遮蔽、有効な薬物送達及び様々な医療特性並びに有用な触媒特性を有することとに起因として価値がある。
CO→Cナノ物質+O (式1)
【0014】
[0020] 式1は、溶融電気分解プロセスを示し、カーボンナノ材料は、成長し、電解質と混合された絡まったCNMの混合物としてカソードの上に残る。この混合物は、カルバノゲルと呼ばれており、電解質の少なくとも95%は、このカルバノゲルから高温プレス濾過によって押し出され得る。
【0015】
[0021] CNM構成要素内で生じ得る、グラフェンのsp結合炭素構成要素及び単層又は多層グラフェンの包含は、カルバノゲル中のCNMに対して、改良された特性、例えば、限定しないが、これらのCNMの増強された強度及び伝導性を提供し得る。追加的に、CNMの特定の形態の相対的な量は、追加的な特性をカルバノゲル及びそれから作られた製品に与え得る。そのような形態の例は、限定しないが、球状ナノカーボン、中実及び中空ナノオニオン、円筒形同素体のナノカーボン、平面同素体、らせん状同素体、カーボンナノチューブ(CNT)、ナノファイバー、グラフェン、ナノプレートレット、ナノスキャフォールド、ナノツリー、ナノベルト、ナノフラワー、ナノドラゴン、ナノツリー、ナノロッド、表面修飾若しくは金属被覆CNM、図形的特徴若しくは特性のない非晶質ナノカーボン又はこれらの任意の組合せを含む。そのような追加的な特性の例は、限定しないが、カルバノゲル中のCNMの低減した摩擦、弾力性、熱伝導、難燃性、対掌性、改良された表面積又はこれらの任意の組合せを含む。これらの特性は、限定しないが、潤滑、可撓性材料、対掌性光吸収、対掌性光放射、対掌性触媒、改良された電気化学的電荷蓄積、改良された触媒活性、耐火性又は強化されたEMF遮蔽能力を含む特定の用途に有用である。カルバノゲル中のCNMは、ドーピング、磁性、まれな形状及び小型化又は拡大されたサイズを含む追加的な特徴も含み得る。いかなる理論にも制約されることなく、CNTは、単壁CNT、多壁CNT、ドープCNT、例えばホウ素、硫黄、リン若しくは窒素ドープCNT、磁気CNT、竹型CNT、パール状CNT、同位体特異的CNT、例えば12C及び13CCNT、表面修飾若しくは金属被覆CNT、単一若しくは二重編組CNTを含むらせん状CNT、渦巻き状らせん状CNT、薄い、厚い若しくは中実壁のCNT、細径及び太径CNT、短い若しくはウール(長い)CNT又はこれらの任意の組合せを含み得る。
【0016】
[0022] 本開示の実施形態によると、炭素含有ガスは、そのガス中の炭素から、カーボンナノ材料(CNM)生成物を含むカルバノゲルを発生させるための、本明細書で電気合成プロセスとも呼ばれる電気分解プロセスを受け得る。「カルバノゲル」という用語は、本明細書では、電気分解プロセスの生成物であり、電気分解プロセス中又は後にカソードに局在するCNM及び電解質の混合物を指すために使用される。「カーボンナノ材料生成物」及び「CNM生成物」という用語は、本明細書では、1つ又は複数の形態の、ナノスケールカーボンとも呼ばれ得るナノカーボンの集合を指すために使用される。「ナノカーボン」という用語は、本明細書では、ナノスケールで特定の構造、例えば黒鉛ナノカーボン構造に配置された炭素を指すために称される。特に、炭素含有ガスからの炭素は、溶融電解質媒体及び様々な電気分解プロセス構成を使用して炭素及び酸素に分割され得る。電気分解プロセスは、気相から溶融電解質媒体、固体CNM生成物又は両方への炭素の物質移動を引き起こし得る。CNM生成物は、カーボンナノチューブ(CNT)を含む実質的に純粋な、純粋な又は不純なカーボンナノ材料(CNM)であり得る。CNM生成物は、本明細書において上記で説明された通りのCNM構造の1つ若しくは複数の形態又はこれらの任意の組合せを含み得る。任意選択的に、電気分解プロセスの1つ又は複数のパラメータは、CNM生成物中の所与の形態の相対的な量を変えるために調整され得る。
【0017】
[0023] 図1に示される通り、電気分解プロセスは、カソード18を収容するための、電気分解チャンバ又は電気分解セルとも呼ばれ得るケース12を含む装置10内で行われ得、アノード16は、ケース12の壁の内面の少なくとも一部を形成し得る。合わせて、2つの電極は、それらの間に電気分解空間を画定する。当業者によって認められる通り、任意選択的に、アノード16は、ケース12の壁とは別個であり得る。ケース12は、電解質媒体21を収容するように構成される。電解質の上面21Aを含む電気分解空間Bは、炭素含有ガス源(図1でDとして示される)と流体連通し得る。本開示のいくつかの実施形態では、ケース12は、断熱材料で作られた絶縁されたハウジング20内に含まれ得る。絶縁されたハウジング20は、断熱材料で作られた又は作られていない頂部22又は側部若しくは底部(図示せず)も含み得、断熱材は、CO透過性断熱材、例えば高温織セラミックス又はほぼCO不浸透性の断熱材に由来し得る。透過性断熱材の例は、限定しないが、アルミナ及びシリカの酸化物から作られ、ジルコニアを含み得るMorgan Cerablanket(登録商標)、アルカリ土類ケイ酸塩から作られたMorgan Superwool(登録商標)を含み、両方とも1,200℃を上回る温度に対応する。ほぼCO不浸透性の断熱材の例は、幅広い範囲の利用可能な商業的耐火煉瓦又は現場打ち耐火セメント及びモルタルを含み、その例は、限定しないが、1,090℃を上回る温度に対応するBNZ Materials耐火煉瓦及び耐火セメント及びモルタル、例えばPA20及び23並びにBNZ2000、2300、23A、2600、26~60、2800、3000及び3200を含む。
【0018】
[0024] 炭素含有ガス源は、限定しないが、セメント製造プラント、鉄精製プラント、鋼製造プラント、アンモニア、エタノール、マグネシウム、水素、ポリマー、プラスチック、ガラスの1つ又は複数を作るか又は使用するプラント、廃水処理プラント、食品加工プラントを含む様々な工業用プラントであり得る。炭素含有ガス源は、内燃機関及び加熱又は調理のための炭素質材料の燃焼を含む化学反応器でもあり得る。発電プラントからの排出ガス、蒸気発生設備又は熱分解反応器も炭素含有ガス源であり得る。これらの源から又は任意の高カーボンフットプリント物質の製造で排出される炭素含有ガスも、CNM生成物を作るための炭素源に寄与し得るか又はそれを構成し得る。さらに、加熱、輸送のための化石燃料の燃焼又は変換のガス生成物及び炭素生成物、例えばポリマー及びプラスチックも、CNM生成物を作るための炭素源に寄与し得るか又はそれを構成し得る。
【0019】
[0025] 本開示のいくつかの実施形態では、アノード16は、平面構造、ワイヤ構造、スクリーン、多孔質構造、導電性プレート、平坦な又は折り畳まれたシム、コイル状構造として形成されるか、又はアノードは、ケース12の内側壁の少なくとも一部を形成し得る。アノード16は、アノード16が酸素発生であっても又はなくてもよいように、様々な導電性材料で形成され得る。このようなアノード形成材料は、限定しないが、安定した層を有するか又は確立する、本開示の実施形態によって実施される電気分解反応中に酸素製造を促す高度に安定的な酸化物外層を確立する任意の導電性材料、Ni、Ni合金、亜鉛めっきされた(亜鉛コーティング)鋼、チタン、黒鉛、鉄及び酸素製造を促す高度に安定的な酸化物外層を確立する幅広い種類の金属を含む。アノード16を形成するための好適な材料のさらなる例は、合金構成要素の共核生成が高品質CNTを製造することが知られているため、ニッケル合金36(クロムなしであるが、鉄を有するニッケル)、ステンレス鋼、例えばSS304又はSS316を含むニクロム(ニッケルクロム基合金)並びにインコネル合金、例えばインコネル600、625及び718、合金C-264又はニクロム、例えばクロメルA、B又はを含む。限定しないが、Ni、Cr、Sn、In、Fe及びMoを含む2成分系及び3成分系遷移金属核生成剤も有用であり得、同様にCNM生成物の成長に影響を及ぼし得る。
【0020】
[0026] 本開示のいくつかの実施形態では、遷移金属がアノード16に追加され得、これは、電解質媒体21を通してカソード18に移動するようにアノード16から溶解され得る。追加された遷移金属は、成核剤として機能し得、これは、ニッケル、鉄、コバルト、銅、チタン、クロム、マンガン、ジルコニウム、モリブデン、銀、カドミウム、錫、ルテニウム、亜鉛、アンチモン、バナジウムタングステン、インジウム、ガリウム又は非遷移金属、例えばゲルマニウム若しくはシリコン又は限定しないが、真鍮、モネル及びニッケル合金を含むその混合物から選択され得る。遷移金属は、カソード18上に移動するように電解質媒体21内に溶解された遷移金属塩としても直接導入され得る。遷移金属成核剤をカソード18上に直接追加することも可能である。
【0021】
[0027] 本開示のいくつかの実施形態では、カソード18は、平面構造、ワイヤ構造、スクリーン、多孔質構造、導電性プレート、平坦な又は折り畳まれたシム、シート、コイル状構造として形成されるか、又はカソードは、ケース12の内側壁の少なくとも一部を形成し得る。カソード18は、核生成ポイント及びカソード18に形成するCNM生成物のバリエーションの必要性を反映する様々な導電性材料で形成され得る。そのようなカソード形成材料は、限定しないが、任意の導電性材料、亜鉛めっきされた(亜鉛コーティング)鋼、チタン、黒鉛、鉄、銅及び亜鉛を含む合金、モネル(Ni400、Ni/Cu合金)、インコネル、ステンレス鋼、鉄、ニクロム、純粋Cuを含み、真鍮合金もカソード18を作るための材料として好適であり得る。
【0022】
[0028] アノード16及びカソード18は、ケース12、例えばステンレス鋼ケース又は実質的に純粋な若しくは純粋なアルミナで作られたケース内で互いに実質的に平行に整列され得る。ケース12は、溶融電解質媒体21を含み、及び装置10Aによって達成される温度を維持するのに好適な任意の材料で作られ得る。電極は、限定しないが、実質的に水平又は実質的に垂直を含む任意の向きに方向付けられ得るが、それらの間に電気分解空間Bを画定するように互いから間隔を空けて配される。本開示のいくつかの実施形態では、電気分解空間Bは、約0.1cm~約10cmである。本開示のいくつかの実施形態では、電気分解空間Bは、約1cmである。当業者によって認められる通り、電気分解空間Bの寸法は、装置10の規模、例えば各電極のサイズ、ケース内に画定されたプレナム、印加された電流の量及びこれらの組合せによって決まる。
【0023】
[0029] アノード16及びカソード18は、約0.001A/cm2~10A/cm2の電流密度を提供する、一定であるか又はないかのいずれかの交流又は直流の任意の電源であり得る電流源(図示せず)に動作可能に接続される。本開示のいくつかの実施形態では、電極間に提供される電流密度は、少なくとも0.02A/cm、0.05A/cm、0.1A/cm、0.2A/cm、0.3A/cm、0.4A/cm、0.5A/cm、0.6A/cm、0.7A/cm、0.8A/cm、0.9A/cm、1.0A/cm又はそれを上回る。電流源のための電力は、電源、ソーラー電源などを含む任意の電源又は電源の組合せであり得る。
【0024】
[0030] 熱源(図示せず)は、ケース12内の温度を、電解質媒体21を溶融相に移行させる温度まで上昇させる任意の熱源であり得る。例えば、熱源は、約500℃~約850℃又はそれを上回るケース12内の温度を達成し得る。本開示のいくつかの実施形態では、加熱は、約700℃~約800℃、約720℃~約790℃又は約750℃~約780℃の温度を達成する。本開示のいくつかの実施形態では、加熱は、749~750℃、751~752℃、753~754℃、755~756℃、757~758℃、759~760℃、761~762℃、763~764℃、765~766℃、767~768℃、769~770℃、771~772℃、773~774℃、775~776℃、777~778℃又は779~780℃の温度を達成する。本開示のいくつかの実施形態では、ケース12内の温度は、約800℃以上に上昇され得る。本開示のいくつかの実施形態では、熱源は、CO2吸収及び炭酸塩への変換(気相から固相CNM生成物への物質移動)の発熱反応又は印加された電気分解電流の過電圧によって提供又は補完される。
【0025】
[0031] 本開示のいくつかの実施形態では、電解質媒体は、溶融相に移行するまで熱源によって加熱され得る炭酸塩を含み得る。例えば、炭酸塩は、リチウム炭酸塩又はリチウム化炭酸塩であり得る。723℃の融点を有するリチウム炭酸塩(LiCO)などの溶融炭酸塩又は620℃の融点を有するLiBaCaCOなどの融点がより低い炭酸塩は、酸化物を含む場合、溶融時に生じるか又は電気分解の結果である自然発生的な酸化物の形成を含むか、又は高溶解性酸化物、例えばLiO、NaO及びBaOと混合されたとき、溶融電解質媒体より上の空間からのCOの迅速な吸収を維持する。好適な炭酸塩は、アルカリ炭酸塩及びアルカリ土類炭酸塩を含み得る。アルカリ炭酸塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム若しくはフランシウム炭酸塩又はその混合物を含み得る。アルカリ土類炭酸塩は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム若しくはラジウム炭酸塩又はその混合物を含み得る。本開示のいくつかの実施形態では、電解質は、混合された組成物、例えばアルカリ炭酸塩及びアルカリ土類炭酸塩並びに酸化物、ホウ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化化合物、塩素酸塩又はリン酸塩の1つ又は複数の混合物であり得る。
【0026】
[0032] 本開示の実施形態によると、カルバノゲルは、COの溶融炭酸塩電気分解分割によって形成される。カルバノゲルは、電気分解プロセスが止まった後に残るCNMネットワーク及び電解質の混合物を含む。興味深いことに、破砕後にカルバノゲルがCNMネットワークを維持し得るだけでなく、破砕された片は、バッキーペーパーを形成するために再び組み立てられ得る。電解質の一部、ほとんど、実質的に全て又は全ては、電解質を押圧するか、反応させるか又は洗い流すことによってバッキーペーパーから除去され得る。電解質あり又はなしで、破砕された片を押圧することは、「カルバノゲルバッキーペーパー」(CB)と呼ばれ得る切れ目のない層をもたらし得る。電解質の一部又は全ての除去後、カルバノゲルは、高純度炭素から構成されるCNMからなる。電解質の一部又は全ての除去後、CBは、内部空隙を画定する。例えば、CBは、CB中の空隙スペース、CB中のCNM表面上、CNM内(CNMの内部)又はこれらの組合せを画定し得る。本開示の目的上、「空隙」という用語は、電解質も他の物質も実質的にない、CB中の2次元又は3次元空間を意味する。
【0027】
[0033] 本開示のいくつかの実施形態では、CB中に画定された空隙は、空隙充填剤、例えば用途に基づく材料で部分的に、実質的に完全に又は完全に充填され得る。好適な空隙充填剤の例は、限定しないが、強化剤、触媒、ドーパント、薬剤又は電磁場(EMF)遮蔽剤を含む。強化剤は、限定しないが、エポキシ樹脂、樹脂及び他のポリマー、セメント質材料及び金属を含み得る。触媒は、限定しないが、化学的又は電気化学的反応を促進させるための材料を含み得る。ドーパントは、限定しないが、空隙内において少量でCBの物理的化学的特性に実質的に影響を及ぼす材料を含み得る。CBにおけるCNM構成要素は、限定しないが、強度、電気及び熱特性を含むCB特性をさらに高めるために、CB形成中に機械的、電気的又は磁気的に整列され得る。電気的及び/又は磁気的整列は、CB調製ステージ中に配向電場及び/又は磁場を印加することで達成される。磁気的CNMは、CNMを発生させるときに電気分解プロセス中に磁気材料、例えば金属又は金属炭化物を組み込むことによって調製される。CBシートは、例えば、裏張り、難燃性物質若しくはシールドにおいて単独で又は改良された特性をそれらの他の材料に与えるために、例えば、限定しないが、積層体などの他の材料との組合せで使用され得る。
【0028】
[0034] CNMの高い製造費は、主として高い反応剤及びエネルギー費用を原因とすることが既知である。いずれの特定の理論によっても制限されることなく、本開示の実施形態による溶融電気分解プロセスを使用してCOから製造されると、これらの製造費は、2桁低減され得る。
【0029】
[0035] 本開示のいくつかの実施形態は、CB製品222を作るためのシステム200に関する。図2の非限定的な例に示される通り、システム200は、カルバノゲルを製造するために溶融電解質中で二酸化炭素(CO2)を分割する電気分解プロセスを行うための装置210、型212及び圧縮ユニット214を含む。システム200は、本明細書において以下で説明される通りの本開示の方法を実施するために使用され得る。
【0030】
[0036] 本開示のいくつかの実施形態では、装置210は、本明細書において上記で説明された装置10と同じ又は同様であり得る。装置210は、溶融電解質中で炭素含有ガスを分割する電気分解プロセスを行うように構成される。その分割の生成物は、バルク又は残余電解質がその中にあるCNM生成物、すなわちカルバノゲル生成物とも呼ばれ得るカルバノゲルである。
【0031】
[0037] 型212は、低温の生成物又は高温の生成物としてのいずれかを問わず、カルバノゲル(図2で線Xによって示される)を受け取る器である。型212は、型212がその中にあるカルバノゲルに加えられ得る温度及び圧力に耐えるのに十分に堅牢である限り、様々な材料で作られ得、任意の形状及び寸法であり得る。CB製品222は、型212から受け取られ、任意選択的に、システム200は、CB製品222を、酸化力のある環境から保護するための絶縁ユニット224をさらに含み得る。絶縁ユニット224は、CB製品222を受け取り、酸素含有ガスなどのいずれの酸化剤も器内から例えば真空ポンプによって取り除き、及び器内の流体を不活性ガスなどの非酸素含有ガスと置き換えるための好適な寸法の流体密封器を含み得る。
【0032】
[0038] 圧縮ユニット214は、圧縮力を型212内のカルバノゲルに印加する様々な好適な構成要素、機構又は機械であり得る。圧縮力の大きさは、以下でさらに検討される通り、型212が受け取ったカルバノゲル粒子のサイズ及びカルバノゲルがどの程度電解質を含むかに依存して変化し得る。本開示のいくつかの実施形態では、圧縮機構214は、カルバノゲル(図2で線Yによって示される)を、フィルタを通して型212内で又は型212内に引き得る真空を含む。
【0033】
[0039] 本開示のいくつかの実施形態では、システム200は、冷却された又は高温のカルバノゲル生成物を、型212によって受け取られる前(又は受け取られた後)に破砕するための処理ユニット216をさらに含み得る。処理ユニット216は、カルバノゲルの温度に耐え得る様々な好適な構成要素、機構又は機械、例えば、限定しないが、グラインダ、ミンチユニット、物理的プレス、微粉砕ユニット、ミル又はこれらの任意の組合せであり得る。カルバノゲルの結果としての粒子サイズは、処理ユニット216によって行われる処理動作の程度によって決められる。
【0034】
[0040] 本開示のいくつかの実施形態では、システム200は、電解質低減ユニット218をさらに含み得る。電解質低減ユニット218は、冷却された又は高温のカルバノゲル生成物を装置210から直接受け取ることができ、及び/又はこれは、処理されたカルバノゲル生成物を処理ユニット216から受け取ることができる。電解質低減ユニット218は、(処理された又は処理されていない)カルバノゲル生成物の電解質含有量を低減させ、その結果、電解質含有量が減少したカルバノゲルが処理ユニット216で処理され得(又はさらに処理され得)、次いで型212に受け入れられる。代替的又は追加的に、電解質含有量が減少したカルバノゲルは、電解質低減ユニット218から型に受け入れられ得る。
【0035】
[0041] 電解質低減ユニット218は、(処理された又は処理されていない)カルバノゲルの電解質含有量を機械的方式、化学的方式、電気化学的方式又はこれらの任意の組合せによって低減させ得る。例えば、機械的方式は、カルバノゲルの電解質含有量を低減させ得る様々な好適な構成要素、機構又は機械、例えばカルバノゲルを、メッシュ若しくは篩を通すように押す機械プレス、カルバノゲル中の電解質を溶かすための加熱器、フィルタ(室温若しくは高温)又はこれらの任意の組合せを含み得る。カルバノゲルの電解質含有量を低減させるための化学的方式は、電解質を溶解させ得る1つ又は複数の化学物質にカルバノゲルを暴露するための1つ又は複数の洗浄ステーションを含む。電解質含有量を低減させることに加えて、1つ又は複数の化学物質は、カルバノゲル中のCNMから非晶質炭素又は金属などの不純物を溶解させるためにも加えられ得る。電気化学的方式は、カルバノゲルの電解質含有量及び/又は不純物含有量を低減させるための選択的電気分解を行うための装置を含む。
【0036】
[0042] 本開示のいくつかの実施形態では、システム200は、カルバノゲル(処理された及び/又は電解質が低減された若しくはされていない)及び/又はCB製品におけるCNM構成要素の少なくとも一部を整列させる整列ユニット220をさらに含み得る(図2の非限定的な例に示された通り)。整列ユニット220によって実施される整列手順が型内で行われるように、整列ユニット220は、型212に一体化され得る。代替的又は追加的に、整列ユニット220は、圧縮されていないカルバノゲル(処理された及び/又は電解質が低減された若しくはされていない)を受け取ることができ、整列手順を実施することができ、次いで整列したカルバノゲルを型212に移すことができる、型212とは別個の物理的構成要素であり得る。整列ユニット220は、CB製品中の整列したCMN構成要素が必要な異方性特性を有するように、機械的方式、電気的方式、磁気的方式又はこれらの任意の組合せの1つ又は複数を用いることができる。整列ユニット220は、配向物理的応力場をカルバノゲル中及び/又はCB製品中のCNM(処理された及び/又は電解質が低減された若しくはされていない)に印加することができる様々な好適な構成要素、機構又は機械による機械的方式を用い得る。例えば、機械的方式は、せん断力をカルバノゲル中のCNM生成物に印加することができる。せん断力は、本体、例えばピストンを、カルバノゲル中及び/又はCB製品中のCNM(処理された及び/又は電解質が低減された若しくはされていない)を通して引くか、回転させるか又は引くことによって印加され得る。代替的に、CNM整列ではなく、CNMの絡み合いを増加させるためにせん断力が直接印加される。
【0037】
[0043] 整列ユニット220は、配向電場をカルバノゲル中及び/又はCB製品中のCNM(処理された及び/又は電解質が低減された若しくはされていない)に印加し得る様々な好適な構成要素、機構又は機械によって電気的方式を用い得る。
【0038】
[0044] 整列ユニット220は、配向磁場をカルバノゲル中及び/又はCB製品中のCNM(処理された及び/又は電解質が低減された若しくはされていない)に印加し得る様々な好適な構成要素、機構又は機械によって磁気的方式を用い得る。
【0039】
[0045] 本開示のいくつかの実施形態では、整列ユニット220は、CNMの方向性のある整列を増加させるよりむしろ低減させ、したがってCB製品の任意の異方性特性の減少のために使用され得る。
【0040】
[0046] 図3は、カルバノゲルを受け取るステップ102、カルバノゲルを型内に配置するステップ104、カルバノゲルを圧縮するステップ108及びCB製品を回収するステップ110を含むものとして、CB製品を作る方法100のステップを示す。図4は、方法100のステップの多くと、本明細書において上記で説明された電気分解プロセスによってカルバノゲルを発生させるステップ101及びカルバノゲルの電解質含有量を処理するステップ103及び/又は低減させるステップ105のさらなるステップとを含む方法100Aを示す。
【0041】
[0047] 受け取るステップ102について、カルバノゲルは、本明細書において上記で説明された電気分解プロセスを使用して発生され得、これは、発生のステップ101と呼ばれ得る。発生したカルバノゲルは、COの溶融電気分解分割中にカソードで成長したCNMの絡まった生成物を含む。発生させるステップ101、上述の電気分解プロセスの動作パラメータを選択的に制御することにより、発生したカルバノゲルは、カルバノゲル中のCNMの望ましい形態のより大きい相対的な量を有し得る。例えば、電気分解プロセスは、カルバノゲルのCNM内のナノカーボン構造の他の形態と比べて、球状ナノカーボン、中実及び中空ナノオニオン、円筒形同素体のナノカーボン、平面同素体、らせん状同素体、カーボンナノチューブ(CNT)、ナノファイバー、グラフェン、ナノプレートレット、ナノスキャフォールド、ナノツリー、ナノベルト、ナノフラワー、ナノドラゴン、ナノツリー、ナノロッド、表面修飾若しくは金属被覆CNM、図形的特徴若しくは特性のない非晶質ナノカーボン又はこれらの任意の組合せの相対的な量を増加させるように制御され得る。
【0042】
[0048] CNM生成物を含む発生したカルバノゲルは、カルバノゲルを冷却、剥離することを可能にすること若しくは冷却されたカソード18からカルバノゲル片を折り取ること、カルバノゲルを破砕すること又はこれらの任意の組合せを含むカルバノゲル処理のステップ103に受け入れられ得る。代替的に、処理するステップ103において、CNM生成物を含むカルバノゲルは、カソード18から依然として高温であり、高温の溶融電解質を含む間に抽出され得、次いで高温のカルバノゲルを破砕すること又は本明細書で説明された方法の他のステップに供される。したがって、受け取るステップ102は、冷却された及び固体の又は高温の及び粘度のある流体カルバノゲルのものであり得、これは、さらなる処理を受けても又は受けなくてもよい。
【0043】
[0049] 本開示の実施形態によると、処理するステップ103は、限定しないが、研削、ミンチ、押圧、微粉砕、フライス処理又はこれらの組合せを含む破砕技術などの様々な方式によって実施され得る。カルバノゲル中のカルバノゲル材料の結果としての粒子サイズは、破砕の程度によって決められる。さらに、結果としてのカルバノゲル粒子サイズは、CB製品の最小厚さを制約し得る。さらなる及び/又はより厳密な破砕は、処理するステップ103がより短い時間及び/又はより低い厳密さで実施されるシナリオと比較して、より小さいカルバノゲル粒子サイズ、したがってより薄いCB製品をもたらす。
【0044】
[0050] 本開示のいくつかの実施形態では、カルバノゲルの電解質及び不純物含有量は、低減させるステップ105によって低減され得る。限定されることなく、低減した不純物は、非黒鉛炭素、例えば非晶質炭素及び金属又はこれらの組合せを含み得る。電解質及び又は不純物の一部、ほとんど、実質的に全て又は全ては、化学的、機械的又は電気化学的方式でカルバノゲルを押圧するか、反応させるか又は洗浄することによってカルバノゲルから除去され得る。例えば、低減させるステップ105のための機械的方式は、特定の孔サイズのメッシュなどの選別デバイスを通して電解質をカルバノゲルから物理的に強制的に出すために、物理的圧力をカルバノゲルに印加することを含み得る。機械的方式は、電解質フロー及び分離を円滑にするために、温度を電解質の融点より高くに調整することも含み得る。アルカリ及びアルカリ土類炭酸塩電解質の融点は、溶融三元共晶Li、Na、K炭酸塩のための400℃未満からカリウム炭酸塩のための891℃にわたる。印加される圧力は、0~1000ポンド毎平方インチ(psi)、1000~2000psiに及び得るか又は2000psi以上であり得る。代替的又は追加的に、低減すること105は、化学的方式を含み得、カルバノゲルは、1つ又は複数の化学物質に暴露されて反応を引き起こし、それによりカルバノゲルの電解質含有量が低減する。例えば、洗浄液がカルバノゲルを洗浄するために使用され得、洗浄液は、カルバノゲル粒子からの残余の又はバルク電解質の一部を溶解させ得る。洗浄液は、中性pH液体、例えば水若しくは食塩水溶液又は溶融電解質の溶解を促進し得る酸性若しくはアルカリ性溶液、例えばギ酸若しくは塩酸又はアンモニア硫酸塩、酸化性溶液、例えばパーマグネイト若しくは過酸化物又は有機溶媒或いはこれらの任意の組合せを含み得る。電解質を低減させることに加えて、洗浄液は、CNMから不純物、例えば非晶質炭素又は金属を溶解させるために適用され得る。本開示のいくつかの実施形態では、カルバノゲルの電解質含有量は、室温濾過及び/又は高温濾過によって低減され得る。カルバノゲルの電解質含有量を低減させる105ためのさらなる方式は、限定しないが、篩過及び濾過などの機械的方式、電気化学的手段、例えば選択的電気分解、熱的手段、例えばあまり安定的でない非晶質炭素の燃焼による酸化的除去がCNM不純物を取り除くために施されるか、又はこれらの任意の組合せを含む。カルバノゲルの電解質含有量を低減させることは、カルバノゲルにおけるCNMの相対的な割合を増加させ得、これは、CB製品を形成するために必要とされる圧力を低下させ得る。本開示のいくつかの実施形態では、カルバノゲルの電解質及び/又は不純物含有量を低減させるステップ105は、処理された又は処理されていないカルバノゲルに1回又は2回以上実施され得る。
【0045】
[0051] 配置するステップ104中、カルバノゲルは、型、例えば型212内に配置され得、次いで処理するステップ103及び/又は低減させるステップ105が行われ得る。代替的に、処理するステップ103及び/又は低減させるステップ105は、型とは別の器で行われ得、次いで、処理された及び/又は電解質及び/又は不純物低減カルバノゲルは、型内に配置され得る。対応して、図4では、配置するステップ104、及び処理するステップ103、及び低減させるステップ105の順番の互換性を表すために両矢印が使用される。型の形状は、決して限定されないCB製品の最終形状を決定する。本開示のいくつかの実施形態では、型は、CB製品の実質的に平面のシートを作るために、頂部と底部とを備えて実質的に平坦であり得る。本開示の他の実施形態では、型は、CB製品が同様の3D形状を有するように望ましい3次元(3D)形状を有し得る。3D型は、実質的にいずれの形状でもあり得る。
【0046】
[0052] 驚くべきことに、圧縮圧力下において、カルバノゲル粒子は、切れ目のないシートを形成するように集合し得る。薄膜状の破砕されたカルバノゲル粒子のいくつかの層又はより大きいカルバノゲル粒子の1つ又は複数の層は、CB製品を作るために圧縮するステップ108を受け得る。例えば、圧縮108に続いて、約25μmの大きさにされた破砕されたカルバノゲル粒子の1つの層は、約25μmであるが、25μm未満の厚さであるシートを形成する。一方で、25μmの大きさにされたカルバノゲル粒子の4つの層は、約100μmであるが、100μm未満の厚さであるシートを形成する。同様に、100μmの大きさにされたカルバノゲル粒子の1層は、約100μmであるが、100μm未満の厚さであるシートを形成する。
【0047】
[0053]カルバノゲルを圧縮するステップ108及びカルバノゲルに熱を加え107、圧力を印加し109、沈殿が生じることを可能にし、及び/又は濾過する、例えば真空濾過する111ステップ並びに整列させる113ステップ又はこれらの任意の組合せは、望ましいCB製品の形成を確実にするために2回以上繰り返され得る。様々な条件下において、圧力を印加するステップ109は、約1~約1,000psi、約1,000~約2,000psiの圧力を印加することを含み得るか、又はCB製品を形成するために、2,000psiを上回る圧力がカルバノゲル粒子に印加され得る。これらの範囲の上端以上の圧力を印加すること109は、室温で安定的なCB製品のシートを形成するために必要とされ得る。CB製品のこれらの安定的なシートは、次いで、カルバノゲル粒子内又は中の残余電解質を溶融させるために十分な温度まで、任意選択的に型において加熱のさらなるステップ107を受け得る。残余電解質を溶融させるために必要とされる温度は、電解質組成に依存する。一般に、カルバノゲル粒子は、分解する傾向があり、カルバノゲルのCNM容量の少なくとも一部は、900℃を上回る温度で一酸化炭素(CO)に変わる。しかし、いくつかのCNM構造は、高いCOガス圧力の存在下において約1000℃の温度でカルバノゲル中に維持され得る。例えば、純粋なLiCO、NaCO又はKCO電解質は、それぞれ約723℃、851℃及び891℃の融点を有する一方、LiCO及びNaCOの混合物は、約700℃未満の温度で溶解することができ、LiNaCO共晶混合物は、399℃で溶解する。したがって、加熱のステップ107は、高圧COの存在下において約0℃~約1000℃又は約15℃~約900℃若しくは約399℃~約850℃のより狭い範囲で生じ得る。
【0048】
[0054] CB製品が電解質含有量のほとんど、実質的に全て又は全てを除去されると、CB製品は、電解質によって提供される保護を失う。したがって、CNM生成物の酸化損失を防ぐためにケア、例えば、限定しないが、CB製品を酸素含有大気から隔離する112又は無酸素保護ガス、例えばCB製品を酸化させることも、CB製品と反応することもない不活性ガスを加える任意選択的なステップが必要とされ得る。このような不活性ガスの非限定的な例は、窒素、アルゴン又は価電子が完全に補完された気体の混合物を含む。
【0049】
[0055] いずれの特定の理論によっても制限されることなく、方法のステップ100及び方法100Aは、カルバノゲル粒子をCBの切れ目のないシートになるように組み立てるための駆動力を提供するために、融合した残余電解質又はバルク電解質(低減させるステップ105が実施されるかどうか、及びどの程度実施されるかに依存して)をCNM構造間のファンデルワールスと組み合せ得る。
【0050】
[0056] 上述の通り、CB製品は、空いたままにされ得る空隙を画定し得る。代替的に、これらの空隙は、用途に基づく材料、例えば強化剤、触媒、ドーパント、磁気材料、医薬品又はEMF遮蔽増強剤で部分的に、実質的に完全に又は完全に充填され得る。同様に、CNM生成物を作るための電気分解プロセスを使用した発生させるステップ101中、CNM自体は、強化剤、触媒、ドーパント、磁気材料、医薬品又はEMF遮蔽増強剤で修飾され得る。
【0051】
[0057] CB製品の空隙スペースに含まれ得る強化剤は、限定しないが、エポキシ樹脂、樹脂及び他のポリマー、セメント質材料、金属及び合金を含み得る。空隙スペースに含まれ得る触媒は、限定しないが、化学的又は電気化学的反応を促進させるための材料を含み得る。空隙スペースに含まれ得るドーパントは、限定しないが、ホウ素、窒素、硫黄、リン及びコバルト、アルミニウム、シリコン、銅、銀、亜鉛、セリウム、白金、金、ルテニウム、オスミウム、テルル、それらのそれぞれの酸化物、塩、これらの組合せ及びCNMの構造に組み込まれ、対的量が少ないときにCNM及びそれから作られるカルバノゲルバッキーペーパーの物理的及び化学的特性に実質的に影響を及ぼす他の材料を含み得る。組み込まれると、ドーパントは、限定しないが、伝導性、触媒活性及び蓄電池容量を含む特性を高め得る。CB製品の空隙スペースに含まれ得る磁気材料は、限定しないが、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、サマリウム、ネオジム、鋼又はそれらの炭化物及び強磁性、常磁性、反磁性を備えた1つ又は複数の磁気材料を含む他の合金並びにこれらの任意の組合せの1つ又は複数を含む。改良されたCB製品の磁気特性は、可撓性磁石、磁気記憶及び磁気的遮蔽のための用途を含む。
【0052】
[0058] バッキーペーパー製品を製造するための既知のプロセスは、バッキーペーパー製品中でのCNM構成要素の均一的な分布を提供するために、分散ステップ、例えば超音波処理を必要とする。対照的に、本開示の実施形態によると、及びいずれの特定の理論によっても制限されることなく、カルバノゲル中のCNM及び/又はCB製品は、既に均一的に分布していてもよい。したがって、本開示の実施形態は、そのようなCNM分散ステップを必要としないが、このステップは、他の添加剤への混合又は品質制御のために追加され得る。本開示の実施形態では、分散させるよりむしろCNMを整列させるための力を印加するステップは、本開示の実施形態で追加的に用いられる。追加的に、液体は、カルバノゲル粒子のより均一な層形成を維持するために、印加するステップ108前に追加され得る。整列113のこれらのステップは、CB製品に配向、異方性特性を与えることができ、整列113のステップは、改良された特性もCB製品に提供する。例えば、与えられた方向性のある異方性特性は、整列ステップ113を受けない本開示の他のバッキーペーパー製品及びCB製品と比較して、限定しないが、可視及び他の電磁放射線に対する改良された強度、伝導性及び方向性のある相互作用を提供し得る。整列113のステップは、カルバノゲル中の異方性の線形、放射状、円筒形、球状又は他の方向性のある幾何学形状を生じさせるために、1つ又は複数の整列力、例えば線形、放射状、円筒形、球状の力又は他の幾何学形状の力を印加することを含み得る。
【0053】
[0059] 整列113のステップは、方法100、100A中、カルバノゲル及び/又はCB製品におけるCNM構成要素に機械的、電気的、磁気的又はこれらの任意の組合せで施され得る。機械的整列による整列113のステップは、例えば、処理するステップの1つ又は複数の間に引く又は回転させること又はカルバノゲル中及び/又はCB製品中のCNMに形成圧力を印加するためにピストンを引くことにより、せん断力を印加することによって達成され得る。代替的に、せん断力は、CNM整列よりもむしろCNMの絡み合いを増加させるために方向性をもって印加され得る。
【0054】
[0060] 電気的整列による整列113のステップは、方法100、100A中にカルバノゲル中及び/又はCB製品中のCNMに配向電場を印加することによって達成され得る。磁石整列による整列113のステップは、方法100、100A中に配向磁場を印加することによって達成され得る。発生させるステップ101の動作パラメータは、電気分解プロセスが磁気CNMを作り出すように選択され得る。例えば、動作パラメータは、電気分解プロセス中に金属又は金属炭化物を加えるように選択され得る。いずれの特定の理論によっても制限されることなく、磁気整列中の電場よりもむしろ磁場の距離の減少は、温度及び運動の自由度の上昇と共に増加し、分子量及び粘度の増大と共に減少するブラウン運動の競合するランダムな無秩序を原因として、電気的整列中よりも多くオフセットされ得る。したがって、整列113のステップは、温度の低下及びカルバノゲルの粘度の増大によって改良され得る。
【0055】
[0061] 図5は、COから作られたCBの第1の例である。例は、全体として黒色であり、図は、コントラストを強調するために明るくされた。第1のCB例は、COをカルバノゲルに変換するために電気分解を使用して作られた。カルバノゲルは、CNTカルバノゲル生成物を製造するムンツ真鍮カソード及びステンレス鋼304アノードを備えた750℃のLiCO溶融電解質で鋼ステンレスケース304を使用して装置10で作られた。カルバノゲルは、カソードがモネル又はNi合金、例えばインコネル、ニクロム及びNi-鉄及びNi-銅合金に変えられ、アノードがインコネル、ニクロム並びにNi-鉄及びNi-銅合金に変えられた場合にはCOCNT生成物からも作られた。0.2グラムのこのカルバノゲル生成物は、塩酸(HCl)で清浄にされ、300mLのイソプロピルアルコール中で混合され、次いで均一な分散のために超音波で30分間分解された。混合物は、次いで、真空フィルタ組立体(ナイロンメンブレンフィルタ、0.2μm孔、47mm直径)に注ぎ込まれ、液体は、真空下で引き出されており、幅広いフィルタ孔サイズ及び溶媒が、この方法によってカルバノゲルに変換されるCOからバッキーペーパーを形成するために有効であることが分かっている。CNTは、形成中のCBにおいて混合された向きを有していたか、又は液体(アルコール)除去ステージ中に機械力、電場又は磁場が加えられると整列された。全ての認識可能なアルコールがフィルタを通過すると、フィルタは、取り出され、室温で一晩乾燥された。結果としてのCBがナイロンメンブレンフィルタから除去され、180μmの厚さを有した。
【0056】
[0062] 図6は、COから作られるCBの第2の例である。例は、全体として黒色であり、図は、コントラストを強調するために明るくされた。図6のCB例は、先行する例に記載のカルバノゲルに変換されたCOから作られたが、化学的洗浄の代わりに、カルバノゲルの電解質含有量は、圧縮によって低減された。具体的には、カルバノゲルは、カソードで発生され、次いで高温で固体CNM及び溶融電解質の両方を含んだままでメッシュ又はメッシュの層を通して圧縮された。図6におけるCBを製造するために、750℃で500psiの圧力が使用された。1000psi以上の圧力が印加されると、同様であるが、より薄いCBが製造されたが、500psi未満の圧力が印加されると、より厚いCBが製造された。図6に示されたCBは、約350mmの直径を有し、500psiの圧力を印加して約2倍大きいものも作られた。カルバノゲルはまた、高温カソード(ケースからの除去後)に高温カソードで直接圧縮されているか、又は本例の通りにカソードからの移動後に圧縮された。カルバノゲルは、高温である間に移動され得るか、又は本例の通りにカソードからの移動後の処理(例えば、カルバノゲル中の電解質を再溶融するための冷却、剥離、破砕及び再加熱)後に移動され得る。線数毎インチの単位で測定される圧縮に使用されるスクリーンメッシュサイズは、生成物から電解質を低減させるように2~100のメッシュサイズ若しくは100~1,000のメッシュサイズ又は1,00線数毎インチを上回るメッシュサイズで変化する。約250μmの孔サイズを備えた約60のメッシュサイズが、様々なより大きいサイズに加えて特に有効である。250μmの孔サイズは、CB中のCNMのナノ物質の寸法よりはるかに大きいことに留意されたい。いずれの理論にも拘束されることなく、電解質がメッシュを通過する一方、カルバノゲルにおける混じり合ったCNMのより大きいサイズがメッシュによって保持されるため、CO転換バッキーペーパーが圧縮中に形成される。結果としてのCBは、カルバノゲルの初期の質量に線形比例し、印加された圧力におよそ反比例する厚さを有する。
【0057】
[0063] 図7は、洗浄によって電解質が低減したカルバノゲルの例であり、走査型電子顕微鏡、SEMによって測定される通り、720倍及び8600倍の2つの異なる倍率で示される。この例は、先行する例でCO2電気分解によって調製されたCNTカルバノゲルのものである。カルバノゲルを含む混じり合ったCNMの大きい粒子サイズは、図7の半分で明らかである。これは、第1の例における大きい0.2Mm孔サイズ又は第2の例にける250μmのサイズのメッシュサイズである。これは、図7の下部分におけるカルバノゲル材料のナノ物質寸法にもかかわらず、カルバノゲルが微細な抑制フィルタから容易に形成されることを可能にする。電気分解に続いて、カルバノゲルは、冷却されたカソードから剥離され、砕かれた。濃縮されたHClでの洗浄に続いて砕かれて片になったカルバノゲルが図7のSEM画像に示され、CNTの高純度及び様々な方向におけるそれらの向きが明らかである。希釈HCl酸での代替的な洗浄も、同様に、電子分散型分光法、EDS及び熱重量解析、TGAによって測定された通り、電解質及び金属不純物を洗い流した。水又はギ酸のいずれかでの代替的な洗浄は、主に余剰の電解質を除去したのみであり、金属不純物を除去しなかった。水、又はギ酸、又はアンモニウム硫酸塩のいずれかでの代替的な洗浄は、主に余剰の電解質を除去し、金属不純物を除去しなかった。組み合された塩酸及び水素過酸化物での別の代替的な洗浄、この場合、濃縮されたHCl及び35%H2O2の溶液におけるカルバノゲルの混合よりもむしろ超音波による分解は、余剰の電解質、金属不純物及びさらに非晶質炭素不純物を除去する。同様に、他の化学的酸化剤、例えば塩酸及びカリウムパーマグネイトが十分な希釈化で有効であることが観察され、電気化学的に発生された酸化剤が発生した。カーボンナノチューブと比較して、非晶質炭素のTGAでのより低い燃焼温度によって測定される通り、非晶質炭素は、より堅牢な積層型グラフェンCNT構造よりも酸化し易く、化学的、電気化学的又は熱酸化によって不純物として除去され得る。カルバノゲルの不純物含有量を低減させるさらなる例として、カルバノゲルは、質量損失によって測定される通り、HCl洗浄に続いて300℃に加熱され、TGAにより、SEMによって測定される通り、非晶質炭素不純物を大部分除去し、カルバノゲルを含むCNTを保持する。
【0058】
[0064] 本開示の実施形態によって作られるCB製品は、様々な用途、例えば、限定しないが、裏張り、難燃性物質又はシールドで使用され得る。しかしながら、本開示のCB製品は、限定しないが、他の非CB材料を備えたCB製品の少なくとも1つの層などを含み、それらの他の非CB材料に向上した特性を与える積層体などの複合材料の構成要素としても使用され得る。例えば、バッキーペーパー及びバッキーペーパーで作られた複合材料は、熱、機械、電気、磁気、光又は化学的活性条件下で形状記憶特性を呈し、この特性は、CB製品の1つ又は複数の層及び非CB材料の1つ又は複数の層を含む積層体製品に与えられ得る。この形状記憶効果は、上述の通り、CB製品において異方性特性を含むことによって促進される。さらに、CB製品の電気及び熱伝導性は、加熱要素又はラジエータ用途で使用される場合、優れた特性を提供し得る。
【0059】
[0065] カルバノゲルの優れたCNM特性を特に活用するCBバッキーペーパー製品の他の用途は、限定しないが、(a)高速であり、安全であり、及び迅速な変更のための軽量ツーリング用途、(b)より良好な穿孔、衝撃及び/又は鋸引きのためのより硬い工具、(c)熱管理がより良好な工具、(d)超強力で折り曲げ可能な材料、(e)繊維及び布地の前駆体として、(e)CNMの輸送及び送達のため及びCOの一般的な金属イオン封鎖のための高密度貯蔵パケットとして、(f)超軽量、超吸収スポンジ、(g)複合材料のための積層体シートとして、(h)バリスティック又はEMF遮蔽のため、(j)構造中の孔に浸透することによって大量のCNMを有する複合材料を作るため、(k)パラシュート及びドラッグエンハンサー、(l)カーボンナノ材料のバルク特性を研究するためを含む。
【0060】
[0066] 本開示の実施形態によって作られるCB製品の他の使用は、限定しないが、(i)構造及び電気エネルギー貯蔵、又は(ii)構造及び熱エネルギー貯蔵、(iii)構造のため及び電気導管又はワイヤとして、(iv)構造のため及び材料性能のリアルタイムデータを取集するためのひずみ又は安全センサとして、(v)構造として及び触媒として機能すること、(vi)構造のため及び熱導管としてなど、重量、材料コスト/使用される材料を追加的に低減させ、及び/又は容量を増加させる二重使用を提供する構造材料など、2つ以上の優れたCNM特性の利点を組み合わせた製品を含む。例えば、火災が懸念される用途において、高熱を拡散させるための放熱部材で使用されることによって安全性を高めるための、本開示の実施形態によって作られたCB製品の用途及び使用もある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】