(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】エア・ギャップを有する磁気トンネル接合デバイス
(51)【国際特許分類】
H10B 61/00 20230101AFI20240614BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20240614BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20240614BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
H10B61/00
H01L29/82 Z
H10N50/10 Z
H01L21/90 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565166
(86)(22)【出願日】2022-05-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 CN2022091542
(87)【国際公開番号】W WO2022252918
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】コタンドラマン、チャンドラセカーラン
(72)【発明者】
【氏名】マーチャック、ナタン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ハシェミ、ポウヤ
【テーマコード(参考)】
4M119
5F033
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA19
4M119AA20
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4M119BB20
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5F092CA20
(57)【要約】
磁気トンネル接合スタックと、磁気トンネル接合スタックの上方に位置合わせされた金属ハード・マスクと、金属ハード・マスクを囲むエア・ギャップとを含む半導体デバイス。磁気トンネル接合スタックを形成することと、磁気トンネル接合スタックの上方に位置合わせされる金属ハード・マスクを形成することと、金属ハード・マスクおよび磁気トンネル接合スタックの上に誘電体をコンフォーマルに形成することと、誘電体の垂直側面上にバリアを形成することと、金属ハード・マスクとバリアとの間の誘電体を除去することとを含む方法。磁気トンネル接合スタックを形成することと、磁気トンネル接合スタックの上方に位置合わせされる金属ハード・マスクを形成することと、金属ハード・マスクおよび磁気トンネル接合スタックの上に誘電体をコンフォーマルに形成することと、金属ハード・マスクを囲む誘電体の一部を選択的に除去することとを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
磁気トンネル接合スタックと、
前記磁気トンネル接合スタックの上方に位置合わせされた金属ハード・マスクと、
前記金属ハード・マスクを囲むエア・ギャップと
を備える半導体デバイス。
【請求項2】
前記エア・ギャップを囲むバリアをさらに備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記バリアがタンタル窒化物(TaN)を含む、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記バリアを囲む誘電体をさらに備える、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記誘電体がシリコン酸化物を含む、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記エア・ギャップの上面を形成する誘電体をさらに備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記エア・ギャップを囲む誘電体をさらに備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記誘電体がテトラエチルオルトシリケート、Si(OC
2H
5)
4(TEOS)を含む、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
磁気トンネル接合スタックを形成することと、
前記磁気トンネル接合スタックの上方に位置合わせされる金属ハード・マスクを形成することと、
前記金属ハード・マスクと前記磁気トンネル接合スタックの上に誘電体をコンフォーマルに形成することと、
前記誘電体の垂直側面上にバリアを形成することと、
前記金属ハード・マスクと前記バリアとの間の前記誘電体を除去することと
を含む方法。
【請求項10】
前記誘電体がシリコン窒化物を含み、前記バリアがタンタル窒化物を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記磁気トンネル接合スタックと、前記金属ハード・マスクと、前記バリアとを囲む第2の誘電体をコンフォーマルに形成することをさらに含み、前記金属ハード・マスクと前記バリアとの間にキャビティが残る、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の誘電体が前記キャビティの上面を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属ハード・マスクおよび前記磁気トンネル接合スタックの上方に、前記金属ハード・マスクおよび前記磁気トンネル接合スタックに位置合わせされるビットラインを形成することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
磁気トンネル接合スタックを形成することと、
前記磁気トンネル接合スタックの上方に位置合わせされる金属ハード・マスクを形成することと、
前記金属ハード・マスクおよび前記磁気トンネル接合スタックの上に誘電体をコンフォーマルに形成することと、
前記金属ハード・マスクを囲む前記誘電体の一部を選択的に除去することと
を含む方法。
【請求項15】
前記誘電体がシリコン窒化物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記誘電体の上に絶縁体をコンフォーマルに形成することと、
前記金属ハード・マスクを囲む前記絶縁体の一部を選択的に除去することと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記絶縁体がテトラエチルオルトシリケート、Si(OC
2H
5)
4(TEOS)を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記磁気トンネル接合スタックおよび前記金属ハード・マスクの上に第2の誘電体をコンフォーマルに形成することをさらに含み、前記金属ハード・マスクと前記誘電体との間にキャビティが残る、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の誘電体が前記キャビティの上面を形成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属ハード・マスクおよび前記磁気トンネル接合スタックの上方に、前記金属ハード・マスクおよび前記磁気トンネル接合スタックに位置合わせされるビットラインを形成すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体製造分野に関し、より詳細には、エア・ギャップを有する磁気トンネル接合デバイスの作製に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(「MRAM」:magnetoresistive random-access memory)デバイスは、不揮発性コンピュータ・メモリとして用いられる。MRAMのデータは磁気記憶素子によって記憶される。この素子は、それぞれが磁場を保持することができる2つの強磁性層から形成され、薄い絶縁層すなわちトンネル層で隔てられている。2つの層のうち1つは、特定の極性に設定された基準マグネット(reference magnet)または基準層(reference layer)であり、残りの層の磁場は、外部磁場の極性と一致するように変化して記憶を蓄積することができ、「自由マグネット(free magnet)」または「自由層(free-layer)」と呼ばれる。この構成は磁気トンネル接合(MTJ:magnetic tunnel junction)として知られ、メモリのMRAMビットとして最も単純な構造である。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態によれば、半導体デバイスが提供される。磁気トンネル接合スタックと、磁気トンネル接合スタックの上方に位置合わせされた金属ハード・マスクと、金属ハード・マスクを囲むエア・ギャップとを含む半導体デバイスである。
【0004】
一実施形態によれば、方法が提供される。本方法は、磁気トンネル接合スタックを形成することと、磁気トンネル接合スタックの上方に位置合わせされる金属ハード・マスクを形成することと、金属ハード・マスクおよび磁気トンネル接合スタックの上に誘電体をコンフォーマルに形成することと、誘電体の垂直側面上にバリアを形成することと、金属ハード・マスクとバリアとの間の誘電体を除去することとを含む。
【0005】
一実施形態によれば、方法が提供される。本方法は、磁気トンネル接合スタックを形成することと、磁気トンネル接合スタックの上方に位置合わせされる金属ハード・マスクを形成することと、金属ハード・マスクおよび磁気トンネル接合スタックの上に誘電体をコンフォーマルに形成することと、金属ハード・マスクを囲む誘電体の一部を選択的に除去することとを含む。
【0006】
本発明のこれらのおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面と関連して読まれる例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図面の様々な特徴は、図が、当業者が本発明を詳細な説明と併せて明快に理解することを促進するためにあるので、正確な比率ではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的な一実施形態による、作製の中間段階における半導体構造体の断面図である。
【
図2】例示的な一実施形態による、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(「MRAM」)スタック層およびハード・マスク堆積の作製を示す図である。
【
図3】例示的な一実施形態による、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(「MRAM」)スタックの形成を示す図である。
【
図4】例示的な一実施形態による、誘電体およびハード・マスクの形成を示す図である。
【
図5】例示的な一実施形態による、ハード・マスクの一部の選択的除去を示す図である。
【
図6】例示的な一実施形態による、誘電体の一部の選択的除去を示す図である。
【
図7】例示的な一実施形態による、層間絶縁膜の形成を示す図である。
【
図8】例示的な一実施形態による、層間絶縁膜の形成を示す図である。
【
図9】例示的な一実施形態による、ビットラインの形成を示す図である。
【
図10】例示的な一実施形態による、ビットラインの形成を示す図である。
【
図11】例示的な一実施形態による、代替の実施形態を示す図である。
【
図12】例示的な一実施形態による、誘電体の形成を示す図である。
【
図13】例示的な一実施形態による、誘電体の一部の選択的除去を示す図である。
【
図14】例示的な一実施形態による、層間絶縁膜の形成を示す図である。
【
図15】例示的な一実施形態による、層間絶縁膜の形成を示す図である。
【
図16】例示的な一実施形態による、ビットラインの形成を示す図である。
【
図17】例示的な一実施形態による、ビットラインの形成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図解を簡単かつ明快にするために、図に示された要素は必ずしも正確な比率に描かれていないことを理解されたい。例えば、要素の一部の寸法は、明快にするために、他の要素と比較して誇張されていることがある。さらに、適切と考えられる場合には、対応するかまたは類似する特徴を示すために、図の間で参照番号が繰り返されることがある。
【0009】
特許請求される構造体および方法の詳細な実施形態が本明細書に開示されているが、開示される実施形態は、様々な形態で具体化され得る特許請求された構造体および方法の単なる例示に過ぎないことが理解され得る。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定して解釈されるべきでない。本明細書において、よく知られた特徴および技術の詳細は、提示される実施形態を不必要に不明瞭にすることを避けるために省略されることがある。
【0010】
本明細書における「ある実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「例示的な一実施形態(an example embodiment)」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示すが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むとは限らない。さらに、このような表現は必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が一実施形態に関連して記述されている場合、明示的に記述されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることを付言する。
【0011】
層、領域、または基板としての要素が、別の要素の「上に(on)」または「真上に(over)」存在するものと考えられる場合、その要素は別の要素の上に直接存在することができるし、介在要素が存在してもよいことが理解されよう。これに対し、ある要素が別の要素の「直接上に(directly on)」または「直接真上に(directly over)」あると考えられる場合、間に介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続」または「結合」されていると考えられる場合、その要素は別の要素に直接接続または結合され得るし、介在要素が存在してもよいということも理解されよう。これに対し、ある要素が別の要素に「直接接続されている(directly connected)」または「直接結合されている(directly coupled)」と考えられる場合、介在する要素は存在しない。
【0012】
本発明の実施形態の提示を不明瞭にしないために、以下の詳細な説明において、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは操作が、提示および説明の目的で一緒に組み合わされている場合があり、場合によっては詳細に説明されていないことがある。他の例では、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは操作については、全く説明されないことがある。以下の説明は、むしろ本発明の様々な実施形態の顕著な特徴または要素に焦点を当てていることが理解されるべきである。
【0013】
上述のように、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(「MRAM」)デバイスは、不揮発性コンピュータ・メモリ技術である。MRAMのデータは磁気記憶素子によって記憶される。これらの素子は、それぞれが磁場を保持することができる2つの強磁性層から形成され、薄い絶縁層またはトンネル層で隔てられている。2つの層のうちの1つは特定の極性に設定された磁気基準層であり、残りの層の磁場は少なくとも2つの異なる方向に変化してメモリ・アプリケーションの0と1などの異なるデジタル状態を表現することができる。磁気基準層は基準層と呼ばれることがあり、残りの層は自由層と呼ばれることがある。この構成は磁気トンネル接合(MTJ)として知られ、メモリのMRAMビットとしては最も単純な構造体である。
【0014】
メモリ・デバイスは、このようなメモリ・セルまたはビットの格子から構築される。本明細書でさらに論じるタイプのようなMRAMのいくつかの構成では、磁気基準層の磁化は一方向(上向きまたは下向き)に固定され、磁気自由層の方向は、外部磁場または電荷電流を発生させるスピン伝達トルク(spin-transfer torque)のような外力によって切り替えられ得る。デバイスの抵抗を読み取るためには小さな電流(極性を問わず)を用いればよく、その抵抗は磁性自由層と磁気基準層の磁化の相対的な向きに依存する。磁化が反平行である抵抗は通常高く、磁化が平行な場合は低くなるが、これはMRAMの作製に使用される材料によっては逆になることがある。
【0015】
本出願は、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)に関する。より詳細には、本出願は、スピン伝達トルク(STT)MRAMの性能を向上させることができ、半導体技術(CMOS技術など)の配線工程(BEOL:back-end-of-the-line)プロセスに組み込まれ得る改変二重磁気トンネル接合(mDMTJ:modified double magnetic tunnel junction)構造体に関する。MTJを用い得るMRAMの一種には、スピン伝達トルクMRAM(以下「STT-MRAM」)がある。STT MRAMは、磁場を利用して能動素子を反転させる従来のMRAMより、低消費電力と優れたスケーラビリティの優位性を有する。STT MRAMでは、スピン伝達トルクを利用して磁性自由層の向きを反転(スイッチング)させる。STT MRAMデバイスでは、MTJ構造体を通過する電流を用いて、MTJメモリ素子のビット状態を切り替える、すなわち「書き込む」。MTJ構造体を下向きに通過する電流は磁気自由層を磁気基準層に対して平行にし、MTJ構造体を上向きに通過する電流は磁気自由層を磁気基準層に対して反平行にする。
【0016】
本発明は、一般に、半導体製造分野に関し、より詳細には、エア・ギャップを有する磁気トンネル接合デバイスの作製に関する。
【0017】
良好な熱的分離(thermal isolation)を設けることによって敏感なMTJ誘電体に損傷を与えない、改良された熱的分離構造を作製する方法および構造が提供される。標準的なBEOLプロセス・ステップを用いて、均質なパターン構造が作られる。
【0018】
本発明の利点は、パターニングによるエア・ギャップすなわちキャビティの着実な形成と、MTJの増強された熱的分離の実現と、MTJを囲み金属ハード・マスクを囲む誘電体に対するMTJへの誘電体応力の影響の低減と、MTJの上方に位置合わせされたエッチ・ストップ層とを含む。一実施形態では、MTJを囲む誘電体およびMTJの上方に位置合わせされた層は、シリコン対窒素比が高く、10~40w/m・Kの高い熱伝導率を有するSiNを含み得る。一実施形態では、MTJの上方に位置合わせされた層を囲むエア・ギャップは、バリア材料で囲まれ得る。一実施形態では、バリア材料はタンタル窒化物(TaN)を含み得、特に薄膜の形態において2~4w/m・Kの高い熱伝導率を有し、金属よりも著しく小さく、MTJのさらなる熱的分離を実現する。例えば、ルテニウム(Ru)および他の金属は、より高い熱伝導率、約100w/m・Kを有する。
【0019】
一実施形態では、SiNなどの誘電体が、MTJパターニング後に堆積されて、MTJと、金属ハード・マスクやエッチ・ストップ層などMTJの上方の層とを囲み得る。TaNなどのバリア材料がSiN上に形成され、パターニングされてバリア材料がMTJとMTJの上方の層とを囲む誘電体の垂直表面上に残り得る。MTJとMTJの上方の層とを囲む誘電体の一部は選択的に除去され、MTJとMTJの上方の層とを囲むキャビティを残し得る。テトラエチルオルトシリケート、Si(OC2H5)4(TEOS)、またはSiOxなどの層間絶縁膜(「ILD(interlayer dielectric)」)が構造体上に形成されて、ILDがキャビティの小さな上部を充填し、キャビティの主要部分は残って、MTJに断熱が行われ得る。コンタクトの形成が標準的なプロセスに従って続き得る。
【0020】
本発明の実施形態は、エア・ギャップを有する磁気トンネル接合デバイスを形成する構造および方法を開示するものであり、例示的な一実施形態に従って、
図1~
図17の添付図面を参照することによって以下に詳細に説明する。
【0021】
ここで
図1を参照すると、例示的な一実施形態による、作製の中間段階における半導体構造体100(以下「構造体」)が示されている。
図1は構造体100の断面図である。
【0022】
構造体100は、複数の配線工程(「BEOL」:back-end-of-the-line)層を含み得る。一般に、配線工程(BEOL)とは集積回路作製の第2の部分のことであり、個々のデバイス(トランジスタ、キャパシタ、抵抗器など)がウェーハ上で配線を用いて相互接続される。
図1に示すように、第1のBEOL層は、BEOL金属層104を囲むBEOL誘電体層102を含む。第1のBEOL層上に形成された第2のBEOL層は、ビア誘電体層106とビア充填層108とを含む。
【0023】
BEOL誘電体層102は、誘電体をコンフォーマルに(conformally)堆積または成長させ、等方性エッチング・プロセスを実行することによって形成され得る。BEOL誘電体層102は、1つまたは複数の層を含み得る。BEOL誘電体層102は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン・ホウ素炭窒化物(SiBCN:silicon boron carbonitride)、NBLOK、または低k(low-k)誘電体材料(k<4.0を有する)、例えば、以下に限定されないが、シリコン酸化物、スピンオングラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG:borophosphosilicate glass)、もしくはそれらの任意の組合せなど、または任意の他の適切な誘電体材料から構成され得る。
【0024】
第1の開口部(図示せず)が、例えば、反応性イオン・エッチング(RIE:reactive ion etching)によってBEOL誘電体層102中に形成され、BEOL金属層104によるその後の充填のために第1のBEOL層の下の層上で停止し得る。BEOL金属層104が、公知の技術を用いて、BEOL誘電体層102の第1の開口部(図示せず)内に形成され得る。BEOL金属層104は、例えば、銅(Cu)、タンタル窒化物(TaN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、チタン窒化物(TiN)、またはそれらの組合せを含み得る。BEOL金属層104は、例えば、化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)、物理気相成長(PVD:physical vapor deposition)、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)、またはそれらの組合せによって形成され得る。
【0025】
BEOL誘電体層102とBEOL金属層104の上部水平面が同一平面になるように、第2のBEOL層を形成する前に、構造体100の第1のBEOL層の上面から余分な材料を除去するために、例えば化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)などの平坦化プロセスが行われ得る。
【0026】
第2のBEOL層が第1のBEOL層上に形成される。第2のBEOL層はビア誘電体層106とビア充填層108とを含む。
【0027】
ビア誘電体層106は、誘電体をコンフォーマルに堆積または成長させ、等方性エッチング・プロセスを実行することによって形成され得る。ビア誘電体層106は1つまたは複数の層を含み得る。ビア誘電体層106は、BEOL誘電体層102とBEOL金属層104の上方に形成される。ビア誘電体層106は、BEOL誘電体層102と実質的に同じ材料で作られ得る。
【0028】
次にビア充填層108は、ビア誘電体層106の第2の開口部(図示せず)内に形成される。第2の開口部(図示せず)は、例えば、反応性イオン・エッチング(RIE)によって形成され、その後のビア充填層108による充填のために第1のBEOL層のBEOL金属層104上で停止し得る。いくつかの実施形態では、ビア充填層108は、タングステン(W)、銅(Cu)、タンタル窒化物(TaN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、チタン窒化物(TiN)、チタン酸炭窒化物(TiOCN)、タンタル酸炭窒化物(TaOCN)、コバルト(Co)、またはこれらの材料の組合せなどの材料を含み得る。ビア充填層108は、例えば、CVD、PVD、およびALDまたはそれらの組合せによって形成され得る。
【0029】
特にビア充填層108は、BEOL金属層104に位置合わせされ、ビア充填層108とBEOL金属層104との間の電気的接続を行う。
【0030】
ビア充填層108が形成された後、構造体には、さらなる処理のために、ビア誘電体層106とビア充填層108の上部水平面が同一平面になるように表面を平坦化する、例えばCMPが実施される。
図1に示すBEOL層を含む構造体は、その上にMTJスタックが形成される予定の出発構造体である。
【0031】
次に
図2を参照すると、例示的な一実施形態による構造体100が示されている。
図2に示すように、磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(「MRAM」)スタック層、エッチ・ストップ層116、金属ハード・マスク118およびハード・マスク層120が形成される。
【0032】
MRAMスタック層は、第1のMTJスタック110と、トンネル層112と、第2のMTJスタック114とを含む。MRAMスタック層のそれぞれは、知られた技術を用いて構造体100上にコンフォーマルに形成され得る。エッチ・ストップ層116は、MRAMスタック層上に形成され得る。金属ハード・マスク118は、エッチ・ストップ層116上に形成され得る。ハード・マスク層120は、金属ハード・マスク118上に形成され得る。
【0033】
第1のMTJスタック110および第2のMTJスタック114はそれぞれ、例えば、基準層、第1のトンネル障壁層、第1の自由層、金属スペーサ層、第2の自由層、および第2のトンネル障壁層を含むいくつかの層を含み得る。第1のMTJスタック110および第2のMTJスタック114は、追加の層を含み、いくつかの層を省略し得、層のそれぞれが副層(sublayer)を含み得ることは理解されるべきである。さらに、層もしくは副層またはその両方の組成は、第1のMTJスタック110と第2のMTJスタック114の間で異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第1のMTJスタック110と第2のMTJスタック114とは、自己整合パターニング・プロセスによって形成される。しかしながら、いくつかの例では、第1のMTJスタック110が、第2のMTJスタック114と自己整合されない。
【0034】
一般に、第1のMTJスタック110および第2のMTJスタック114に関して、情報は、基準層の磁気の向き(magnetic orientation)に対する自由層膜(本明細書でさらに詳細に説明する)の磁気の向きで記憶される。基準層は単層でも複数の層でもよい。一実施形態では、MTJスタックの基準層は合成反強磁性(「SAF(synthetic antiferromagnetic)」)層である。いくつかの実施形態では、MTJスタックの基準層は複数の副層(例えば20以上の副層)を含む。
【0035】
第1のMTJスタック110は基準層と呼ばれることがあり、第2のMTJスタック114は自由層と呼ばれることがある。一実施形態では、第1のMTJスタック110および第2のMTJスタックはそれぞれ、数ある材料の中でも特に、コバルト(Co)、コバルト鉄(CoFe)、コバルト・ニッケル(CoNi)、コバルト鉄ホウ素(CoFeB)、およびコバルト白金(CoPt)を任意の組合せで含み得る。
【0036】
第1のMTJスタック110は、トンネル層112によって第2のMTJスタック114から分離されている。トンネル層112は、1つの磁性層、例えば第1のMTJスタック110から、別の磁性層、例えば第2のMTJスタック114に、電子がトンネルすることが可能であるように、十分に薄くなくてはならない。トンネル層112は、本明細書で説明する実施形態に従って、任意の適切な絶縁体材料を含み得る。適切な絶縁体材料の例は、マグネシウム酸化物(MgO)およびアルミニウム酸化物(Al2O3)を含むがこれらに限定されるものではない。
【0037】
エッチ・ストップ層116は、第2のMTJスタック114の上に堆積される。エッチ・ストップ層116は、例えばルテニウム(Ru)で構成され得る。エッチ・ストップ層116は、例えば、ルテニウム(Ru)で構成され得、例えば、CVD(chemical vapor deposition)、プラズマ強化化学気相成長(PECVD:plasma enhanced chemical vapor deposition)、PVD(physical vapor deposition)またはALD(atomic layer deposition)などの従来の堆積プロセスを利用して堆積され得る。
【0038】
金属ハード・マスク118は、エッチ・ストップ層116上に形成される。金属ハード・マスク118は、例えば、タングステン(W)、タンタル窒化物(TaN)またはチタン窒化物(TiN)で構成され得る。金属ハード・マスク118は、1つまたは複数の層であり得る。金属ハード・マスク118は、例えば、CVD、PECVD、PVDまたはALDなどの従来の堆積プロセスを利用して堆積され得る。
【0039】
ハード・マスク層120は、金属ハード・マスク118上に形成される。ハード・マスク層120は、誘電体ハード・マスク層もしくは有機ハード・マスク層またはその両方であり得る。ハード・マスク層120は、任意の有機平坦化層(OPL)材料または誘電体材料から構成され得るが、そのようなものとしては例えば、炭素、水素、酸素、任意選択的に窒素、フッ素、シリコン、標準的なCxHyポリマー、シリコン窒化物もしくはシリコン酸窒化物またはその組合せ、シリコン二酸化物、またはフォトレジストなどを含む、自己平坦化有機材料などが挙げられる。ハード・マスク層120は、例えば、CVD、PECVD、PVDまたはALDなどの従来の堆積プロセスを利用して堆積され得る。
【0040】
エッチ・ストップ層116、金属ハード・マスク118およびハード・マスク層120は、リソグラフィおよびRIEによって1つまたは複数のステップでパターニングされ、第2のMTJスタック114および第2のMTJスタック114の下の層がエッチングされないように、エッチ・ストップ層116、金属ハード・マスク118およびハード・マスク層120の一部が選択的に除去され得る。エッチ・ストップ層116、金属ハード・マスク118、およびハード・マスク層120の残りの部分は、垂直方向に位置合わせされ得る。
【0041】
次に
図3を参照すると、例示的な一実施形態による構造体100が示されている。
図3に示すように、MRAMスタック層がパターニングされる。
【0042】
第1のMTJスタック110、トンネル層112、および第2のMTJスタック114を含むMRAMスタック層は、例えばイオン・ビーム・エッチング(IBE:ion beam etch)またはRIEなどの公知の技術を用いてパターニングされる。パターニングは、1つまたは複数のステップで実行され得る。このパターニングにより、ハード・マスク層120、金属ハード・マスク118およびエッチ・ストップ層116の一部が除去され得る。結果として得られる構造体は、金属ハード・マスク118のわずかに湾曲した上面を含み、金属ハード・マスク118、エッチ・ストップ層116、第2のMTJスタック114、トンネル層112および第1のMTJスタック110の垂直方向に位置合わせされた側面を含み得る。金属ハード・マスク118、エッチ・ストップ層116、第2のMTJスタック114、トンネル層112および第1のMTJスタック110の垂直方向に位置合わせされた側面は、垂直またはほぼ垂直のプロファイルを有し得る。結果として得られる構造体は、傾斜が適正に一定であるテーパー形状を有している。ビア誘電体層106の上面の一部が露出することがある。
【0043】
次に
図4を参照すると、例示的な一実施形態による構造体100が示されている。
図4に示すように、側壁誘電体122とバリア124が形成され得る。
【0044】
側壁誘電体122は、構造体100の上面上、ビア誘電体層106の露出した上面上、第1のMTJスタック110、トンネル層112、第2のMTJスタック114、エッチ・ストップ層116および金属ハード・マスク118の垂直側面上、ならびに金属ハード・マスク118の上面上にコンフォーマルに形成され得る。側壁誘電体122は、数ある方法の中でも特にPVD、ALD、PECVDによって形成され得る。側壁誘電体122の材料は、シリコン窒化物(SiN)、アルミニウム酸化物(AlOx)、チタン酸化物(TiOx)、シリコン酸化物(SiOx)、ホウ素窒化物(BN)、シリコン・ホウ素炭窒化物(SiBCN)、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0045】
バリア124は、構造体100の上面上、側壁誘電体122の露出した上面上にコンフォーマルに形成され得る。側壁誘電体122は、数ある方法の中でも特にPVD、ALD、PECVDによって形成され得る。バリア124の材料は、タンタル窒化物(TaN)または他の適切な材料であり得る。
【0046】
次に
図5を参照すると、例示的な一実施形態による構造体100が示されている。
図5に示すように、バリア124の一部が除去され得る。
【0047】
バリア124の一部の除去は、IBEまたはRIEを介し得る。バリア124は、ビア誘電体層106の上方の側壁誘電体122の上面から選択的に除去され得る。バリア124は、金属ハード・マスク118の上方の側壁誘電体122の上面から除去され得る。バリア124は、ビア誘電体層106の上方の側壁誘電体122の上面の一部から除去され得る。
【0048】
バリア124は、MTJスタック層の上方の金属ハード・マスク118の側面に沿った側壁誘電体122の側面上に残り得る。側壁誘電体122は、ビア誘電体層106の上面上、第1のMTJスタック110、トンネル層112、第2のMTJスタック114、エッチ・ストップ層116および金属ハード・マスク118の垂直側面上、ならびに金属ハード・マスク118上に残り得る。
【0049】
次に
図6を参照すると、例示的な一実施形態による構造体100が示されている。
図6に示すように、ビア誘電体層106の一部と側壁誘電体122の一部が除去され、キャビティ125が形成され得る。
【0050】
ビア誘電体層106の一部と側壁誘電体122の一部は、バリア124、金属ハード・マスク118、エッチ・ストップ層116およびMTJスタック層に対して選択的である選択エッチング・プロセスによって選択的に除去され得る。
【0051】
側壁誘電体122の残りの部分は、バリア124の下方、およびエッチ・ストップ層116とMTJスタック層に隣接し、およびビア誘電体層106の残りの部分の上方に残り得る。側壁誘電体122の残りの部分は、金属ハード・マスク118の一部に隣接し得る。代替の実施形態では、金属ハード・マスク118に隣接する側壁誘電体122の残りの部分がない場合がある。側壁誘電体122の残りの部分は、凹状の上面を有し得る。キャビティ125は、金属ハード・マスク118を囲んで、金属ハード・マスク118とバリア124との間に形成され得る。バリア124は、露出した上面と、キャビティ125に隣接する露出した内側の側面と、露出した外側の側面とを有し得る。
【0052】
ビア誘電体層106の一部は、構造体100の露出した上面から除去され得る。ビア誘電体層106の残りの部分は、BEOL誘電体層102を覆い、側壁誘電体122の残りの部分の下方でビア充填層108を囲んで隣接したままであり得る。
【0053】
ビア誘電体層106の垂直側面は、残りの側壁誘電体122およびバリア124の垂直側面と位置合わせされ得る。
【0054】
次に
図7および
図8を参照すると、2つの例示的な実施形態による構造体100が示されている。
図7および
図8に示すように、第1の層間絶縁膜(以下「第1のILD」)126および誘電体128が形成され得る。
【0055】
第1のILD126は、CVDによって形成され得る。第1のILD126は、BEOL誘電体層102上のビア誘電体層106を覆い得る。第1のILD126の垂直部分は、ビア誘電体層106の垂直側壁、側壁誘電体122の外側の側壁、およびバリア124の外側の側壁と位置合わせされ得る。第1のILD126は1つまたは複数の層を含み得る。第1のILD126は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン・ホウ素炭窒化物(SiBCN)、NBLOK、または低k誘電体材料(k<4.0を有する)、例えば、以下に限定されないが、シリコン酸化物、スピンオングラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG:borophosphosilicate)、もしくはそれらの任意の組合せなど、または任意の他の適切な誘電体材料から構成され得る。第1のILD126の堆積条件(圧力、流量、温度、電力など)は、キャビティ125を充填しないように調整され得る。
【0056】
誘電体128は、金属ハード・マスク118とバリア124との間のキャビティ125の上部を部分的に充填し得る。誘電体128は、BEOL誘電体層102上のビア誘電体層106上の第1のILD126を覆い得る。第1のILD126の垂直部分は、バリア124の外側の側壁と位置合わせされ得る。キャビティ125の大部分は空気として残り、充填されないことがある。誘電体128の堆積条件(圧力、流量、温度、電力など)は、キャビティ125を充填しないように調整されて、キャビティ125の入口付近の一部分のみを塞いでキャビティ125をピンチオフし得る。
【0057】
誘電体128は、PECVDによって形成され得る。誘電体128は1つまたは複数の層を含み得る。誘電体128は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン・ホウ素炭窒化物(SiBCN)、NBLOK、または低k誘電体材料(k<4.0を有する)、例えば、以下に限定されないが、シリコン酸化物、スピンオングラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、もしくはそれらの任意の組合せ、または任意の他の適切な誘電体材料から構成され得る。
【0058】
図7に示すように、キャビティ125の入口における誘電体128は、実施形態では凹面を形成している。
図8に示すように、キャビティ125の入口における誘電体128は、一実施形態では凸面を形成している。これらのそれぞれ異なる2つの実施形態は、堆積条件によって制御され得る。
【0059】
キャビティ125は、金属ハード・マスク118を囲んだままである。キャビティ125は、MTJならびにMTJの上方の金属ハード・マスク118およびエッチ・ストップ層116を、周囲の誘電体128および第1のILD126から断熱する。
【0060】
第1のILD126および誘電体128を形成した後、化学機械研磨(CMP)技術を用いて、余分な材料を除去し、誘電体128、金属ハード・マスク118およびバリア124の上部水平面が同一平面になるように構造体100の上面を研磨し得る。
【0061】
次に
図9および
図10を参照すると、2つの例示的な実施形態による構造体100が示されている。
図9および
図10に示すように、第2の層間絶縁膜(以下「第2のILD」)130、ライナー132およびビットライン金属134が形成され得る。
図9は
図7から形成され得、
図10は
図8から形成され得る。
【0062】
第2のILD130は、構造体100の上面上にコンフォーマルに形成されて、誘電体128、バリア124、および金属ハード・マスク118を覆い得る。
【0063】
第2のILD130は、誘電体をコンフォーマルに堆積または成長させ、等方性エッチング・プロセスを実行することによって形成され得る。第2のILD130は1つまたは複数の層を含み得る。第2のILD130は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン・ホウ素炭窒化物(SiBCN)、NBLOK、または低k誘電体材料(k<4.0を有する)、例えば、以下に限定されないが、シリコン酸化物、スピンオングラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、もしくはそれらの任意の組合せ、または任意の他の適切な誘電体材料から構成され得る。
【0064】
第3の開口部(図示せず)が第2のILD130中に形成され得る。第3の開口部(図示せず)は、MTJスタックと垂直方向に位置合わせされ得る。第3の開口部(図示せず)は、第1のILD126、バリア124、および金属ハード・マスク118に対して選択的であるエッチングによって形成され得る。
【0065】
ライナー132は、第3の開口部(図示せず)の下面に沿っておよび垂直側面に沿って形成され得る。ライナー132は、例えば、誘電体をコンフォーマルに堆積または成長させ、等方性エッチング・プロセスを実行することを含む、いくつかのプロセスの後に形成され得る。ライナー132は、シリコン窒化物のような任意の誘電体材料を含み得、単層を含むことも多層の誘電体材料を含むこともある。
【0066】
ビットライン金属134は、例えば、ALD、MLD(molecular layer deposition)およびCVDなどの典型的な堆積技術を用いて、第3の開口部の残りの部分(図示せず)中に堆積され得る。ビットライン金属134の材料は、銅(Cu)、タンタル窒化物(TaN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、チタン窒化物(TiN)、またはそれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。
【0067】
ビットライン金属134を形成した後、化学機械研磨(CMP)技術が用いられて余分な材料が除去され、第2のILD130、ライナー132およびビットライン金属134の上部水平面が同一平面になるように構造体100の上面が研磨され得る。
【0068】
結果として得られる構造体100は、MTJスタック層に隣接もしくは上方またはその両方において金属ハード・マスク118を囲むエア・ギャップ、すなわちキャビティ125を含む。
【0069】
次に
図11を参照すると、例示的な一実施形態による構造体200が示されている。構造体200は、MTJスタック層の上方の金属ハード・マスク118を囲むエア・ギャップすなわちキャビティを形成する代替的な実施形態である。構造体200は、
図3において上述したように、構造体100のその後のプロセスから形成され得る。
図11に示すように、第2の側壁誘電体148と絶縁体150が形成され得る。
【0070】
第2の側壁誘電体148は、構造体200の上面上、ビア誘電体層106の露出した上面上、第1のMTJスタック110、トンネル層112、第2のMTJスタック114、エッチ・ストップ層116および金属ハード・マスク118の垂直側面上、ならびに金属ハード・マスク118の上面上にコンフォーマルに形成され得る。第2の側壁誘電体148は、数ある方法の中でも特にPVD、ALD、PECVD、ALD、PECVDによって形成され得る。第2の側壁誘電体148の材料は、シリコン窒化物(SiN)、アルミニウム酸化物(AlOx)、チタン酸化物(TiOx)、シリコン酸化物(SiOx)、ホウ素窒化物(BN)、シリコン・ホウ素炭窒化物(SiBCN)、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0071】
絶縁体150は、第2の側壁誘電体148の露出した表面上に誘電体をコンフォーマルに堆積または成長させることによって形成され得る。絶縁体150は1つまたは複数の層を含み得る。絶縁体150は、例えば、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン・ホウ素炭窒化物(SiBCN)、NBLOK、または低k誘電体材料(k<4.0を有する)、例えば、以下に限定されないが、シリコン酸化物、スピンオングラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、もしくはそれらの任意の組合せ、または任意の他の適切な誘電体材料から構成され得る。
【0072】
次に
図12を参照すると、例示的な一実施形態による構造体200が示されている。
図12に示すように、CMP技術が構造体200上に用いられ得る。
【0073】
CMP技術が用いられて余分な材料が除去され、絶縁体150、第2の側壁誘電体148と金属ハード・マスク118の上部水平面とが同一平面になるように、構造体200の上面が研磨され得る。
【0074】
次に
図13を参照すると、例示的な一実施形態による構造体200が示されている。
図13に示すように、絶縁体150の一部および第2の側壁誘電体148の一部が除去されてキャビティ152が形成され得る。
【0075】
絶縁体150の一部および第2の側壁誘電体148の一部は、金属ハード・マスク118、エッチ・ストップ層116およびMTJスタック層に対して選択的に除去され得、選択エッチング・プロセスによって除去され得る。
【0076】
第2の側壁誘電体148の残りの部分は、ビア誘電体層106の上方で金属ハード・マスク118、エッチ・ストップ層116およびMTJスタック層の一部に隣接して残り得る。代替的な実施形態では、側壁誘電体148の残りの部分が金属ハード・マスク118に隣接して残らないこともある。側壁誘電体148の残りの部分は、キャビティ152の下面において、金属ハード・マスク118およびMTJスタック層に隣接する凹状の上面を有し得る。
【0077】
絶縁体150の残りの部分は、第2の側壁誘電体148の側面の上方にあって第2の側壁誘電体148の側面と垂直に位置合わせされ得る。絶縁体150および第2の側壁誘電体148は、キャビティ152に隣接して垂直またはほぼ垂直な露出した垂直側面を有し得る。
【0078】
キャビティ152は、金属ハード・マスク118と絶縁体150との間、および金属ハード・マスク118と第2の側壁誘電体148との間にあって、金属ハード・マスク118を囲み得る。キャビティ152の下面は、第2の側壁誘電体148に隣接し得る。
【0079】
次に
図14および
図15を参照すると、2つの例示的な実施形態による構造体200が示されている。
図14および
図15に示すように、第3の層間絶縁膜(以下「第3のILD」)154が形成され得る。
【0080】
第3のILD154はCVDによって形成され得る。第3のILD154は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン・ホウ素炭窒化物(SiBCN)、NBLOK、または低k誘電体材料(k<4.0を有する)、例えば、以下に限定されないが、シリコン酸化物、スピンオングラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、もしくはそれらの任意の組合せ、または任意の他の適切な誘電体材料から構成され得る。
【0081】
第3のILD154は、キャビティ152の上部を部分的に充填し得る。第3のILD154は絶縁体150を覆い得る。第3のILD154は、金属ハード・マスク118の上面と外側の側壁の一部を覆い得る。第3のILD154の堆積条件(圧力、流量、温度、電力など)は、キャビティ152を充填しないように調整され得る。
【0082】
キャビティ152は、金属ハード・マスク118を囲んだ状態のままである。キャビティ152は、MTJならびにMTJの上方の金属ハード・マスク118およびエッチ・ストップ層116を、周囲の絶縁体150および第2の側壁誘電体148から断熱する。
【0083】
図14に示すように、一実施形態では、キャビティ152の入口における第3のILD154は凹面を形成している。
図15に示すように、一実施形態では、キャビティ152の入口における第3のILD154は凸面を形成している。これら2つの異なる実施形態は、堆積条件によって制御され得る。
【0084】
次に
図16および
図17を参照すると、2つの例示的な実施形態による構造体200が示されている。
図16および
図17に示すように、CMP技術が用いられて余分な材料が除去され、第3のILD154と金属ハード・マスク118の上部水平面とが同一平面になるように、構造体200の上面が研磨され得る。第5の層間絶縁膜(以下「第5のILD」)156、ライナー158およびビットライン金属160が形成され得る。
図16は
図14から形成され得、
図17は
図15から形成され得る。
【0085】
第5のILD156は構造体200の上面上にコンフォーマルに形成されて、第3のILD154および金属ハード・マスク118を覆い得る。
【0086】
第5のILD156は、誘電体をコンフォーマルに堆積または成長させ、等方性エッチング・プロセスを実行することによって形成され得る。第5のILD156は1つまたは複数の層を含み得る。第5のILD156は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン・ホウ素炭窒化物(SiBCN)、NBLOK、または低k誘電体材料(k<4.0を有する)、例えば、以下に限定されないが、シリコン酸化物、スピンオングラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)、もしくはそれらの任意の組合せ、または任意の他の適切な誘電体材料から構成され得る。一実施形態において、第5のILD156は、2つ以上の層を有し得、2つ以上の層のうちの最下層は、以下に説明するように、コンタクトをとるための後続の誘電体エッチングのためのエッチ・ストップとして使用され得る。
【0087】
第5のILD156中に第4の開口部(図示せず)が形成され得る。第4の開口部(図示せず)は、MTJスタックと垂直方向に位置合わせされ得る。第4の開口部(図示せず)は、第5のILD156および金属ハード・マスク118に対して選択的であるエッチングによって形成され得る。
【0088】
ライナー158は、第4の開口部(図示せず)の下面に沿っておよび垂直側面に沿って形成され得る。ライナー158は、例えば、誘電体をコンフォーマルに堆積または成長させ、等方性エッチング・プロセスを実行することを含むいくつかのプロセスの後に形成され得る。ライナー158は、シリコン窒化物のような任意の誘電体材料を含み得、単層を含むことも多層の誘電体材料を含むこともある。
【0089】
ビットライン金属160は、例えばALD、MLDおよびCVDなどの典型的な堆積技術を使用して、第4の開口部の残りの部分(図示せず)中に堆積され得る。ビットライン金属160の材料は、銅(Cu)、タンタル窒化物(TaN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、チタン窒化物(TiN)、またはそれらの組合せを含み得るが、これらに限定されない。
【0090】
ビットライン金属160を形成した後、CMP技術が用いられて余分な材料が除去され、第5のILD156、ライナー158およびビットライン金属160の上部水平面が同一平面になるように、構造体200の上面が研磨され得る。
【0091】
結果として得られる構造体200は、MTJスタック層の上方の金属ハード・マスク118を囲むエア・ギャップ、すなわちキャビティ152を含み、MTJの熱的分離を実現する。
【0092】
本発明の様々な実施形態の説明は例示の目的で提示されたものであるが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることを意図していない。本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には多くの改変および変形が明らかであろう。本明細書で用いた用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実用化または技術的改良を最もよく説明するように、または当業者が本明細書に開示された実施形態を理解することが可能となるように選択されたものである。
【国際調査報告】