(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】発泡性樹脂組成物、その製造方法およびそれにより製造された発泡成形体
(51)【国際特許分類】
C08J 9/16 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
C08J9/16 CES
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565311
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 KR2022007630
(87)【国際公開番号】W WO2023277359
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0085219
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520087103
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ユン ジン
(72)【発明者】
【氏名】イム,スン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジュン ヒョク
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA24
4F074AA24A
4F074AC21
4F074AD04
4F074AG12
4F074BA32
4F074BC02
4F074CA34
4F074CA39
4F074CA49
4F074DA02
4F074DA03
4F074DA24
4F074DA33
(57)【要約】
本発明の発泡性樹脂組成物は、ポリプロピレン約100重量部;平均粒子径が約100nm~約300nmで、比表面積BETが約5m2/g~約15m2/gの酸化亜鉛約0.1重量部~約4重量部;脂肪族アルコール約0.08重量部~約2.5重量部;および界面活性剤約0.08重量部~約2.5重量部;を含むことを特徴とする。前記発泡性樹脂組成物は、抗菌性、発泡性、発泡成形性等に優れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン約100重量部;
平均粒子径が約100nm~約300nmで、比表面積BETが約5m
2/g~約15m
2/gの酸化亜鉛約0.1重量部~約4重量部;
脂肪族アルコール約0.08重量部~約2.5重量部;および
界面活性剤約0.08重量部~約2.5重量部;を含むことを特徴とする、発泡性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリプロピレンは、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体およびエチレン-プロピレン共重合体の1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項3】
前記脂肪族アルコールは、炭素数6~22の脂肪族アルコールであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤は、グリセリルモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルアミンの1種以上を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項5】
前記酸化亜鉛および前記界面活性剤の重量比は、約1:0.09~約1:2.5であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項6】
前記脂肪族アルコールおよび前記界面活性剤の重量比は、約1:0.1~約1:10であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項7】
前記発泡性樹脂組成物は、前記ポリプロピレン、酸化亜鉛、脂肪族アルコールおよび界面活性剤を含む樹脂組成物を、発泡倍率が約10倍~約80倍で、セルの平均大きさが約50μm~約300μmになるように発泡して製造した発泡粒子の形態であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項8】
前記発泡性樹脂組成物は、JIS Z 2801抗菌評価法によって、5cm×5cmの大きさの試片に黄色ブドウ球菌および大腸菌を接種し、35℃、RH90%の条件で24時間培養後、測定した抗菌活性値がそれぞれ約2~約7であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項9】
前記発泡性樹脂組成物は、発泡倍率が約20倍で、セルの平均大きさが約80μm~約200μmであることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発泡性樹脂組成物。
【請求項10】
ポリプロピレン約100重量部、平均粒子径が約100nm~約300nmで、比表面積BETが約5m
2/g~約15m
2/gの酸化亜鉛約0.1重量部~約4重量部;脂肪族アルコール約0.08重量部~約2.5重量部;および界面活性剤約0.08重量部~約2.5重量部を含む樹脂組成物に水および分散剤を含む分散媒を混合して混合物を製造し;そして
前記混合物に発泡剤を投入し、発泡倍率が約10倍~約80倍で、セルの平均大きさが約50μm~約300μmになるように発泡する段階を含むことを特徴とする、発泡性樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
前記発泡は、前記発泡剤が投入された混合物を約130℃~約160℃の温度条件および約20kgf/cm
2~約50kgf/cm
2の圧力条件になるように加熱および加圧した後、常温および大気圧の条件に露出することを特徴とする、請求項10に記載の発泡性樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発泡性樹脂組成物を金型に充填し、加熱および融着させて形成することを特徴とする、発泡成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性樹脂組成物、その製造方法およびそれにより製造された発泡成形体に関する。より具体的には、本発明は、抗菌性、発泡性、発泡成形性等に優れた発泡性樹脂組成物、その製造方法およびそれにより製造された発泡成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発泡性樹脂組成物を高圧反応器に水と一緒に投入し、二酸化炭素ガス等を発泡剤として活用して一定温度と圧力条件で減圧排出によって発泡粒子形態の発泡性樹脂組成物を製造することができ、製造された発泡粒子を金型に充填し、加熱および融着させて成形品(発泡成形体)に製造することができる。このように製造された成形品は、高い強度、軽量性、緩衝性、防水性、保温性、断熱性等に優れるため、家電製品の包装材、農水産物の箱、浮子、建材用断熱材等の多様な分野に使用されている。
【0003】
発泡性樹脂組成物に抗菌性等を付与するために、発泡性樹脂組成物の製造時に、抗菌剤として銀ナノ粒子、銅粒子、酸化亜鉛粒子等を導入することができる。しかし、このような抗菌剤は、比重および/または粒度の問題により発泡性樹脂組成物の製造工程に適さない場合があり、融着性等が低下する等、発泡製品の制作に困難がある。
【0004】
よって、抗菌性、発泡性、発泡成形性等に優れた発泡性樹脂組成物の開発が必要な実情にある。
【0005】
本発明の背景技術は、韓国特許第10-0833453号等に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、抗菌性、発泡性、発泡成形性等に優れた発泡性樹脂組成物を提供するためのものである。
【0007】
本発明の別の目的は、前記発泡性樹脂組成物の製造方法を提供するためのものである。
【0008】
本発明のまた別の目的は、前記発泡性樹脂組成物から形成された発泡成形体を提供するためのものである。
【0009】
本発明の前記およびその他の目的は、下記で説明する本発明によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.本発明の一つの観点は、発泡性樹脂組成物に関するものである。前記発泡性樹脂組成物は、ポリプロピレン約100重量部;平均粒子径が約100nm~約300nmで、比表面積BETが約5m2/g~約15m2/gの酸化亜鉛約0.1重量部~約4重量部;脂肪族アルコール約0.08重量部~約2.5重量部;および界面活性剤約0.08重量部~約2.5重量部;を含む。
【0011】
2.前記1の具体例において、前記ポリプロピレンは、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体およびエチレン-プロピレン共重合体の1種以上を含むことができる。
【0012】
3.前記1又は2の具体例において、前記脂肪族アルコールは、炭素数6~22の脂肪族アルコールになり得る。
【0013】
4.前記1~3の具体例において、前記界面活性剤は、グリセリルモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルアミンの1種以上を含むことができる。
【0014】
5.前記1~4の具体例において、前記酸化亜鉛および前記界面活性剤の重量比は、約1:0.09~約1:2.5になり得る。
【0015】
6.前記1~5の具体例において、前記脂肪族アルコールおよび前記界面活性剤の重量比は、約1:0.1~約1:10になり得る。
【0016】
7.前記1~6の具体例において、前記発泡性樹脂組成物は、前記ポリプロピレン、酸化亜鉛、脂肪族アルコールおよび界面活性剤を含む樹脂組成物を、発泡倍率が約10倍~約80倍で、セルの平均大きさが約50μm~約300μmになるように発泡して製造した発泡粒子の形態になり得る。
【0017】
8.前記1~7の具体例において、前記発泡性樹脂組成物は、JIS Z 2801抗菌評価法によって、5cm×5cmの大きさの試片に黄色ブドウ球菌および大腸菌を接種し、35℃、RH90%の条件で24時間培養後、測定した抗菌活性値がそれぞれ約2~約7になり得る。
【0018】
9.前記1~8の具体例において、前記発泡性樹脂組成物は、発泡倍率が約20倍で、セルの平均大きさが約80μm~約200μmになり得る。
【0019】
10.本発明の別の観点は、発泡性樹脂組成物の製造方法に関するものである。前記製造方法は、ポリプロピレン約100重量部;平均粒子径が約100nm~約300nmで、比表面積BETが約5m2/g~約15m2/gの酸化亜鉛約0.1重量部~約4重量部;脂肪族アルコール約0.08重量部~約2.5重量部;および界面活性剤約0.08重量部~約2.5重量部;を含む樹脂組成物に水および分散剤を含む分散媒を混合して混合物を製造し;そして前記混合物に発泡剤を投入し、発泡倍率が約10倍~約80倍で、セルの平均大きさが約50μm~約300μmになるように発泡する段階を含むことを特徴とする。
【0020】
11.前記10の具体例において、前記発泡は、前記発泡剤が投入された混合物を約130℃~約160℃の温度条件および約20kgf/cm2~約50kgf/cm2の圧力条件になるように加熱および加圧した後、常温および大気圧の条件に露出するものになり得る。
【0021】
12.本発明のまた別の観点は、発泡成形体に関するものである。前記発泡成形体は、前記1~9のいずれかにかかる発泡性樹脂組成物を金型に充填し、加熱および融着させて形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、抗菌性、発泡性、発泡成形性等に優れた発泡性樹脂組成物、その製造方法およびこれにより製造された発泡成形体を提供する発明の効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[発明を実施するための最善の形態]
以下、本発明を詳しく説明する。
【0024】
本発明にかかる発泡性樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン;(B)酸化亜鉛;(C)脂肪族アルコール;および(D)界面活性剤;を含む。
【0025】
本明細書において、数値範囲を表す「a~b」は「≧aで≦b」と定義する。
【0026】
(A)ポリプロピレン
本発明の一具体例にかかるポリプロピレンは、発泡性樹脂組成物および発泡成形体を形成する基礎樹脂として、プロピレン単独重合体;プロピレン-エチレンランダム共重合体;プロピレン単独重合部分と、エチレン-プロピレン共重合部分が反応器内で段階的に重合されたエチレン-プロピレン共重合体;又はこれらの組合せ等を含むことができる。例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体を使用することができる。
【0027】
具体例において、前記ポリプロピレンは、ASTM D1238によって、230℃、2.16kgの荷重条件で測定したメルトフローインデックス(Melt-flow index)が約1g/10分~約50g/10分、例えば約5g/10分~約30g/10分になり得る。前記範囲で、発泡性樹脂組成物の機械的強度、成形加工性、発泡性等に優れ得る。
【0028】
(B)酸化亜鉛
本発明の一具体例にかかる酸化亜鉛は、脂肪族アルコールおよび界面活性剤と一緒に適用されて、発泡性樹脂組成物の成形品の機械的物性等が低下することなく、抗菌性、発泡性、発泡成形性等を向上させることができるものであり、平均粒子径が約100nm~約300nmで、比表面積BETが約5m2/g~約15m2/gの酸化亜鉛を使用することができる。
【0029】
具体例において、前記酸化亜鉛は、粒度分析器(Beckman Coulter社,Laser Diffraction Particle Size Analyzer LS I3 320装備)を使用して測定した平均粒子径(D50)が約100nm~約300nm、例えば約120nm~約200nmになり得る。また、前記酸化亜鉛は窒素ガス吸着法を使用して、BET分析装備(Micromeritics社,Surface Area and Porosity Analyzer ASAP 2020装備)で測定した比表面積BETが約5m2/g~約15m2/g、例えば約8m2/g~約12m2/gになり得、純度が約99%以上になり得る。前記範囲から外れると、発泡性樹脂組成物の抗菌性、発泡性、発泡成形性等が低下するおそれがある。
【0030】
具体例において、前記酸化亜鉛は、前記ポリプロピレン約100重量部に対して、約0.1重量部~約4重量部、例えば約0.2重量部~約2.5重量部で含まれ得る。前記酸化亜鉛の含量が、前記プロピレン約100重量部に対して、約0.1重量部未満の場合は発泡性樹脂組成物の抗菌性等が低下するおそれがあり、約4重量部を超過する場合は発泡性樹脂組成物の発泡性、発泡成形性(融着性)、機械的物性等が低下するおそれがある。
【0031】
(C)脂肪族アルコール
本発明の一具体例にかかる脂肪族アルコール(fatty alcohol)は、酸化亜鉛および界面活性剤と一緒に適用されて、発泡性樹脂組成物の機械的物性等が低下することなく、抗菌性、発泡性、発泡成形性等を向上させることができるものであり、炭素数6~22の脂肪族アルコールを使用できる。
【0032】
具体例において、前記脂肪族アルコールは、1-オクタデカノール、3-メチレン-3-ペンタノール、1-ヘプタノール、1-ノナノール、これらの組合せ等を使用することができる。
【0033】
具体例において、前記脂肪族アルコールは、前記ポリプロピレン約100重量部に対して、約0.08重量部~約2.5重量部、例えば約0.1重量部~約2.2重量部で含まれ得る。前記脂肪族アルコールの含量が、前記プロピレン約100重量部に対して、約0.08重量部未満の場合は発泡性樹脂組成物の抗菌性等が低下するおそれがあり、約2.5重量部を超過する場合は発泡性樹脂組成物の発泡成形性(発泡性、融着性等)、機械的物性等が低下するおそれがある。
【0034】
(D)界面活性剤
本発明の一具体例にかかる界面活性剤は、酸化亜鉛および脂肪族アルコールと一緒に適用されて、発泡性樹脂組成物の機械的物性等が低下することなく、抗菌性、発泡性、発泡成形性等を向上させることができるものである。
【0035】
具体例において、前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤でもよく、グリセリルモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレンアルキルアミンの1種以上を含むことができる。
【0036】
具体例において、前記界面活性剤は、前記ポリプロピレン約100重量部に対して、約0.08重量部~約2.5重量部、例えば約0.1重量部~約2.2重量部で含まれ得る。前記界面活性剤の含量が、前記プロピレン約100重量部に対して、約0.08重量部未満の場合は発泡性樹脂組成物の抗菌性等が低下するおそれがあり、約2.5重量部を超過する場合は発泡性樹脂組成物の発泡成形性(発泡性、融着性等)、機械的物性等が低下するおそれがある。
【0037】
具体例において、前記酸化亜鉛および前記界面活性剤の重量比(酸化亜鉛:界面活性剤)は、約1:0.09~約1:2.5になり得る。前記範囲で、発泡性組成物の抗菌性、発泡性、発泡成形性等がより優れ得る。
【0038】
具体例において、前記脂肪族アルコールおよび前記界面活性剤の重量比(脂肪族アルコール:界面活性剤)は、約1:0.1~約1:10になり得る。前記範囲で、発泡性組成物の抗菌性、発泡性、発泡成形性等がより優れ得る。
【0039】
本発明の一具体例にかかる発泡性樹脂組成物は、前記ポリプロピレン、酸化亜鉛、脂肪族アルコールおよび界面活性剤を含む樹脂組成物を、発泡倍率が約10倍~約80倍で、セル(cell)の平均大きさが約50μm~約300μmになるように発泡して製造した発泡粒子形態になり得る。
【0040】
具体例において、前記樹脂組成物は、前記構成成分を混合し、通常の一軸または二軸押出器を使用して、約150℃~約240℃、例えば約160℃~約230℃で溶融押出したペレット形態になり得る。
【0041】
具体例において、前記発泡粒子(発泡性樹脂組成物)は、発泡倍率が約10倍~約80倍、例えば約10倍~約60倍になり得、セルの平均大きさが約50μm~約300μm、例えば約70μm~約250μmになり得る。前記範囲で、発泡粒子(発泡成形体)の発泡成形性(融着性)、機械的物性等に優れ得る。ここで、前記発泡粒子の発泡倍率は、直接浸漬法で測定することができ、詳しくはメスシリンダーと秤を用いて乾燥した発泡粒子の重さと体積を測定して粒子の密度を計算した後、発泡前の樹脂組成物粒子の密度0.9g/cm3を基準1倍として換算した値であり、セルの平均大きさは、発泡粒子を液体窒素で冷却した後、断面を切断し、SEM(Scanning Electron Microscope)を用いて発泡粒子のセルの直径(大きさ)を3個以上測定した後、その平均値を算出して得た値である。
【0042】
本発明の一具体例にかかる発泡性樹脂組成物は、本発明の目的および効果を阻害しない範囲で、通常の発泡性樹脂組成物に使用される添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、着色剤、可塑剤、スリップ剤、これらの組合せ等を例示できるが、これに制限されるのではない。前記添加剤を使用する際、その含量は前記ポリプロピレン約100重量部に対して、約0.001重量部~約40重量部、例えば約0.1重量部~約10重量部になり得る。
【0043】
本発明の一具体例にかかる発泡性樹脂組成物は、JIS Z 2801抗菌評価法によって、5cm×5cmの大きさの試片に黄色ブドウ球菌および大腸菌を接種し、35℃、RH90%の条件で24時間培養した後、測定した抗菌活性値がそれぞれ約2~約7、例えば約3~約6.5になり得る。
【0044】
具体例において、前記発泡性樹脂組成物は、発泡倍率が約20倍で、セルの平均大きさが約80μm~約200μm、例えば約90μm~約150μmになり得る。
【0045】
本発明の一具体例にかかる発泡性樹脂組成物は、公知の発泡粒子の製造方法によって製造することができる。例えば、前記樹脂組成物に水および分散剤を含む分散媒を混合して混合物を製造し;そして、前記混合物に発泡剤を投入し、前記発泡倍率および前記セルの平均大きさを有するように発泡して製造することができる。
【0046】
具体例において、前記分散剤は、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステルおよび高級脂肪酸アミドの1種以上を含むことができる。
【0047】
具体例において、前記樹脂組成物は、分散媒が存在する反応器に投入したり、前記樹脂組成物と一緒に分散媒を反応器に投入して、混合物を形成することができる。
【0048】
具体例において、前記発泡剤としては通常の発泡粒子に使用される発泡剤を使用することができ、例えば、二酸化炭素、プロパン、ブタン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロブタン、シクロヘキサン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、窒素、アルゴン等を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0049】
具体例において、前記発泡は前記発泡剤が投入された混合物を約130℃~約160℃、例えば約135℃~約155℃の温度条件および約20kgf/cm2~約50kgf/cm2、例えば約30kgf/cm2~約40kgf/cm2の圧力条件になるように加熱および加圧した後、常温および大気圧条件に露出して行うことができる。前記温度および圧力条件で、発泡倍率が約10倍~約80倍で、セルの平均大きさが約50μm~約300μmの発泡粒子(発泡性樹脂組成物)を得ることができる。
【0050】
具体例において、前記発泡粒子(発泡性樹脂組成物)は、バーニアキャリパーで測定した平均粒径が約1mm~約7mm、例えば約2mm~約6mmになり得るが、これに限定されるのではない。前記範囲で、発泡成形性等に優れ得る。
【0051】
本発明にかかる発泡成形体は、前記発泡性樹脂組成物(発泡粒子)を金型に充填し、融着させて形成できるものであり、本発明が属する分野の通常の知識を有する者によって容易に製造することができる。例えば、前記発泡成形体は、前記発泡粒子を非-機密金型内に充填(導入)し、前記金型に飽和スチーム(例えば、約2.0bar~約3.5bar圧力の飽和スチーム)を約30秒間供給して、前記発泡粒子同士を融着させ、これを乾燥して製造することができる。前記発泡成形体は、抗菌性、機械的物性等に優れるため、養殖用ブイ、水栽培用苗床、包装材、運送用ボックスの保冷材等に有用である。
【0052】
また、成形を行わない発泡粒子形態の発泡樹脂組成物単独で使用することができ、抗菌性に優れるため、粒子が充填された形態のソファおよびクッションの充填用としても有用である。
【0053】
[発明を実施するための形態]
以下、実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、このような実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明を制限すると解釈してはならない。
【0054】
実施例
以下、実施例および比較例で使用した各成分の仕様は次の通りである。
【0055】
(A)ポリプロピレン
プロピレン-エチレンランダム共重合体(製造社:ロッテケミカル,製品名:SEP-550)を使用した。
【0056】
(B)酸化亜鉛
(B1)平均粒子径が150nmで、比表面積BETが10m2/gの酸化亜鉛(製造社:テギョンSBC,製品名:KS1(F))を使用した。
【0057】
(B2)平均粒子径が30nmで、比表面積BETが40m2/gの酸化亜鉛(製造社:テギョンSBC,製品名:ZINIKA-30N)を使用した。
【0058】
(B3)平均粒子径が750nmで、比表面積BETが5m2/gの酸化亜鉛(製造社:テギョンSBC,製品名:KS1)を使用した。
【0059】
(C)脂肪族アルコール
1-オクタデカノール(製造社:Merck,製品名:stearyl alcohol)を使用した。
【0060】
(D)界面活性剤
グリセリルモノステアレート(製造社:Merck)を使用した。
【0061】
実施例1~6および比較例1~8
前記各構成成分を下記表1および2に記載した通りの含量で添加した後、220℃で押出して樹脂組成物(1.2mg,Φ0.8mm×1.1mmのペレット形態)を製造した。押出しは、L/D=34、直径40mmの一軸押出器(スクリュー回転速度:700rpm)を使用した。
【0062】
次いで、前記樹脂組成物100重量部を、分散媒(分散剤が添加された水)300重量部と一緒にオートクレーブに投入した。前記オートクレーブに発泡剤である二酸化炭素(CO2)を投入した後、撹拌しながらオートクレーブ内部の温度および圧力を147℃および40kg/cm2に調節した。次に、前記オートクレーブの内容物を大気中に露出させて発泡粒子(発泡性樹脂組成物、発泡倍率約20倍)を製造した。前記発泡粒子を常温で24時間乾燥させた後、加圧タンクに入れて大気圧(1bar)で3barまで10時間に亘って加圧した後、これを金型(450mm×450mm×50mm)内に充填した。その後、前記金型に2.5barの飽和蒸気を30秒間供給し、前記発泡粒子同士を融着させ、冷却させて取り出した後、70℃の対流オーブンで12時間乾燥させて発泡成形体を製造した。製造された発泡成形体に対して、下記の方法で物性を評価し、その結果を下記表1に示した。
【0063】
物性測定方法
(1)発泡粒子のセル(cell)の平均大きさ:発泡倍率が約20倍になるように発泡した発泡粒子(発泡性樹脂組成物)の試片を液体窒素で冷却した後、断面を切断し、任意のセル10個を選定してそれぞれのセルの直径(大きさ)をSEM(Scanning Electron Microscope)を用いて測定した後、セルの直径の平均値(平均大きさ,単位:μm)を計算した。
【0064】
(2)抗菌活性値:JIS Z 2801抗菌評価法によって、5cm×5cmの大きさの射出試片に黄色ブドウ球菌および大腸菌を接種し、35℃、RH90%の条件で24時間培養した後、抗菌活性値を測定した。
【0065】
(3)融着性評価:実施例および比較例によって製造された成形品を折り曲げて破砕した後、その断面を顕微鏡で撮影して観察される形態で各発泡体の融着性を評価した。具体的には、前記成形品の破砕面において発泡体が裂けたり割れた形態が観察された場合は融着性が良好なものと判断し、前記破砕面において発泡体の表面の露出が観察された場合は融着性が不良なものと判断した。
【0066】
【0067】
【0068】
前記結果から、本発明の発泡性樹脂組成物は、抗菌性、発泡性、発泡成形性(融着性等)等が全て優れ、発泡性樹脂組成物(発泡粒子)のセルの品質に優れることが分かる。
【0069】
一方、酸化亜鉛を少量使用した比較例1は抗菌性等が低下したことが分かり、酸化亜鉛を過量使用した比較例2は発泡性、融着性等が低下したことが分かり、本発明の酸化亜鉛の代わりに酸化亜鉛(B2)を適用した比較例3は発泡がスムーズに行われなかったことが分かり、酸化亜鉛(B3)を適用した比較例4は抗菌性等が低下したことが分かる。また、脂肪族アルコールを少量使用した比較例5は抗菌性等が低下したことが分かり、脂肪族アルコールを過量使用した比較例6は抗菌性、融着性等が低下したことが分かり、界面活性剤を少量使用した比較例7は抗菌性等が低下したことが分かり、界面活性剤を過量使用した比較例8は抗菌性、融着性等が低下したことが分かる。
【0070】
以上では本発明について実施例を中心に説明した。本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態で具現できることを理解できるはずである。そのため、開示した実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮する必要がある。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に表されており、それと同等の範囲内にあるすべての相違点は本発明に含まれると解釈する必要がある。
【国際調査報告】