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特表2024-522444張出巻線案内装置、ならびに関連する巻線型回転子および巻線方法
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  • 特表-張出巻線案内装置、ならびに関連する巻線型回転子および巻線方法 図1
  • 特表-張出巻線案内装置、ならびに関連する巻線型回転子および巻線方法 図2
  • 特表-張出巻線案内装置、ならびに関連する巻線型回転子および巻線方法 図3
  • 特表-張出巻線案内装置、ならびに関連する巻線型回転子および巻線方法 図4
  • 特表-張出巻線案内装置、ならびに関連する巻線型回転子および巻線方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】張出巻線案内装置、ならびに関連する巻線型回転子および巻線方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/095 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
H02K15/095
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566010
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2022065277
(87)【国際公開番号】W WO2022258545
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】2106024
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モット, エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ビバス-マルケス, ダニエラ
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB14
5H615PP02
5H615QQ02
5H615QQ19
5H615SS11
(57)【要約】
本発明は、巻線型回転子の歯の周りに導電線を巻くための張出巻線案内装置(6)であって、回転子シャフトを受け入れる中心開口(12)を備える張出巻線案内装置(6)に関する。複数の丸襞状突出部(13)が、中心開口の中へ突出して規則的に配置され、シャフトに当接して変形するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線型回転子(1)の歯(4)の周りに導電線を巻くための張出巻線案内装置(6)であって、回転子シャフト(2)を受け入れるように設計された中心開口(12)を備える張出巻線案内装置(6)において、複数の丸襞状突出部(13)が、前記中心開口の内側に向かって突出して規則的に配置され、前記シャフトに当接して変形するように構成されることを特徴とする、張出巻線案内装置(6)。
【請求項2】
前記開口(12)が、前記案内装置(6)の厚さ内の円錐台の形状であり、前記円錐台が、前記案内装置を前記回転子シャフト(2)の周りに挿入する際、前記円錐台の最大基底(20)を前記シャフトが最初に通過するように構成されており、前記丸襞状突出部が、前記案内装置の厚さに応じて延在し、前記丸襞状突出部の長さが一定である、請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
隣接する2つの丸襞状突出部(13)間に、前記案内装置の厚さに応じて延在する溝(14)をさらに備える、請求項1または2に記載の案内装置。
【請求項4】
少なくとも3つの丸襞状突出部(13)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項5】
回転電気機械用の巻線型回転子(1)であって、回転子シャフト(2)と、2つの、請求項1から4のいずれか一項に記載の張出巻線案内装置(6)であり、それぞれが前記回転子シャフトの両端部に配置される張出巻線案内装置とを備え、前記張出巻線案内装置の前記丸襞状突出部(13)が、前記回転子シャフトを前記案内装置(6)の前記開口(12)内に固定するために、前記回転子シャフトに接して変形させられる、巻線型回転子(1)。
【請求項6】
巻線型回転子(1)の歯(4)の周りに導電線を巻く方法であって、前記回転子の回転子シャフトの一端部に張出巻線案内装置(6)を挿入することを含み、それによって、前記シャフトが、前記張出巻線案内装置の中心開口の内側に向かって突出して規則的に配置された複数の丸襞状突出部(13)を変形させることを特徴とする、方法。
【請求項7】
第2の張出巻線案内装置(6)を、前記回転子シャフトの他方の端部に挿入することを含み、それによって、前記シャフトが、前記第2の張出巻線案内装置の前記中心開口(12)の前記丸襞状突出部(13)を変形させる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記回転子シャフトが、前記案内装置の厚さ内の円錐台の形状である前記中心開口(12)の最大基底(20)を最初に通過するように、各張出巻線案内装置(6)が前記回転子シャフト(2)上に挿入され、前記丸襞状突出部(13)が、前記案内装置の厚さに応じて延在し、一定の長さを有している、請求項6または7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は回転子の巻線に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、巻線型回転子の歯の周りに導電線を巻くための張出巻線案内装置と、このタイプの案内装置を備える回転電気機械用の巻線型回転子と、このタイプの案内装置を使用する巻線方法とに関する。
【0003】
電気牽引自動車両に使用される電気機械など、巻線型回転子を有する電気モータは、エナメル銅線などの導電線で製作される。導電線は、導電性プレートを積層して製作されたコアの周りに巻かれる。
【0004】
回転子の巻線に際し電線の良好な配置を確実にするために、張出巻線案内装置を回転子のシャフトに芯を合せて固定し、それによって、巻線に際し電線の配置を確実にする。
【0005】
案内装置は、電線への損傷を防止するために、一般にプラスチック材から製作される。
【0006】
案内装置を回転子シャフトに確実に固定するために、プラスチック製案内装置は、一般に金属から製作される回転子シャフトに締り嵌めすることができる。
【0007】
しかしながら、このタイプの組立は、案内装置に応力を発生させ、それが、案内装置を損傷し、電気モータの破損を生じさせることがある。
【0008】
文書FR3084220は、回転子シャフトに締り嵌めが可能な金属部品の周りにプラスチック巻線張出巻線案内装置を鋳造することを提案する。
【0009】
しかしながら、このタイプの張出巻線案内装置の製造は、追加の金属部品を製造することを必要とする。
【0010】
したがって、従来技術による張出巻線案内装置の短所の一部または全てを、特に、確実かつ簡単に製造できる張出巻線案内装置を提案することによって、克服することが提案される。
【0011】
前述の観点から、本発明の主題は、巻線型回転子の歯の周りに導電線を巻くための張出巻線案内装置であって、回転子シャフトを受け入れるように設計された中心開口を備える張出巻線案内装置である。
【0012】
複数の丸襞状突出部が、中心開口の内側に向かって突出して規則的に配置され、シャフトに当接して変形させられるように構成されている。
【0013】
好ましくは、開口は、案内装置の厚さ内の円錐台の形状であり、円錐台は、案内装置を回転子シャフトの周りに挿入する際、円錐台の最大基底をシャフトが最初に通過するように構成され、丸襞状突出部は、案内装置の厚さに応じて延在し、丸襞状突出部の長さは一定である。
【0014】
有利には、張出巻線案内装置は、隣接する2つの丸襞状突出部間に、案内装置の厚さに応じて延在する溝をさらに備える。
【0015】
好ましくは、張出巻線案内装置は、少なくとも3つの丸襞状突出部を備える。
【0016】
本発明の主題は、さらに、回転電気機械用の巻線型回転子であって、回転子シャフトと、2つの、上記に定義された張出巻線案内装置であり、それぞれが回転子シャフトの両端部に配置される張出巻線案内装置とを備え、張出巻線案内装置の丸襞状突出部が、回転子シャフトを案内装置の開口内に固定するために、回転子シャフトに接して変形させられる、巻線型回転子である。
【0017】
本発明の主題は、さらに、巻線型回転子の歯の周りに導電線を巻く方法である。
【0018】
その方法は、回転子の回転子シャフトの端部に張出巻線案内装置を挿入することを含み、それによって、シャフトが、張出巻線案内装置の中心開口の内側に向かって突出して規則的に配置された複数の丸襞状突出部を変形させる。
【0019】
好ましくは、その方法は、第2の張出巻線案内装置を、回転子シャフトの他方の端部に挿入することを含み、それによって、シャフトが、第2の張出巻線案内装置の中心開口の丸襞状突出部を変形させる。
【0020】
有利には、回転子シャフトが案内装置の厚さ内の円錐台の形状である中心開口の最大基底を最初に通過するように、各張出巻線案内装置を回転子シャフト上に挿入し、丸襞状突出部は、案内装置の厚さに応じて延在し、一定の長さを有する。
【0021】
本発明の他の目的、特徴および利点が、添付図面を参照して、単に非限定的例として示される以下の説明を読むことによって、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による巻線型回転子の例の概略図である。
図2】本発明による回転子の端部の部分概略図である。
図3】本発明による張出巻線案内装置の実施形態の図である。
図4図3の張出巻線案内装置の軸方向断面図である。
図5】本発明による丸襞状突出部の例示的実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、回転電気機械の固定子に挿入するように設計された巻線型回転子1の例を示す。
【0024】
回転子1は、シャフト2と、金属シャフト2に取り付けられた磁性体3とを備える。
【0025】
回転子1は、回転軸(A)によって回転する。
【0026】
磁性体3は、回転子歯4と切欠き5とを交互に形成する磁気プレートと、2つの張出巻線案内装置6と、巻線7とを備え、切欠き5は、磁性体3の或る直径に規則的に配置される。
【0027】
この事例では、磁性体は、8つの回転子歯4を備える。
【0028】
変形形態として、磁性体3は、8つより多い、または少ない歯を備えてもよい。
【0029】
張出巻線案内装置6は、それぞれ、回転子シャフト2の両端部に配置され、それぞれが、複数の案内歯9(図示せず)が突出している円形部分8を備え、それら案内歯は、円形部分8の周上に規則的に配置され、案内歯9の数は、回転子歯4の数に等しい。
【0030】
各巻線7が、回転子歯4と2つの張出巻線案内装置6の案内歯9との周りに巻かれ、それによって、たとえば回転子極が形成される。
【0031】
各張出巻線案内装置6が、回転子シャフト2に固定され、それによって、円形部分8と回転子シャフト2とが同心になり、各案内歯9が回転子歯4と一致する。
【0032】
張出巻線案内装置6は、巻線7を形成するために、巻線段階において電線を切欠き5内に正確に配置することを可能にする。
【0033】
各張出巻線案内装置6は、ピン10をさらに備える。
【0034】
一方の張出巻線案内装置6のピン10は、或る巻線7を互いに接続して極の対を形成することを可能にし、他方の張出巻線案内装置6のピンは使用されない。
【0035】
プラスチック張出巻線案内装置6は鋳造によって製造されるので、ピン10を使用することとは関係なく、張出巻線案内装置6を製造するために1つだけの鋳型を必要とする。
【0036】
図2は、巻線7が取り除かれた、回転子1の端部の部分図を示す。
【0037】
各案内歯9の両縁部に配置された案内溝11をさらに備える張出巻線案内装置6が、巻線7の電線を保持するように配置されている。
【0038】
回転子シャフト2に張出巻線案内装置6を配置することによって、各案内歯9の案内溝11において各巻線7を繰り返して確実に開始することが可能になる。
【0039】
各張出巻線案内装置6は、円形部分8に形成され、回転子シャフト2を受け入れる中心開口12をさらに備える。
【0040】
中心開口12は、全体的に円形である。
【0041】
複数の丸襞状突出部13が、中心開口12の内側に向かって突出して規則的に配置されている。
【0042】
丸襞状突出部13は、回転子シャフト2の周りに張出巻線案内装置6を挿入する際に、回転子シャフト2に当接し、シャフト2によって圧縮されて変形させられるように寸法設定されている。
【0043】
回転子シャフト4上での丸襞状突出部13の変形は、回転子シャフト4に接する丸襞状突出部13の摩擦によって、案内アセンブリ6に追加の応力を及ぼすことなく回転子シャフト2の周りに案内装置6を固定し、それによって、巻線7を巻く際および回転子1の回転中の案内装置6の損傷の危険性が低減される。
【0044】
案内装置6を回転子シャフト2に芯合わせするために、中心開口12は、シャフト(A)に関して120°ずつ角度をずらされた少なくとも3つの丸襞状突出部13を備える。
【0045】
図3および4は、それぞれ、案内装置6の実施形態の図および方向IV-IVでの部分断面を示す。
【0046】
案内装置6は、隣接する2つの丸襞状突出部13間に、案内装置6の厚さに応じて延在する溝14をさらに備える。
【0047】
溝14は、たとえば励磁リングを含めて、部品を挿入する通路を空けるために、巻線の両側で回転子が対称であるようにすることができる。
【0048】
図4に示すように、開口12は、案内装置6の厚さ内の円錐台の形状である。
【0049】
円錐台は、円形部分8の一方の端部に位置する、回転子シャフト4の直径より大きい直径を有する大きい基底20と、円形部分8の他方の端部に位置する、大きい基底20の直径より小さい直径を有する小さい基底21とを備える。
【0050】
丸襞状突出部13は、円形部分8の厚さに応じて延在し、一定の長さL13を有する。
【0051】
案内装置6は、回転子シャフト4が円錐台の最大基底20を最初に通過するように、回転子シャフト4の周りに挿入され、案内装置6の挿入中、回転子シャフト4の周りに、案内装置6の芯合わせを容易にする空隙を伴い、次いで、回転子シャフトが小さい基底21を通過する。
【0052】
丸襞状突出部13は、部分的に圧縮される。
【0053】
図5は、丸襞状突出部13の実施形態を示す。
【0054】
案内装置6は鋳造によって製造されるので、丸襞状突出部13は、連結半径を備える。
【0055】
丸襞状突出部13は、たとえば1mmの長さL13を有する。
【0056】
丸襞状突出部13を付け加えることにより、巻線の段階および回転子1の使用中に案内装置6を損傷することのある余計な機械的応力を案内装置6に生じさせることなく、案内装置6を回転子シャフト4に芯合わせし固定して、巻線7を形成することが可能になる。
【0057】
さらに、丸襞状突出部のない案内装置6は一般に使用されているので、案内装置6を製造するためには鋳型を修正すれば十分であり、したがって、案内装置6の製造コストが低減される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】