(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】耐溶損性耐火材、製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
C04B 35/101 20060101AFI20240614BHJP
C04B 35/66 20060101ALI20240614BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C04B35/101
C04B35/66
F27D1/00 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569898
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 CN2022091728
(87)【国際公開番号】W WO2022237727
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110507564.4
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523425821
【氏名又は名称】▲ず▼博市魯中耐火材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZIBO CITY LUZHONG REFRACTORIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Niecun, Luocun Town, Zichuan District, Zibo, Shandong 255138, China
(71)【出願人】
【識別番号】516265780
【氏名又は名称】北京科技大学
(71)【出願人】
【識別番号】523425832
【氏名又は名称】▲ず▼博郎豊高温材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZIBO LANGFENG HIGH TEMPERATURE MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Niecun, Luocun Town, Zichuan District, Zibo, Shandong 255138, China
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】陳俊紅
(72)【発明者】
【氏名】封吉聖
(72)【発明者】
【氏名】賈元平
(72)【発明者】
【氏名】李斌
(72)【発明者】
【氏名】朱波
(72)【発明者】
【氏名】李広奇
(72)【発明者】
【氏名】郭玉涛
【テーマコード(参考)】
4K051
【Fターム(参考)】
4K051AA06
4K051BB02
4K051BE00
(57)【要約】
本発明は、耐溶損性耐火材、製造方法及びその使用を開示している。前記耐溶損性耐火材において、耐火材の相は、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO
2から選択される1つまたは複数の相とを含む。前記耐火材は高温液相が少なく、気孔構造が均一であり、熱衝撃安定性に優れており、製鋼生産ラインで広く使用することができ、回転炉の耐火材ライニングにも広く使用でき、耐溶損性がよく、熱伝導率が低く、その性能は、既存のシリカムライトレンガやマグネシアアルミナスピネルレンガなどの多くの耐火材よりも明らかに優れている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐溶損性耐火材であって、前記耐火材の相が、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO
2から選択される1つまたは複数の相とを含む、耐火材。
【請求項2】
前記耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO
2から選択される1つまたは複数の相との合計が90%以上であり、
好ましくは、コランダム相が26.5~89.5%であり、好ましくは32~89.5%であり、より好ましくは32.0~88.0%であり、
CA6+C2M2A14+CM2A8相の合計量が5.25~66.5%であり、好ましくは5.25~62.0%であり、より好ましくは6.0~62.0%であり、
ZrO
2相が0~35%であり、好ましくは0~30%である、請求項1に記載の耐火材。
【請求項3】
前記耐火材に占める質量百分率として、焼結を促進する不純物成分の含有量が1.5%以下であり、好ましくは1.0%以下である、請求項1または2に記載の耐火材。
【請求項4】
前記耐火材の化学組成が、Al
2O
3、CaO、MgO、及びZrO
2を含み、前記耐火材に占める質量百分率として、前記Al
2O
3が59.5~98.99%であり、好ましくは64.57~98.99%であり、前記CaOが0.30~5.58%であり、好ましくは0.35~5.58%であり、より好ましくは0.30~5.20%または0.35~5.20%であり、前記MgOが0~5.58%であり、前記ZrO
2が0~35%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項5】
前記耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cm
3であり、好ましくは2.95~3.45g/cm
3であり、より好ましくは2.95~3.30g/cm
3である、請求項1~4のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項6】
前記耐火材は、顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される、請求項1~5のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項7】
前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70である、請求項6に記載の耐火材。
【請求項8】
前記顆粒材料が、コランダム顆粒材料と混合顆粒材料とを含み、好ましくは、顆粒材料に占める質量百分率として、前記コランダム顆粒材料が65~100%であり、前記混合顆粒材料が0~35%であり、
好ましくは、前記混合顆粒材料は、CA6顆粒材料、C2M2A14顆粒材料、及びCM2A8顆粒材料から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記コランダム顆粒材料は、板状コランダム顆粒材料、焼結コランダム顆粒材料、白色コランダム顆粒材料、緻密コランダム顆粒材料、及び亜白色コランダム顆粒材料から選択される1つまたは複数である、
請求項6または7に記載の耐火材。
【請求項9】
前記微粉末は、Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末と、ZrO
2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末に占める質量百分率として、前記Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末が50%~100%であり、前記ZrO
2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末は、Al
2O
3含有微粉末と、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びMgO-CaO系微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末とを含み、
好ましくは、前記MgO-CaO系微粉末は、MgO含有微粉末及び/またはCaO含有微粉末であり、
好ましくは、前記Al
2O
3含有微粉末は、活性α-Al
2O
3微粉末、γ-Al
2O
3微粉末、ρ-Al
2O
3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム、軽焼マグネシア、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、高純度マグネシア、及び電融マグネシアから選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰、石灰石、水酸化カルシウム、CaO・Al
2O
3、CaO・2Al
2O
3、12CaO・7Al
2O
3、CA6、C2M2A14、及びCM2A8から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO
2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、請求項6~8のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項10】
前記微粉末の粒径が0.088mm以下であり、好ましくは、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmであり、好ましくは0.088~8mmである、請求項6~9のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項11】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形し、低温で仮焼結した後にホットプレス焼結することである、請求項6~10のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項12】
前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、ホットプレス強度は0.5~30MPaである、請求項11に記載の耐火材。
【請求項13】
顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む、前記耐火材の製造方法。
【請求項14】
前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70である、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記顆粒材料が、コランダム顆粒材料と混合顆粒材料とを含み、好ましくは、顆粒材料に占める質量百分率として、前記コランダム顆粒材料が65~100%であり、前記混合顆粒材料が0~35%であり、
好ましくは、前記混合顆粒材料は、CA6顆粒材料、C2M2A14顆粒材料、及びCM2A8顆粒材料から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記コランダム顆粒材料は、板状コランダム、焼結コランダム、白色コランダム、緻密コランダム、及び亜白色コランダムから選択される1つまたは複数である、
請求項13または14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記微粉末は、Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末と、ZrO
2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末に占める質量百分率として、前記Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末が50%~100%であり、前記ZrO
2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末は、Al
2O
3含有微粉末と、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びMgO-CaO系微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末とを含み、
好ましくは、前記MgO-CaO系微粉末は、MgO含有微粉末及び/またはCaO含有微粉末であり、
好ましくは、前記Al
2O
3含有微粉末は、活性α-Al
2O
3微粉末、γ-Al
2O
3微粉末、ρ-Al
2O
3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム、軽焼マグネシア、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、焼結マグネシア、及び電融マグネシアから選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰、石灰石、水酸化カルシウム、CaO・Al
2O
3、CaO・2Al
2O
3、12CaO・7Al
2O
3、CA6、C2M2A14、及びCM2A8から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO
2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、請求項13~15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記微粉末の粒径が0.088mm以下であり、好ましくは、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmであり、好ましくは0.088~8mmである、請求項13~16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形し、低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、請求項13~17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、ホットプレス強度は0.5~30MPaである、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
請求項1~12のいずれか一項に記載の耐火材、または請求項13~19のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、溶鋼精錬用取鍋の作業ライニング。
【請求項21】
請求項1~12のいずれか一項に記載の耐火材、または請求項13~19のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、アルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニング。
【請求項22】
請求項1~12のいずれか一項に記載の耐火材、または請求項13~19のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、工業炉用耐火材ライニング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、耐火材の技術分野に関し、特に、耐溶損性耐火材、その製造方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
溶鉄が転炉で吹錬された後、より多くの酸素が存在するため、溶鋼は主に脱酸、脱硫、非金属介在物の除去などの精錬プロセスを経る必要があり、このプロセスでは通常、高温度及びスラグの高アルカリ度が必要である。精錬プロセス中の耐火材(耐火物)への損傷は、主に高温及び高アルカリ度のスラグが原因で、非常に深刻である。
【0003】
高温によりスラグが耐火材を急速に腐食するため、取鍋精錬に使用される作業ライニングは一般に比較的良好な耐火材であり、原料の純度が高く、耐食性が良好であり、現在使用されているコランダム・スピネルキャスタブル、コランダム・MgO・SiO2キャスタブル等の主原料はコランダムである。
【0004】
精錬スラグは一般に塩基性が高く粘度が低く、主に脱硫や介在物の性状変化等を目的としているが、これがスラグの耐火材への深い浸透にもつながり、浸透は耐火材の劣化や溶損を意味する。変成層と原料レンガ層の膨張係数や高温性能などとの大きな違いにより、耐火材が剥離して損傷し、耐火材にとって非常に致命的な損傷方法となる。
【0005】
耐火材はセラミックスとは異なり、使用される場合一般に温度変化が大きく、熱応力が大きいため、使用中の耐火材の応力亀裂や損傷を避けるために、膨張応力を緩衝するように耐火材に一定の気孔率を確保する必要がある。例えば、コランダム-スピネルキャスタブルは15~19%の気孔率を保持する。これらの気孔は膨張応力を緩衝するとともに、低粘度のスラグの浸透に好都合な条件を提供し、浸透や剥離損傷を引き起こす。既存の耐火材調製技術と研究コンセプトでは、耐火材の応力損傷を回避し、熱衝撃安定性を確保するために、一定の気孔を保持する必要がある。
【0006】
したがって、取鍋に使用される耐火材には、耐食性、耐浸透性、及び耐熱衝撃安定性の3点を満足させる必要があるが、熱衝撃安定性、耐浸透性、耐溶損性は互いに矛盾するものである。
【0007】
マグネシアカーボンレンガ及びアルミナマグネシアカーボンレンガは、現在工業用途で使用される第一の主要なタイプの取鍋ライニング材であり、耐食性に優れたマグネシア及びコランダムなどをベースに黒鉛を添加して調製するというアイデアに基づいている。黒鉛の低い濡れ性により、スラグや溶鋼の耐火材内部への浸透を防止するとともに、黒鉛の高い熱伝導率により耐火材内部の温度勾配を緩和し、急激な温度変化による熱応力を改善し、耐火材の熱衝撃安定性を向上させる。しかし、黒鉛系材料は使用中に、特に極低炭素鋼を製錬する際に鋼中に炭素が添加される問題があり、また黒鉛の酸化は気孔の増加に相当するため、黒鉛の酸化によりこのような材料の損傷が促進されるという問題もある。精製取鍋耐火材のカーボンフリー化は重要な開発方向である。
【0008】
コランダム-スピネルまたはコランダム-MgO-SiO2系キャスタブルは、現在工業用に使用されている炭素を含まない耐火材であり、骨材は板状コランダム及びスピネル粒子であり、微粉末は板状コランダム、スピネル、活性アルミナ微粉末、純アルミン酸塩セメントなどであり、この種のキャスタブルの原料は高純度で高耐食性の原料であるが、一緒に構築される耐火材は熱衝撃安定性、耐浸透性、及び耐浸食性の間に矛盾を抱えている。
【0009】
カーボンフリー耐火材の場合、熱衝撃安定性の向上は通常、一定の気孔率を維持することで実現されるが、気孔の存在は耐浸透性の低下につながる。耐食性は原料の高純度化と高耐食性により達成されるが、これは焼結の難しさと耐浸透性の問題をどのように解決するかという課題を招く。耐浸透性は主に耐火材の焼結性と緻密性を向上させることにより改善される。緻密化を達成するには、粒度分布の調整に加えて、焼結プロセスを通じて緻密化を達成する。焼結は通常、液相を通じて達成される。
【0010】
耐火材は大きな粒子と微粉末との集合体であるため、粒子間の緻密化には大きな力が必要であり、液相の表面張力や固溶駆動力は非常に限られているため、液相焼結により局所的な形態を変化させることが可能であるが、全体の構造を変えることはできず、大量の液相が存在しない限り、スラグの浸透を効果的に防ぐこともできない。これは溶鋼精錬のような高温で過酷な条件では実現不可能である。また、より多くの液相が存在すると、材料の熱衝撃安定性が大幅に低下するため、熱衝撃安定性、耐浸透性、耐侵食性の間の矛盾は解決されていない。
【0011】
ヘキサアルミン酸カルシウムの構造式はCaO・6Al2O3(略称CA6)であり、融点は1875℃であり、理論密度は3.79g/cm3である。この材料の特徴は以下のとおりである。(1)低酸素分圧下での安定性が良好であり、(2)ヘキサアルミン酸カルシウムはラメラ状のスタッキング構造であり、結晶成長に異方性があり、C軸の成長速度が遅く、焼結しにくい。(3)CA6がスラグと反応すると、CA2(CaO・2Al2O3の略称)やCA(CaO・Al2O3の略称)等を生成し、製鋼温度においてCA2が固体、CAが液相となり、固液混合相が気孔を閉塞してスラグの浸透を抑制する。
【0012】
スラグの浸透を抑制する性能は、溶融物と接触する耐火材に非常に適しているが、材料の層状構造と異方性成長により焼結性が低下し、緻密化が困難になるため、体積密度が3.0g/cm3を超える原料と、体積密度が2.90g/cm3を超えるヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を調製するのも難しい。高密度のCA6原料がなければ、高密度のCA6系耐火材を製造することは不可能である。
【0013】
現在、ヘキサアルミン酸カルシウム原料の緻密化を達成するために、SiO2やTiO2などの添加剤を使用するのが多いが、高温で液相が出現し、その緻密化と焼結が促進されている。例えば、陳肇友、柴俊蘭は、ヘキサアルミン酸カルシウム材料及びアルミニウム工業炉へのその応用(非特許文献1)において、Bonite(ヘキサアルミン酸カルシウムの商品名)の物理的及び化学的特性について説明し、その化学組成のSiO2が0.9%であることに言及した。また、「緻密ヘキサアルミン酸カルシウム耐火クリンカーの調製方法」(特許文献1)及び「緻密ヘキサアルミン酸カルシウム耐火クリンカー及びその調製方法」(特許文献2)はそれぞれ、焼結剤としてTiO2及びMnOを使用しているが、この方法ではミラー層内の原子のスタッキングを制御することで緻密化を達成することはできず、液相を利用して粒子間の距離を縮めるだけであり、この緻密化には限界がある。さらに、密度を高めるために焼結助剤を添加する方法では、いずれも材料の高温性能が犠牲になり、材料の高温性能が大幅に低下することになる(添加量は1%未満であるが、高温で数倍の液相を生成する)。
【0014】
焼結助剤を添加したヘキサアルミン酸カルシウムの原料の耐火材には、その原料固有の欠陥に加えて、見掛け気孔率が高く(材料の見掛け気孔率は最大35%)、耐食性が劣るなどの問題がある。気孔率が高く、焼結助剤の添加量が多い場合、ヘキサアルミン酸カルシウム耐火材の損傷速度は非常に速くなる。
【0015】
CaO・2MgO・8Al2O3と2CaO・2MgO・14Al2O3はいずれもCA6構造単位とMgO・Al2O3のC軸スタッキングに基づいており、それらの特性はCA6と類似している。説明の便宜上、以下においてCA6のみでまとめ、CaO・2MgO・8Al2O3と2CaO・2MgO・14Al2O3を総称してCMAと略記する。また、CA6とCMAを総称してヘキサアルミン酸カルシウム系相と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】中国特許出願公開第CN110171980A号公報
【特許文献2】中国特許出願公開第CN105585314A号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】陳肇友ら、ヘキサアルミン酸カルシウム材料及びアルミニウム工業炉へのその応用[J].耐火材料、2011,45(2):122~125.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、ヘキサアルミン酸カルシウムの化学組成の利点に基づいて、どのようにして材料の密度と構造の均一性を大幅に向上させ、溶鋼とスラグの浸透を減らし、変成層と損傷層を減らし、耐用年数を向上させるか、どのようにしてアルミン酸カルシウム材料の純度を高め、耐スラグ浸食性を向上させ、耐用年数を向上させるか、取鍋ライニング耐火材の精製やアルミニウム液などの容器耐火材の精錬にとって非常に重要である。
【0019】
上記の分析により、従来技術の問題点及び欠陥は次のとおりである。(1)熱衝撃安定性と耐スラグ浸透性のバランスをとるために、耐火材は高い気孔率を保持する必要がある。これにより、スラグが耐火材に深く浸透し、変成層が厚くなり、その後の溶損や剥離損傷が発生する。(2)耐食性を確保するために、原料のほとんどは高純度であるが、焼結が難しく、素体の焼結と緻密化を実現するには、焼結助剤を導入して融点を下げ、液相を増やす必要があり、その結果、材料の耐スラグ浸食性が低下してしまう。(3)焼結助剤の添加は、焼結と緻密化を促進するが、局所的な微細構造が変化するだけであり、全体の構造はあまり変化せず、材料は緻密化されるが、構造の均一性が劣る。(4)現在、緻密なCA6耐火材原料の大規模な生産はない。少量の緻密なCA6原料が生産されているが、原料にはSiO2などの焼結助剤が含まれている。(5)より多くの焼結助剤液相が存在すると、材料の熱衝撃安定性が大幅に低下する。(6)熱衝撃安定性、耐浸透性、及び耐食性の間の矛盾はまだ解決されていない。
【0020】
上記の問題と欠陥を解決することの難しさは次のとおりである。(1)従来の耐火材の開発思想では、キャスタブルであっても耐火レンガであっても気孔の分布は非常に不均一である。温度変化による応力損傷を軽減するには、不均一な気孔の分布に対抗するための多量の気孔率が必要であることから、スラグの浸透が避けられず、その制御も困難となる。(2)耐スラグ浸食性を高めるには原料の純度を高めるしかないが、高純度の原料は、粒子拡散のみでは焼結を達成することが難しく、強度も保証できない。(3)高純度耐火材システムは、焼結助剤を添加することによってのみ液相で焼結を達成し、強度を得ることができるが、低融点の液相の出現により耐食性が低下する。(4)CA6材料は、その構造的特性により焼結が困難であり、焼結助剤の添加により緻密化は達成できるが、高温性能が低下し、耐スラグ浸食性が大幅に低下し、熱衝撃安定性が低下する。(5)従来の耐火材の開発思想では、粒子の最密スタッキングと液相の表面張力を利用して高密度を達成することは困難である。
【0021】
上記の問題や欠点を解決する意義は、次のとおりである。高純度、高耐溶損性の原料をベースに、焼結助剤を添加せず、低融点液相を生成せず、液相焼結に依存することなく、高純度及び耐食性を有する耐火材を製造することができ、高純度原料の耐食性の利点を最大限に発揮することができる;均一な組織構造を持つ耐火材を構築することで、耐火材全体の構造応力を解決するだけではなく、耐スラグ浸透性の問題も解決し、耐浸透性と耐熱衝撃性の両立を実現できる;これにより、耐食性に優れた高純度原料の利点を十分に発揮するだけではなく、熱衝撃安定性と耐スラグ浸透性を両立させ、過酷な精錬条件下で取鍋の作業ライニングの耐火材が急速に損傷する問題も解決し、有意な経済的及び社会的利益をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するために、本発明は、高い耐溶損性を有する耐火材、その製造方法及びその使用を提供する。
【0023】
本発明に係る高耐溶損性耐火材は、製造工程において焼結助剤を添加する必要がなく、ホットプレス焼結プロセスを使用して、高純度、良い耐食性、良い耐スラグ浸透性、及び高い耐熱衝撃安定性を有する耐火材製品を製造することができる。
【0024】
本発明の具体的な技術案は次のとおりである。
1、耐溶損性耐火材であって、前記耐火材の相が、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO2から選択される1つまたは複数の相とを含む、耐火材。
2、前記耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO2から選択される1つまたは複数の相との合計が90%以上であり、
好ましくは、コランダム相が26.5~89.5%であり、好ましくは32~89.5%であり、より好ましくは32.0~88.0%であり、
CA6+C2M2A14+CM2A8の合計量が5.25~66.5%であり、好ましくは5.25~62.0%であり、より好ましくは6.0~62.0%であり、
ZrO2相が0~35%であり、好ましくは0~30%である、項1に記載の耐火材。
3、前記耐火材に占める質量百分率として、焼結を促進する不純物成分の含有量が1.5%以下であり、好ましくは1.0%以下である、項1または2に記載の耐火材。
4、前記耐火材の化学組成が、Al2O3、CaO、MgO、及びZrO2を含み、前記耐火材に占める質量百分率として、前記Al2O3が59.5~98.99%であり、好ましくは64.57~98.99%であり、前記CaOが0.30~5.58%であり、好ましくは0.35~5.58%であり、より好ましくは0.30~5.20%または0.35~5.20%であり、前記MgOが0~5.58%であり、前記ZrO2が0~35%である、項1~3のいずれか一項に記載の耐火材。
5、前記耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cm3であり、好ましくは2.95~3.45g/cm3であり、より好ましくは2.95~3.30g/cm3である、項1~4のいずれか一項に記載の耐火材。
6、前記耐火材は、顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される、項1~5のいずれか一項に記載の耐火材。
7、前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70である、項6に記載の耐火材。
8、前記顆粒材料が、コランダム顆粒材料と混合顆粒材料とを含み、好ましくは、顆粒材料に占める質量百分率として、前記コランダム顆粒材料が65~100%であり、前記混合顆粒材料が0~35%であり、
好ましくは、前記混合顆粒材料は、CA6顆粒材料、C2M2A14顆粒材料、及びCM2A8顆粒材料から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記コランダム顆粒材料は、板状コランダム顆粒材料、焼結コランダム顆粒材料、白色コランダム顆粒材料、緻密コランダム顆粒材料、及び亜白色コランダム顆粒材料から選択される1つまたは複数である、
項6または7に記載の耐火材。
9、前記微粉末は、Al2O3-CaO-MgO系微粉末と、ZrO2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末に占める質量百分率として、前記Al2O3-CaO-MgO系微粉末が50%~100%であり、前記ZrO2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al2O3-CaO-MgO系微粉末は、Al2O3含有微粉末と、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びMgO-CaO系微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末とを含み、
好ましくは、前記MgO-CaO系微粉末は、MgO含有微粉末及び/またはCaO含有微粉末であり、
好ましくは、前記Al2O3含有微粉末は、活性α-Al2O3微粉末、γ-Al2O3微粉末、ρ-Al2O3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム、軽焼マグネシア、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、高純度マグネシア、及び電融マグネシアから選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰、石灰石、水酸化カルシウム、CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、12CaO・7Al2O3、CA6、C2M2A14、及びCM2A8から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、項6~8のいずれか一項に記載の耐火材。
10、前記微粉末の粒径が0.088mm以下であり、好ましくは、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmであり、好ましくは0.088~8mmである、項6~9のいずれか一項に記載の耐火材。
11、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形し、低温で仮焼結した後にホットプレス焼結することである、項6~10のいずれか一項に記載の耐火材。
12、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、ホットプレス強度は0.5~30MPaである、項11に記載の耐火材。
13、顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む、前記耐火材の製造方法。
14、前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70である、項13に記載の製造方法。
15、前記顆粒材料が、コランダム顆粒材料と混合顆粒材料とを含み、好ましくは、顆粒材料に占める質量百分率として、前記コランダム顆粒材料が65~100%であり、前記混合顆粒材料が0~35%であり、
好ましくは、前記混合顆粒材料は、CA6顆粒材料、C2M2A14顆粒材料、及びCM2A8顆粒材料から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記コランダム顆粒材料は、板状コランダム、焼結コランダム、白色コランダム、緻密コランダム、及び亜白色コランダムから選択される1つまたは複数である、
項13または14に記載の製造方法。
16、前記微粉末は、Al2O3-CaO-MgO系微粉末と、ZrO2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末に占める質量百分率として、前記Al2O3-CaO-MgO系微粉末が50%~100%であり、前記ZrO2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al2O3-CaO-MgO系微粉末は、Al2O3含有微粉末と、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びMgO-CaO系微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末とを含み、
好ましくは、前記MgO-CaO系微粉末は、MgO含有微粉末及び/またはCaO含有微粉末であり、
好ましくは、前記Al2O3含有微粉末は、活性α-Al2O3微粉末、γ-Al2O3微粉末、ρ-Al2O3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム、軽焼マグネシア、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、焼結マグネシア、及び電融マグネシアから選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰、石灰石、水酸化カルシウム、CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、12CaO・7Al2O3、CA6、C2M2A14、及びCM2A8から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、項13~15のいずれか一項に記載の製造方法。
17、前記微粉末の粒径が0.088mm以下であり、好ましくは、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmであり、好ましくは0.088~8mmである、項13~16のいずれか一項に記載の製造方法。
18、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形し、低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、項13~17のいずれか一項に記載の製造方法。
19、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、ホットプレス強度は0.5~30MPaである、項18に記載の製造方法。
20、項1~12のいずれか一項に記載の耐火材、または項13~19のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、溶鋼精錬用取鍋の作業ライニング。
21、項1~12のいずれか一項に記載の耐火材、または項13~19のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、アルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニング。
22、項1~12のいずれか一項に記載の耐火材、または項13~19のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、工業炉用耐火材ライニング。
【発明の効果】
【0025】
(1)本発明で提供する耐火材は、製造過程において焼結促進成分を使用しておらず、液相量で焼結するのではなく、高温高圧で焼結することで顆粒の再配列と粒子の拡散を促進している。そのため、本発明によって提供される耐火材は、高温性能がよく、組織構造が均一であり、熱衝撃安定性がよい。
(2)本発明で提供する耐火材は、原料から導入されるSiO2、TiO2、Fe2O3、R2O(K2OとNa2Oの総称)等の焼結促進成分の合計含有量が1.5%以下であり、材料系の化学組成の純度が高く、現在の既存技術で製造されたヘキサアルミン酸カルシウム系相含有耐火材の純度よりも高く、高純度原料の性能上の利点を十分に発揮でき、耐スラグ浸食性に非常に優れている。
(3)本発明によって提供される耐火材の相には、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO2の1つ以上とが含まれており、前記耐火材の相に占める質量百分率として、合計相含有量が90%以上であり、相純度が高く、CA6系の相成分はスラグと反応すると、CA2やCAなどを含有する固液成分を生成し、気孔を塞いで材料の耐スラグ浸食性が向上する。
(4)本発明により提供される耐火材の体積密度は2.90~3.65g/cm3であり、従来技術で製造されたヘキサアルミン酸カルシウム系相含有耐火材の体積密度よりもはるかに高い。材料系の高純度を維持している場合、高い体積密度を有する本発明の材料は、溶鋼及びスラグの機械的摩耗耐性が大幅に向上し、耐スラグ浸透性が向上し、耐用年数も大幅に向上する。
(5)本発明により提供される耐火材は構造が均一であり、大きな気孔が集中しておらず、局所的な進行損傷の問題が発生せず、使用中にバランスよくゆっくりと腐食し、剥離型の層落ちや大きな損傷がないため、耐用年数が大幅に延長される。
(6)本発明が提供する製造方法は、使用する原料がシンプルであり、焼結促進成分を一切使用せずに、ホットプレス焼結プロセスによりヘキサアルミン酸カルシウム系相含有高純度耐火材を良好に焼結させることができ、その方法は科学的かつ合理的である。
(7)本発明により提供される耐溶損性耐火材は、炉外の精錬取鍋の作業ライニングなど、製鋼生産ラインで広く使用することができる。良好な耐溶損性を有し、高級特殊鋼の製錬工程における耐火材の損傷と溶鋼への影響を大幅に軽減し、中国の冶金産業における高級特殊鋼の全体的な品質を向上させ、設備の稼働サイクルを増加させ、経済性を向上させることができ、有意な社会的利益をもたらす。
(8)本発明の耐溶損性耐火材は、セメント回転炉の移行ゾーンなどの回転炉の耐火材ライニングにも広く使用でき、耐溶損性がよく、熱伝導率が低く、その性能は、既存のシリカムライトレンガやマグネシアアルミナスピネルレンガなどの多くの耐火材よりも明らかに優れており、設備の稼働サイクルを延ばし、熱損失を減らし、経済的利益を向上させることができる。
(9)本発明の耐溶損性耐火材は、大気に対する感受性が非常に低く、石油化学分解炉など、高温、還元性雰囲気、及びアルカリ性雰囲気侵食などの条件下での工業用窯の石積みにも広く使用できる。良好な安定性、低い熱伝導率、良好な耐溶損性を備えており、その性能は、既存のコランダムレンガなどの多くの耐火材よりも有意に優れており、設備の稼働サイクルを延長し、熱損失を低減し、経済的利益を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】
図1Aは、比較例1で得られたキャスタブルが動的回転スラグにより浸食された後の効果を示す模式図である。
【
図1B】
図1Bは、実施例1に記載の耐火材が動的回転スラグにより浸食された後のサンプル効果を示す模式図である。
【
図2A】
図2Aは、実験例2における溶鋼精錬の静的ルツボ法の概略図であり、図中、1はスラグ、2はアルミナルツボ、3は鋼、4はアルミニウム、5は耐火材ルツボである。
【
図2B】
図2Bは、静的ルツボ法による溶鋼精錬後の比較例1で得られたキャスタブル及び実施例1に記載の耐火材の経時的な浸食状況を示す効果図である。a、b、及びcはそれぞれ比較例1で得られたキャスタブルの30分、40分、及び50分におけるプロファイル構造であり、d、e、及びfはそれぞれ実施例1で得られた耐火材の30分、40分、及び50分におけるプロファイル構造である。
【
図2C】
図2Cは、比較例1で得られたキャスタブルと実施例1に記載の耐火材の微細構造の比較効果を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に記載された実施形態を組み合わせて本発明を詳細に説明するが、すべての図面における同じ番号は同じ特徴を表す。本発明の特定の実施形態が図面に示されているが、本発明は様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本発明をより完全に理解し、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。
【0028】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、特定の構成要素を指すために特定の用語が使用されていることに留意されたい。当業者は、同じ構成要素を指すのに異なる用語を使用する場合があることを理解するであろう。本明細書及び請求の範囲では、構成要素を区別する方法として名詞の違いを使用するのではなく、構成要素の機能上の違いを区別の基準として使用する。例えば、明細書及び請求の範囲全体で言及される「含有する」または「含む」は開放的な用語であるため、「含むがそれらに限定されない」と解釈されるべきである。本明細書における以下の記載は、本発明を実施するための好ましい実施形態であるが、これらの記載は本明細書の一般原理を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の保護範囲は、添付の請求の範囲によって定められるべきである。
【0029】
本願は、耐溶損性耐火材を提供し、前記耐火材の相は、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO2のうちの1つまたは複数の相とを含む。
【0030】
前記耐火材の相は、XRDによって測定される。例えば、測定される材料を325メッシュ未満に研磨した後、X線回折計によってスキャンする。回折データを分析し、標準PDF(Powder Diffraction File)カードと照合することにより、関連する相を取得し、回折データをフィッティングすることにより、関連する相の含有量を取得する。
【0031】
ZrO2相は、HfO2とZrO2が共存するため分離しにくく、結晶形も似ているため、
(1)HfO2相をZrO2とする。
(2)温度やプロセスなどの違いにより、及び成分分布があまり均一ではない(完全に均一にすることは不可能)ため、最終製品には、ZrO2-CaO固溶体、ZrO2-MgO固溶体、CaO・ZrO2、MgO・ZrO2、及び他の相が現れる可能性がある。ZrO2-CaO固溶体、ZrO2-MgO固溶体、CaO・ZrO2、MgO・ZrO2、及び他の相が現れる場合、まずXRF結果を組み合わせてZrO2含有量を補正し、次にZrO2含有量をジルコニア相に換算し、固溶された、またはCaO・ZrO2やMgO・ZrO2等の形で結合するCaOやMgOなどをCA6、CMAに換算し(CaO、MgOの含有量をCA6、MAに換算し、その後、温度またはCaO-MgO-Al2O3系成分などによってCA6、CMAなどに換算する)、そして、これらすべての相を100%に正規化し、各相の百分率での含有量を計算する。
【0032】
化学組成中のZrO2の含有量については、HfO2とZrO2が共存するため分離が困難であるため、本特許のXRFではHfO2の含有量をZrO2の含有量に含めて計算している。
【0033】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO2から選択される1つまたは複数の相との合計が90%以上であり、
好ましくは、コランダム相が26.5~89.5%であり、好ましくは32~89.5%であり、より好ましくは32.0~88.0%であり、
CA6+C2M2A14+CM2A8の相の合計量が5.25~66.5%であり、好ましくは5.25~62.0%であり、より好ましくは6.0~62.0%であり、
ZrO2相が0~35%であり、好ましくは0~30%である。
【0034】
例えば、前記耐火材の相に占める質量百分率として、相の合計量は、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%などであってもよい。
前記コランダム相は、26.5%、32%、34.75%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、89.5%などであってもよい。
CA6+C2M2A14+CM2A8の相の合計量は、5.25%、6%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、66.5%などであってもよい。
ZrO2相は、0、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%などであってもよい。
【0035】
ここで、CA6+C2M2A14+CM2A8相の合計量とは、相中にCA6のみが存在する場合にはCA6の含有量を指し、C2M2A14またはCM2A8相のみが存在する場合にはC2M2A14またはCM2A8相の含有量を指す。
相中にCA6とC2M2A14が存在する場合には両方の合計含有量を指し、相中にC2M2A14とCM2A8が存在する場合には両方の相の合計含有量を指す。相中にCA6とCM2A8が存在する場合には両方の相の合計含有量を指す。
相中にCA6、C2M2A14、及びCM2A8相が存在する場合、三者の相の合計含有量を指す。
【0036】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記耐火材に占める質量百分率として、焼結を促進する不純物成分の含有量が1.5%以下であり、好ましくは1.0%以下である。
【0037】
例えば、前記耐火材に占める質量百分率として、前記焼結を促進する不純物成分の含有量は、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0038】
前記焼結を促進する不純物成分は、SiO2、TiO2、Fe2O3、R2Oであり、ここで、R2Oとは、アルカリ金属酸化物を指し、前記焼結を促進する不純物成分とは、化学組成を指す。
【0039】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記耐火材の化学組成が、Al2O3、CaO、MgO、及びZrO2を含み、前記耐火材に占める質量百分率として、前記Al2O3が59.5~98.99%であり、好ましくは64.57~98.99%であり、前記CaOが0.30~5.58%であり、好ましくは0.35~5.58%であり、より好ましくは0.30~5.20%または0.35~5.20%であり、前記MgOが0~5.58%であり、前記ZrO2が0~35%である。
【0040】
例えば、前記耐火材に占める質量百分率として、前記Al2O3は、59.5%、61.45%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98.5%、98.99%、またはそれらの間の任意の範囲であってもよく、
前記CaOは、0.30%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.58%、またはそれらの間の任意の範囲であってもよく、
前記MgOは、0、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.58%、またはそれらの間の任意の範囲であってもよく、
前記ZrO2は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0041】
耐火材の化学組成は、GB/T21114-2007に従って蛍光分析、すなわちXRFによって測定される。
【0042】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記耐火材の体積密度は、2.90~3.65g/cm3であり、好ましくは2.95~3.35g/cm3であり、より好ましくは2.95~3.30g/cm3である。
【0043】
例えば、前記耐火材の体積密度は、2.90g/cm3、2.91g/cm3、2.92g/cm3、2.93g/cm3、2.94g/cm3、2.95g/cm3、2.96g/cm3、2.97g/cm3、2.98g/cm3、2.99g/cm3、3.00g/cm3、3.05g/cm3、3.10g/cm3、3.15g/cm3、3.20g/cm3、3.25g/cm3、3.30g/cm3、3.35g/cm3、3.40g/cm3、3.45g/cm3、3.50g/cm3、3.55g/cm3、3.60g/cm3、3.65g/cm3、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0044】
前記耐火材の体積密度は、GB/T2997-2000に従って測定される。
【0045】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記耐火材は、
顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される。
【0046】
前記顆粒材料とは、180メッシュ角穴ふるい(新郷市衆拓機械設備有限公司)でふるい分けできない部分、すなわち、180メッシュ角穴ふるいの上にある部分を指す。顆粒材料の粒径は180メッシュ~10mmであり、すなわち、粒径は0.088~10mmであり、好ましくは0.088~8mmである。例えば、顆粒材料の粒径は、0.088mm、0.090mm、0.095mm、0.10mm、0.15mm、0.20mm、0.25mm、0.30mm、0.35mm、0.40mm、0.45mm、0.50mm、0.55mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、0.80mm、0.85mm、0.90mm、0.95mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0047】
前記微粉末とは、180メッシュ角穴のふるいを通過した部分、すなわち、180メッシュの角穴ふるいの下にある部分を指し、その粒径は180メッシュ以下であり、すなわち、粒径は0.088mm以下である。
【0048】
前記ホットプレス焼結とは、加えられた圧力と温度の共同作用の下で材料の焼結と調製を達成する方法を指す。
【0049】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70である。
【0050】
例えば、前記顆粒材料と前記微粉末との質量比(すなわち、顆粒材料/微粉末の質量比)は、30/70、31/69、32/68、33/67、34/66、35/65、36/64、37/63、38/62、39/61、40/60、41/59、42/58、43/57、44/56、45/55、46/54、47/53、48/52、49/51、50/50、51/49、52/48、53/47、54/46、55/45、56/44、57/43、58/42、59/41、60/40、61/39、62/38、63/37、64/36、65/35、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0051】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記顆粒材料が、コランダム顆粒材料と混合顆粒材料とを含み、好ましくは、顆粒材料に占める質量百分率として、前記コランダム顆粒材料が65~100%であり、前記混合顆粒材料が0~35%であり、
好ましくは、前記混合顆粒材料は、CA6顆粒材料、C2M2A14顆粒材料、及びCM2A8顆粒材料から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記コランダム顆粒材料は、板状コランダム顆粒材料、焼結コランダム顆粒材料、白色コランダム顆粒材料、緻密コランダム顆粒材料、及び亜白色コランダム顆粒材料から選択される1つまたは複数である。
【0052】
顆粒材料に占める質量百分率として、前記コランダム顆粒材料は、例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の任意の範囲であってもよく、
前記混合顆粒材料は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0053】
前記C2M2A14顆粒材料とは、2CaO・2MgO・14Al2O3顆粒材料を指し、CM2A8顆粒材料とは、CaO・2MgO・8Al2O3顆粒材料を指す。
【0054】
前記板状コランダム顆粒材料は、粗くてよく発達したα-Al2O3結晶構造を有し、Al2O3含有量が97.0%以上であり、板状の結晶構造を有し、気孔が小さく閉気孔が多い。
【0055】
前記焼結コランダム顆粒材料とは、アルミナを原料としてペレットまたは素体に粉砕し、1750~1900℃の高温で焼結してなる耐火性クリンカーを指し、体積密度が高く、気孔率が低く、高温での耐熱衝撃性及び耐スラグ浸食性に優れている。
【0056】
前記白色コランダム顆粒材料は、工業用アルミナを原料として電気溶解して製造した酸化アルミニウム(Al2O3)含有量97.5%以上のアルミナ原料であり、微量の酸化鉄、酸化ケイ素等の成分を含有し、白色である。
【0057】
前記亜白色コランダム顆粒材料は、ボーキサイトから生成され、化学組成や物性が白色コランダムに近いため、亜白色コランダムと呼ばれている。白色コランダムの硬さと褐色コランダムの靭性を併せ持ち、理想な高級耐火材及び研磨材である。
【0058】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記微粉末は、Al2O3-CaO-MgO系微粉末と、ZrO2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末に占める質量百分率として、前記Al2O3-CaO-MgO系微粉末が50%~100%であり、前記ZrO2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al2O3-CaO-MgO系微粉末は、Al2O3含有微粉末と、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びMgO-CaO系微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末とを含み、
好ましくは、前記MgO-CaO系微粉末は、MgO含有微粉末及び/またはCaO含有微粉末であり、
好ましくは、前記Al2O3含有微粉末は、活性α-Al2O3微粉末、γ-Al2O3微粉末、ρ-Al2O3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム、軽焼マグネシア、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、高純度マグネシア、及び電融マグネシアから選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰、石灰石、水酸化カルシウム、CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3(CA2)、12CaO・7Al2O3(C12A7)、CA6、C2M2A14、及びCM2A8から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である。
【0059】
高温ホットプレス焼結後のAl2O3-CaO-MgO系微粉末の相には、コランダム相と、CA6、CM2A8、C2M2A14のうちの1種以上とが含まれることから、コランダム相はAl2O3含有微粉末から高温で変換することができ、CA6は、CaO含有原料中のCA6微粉末及び/またはAl2O3含有微粉末と、生石灰、石灰石、水酸化カルシウム、CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3、12CaO・7Al2O3などのCaO含有原料とを反応させることにより得られ、C2M2A14は、C2M2A14微粉末及び/またはAl2O3含有微粉末、MgO含有微粉末、CaO含有微粉末(C2M2A14を除く)の反応により得られる。CM2A8は、CM2A8微粉末及び/またはAl2O3含有微粉末、MgO含有微粉末、CaO含有微粉末(CM2A8を除く)を反応させることにより得ることができる。
【0060】
微粉末に占める質量百分率として、前記Al2O3-CaO-MgO系微粉末は例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の任意の範囲であってもよく、
前記ZrO2含有微粉末は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0061】
前記Al2O3含有微粉末とは、化学組成が主にAl2O3、またはAl(OH)3である微粉末を意味する。
【0062】
MgO含有微粉末とは、化学組成が主にMgOまたはMg(OH)2である微粉末をいう。
【0063】
前記CaO含有微粉末とは、化学組成中にCaO成分を含む微粉末、またはCaO、Al2O3を含む微粉末、またはCaO、MgO、Al2O3を含む微粉末を意味する。
【0064】
前記ZrO2含有微粉末とは、化学組成が主としてZrO2である微粉末をいう。
【0065】
活性α-Al2O3微粉末とは、工業用アルミナまたは水酸化アルミニウムなどを原料として1250~1450℃で処理して得られる、α-Al2O3を主成分とする高活性なアルミナ粉末をいう。
【0066】
γ-Al2O3微粉末とは、水酸化アルミニウムを原料として処理されて得られる比表面積が大きく、吸着性に優れたアルミナ粉末である。
【0067】
ρ-Al2O3微粉末とは、水酸化アルミニウムを原料とし、600~900℃の急速高温処理により得られる、一定の水和結合性を有するアルミナ粉末である。
【0068】
工業用アルミナとは、α-Al2O3を主成分とする鉱物であり、水酸化アルミニウムを原料として900~1250℃で焼成して得られるものである。
【0069】
白色コランダム微粉末は、工業用アルミナを原料として電気溶解して製造した酸化アルミニウム(Al2O3)含有量が97.5%以上のアルミナ原料であり、かつ少量の酸化鉄、酸化ケイ素等の成分を含有し、白色である。
【0070】
焼結コランダム微粉末とは、アルミナを原料としてペレットまたは素体に粉砕し、1750~1900℃の高温で焼結してなる耐火性クリンカーを指し、体積密度が高く、気孔率が低く、高温での耐熱衝撃性及び耐スラグ浸食性に優れている。
【0071】
板状コランダム顆粒は、粗くてよく発達したα-Al2O3結晶構造を有し、Al2O3含有量が97.0%以上であり、板状の結晶構造を有し、気孔が小さく閉気孔が多い。
【0072】
軽焼マグネシアとは、マグネサイト(主成分は炭酸マグネシウム)を原料として、800~1000℃で焼成して得られる、高活性でペリクラーゼ(Periclase)相を有するマグネシア系原料である。
【0073】
ブルーサイトは、Mg(OH)2を主成分とする原料である。
【0074】
焼結マグネシアとは、軽焼マグネシアを原料として高温で焼成した、MgO含有量が94.5%以上である緻密なマグネシア原料である。
【0075】
電融マグネシアとは、軽焼マグネシアまたはマグネサイトを原料としてアーク溶解により製造された、MgO含有量が96.5%以上である緻密なマグネシア原料である。
【0076】
前記生石灰は、焼石灰とも呼ばれ、酸化カルシウムを主成分とするものであり、通常、炭酸カルシウムを主成分とする自然岩を高温で焼成し、二酸化炭素と酸化カルシウム(化学式:CaO、すなわち、生石灰、別名大理石)に分解して製造される。
【0077】
単斜晶系ジルコニアは、常温で安定なジルコニアの結晶形であり、単斜晶系の結晶形がある。
【0078】
正方晶系ジルコニアとは、正方晶相で安定化されたジルコニアである。
【0079】
脱珪ジルコニアは、ジルコンサンドからSiO2などを除去して得られるジルコニアである。
【0080】
電融ジルコニアは、ジルコニア粉末をアーク溶解して製造されるジルコニアである。
【0081】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形し、低温装置で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである。
【0082】
例えば、前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することとは、混合した材料を高温装置の型に入れて加熱し、最高温度まで温度が上昇したら、加圧して焼結するか、一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、混合材料を高温装置の型に入れて一定温度まで加熱すると加圧し、その後最高温度に達し、圧力が最高値に達するまでに、徐々に昇温すると同時に加圧力を上げていき、材料に対するホットプレス焼結を完成するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、混合材料を高温装置の型に入れて、温度が最高温度に達し、圧力が最高値に達するまでに昇温しながら混合材料に加えた圧力を徐々に上げ、材料に対するホットプレス焼結を完成するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成することである。
【0083】
前記混合材料を常温で成形した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することとは、混合材料を常温でプレスして素体とし、乾燥させた後にホットプレス焼結すること、あるいは、素体を最高温度に加熱したら加圧して焼結するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、素体を高温装置の型に入れて一定温度まで加熱すると加圧し、その後最高温度に達し、圧力が最高値に達するまでに徐々に昇温すると同時に加圧力を上げていき、材料に対するホットプレス焼結を完成するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、素体を高温装置の型に入れて、温度が最高温度に達し、圧力が最高値に達するまでに、昇温しながら混合材料に加えた圧力を徐々に上げ、材料に対するホットプレス焼結を完成するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成することである。
【0084】
前記高温装置は、高温炉などの当業者に通常使用される高温装置である。
【0085】
前記混合材料を常温で成形し、低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することとは、混合材料を常温でプレス成形し、1350~1500℃で仮焼結した後に高温装置の型に入れてホットプレス焼結することを指す。ホットプレス焼結操作は上記と同様である。
【0086】
本発明の好ましい特定の実施形態では、ホットプレス焼結の温度が1550~1800℃であり、好ましくは、ホットプレス強度は0.5~30MPaである。
【0087】
前記ホットプレス強度とは、単位面積あたりのサンプルにかかる圧力の値である。
【0088】
例えば、温度は、1550℃、1600℃、1650℃、1700℃、1750℃、1800℃、またはそれらの間の任意範囲であってもよく、
ホットプレス強度は例えば、0.5MPa、1MPa、1.5MPa、2MPa、2.5MPa、3MPa、3.5MPa、4MPa、4.5MPa、5MPa、5.5MPa、6MPa、6.5MPa、7MPa、7.5MPa、8MPa、8.5MPa、9MPa、9.5MPa、10MPa、10.5MPa、11MPa、11.5MPa、12MPa、12.5MPa、13MPa、13.5MPa、14MPa、14.5MPa、15MPa、20MPa、25MPa、30MPa、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0089】
本発明は、顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む、前記耐火材の製造方法を提供する。
【0090】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70である。
【0091】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記微粉末の粒径が0.088mm以下であり、好ましくは、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmであり、好ましくは0.088~8mmである。
【0092】
本発明の好ましい特定の実施形態では、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、前記混合材料を常温で成形し、低温装置で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである。
【0093】
本発明は、高温高圧を利用して顆粒の再配列と粒子の拡散を促進し、得られる耐火材は高温液相が少なく、組織構造が均一であり、熱衝撃安定性に優れている。
【0094】
本発明は、上記の耐火材、または上記の製造方法により製造された耐火材を含む、溶鋼精錬用取鍋の作業ライニングを提供する。
【0095】
本発明は、上記の耐火材、または上記の製造方法により製造された耐火材を含む、アルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニングを提供する。
【0096】
本発明は、上記の耐火材、または上記の製造方法により製造された耐火材を含む、工業炉用耐火材ライニングを提供する。
【実施例】
【0097】
本発明は、試験に使用した材料及び試験方法を一般的及び/または具体的に説明する。以下の実施例において、特に断りのない限り、%は重量%、すなわち質量百分率を表す。使用した試薬や機器については製造元を明示していない場合、いずれも市販の従来の試薬製品である。ここで、表1は、実施例で使用した原材料の供給源を示す。
【0098】
【0099】
実施例1
(1)白色コランダム顆粒600g、活性α-Al2O3微粉末40g、工業用アルミナ微粉末100g、CM2A8微粉末60g、及び電融ジルコニア微粉末200gを均一に混合した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1640℃まで温度が上昇したら加圧し、最大ホットプレス強度が6MPaになり、耐溶損性耐火材を得た。
得られた耐火材をXRD(粉末X線回折)で分析した。すなわち、測定される耐火材を325メッシュ以下に研磨し、次いでX線回折装置(Bruker:D8ADVANCE)によって走査した。回折データを分析し、標準PDFカードと照合することにより、関連する相を取得した後、回折データをフィッティングすることにより、関連する相の含有量を得た。その結果、得られた相は主にコランダム、CM2A8、及びジルコニアであり、前記耐火材の相に占める質量百分率として、コランダム、CM2A8、及びジルコニアの合計量が99.1%であり、コランダム相は73.1%であり、CM2A8相は6.0%であり、ジルコニア相は20.0%であった。
耐火材を規格に従ってXRF分析し、GB/T21114-2007に従って測定したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、78.17%のAl2O3と、0.43%のMgOと、0.35%のCaOと、20.0%のZrO2とを含んでいた。
この実施例の耐火材をGB/T2997-2000に従って測定したところ、得られた体積密度は3.30g/cm3であった。
【0100】
実施例2
(1)緻密コランダム顆粒300g、板状コランダム顆粒200g、CA6微粉末140g、工業用アルミナ微粉末92g、8.4g CaCO3微粉末15g、白色コランダム粉末160g、及び脱珪ジルコニア微粉末100gを均一に撹拌した。顆粒材料の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、1500℃まで温度が上昇したら加圧し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1760℃に、最大ホットプレス強度が2MPaになり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダム、CA6、及びジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダム、CA6、及びジルコニアの合計量は98.18%であり、コランダム相は65.1%であり、CA6相は23.4%であり、ジルコニア相は9.68%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、87.12%のAl2O3と、1.93%のCaOと、9.65%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.12g/cm3であった。
【0101】
実施例3
(1)亜白色コランダム顆粒260g、CM2A8顆粒140g、白色コランダム粉末60g、CM2A8粉末100g、C12A7微粉末17g、水酸化マグネシウム粉末17.5g、活性α-Al2O3粉末113g、及び電融ジルコニア粉末300gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は8mmであった。
(2)混合材料をプレス成形し、乾燥した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度が1780℃に、最大ホットプレス強度が0.5MPaになり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダム、CM2A8、及びジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダム、CM2A8、及びジルコニアの合計量は98.5%であり、コランダム相は32.0%であり、CM2A8相は36.5%であり、ジルコニア相は30%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、64.57%のAl2O3と、2.94%のMgOと、2.01%のCaOと、30%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.30g/cm3であった。
【0102】
実施例4
(1)焼結コランダム顆粒300g、緻密コランダム顆粒300g、白色コランダム微粉末280g、活性α-Al2O3粉末110g、及び水酸化カルシウム微粉末13.5gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、1400℃まで温度が上昇すると徐々に圧力を加え、最高温度が1680℃に、最大ホットプレス強度が1MPaとなり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCA6の合計量は98.6%であり、コランダム相は88.0%であり、CA6相は10.6%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、98.99%のAl2O3と、0.89%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は2.95g/cm3であった。
【0103】
実施例5
(1)亜白色コランダム顆粒500g、CA6微粉末73g、白色コランダム粉末100g、ρ-Al2O3粉末28g、及びCaO・Al2O3微粉末40gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料に適量の水を加えて均一に撹拌し、鋳造成形し、乾燥した後、1500℃で仮焼成してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、1770℃まで温度が上昇したら加圧し、最大ホットプレス強度が2MPaになり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCA6の合計量は96.9%であり、コランダム相は74.5%であり、CA6相は22.4%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、96.9%のAl2O3と、1.95%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.12g/cm3であった。
【0104】
実施例6
(1)板状コランダム顆粒650g、CA6微粉末105g、白色コランダム粉末100g、及び水酸化アルミニウム粉末223gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1700℃に、最大ホットプレス強度が14MPaになり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCA6の合計量は98.1%であり、コランダム相は88.0%であり、CA6相は10.1%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、98.99%のAl2O3と、0.75%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.28g/cm3であった。
【0105】
実施例7
(1)亜白色コランダム顆粒500g、C2M2A14微粉末100g、CA2微粉末45g、電融マグネシア粉末7g、ρ-Al2O3粉末89g、及び白色コランダム粉末260gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料に適量の水を加えて均一に撹拌し、振動成形し、乾燥後、1350℃で仮焼成してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、1750℃まで温度が上昇したら加圧し、最大ホットプレス強度が1MPaになり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとC2M2A14であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとC2M2A14の合計量は96.2%であり、コランダム相は75.0%であり、C2M2A14相は21.2%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、96.3%のAl2O3と、1.0%のMgOと、1.20%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.12g/cm3であった。
【0106】
実施例8
(1)亜白色コランダム顆粒300g、CA6微粉末90g、水酸化カルシウム微粉末17g、活性α-Al2O3粉末138g、ρ-Al2O3粉末265g、及び白色コランダム粉末460gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料をプレス成形して乾燥した後、高温装置に入れて1450℃で処理した。処理後のサンプルを高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、1600℃まで温度が上昇したら加圧し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1770℃に、最大ホットプレス強度が3MPaになり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCA6の合計量は97.1%であり、コランダム相は74.7%であり、CA6相は22.4%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、96.4%のAl2O3と、1.91%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.12g/cm3であった。
【0107】
実施例9
(1)板状コランダム顆粒500g、CM2A8微粉末100g、水酸化カルシウム微粉末11g、高純度マグネシア粉末17.5g、工業用アルミナ微粉末122g、及び板状コランダム粉末260gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を常温で成形して乾燥した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1550℃まで温度が上昇したら圧力を加え、温度を上げながら圧力を上げ、最高温度が1740℃まで上昇し、最大ホットプレス強度が4MPaとなり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCM2A8であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCM2A8の合計量は95.42%であり、コランダム相は73.1%であり、CM2A8相は22.32%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、95.7%のAl2O3と、1.97%のMgOと、1.02%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.12g/cm3であった。
【0108】
実施例10
(1)焼結コランダム顆粒260g、CA6顆粒140g、亜白色コランダム微粉末120g、Ca(OH)2微粉末55g、板状コランダム粉末200g、及びρ-Al2O3微粉末245gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は6mmであった。
(2)混合材料を常温でプレス成形し、1500℃で仮焼成した後、高温装置の型に入れて温度を上げながら圧力を加え、最高温度が1750℃まで上昇し、最大ホットプレス強度が7MPaとなり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCA6の合計量は98.8%であり、コランダム相は36.8%であり、CA6相は62.0%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、93.7%のAl2O3と、5.20%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.25g/cm3であった。
【0109】
実施例11
(1)板状コランダム顆粒195g、CM2A8顆粒105g、活性α-Al2O3粉末70g、CM2A8微粉末280g、正方晶ジルコニア微粉末100g、及び電融ジルコニア微粉末250gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を常温で成形した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、温度を上げながら圧力を加え、最高温度が1550℃まで上昇し、最大ホットプレス強度が30MPaとなり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダム、CM2A8、及びジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダム、CM2A8、及びジルコニアの合計量は99.6%であり、コランダム相は26.5%であり、CM2A8相は38.1%であり、ジルコニア相は35%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、59.5%のAl2O3と、3.01%のMgOと、2.03%のCaOと、35%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.45g/cm3であった。
【0110】
実施例12
(1)亜白色コランダム顆粒350g、焼結コランダム顆粒300g、単斜晶系ジルコニア微粉末175g、CM2A8微粉末52.5g、及び水酸化アルミニウム粉末188gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は3mmであった。
(2)混合材料を高温炉装置の型に入れてホットプレス焼結し、1350℃まで温度が上昇したら圧力を加え、温度を上げながら圧力を上げ、最高温度が1600℃まで上昇し、最大ホットプレス強度が15MPaとなり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダム、CM2A8、及びジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダム、CA6、及びジルコニアの合計量は97.15%であり、コランダム相は75.4%であり、CM2A8相は5.25%であり、ジルコニア相は16.5であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、80.8%のAl2O3と、0.30%のCaOと、0.43%のMgOと、16.9%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.26g/cm3であった。
【0111】
実施例13
(1)焼結コランダム顆粒195g、CA6顆粒105g、工業用アルミナ微粉末100g、ρ-Al2O3粉末138.5g、CA6微粉末460g、及び水酸化カルシウム粉末11.5gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は8mmであった。
(2)混合材料を常温で成形して乾燥した後、1500℃で処理し、次いで高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。最高温度が1700℃に、最大ホットプレス強度が21MPaとなり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCA6の合計量は97.7%であり、コランダム相は31.2%であり、CA6相は66.5%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、93.1%のAl2O3と、5.58%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.25g/cm3であった。
【0112】
実施例14
(1)焼結コランダム顆粒300g、工業用アルミナ微粉末460g、CA6微粉末140g、水酸化カルシウム粉末11.5g、及びγ-Al2O3粉末93gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。最高温度が1650℃に、最大ホットプレス強度が8MPaとなり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCA6の合計量は95.4%であり、コランダム相は75.1%であり、CA6相は20.3%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、96.1%のAl2O3と、1.94%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は2.90g/cm3であった。
【0113】
実施例15
(1)焼結コランダム顆粒260g、CM2A8顆粒140g、工業用アルミナ微粉末40g、ρ-Al2O3粉末83g、及びCM2A8微粉末480gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は10mmであった。
(2)混合材料を高温炉の型に入れてホットプレス焼結した。最高温度が1650℃に、最大ホットプレス強度が4MPaとなり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCM2A8であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCM2A8の合計量は98.8%であり、コランダム相は36.8%であり、CM2A8相は62%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、90.1%のAl2O3と、5.20%のMgOと、3.60%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は2.90g/cm3であった。
【0114】
実施例16
(1)焼結コランダム顆粒195g、CM2A8顆粒105g、工業用アルミナ微粉末100g、ρ-Al2O3粉末40g、及びCM2A8微粉末560gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は1mmであった。
(2)混合材料を高温炉の型に入れて直接にホットプレス焼結した。最高温度が1800℃に、ホットプレス強度が2MPaとなり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCM2A8であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCM2A8の合計量は98.3%であり、コランダム相は31.8%であり、CM2A8相は66.5%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、89.3%のAl2O3と、5.58%のMgOと、3.88%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.65g/cm3であった。
【0115】
実施例17
(1)焼結コランダム粒子300g、工業用アルミナ微粉末585g、ρ-Al2O3微粉末40g、水酸化カルシウム微粉末45g、及び電融マグネシア48gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は1mmであった。
(2)混合材料を常温で成形して乾燥し、1450℃で処理した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度が1720℃であり、ホットプレス強度が3MPaであり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダム、CM2A8、及びCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCM2A8の合計量は90.0%であり、コランダム相は44.0%であり、CM2A8相は22.6%であり、CA6相は23.4%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、90.8%のAl2O3と、4.28%のMgOと、3.13%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は2.93g/cm3であった。
【0116】
実施例18
(1)白色コランダム顆粒650g、CA6微粉末105g、及び白色コランダム粉末250gを均一に撹拌した。顆粒の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1715℃であり、最大ホットプレス強度が7.5MPaであり、耐溶損性耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムとCA6の合計量は99.53%であり、コランダム相は89.50%であり、CA6相は10.3%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材は、98.99%のAl2O3と、0.84%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、得られた体積密度は3.25g/cm3であった。
【0117】
比較例1
比較例1と実施例1との違いは、比較例1では従来の製造方法、すなわち中国特許出願公開第CN107500747A号公報における実施例1の方法を採用して耐火材を得たことである。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、得られた前記耐火材の化学組成は、92.11%のAl2O3と、7.02%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で分析したところ、比較例1の相は主にCA6、コランダム、及びCaO・Al2O3、及びCaO・2Al2O3であり、前記耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は69.1%であり、コランダム相は24.2%であり、CaO・Al2O3相は2.30%であり、CaO・2Al2O3相は2.31%であった。
実施例1と同じ方法で測定したところ、前記比較例1の体積密度は3.05g/cm3であった。
【0118】
【0119】
【0120】
実験例1 動的スラグ侵食試験
動的スラグ浸食試験では、実施例1で得られた耐火材と比較例1で得られた耐火材サンプルを比較した。
動的スラグ侵食用のサンプルは、回転軸に固定できるように長さが大きい必要がある。実施例1で得られた耐火材は、体積密度が高く、コランダム相の含有量が高く、硬度が高いため、φ15mmの円柱状のサンプルに研磨加工することは困難であり、角棒状に切断するしかなかった。侵食率の尺度としては、反対側のサイズを基準にしたため、サンプルを角棒状に切断しても最終結果の精度に影響を与えなかった。比較として、比較例1のキャスタブルを同じサイズのサンプルに注入鋳造した。
動的スラグ侵食試験の条件として、脱酸方法は金属アルミニウムによる脱酸を採用し、実験温度は1600℃であり、アルゴン雰囲気で、スラグ系としてはCaO-Al
2O
3-SiO
2系を採用し、製鋼スラグ組成は、CaO 51%、Al
2O
3 30%、SiO
2 11%、MgO 8%、CaO/SiO
2 4.6であった。
比較例1のキャスタブルと実施例1に記載の耐火材をそれぞれ上にあるモーターに高温接着剤で接着し、回転速度を10サイクル/分に制御し、その実験結果をそれぞれ
図1A及び
図1Bに示す。
図1A及び
図1Bから分かるように、8分間回転させると、製鋼スラグに浸漬された比較例1のキャスタブルサンプルは崩壊したのに対し、実施例1の耐火材はほとんど変化がなく、真円度が依然として非常に高く、基本的にはあまり変わっていなかった。サンプルを切り開き、未反応界面の幅をノギスで測定したところ、0.2~0.5mm損傷しており、これにより、実施例1で得られた耐火材の耐溶損性は優れていることが分かった。
【0121】
実験例2 静的スラグ侵食試験
静的スラグ侵食試験にはルツボ法が使用された。
図2Aは、溶鋼精錬の静的ルツボ法の概略図である。
実施例1の耐火材をφ45mmのサンプルにホットプレスし、次いでサンプルにφ30mm×40mmのピットを掘削した。また、比較例1のキャスタブルをφ45mmのサンプルに注入鋳造し、内部ピットの大きさをφ30mm×40mmにした。試験の条件として、1600℃、アルゴン雰囲気で、金属アルミニウムによる脱酸を採用した。スラグ系としてはCaO-Al
2O
3-SiO
2系を採用し、製鋼スラグ組成は、CaO 51%、Al
2O
3 30%、SiO
2 11%、MgO 8%、CaO/SiO
2 4.6であった。静的スラグ浸食の結果を
図2Bに示す。ここで、a、b、及びcはそれぞれ比較例1のキャスタブルの30分、40分、及び50分におけるプロファイル構造であり、d、e、及びfはそれぞれ実施例1のサンプルの30分、40分、及び50分におけるプロファイル構造である。
図2Bから分かるように、比較例1のキャスタブルについては、40分で一部の部分がスラグによって完全に浸透して浸食され、サンプルが崩壊しており、一部の部分の浸食厚さは270μmであることが示されているが、スラグは完全に浸透していた。これは従来の耐火材の構造と特性によって引き起こされる。従来の材料は構造が不均一であるため、全体としては良好である場合が多いが、一部の部分では耐えられなくなっている。それに対して、本発明の実施例1のサンプルは、非常によい均一性と非常に完全な構造を示した。
さらに、
図2Cは、比較例1のキャスタブルの微細構造と本発明の実施例1のサンプルの微細構造との比較であり、a、b、及びcはそれぞれ、比較例1のキャスタブルの30分、40分、及び50分における微細構造であり、d、e、及びfはそれぞれ、実施例1のサンプルの30分、40分、及び50分における微細構造である。比較例1のキャスタブルの構造は非常に不均一であり、孔のより多い場所に沿ってスラグが深く浸透する可能性があるのに対し、本発明の実施例1の変成層は非常に薄くて均一であることが微細構造からも分かる。これはまた、本発明のサンプルの優れた性能を示している。
【0122】
実験例3 スラグ侵食及び熱衝撃安定性試験
実施例1~17及び比較例1で得られた耐火材について、スラグ侵食及び熱衝撃安定性試験を行った。ここで、スラグ侵食状況の測定については、まず、実験後のルツボを中間面に沿って切断し、ルツボ壁からサンプルを採取し、電子顕微鏡で観察及び測定してスラグ浸食状況を得た。熱衝撃安定性試験は、GB/T 30873-2014に従って測定され、その結果を表3に示す。
【0123】
【0124】
耐火材の適用の可否及び性能評価は、耐スラグ侵食性に関係するだけではなく、急冷・急加熱条件下での耐火材の熱衝撃安定性も考慮する必要がある。熱衝撃安定性がよくない場合は、使用中にクラックが発生し、材料の性能に影響を与える可能性がある。
【0125】
耐溶損性に関しては、同じ体積密度の状況下で、ZrO2の添加が有利であり、CA6、C2M2A8、CM2A8と比較して、コランダムの耐溶損性がより優れている。同じ組成の場合、体積密度が大きい耐火材料の方が耐溶損性に優れている。
【0126】
熱衝撃安定性に関しては、ZrO2の添加が有利であり、CA6の添加は、同質量のコランダム、C2M2A8、CM2A8が添加された耐火材よりも、優れた熱衝撃安定性を有し、同じ組成の場合、体積密度が小さいと、熱衝撃安定性は比較的良好である。
【0127】
また、耐火材のコストパフォーマンスも考慮する必要がある。例えば、ジルコニアを添加した耐火材は、耐スラグ侵食性及び熱衝撃安定性に優れており、多量に添加してもその性能が優れているが、ジルコニアは高価であるため、本発明の実施例では、その性能は総合的に比較した結果である。
【0128】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を他の形態に限定することを意図したものではなく、当業者であれば、上記に開示された技術内容を使用して、同等の変更を加えた同等の実施例に変更または修正することができる。ただし、本発明の技術案の内容から逸脱することなく、本発明の技術的本質に従って上記の実施例に行われたあらゆる単純な修正、同等の変更及び修正は、依然として本発明の技術案の保護範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐溶損性耐火材であって、前記耐火材の相が、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO
2から選択される1つまたは複数の相とを含む、耐火材。
【請求項2】
前記耐火材の相に占める質量百分率として、コランダムと、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びZrO
2から選択される1つまたは複数の相との合計が90%以上であり、
好ましくは、コランダム相が26.5~89.5%であり、好ましくは32~89.5%であり、より好ましくは32.0~88.0%であり、
CA6+C2M2A14+CM2A8相の合計量が5.25~66.5%であり、好ましくは5.25~62.0%であり、より好ましくは6.0~62.0%であり、
ZrO
2相が0~35%であり、好ましくは0~30%である、請求項1に記載の耐火材。
【請求項3】
前記耐火材に占める質量百分率として、焼結を促進する不純物成分の含有量が1.5%以下であり、好ましくは1.0%以下である、請求項1に記載の耐火材。
【請求項4】
前記耐火材の化学組成が、Al
2O
3、CaO、MgO、及びZrO
2を含み、前記耐火材に占める質量百分率として、前記Al
2O
3が59.5~98.99%であり、好ましくは64.57~98.99%であり、前記CaOが0.30~5.58%であり、好ましくは0.35~5.58%であり、より好ましくは0.30~5.20%または0.35~5.20%であり、前記MgOが0~5.58%であり、前記ZrO
2が0~35%であり、
好ましくは、前記耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cm
3であり、好ましくは2.95~3.45g/cm
3であり、より好ましくは2.95~3.30g/cm
3である、請求項1に記載の耐火材。
【請求項5】
前記耐火材は、顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される、請求項1に記載の耐火材。
【請求項6】
前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70であり、
前記顆粒材料が、コランダム顆粒材料と混合顆粒材料とを含み、好ましくは、顆粒材料に占める質量百分率として、前記コランダム顆粒材料が65~100%であり、前記混合顆粒材料が0~35%であり、
好ましくは、前記混合顆粒材料は、CA6顆粒材料、C2M2A14顆粒材料、及びCM2A8顆粒材料から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記コランダム顆粒材料は、板状コランダム顆粒材料、焼結コランダム顆粒材料、白色コランダム顆粒材料、緻密コランダム顆粒材料、及び亜白色コランダム顆粒材料から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記微粉末は、Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末と、ZrO
2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末に占める質量百分率として、前記Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末が50%~100%であり、前記ZrO
2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末は、Al
2O
3含有微粉末と、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びMgO-CaO系微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末とを含み、
好ましくは、前記MgO-CaO系微粉末は、MgO含有微粉末及び/またはCaO含有微粉末であり、
好ましくは、前記Al
2O
3含有微粉末は、活性α-Al
2O
3微粉末、γ-Al
2O
3微粉末、ρ-Al
2O
3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム、軽焼マグネシア、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、高純度マグネシア、及び電融マグネシアから選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰、石灰石、水酸化カルシウム、CaO・Al
2O
3、CaO・2Al
2O
3、12CaO・7Al
2O
3、CA6、C2M2A14、及びCM2A8から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO
2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、
請求項5に記載の耐火材。
【請求項7】
前記微粉末の粒径が0.088mm以下であり、好ましくは、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmであり、好ましくは0.088~8mmである、請求項5に記載の耐火材。
【請求項8】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形し、低温で仮焼結した後にホットプレス焼結することであり、
好ましくは、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、ホットプレス強度は0.5~30MPaである、請求項5に記載の耐火材。
【請求項9】
顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む、前記耐火材の製造方法。
【請求項10】
前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70であり、
好ましくは、 前記顆粒材料が、コランダム顆粒材料と混合顆粒材料とを含み、好ましくは、顆粒材料に占める質量百分率として、前記コランダム顆粒材料が65~100%であり、前記混合顆粒材料が0~35%であり、
好ましくは、前記混合顆粒材料は、CA6顆粒材料、C2M2A14顆粒材料、及びCM2A8顆粒材料から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記コランダム顆粒材料は、板状コランダム、焼結コランダム、白色コランダム、緻密コランダム、及び亜白色コランダムから選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記微粉末は、Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末と、ZrO
2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末に占める質量百分率として、前記Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末が50%~100%であり、前記ZrO
2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al
2O
3-CaO-MgO系微粉末は、Al
2O
3含有微粉末と、CA6、C2M2A14、CM2A8、及びMgO-CaO系微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末とを含み、
好ましくは、前記MgO-CaO系微粉末は、MgO含有微粉末及び/またはCaO含有微粉末であり、
好ましくは、前記Al
2O
3含有微粉末は、活性α-Al
2O
3微粉末、γ-Al
2O
3微粉末、ρ-Al
2O
3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム、軽焼マグネシア、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、焼結マグネシア、及び電融マグネシアから選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰、石灰石、水酸化カルシウム、CaO・Al
2O
3、CaO・2Al
2O
3、12CaO・7Al
2O
3、CA6、C2M2A14、及びCM2A8から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO
2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、
請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記微粉末の粒径が0.088mm以下であり、好ましくは、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmであり、好ましくは0.088~8mmである、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形し、低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することであり、
前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、ホットプレス強度は0.5~30MPaである、
請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の耐火材、または請求項9に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、溶鋼精錬用取鍋の作業ライニング。
【請求項14】
請求項1に記載の耐火材、または請求項9に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、アルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニング。
【請求項15】
請求項1に記載の耐火材、または請求項9に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、工業炉用耐火材ライニング。
【国際調査報告】