(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 35/44 20060101AFI20240614BHJP
C21C 7/00 20060101ALI20240614BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20240614BHJP
C04B 35/101 20060101ALI20240614BHJP
C04B 35/482 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C04B35/44
C21C7/00 Q
F27D1/00 N
C04B35/101 500
C04B35/482
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569900
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 CN2022091663
(87)【国際公開番号】W WO2022237717
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110507574.8
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523425821
【氏名又は名称】▲ず▼博市魯中耐火材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZIBO CITY LUZHONG REFRACTORIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Niecun, Luocun Town, Zichuan District, Zibo, Shandong 255138, China
(71)【出願人】
【識別番号】516265780
【氏名又は名称】北京科技大学
(71)【出願人】
【識別番号】523425832
【氏名又は名称】▲ず▼博郎豊高温材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZIBO LANGFENG HIGH TEMPERATURE MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Niecun, Luocun Town, Zichuan District, Zibo, Shandong 255138, China
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】陳俊紅
(72)【発明者】
【氏名】封吉聖
(72)【発明者】
【氏名】賈元平
(72)【発明者】
【氏名】李斌
(72)【発明者】
【氏名】朱波
(72)【発明者】
【氏名】李広奇
(72)【発明者】
【氏名】郭玉涛
【テーマコード(参考)】
4K013
4K051
【Fターム(参考)】
4K013CF19
4K051AA06
4K051BB02
(57)【要約】
本発明は、耐火材の技術分野に属し、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材、その製造方法、及びそれを使用した作業ライニングを開示する。化学組成Al
2O
3:CaO:ZrO
2の比が45.5~95.5%:2.0~8.4%:0~50%となるように、CaO含有原料、Al
2O
3含有原料、ZrO
2含有原料の混合比を最終製品の化学組成に応じて調整し、混合物を高温炉と型に入れてホットプレス成形焼結し、温度を上げながらホットプレスし、最高温度が1550~1800℃に、ホットプレス強度が0.5~30MPaになる。本発明は、焼結剤を添加することなく、配合比に従ってホットプレス焼結プロセスを採用することにより、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得ることができる。この耐火材は、耐溶鋼侵食性と熱衝撃安定性に優れ、冶金、建材、石油化学産業など、幅広く使用できる。この製造方法は科学的かつ合理的であり、製品の純度が高く、製造された耐火材製品は設備の稼働サイクルを延長し、生産コストを削減し、エネルギー節約と排出量削減の効果を達成することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材であって、前記耐火材の相が、CA6と、コランダム及びジルコニアから選択される1つまたは2つとを含む、ことを特徴とする耐火材。
【請求項2】
前記耐火材全質量に対して、前記CA6と、コランダム及びジルコニアから選択される1つまたは2つ以上の相との合計含有量が百分率で90%以上であり、
好ましくは、前記CA6相の含有量が30~100%であり、好ましくは35~100%であり、
前記コランダム相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~35%であり、
前記ジルコニア相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~35%である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐火材。
【請求項3】
前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の焼結促進成分の含有量が百分率で1.5%以下であり、好ましくは1.0%以下である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の耐火材。
【請求項4】
前記耐火材の化学組成が、Al
2O
3、CaO、及びZrO
2を含み、前記耐火材全質量に対して、前記Al
2O
3が45.8~95.8%であり、好ましくは59.54~94.54%であり、前記CaOが2.52~8.40%であり、好ましくは2.94~8.40%であり、前記ZrO
2が0~50%であり、好ましくは0~35%である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項5】
前記耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cm
3であり、好ましくは2.95~3.45g/cm
3であり、より好ましくは2.95~3.30g/cm
3である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項6】
前記耐火材は、関連微粉末を混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項7】
前記混合材料中の前記微粉末の質量比が100%である、ことを特徴とする請求項6に記載の耐火材。
【請求項8】
前記微粉末は、Al
2O
3-CaO系微粉末と、ZrO
2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記Al
2O
3-CaO系微粉末が50~100%であり、前記ZrO
2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al
2O
3-CaO系微粉末は、CaO微粉末含有CA6微粉末、またはCaO含有微粉末とAl
2O
3含有微粉末との混合粉末から選択され、
好ましくは、前記Al
2O
3含有微粉末は、活性α-Al
2O
3微粉末、γ-Al
2O
3微粉末、ρ-Al
2O
3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、亜白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CA微粉末、CA2微粉末、C12A7微粉末、及びCA6微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO
2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、ことを特徴とする請求項6または7に記載の耐火材。
【請求項9】
前記微粉末の粒径が0.088mm以下である、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項10】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
原料の一部を混合し、低温で仮焼結し、粉砕した後、残りの原料と配合し、均一に混合して混合材料を得、前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、ことを特徴とする請求項6~9のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項11】
前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス強度は0.5~30MPaである、ことを特徴とする請求項10に記載の耐火材。
【請求項12】
高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材の製造方法であって、関連微粉末を混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップを含む、製造方法。
【請求項13】
前記混合材料中の前記微粉末の質量比が100%である、ことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記微粉末は、Al
2O
3-CaO系微粉末と、ZrO
2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記Al
2O
3-CaO系微粉末が50~100%であり、前記ZrO
2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al
2O
3-CaO系微粉末は、CaO微粉末含有CA6微粉末、またはCaO含有微粉末とAl
2O
3含有微粉末との混合粉末から選択され、
好ましくは、前記Al
2O
3含有微粉末は、活性α-Al
2O
3微粉末、γ-Al
2O
3微粉末、ρ-Al
2O
3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、亜白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CA微粉末、CA2微粉末、C12A7微粉末、及びCA6微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO
2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、ことを特徴とする請求項12または13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記微粉末の粒径が0.088mm以下である、ことを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
原料の一部を混合し、低温で仮焼結し、粉砕した後、残りの原料と配合し、均一に混合して混合材料を得、前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、ことを特徴とする請求項12~15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス強度は0.5~30MPaである、ことを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
請求項1~11のいずれか一項に記載の耐火材、または請求項12~17のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とする溶鋼精錬用取鍋の作業ライニング。
【請求項19】
請求項1~11のいずれか一項に記載の耐火材、または請求項12~17のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とするアルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニング。
【請求項20】
請求項1~11のいずれか一項に記載の耐火材、または請求項12~17のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とする工業炉用耐火材ライニング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火材の技術分野に関し、特に、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材、その製造方法、及びそれを使用した窯炉ライニングに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高機能ダイス鋼、シリコンウェーハ切断用ワイヤー鋼、自動車変速機用鋼などの高級特殊鋼及び一部の普通鋼では、鋼中の非金属介在物の精密な制御が不十分であり、鋼材の性能の安定性に影響を与えるなどの問題がある。製鋼プロセスのほぼ全体を通じて溶鋼と接触する耐火材は、鋼中の非金属介在物の主な発生源の1つである。鉄鋼の製錬プロセスでは、取鍋の作業用ライニング耐火材が溶鋼の品質に与える影響はより重要である。
【0003】
現在、取鍋の作業ライニング耐火材には、主にアルミナマグネシアカーボンレンガとコランダム・スピネル系キャスタブルまたはコランダム・MgO・SiO2系キャスタブル(プレハブを含む)の2種類があり、これらの技術は、少なくとも20年間、大きな改善や変更が行われていない。
【0004】
アルミナマグネシアカーボンレンガは主にボーキサイト、コランダム、マグネシア、グラファイトなどの原料から製造されるが、溶鋼の精錬においていくつかの欠陥がある。1つは鋼における炭素を増加させること、もう1つはSiO2成分の高い酸素ポテンシャルにより、溶鋼中に脱酸された介在物が形成されることである。コランダム-スピネルキャスタブルには炭素が含まれていないため、鋼における炭素を増加させることはないが、コランダムは耐食性が非常に優れているため、小さなコランダム粒子が製錬中に完全に溶損されずに微粒子の状態で溶鋼中に侵入し、アルミナ介在物を形成したり、スピネル介在物を形成したり、マグネシアなどとCaO-MgO-Al2O3系介在物を形成したりする場合があり、鋼の性能の安定性に影響を与える。コランダム-MgO-SiO2系キャスタブルまたはプレハブは、コランダム・スピネルキャスタブルの欠点に加えて、超低酸素鋼を製錬するときにSiO2の酸素化などが発生する可能性もある。したがって、冶金産業に適し、スラグなどと反応して非金属介在物を形成したり、内因性介在物を増加させたりせず、溶鋼を清浄化できる耐火材を開発することが非常に重要であり、国内外で研究が進められている。
【0005】
ヘキサアルミン酸カルシウム(CaO・6Al2O3、略称CA6)の化学組成はCaO及びAl2O3であり、酸素ポテンシャルが低く、溶鋼精錬における脱酸条件下での化学的安定性を満たすことができ、融点は1875℃であり、理論密度は3.79g/cm3であり、熱伝導率が小さく、耐火性に優れている。ヘキサアルミン酸カルシウムは、耐火物としてある程度、溶鋼を浄化する効果があり、従来の耐火材による溶鋼の汚染を大幅に減らすことができる。
【0006】
しかし、ヘキサアルミン酸カルシウムはマグネトプランバイト構造を有しており、結晶成長及び発達に異方性があり、形成されたヘキサアルミン酸カルシウム結晶はラメラ構造を有しているため、ヘキサアルミン酸カルシウムの焼結性は非常に悪い。これが、現在、体積密度が3.0g/cm3を超えるヘキサアルミン酸カルシウムを製造することが難しい主な理由である。また、ヘキサアルミン酸カルシウムの製造過程において、成分間の反応に伴う体積膨張効果は、ヘキサアルミン酸カルシウムの焼結及び緻密化の過程にも影響を及ぼす。ヘキサアルミン酸カルシウムの緻密さは、鉄鋼冶金分野における作業用ライニングとしての用途を実現するために重要な性能である。
【0007】
現在、ヘキサアルミン酸カルシウム原料の緻密化を達成するために、従来技術では、SiO2やTiO2などの焼結促進添加剤を使用することにより、高温で液相が出現し、その緻密化焼結が促進されていることが多い。例えば、陳肇友、柴俊蘭は、ヘキサアルミン酸カルシウム材料及びアルミニウム工業炉へのその応用(非特許文献1)において、Bonite(ヘキサアルミン酸カルシウムの商品名)の物理的及び化学的特性について説明し、その化学組成のSiO2が0.9%であることに言及した。また、「緻密ヘキサアルミン酸カルシウム耐火クリンカーの調製方法」(特許文献1)及び「緻密ヘキサアルミン酸カルシウム耐火クリンカー及びその調製方法」(特許文献2)はそれぞれ、焼結剤としてTiO2及びMnOを使用しているが、この製造方法ではミラー層内の原子のスタッキングを制御することで緻密化を達成することはできず、液相を利用して粒子間の距離を縮めるだけである。ヘキサアルミン酸カルシウムの緻密さを向上させることができるが、ヘキサアルミン酸カルシウムの体積密度を3.15g/cm3より大きくすることは困難である。さらに、焼結活性を高めるために焼結剤を添加する方法では、ヘキサアルミン酸カルシウムの高温性能が犠牲になり、材料の高温性能が大幅に低下することになる(添加量は1%未満であるが、高温で数倍の液相を生成する)。同時に、酸素ポテンシャルの高い不純物の導入により、鋼中の介在物の制御には不利である。
【0008】
焼結助剤を添加したヘキサアルミン酸カルシウムの原料の耐火材には、その原料固有の欠陥に加えて、見掛け気孔率が高く(材料の見掛け気孔率は一般的には15~23%であり、これにより耐火材の構造が不均一になる)、耐食性が劣るなどの問題がある。気孔率が高く、焼結助剤の添加量が多い場合、ヘキサアルミン酸カルシウム耐火材の損傷速度は非常に速くなり、より多くの耐火材が溶鋼に入り込む場合もある。溶鋼やスラグによって腐食・流失した耐火材混合物は、場合によっては溶鋼を浄化する一定の効果を発揮するが、制御が不十分な場合には大きな非金属介在物が発生し、鋼の品質に重大な影響を及ぼす。現在、精錬取鍋の作業ライニングに長年使用されてきたアルミナ・マグネシア・カーボンレンガやコランダム・スピネルキャスタブルも、見かけ気孔率が高いため(見かけ気孔率は一般に13~20%である)、損傷が速くなり、その結果、大量の耐火材がスラグと溶鋼に入る。しかし、現在の耐火材の開発思想と既存の製造方法では、気孔率(見かけの気孔と部分的に閉じた気孔とを含む)を低減することは困難であるが、見かけ気孔率は材料の寿命と耐食性に非常に明白な悪影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国特許出願公開第CN110171980A号公報
【特許文献2】中国特許出願公開第CN105585314A号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】陳肇友ら、ヘキサアルミン酸カルシウム材料及びアルミニウム工業炉へのその応用.耐火材料、2011,45(2):122~125.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、ヘキサアルミン酸カルシウムの化学組成の利点に基づいて、どのようにして材料の緻密さを大幅に向上させ、材料の構造の均一性を改善し、溶鋼とスラグの腐食と侵食によって溶鋼に入る耐火材の量を減らすか、どのようにして材料の純度を高め、高温性能を強化し、高酸素ポテンシャルの焼結助剤の導入を減らして溶鋼への汚染を最小限に抑えるか、ハイエンド品質の鋼の製造と溶鋼中の介在物の削減にとって非常に重要であり、アルミニウム溶湯の精錬用容器にも非常に重要である。
【0012】
上記の分析により、従来技術の問題点及び欠陥は次のとおりである。(1)既存の技術では、アルミナ・マグネシア・カーボンレンガやコランダム・スピネル系キャスタブルのいずれであっても、構造が不均一で見かけ気孔率が高く(炭素含有成分の酸化により気孔率も高くなる)、損傷が速い欠陥があり、鋼中の介在物に影響を与える可能性があるが、気孔率を大幅に減少させたり、構造の均一性を改善したりすることはできない;(2)現在のヘキサアルミン酸カルシウムの製造技術として、基本的には、材料の高温性能を犠牲にしてTiO2、MnO、及びSiO2などを焼結剤として添加している。これにより、材料の高温性能が大幅に低下するだけではなく、酸素ポテンシャルの高い添加剤が導入され、本来酸素ポテンシャルが低く、溶鋼を汚染しないヘキサアルミン酸カルシウムに有害な成分が追加されることになる;(3)従来技術におけるヘキサアルミン酸カルシウム原料の体積密度はほとんど3.15g/cm3以上に達することができず、この原料をベースにした純粋なヘキサアルミン酸カルシウム耐火材(CA6相が90%以上)の体積密度は2.50~2.85g/cm3にすぎず、見かけ気孔率は22~25%に達することもあり、構造は非常に不均一であり、損傷の速度は容易に想像できる。また、文献に報告されているヘキサアルミン酸カルシウムは、焼結が難しいため、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム原料の大規模生産はなく、緻密なヘキサアルミン酸カルシウム耐火材の大規模生産も行われていない。
【0013】
上記の問題と欠陥を解決することの難しさは次のとおりである。(1)アルミナ・マグネシア・カーボンやコランダム・スピネル系材料などの既存の産業用途材料は、原材料の特性と構造上の限界により、高密度化、構造の改善、気孔率の低減を続けることができなくなり、溶鋼とスラグの耐食性の向上がボトルネックに達しており溶鋼への汚染は避けられない。(2)ヘキサアルミン酸カルシウムは、その独特のラメラ構造と異方性結晶化特性により、焼結剤を添加してより多くの液相を形成し、液相の溶解と表面張力などだけによって構造の緻密化を達成することが困難であり、3.15g/cm3以上の体積密度を達成するのも難しい。(3)焼結剤を添加すると、ヘキサアルミン酸カルシウムの純度を向上させることが困難になり、ヘキサアルミン酸カルシウム耐火材の適用性能にも深刻な影響を及ぼす。焼結助剤を添加しない場合、ヘキサアルミン酸カルシウムの体積密度は、ほとんどが2.2~2.7g/cm3であり、冶金分野での産業応用の可能性はない。
【0014】
上記の問題や欠点を解決する意義は、次のとおりである。焼結剤を添加せずに、高純度で均一な組織構造を有し、比較的緻密なヘキサアルミン酸カルシウム耐火材を製造することができ、ヘキサアルミン酸カルシウム耐火材の化学組成の利点を最大限に発揮することができ、同時に耐溶鋼腐食性を付与し、溶鋼への汚染を低減し、鋼の品質を清浄化することができ、有意な経済的及び社会的利益をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材、その製造方法、及び高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を使用した窯炉ライニングを提供する。
【0016】
本発明の高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、製造工程において焼結剤を添加する必要がなく、ホットプレス焼結プロセスを使用して、高い化学純度、緻密な構造、良好な構造均一性、及び高い耐熱衝撃安定性を有するヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材製品を製造することができる。
【0017】
本発明の具体的な技術案は次のとおりである。
1、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材であって、前記耐火材の相が、CA6と、コランダム及びジルコニアから選択される1つまたは2つとを含む、ことを特徴とする耐火材。
2、前記耐火材全質量に対して、CA6と、コランダム及びジルコニアから選択される1つまたは2つ以上の相との合計含有量が百分率で90%以上であり、
好ましくは、CA6相の含有量が30~100%であり、好ましくは35~100%であり、
コランダム相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~35%であり、
ジルコニア相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~35%である、ことを特徴とする項1に記載の耐火材。
3、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の焼結促進成分の含有量が百分率で1.5%以下であり、好ましくは1.0%以下である、ことを特徴とする項1または2に記載の耐火材。
4、前記耐火材の化学組成が、Al2O3、CaO、及びZrO2を含み、前記耐火材全質量に対して、前記Al2O3が45.8~95.8%であり、好ましくは59.54~94.54%であり、前記CaOが2.52~8.40%であり、好ましくは2.94~8.40%であり、前記ZrO2が0~50%であり、好ましくは0~35%である、ことを特徴とする項1~3のいずれか一項に記載の耐火材。
5、前記耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cm3であり、好ましくは2.95~3.45g/cm3であり、より好ましくは2.95~3.30g/cm3である、ことを特徴とする項1~4のいずれか一項に記載の耐火材。
6、前記耐火材は、関連微粉末を混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される、ことを特徴とする項1~5のいずれか一項に記載の耐火材。
7、前記混合材料中の前記微粉末の質量比が100%である、ことを特徴とする項6に記載の耐火材。
8、前記微粉末は、Al2O3-CaO系微粉末と、ZrO2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記Al2O3-CaO系微粉末が50%~100%であり、前記ZrO2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al2O3-CaO系微粉末は、CaO微粉末含有CA6微粉末、またはCaO含有微粉末とAl2O3含有微粉末との混合粉末から選択され、
好ましくは、前記Al2O3含有微粉末は、活性α-Al2O3微粉末、γ-Al2O3微粉末、ρ-Al2O3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、亜白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CA微粉末、CA2微粉末、C12A7微粉末、及びCA6微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、ことを特徴とする項6または7に記載の耐火材。
9、前記微粉末の粒径が0.088mm以下である、ことを特徴とする項6~8のいずれか一項に記載の耐火材。
10、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
原料の一部を混合し、低温で仮焼結し、粉砕した後、残りの原料と配合し、均一に混合して混合材料を得、前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、ことを特徴とする項6~9のいずれか一項に記載の耐火材。
11、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス強度は0.5~30MPaである、ことを特徴とする項10に記載の耐火材。
12、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材の製造方法であって、関連微粉末を混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む、製造方法。
13、前記混合材料中の前記微粉末の質量比が100%である、ことを特徴とする項12に記載の製造方法。
14、前記微粉末は、Al2O3-CaO系微粉末と、ZrO2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記Al2O3-CaO系微粉末が50~100%であり、前記ZrO2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al2O3-CaO系微粉末は、CaO微粉末含有CA6微粉末、またはCaO含有微粉末とAl2O3含有微粉末との混合粉末から選択され、
好ましくは、前記Al2O3含有微粉末は、活性α-Al2O3微粉末、γ-Al2O3微粉末、ρ-Al2O3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、亜白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CA微粉末、CA2微粉末、C12A7微粉末、及びCA6微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、ことを特徴とする項12または13に記載の製造方法。
15、前記微粉末の粒径が0.088mm以下である、ことを特徴とする項12~14のいずれか一項に記載の製造方法。
16、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
原料の一部を混合し、低温で仮焼結し、粉砕した後、残りの原料と配合し、均一に混合して混合材料を得、前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、ことを特徴とする項12~15のいずれか一項に記載の製造方法。
17、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス強度は0.5~30MPaである、ことを特徴とする項16に記載の製造方法。
18、項1~11のいずれか一項に記載の耐火材、または項12~17のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とする溶鋼精錬用取鍋の作業ライニング。
19、項1~11のいずれか一項に記載の耐火材、または項12~17のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とするアルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニング。
20、項1~11のいずれか一項に記載の耐火材、または項12~17のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とする工業炉用耐火材ライニング。
【0018】
発明の効果
従来技術に比べて、本願が有する利点とプラスの効果は次のとおりである。
(1)本発明により提供される耐火材料の主な相はCA6、Al2O3、及びZrO2であり、CA6+Al2O3+ZrO2の合計量が90%以上であり、SiO2やTiO2などの不純物の含有量が少なく、純度は他の既存のヘキサアルミン酸カルシウム耐火物よりも有意に高く、高級鋼種の介在物への効果も明らかによく、一部の雰囲気に対する感受性も大幅に低下するため、一部の応用分野での汎用性が向上する。その体積密度は2.90~3.65g/cm3であり、既存の同グレードのヘキサアルミン酸カルシウム系耐火物よりもはるかに高く、耐溶鋼侵食性と耐スラグ侵食性が大幅に向上し、耐用年数が大幅に向上するだけでなく、溶鋼に入る耐火材も大幅に減少し、溶鋼品質の清浄度に非常に有益であり、冶金産業で広く使用できるほか、セメント回転炉の移行ゾーンなどの回転炉のライニングや一部の工業窯炉の構築(石積み)にも広く使用でき、設備の稼働サイクルを延ばし、生産コストを削減し、エネルギーを節約し、排出量を削減できる。
(2)本出願により提供される製造方法は、シンプルな原料と豊富な供給源を使用し、焼結剤を添加することなく、ホットプレス焼結プロセスによりヘキサアルミン酸カルシウム耐火材を良好に焼結させることができる。この方法は科学的かつ合理的であり、経済的メリットが有意である。
(3)本出願により提供される製造方法によれば、製造されたヘキサアルミン酸カルシウム系材料は緻密で高純度であり、主な相の含有量は、CA6+コランダム+ジルコニアが90%以上であり、その体積密度は2.90~3.65g/cm3と高く、ヘキサアルミン酸カルシウム耐火材の優れた特性を最大限に発揮できる。
(4)本発明により提供される高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、炉外の精錬取鍋の作業ライニングなど、製鋼生産ラインで広く使用することができる。良好な耐食性を有し、鋼中の介在物に対する影響は、コランダムやスピネルなどの多くの耐火材よりも有意に優れており、高級特殊鋼の製錬工程における耐火材の溶鋼への影響を大幅に軽減し、中国の冶金産業における高級特殊鋼の全体的な品質を向上させ、設備の稼働サイクルを増加させ、経済性を向上させることができ、有意な社会的利益をもたらす。
(5)本発明の高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、セメント回転炉の移行ゾーンなどの回転炉の耐火物ライニングにも広く使用でき、耐食性がよく、熱伝導率が低く、その性能は、既存のシリカムライトレンガやマグネシアアルミナスピネルレンガなどの多くの耐火材よりも明らかに優れており、設備の稼働サイクルを延ばし、熱損失を減らし、経済的利益を向上させることができる。
(6)本発明の高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材はまた、石油化学分解炉など、高温、還元性雰囲気、及びアルカリ性雰囲気侵食などの条件下での工業窯炉の石積みにも広く使用できる。良好な耐食性、低い熱伝導率を備えており、その性能は、既存のコランダムレンガなどの多くの耐火材料よりも有意に優れており、設備の稼働サイクルを延長し、熱損失を低減し、経済的利益を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本出願の技術案をより明確に説明するために、本出願で使用される添付図面を以下に簡単に紹介するが、以下に説明する添付図面が本出願の一部の実施形態にすぎないことは明らかであり、当業者であれば、創造的労力をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【0020】
【
図1】
図1は、本願の高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材の焼成物を示す図である。
【
図2】
図2は、CN107500747Aの実施例1に従って注入鋳造されたサンプル3の実験後の損傷状態を示す図である。
【
図3】
図3は、本願の高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材サンプルの実験後の損傷効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面及び特定の実施形態を組み合わせて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本発明をより完全に理解し、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。
【0022】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、特定の構成要素を指すために特定の用語が使用されていることに留意されたい。当業者は、同じ構成要素を指すのに異なる用語を使用する場合があることを理解するであろう。本明細書及び請求の範囲では、構成要素を区別する方法として名詞の違いを使用するのではなく、構成要素の機能上の違いを区別の基準として使用する。例えば、明細書及び請求の範囲全体で言及される「含有する」または「含む」は開放的な用語であるため、「含むがそれらに限定されない」と解釈されるべきである。本明細書における以下の記載は、本発明を実施するための好ましい実施形態であるが、これらの記載は本明細書の一般原理を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の保護範囲は、添付の請求の範囲によって定められるべきである。
【0023】
本願は、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材であって、前記耐火材の相は、CA6と、コランダム及びZrO2のうちの1つまたは2つとを含む、ことを特徴とする耐火材を提供する。
【0024】
本願における「物質の相」とは、物質中の特定の物理的及び化学的性質を有する相である。
【0025】
特定の実施形態では、前記耐火材の相は、CA6とコランダムとを含む。特定の実施形態では、前記耐火材の相は、CA6とZrO2とを含む。特定の実施形態では、前記耐火材の相は、CA6と、コランダムと、ZrO2とを含む。
【0026】
本願における「CA6」とは、ヘキサアルミン酸カルシウムの略称であり、構造式はCaO・6Al2O、融点は1875℃、理論密度は3.79g/cm3である。この材料の特徴は以下のとおりである。低酸素分圧下での安定性が良好であり、ラメラ状のスタッキング構造であり、結晶成長に異方性があり、C軸の成長速度が遅く、焼結しにくい。スラグと反応すると、CA2(CaO・2Al2O3の略称)やCA(CaO・Al2O3の略称)等を生成し、製鋼温度においてCA2が固体、CAが液相となり、固液混合相が気孔を閉塞してスラグの浸透を抑制する。
【0027】
前記耐火材の相は、XRDによって測定される。例えば、測定される材料を325メッシュ以下に粉砕した後、X線回折計によってスキャンする。回折データを分析し、標準PDFカード(Powder Diffraction File)と照合することにより、関連する相を取得し、回折データをフィッティングすることにより、関連する相の含有量を取得する。
【0028】
ZrO2相は、HfO2とZrO2が共存するため分離しにくく、結晶形も似ているため、
(1)本願において、ZrO2相の含有量にHfO2相の含有量が含まれる。
(2)温度やプロセスなどの違いにより、及び成分分布があまり均一ではない(完全に均一にすることは不可能)ため、最終製品には、ZrO2-CaO固溶体、CaO・ZrO2などの相が現れる可能性がある。ZrO2-CaO固溶体、CaO・ZrO2などの相が現れる場合、まずXRF結果を組み合わせてZrO2含有量を補正し、次に補正したZrO2含有量をジルコニア相に変換し、固溶された、またはCaO・ZrO2等の形で結合するCaOをCA6に変換し、そして、これらの相を100%に正規化し、各相の百分率での含有量を計算する。
【0029】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材中のCA6と、コランダム及びZrO2から選択される1つまたは2つ以上の相との合計相含有量が百分率で90%以上である。例えば、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材中の合計相含有量は、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%などであってもよい。
【0030】
好ましい実施形態では、本願の耐火材において、前記耐火材全質量に対して、前記CA6相の含有量が30~100%であり、好ましくは35~100%であり、
前記コランダム相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~35%であり、
前記ZrO2相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~35%である。
【0031】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の焼結促進成分の含有量が百分率で1.5%以下であり、好ましくは1.0%以下である。
【0032】
例えば、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材中の焼結促進成分の含有量は、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0033】
前記焼結促進成分は、SiO2、TiO2、Fe2O3、R2Oであり、焼結促進成分の含有量が少ないため、材料系の化学組成の純度が高い。ここで、R2Oとは、アルカリ金属酸化物を指す。
【0034】
特定の実施形態では、本願の耐火材の化学組成が、Al2O3、CaO、及びZrO2を含み、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成において、百分率で、
Al2O3が45.8~95.8%であり、好ましくは59.54~94.54%であり、例えば、Al2O3が、耐火材全質量の45.8%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、95.8%、またはそれらの間の任意の範囲のAl2O3であってもよく、
CaOが2.52~8.40%であり、好ましくは2.94~8.40%であり、例えば、CaOが、耐火材全質量の2.52%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.4%、またはそれらの間の任意の範囲のCaOであってもよく、
ZrO2が0~50%であり、好ましくは0~35%であり、例えば、ZrO2が0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれらの間の任意の範囲のZrO2であってもよい。
【0035】
前記耐火材の化学組成は、GB/T21114-2007に従って蛍光分析、すなわちXRFによって測定される。
【0036】
化学組成中のZrO2の含有量については、HfO2とZrO2が共存するため分離が困難であるため、本特許のXRFではHfO2の含有量をZrO2の含有量に含めて計算している。
【0037】
特定の実施形態では、本願の耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cm3であり、好ましくは2.95~3.45g/cm3であり、より好ましくは2.95~3.30g/cm3である。
【0038】
例えば、前記耐火材の体積密度は、2.90g/cm3、2.91g/cm3、2.92g/cm3、2.93g/cm3、2.94g/cm3、2.95g/cm3、2.96g/cm3、2.97g/cm3、2.98g/cm3、2.99g/cm3、3.00g/cm3、3.05g/cm3、3.10g/cm3、3.15g/cm3、3.20g/cm3、3.25g/cm3、3.30g/cm3、3.35g/cm3、3.40g/cm3、3.45g/cm3、3.50g/cm3、3.55g/cm3、3.60g/cm3、3.65g/cm3、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0039】
前記耐火材の体積密度は、GB/T2997-2000に従って測定される。
【0040】
特定の実施形態では、本願の耐火材は、関連微粉末を混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される。
【0041】
前記微粉末とは、180メッシュ角穴ふるい(新郷市衆拓機械設備有限公司)を通過した部分、すなわち、180メッシュの角穴のふるいの下の部分を指し、その粒径は180メッシュ以下であり、すなわち、粒径は0.088mm以下である。
【0042】
特定の実施形態では、前記混合材料中の前記微粉末の質量比が100%である。
【0043】
特定の実施形態では、前記微粉末は、Al2O3-CaO系微粉末と、ZrO2含有微粉末とを含む。好ましい特定の実施形態では、前記微粉末全質量に対して、前記Al2O3-CaO系微粉末が50~100%であり、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の任意の範囲のAl2O3-CaO系微粉末であってもよく、前記ZrO2含有微粉末が0~50%であり、例えば、0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれらの間の任意の範囲のZrO2含有微粉末であってもよい。
【0044】
好ましい実施形態では、本願に記載のAl2O3-CaO系微粉末は、CaO微粉末含有CA6微粉末、またはCaO含有微粉末とAl2O3含有微粉末との混合粉末から選択される。
【0045】
本願における「CaO含有微粉末」とは、化学組成中にCaO成分を含む微粉末、またはCaO、Al2O3を含む微粉末を意味する。
【0046】
本願における「Al2O3含有微粉末」とは、化学組成が主にAl2O3であるアルミナ系微粉末を意味する。
【0047】
好ましい実施形態では、前記Al2O3含有微粉末は、活性α-Al2O3微粉末、γ-Al2O3微粉末、ρ-Al2O3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、亜白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数である。
【0048】
本願における「活性α-Al2O3微粉末」とは、工業用アルミナまたは水酸化アルミニウムなどを原料として1250~1450℃で処理して得られる、α-Al2O3を主成分とする高活性なアルミナ粉末をいう。
【0049】
本願における「γ-Al2O3微粉末」とは、水酸化アルミニウムを原料として得られる比表面積が大きく、吸着性に優れたアルミナ粉末である。
【0050】
本願における「ρ-Al2O3微粉末」とは、水酸化アルミニウムを原料とし、600~900℃の急速高温処理により得られる、一定の水和結合性を有するアルミナ粉末である。
【0051】
本願における「工業用アルミナ微粉末」とは、α-Al2O3を主成分とする鉱物であり、水酸化アルミニウムを原料として900~1250℃で焼成して得られる粉体である。
【0052】
本願における「白色コランダム微粉末」は、工業用アルミナを原料として電気溶融して製造した酸化アルミニウム(Al2O3)含有量が97.5%以上であるアルミナ原料であり、微量の酸化鉄、酸化ケイ素等の成分を含有し、白色である。
【0053】
本願における「亜白色コランダム微粉末」とは、ボーキサイトを原料として製造され、化学組成や物性が白色コランダムに近く、白色コランダムの硬さと褐色コランダムの靭性を併せ持つ、理想な高級耐火物及び研磨材である。
【0054】
本願における「焼結コランダム微粉末」とは、アルミナを原料としてペレットまたは素体に粉砕し、1750~1900℃の高温で焼結してなる耐火性クリンカーを指し、体積密度が高く、気孔率が低く、高温での耐熱衝撃性及び耐スラグ浸食性に優れている。
【0055】
本願における「板状コランダム微粉末」は、粗くてよく発達したα-Al2O3結晶構造を有し、Al2O3含有量が97.0%以上であり、板状の結晶構造を有し、気孔が小さく閉気孔が多い。
【0056】
好ましい実施形態では、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CA微粉末、CA2微粉末、C12A7微粉末、及びCA6微粉末から選択される1つまたは複数である。
【0057】
本願における「生石灰微粉末」は、酸化カルシウムを主成分とするものであり、通常、炭酸カルシウムを主成分とする自然岩を高温で焼成し、二酸化炭素と酸化カルシウム(化学式:CaO、すなわち、生石灰、別名大理石)に分解して製造される。
【0058】
本願における「CA微粉末」とは、主成分がCaO・Al2O3である微粉末を指す。
【0059】
本願における「CA2微粉末」とは、主成分がCaO・2Al2O3である微粉末を指す。
【0060】
本願における「C12A7微粉末」とは、主成分が12CaO・7Al2O3である微粉末を指す。
【0061】
本願における「CA6微粉末」とは、主成分がCaO・6Al2Oである微粉末を指す。
【0062】
好ましい実施形態では、前記ZrO2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である。
【0063】
本願における「単斜晶系ジルコニア微粉末」とは、結晶形が単斜晶系であるジルコニア微粉末を指す。
【0064】
本願における「正方晶系ジルコニア微粉末」とは、結晶形が正方晶相であるジルコニア微粉末を指す。
【0065】
本願における「脱珪ジルコニア微粉末」とは、ジルコンサンドから珪素を除去して得られるジルコニア微粉末を指す。
【0066】
本願における「電融ジルコニア微粉末」とは、ジルコニア粉末をアーク溶解して製造されるジルコニア微粉末を指す。
【0067】
特定の実施形態では、前記混合材料中の前記微粉末の粒径が0.088mm以下である。
【0068】
特定の実施形態では、本願の耐火材は、3つのホットプレス焼結方法によって製造することができる。
【0069】
前記ホットプレス焼結とは、加えられた圧力と温度の共同作用の下で材料の焼結と製造を実現する方法を指す。
【0070】
特定の実施形態(方法1)では、前記ホットプレス焼結方法は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである。
【0071】
前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することとは、原料微粉末を予め設定された質量比に従って混合した後、高温装置の型に入れて加熱し、最高温度まで温度が上昇したら、加圧して焼結するか、一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、混合材料を高温装置の型に入れて一定温度まで加熱すると加圧し、その後最高温度に達し圧力が最高値に達するまでに徐々に昇温すると同時に加圧力を上げていくか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、混合材料を高温装置の型に入れて温度が最高温度に達し圧力が最高値に達するまでに昇温しながら混合材料に加えた圧力を徐々に上げるか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成することである。
【0072】
別の特定の実施形態(方法2)では、前記ホットプレス焼結法は、混合材料を低温で仮焼結(すなわち、すべて予備合成)した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである。
【0073】
上記の混合材料をすべて予備合成した後にホットプレス焼結する方法とは、すべての原料微粉末を予め設定した配合比に従って混合し、常温でプレス成形し、1400~1600℃で軽焼結して予備合成材料を合成し、次いで予備合成材料を高温装置の型に入れて方法一のホットプレス焼結法に従ってホットプレス成形焼結することである。
【0074】
別の特定の実施形態(方法3)では、前記ホットプレス焼結法は、原料の一部を混合し、低温で仮焼結(すなわち、一部を予備合成)し、粉砕した後、残りの原料と配合し、均一に混合して混合材料を得、前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである。
【0075】
上記の混合材料の一部を予備合成した後に残りの原料とホットプレス焼結する方法とは、一部の原料微粉末を混合し、常温でプレス成形し、1400~1600℃で軽焼結して予備合成材料を合成し、この予備合成材料を粉砕した後、予め設定した質量配合比に従って残りの原料微粉末を加えて均一に混合して混合材料を得、次いで混合材料を高温装置の型に入れて方法一のホットプレス焼結法に従ってホットプレス成形焼結することである。
【0076】
特定の実施形態では、本出願の耐火材がホットプレス焼結によって調製される場合、前記高温装置は、高温炉などの当業者に通常使用される高温装置、またはホットプレス炉などの高温とホットプレスを統合した窯炉である。
【0077】
特定の実施形態では、本出願の耐火材は、ホットプレス焼結により製造される場合、ホットプレス焼結の温度が1550~1800℃であり、例えば、1550℃、1600℃、1650℃、1700℃、1750℃、1800℃、またはそれらの間の任意範囲であってもよい。ホットプレス強度は0.5~30MPaであり、例えば0.5MPa、1MPa、1.5MPa、2MPa、2.5MPa、3MPa、3.5MPa、4MPa、4.5MPa、5MPa、5.5MPa、6MPa、6.5MPa、7MPa、7.5MPa、8MPa、8.5MPa、9MPa、9.5MPa、10MPa、10.5MPa、11MPa、11.5MPa、12MPa、12.5MPa、13MPa、13.5MPa、14MPa、14.5MPa、15MPa、20MPa、25MPa、30MPa、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0078】
前記ホットプレス強度とは、単位面積あたりのサンプルにかかる圧力の値である。
【0079】
本願はまた、関連微粉末を混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材の製造方法を提供する。
【0080】
特定の実施形態では、本願の高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材の製造方法において、前記混合材料中の前記微粉末の質量比が100%である。
【0081】
具体的には、前記微粉末とは、180メッシュ角穴のふるいを通過した部分、すなわち、180メッシュの角穴のふるいの下の部分を指し、その粒径は0.088mm以下である。
【0082】
特定の実施形態では、本願の高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材の製造方法において、前記微粉末は、Al2O3-CaO系微粉末と、ZrO2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記Al2O3-CaO系微粉末が50~100%であり、前記ZrO2含有微粉末が0~50%である。
【0083】
好ましい特定の実施形態では、前記Al2O3-CaO系微粉末は、CaO微粉末含有CA6微粉末、またはCaO含有微粉末とAl2O3含有微粉末との混合粉末から選択される。
【0084】
好ましい特定の実施形態では、前記Al2O3含有微粉末は、活性α-Al2O3微粉末、γ-Al2O3微粉末、ρ-Al2O3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、亜白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末である。
【0085】
好ましい特定の実施形態では、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CA(CaO・Al2O3)微粉末、CA2(CaO・2Al2O3)微粉末、C12A7(12CaO・7Al2O3)微粉末、及びCA6(CaO・6Al2O)微粉末から選択される1つまたは複数である。
【0086】
好ましい特定の実施形態では、前記ZrO2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である。
【0087】
特定の実施形態では、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材の製造方法として、3つのホットプレス焼結方法を使用することができ、
混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、
前記混合材料を低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、
原料の一部を混合し、低温で仮焼結し、粉砕した後、残りの原料と配合し、均一に混合して混合材料を得、前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することを含む。
【0088】
特定の実施形態では、ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス強度は0.5~30MPaである。
【0089】
好ましい特定の実施形態では、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、以下の方法及びステップによって調製することができる。
(1)化学組成Al2O3:CaO:ZrO2の質量比が45.8~95.8%:2.52~8.4%:0~50%となるような混合比に従って、CaO含有原料、Al2O3含有原料、ZrO2含有原料を均一に混合する;
(2)混合した原料を高温装置の型に入れてホットプレス成形焼結し、最高温度が1550~1800℃に、ホットプレス強度が0.5~30MPaとする。
【0090】
別の好ましい特定の実施形態では、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、以下の方法及びステップによって調製することができる。
(1)化学組成Al2O3:CaO:ZrO2の質量比が45.8~95.8%:2.52~8.4%:0~50%となるような混合比に従って、CaO含有原料、Al2O3含有原料、ZrO2含有原料を均一に混合する;
(2)混合した原料を常温でプレス成形した後、1400~1600℃で軽焼結して予備合成材料を合成する;
(3)上記の予備合成材料を破砕した後、高温装置の型に入れてホットプレス成形焼結し、最高温度が1550~1800℃に、ホットプレス強度が0.5~30MPaとする。
【0091】
別の好ましい特定の実施形態では、高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、以下の方法及びステップによって調製することができる。
(1)一部のCaO含有原料、Al2O3含有原料、ZrO2含有原料を均一に混合する;
(2)混合した原料を常温でプレス成形した後、1400~1600℃で軽焼結して予備合成材料を合成する;
(3)上記の予備合成材料を破砕した後、残りのCaO含有原料、Al2O3含有原料、ZrO2含有原料とを、化学組成Al2O3:CaO:ZrO2の質量比が45.8~95.8%:2.52~8.4%:0~50%となるような混合比に従って、均一に混合する;
(4)上記ステップ(3)で得られた混合物を高温装置の型に入れてホットプレス成形焼結し、最高温度が1550~1800℃に、ホットプレス強度が0.5~30MPaとする。
【0092】
本出願はまた、上記の耐火材、または上記の製造方法により製造された高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を含む、溶鋼精錬用取鍋の作業ライニングを提供する。
【0093】
本出願はまた、上記の耐火材、または上記の製造方法により製造された高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を含む、アルミニウム溶湯の製錬容器の作業ライニングを提供する。
【0094】
本出願はまた、上記の耐火材、または上記の製造方法により製造された高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を含む、工業炉用耐火材ライニングを提供する。
【0095】
本願により提供される高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、焼結剤を添加せずに原料微粉末をホットプレス焼結して製造され、高化学純度で緻密な構造を有し、均一性がよく、且つ高い耐衝撃安定性を有し、ヘキサアルミン酸カルシウム耐火材の化学組成の利点を十分に発揮し、溶鋼を浄化するだけではなく、優れた耐溶鋼腐食性を付与することができ、有意な経済的及び社会的利益をもたらす。
【実施例】
【0096】
本発明は、試験に使用した材料及び試験方法を一般的及び/または具体的に説明する。以下の実施例において、特に断りのない限り、%は重量%、すなわち重量百分率を表す。使用した試薬や機器については製造元を明示していない場合、いずれも市販の従来の試薬製品である。ここで、表1は、実施例で使用した原材料及び供給源を示す。
【0097】
【0098】
XRD法を用いて、各実施例における耐火材の相を分析した。すなわち、測定される材料を325メッシュ以下に粉砕し、次いでX線回折装置(Bruker:D8ADVANCE)によって走査した。回折データを分析し、標準PDFカードと照合することにより、関連する相を取得した後、回折データをフィッティングすることにより、関連する相の含有量を得た。
【0099】
各実施例の耐火材の化学組成を、GB/T21114-2007に従ってXRF法により測定した。
【0100】
実施例1
(1)工業用アルミナ粉末935gと、水酸化カルシウム微粉末115gとを均一に混合し、混合材料を得た。
(2)混合材料700gを取り、プレス成形した後、高温装置に入れて1400℃に加熱し、1.5時間保温して低温予備合成を行った。
(3)予備合成したサンプルを破砕して粒径88μm以下に粉砕し、残りの混合材料350gと均一に混合し、高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1780℃まで温度が上昇したら加圧し、最大ホットプレス強度が3MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を製造した。
得られた耐火材をXRD(粉末X線回折)で分析した。すなわち、測定される耐火材料を325メッシュ以下に研磨し、次いでX線回折装置(Bruker:D8ADVANCE)によって走査した。回折データを分析し、標準PDFカードと照合することにより、関連する相を取得した後、回折データをフィッティングすることにより、関連する相の含有量を得た。その結果、得られた相は主にCA6であり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6の含有量が100%であった。
耐火材を規格に従ってXRF分析し、GB/T21114-2007に従って測定したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、90.3%のAl2O3と、8.40%のCaOとを含んでいた。
この実施例の耐火材をGB/T2997-2000に従って測定したところ、体積密度は3.32g/cm3であった。
【0101】
実施例2
(1)板状コランダム微粉末400g、水酸化アルミニウム微粉末388g、及びCaCO3微粉末110gを均一に混合し、プレス成形した後、高温装置に入れて1500℃に加熱し、3時間保温して低温予備合成を行った。
(2)予備合成したサンプルを破砕して粒径88μm以下に粉砕し、α-Al2O3微粉末200g及び脱珪ジルコニア微粉末100gと均一に混合して混合材料を得た。
(3)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1600℃まで温度が上昇したら加圧し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1740℃に、最大ホットプレス強度が6MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6、コランダム、及びジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は67.4%であり、コランダム相は17.5%であり、ジルコニア相は9.58%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、83.1%のAl2O3と、5.45%のCaOと、9.65%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は3.15g/cm3であった。
【0102】
実施例3
(1)CA微粉末190g、亜白色コランダム粉末400g、及びρ-Al2O3粉末432gを均一に混合し、混合材料を得た。
(2)混合材料をキャスト成形した後、高温装置に入れて1550℃に加熱し、1.5時間保温して低温予備合成を行った。
(3)予備合成したサンプルを破砕して粒径88μm以下に粉砕した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1700℃まで温度が上昇したら加圧し、最大ホットプレス強度が4MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6及びコランダムであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は78.2%であり、コランダム相は19.2%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、92.1%のAl2O3と、6.43%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は3.15g/cm3であった。
【0103】
実施例4
(1)活性α粉末300g、γ-Al2O3粉末306g、及び生石灰粉末58gを均一に混合し、プレス成形した後、高温装置に入れて1500℃に加熱し、3時間保温して低温予備合成を行った。
(2)予備合成したサンプルを破砕して粒径88μm以下に粉砕し、次いでに電融ジルコニア微粉末350gと均一に混合して混合材料を得た。
(3)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。昇温しながら徐々に圧力を上げ、最高温度が1550℃に、最大ホットプレス強度が30MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6とジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は64.2%であり、ジルコニア相は35.0%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、59.54%のAl2O3と、5.24%のCaOと、35%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は3.30g/cm3であった。
【0104】
実施例5
(1)CA微粉末201g、緻密コランダム粉末500g、及びρ-Al2O3粉末321gを均一に混合し、混合材料を得た。
(2)混合材料を成形し、乾燥した後、高温装置に入れて1600℃に加熱し、3.5時間保温して低温予備合成を行った。
(3)予備合成したサンプルを破砕して粒径88μm以下に粉砕した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1600℃まで温度が上昇したら加圧し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1760℃に、最大ホットプレス強度が1MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6とコランダムであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は48.8%であり、コランダム相は50%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、95.8%のAl2O3と、3.84%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は3.15g/cm3であった。
【0105】
実施例6
(1)活性α粉末300g、γ-Al2O3粉末306g、白色コランダム粉末350g、及び水酸化カルシウム粉末80gを均一に混合し、プレス成形した後、高温装置に入れて1500℃に加熱し、1時間保温して低温予備合成を行った。
(2)予備合成したサンプルを破砕して粒径88μm以下に粉砕した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。昇温しながら徐々に圧力を上げ、最高温度が1650℃に、最大ホットプレス強度が5MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6とコランダムであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は62.1%であり、コランダム相は35.0%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、94.54%のAl2O3と、5.13%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は2.95g/cm3であった。
【0106】
実施例7
(1)CA6粉末350g、焼結コランダム粉末200g、ρ-Al2O3粉末105g、及び電融ジルコニア微粉末350gを均一に混合して混合材料を得た。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1650℃まで温度が上昇したら加圧し、昇温しながら徐々に圧力を上げ、最高温度が1750℃に、最大ホットプレス強度が15MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6、コランダム、及びジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は35%であり、コランダム相は28.9%であり、ジルコニア相は35.0%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、60.86%のAl2O3と、2.94%のCaOと、35%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は3.45g/cm3であった。
【0107】
実施例8
(1)CA6微粉末700g、ρ-Al2O3粉末205g、及び単斜晶ジルコニア粉末100gを均一に混合して混合材料を得た。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。昇温しながら徐々に圧力を上げ、最高温度が1600℃に、最大ホットプレス強度が8MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6、コランダム、及びジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は66.1%であり、コランダム相は18.4%であり、ジルコニア相は9.46%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、84.12%のAl2O3と、5.88%のCaOと、10%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は2.90g/cm3であった。
【0108】
実施例9
(1)γ-Al2O3粉末260g、白色コランダム粉末200g、及び石灰粉末44gを均一に混合し、プレス成形した後、高温装置に入れて1550℃に加熱し、3時間保温して低温予備合成を行った。
(2)予備合成したサンプルを破砕して粒径88μm以下に粉砕し、電融ジルコニア微粉末500gと均一に混合して混合材料を得た。
(3)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1500℃まで温度が上昇したら加圧し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1600℃に、最大ホットプレス強度が20MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6とジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は47.5%であり、ジルコニア相は50%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、45.8%のAl2O3と、3.99%のCaOと、50%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は3.30g/cm3であった。
【0109】
実施例10
(1)CA6微粉末300g、板状コランダム粉末200g、及び正方晶ジルコニア粉末500gを均一に混合して混合材料を得た。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1800℃まで温度が上昇すると加圧し、最大ホットプレス強度が0.5MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6、コランダム、及びジルコニアであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は30%であり、コランダム相は19.1%であり、ジルコニア相は50%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、46.32%のAl2O3と、2.52%のCaOと、50%のZrO2とを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は3.65g/cm3であった。
【0110】
実施例11
(1)工業用アルミナ粉末446g、板状コランダム粉末300g、水酸化カルシウム微粉末115g、及びρ-Al2O3粉末214gを均一に混合して混合材料を得た。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1600℃まで温度が上昇すると加圧し、最大ホットプレス強度が3MPaになり、高密度、高純度のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
実施例1と同じ方法で分析したところ、得られた相は主にCA6とコランダムであり、測定された耐火材の相に占める質量百分率として、CA6相は74.5%であり、コランダム相は15.5%であった。
実施例1と同じ方法で分析したところ、前記耐火材に占める質量百分率として、前記耐火材は、90.3%のAl2O3と、8.36%のCaOとを含んでいた。
実施例1と同じ方法で測定したところ、体積密度は2.92g/cm3であった。
【0111】
実験例 耐火材性能テスト試験
上記実施例1~11及び比較例で得られた耐火材について、耐食性及び熱衝撃安定性等の性能テスト試験を行った。
ここで、比較例は、CN107500747Aの実施例1の方法に従って得られた耐火材である。
以下、実施例1と実施例2を例に挙げて試験について具体的に説明する。
実施例1、実施例2、及び比較例で得られたホットプレス試験ブロックからφ15mm掘削し、サンプル1~3とした。
サンプル1、サンプル2、及びサンプル3について、動的回転実験として、同じ条件での溶鋼精錬における材料腐食実験を行った。実験条件として、温度は1600℃であり、サンプルを鋼とスラグ中に毎分10回回転させ、製鋼スラグの組成は、CaO 51%、Al
2O
3 30%、SiO
2 11%、MgO 8%、CaO/SiO
2 4.6であった。
上記の動的回転試験の結果は、製鋼スラグに浸漬したサンプル3が8分間回転すると完全に崩壊したことを示している。サンプル3と比較すると、サンプル1とサンプル2はあまり変化がなかったが、15分間連続回転させた後に取り出したとき、サンプル1とサンプル2の真円度は依然として非常に明らかであり、溶鋼とスラグの濡れ性は非常に低く、侵食性も小さく、基本的には変化はなかった。測定したところ、サンプル1は約0.5mmの損傷しかなく、サンプル2は0.2mmの損傷しかなく、基本的に損傷はなかった。これは、本願の実施例におけるサンプルの耐食性が非常に優れていることを示している。
図2は、この実験で崩壊したヘキサアルミン酸カルシウムキャスタブルサンプル3の残留サンプルであり、
図3は、試験後の本願のサンプル1及びサンプル2の写真である。
表2は、本願の実施例及び比較例の関連パラメータ、性能テスト試験結果、及び評価を示す。
【0112】
【0113】
【0114】
耐火材の適用の可否及び性能評価は、耐スラグ侵食性に関係するだけではなく、急冷・急加熱条件下での耐火材の熱衝撃安定性も考慮する必要がある。熱衝撃安定性がよくない場合は、使用中にクラックが発生し、材料の性能に影響を与える可能性がある。また、耐火材のコストパフォーマンスも考慮する必要がある。例えば、ジルコニアを添加した耐火材は、耐スラグ侵食性及び熱衝撃安定性に優れており、多量に添加してもその性能が優れているが、ジルコニアは高価であるため、本発明の実施例では、その性能は総合的に比較した結果である。
【0115】
上記は、本願の特定の実施形態にすぎず、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、本発明に開示された技術範囲内で、かつ本出願の精神及び原則の範囲内で、当技術分野に精通した当業者によって行われるあらゆる修正、同等の置換、及び改良などは、本願の保護範囲内に含まれるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材であって、前記耐火材の相が、CA6と、コランダム及びジルコニアから選択される1つまたは2つとを含むことを特徴とする、耐火材。
【請求項2】
前記耐火材全質量に対して、前記CA6と、コランダム及びジルコニアから選択される1つまたは2つ以上の相との合計含有量が百分率で90%以上であり、
好ましくは、前記CA6相の含有量が30~100%であり、好ましくは35~100%であり、
前記コランダム相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~35%であり、
前記ジルコニア相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~35%であることを特徴とする、請求項1に記載の耐火材。
【請求項3】
前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の焼結促進成分の含有量が百分率で1.5%以下であり、好ましくは1.0%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の耐火材。
【請求項4】
前記耐火材の化学組成が、Al
2O
3、CaO、及びZrO
2を含み、前記耐火材全質量に対して、前記Al
2O
3が45.8~95.8%であり、好ましくは59.54~94.54%であり、前記CaOが2.52~8.40%であり、好ましくは2.94~8.40%であり、前記ZrO
2が0~50%であり、好ましくは0~35%であることを特徴とする、請求項1に記載の耐火材。
【請求項5】
前記耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cm
3であり、好ましくは2.95~3.45g/cm
3であり、より好ましくは2.95~3.30g/cm
3であることを特徴とする、請求項1に記載の耐火材。
【請求項6】
前記耐火材は、関連微粉末を混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造され、
好ましくは、前記混合材料中の前記微粉末の質量比が100%である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の耐火材。
【請求項7】
前記微粉末は、Al
2O
3-CaO系微粉末と、ZrO
2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記Al
2O
3-CaO系微粉末が50~100%であり、前記ZrO
2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al
2O
3-CaO系微粉末は、CaO微粉末含有CA6微粉末、またはCaO含有微粉末とAl
2O
3含有微粉末との混合粉末から選択され、
好ましくは、前記Al
2O
3含有微粉末は、活性α-Al
2O
3微粉末、γ-Al
2O
3微粉末、ρ-Al
2O
3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、亜白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CA微粉末、CA2微粉末、C12A7微粉末、及びCA6微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO
2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記微粉末の粒径が0.088mm以下である、
ことを特徴とする、請求項6に記載の耐火材。
【請求項8】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
原料の一部を混合し、低温で仮焼結し、粉砕した後、残りの原料と配合し、均一に混合して混合材料を得、前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することであり、
好ましくは、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス強度は0.5~30MPaであることを特徴とする、請求項6に記載の耐火材。
【請求項9】
高純度で緻密なヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材の製造方法であって、関連微粉末を混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップを含む、製造方法。
【請求項10】
前記混合材料中の前記微粉末の質量比が100%であることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記微粉末は、Al
2O
3-CaO系微粉末と、ZrO
2含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記Al
2O
3-CaO系微粉末が50~100%であり、前記ZrO
2含有微粉末が0~50%であり、
好ましくは、前記Al
2O
3-CaO系微粉末は、CaO微粉末含有CA6微粉末、またはCaO含有微粉末とAl
2O
3含有微粉末との混合粉末から選択され、
好ましくは、前記Al
2O
3含有微粉末は、活性α-Al
2O
3微粉末、γ-Al
2O
3微粉末、ρ-Al
2O
3微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、亜白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数の微粉末であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CA微粉末、CA2微粉末、C12A7微粉末、及びCA6微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO
2含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記微粉末の粒径が0.088mm以下である、
ことを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を低温で仮焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
原料の一部を混合し、低温で仮焼結し、粉砕した後、残りの原料と配合し、均一に混合して混合材料を得、前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することであり、
好ましくは、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス強度は0.5~30MPaである、
ことを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の耐火材、または請求項9に記載の製造方法により製造された耐火材を含むことを特徴とする、溶鋼精錬用取鍋の作業ライニング。
【請求項14】
請求項1に記載の耐火材、または請求項9に記載の製造方法により製造された耐火材を含むことを特徴とする、アルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニング。
【請求項15】
請求項1に記載の耐火材、または請求項9に記載の製造方法により製造された耐火材を含むことを特徴とする、工業炉用耐火材ライニング。
【国際調査報告】