(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】静脈を確保するために注入完了時に流体流量を自動的に低減するドリップチャンバ・インサート
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61M5/14 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571262
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022029921
(87)【国際公開番号】W WO2022260837
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイ、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ワイン、ジェイソン アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066EE10
4C066FF01
4C066HH07
4C066QQ01
4C066QQ14
(57)【要約】
ドリップチャンバ・インサートは、ドリップチャンバに結合する細長い本体部分を含み、ドリップチャンバ・インサートの出口オリフィスを含む。ドリップチャンバ・インサートは、第1及び第2のチャンバをさらに含んでよく、第1のチャンバは、細長い本体部分に配置され、入口オリフィス及び出口オリフィスに流体的に結合されてよい。乾燥防止膜は、入口オリフィスの上に延びてよい。第2のチャンバは、細長い本体部分に配置されてよく、低流量オリフィスが、第2のチャンバを出口オリフィスと流体的に結合するために、第2のチャンバの基底から基底部分内へ延びてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリップチャンバ・インサートであって、
上面を有する細長い本体部分と、ドリップチャンバに結合するために前記細長い本体部分の下流に位置する基底部分であって、上面、及び前記ドリップチャンバ・インサートの出口オリフィスを画定する下面を有する基底部分と、
前記細長い本体部分内に配置された第1のチャンバであって、入口オリフィスを介して前記上面へ、また前記基底部分を介して前記出口オリフィスへ流体的に結合された第1のチャンバと、
前記入口オリフィスを覆うように延びる、前記細長い本体部分の前記上面に配置された乾燥防止膜と、
前記細長い本体部分内に配置された、前記上面から前記基底部分へ延びる第2のチャンバと、
前記第2のチャンバを前記出口オリフィスと流体的に結合するために、前記第2のチャンバの基底から前記基底部分内へ延びる低流量オリフィスと
を有するドリップチャンバ・インサート。
【請求項2】
前記細長い本体部分は、前記上面と前記基底部分との間で長手方向に延びる側壁と、前記側壁内に配置された流体バイパス・オリフィスとをさらに有し、前記流体バイパス・オリフィスは、前記低流量オリフィスを介して前記出口オリフィスに流体的に結合される、請求項1に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項3】
前記低流量オリフィスは、前記基底部分内へ遠位方向に先細った円錐形状を有する、請求項2に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項4】
前記入口オリフィス、前記第1のチャンバ及び前記出口オリフィスは、流体的に結合されて第1の流体通路を画定し、
前記ドリップチャンバ内の流体が所定レベルの上である第1の流動状態では、流体源から前記ドリップチャンバ内へ流れる流体は、前記乾燥防止膜を通過して、前記入口オリフィスを介して前記第1のチャンバに入り、前記出口オリフィスを介して前記ドリップチャンバを出る、請求項2に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項5】
前記乾燥防止膜は、前記基底部分の上の所定高さに位置し、前記ドリップチャンバ内の前記流体の前記所定レベルは、前記所定高さと等しい、請求項4に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項6】
前記乾燥防止膜は、前記流体が通って流れる複数の細孔を備えた親水性材料を有する、請求項4に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項7】
前記第2のチャンバの開放近位端、前記低流量オリフィス、及び前記出口オリフィスは流体的に結合されて第2の流体通路を画定する、請求項6に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項8】
第3の流体通路が、前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの内面との間で長手方向に、前記流体バイパス・オリフィスを通して、そして前記低流量オリフィスを介して前記出口オリフィス内へ、画定される、請求項7に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項9】
第4の流体通路が、(i)前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの前記内面との間で長手方向に、(ii)前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの前記内面との間で前記基底部分の上面に沿って円周方向に、(iii)前記流体バイパス・オリフィスを通して、そして(iv)前記低流量オリフィスを介して前記出口オリフィス内へ、画定される、請求項8に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項10】
前記第2の流体通路、前記第3の流体通路、及び前記第4の流体通路は、流体が前記ドリップチャンバ・インサートを離れる速度を制限し、
第2の流動状態にあるとき、前記ドリップチャンバ内の流体が前記所定レベルを下回ると、前記乾燥防止膜は、前記ドリップチャンバ内のIV流体が前記入口オリフィスに入ることを制限するように、前記第1のチャンバ内の流体柱を支持し、それにより前記流体は前記第2、第3及び第4の流体通路を通って流れる、請求項9に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項11】
前記ドリップチャンバ内の前記流体が前記第2の流動状態において下回る前記所定レベルは、60ミリリットル以下である、請求項10に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項12】
ハウジングを含むドリップチャンバであって、前記ハウジングは、IV流体を受け入れるための入口、前記IV流体を患者に分配するための出口、及び前記ハウジングの内面によって画定される空洞を有している、ドリップチャンバと、
前記空洞内に配置されたドリップチャンバ・インサートと
を有するドリップチャンバ・アセンブリであって、
前記ドリップチャンバ・インサートが、
上面を有する細長い本体部分と、前記細長い本体部分の下流に位置する基底部分であって、前記ドリップチャンバ・インサートの出口オリフィスを画定し、且つ前記ドリップチャンバの前記出口に流体的に接続された基底部分と、
前記細長い本体部分内に配置された第1のチャンバであって、前記第1のチャンバを前記細長い本体部分の前記上面に流体的に結合する入口オリフィス、及び前記入口オリフィスを覆うように延びる、前記本体部分の前記上面に配置された乾燥防止膜を有し、前記入口オリフィスは、第1の流動状態においてIV流体を受け入れるために前記ドリップチャンバ入口に流体的に結合されている、第1のチャンバと、
前記細長い本体部分内に配置された、前記上面から前記基底部分まで延びる第2のチャンバであって、第2の流動状態において前記IV流体の少なくとも一部を受け入れるための開放近位端を有する第2のチャンバと、
前記第2のチャンバを前記ドリップチャンバ出口と流体的に結合するために、前記第2のチャンバの基底から前記基底部分内へ延びる低流量オリフィスと
を有している、ドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項13】
前記細長い本体部分は、前記上面と前記基底部分との間で長手方向に延びる側壁と、前記側壁に配置された流体バイパス・オリフィスとをさらに有し、前記流体バイパス・オリフィスは、前記低流量オリフィスを介して前記出口に流体的に結合される、請求項12に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項14】
前記入口オリフィスは、前記ドリップチャンバの前記入口と軸方向に整列している、請求項13に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項15】
前記ドリップチャンバの前記入口、前記入口オリフィス、前記第1のチャンバ、前記ドリップチャンバ・インサートの出口、及び前記ドリップチャンバの前記出口は、流体的に結合されて第1の流体通路を画定し、
前記ドリップチャンバ内の前記IV流体が所定レベルの上である前記第1の流動状態では、前記ドリップチャンバ内へ流れる前記IV流体は、前記乾燥防止膜を通過して、前記入口オリフィスを介して前記第1のチャンバに入る、請求項14に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項16】
前記乾燥防止膜は、多孔質親水性材料を有する、請求項15に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項17】
前記第2のチャンバの前記開放近位端、前記低流量オリフィス、前記ドリップチャンバ・インサートの前記出口オリフィス及び前記ドリップチャンバの前記出口は、流体的に結合されて第2の流体通路を画定する、請求項16に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項18】
第3の流体通路が、前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの内面との間で長手方向に、前記流体バイパス・オリフィスを通して、そして前記低流量オリフィスを介して前記ドリップチャンバ・インサートの前記出口オリフィス及び前記ドリップチャンバの前記出口内へ、画定される、請求項17に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項19】
第4の流体通路が、(i)前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの前記内面との間で長手方向に、(ii)前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの前記内面との間で前記基底部分の上面に沿って円周方向に、(iii)前記流体バイパス・オリフィスを通して、(iv)前記低流量オリフィスを介して前記ドリップチャンバ・インサートの前記出口オリフィス及び前記ドリップチャンバの前記出口内へ、画定される、請求項8に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項20】
前記第2の流体通路、前記第3の流体通路、及び前記第4の流体通路は、静脈確保流体経路を集合的に画定し、
前記ドリップチャンバ内の流体が前記所定レベルを下回る前記第2の流動状態において、前記流体で飽和した前記乾燥防止膜は、さらなる流体が前記入口オリフィスを介して前記出口内へ流れることを制限し、それにより前記流体が前記静脈確保経路を通って流れる、請求項19に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ドリップチャンバ(滴下チャンバ)に関し、特に、患者の静脈を確保が開いたままであることを可能にするように、注入(又は点滴)の完了に向けて、ドリップチャンバ内の最終量の流体の流量を減速することができるインサートを含むドリップチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して、静脈内(IV:intravenous)送達のためのシステム及び方法を対象としており、それにより、流体が患者に直接投与できる。本開示による静脈内送達システムは、動脈内、静脈内、血管内、腹膜、及び/又は非血管への流体投与における使用のために、流体を患者へ送達するように使用される構成要素を説明するために本明細書において広く使用される。当然、当業者であれば、患者の身体内の他の箇所に流体を投与するために静脈内送達システムを使用することがある。
【0003】
患者の血流内へ流体を投与する1つの一般的な方法は、静脈内送達システムによるものである。多くの一般的な実施では、静脈内送達システムは、液体バッグ等の液体源、液体バッグからの流体の流量を決定するために使用されるドリップチャンバ、液体バッグと患者との間の接続部を形成する管、及び患者の静脈内に位置づけられてよいカテーテル等の静脈内アクセス・ユニットを含んでよい。静脈内送達システムは、静脈内送達システムの便乗、及び注射器から静脈内送達システムの管内への薬剤の投与を可能にするY字状コネクタを含んでもよい。
【0004】
重力セット又はポンプでの注入中に、付き添い人のいない完全注入を行うと、血液がカテーテル先端を通って拡散して戻るため、カテーテルにおいて開存性が失われる可能性がある。血液が凝固し始め、カテーテル内の流れを密封し、使用できなくなる。
【0005】
背景技術セクションで提供される説明は、背景技術セクションに言及されるか、又は関連付けられているからというだけで先行技術であると想定されるべきではない。背景技術セクションは、本主題の技術の1つ又は複数の態様を記述する情報を含んでよい。
【発明の概要】
【0006】
本開示の様々な実施例によれば、ドリップチャンバ・インサートは、上面を有する細長い本体部分と、ドリップチャンバに結合するために細長い本体部分の下流に位置づけられた基底部分とを含んでよい。基底部分は、上面、及びドリップチャンバ・インサートの出口オリフィスを画定する下面を有してよい。ドリップチャンバ・インサートは、細長い本体部分に配置され、入口オリフィスを介して上面へ且つ基底部分を介して出口オリフィスへ流体的に結合された第1のチャンバと、入口オリフィスの上に延びる細長い本体部分の上面に配置された乾燥防止膜と、長手方向に延びる本体に配置され、上面から基底部分まで延びる第2のチャンバとをさらに含んでよい。低流量オリフィスが、第2のチャンバを出口オリフィスと流体的に結合するために、第2のチャンバの基底から基底部分内へ延びてよい。
【0007】
本開示の様々な実施例によれば、ドリップチャンバ・アセンブリは、IV流体を受ける入口、IV流体を患者に分配する出口、及びハウジングの内面によって画定される空洞を有するハウジングを含むドリップチャンバを含んでよい。ドリップチャンバ・インサートが、空洞に配置されてよい。ドリップチャンバ・インサートは、上面を有する細長い本体部分、及び細長い本体部分の下流に位置づけられた基底部分を含んでよい。基底部分は、ドリップチャンバ・インサートの出口オリフィスを画定し、ドリップチャンバの出口に流体的に接続されてよい。ドリップチャンバは、細長い本体部分に配置された第1のチャンバと、細長い本体部分に配置され、上面から基底部分まで延びる第2のチャンバと、第2のチャンバをドリップチャンバ出口と流体的に結合するために、第2のチャンバの基底から基底部分内へ延びる低流量オリフィスとをさらに含んでよい。第1のチャンバは、第1のチャンバを細長い本体部分の上面に流体的に結合する入口オリフィス、入口オリフィスの上に延びる細長い本体部分の上面に配置された乾燥防止膜を含んでよい。入口オリフィスは、第1の流動状態においてIV流体を受けるために、ドリップチャンバ入口に流体的に結合されてよい。第2のチャンバは、第2の流動状態においてIV流体の少なくとも一部を受ける開放近位端を有してよい。
【0008】
本主題の技術の他の構成は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになり、ここで、本主題の技術の様々な構成が例示として示され、記載されることが理解される。実現されるように、本主題の技術は、他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、本主題の技術の範囲から全く逸脱することなく、様々な他の点で修正可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0009】
以下の図は、実施例の特定の態様を示すために含まれ、排他的な実施例とみるべきではない。開示される主題は、当業者に起こり、この開示の利益を有するように、形態及び機能においてかなりの修正、改変、組合せ、及び同等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のいくつかの実施例による、ドリップチャンバ・アセンブリを含むIV延長セットを例示する。
【
図2】本開示のいくつかの実施例による、ドリップチャンバ・アセンブリの斜視図を例示する。
【
図3】本開示のいくつかの実施例による、
図2のドリップチャンバ・アセンブリのドリップチャンバ及びドリップチャンバ・インサートの斜視図を例示する。
【
図4】本開示のいくつかの実施例による、第1の流動状態における
図3のドリップチャンバ及びドリップチャンバ・インサートの斜視図を例示する。
【
図5】本開示のいくつかの実施例による、第2の流動状態における
図3のドリップチャンバ及びドリップチャンバ・インサートの斜視図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記載される詳細な説明は、本主題の技術の様々な構成を説明し、本主題の技術が実施される唯一の構成を表すことは意図されない。詳細な説明は、本主題の技術の完全な理解を提供することを目的とした指定の詳細を含む。したがって、寸法は、非制限的な実例として特定の態様に関して提供されてよい。しかしながら、本主題の技術がこれらの指定の詳細なしに実施されることは当業者には明らかであろう。いくつかの事例では、よく知られている構造及び構成要素が、本主題の技術の概念を曖昧にすることを避けるために、ブロック図形態に示される。
【0012】
本開示は、本主題の技術の実例を含み、添付の請求項の範囲を制限しないことを理解されたい。本主題の技術の様々な態様が、特定であるが非制限的な実例によってここで開示される。本開示に説明される様々な実施例は、異なるやり方及び変形例で、そして所望の適用又は実施に従って行われてよい。
【0013】
静脈確保(KVO:keep-vein-open)機能を持たない重力セット又はポンプでの注入中に、付き添い人のいない完全注入を行うと、血液がカテーテル先端を通って拡散して戻るため、カテーテルにおいて開存性が失われる可能性がある。血液が凝固し始め、カテーテルにおいて流れを密封し、使用できなくなる。注入を継続する場合、臨床医はカテーテルを取り外し、新しいカテーテルを患者に再挿入しなければならないが、これは費用がかかり、患者には痛みがあり時間がかかる。
【0014】
一部の重力セットは、患者の血圧を利用して注射部位を通ってプランジャー付きの容器内へ流出する装置を採用することにより、上記の問題に対処しようとする。この装置は、主に、造影剤の注入中に静脈確保するために使用される。プランジャーは血圧で押し戻され、血圧がプランジャーを駆動するのに十分でない場合は、モーターで駆動して採血するのに役立つことができる。
【0015】
本説明は、概して、ドリップチャンバに関し、特に、臨床医が完了した注入に対応できるまで患者の静脈を開いたままにできるように、注入の完了に向けて、ドリップチャンバ内の最終量の流体の流量を減速できるドリップチャンバ・インサートを含むドリップチャンバに関する。
【0016】
本開示の様々な実施例によれば、ドリップチャンバ・アセンブリは、IV流体の注入及び/又は採血のために、患者の静脈内へ挿入され得るカテーテルに流体的に結合されてよい。いくつかの実施例では、ドリップチャンバ・アセンブリは、据付又はその他の方法で内部に付けられた追加の構成要素を有するドリップチャンバを含んでよい。追加の構成要素は、ドリップチャンバの基底部分に溶接、接着、又はその他の方法で同様に付けられてよい。いくつかの実施例では、追加の構成要素は、IV流体バッグ内のIV流体の激減後にドリップチャンバに残るIV流体の最終量の(例えば、制限されないが、最終の10~60ミリリットル(ml))の流れを減速する能力を有するドリップチャンバ内に付けられる(例えば、制限されないが、溶接又は接着される)ドリップチャンバ・インサートであってよい。注入完了時のIV流体の流量の減速は、臨床医が完了した注入に対応できるまで、患者の静脈をより長く開いたままにできるので有利であり得る。
【0017】
いくつかの実施例では、ドリップチャンバ・インサートは、ドリップチャンバを2つのチャンバに分割又はその他の方法で仕切ってよい:(i)IV流体の正常で限定されない流れのための入口オリフィス(本明細書では正常流動オリフィスともいう)を有する第1のチャンバ、及び(ii)IV流体の静脈開放(KVO)流量を大幅に低減することを可能にする第2のチャンバの底部又は基底に小さいオリフィスを有する第2のチャンバ。いくつかの実施例では、ドリップチャンバ内のIV流体が所定の閾値を下回るときに、乾燥防止膜が、第1のチャンバにおいて残りのIV流体が正常流体通路に入るのを限定又はその他の方法で妨げられることを確実にするために、正常流動オリフィスの頂部の上に延びるドリップチャンバ・インサートの上面に、乾燥防止フィルタ又は膜が取り付けられてよい。したがって、ドリップチャンバ内の残りのIV流体は、流体の流れの抵抗の少ない経路を通って流れ、KVO流体通路は、低流量オリフィスを介して大幅に低減した流量で患者に流体を送達する。
【0018】
例えば、いくつかの実施例では、正常流体通路は、約50ミリリットル/時間(ml/hr:milliliters/hour)から約1000ml/hr、場合によっては約200ml/hrから800ml/hr、より典型的には約400ml/hrから600ml/hrの範囲、及びいくつかの実施例では、約500ml/hrの流量で流体を送達してよい。対照的に、いくつかの実施例では、KVO流体通路は、約2ml/hrから約10ml/hr、場合によっては約3ml/hrから9ml/hr、より典型的には約5ml/hrから7ml/hrの範囲、及びいくつかの実施例では約6ml/hrの低減した流量で流体を送達してよい。したがって、注入の完了に向けて、IV流体は、臨床医が完了した注入に対応できるまで患者の静脈を開いたままにできるように、低流量オリフィスを介して患者に分配されてよい。
【0019】
特定の範囲に関して記載されているが、下限の最低から上限の最高までのすべての範囲が、すべての中間範囲又は指定の角度を含め、この全範囲又は任意の具体的に記載された範囲内に含まれることが理解される。
【0020】
本開示の様々な実施例によれば、ドリップチャンバ及びドリップチャンバ・インサートを含むIVセットは、IV流体の流れについて、主に、ポンプからの重力又は吸引に依存し得る。ドリップチャンバの上方の流れが止まると(例えば、IVバッグ内のIV流体が激減すると)、ドリップチャンバ内のIV流体は、患者へのIV管内へ流れ続ける。ドリップチャンバ内のIV流体レベルが所定の閾値レベル、例えば、乾燥防止膜の高さに対応するレベルまで低下すると、正常流体経路は乾燥防止膜によって塞がれ、それによって、残りのIV流体は、KVO経路を通って低流量オリフィスを介して患者まで進む。オリフィスが小さいため、IV流体の残余の流量が大幅に低下する。
【0021】
したがって、本開示の様々な実施例は、IVバッグ内のIV流体流体が激減すると、静脈確保するために、最後の数ミリリットルのIV流体を低減した流量で患者に分配できるドリップチャンバ・アセンブリを提供する上で有利である。本明細書に記載の様々な実施例のドリップチャンバ・インサートを備えたドリップチャンバ・アセンブリは、ドリップチャンバ・インサートを内部に付ける以外に既存のドリップチャンバへの修正を必要としないため、さらに有利であり、したがって、既存のIVセットへの最小限の変更のみが必要である。認識できるように、ポンプへの修正は必要とされない。さらに有利には、ドリップチャンバ・インサートは、既存のドリップチャンバ内へ統合するために、複雑な電子工学又は他の技術を必要としない。ドリップチャンバ・インサートは、機械的接続を備えた機械的装置として説明された機能を達成する。加えて、本明細書に記載の様々な実施例のドリップチャンバ・インサートを備えたドリップチャンバ・アセンブリは、それを使用するために追加の訓練が必要とされないという点で有利である。さらなる利点は、静脈確保(KVO)機能を持たない重力セット又はポンプに通常伴う血液凝固によるカテーテルの再挿入の必要性を排除することにより、医療従事者の注入療法時間に関する時間の節約で実現される。さらに、カテーテルは再挿入する必要がないので、カテーテルの再挿入に伴う患者の苦痛を低減又はその他の方法で解消する効果を有する。
【0022】
図1は、本開示のいくつかの実施例によるドリップチャンバ・アセンブリ100を含む複数ラインIV延長セット10を例示する。ドリップチャンバ・アセンブリ100は、IV流体の注入及び/又は採血のために、患者の静脈内へ挿入されてよいカテーテル60に流体的に結合されてよい。描かれるように、IVセット10は、一次流体システム2及び二次流体システム4を含む。IVポンプ(図示せず)は、一次IV流体ライン5及び二次IV流体ライン7を介して一次流体システム2及び二次流体システム4から流体を受け、流体を制御してそこから患者55に分配してよい。
【0023】
いくつかの実施例では、一次流体システム2は、一次静脈内(IV)流体バッグ3等の一次流体源又は容器を含んでよく、これは、患者に投与する第1の医療用流体、例えば、生理食塩水又は他の医薬流体若しくは薬品を含んでよい、又は含有してよい。例示されるように、IV管116は、ドリップチャンバ・アセンブリ100からY字状コネクタ12に流れを運んでよい。逆止弁14は、Y字状コネクタ12の上流のチューブ6に配置されてよく、補助流体システム4から流体バッグ3へ向かうの流体のリバース流(逆流)を防止しながら、流体バッグ3からIVポンプ(図示せず)への流れを可能にする。
【0024】
いくつかの実施例によれば、二次流体システム4は、二次IV流体バッグ8等の二次流体源又は容器を含んでよく、これは、カテーテル60を介して治療のために患者55に供給される二次医療用流体、例えば、薬品又は他の二次流体を含有してよい。二次流体ライン9は、ドリップチャンバ11からY字状コネクタ12に流れを運ぶ。
【0025】
いくつかの実施例では、第2の医療用流体は、第1の医療用流体と異なってよい。しかしながら、本開示の様々な実施例は、前述の構成に制限されない。他の実施例では、第1及び第2の流体は同じであってよい。
【0026】
本開示の様々な実施例によれば、
図1に例示されるように、一次IV流体バッグ3は、一次流体を保持するが、二次IV流体バッグ8よりも低い軸方向の位置又は高さに位置づけられてよい。例えば、一次IV流体バッグ3は、サスペンション・システム又はハンガーに吊り下げられてよく、次いで二次IV流体バッグ8はIV流体バッグ10の上方に吊り下げられ、コネクタ(例えば、y字状部位コネクタ)を介して一次流体ライン5へ接続されてよい二次流体ライン9に結合されてよい。
【0027】
図2は、本開示のいくつかの実施例による、ドリップチャンバ・アセンブリ100の斜視図を例示する。本開示の様々な実施例によれば、ドリップチャンバ・アセンブリ100は、ドリップチャンバ110及びドリップチャンバ・インサート120を含んでよい。ドリップチャンバ110は、IV流体を受ける入口114と、IV流体を患者に分配する出口116と、ハウジング112の内面119によって画定される空洞118とを有するハウジング112を含んでよい。描かれるように、ドリップチャンバ・インサート120は、ドリップチャンバ・ハウジング112の空洞118に配置されてよい。
【0028】
図3は、本開示のいくつかの実施例による、
図2のドリップチャンバ・アセンブリ100のドリップチャンバ110及びドリップチャンバ・インサート120の斜視図を例示する。いくつかの実施例では、ドリップチャンバ・インサート120は、上面126を有する長手方向に延びる又は細長い本体部分122と、細長い本体部分122の下流又は遠位端に配置された基底部分124とを含んでよい。基底部分124は、ドリップチャンバ・インサート120の出口オリフィス128を画定し、ドリップチャンバ110の出口116に流体的に接続されてよい。いくつかの実施例では、ドリップチャンバ・インサート120は、細長い本体部分122に配置された第1のチャンバ130及び第2のチャンバ140を含んでよい。第1のチャンバは、IV流体を受ける入口オリフィス132を含んでよい。乾燥防止膜134は、入口オリフィス132の上に(すなわち覆うように)延びる細長い本体部分122の上面126に配置されてよい。いくつかの実施例では、乾燥防止膜134は、IV流体源(例えば、IVバッグ10)から流れるIV流体50が、乾燥防止膜134を通過するように入口に位置づけられてよい。乾燥防止膜134は、IV流体50が流れる複数の細孔(pore)を有してよく、液体が細孔を通過することを可能にしながら、細孔を通る空気の通過に抵抗する親水性材料で形成されてよい。
【0029】
いくつかの実施例では、入口オリフィス132は、第1の流動状態(
図4に例示)においてIV流体50を受けるドリップチャンバ入口114に流体的に結合されてよい。本明細書で定義される第1の流動状態は、IV流体が、ドリップチャンバ・インサート120によって塞ぐ、減速、低減、又は妨げることなく、IV管からドリップチャンバ・インサート120内へ、且つドリップチャンバ出口116を通って外へ規則的又は正常に流れる状態又は様子を指す。
【0030】
描かれるように、第2のチャンバ140は、細長い本体部分122に配置され、上面126から基底部分124まで延びてよい。第2のチャンバ140は、第2の流動状態(
図5に例示)においてIV流体50の少なくとも一部を受ける開放近位端144を有してよい。本明細書で定義される第2の流動状態は、ドリップチャンバ・アセンブリ出口オリフィス128を介してドリップチャンバ・アセンブリ100から出るドリップチャンバ110内の最終ミリリットル(ml)(例えば、制限されないが、最後の10~60ml)のIV流体の流量が、IV流体バッグ10内のIV流体が激減すると患者の静脈を開いたままにするように、減速、低減、又は妨げられる静脈確保の状態又は様子を指す。この趣旨で、いくつかの実施例では、ドリップチャンバ・インサート120は、第2のチャンバ140をドリップチャンバ出口116と流体的に結合するために、第2のチャンバ140の遠位端142から基底部分124内へ延びる低流量オリフィス150をさらに含んでよい。いくつかの実施例では、低流量オリフィス150は、IV流体がドリップチャンバ・アセンブリからドリップチャンバ・アセンブリ出口オリフィス128内に通過する速度を減速又はその他の方法で低減するように構成された形状を有してよい。例えば、いくつかの実施例では、低流量オリフィス150は、出口116に向かって、基底部分124内へ遠位方向に、先細り又はその他の方法で直径若しくは断面を低減する円錐形状を有してよい。
【0031】
例えば、いくつかの実施例では、正常な流体通路は、約50ミリリットル/時間(ml/hr)から約1000ml/hr、場合によっては約200ml/hrから800ml/hr、より典型的には約400ml/hrから600ml/hrの範囲、且ついくつかの実施例では、約500ml/hrの流量で流体を送達してよい。対照的に、いくつかの実施例では、KVO流体通路は、約2ml/hrから約10ml/hr、場合によっては約3ml/hrから9ml/hr、より典型的には約5ml/hrから7ml/hrの範囲、且ついくつかの実施例では約6ml/hrの低減又は減速した流量で流体を送達してよい。さらなる実例として、いくつかの実施例では、KVO流体通路は、正常流体通路を通る流量の約1%から15%の範囲で、場合によっては、正常流体通路を通る流量の約2%から10%の範囲で、より典型的には、正常流体通路を通る流量の約3%から5%の範囲で、いくつかの実施例では、正常流体通路を通る流量の約4%のより遅い又は低減した速度で流体を送達してよい。特定の範囲に関して記載されているが、下限の最低から上限の最高までのすべての範囲が、すべての中間範囲又は指定角度を含め、この全範囲又は任意の具体的に記載された範囲内に含まれることが理解される。
【0032】
本開示の様々な実施例によれば、細長い本体部分122は、上面126と基底部分124との間に長手方向に延びる側壁123をさらに含んでよい。特に、側壁123は、上面126から基底部分124の近位端125まで延びてよい。描かれるように、細長い本体部分122は、側壁123に配置された流体バイパス・オリフィス129をさらに含んでよい。流体バイパス・オリフィス129は、低流量オリフィス150及びドリップチャンバ・インサートの出口オリフィス128を介してドリップチャンバ出口116に流体的に結合されてよい。
【0033】
図4は、本開示のいくつかの実施例による、第1の流動状態における
図3のドリップチャンバ110及びドリップチャンバ・インサート120の斜視図を例示する。描かれるように、入口オリフィス132、第1のチャンバ130、ドリップチャンバ・インサートの出口オリフィス128及びドリップチャンバ出口116は、流体的に結合されて第1の流体通路160を画定してよい。動作時、IV流体50は、流体源(例えば、一次静脈内(IV)流体バッグ10)からドリップチャンバ110内へ流れる。ドリップチャンバ110内の流体が所定の流体レベルを上回っている限り、第1の流動状態が起動され、IV流体50は、第1の流体通路160を介してドリップチャンバ・アセンブリ100から出る。いくつかの実施例では、所定流体レベルは、60ml以上であってよい。しかしながら、本開示の様々な実施例は、この構成に制限されない。例えば、いくつかの実施例では、所定流体レベルは、約10~60mlの範囲であってよく、場合によっては約20~50mlの範囲であり、他の場合には約30~40mlの範囲であり、いくつかの実施例では約35mlである。いくつかの実施例では、ドリップチャンバ・インサート120の容積は、約2~10mlの範囲であってよい。さらに他の実施例では、ビュレットがドリップチャンバ・インサートの代わりに使用され得る場合、ビュレットの容積容量は、最大150mlまで高くてよい。特定の範囲に関して記載されているが、下限の最低から上限の最高までのすべての範囲が、すべての中間範囲又は指定角度を含め、この全範囲又は任意の具体的に記載された範囲内に含まれることが理解される。
【0034】
本開示の様々な実施例によれば、ドリップチャンバ110内のIV流体が所定レベルを上回っている第1の流動状態では、IVバッグ10からドリップチャンバ・アセンブリ100内へ流れるIV流体は、乾燥防止膜134を通過し、入口オリフィス132を介して第1のチャンバ130に入る。いくつかの実施例では、所定レベルは、乾燥防止膜134が位置づけられる高さとして定義されてよい。
図4に描かれるように、第1の流動状態では、IV流体は、第1のチャンバ130を通って均一で連続的で限定されない/拘束されないように第1の流体通路160に、且つドリップチャンバ・インサートの出口オリフィス128を介してIV管116内へ、且つドリップチャンバ出口116から出て流れる。したがって、IV流体は、例えば、第1の流動状態(例えば、標準的な注入動作)では、適時に且つ連続的に患者に注入されてよい。動作時、IV流体の注入が続くにつれて、IVバッグ10内のIV流体が激減し、それによって、流体がIV管116内へ分配され続けるにつれて、ドリップチャンバ110内のIV流体のレベルの対応する減少を引き起こすことがある。ドリップチャンバ110内のIV流体のレベルは、例えば、制限されないが10mlから60mlの間の所定レベルを下回ると、入口オリフィス132の上に位置づけられるような乾燥防止膜134により、さらなるIV流体50が第1のチャンバ130内へ流れることを可能にすることなく、IVバッグ10からドリップチャンバ110内へのIV流体50の流れの休止後に、かなりの長さの流体柱(column of fluid)が第1のチャンバ130及びIV管116内に維持されることを可能にできる。
【0035】
特に、動作時、IV流体50は、例えば、IV流体バッグ10内のIV流体50が激減するため、ドリップチャンバ110内へ流れることを停止し、且つドリップチャンバ110内のIV流体のレベルが所定レベル(例えば、乾燥防止膜134が位置づけられる高さ)を下回ると、乾燥防止膜134は、入口オリフィス132内へのIV流体50の動きを限定するように働くことができる。例えば、乾燥防止膜134は、複数の細孔を有してよく、これらの細孔のそれぞれは、乾燥防止膜134の下にIV流体50のメニスカスの形成を生じさせるサイズを有する。各メニスカスは、毛細管作用を介して、第1のチャンバ130及びIV管116内のIV流体50の柱の支持に寄与できる。したがって、乾燥防止膜134は、第1のチャンバ130内でIV流体50の柱の支持を容易にするように設計されてよい。いくつかの実施例では、乾燥防止膜は、毛細管作用によって飽和する(濡れている)ことがある。この状態では、乾燥防止膜134の細孔は流体で埋められ、それによって、ドリップチャンバ110に残るIV流体の第1の流体通路160内への流れに対する抵抗を増加させる。したがって、この第2の流動状態では、乾燥防止膜134は、ドリップチャンバ110に残るIV流体への第1の流体通路160を塞ぐ役割を果たすことができる。
【0036】
図5は、本開示のいくつかの実施例による、第2の流動状態における
図3のドリップチャンバ110及びドリップチャンバ・インサート120の斜視図を例示する。描かれるように、第2のチャンバ140の開放近位端144、低流量オリフィス150、ドリップチャンバ・インサートの出口オリフィス128、及びドリップチャンバ出口116は、流体的に結合されて第2の流体通路162を画定してよい。さらに描かれるように、第3の流体通路164が、細長い本体部分122の側壁123とドリップチャンバ110の内面119との間は長手方向で、流体バイパス・オリフィス150を通り、低流量オリフィス150を介してドリップチャンバ・インサートの出口オリフィス128及びドリップチャンバ出口116内へ画定されてよい。いくつかの実施例では、第4の流体通路166が、細長い本体部分122の側壁123とドリップチャンバ110の内面119との間は長手方向で、細長い本体部分122の側壁123とドリップチャンバ110の内面119との間は基底部分122の上面125に沿って円周方向で、流体バイパス・オリフィス129を通り、低流量オリフィスを介して出口オリフィス128内へ画定されてよい。
【0037】
本開示の様々な実施例によれば、第2の流体通路162、第3の流体通路164及び第4の流体通路166は、第2の流動状態において静脈確保の流体経路を集合的に画定してよい。特に、上述したように、ドリップチャンバ内のIV流体が所定レベル(例えば、乾燥防止膜134が位置づけられる高さ)を下回るとき、乾燥防止膜134により、残りのIV流体が入口オリフィスを介してドリップチャンバ・アセンブリ出口オリフィス128内へ流れることを防止できるので、残りのIV流体は、閉塞された第1の流体通路よりも流れに対する抵抗が少ない静脈確保の流体経路を画定する第2の流体通路162、第3の流体通路164及び第4の流体通路166を通って流れる。
【0038】
上述したようなドリップチャンバ・インサートを有するドリップチャンバ・アセンブリの前述の構成は、ドリップチャンバ・インサート120がドリップチャンバ110内へ固定され(例えば、溶接又は接着され)得ることが、ドリップチャンバ110内のIV流体の最終のミリリットル(例えば、制限されないが、最後の10~60ml)を減速するように機能する点で有利である。このように注入の終わりに向かって減速することで、臨床医が終了した注入に対応できるまで、患者の静脈をより長く開いたままにできる。ドリップチャンバ・インサート120は、ドリップチャンバを2つのチャンバに分割してよく、第1のチャンバは正常な流れに対してであり、第2のチャンバは、第1の流動状態(即ち、標準注入流)において第1のチャンバを通る流量と比較して流量を大幅に低減できる底部に低流量オリフィスを有する。入口オリフィス132(本明細書では正常流オリフィスともいう)の頂部に取り付けられた乾燥防止フィルタ134は、ドリップチャンバ内のIV流体が十分に低いときに、第1の流体通路160が停止され、KVO流体通路162、164、及び166は、流体の流れに対する抵抗が少なく、それにより、IV流体は、静脈をちょうど開いたままにしておくのに十分な低流量で、出口116を介して患者に投与できる。
【0039】
したがって、本開示の様々な実施例は、IVバッグ内のIV流体が激減すると静脈を開いたままにしておくために、最後の数ミリリットルのIV流体を低減した流量で患者に分配できるドリップチャンバ・アセンブリを提供する際、有利である。本明細書に記載の様々な実施例のドリップチャンバ・インサートを備えたドリップチャンバ・アセンブリは、ドリップチャンバ・インサートを内部に付ける以外に既存のドリップチャンバへの修正を必要としないため、さらに有利であり、したがって、現存のIVセットへの変更は最小限で済む。認識できるように、ポンプへの修正は必要とされない。さらに有利には、ドリップチャンバ・インサートは、現存のドリップチャンバ内へ統合するために、複雑な電子工学又は他の技術を必要としない。ドリップチャンバ・インサートは、機械的接続を備えた機械的装置である。加えて、本明細書に記載の様々な実施例のドリップチャンバ・インサートを備えたドリップチャンバ・アセンブリは、それを使用するために追加の訓練を必要としないという点で有利である。さらなる利点は、静脈確保(KVO)機能を持たない重力セット又はポンプに通常伴う血液凝固によるカテーテルの再挿入の必要性を排除することにより、医療従事者の注入療法時間に関する時間の節約で実現される。さらに、カテーテルは再挿入する必要がないので、ドリップチャンバ・インサートは、カテーテルの再挿入に伴う患者の苦痛を低減又はその他の方法で解消できる。
【0040】
本開示は、当業者であれば本明細書に記載される様々な態様を実施できるように提供される。本開示は、本主題の技術の様々な実例を提供するが、本主題の技術はこれらの実例に制限されない。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般的原理は、他の態様に適用され得る。
【0041】
要素を単数形で参照することは、特に明記されない限り、「1つのみ」を意味することは意図されないが、むしろ「1つ又は複数」を意味する。特に別段の記載がない限り、用語「いくつかの」は1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の)は、女性及び中性(例えば、彼女の及びその)を含み、逆も同様である。表題及び副題は、もしあれば、単に便宜的に使用され、本発明を制限しない。
【0042】
単語「例示的」は、本明細書では、「実例又は例示の役割をする」ことを意味するために使用される。「例示的」として本明細書に記載される任意の態様又は設計は、他の態様又は設計に対して好適又は有利であると必ずしも解釈されるべきではない。一態様では、本明細書に記載の様々な代替の構成及び動作は、少なくとも同等であると考えられてよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、一連の項目の前にある語句「のうちの少なくとも1つ」は、項目のうちの任意のものを区切るための用語「又は」と共に、リストの各項目というよりもむしろ、リストを全体として修正する。語句「のうちの少なくとも1つ」は、少なくとも1つの項目の選択を必要とするのではなく、むしろ、この語句は、項目のうちの任意のものの少なくとも1つ、及び/又は項目のうちの任意の組み合わせの少なくとも1つ、及び/又は項目のうちのそれぞれの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、語句「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」は、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、又はA、B、及びCの任意の組合せを指してよい。
【0044】
「態様」などの語句は、この態様が本主題の技術に対して不可欠であること、又はこの態様が本主題の技術のすべての構成へ適用されることを暗示しない。一態様に関する開示は、すべての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用されてよい。一態様は、1つ又は複数の実例を提供してよい。態様などの語句は、1つ又は複数の態様を指してよく、逆も同様である。「実施例」などの語句は、この実施例が本主題の技術に対して不可欠であること、又はこの実施例が本主題の技術のすべての構成へ適用されることを暗示していない。一実施例に関する開示は、すべての実施例、又は1つ若しくは複数の実施例に適用されてよい。一実施例は、1つ又は複数の実例を提供し得る。実施例などの語句は、1つ又は複数の実施例を指してよく、逆も同様である。「構成」などの語句は、この構成が本主題の技術に対して不可欠であること、又はこの構成が本主題の技術のすべての構成へ適用されることを暗示していない。一構成に関する開示は、すべての構成、又は1つ若しくは複数の構成に適用されてよい。一構成は、1つ又は複数の実例を提供してよい。構成などの語句は、1つ又は複数の構成を指してよく、逆も同様である。
【0045】
一態様では、別段の記載がない限り、本明細書に記載されるすべての測定値、値、評価、位置、大きさ、サイズ、及び他の仕様が、以下の請求項におけるものを含め、近似値であり、正確ではない。一態様では、それらは、それらが関連する関数及びそれらが関係する技術において慣例的であるものと一致する合理的な範囲を有することが意図される。
【0046】
開示されるプロセス又は方法におけるステップ又は動作の指定の順序又は階層は、例示的な手法の例示であることが理解される。実施の好み又はシナリオに基づいて、ステップ、動作又はプロセスの指定の順序又は階層は再構成されてよいことが理解される。ステップ、動作又はプロセスのうちのいくつかは同時に行われてよい。いくつかの実施の好み又はシナリオでは、特定の動作が行われてよく、又は行われなくてもよい。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつか又はすべては、ユーザの介入なしで、自動的に行われてよい。付随の方法の請求項は、様々なステップ、動作又はプロセスの要素をサンプルの順序で提示し、提示される指定の順序又は階層に制限されることは意味されない。
【0047】
当業者に知られているか又は後に知られることになる、本開示を通して記載される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な同等物が参照により本明細書に明示的に組み込まれ、請求項により包含されることが意図される。また、本明細書に開示されるものは、その開示が請求項に明示的に記載されているかどうかに関わらず、公共に与えられることは一切意図されない。要素が語句「のための手段」を使用して明示的に記載されない限り、又は方法の請求項の場合は、要素が語句「のためのステップ」を使用して記載されない限り、いかなる請求項の要素も35U.S.C.§112(f)の規定で解釈されるべきではない。さらに、用語「含む」、「有する」などが使用される程度までは、これらの用語は、「備える」が請求項において移行語として採用される場合の用語「備える」と同様に包括的であることが意図される。
【0048】
開示の名称、背景、概要、図面の簡単な説明及び要約は、本明細書によって開示に組み込まれ、限定的な説明としてではなく、開示の例示的な実例として提供される。これらは請求項の範囲又は意味を制限するために使用されないことを理解した上で提出される。さらに、詳細な説明では、説明が例示的な実例を提供し、開示を合理化する目的で様々な特徴が様々な実施例にまとめられていることがわかる。この開示方法は、請求された主題が各請求項で明示的に引用されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明の主題は、単一の開示された構成又は動作のすべての特徴よりも少ない特徴にある。以下の請求項は、本明細書により詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、個別に請求された主題として自立している。
【0049】
請求項が、本明細書に記載される態様に制限されることは意図されないが、請求項の文言と一致する全範囲を与えられ、すべての法的同等物を包含するべきである。それにもかかわらず、いずれの請求項も、35U.S.C.§101、102、又は103の要件を満たしていない主題を包含することを意図したものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリップチャンバ・インサートであって、
上面を有する細長い本体部分と、ドリップチャンバに結合するために前記細長い本体部分の下流に位置する基底部分であって、上面、及び前記ドリップチャンバ・インサートの出口オリフィスを画定する下面を有する基底部分と、
前記細長い本体部分内に配置された第1のチャンバであって、入口オリフィスを介して
前記細長い本体部分の前記上面へ、また前記基底部分を介して前記出口オリフィスへ流体的に結合された第1のチャンバと、
前記入口オリフィスを覆うように延びる、前記細長い本体部分の前記上面に配置された乾燥防止膜
であって、液体が前記乾燥防止膜を通過することを可能にするように構成された乾燥防止膜と、
前記細長い本体部分内に配置された、
前記細長い本体部分の前記上面
を通して前記基底部分へ延びる第2のチャンバと、
前記第2のチャンバを前記出口オリフィスと流体的に結合するために、前記第2のチャンバの基底から前記基底部分内へ延びる低流量オリフィスと
を有するドリップチャンバ・インサート。
【請求項2】
前記細長い本体部分は、
前記細長い本体部分の前記上面と前記基底部分との間で長手方向に延びる側壁と、前記側壁内に配置された流体バイパス・オリフィスとをさらに有し、前記流体バイパス・オリフィスは、前記低流量オリフィスを介して前記出口オリフィスに流体的に結合される、請求項1に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項3】
前記低流量オリフィスは、前記基底部分内へ遠位方向に先細った円錐形状を有する、請求項2に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項4】
前記入口オリフィス、前記第1のチャンバ及び前記出口オリフィスは、流体的に結合されて第1の流体通路を画定し、
前記ドリップチャンバ内の流体が所定レベルの上である第1の流動状態では、流体源から前記ドリップチャンバ内へ流れる流体は、前記乾燥防止膜を通過して、前記入口オリフィスを介して前記第1のチャンバに入り、前記出口オリフィスを介して前記ドリップチャンバを出る、請求項2に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項5】
前記乾燥防止膜は、前記基底部分の上の所定高さに位置し、前記ドリップチャンバ内の前記流体の前記所定レベルは、前記所定高さと等しい、請求項4に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項6】
前記乾燥防止膜は、前記流体が通って流れる複数の細孔を備えた親水性材料を有する、請求項4に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項7】
前記第2のチャンバの開放近位端、前記低流量オリフィス、及び前記出口オリフィスは流体的に結合されて第2の流体通路を画定する、請求項6に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項8】
第3の流体通路が、前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの内面との間で長手方向に、前記流体バイパス・オリフィスを通して、そして前記低流量オリフィスを介して前記出口オリフィス内へ、画定される、請求項7に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項9】
第4の流体通路が、(i)前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの前記内面との間で長手方向に、(ii)前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの前記内面との間で前記基底部分の上面に沿って円周方向に、(iii)前記流体バイパス・オリフィスを通して、そして(iv)前記低流量オリフィスを介して前記出口オリフィス内へ、画定される、請求項8に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項10】
前記第2の流体通路、前記第3の流体通路、及び前記第4の流体通路は、流体が前記ドリップチャンバ・インサートを離れる速度を制限し、
第2の流動状態にあるとき、前記ドリップチャンバ内の流体が前記所定レベルを下回ると、前記乾燥防止膜は、前記ドリップチャンバ内のIV流体が前記入口オリフィスに入ることを制限するように、前記第1のチャンバ内の流体柱を支持し、それにより前記流体は前記第2、第3及び第4の流体通路を通って流れる、請求項9に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項11】
前記ドリップチャンバ内の前記流体が前記第2の流動状態において下回る前記所定レベルは、60ミリリットル以下である、請求項10に記載のドリップチャンバ・インサート。
【請求項12】
ハウジングを含むドリップチャンバであって、前記ハウジングは、IV流体を受け入れるための入口、前記IV流体を患者に分配するための出口、及び前記ハウジングの内面によって画定される空洞を有している、ドリップチャンバと、
前記空洞内に配置されたドリップチャンバ・インサートと
を有するドリップチャンバ・アセンブリであって、
前記ドリップチャンバ・インサートが、
上面を有する細長い本体部分と、前記細長い本体部分の下流に位置する基底部分であって、前記ドリップチャンバ・インサートの出口オリフィスを画定し、且つ前記ドリップチャンバの前記出口に流体的に接続された基底部分と、
前記細長い本体部分内に配置された第1のチャンバであって、前記第1のチャンバを前記細長い本体部分の前記上面に流体的に結合する入口オリフィス、及び前記入口オリフィスを覆うように延びる、前記
細長い本体部分の前記上面に配置された乾燥防止膜を有し、
前記乾燥防止膜は、液体が前記乾燥防止膜を通過することを可能にするように構成され、前記入口オリフィスは、第1の流動状態においてIV流体を受け入れるために前記ドリップチャンバ入口に流体的に結合されている、第1のチャンバと、
前記細長い本体部分内に配置された、
前記細長い本体部分の前記上面
を通して前記基底部分まで延びる第2のチャンバであって、第2の流動状態において前記IV流体の少なくとも一部を受け入れるための開放近位端を有する第2のチャンバと、
前記第2のチャンバを前記ドリップチャンバ出口と流体的に結合するために、前記第2のチャンバの基底から前記基底部分内へ延びる低流量オリフィスと
を有している、ドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項13】
前記細長い本体部分は、
前記細長い本体部分の前記上面と前記基底部分との間で長手方向に延びる側壁と、前記側壁に配置された流体バイパス・オリフィスとをさらに有し、前記流体バイパス・オリフィスは、前記低流量オリフィスを介して前記出口に流体的に結合される、請求項12に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項14】
前記入口オリフィスは、前記ドリップチャンバの前記入口と軸方向に整列している、請求項13に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項15】
前記ドリップチャンバの前記入口、前記入口オリフィス、前記第1のチャンバ、前記ドリップチャンバ・インサートの出口、及び前記ドリップチャンバの前記出口は、流体的に結合されて第1の流体通路を画定し、
前記ドリップチャンバ内の前記IV流体が所定レベルの上である前記第1の流動状態では、前記ドリップチャンバ内へ流れる前記IV流体は、前記乾燥防止膜を通過して、前記入口オリフィスを介して前記第1のチャンバに入る、請求項14に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項16】
前記乾燥防止膜は、多孔質親水性材料を有する、請求項15に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項17】
前記第2のチャンバの前記開放近位端、前記低流量オリフィス、前記ドリップチャンバ・インサートの前記出口オリフィス及び前記ドリップチャンバの前記出口は、流体的に結合されて第2の流体通路を画定する、請求項16に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項18】
第3の流体通路が、前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの内面との間で長手方向に、前記流体バイパス・オリフィスを通して、そして前記低流量オリフィスを介して前記ドリップチャンバ・インサートの前記出口オリフィス及び前記ドリップチャンバの前記出口内へ、画定される、請求項17に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項19】
第4の流体通路が、(i)前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの前記内面との間で長手方向に、(ii)前記細長い本体部分の前記側壁と前記ドリップチャンバの前記内面との間で前記基底部分の上面に沿って円周方向に、(iii)前記流体バイパス・オリフィスを通して、(iv)前記低流量オリフィスを介して前記ドリップチャンバ・インサートの前記出口オリフィス及び前記ドリップチャンバの前記出口内へ、画定される、請求項8に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【請求項20】
前記第2の流体通路、前記第3の流体通路、及び前記第4の流体通路は、静脈確保流体経路を集合的に画定し、
前記ドリップチャンバ内の流体が前記所定レベルを下回る前記第2の流動状態において、前記流体で飽和した前記乾燥防止膜は、さらなる流体が前記入口オリフィスを介して前記出口内へ流れることを制限し、それにより前記流体が前記静脈確保経路を通って流れる、請求項19に記載のドリップチャンバ・アセンブリ。
【国際調査報告】