(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】医療用ポンプのための連結デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240614BHJP
F16L 41/03 20060101ALI20240614BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61M1/00 135
F16L41/03
F04B39/12 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571291
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2022054543
(87)【国際公開番号】W WO2022243844
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021002721.3
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518248192
【氏名又は名称】ヴェー.オー.エム. ワールド オブ メディシン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】クルーゲ,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ランゲン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘーザー,クリスチャン
【テーマコード(参考)】
3H003
3H019
4C077
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AC04
3H003CD07
3H019BA43
3H019BC00
4C077AA23
4C077CC02
4C077CC09
4C077DD22
4C077EE06
4C077KK25
(57)【要約】
本発明は、特に内視鏡検査のための通気ポンプなど、医療用ポンプのための連結デバイスに関し、それによって複数の管接続部を同時に閉じることができる。この連結デバイスは、通気器の端部において、接続要素として、通気プランジャを伴うスリーブ形状の要素と、複数の管を接続するためのスリーブ形状の要素に対して適合性のある管セットと、を含む。この管セットは、複数の中空シリンダを備える。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気器を用いて、n本の管を接続し、それを通してガスを流すための管接続デバイスであって、ここでnは1~5であり、
スリーブ形状の要素は、通気器側に形成され、
前記スリーブ形状の要素は、n本の通気ピストンを、接続要素としてスリーブ基部の領域に有し、
接続要素としての、n本の前記通気ピストンは、バネ張力によって前記スリーブ基部から突出し、前記管からの圧力によって前記スリーブ基部に向けて押圧することができ、それによって前記通気ピストンの表面は、管接続が成されたときに、前記スリーブ基部と同一面になり、
弾力性のある封止要素は、各接続要素と各管との間に配置され、1つまたは複数の掛け金要素は、スリーブ開口部の領域に配置され、それによって、前記管は確実に管接続部と係合かつ係止し、
接続要素は、前記管側に配置され、それらは前記スリーブ基部の前記接続要素と適合性があり、
前記スリーブ形状の要素と適合性のある要素は、管セットとしてn本の中空シリンダを有し、そこにn本の前記管は、n本全ての管を確実に前記通気器に流体接続するよう接続される、管接続デバイス。
【請求項2】
前記管の数nは、2~5本である、請求項1に記載の管接続デバイス。
【請求項3】
前記弾力性のある封止要素は、接続要素としての通気フラスコの構成要素であるか、または前記管側における接続要素の構成要素であるか、のいずれかである、請求項1に記載の、通気器を用いてn本の管を通してガスを流す、管接続デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に内視鏡検査のための通気ポンプなど、医療用ポンプのための連結デバイスに関し、それによっていくつかの管接続部を同時に閉じることができる。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査中、特に治療的介入中に、それぞれの体腔は、流体の流入によって拡張されることが良く知られている。腹腔鏡検査中に、ガス(好ましくはCO2)が一般的に腹腔の中に導入され、外圧よりも高い内圧が作り出される。このように、腹腔は拡張されて、手術用器具を挿入するための空間が作り出される。最新のシステムは、視界を妨げるガス煙を迅速に除去するのを可能にするために、吸引デバイスも有するが、体腔における圧力を、手術中に可能な限り一定に維持する必要もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これは、必要な配管を用いて、通気器を様々なポンプ及び測定ラインに接続する課題を提起する。衛生の理由のため、これらは使い捨てのアイテムである。いくつかの管を通気器に接続することは、時間がかかる。加えて、同じタイプの連結部を使用した場合、管を混同するリスクがある。代替として、異なる連結システムを使用することがあり、これは操作スタッフにとっては扱いにくいことが判る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術的課題を克服するために、以下で説明する連結デバイスが提案される。それは、各接続部をしっかりと締めることを保証しながら、いくつかの管を同時に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】様々な視点における4つの管接続部を伴う、本発明の好ましい実施形態を示す図である。上図:管セットが係合された側面図。下図:管セットが係合された上面図。
【
図2】やはり側面図である。管接続部の内3つは明白に視認できる。4つ目の接続部は、この図では隠れている。
【
図3】やはり上面図である。スリーブの開口部近くの掛け金要素が、明白に視認できる。
【
図4】挿入プロセス及び力の変位関係をグラフとして象徴的に示し、関連の構成要素に色を付けて強調した、(通気ピストンが管に接触した)封止要素の圧縮開始の画像を示す図である。
【
図5】挿入プロセス及び力の変位関係をグラフとして象徴的に示し、関連の構成要素に色を付けて強調した、(連結閉鎖した)掛け金要素の圧縮開始の画像を示す図である。
【
図6】挿入プロセス及び力の変位関係をグラフとして象徴的に示し、関連の構成要素に色を付けて強調した、4つの全てのバネが圧縮されたときの画像を示す図である。
【
図7】挿入プロセス及び力の変位関係をグラフとして象徴的に示し、関連の構成要素に色を付けて強調した、掛け金要素の係止(掛け金の相互係止)を示す図である。
【
図8】挿入プロセス及び力の変位関係をグラフとして象徴的に示し、関連の構成要素に色を付けて強調した、掛け金要素における第2の係止(掛け金の相互係止)の圧縮開始を示す図である。
【
図9】1つの考えられる力のプロファイルを示す図である。ポイントP1は事前調整の開始、P2は事前調整の終了、P3は封止部の圧縮及び通気ピストン経路の開始、P4は閉鎖圧縮の開始、P5は、測定ライン、差圧、及び煙排出接続部への接触、P6は閉鎖圧力の終了、P7は4つ全てのバネの圧縮、P8は閉鎖係止、P9は(任意選択の)第2の係止圧縮の開始、P10は、スリーブ基部の後壁(容器またはコネクタのスリーブ)への接触開始、である。
【
図10】ポイントP3における変位量Sについての、挿入プロセス状態を示す図である。関連の構成要素は、鎖線で円形に囲まれている。
【
図11】ポイントP4における変位量Sについての、挿入プロセス状態を示す図である。関連の構成要素は、鎖線で円形に囲まれている。
【
図12】ポイントP7における変位量Sについての、挿入プロセス状態を示す図である。関連の構成要素は、鎖線で円形に囲まれている。
【
図13】ポイントP8における変位量Sについての、挿入プロセス状態を示す図である。関連の構成要素は、鎖線で円形に囲まれている。
【
図14】ポイントP9及びP10における変位量Sについての、挿入プロセス状態を示す図である。関連の構成要素は、P9に対して破線で、及びP10に対して鎖線で、円形に囲まれている。
【
図15】異なる外部視点における、4つの管接続部を伴う、本発明による2つの要素における接続の、好ましい実施形態を示す図である(スリーブはデバイス側かつ管セットにある)。上左図:正面図、管セットが係合していない側面図(管セットはスリーブ部/容器をデバイス側で覆っている)。上右図:管セットが係合していない側面図。下図:管セットが係合していない上面図。
【
図16】異なる視点における、4つの管接続部を伴う、本発明による2つの要素における接続の、好ましい実施形態を示す図である(スリーブはデバイス側かつ管セットにある)。上左図:正面図、管セットが係合していない側面図(管セットはスリーブ部/容器をデバイス側で覆っている)、及びデバイス側の容器のA-Aラインを示す。上右図:管セットが係合しておらず、かつスリーブ部/容器の段付き部はデバイス側にある側面図。下図:管セットが係合していない上面図。
【
図17】管セットが、デバイス側/容器のスリーブ部の段付き部と係合していない、空間的表示における4つの管接続部を伴う、本発明による両方の要素における接続の、好ましい実施形態を示す図である(スリーブはデバイス側及び管セットにある)。
【
図18】別の空間的表示における、4つの管接続部を伴う、本発明による両方の要素における接続の、好ましい実施形態を示す図である(スリーブはデバイス側かつ管セットにある)。管部分に位置され、かつ容器に適応された、管セットの接続部が、明白に認識できる。
【
図19】4つの向きの、4つの接続部を伴う、管接続部をデバイス側に取り付ける好ましい方法を示す図である。上左図:正面図。上中央図:側面図。上右図:背面図。下図:上面図。
【
図20】4つの向きの、4つの接続部を伴う、管部分の好ましい実施形態を示す図である。上左図:正面図。上中央図:側面図。上右図:背面図。下図:上面図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、n本の管を接続するための、管接続デバイスを備え、それを通してガスは通気器へ流れる。ここでnは1~5である。スリーブ形状の要素が、通気器側に形成される。このスリーブ形状の要素は、スリーブ基部の領域に接続要素としてn本の通気ピストンを備え、
接続要素としての、n本の通気ピストンは、バネ張力によってスリーブ基部から突出し、管からの圧力によってスリーブ基部に向けて押圧することができ、それによって通気ピストンの表面は、管接続が成されたときに、スリーブ基部と同一面になり、
弾力性のある封止要素は、各接続要素と各管との間に配置され、1つまたは複数の掛け金要素は、スリーブ開口部の領域に配置され、それによって、管は確実に管接続部と係合かつ係止し、
接続要素は、管側に配置され、それらはスリーブ基部の接続要素と適合性があり、
スリーブ形状の要素と適合性のある要素は、管セットとしてn本の中空シリンダを有し、そこにn本の管は、n本全ての管を確実に通気器に接続するよう、接続される。
【0007】
本発明によるデバイスの利点は、管の本数nが2以上であるとき、特に明白である。
【0008】
このように、この管接続デバイスは2つの部品から構成される:すなわち、容器として通気器側に配置される、スリーブ形状部と、管セットとしてスリーブ形状の容器の中に挿入される、プラグイン部としての適合要素と、である。スリーブ形状の容器は、外側において通気器との接続部を有し、n本の通気ピストンは、スリーブの内側に配置される。プラグイン部は、外側においてn本の管のための接続部を有し、スリーブ部の通気ピストンと適合したn本の中空シリンダは、内側に配置される。
【0009】
管を通気器に接続するときに、弾力性のある封止要素を、追加で調製された弾性力のある要素(バネ)と組み合わせて、位置的な逸脱及び許容範囲の逸脱を補うことで、許容範囲を補うことができ、気密性のある接続を実現することができる。このように、より大きい製造の偏差を許容することができ、かつ管セットにおける高精度の部材のコストを軽減させることができる。封止材料自体によって吸収された許容範囲を、何倍も増加させることができる。
【0010】
弾力性のある要素(バネ)は、定められた予圧を最初に提供して、所望の封止力を保証するよう設計される。このバネ要素は低いバネ剛性を有し、そのため反力は、追加の拡張を伴って最小限しか増加しない。
【0011】
弾力性のある要素の組み合わせは、管セットの外形または異なる封止輪郭によるさらなる許容範囲を補うために、接続される各封止部のために別個に設計することができる。
【0012】
このように、いくつかのレベルの封止を実現することができる。
【0013】
弾力性のある要素の(軸方向の)移動により、各個々の封止インターフェースの位置を、(マイクロスイッチにより、または当技術分野による他の位置センサによって)検出/監視/評価することができ、以下のために使用できる:
1.正確な挿入の検出(作動及び正確な端位置の検出);
2.挿入された管セットの識別(例えば管セット1が管セット2とは異なる封止部を作動させる場合)。
【0014】
代替の設計は、複数の封止部を単一の弾力性のある構成要素(全ての必要な接続を含んだ、大きい、弾力性で取り付けられた「プレート」)に接続することである。
【0015】
管容器をデバイス側に組み立てるとき、セッティングゲージを用いて、掛け金の形状を封止部に対して追加で調整することは、適切な製造の許容範囲を選択することによって排除することができる。管側におけるプラグ接続の許容範囲は、平坦性及び位置に関しても増加させることができる。
【0016】
封止部の形状における、長さの許容範囲を補うことに追加して、管セットは、封止部への最初の接触前に、インターフェースにおいて整合される。この整合は、管セットが最初に封止部に接触する前に行われる。封止部の接触に先立つ整合は、封止部の側方の移動及び封止部の形状を減少させること、及び封止部の寿命を延ばすこと、が意図される。不正確な挿入は、管セット及びデバイスの形状が、それらの一方向のみに適合することを保証することによって避けられる。
【0017】
可能な場合、管は、片手及び1つのハンドルでデバイスに接続されるのが望ましい。これは、後続の係止を伴う挿入及び取り外しの必要性を排除する。
【0018】
合計の挿入力は、バネの事前負荷及びバネ特性を選択することによって、封止部の材料とは関わりなく調整することができ、消費者の要望に対して適応させることができる。これは、特定の力のプロファイル及び触覚のフィードバックを、例えば「先端の」封止部を使用することによって、実現することができる。
【0019】
弾力性のある接続部の封止概念は、「完全な軸方向」ではない挿入運動にも、実現することができる。この場合、損傷を避けるため、硬質構成要素と軟質構成要素との間の相対運動が最小であること、かつ重大ではないことを保証するために、注意しなければならない。
【0020】
弾力性のある封止要素を、様々な方法で、位置させること/位置付けることができる。
【0021】
好ましい設計において、硬質の封止部輪郭は、管セットに位置付けられ、軟質(シリコーン)の封止部及びバネ要素は、デバイスに位置付けられる。
【0022】
(摩耗部材としての)軟質の構成要素が、管セットに位置付けられ、硬質の輪郭がデバイスに位置付けられる、代替の設計が可能である。
【0023】
代替の設計において、類似の特性曲線を伴うバネシステムは、適切な射出成形または別個の構成要素を介して、管セットの中に一体化させることもできる。
【0024】
管セットは、プラグイン接続として閉じられた外面輪郭を有し、流体経路の封止部は、前面において接続され、位置付けられる。複数の流体経路を接続することができ、流体経路の配置は、デバイス側の管容器の配置に適合するよう自由に選択することができる。このように、配置は、管セットの位置的要望、ならびにデバイス側の流体経路またはセンサによって、容易に実現することができる。対象配置が特に望ましい。なぜならそれは、最良の力の配分をもたらすからである。しかし、任意の他の配置が可能であり、本発明による許容範囲を補う封止部を阻害しない。
【0025】
プラグイン接続は、デバイス側の容器(スリーブ)の中に押し込むことによって成される。好ましい解決策において、管は接続経路の軸に対して側方のコネクタから現出する。それは、他の物体によって管が湾曲せず、かつ捩じれないという利点を有する。捩じれは、管の開口部の断面を減少させ、流れを阻害することになる。管は、プラグインコネクタの内側かつ中空シリンダの上に押し込められ、必要に応じて接着されて、前面の開口部に流体接続される。
【0026】
スリーブ形状の容器デバイスは、例えば通気器の前面または側面の中に引っ込められて、通気器の一部とすることができる。
【0027】
プラグインコネクタが、デバイス側の容器に接続されたとき、封止部は前部にあり、すなわち接触する。残りの接続は実際の係止が行われる前に成される。これは、管を洗い流してデバイス側の容器を掃除するために使用することができる。どの封止部を先端にするかという選択は、自由に成すことができ、本発明の特徴によって予め定められない。それぞれの管の径または封止部の径も、自由に選択可能であるが、これらの径は、接続力に影響を及ぼし、それに従って設計しなければならない。
【国際調査報告】