(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】シート抵抗部品
(51)【国際特許分類】
H10K 50/17 20230101AFI20240614BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20240614BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20240614BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20240614BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20240614BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20240614BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20240614BHJP
H10K 71/12 20230101ALI20240614BHJP
H10K 50/816 20230101ALI20240614BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240614BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20240614BHJP
H10K 101/30 20230101ALN20240614BHJP
【FI】
H10K50/17
H10K50/15
H10K50/18
H10K50/12
H10K59/122
H10K50/16
H10K50/17 171
H10K71/16 164
H10K71/12
H10K50/816
H10K85/60
H10K101:40
H10K101:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572582
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022066336
(87)【国際公開番号】W WO2022263524
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503180100
【氏名又は名称】ノヴァレッド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ランググート,オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ロゼノー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ルンゲ,シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ,ベンヤミーン
(72)【発明者】
【氏名】ニュレン,マクス,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴダルチック,ヤーコプ,ヤチェク
(72)【発明者】
【氏名】ウヴァロフ,ウラジーミル
(72)【発明者】
【氏名】エッゲマン,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルマン,シュテフェン
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107DD24
3K107DD26
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3K107DD46X
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3K107FF15
3K107FF19
3K107GG04
3K107GG06
3K107HH05
(57)【要約】
本発明は複数のOLED画素を含むアクティブマトリックスOLEDディスプレイに関し、各々の画素自体は有機層のスタックを含み、有機層のスタックの各々の層は共通の半導体層を形成することができ、ここで、-少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素は、-陽極層、-共通の陰極層、-複数の半導体層を含む少なくとも有機層のスタック、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイであって、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層は共通の半導体層を形成することができ、ここで
-少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素は、以下を含む
-陽極層、
-共通の陰極層、
-以下を含む、少なくとも有機層のスタック
-複数の半導体層、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、前記複数の半導体層は以下を含む
-共通の正孔注入層である少なくとも共通の第1の半導体層、ここで、前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含み、前記共通の正孔注入層は、前記OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または前記複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する、
-少なくとも共通の第2の半導体層、
-任意に共通の発光層である、少なくとも1つの発光層、ここで、前記共通の正孔注入層および前記共通の第2の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、アクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項2】
前記共通の第2の半導体層は、共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層であり、より好ましくは、前記共通の正孔注入層は、共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層である前記共通の第2の半導体層と直接接触しており、さらにより好ましくは、前記共通の第2の半導体層は、共通の正孔輸送層である、請求項1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項3】
前記複数の共通の半導体層は、共通の第3の半導体層をさらに含み、前記共通の第1の半導体層、前記共通の第2の半導体層、および前記共通の第3の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、請求項1または2に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項4】
前記共通の第3の半導体層は共通の電子阻止層であり、前記共通の第1の半導体層は共通の正孔注入層であり、前記共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層であり;かつ、共通の正孔注入層である前記共通の第1の半導体層と、共通の正孔輸送層である前記共通の第2の半導体層と、共通の電子阻止層である前記共通の第3の半導体層とは、共に≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項5】
共通の正孔輸送層である前記共通の第2の半導体層と前記発光層との間に、共通の電子阻止層である前記共通の第3の半導体層が配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項6】
各々の画素の前記発光層は色定義発光体ドーパントでドープされ、前記色定義発光体ドーパントの前記色は各々の画素に対して独立して選択されるか、または同じものが選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項7】
前記シート抵抗は伝送線路方法によって決定される、請求項1~6のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項8】
前記第1のOLED画素の前記陽極層および前記第2のOLED画素の前記陽極層は、画素精細層によって分離されており、その結果、前記第1のOLED画素の前記陽極層および前記第2のOLED画素の前記陽極層は、共通の層として形成されず、互いに接触しない、請求項1~7のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項9】
前記共通の正孔注入層は、少なくとも一部が前記陽極層に直接接触して配置され、前記共通の正孔輸送層は、前記共通の発光層と前記共通の正孔注入層との間に配置される、請求項1~8のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項10】
全ての個々の画素は、他の個々の画素の陽極に接触し得ないそれ自体の陽極を有し得る、請求項1~9のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項11】
前記共通の正孔注入層、前記共通の第2の半導体層、前記共通の第3の半導体層、および前記共通の発光層は、共に≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項12】
複数のOLED画素を含み、各々の画素自体は有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層が共通の半導体層を形成することができるか、または複数の有機層が複数の半導体層を形成することができ、少なくとも第1のOLED画素および少なくとも第2のOLED画素が各々の陽極層を含み、
-前記第1のOLED画素および前記第2のOLED画素の前記陽極層は、画素精細層によって任意に分離され、前記少なくとも第1のOLED画素および前記少なくとも第2のOLED画素は、共通の陰極層と、複数の半導体層を含む少なくとも有機層のスタックとを含み、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、
-前記有機層のスタックの少なくとも2つの共通の半導体層または前記複数の半導体層は、前記共通の陰極層と前記陽極層との間に配置され、前記陽極層は共通の層ではなく、
-前記少なくとも2つの共通の半導体層または前記複数の共通の半導体層は、共通の正孔注入層である少なくとも第1の共通の半導体層と、共通の正孔輸送層または電子阻止層である少なくとも共通の第2の半導体層と、任意に共通の発光層である少なくとも発光層と、を含み、好ましくは、前記少なくとも共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層であり、
-前記共通の正孔注入層は、少なくとも部分的に前記陽極層に直接接触して配置され、好ましくは、共通の正孔輸送層である前記少なくとも共通の第2の半導体層は、前記発光層と前記共通の正孔注入層との間に配置され、前記発光層は任意に共通の発光層であり;
前記共通の正孔注入層および前記少なくとも共通の第2の半導体層は、好ましくは共通の正孔輸送層であり、共に≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項13】
前記共通の正孔注入層および前記共通の正孔輸送層は共に、≧100ギガオーム/スクエア、≧150ギガオーム/スクエア、≧200ギガオーム/スクエア、≧300ギガオーム/スクエア、≧400ギガオーム/スクエア、≧500ギガオーム/スクエア、≧1000ギガオーム/スクエア、≧2500ギガオーム/スクエア、≧5000ギガオーム/スクエア、≧10000ギガオーム/スクエア、≧20000ギガオーム/スクエア、≧30000ギガオーム/スクエア、≧40000ギガオーム/スクエア、または≧50000ギガオーム/スクエアから選択されるシート抵抗を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項14】
前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含み、前記共通の正孔注入層はi-正孔注入層および/または正孔注入材料ドープ層を含む群から選択され、好ましくは正孔注入材料の濃度は、前記正孔注入材料でドープされた正孔注入層の重量に基づいて、≧0.1重量%および≦40重量%、好ましくは≧0.5重量%および≦25重量%、さらに好ましくは≧1重量%および≦10重量%、より好ましくは≧1重量%および≦5重量%である、請求項1~13のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項15】
有機層の共通のスタックは共通の電子輸送層をさらに含み、好ましくは、前記共通の電子輸送層は、前記発光層と前記共通の陰極層との間に配置される、請求項1~14のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項16】
前記有機層の共通のスタックは、共通の電子注入層、共通の正孔阻止層、および/または電子輸送層を含む群から選択される共通の有機層をさらに含み、好ましくは、前記共通の電子注入層は前記共通の陰極層と直接接触している、請求項1~15のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項17】
前記共通の第1の半導体層、好ましくは、前記共通の正孔注入層は、≧1nmおよび≦100nm、好ましくは≧2nmおよび≦50nm、より好ましくは≧3nmおよび≦40nm、より好ましくは≧4nmおよび≦30nm、より好ましくは≧5nmおよび≦20nm、より好ましくは≧6nmおよび≦15nm、より好ましくは≧8nmおよび≦10nmの層の厚さを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項18】
前記共通の第2の半導体層、好ましくは、前記共通の正孔輸送層は、≧5nmおよび≦250nm、好ましくは≧10nmおよび≦240nm、より好ましくは≧15nmおよび≦230nm、より好ましくは≧20nmおよび≦220nm、より好ましくは≧25nmおよび≦210nm、より好ましくは≧30nmおよび≦200nm、より好ましくは≧35nmおよび≦190nm、より好ましくは≧40nmおよび≦180nm、ならびに、好ましくは≧50nmおよび≦150nmの層の厚さを有する、請求項1~17のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項19】
前記共通の第2の半導体層、好ましくは、前記共通の正孔輸送層は、<-4.27eVから≧-6.0eVまで、<-4.3eVから≧-5.5eVまで、好ましくは<-4.5eVから≧-5.4eVまで、より好ましくは-<-4.6eVから≧-5.3eVまでの範囲で、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G
*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、それらの最高占有分子軌道のエネルギーを有する化合物を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項20】
前記電子阻止層は、<-4.7eVから≧-6.0eVまで、<-4.8eVから≧-5.5eVまで、好ましくは<-4.9eVから≧-5.4eVまで、より好ましくは-<-5.0eVから≧-5.3eVまでの範囲で、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G
*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、それらの最高占有分子軌道のエネルギーを有する化合物を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項21】
前記電子阻止層は、≧1nmおよび≦20nm、好ましくは≧2nmおよび≦18nm、より好ましくは≧3nmおよび≦16nm、より好ましくは≧4nmおよび≦14nm、より好ましくは≧5nmおよび≦12nm、より好ましくは≧6nmおよび≦11nm、より好ましくは≧7nmおよび≦10nmの層の厚さを有する、請求項1~20のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項22】
少なくとも1つの陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、前記第1の陽極副層は、≧4eVおよび≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物を含み;ならびに、前記第2の陽極副層は、前記共通の正孔注入層のより近くに配置される、請求項1~21のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項23】
前記アクティブマトリックスOLEDディスプレイは、複数の有機発光ダイオード画素のうちの前記画素を別々に駆動するように構成された駆動回路を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項24】
少なくとも1つの共通の層の製造方法は、各々の共通の層が1つの処理工程において、1つの大きなマスク開口部を通って完全なディスプレイ領域上に堆積されることを含む、請求項1~23に記載の少なくとも1つの共通の層の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、複数のOLED画素を有するアクティブOLEDディスプレイ、および少なくとも1つの共通の層の製造方法に関する。
【0002】
[背景技術]
Tangら(C. W. Tang et al. Appl. Phys. Lett. 51 (12) 913 (1987))によって低い動作電圧が実証された1987年以来、有機発光ダイオードは、大面積ディスプレイの実現のための有望な候補である。それらは、例えば、熱真空蒸着または溶液処理によって堆積させることができ、続いて金属層を介して電気コンタクトが形成される一連の薄い(通常1nmから1μm)有機材料層からなる。有機電気デバイスは、特性に関して、無機材料に基づいて確立された成分と競合する、ダイオード、発光ダイオード、フォトダイオード、および薄膜トランジスタ(TFT)などの、多種多様な電子または光電子部品を提供する。
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)の場合、外部から印加される電圧、続いて活性領域における励起子(電子-正孔対)の形成、およびこれらの励起子の放射再結合の結果として、電荷キャリア(一方の側からの電子、他方の側からの正孔)をコンタクトから隣接する有機層に注入することを通して、発光ダイオードによって光が生成および放出される。
【0004】
従来の無機成分(ケイ素またはガリウムヒ素のような無機半導体に基づく)を超える有機成分の利点は、例えば大型ディスプレイ部品(視覚ディスプレイ、スクリーン)またはランプ(照明用途)などの大面積の部品を製造するための選択肢である。有機材料は、無機材料と比較して比較的安価である(材料とエネルギーの消費が少ない)。さらに、これらの材料は、無機材料と比較して処理温度が低いため、フレキシブル基板上に堆積させることができ、ディスプレイおよび照明工学における一連の新しい用途が開かれる。このような成分の基本的な構成は、以下の層の1つ以上の配置を含む:キャリア基板;通常は透明である正孔注入(正のコンタクト)ベース電極;正孔注入層(HIL);正孔輸送層(HTL);発光層(EL);電子輸送層(ETL);電子注入層(EIL);通常は仕事関数の低い金属である電子注入(負のコンタクト)カバー電極;周囲の影響を排除するための封入。
【0005】
上記は最も典型的な場合を示しているが、(HTLおよびETLを除いて)いくつかの層を省略してもよく、または1つの層がいくつかの特性を組み合わせてもよい。
【0006】
ドープされた電荷キャリア輸送層(アクセプター性分子の混合によるHTLのpドーピング、ドナー性分子の混合によるETLのnドーピング)の使用は、文献US5,093,698に記載されている。この意味でのドーピングは、ドーピング物質の層への混合が、関連する2つの物質のうちの1つの純粋な層と比較して、この層の平衡電荷キャリア濃度を増加させ、結果として導電性が改善され、隣接するコンタクト層からこの混合層へより良い電荷キャリアが注入されることを意味する。電荷キャリアの輸送は、依然としてマトリックス分子上で起こる。US5,093,698によれば、ドープされた層は、コンタクト材料との界面で注入層として使用され、発光層はその間(または、他のコンタクトの次に、1つのドープされた層のみが使用されるときに)存在する。ドーピングによって増加した平衡電荷キャリア密度および関連するバンドの屈曲は、電荷キャリアの注入を容易にする。US5,093,698によれば、HTL内の正孔と同様にETL内の電子が、HTL材料の非常に高いイオン化エネルギーおよびETL材料の非常に低い電子親和力を必要とする、さらなる障壁なしに、EL(発光層)に注入されることが可能となるように、有機層のエネルギー準位(HOMO=最高占有分子軌道または最高エネルギー性価電子帯エネルギー;LUMO=最低非占有分子軌道または最低エネルギー性伝導帯エネルギー)が、取得されるべきである。
【0007】
アクティブOLEDディスプレイに関しては、ディスプレイの画素間のいわゆるクロストークが大きな問題となっている。画素または色のクロストークは、近接画素から散乱された別の色の光子と誤って混合する画素によって生成された1つの色の光子を示す。例えば、文献GB2 492 400AおよびWO2002/015292A2は、OLEDデバイスにおける色のクロストークを低減するための方法を提供する。加えて、または別の態様として、電気的なクロストークが生じることがあり得る。この場合、例えば、一方の画素に印加される駆動電流によって、駆動電流が供給される画素に近い他の画素から発光が生じることがあり得る。両方とも、表示デバイスの性能に負の影響を与える(Yamazaki et al.、A. (2013)、33.2: Spatial Resolution Characteristics of Organic Light-emitting Diode Displays: A comparative Analysis of MTF for Handheld and Workstation Formats. SID Symposium Digest of Technical Papers、44: 419-422. doi: 10.1002/j.2168-0159.2013.tb06236.xを参照されたい)。
【0008】
典型的な市販のアクティブマトリックスOLEDディスプレイでは、電気的な画素のクロストークは、より多くのOLED画素によって共有される正孔輸送層(HTL)における(共有されているHTLがディスプレイ内に存在する複数の画素の陽極に電気的に接続されるという意味における)レドックスpドーピングの適用によって引き起こされ得る。ドープされたマトリックスの分子からドーパント分子へ電子を移動させることによる新しい電荷キャリア(正孔)の生成により電荷キャリア密度を増加させる、レドックスp型ドーパントの使用は、低動作電圧、高い動作安定性および高い生産収益に有益である。一方、レドックスpドーピングは、正孔輸送層の電気的導電性を、p型ドーパントなしの10-8S/cm未満、(通常、1wt.%と5wt.%との間の範囲におけるp型ドーパントの濃度において)通常は、10-10S/cm未満から10-6S/cm超に増加させる。したがって、ドープされたレドックスHTLは、通常、複数の画素に共有されたHTLを含むアクティブマトリックスディスプレイにおける、いくらかの電気的な画素のクロストークの原因である。もし、ETLがレドックスnドーパントと共にnドープされれば、ドープされたレドックスHTLと同様の高い導電性を示すかもしれないが、共通のカソードでレイアウトを表示するため、ETLは電気的な画素のクロストークを引き起こさない。
【0009】
[開示]
本発明の目的は、アクティブマトリックスOLEDディスプレイのための改良された技術、特に、アクティブOLEDディスプレイの隣接する画素間のクロストークを低減させる技術を提供する。
【0010】
一態様では、アクティブマトリックスOLEDディスプレイであって、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層は共通の半導体層を形成することができ、ここで
-少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素は、以下を含む
-陽極層、
-共通の陰極層、
-以下を含む、少なくとも有機層のスタック
-複数の半導体層、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、前記複数の半導体層は以下を含む
-共通の正孔注入層である少なくとも共通の第1の半導体層、ここで、前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含む、
-少なくとも共通の第2の半導体層、
-任意に共通の発光層である、少なくとも1つの発光層、ここで、前記共通の正孔注入層および前記共通の第2の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、
アクティブマトリックスOLEDディスプレイが提供される。
【0011】
一実施形態によれば、共通の第1の半導体層および共通の第2の半導体層のシート抵抗は、それらのみが単独で測定される。
【0012】
一態様では、アクティブマトリックスOLEDディスプレイであって、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層は共通の半導体層を形成することができ、ここで
-少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素は、以下を含む
-陽極層、
-共通の陰極層、
-以下を含む、少なくとも有機層のスタック
-複数の半導体層、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、前記複数の半導体層は以下を含む
-共通の正孔注入層である少なくとも共通の第1の半導体層、ここで、前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含む、
-少なくとも共通の第2の半導体層、
-任意に共通の発光層である、少なくとも1つの発光層、ここで、前記共通の正孔注入層および前記共通の第2の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有し、前記共通の第1の半導体層および前記共通の第2の半導体層のシート抵抗は、それのみが単独で測定される
アクティブマトリックスOLEDディスプレイが提供される。
【0013】
一実施形態によれば、アクティブマトリックスOLEDディスプレイであって、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層は共通の半導体層を形成することができ、ここで
-少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素は、以下を含む
-陽極層、
-共通の陰極層、
-以下を含む、少なくとも有機層のスタック
-複数の半導体層、ここで、共通の第1の半導体層は、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在し、前記複数の半導体層は、少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、前記複数の半導体層は以下を含む
-共通の正孔注入層である少なくとも共通の第1の半導体層、ここで、前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含む、
-少なくとも共通の第2の半導体層、
-任意に共通の発光層である、少なくとも1つの発光層、ここで、前記共通の正孔注入層および前記共通の第2の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有し、任意に、前記共通の第1の半導体層および前記共通の第2の半導体層のシート抵抗は、それのみが単独で測定される
アクティブマトリックスOLEDディスプレイが提供される。
【0014】
一実施形態によれば、アクティブマトリックスOLEDディスプレイであって、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層は共通の半導体層を形成することができ、ここで
-少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素は、以下を含む
-陽極層、
-共通の陰極層、
-以下を含む、少なくとも有機層のスタック
-複数の半導体層、ここで、共通の第1の半導体層は、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在し、前記複数の半導体層は、少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、前記複数の半導体層は以下を含む
-共通の正孔注入層である少なくとも共通の第1の半導体層、ここで、前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含む、
-少なくとも共通の第2の半導体層、
-任意に共通の発光層である、少なくとも1つの発光層、ここで、前記共通の正孔注入層および前記共通の第2の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有し、前記共通の正孔注入層および共通の正孔輸送層は、それのみが単独で測定される
アクティブマトリックスOLEDディスプレイが提供される。
【0015】
有機半導体デバイスの特性は、その導電性である。正孔注入材料を使用することによって、有機半導体デバイスの層の電気導電率を著しく増加させることができる。シート抵抗は例えば、いわゆる「伝送線路方法」によって決定される。このとき、薄層に電圧が印加され、層を流れる電流が測定される。シート抵抗、電気導電率はそれぞれ、コンタクトの幾何学的形状および試料の層の厚さを考慮することによって得られる。
【0016】
シート抵抗は、伝送線路法によって決定される。
【0017】
実施形態によれば、アクティブマトリックスOLEDディスプレイであって、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層は共通の半導体層を形成することができ、ここで
-少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素は、以下を含む
-陽極層、
-共通の陰極層、
-以下を含む、少なくとも有機層のスタック
-複数の半導体層、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、前記複数の半導体層は以下を含む
-共通の正孔注入層である少なくとも共通の第1の半導体層、ここで、前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含む、
-少なくとも共通の第2の半導体層、
-任意に共通の発光層である、少なくとも1つの発光層、ここで、前記共通の正孔注入層および前記共通の第2の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有し、当該シート抵抗は伝送線路方法によって決定され、任意に前記共通の第1の半導体層および前記共通の第2の半導体層のシート抵抗は、それのみが単独で測定される
アクティブマトリックスOLEDディスプレイが提供される。
【0018】
実施形態によれば、アクティブマトリックスOLEDディスプレイであって、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層は共通の半導体層を形成することができ、ここで
-少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素は、以下を含む
-陽極層、
-共通の陰極層、
-以下を含む、少なくとも有機層のスタック
-複数の半導体層、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、前記複数の半導体層は以下を含む
-共通の正孔注入層である少なくとも共通の第1の半導体層、ここで、前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含む、
-少なくとも共通の第2の半導体層、
-任意に共通の発光層である、少なくとも1つの発光層、ここで、前記共通の正孔注入層および前記共通の第2の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有し、当該シート抵抗は伝送線路方法によって決定され、前記共通の正孔注入層および前記共通の第2の半導体層のシート抵抗は、それのみが単独で測定される
アクティブマトリックスOLEDディスプレイが提供される。
【0019】
本明細書において、他に定義がない場合、「正孔注入材料」は正孔注入を容易にすることができる材料、すなわち、陽極から好ましくは有機層、特に正孔輸送層に注入される正電荷を指し、前記材料は、存在する場合、ある電流密度で動作電圧を低下させることができる。
【0020】
正孔注入材料は、金属化合物または有機化合物であり得る。
【0021】
正孔注入材料は、自由電荷キャリアの濃度をニート(neat)マトリックス中に観察される伝導率に対応するレベルよりも実質的に増加させることなく、陽極から正孔輸送マトリックスへの正孔注入を提供し得、または半導体に添加されると、正孔輸送材料または正孔輸送層中の正電荷キャリアの密度を増加させることができる。正孔注入材料は、層内で単独で使用することができ、または正孔輸送材料もしくは正孔輸送層と併せて使用することもできる。
【0022】
好ましくは、正孔注入材料は、レドックスドーパントであり、すなわち、半導体に添加されると、正孔輸送材料中の正電荷キャリアまたは正孔輸送層中の正電荷キャリアの密度を増加させることができる。
【0023】
一実施形態によれば、正孔注入層の真性層は、正孔注入材料のみからなってもよく、または本質的に正孔注入材料からなってもよい。正孔注入材料は、正孔輸送材料または正孔輸送マトリックス化合物のいずれとも同じではない。
【0024】
用語「それのみが単独で測定される」は、OLEDディスプレイの他の層または共通の層を有さない、それぞれの層のシート抵抗の測定を指す。
【0025】
〔伝送線路方法〕
シート抵抗Rsは、チャネルと呼ばれる試験素子からなる試験素子群(
図2を参照されたい)上の所与の堆積された層スタックについて測定され、前記チャネルは2つの高導電性電極を提供し、当該2つの高導電性電極は互いの電極の間にギャップ「l」を有し、かつ、それぞれの幅「w」を有する(
図1を参照されたい)。ノイズレベルを改善するために、大きな「w」が使用され得、電極は、低減された面積要件のために交互嵌合されたフィンガー構造内に形成される(
図3を参照されたい)。異なるチャネル長「l」を有するそのようなチャネルのうち少なくとも3つが、信頼できるRs計算のために必要とされる。
【0026】
測定は、以下の方法で行われる:
第1電圧を、1Vより小さいステップサイズで-5Vから+5Vの間で掃引し、電流を測定する。この測定中の基板温度は、好ましくは23±2℃である。x軸上に電流値を有する線形適合であり、かつ当該適合のy軸勾配上に電圧値を有する線形適合を使用することにより、チャネル抵抗「R」が得られる。この手順は、各チャネル「n」について繰り返され、ギャップ「ln」および幅「w」を有するチャネル「n」の「Rn」をもたらす。Rsの計算の場合、幅「w」はすべてのチャネルで一定でなければならない。信頼性の高い抵抗値を得るには、適合の質の指標R2が0.9より大きくなるべきである。
【0027】
第2の工程では、抵抗「Rn」がギャップ「ln」を有するチャネル上にプロットされ、線形に適合される。チャネル幅「w」を乗算させたこの適合の勾配は、堆積された層スタックのシート抵抗Rsを与える。この計算により、接触抵抗および直列抵抗(series resistance)の影響が測定設定から除去される。電極ギャップは、例えば、20μm、40μm、60μmなど、標的適用ギャップに近いものであるべきである。低導電性層のチャネル幅は、100000μmであってもよい。
【0028】
測定は、ITO電極を用いたガラス基板(Corning Eagle XG)上で行われる。水をベースとする界面活性剤溶液で湿式洗浄し、窒素を吹き込んで乾燥させた後、窒素雰囲気下で200℃で120分間ベーキングし、窒素プラズマでコンディショニングする。有機層堆積後、電気測定前に、乾燥剤を含む封入ガラス蓋を用いて試料を封入する。
【0029】
伝送線路法は、シート抵抗を測定するための一般的な方法であり、とりわけ以下に記載されている:
- Williams、Ralph (1990). Modern GaAs Processing Methods. Artech House. ISBN 0890063435.
- Schroder、Dieter K. (2006). Semiconductor Material and Device Characterization. John Wiley & Sons. ISBN 0471739065.
- Reeves、G.K.、IEEE Electron Device Letters ( Volume: 3、Issue: 5、May 1982)、pages 113-133 (https://ieeexplore.ieee.org/document/1482607)
〔好ましいシート抵抗測定〕
電極間のチャネル領域の抵抗よりもはるかに低い接触抵抗の場合、シート抵抗測定について簡略化された方法が使用され得る。例えば、103500μmのチャネル幅wおよび80μmのチャネル長lを有する電極対上に、5Vの電圧Vが印加され、Keithley SM2635 source measure unitを使用して電流Iが測定される。チャネル抵抗Rは、式R=V/Iによって計算される。次の工程において、シート抵抗Rsは、Rs=R
*w/lによって計算される。シート抵抗は、23±2℃で測定した。5Vで80μmのチャネル電流とすると、
図6の例示的なデータが形成され、R=5V/1.33e.7A=3.76e7オーム、およびRs=R
*w/l=3.76e7オーム
*103500μm/80μm=48.6Gオーム/スクエアとなる。
【0030】
〔代替のシート抵抗測定〕
代替として、シート抵抗は、以下のように測定することができる:
10オーム/スクエアのシート抵抗を有する、90nmITOを用いたITOでコーティングされた基板を、
図4の交互嵌合されたフィンガー構造でパターン化した。両電極上の12個のITOフィンガーは、合計23個の導電性領域を形成する:n=23。嵌合長w
eは、4.5mmであった。したがって、全チャネル幅は103.5mmであった。チャネル長は、20μmステップで、20~80μmの間で変化させた。4つの異なるチャネル長を有する電極対を、
図5に示されるように25×25mm
2の寸法で1つの基板上に組み合わせた。有機層を、完全な相互嵌合されたフィンガーパターンを覆う基板上に堆積させた。第1の共通の半導体層は、基板上に10nmの厚さを有する少なくとも1つの正孔注入材料を含み、例えば、前記第1の共通の半導体層は、ドープされた共有結合性のマトリックス化合物(適切な共有結合性のマトリックス化合物が、本明細書に記載されている)からなり、共蒸着によって堆積された、正孔注入層である。温度範囲は材料に依存し、気化が始まる気化温度および分解温度によって制限される。これらの値は、材料パラメータであり、各々の材料ごとに異なる。値は通常、50℃~500℃、ほとんどが150℃~350℃である。例えば、共有結合性のマトリックス化合物の堆積は、272℃の蒸発源温度で、1A/s(オングストローム/秒)の一定速度で行われた。正孔注入材料源は、例えば、174℃で、0.068A/sで動作させた。この層上に、例えば共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層であり、好ましくは正孔輸送層であり、128nmの厚さを有する第2の共通の半導体層を、2A/sの堆積速度および280℃の温度で堆積させた。全堆積プロセスの間、チャンバ圧力は3e-7mbarであった。しかし、前述のように、使用される蒸発温度は、蒸発が始まる蒸発温度および分解温度に依存する。有機材料の蒸発温度は材料に依存し、通常80℃~500℃である。有機層堆積後の試料の劣化を防ぐために、得られた基板層デバイスを、一体化された乾燥剤を有するガラス蓋を用いて窒素充填グローブボックス内に封入した。
【0031】
所与のチャネル長に対応する各電極対上に、0.5Vのステップにおいて-5Vと+5Vとの間の電圧を印加し、電流を測定した。これは、Keithley SM2635 source measure unitを使用して行った。
図6は、そのような測定の例示的な図を示す。所与のチャネル長さに対応する、各測定についての勾配の計算は、当該チャネル長に対する抵抗Rnを与える。チャネル長に対応するRnをプロットし、この勾配を計算し、それに103500μmのチャネル幅を乗算させることにより、測定された層スタックのシート抵抗Rsが得られる。所与の例では、470199オーム/μmの勾配に103500μmのチャネル幅が乗算される。その結果、シート抵抗は48.7Gオーム/スクエアとなる。シート抵抗は、23℃および1013mbarで測定した。
【0032】
〔共通の層〕
共通の層は、1つの処理工程において1つの大きなマスク開口部を通って、完全なディスプレイ領域上または少なくとも2つの画素の領域上に堆積される層、および/または重なり合う層が異なる材料からなる場合であっても、いくつかの連続する工程において堆積されるいくつかの重なり合う領域からなる層を指す。
【0033】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの一実施形態によれば、共通の第2の半導体層は、共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層であり得、より好ましくは、前記共通の正孔注入層は、共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層である第2の共通の半導体層と直接接触しており、さらにより好ましくは、前記共通の第2の半導体層は、共通の正孔輸送層である。
【0034】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、複数の共通の半導体層は、共通の第3の半導体層をさらに含んでもよく、共通の第1の半導体層、共通の第2の半導体層、および共通の第3の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する。
【0035】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、複数の共通の半導体層は、共通の第3の半導体層をさらに含んでもよく、共通の第1の半導体層、共通の第2の半導体層、および共通の第3の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有し、共通の第1の半導体層、共通の第2の半導体層、および共通の第3の半導体層のシート抵抗はそれのみが単独で測定される。
【0036】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の第3の半導体層は共通の電子阻止層であり得、共通の第1の半導体層は共通の正孔注入層であり、共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層であり;かつ、共通の正孔注入層である共通の第1の半導体層と、共通の正孔輸送層である共通の第2の半導体層と、共通の電子阻止層である共通の第3の半導体層とは、共に≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する。
【0037】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の第3の半導体層は共通の電子阻止層であり得、共通の第1の半導体層は共通の正孔注入層であり、共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層であり;かつ、共通の正孔注入層である共通の第1の半導体層と、共通の正孔輸送層である共通の第2の半導体層と、共通の電子阻止層である共通の第3の半導体層とは、共に≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有し、共通の第1の半導体層、共通の第2の半導体層、および共通の第3の半導体層のシート抵抗は、それのみが単独で測定される。
【0038】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の第3の半導体層は共通の電子阻止層であり得、共通の第1の半導体層は共通の正孔注入層であり、共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層であり;かつ、共通の正孔注入層である共通の第1の半導体層と、共通の正孔輸送層である共通の第2の半導体層と、共通の電子阻止層である共通の第3の半導体層とは、共に≧100ギガオーム/スクエア、≧150ギガオーム/スクエア、≧200ギガオーム/スクエア、≧300ギガオーム/スクエア、≧400ギガオーム/スクエア、≧500ギガオーム/スクエア、≧1000ギガオーム/スクエア、≧2500ギガオーム/スクエア、≧5000ギガオーム/スクエア、≧10000ギガオーム/スクエア、≧20000ギガオーム/スクエア、≧30000ギガオーム/スクエア、≧40000ギガオーム/スクエア、または≧50000ギガオーム/スクエアから選択されるシート抵抗を有する。
【0039】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の第3の半導体層は共通の電子阻止層であり得、共通の第1の半導体層は共通の正孔注入層であり、共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層であり;かつ、共通の正孔注入層である共通の第1の半導体層と、共通の正孔輸送層である共通の第2の半導体層と、共通の電子阻止層である共通の第3の半導体層とは、共に≧100ギガオーム/スクエア、≧150ギガオーム/スクエア、≧200ギガオーム/スクエア、≧300ギガオーム/スクエア、≧400ギガオーム/スクエア、≧500ギガオーム/スクエア、≧1000ギガオーム/スクエア、≧2500ギガオーム/スクエア、≧5000ギガオーム/スクエア、≧10000ギガオーム/スクエア、≧20000ギガオーム/スクエア、≧30000ギガオーム/スクエア、≧40000ギガオーム/スクエア、または≧50000ギガオーム/スクエアから選択されるシート抵抗を有し、共通の第1の半導体層、共通の第2の半導体層、および共通の第3の半導体層のシート抵抗は、それのみが単独で測定される。
【0040】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔輸送層である共通の第2の半導体層と発光層との間に、共通の電子阻止層である共通の第3の半導体層が配置される。
【0041】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、各々の画素の前記発光層は色定義発光体ドーパントでドープされ、色定義発光体ドーパントの前記色は各々の画素に対して独立して選択されるか、または同じものが選択される。
【0042】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、第1のOLED画素の陽極層および第2のOLED画素の陽極層は、画素精細層によって分離され得、その結果、第1のOLED画素の陽極層および第2のOLED画素の陽極層は共通の層として形成されず、互いに接触しない。
【0043】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層は、少なくとも一部が陽極層に直接接触して配置され得、共通の正孔輸送層は、共通の発光層と共通の正孔注入層との間に配置される。
【0044】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、全ての個々の画素が、他の個々の画素の陽極に接触し得ないそれ自体の陽極を有し得る。
【0045】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、全ての個々の画素は、1つまたは複数の半導体層が共通の半導体層でない場合、他の個々の画素の半導体層に接触することができない、それ自体の半導体層を含み得る。
【0046】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層、共通の第2の半導体層、共通の第3の半導体層、および共通の発光層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有し得る。
【0047】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層、共通の第2の半導体層、共通の第3の半導体層、および共通の発光層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有してもよく、前記共通の正孔注入層、前記共通の第2の半導体層、前記共通の第3の半導体層、および前記発光層のシート抵抗はそれのみが単独で測定される。
【0048】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層、共通の第2の半導体層、共通の第3の半導体層、および共通の発光層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有してもよく、前記共通の正孔注入層、前記共通の第2の半導体層、前記共通の第3の半導体層、および前記共通の発光層のシート抵抗はそれのみが単独で測定される。
【0049】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層、共通の第2の半導体層、共通の第3の半導体層、および共通の発光層は共に、≧100ギガオーム/スクエア、≧150ギガオーム/スクエア、≧200ギガオーム/スクエア、≧300ギガオーム/スクエア、≧400ギガオーム/スクエア、≧500ギガオーム/スクエア、≧1000ギガオーム/スクエア、≧2500ギガオーム/スクエア、≧5000ギガオーム/スクエア、≧10000ギガオーム/スクエア、≧20000ギガオーム/スクエア、≧30000ギガオーム/スクエア、≧40000ギガオーム/スクエア、または≧50000ギガオーム/スクエアから選択されるシート抵抗を有することができる。
【0050】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層、共通の第2の半導体層、共通の第3の半導体層、および共通の発光層は共に、≧100ギガオーム/スクエア、≧150ギガオーム/スクエア、≧200ギガオーム/スクエア、≧300ギガオーム/スクエア、≧400ギガオーム/スクエア、≧500ギガオーム/スクエア、≧1000ギガオーム/スクエア、≧2500ギガオーム/スクエア、≧5000ギガオーム/スクエア、≧10000ギガオーム/スクエア、≧20000ギガオーム/スクエア、≧30000ギガオーム/スクエア、≧40000ギガオーム/スクエア、または≧50000ギガオーム/スクエアから選択されるシート抵抗を有することができ、ここで、前記共通の正孔注入層、前記共通の第2の半導体層、前記共通の第3の半導体層、および前記発光層のシート抵抗はそれのみが単独で測定される。
【0051】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層、共通の第2の半導体層、共通の第3の半導体層、および共通の発光層は共に、≧100ギガオーム/スクエア、≧150ギガオーム/スクエア、≧200ギガオーム/スクエア、≧300ギガオーム/スクエア、≧400ギガオーム/スクエア、≧500ギガオーム/スクエア、≧1000ギガオーム/スクエア、≧2500ギガオーム/スクエア、≧5000ギガオーム/スクエア、≧10000ギガオーム/スクエア、≧20000ギガオーム/スクエア、≧30000ギガオーム/スクエア、≧40000ギガオーム/スクエア、または≧50000ギガオーム/スクエアから選択されるシート抵抗を有することができ、前記共通の正孔注入層、前記共通の第2の半導体層、前記共通の第3の半導体層、および前記共通の発光層のシート抵抗はそれのみが単独で測定される。
【0052】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、アクティブマトリックスOLEDディスプレイは、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層が共通の半導体層を形成することができるか、または複数の有機層が複数の半導体層を形成することができ、少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素が各々の陽極層を含み、
-前記第1のOLED画素および前記第2のOLED画素の陽極層は、画素精細層によって任意に分離され、前記少なくとも第1のOLED画素および前記少なくとも第2のOLED画素は、共通の陰極層と、複数の半導体層を含む少なくとも有機層のスタックとを含み、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、
-前記有機層のスタックの前記少なくとも2つの共通の半導体層または前記複数の半導体層は、前記共通の陰極層と前記陽極層との間に配置され、前記陽極層は共通の層ではなく、
-前記少なくとも2つの共通の半導体層または前記複数の共通の半導体層は、共通の正孔注入層である少なくとも第1の共通の半導体層と、共通の正孔輸送層または電子阻止層である少なくとも共通の第2の半導体層と、任意に共通の発光層である少なくとも発光層と、を含み、好ましくは、前記少なくとも共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層であり、
-前記共通の正孔注入層は、少なくとも部分的に前記陽極層に直接接触して配置され、好ましくは、共通の正孔輸送層である前記少なくとも共通の第2の半導体層は、前記発光層と前記共通の正孔注入層との間に配置され、前記発光層は任意に共通の発光層であり;
前記共通の正孔注入層および前記共通の正孔輸送層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する。
【0053】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、アクティブマトリックスOLEDディスプレイは、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層が共通の半導体層を形成することができるか、または複数の有機層が複数の半導体層を形成することができ、少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素が各々の陽極層を含み、
-前記第1のOLED画素および前記第2のOLED画素の陽極層は、画素精細層によって任意に分離され、少なくとも第1のOLED画素および少なくとも第2のOLED画素は、共通の陰極層と、複数の半導体層を含む少なくとも有機層のスタックとを含み、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、
-前記有機層のスタックの前記少なくとも2つの共通の半導体層または前記複数の半導体層は、前記共通の陰極層と前記陽極層との間に配置され、前記陽極層は共通の層ではなく、
-前記少なくとも2つの共通の半導体層または前記複数の共通の半導体層は、共通の正孔注入層である少なくとも第1の共通の半導体層と、共通の正孔輸送層または電子阻止層である少なくとも共通の第2の半導体層と、任意に共通の発光層である少なくとも発光層と、を含み、好ましくは、前記少なくとも共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層であり、
-前記共通の正孔注入層は、少なくとも部分的に前記陽極層に直接接触して配置され、好ましくは、共通の正孔輸送層である前記少なくとも共通の第2の半導体層は、前記発光層と前記共通の正孔注入層との間に配置され、前記発光層は任意に共通の発光層であり;
前記共通の正孔注入層および前記共通の正孔輸送層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有し、前記共通の正孔注入層および前記共通の正孔輸送層のシート抵抗は、それのみが単独で測定される。
【0054】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層および共通の正孔輸送層は共に、≧100ギガオーム/スクエア、≧150ギガオーム/スクエア、≧200ギガオーム/スクエア、≧300ギガオーム/スクエア、≧400ギガオーム/スクエア、≧500ギガオーム/スクエア、≧1000ギガオーム/スクエア、≧2500ギガオーム/スクエア、≧5000ギガオーム/スクエア、≧10000ギガオーム/スクエア、≧20000ギガオーム/スクエア、≧30000ギガオーム/スクエア、≧40000ギガオーム/スクエア、または≧50000ギガオーム/スクエアから選択されるシート抵抗を有する。
【0055】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層および共通の正孔輸送層は共に、≧100ギガオーム/スクエア、≧150ギガオーム/スクエア、≧200ギガオーム/スクエア、≧300ギガオーム/スクエア、≧400ギガオーム/スクエア、≧500ギガオーム/スクエア、≧1000ギガオーム/スクエア、≧2500ギガオーム/スクエア、≧5000ギガオーム/スクエア、≧10000ギガオーム/スクエア、≧20000ギガオーム/スクエア、≧30000ギガオーム/スクエア、≧40000ギガオーム/スクエア、または≧50000ギガオーム/スクエアから選択されるシート抵抗を有し、前記共通の正孔注入層および前記共通の正孔輸送層のシート抵抗は、それのみが単独で測定される。
【0056】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層は正孔注入材料を含み得、前記共通の正孔注入層はi-正孔注入層および/または正孔注入ドープ層を含む群から選択され、好ましくは正孔注入材料の濃度は、前記正孔注入材料でドープされた正孔注入層の重量に基づいて、≧0.1重量%および≦40重量%、好ましくは≧0.5重量%および≦25重量%、さらに好ましくは≧1重量%および≦10重量%、より好ましくは≧1重量%および≦5重量%である。
【0057】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、有機層の共通のスタックは共通の電子輸送層をさらに含んでもよく、好ましくは、前記共通の電子輸送層は、発光層と共通の陰極層との間に配置される。
【0058】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、有機層の共通のスタックは、共通の電子注入層、共通の正孔阻止層、および/または電子輸送層を含む群から選択される共通の有機層をさらに含み、好ましくは、前記共通の電子注入層は、共通の陰極層と直接接触している。
【0059】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、画素精細層は正に帯電しておらず、および/もしくは陽極ではないか、または陽極材料を含み、好ましくは、画素精細層は、Si系化合物、SiN、正に帯電していないオリゴマーおよび/またはポリマー材料を含む。
【0060】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の第1の半導体層、好ましくは、共通の正孔注入層は、≧1nmおよび≦100nm、好ましくは≧2nmおよび≦50nm、より好ましくは≧3nmおよび≦40nm、より好ましくは≧4nmおよび≦30nm、より好ましくは≧5nmおよび≦20nm、より好ましくは≧6nmおよび≦15nm、ならびに、より好ましくは≧8nmおよび≦10nmの層の厚さを有し得る。
【0061】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の第2の半導体層、好ましくは、共通の正孔輸送層は、≧5nmおよび≦250nm、好ましくは≧10nmおよび≦240nm、より好ましくは≧15nmおよび≦230nm、より好ましくは≧20nmおよび≦220nm、より好ましくは≧25nmおよび≦210nm、より好ましくは≧30nmおよび≦200nm、より好ましくは≧35nmおよび≦190nm、より好ましくは≧40nmおよび≦180nm、ならびに、好ましくは≧50nmおよび≦150nmの層の厚さを有し得る。
【0062】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の第2の半導体層、好ましくは、共通の正孔輸送層は、<4.27eVから≧6.0eVまで、<4.3eVから≧5.5eVまで、好ましくは<-4.5eVから≧-5.4eVまで、より好ましくは<-4.6eVから≧5.3eVまでの範囲で、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、それらの最高占有分子軌道のエネルギーを有する化合物を含み得る。
【0063】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、電子阻止層は、<4.7eVから≧6.0eVまで、<4.8eVから≧5.5eVまで、好ましくは<-4.9eVから≧-5.4eVまで、より好ましくは<-5.0eVから≧5.3eVまでの範囲で、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、それらの最高占有分子軌道のエネルギーを有する化合物を含み得る。
【0064】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、電子阻止層(EBL)は、≧1nmおよび≦20nm、好ましくは≧2nmおよび≦18nm、より好ましくは≧3nmおよび≦16nm、より好ましくは≧4nmおよび≦14nm、より好ましくは≧5nmおよび≦12nm、より好ましくは≧6nmおよび≦11nm、より好ましくは≧7nmおよび≦10nmの層の厚さを有し得る。
【0065】
電子阻止層(EBL)は通常、5nm~10nmの厚さであり、低い移動度を有する。>20nmの高い厚さは、著しい電圧ペナルティをもたらし得る。5nmより薄い層は、十分に阻止することができず、あまり好ましくない。
【0066】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、少なくとも1つの陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み得、前記第1の陽極副層は、≧4eVおよび≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物を含み;ならびに、前記第2の陽極副層は、共通の正孔注入層のより近くに配置される。
【0067】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、アクティブマトリックスOLEDディスプレイは、有機発光ダイオード画素のうちの複数の画素を別々に駆動するように構成された駆動回路を含む。
【0068】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの一実施形態によれば、共通の正孔注入層である共通の第1の半導体層は、最高被占占有準位Efirst(HOMO)を有する化合物を含み得、好ましくは共通の正孔輸送層である共通の第2の半導体層は、最高占有準位Esecond(HOMO)を有する化合物を含み得、Efirst(HOMO)≧Esecond(HOMO)である。一実施形態によれば、好ましくは共通の正孔輸送層である共通の第2の半導体層の化合物は、正孔注入材料ではない。
【0069】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの一実施形態によれば、共通の電子阻止層であり得る共通の第3の半導体層は、最低空エネルギー準位Ethird(LUMO)を有する化合物を含み得、発光層は、最低空エネルギー準位EEML(LUMO)を有する化合物を含み得、Ethird(LUMO)≧EEML(LUMO)であり、好ましくは、共通の第3の半導体層中の化合物、および発光層中の化合物は、レドックスドーパントなどの正孔注入材料ではない。
【0070】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの一実施形態によれば、共通の正孔注入層である共通の第1の半導体層は、最高占有準位Efirst(HOMO)を有する正孔注入材料を含み得、共通の正孔輸送層であり得る共通の第2の半導体層は、最高占有準位Esecond(HOMO)を有する正孔輸送化合物を含み得、共通の電子阻止層であり得る共通の第3の半導体層は、最高占有準位Ethird(HOMO)を有する電子阻止化合物を含み得、Efirst(HOMO)≧Esecond(HOMO)≧Ethird(HOMO)であり、好ましくは、共通の第2の半導体層中の化合物、および共通の第3の半導体層中の化合物は、正孔注入材料ではない。
【0071】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの一実施形態によれば、共通の正孔注入層である共通の第1の半導体層は、最高占有準位Efirst(HOMO)を有する正孔注入材料を含み得、共通の正孔輸送層であり得る共通の第2の半導体層は、最高占有準位Esecond(HOMO)を有する正孔輸送化合物を含み得、共通の電子阻止層であり得る共通の第3の半導体層は、最高占有準位Ethird(HOMO)を有する電子阻止化合物を含み得、Efirst(HOMO)=Esecond(HOMO)>Ethird(HOMO)であり、好ましくは、共通の第2の半導体層中の化合物、および共通の第3の半導体層中の化合物は、正孔注入材料ではない。
【0072】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの一実施形態によれば、共通の正孔輸送層であり得る共通の第2の半導体層は、最高占有準位Esecond(HOMO)および最低空エネルギー準位Esecond(LUMO)を有する正孔輸送化合物を含み得、共通の電子阻止層であり得る共通の第3の半導体層は、最高占有準位Ethird(HOMO)および最低空エネルギー準位Ethird(LUMO)を有する電子阻止化合物を含み得、発光層は、最高占有準位EEML(HOMO)および最低空エネルギー準位EEML(LUMO)を有する化合物を含み得、
Ethird(HOMO)-EEML(HOMO)<0.3eV
Ethird(LUMO)>EEML(LUMO)
Esecond(HOMO)>EEML(HOMO)である場合、Esecond(HOMO)>Ethird(HOMO)
および
Esecond(LUMO)>EEML(LUMO)であり;
好ましくは、共通の第2の半導体層中の化合物、共通の第3の半導体層中の化合物、および発光層中の化合物は、正孔注入物質ではない。
【0073】
〔正孔注入材料〕
アクティブマトリックスOLEDディスプレイの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層は金属化合物である正孔注入材料を含み、前記正孔注入材料は、金属錯体、共有結合性金属化合物、またはイオン性化合物であり得る。一実施形態によれば、金属Mの原子価は、0、1、2、3または4、好ましくは1、2、3または4であり得る。一実施形態によれば、金属Mは、≧22Da、あるいは≧24Daの原子質量を有する。
【0074】
一実施形態によれば、正孔注入材料は少なくとも1つの金属を含み、金属Mは、対応する金属が2.4未満、好ましくは2未満、より好ましくは1.9未満のAllenによる電気陰性度値を有する金属イオンから選択され得る。それによって、有機電子デバイスにおける特に良好な性能を達成することができる。
【0075】
用語「Allenによる電気陰性度」については、特に、Allen、Leland C. (1989). "Electronegativity is the average one-electron energy of the valence-shell electrons in ground-state free atoms". Journal of the American Chemical Society. 111 (25): 9003-9014.を参照されたい。
【0076】
一実施形態によれば、Mの原子価nは、1または2である。
【0077】
一実施形態によれば、金属Mは、対応する金属が2.4未満、好ましくは2未満、より好ましくは1.9未満のAllenによる電気陰性度値を有する、金属イオンから選択され、当該金属Mの原子価は、1または2である。
【0078】
一実施形態によれば、金属Mは、アルカリ、アルカリ土類、希土類または遷移金属から選択され、あるいはMは、アルカリ、アルカリ土類または周期4もしくは5の遷移金属から選択される。
【0079】
一実施形態によれば、金属Mは、対応する金属が2.4未満、好ましくは2未満、より好ましくは1.9未満のAllenによる電気陰性度値を有する、金属イオンから選択され、Mは、アルカリ、アルカリ土類、希土類、または周期4もしくは5の遷移金属から選択され、当該金属Mは、≧22Da、あるいは≧24Daの原子質量を有する。
【0080】
一実施形態によれば、正孔注入材料は金属化合物であり、当該金属化合物は、少なくとも1つの金属カチオンおよび少なくとも1つの配位子を含むか、または少なくとも1つの金属カチオン、少なくとも1つの配位子およびさらに少なくとも1つの炭素原子、2つの炭素原子、3つの炭素原子もしくは4つの炭素原子を含む、化合物から選択される。
【0081】
一実施形態によれば、金属Mは、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、In、Bi、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、La、Ce、Eu、またはYbを含む群から選択され、好ましくは、金属は、Al、Bi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ag、Re、Au、またはCeを含む群から選択され、より好ましくは金属がAl、Mn、Fe、Cu、Mo、Ag、AuまたはCeを含む群から選択される。
【0082】
一実施形態によれば、金属Mは、アルカリ土類金属、遷移金属または希土類金属から選択され、好ましくはCu(II)、Ag(I)、Zn(II)、Fe(II)、Fe(III)、Ce(IV)から選択され、およびより好ましくはFe(II)である。
【0083】
一実施形態によれば、金属Mは、Li、Na、K、Cs、Mg、Mn、Cu、Zn、AgおよびMoから選択され;好ましくは、Mは、Na、K、Cs、Mg、Mn、Cu、ZnおよびAgから選択され;また、好ましくは、Mは、Na、K、Mg、Mn、Cu、ZnおよびAgから選択され、ここで、金属MがCuである場合、nは2である。
【0084】
正孔注入材料は、非発光性である。本明細書の文脈において、用語「実質的に非発光性」または「非発光性」は、有機電子デバイス、好ましくはOLEDまたは表示デバイスからの可視発光スペクトルに対する正孔注入材料の寄与が、可視発光スペクトルに対して10%未満、好ましくは5%未満であることを意味する。可視発光スペクトルは、約≧380nmから約≦780nmの波長を有する発光スペクトルである。
【0085】
〔半導体層〕
少なくとも第1の共通の半導体層(好ましくは共通のHIL)、および少なくとも第2の共通の半導体層(好ましくは共通のHTL)は、非発光性である。
【0086】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの共通の半導体層、好ましくは第1の共通の層(好ましくは共通HIL)が、陽極に隣接して配置および/または提供されてもよく、ここで、陽極は共通の層として形成されない。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの共通の半導体層は、陽極と直接接触しており、ここで、陽極は共通の層として形成されない。全ての個々の画素は、他の個々の画素の陽極に接触し得ない、それ自体の陽極を有し得る。
【0088】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの共通の半導体層は、共通の正孔注入層である。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの共通の半導体層は、少なくとも1つの正孔注入材料からなるか、または少なくとも1つの正孔注入材料を含む共通の正孔注入層である。
【0090】
少なくとも1つの共通の半導体層が、共通の正孔注入層であり、および/または陽極に隣接して配置および/または提供される(陽極は共通の層として形成されない)場合、好ましくは、この層は少なくとも1つの正孔注入材料から本質的になり得る。
【0091】
1つの好ましい実施形態によれば、正孔注入材料は、存在する場合、特定の電流密度で電圧を低下させることができる、金属化合物などの化合物のみを対象とする。このことは、金属化合物を含む正孔注入材料が、正孔の注入を容易にすることができることを意味する。
【0092】
〔マトリックス化合物〕
一実施形態によれば、半導体層は、少なくとも1つのマトリックス化合物を含むことができ、少なくとも1つのマトリックス化合物は、非ポリマー化合物であり、好ましくは、マトリックス化合物は、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物である。
【0093】
好ましくは、少なくとも1つの共通の半導体層は、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含む。
【0094】
正孔注入層は、正孔注入材料に加えて、少なくとも1つのマトリックス共有結合性のマトリックス化合物および/または少なくとも1つの実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含んでもよい。
【0095】
共有結合性のマトリックス化合物の好ましい例示は、共有結合したC、H、O、N、Sから主になる有機化合物であり、これは共有結合したB、P、As、Seも任意に含み得る。共有結合した炭素-金属を含む有機金属化合物、有機配位子を含む金属錯体、および有機酸の金属塩は、有機共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物として機能し得る有機化合物のさらなる例示である。
【0096】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、金属原子を欠き、その骨格原子の大部分は、C、O、S、Nから選択される。あるいは、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物が金属原子を欠き、その骨格原子の大部分は、CおよびNから選択される。
【0097】
一実施形態によれば、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、≧400および≦2000g/molの分子量Mw、好ましくは≧450および≦1500g/molの分子量Mw、より好ましくは≧500および≦1000g/molの分子量Mw、さらに好ましくは≧550および≦900g/molの分子量Mw、よりさらに好ましくは≧600および≦800g/molの分子量Mwを有し得る。
【0098】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物のHOMOレベルは、同じ条件下で測定した場合、N2,N2,N2’,N2’,N2’,N7,N7,N7’,N7’-オクタキス(4-メトキシフェニル)-9,9’-スピロビ[フルオレン]-2,2’,7,7’-テトラアミン(CAS 207739-72-8)のHOMOレベルよりも負であり得る。
【0099】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物の計算されたHOMOレベルは、-4.27eVよりも負であり、好ましくは-4.3eVよりも負であり、あるいは-4.5eVよりも負であり、あるいは-4.6eVよりも負であり、あるいは-4.65eVよりも負であり得る。
【0100】
別の態様によれば、半導体層は、Fc/Fc+に対してジクロロメタン中でサイクリックボルタンメトリーによって測定される場合、-0.2Vよりも正であり、1.22Vよりも負であり、好ましくは-0.18Vよりも正であり、1.22Vよりも負である、酸化電位を有する、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含む。これらの条件下で、スピロ-MeO-TAD(CAS 207739-72-8)の酸化電位は、-0.07Vである。
【0101】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物のHOMOレベルは、同じ条件下で決定した場合、N2,N2,N2’,N2’,N7,N7,N7’,N7’-オクタキス(4-メトキシフェニル)-9,9’-スピロビ[フルオレン]-2,2’,7,7’-テトラアミン(CAS 207739-72-8)のHOMOレベルよりも負であり得、N4,N4’’’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N4,N4’’’-ジフェニル-[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’-クアテルフェニル]-4,4’’’-ジアミンのHOMOレベルよりも正であり得る。
【0102】
一実施形態では、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、アルコキシ基を含まなくてもよい。
【0103】
一実施形態では、気相において6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを適用し、TURBOMOLE V6.5(TURBOMOLE GmbH,Litzenhardtstrasse 19,76135 Karlsruhe,ドイツ)を使用して計算する場合、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物のHOMOレベルは、<-4.27eVおよび≧-5.3eVの範囲、あるいは<-4.3eVおよび≧-5.3eVの範囲、あるいは<-4.5eVおよび≧-5.3eVの範囲、あるいは<-4.6eVおよび≧-5.3eVの範囲から選択され得る。
【0104】
一実施形態では、気相において6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを適用し、TURBOMOLE V6.5(TURBOMOLE GmbH,Litzenhardtstrasse 19,76135 Karlsruhe,ドイツ)を使用して計算する場合、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物の計算されたHOMOレベルは、<-4.27eVおよび>-4.84eVの範囲、あるいは<-4.3eVおよび>-4.84eVの範囲、あるいは<-4.5eVおよび>-4.84eVの範囲、あるいは<-4.5eVおよび>-4.84eVの範囲、あるいは<-4.6eVおよび>-4.84eVの範囲から選択され得る。
【0105】
一実施形態では、気相において6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを適用し、TURBOMOLE V6.5(TURBOMOLE GmbH,Litzenhardtstrasse 19,76135 Karlsruhe,ドイツ)を使用して計算する場合、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物の計算されたHOMOレベルは、<-4.27eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.3eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.5eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.5eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.6eVおよび>-4.8eVの範囲、あるいは<-4.65eVおよび>-4.8eVの範囲から選択され得る。
【0106】
好ましくは、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも1つのアリールアミン化合物、あるいはジアリールアミン化合物、あるいはトリアリールアミン化合物を含む。有機電子デバイスの一実施形態によれば、共通の正孔注入層および/または共通の正孔輸送層は、ジアリールアミン化合物、あるいはトリアリールアミン化合物を含み得る。
【0107】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、共通の正孔注入層および/または共通の正孔輸送層は、式(2)または式(3)の化合物を含むことができ:
【0108】
【0109】
式中、
T1、T2、T3、T4およびT5は独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され、好ましくは単結合またはフェニレンから選択され;
T6は、置換もしくは非置換のフェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され、ここで、フェニレン上の置換基は、C6~C18アリール、C3~C18ヘテロアリール、フェニル、ビフェニル、カルバゾール、フェニルカルバゾールから選択され、好ましくはビフェニルまたは9-フェニルカルバゾールから選択され;
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は独立して、置換もしくは非置換のC6~C20アリール、または置換もしくは非置換のC3~C20ヘテロアリーレン、置換もしくは非置換のビフェニレン、置換もしくは非置換のフルオレン、置換の9-フルオレン、置換の9,9-フルオレン、置換もしくは非置換のナフタレン、置換もしくは非置換のアントラセン、置換もしくは非置換のフェナントレン、置換もしくは非置換のピレン、置換もしくは非置換のペリレン、置換もしくは非置換のトリフェニレン、置換もしくは非置換のテトラセン、置換もしくは非置換のテトラフェン、置換もしくは非置換のジベンゾフラン、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン、置換もしくは非置換のキサンテン、置換もしくは非置換のカルバゾール、置換の9-フェニルカルバゾール、置換もしくは非置換のアゼピン、置換もしくは非置換のジベンゾ[b,f]アゼピン、置換もしくは非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、少なくとも1つの縮合芳香族環を有する置換もしくは非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、置換もしくは非置換のスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]、2つの芳香族6員環および2つの芳香族5員環を含む置換もしくは非置換の芳香族縮合環系(少なくとも1つの5員環はヘテロ原子を含む)、2つの芳香族6員環および2つの芳香族5員環を含む置換もしくは非置換の芳香族縮合環系(少なくとも1つの5員環はO原子を含む)、または置換もしくは非置換の非ヘテロ、置換もしくは非置換のヘテロ5員環、置換もしくは非置換の6員環、および/または置換もしくは非置換の7員環を含む群から選択される少なくとも3つの置換もしくは非置換の芳香族環を含む、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、置換もしくは非置換のフルオレン、2~6個の置換もしくは非置換の5、6、もしくは7員環を有する縮合された置換もしくは非置換のヘテロまたは非ヘテロ環系を有する、置換もしくは非置換のフルオレン、または2~6個の置換もしくは非置換の5~7員環を有する縮合環系から選択され、当該環は、(i)不飽和5~7員環の複素環、(ii)5~6員の芳香族複素環、(iii)不飽和5~7員環の非複素環、(iv)6員環の芳香族非複素環を含む群から選択され;
ここで、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5の置換基は、H、D、F、C(=O)R2、CN、Si(R2)3、P(=O)(R2)2、OR2、S(=O)R2、S(=O)2R2、1~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖アルキル、1~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の分岐アルキル、3~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環状アルキル、2~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルケニルまたはアルキニル基、1~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルコキシ基、6~40個の芳香族環原子を有する置換もしくは非置換の芳香族環系、および5~40個の芳香族環原子を有する置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環系、非置換のC6~C18アリール、非置換のC3~C18ヘテロアリール、2~6個の非置換の5~7員環を含む縮合環系を含む群から選択され、同一であるかまたは異なり、当該環は、不飽和5~7員環の複素環、5~6員の芳香族複素環、不飽和5~7員環の非複素環、および6員環の芳香族非複素環を含む群から選択され、
ここで、R2は、H、D、1~6個の炭素原子を有する直鎖アルキル、1~6個の炭素原子を有する分岐アルキル、3~6個の炭素原子を有する環状アルキル、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基もしくはアルキニル基、C6~C18アリールまたはC3~C18ヘテロアリールから選択される。
【0110】
好ましくは、別途定義されない限り、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5の置換基は、H、1~6個の炭素原子を有する直鎖アルキル、1~6個の炭素原子を有する分岐アルキル、3~6個の炭素原子を有する環状アルキル、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基もしくはアルキニル基、1~6個の炭素原子を有するアルコキシ基、C6~C18アリール、C3~C18ヘテロアリール、2~4個の非置換5~7員環を含む縮合環系を含む群から選択され、同一であるかまたは異なり、当該環は、不飽和5~7員環の複素環、5~6員環の芳香族複素環、不飽和5~7員環の非複素環、および6員環の芳香族非複素環を含む群から選択され;より好ましくは、前記置換基は、H、1~4個の炭素原子を有する直鎖アルキル、1~4個の炭素原子を有する分岐アルキル、3~4個の炭素原子を有する環状アルキルおよび/またはフェニルからなる群から選択され、同一であるかまたは異なる。
【0111】
それによって、式(2)または(3)の化合物は、大量生産に適した速度開始温度を有し得る。
【0112】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物、好ましくは、共通の正孔注入層または共通の正孔輸送層のマトリックス化合物は、式(2)または式(3)の化合物を含み得:
【0113】
【0114】
式中、
T1、T2、T3、T4およびT5は独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され得、好ましくは、単結合またはフェニレンから選択され得;
T6は、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンであり;
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は独立して、非置換のC6~C20アリール、または非置換のC3~C20ヘテロアリーレン、非置換のビフェニレン、非置換のフルオレン、置換の9-フルオレン、置換の9,9-フルオレン、非置換のナフタレン、非置換のアントラセン、非置換のフェナントレン、非置換のピレン、非置換のペリレン、非置換のトリフェニレン、非置換のテトラセン、非置換のテトラフェン、非置換のジベンゾフラン、非置換のジベンゾチオフェン、非置換のキサンテン、非置換のカルバゾール、置換の9-フェニルカルバゾール、非置換のアゼピン、非置換のジベンゾ[b,f]アゼピン、非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、非置換のスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]、または非置換の非ヘテロ、非置換のヘテロ5員環、非置換の6員環、および/もしくは非置換の7員環を含む群から選択される少なくとも3つの非置換の芳香族環を含む、非置換の芳香族縮合環系、非置換のフルオレン、または2~6個の非置換の5~7員環を有する縮合環系から選択され得、当該環は、(i)不飽和5~7員環の複素環、(2)5~6員の芳香族複素環、(3)不飽和5~7員環の非複素環、および(iv)6員環の芳香族非複素環を含む群から選択される。
【0115】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物、好ましくは、共通の正孔注入層または共通の正孔輸送層の共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、式(2)または式(3)の化合物を含み得:
【0116】
【0117】
式中、
T1、T2、T3、T4およびT5は独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され得、好ましくは、単結合またはフェニレンから選択され得;
T6は、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンであり;
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は独立して、非置換のC6~C20アリール、もしくは非置換のC3~C20ヘテロアリーレン、非置換のビフェニレン、非置換のフルオレン、置換の9-フルオレン、置換の9,9-フルオレン、非置換のナフタレン、非置換のアントラセン、非置換のフェナントレン、非置換のピレン、非置換のペリレン、非置換のトリフェニレン、非置換のテトラセン、非置換のテトラフェン、非置換のジベンゾフラン、非置換のジベンゾチオフェン、非置換のキサンテン、非置換のカルバゾール、置換の9-フェニルカルバゾール、非置換のアゼピン、非置換のジベンゾ[b,f]アゼピン、非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、非置換のスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]から選択され得る。
【0118】
それによって、式(2)または(3)の化合物は、大量生産に適した速度開始温度を有し得る。
【0119】
一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5は独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレンまたはテルフェニレンから選択され得る。一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5は独立して、フェニレン、ビフェニレンまたはテルフェニレンから選択され得、T1、T2、T3、T4およびT5のうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5は独立して、フェニレンまたはビフェニレンから選択され得、T1、T2、T3、T4およびT5のうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5は独立して、フェニレンまたはビフェニレンから選択され得、T1、T2、T3、T4およびT5のうちの2つは、単結合である。
【0120】
一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5、またはT1、T2およびT3は独立して、フェニレンから選択され得、T1、T2、T3、T4およびT5のうちの1つ、またはT1、T2およびT3のうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5、またはT1、T2およびT3は独立して、フェニレンから選択され得、T1、T2、T3、T4およびT5のうちの2つ、またはT1、T2およびT3のうちの2つは、単結合である。
【0121】
一実施形態によれば、T6は、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンであり得る。一実施形態によれば、T6は、フェニレンであり得る。一実施形態によれば、T6は、ビフェニレンであり得る。一実施形態によれば、T6は、テルフェニレンであり得る。
【0122】
一実施形態によれば、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は独立して、D1~D16から選択され得:
【0123】
【0124】
アスタリスク「*」は、結合位置を示す。
【0125】
一実施形態によれば、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は独立して、D1~D15から選択され得;あるいは、D1~D10およびD13~D15から選択され得る。
【0126】
一実施形態によれば、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は独立して、D1、D2、D5、D7、D9、D10、D13~D16からなる群から選択され得る。
【0127】
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5がこの範囲で選択される場合、速度開始温度は、大量生産に特に適した範囲にあり得る。
【0128】
「式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物」は、共通の正孔注入層のために使用されてもよく、および/または共通の正孔輸送化合物のためのマトリックス化合物として使用されてもよい。
【0129】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、ヘテロ芳香族環を含む少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得る。
【0130】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、ヘテロ芳香族環を含む少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、および少なくとも≧1~≦3個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環、好ましくは、ヘテロ芳香族環を含む≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得る。
【0131】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、ヘテロ芳香族環を含む少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、および少なくとも≧1~≦3個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環、好ましくは、ヘテロ芳香族環を含む≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、および少なくとも≧1~≦3個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環、さらに好ましくは、ヘテロ芳香族環を含む3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、および任意に少なくとも≧1~≦3個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含み得、そして、さらに好ましくは、ヘテロ芳香族環を含む芳香族縮合環系は、非置換であり、任意に少なくとも≧1~≦3個の非置換の不飽和5~7員環の複素環である。
【0132】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、さらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得る。
【0133】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、さらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環を含む。
【0134】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含み得る。
【0135】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和7員環の複素環を含み得る。
【0136】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性もしくは実質的に共有結合性のマトリックス化合物の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含み得る。
【0137】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性もしくは実質的に共有結合性のマトリックス化合物の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和7員環の複素環を含み得る。
【0138】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、さらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0139】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、およびさらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環を含み、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0140】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、さらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0141】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、好ましくは≧2~≦5個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、およびさらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は、置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環を含み、前記芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0142】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、下記を含み得る:
- 置換もしくは非置換の非ヘテロ芳香族環、置換もしくは非置換のヘテロ5員環、置換もしくは非置換の6員環および/または置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む群から選択される、少なくとも≧2~≦6個、好ましくは≧3~≦5個、または4個の縮合芳香族環を有する置換もしくは非置換の芳香族縮合環系;または
- 非置換の非ヘテロ芳香族環、非置換のヘテロ5員環、非置換の6員環および/または非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む群から選択される、少なくとも≧2~≦6個、好ましくは≧3~≦5個、または4個の縮合芳香族環を有する非置換の芳香族縮合環系。
【0143】
用語「芳香族縮合環系」は、少なくとも1つの芳香族環および少なくとも1つの置換もしくは非置換の不飽和5~7員環を含み得ることに留意されたい。ここで、置換もしくは非置換の不飽和5~7員環は、芳香族環でなくてもよいことに留意されたい。
【0144】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個、好ましくは≧2~≦5個、またはさらに好ましくは3または4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は下記を有する:
- 少なくとも1つの不飽和5員環、および/または
- 少なくとも1つの不飽和6員環、および/または
- 少なくとも1つの不飽和7員環;
ここで、好ましくは、少なくとも1つの不飽和5員環および/または少なくとも1つの不飽和7員環は、少なくとも1~3個、好ましくは1個のヘテロ原子を含む。
【0145】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個、好ましくは≧2~≦5個、またはさらに好ましくは3もしくは4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は下記を有し得る:
- 少なくとも1つの芳香族5員環、および/または
- 少なくとも1つの芳香族6員環、および/または
- 少なくとも1つの芳香族7員環;
ここで、好ましくは、少なくとも1つの芳香族5員環および/または少なくとも1つの芳香族7員環は、少なくとも1~3個、好ましくは1個のヘテロ原子を含み;
ここで、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を含む。
【0146】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、下記を含み得る:
- 少なくとも≧6~≦12個、好ましくは≧7~≦11個、さらに好ましくは≧8~≦10個または9個の芳香族環;および/または
- 少なくとも≧4~≦11個、好ましくは≧5~≦10個、さらに好ましくは≧6~≦9個、またはさらに好ましくは7または8個の非ヘテロ芳香族環(好ましくは、非ヘテロ芳香族環は芳香族C6環);および/または
- 少なくとも≧1~≦4個、好ましくは2または3個の芳香族5員環、好ましくはヘテロ芳香族5員環;および/または
- 少なくとも1または2個の不飽和5~7員環の複素環、好ましくは少なくとも1または2個の不飽和7員環の複素環;
- 少なくとも≧6~≦12個、好ましくは≧7~≦11個、さらに好ましくは≧8~≦10個または9個の芳香族環であり、ここで、
少なくとも≧4~≦11個、好ましくは≧5~≦10個、さらに好ましくは≧6~≦9個、またはさらに好ましくは7もしくは8個は、非ヘテロ芳香族環であり、かつ
少なくとも≧1~≦4個、好ましくは2または3個の芳香族環は、ヘテロ芳香族環であり、
当該非ヘテロ芳香族環および当該ヘテロ芳香族環の総数は、12個を超えない、
芳香族環;および/または
- 少なくとも≧6~≦12個、好ましくは≧7~≦11個、さらに好ましくは≧8~≦10個または9個の芳香族環であり、ここで、
少なくとも≧4~≦11個、好ましくは≧5~≦10個、さらに好ましくは≧6~≦9個、またはさらに好ましくは7もしくは8個が非ヘテロ芳香族環であり、かつ
少なくとも≧1~≦4個、好ましくは2または3個の芳香族環は、ヘテロ芳香族環であり、
当該非ヘテロ芳香族環および当該ヘテロ芳香族環の総数は、12個を超えない、
芳香族環;かつ
式Iによる共通の正孔注入層または共通の正孔輸送層は、少なくとも≧1~≦4、好ましくは2または3個の芳香族5員環、好ましくはヘテロ芳香族5員環を含み、および/または
式(I)による化合物は、少なくとも1または2個の不飽和5~7員環の複素環、好ましくは少なくとも1または2個の不飽和7員環の複素環を含む。
【0147】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、ヘテロ原子を含み得、前記ヘテロ原子は、O、S、N、BまたはPを含む群から選択され得、好ましくは、前記ヘテロ原子は、O、SまたはNを含む群から選択され得る。
【0148】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)の共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも≧1~≦6個、好ましくは≧2~≦5個、またはさらに好ましくは3もしくは4個の置換もしくは非置換の芳香族縮合環系を含み得、当該芳香族縮合環系は下記を有する:
- 少なくとも1つの芳香族5員環、および/または
- 少なくとも1つの芳香族6員環、および/または
- 少なくとも1つの芳香族7員環;
ここで、好ましくは、少なくとも1つの芳香族5員環および/または少なくとも1つの芳香族7員環は、少なくとも1~3個、好ましくは1個のヘテロ原子を含み;
ここで、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、少なくとも≧1~≦3個または2個の置換もしくは非置換の不飽和5~7員環の複素環を任意に含み;かつ、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系は、ヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、O、S、N、B、P、またはSiを含む群から選択され得、好ましくは、前記ヘテロ原子は、O、SまたはNを含む群から選択され得る。
【0149】
一実施形態によれば、式(2)または式(3)のマトリックス共有結合性化合物は、芳香環の一部ではないヘテロ原子および/または不飽和7員環の一部ではないヘテロ原子を含まなくてもよく、好ましくは、式(I)による化合物は、芳香環の一部であるか、または不飽和7員環の一部であるN原子を除くN原子を含まなくてもよい。
【0150】
一実施形態によれば、式(I)による共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも1つのナフチル基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基および/または置換フルオレニル基を含み、ここで、置換基は独立して、メチル、フェニルまたはフルオレニルから選択される。
【0151】
電子デバイスの実施形態によれば、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、F1~F21から選択される。
【0152】
【0153】
マトリックス化合物は、電子阻止層に好適に使用され得、F22~F25から選択される。
【0154】
【0155】
正孔注入層の共有結合性のマトリックス化合物は、HTM014、HTM081、HTM163、HTM222、EL-301、HTM226、HTM355、HTM133、HTM334、HTM604およびEL-22Tを含まなくてもよい。略語は、製造社名(例えば、MerckまたはLumtec)を示す。
【0156】
さらに好ましい実施形態によれば、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、表1に示される式(T-1)~(T-6)を有する。
【0157】
【0158】
別の態様によれば、少なくとも第1の共通の半導体層、好ましくは共通のHIL、および/または共通の第2の半導体層、好ましくはHTLは、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含み得、少なくとも約≧0.1重量%~約≦50重量%、好ましくは約≧1重量%~約≦25重量%、より好ましくは約≧2重量%~約≦15重量%の共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物、好ましくは式(2)もしくは式(3)のものを含み得る。
【0159】
一実施形態によれば、共通の半導体層は、陽極層と発光層との間に配置され、好ましくは共通の半導体層は、共通の正孔注入層であるか、または共通の半導体層は、共通の正孔注入層および共通の正孔輸送層である。
【0160】
〔さらなる層〕
本発明によれば、有機発光ダイオードは、上述の層に加えて、さらなる層または共通の層を含んでもよい。それぞれの層または共通の層の例示的な実施形態は、以下に記載される:
〔基板〕
基板は、電子デバイス、好ましくは有機発光ダイオードの製造において、一般的に使用される任意の基板であり得る。光が基板を通して放射される場合、基板は透明または半透明の材料、例えば、ガラス基板または透明プラスチック基板であるべきである。光が上面を通って放射される場合、基板は透明材料および非透明材料の両方、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板、またはシリコン基板であり得る。
【0161】
〔陽極電極〕
全ての個々の画素は、他の個々の画素の陽極に接触し得ない、それ自体の陽極を有し得る。
【0162】
陽極層とも呼ばれる陽極電極は、陽極電極を形成するために使用される材料を堆積またはスパッタリングすることによって形成され得る。陽極または陽極層は、共通の陽極層として形成されない。陽極電極を形成するために使用される材料は、正孔注入を容易にするために、高仕事関数材料であり得る。陽極材料はまた、低仕事関数材料(すなわち、アルミニウム)から選択され得る。陽極電極は、透明または反射電極であり得る。透明導電性酸化物、好ましくは酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、二酸化スズ(SnO2)、酸化アルミニウム亜鉛(AlZO)および酸化亜鉛(ZnO)は、陽極電極を形成するために使用され得る。陽極電極はまた、金属、典型的には銀(Ag)、金(Au)、または金属合金を使用して形成され得る。
【0163】
一実施形態によれば、陽極層は、AgもしくはAuを含むか、またはそれらからなる第1の陽極副層と、ITOもしくはIZOを含むか、またはそれらからなる第2の陽極副層と、任意にITOもしくはIZOを含むか、またはそれらからなる第3の陽極副層とを含み得る。好ましくは、第1の陽極副層は、Agを含むか、またはAgからなり得、第2の陽極副層は、ITOを含むか、またはITOからなり得、第3の陽極副層は、ITOを含むか、またはITOからなり得る。好ましくは、第2の陽極副層および第3の陽極副層における透明導電性酸化物は、同じものが選択され得る。
【0164】
一実施形態によれば、陽極層は、100~150nmの厚さを有するAgまたはAuを含む第1の陽極副層と、3~20nmの厚さを有するITOまたはIZOを含む第2の陽極副層と、3~20nmの厚さを有するITOまたはIZOを含む第3の陽極副層と、を含み得る。
【0165】
〔陽極副層〕
陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み得、ここで、第1の陽極副層は、≧4eVおよび≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含む。
【0166】
全ての個々の画素は、他の個々の画素の陽極に接触し得ない、それ自体の陽極を有し得る。陽極副層は、共通の層として形成されない。
【0167】
一実施形態によれば、陽極層は、第1の陽極副層、第2の陽極副層、および任意に第3の陽極副層を含み、ここで、第1の陽極副層は、≧4eVおよび≦6eVの範囲で仕事関数を有する第1の金属を含み、第2の陽極副層は、透明導電性酸化物(TCO)を含み;ここで、正孔注入層は、第1の発光層と陽極層との間に配置され、第1の陽極副層は、基板のより近くに配置され、第2の陽極副層は、正孔注入層のより近くに配置される。
【0168】
〔第1の陽極副層〕
一実施形態によれば、第1の陽極副層の第1の金属は、≧4.2eVおよび≦6eVの範囲の仕事関数を有し得る。第1の金属は、金属または金属合金から選択され得る。
【0169】
一実施形態によれば、第1の陽極副層の第1の金属は、Ag、Mg、Al、Cr、Pt、Au、Pd、Ni、Nd、Ir、好ましくはAg、AuまたはAl、より好ましくはAgを含む群から選択され得る。
【0170】
第1の陽極副層は、5~200nm、あるいは8~180nm、あるいは8~150nm、あるいは100~150nmの範囲の厚さを有し得る。
【0171】
第1の陽極副層は、真空熱蒸発を介して第1の金属を堆積させることによって形成され得る。
【0172】
第1の陽極層は、基板の一部ではないことを理解されたい。
【0173】
〔第2の陽極副層〕
一実施形態によれば、透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)、より好ましくはインジウムスズ酸化物(ITO)を含む群から選択され得、好ましくは、ITOまたはIZOであり得る。
【0174】
第1の陽極副層は、3~200nm、あるいは3~180nm、あるいは3~150nm、あるいは3~20nmの範囲の厚さを有し得る。
【0175】
第2の陽極副層は、透明導電性酸化物をスパッタリングすることによって形成され得る。
【0176】
〔第3の陽極副層〕
一実施形態によれば、有機発光ダイオードの陽極層は、第1の陽極副層、第2の陽極副層および第3の陽極副層の少なくとも3つの陽極副層を含み得る。一実施形態によれば、有機発光ダイオードの陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層に加えて、第3の陽極副層を含み得、第3の陽極副層は、透明導電性酸化物を含み、第3の陽極副層は、基板と第1の陽極副層との間に配置され得る。
【0177】
第3の陽極副層は、3~200nm、あるいは3~180nm、あるいは3~150nm、あるいは3~20nmの範囲の厚さを有することができる。
【0178】
第3の陽極副層は、透明導電性酸化物をスパッタリングすることによって形成され得る。
【0179】
第3の陽極層は、基板の一部ではないことを理解されたい。
【0180】
〔正孔注入層〕
共通の正孔注入層(HIL)は、OLEDディスプレイ内の複数のOLED画素のために形成され得る。一実施形態では、共通のHILが複数の画素のうちのすべての画素にわたって延在し得、またはOLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0181】
全ての個々の画素は、他の個々の画素の陽極に接触し得ない、それ自体の陽極を有し得る。
【0182】
さらに、アクティブOLEDディスプレイは、OLEDディスプレイ内に設けられた複数の画素のそれぞれの画素を別々に駆動するように構成された駆動回路を有する。一実施形態では、別々に駆動する工程が、個々の画素に印加される駆動電流の別々の制御を含み得る。
【0183】
共通のHILは、正孔注入材料を含み得、または正孔注入材料から作製され得、ここで、正孔注入材料は金属化合物を含み得る。一実施形態によれば、正孔注入層は、正孔注入材料および任意にマトリックス化合物を含む。
【0184】
別の実施形態によれば、正孔注入層はさらに、有機化合物であり得るマトリックス化合物を含む。
【0185】
正孔注入材料は、好ましくは、有機化合物および/または金属化合物である。
【0186】
HIL材料は、1つ以上の正孔注入化合物からなり、一方、正孔注入材料という用語は、本出願全体を通して、少なくとも1つの正孔注入材料化合物を含む全ての半導体材料について使用されるより広い用語であり、前記正孔注入材料化合物は、自由電荷キャリアの濃度を、ニート(neat)マトリックス中に観察される伝導率に対応するレベルよりも実質的に増加させることなく、陽極から正孔輸送マトリックスへの正孔注入を提供するか、または半導体に添加されると、正孔輸送材料または正孔輸送層における正電荷キャリアの密度を増加させ得る。
【0187】
正孔注入材料としての金属化合物のLUMOエネルギー準位は、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表され、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物の最高HOMOエネルギー準位よりも、少なくとも150meV、少なくとも200meV、少なくとも250meV、少なくとも300meV、または少なくとも350meV高くてもよい。
【0188】
正孔注入材料としての金属化合物のLUMOエネルギー準位は、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表され、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物の最高HOMOエネルギー準位よりも1000meV未満、750meV未満、600meV未満、550meV未満、500meV未満、450meV未満、または400meV未満高くてもよい。
【0189】
正孔注入材料としての有機化合物のLUMOエネルギー準位は、TURBOMOLE V6.5(TURBOMOLE GmbH、Litzenhardtstrasse 19、76135 Karlsruhe、ドイツ)を用いて、気相中の6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを適用することによって計算される場合に、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表され、≦-3.5eV、≦-3.6eV、≦-3.7eV、≦-3.8eV、≦-3.9eV ≦-4.0eV ≦-4.5eV、≦-4.6eV、≦-4.7eV、≦-4.8eV、≦-4.85eV、≦-4.9eVから選択され得る。
【0190】
共通の正孔注入層は、≧1nmおよび≦100nm、好ましくは≧2nmおよび≦50nm、より好ましくは≧3nmおよび≦40nm、より好ましくは≧4nmおよび≦30nm、より好ましくは≧5nmおよび≦20nm、より好ましくは≧6nmおよび≦15nm、より好ましくは≧8nmおよび≦10nmの厚さを有し得る。
【0191】
HILは、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通のHILとして形成され得る。共通のHILは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0192】
正孔注入層(HIL)は、陽極電極上に共通の正孔注入層(HIL)として形成され得、陽極電極は、例えば、真空蒸着、スピンコーティング、印刷、キャスティング、スロット-ダイコーティング、Langmuir-Blodgett(LB)蒸着などによって、共通の陽極電極層として形成されない。HILが真空蒸着を使用して形成される場合には、蒸着条件は、HILを形成するために使用される化合物、ならびに共通のHILの所望の構造および熱特性に従って変化し得る。しかし、通常、真空蒸着のための条件は、100℃~500℃の蒸着温度、10-8~10-3トール(1トールは133.322Paに等しい)の圧力、および0.1~10nm/秒の蒸着速度を含み得る。
【0193】
共通のHILがスピンコーティングまたは印刷を用いて形成される場合には、コーティング条件は、共通のHILを形成するために使用される化合物、ならびにHILの所望の構造および熱特性に従って変化し得る。例えば、コーティング条件は、約2000rpm~約5000rpmのコーティング速度、および約80℃~約200℃の熱処理温度を含み得る。コーティング後は、熱処理によって溶剤が除去される。
【0194】
共通のHILを形成するために使用され得る化合物の例には、フタロシアニン化合物、好ましくは銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、TDATA、2T-NATA、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、およびポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PANI/PSS)が含まれる。
【0195】
共通のHILは、テトラフルオロ-テトラシアノキノンジメタン(F4TCNQ)、2,2’-(ペルフルオロナフタレン-2,6-ジイリデン)ジマロノニトリル、または2,2’,2’’-(シクロプロパン-1,2,3-トリイリデン)トリス(2-(p-シアノテトラフルオロフェニル)アセトニトリル)から選択され得る正孔注入材料を含み得るか、またはそれからなり得るが、これらに限定されない。共通のHILは、正孔注入材料でドープされた正孔輸送共有結合性のマトリックス化合物から選択され得る。
【0196】
公知のドープされた正孔輸送材料の典型的な例は、LUMO準位が約-5.2eVであるテトラフルオロ-テトラシアノキノンジメタン(F4TCNQ)でドープされた、HOMO準位が約-5.2eVである銅フタロシアニン(CuPc);F4TCNQでドープされた亜鉛フタロシアニン(ZnPc)(HOMO=-5.2eV);F4TCNQでドープされたα-NPD(N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン)である。2,2’-(ペルフルオロナフタレン-2,6-ジイリデン)ジマロノニトリルでドープされたα-NPD。正孔注入材料の濃度は、1重量%から20重量%まで、より好ましくは3重量%から10重量%まで、から選択することができる。
【0197】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、共通の正孔注入層は、本発明による金属化合物を含む第1の共通の正孔注入副層と、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含む第2の共通の正孔注入副層と、を含み得る。
【0198】
有機電子デバイスの別の実施形態によれば、共通の正孔注入層は、本発明による正孔注入材料を含む共通の第1の正孔注入副層と、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物であるマトリックス化合物を含む共通の第2の正孔注入副層と、を含み得、共通の第1の正孔注入副層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含む陽極層のより近くに配置され、第2の共通の正孔注入副層は、少なくとも1つの発光層のより近くに配置される。
【0199】
一実施形態によれば、陽極層のより近くに配置された共通の第1の正孔注入副層がドープされ、第2の正孔注入副層はドープされない。
【0200】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、共通の正孔注入層は、本発明による正孔注入材料を含む第1の共通の正孔注入副層と、少なくとも1つのアリールアミン化合物、ジアリールアミン化合物、トリアリールアミン化合物を含むマトリックス化合物を含む第2の共通の正孔注入副層と、を含み得、第1の共通の正孔注入副層は、陽極層のより近くに配置され、第2の共通の正孔注入副層は、少なくとも1つの発光層のより近くに配置される。
【0201】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、共通の正孔注入層は、本発明による正孔注入材料を含む第1の正孔注入副層と、少なくとも1つのアリールアミン化合物、ジアリールアミン化合物、トリアリールアミン化合物を含むマトリックス化合物を含む第2の共通の正孔注入副層と、を含み得、第1の正孔注入副層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含む陽極層のより近くに配置され、第2の正孔注入副層は、少なくとも1つの発光層のより近くに配置される。
【0202】
一実施形態によれば、正孔注入層材料は、式H1~H20の化合物から選択することができる:
【0203】
【0204】
〔正孔輸送層(HTL)〕
HTLは、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通のHTLとして形成され得る。共通のHTLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0205】
正孔輸送層(HTL)は、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、Langmuir-Blodgett(LB)蒸着などによって、共通のHIL上に形成され得る。
【0206】
正孔輸送層は、共通の正孔輸送層として形成され得る。
【0207】
正孔輸送層(HTL)または共通の正孔輸送層(HTL)が真空蒸着またはスピンコーティングによって形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、真空または溶液堆積のための条件は、正孔輸送層(HTL)または共通の正孔輸送層(HTL)を形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0208】
一実施形態では、有機発光ダイオードは、正孔輸送層(HTL)または共通の正孔輸送層(HTL)をさらに含み、正孔輸送層(HTL)または共通の正孔輸送層(HTL)は、共通の正孔注入層と少なくとも1つの発光層との間に配置される。
【0209】
一実施形態では、正孔輸送層(HTL)または共通の正孔輸送層(HTL)は、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含む。
【0210】
一実施形態では、少なくとも1つの共通の正孔注入層および正孔輸送層(HTL)または共通の正孔輸送層(HTL)は、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含み、共有結合性のマトリックス化合物または実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、両方の層において同じものが選択される。
【0211】
HTLの厚さは、約5nm~約250nm、好ましくは約10nm~約200nm、さらに約20nm~約190nm、さらに約40nm~約180nm、さらに約60nm~約170nm、さらに約80nm~約160nm、さらに約100nm~約160nm、さらに約120nm~約140nmの範囲であり得る。
【0212】
HTLの厚さがこの範囲内である場合には、HTLは駆動電圧を大きく損なうことなく、優れた正孔輸送特性を有することができる。
【0213】
共通の正孔輸送層(HTL)は、OLEDディスプレイ内の複数のOLED画素のために形成され得る。一実施形態では、共通のHTLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。同様に、陰極は、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通の陰極として形成され得る。共通の陰極は、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。全ての個々の画素は、他の個々の画素の陽極に接触し得ないそれ自体の陽極を有し得る。さらに、アクティブOLEDディスプレイは、OLEDディスプレイに設けられた複数の画素の個々の画素を別々に駆動するように構成された駆動回路を有する。一実施形態では、別々に駆動する工程が個々の画素に印加される駆動電流の別々の制御を含み得る。
【0214】
共通のHTLは、正孔注入材料でドープされた正孔輸送マトリックス(HTM)材料から作製することができる。正孔輸送マトリックス材料は、2つ以上の正孔注入材料でドープされ得る。HTM材料は1つ以上のHTM化合物からなり、一方、正孔輸送材料という用語は、少なくとも1つのHTM化合物を含む全ての半導体材料について本出願全体を通して使用されるより広い用語であることを理解されたい。正孔輸送マトリックス材料は、1つ以上の有機化合物からなり得る。
【0215】
正孔注入材料としての金属化合物のLUMOエネルギー準位は、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表され、共通の第2の半導体層(好ましくは正孔輸送層である)を形成する化合物の最高HOMOエネルギー準位よりも、1000meV未満、750meV未満、600meV未満、550meV未満、500meV未満、450meV未満、または400meV未満高くてもよい。
【0216】
HTMは、<-4.27eVから≧-6.0eVまで、<-4.3eVから≧-5.5eVまで、好ましくは<-4.5eVから≧-5.4eVまで、より好ましくは-<-4.6eVから≧-5.3eVまでの範囲で、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された範囲において、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、それらの最高占有分子軌道のエネルギーを有する化合物を含み得るか、またはそれからなり得る。
【0217】
共通の正孔輸送層は、50nm未満、40nm未満、30nm未満、20nm未満、または15nm未満の厚さを有し得る。共通の正孔輸送層は、3nm超、5nm超、8nm超、または10nm超の厚さを有し得る。陽極は、インジウムスズ酸化物(ITO)のような透明導電性酸化物(TCO)から作製され得る。あるいは、陽極は、半透明の陽極をもたらす1つ以上の薄い金属層から作製され得る。別の実施形態では、陽極は、可視光に対して透明ではない厚い金属層から作製され得る。
【0218】
一実施形態では、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される陽極の仕事関数は、共通の正孔注入層中の正孔注入材料を形成する化合物の最高LUMOエネルギー準位よりも、500meV未満、450meV未満、400meV未満、350meV未満、または300meV未満高くてもよい。
【0219】
公知のドープされた正孔輸送材料の典型的な例は、LUMO準位が約-5.2eVであるテトラフルオロ-テトラシアノキノンジメタン(F4TCNQ)でドープされた、HOMO準位が約-5.2eVである銅フタロシアニン(CuPc);F4TCNQでドープされた亜鉛フタロシアニン(ZnPc)(HOMO=-5.2eV);F4TCNQでドープされたα-NPD(N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン)である。2,2’-(ペルフルオロナフタレン-2,6-ジイリデン)ジマロノニトリルでドープされたα-NPD。正孔注入材料の濃度は、1重量%から20重量%まで、より好ましくは3重量%から10重量%まで、から選択することができる。
【0220】
〔電子阻止層〕
電子阻止層(EBL)は、共通の電子阻止層(EBL)として、または共通の電子阻止層(EBL)ではない別々の層として、形成され得る。EBLは、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通のEBLとして形成され得る。共通のEBLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。好ましくは、全ての個々の画素は、他の個々の画素のEBLに接触し得ないそれ自体のEBLを有し得る。
【0221】
電子阻止層(EBL)の機能は、電子が発光層から正孔輸送層に移動するのを防ぎ、それによって電子を発光層に閉じ込めることである。EBLは、共通のHTLおよびEMLと直接接触していてもよい。電子阻止層は、有機正孔輸送マトリックス材料からなるドープされていない層(すなわち、正孔注入材料を含まなくてもよい)であってもよい。共通の正孔輸送層の有機正孔輸送マトリックス材料の組成物は、電子阻止層の有機正孔輸送マトリックス材料の組成物と同じであってもよい。本発明の別の実施形態では、両方の正孔輸送マトリックス材料の組成は異なっていてもよい。
【0222】
これにより、効率、動作電圧および/または寿命が改善され得る。典型的には、電子阻止層はトリアリールアミン化合物を含む。トリアリールアミン化合物は、正孔輸送層のLUMO準位よりも真空準位により近いLUMO準位を有し得る。電子阻止層を形成する各々の化合物は、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表され、共通の正孔輸送層の正孔輸送マトリックス材料を形成する任意の化合物のHOMO準位よりも高いHOMO準位を有してもよい。電子阻止層は、正孔輸送層のHOMO準位と比較して、真空準位からさらに離れたHOMO準位を有し得る。
【0223】
電子阻止層の有機マトリックス材料は、正孔輸送層のマトリックス材料の正孔移動度以上である正孔移動度を有し得る。共通のHTLおよび/またはEBLの正孔輸送マトリックス(HTM)材料は、非局在化電子の共役系を含む化合物から選択され得、共役系は、少なくとも2つの第三級アミン窒素原子の孤立電子対を含む。
【0224】
電子阻止層が高い三重項準位を有する場合には、それはまた三重項制御層として記載され得る。三重項制御層の機能は、リン光緑色発光層またはリン光青色発光層が使用される場合に、三重項の消光を低減することである。これにより、リン光発光層からの発光効率を高めることができる。三重項制御層は、隣接する発光層におけるリン光発光体の三重項準位より高い三重項準位を有するトリアリールアミン化合物から選択される。三重項制御層に適した化合物、特にトリアリールアミン化合物は、EP2722908A1に記載されている。
【0225】
電子阻止層の厚さは、2~20nmであり得る。EBLは、30nm超、50nm超、70nm超、100nm超、または110nm超の層の厚さを有し得る。EBLの厚さは、200nm未満、170nm未満、140nm未満、または130nm未満であり得る。EBLと比較して、共通のHTLは、約1桁薄くなり得る。
【0226】
電子阻止層は化合物を含み得、前記化合物は、<-4.7eVから≧-6.0eVまで、-4.8eVから≧-5.5eVまで、好ましくは<-4.9eVから≧-5.4eVまで、より好ましくは-<-5.0eVから≧-5.3eVまでの範囲で、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、それらの最高占有分子軌道のエネルギーを有する。
【0227】
〔光活性層(PAL)〕
光活性層は、電流を光子に、または光子を電流に変換する。光活性層は、共通の光活性層として、または共通の光活性層ではない別々の層として、形成され得る。PALは、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通のPALとして形成され得る。共通のPALは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0228】
PALは、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などによってHTL上に形成され得る。PALが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、PALを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0229】
光活性層が、本発明の金属化合物を含まないことが提供され得る。
【0230】
〔発光層(EML)〕
EML層は、共通のEML層として、または共通のEML層ではない別々のEML層として、形成され得る。RGBディスプレイについて、EML層は、共通のEML層ではない別々の層として形成されることが好ましい。EMLは、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通のEMLとして形成され得る。共通のEMLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0231】
EMLは、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などによってHTL上に形成され得る。EMLが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、EMLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0232】
共通の電子輸送層は、有機電子輸送マトリックス(ETM)材料を含み得る。さらに、共通の電子輸送層は、例えば、文書EP1970371AlまたはWO2013/079217A1に開示されているように、芳香族構造部分またはヘテロ芳香族構造部分を含むETMに適した1つ以上のn型ドーパント化合物を含み得る。
【0233】
発光層は、HILおよび/またはHTLに使用するための本発明に記載の金属化合物を含まないことが提供され得る。
【0234】
発光層(EML)は、ホストドーパントと発光体ドーパントとの組み合わせで形成されてもよい。ホストの例は、Alq3,4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)、ポリ(n-ビニルカルバゾール)(PVK)、9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン(ADN)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)-トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(TPBI)、3-tert-ブチル-9,10-ジ-2-ナフチルアントラセン(TBADN)、ジスチリルアリーレン(DSA)およびビス(2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾ-チアゾレート)亜鉛(Zn(BTZ)2)である。
【0235】
発光体ドーパントは、リン光発光体または蛍光発光体であり得る。リン光発光体および熱活性化遅延蛍光(TADF)機構を介して光を放出する発光体は、それらのより高い効率のために好ましい場合がある。発光体は、小分子またはポリマーであり得る。
【0236】
赤色発光体ドーパントの例は、PtOEP、Ir(piq)3、およびBtp2lr(acac)であるが、これらに限定されない。これらの化合物はリン光発光体であるが、蛍光赤色発光体ドーパントを使用することもできる。
【0237】
リン光緑色発光体ドーパントの例は、Ir(ppy)3(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)2(acac)、Ir(mpyp)3である。
【0238】
リン光青色発光体ドーパントの例は、F2Irpic、(F2ppy)2Ir(tmd)およびIr(dfppz)3ならびにter-フルオレンである。4.4’-ビス(4-ジフェニルアミオスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(TBPe)は、蛍光青色発光体ドーパントの例である。
【0239】
発光体ドーパントの量は、ホスト100重量部に対して、約0.01重量部から約50重量部までの範囲であり得る。あるいは、発光層は、発光ポリマーからなり得る。EMLは、約10nm~約100nm、例えば、約20nmから約60nmまでの厚さを有し得る。EMLの厚さがこの範囲内である場合には、EMLは駆動電圧の実質的なペナルティなしに、優れた発光を有し得る。
【0240】
〔正孔阻止層(HBL)〕
正孔阻止層(HBL)は、共通の正孔阻止層(HBL)として、または共通の正孔阻止層(HBL)ではない別々の正孔阻止層(HBL)として、形成され得る。HBLは、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通のHBLとして形成され得る。共通のHBLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0241】
ETLへの正孔の拡散を防止するために、正孔阻止層(HBL)は、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などを用いることによって、EML上に形成され得る。EMLがリン光ドーパントを含む場合には、HBLはまた、三重項励起子阻止機能を有することができる。
【0242】
HBLはまた、補助ETLまたはa-ETLとも呼ばれ得る。
【0243】
HBLが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、HBLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。HBLを形成するために一般的に使用される任意の化合物を使用することができる。HBLを形成するための化合物の例としては、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびトリアジン誘導体が含まれる。
【0244】
HBLは、約5nmから約100nmまで、例えば、約10nmから約30nmまでの範囲の厚さを有し得る。HBLの厚さがこの範囲内である場合には、HBLは、駆動電圧が実質的に低下することなく、優れた正孔阻止特性を有することができる。
【0245】
〔電子輸送層(ETL)〕
電子輸送層(ETL)は、共通の電子輸送層(ETL)として、または共通の電子輸送層(ETL)ではない別々の電子輸送層(ETL)として、形成され得る。
【0246】
ETLは、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通のETLとして形成され得る。共通のETLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0247】
全ての個々の画素は、他の個々の画素のETLに接触し得ないそれ自体のETLを有し得る。
【0248】
本発明による有機発光ダイオードは、電子輸送層(ETL)をさらに含み得る。
【0249】
別の実施形態によれば、電子輸送層は、アジン化合物、好ましくはトリアジン化合物をさらに含み得る。
【0250】
一実施形態では、電子輸送層は、アルカリ有機錯体から選択されるドーパント、好ましくはLiQをさらに含み得る。
【0251】
ETLの厚さは、約15nmから約50nmまでの範囲、例えば、約20nmから約40nmまでの範囲であり得る。EILの厚さがこの範囲内である場合には、ETLは駆動電圧の実質的なペナルティなしに、満足のいく電子注入特性を有することができる。
【0252】
別の実施形態によれば、有機発光ダイオードは正孔阻止層および電子輸送層をさらに含み得、正孔阻止層および電子輸送層はアジン化合物を含む。好ましくは、アジン化合物はトリアジン化合物である。
【0253】
〔電子注入層(EIL)〕
EILは、共通のEIL層として、または共通のEIL層ではない別々のEIL層として、形成され得る。
【0254】
EILは、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通のEILとして形成され得る。共通のEILは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0255】
陰極からの電子の注入を容易にし得る任意のEILは、ETL上に、好ましくは直接電子輸送層上に、形成され得る。EILを形成するための材料の例としては、当技術分野で公知のリチウム8-ヒドロキシキノリノレート(LiQ)、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaO、Ca、Ba、Yb、Mgが含まれる。EILを形成するための蒸着およびコーティング条件は、HILの形成のためのものと同様であるが、蒸着およびコーティング条件はEILを形成するために使用される材料に応じて変動し得る。
【0256】
EILの厚さは、約0.1nmから約10nmまでの範囲、例えば、約0.5nmから約9nmまでの範囲であり得る。EILの厚さがこの範囲内である場合には、EILは駆動電圧の実質的なペナルティなしに、満足のいく電子注入特性を有することができる。
【0257】
〔陰極電極〕
陰極電極は、共通の陰極電極層として、または共通の陰極電極層ではない別々の陰極電極層として、形成され得る。
【0258】
陰極は、複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通の陰極として形成され得る。共通の陰極は、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0259】
陰極層とも呼ばれる陰極電極は、ETLまたは任意のEIL上に形成される。
【0260】
陰極は、低仕事関数を有する金属または金属合金から作製することができる。TCOから作製された透明陰極もまた、当技術分野において公知である。好ましくは、陰極電極は、金属、合金、導電性化合物、またはそれらの混合物から形成され得る。陰極電極は、低仕事関数を有し得る。例えば、前記陰極電極は、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)-リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、イッテルビウム(Yb)、マグネシウム(Mg)-インジウム(In)、マグネシウム(Mg)-銀(Ag)などから形成され得る。あるいは、陰極電極は、透明導電性酸化物、好ましくはITOまたはIZOから形成され得る。
【0261】
陰極電極の厚さは、約5nmから約1000nmの範囲、例えば、約10nmから約100nmまでの範囲であり得る。陰極電極の厚さが約5nmから約50nmまでの範囲である場合には、陰極電極は、金属または金属合金から形成されていても、透明または半透明であり得る。
【0262】
陰極電極は、電子注入層または電子輸送層の一部ではないことを理解されたい。
【0263】
〔有機層のスタック〕
有機層のスタックは、2000g/mol未満の分子量を有する有機化合物から作製され得る。代替の実施形態では、有機化合物は、1000g/mol未満の分子量を有し得る。
【0264】
HILである有機層のスタックまたはその少なくとも1つの有機層は、有機層の共通のスタックとして、または複数の画素または少なくとも2つの画素のための共通のHILとして、形成され得る。有機層の共通のスタックは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素の少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0265】
一実施形態によれば、有機層のスタックのHILおよびHTLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0266】
一実施形態によれば、有機層のスタックのHIL、HTLおよびHBLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0267】
一実施形態によれば、有機層のスタックのHIL、HTLおよびEBLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0268】
一実施形態によれば、有機層のスタックのHIL、HTL、EBLおよびETLは、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0269】
一実施形態によれば、有機層のスタックのHTLおよびn側は、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0270】
一実施形態によれば、有機層のスタックのHIL、HTL、HBLおよびn側は、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0271】
一実施形態によれば、有機層のスタックのHIL、HTL、EBLおよびn側は、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0272】
一実施形態によれば、有機層のスタックのHIL、HTL、EBL、ETLおよびn側は、OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在し得るか、または複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する。
【0273】
好ましくは、全ての個々の画素は、他の個々の画素のETLに接触し得ないそれ自体のETLを有し得る。
【0274】
好ましくは、全ての個々の画素は、他の個々の画素のETLに接触し得ないそれ自体のETLを有し得る。
【0275】
好ましくは、全ての個々の画素は、他の個々の画素のEBLに接触し得ないそれ自体のEBLを有し得る。
【0276】
好ましくは、全ての個々の画素は、他の個々の画素のn側に接触し得ないそれ自体のn側を有し得る。
【0277】
〔製造方法〕
別の態様は、少なくとも1つの共通の層を製造するための方法に関する。
【0278】
少なくとも1つの共通の層を製造するための方法は、少なくとも1つの共通の層を製造するための方法が、各々の共通の層が1つの処理工程において1つの大きなマスク開口部を通って完全なディスプレイ領域上に堆積されることを含む、ことを含む。
【0279】
以下、実施例を参照して、実施形態をより詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。ここで、例示的な態様を詳細に参照する。
【0280】
[図面の説明]
前述の構成要素、ならびに請求された構成要素および記載された実施形態において本発明に従って使用される構成要素は、それらのサイズ、形状、材料選択、および技術的概念に関していかなる特別な例外も受けず、その結果、関連分野において知られている選択基準を限定なしに適用することができる。
【0281】
本発明の目的のさらなる詳細、特性、および利点は、従属請求項、および例示的な様式で本発明による好ましい実施形態を示すそれぞれの図面の以下の説明において開示される。しかし、いかなる実施形態も必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために、特許請求の範囲および本明細書を参照する。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【0282】
〔
図1~
図9〕
図1は、2つの画素と、共通のHIL、共通のHTLおよび共通の陰極層と、を有するディスプレイの概略断面図である;
図2は、試験素子の概略断面図である;
図3は、堆積された層のスタックの概略断面図である。
【0283】
図4は、試験素子の概略断面図である;
図5は、ITO被覆基板を示す;
図6は、電流-電圧測定の図である;
図7は、抵抗の例示的な図である;
図8は、有機発光ダイオードの概略断面図である;
図9は、有機発光ダイオードの概略断面図である。
【0284】
以下、
図1~4について、実施例を参照してさらに詳細に説明する。ただし、本開示は以下の図面に限定されるものではない。
【0285】
本明細書では第1の要素が第2の要素の「上(on)」または「上(onto)」に形成されるか、または配置されると言及される場合には、第1の要素は第2の要素の上に直接配置され得るか、または1つ以上の他の要素がそれらの間に配置され得る。第1の要素が第2の要素の「上に直接(directly on)」または「上に直接(directly onto)」形成されるか、または配置されると言及される場合には、他の要素はそれらの間に配置されない。
【0286】
図1は、例示的な実施形態による、2つの画素(100;200)を有するディスプレイの概略断面図である。第1の画素(100)は陽極層(120)を含み、第2の画素は陽極層(120)を含む。第1の画素(100)はそれ自体の陽極層(120)を有し、第2の画素(200)はそれ自体の陽極(120)を有し、第1の画素(100)の陽極(120)は、他の第2の画素(200)の陽極層(120)に接触しない。第1の画素(100)の陽極(120)と第2の画素(200)の陽極(120)との間に、画素精細層(125)が配置され得る。共通の正孔注入層(HIL)(130)が、第1の画素(100)から第2の画素(200)まで延在する陽極層(120)上に配置される。共通のHIL(130)上には、共通の正孔輸送層(HTL)(140)が、第1の画素(100)から第2の画素(200)まで延在して配置される。正孔輸送層(HTL)(140)上に、第1の画素(100)がそれ自体の電子阻止層(EBL)(145)を有し、第2の画素(200)がそれ自体の電子阻止層(EBL)(145)を有するように電子阻止層(EBL)(145)が配置され、第1の画素(100)の電子阻止層(EBL)(145)は、他の第2の画素(200)の電子阻止層(EBL)(145)に接触することができる。電子阻止層(EBL)(145)上には、第1の画素(100)がそれ自体の発光層(EML)(150)を有し、第2の画素(200)がそれ自体の発光層(EML)(150)を有するように発光層(EML)(150)が配置され、第1の画素(100)の発光層(EML)(150)は、他の第2の画素(200)の発光層(EML)(150)に接触することができる。発光層(EML)(150)上には、第1の画素(100)がそれ自体の電子輸送層(ETL)(160)を有し、第2の画素(200)がそれ自体の電子輸送層(ETL)(160)を有するように電子輸送層(ETL)(160)が配置される。電子輸送層(ETL)(160)上には、共通の陰極層(190)が、第1の画素(100)から第2の画素(200)まで延在して配置される。第1の画素(100)と第2の画素(200)との間に、陽極層(120)を有さないが、陽極(120)ではないシート抵抗層として機能する画素精細層(125)を有する、分離部(300)が配置される。
【0287】
図1から分かるように、分離部(300)は共通の正孔注入層(HIL)(130)であり、画素(100)から分離部(300)を通って画素(200)まで共通の層として延在する少なくとも1つの層を含む。分離部(300)は、電子阻止層(EBL)(145)および発光層(EML)(150)である少なくとも2つの層を含み、各々が画素(100)および画素(200)から分離部(300)に延在する。分離部(300)の電子輸送層(ETL)(160)および正孔輸送層(HTL)(140)は、画素(100)および画素(200)内に延在しない。
【0288】
図1は単に一例であり、本発明はこの実施形態に制限されるものではない。例えば、1つの画素から分離部(300)内に層が延在していてもいなくても、複数の層構成が可能である。さらに、画素(100)、画素(200)および分離部(300)などの複数の画素および分離部の各々の非共通の層の材料組成は、それぞれ異なるものを選択してもよいし、同じものを選択してもよい。
【0289】
図2は、2つの高導電性電極間にギャップ「I」を有し、それぞれの高導電性電極に対して幅「w」を有する、2つの高導電性電極を含む試験素子を示す。
【0290】
図3は、シート抵抗を決定するための試験素子群上の堆積された層のスタックの模式図を示す。試験素子は、チャネル(試験素子)からなる。堆積層(300)は、電極の上にある。
【0291】
図4は、電極フィンガー間にギャップ「l」を有し、交互嵌合幅「we」と交互嵌合面積の数との積として総幅「w」を有する交互嵌合されたフィンガーパターンを有する2つの高導電性電極を含む試験素子を示す。
【0292】
以下、実施例を参照して、実施形態をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0293】
図5は、25×25mm
2の寸法を有する1つの基板上に組み合わされた4つの異なるチャネル長を有する電極対でパターン化された10オーム/スクエアのシート抵抗を有する90nmITOを用いた、ITOでコーティングされた基板を示す。
【0294】
図6は、
図5に示される基板上の電流-電圧測定の例示的な図を示す。
【0295】
図7は、対応するチャネル長およびその勾配の計算にわたってプロットされている
図6に表示された電流-電圧測定から得られた抵抗の例示的な図を示す。
【0296】
図8は、本発明の例示的な実施形態による、有機発光ダイオード(OLED)100の概略断面図である。OLED100は、基板(110)、第1の陽極副層(HTL)(121)および第2の陽極副層(HTL)(122)を含む陽極層(120)、式(I)の化合物を含む半導体層(130)、正孔輸送層(HTL)(140)、電子阻止層(EBL)(145)、発光層(EML)(150)、正孔阻止層(EBL)(155)、電子輸送層(ETL)(160)、および陰極層(190)を含む。これらの層は、前述のような順序で正確に配置される。
【0297】
図9は、本発明の例示的な一実施形態による有機発光ダイオード(OLED)100の概略断面図である。OLED100は、基板(110)、第1の陽極副層(121)、第2の陽極副層(122)および第3の陽極副層(123)を含む陽極層(120)、式(I)の化合物を含む半導体層(130)、正孔輸送層(HTL)(140)、電子阻止層(EBL)(145)、発光層(EML)(150)、正孔阻止層(EBL)(155)、電子輸送層(ETL)(160)および陰極層(190)を含む。これらの層は、前述のような順序で正確に配置される。
【0298】
以下、実施例を参照して、実施形態をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0299】
[詳細な説明]
本発明はさらに、以下の実施例によって説明されるが、これらの実施例は例示的なものに過ぎず、これに限定されない。
【0300】
化合物は、文献に記載されているように調製することができ、または代替化合物は、文献に記載されているように類似の化合物に応じて調製することができる。
【0301】
〔HOMOおよびLUMOの計算値〕
HOMOおよびLUMOは、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5(TURBOMOLE GmbH、Litzenhardtstrasse 19、76135 Karlsruhe、ドイツ)を用いて計算される。分子構造の最適化された形状ならびにHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位は、気相中に6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを適用することによって決定される。2つ以上のコンホメーションが実行可能である場合には、最も低い総エネルギーを有するコンホメーションが選択される。HOMO準位およびLUMO準位は、電子ボルト(eV)で記録される。
【0302】
〔より詳細に説明される伝送線路方法〕
本発明によれば、第1の共通の半導体上に、有機p型ドーパントと、第2の共通の半導体層と、を有する第1の共通の半導体層のシート抵抗を測定する伝送線路方法を、以下のように行うことができる。
【0303】
〔基質および試料調製〕
図4に従って、10オーム/スクエアのシート抵抗を有する、90nmのITOを用いたITOでコーティングされた基板を、交互嵌合されたフィンガー構造でパターン化した。両電極上の12個のITOフィンガーは、合計23個の導電性領域を形成する:n=23。嵌合長w
eは、4.5mmであった。したがって、全チャネル幅は103.5mmであった。チャネル長wは、20μm工程で、20~80μmの間で変化させた。4つの異なるチャネル長を有する電極対を、
図5に示されるように25×25mm
2の寸法で1つの基板上に組み合わせた。有機層を、完全な相互嵌合されたフィンガーパターンを覆う基板上に堆積させた。第1の共通の半導体層は、基板上に10nmの厚さを有する少なくとも1つの正孔注入材料を含む。例えば、第1の共通の半導体層は、ドープされた共有結合性のマトリックス化合物(適切な共有結合性のマトリックス化合物は、本明細書に記載されている)からなり、共蒸着によって堆積された正孔注入層である。温度範囲は材料に依存し、気化が始まる気化温度および分解温度によって制限される。これらの値は材料パラメータであり、各々の材料ごとに異なる。値は通常、50℃~500℃、ほとんどが150℃~350℃である。例えば、共有結合性のマトリックス化合物の堆積は、272℃の蒸発源温度で、1A/s(オングストローム/秒)の一定速度で行われた。正孔注入材料源は、例えば、174℃で、0.068A/sで動作させた。この層上に、例えば共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層であり、好ましくは正孔輸送層であり、128nmの厚さを有する第2の共通の半導体層を、2A/sの堆積速度および280℃の温度で堆積させた。全蒸着処理の間、チャンバ圧力は3e~7mbarであった。しかし、前述のように、使用される蒸発温度は、蒸発が始まる蒸発温度および分解温度に依存する。有機材料の蒸発温度は材料に依存し、通常50℃~500℃である。得られた基板層デバイスを、有機層堆積後の試料の劣化を防ぐために、一体化された乾燥剤を有するガラス蓋を用いて窒素充填グローブボックス内に封入した。
【0304】
本発明によれば、有機p型ドーパント、共通の第1の半導体上の共通の第2の半導体層、および共通の第3の半導体層上の共通の第3の半導体層を含む共通の第1の半導体層のシート抵抗を測定する伝送線路方法を、以下のように行うことができる。
【0305】
図4に従って、10オーム/スクエアのシート抵抗を有する90nmのITOを用いたITOでコーティングされた基板を、交互嵌合されたフィンガー構造でパターン化した。両電極上の12個のITOフィンガーは、合計23個の導電性領域を形成する:n=23。嵌合長w
eは4.5mmであった。したがって、全チャネル幅は103.5mmであった。チャネル長wは、20μm工程で、20~80μmの間で変化させた。4つの異なるチャネル長を有する電極対を、
図5に示されるように25×25mm
2の寸法で1つの基板上に組み合わせた。有機層を、完全な相互嵌合されたフィンガーパターンを覆う基板上に堆積させた。第1の共通の半導体層は、基板上に10nmの厚さを有する少なくとも1つの正孔注入材料を含む。例えば、第1の共通の半導体層は、ドープされた共有結合性のマトリックス化合物(適切な共有結合性のマトリックス化合物は、本明細書に記載されている)からなり、共蒸着によって堆積された正孔注入層である。温度範囲は材料に依存し、気化が始まる気化温度および分解温度によって制限される。これらの値は材料パラメータであり、材料ごとに異なる。値は通常、50℃~500℃、ほとんどが150℃~350℃である。例えば、共有結合性のマトリックス化合物の堆積は、272℃の蒸発源温度で、1A/s(オングストローム/秒)の一定速度で行われた。正孔注入材料源は、例えば、174℃で、0.068A/sで動作させた。この層上に、例えば共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層であり、好ましくは正孔輸送層であり、128nmの厚さを有する第2の共通の半導体層を、2A/sの堆積速度および280℃の温度で堆積させた。この層上に、例えば共通の電子阻止層である、5nmの厚さを有する第3の共通の半導体層を、1A/sの堆積速度および244℃の温度で堆積させた。全蒸着処理の間、チャンバ圧力は3e~7mbarであった。しかし、前述のように、使用される蒸発温度は、蒸発が始まる蒸発温度および分解温度に依存する。有機材料の蒸発温度は材料に依存し、通常50℃~500℃である。得られた基板層デバイスを、有機層堆積後の試料の劣化を防ぐために、一体化された乾燥剤を有するガラス蓋を用いて窒素充填グローブボックス内に封入した。
【0306】
本発明によれば、有機p型ドーパントを含む共通の第1の半導体層、共通の第1の半導体上の共通の第2の半導体層、共通の第2の半導体層上の共通の第3の半導体層、および共通の第3の半導体層上の共通の発光層(EML)のシート抵抗を測定する伝送線路方法を、以下のように行うことができる。
【0307】
図4に従って、10オーム/スクエアのシート抵抗を有する90nmのITOを用いたITOでコーティングされた基板を、交互嵌合されたフィンガー構造でパターン化した。両電極上の12個のITOフィンガーは、合計23個の導電性領域を形成する:n=23。嵌合長w
eは、4.5mmであった。したがって、全チャネル幅は103.5mmであった。チャネル長wは、20μm工程で、20~80μmで変化させた。4つの異なるチャネル長を有する電極対を、
図5に示されるように25×25mm
2の寸法で1つの基板上に組み合わせた。有機層を、完全な相互嵌合されたフィンガーパターンを覆う基板上に堆積させた。第1の共通の半導体層は、基板上に10nmの厚さを有する少なくとも1つの正孔注入材料を含む。例えば、第1の共通の半導体層は、ドープされた共有結合性のマトリックス化合物(適切な共有結合性のマトリックス化合物は、本明細書に記載されている)からなり、共蒸着によって堆積された正孔注入層である。温度範囲は材料に依存し、気化が始まる気化温度および分解温度によって制限される。これらの値は材料パラメータであり、各々の材料ごとに異なる。値は通常、50℃~500℃、ほとんどが150℃~350℃である。例えば、共有結合性のマトリックス化合物の堆積は、272℃の蒸発源温度で、1A/s(オングストローム/秒)の一定速度で行われた。正孔注入材料源は、例えば、174℃で、0.068A/sで動作させた。この層上に、例えば共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層であり、好ましくは正孔輸送層であり、128nmの厚さを有する第2の共通の半導体層を、2A/sの堆積速度および280℃の温度で堆積させた。この層上に、例えば共通の電子阻止層である、5nmの厚さを有する第3の共通の半導体層を、1A/sの堆積速度および244℃の温度で堆積させた。この層上に、例えば青色発光層であり、20nmの厚さを有する発光層を、ホスト化合物については1A/sの堆積速度および183℃の温度で、発光体ドーパントについては0.03A/sの堆積速度および197℃の温度で、堆積させた。全蒸着処理の間、チャンバ圧力は3e~7mbarであった。しかし、前述のように、使用される蒸発温度は、蒸発が始まる蒸発温度および分解温度に依存する。有機材料の蒸発温度は材料に依存し、通常50℃~500℃である。得られた基板層デバイスを、有機層堆積後の試料の劣化を防ぐために、一体化された乾燥剤を有するガラス蓋を用いて窒素充填グローブボックス内に封入した。
【0308】
〔OLEDの製造のための一般的手順〕
実施例1および実施例2および比較例1については、120nmAgの第1の陽極副層、8nmのITOの第2の陽極副層および10nmのITOの第3の陽極副層を含む陽極層を有するガラス基板を、50mm×50mm×0.7mmのサイズに切断し、水で60分間超音波洗浄し、次いでイソプロパノールで20分間洗浄した。
【0309】
次に、陽極層上に、実質的に共有結合性のマトリックス化合物および正孔注入材料を真空中で共蒸着して、正孔注入層(HIL)を形成した。次いで、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をHIL上に真空蒸着して、128nmの厚さを有するHTLを形成した。HTL中の実質的に共有結合性のマトリックス化合物の式は、HIL中で使用される実質的に共有結合性のマトリックス化合物と同一であった。
【0310】
次いで、HTL上に真空蒸着し、厚さ5nmの電子阻止層(EBL)を形成した。
【0311】
次いで、EMLホストとしての97体積%H09(Sun Fine Chemicals、韓国)および蛍光青色発光体ドーパントとしての3体積%BD200(Sun Fine Chemicals、韓国)をEBL上に堆積させて、20nmの厚さを有する青色発光第1発光層(EML)を形成した。
【0312】
次に、発光層EML上に2-(3’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンを蒸着することによって、正孔阻止層を5nmの厚さで形成した。
【0313】
次いで、50重量%の4’-(4-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル)ナフタレン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリルおよび50重量%のLiQを堆積させることによって、31nmの厚さを有する電子輸送層を正孔阻止層上に形成した。
【0314】
次いで、10-7mbarで、0.01~1A/sの速度で、イッテルビウムを堆積させることによって、2nmの厚さを有する電子注入層を電子輸送層上に形成した。
【0315】
次いで、Ag:Mg(90:10体積%)を、10-7mbarで、0.01~1A/sの速度で蒸発させて、100nmの厚さを有する陰極層を形成した。
【0316】
OLEDスタックは、ガラススライドでデバイスを封入することによって周囲条件から保護される。それによって、さらなる保護のためのゲッター材料を含むキャビティが形成される。
【0317】
従来技術と比較して本発明の実施例の性能を評価するために、電流効率を20℃で測定する。電流-電圧特性は、Keithley 2635 source measure unitを使用して、動作電圧UをVで供給し、被試験デバイスを流れるmAの電流を測定することによって決定される。デバイスに印加される電圧は、0V~10Vの範囲で0.1Vの工程で変化する。同様に、輝度-電圧特性およびCIE座標は、それぞれの電圧値について、Instrument Systems CAS-140CTアレイ分析計(Deutsche Akkreditierungsstelle(DAkkS)によって較正された)を使用して、cd/m2で輝度を測定することによって決定される。
【0318】
デバイスの寿命LTは、周囲条件(20℃)および30mA/cm2で、Keithley 2400 source meterを使用して測定し、時間単位で記録する。デバイスの輝度は、較正されたフォトダイオードを用いて測定する。寿命LTは、デバイスの輝度がその初期値の97%に低下するまでの時間として定義される。
【0319】
時間U(100h)-(1h)にわたる電圧安定性を決定するために、30mA/cm2の電流をデバイスに印加した。1時間後および50時間後に動作電圧を測定し、その後、1時間~50時間の期間の電圧安定性を計算した。
【0320】
表2は、表4において、より好ましいHTLマトリックス材料およびいくつかが使用されるHTLマトリックス材料を示す。
【0321】
【0322】
表3は、より好ましいEBLマトリックス材料、および表4においていくつかが使用されるEBLマトリックス材料を示す。
【0323】
【0324】
【0325】
〔発明の技術的効果〕
表4から分かるように、デバイスは動作電圧が低く、同時に、シート抵抗が50ギガオーム/スクエア以上であるので、有益な動作電圧を有する。さらに、動作電圧に加えて、EQEおよび/または寿命が改善される。
【0326】
前述の詳細な実施形態における要素および特徴の特定の組み合わせは例示的なものに過ぎず、これらの教示を、この教示と、参照によって組み込まれる特許/出願とにおける他の教示と交換し、置き換えることも、明示的に企図される。当業者が認識するように、本明細書に記載される変形、修正、および他の実装形態は、特許請求される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、一般的な当業者に想起され得る。したがって、前述の説明は単なる例であり、限定することを意図するものではない。特許請求の範囲において、用語「含む(comprising)」は他の要素または工程を除外せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物において定義される。さらに、説明および特許請求の範囲で使用される参照符号は、特許請求される本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0327】
【
図1】
図1は、2つの画素と、共通のHIL、共通のHTLおよび共通の陰極層と、を有するディスプレイの概略断面図である。
【
図3】
図3は、堆積された層のスタックの概略断面図である。
【
図8】
図8は、有機発光ダイオードの概略断面図である。
【
図9】
図9は、有機発光ダイオードの概略断面図である。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリックスOLEDディスプレイであって、複数のOLED画素を含み、各々の画素自体が有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層は共通の半導体層を形成することができ、ここで
-少なくとも第1のOLED画素および第2のOLED画素は、以下を含む
-陽極層、
-共通の陰極層、
-以下を含む、少なくとも有機層のスタック
-複数の半導体層、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、前記複数の半導体層は以下を含む
-共通の正孔注入層である少なくとも共通の第1の半導体層、ここで、前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含み、前記共通の正孔注入層は、前記OLEDディスプレイ内の複数の画素のうちの全ての画素にわたって延在するか、または前記複数の画素のうちの少なくとも2つの画素にわたって延在する、
-少なくとも共通の第2の半導体層、
-任意に共通の発光層である、少なくとも1つの発光層、ここで、前記共通の正孔注入層および前記共通の第2の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、アクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項2】
前記共通の第2の半導体層は、共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層
の群から選択される、請求項1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項3】
前記共通の正孔注入層は、共通の正孔輸送層または共通の電子阻止層である前記共通の第2の半導体層と直接接触して
いる、請求項1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項4】
前記共通の第2の半導体層は、共通の正孔輸送層である、
請求項1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項5】
前記複数の共通の半導体層は、共通の第3の半導体層をさらに含み、前記共通の第1の半導体層、前記共通の第2の半導体層、および前記共通の第3の半導体層は共に、≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項6】
前記共通の第3の半導体層は共通の電子阻止層であり、前記共通の第1の半導体層は共通の正孔注入層であり、前記共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層であり;かつ、共通の正孔注入層である前記共通の第1の半導体層と、共通の正孔輸送層である前記共通の第2の半導体層と、共通の電子阻止層である前記共通の第3の半導体層とは、共に≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、請求項
5に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項7】
共通の正孔輸送層である前記共通の第2の半導体層と前記発光層との間に、共通の電子阻止層である前記共通の第3の半導体層が配置されている、請求項
5に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項8】
各々の画素の前記発光層は色定義発光体ドーパントでドープされ、前記色定義発光体ドーパントの前記色は各々の画素に対して独立して選択されるか、または同じものが選択される、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項9】
前記シート抵抗は伝送線路方法によって決定される、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項10】
前記第1のOLED画素の前記陽極層および前記第2のOLED画素の前記陽極層は、画素精細層によって分離されており、その結果、前記第1のOLED画素の前記陽極層および前記第2のOLED画素の前記陽極層は、共通の層として形成されず、互いに接触しない、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項11】
前記共通の正孔注入層は、少なくとも一部が前記陽極層に直接接触して配置され、前記共通の正孔輸送層は、前記共通の発光層と前記共通の正孔注入層との間に配置される、請求項
2に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項12】
全ての個々の画素は、他の個々の画素の陽極に接触し得ないそれ自体の陽極を有し得る、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項13】
前記共通の正孔注入層、前記共通の第2の半導体層、前記共通の第3の半導体層、および前記共通の発光層は、共に≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、請求項
5に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項14】
複数のOLED画素を含み、各々の画素自体は有機層のスタックを含み、前記有機層のスタックの各々の層が共通の半導体層を形成することができるか、または複数の有機層が複数の半導体層を形成することができ、少なくとも第1のOLED画素および少なくとも第2のOLED画素が各々の陽極層を含み、
-前記第1のOLED画素および前記第2のOLED画素の前記陽極層は、画素精細層によって任意に分離され、前記少なくとも第1のOLED画素および前記少なくとも第2のOLED画素は、共通の陰極層と、複数の半導体層を含む少なくとも有機層のスタックとを含み、前記複数の半導体層は少なくとも2つ以上の共通の半導体層を含み、
-前記有機層のスタックの少なくとも2つの共通の半導体層または前記複数の半導体層は、前記共通の陰極層と前記陽極層との間に配置され、前記陽極層は共通の層ではなく、
-少なくとも2つの共通の半導体層また
は複数の共通の半導体層
の群から選択される前記層は、共通の正孔注入層である少なくとも第1の共通の半導体層と、共通の正孔輸送層または電子阻止層
から選択される少なくとも共通の第2の半導体層と
、少なくとも発光層と、
を含み
、
-前記共通の正孔注入層は、少なくとも部分的に前記陽極層および前記少なくとも共通の第2の半導体層に直接接触して配置され
、前記発光層と前記共通の正孔注入層との間に配置さ
れ;
前記共通の正孔注入層および前記少なくとも共通の第2の半導体層は
、共に≧50ギガオーム/スクエアのシート抵抗を有する、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項15】
前記発光層は共通の発光層である、請求項14に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項16】
前記少なくとも共通の第2の半導体層は共通の正孔輸送層である、請求項14に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項17】
前記発光層は任意に共通の発光層である、請求項14に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項18】
前記共通の正孔注入層および前記共通の正孔輸送層は共に、≧100ギガオーム/スクエ
アから選択されるシート抵抗を有する、請求項
2に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項19】
前記共通の正孔注入層は正孔注入材料を含み、前記共通の正孔注入層はi-正孔注入層および/または正孔注入材料ドープ層を含む群から選択され
る、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項20】
正孔注入材料の濃度は、前記正孔注入材料でドープされた正孔注入層の重量に基づいて、≧0.1重量%および≦40重量
%である、
請求項19に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項21】
有機層の共通のスタックは共通の電子輸送層をさらに含
む、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項22】
前記共通の電子輸送層は、前記発光層と前記共通の陰極層との間に配置される、
請求項21に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項23】
前記有機層の共通のスタックは、共通の電子注入層、共通の正孔阻止層、および/または電子輸送層を含む群から選択される共通の有機層をさらに含
む、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項24】
前記共通の電子注入層は前記共通の陰極層と直接接触している、
請求項23に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項25】
共通の第1の半導体層
または前記共通の正孔注入層
の群から選択される前記層は、≧1nmおよび≦100n
mから選択される層の厚さを有する、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項26】
共通の第2の半導体層
または前記共通の正孔輸送層
の群から選択される前記層は、≧5nmおよび≦250n
mから選択される層の厚さを有する、請求項
2に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項27】
共通の第2の半導体層
または共通の正孔輸送層
の群から選択される前記層は、<-4.27eV
~≧-6.0e
Vの範囲で、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G
*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、それらの最高占有分子軌道のエネルギーを有する化合物を含む、請求項
2に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項28】
前記電子阻止層は、<-4.7eVから≧-6.0eVま
での範囲で、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G
*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された、真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、それらの最高占有分子軌道のエネルギーを有する化合物を含む、請求項
6に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項29】
前記電子阻止層は、≧1nmおよび≦20n
mの層の厚さを有する、請求項
6に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項30】
少なくとも1つの陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、前記第1の陽極副層は、≧4eVおよび≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物を含み;ならびに、前記第2の陽極副層は、前記共通の正孔注入層のより近くに配置される、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項31】
前記アクティブマトリックスOLEDディスプレイは、複数の有機発光ダイオード画素のうちの前記画素を別々に駆動するように構成された駆動回路を含む、請求項
1に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項32】
少なくとも1つの共通の層の製造方法は、各々の共通の層が1つの処理工程において、1つの大きなマスク開口部を通って完全なディスプレイ領域上に堆積されることを含む、請求項
1に記載の少なくとも1つの共通の層の製造方法。
【国際調査報告】