(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】機械的耐久性が改善された着色ガラス物品
(51)【国際特許分類】
C03C 4/02 20060101AFI20240614BHJP
C03C 3/091 20060101ALI20240614BHJP
C03C 3/093 20060101ALI20240614BHJP
C03C 21/00 20060101ALI20240614BHJP
C03B 32/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C03C4/02
C03C3/091
C03C3/093
C03C21/00 101
C03B32/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572894
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2022033909
(87)【国際公開番号】W WO2022266400
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】グオ,シアオジュー
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ジル マリー
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,カール ウィリアム ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】コール,ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ジエン
(72)【発明者】
【氏名】スミス,リーピン シォン
(72)【発明者】
【氏名】ワイルズ,ニコール テイラー
【テーマコード(参考)】
4G015
4G059
4G062
【Fターム(参考)】
4G015EA00
4G059AA01
4G059AA08
4G059AC16
4G059HB03
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4G059HB23
4G062AA01
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4G062DA07
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4G062JJ01
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4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM27
4G062NN05
4G062NN33
(57)【要約】
着色ガラス物品は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、5モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、0.5モル%以上かつ15モル%以下のNa2O、0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含む。R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ7モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色ガラス物品であって、
50モル%以上かつ80モル%以下のSiO
2、
7モル%以上かつ25モル%以下のAl
2O
3、
1モル%以上かつ15モル%以下のB
2O
3、
7モル%以上かつ20モル%以下のLi
2O、
0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa
2O、
0モル%超かつ1モル%以下のK
2O、および
1×10
-6モル%以上かつ1モル%以下のAu、
を含み、
R
2O-Al
2O
3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R
2Oは、Li
2O、Na
2O、およびK
2Oの合計である、着色ガラス物品。
【請求項2】
前記着色ガラス物品が、F2光源および10°の標準観測角度の下、1.33mmの物品厚で測定して、
50以上かつ100以下のL
*、
-15以上かつ25以下のa
*、および
-25以上かつ25以下のb
*、
のCIELAB色空間における透過率色座標を有する、請求項1記載の着色ガラス物品。
【請求項3】
前記着色ガラス物品が0.0001モル%以上かつ0.1モル%以下のAuを含む、請求項1または2記載の着色ガラス物品。
【請求項4】
前記着色ガラス物品が0.01モル%以上かつ2モル%以下のZrO
2を含む、請求項1から3いずれか1項記載の着色ガラス物品。
【請求項5】
前記着色ガラス物品が0.01モル%以上かつ1モル%以下のFe
2O
3を含む、請求項1から4いずれか1項記載の着色ガラス物品。
【請求項6】
前記着色ガラス物品がイオン交換済みの着色ガラス物品であり、該イオン交換済みの着色ガラス物品が、厚さ「t」、0.15t以上の圧縮深さ、300MPa以上の表面圧縮応力、および40MPa以上の最大中央張力を有する、請求項1から5いずれか1項記載の着色ガラス物品。
【請求項7】
ガラス組成物であって、
50モル%以上かつ80モル%以下のSiO
2、
7モル%以上かつ25モル%以下のAl
2O
3、
1モル%以上かつ15モル%以下のB
2O
3、
7モル%以上かつ20モル%以下のLi
2O、
0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa
2O、
0モル%超かつ1モル%以下のK
2O、および
1×10
-6モル%以上かつ1モル%以下のAu、
を含み、
R
2O-Al
2O
3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R
2Oは、Li
2O、Na
2O、およびK
2Oの合計である、ガラス組成物。
【請求項8】
前記ガラス組成物が0.01モル%以上かつ2モル%以下のZrO
2を含む、請求項7記載のガラス組成物。
【請求項9】
前記ガラス組成物が0.01モル%以上かつ1モル%以下のFe
2O
3を含む、請求項7または8記載のガラス組成物。
【請求項10】
着色ガラス物品を形成する方法において、
ガラス組成物を熱処理して、ガラス物品を形成する工程であって、該ガラス組成物は、
50モル%以上かつ80モル%以下のSiO
2、
7モル%以上かつ25モル%以下のAl
2O
3、
1モル%以上かつ15モル%以下のB
2O
3、
7モル%以上かつ20モル%以下のLi
2O、
0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa
2O、
0モル%超かつ1モル%以下のK
2O、および
1×10
-6モル%以上かつ1モル%以下のAu、
を含み、
R
2O-Al
2O
3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R
2Oは、Li
2O、Na
2O、およびK
2Oの合計である、工程、および
前記ガラス物品に、500℃以上かつ800℃以下の温度および0.25時間以上かつ24時間以下の期間での熱処理サイクルを施して、着色ガラス物品を製造する工程、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その各々の内容が依拠され、ここに全て引用される、2022年2月22日に出願された米国特許出願第17/677345号、2022年2月22日に出願された米国特許出願第17/677375号、2022年1月31日に出願された米国仮特許出願第63/304807号、2021年10月4日に出願された米国仮特許出願第63/251785号、および2021年6月18日に出願された米国仮特許出願第63/212191号の優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、広く、ガラス組成物およびガラス物品に関し、特に、ガラス組成物およびそれから形成されたイオン交換可能な着色ガラス物品に関する。
【背景技術】
【0003】
アルミノケイ酸塩ガラス物品は、優れたイオン交換可能性と落下性能を示すことがある。家庭用電化製品業界を含む様々な業界で、同じか同等の強度特性および破壊靱性特性を備えた着色材料が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のアルミノケイ酸塩ガラス組成物に着色剤を含ませただけでは、所望の色が生じないことがある。
【0005】
したがって、強度と破壊靱性が高い、代わりの着色ガラス物品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様A1によれば、着色ガラス物品は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、5モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、0.5モル%以上かつ15モル%以下のNa2O、0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含むことがあり、R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ7モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である。
【0007】
第2の第1の態様A1.1によれば、着色ガラス物品は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、7モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa2O、0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含むことがあり、R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である。
【0008】
第2の態様A2は、着色ガラス物品が、F2光源および10°の標準観測角度の下、1.33mmの物品厚で測定して、50以上かつ100以下のL*、-15以上かつ25以下のa*、および-25以上かつ25以下のb*のCIELAB色空間における透過率色座標を有する、第1の態様A1または第2の第1の態様A1.1による着色ガラス物品を含む。
【0009】
第3の態様A3は、R2O-Al2O3が、-5モル%以上かつ1.5モル%以下であり、b*が-25以上かつ10以下である、第2の態様A2による着色ガラス物品を含む。
【0010】
第4の態様A4は、R2O-Al2O3が、-3モル%以上かつ1.5モル%以下であり、b*が-15以上かつ7以下である、第3の態様A3による着色ガラス物品を含む。
【0011】
第5の態様A5は、R2O-Al2O3が、1.5モル%超かつ7モル%以下であり、b*が0以上かつ25以下である、第2の態様A2による着色ガラス物品を含む。
【0012】
第6の態様A6は、R2O-Al2O3が、1.5モル%超かつ5モル%以下であり、b*が0以上かつ15以下である、第5の態様A5による着色ガラス物品を含む。
【0013】
第7の態様A7は、R2O-Al2O3が、-3モル%以上かつ5モル%以下である、第1から第6の態様A1~A6のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0014】
第8の態様A8は、R2O-Al2O3が、-1モル%以上かつ3モル%以下である、第7の態様A7による着色ガラス物品を含む。
【0015】
第9の態様A9は、着色ガラス物品が0.0001モル%以上かつ0.1モル%以下のAuを含む、第1から第8の態様A1~A8のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0016】
第10の態様A10は、R2Oが6モル%以上かつ25モル%以下である、第1から第9の態様A1~A9のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0017】
第11の態様A11は、R2Oが8モル%以上かつ23モル%以下である、第10の態様10による着色ガラス物品を含む。
【0018】
第12の態様A12は、着色ガラス物品が0.01モル%以上かつ2モル%以下のZrO2を含む、第1から第11の態様A1~A11のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0019】
第13の態様A13は、着色ガラス物品が0.1モル%以上かつ1.5モル%以下のZrO2を含む、第12の態様A12による着色ガラス物品を含む。
【0020】
第14の態様A14は、着色ガラス物品が0.01モル%以上かつ1モル%以下のFe2O3を含む、第1から第13の態様A1~A13のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0021】
第15の態様A15は、着色ガラス物品が0.05モル%以上かつ0.5モル%以下のFe2O3を含む、第14の態様A14による着色ガラス物品を含む。
【0022】
第16の態様A16は、5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)が、-609モル%より大きい、第1から第15の態様A1~A15のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0023】
第17の態様A17は、着色ガラス物品が0.01モル%以上かつ1モル%以下のSnO2を含む、第1から第16の態様A1~A16のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0024】
第18の態様A18は、着色ガラス物品が0.05モル%以上かつ0.75モル%以下のSnO2を含む、第17の態様A17による着色ガラス物品を含む。
【0025】
第19の態様A19は、着色ガラス物品が、MgO、CaO、ZnO、Cl、またはその組合せを実質的に含まない、第1から第18の態様A1~A18のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0026】
第20の態様A20は、着色ガラス物品が7モル%以上かつ18モル%以下のLi2Oを含む、第1から第19の態様A1~A19のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0027】
第21の態様A21は、着色ガラス物品が9モル%以上かつ16モル%以下のLi2Oを含む、第20の態様A20による着色ガラス物品を含む。
【0028】
第22の態様A22は、着色ガラス物品が1モル%以上かつ12モル%以下のNa2Oを含む、第1から第21の態様A1~A21のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0029】
第23の態様A23は、着色ガラス物品が2モル%以上かつ10モル%以下のNa2Oを含む、第22の態様A22による着色ガラス物品を含む。
【0030】
第24の態様A24は、着色ガラス物品が0.1モル%以上かつ0.5モル%以下のK2Oを含む、第1から第23の態様A1~A23のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0031】
第25の態様A25は、着色ガラス物品が9モル%以上かつ23モル%以下のAl2O3を含む、第1から第24の態様A1~A24のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0032】
第26の態様A26は、着色ガラス物品が11モル%以上かつ20モル%以下のAl2O3を含む、第25の態様A25による着色ガラス物品を含む。
【0033】
第27の態様A27は、着色ガラス物品が2モル%以上かつ12モル%以下のB2O3を含む、第1から第26の態様A1~A26のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0034】
第28の態様A28は、着色ガラス物品が3モル%以上かつ10モル%以下のB2O3を含む、第27の態様A27による着色ガラス物品を含む。
【0035】
第29の態様A29は、着色ガラス物品が52モル%以上かつ75モル%以下のSiO2を含む、第1から第28の態様A1~A28のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0036】
第30の態様A30は、着色ガラス物品が250μm以上かつ6mm以下の厚さを有する、第1から第29の態様A1~A29のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0037】
第31の態様A31は、着色ガラス物品が、イオン交換済みの着色ガラス物品である、第1から第30の態様A1~A30のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0038】
第32の態様A32は、イオン交換済みの着色ガラス物品が10μm以上の圧縮深さを有する、第31の態様A31による着色ガラス物品を含む。
【0039】
第33の態様A33は、イオン交換済みの着色ガラス物品が、厚さ「t」および0.15t以上の圧縮深さを有する、第31の態様A31または第32の態様A32による着色ガラス物品を含む。
【0040】
第34の態様A34は、イオン交換済みの着色ガラス物品が、300MPa以上の表面圧縮応力を有する、第31から第33の態様A31~A33のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0041】
第35の態様A35は、イオン交換済みの着色ガラス物品が、40MPa以上の最大中央張力を有する、第31から第34の態様A31~A34のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0042】
第36の態様A36によれば、消費者向け電子機器は、前面、背面、および側面を有する筐体;および少なくとも部分的に筐体内に設けられた電子部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、および筐体の前面にまたはそれに隣接して設けられたディスプレイを含む電子部品を備えることがあり、その筐体は、第1から第35の態様A1~A35のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む。
【0043】
第37の態様A37によれば、ガラス組成物は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、5モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、0.5モル%以上かつ15モル%以下のNa2O、0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含むことがあり、R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ7モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である。
【0044】
第2の第37の態様A37.1によれば、ガラス組成物は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、7モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa2O、0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含むことがあり、R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である。
【0045】
第38の態様A38は、R2O-Al2O3が、-3モル%以上かつ5モル%以下である、第37の態様A37または第2の第37の態様A37.1によるガラス組成物を含む。
【0046】
第39の態様A39は、R2O-Al2O3が、-1モル%以上かつ3モル%以下である、第38の態様A38によるガラス組成物を含む。
【0047】
第40の態様A40は、ガラス組成物が0.0001モル%以上かつ0.1モル%以下のAuを含む、第37から第39の態様A37~A39のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0048】
第41の態様A41は、R2Oが6モル%以上かつ25モル%以下である、第37から第40の態様A37~A40のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0049】
第42の態様A42は、R2Oが8モル%以上かつ23モル%以下である、第41の態様A41によるガラス組成物を含む。
【0050】
第43の態様A43は、ガラス組成物が0.01モル%以上かつ2モル%以下のZrO2を含む、第37から第42の態様A37~A42のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0051】
第44の態様A44は、ガラス組成物が0.1モル%以上かつ1.5モル%以下のZrO2を含む、第43の態様A43のガラス組成物を含む。
【0052】
第45の態様A45は、ガラス組成物が0.01モル%以上かつ1モル%以下のFe2O3を含む、第37から第44の態様A37~A44のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0053】
第46の態様A46は、ガラス組成物が0.05モル%以上かつ0.5モル%以下のFe2O3を含む、第45の態様A45によるガラス組成物を含む。
【0054】
第47の態様A47は、5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)が、-609モル%より大きい、第37から第46の態様A37~A46のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0055】
第48の態様A48は、ガラス組成物が0.01モル%以上かつ1モル%以下のSnO2を含む、第37から第47の態様A37~A47のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0056】
第49の態様A49は、ガラス組成物が0.05モル%以上かつ0.75モル%以下のSnO2を含む、第48の態様A48によるガラス組成物を含む。
【0057】
第50の態様A50は、ガラス組成物が、MgO、CaO、ZnO、Cl、またはその組合せを実質的に含まない、第37から第49の態様A37~A49のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0058】
第51の態様A51は、ガラス組成物が7モル%以上かつ18モル%以下のLi2Oを含む、第37から第50の態様A37~A50のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0059】
第52の態様A52は、ガラス組成物が9モル%以上かつ16モル%以下のLi2Oを含む、第51の態様A51によるガラス組成物を含む。
【0060】
第53の態様A53は、ガラス組成物が1モル%以上かつ12モル%以下のNa2Oを含む、第37から第52の態様A37~A52のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0061】
第54の態様A54は、ガラス組成物が2モル%以上かつ10モル%以下のNa2Oを含む、第53の態様A53によるガラス組成物を含む。
【0062】
第55の態様A55は、ガラス組成物が0.1モル%以上かつ0.5モル%以下のK2Oを含む、第37から第54の態様A37~A54のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0063】
第56の態様A56は、ガラス組成物が9モル%以上かつ23モル%以下のAl2O3を含む、第37から第55の態様A37~A55のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0064】
第57の態様A57は、ガラス組成物が11モル%以上かつ20モル%以下のAl2O3を含む、第56の態様A56によるガラス組成物を含む。
【0065】
第58の態様A58は、ガラス組成物が2モル%以上かつ12モル%以下のB2O3を含む、第37から第57の態様A37~A57のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0066】
第59の態様A59は、ガラス組成物が3モル%以上かつ10モル%以下のB2O3を含む、第58の態様A58によるガラス組成物を含む。
【0067】
第60の態様A60は、ガラス組成物が52モル%以上かつ75モル%以下のSiO2を含む、第37から第59の態様A37~A59のいずれか1つによるガラス組成物を含む。
【0068】
第61の態様A61によれば、着色ガラス物品を形成する方法は、ガラス組成物を熱処理して、ガラス物品を形成する工程であって、そのガラス組成物は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、5モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、0.5モル%以上かつ15モル%以下のNa2O、0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含み、R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ7モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である、工程;およびそのガラス物品に、500℃以上かつ800℃以下の温度および0.25時間以上かつ24時間以下の期間での熱処理サイクルを施して、着色ガラス物品を製造する工程を含むことがある。
【0069】
第2の第61の態様A61.1によれば、着色ガラス物品を形成する方法は、ガラス組成物を熱処理して、ガラス物品を形成する工程であって、そのガラス組成物は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、7モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa2O、0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含み、R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である、工程;およびそのガラス物品に、500℃以上かつ800℃以下の温度および0.25時間以上かつ24時間以下の期間での熱処理サイクルを施して、着色ガラス物品を製造する工程を含むことがある。
【0070】
第62の態様A62は、熱処理サイクルの温度が550℃以上かつ775℃以下である、第61の態様A61または第2の第61の態様A61.1による方法を含む。
【0071】
第63の態様A63は、熱処理サイクルの期間が0.5時間以上かつ16時間以下である、第61から第62の態様のいずれか1つによる方法を含む。
【0072】
第64の態様A64は、2時間以上から12時間以下の期間に亘り350℃以上から500℃以下の温度のイオン交換浴内で着色ガラス物品を強化して、イオン交換済みのガラスセラミック物品を形成する工程をさらに含む、第61から第63の態様のいずれか1つによる方法を含む。
【0073】
第65の態様A65は、イオン交換浴がKNO3を含む、第64の態様A64による方法を含む。
【0074】
第66の態様A66は、イオン交換浴がNaNO3を含む、第65の態様A65による方法を含む。
【0075】
ここに記載された着色ガラス物品の追加の特徴と利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって認識されるであろう。
【0076】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を記載しており、請求項の主題の性質と特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることを理解すべきである。添付図面は、様々な実施の形態のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を示しており、説明とともに、請求項の主題の原理と作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】ここに記載された1つ以上の実施の形態による着色ガラス物品のいずれかを組み込んだ電子機器の平面図
【
図3】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ガラス組成物から製造され、熱処理が施された着色ガラス物品のCIELAB空間のa
*に対するR
2O-Al
2O
3のプロット(X軸:R
2O-Al
2O
3;Y軸:a
*)
【
図4】ここに記載された1つ以上の実施の形態による、ガラス組成物から製造され、熱処理が施された着色ガラス物品のCIELAB空間のb
*に対するR
2O-Al
2O
3のプロット(X軸:R
2O-Al
2O
3;Y軸:b
*)
【発明を実施するための形態】
【0078】
ここで、ガラス組成物および所望の色を有するそれから形成された着色ガラス物品の様々な実施の形態を詳しく参照する。実施の形態によれば、着色ガラス物品は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、5モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、0.5モル%以上かつ15モル%以下のNa2O、0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含む。R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ7モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である。実施の形態によれば、着色ガラス物品は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、7モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa2O、0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含む。R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である。
【0079】
着色ガラス物品およびその製造方法の様々な実施の形態が、添付図面を具体的に参照して、ここに説明されている。
【0080】
範囲は、「約」ある特定値から、および/または「約」別の特定値まで、とここに表現されることがある。そのような範囲が表現された場合、別の実施の形態は、そのある特定値から、および/または他方の特定値まで、を含む。同様に、値が、「約」という先行詞を使用して、近似として表現されている場合、その特定値が別の実施の形態を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点が、他方の端点に関してと、他方の端点とは関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0081】
ここに用いられている方向を示す用語-例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部-は、描かれた図面に関してのみ使用され、絶対的な向きを暗示する意図はない。
【0082】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程を特定の順序で行うことを必要とすると解釈されることも、またはどの装置についても、特定の向きが要求されていることも決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に挙げていない場合、または装置の請求項が、個々の構成部材に対する順序または向きを実際に列挙していない場合、もしくはそれらの工程が特定の順序に限定されるべきことが、請求項または説明において他に具体的に述べられていない場合、もしくは装置の構成部材に対する特定の順序または向きが列挙されていない場合、順序または向きがいかようにも暗示されることは決して意図されていない。このことは、工程の配列、操作の流れ、構成部材の順序、または構成部材の向き;文法構成または句読法に由来する明白な意味;および明細書に記載された実施の形態の数またはタイプに関する論理事項を含む、解釈に関するどの可能性のある非表現基準にも適用される。
【0083】
ここに用いられているように、名詞は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数の対象を含む。それゆえ、例えば、構成部材に対する言及は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、そのような構成部材を2つ以上有する態様を含む。
【0084】
ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品の実施の形態において、酸化物形態にある構成成分(例えば、SiO2、Al2O3など)の濃度は、特に明記のない限り、酸化物基準のモルパーセント(モル%)で規定されている。
【0085】
ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品の実施の形態において、AuおよびClの濃度は、特に明記のない限り、モルパーセント(モル%)で規定されている。
【0086】
「実質的に含まない」という用語は、ガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中の特定の構成成分の濃度および/または不在を記述するために使用される場合、その構成成分が、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品に意図的に加えられていないことを意味する。しかしながら、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.1モル%未満の量の汚染物質または混入物として微量の構成成分を含有することがある。
【0087】
「0モル%」および「含まない(free)」という用語は、ガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中の特定の構成成分の濃度および/または不在を記述するために使用される場合、その構成成分が、ガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中に存在しないことを意味する。
【0088】
破壊靱性(KIC)は、ガラス組成物が破壊に抵抗する能力を表す。破壊靱性は、ガラス物品のイオン交換(IOX)処理前のKIC値を測定する場合など、非強化ガラス物品に測定され、それによって、IOX前のガラス基板の特性を表す。ここに記載された破壊靱性試験法は、IOX処理が施されたガラスには適していない。しかし、IOX処理前の同じガラス(例えば、ガラス基板)にここに記載されたように行われる破壊靱性測定は、IOX処理後の破壊靱性と相関関係があり、したがって、そのように使用される。KIC値の測定に利用されるシェブロンノッチ付き小形角棒(CNSB)法は、Y*
mが、Bubsey,R.T.等の「Closed-Form Expressions for Crack-Mouth Displacement and Stress Intensity Factors for Chevron-Notched Short Bar and Short Rod Specimens Based on Experimental Compliance Measurements」NASA Technical Memorandum 83796、1~30頁(1992年10月) の式5を用いて計算されることを除いて、Reddy,K.P.R.等の「Fracture Toughness Measurement of Glass and Ceramic Materials Using Chevron-Notched Specimens」J.Am.Ceram.Soc., 71 [6], C-310-C-313(1988年)に開示されている。特に明記のない限り、全ての破壊靱性値は、シェブロンノッチ付き小形角棒(CNSB)法により測定された。
【0089】
ここに用いられている「液相粘度」という用語は、失透の開始時の(すなわち、ASTM C829-81による勾配炉法にしたがって決定される液相温度での)ガラス組成物の粘度を称する。
【0090】
表面圧縮応力は、有限会社折原製作所(日本国)により製造されているFSM-6000などの市販の機器などの表面応力計(FSM)により測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関係する応力光学係数(SOC)の測定に依存する。SOCは、次に、その内容がここに全て引用される、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM標準C770-16に記載された手順C(ガラスディスク法)にしたがって測定される。圧縮深さ(DOC)もFSMで測定される。最大中央張力(CT)値は、当該技術分野で公知の散乱光偏光器(SCALP)技術を使用して測定される。
【0091】
ここに用いられている「圧縮深さ」(DOC)という用語は、圧縮応力が引張応力に変わるガラス物品中の位置を称する。
【0092】
ここに用いられている「CIELAB色空間」という用語は、1976年に国際照明委員会(CIE)により定義された色空間を称する。この色空間は、3値として色を表す:黒(0)から白(100)の明度を表すL*、緑(-)から赤(+)のa*、および青(-)から黄(+)のb*。
【0093】
ここに用いられている「色域」という用語は、CIELAB色空間内で着色ガラス物品が呈することのある色のパレットを称する。
【0094】
ここに用いられている「光透過スペクトル」は、250nmから800nmの走査範囲、2nmの走査ステップ、0.5秒の信号加算平均、および2mmのスポットサイズで、Agilent Cary 60分光光度計を使用して得た。得られた光透過データを使用して、R.S.Bernsの「Billmeyer and Saltzman’s Principles of Color Technology」、第3版、John Wiley & Sons、New York(2000年)に記載されたようにCIELAB色空間内の座標をプロットした。
【0095】
所望の色および改善された機械的性質を有する着色ガラス物品を得るために、従来のアルミノケイ酸塩ガラス組成物に着色剤が添加されてきた。例えば、金(Au)ドープガラス物品は、一般に、赤、オレンジ、または紫に見える。しかしながら、アルミノケイ酸塩ガラス組成物に着色剤を含ませただけでは、所望の色が生じないことがある。
【0096】
優れたイオン交換性能および落下性能を維持しつつ、所望の色を有する着色ガラス物品を製造するために、アルミノケイ酸塩ガラス組成物にAuを添加できるような、上述した問題を軽減するガラス組成物およびそれから形成された着色ガラス物品が、ここに開示されている。具体的に、所望の色を得て、ガラス網状構造中のAu粒子の沈積を防ぐために、特定の構成成分の濃度が調節されることがある。
【0097】
ここに記載されたガラス組成物および着色ガラス物品は、アルミノホウケイ酸塩ガラス組成物および着色ガラス物品として記載されることがあり、SiO2、Al2O3、およびB2O3を含む。ここに記載されたガラス組成物および着色ガラス物品は、SiO2、Al2O3、およびB2O3に加え、所望の色を有する着色ガラス物品を製造するために、Auを含む。ここに記載されたガラス組成物および着色ガラス物品は、着色ガラス物品のイオン交換可能性を実現するために、Li2OやNa2Oなどのアルカリ酸化物も含む。それに加え、ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2OとAl2O3の差(すなわち、R2O(モル%)-Al2O3(モル%))は、所望の観測可能な色(例えば、ピンク、紫、赤、またはオレンジ)を生じるように調節されることがある。さらに、ガラス組成物の粘度は、得られる色域を限定するもしれない、溶融および成形中のガラス組成物の失透およびAuの沈積を防ぐために、調節されることがある。
【0098】
SiO2は、ここに記載されたガラス組成物中の主なガラス形成材であり、着色ガラス物品の網状構造を安定化させる機能を果たすことがある。そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSiO2の濃度は、ガラス組成物の化学的耐久性、特に、酸性溶液、塩基性溶液への曝露の際と水中の劣化に対するガラス組成物の耐性を向上させるのに十分に高い(例えば、50モル%以上)べきである。SiO2の量は、純粋なSiO2や高SiO2ガラスの融点は望ましくないほど高いので、ガラス組成物の融点を制御するために制限される(例えば、80モル%以下に)ことがある。それゆえ、SiO2の濃度を制限すると、結果として得られる着色ガラス物品の溶けやすさと成形性を改善するのに役立つであろう。
【0099】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、52モル%以上かつ75モル%以下のSiO2を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSiO2の濃度は、50モル%以上、52モル%以上、54モル%以上、56モル%以上、58モル%以上、またさらには60モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSiO2の濃度は、80モル%以下、75モル%以下、73モル%以下、71モル%以下、またさらには69モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSiO2の濃度は、50モル%以上かつ80モル%以下、50モル%以上かつ75モル%以下、50モル%以上かつ73モル%以下、50モル%以上かつ71モル%以下、50モル%以上かつ69モル%以下、52モル%以上かつ80モル%以下、52モル%以上かつ75モル%以下、52モル%以上かつ73モル%以下、52モル%以上かつ71モル%以下、52モル%以上かつ69モル%以下、54モル%以上かつ80モル%以下、54モル%以上かつ75モル%以下、54モル%以上かつ73モル%以下、54モル%以上かつ71モル%以下、54モル%以上かつ69モル%以下、56モル%以上かつ80モル%以下、56モル%以上かつ75モル%以下、56モル%以上かつ73モル%以下、56モル%以上かつ71モル%以下、56モル%以上かつ69モル%以下、58モル%以上かつ80モル%以下、58モル%以上かつ75モル%以下、58モル%以上かつ73モル%以下、58モル%以上かつ71モル%以下、58モル%以上かつ69モル%以下、50モル%以上かつ80モル%以下、60モル%以上かつ75モル%以下、60モル%以上かつ73モル%以下、60モル%以上かつ71モル%以下、またさらには60モル%以上かつ69モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0100】
Al2O3も、SiO2のように、ガラス網状構造を安定化させることがあり、それに加え、ガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品に改善された機械的性質および化学的耐久性を与える。Al2O3の量は、ガラス組成物の粘度を制御するために調整されることもある。Al2O3は、結果として得られるガラス組成物が所望の破壊靱性(例えば、0.7MPa・m1/2以上)を有するように含まれることがある。しかしながら、Al2O3の量が多すぎる(例えば、25モル%を超える)と、ガラス溶融物の粘度が増し、それによって、着色ガラス物品の成形性が損なわれることがある。
【0101】
したがって、実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、9モル%以上かつ23モル%以下のAl2O3を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、11モル%以上かつ20モル%以下のAl2O3を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のAl2O3の濃度は、7モル%以上、9モル%以上、11モル%以上、またさらには13モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のAl2O3の濃度は、25モル%以下、23モル%以下、20モル%以下、またさらには17モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のAl2O3の濃度は、7モル%以上かつ25モル%以下、7モル%以上かつ23モル%以下、7モル%以上かつ20モル%以下、7モル%以上かつ17モル%以下、9モル%以上かつ25モル%以下、9モル%以上かつ23モル%以下、9モル%以上かつ20モル%以下、9モル%以上かつ17モル%以下、11モル%以上かつ25モル%以下、11モル%以上かつ23モル%以下、11モル%以上かつ20モル%以下、11モル%以上かつ17モル%以下、13モル%以上かつ25モル%以下、13モル%以上かつ23モル%以下、13モル%以上かつ20モル%以下、13モル%以上かつ17モル%以下、またはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0102】
B2O3は、結果として得られる着色ガラス物品の損傷抵抗を改善するのに役立つ。それに加え、B2O3は、その存在が破壊靱性を低下させることがある、非架橋酸素の形成を減少させる。B2O3の濃度は、ガラス組成物の融点を低下させ、成形性を改善し、着色ガラス物品の破壊靱性を増加させるのに十分に高い(例えば、1モル%以上)であるべきである。しかしながら、B2O3が多すぎる(例えば、15モル%を超える)と、徐冷点および歪み点が低下することがあり、これにより、着色ガラス物品の応力緩和が増し、全体強度が低下してしまう。
【0103】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、2モル%以上かつ12モル%以下のB2O3を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、3モル%以上かつ10モル%以下のB2O3を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のB2O3の濃度は、1モル%以上、2モル%以上、3モル%以上、またさらには4モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のB2O3の濃度は、15モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、8モル%以下、またさらには6モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のB2O3の濃度は、1モル%以上かつ15モル%以下、1モル%以上かつ12モル%以下、1モル%以上かつ10モル%以下、1モル%以上かつ8モル%以下、1モル%以上かつ6モル%以下、2モル%以上かつ15モル%以下、2モル%以上かつ12モル%以下、2モル%以上かつ10モル%以下、2モル%以上かつ8モル%以下、2モル%以上かつ6モル%以下、3モル%以上かつ15モル%以下、3モル%以上かつ12モル%以下、3モル%以上かつ10モル%以下、3モル%以上かつ8モル%以下、3モル%以上かつ6モル%以下、4モル%以上かつ15モル%以下、4モル%以上かつ12モル%以下、4モル%以上かつ10モル%以下、4モル%以上かつ8モル%以下、またさらには4モル%以上かつ6モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0104】
先に述べたように、前記ガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、着色ガラス物品のイオン交換可能性を実現するために、Li2O、Na2O、およびK2Oなどのアルカリ酸化物を含有することがある。
【0105】
Li2Oは、着色ガラス物品のイオン交換可能性を支援し、ガラス組成物の軟化点を低下させ、それによって、着色ガラス物品の成形性を高めもする。それに加え、Li2Oは、ガラス組成物の融点を低下させ、このことは、Auの保持を改善するのに役立つであろう。そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のLi2Oの濃度は、ガラス組成物の融点を低下させ、イオン交換後に所望の最大中央張力(例えば、40MPa以上)を達成するのに十分に高い(例えば、5モル%以上)であるべきである。しかしながら、Li2Oの量が多すぎる(例えば、20モル%を超える)と、液相温度が高くなり、着色ガラス物品の製造可能性が低下することがある。
【0106】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、5モル%以上かつ20モル%以下、または7モル%以上かつ20モル%以下のLi2Oを含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、7モル%以上かつ18モル%以下のLi2Oを含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、9モル%以上かつ16モル%以下のLi2Oを含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のLi2Oの濃度は、5モル%以上、7モル%以上、またさらには9モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のLi2Oの濃度は、20モル%以下、18モル%以下、16モル%以下、14モル%以下、またさらには12モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のLi2Oの濃度は、5モル%以上かつ20モル%以下、5モル%以上かつ18モル%以下、5モル%以上かつ16モル%以下、5モル%以上かつ14モル%以下、5モル%以上かつ12モル%以下、7モル%以上かつ20モル%以下、7モル%以上かつ18モル%以下、7モル%以上かつ16モル%以下、7モル%以上かつ14モル%以下、7モル%以上かつ12モル%以下、9モル%以上かつ20モル%以下、9モル%以上かつ18モル%以下、9モル%以上かつ16モル%以下、9モル%以上かつ14モル%以下、またさらには9モル%以上かつ12モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0107】
Na2Oは、ガラス中のアルカリイオンの拡散性を改善し、それによって、イオン交換時間を減少させ、所望の表面圧縮応力(例えば、300MPa以上)を達成するのに役立つ。Na2Oは、着色ガラス物品の成形性を改善もする。しかしながら、ガラス組成物に添加されるNa2Oが多すぎると、融点が低くなりすぎることがある。それゆえ、実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中に存在するLi2Oの濃度は、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中に存在するNa2Oの濃度より大きいことがある。
【0108】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.5モル%以上かつ15モル%以下、または0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa2Oを含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、1モル%以上かつ12モル%以下のNa2Oを含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、2モル%以上かつ10モル%以下のNa2Oを含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のNa2Oの濃度は、0.5モル%以上、1モル%以上、2モル%以上、3モル%以上、またさらには4モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のNa2Oの濃度は、15モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、8モル%以下、またさらには6モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のNa2Oの濃度は、0.5モル%以上かつ15モル%以下、0.5モル%以上かつ12モル%以下、0.5モル%以上かつ10モル%以下、0.5モル%以上かつ8モル%以下、0.5モル%以上かつ6モル%以下、1モル%以上かつ15モル%以下、1モル%以上かつ12モル%以下、1モル%以上かつ10モル%以下、1モル%以上かつ8モル%以下、1モル%以上かつ6モル%以下、2モル%以上かつ15モル%以下、2モル%以上かつ12モル%以下、2モル%以上かつ10モル%以下、2モル%以上かつ8モル%以下、2モル%以上かつ6モル%以下、3モル%以上かつ15モル%以下、3モル%以上かつ12モル%以下、3モル%以上かつ10モル%以下、3モル%以上かつ8モル%以下、3モル%以上かつ6モル%以下、4モル%以上かつ15モル%以下、4モル%以上かつ12モル%以下、4モル%以上かつ10モル%以下、4モル%以上かつ8モル%以下、またさらには4モル%以上かつ6モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0109】
K2Oは、イオン交換を促進するものであり、圧縮深さを増加させ、融点を低下させて、着色ガラス物品の成形性を改善することがある。しかしながら、あまりに多くのK2Oを添加すると、表面圧縮応力および融点が低くなりすぎることがある。したがって、実施の形態において、ガラス組成物に添加されるK2Oの量は、制限されることがある。
【0110】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0モル%超かつ1モル%以下のK2Oを含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.1モル%超かつ0.5モル%以下のK2Oを必要に応じて含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のK2Oの濃度は、0モル%超、またさらには0.1モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のK2Oの濃度は、1モル%以下、0.5モル%以下、またさらには0.25モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のK2Oの濃度は、0モル%超かつ1モル%以下、0モル%超かつ0.5モル%以下、0モル%超かつ0.25モル%以下、0.1モル%以上かつ1モル%以下、0.1モル%以上かつ0.5モル%以下、またさらには0.1モル%以上かつ0.25モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0111】
ここに用いられているように、R2Oは、ガラス組成物中に存在するNa2O、K2O、およびLi2Oの合計(モル%)(すなわち、R2O=Na2O(モル%)+K2O(モル%)+Li2O(モル%))である。ここに述べたように、Na2O、K2O、およびLi2Oなどのアルカリ酸化物は、ガラス組成物の軟化点と成形温度を低下させ、それによって、例えば、ガラス組成物中のSiO2の量が多いために、ガラス組成物の軟化点と成形温度が上昇するのを相殺するのに役立つ。軟化点と成形温度は、ガラス組成物中のアルカリ酸化物の組合せ(例えば、2種類以上のアルカリ酸化物)を導入することによって、さらに低下させることができ、これは、「混合アルカリ効果」と称される現象である。しかしながら、アルカリ酸化物の量が多すぎると、ガラス組成物の平均熱膨張係数が100×10-7/℃を超えて高まる(これは望ましくないであろう)ことが分かった。
【0112】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2Oの濃度は、6モル%以上かつ25モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2Oの濃度は、8モル%以上かつ23モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2Oの濃度は、6モル%以上、8モル%以上、10モル%超、12モル%以上、またさらには14モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2Oの濃度は、25モル%以下、23モル%以下、20モル%以下、またさらには18モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2Oの濃度は、6モル%以上かつ25モル%以下、6モル%以上かつ23モル%以下、6モル%以上かつ20モル%以下、6モル%以上かつ18モル%以下、8モル%以上かつ25モル%以下、8モル%以上かつ23モル%以下、8モル%以上かつ20モル%以下、8モル%以上かつ18モル%以下、10モル%以上かつ25モル%以下、10モル%以上かつ23モル%以下、10モル%以上かつ20モル%以下、10モル%以上かつ18モル%以下、12モル%以上かつ25モル%以下、12モル%以上かつ23モル%以下、12モル%以上かつ20モル%以下、12モル%以上かつ18モル%以下、14モル%以上かつ25モル%以下、14モル%以上かつ23モル%以下、14モル%以上かつ20モル%以下、またさらには14モル%以上かつ18モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0113】
実施の形態において、ガラス組成物中のR2OとAl2O3との間の差(すなわち、R2O(モル%)-Al2O3(モル%))は、所望の観測可能な色(例えば、ピンク、紫、赤、またはオレンジ)を生じるように調節されることがある。結果として得られる着色ガラス物品の分析R2O-Al2O3は、熱処理の温度と時間と共に、ここに述べられるように、熱処理後の着色ガラス物品の観測可能な色と相関することがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ7モル%以下、または-5モル%以上かつ5モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、-3モル%以上かつ6モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、-1モル%以上かつ5モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ1.5モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、-3モル%以上かつ1.5モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、1.5モル%以上かつ7モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、1.5モル%以上かつ5モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、-5モル%以上、-3モル%以上、-1モル%以上、0モル%以上、またさらには1.5モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、7モル%以下、5モル%以下、3モル%以下、またさらには1.5モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のR2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ7モル%以下、-5モル%以上かつ5モル%以下、-5モル%以上かつ3モル%以下、-5モル%以上かつ1.5モル%以下、-3モル%以上かつ7モル%以下、-3モル%以上かつ5モル%以下、-3モル%以上かつ3モル%以下、-3モル%以上かつ1.5モル%以下、-1モル%以上かつ7モル%以下、-1モル%以上かつ5モル%以下、-1モル%以上かつ3モル%以下、-1モル%以上かつ1.5モル%以下、0モル%以上かつ7モル%以下、0モル%以上かつ5モル%以下、0モル%以上かつ3モル%以下、0モル%以上かつ1.5モル%以下、1.5モル%以上かつ7モル%以下、1.5モル%以上かつ5モル%以下、またさらには1.5モル%以上かつ3モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0114】
ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、ZrO2をさらに含むことがある。ZrO2は、Auに加えて、着色剤の機能を果たし、例えば、赤色である着色ガラス物品を生成することがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.01モル%以上かつ2モル%以下のZrO2を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.1モル%以上かつ1.5モル%以下のZrO2を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物中のZrO2の濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、0.1モル%以上、またさらには0.2モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物中のZrO2の濃度は、2モル%以下、1.5モル%以下、1モル%以下、0.75モル%以下、またさらには0.5モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物中のZrO2の濃度は、0モル%以上かつ2モル%以下、0モル%以上かつ1.5モル%以下、0モル%以上かつ1モル%以下、0モル%以上かつ0.75モル%以下、0モル%以上かつ0.5モル%以下、0.01モル%以上かつ2モル%以下、0.01モル%以上かつ1.5モル%以下、0.01モル%以上かつ1モル%以下、0.01モル%以上かつ0.75モル%以下、0.01モル%以上かつ0.5モル%以下、0.1モル%以上かつ2モル%以下、0.1モル%以上かつ1.5モル%以下、0.1モル%以上かつ1モル%以下、0.1モル%以上かつ0.75モル%以下、0.1モル%以上かつ0.5モル%以下、0.2モル%以上かつ2モル%以下、0.2モル%以上かつ1.5モル%以下、0.2モル%以上かつ1モル%以下、0.2モル%以上かつ0.75モル%以下、またさらには0.2モル%以上かつ0.5モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、ZrO2を含まない、または実質的に含まないことがある。
【0115】
ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、Fe2O3をさらに含むことがある。Fe2O3も、Auに加えて、着色剤の機能を果たし、例えば、ピンク色または赤色である着色ガラス物品を生成することがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.01モル%以上かつ1モル%以下のFe2O3を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.05モル%以上かつ1モル%以下のFe2O3を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のFe2O3の濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、またさらには0.05モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のFe2O3の濃度は、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、またさらには0.25モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のFe2O3の濃度は、0モル%以上かつ1モル%以下、0モル%以上かつ0.75モル%以下、0モル%以上かつ0.5モル%以下、0モル%以上かつ0.25モル%以下、0.01モル%以上かつ1モル%以下、0.01モル%以上かつ0.75モル%以下、0.01モル%以上かつ0.5モル%以下、0.01モル%以上かつ0.25モル%以下、0.05モル%以上かつ1モル%以下、0.05モル%以上かつ0.75モル%以下、0.05モル%以上かつ0.5モル%以下、またさらには0.05モル%以上かつ0.25モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、Fe2O3を含まない、または実質的に含まないことがある。
【0116】
ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、1種類以上の清澄剤をさらに含むことがある。実施の形態において、清澄剤として、例えば、SnO2が挙げられるであろう。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.01モル%以上かつ1モル%以下のSnO2を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.05モル%以上かつ0.75モル%以下のSnO2を含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSnO2の濃度は、0モル%以上、0.01モル%以上、または0.05モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSnO2の濃度は、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、またさらには0.25モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSnO2の濃度は、0モル%以上かつ1モル%以下、0モル%以上かつ0.75モル%以下、0モル%以上かつ0.5モル%以下、0モル%以上かつ0.25モル%以下、0.01モル%以上かつ1モル%以下、0.01モル%以上かつ0.75モル%以下、0.01モル%以上かつ0.5モル%以下、0.01モル%以上かつ0.25モル%以下、0.05モル%以上かつ1モル%以下、0.05モル%以上かつ0.75モル%以下、0.05モル%以上かつ0.5モル%以下、またさらには0.01モル%以上かつ0.25モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、SnO2を含まない、または実質的に含まないことがある。
【0117】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、MgO、ZnO、CaO、SrO、およびBaOなどのアルカリ土類酸化物を含むことがある。
【0118】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のMgOの濃度は、0モル%以上、またさらには0.5モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のMgOの濃度は、2モル%以下、またさらには1モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のMgOの濃度は、0モル%以上かつ2モル%以下、0モル%以上かつ1モル%以下、0.5モル%以上かつ2モル%以下、またさらには0.5モル%以上かつ1モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、MgOを含まない、または実質的に含まないことがある。
【0119】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のZnOの濃度は、0モル%以上、またさらには0.5モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のZnOの濃度は、2モル%以下、またさらには1モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のZnOの濃度は、0モル%以上かつ2モル%以下、0モル%以上かつ1モル%以下、0.5モル%以上かつ2モル%以下、またさらには0.5モル%以上かつ1モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、ZnOを含まない、または実質的に含まないことがある。
【0120】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のCaOの濃度は、0モル%以上、または0.5モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のCaOの濃度は、2モル%以下、または1モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のCaOの濃度は、0モル%以上かつ2モル%以下、0モル%以上かつ1モル%以下、0.5モル%以上かつ2モル%以下、またさらには0.5モル%以上かつ1モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、CaOを含まない、または実質的に含まないことがある。
【0121】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSrOの濃度は、0モル%以上、または0.5モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSrOの濃度は、2モル%以下、または1モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のSrOの濃度は、0モル%以上かつ2モル%以下、0モル%以上かつ1モル%以下、0.5モル%以上かつ2モル%以下、またさらには0.5モル%以上かつ1モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、SrOを含まない、または実質的に含まないことがある。
【0122】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のBaOの濃度は、0モル%以上、または0.5モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のBaOの濃度は、2モル%以下、または1モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のBaOの濃度は、0モル%以上かつ2モル%以下、0モル%以上かつ1モル%以下、0.5モル%以上かつ2モル%以下、またさらには0.5モル%以上かつ1モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、BaOを含まない、または実質的に含まないことがある。
【0123】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、Clを含むことがあり、これにより、特定のAu粒子の成長が可能になることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のClの濃度は、0モル%以上、または0.1モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のClの濃度は、0.5モル%以下、または0.25モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のClの濃度は、0モル%以上かつ0.5モル%以下、0モル%以下、0.25モル%以下、0.1モル%以上かつ0.5モル%以下、またさらには0.1モル%以上かつ0.25モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、Clを含まない、または実質的に含まないことがある。
【0124】
実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、MgO、CaO、ZnO、Cl、またはその組合せを含まない、または実質的に含まないことがある。
【0125】
ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、所望の色を得るために着色剤としてAuをさらに含む。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAuを含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、0.0001モル%以上かつ0.1モル%以下のAuを含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のAuの濃度は、1×10-6モル%以上、1×10-5モル%以上、0.0001モル%以上、0.0005モル%以上、またさらには0.001モル%以上であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のAuの濃度は、1モル%以下、0.75モル%以下、0.5モル%以下、0.25モル%以下、0.1モル%以下、0.05モル%以下、またさらには0.01モル%以下であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中のAuの濃度は、1×10-6モル%以上かつ0.75モル%以下、1×10-6モル%以上かつ0.5モル%以下、1×10-6モル%以上かつ0.25モル%以下、1×10-6モル%以上かつ0.1モル%以下、1×10-6モル%以上かつ0.05モル%以下、1×10-6モル%以上かつ0.01モル%以下、1×10-5モル%以上かつ1モル%以下、1×10-5モル%以上かつ0.75モル%以下、1×10-5モル%以上かつ0.5モル%以下、1×10-5モル%以上かつ0.25モル%以下、1×10-5モル%以上かつ0.1モル%以下、1×10-5モル%以上かつ0.05モル%以下、1×10-5モル%以上かつ0.01モル%以下、0.0001モル%以上かつ1モル%以下、0.0001モル%以上かつ0.75モル%以下、0.0001モル%以上かつ0.5モル%以下、0.0001モル%以上かつ0.25モル%以下、0.0001モル%以上かつ0.1モル%以下、0.0001モル%以上かつ0.05モル%以下、0.0001モル%以上かつ0.01モル%以下、0.0005モル%以上かつ1モル%以下、0.0005モル%以上かつ0.75モル%以下、0.0005モル%以上かつ0.5モル%以下、0.0005モル%以上かつ0.25モル%以下、0.0005モル%以上かつ0.1モル%以下、0.0005モル%以上かつ0.05モル%以下、0.0005モル%以上かつ0.01モル%以下、0.001モル%以上かつ1モル%以下、0.001モル%以上かつ0.75モル%以下、0.001モル%以上かつ0.5モル%以下、0.001モル%以上かつ0.25モル%以下、0.001モル%以上かつ0.1モル%以下、0.001モル%以上かつ0.05モル%以下、またさらには0.001モル%以上かつ0.01モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0126】
実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、TiO2、MnO、MoO3、WO3、Y2O3、CdO、As2O3などの混入物、硫酸塩などの硫黄系化合物、ハロゲン、またはその組合せをさらに含むことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、TiO2、MnO、MoO3、WO3、Y2O3、CdO、As2O3などの混入物、硫酸塩などの硫黄系化合物、ハロゲン、またはその組合せを含まない、または実質的に含まないことがある。実施の形態において、そのガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品中に、抗菌成分、化学的清澄剤、または他の追加の成分が含まれることがある。
【0127】
実施の形態において、ガラス組成物の粘度は、溶融および成形の最中にガラス組成物の失透およびAu粒子の形成を防ぐために調節されることがある。溶融前にAu粒子が形成されると、熱処理によって得られるであろう色域が限定されることがある。したがって、実施の形態において、所望の粘度を達成し、それによって、溶融前にAu粒子が形成されるのを防ぐために、ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、-609モル%超の関係5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)を満たすことがある。実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、-609モル%超、-575モル%以上、-550モル%以上、またさらには-525モル%以上の関係5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)を満たすことがある。実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、-400モル%以下、-425モル%以下、またさらには-450モル%以下の関係5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)を満たすことがある。実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、-609モル%超かつ-400モル%以下、-609モル%超かつ-425モル%以下、-609モル%超かつ-450モル%以下、-575モル%以上かつ-400モル%以下、-575モル%以上かつ-425モル%以下、-57モル%以上かつ-450モル%以下、-550モル%以上かつ-400モル%以下、-550モル%以上かつ-425モル%以下、-550モル%以上かつ-450モル%以下、-525モル%以上かつ-400モル%以下、-525モル%以上かつ-425モル%以下、またさらには-525モル%以上かつ-450モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にある関係5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)を満たすことがある。
【0128】
実施の形態において、ガラス物品を製造する過程は、ここに記載されたガラス組成物を1つ以上の事前選択された時間に亘り1つ以上の事前選択された温度で熱処理して、ガラスの均質化を誘発する工程を含む。実施の形態において、ガラス物品を製造するための熱処理は、(i)ガラス組成物を1~100℃/分の速度でガラス均質化温度に加熱する工程、(ii)そのガラス組成物を0.25時間以上かつ4時間以下の期間に亘りガラス均質化温度に維持して、ガラス物品を製造する工程、および(iii)形成されたガラス物品を室温に冷却する工程を含むことがある。実施の形態において、ガラス均質化温度は、300℃以上かつ700℃以下であることがある。
【0129】
ここに記載されたガラス組成物は、Au、R2O、およびAl2O3を含む。R2OとAl2O3の濃度は、R2O-Al2O3の差が、Auとの組合せで、所望の色(例えば、ピンク、紫、赤、またはオレンジ)を有する着色ガラス物品を生成するように調節されることがある。実施の形態において、着色ガラス物品は、F2光源および10°の標準観測角度の下、1.33mmの物品厚で測定して、50以上かつ100以下のL*、-15以上かつ25以下のa*、および-25以上かつ25以下のb*のCIELAB色空間における透過率色座標を有することがある。
【0130】
比較的低濃度のR2O-Al2O3(例えば、1.5モル%以下)で、青または紫色のガラス物品が生じることがある。比較的高濃度のR2O-Al2O3(例えば、1.5モル%超)でオレンジまたは赤色のガラス物品が生じることがある。
【0131】
例えば、実施の形態において、R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ1.5モル%以下であることがあり、b*は、-25以上かつ10以下であることがある。実施の形態において、R2O-Al2O3は、-3モル%以上かつ1.5モル%以下であることがあり、b*は、-15以上かつ7以下であることがある。実施の形態において、R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ1.5モル%以下、-3モル%以上かつ1.5モル%以下、-1モル%以上かつ1.5モル%以下、またさらには0モル%以上かつ1.5モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがあり;b*は、-25以上かつ10以下、-25以上かつ7以下、-25以上かつ5以下、-15以上かつ10以下、-15以上かつ7以下、-15以上かつ5以下、-10以上かつ10以下、-10以上かつ7以下、またさらには-10以上かつ5以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0132】
実施の形態において、R2O-Al2O3は、1.5モル%超かつ7モル%以下であることがあり、b*は、0以上かつ25以下であることがある。実施の形態において、R2O-Al2O3は、1.5モル%超かつ5モル%以下であることがあり、b*は、0以上かつ15以下であることがある。実施の形態において、R2O-Al2O3は、1.5モル%超かつ7モル%以下、1.5モル%超かつ5モル%以下、またさらには1.5モル%超かつ3モル%以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがあり、b*は、0以上かつ25以下、0以上かつ15以下、0以上かつ10以下、2.5以上かつ25以下、2.5以上かつ15以下、2.5以上かつ10以下、5以上かつ25以下、5以上かつ15以下、またさらには5以上かつ10以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にあることがある。
【0133】
実施の形態において、ガラス組成物および結果として得られる着色ガラス物品は、60モル%以上かつ70モル%以下のSiO2、11モル%以上かつ17モル%以下のAl2O3、2モル%以上かつ8モル%以下のB2O3、9モル%以上かつ14モル%以下のLi2O、2モル%以上かつ6モル%以下のNa2O、0.1モル%以上かつ0.5モル%以下のK2O、および1×10-6モル%以上かつ0.05モル%以下のAuを含むことがある。これらの実施の形態において、R2O-Al2O3は、0モル%以上かつ3モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である。
【0134】
結果として得られる着色ガラス物品を生成するために使用される熱処理サイクルを変えることによって、色域内で異なる色座標が得られることがある。その熱処理サイクルは、環境(すなわち、炉)の温度およびサイクルの期間(すなわち、ガラス物品が加熱環境に曝露される時間)によって特徴付けられる。ここに用いられているように、「熱処理サイクルの温度」という句は、環境(すなわち、炉)の温度を称する。実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物から形成されるガラス物品は、等温炉内で熱処理されて、結果として得られる着色ガラス物品を生成する。
【0135】
実施の形態において、熱処理サイクルの温度は、500℃以上、550℃以上、575℃以上、600℃以上、625℃以上、またさらに650℃以上である。実施の形態において、熱処理サイクルの温度は、800℃以下、775℃以下、750℃以下、725℃以下、またさらには700℃以下であることがある。実施の形態において、熱処理サイクルの温度は、500℃以上かつ800℃以下、500℃以上かつ775℃以下、500℃以上かつ750℃以下、500℃以上かつ725℃以下、550℃以上かつ700℃以下、550℃以上かつ800℃以下、550℃以上かつ775℃以下、550℃以上かつ750℃以下、550℃以上かつ725℃以下、550℃以上かつ700℃以下、575℃以上かつ800℃以下、575℃以上かつ775℃以下、575℃以上かつ750℃以下、575℃以上かつ725℃以下、575℃以上かつ700℃以下、600℃以上かつ800℃以下、600℃以上かつ775℃以下、600℃以上かつ750℃以下、600℃以上かつ725℃以下、600℃以上かつ700℃以下、625℃以上かつ800℃以下、625℃以上かつ775℃以下、625℃以上かつ750℃以下、625℃以上かつ725℃以下、625℃以上かつ700℃以下、650℃以上かつ800℃以下、650℃以上かつ775℃以下、650℃以上かつ750℃以下、650℃以上かつ725℃以下、またさらには650℃以上かつ700℃以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にある。
【0136】
実施の形態において、熱処理サイクルの期間は、0.25時間以上、0.5時間以上、1時間以上、またさらには2時間以上である。実施の形態において、熱処理サイクルの期間は、24時間以下、16時間以下、8時間以下、またさらには4時間以下である。実施の形態において、熱処理サイクルの期間は、0.25時間以上かつ24時間以下、0.25時間以上かつ16時間以下、0.25時間以上かつ8時間以下、0.25時間以上かつ4時間以下、0.5時間以上かつ24時間以下、0.5時間以上かつ16時間以下、0.5時間以上かつ8時間以下、0.5時間以上かつ4時間以下、1時間以上かつ24時間以下、1時間以上かつ16時間以下、1時間以上かつ8時間以下、1時間以上かつ4時間以下、2時間以上かつ24時間以下、2時間以上かつ16時間以下、2時間以上かつ8時間以下、またさらには2時間以上かつ4時間以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にある。
【0137】
ここに記載されたガラス組成物から形成される着色ガラス物品は、着色ガラス物品の特定の用途に応じて異なるであろう、どの適切な厚さを有してもよい。実施の形態において、その着色ガラス物品は、250μm以上かつ6mm以下、250μm以上かつ4mm以下、250μm以上かつ2mm以下、250μm以上かつ1mm以下、250μm以上かつ750μm以上かつ250μm以上かつ500μm以下、500μm以上かつ6mm以下、500μm以上かつ4mm以下、500μm以上かつ2mm以下、500μm以上かつ1mm以下、500μm以上かつ750μm以上かつ750μm以上かつ6mm以下、750μm以上かつ4mm以下、750μm以上かつ2mm以下、750μm以上かつ1mm以下、1mm以上かつ6mm以下、1mm以上かつ4mm以下、1mm以上かつ2mm以下、2mm以上かつ6mm以下、2mm以上かつ4mm以下、またさらには4mm以上かつ6mm以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲の厚さを有することがある。
【0138】
先に述べたように、ここに記載されたガラス組成物から形成される着色ガラス物品は、着色ガラス物品が損傷に対してより抵抗性であるように増加した破壊靱性を有することがある。実施の形態において、その着色ガラス物品は、CNSB法で測定して、0.7MPa・m1/2以上の、イオン交換前の破壊靱性KICを有することがある。実施の形態において、その着色ガラス物品は、CNSB法で測定して、0.7MPa・m1/2以上、0.8MPa・m1/2以上、0.9MPa・m1/2以上、またさらには1.0MPa・m1/2以上の、イオン交換前の破壊靱性KICを有することがある。
【0139】
実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物は、そのガラス組成物から製造された着色ガラス物品の強化を促進するために、イオン交換可能である。典型的なイオン交換過程において、ガラス組成物中のより小さい金属イオンが、そのガラス組成物から製造された着色ガラス物品の外面に近い層内にある同じ価数のより大きい金属イオンと置換、すなわち「交換」される。大きい方のイオンで小さい方のイオンが置換されることにより、ガラス組成物から製造された着色ガラス物品の層内に圧縮応力が生じる。実施の形態において、それらの金属イオンは、一価の金属イオン(すなわち、Li+、Na+、K+など)であり、イオン交換は、着色ガラス物品中の小さい方の金属イオンを交換することになっている大きい方の金属イオンの少なくとも1種類の溶融塩を含む浴中に、ガラス組成物から製造されたガラス物品を浸漬することによって、行われる。あるいは、一価イオンは、Ag+、Tl+、Cu+などの他の一価イオンと交換されることがある。ガラス組成物から製造された着色ガラス物品を強化するために使用されるイオン交換過程には、着色ガラス物品をイオン交換媒体と接触させる工程を含むことがある。実施の形態において、イオン交換媒体は、溶融塩浴であることがある。例えば、イオン交換過程には、以下に限られないが、1つの浴中の浸漬、または浸漬の間に随意的な洗浄工程および/または徐冷工程が行われる、同様のまたは異なる組成の多数の浴中の浸漬があるであろう。
【0140】
イオン交換溶液(例えば、KNO3および/またはNaNO3溶融塩浴)は、着色ガラス物品に暴露される際に、実施の形態によれば、350℃以上かつ500℃以下、360℃以上かつ450℃以下、370℃以上かつ440℃以下、360℃以上かつ420℃以下、370℃以上かつ400℃以下、375℃以上かつ475℃以下、400℃以上かつ500℃以下、410℃以上かつ490℃以下、420℃以上かつ480℃以下、430℃以上かつ470℃以下、またさらには440℃以上かつ460℃以下、もしくは先の値の間の任意と全ての部分的範囲内の温度であることがある。実施の形態において、その着色ガラス物品は、2時間以上かつ24時間以下、2時間以上かつ12時間以下、2時間以上かつ6時間以下、8時間以上かつ24時間以下、6時間以上かつ24時間以下、6時間以上かつ12時間以下、8時間以上かつ24時間以下、またさらには8時間以上かつ12時間以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲内の期間に亘りイオン交換溶液に暴露されることがある。
【0141】
実施の形態において、ガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、または100μm以上の圧縮深さを達成するようにイオン交換されることがある。実施の形態において、そのガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、厚さ「t」を有することがあり、0.15t以上、0.17t以上、またさらには0.2t以上の圧縮深さを達成するようにイオン交換されることがある。実施の形態において、そのガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、厚さ「t」を有することがあり、0.3t以下、0.27t以下、またさらには0.25t以下の圧縮深さを達成するようにイオン交換されることがある。実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、厚さ「t」を有することがあり、0.15t以上かつ0.3t以下、0.15t以上かつ0.27t以下、0.15t以上かつ0.25t以下、0.17t以上かつ0.3t以下、0.17t以上かつ0.27t以下、0.17t以上かつ0.25t以下、0.2t以上かつ0.3t以下、0.2t以上かつ0.27t以下、またさらには0.2t以上かつ0.25t以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にある圧縮深さを達成するようにイオン交換されることがある。
【0142】
この表面圧縮層の発生は、イオン交換されていない材料と比べて、より良好な亀裂抵抗およびより高い曲げ強度を達成するために有益である。この表面圧縮層は、着色ガラス物品の本体(すなわち、表面圧縮を含まない区域)に関する着色ガラス物品中に交換されたイオンの濃度と比べて、着色ガラス物品中に交換されたイオンの濃度が高い。実施の形態において、そのガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、300MPa以上、400MPa以上、500MPa以上、またさらには600MPa以上の、イオン交換強化後の表面圧縮応力を有することがある。実施の形態において、そのガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、1GPa以下、900MPa以下、またさらには800MPa以下の、イオン交換強化後の表面圧縮応力を有することがある。実施の形態において、そのガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、300MPa以上かつ1GPa以下、300MPa以上かつ900MPa以下、300MPa以上かつ800MPa以下、400MPa以上かつ1GPa以下、400MPa以上かつ900MPa以下、400MPa以上かつ800MPa以下、500MPa以上かつ1GPa以下、500MPa以上かつ900MPa以下、500MPa以上かつ800MPa以下、600MPa以上かつ1GPa以下、600MPa以上かつ900MPa以下、600MPa以上かつ800 MPa以下の、イオン交換強化後の表面圧縮応力を有することがある。
【0143】
実施の形態において、そのガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、40MPa以上、60MPa以上、80MPa以上、またさらには100MPa以上の、イオン交換強化後の最大中央張力を有することがある。実施の形態において、そのガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、250MPa以下、200MPa以下、またさらには150MPa以下の、イオン交換強化後の最大中央張力を有することがある。実施の形態において、そのガラス組成物から製造される着色ガラス物品は、40MPa以上かつ250MPa以下、40MPa以上かつ200MPa以下、40MPa以上かつ150MPa以下、60MPa以上かつ250MPa以下、60MPa以上かつ200MPa以下、60MPa以上かつ150MPa以下、80MPa以上かつ250MPa以下、80MPa以上かつ200MPa以下、80MPa以上かつ150MPa以下、100MPa以上かつ250MPa以下、100MPa以上かつ200MPa以下、またさらには100MPa以上かつ150MPa以下、もしくはこれらの端点のいずれかから形成された任意と全ての部分的範囲にある、イオン交換強化後の最大中央張力を有することがある。ここに用いられているように、中央張力は、特に明記のない限り、最大中央張力値を称する。
【0144】
ここに記載された着色ガラス物品は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、パーソナルコンピュータ、ウルトラブック、テレビ、およびカメラなどの消費者向けまたは民間用電子機器における裏蓋用途を含む多種多様な用途に使用されることがある。ここに開示された着色ガラス物品のいずれかを組み込んだ例示の物品が、
図1および2に示されている。具体的に、
図1および2は、前面104、背面106、および側面108を有する筐体102;筐体の少なくとも部分的に内部にあるか、またはその中に完全にあり、少なくとも制御装置、メモリ、およびその筐体の前面またはそれに隣接するディスプレイ110を含む電気部品;およびディスプレイを覆うように筐体の前面にあるまたはそれを覆うカバー基板112を備えた消費者向け電子機器100を示している。実施の形態において、背面106などの筐体102の少なくとも一部は、ここに開示された着色ガラス物品のいずれを含んでもよい。
【実施例】
【0145】
様々な実施の形態をより容易に理解するために、ここに記載された着色ガラス物品の様々な実施の形態を示す、以下の実施例を参照する。
【0146】
表1は、結果として得られる着色ガラス物品の分析濃度(モル%で表されている)を含む、例示の組成物C1~C26を示す。
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
ここで表2を参照すると、例示のガラス物品A1~A52は、表1に示された例示の組成物C2~C9およびC15~C23から形成され、表2に示された期間に亘る、表示の温度での熱処理が施された。F2光源および10°の標準観測角度の下、1.33mmの物品厚で測定された、CIELAB色空間における透過率色座標、および結果として得られる着色ガラス物品の観測可能な色が、表2に示されている。
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
ここで表3を参照すると、例示のガラス物品A53~A114は、表1に示された例示の組成物C1~C14およびC24~C26から形成され、表3に示された期間に亘る、表示の温度での熱処理が施された。結果として得られる着色ガラス物品の観測可能な色が、表3に示されている。
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
ここで
図3および4を参照すると、例示のガラス物品A29~A44のR
2O-Al
2O
3と、それぞれ、a
*およびb
*との関係が、プロットに示されている。
図3に示されるように、a
*は、R
2O-Al
2O
3の値にかかわらず、正数であり、それによって、CIELAB色空間の赤側に向かう観測可能な色が生じた。
図4に示されるように、R
2O-Al
2O
3が増加するにつれて、b
*が増加し、それによって、観測可能な色が、青色から黄色にシフトした。例えば、それぞれ、0.07モル%および0.04モル%の分析R
2O-Al
2O
3を有する例示の組成物C8およびC9から形成された例示のガラス物品A35およびA36は、それぞれ、-9.39および-8.92のb
*を有し、観測可能な紫色のガラス物品が得られた。それぞれ、2.98モル%および2.02モル%の分析R
2O-Al
2O
3を有する例示の組成物C2およびC3から形成された例示のガラス物品A29およびA30は、それぞれ、9.97および10.51のb
*を有し、観測可能なオレンジ色のガラス物品および観測可能な赤色のガラス物品が得られた。
【0175】
さらに、それぞれ、Fe2O3およびZrO2を含む例示のガラス組成物C6およびC7から形成された例示のガラス物品A33およびA34は、観測可能な赤色を有した。
【0176】
表2および3並びに
図3および4に示されるように、分析R
2O-Al
2O
3は、調節されることがあり、追加の成分がガラス組成物に添加されることがあり、ガラス物品に特定の熱処理が施されて、所望の着色ガラス物品を提供することがある。
【0177】
請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、ここに記載された実施の形態に様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本明細書は、ここに記載された様々な実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に入るという前提で、包含することが意図されている。
【0178】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0179】
実施形態1
着色ガラス物品であって、
50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、
7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、
1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、
7モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、
0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa2O、
0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および
1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAu、
を含み、
R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である、着色ガラス物品。
【0180】
実施形態2
前記着色ガラス物品が、F2光源および10°の標準観測角度の下、1.33mmの物品厚で測定して、
50以上かつ100以下のL*、
-15以上かつ25以下のa*、および
-25以上かつ25以下のb*、
のCIELAB色空間における透過率色座標を有する、実施形態1に記載の着色ガラス物品。
【0181】
実施形態3
R2O-Al2O3が、-5モル%以上かつ1.5モル%以下であり、b*が-25以上かつ10以下である、実施形態2に記載の着色ガラス物品。
【0182】
実施形態4
R2O-Al2O3が、-3モル%以上かつ1.5モル%以下であり、b*が-15以上かつ7以下である、実施形態3に記載の着色ガラス物品。
【0183】
実施形態5
R2O-Al2O3が、1.5モル%超かつ5モル%以下であり、b*が0以上かつ25以下である、実施形態2に記載の着色ガラス物品。
【0184】
実施形態6
R2O-Al2O3が、1.5モル%超かつ5モル%以下であり、b*が0以上かつ15以下である、実施形態5に記載の着色ガラス物品。
【0185】
実施形態7
R2O-Al2O3が、-3モル%以上かつ5モル%以下である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0186】
実施形態8
R2O-Al2O3が、-1モル%以上かつ3モル%以下である、実施形態7に記載の着色ガラス物品。
【0187】
実施形態9
前記着色ガラス物品が0.0001モル%以上かつ0.1モル%以下のAuを含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0188】
実施形態10
R2Oが6モル%以上かつ25モル%以下である、実施形態1から9のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0189】
実施形態11
R2Oが8モル%以上かつ23モル%以下である、実施形態10に記載の着色ガラス物品。
【0190】
実施形態12
前記着色ガラス物品が0.01モル%以上かつ2モル%以下のZrO2を含む、実施形態1から11のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0191】
実施形態13
前記着色ガラス物品が0.1モル%以上かつ1.5モル%以下のZrO2を含む、実施形態12に記載の着色ガラス物品。
【0192】
実施形態14
前記着色ガラス物品が0.01モル%以上かつ1モル%以下のFe2O3を含む、実施形態1から13のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0193】
実施形態15
前記着色ガラス物品が0.05モル%以上かつ0.5モル%以下のFe2O3を含む、実施形態14に記載の着色ガラス物品。
【0194】
実施形態16
5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)が、-609モル%より大きい、実施形態1から15のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0195】
実施形態17
前記着色ガラス物品が0.01モル%以上かつ1モル%以下のSnO2を含む、実施形態1から16のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0196】
実施形態18
前記着色ガラス物品が0.05モル%以上かつ0.75モル%以下のSnO2を含む、実施形態17に記載の着色ガラス物品。
【0197】
実施形態19
前記着色ガラス物品が、MgO、CaO、ZnO、Cl、またはその組合せを実質的に含まない、実施形態1から18のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0198】
実施形態20
前記着色ガラス物品が7モル%以上かつ18モル%以下のLi2Oを含む、実施形態1から19のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0199】
実施形態21
前記着色ガラス物品が9モル%以上かつ16モル%以下のLi2Oを含む、実施形態20に記載の着色ガラス物品。
【0200】
実施形態22
前記着色ガラス物品が1モル%以上かつ12モル%以下のNa2Oを含む、実施形態1から21のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0201】
実施形態23
前記着色ガラス物品が2モル%以上かつ10モル%以下のNa2Oを含む、実施形態22に記載の着色ガラス物品。
【0202】
実施形態24
前記着色ガラス物品が0.1モル%以上かつ0.5モル%以下のK2Oを含む、実施形態1から23のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0203】
実施形態25
前記着色ガラス物品が9モル%以上かつ23モル%以下のAl2O3を含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0204】
実施形態26
前記着色ガラス物品が11モル%以上かつ20モル%以下のAl2O3を含む、実施形態25に記載の着色ガラス物品。
【0205】
実施形態27
前記着色ガラス物品が2モル%以上かつ12モル%以下のB2O3を含む、実施形態1から26のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0206】
実施形態28
前記着色ガラス物品が3モル%以上かつ10モル%以下のB2O3を含む、実施形態27に記載の着色ガラス物品。
【0207】
実施形態29
前記着色ガラス物品が52モル%以上かつ75モル%以下のSiO2を含む、実施形態1から28のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0208】
実施形態30
前記着色ガラス物品が250μm以上かつ6mm以下の厚さを有する、実施形態1から29のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0209】
実施形態31
前記着色ガラス物品が、イオン交換済みの着色ガラス物品である、実施形態1から30のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0210】
実施形態32
前記イオン交換済みの着色ガラス物品が10μm以上の圧縮深さを有する、実施形態31に記載の着色ガラス物品。
【0211】
実施形態33
前記イオン交換済みの着色ガラス物品が、厚さ「t」および0.15t以上の圧縮深さを有する、実施形態31または32に記載の着色ガラス物品。
【0212】
実施形態34
前記イオン交換済みの着色ガラス物品が、300MPa以上の表面圧縮応力を有する、実施形態31から33のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0213】
実施形態35
前記イオン交換済みの着色ガラス物品が、40MPa以上の最大中央張力を有する、実施形態31から34のいずれか1つに記載の着色ガラス物品。
【0214】
実施形態36
消費者向け電子機器において、
前面、背面、および側面を有する筐体、および
少なくとも部分的に前記筐体内に設けられた電子部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、および該筐体の前面にまたはそれに隣接して設けられたディスプレイを含む電子部品、
を備え、
前記筐体は、実施形態1から35のいずれか1つによる着色ガラス物品を含む、消費者向け電子機器。
【0215】
実施形態37
ガラス組成物であって、
50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、
7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、
1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、
7モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、
0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa2O、
0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および
1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAu、
を含み、
R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である、ガラス組成物。
【0216】
実施形態38
R2O-Al2O3が、-3モル%以上かつ5モル%以下である、実施形態37に記載のガラス組成物。
【0217】
実施形態39
R2O-Al2O3が、-1モル%以上かつ3モル%以下である、実施形態38に記載のガラス組成物。
【0218】
実施形態40
前記ガラス組成物が0.0001モル%以上かつ0.1モル%以下のAuを含む、実施形態37から39のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0219】
実施形態41
R2Oが6モル%以上かつ25モル%以下である、実施形態37から40のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0220】
実施形態42
R2Oが8モル%以上かつ23モル%以下である、実施形態41に記載のガラス組成物。
【0221】
実施形態43
前記ガラス組成物が0.01モル%以上かつ2モル%以下のZrO2を含む、実施形態37から42のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0222】
実施形態44
前記ガラス組成物が0.1モル%以上かつ1.5モル%以下のZrO2を含む、実施形態43に記載のガラス組成物。
【0223】
実施形態45
前記ガラス組成物が0.01モル%以上かつ1モル%以下のFe2O3を含む、実施形態37から44のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0224】
実施形態46
前記ガラス組成物が0.05モル%以上かつ0.5モル%以下のFe2O3を含む、実施形態45に記載のガラス組成物。
【0225】
実施形態47
5.72*Al2O3(モル%)-21.4*ZnO(モル%)-2.5*P2O5(モル%)-35*Li2O(モル%)-16.6*B2O3(モル%)-20.5*MgO(モル%)-23.3*Na2O(モル%)-27.9*SrO(モル%)-18.5*K2O(モル%)-26.3*CaO(モル%)が、-609モル%より大きい、実施形態37から46のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0226】
実施形態48
前記ガラス組成物が0.01モル%以上かつ1モル%以下のSnO2を含む、実施形態37から47のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0227】
実施形態49
前記ガラス組成物が0.05モル%以上かつ0.75モル%以下のSnO2を含む、実施形態48に記載のガラス組成物。
【0228】
実施形態50
前記ガラス組成物が、MgO、CaO、ZnO、Cl、またはその組合せを実質的に含まない、実施形態37から49のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0229】
実施形態51
前記ガラス組成物が7モル%以上かつ18モル%以下のLi2Oを含む、実施形態37から50のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0230】
実施形態52
前記ガラス組成物が9モル%以上かつ16モル%以下のLi2Oを含む、実施形態51に記載のガラス組成物。
【0231】
実施形態53
前記ガラス組成物が1モル%以上かつ12モル%以下のNa2Oを含む、実施形態37から52のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0232】
実施形態54
前記ガラス組成物が2モル%以上かつ10モル%以下のNa2Oを含む、実施形態53に記載のガラス組成物。
【0233】
実施形態55
前記ガラス組成物が0.1モル%以上かつ0.5モル%以下のK2Oを含む、実施形態37から54のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0234】
実施形態56
前記ガラス組成物が9モル%以上かつ23モル%以下のAl2O3を含む、実施形態37から55のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0235】
実施形態57
前記ガラス組成物が11モル%以上かつ20モル%以下のAl2O3を含む、実施形態56に記載のガラス組成物。
【0236】
実施形態58
前記ガラス組成物が2モル%以上かつ12モル%以下のB2O3を含む、実施形態37から57のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0237】
実施形態59
前記ガラス組成物が3モル%以上かつ10モル%以下のB2O3を含む、実施形態58に記載のガラス組成物。
【0238】
実施形態60
前記ガラス組成物が52モル%以上かつ75モル%以下のSiO2を含む、実施形態37から59のいずれか1つに記載のガラス組成物。
【0239】
実施形態61
着色ガラス物品を形成する方法において、
ガラス組成物を熱処理して、ガラス物品を形成する工程であって、該ガラス組成物は、
50モル%以上かつ80モル%以下のSiO2、
7モル%以上かつ25モル%以下のAl2O3、
1モル%以上かつ15モル%以下のB2O3、
7モル%以上かつ20モル%以下のLi2O、
0.5モル%以上かつ12モル%以下のNa2O、
0モル%超かつ1モル%以下のK2O、および
1×10-6モル%以上かつ1モル%以下のAu、
を含み、
R2O-Al2O3は、-5モル%以上かつ5モル%以下であり、R2Oは、Li2O、Na2O、およびK2Oの合計である、工程、および
前記ガラス物品に、500℃以上かつ800℃以下の温度および0.25時間以上かつ24時間以下の期間での熱処理サイクルを施して、着色ガラス物品を製造する工程、
を含む方法。
【0240】
実施形態62
前記熱処理サイクルの温度が550℃以上かつ775℃以下である、実施形態61に記載の方法。
【0241】
実施形態63
前記熱処理サイクルの期間が0.5時間以上かつ16時間以下である、実施形態61または62に記載の方法。
【0242】
実施形態64
2時間以上から12時間以下の期間に亘り350℃以上から500℃以下の温度のイオン交換浴内で前記着色ガラス物品を強化して、イオン交換済みのガラスセラミック物品を形成する工程をさらに含む、実施形態61から63のいずれか1つに記載の方法。
【0243】
実施形態65
前記イオン交換浴がKNO3を含む、実施形態64に記載の方法。
【0244】
実施形態66
前記イオン交換浴がNaNO3を含む、実施形態65に記載の方法。
【符号の説明】
【0245】
100 消費者向け電子機器
102 筐体
104 前面
106 背面
108 側面
110 ディスプレイ
112 カバー基板
【国際調査報告】