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特表2024-522508多層中間層の機械的分離のための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】多層中間層の機械的分離のための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
B65H41/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573137
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 US2022028425
(87)【国際公開番号】W WO2022250944
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/320,735
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/194,295
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503316891
【氏名又は名称】ソルティア・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ソンギュン
(72)【発明者】
【氏名】マティス,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】キーン,ニコラス・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ストリックラー,マイケル・リー
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108JA04
(57)【要約】
多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するためのプロセスが開示されており、多層シートが加熱され、その後、多層中間層シートの第1層と残余部分とを定義された配向で異なる方向に引っ張ることによって、多層中間層シートの第1層が残余部分から分離される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するための連続プロセスであって、
a.多層シートを加熱するステップ、および
b.その後、多層中間層シートの第1層と残余部分とを異なる方向に引っ張ることによって、多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するステップを含み、
連続プロセス中に、分離点における第1層と多層シートとによって定義される角度αは、分離点における多層シートと多層シートの残余部分とによって定義される角度β以下である、プロセス。
【請求項2】
多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するための連続プロセスであって、
a.多層シートを約25℃~約70℃の温度に加熱するステップ、および
b.その後、多層中間層シートの第1層と残余部分とをある配向で異なる方向に引っ張ることによって、多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するステップを含み、
角度αは、分離点における第1層と多層シートとによって定義され、角度βは、分離点における多層シートと多層シートの残余部分とによって定義され、角度γは、分離点における第1層と多層シートの残余部分とによって定義され、以下の式:
β/α≧1
30°≦γ≦180°
α+β+γ=360°
を満たし、
連続プロセス中その配向が維持される、プロセス。
【請求項3】
多層シートがポリ(ビニルアセタール)を含み、多層シートが約25℃~約70℃の温度に加熱される、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項4】
連続プロセス中、角度αが角度βよりも小さい、請求項1に記載の連続プロセス。
【請求項5】
角度αが角度βより少なくとも50度小さい、請求項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
角度αが、角度βよりも約30度~約75度小さい、請求項1~5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
第1層が、約25℃~約40℃のTgを有するポリ(ビニルブチラール)ポリマーを含む、請求項1~6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
多層シートが、ステップa)において30℃~70℃の温度に加熱される、請求項1~7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
多層シートの残余部分の少なくとも一部が、第1層のTgより少なくとも15℃低いTgを有するポリ(ビニルブチラール)ポリマーを含む、請求項1~8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
分離ステップにおいて、第1層が第1層プルロールによって引っ張られ、多層中間層シートの残余部分が残余部分プルロールによって引っ張られ、
分離が行われている間、第1層プルロールと残余部分プルロールとの間の距離がシートの幅の約50%未満に維持される、請求項1~9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
分離が行われている間、第1層プルロールと残余部分プルロールとの間の距離が、シートの幅の約15%未満である、請求項1~10のいずれかに記載のプロセス。
【請求項12】
多層シートが、それぞれの側にスキン層を有するコア層を含む、請求項1~11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
多層シートの第1の端部が、多層シートの第2の端部より厚く、端部が縦方向に定義される、請求項1~12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
第1層が第1のスキン層を含み、第1のスキン層が他方のスキン層よりも厚い、請求項1~13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
第1層が第1のスキン層を含み、第1のスキン層が他方のスキン層よりも薄い、請求項1~14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
多層シートの第1の端部が、多層シートの第2の端部よりも厚い、請求項1~15のいずれかに記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]多層中間層は中間層市場でシェアを拡大し続けているが、異なる層は異なる物理化学的特性を持つ可能性があるため、押出プロセスでのリサイクル可能性は限られている。特に音響用コア層は、押出成形中に2つのスキン層材料とよく混合せず、コア材料の小さいながらも離散的なドメインを形成し、一定レベルの曇りを引き起こすため、押出成形におけるその含有量を制限する。この多層材料を再加工できないことは、重大な経済的損失である。
【0002】
[0002]機械的分離の概念を実証するために、多層シートからスキン層を手作業で剥がすことは可能である。しかし、改善されたプロセスと機械デバイスは、安定して一貫したコスト効率の高い機械的分離操作には、役立つであろう。
【0003】
[0003]米国特許第5,368,978号は、ドナー要素とレシーバ要素を含む画像形成材料を提供するステップと、前記画像形成材料を加熱するステップと、前記ドナー要素とレシーバ要素に対抗する力を加えて前記画像形成材料をドナー要素とレシーバ要素に分離するステップと、分離されたドナー要素を蓄積するステップとを含む、画像形成材料を剥離する方法を開示している。好ましい方法では、前記対抗する力の一方または両方が真空であり、真空が前記ドナー要素から解放されると、分離後の巻き取りによって蓄積が起こる。画像形成材料の剥離のための装置は、前記画像形成材料に熱および圧力を加える手段と、前記画像形成材料を形成する前記ドナー要素および受容体要素の少なくとも一方に分離力を加える手段と、前記ドナー要素と前記受容体要素を分離する手段とを含む。好ましい実施形態では、装置は、前記ドナー要素を巻き取る手段と、前記分離力を加える前に前記画像形成材料を予熱する手段とをさらに含む。
【0004】
[0004]米国特許第5,934,577号は、粘着性プラスチック(C)の層によって分離されたベースプラスチック(A)の少なくとも1つの層とプラスチック(B)の層とを含む多層材料の構成要素を分離するプロセスを開示しており、それは、(1)材料はプラスチックBの結晶化温度(Tc)とTc-20℃の間の温度T1に加熱される、(2)材料は、次にほぼ同じ温度でせん断を受けて細断され、それによって層間剥離を生じさせ、材料を2種類の小さな寸法の粒子に変換する。その一部(X)は基本的にベースプラスチック(A)からなり、その他(Y)は基本的にプラスチックBと粘着性プラスチック(C)からなる、(3)その後、静電分離によって粒子Xと粒子Yが分離される。
【0005】
[0005]米国特許第10,513,102号には、開口部を有する第1の基材と第2の基材とが剥離可能に積層された積層体を搬送するように構成された搬送ローラーと、積層体を介して搬送ローラーと対向して配置され、第2の基材を第1の基材から剥離するように形成された剥離ローラー、剥離ローラーから離間して配置され、第1の基材から剥離された第2の基材を巻き取るように形成された巻取ローラー、剥離ローラーと巻取ローラーとの間に配置され、開口部の幅を維持するための段差部を有する巻取補助ローラーを備える剥離装置が開示されている。
【0006】
[0006]米国特許出願公開第2020/0147933号には、少なくともA層とB層を含む合わせガラス用中間フィルム(1)から、A層を含む層とB層を含む層とを分離するステップを含む、合わせガラス用中間フィルムのリサイクル方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]製造プロセスにおける材料の再加工を容易にするために、多層中間層の層を分離するための方法およびデバイスが依然として必要とされている。同様に、従来の押出技術を使用して得られるものよりも滑らかな表面を有するポリマーシート、特にPVBシートを得る必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本発明は、多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するための連続プロセスに関し、そのプロセスは、多層シートを上昇した温度に加熱するステップ、およびその後、多層中間層シートの第1層と残余部分とを異なる方向に引っ張ることによって、多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するステップを含む。この態様によれば、連続プロセス中に、分離点における第1層と多層シートとによって定義される角度αは、分離点における多層シートと多層シートの残部とによって定義される角度β以下である。
【0009】
[0009]本発明はまた、多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するための連続プロセスにも関し、そのプロセスは、多層シートを上昇した温度に加熱するステップ、およびその後、多層中間層シートの第1層と残余部分とをある配向で異なる方向に引っ張ることによって、多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するステップを含む。本発明によれば、角度αは、分離点における第1層と多層シートとによって定義され、角度βは、分離点における多層シートと多層シートの残余部分とによって定義され、角度γは、分離点における第1層と多層シートの残余部分とによって定義され、次の式が満たされる:
β/α≧1
30°≦γ≦180°
α+β+γ=360°
[0010]本発明によれば、上記の配向は連続プロセス中維持される。
【0010】
[0011]別の態様では、本発明は、本発明の方法を実行するための装置に関する。
【0011】
[0012]本発明のさらなる態様は、本明細書に開示および請求される通りである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】多層中間層を機械的にリサイクルする方法の概略図である。
図2】多層中間層を機械的に分離するための本発明によるデバイスの概略図である。
図3】分離されている間のフィルムの適切な配向を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0013]以下の実施形態および組み合わせは、本発明の範囲内に含まれる:
1.多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するための連続プロセスであって、
a.多層シートを約25℃~約70℃の温度に加熱するステップ、および
b.その後、多層中間層シートの第1層と残余部分とを異なる方向に引っ張ることによって、多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するステップを含み、連続プロセス中に、分離点における第1層と多層シートとによって定義される角度αは、分離点における多層シートと多層シートの残余部分とによって定義される角度β以下である、プロセス。
2.連続プロセス中、角度αが角度βよりも小さい、実施形態1に記載の連続プロセス。
3.角度αが角度βより少なくとも30度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
4.角度αが角度βより少なくとも50度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
5.角度αが角度βより少なくとも60度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
6.角度αが角度βより少なくとも75度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
7.角度αが角度βより約10度~約100度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
8.角度αが角度βより約30度~約75度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
9.第1層が、約25℃~約40℃のTgを有するポリ(ビニルブチラール)ポリマーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
10.多層シートが、ステップa)において30℃~70℃の温度に加熱される、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
11.多層シートの残余部分の少なくとも一部が、第1層のTgより少なくとも15℃低いTgを有するポリ(ビニルブチラール)ポリマーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
12.分離ステップにおいて、第1層が第1層プルロールによって引っ張られ、多層中間層シートの残余部分が残余部分プルロールによって引っ張られ、
分離が行われている間、第1層プルロールと残余部分プルロールとの間の距離がシートの幅の約50%未満に維持される、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
13.1つ以上の第1層および多層シートの残余部分を、第1層のポリ(ビニルブチラール)のTgまたは、多層シートの残余部分のポリ(ビニルブチラール)のTg未満に冷却することをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
14.第1層を約15℃~約30℃の温度に冷却するステップをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
15.多層シートの残余部分を約-15℃~約0℃の温度に冷却することをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
16.分離が行われている間、第1層プルロールと残余部分プルロールとの間の距離が、シートの幅の約15%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
17.分離が行われている間、第1層プルロールと残余部分プルロールとの間の距離が、シートの幅の約5%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
18.多層シートが、それぞれの側にスキン層を有するコア層を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
19.第1層が第1のスキン層を含み、第1のスキン層が他方のスキン層よりも厚い、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
20.第1層が第1のスキン層を含み、第1のスキン層が他方のスキン層よりも薄い、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
21.多層シートの第1の端部は、多層シートの第2の端部よりも厚い、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
22.多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するための連続プロセスであって、
a.多層シートを約25℃~約70℃の温度に加熱するステップ、および
b.その後、多層中間層シートの第1層と残余部分とをある配向で異なる方向に引っ張ることによって、多層中間層シートの第1層を残余部分から分離するステップを含み、角度αは、分離点における第1層と多層シートとによって定義され、角度βは、分離点における多層シートと多層シートの残余部分とによって定義され、角度γは、分離点における第1層と多層シートの残余部分とによって定義され、以下の式:
β/α≧1
30°≦γ≦180°
α+β+γ=360°
を満たし、
連続プロセス中その配向が維持される、プロセス。
23.連続プロセス中、角度αが角度βよりも小さい、先行する実施形態のいずれかに記載の連続プロセス。
24.角度αが角度βより少なくとも30度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
25.角度αが角度βより少なくとも50度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
26.角度αが角度βより少なくとも60度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
27.角度αが角度βより少なくとも75度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
28.角度αが角度βよりも約10度~約100度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
29.角度αが角度βよりも約30度~約75度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
30.第1層が、約25℃~約40℃のTgを有するポリ(ビニルブチラール)ポリマーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
31.多層シートがステップa)において30℃~70℃の温度に加熱される、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
32.多層シートの残余部分の少なくとも一部が、第1層のTgより少なくとも15℃低いTgを有するポリ(ビニルブチラール)ポリマーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
33.分離ステップにおいて、第1層が第1層プルロールによって引っ張られ、多層中間層シートの残余部分が残余部分プルロールによって引っ張られ、
分離が行われている間、第1層プルロールと残余部分プルロールとの間の距離がシートの幅の約50%未満に維持される、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
34.1つ以上の第1層および多層シートの残余部分を、第1層のポリ(ビニルブチラール)のTgまたは、多層シートの残余部分のポリ(ビニルブチラール)のTg未満に冷却することをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
35.第1層を約30℃~約15℃の温度に冷却することをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
36.多層シートの残余部分を約-15℃~約0℃の温度に冷却することをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
37.分離が行われている間、第1層プルロールと残余部分プルロールとの間の距離がシートの幅の約15%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
38.分離が行われている間、第1層プルロールと残余部分プルロールとの間の距離がシートの幅の約5%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
39.多層シートが、それぞれの側にスキン層を有するコア層を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
40.第1層が第1のスキン層を含み、第1のスキン層が他方のスキン層よりも厚い、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
41.第1層が第1のスキン層を含み、第1のスキン層が他方のスキン層よりも薄い、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
42.多層シートの第1の端部が、多層シートの第2の端部よりも厚い、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0014】
[0014]以下の実施形態および組み合わせも本発明の範囲内に含まれる。
1.実施形態1.約0~約10のRzを示す平滑面、および滑らかな面の反対側にあり約10~約150のRzを示す粗面を含むポリ(ビニルアセタール)フィルム。
2.粗面が、約10~約100のRzを示し、メルトフラクチャから生じる、実施形態1に記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
3.粗面が、約10~約150のRzを示し、メルトフラクチャおよびエンボス加工から生じる、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
4.フィルムがポリ(ビニルブチラール)を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
5.ポリ(ビニルブチラール)が可塑化されており、約20℃~約40℃のTgを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
6.ポリ(ビニルブチラール)が約10重量%~約30重量%のヒドロキシル含有量を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
7.
a.少なくとも第1のポリマー溶融物および第2のポリマー溶融物を形成するステップ、
b.少なくとも第1のポリマー溶融物および第2のポリマー溶融物を共押出して、第1層と、第2の層を含む多層シートの残余部分とを含む多層中間層を形成するステップであって、多層シートは、共押出している間、その外面にメルトフラクチャによって与えられる表面粗さを有する、ステップ、ならびに
c.その後、多層中間層シートの第1層と残余部分とを異なる方向に引っ張ることによって、第1層を多層中間層シートの残余部分から分離するステップ
を含むプロセスによって製造される、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
8.第1のポリマー溶融物および第2のポリマー溶融物がポリ(ビニルブチラール)を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
9.
a.少なくともポリ(ビニルブチラール)を含む第1のポリマー溶融物とスルホポリエステルを含む第2のポリマー溶融物とを形成するステップ、および
b.少なくとも第1のポリマー溶融物および第2のポリマー溶融物を共押出して、第1層と、第2の層とを含む多層シートの残余部分とを含む多層中間層を形成するステップであって、多層シートは、共押出している間、その外面にメルトフラクチャによって与えられる表面粗さを有する、ステップ、および
c.その後、スルホポリエステルを溶解することによって、多層中間層シートの残余部分から第1層を分離するステップ
を含むプロセスによって製造される、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
10.第2のポリマー溶融物がスルホポリエステルを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
11.
a.少なくとも第1のポリマー溶融物および第2のポリマー溶融物を形成するステップ、
b.少なくとも第1のポリマー溶融物および第2のポリマー溶融物を共押出して、第1層と、第2の層を含む多層シートの残余部分とを含む多層中間層を形成するステップ、
c.多層シートをエンボス加工してその外表面に表面粗さを有する多層シートを得るステップ、ならびに
d.その後、多層中間層シートの第1層と残余部分とを異なる方向に引っ張ることによって、第1層を多層中間層シートの残余部分から分離するステップ
を含むプロセスによって製造される、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
12.共押出が、少なくとも2つのダイマニホールドを有するマルチマニホールドダイを通して共押出するステップを含み、少なくとも第1のポリマー溶融物および第2のポリマー溶融物が別個のダイマニホールドを通して押出される、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
13.分離ステップにおいて、分離点における第1層と多層シートとによって定義される角度αは、連続プロセス中に、分離点における多層シートと多層シートの残部とによって定義される角度β以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
14.連続プロセス中、角度αが角度βよりも小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
15.角度αが角度βより少なくとも30度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
16.角度αが角度βより約30度~約75度小さい、先行する実施形態のいずれかに記載のポリ(ビニルアセタール)フィルム。
17.多層シートがステップa)において30℃~70℃の温度に加熱される、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
18.分離が行われている間、第1層プルロールと残余部分プルロールとの間の距離がシートの幅の約15%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のプロセス。
【0015】
[0015]本発明による分離プロセスは、本明細書では連続的であると記載される場合があるが、「連続的」という言葉は特に限定されるものではない。工業プロセスの当業者は、連続プロセスがバッチプロセスと区別され、プロセスを連続的に維持できる期間が長ければ長いほど、スループットの点でより大きな利点が得られることを理解するであろう。従って、本発明のプロセスの利点は、定常状態において、多層シートロールは、かなりの期間にわたって連続的に分離することができ、本開示によれば、当業者は、プロセスを実行する際に所望の連続性を維持するようにプロセスを調整することができる。従って、本発明および特許請求の範囲は、プロセスが連続的に実行されることを回避するために人為的に中断または妨害される可能性のあるあらゆるプロセスを包含することを意図している。
【0016】
[0016]他の実施形態は、本明細書に開示され特許請求されている通りである。
【0017】
[0017]従って、本発明は、(i)中間層をローラーから巻き戻すこと、(ii)1つ以上の加熱ローラーおよび/または別個のIRヒーターで中間層を加熱すること、(iii)分離力の下で第1層またはスキン層を剥離すること、ならびに(iii)分離されたスキン層および多層シートの残余部分を収集し、その後中間層構成要素として再利用することによって、多層中間層の2つの層を分離するための方法およびデバイスに関する。
【0018】
[0018]別の態様では、本発明は、例えばロール幅1.4m、ロール重量500kgまでの多層中間層のコア材料とスキン材料とを例えば、2~20m/分の速度で一つのスキン層を機械的に剥離することによって分離する方法およびデバイスの設計に関するものであり、これにより回収されたスキン層を押出成形で再利用することができる。コア層と2つのスキン層を有する中間層を示す図1を参照されたい。
【0019】
[0019]本発明は、従って、多層中間層シート(例えば、Eastman社のSaflex(商標)PVB中間層)から第1層またはスキン層を機械的に分離することができる方法およびデバイスに関する。従って、目標は、音響用3層中間層のコア-スキン二重層から一つのスキン層を機械的に分離することであるが、本発明で開示されるデバイスの加工可能な材料の範囲は3層に限定されず、層の数が、シートの幅方向に部分的または全体的のどちらかに2層を超える、または3層を超える、または5層を超える、または5層以上である多層中間層を含む。いずれの場合でも、分離は通常、音響用コア層に隣接するスキン層と、コア層自体を含むシートの残余部分との間で起こる。
【0020】
[0020]図2に示すように、一実施形態では、デバイスは、(1)巻き戻しユニット、(2)オプションのエッジトリムユニット、(3)1つ以上のテンションロール、(4)オプションの冷却を備えた位置決めロール、(5)加熱またはアニーリングユニット、(6)オプションの冷却を備えた追加または第2の位置決めロール、(7)第1層またはスキン層用の第1層プルロール、(8)通常はコア-スキン二重層である、シートの残余部分用の残余部分プルロール、(9)第1層またはスキン層用の1つ以上のテンションロール、(10)シートの残余部分、通常はコア-スキン二重層、用の1つ以上のテンションロール、(11)ワインダー、ニップシステムの有無にかかわらない容器、または造粒機であってよい、スキン層収集ユニット、および(12)ワインダー、ニップシステムの有無にかかわらない容器、または造粒機であってよい、コア-スキン二重層収集ユニットを含み得る。
【0021】
[0021]巻き戻しユニット(1)は電動式でも非電動式でもよく、理想的には、例えば最大1.4mのロール幅および500kgのロール重量を取り扱うことができるものである。
【0022】
[0022]オプションのエッジトリムユニット(2)は、シートの幅を一定にし、シートの必要な部分だけを分離して収集し、端からの破れを防ぐために、シートを加熱ユニット(5)に移送する前に、必要に応じてシートの縦方向に沿ってシートの片側または両側のどちらかをトリミングすることができる。このような場合は、シートの勾配部分のトリミング、またはコア層のないシートの端のトリミングを含むが、これらに限定されない。一般に、固定刃で各端から少なくとも約25mmをトリミングすると効果的である。これは、ロールを巻き戻しユニット(1)に置く前に行うことも、巻き戻しユニット(1)と加熱ユニット(5)の間の任意の時点で行うこともできる。
【0023】
[0023]1つ以上のテンションロール(3)は、通常、シートを巻き戻しユニット(1)から引き出し、加熱またはアニーリングユニット(5)に供給できるように電動化されている。シートがテンションロールを通過するときにシートが平らになるようにテンションが適切に設定されていないと、シートが幅方向にしわになり、加熱が不均一になり、処理上の問題が発生する可能性がある。
【0024】
[0024]オプションの冷却を備えた第1の位置決めロール(4)は、テンションロール(3)に続き、加熱ユニット(5)またはアニーリングユニット(5)の主熱エネルギー源に隣接して配置され、シートが加熱ユニット(5)に到達する前に、シートを正しいパス上に配置して適切なレベルのテンションを確立する。シート温度を微調整するために、このロールにはオプションの冷却能力がある。通常、このロールは電動ではない。
【0025】
[0025]加熱ユニット(5)は、スキン層の少なくとも一方とコア層との間の界面結合エネルギーが低くなるように、スキン層の一方または両方と接触する。これにより、引っ張り力を加えたときに、スキン層の1つがシートの残余部分から機械的に分離されやすくなる。熱エネルギー源は、シートの片面または両面に配置できる、単一または複数の加熱ロール、または赤外線ヒーター、あるいは両方の組み合わせのいずれかであり得る。商用運転の場合、機械的に分離されたシートの界面、つまり図3に示す配向角が維持され、運転期間全体にわたって一貫した状態を保つことが重要、つまり、運転全体にわたって、第1層が残りのシートから除去される層であることである。そうでない場合、第1層収集ユニットで回収された層には、シートの残余部分、例えばコア層も含まれる可能性がある。そのため、シートへの熱エネルギーは主に加熱されたロールによる伝導を通じて供給されることが好ましい可能性がある。
【0026】
[0026]熱エネルギー源、通常は第1層またはスキン層に最も近いシート表面の温度範囲は、約25℃~約70℃、または30℃~65℃、または35℃~約60℃、または本明細書の他の場所に記載されている通りであり得る。これは、加熱ユニットの出口にあるIR温度計で測定できる。シート表面の温度が低すぎると機械的分離が起こらず、シートが破れてしまう可能性がある。シート表面の温度が高すぎると、シートの機械的完全性が低下し、機械的分離プロセスの安定した動作が困難になる可能性がある。アニーリングまたは加熱ユニット(3)は、電動ローラーであることが好ましい。
【0027】
[0027]他の態様では、アニーリングユニットによって達成される熱エネルギー源に最も近いシート表面、通常は第1層またはスキン層の温度は、少なくとも約25℃、または少なくとも約26℃、または少なくとも27℃、または少なくとも28℃、または少なくとも30℃、または少なくとも32℃、または少なくとも35℃、および最大約70℃、または最大65℃、または最大60℃、または最大55℃、または最大50℃である。
【0028】
[0028]オプションの冷却機能を備えた第2の位置決めロール(6)は、加熱ユニット(5)またはアニーリングユニットの主熱エネルギー源の反対側に配置され、シートが分離ポイントに到達する前にシートを正しいパス上に配置することで、シートの適切なレベルのテンションを確立する。シート温度を微調整するために、このロールにはオプションの冷却能力がある。オプションの冷却用の第2の位置決めロール(6)は、幅方向の表面作用によってシートのしわを取り除くように設計されているスプレッダーロールであってもよく、これにより、シートが分離ポイントに達したときに、シートはしわがなくなり、きれいに分離できる。通常、このロールは電動ではない。
【0029】
[0029]次いで、多層シートは、第1層またはスキン層用の第1層プルロール(7)と、残余部分またはコア-スキン二重層用の残余部分プルロール(8)との間で機械的に分離されることになる。スキン層用の第1層プルロール(7)は、分離用の第2の位置決めロール(6)の下流にあり、シートの残余部分からスキン層を機械的に分離する。コア-スキン二重層用の残余部分プルロール(8)も、分離用の第2の位置決めロール(6)と加熱またはアニーリングユニット(5)の下流にあり、残余分、つまりコア-スキン二重層を取り出す。
【0030】
[0030]商用運転の場合、図3で説明したように、機械的に分離されたシートの界面または配向角が維持され、運転期間全体を通じて一貫性を保つこと、つまり、第1層が、連続運転中にシートの残余部分から除去される層であることが重要である。そうでない場合、第1層収集ユニットで回収された層には、シートの残余部分、例えばコア層も含まれる可能性がある。
【0031】
[0031]図3に示すように、本発明によれば、角度αは、シートが第2の位置決めロールを離れた後、分離点で第1層と多層シートとによって定義される角度である。角度βは、シートが第2の位置決めロールを離れた後の分離ポイントで多層シートと多層シートの残余部分によって定義される角度である。また、図3に示されているように、分離点の後で、第1層と多層シートの残余部分によって定義される角度γが示されている。図に示されているように、3つの角度の合計、α+β+γは360°である。
【0032】
[0032]本発明によれば、角度αが角度βと同じまたはより小さい、特に後者であることが重要であり、そのような状態は連続シート分離操作の運転期間全体にわたって維持される。通常、分離機は、連続シート分離操作の運転期間全体にわたって、角度γが180°以下かつ、30°以上となるように設計されている。
【0033】
[0033]従って、本発明によれば、角度αは、例えば、約30°~約150°、または約35°~約160°、または約40°~約165°であり得る。さらに、角度βは、例えば、約90°~約180°、または約95°~約150°、または100°~120°であり得る。同様に、角度γは、約30°~約180°、または45°~150°、または50°~120°であり得る。
【0034】
[0034]他の態様では、本発明による角度は以下の通りであり、デルタはβからαを引いた差である:
γ=180°;α=60°;β=120° Δ60°
γ=150°;α=90°;β=120° Δ30°
γ=120°;α=90°;β=150° Δ60°
γ=100°;α=80°;β=180° Δ100°。
【0035】
[0035]機械的分離後のシートのしわを最小限に抑えるために、2つのロール(7)および(8)の中心間の距離として定義される、スキン層用の第1のプルロール(7)とコア-スキン二重層用の残余部分プルロール(8)の間の距離は、例えば、処理されるシートの幅の50%未満であってもよい。この数値をψと定義する。ψが30%未満、または20%未満、または15%未満であれば、より望ましい可能性がある。
【0036】
[0036]さらに、スキン層用の第1のプルロール(7)および残余部分プルロール(8)は、機械的に分離された層にしわが形成されるのを防ぐためにスプレッダーロールであってもよい。
【0037】
[0037]「スプレッダーロール」という場合は、幅方向の表面作用によってしわを除去するように設計されたロールを意味する。
【0038】
[0038]機械的分離プロセス全体の駆動を支援し、分離された第1のまたはスキン層および残余部分またはコア-スキン二重層をそれぞれスキン層収集ユニット(11)およびコア-スキン二重層収集ユニット(12)に安定して移送するために、スキン層用テンションロール(9)(複数可)は、コア-スキン二重層用テンションロール(10)(複数可)がコア-スキン二重層用残余部分プルロール(8)と同期して、好ましくは電動化されるのと同様に、スキン層用の第1プルロール(7)と同期して電動化されることが好ましい。
【0039】
[0039]スキン層収集ユニット(11)は、電動ワインダー、造粒機、またはコンテナのいずれかであり得る。ここは、回収されたスキン層が押出成形で再利用するために収集される場所である。あるいは、シートを容器内に安定して供給するニップシステムの有無にかかわらず、スキン層を単に容器などに集めてさらなる処理を行うこともできる。
【0040】
[0040]コア-スキン二重層収集ユニット(12)もまた、電動ワインダー、またはペレタイザー、またはコンテナのいずれかであり得る。収集されたコア-スキン二重層は、押出成形で再利用したり、さらに機械的に処理したり、またはケミカルリサイクルで使用するために移したりすることができる。同様に、シートを容器内に安定して供給するニップシステムの有無にかかわらず、コア-スキン二重層を単に容器などに集めてさらなる処理を行うこともできる。
【0041】
[0041]本発明で開示されるデバイスで処理可能なシートの総厚さの範囲は、通常は約0.254mm~約5.080mm、または0.508~2.540mm、または0.762~1.270mmである。
【0042】
[0042]本発明で開示されるデバイス上でそのような機械的分離が行われる動作速度は、シートの巻き戻し速度に基づいて、例えば、約2~約20m/分、または5~10m/分であってもよい。両方のプルロールは、巻き戻し速度の1.1~2.5倍の速度で動作する。つまり、分離点での動作速度は2.2~50m/分、または5.5~25m/分である。
【0043】
[0043]多層ポリ(ビニルアセタール)シートでは、多層シートの残余部分と接触していた第1層の表面が、多層シートの外面よりも滑らかであることに注目する。後続のエンボス加工および/またはメルトフラクチャは、シートが押出機のダイから出るときに多層シートの外表面に発生する。従って、本発明はまた、例えばメルトフラクチャにより外面に粗い表面を示し、エンボス加工もされておらず、メルトフラクチャも受けないため、押出中にシートの内面であったものがより滑らかな表面を示すシート、およびその製造方法にも関する。
【0044】
[0044]再び図3を参照すると、第1のスキン層は対象のフィルムまたはシートであり、角度αに面する表面ではメルトフラクチャを示し、一方、角度γに面する表面には平滑な表面を有する。
【0045】
[0045]関連の開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0254302号には、溶融破断表面を有する多層ポリマー中間層が記載されている。多層中間層で遭遇する特定の問題は、処理の積層段階で発生する可能性がある。従来、単層中間層は脱気を容易にする質感を与えるためにローラーでエンボス加工されてきたが、一部の音響用中間層に見られるような、2つの比較的硬い層の間に比較的柔らかい内層を備えた3層中間層では、中間層外面が、内面のより柔らかい層に転写されるエンボス加工を行う場合、光学歪みが発生する。欧州特許出願公開第0710545号は、この問題を詳述しており、3層中間層の外層にあまりにも深くエンボス加工を施すことに対して警告している。
【0046】
[0046]多層中間層は、中間層の形成中に中間層または多層中間層の個々の層の露出表面で生じるメルトフラクチャを制御することによって形成される表面トポグラフィを有するように形成され得る。
【0047】
[0047]本明細書で使用する場合、用語「多層」および「多重層」は、2つ以上の層を有する中間層を意味し、多層および多重層は互換的に使用され得る。中間層の層は、一般に、ポリ(ビニルブチラール)などのポリマー樹脂を1つ以上の可塑剤と混合し、当業者に公知の適用可能なプロセスまたは方法によって、混合物をシートに溶融加工することによって製造され、層が共押出や積層などのプロセスによって結合される押出成形が含まれるが、これに限定されない。他の追加成分を任意にその他様々な目的に追加することが可能である。中間層シートが形成された後、以下で説明するように、輸送および保管のために、また後で多層ガラスパネルに使用するために、通常は、中間層シートは収集され、巻かれる。
【0048】
[0048]2つ以上の層を有する中間層(3つの層を有する3層中間層など)などの多層中間層は、少なくとも1つの柔らかい層と少なくとも1つの硬い層を含むことができる。軟らかい層は、多くの場合、少なくとも3つの層を有する中間層の内部層またはコア層である。本発明をより良く理解するために、本出願全体を通して使用されるいくつかの用語について説明する。本明細書で使用される「ポリマー中間層シート」、「中間層」、「ポリマー層」、および「ポリマー溶融シート」という用語は、一般に、単層シートまたは多層中間層を指し得る。
【0049】
[0049]「単層シート」は、その名前が示すように、単一のポリマー層を1つの層として押出したものである。一方、多層中間層は、別々に押出された層、共押出された層、または別々の層と共押出された層の任意の組み合わせを含む多層を含んでもよい。従って、多層中間層は、例えば以下のものを含むことができる:一緒に結合された2つ以上の単層シート(「複数層シート」);2つ以上の層が一緒に共押出されたもの(「共押出シート」);2つ以上の共押出シートを結合したもの;少なくとも1枚の単層シートと少なくとも1枚の共押出シートとの組み合わせ;単層シートと複数層シートとの組み合わせ;少なくとも1つの複数層シートと少なくとも1つの共押出シートとの組み合わせ。
【0050】
[0050]本開示の様々な実施形態では、以下でさらに詳しく説明するように、多層中間層は、互いに直接接触して配置された少なくとも2つのポリマー層(例えば、共押出および/または一緒に積層された単層または多層)を含み、各層はポリマー樹脂を含む。少なくとも3つの層を有する多層中間層について本明細書で使用される場合、「スキン層」は一般に中間層の外層を指し、「コア層」は一般に内層を指す。従って、1つの例示的な実施形態は、スキン層//コア層//スキン層となるであろう。スキン層//コア層//スキン層構成を有する多層中間層では、いくつかの実施形態では、スキン層はより硬くてよくコア層はより柔らかくてよく、一方、他の実施形態では、スキン層はより柔らかくてよく、コア層はより硬くてよい。しかしながら、さらなる実施形態は、2つの層のみを有する中間層、または3つ以上の層(例えば、4、5、6、または最大10個またはそれ以上の個々の層)を有する中間層を含むことに留意すべきである。さらに、利用される任意の多層中間層は、層の組成、厚さ、または位置などを操作することによって変えることができる。
【0051】
[0051]例えば、1つの3層ポリマー中間層シートにおいて、2つの硬い(または外側またはスキン)層は、可塑剤または可塑剤の混合物を含むポリ(ビニルブチラール)(「PVB」)樹脂を含むことができ、一方、より柔らかい(内側またはコア)層は、同一または異なるPVB樹脂、あるいは同じまたは異なる可塑剤および/または可塑剤の混合物を含む異なる熱可塑性材料を含んでもよい。従って、多層中間層シートの硬い層またはスキン層、および軟らかい層またはコア層は、同じ熱可塑性材料または異なる熱可塑性材料、および同じまたは異なる可塑剤(複数可)から構成され得ることが企図される。必要に応じて、いずれかまたは両方の層に、当技術分野で知られている追加の添加剤を含めることができる。
【0052】
[0052]より柔らかい内部層を利用する多層中間層の1つのタイプは、多層音響タイプの中間層である。本明細書に開示されるように、音響用中間層は多層を備え、好ましい実施形態では、2つの比較的硬い層の間に挟まれた比較的柔らかい層を有する。得られる3層中間層は、一般に、積層プロセスにほとんどまたは全く変更を加えずに、従来の単層中間層の代わりに積層プロセスで直接使用することができる。
【0053】
[0053]本明細書では、全体を通して本発明をそのような音響用中間層に適用できるものとして説明するが、当業者であれば、本発明が、それが間に配置されている外側層より柔らかい内部ポリマー層を有する多層中間層、例えば3層中間層を含み得ることが理解され、それは、非音響用多層中間層を含む。
【0054】
[0054]本発明はまた、2つの異なるポリマー、例えばポリ(ビニルブチラール)およびスルホポリエステルを含む多層シートを含む。
【0055】
[0055]多層中間層の脱気は、多層中間層の外層にメルトフラクチャを意図的に導入することにより、エンボス加工を行わずに容易に行うことができる。メルトフラクチャは、通常は、押出される溶融物のバルクの温度よりも低い温度のランドによって形成された長方形のシートダイ開口部を通して層を形成することによって制御される。これは、ランド面直下のチャネルを通ってコンディショニング液体を移動させることによって実現される。メルトフラクチャは、押出層の他の加工パラメータを制御することによって、多層中間層の外層の一方または両方の外表面においてさらに制御することができる(米国特許第5,455,103号;米国特許第6,077,374号、第5,425,977号、第4,281,980号、および第4,575,540号、ならびに「Polymer Processing Instabilities:Control and Understanding」、Savvas HatzikiriakosおよびKalman Migler編、CRC Press 2004、ISBN0824753860を参照、これらの関連の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
[0056]従って、メルトフラクチャは、例えばポリマーをダイロール上に押出すことによってポリマー層の片面に、または例えばポリマーを空気中およびその後冷却浴中に直接押出すことによってポリマー層の両面に誘導することができる。
【0057】
[0057]従って、外側ポリマー層の片面または両面は、この制御されたメルトフラクチャを使用して製造され、所望の「粗さ」または「Rz」を有するポリマー層を製造することができる。Rzはポリマー層の表面トポグラフィの尺度であり、平面からの表面の逸脱を示す。
【0058】
[0058]本明細書で使用するとき、表面粗さ、または平坦化されたポリマー中間層シートの仮想平面からの粗面上の特定のピークの高さが、表面のRz値である。本出願に記載されるポリマー中間層シートの表面の表面粗さ、またはRzは、国際標準化機構のDIN ES ISO-4287および米国機械学会のASME B46.1に従って10点平均粗さによって測定され、ミクロン(μ)で表される。これらのスケールの下で、Rzは、連続するサンプリング長の単一の粗さ深さRzi(つまり、サンプリング長内の最も高い山と最も深い谷の間の垂直距離)の算術平均値として計算される:
Rz=-x(Rz1+Rz2+...+RzN)
[0059]報告されている表面粗さRz値は、オハイオ州シンシナティのMahr Corp.社のモデルS8P Perthometerを使用して測定した。
【0059】
[0060]本発明によれば、Rzが約0~約10、または0.5~8、または1~7である滑らかな表面が一方の面で達成され得るが、粗い表面は、通常は約10~約150、または15~120、または20~100の値を示す。あるいは、滑らかな表面は、少なくとも0.01、または少なくとも0.1、または少なくとも0.2、または少なくとも0.5、最大約10、または最大9、または最大8、または最大7のRzを有してもよい。同様に、粗い表面は、最大約150、または最大125、または最大120、または最大100、または最大90、または最大80、または最大70、または最大60、または最大50、または少なくとも10、または少なくとも12、または少なくとも15、または少なくとも18、または少なくとも20、または少なくとも30のRzを示してもよい。
【0060】
[0061]従って、多層中間層は、例えばエンボス加工なしで製造することができ、その場合、メルトフラクチャにより付与された中間層の外面は、例えば20~60、または25~50、あるいは本明細書の他の箇所に記載されているようなRz値を有する。2つの外面は同じRz値を持つことも、異なる値を持つこともでき、あるいは2つの外面のうちの1つだけが指定されたRz値を持つこともできる。
【0061】
[0062]多層中間層はまた、例えばエンボス加工を用いて製造することもでき、この場合、メルトフラクチャにより付与された中間層の外面は、例えば20~120、または25~100、あるいは本明細書の他の箇所に記載されているようなRz値を有する。
【0062】
[0063]可塑化され、軽度に架橋されたPVB樹脂から形成される押出中間層は、水冷ダイリップを有する従来のシートダイを通して押出することにより、すなわち、溶融ポリマーを、その中に形成されるシートの長さと幅と実質的に一致する水平に長く垂直に狭いダイ開口部に押し込むことにより、当業者に知られているシステムを用いて調製することができる。ポリマーがゴム状であればあるほど、押出ダイから出るときに所定の表面粗さを提供するためにそれ自体が収縮する傾向がより大きくなると仮定される。
【0063】
[0064]例えば、多層中間層は、米国特許出願公開第2008/0254302号に開示されているような多重マニホールド共押出デバイスを使用して共押出することができ、その関連の開示は参照により本明細書に組み込まれる。このようなデバイスは、第1のダイマニホールド、第2のダイマニホールド、および第3のダイマニホールドを有する。このデバイスは、ポリマー溶融物を各マニホールドから押出開口部に向かって同時に押出すことによって動作し、そこで多層中間層が3つの個々のポリマー層の複合体として押出される。層の厚さは、押出開口部のダイリップ間の距離を調整することによって変えることができる。メルトフラクチャは、溶融物の組成、押出開口部のダイリップまたはランドの温度を制御することによって、または、例えば押出直後に冷却浴に浸漬することによって、押出された中間層の冷却速度および冷却方法を制御することによって、制御することができる。本発明によれば、本明細書に記載の分離技術を使用して、反対側に粗い表面と平滑な表面を有する所望のフィルムを得ることができる。
【0064】
[0065]本発明はまた、少なくとも、ポリ(ビニルブチラール)を含む第1のポリマー溶融物およびスルホポリエステルを含む第2のポリマー溶融物を形成するステップ、少なくとも、第1のポリマー溶融物および第2のポリマー溶融物を共押出して第1層と、第2の層を含む多層シートの残余部分とを含む多層中間層を形成するステップであって、多層シートは、共押出中のメルトフラクチャによって、その外面に与えられる表面粗さを有する、ステップ、その後、スルホポリエステルを溶解することによって、多層中間層シートの残余部分から第1層を分離するステップを含むプロセスによって製造され得るポリ(ビニルアセタール)フィルムに関する。
【0065】
[0066]このようにしてスルホポリエステルをポリ(ビニルアセタール)層とともに押出すと、スルホポリエステルは水または他の溶媒で溶解または洗い流され得る。本発明に従って使用するのに適したスルホポリエステルには、少なくとも25℃のガラス転移温度(Tg)を有するものが含まれ、例えば、(A)1つ以上のジカルボン酸の残基を有するもの;(B)繰り返し単位の合計に基づいて、約4~約40モル%の、芳香族環または脂環式環に結合した2つの官能基および1つ以上のスルホネート基を有する少なくとも1つのスルホモノマーの残基であって、官能基はヒドロキシル、カルボキシル、またはそれらの組み合わせであるもの;(C)全ジオール残基に基づいて少なくとも25モル%が、構造H(OCHCHOHを有するポリ(エチレングリコール)であって、nは約2~約500の範囲の整数である1つ以上のジオール残基;(D)繰り返し単位の合計に基づいて、0~約25モル%の、3個以上の官能基を有する分岐モノマーの残基であって、官能基は、ヒドロキシル、カルボキシル、またはそれらの組み合わせであるもの;を有するものを含み得る。スルホポリエステルは、任意にスルホポリエステルとブレンドされた水分散性ポリマーを含んでもよい。本発明に従って有用な他の適切な水分散性スルホポリエステルとしては、米国特許第6,171,685号;第5,543,488号;第5,853,701号;第4,304,901号;第6,211,309号;第5,570,605号;第6,428,900号および第3,779,993号に開示され特許請求されているものが挙げられ、これらの関連の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
[0067]既述の機械的分離デバイスの起動は、以下のように行うことができる:[a]3層中間層シートの先端部の中央から、1枚ずつ両方向に向けてシートを斜めにカットし、シートの先端部を矢印形状に作製する、[b]矢印形状の先端の3層中間層シートから1つのスキン層を手動で剥がし、シートの分離を約25cm継続する、[c]分離された第1のスキン層とコア-スキン二重層を、それぞれスキン層用プルロール(7)とコア-スキン二重層用プルロール(8)にしっかりと手動で押し、非常にゆっくり、例えば、1.0m/分よりも遅い低速でマシンをジョギングしてスレッドアップを開始する、[d]スキン層を、スキン層用プルロール(7)を介して、スキン層用テンションロール(9)までスレッドアップする、[e]コア-スキン二重層用プルロール(8)を介して、コア-スキン二重層をコア-スキン二重層用テンションロール(10)までスレッドアップする、[f]すべての電動ロールをジョギングして、安定したプロセスが確立されていることを確認する、[g]目標まで速度を上げて定常状態に到達させる。
【0067】
[0068]機械的分離を開始する別のアプローチは、多層シートのスキン層に「プレライナー」を取り付けることである。プレライナーは、好ましくはスキン層材料と同じ組成および幅を有し、分離ユニットを通してガイドされるときにプルロールに到達してプルロールが引っ張り力を発揮できるように十分な長さのシート片である。ポリ(ビニルブチラール)中間層の場合、プレライナーは溶融または接着によってスキン層材料に取り付けることができる。プレライナー、多層中間層、およびプレライナーのスタックに適切な量の熱と圧力を加えるヒートシールデバイスを使用することにより、2つのプレライナー、各スキン層に1つのプレライナーを多層シートに取り付けることができる。熱や圧力を加えすぎると分離が阻害される。加えられる熱や圧力が少なすぎると、プレライナーがスキン層表面から剥がれ、開始が失敗する。
【0068】
[0069]熱と圧力を使用してプレライナー表面とスキン層表面を融合させる代わりに、2つの表面を一緒にプレスする前に、プレライナーまたは多層スキンの表面に適切な溶剤を塗布し、溶媒を蒸発または材料中に拡散させることもできる。この方法で開始を成功させるには、プレライナーを多層シートの端の十分近くに取り付ける必要がある。
分離プロセスを開始するために他の手段および方法を適用することもでき、例えば、真空を使用して、連続プロセスの開始を成功させるのに十分な力で牽引レバーをスキン表面に取り付けることができる。
【0069】
[0070]定常状態になると、多層中間層シートは次のようにデバイス内を移動することが理解されるであろう。シートは巻き戻しユニット1とオプションのエッジトリムユニット2とから巻き出され、次に第1の位置決めロール4に到達する前に、周囲温度でテンションロール3を通過する。シートの表面の温度を例えば約15℃~約30℃、または20℃~25℃にするために、オプションの冷却を備えた第1の位置決めロール4は、例えば、ほぼ周囲温度、または水道水の温度、または約10℃~約30℃、または15℃~30℃、または20℃~25℃の温度まで冷却することができる。
【0070】
[0071]次に、シートを加熱ユニット5、好ましくは熱エネルギー源に最も近いシート表面を約35℃~約80℃、または43℃~75℃、または45℃~65℃、または本明細書の他の箇所に記載されている通りの温度に加熱する加熱ロールと接触させる。
【0071】
[0072]シートが加熱ユニット5によって加熱された後、シートは、第1の位置決めロールから、加熱ユニット(5)または加熱ユニット(5)の主熱エネルギー源の反対側に位置する、オプションの冷却機能を備えた第2の位置決めロール(6)に搬送される。第2の位置決めロール6は、例えば上述のように、シートの表面の温度を約5℃~約40℃、または10℃~30℃、または12℃~35℃にする温度まで冷却することができる。あるいは、第2の位置決めロール6と接触しているシートの表面は、少なくとも5℃、または少なくとも10℃、または少なくとも12℃、または少なくとも15℃、最大約40℃、または最大35℃、または最大30℃の温度まで冷却されてもよい。
【0072】
[0073]シートが第2の位置決めロール6を通過した後、多層シートは、第1層がスキン層用第1プルロール7によって引っ張られ、シートの残余部分が残余部分プルロール8によって上述の方向に引っ張られることによって機械的に分離される。上述したように、この機械的分離は始動中に開始され、その後、本発明の方法およびデバイスは、連続運転中に2つの層がきれいに分離され続けることを保証する。
【0073】
[0074]上述したように、機械的分離後のシートのしわを最小限に抑えるために、一態様では、2つのロール7および8の中心間の距離として定義される、スキン層用第1層プルロール7とコア-スキン二重層用残余部分プルロール8との間の距離は、処理されるシートの幅の約30%未満である。その数値が25%未満、または20%未満、または15%未満であれば、より望ましい可能性がある。
【0074】
[0075]上述したように、重要な態様では、多層中間層シートは、例えばスキン/コア/スキン断面を有する多層PVB中間層を含む。特定のPVB中間層について説明したが、様々な中間層材料を使用することができる。
【0075】
[0076]中間層がポリビニルブチラール(PVB)を含む場合、PVB樹脂は、酸触媒の存在下でポリビニルアルコール(「PVOH」)をブチルアルデヒドと反応させ、樹脂を分離、安定化、乾燥させる既知のアセタール化プロセスによって製造され得る。このようなアセタール化プロセスは、例えば、米国特許第2,282,057号、および第2,282,026号、B.E.WadeによるEncyclopedia of Polymer Science & Technology、第3版、第8巻、381-399頁(2003年)中のVinyl Acetal polymersに開示されている。その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。この樹脂は、例えば、Eastman Chemical Companyの完全所有子会社であるSolutia Inc.からButvar(登録商標)樹脂として、様々な形態で市販されている。
【0076】
[0077]本明細書で使用する場合、PVB中の残留ヒドロキシル含有量(重量%ビニルアルコールまたは重量%PVOHとして計算)は、処理が完了した後にポリマー鎖上に残るヒドロキシル基の量を指す。例えば、PVBは、ポリ(酢酸ビニル)をポリ(ビニルアルコール(PVOH))に加水分解し、次いでそのPVOHをブチルアルデヒドと反応させることによって製造することができる。ポリ(酢酸ビニル)を加水分解するプロセスでは、通常、すべてのアセテート側基がヒドロキシル基に変換されるわけではない。さらに、ブチルアルデヒドとの反応では、通常、すべてのヒドロキシル基がアセタール基に変換されるわけではない。従って、完成した任意のPVB樹脂には通常、ポリマー鎖の側基として残留アセテート基(酢酸ビニル基として)と残留ヒドロキシル基(ビニルヒドロキシル基として)とが存在する。本明細書で使用される場合、残留ヒドロキシル含有量および残留アセテート含有量は、ASTM D1396に従って重量パーセント(wt%)ベースで測定される。
【0077】
[0078]本開示のPVB樹脂は、通常は、低角レーザー光散乱を使用したサイズ排除クロマトグラフィーで測定した場合、50,000ダルトンを超える、または500,000ダルトン未満、または約50,000~約500,000ダルトン、または約70,000~約500,000ダルトン、または約100,000~約425,000ダルトンの分子量を有する。本明細書で使用される場合、「分子量」という用語は重量平均分子量を意味する。
【0078】
[0079]ガラスに対する中間層シートの接着を制御するために、本開示の中間層に様々な接着制御剤(「ACA」)を使用することができる。本開示の中間層の様々な実施形態では、中間層は、樹脂100部当たり約0.003~約0.15部のACA;樹脂100部当たり約0.01~約0.10部のACA;樹脂100部当たり約0.01~約0.04部のACAを含み得る。このようなACAとしては、米国特許第5,728,472号(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているACA、残留酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ビス(2-エチル酪酸)マグネシウム、および/またはビス(2-エチルヘキサン酸)マグネシウムを含むが、これらに限定されない。
【0079】
[0080]他の添加剤を中間層に組み込んで、最終製品の性能を向上させ、中間層に特定の追加特性を付与することもできる。このような添加剤としては、染料、顔料、安定剤(例えば、紫外線安定剤)、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、IR吸収剤または遮断剤(例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、六ホウ化ランタン(LaB)およびセシウムタングステン酸化物)、加工助剤、流動促進添加剤、潤滑剤、耐衝撃性改良剤、核剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、強化添加剤、および充填剤など当業者に知られている他の添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
[0081]記載された実施形態ではポリマー樹脂がPVBであると言及しているが、ポリマーが多層パネルでの使用に適した任意のポリマーであり得ることは当業者には理解されよう。典型的なポリマーには、ポリビニルアセタール(PVA)(例えばポリ(ビニルブチラール)(PVB)または異性体ポリ(ビニルイソブチラール)(PVisoB)など)、ポリウレタン(PU)、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(塩化ビニル-コ-メタクリレート)、ポリエチレン、ポリオレフィン、エチレンアクリル酸エステルコポリマー、ポリ(エチレン-コ-ブチルアクリレート)、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂、前述の可能な熱可塑性樹脂のいずれかから誘導されるエチレン/カルボン酸コポリマーおよびそのアイオノマーなどの酸コポリマー、前述のものの組み合わせなど、が含まれるがこれらに限定されない。PVBおよびその異性体ポリマーPVisoB、ポリ塩化ビニル、およびポリウレタンは、一般に中間層に特に有用なポリマーであり、PVB(およびその異性体ポリマー)が特に好ましい。
【0081】
[0082]さらなる態様では、中間層は多層中間層であり得る。例えば、多層中間層は、PVB//PVisoB//PVBから構成され得る。他の例には、PVB//PVC//PVBまたはPVB//PU//PVBが含まれる。さらなる例には、PVC//PVB//PVCまたはPU//PVB//PUが含まれる。あるいは、スキン層とコア層はすべて、同じまたは異なる出発PVB樹脂を使用したPVBであってもよい。
【0082】
[0083]一態様では、多層中間層シートの第1層またはスキン層は、例えば、約20℃~約45℃、または25℃~40℃、または28℃~35℃のTgを有するPVBポリマーを含む。あるいは、ポリ(ビニルブチラール)のTgは、少なくとも約20℃、または少なくとも25℃、または少なくとも28℃、最高約45℃、または最高40℃、または最高35℃であり得る。
【0083】
[0084]一態様では、第1層に隣接する層のTgは、第1層のTgより少なくとも12℃低く、または少なくとも15℃低く、または少なくとも20℃低く、または少なくとも30℃低くてもよい。
【0084】
[0085]別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。従って、特に断りのない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。何はともあれ、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数を考慮して、通常の丸め手法を適用して解釈されなければならない。さらに、本開示および特許請求の範囲に記載された範囲は、端点(複数可)だけでなく、具体的には範囲全体を含むことが意図されている。例えば、0~10と記載されている範囲は、例えば、1、2、3、4など0~10の間のすべての整数、例えば、1.5、2.3、4.57、6.1113など0~10の間のすべての端数、ならびに0および10の端点を開示することを意図する。
【0085】
[0086]本発明の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示す数値は、測定方法を考慮して正確に報告されるよう意図している。ただし、どの数値にも、それぞれのテスト測定で見つかった標準偏差に必然的に起因する特定の誤差が本質的に含まれる。
【0086】
[0087]1つ以上のプロセスステップの言及は、列挙されたステップの組み合わせまたは明示的に特定されるステップ間の介在プロセスステップの前後に追加のプロセスステップが存在することを排除するものではないことを理解されたい。さらに、文字、数字などによる、出願で開示または請求されている情報のプロセスステップ、成分、またはその他の態様の名称は、個別の活動または成分を識別するための便利な手段であり、特に断りのない限り記載された文字は任意の順序で配置できる。
【0087】
[0088]本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。例えば、Cアルコール等価物への言及は、複数の種類のCアルコール等価物を含むことを意図している。従って、ある場所で「少なくとも1つ」または「少なくともいくつか」などの言語を使用した場合でも、文脈上明らかに別段の指示がない限り、「a」、「an」、および「the」の他の使用が複数の指示対象を除外することを意味するものではない。同様に、ある場所での「少なくとも一部」などの文言の使用は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、他の場所でそのような文言が存在しないことが「すべて」を意図していることを暗示することを意図したものではない。
【0088】
[0089]本明細書で使用される「および/または」という用語は、2つ以上の項目のリストで使用される場合、列挙された項目のいずれか1つを単独で使用できること、または列挙された項目の2つ以上の任意の組み合わせが使用できることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、および/またはCを含むと記載されている場合、組成物はAのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせ、またはA、BおよびCの組み合わせを含み得る。
【0089】
[0090]本発明は、その実施形態の以下の実施例によってさらに説明することができるが、これらの実施例は単に説明の目的で含まれており、特に断りのない限り、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解されるであろう。
【実施例
【0090】
実施例1
[0091]図2に示すような機械的分離デバイスを操作して、幅1.2m、厚さ0.813mmの平らな3層PVB中間層シートのスキン層とコア-スキン二重層とを以下の条件でシートの幅方向に機械的に分離した:
巻き戻し速度:12m/分
第1のスキンプルロール速度(分離時の速度):25m/分
エッジトリミング:なし
アニーリングユニット出口のシート温度:38℃
ψ[2つのプルロール間の距離/シート幅]:15%
α=60°
β=120°
γ=180°
[0092]シート破れなく安定した動作だった。分離界面は一貫したままであり、スキン層にしわはなかった。
【0091】
実施例2
[0093]図2に示す機械的分離デバイスを操作して、幅1.2m、厚さ0.838~1.143mmのウェッジ3層PVB中間層シートのスキン層とコア-スキン二重層とを以下の条件でシートの幅方向に機械的に分離した:
巻き戻し速度:5m/分
第1のスキンプルロール速度(分離速度):10m/分
エッジトリミング:あり
アニーリングユニット出口のシート温度:35℃
ψ[2つのプルロール間の距離/シート幅]:30%
α=90°
β=120°
γ=150°
[0094]シート破れなく安定した動作だった。分離界面は一貫したままであり、スキン層にしわはなかった。
【0092】
実施例3
[0095]図2に示すような機械的分離デバイスを操作して、幅1.2m、厚さ0.813mmの平らな3層PVB中間層シートのスキンの1つに24cmの勾配幅のバンドが含まれているスキン層とコア-スキン二重層とを以下の条件でシートの幅方向に機械的に分離した:
巻き戻し速度:5m/分
第1のスキンプルロール速度(分離速度):10m/分
エッジトリミング:なし
アニーリングユニット出口のシート温度:35℃
ψ[2つのプルロール間の距離/シート幅]:30%
α=90°
β=150°
γ=120°
[0096]シート破れなく安定した動作だった。分離界面は一貫したままであり、スキン層にしわはなかった。
【0093】
実施例4
[0097]図2に示すような機械的分離デバイスを操作して、幅1.2m、厚さ0.813mmの平らな3層PVB中間層シートのスキン層とコア-スキン二重層とを以下の条件でシートの幅方向に機械的に分離した:
巻き戻し速度:10m/分
第1のスキンプルロール速度(分離速度):24m/分
エッジトリミング:なし
アニーリングユニット出口のシート温度:45℃
ψ[2つのプルロール間の距離/シート幅]:15%
α=80°
β=180°
γ=100°
[0098]シート破れなく安定した動作だった。分離界面は一貫したままであり、スキン層にしわはなかった。
【0094】
実施例5
[0099]図2に示すような機械的分離デバイスを操作して、以前の通り、幅1.2m、厚さ0.813mmの平らな3層PVB中間層シートのスキン層とコア-スキン二重層とを以下の条件でシートの幅方向に機械的に分離した:
巻き戻し速度:2m/分
第1のスキンプルロール速度(分離速度):5m/分
エッジトリミング:あり
アニーリングユニット出口のシート温度:40℃
y[2つのプルロール間の距離/シート幅]:15%
この例では、以下に従って、αとして記述された以前の角度が、βとして記述された以前の角度よりも大きくなるように角度を変更した:
α=120°
β=60°
γ=180°
[00100]操作は安定していたが、αとして定義された角度がβとして定義された角度よりも大きかったため、スキン層は前述の二重層収集ユニットに入った。
【0095】
実施例6
[00101]図2に示すような機械的分離デバイスを操作して、幅1.4m、厚さ0.813mmの平らな3層PVB中間層シートのスキン層とコア-スキン二重層とを以下の条件でシートの幅方向に機械的に分離した:
巻き戻し速度:2m/分
第1のスキンプルロール速度(分離速度):5m/分
エッジトリミング:あり
アニーリングユニット出口のシート温度:38℃
ψ[2つのプルロール間の距離/シート幅]:15%
この例では、以下に従って、αとして記述された以前の角度が、βとして記述された以前の角度よりも大きくなるように角度を変更した:
α=120°
β=90°
γ=150°
[00102]スキン層をスキン層収集ユニットに正しく誘導しようとしたため、コア層が頻繁に側面を移動し、動作が不安定であった。第1のスキン層が常に望ましいスキン層収集ユニットに入るという定常状態を達成することは不可能であった。
【0096】
実施例7
[00103]図2に示すような機械的分離デバイスを操作して、幅1.2m、厚さ0.813mmの平らな3層PVB中間層シートのスキン層とコア-スキン二重層とを以下の条件でシートの幅方向に機械的に分離した:
巻き戻し速度:2m/分
第1のスキンプルロール速度(分離速度):5m/分
エッジトリミング:あり
アニーリングユニット出口のシート温度:20℃
ψ[2つのプルロール間の距離/シート幅]:15%
α=90°
β=120°
γ=150°
[00104]温度が低いため、シートの端から散発的にシートの破れが始まり、コア層が頻繁に側面を移動するため、動作はあまり安定ではなかった。
【0097】
実施例8
[00105]図2に示すような機械的分離デバイスを操作して、幅0.4m、厚さ0.813mmの平らな3層PVB中間層シートのスキン層とコア-スキン二重層とを以下の条件でシートの幅方向に機械的に分離した:
巻き戻し速度:2m/分
第1のスキンプルロール速度(分離速度):5m/分
エッジトリミング:なし
アニーリングユニット出口のシート温度:38℃
ψ[2つのプルロール間の距離/シート幅]:70%
α=90°
β=120°
γ=150°
[00106]操作は確立できたが、ψ値が高いため、分離された第1のスキンはスキン層収集ユニットに送られる際に多くのシワを有した。
【0098】
実施例9
[00107]図2に示すような機械的分離デバイスを操作して、幅1.2m、厚さ0.813mmの平らな3層PVB中間層シートのスキン層とコア-スキン二重層とを以下の条件でシートの幅方向に機械的に分離した:
巻き戻し速度:2m/分
第1のスキンプルロール速度(分離速度):5m/分
エッジトリミング:あり
アニーリングユニット出口のシート温度:75℃
ψ[2つのプルロール間の距離/シート幅]:30%
α=90°
β=120°
γ=150°
[00108]最適温度よりも高いため、シートの破れが頻繁に発生し、動作が不安定であった。定常状態に到達することは不可能であった。
【0099】
【表1】
【0100】
実施例10a~c.平滑面と粗面を有するシートの製造方法。
【0101】
実施例10a.
[00109]エンボス加工されたスキンを有する多層PVBシートを手で分離したところ、分離の1時間以内に次の特性が得られた:
粗面:Rz=40.8
平滑(内側)面:Rz=1.2
実施例10b.
[00110]押出中にメルトフラクチャを受けたスキンを有する多層PVBシートを手で分離したところ、分離の1時間以内に次の特性が得られた:
粗面:Rz=14.6
分離されたスキン内側:Rz=1.3
実施例10c.
[00111]押出中にメルトフラクチャを受けたスキンを有する多層PVBシートを手で分離したところ、分離の1時間以内に次の特性が得られた:
外側の粗いスキン:Rz=64.9
平滑内側面:Rz=2.3
図1
図2
図3
【国際調査報告】