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特表2024-522513被粉砕物を粉砕するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】被粉砕物を粉砕するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 25/00 20060101AFI20240614BHJP
   B02C 9/00 20060101ALI20240614BHJP
   A47J 42/18 20060101ALI20240614BHJP
   A47J 42/08 20060101ALI20240614BHJP
   A47J 31/42 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B02C25/00 C
B02C9/00
A47J42/18
A47J42/08
A47J31/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023573278
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2022064065
(87)【国際公開番号】W WO2022253639
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】21177220.7
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520514609
【氏名又は名称】ユーラ エレクトロアパラーテ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Jura Elektroapparate AG
【住所又は居所原語表記】Kaffeeweltstrasse 10, 4626 Niederbuchsiten, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ビュティカー
(72)【発明者】
【氏名】シャーリアル レイハンロー
【テーマコード(参考)】
4B104
4D067
【Fターム(参考)】
4B104AA25
4B104BA12
4B104DA07
4B104EA30
4D067AA05
4D067FF02
4D067GA14
4D067GB03
(57)【要約】
少なくとも1つの粉砕機構によって被粉砕物を粉砕するための装置および方法であって、方法は、被粉砕物を粉砕するために、粉砕機構を第1の方向に作動させることと、粉砕機構を第1の方向とは異なる第2の方向に作動させることとを含み、粉砕機構を第2の方向に作動させることを、被粉砕物の粉砕の終了後に行う、装置および方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの粉砕機構(30)によって被粉砕物を粉砕するための方法であって、
前記被粉砕物を粉砕するために、前記粉砕機構(30)を第1の方向に作動させること(110)と、
前記粉砕機構(30)を前記第1の方向とは異なる第2の方向に作動させること(140)と
を含む、方法において、
前記粉砕機構(30)を前記第2の方向に作動させることを、前記被粉砕物の粉砕の終了後、ユーザ入力(130)に反応して行い、かつ/または前記粉砕機構(30)を前記第1の方向に作動させること(110)の回数に反応して自動的に行う
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記粉砕機構(30)を前記第2の方向に作動させること(140)を、前記粉砕機構(30)を前記第1の方向にそれぞれ作動させること(110)に反応して、好ましくは自動的に行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記粉砕機構(30)を前記第2の方向に作動させること(140)を、粉砕中に検知された粉砕障害(130)に反応して行うことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザ入力(130)は、前記粉砕機構(30)をクリーニングおよび/または調整することを目的としていることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記粉砕機構(30)を作動させること(110,140)は、第1の粉砕要素(10)を第2の粉砕要素(20)に対して相対的に運動、特に並進運動および/または回転運動させることを含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記粉砕機構(30)を前記第1の方向に作動させること(110)は、前記第1の粉砕要素(10)を前記第2の粉砕要素(20)に対して相対的に前記第1の方向に回転運動させることを含み、前記粉砕機構(30)を前記第2の方向に作動させること(140)は、前記第1の粉砕要素(10)を前記第2の粉砕要素(20)に対して相対的に、前記第1の方向とは逆向きの前記第2の方向に回転運動させることを含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記粉砕機構(30)を前記第2の方向に作動させること(140)は、好ましくは既に調整された第1の粉砕グレードに比べて粗い第2の粉砕グレードを調整するために、前記粉砕機構(30)を調整することを含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第1の粉砕要素(10)は、粉砕ロータ、特に粉砕コーンであり、前記第2の粉砕要素(20)は、粉砕ステータ、特に粉砕リングであることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
好ましくは前記第1の粉砕グレードおよび/または前記第2の粉砕グレードに比べて細かい第3の粉砕グレードを調整するために、前記粉砕機構を、特に前記粉砕機構を前記第2の方向に作動させること(140)に続けて調整すること(220)をさらに含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記粉砕機構を調整すること(220)は、粉砕間隙(33)、特に前記第1の粉砕要素(10)と前記第2の粉砕要素(20)との間の粉砕間隙を拡大および/または縮小させることを含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記粉砕機構を調整すること(220)は、1つの粉砕要素または前記第1の粉砕要素(10)を1つの粉砕要素または前記第2の粉砕要素(20)に対して相対的に並進運動および/または軸線方向運動させることを含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記被粉砕物を1つの粉砕グレード、特に前記第1の粉砕グレードおよび/または前記第3の粉砕グレードで粉砕するために、前記粉砕機構(30)を前記第1の方向に作動させること(230)をさらに含むことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記被粉砕物は、コーヒー豆および/またはコーヒー粉末を含み、かつ/または前記粉砕機構(30)は、コーヒーメーカー用の粉砕機構であることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記粉砕機構(30)は、前記第1の方向への運転時に被粉砕物を入口側(34)から出口側(35)に搬送するように構成されており、かつ/または前記粉砕機構(30)は、前記第2の方向への運転時に前記被粉砕物を入口側(34)に戻すように構成されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの粉砕機構(30)とデータ処理のための装置とを備えたコーヒーメーカーであって、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法を実施するための手段を備える、コーヒーメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの粉砕機構によって被粉砕物を粉砕するための方法であって、被粉砕物を粉砕するために、粉砕機構を第1の方向に作動させることと、粉砕機構を第1の方向とは異なる第2の方向に作動させることとを含む、方法に関する。
【0002】
粉砕グレード、例えばコーヒー粉末の細かさを調整または変化させるために調整装置を有している粉砕機構が知られている。特に、調整装置によって、粉砕機構の複数の切断工具もしくは粉砕工具を互いに相対的に調整することができる。例えば、粉砕コーンと粉砕リングとの間の粉砕間隙もしくは粉砕間隙の高さを調整することができる。この調整は手動でまたは自動的に行うことができる。
【0003】
より細かい粉砕グレードへの粉砕グレードの調整時、つまり、例えば粉砕間隙の縮小時には、被粉砕物の最初の粉砕後、この被粉砕物の残留物および/または粉砕された被粉砕物の残留物が粉砕工具の間、特に粉砕間隙に残っているという問題がある。これらの残留物は、より細かい粉砕グレードへの調整を困難にするかまたは阻止し、調整中に粉砕機構の損傷を引き起こしてしまう。
【0004】
この問題を回避する1つの可能性は、粉砕グレードの調整を被粉砕物の粉砕中に、例えば粉砕工程の開始直後に行うことである。しかしながら、調整すべき粉砕機構は、高い粉砕出力もしくは処理出力を有することがある。言い換えると、粉砕工程の開始直後に既にかなりの量の被粉砕物が粉砕されている可能性がある。つまり、このようなアプローチには、粉砕工程中の調整を粉砕工程の開始後に極めて迅速に行わなければならず、例えば数秒以内に行わなければならないという欠点がある。
【0005】
したがって、本発明の根底にある課題は、粉砕機構の調整を容易にする方法を提供すること、特に、粉砕機構のユーザが、より長い期間の範囲内で粉砕機構の調整を行うことが可能となる方法を提供することである。
【0006】
この課題の解決手段は、冒頭に述べた形態の方法において、特に、粉砕機構を第2の方向に作動させることを、被粉砕物の粉砕の終了後、ユーザ入力に反応して行い、かつ/または粉砕機構を第1の方向に作動させることの回数に反応して自動的に行うことにある。
【0007】
粉砕機構を第1の方向に作動させることは、例えば、粉砕機構で被粉砕物を粉砕するための、第2の粉砕要素、例えば粉砕リングに対して相対的な第1の粉砕要素、例えば粉砕コーンの第1の(回転)運動であってよい。第2の方向は、例えば第1の方向とは逆向きの(回転)運動であってよい。第1および/または第2の方向は、同様に第2の粉砕要素に対して相対的な第1の粉砕要素の軸線方向運動であってもよい。粉砕機構を第2の方向に作動させることは、例えば粉砕間隙の拡大であってよい。粉砕機構を第2の方向に作動させることによって、粉砕間隙内にある被粉砕物、粉砕された被粉砕物または被粉砕物・粉混合物を粉砕間隙から搬出することができる。言い換えると、粉砕機構を第2の方向に作動させることによって、粉砕機構は緩和される。
【0008】
粉砕工程の終了後または複数回の粉砕工程の終了後、つまり、被粉砕物の粉砕の終了後における粉砕機構の緩和によって、粉砕グレードを調整する、特に低減することができ、被粉砕物の残留物を粉砕間隙から、つまり、第1の粉砕要素と第2の粉砕要素との間の切断領域から予め除去することができる。これによって、1つには、粉砕グレードの調整が可能となるかもしくは容易になる。もう1つには、粉砕機構のユーザが、粉砕工程の終了後または所定回数の粉砕工程の終了後であって、次の粉砕工程よりも前に任意の時点で粉砕機構の調整を行うことが可能となる。これによって、粉砕機構の調整が可能となる期間が大幅に延長される。
【0009】
一構成では、粉砕機構を第2の方向に作動させることを、粉砕機構を第1の方向に複数回作動させる、特にそれぞれ作動させることに反応して、好ましくは自動的に行うことが特定されている。
【0010】
作動の回数は予め規定されているかまたは規定可能であってよい。特に作動の回数は、例えば粉砕工程中に粉砕間隙内に集まる被粉砕物および/または粉砕された被粉砕物の(平均的な、推定されたまたは実際の)量に基づいて調整可能であってよい。これによって、粉砕機構の緩和を、それぞれの粉砕工程の間または複数回の粉砕工程の間で粉砕機構を調整するのに十分な頻度で実施することができる。例えば、それぞれの粉砕工程後に粉砕機構の緩和を行うことが特定されていてよい。また、粉砕機構を第2の方向に作動させることを、第1の方向への粉砕機構の複数回の作動に反応して行うことが特定されていてよい。こうして、粉砕機構および/または粉砕機構駆動装置の保護を達成することができる。
【0011】
粉砕機構の規則的な緩和もしくはユーザ入力に反応したかつ/または第1の方向への粉砕機構の(例えばそれぞれの)作動回数に反応した第2の方向への粉砕機構の作動によって、粉砕機構の粉砕要素の間の粉砕間隙から、特に被粉砕物の残留物のような異物粒子を規則的に除去または解放することができる。これによって、構成刃先の発生を阻止することができる。
【0012】
さらに、粉砕機構に対する均一な負荷、特に粉砕機構の(プラスチック)ハウジングに対する均一な負荷を達成することができる。これによって、粉砕機構または粉砕機構ハウジングの変形を阻止または低減することができる。また、互いに相対的な粉砕要素もしくは粉砕リングずれを阻止または低減することができる。
【0013】
結果として、一定の粉砕結果を、特に粉砕機構の耐用寿命にわたって得ることができる。
【0014】
一構成では、粉砕機構を第2の方向に作動させることを、ユーザ入力に反応して行い、かつ/または粉砕中に検知された粉砕障害に反応して行うことが特定されている。この構成では、ユーザ入力は、例えば粉砕機構をクリーニングおよび/または調整することを目的としている。
【0015】
例えば、第2の方向への粉砕機構のそれぞれの作動にユーザ入力および/または検知された粉砕障害を先行させることができる。別の構成では、粉砕機構が、付加的に、ユーザ入力および/または検知された障害に反応して、つまり、被粉砕物の粉砕の終了後または第2の方向への粉砕機構の1回または複数回の作動後に自動的に行われる第2の方向への粉砕機構の作動に対して付加的に、第2の方向に作動させられてよい。言い換えると、粉砕機構を第2の方向に作動させることは、2つの粉砕工程の間で複数回行うことができる。
【0016】
粉砕機構の作動は、ユーザ入力に反応してかつ/または粉砕中に検知された粉砕障害に反応して、例えば粉砕機構の調整を目的としたユーザ入力に反応してだけ、またはこのようなことに反応しても行うことができる。これによって、粉砕機構は、粉砕機構調整が行われる前にかつ/または被粉砕物および/または粉砕された被粉砕物が粉砕を阻止する前に常に、特にそのような場合にだけ緩和される。これによって、粉砕機構がさらに保護される。
【0017】
さらに、ユーザ入力に反応した第2の方向への粉砕機構の作動は、粉砕機構のクリーニングを容易にすることができる。粉砕機構を第2の方向に作動させることは、被粉砕物および/または粉砕された被粉砕物を粉砕間隙から、例えば被粉砕物の投入箇所に向かって搬出することができる。こうして、余剰のもしくは粉砕間隙内にある被粉砕物および/または粉砕された被粉砕物を粉砕機構から除去することを、例えば吸込み装置を用いて容易にすることができる。
【0018】
粉砕機構を第2の方向に作動させることは、ユーザ入力の形式に関連していてよい。例えば、粉砕機構の調整を目的としたユーザ入力に反応した第2の方向への粉砕機構の作動は、第1の期間に行うことができる。粉砕機構のクリーニングを目的としたユーザ入力に反応した第2の方向への粉砕機構の作動は、第2の期間に行うことができ、この第2の期間は第1の期間よりも長い。例えば第1の期間は2秒以下であり、かつ/または第2の期間は2秒よりも長く、10秒以下である。また、粉砕中に検知された粉砕障害に反応した第2の方向への粉砕機構の作動は、第1の期間または第2の期間に行うことができる。
【0019】
一構成では、粉砕機構を作動させることは、第1の粉砕要素を第2の粉砕要素に対して相対的に運動、特に並進運動および/または回転運動させることを含むことが特定されている。第1の粉砕要素は粉砕コーンであり、第2の粉砕要素は粉砕リングであってよく、またはその逆であってもよい。第2の粉砕要素に対して相対的な第1の粉砕要素の運動は、運動方向に応じて被粉砕物の粉砕のためにもしくは被粉砕物の緩和のために働く。第1の方向は、第2の粉砕要素に対して相対的な第1の粉砕要素の一方の回転方向であってよい。第2の方向は、この回転方向とは逆向きの回転方向であってよく、つまり、粉砕機構の後退運動であってよい。また、第1の方向は、第2の粉砕要素に向かう第1の粉砕要素の並進運動であってよい。第2の方向は、第1の粉砕要素の、この並進方向とは逆向きの並進方向、つまり、第2の粉砕要素から離反する並進方向であってよい。
【0020】
一構成では、粉砕機構を第2の方向に作動させることは、好ましくは既に調整された第1の粉砕グレードに比べて粗い第2の粉砕グレードを調整するために、粉砕機構を調整することを含むことが特定されている。第2の方向は、上述した並進方向であってよい。言い換えると、並進方向は、両粉砕要素またはいずれかの粉砕要素の回転軸線に沿った方向であってよく、例えば並進方向における両粉砕要素またはいずれかの粉砕要素の運動は、結果として粉砕要素同士の間の間隔、特に粉砕間隙を変化させ、例えば拡大させる。
【0021】
一構成では、第1の粉砕要素は、粉砕ロータ、特に粉砕コーンであり、第2の粉砕要素は、粉砕ステータ、特に粉砕リングであることが特定されている。
【0022】
一構成では、方法は、好ましくは第1の粉砕グレードおよび/または第2の粉砕グレードに比べて細かい第3の粉砕グレードを調整するために、粉砕機構を、特に粉砕機構を第2の方向に作動させることに続けて調整することをさらに含むことが特定されている。
【0023】
例えば、方法は、第1の中間の粉砕グレードでの被粉砕物の粉砕を含んでいる。粉砕工程の終了後に粉砕グレードを、中間の粉砕グレードよりも粗い第2の粗い粉砕グレードに変化させることができ、これによって、粉砕機構を緩和させるかもしくは粉砕間隙に残っている被粉砕物を除去することができる。次いで、中間の粉砕グレードよりも細かい第3の細かい粉砕グレードを調整することができ、これによって、細かい粉砕グレードで粉砕された被粉砕物を製造することができる。被粉砕物の粉砕終了後、特に粉砕終了直後での第2の方向への粉砕機構の作動によって、粉砕機構のユーザが、次の粉砕工程の前にいつでも第3の粉砕グレードを調整することが可能となる。
【0024】
一構成では、粉砕機構を調整することは、粉砕間隙、特に第1の粉砕要素と第2の粉砕要素との間の粉砕間隙を拡大および/または縮小させることを含むことが特定されている。
【0025】
一構成では、粉砕機構を調整することは、1つの粉砕要素または第1の粉砕要素を1つの粉砕要素または第2の粉砕要素に対して相対的に並進運動および/または軸線方向運動させることを含むことが特定されている。
【0026】
一構成では、方法は、被粉砕物を1つの粉砕グレード、特に第1の粉砕グレードおよび/または第3の粉砕グレードで粉砕するために、粉砕機構を第1の方向に作動させることをさらに含むことが特定されている。
【0027】
一構成では、被粉砕物は、コーヒー豆および/またはコーヒー粉末を含み、かつ/または粉砕機構は、コーヒーメーカー用の粉砕機構であることが特定されている。
【0028】
一構成では、粉砕機構は、第1の方向への運転時に被粉砕物を入口側から出口側に搬送するように構成されており、かつ/または粉砕機構は、第2の方向への運転時に被粉砕物を入口側に戻すように構成されていることが特定されている。
【0029】
入口側は、被粉砕物を収容するためにもしくは被粉砕物を粉砕機構へと搬送するために構成されていてよい。例えば入口側は容器に隣接しているか、またはユーザが被粉砕物を装入することができる、つまり、被粉砕物を収容することができる容器を備えている。出口側は、粉砕された被粉砕物を収容するためにかつ/または特に例えばコーヒーメーカー内における更なる使用を目的として運ぶために構成されていてよい。粉砕間隙は、入口側と出口側との間の境界もしくは移行部であってよい。
【0030】
これによって、一方では、第1の方向での粉砕機構の作動時に被粉砕物が、被粉砕物を粉砕するために粉砕間隙の方向に搬送される。このことは、粉砕工程の効率を高める。他方では、第2の方向での粉砕機構の運転時に被粉砕物または粉砕された被粉砕物が粉砕間隙から搬出される。このことは、粉砕機構を緩和させるために働き、最終的に粉砕機構を保護するためにかつ/または粉砕機構のクリーニングを容易にするために働く。
【0031】
場合により独立した更なる構成では、粉砕機構と、上述した方法を実施するための手段とを備えたコーヒーメーカーが特定されている。
【0032】
以下に、本発明を複数の好適な実施例に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】被粉砕物を粉砕するための第1の方法のフローチャートである。
図2】被粉砕物を粉砕するための第2の方法のフローチャートである。
図3A】粉砕機構の第1の粉砕要素を示す3次元図である。
図3B】粉砕機構の第2の粉砕要素を示す3次元図である。
図4A】第1の粉砕機構を示す3次元図である。
図4B】第1の粉砕機構を示す断面図である。
図5】第2の粉砕機構を示す断面図である。
【0034】
図1には、少なくとも1つの粉砕機構によって被粉砕物を粉砕するための第1の方法100のフローチャートが示してある。方法100は、第1の方向に粉砕機構を作動させるための第1のステップ110を含んでいる。第1の方向への粉砕機構の作動時に、被粉砕物が粉砕される。例えば粉砕機構の内部で第1の粉砕要素が、第2の粉砕要素に対して相対的に第1の方向に作動させられる。第1の方向は、例えば第2の粉砕要素に対して相対的な第1の粉砕要素の、被粉砕物の粉砕を可能にする回転方向または並進方向であってよい。
【0035】
方法100は、ステップ120に、被粉砕物の粉砕、つまり先行の粉砕工程が終了しているか否かの確認を含んでいてよい。ステップ120ではさらに、数Nの粉砕工程、特に複数の粉砕工程が終了しているか否かを確認することができ、Nは1以上または2である。言い換えるとステップ120は、粉砕機構が被粉砕物を粉砕するために第1の方向にN回作動させられたか否か、特に予め規定された期間N回作動させられたか否かの確認を含んでいてよい。
【0036】
Nよりも僅かな数の粉砕工程しか終了されなかった場合、もしくは粉砕機構がN回よりも僅かしか被粉砕物を粉砕するための第1の方向に作動させられなかった場合には、方法はステップ110に戻る。
【0037】
ステップ120で、粉砕工程もしくは数Nの粉砕工程が終了したことが確認されると、ステップ140で第1の方向とは異なる第2の方向への粉砕機構の作動が行われる。第2の方向への粉砕機構の作動によって、粉砕機構は緩和される。第2の方向への粉砕機構の作動は、ステップ110またはステップ120に続いて直ぐに、つまり1回または複数のN回の粉砕工程の終了直後に行われる。ステップ120でのN回の粉砕工程の終了の確認は、黙示的にステップ110で行うことができる。例えば、第1の方向への粉砕機構の単数または複数の作動が(予め)規定された期間にわたって行われた、特にそれぞれ行われた場合には、単数または複数の粉砕工程が終了したと見なすことができる。
【0038】
補足的にまたは代替的に、第2の方向への粉砕機構の作動は、ステップ130で検知されるもしくは受信されるユーザ入力に反応して行うことができ、特にこのようなユーザ入力に反応してしか行うことができない。ユーザ入力は、例えば粉砕機構の調整を目的としている。例えば、ユーザ入力が受信された場合にだけ、またはユーザ入力が受信された場合には常に、粉砕機構は第2の方向に作動させられる。ユーザ入力は、例えば1回の粉砕工程またはN回の粉砕工程の終了後に受信することができる。代替的にまたは補足的に、ユーザ入力はいつでも、つまり1回または複数回の粉砕工程の終了または第1の方向への粉砕機構の作動の終了とは無関係に行うことができる。別の例では粉砕機構は、粉砕機構の調整を目的とした、特に粉砕グレードの精緻化、例えば粉砕間隙の縮小を目的としたユーザ入力が受信された場合にだけ、第2の方向に作動させられる。ユーザ入力が受信されない場合には、方法はステップ110に戻る。
【0039】
補足的にまたは代替的に、第2の方向への粉砕機構の作動は、粉砕機構の障害の検知に反応して行うことができ、特にこのような障害の検知に反応してしか行うことができない。例えばステップ130は、先行の粉砕工程が規定通りに終了したか否かかつ/または先行の粉砕工程のうちの1つの粉砕工程中に不規則性が発生したか否か、特に粉砕工程または粉砕要素の障害が発生したか否か、例えば粉砕工程中に力投入の増大が確認された、もしくは粉砕工程中に抵抗の増大が確認されたか否かの確認を含むことができる。このような障害が確認されない場合には、方法はステップ110に戻る。方法100は、方法ステップ120,130をまったく含まなくてもよいし、方法ステップ120,130のいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
【0040】
同様に第2の方向への粉砕機構の作動には、ユーザ入力/障害に反応して、第1の方向への粉砕機構の作動または最後の作動とユーザ入力/障害との間に第2の方向への粉砕機構の作動が(まだ)行われなかったかの確認が先行してもよい。言い換えると、方法100は、被粉砕物の先行の粉砕の終了後に第2の方向への粉砕機構の作動が(まだ)行われていない場合には、ユーザ入力/障害に反応した第2の方向への粉砕機構の作動を含んでいる。
【0041】
方法100は、複数の粉砕機構によって被粉砕物を粉砕するために、複数の粉砕機構のそれぞれに対して別個に、または複数の粉砕機構のすべてに対して一緒に、特に同時に実施することができる。
【0042】
図2には、少なくとも1つの粉砕機構によって被粉砕物を粉砕するための第2の方法200のフローチャートが示してある。方法200は、粉砕機構が第2の方向に作動させられる方法ステップ210で始まる。方法ステップ210は、図1に示した方法100の方法ステップ120に相当していてよい。方法200での第2の方向は、方法100に示した第2の方向であってよい。言い換えると、方法ステップ220,230は方法100に続いてよい。
【0043】
特に粉砕機構の緩和を目的とした、第2の方向への粉砕機構の作動に続いて、ステップ220では粉砕機構の調整が行われる。ステップ220は、特により細かい粉砕グレードへの粉砕機構の調整を含むことができる。例えばステップ220は、粉砕機構の2つの粉砕要素の間の間隔の縮小を、特に2つの粉砕要素の間の粉砕間隙の縮小もしくは粉砕間隙の高さの縮小を含んでいる。
【0044】
ステップ220での粉砕機構の調整に続いて、ステップ230で粉砕機構は、被粉砕物を粉砕するための第1の方向に作動させられる。ステップ230での第1の方向は、方法100のステップ110での第1の方向に相当していてよい。言い換えると、ステップ230で粉砕機構は、調整された、例えばより細かい粉砕グレードで、特に図1に示した方法100のステップ110での被粉砕物の粉砕に比べて細かい粉砕グレードで、被粉砕物を粉砕するための第1の方向に作動させられる。
【0045】
図3Aには、粉砕機構の第1の粉砕要素10が3次元図で示してある。第1の粉砕要素10は、円形の粉砕コーン10もしくは粉砕コーン台である。粉砕コーン10は、その円形の周囲に沿って周期的に配置された第1の案内手段11と第2の案内手段12とを備えている。第1の案内手段11と第2の案内手段12とは、被粉砕物および/または粉砕された被粉砕物を粉砕コーン10の円形の切刃13に向かって搬送するために、もしくは被粉砕物および/または粉砕された被粉砕物を切刃13から離反する方向に運動させるために構成されている。第2の案内手段12は、軸線方向および半径方向で第1の案内手段11と切刃13との間に配置されている。第2の案内手段12は、第1の案内手段11よりも高い周期で粉砕機構10の周囲に配置されている。粉砕コーン10は、真ん中に配置された、つまり粉砕コーンの中心軸線を有する開口14を備えていて、この開口14は、中心軸線に沿って粉砕コーン10を貫いて延在している。開口14は、回転軸もしくは回転軸要素および/または調整装置のための収容部である。
【0046】
図3Bには、粉砕機構の第2の粉砕要素20が3次元図で示してある。第2の粉砕要素20は、円形の粉砕リング20である。上述した粉砕コーン10と同様に、粉砕リング20は、その円形の周囲に沿って周期的に配置された第1の案内手段21と第2の案内手段22とを備えている。第1の案内手段21と第2の案内手段22とは、被粉砕物および/または粉砕された被粉砕物を粉砕リング20の円形の切刃23に向かって搬送するために、もしくは被粉砕物および/または粉砕された被粉砕物を切刃23から離反する方向に運動させるために構成されている。第2の案内手段22は、軸線方向および半径方向で第1の案内手段21と切刃23との間に配置されている。第2の案内手段22は、第1の案内手段21よりも高い周期で粉砕リング20の周囲に配置されている。
【0047】
図4Aには、第1の粉砕要素10と第2の粉砕要素20とを備えた第1の粉砕機構30が3次元図で示してある。粉砕機構30は、軸要素31を備えている。軸要素31は、粉砕コーン10の開口14に配置されている。粉砕コーン10は、軸要素31に回転可能に支持されている、または軸要素31に結合されている。粉砕コーン10は、粉砕リング20に対して相対的にかつ/または軸要素31に対して相対的に可動であり、特に回転可能である。軸要素31は、粉砕コーン10に結合されていてよく、同様に粉砕リング20に対して相対的に可動であってよく、特に回転可能であってよい。軸要素31は、回転軸および/または調整装置であってよい。
【0048】
粉砕機構30は、粉砕間隙33に向かって被粉砕物を搬送するための第3の案内手段32を備えている。第3の案内手段32は、軸要素31の中心軸線を中心にして軸要素31の円形の周囲に周期的に配置されている。第3の案内手段32は、粉砕コーン10もしくは粉砕リング20に設けられた第1および第2の案内手段よりも低い周期で軸要素31に配置されている。
【0049】
図4Bには、第1の粉砕機構30が断面図で示してある。同様のまたは類似の特徴には等しい符号が付されている。図4Bで明らかなように、粉砕機構30は入口側34と出口側35とを備えている。入口側34は、第1、第2および/または第3の案内手段を用いて粉砕間隙33に向かってかつ出口側35の方向に搬送することができる被粉砕物を収容するために構成されている。粉砕間隙33での切刃13,23による被粉砕物の粉砕後に、粉砕された被粉砕物は、粉砕機構30の出口側35に達する。
【0050】
粉砕機構30、特に粉砕コーン10および粉砕リング20は、非回転対称にもしくは非回転不変に構成されている。したがって粉砕リング20に対して相対的な粉砕コーン10の回転方向もしくは粉砕コーン10に対して相対的な粉砕リング20の回転方向は、既に粉砕コーン10および/または粉砕リング20において認識可能である。粉砕機構30は、第1、第2および/または第3の案内手段を用いて、粉砕リング20に対して相対的な粉砕コーン10の第1の回転方向において被粉砕物を粉砕室36の内部で入口側34から出口側35に向かってもしくは入口側34から粉砕間隙33に向かって搬送するために構成されている。図示の例では第1の回転方向は、粉砕リング20に対して相対的な粉砕コーン10の右回転つまり時計回り方向の回転である。粉砕室36は、粉砕コーン10と粉砕リング20とによって取り囲まれているもしくは画定されている。
【0051】
粉砕機構30は、さらに、粉砕リング20に対して相対的な粉砕コーン10の第2の回転方向では被粉砕物は粉砕室36の内部で出口側35から入口側34の方向にもしくは粉砕間隙33から入口側34の方向に搬送するために構成されている。図示の例では第2の回転方向は、粉砕リング20に対して相対的な粉砕コーン10の左回転つまり反時計回り方向の回転である。
【0052】
軸要素31はさらに調整装置を備えていてよい。調整装置を介して粉砕コーン10および/または粉砕リング20は、特に粉砕コーン10と粉砕リング20との間の相対間隔は、調整もしくは調整することができる。例えば粉砕コーン10は、粉砕機構30の中心軸線37に沿って粉砕リング20に対して相対的に運動することができ、特に軸要素31の運動によって粉砕機構30の中心軸線37に沿って運動することができる。中心軸線37に沿った粉砕リング20に対して相対的な粉砕コーン10の軸線方向調整によって、粉砕間隙33の高さもしくは大きさを変化もしくは調整することができる。言い換えると、粉砕コーン10の切刃13と粉砕リング20の切刃23との相対間隔は、中心軸線37に沿った粉砕リング20に対して相対的な粉砕コーン10の軸線方向配置位置によって調整もしくは調整することができる。
【0053】
図5には、第2の粉砕機構40が断面図で示してある。第2の粉砕機構40は、第1の粉砕機構30と同様に粉砕コーン10と粉砕リング20と軸要素31とを備えている。等しいまたは類似の特徴には、等しい符号が付されている。
【0054】
粉砕機構40はさらに、粉砕リング20を粉砕コーン10に対して相対的にもしくは粉砕コーン10を粉砕リング20に対して相対的に、1つの方向もしくは第1の方向または1つの方向もしくは第2の方向に運動させるために構成されている駆動ユニット41を備えている。そのために駆動ユニット41には、例えば粉砕リング20に設けられた対応する係合手段(図示せず)を用いて、粉砕コーン10に対して相対的なかつ軸要素31に対して相対的な粉砕リング20の回転を駆動するために構成されている係合手段42が設けられている。粉砕コーン10に対する粉砕リング20の相対回動を保証するために、粉砕コーン10はロックピン(図示せず)を収容するためのロック手段43、図示の例では切欠き43を備えている。
【符号の説明】
【0055】
10 第1の粉砕要素
11 第1の粉砕要素の第1の案内手段
12 第1の粉砕要素の第2の案内手段
13 第1の粉砕要素の切刃
14 第1の粉砕要素に設けられた開口
20 第2の粉砕要素
21 第2の粉砕要素の第1の案内手段
22 第2の粉砕要素の第2の案内手段
23 第2の粉砕要素の切刃
30 第1の粉砕機構
31 第1の粉砕機構の軸要素
32 軸要素の案内手段
33 第1の粉砕機構の粉砕間隙
34 第1の粉砕機構の入口側
35 第1の粉砕機構の出口側
36 第1の粉砕機構の粉砕室
37 第1の粉砕機構の中心軸線
40 第2の粉砕機構
41 第2の粉砕機構の駆動ユニット
42 駆動ユニットの係合手段
43 第2の粉砕機構のロック手段
100 被粉砕物を粉砕するための第1の方法
110 第1の方法の第1の方法ステップ
120 第1の方法の第2の方法ステップ
130 第1の方法の第3の方法ステップ
140 第1の方法の第4の方法ステップ
200 被粉砕物を粉砕するための第2の方法
210 第2の方法の第1の方法ステップ
220 第2の方法の第2の方法ステップ
230 第2の方法の第3の方法ステップ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
粉砕グレード、例えばコーヒー粉末の細かさを調整または変化させるために調整装置を有している粉砕機構が知られている。特に、調整装置によって、粉砕機構の複数の切断工具もしくは粉砕工具を互いに相対的に調整することができる。例えば、粉砕コーンと粉砕リングとの間の粉砕間隙もしくは粉砕間隙の高さを調整することができる。この調整は手動でまたは自動的に行うことができる。
国際公開第2015/071242号には、コーヒーグラインダであって、コーヒー豆を粉砕するための粉砕工具と、粉砕工具を駆動するためのモータと、粉砕工具および/またはモータのロック状態を検出するためのロック検知器と、ロック検知器がロック状態を検出したときに、粉砕工具および/またはモータの回転方向を一時的に逆転させるように構成された逆転ユニットとを備える、コーヒーグラインダが記載されている。
【国際調査報告】