(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】運動発生器
(51)【国際特許分類】
G09B 9/00 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
G09B9/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573671
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022025252
(87)【国際公開番号】W WO2022253466
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521467456
【氏名又は名称】ディニズマ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DYNISMA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100224683
【氏名又は名称】齋藤 詩織
(72)【発明者】
【氏名】アシュリー ウィリアム ホーカー ウォーン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル チャームベリー ウォード
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ゴールディング
(57)【要約】
本発明の第1の態様によれば、1本以上の細長い剛性ストラットに連結される、表面に対するエフェクタペイロードに力、モーメント、および動きを加えるためのエフェクタを含む運動発生器が提供され、各ストラットはその一端で第1の継手によってエフェクタに連結され、その他端で第2の継手によって、関連付けられるロッカーに連結され、ロッカーはロッカーアームを備え、かつ表面に略平行な旋回軸を、旋回軸の周りで略垂直な孤を通るロッカーアームの動きがエフェクタの動きにつながり、関連付けられるロッカーに加えられる力がエフェクタに加えられる力につながるように有し、ロッカーの動きとロッカーによって加えられる力とは駆動装置によって制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動発生器のエフェクタおよび/またはエフェクタペイロードに力、モーメント、および動きを加えるための運動発生器であって、
前記エフェクタは表面に対して配置されており、
前記エフェクタは複数の細長い剛性ストラットに連結され、各細長い剛性ストラットはその一端で第1の継手によって前記エフェクタに連結され、その他端で第2の継手によって、関連付けられるロッカーに連結され、
前記ロッカーは前記表面に略平行な旋回軸を、前記旋回軸の周りで略垂直な孤を通る前記ロッカーの動きが前記エフェクタの動きにつながり、関連付けられるロッカーに加えられる力が前記エフェクタに加えられる力につながるように有し、
ロッカーの前記動きと前記ロッカーによって加えられる力とは駆動装置によって制御され、
前記駆動装置は、関連付けられるロッカーに、いずれかの端部によって連結される細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動の形態である、またはそれを備え、前記関連付けられるロッカー上の点に、前記ロッカーの前記旋回軸から離れる力を加え、
前記運動発生器は、更に、関連付けられるロッカーの運動中に、前記細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動に張力を与えるための引張手段を備える、運動発生器。
【請求項2】
各ロッカーの前記旋回軸が前記表面と平行である、請求項1に記載の運動発生器。
【請求項3】
各ロッカーの前記旋回軸が水平である、請求項1または2に記載の運動発生器。
【請求項4】
前記駆動装置および/またはロッカーが標準状態にある場合、前記駆動装置および前記ロッカーのうちの少なくとも一方、好ましくは両方が、前記関連付けられる細長い剛性ストラットの前後方向軸と平行にまたは並んで配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項5】
前記駆動装置および前記ロッカーのうちの少なくとも一方、好ましくは両方が、前記関連付けられる細長い剛性ストラットの前記前後方向軸と同軸に移動する、請求項4に記載の運動発生器。
【請求項6】
前記駆動装置の細長い部分が前記関連付けられるロッカーのアームによって画定される開口部を通過する、または前記ロッカーのアームの周縁内を通過し、それによって、前記ロッカーのアームおよび前記細長い部分が前記運動発生器の動作中に互いに対して移動する、請求項5に記載の運動発生器。
【請求項7】
前記エフェクタの最大前後方向可動域がシャーシアーム半径の25%より大きい、請求項1~6のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項8】
前記エフェクタの前記最大前後方向可動域が前記シャーシアーム半径の40%より大きい、請求項7に記載の運動発生器。
【請求項9】
前記エフェクタの前記最大前後方向可動域が前記シャーシアーム半径の約50%である、請求項8に記載の運動発生器。
【請求項10】
前記エフェクタの最大横方向可動域が前記シャーシアーム半径の25%より大きい、請求項1~9のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項11】
前記エフェクタの前記最大横方向可動域が前記シャーシアーム半径の40%より大きい、請求項10に記載の運動発生器。
【請求項12】
前記エフェクタの前記最大横方向可動域が前記シャーシアーム半径の長さの約50%である、請求項11に記載の運動発生器。
【請求項13】
最大垂直方向可動域が前記シャーシアーム半径の15%より大きい、請求項1~12のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項14】
前記最大垂直方向可動域が前記シャーシアーム半径の30%より大きい、請求項13に記載の運動発生器。
【請求項15】
4本以上、好ましくは6本の細長い剛性ストラットを備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項16】
3つの対で配置される6本のストラットがあり、前記ストラットの各々はそれらのそれぞれの端のうちの1つで、関連付けられるロッカーと連結され、前記対になったストラットのうちのそれぞれの他端は、前記エフェクタの3つの取り付け点または継手に連結する、請求項15に記載の運動発生器。
【請求項17】
第1と第2との継手がそれぞれ共に、少なくとも5である、自由度の総数を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項18】
前記第1または第2の継手のうちの一方は自在継手、カルダン継手、球面継手、回り継手、または屈曲部を含み、他方は、回転継手と系列をなす、自在継手、球面継手、カルダン継手、回り継手または屈曲部である、請求項1~17のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項19】
前記細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動がキャプスタンによって作動される、請求項1~18のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項20】
関連付けられるロッカーに作用して、前記ペイロード/エンドエフェクタの重量に反応し、関連付けられる前記駆動装置が標準状態において前記ペイロード/エンドエフェクタを支持するのを支援する受動力付与装置を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項21】
前記受動力付与装置が、関連付けられるロッカーに連結されるバンジー、引張バネ、またはガスストラットを含む、請求項20に記載の運動発生器。
【請求項22】
0.3~0.5の範囲のモーションレシオを有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の運動発生器。
【請求項23】
共に動作するように配置された一次運動発生器と二次運動発生器とを含む組み合わせであって、前記一次運動発生器または二次運動発生器が請求項1~22のいずれか一項に記載の運動発生器である、組み合わせ。
【請求項24】
前記二次運動発生器が請求項1~24のいずれか一項に記載の運動発生器である、請求項23に記載の組み合わせ。
【請求項25】
前記一次運動発生器がフレームを含み、前記二次運動発生器の前記ロッカーのうちの少なくとも1つが、水平旋回軸で、前記一次運動発生器の前記フレームに枢動可能に取り付けられる、請求項24に記載の組み合わせ。
【請求項26】
請求項1~22のいずれか一項に記載の少なくとも1つの運動発生器、または請求項23~25のいずれか一項に記載の少なくとも1つの組み合わせ、および制御システムを含む運動システム。
【請求項27】
請求項1~22のいずれか一項に記載の運動発生器、請求項24~26のいずれか一項に記載の組み合わせ、または請求項26に記載の運動システム、および視覚投影手段または視覚表示手段、および音声手段から選択される少なくとも1つの環境シミュレーション手段、を含む運転シミュレータ。
【請求項28】
請求項1~22のいずれか一項に記載の運動発生器、および前記運動発生器を制御するように配置される制御システム、およびゲームシーンを表示する視覚表示装置を備えるゲーム機。
【請求項29】
請求項1~22のいずれか一項に記載の運動発生器を製造する方法において、前記方法は、
表面に対するペイロードに力、モーメント、および動きを加えるのに適したエフェクタを提供することと、
4本以上の細長い剛性ストラットに連結することと、
各ストラットをその一端で第1の継手によって前記エフェクタに、その他端で第2の継手によってロッカーに連結することと、を含み、
前記ロッカーは、ロッカーの動きが前記エフェクタの動きにつながり、ロッカーに加えられる力が前記エフェクタに加えられる力につながるように、固定された水平旋回軸を有し、
ロッカーの前記動きと前記ロッカーによって加えられる力とが駆動装置によって制御され、
前記駆動装置がロッカー上の点に、前記ロッカーの前記旋回軸から離れる力を加えるように配置される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に運転または飛行のような運動をシミュレートするための運動システムの分野に関する。特に、排他的ではないが、本発明は、運動発生器と、そのような運動発生器を含む運動システムと、運動発生器を使用する方法と、例えば、運転シミュレータとして使用するための運動システムと、それらの生産方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
運動発生器は、1つ以上の方向または自由度で、ペイロードに動き、力、および加速を加えることができる装置である。ペイロードは、例えば、運動発生器を組み込む運動シミュレータでシミュレートされる経験を受けている人間とすることができる。あるいは、ペイロードは、第1の運動発生器と直列であるといわれる他の運動発生器とすることもできる。運動発生器は、運動システムにおいて使用される。運動システムは、本発明の文脈において、運動発生器を制御するための制御システムを含む。
【0003】
運動システムは、運動シミュレータにおいて使用される。運動システムは、運動シミュレーション(例えば、飛行シミュレータ、車両および運転シミュレータ)、ロボット工学、3D印刷、振動、および地震シミュレーションを含む様々な用途で使用される。運動シミュレーションで現在使用される最も一般的な種類の運動発生器は、スチュワートプラットフォーム(または「ヘキサポッド」)運動発生器である。これは、6つの駆動装置を有する並列遠隔操縦機の種類であり、通常、遠隔操縦機の底部上の3つの位置に対で取り付けられ、プラットフォームまたは上板(または「エンドエフェクタ」)上の3つの取り付け点に交差する。装置またはプラットフォーム上に置かれた人間のユーザ等のペイロードを、通常、操縦室、運転領域、またはモデル車両の何らかの形で、自由に吊り下げられた物体が動くことが可能な6つの自由度、即ち、3つの直線運動x、y、z(横方向、前後方向、および垂直方向)と、3つの回転(縦揺れ、横揺れ、および偏揺れ)と、で動かすことができる。一般的に言って、並列遠隔操縦機ベースの運動システムでは、いくつかのコンピュータ制御駆動装置がペイロードを支持するために並列に動作するように配置される。この文脈において、「並列」とは、ペイロードと底部との間のそれぞれ別々の負荷経路内に1つの駆動装置のみが存在することを意味する。一方で、直列遠隔操縦機では、ペイロードと底部との間の可能な負荷経路の1つ以上が少なくとも2つの駆動装置を含む。
【0004】
運動シミュレータは、乗員に対して、動いている車両にいることの効果または感覚を生成することができる少なくとも1つの運動発生器/運動システムを組み込むシミュレーションシステムである。運動シミュレータは、運転シミュレータと飛行シミュレータとのそれぞれの形で運転者と操縦士とを訓練するために、専門的に使用される。また、これらは、車両自体の製造、設計、および試験、並びに車両部品の設計に工業的に使用される。運転および飛行シミュレーションに使用される専門運動シミュレータは、通常、例えば、投影システムおよび関連付けられる画面および音声信号によって提供される視覚表示装置を、運転者または操縦士が占める搬器(またはシャーシ)の動きと同期させ、運動効果のより良い感覚を提供する。仮想現実(VR)頭部装着表示装置(HMD)の出現は、没入型シミュレーションの態様を現在の運動システムを用いてより低コストにし、受動のアミューズメントパークまたはアーケードドライブ、本人視点での乗車、または飛行乗車、および1人以上のプレーヤが、運転、乗車、飛行、または本人視点のゲーム体験に対して何らかの制御を有する能動的なゲーム等の余暇使用に仮想現実アプリケーションを配信することが可能である。運動シミュレーションで使用される運動発生器のペイロード、例えば、シャーシまたは操縦室等、は、比較的重い場合が多く、約100kgであるが、ゲーム等の特定の用途ではより小さいペイロードも可能である。運動発生器の運動シミュレーション用途は、多くの場合、約1メートル以上である大きな動きにわたる、このような比較的重いペイロードの精密な制御を必要とする。
【0005】
人間の参加者のための運動シミュレーションに通常使用されるヘキサポッドの種類は、典型的には約20Hzまでの比較的低い帯域幅を有する。これは、毎秒最大20回の周波数で、一貫した振幅の振動的な動きと振動とを作り出すことができることを意味し、それを超えると、周波数が高くなるにつれて運動の振幅が減少する。これは、ほとんどの車のサスペンションの動きを複製するには十分であり得るが、車のエンジンからの振動、タイヤの振動、道路の騒音、レーストラック上の鋭いカーブと関連付けられるような周波数の容量を伝えるものではない。また、低い帯域幅は、信号が遅れていることを意味し、つまり、運転者はそれほど素早く応答できない。
【0006】
現在の運動システム、特に軍用および商業上の飛行指導および訓練用途のような最高仕様の使用を意図したものは、典型的には非常に大きく、重く、複雑で、非常に高価である。それらの複雑さは、大規模なプログラミングおよび保守を必要とし、ユーザのコストを更に増大させる。
【0007】
専用の運転シミュレータ運動システムは、McLaren/MTS、Williams/ABDおよびAnsibleのようなものによって開発されてきたが、これらは非常に機械的に複雑な傾向があり、従って、高価であり、精密に機械加工された特注の部品を特徴とし、しばしば高価なリニアモータを特徴とする。これらの専用の運転シミュレータ運動システムは、ある方向に動くときにはヘキサポッドよりも応答が速いが、それ以外の方向の場合にはまだ限られる。このようなシステムにおいてボールねじを一般的に使用することは、位置を確立するのに優れているが、力の伝達を阻止し、より低い帯域幅しか達成できないという点で不利である。これらの課題は、人間のユーザに、より自然でない運動シミュレーション体験をもたらす結果となる。例えば、それらによりシステムレイテンシが悪くなり、乗り物酔いを最小限に抑えるために追加の補正手段が必要となる(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に開示される運動シミュレータは、ベルクランクにより駆動される3つの直立アームを含む3つの自由度の並列遠隔操縦機を用いて、縦揺れ、上下揺れおよび横揺れにおける動きを制御する機構を含む。従って、それらの自由度において応答性があり、高い帯域幅を有する。リニア駆動装置によって回転駆動される回転テーブルが、偏揺れを与えるために必要とされる。運動シミュレータは比較的小型であることを意図される。しかし、その水平自由度は、順応性と、慣性と、水平自由度におけるシステムの応答性および帯域幅を制限する摩擦とを導入する直列遠隔操縦機によって提供される。
【0009】
特許文献2は対話型レーシングカーシミュレータを開示する。対話型レーシングカーシミュレータは、空気圧制御の下で、X方向およびY方向にそれぞれリニアガイド上で動くように配置され、「XフレームおよびYフレーム」と称される長方形フレームを重ねる単純な直列配置を含む一次運動発生器を含む。この文献に開示される種類のXおよびYフレームの単純な配置は、X方向およびY方向に良好な可動域を提供するが、フレームは互いに積み重ねられるので、直列運動発生器は上下の寸法において特に小型ではない。更に、X方向およびY方向の動きは、特に正確ではなく、また、シミュレータは比較的低い帯域幅を有することになる。
【0010】
運転シミュレータに使用するための一次運動発生器の組み合わせ例は、特許文献3に記載される。本明細書は、一次運動発生器を用いて水平面内の大きな動きを維持することができ、同時に二次運動発生器の最大の上下方向の運動を達成することができる6つの自由度の運動発生器と直列に配置された3つの自由度の運動発生器を開示する。従って、直列で動作する2つの運動発生器は、同様のサイズのヘキサポッドでは不可能である異なる自由度の動きの組み合わせを達成することができる。しかしながら、本文書に記載されるヘキサポッドは、リニア駆動装置を使用し、特にボールねじ駆動リニア駆動装置を再回転させる。上述のように、ボールねじ駆動装置の再回転は、かなりの摩擦を有し、従って、応答性および帯域幅が悪くなる。ヘキサポッド構造における他のリニア駆動装置の使用は、更なる問題をもたらす。リニア駆動装置が可動ストラットの一部として可動である場合には、それは低い周波数で機械的共振をもたらす高い可動質量を有し、システムの応答性および帯域幅を制限する。あるいは、リニア駆動装置が底部に対して固定され、ヘキサポッドのストラットの一方の端部がリニア駆動装置に沿って並進する場合、システムの重みと慣性負荷は、更にかなりの摩擦を伴うリニア軸受けによって作用される。
【0011】
特許文献4は、大きな低摩擦固定底部上で摺動可能であり、およびプラットフォームの大きな水平運動を可能にするケーブル/駆動装置制御のプラットフォームを含む運動システムを開示する。ケーブルおよび駆動装置は、大きな底部の周囲に配置され、この設計におけるプラットフォームの大きな水平運動を可能にする。ヘキサポッドをベースとした二次運動発生器は、次に、プラットフォーム上に取り付けられ、操縦室の他の動きを提供するためにモデル車両操縦室を支持する。運動システムは、大きな低摩擦固定底部設計によって提供される可動域レベルにより、小型ではない。
【0012】
出願人の特許文献5(特許文献6としても公開される)は、少なくとも1つのロッカーの旋回軸が傾斜しており、好ましい構成では、全てのロッカーの旋回軸が基準面に対して垂直である、ロッカーベースの運動発生器を開示している。
【0013】
特許文献7(DYNAMIC MOTION SYSTEMS GMBH)は、クランクと係合する、関連付けられるサーボモータによって駆動される遊星変速機を、駆動装置の各々が有する、一連の駆動装置を含む運動シミュレーションシステムを開示している。この直接駆動システムは、アミューズメントパーク等の用途において使用するように意図された高摩擦、高レイテンシ配置である(
図17A~
図17G参照)。データは提供されていないが、特許文献7の配置は、比較的低い帯域幅および高レイテンシを有することが予想される。それ故、高い帯域幅および低レイテンシが望ましい運転シミュレーションまたはゲーム機器には好適ではないだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第2486558号明細書
【特許文献2】米国特許第5919045号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2810268号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0053548号明細書
【特許文献5】国際公開第2020/228992号
【特許文献6】欧州特許第3739558号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2014/157916号明細書
【特許文献8】国際公開第2020/249262号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Lucas, G et al.- Study of latency gap corrections in a dynamic driving simulator - In: Driving Simulation Conference & Exhibition, France, 2019-09-04 - DSC 2019 EUROPE VR - 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、改良された運動発生器、特に、運転および車両の運動の種類のシミュレーション用途、またはより軽いペイロードを伴う用途に有用なものと、このような運動発生器を組み込む改良された運動システムとを提供することであり、これらの用途に関して更に特に適している。
【0017】
本発明の更なる目的は、水平および垂直自由度において良好な可動域特性も有する運動発生器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様によれば、運動発生器のエフェクタまたはエフェクタのペイロードに力、モーメント、および動きを加えるための運動発生器が提供され、エフェクタは表面に対して配置または位置付けられ、エフェクタは1つ以上の細長い剛性ストラットに連結され、各ストラットはその一端で第1の継手によってエフェクタに連結され、その他端で第2の継手によって、関連付けられるロッカー(即ち、特定のストラットが連結されるロッカー)に連結され、各ロッカーはロッカーアームを備え、表面に略平行なロッカー旋回軸を、旋回軸の周りのロッカーの動きがエフェクタの動きにつながり、ロッカーに加えられる力がエフェクタに加えられる力につながるように有し、ロッカーの動きとロッカーによって加えられる力とは駆動装置によって制御され、駆動装置は、いずれかの端部によって、関連付けられるロッカーに連結される細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動の形態である、またはそれを備え、関連付けられるロッカー上の点に、ロッカーの旋回軸から離れる力を加え、運動発生器は、更に、関連付けられる細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動に張力を付与して、関連付けられるロッカーの運動中のベルト、ケーブル、またはロープ駆動における張力を維持するための手段を含む。
【0019】
該ロッカーまたは各ロッカーの旋回軸は水平、即ち、表面と平行であることが好ましい。ロッカーは、好ましくは、略垂直平面内で、即ち、略垂直な弧を通って移動する。
【0020】
本発明によるこのような運動発生器は、比較的コンパクトな設置面積を有しつつ、驚くほど良好な水平方向および垂直方向の可動域特性を有することが判明している。例えば、本発明による運動発生器は、水平に移動するロッカーアームを有する、即ち、垂直旋回軸を有する、同等の運動発生器(即ち、以下に定義するように、同様のシャーシアーム半径を有する運動発生器)よりも可動域が60%~100%増加する可能性がある。これは、運転シミュレーション等の用途の水平方向または垂直方向の可動域特性が大幅に改善されることを示している。
【0021】
表面は、概ね平面とすることができ、典型的には平面である。例えば、多くの用途において、表面は、単純に、本発明による運動発生器が設置される建物の床とすることができるが、運動発生器用の比較的平面な台板/基台とすることができる。高価な、非常に平面な表面は必要とされない。以下に記載される組み合わせ、および二次運動発生器が本発明による運動発生器である場合等の他の状況では、表面は、組み合わせが設置される物理的表面の上方の基準平面とすることができ、典型的には、一次運動発生器によって提供されるか、または一次運動発生器によって画定され、またその表面は一次運動発生器と共に動くことができる。
【0022】
この文脈では、ロッカーは、従来通り、細長い回転継手、またはピボットの一端に取り付けられる固形物本体(ロッカーアームと称される場合もある)を意味し、本体は、この継手、またはピボットによって提供される旋回軸を中心に回転可能であり、それによって、継手、またはピボットの他端に取り付けられる別の固形物本体に対して回転可能である。また、ロッカーは、通常、他の継手とピックアップポイントとをその本体上に有し、他の可動構成要素に取り付けられるであろう。ロッカーは、通常、機械的システムにおいて、可動構成要素の相対運動を制御して、機械的利点を制御し、運動の方向を変更するために使用される。ベルクランクおよびレバーのような機械的構成要素はロッカーの形態である。例えば、ロッカーは、例えばプッシュロッドまたはプルロッドサスペンション装置等の自動車のサスペンションにしばしば使用される。また、用語「ロッカー」は、本開示の目的のために、屈曲部に取り付けられる、または屈曲部と一体化される固形物本体を包含するため、本体は想像軸の周りで弧を描くことができ、その想像軸は、他のロッカーについて上記で言及されたような旋回軸と同等である。
【0023】
このように、本発明は、1、2、3、4、5、または好ましくは6の自由度を有する並列遠隔操縦機の形態である運動発生器を提供し、この運動発生器は、1つ、またはそれより多く、典型的には6つの駆動装置を含み、それぞれ、応答性と高い帯域幅の動きとを生成することができる。本発明による運動発生器では、エフェクタは、典型的には、4本以上の細長い剛性ストラット、より典型的には6本のそのようなストラットに連結され得る。従って、本発明の運動発生器は、運動発生器の設置面積の相対的なサイズに対して、水平方向および垂直方向において特に良好な可動域を伴う、6の自由度全てにおいて、応答性と高い帯域幅の動きとを提供することができる。
【0024】
本発明による運動発生器は、既知の運動発生器と比較して、いくつかの点の一部または全てにおいて利点とすることができる。水平方向および垂直方向への自由度の優れたレベルの可動性に加えて、可動部分内で摩擦の低いレベルを有することもできる。本発明の運動発生器の設計は、摩擦を最小限にし、従って、従来の設計で使用されるリニア軸受けまたはリニア誘導装置よりも摩擦の少ないロッカー(典型的には、ピボット点におけるその回転軸受けと共に)によって、ペイロードに与えられる重量および負荷が作用されるので、応答性があり、高い帯域幅を有する。換言すると、ロッカーは、運動発生器の応答性に貢献する低摩擦の誘導装置を提供する。更に、駆動装置モータは、ロッカーへの短いベルトまたは他の同様の駆動を介して、ベルトまたは同様の駆動に直接連結される。更に、ストラットは、上側継手および下側継手によってエンドエフェクタと関連付けられるロッカーとを直接相互接続することが有利であり、これも運動発生器の応答性に寄与する。運動発生器は、既知の設計と比較して、可動構成要素の質量が低いため、低慣性を有することができる。従って、運転シミュレーション等の運動シミュレーション用途においてレイテンシが短くなる。運動発生器のレイテンシは、通常、約3~4msであることができるが、約3ms未満であってもよい。典型的には50Hzよりも良好な高い帯域幅を、1つの自由度より多い自由度で有することもできる。いくつかの実施形態では、複数の自由度において、例えば、80Hz、90Hz、または100Hzまたはそれより多い、50Hzよりも著しく高い帯域幅を有することができ、これは同等の運動発生器の設計よりもかなり利点である。更に、例えば、特許文献3の運動発生器の摺動要素によって必要とされる精密機械加工された金属底部は、従来の建物床に設置されることができるので、必要としない。
【0025】
6つの自由度における運動発生器の可動性は、有利なモーションレシオを選択することによって改善することができる。モーションレシオは、それぞれの駆動装置モータの運動に対する、各方向へのエンドエフェクタの運動の比を指すシステム配置の特性である。システム配置は、ロッカーおよび駆動装置モータの達成可能な移動内のエンドエフェクタの広範囲の運動を達成するように、即ち、有利なモーションレシオを有するように設計することができる。
【0026】
モーションレシオは運動発生器の可動域にわたって変化することができ、システム配置は、移動中にそれほど変化しないモーションレシオを維持するように設計することができる。極端な場合、システム移動内でゼロに達するモーションレシオは、対応する駆動装置モータがエンドエフェクタの動きに対して制御力を有さず、これによりエンドエフェクタの転倒を引き起こす可能性がある故、問題となる。
【0027】
可動域は6次元の包絡線によって境界付けられ、これは一部または全ての自由度において大きく、かつ凸状となるよう選択することが理想的である。超球面が例示的な包絡線であり、これはその表面全体にわたって凸状であり、凸状の包絡線は、システムが包絡線を出ることなく、使用可能な移動内の任意の点から使用可能な移動内の任意の他の点まで直線的に移動し得る故に有利である。
【0028】
本発明の運動発生器における第1と第2との継手、即ち、上側と下側との継手は、共に、少なくとも5つである、自由度の総数を有することができる。好ましくは、第1または第2の継手のうちの一方は、自在継手、カルダン継手、球面継手、または屈曲部を含むことができ、他方は、球面継手とすることができる。そのような継手の剛性は通常、それらの必要とされる範囲の動きが増加するにつれて低下する。各継手のシステム可動域内の移動範囲を最小限に抑えるよう、システム配置並びに第1および第2の継手の配向および位置を改善することができる。これらの理由から、カルダン継手が好適である。
【0029】
本発明による運動発生器は、典型的には複数のロッカーを含む。ほとんどの配置において、運動発生器は、6つのロッカーを含むことができる。少なくとも1つの、好ましくは各々の、ロッカーの旋回軸は、表面が、運動発生器が設置される物理的表面である表面に対して概ね平行に固定され、即ち、旋回軸は水平面内にある。各旋回軸は、表面と平行であることができる。代替的に、(典型的には、一次運動発生器上に二次運動発生器として取り付けられる、本発明による運動発生器を含む組み合わせの文脈において)、ロッカーの旋回軸はその表面に対して固定されることができず、物理的表面の上方の平面、即ち一次運動発生器と共に動く平面に対して固定される。ロッカーピボットは、回転継手、軸受け付き軸、または屈曲部であることが好ましい。各ロッカーは動く、即ち、表面に対して直角な平面内で回転または旋回することができる。好ましくは駆動装置とロッカーとの両方(特に、動きの弧を描くロッカーの「自由」端)は、関連付けられる細長い剛性ストラットの前後方向軸と同軸に動くようにする。換言すれば、駆動装置およびロッカーはストラットと整列され、これにより、ロッカー/ストラット連結の有用性および駆動装置からエフェクタへの力の移送を改善する。より具体的には、駆動装置および/またはロッカーが標準状態(nominal condition)にある場合、即ち、運動発生器が標準状態にある場合、好ましくは駆動装置とロッカーとの両方が、関連付けられる細長い剛性ストラットの前後方向軸と平行に、または並んで配置される。
【0030】
有利には、ベルト、ケーブル、またはロープはストラットの前後方向軸と平行に、好ましくは並んで移動することができる。このようにして、関連付けられるロッカーにかかる曲げ荷重が少なくなり、荷重がベルト、ケーブル、またはロープおよび関連付けられるモータにより直接的に伝達される。これらの要因により、運動発生器の応答性が向上する。
【0031】
本発明による運動発生器は、典型的には4本、5本、6本、またはそれより多い、細長いストラットを含むことができるが、1本、2本、または3本の細長いストラットを有する運動発生器も考えられる。例えば、運動発生器は、Xが6未満であるX本の細長いストラットと、Y=6-Xである、エフェクタのYの自由度を拘束する少なくとも1つの機械的拘束手段とを含むことができる。あるいは、6本を超える細長いストラットとすることができる。細長いストラットの対は、エンドエフェクタの反対側に配置されることができる。典型的な一実施形態では、運動発生器が3本の細長いストラットの対を含む。
【0032】
少なくとも1つの駆動装置は、負荷を表面に戻して作用させることができるように配置されることができる。ベルト、ケーブル、またはロープ駆動の駆動装置は、それらが比較的安価であるという点で有利であり得る。運動発生器が細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動のような駆動装置によって動力を供給される場合、細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動は、ベルト車またはキャプスタンによって作動されることができる。このようなベルト車またはキャプスタンは、電動モータまたは歯車モータによって駆動されることができる。
【0033】
運動発生器が、細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動等の駆動装置によって動力を供給される場合、細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動は、ベルト車またはキャプスタンによって作動されることができる。このようなベルト車またはキャプスタンは、電動モータまたは歯車モータによって駆動されることができる。
【0034】
ベルト、ケーブル、またはロープ駆動の両方の端は、関連付けられるロッカーに取り付けられ、従って、ロッカー上の2つの取り付け点の間のベルト、ケーブル、またはロープ駆動内に閉じられたループを効果的に形成する。代替的に、ベルトまたは同様の駆動は、関連付けられるロッカーに適切に固定される閉じられたループの形態であることができる。例えば、ベルト車を含む受動引張装置は、ベルト、ケーブル、またはロープ駆動の一端またはその一部に適用されることができ、ベルト、ケーブル、またはロープ駆動の張力を維持し、システムの変化する幾何学的形状内でその固定の長さに適応する。受動引張装置は、ロッカーの幾何学的形状の変化に適応することができる。受動引張装置は、リニア誘導装置上にバネを含むことができ、またはリニア誘導装置を別のロッカー/レバーに置き換えることができる。代替的に、受動引張装置内のリニアバネをねじりバネに置き換えることもできる。1つ以上の受動力付与装置をロッカーに連結して、静的な前負荷または減衰等の駆動装置を支援したり、ペイロードを中立状態(または「条件」)に維持する傾向にあるようにペイロードの重量を支持したりすることができる。この補助は、バネ、ガスストラット、またはバンジー等の受動力付与装置によって提供することができる
【0035】
少なくとも1つのロッカーおよび/または駆動装置が、表面上または表面に取り付けられることができる。代替的に、または付加的に、少なくとも1つのロッカーおよび/または駆動装置が、表面に固定されるフレームまたは他の支持体上に取り付けられることができる。
【0036】
エフェクタによって支持されるペイロードは、10kgを超えることができ、好ましくは80kgを超えることができ、好ましくは250kgを超えることができ、または500kgを超えることさえができる。典型的には、運動シミュレーション用途では、ペイロードが車両シャーシ、操縦室、またはそれらのモデルとすることができる。
【0037】
本発明による運動発生器は、一次運動発生器と直列の二次運動発生器として動作するように配置されることができる。一次および二次の運動発生器を含むこのような組み合わせの装置は、ペイロードのより大きな運動範囲をユーザに提供することができる。例えば、組み合わせは、運動シミュレーション、特に車両運動シミュレーション、用途の運動において必要とされる1メートルほどの可動域を達成することができる。更に、そのような組み合わせ装置は、比較的単純で、従って、費用対効果の高い一次運動発生器の使用を可能にすることができ、より複雑な運動を提供する二次運動発生器のみを用いて、例えばX方向およびY方向に運動を提供する。代替として、一次運動発生器は、X、Y、偏揺れの自由度を有することができる。二次運動発生器として本発明による運動発生器を用いて、一次運動発生器として使用するのに適した既知の運動発生器の一例は、特許文献4に開示されるものである。そのような組み合わせにおいて、本発明による運動発生器は、少なくとも1つのロッカーおよび/またはその発生器の駆動装置が一次運動発生器のフレームに、エンドエフェクタに、またはペイロードとして、取り付けられる二次運動発生器として配置される。例えば、一次運動発生器は、エンドエフェクタとしてフレームまたはプラットフォームを含むことができ、二次運動発生器のうちの少なくとも1つのロッカーは、一次運動発生器のフレームに枢動可能に取り付けられることができる。
【0038】
本発明の別の態様によれば、運動システムが提供され、運動システムは、本発明による少なくとも1つの運動発生器と、制御システムとを含む。制御システムは、少なくとも1つの運動発生器の駆動装置、好ましくはその全ての駆動装置、の動作を制御することができる。制御システムは、各駆動装置で生成される必要がある位置、加速、および/または力を計算することができ、要求される運動プロファイルを生成する。
【0039】
本発明の別の態様によれば、本発明による運動発生器または本発明による運動システム、および視覚投影手段もしくは視覚表示手段、および音声手段から選択される、少なくとも1つの環境シミュレーション手段を含む運転または車両シミュレータが提供される。運転または車両シミュレータは、操縦室またはシャーシおよび/または車両のシミュレーションの構成要素を含むことができる。運転または車両シミュレータは、表示装置、仮想現実装置、投影装置、および仮想環境をモデル化するためのソフトウェア手段、および車両モデルのうちの少なくとも1つを含む環境をシミュレートするための手段を含むことができる。
【0040】
本発明の別の態様は、本発明による運動発生器を製造または提供することと、制御システムを運動発生器に連結して、運動システムを製造することとを含む運動システムを製造する方法を提供する。
【0041】
運動発生器、運動システム、および運転シミュレータの他の特徴は、本明細書に記載の説明および更に特許請求の範囲から明らかになるであろう。運動発生器、運動システム、運動シミュレータ、および本発明の特定の態様または実施形態等の装置を参照する場合、当業者は、本発明の他の態様および実施形態がそのような装置に等しく適用することができることを理解するであろう。
【0042】
単一のロッカーと、関連付けられる細長いベルト、ケーブルまたはロープ駆動およびストラットとを備える運動発生器も、特定の用途向けに検討される。具体的には、そのような運動発生器は、表面に対してエフェクタおよび/またはエフェクタペイロードに力、モーメントおよび動きを加えるためのエフェクタを備え、エフェクタは細長い剛性ストラットに連結され、細長い剛性ストラットはその一端で第1の継手によってエフェクタに連結され、その他端で第2の継手によって、関連付けられるロッカーに連結され、ロッカーは表面に略平行な、好ましくは表面に平行な旋回軸を、旋回軸の周りで略垂直な弧を通るロッカーの略垂直方向の動きがエフェクタの動きにつながり、ロッカーに加えられる力がエフェクタに加えられる力につながるように有し、ロッカーの動きとロッカーによって加えられる力とは駆動装置によって制御され、駆動装置は、ロッカー上の点に、ロッカーの旋回軸から離れる力を加えるように配置された細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動の形態である、またはそれを備え、運動発生器は、更に、細長いベルト、ケーブル、またはロープ駆動に張力を与えるための引張手段を備える。当業者は、ベルトまたは他の駆動、ロッカーとストラットの前後方向軸との好ましい整列、またはロッカーを通過するベルトまたは他の駆動の一部等、この運動発生器の他の特徴は、運動発生器から取り除かれることができることを理解するであろう。
【0043】
本発明による運動発生器と、運動システムと、運転シミュレータと、それらの動作と製造とは、単なる例示として、添付図面の
図1~
図10を参照してここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明による運動発生器を上方および片側から見た概略斜視図である。
【
図2】明確化するためにいくつかの外部構成要素を取り除いた、
図1の運動発生器を上方および同じ側から見た更なる概略斜視図である。
【
図2A】明確化するためにいくつかの外部構成要素を取り除いた、
図2に示す運動発生器の同じ側からの立面図である。
【
図3】本発明による運動発生器で使用するためのロッカーおよび駆動装置の配置の概略斜視図である。
【
図3A】本発明による運動発生器で使用するための代替的なロッカーおよび駆動装置の配置の概略斜視図である。
【
図4】本発明による運動発生器と共に使用するための制御システムの概略図である。
【
図5】本発明による運動発生器および同等の運動発生器(
図7に示す)のエフェクタの異なる自由度における可動域に関するモデル化実験の結果を示す図である。
【
図6】本発明による運動発生器および同等の運動発生器のエフェクタの異なる自由度における可動域に関する更なるモデル化実験の結果を示す図である。
【
図7】
図5および
図6に示される結果を有するモデル化実験で使用された、垂直旋回軸を備えるロッカーを有し、シャーシペイロードを支持する、同等の運動発生器の平面図である。
【
図8】
図5および
図6に示されるモデル化実験で使用された、水平旋回軸を有し、シャーシペイロードを支持する、本発明による運動発生器の平面図である。
【
図9】本発明による運動発生器と別の運動発生器とを含む組み合わせの概略図である。
【
図10】本発明による運転シミュレータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書において、上側または下側等の特定の向きおよび位置への言及は、添付の図面に示されるような向きまたは位置を指す。
【0046】
<運動発生器>
本発明の第1の態様による運動発生器10、およびその構成要素が
図1~
図3Aに示されている。プラットフォーム13によって構成されるエンドエフェクタを有する運動発生器10は、表面14上に取り付けられる。プラットフォーム13は、この実施形態では運動発生器10のペイロードを構成する。更に、または代替的に、ペイロードが含まれる場合がある。例えば、ペイロードは、(例えば、
図7および
図8に示すように)レーシングカーの操縦室の複製の形態のシャーシを含んでもよい。運動発生器10は、略三角形の形状を有し、アルミニウム等の軽量の剛性材料で構成される。運動発生器10は、表面14上に直接取り付けられる。あるいは、運動発生器10は、スペースフレーム等のフレーム上またはフレーム内に取り付けられてもよい。フレームを使用することにより、特に運動発生器が一次運動発生器と直列の二次運動発生器として使用される場合に、運動発生器全体を運ぶことができるという利点がある。プラットフォーム13は、細長い剛性ロッドまたはストラットS1、S2;S3、S4;およびS5、S6の対によって支持され、これらのロッドまたはストラットは、それらの上端で、上側継手UJ1、UJ2、UJ3、UJ4、UJ5、およびUJ6によって、プラットフォーム13にそれぞれ連結される。「ロッド」および「ストラット」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。細長い剛性ストラットS1~S6は、例えば、鋼鉄等の硬くて軽量の材料、アルミニウム、または炭素繊維等の複合材料で作ることができる。上側継手UJ1~UJ6は、この実施形態では球面継手であるが、例えば、カルダン継手、または他の自在継手、旋回軸受け、または回り継手を含んでもよく、および/または屈曲部を含むことができる。各細長いストラットS1~S6の下端は、下側継手LJ1、LJ2、LJ3、LJ4、LJ5、およびLJ6によって、関連付けられるロッカーR1、R2、R3、R4、R5、およびR6にそれぞれ連結され、これらのロッカーは、それぞれ、(表面14に対して)水平な旋回軸の周りを旋回運動するよう配置される。例示として、ロッカーR3およびR6のそれぞれの水平ロッカー旋回軸RPA3およびRPA6を
図2Aに示す。下側継手LJ1~LJ6はまた、球面継手、カルダン継手、または他の自在継手、旋回軸受け、または回り継手を備えてもよく、および/または屈曲部を含むことができる。下側および/または上側継手にはカルダン継手が好適である。より具体的には、カルダン継手の2つの回転軸をオフセットすることが特に好ましく、なぜなら、この構成により、回転軸が交差する従来のカルダン継手と比較して、軸方向の動きにおける継手の剛性をより高めることを可能にする故、特に好ましい。歯付ベルト駆動BD1~6の形態の駆動装置は、関連付けられる電気モータEM1~6によって駆動され、ロッカーR1~6に連結される。ベルト駆動BD1~6はそれぞれ、ベルトテンショナT1~6の形態の引張装置にもそれぞれ連結し、これにより、連結された関連付けられるロッカーに、そのロッカーに連結されるベルト駆動に対して予圧張力を提供する。ベルトテンショナT1~6はそれぞれ、関連付けられるベルトが周囲を通過するベルト車と、リニアガイド上のバネ、またはアームの端部にベルト車が取り付けられるレバーアームのピボットの周りに作用するねじりバネ等、ベルト車に力を付与する手段と、を備える。ベルトテンショナT1~6によって提供される力により、ベルトの張力が維持され、関連付けられるロッカーの移動に伴う幾何学的変化に対応する。ハウジングH1~3は、ロッカーの対R1、2;R3、4;およびR5、4と、関連付けられるベルト駆動BD1~6との周りに配置される。ロッカーR1~R6と、関連付けられるベルト駆動BD1~6および電気モータEM1~6との間の連結は、ハウジングH1~3が示されていない
図2、
図2A、および
図3に更に詳細に示されている。
【0047】
図3は、ロッカーおよび関連付けられるアクチュエータ構成の一例として、ロッカー(例えば、R6)および連結される要素をより詳細に示しており、以下でより詳細に説明する。他のロッカーR1~5、および運動発生器の関連要素は、対応して構築および配置される。ロッカーR6は、表面14と平行なロッカー旋回軸RPA6の周りを旋回するように配置されており、この構成において低摩擦な誘導装置を構成する。図示の実施形態では、ロッカーピボットはピボットシャフトのいずれかの端に軸受けを備えるが、これらを例えば屈曲部に置き換えることもできる。ロッカーR6は、引張バネSP6によって支持されており、引張バネSP6の他端は、運動発生器構造に固定されている。バネSP6は、復元力を提供して、ペイロード/エンドエフェクタの重量を移動範囲内の中立(または「標準」)位置またはその近くで支持することによって、駆動装置を補助する受動力装置を構成する。このような受動力装置は、バンジー、引張バネ、ロッカーアーム上の点に取り付けられ、ペイロードの重量に反応する方向に引っ張られるガスストラットによって提供され得る。細長いストラットS6は、その下端にて下側継手LJ6によってロッカーアームの外端にヒンジ接続され、その上端にてUJ6(エンドエフェクタに連結する)によってヒンジ接続される。細長いストラットS6は、中心前後方向軸SA6を画定する。細長い歯付ベルトBD6の両端は、連結されたベルトBD6の磨耗を軽減する、丸みを帯びた要素E6を介してロッカーR6に連結される。要素E6は、例えばベルト車の形態で湾曲または円形であってもよく、歯付ベルトと係合するように歯が付いていてもよい。適切な歯付ベルトの例に、Continental社のConti(登録商標)Synchrochain Carbonベルトがある。ベルトBD6の主要な長さは、ロッカーR6のロッカーアームによって画定される開口部RA6を通過し、これにより、運動発生器の動作中の要素間の望ましくない接触が回避される。
【0048】
この実施形態では、細長いベルトの両端が関連付けられるロッカーに固定されているが、上述したように、完全に閉じたループベルトまたは同様の駆動を本発明の運動発生器に使用できることが考えられ、閉じたループベルトはロッカーに適切に固定される。
【0049】
歯付ベルトBD6は、電気モータEM6の駆動可能な対応する歯付電動キャプスタンC6(隠されている)の周囲を通過する。電動キャプスタンの適切な例は、Kollmorgen社のAKM2G Servo Motorによって駆動される、Martin社のシンクロベルトのスプロケットであろう。キャプスタンC6/モータEM6は、(例えば、
図4に関連して説明したように)制御システムの制御下で動作する。モータEM6は、比較的短い長さのベルトBD6によってロッカーR6に接続され、これにより、運動発生器の応答性に効果的に寄与していることに留意されたい。テンショナおよびモータ/キャプスタンの位置は交換可能であることが理解されよう。いくつかの構成では、モータはテンショナ上に取り付けることができる。これは、ベルトの長さを短くし、あらゆるベルトの伸長を低減し、それにより高帯域幅、低レイテンシ動作を可能にするという点で有利であり得る。
【0050】
ベルトBD6および関連付けられるロッカーR6は、関連付けられるストラットS6の前後方向軸SA6と平行に移動するように配置されていることに留意されたい。このようにして、有利には、ロッカーR6が受ける曲げ荷重が少なくなり、荷重がより直接的にベルトBD6に、ひいてはモータEM6に伝達される。この配置は、有利には、モータEM6からストラットS6への力のより直接的な作用線を提供する。換言すれば、モータEM6からベルトBD6、そしてストラットS6までのより剛性の高い負荷経路が存在し、ロッカーR6によって提供されるのに必要な反力が取り出される。これは、ロッカーR6が屈曲する際に反力を提供する必要がないことを意味しており(少なくともシステムが中心にある場合)、従って、ロッカーR6の動きが他の運動発生器設計と比較して改善される。
【0051】
図3Aは、
図3に関連して上述したものとほぼ同様である、代替的なロッカーR6Aおよび駆動装置の配置を示しており、対応する構成要素に関しては対応する参照番号が使用されている。任意の追加のブレーキシステムBSがロッカーR6Aに接続されて、ロッカーの減速度を制御する。
【0052】
制御システムの制御下で、関連付けられるベルトBD1~6およびキャプスタンC1~6によって駆動されるロッカーR1~R6(または上述した他の実施形態のロッカー)のうちの1つ以上の動きによって、ストラットS1~6は、6自由度のいずれかの高帯域幅でエフェクタ13を多種多様な状態に動かすが、そのうちの一部を以下に説明する。
【0053】
更に、運動発生器10は、同様の設置面積の他の運動発生器設計と比較して、例えば、以下に説明するシャーシアーム半径に関して定義されるように、設置面積に対して優れた横方向、前後方向、および垂直方向可動性を有する。
【0054】
運動発生器10は、
図4に示され、100として番号付けされている制御システムの制御下で動作することができる。運動発生器と制御システムは共に運動システムを構成する。
図4に関連して、運動発生器は参照番号102で参照されるが、制御システム101は、本明細書で説明される他の運動発生器、運動システム、および運動シミュレータに適用可能である。制御システム101は、運動制御部104を含む。運動制御部104は、好ましくは決定論的またはリアルタイムの方法でコンピュータプログラムを実行し、シミュレーション環境103またはセットポイント生成器106等の要求生成器から運動要求入力105を取得する。運動制御部は、各駆動装置109で生成される必要がある位置、加速、および/または力107を計算して、要求される運動プロファイル105を生成する。また、制御システム101は、サーボ駆動108を備える。サーボ駆動108は、駆動装置109を駆動するために正確に制御される電流110を提供する(例えば、上記の例示的な実施形態における電気モータEM1~6、および関連付けられるキャプスタンC1~6およびベルトBD1~6)。
【0055】
動作中、運動制御部は、要求される位置または力107を各サーボ駆動108に送る。駆動装置109は、符号化器等の運動測定装置111を有する。運動測定装置111は、任意選択でサーボ駆動を介して、運動フィードバック112を運動制御部に提供する。運動制御部は、要求される運動プロファイル105を測定されるもの112と比較し、それに応じて駆動装置要求107を更新する。
【0056】
また、
図4は、シミュレートされる車両とレーストラックまたは市内道路等のその環境との物理学が計算される運転シミュレーション等、シミュレーション環境103を有する制御システムを示す。例えば、運転シミュレーションは、以下に説明するように、本発明による運転シミュレータの文脈内にあり得る。この実施形態では、制御システム101は、仮想車両の運動を表すシミュレーション環境103から運動要求を受信する。コンピュータプログラムは、仮想世界114における車両の運動を判定し、次に、運動キューイングアルゴリズム113(MCA、ウォッシュアウトフィルタとしても知られる)を適用して、シミュレートされる車両運動を、運動発生器によって表されることができる運動に変換する。次に、これらの計算される運動は、運動要求105として制御システムに提供される。MCA113は、シミュレーション環境103もしくは制御システム101の一部とすることができ、または両方に分離することができる。シミュレーション環境103は、制御装置116から入力信号115を受信することができる。制御装置116は、操舵、スロットル、またはブレーキ入力等、操作者、即ち運転者、乗客、または操縦士等の人間のユーザが、シミュレーション環境内の仮想車両を制御するために使用する。操作者は、運動発生器102(例えば、例示的な実施形態における運動発生器10)のペイロードとしてのシャーシ内の乗客(運転者)である可能性が高い。これらの入力115は、制御システムを介して、または直接、シミュレーション環境に戻されることができる。また、シミュレーション環境は、運転者、乗客、または他のユーザもしくは操作者のための出力を視覚表示装置117上に生成する可能性が高い。また、シミュレーション環境は、運動発生器の位置、または制御装置入力信号に関連するような、制御システムからの追加データ118を必要とすることができる。
【0057】
<運動発生器の動作>
図1、
図2、および
図2Aは、プラットフォームが中立(または「標準」)状態にある運動発生器10を示している。運動発生器を動作させて、エンドエフェクタを様々な別の状態に移動させることができる。運動発生器10は、前後揺れ後向き、左右揺れ右向き、上下揺れ下向き、横揺れ左側下向き、縦揺れ先端部上向きおよび偏揺れ先端部右向きを含むが、これらに限定されない、より多くの状態に動作されることできることが、当業者によって理解されるであろう。更に、運動発生器10は、このような状態の複数の組み合わせに動作されることができることも、当業者によって理解されるであろう。例えば、運動発生器は、上下揺れ上向きと偏揺れ先端部左向きとを組み合わせた状態に動作されることができる。運動発生器は、ペイロード/エンドエフェクタ13の動きの精度を高める、高帯域幅、低摩擦および低慣性を含む本発明の利点を有する。
【0058】
<本発明による運動発生器と同等の運動発生器との比較>
図5および
図6に示される結果は、エンドエフェクタを支持するストラットに連結される、水平面内で移動するアームを有する(即ち、垂直旋回軸を有し、
図7の平面図に示される)6つのロッカーを有する特許文献5(特許文献6)の好ましい実施形態による、同等の基準運動発生器(構成A)(結果を実線で示す)と、6つのロッカーが水平ロッカー軸の周りを垂直面内で移動し、エンドエフェクタを支持する、上述した運動発生器10のような、本発明による運動発生器(構成B)(結果を破線で示す)との間の可動域包絡線の比較である。本発明による運動発生器は、
図8に平面図で示されている。レーシングカーの操縦室の形態のシャーシCが運動発生器プラットフォームのエンドエフェクタに取り付けられており、ユーザUが両方の操縦室に示されていることに留意されたい。運動発生器構成AもBも両方とも、同じ「シャーシアーム半径」を有している。「シャーシアーム半径」は、エンドエフェクタの中心から、ストラットをエンドエフェクタに接続する上側継手までの距離であり(
図7および
図8にRとして示す)、同等の設置面積を有すると言える。
【0059】
この研究では、2つの運動発生器構成のロッカーについて可能な範囲全体にわたってシミュレーションを実行し、ロッカー位置の全ての組み合わせを6つのロッカーにわたってカバーした。シミュレーション中、結果として生じるエンドエフェクタの変位を6自由度のそれぞれで測定した。各可動域包絡線は、様々な自由度の異なる組み合わせの断面でエンドエフェクタによって達成可能な最大位置を視覚化したものである。
【0060】
図5から分かるように、
図5は本発明の運動発生器(構成B)(破線で示す)の異なる自由度における可動域の増加を、同等の運動発生器(構成A)(実線で示す)の異なる自由度における可動域のパーセンテージとして示しており、本発明の運動発生器の可動域包絡線は、基準運動発生器(構成A)と比較して、垂直方向および水平方向の可動域が大幅に改善されていることがわかる。これは、可動域がこのような全ての自由度において大幅に大きいためである。従って、増加率は、同等の運動発生器構成と比較して、本発明の運動発生器構成の方が60%から100%大きい。どちらの運動発生器構成についても、結果として得られるエンドエフェクタの可動域包絡線がほぼ円形かつ凸状になる故、可動域は有用であり、即ち、幾何学的制限にぶつかることなく、包絡線内の任意のある点から別の点まで直線で移動できることを意味しており。即ち、エンドエフェクタの動きは、動きの範囲全体にわたって妨げられることはない。
図6は、並進可動域をシャーシアーム半径のパーセンテージとして示している。例えば、シャーシアーム半径800mmの50%では、可動域は400mmである。しかしながら、特に
図6に示すように、本発明の運動発生器は、使用可能な前後方向および横方向の可動域包絡線、および横揺れ対縦揺れ包絡線に対して特に改善されており、なぜなら、基準運動発生器構成よりも大きく、より均一な円形であるからである。モーションレシオに関して、特許文献5の運動発生器は、約0.17~約0.52の、ロッカーと垂直方向自由度との間に典型的なモーションレシオを有する。対照的に、同じ垂直方向移動範囲にわたって、本発明による運動発生器は約0.38~約0.45のモーションレシオを有する。
【0061】
<運動発生器の組み合わせ>
本発明による運動発生器は、他の運動発生器と直列に、即ち、第1および第2の運動発生器ステージとして使用されることができる。例えば、本発明による運動発生器は、二次運動発生器として使用されることができ、即ち、運動発生器自体が一次運動発生器のペイロードとなる。
図9は、組み合わせ200を示す。組み合わせ200は、本発明による、第1の(または「一次」)運動発生器202と、(本発明による運動発生器であり、
図1~
図3に関連して上述したように)第2の(または「二次」)運動発生器204とを備える。この組み合わせ200は、通常、建物床面である平面表面201(図示せず)上に設置される。一次運動発生器202は、単純なXとYとのフレーム装置である。このフレーム装置は、下側フレーム部材207、208を含む下側フレーム206と、上側フレーム210とを備える。下側フレーム部材208はモータ212を支持する。モータ212は、(例えば、
図4に示されるように)制御システム205からの命令の下に動作されることができ、フレーム210をX方向に動かす。同様のモータ214は、フレーム210に同様に配置され、制御システム205からの命令の下で、そのフレームをY方向に動かす。二次運動発生器204は、一次運動発生器202に取り付けられる、本発明の第1の態様による運動発生器であり、二次運動発生器204は、(一次運動発生器の上側フレームエレメント211に直接取り付けられる、即ち表面201の上方の平面に取り付けられる)ロッカーを備える。ロッカーは、(モータと、キャプスタンに巻き付く、ロッカーの可動端に取り付けられる細長いベルトと、を備える、全てハウジングによって隠されている)駆動装置と、細長い剛性ストラットとに駆動可能に連結される。細長いストラットは、関連付けられるロッカーの自由端に下側継手によって一端で連結され、エンドエフェクタ/ペイロード219に上側継手によって他端で連結される。モータ217が制御システムからの命令の下で動作されると、駆動キャプスタンを駆動し、次にベルトを駆動して、関連付けられるロッカーを動かす。ロッカーは、垂直な弧を描いて動くロッカーアームを用いて、水平な旋回軸の周りで旋回する。ロッカーの動きは、関連付けられるストラットを動かして、エンドエフェクタ/ペイロード219をX方向およびY方向に動かし、同様に、偏揺れ、上下揺れ、および縦揺れの運動を可能にする。組み合わせ200は、一次運動発生器202は比較的安価であるが、X方向およびY方向に良好な可動域の範囲を提供し、二次運動発生器204はより高い帯域幅とより低いレベルの慣性とより低いレベルの摩擦とを提供して、これがペイロードに付与される動きの精度を高めるという点で利点である。一次運動発生器が単純なXおよびYフレーム構成である組み合わせがある一方で、例えば、特許文献8に概略的に記載されるような、X、Y可動域を提供し、かつ無限の偏揺れ特性(即ち、Z軸の回りの回転)を与えるより複雑な一次運動発生器を組み合わせに使用することもできる。
【0062】
<運転シミュレータ>
本発明による運転シミュレータ300は
図10に示される。運転シミュレータ300は、例えば、
図1~
図4に関連して上述されたような、本発明による運動発生器304を含む運動システム、または上述したような本発明の運動発生器を含む組み合わせを備える。運動発生器は、シャーシ305をエフェクタペイロードとして有する。運動システム302は、運転環境の画像を表示されることができる投影システム307の前の表面306上に取り付けられる(投影システムが環境シミュレーション手段の一例を構成する)。音声システム(図示せず)は、運転環境の音を複製して、ユーザに音を提供し、環境シミュレーション手段の別の例を構成する。運転シミュレータ300の運動発生器304は、(例えば、
図4に関連して記載されるように)制御システム308の命令の下で動作される。
【0063】
本発明による運動発生器は、この実施形態で説明されるような運転シミュレータで使用するのに適しており、このような用途のための既知の運動発生器と比較して、いくつかの点の一部または全てにおいて利点とすることができる。特に注目すべきは、
図6および
図7に示す結果に示されているように、このようなコンパクトな設置面積の運動発生器の水平方向および垂直方向の次元における可動域が高いことである。更に、a)重量および慣性負荷に作用するため、リニア軸受けよりも、回転継手または回転軸受けを使用すること、b)再循環ボールねじリニア駆動装置を不要にすること、により、その可動部分内で低レベルの摩擦を有することができる。更に、特に、回転モータが使用される場合、低慣性を有することができる。また、典型的には50Hzよりも良好な高い帯域幅を、1つよりも多い自由度で有することができる。いくつかの実施形態では、50Hzよりも著しく高い帯域幅、例えば、80、90、100、またはそれより多いHzを有することができる。これらの特性は、上述したように、運転シミュレータのレイテンシが低く(3~4ms未満または3~4ms)、他の運転シミュレータ、特に非常に高価な運転シミュレータにおいて必要なレイテンシ補正の必要性を回避または最小限に抑えられることを意味している。
【0064】
<運動システムを製造する方法>
上述されたような運動発生器と制御手段とを含む本発明による運動システムは、従来の手段によってカスタムおよび標準構成部品から組み立てられることができる。特に、運動システムは、本発明による運動発生器を
図4に関連して上述した制御システムと連結することによって製造されることができる。
【国際調査報告】