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特表2024-522534シャトルモールド成形およびオーバーモールド成形を用いた製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】シャトルモールド成形およびオーバーモールド成形を用いた製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20240614BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20240614BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20240614BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/17
B29C45/76
B29C45/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574272
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022031825
(87)【国際公開番号】W WO2022256441
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/196,096
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/282,099
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520449345
【氏名又は名称】キヤノンバージニア, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Canon Virginia, Inc.
【住所又は居所原語表記】12000 Canon Blvd., Newport News, Virginia, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小平 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】柳原 裕一
(72)【発明者】
【氏名】島 智宏
(72)【発明者】
【氏名】片桐 茂
(72)【発明者】
【氏名】園部 正佳
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AD05
4F206AM20
4F206JA07
4F206JB12
4F206JC01
4F206JF05
4F206JF23
4F206JL02
4F206JT07
(57)【要約】
射出成形システムであって、樹脂を金型に射出し、射出成形機内の第1の位置と前記射出成形機外の第2の位置との間で金型を移動させることを含み、前記射出成形システムに対する改良は、前記射出成形機により第1の金型でN回の射出処理を行うまでは前記第1の金型を移動させず、前記第1の金型での前記N回の射出処理後に、前記第1の金型を前記第1の位置から前記第2の位置まで移動させ、外部にある第2の金型を前記射出成形機内に移動させること、および前記第1の金型での前記N回の射出処理に基づいて得られた第1の成形品を前記第2の金型に挿入し、前記第1の成形品を挿入した前記第2の金型内に樹脂を射出して第2の成形品を得ることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を金型に射出する射出成形機と、
前記射出成形機内の第1の位置と前記射出成形機外の第2の位置との間で金型を移動させるように構成される搬送装置と、
コントローラと、
挿入ユニットと、
を備える射出成形システムであって、
前記射出成形システムに対する改良は、
前記射出成形機により第1の金型でN回(N≧2)の射出処理を行うまでは、前記第1の金型を移動させないように前記搬送装置を制御するように構成される前記コントローラであって、前記第1の金型での前記N回の射出処理後に、前記第1の金型を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記射出成形機の外部にある第2の金型を前記射出成形機内に移動させるように前記搬送装置を制御するようにさらに構成される前記コントローラと、
前記第1の金型での前記N回の射出処理に基づいて得られた第1の成形品の1つを前記第2の金型に挿入し、前記第1の成形品を挿入した前記第2の金型内に前記射出成形機により樹脂を射出して、第2の成形品を得るように構成される前記挿入ユニットと、
を含む射出成形システム。
【請求項2】
前記第2の成形品を前記第1の金型に挿入し、前記第2の成形品を挿入した前記第1の金型内に、前記射出成形機により樹脂を射出して、第3の成形品を得る、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項3】
前記第1の成形品を前記第2の金型に挿入するまでは、前記第1の成形品を保持するように構成される保持ユニットをさらに備え、前記保持ユニットは、前記第2の成形品を前記第1の金型に挿入するまでは、前記第2の成形品を保持するように構成される、
請求項2に記載の射出成形システム。
【請求項4】
前記N回の第1の成形品のうち少なくとも1つの第1の成形品に対して、前記第1の金型に射出した前記樹脂を冷却するための冷却処理を前記射出成形機内で行い、前記N回の第1の成形品のうち他の第1の成形品に対して、前記冷却処理を前記射出成形機の外部で行う、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項5】
Nが3であり、前記第2の金型を前記第1の位置に移動後、前記コントローラは、前記第2の金型で2回の射出処理を行って2つの第2の成形品を得るまでは、前記第2の金型を前記第1の位置から移動させないように前記搬送装置を制御し、前記射出成形機による前記第2の金型での前記2回の射出処理後に、前記第2の金型を前記第1の位置から前記射出成形機の外部に移動させるように前記搬送装置を制御する、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項6】
Nが2であり、前記第2の金型を前記第1の位置に移動後、前記コントローラは、前記射出成形機による前記第2の金型での1回の射出処理後に、前記第2の金型を前記第1の位置から前記射出成形機の外部に移動させるように前記搬送装置を制御する、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項7】
前記第1の成形品を前記第1の金型から取り出すための取出しユニットと、前記第1の成形品を前記第2の金型に挿入するまでは、前記第1の成形品を保持するように構成される保持ユニットとをさらに備える、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項8】
前記取出しユニットは、前記第2の成形品を前記第2の金型から取り出すように構成され、前記挿入ユニットは、前記第2の成形品を前記第1の金型に挿入するように構成される、
請求項7に記載の射出成形システム。
【請求項9】
前記搬送装置が前記第1と第2の位置との間で前記第1の金型を移動させる一方で、前記射出成形機内の前記第1の位置と前記射出成形機外の第3の位置との間で、前記第2の金型を移動させるように構成される第2の搬送装置をさらに備える、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項10】
前記コントローラは、樹脂を射出した前記第1の金型の温度が、樹脂を射出した前記第2の金型の温度よりも高くなるように、射出成形処理に関する温度を制御するように構成される、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項11】
樹脂を金型に射出する射出成形機と、
前記射出成形機内の第1の位置と前記射出成形機外の第2の位置との間で金型を移動させるように構成される搬送装置と、
コントローラと、
挿入ユニットと、
を備える射出成形システムであって、
前記射出成形システムに対する改良は、
第1の金型での射出処理に基づいて得られた第1の成形品を第2の金型に挿入し、前記第1の成形品を挿入した前記第2の金型内に前記射出成形機により樹脂を射出して、第2の成形品を得るように構成される前記挿入ユニットを含み、
前記コントローラは、第1の樹脂を射出した前記第1の金型の温度が、第2の樹脂を射出した前記第2の金型の温度よりも高くなるように、射出成形処理に関する温度を制御するように構成される、
射出成形システム。
【請求項12】
前記挿入ユニットは、前記第2の成形品を前記第1の金型に挿入し、前記第2の成形品を挿入した前記第1の金型内に前記射出成形機により樹脂を射出して、第3の成形品を得るように構成され、前記コントローラは、前記第2の金型の温度が、前記第3の成形品を得るために前記樹脂を射出した前記第1の金型の温度よりも低くなるように温度制御する、
請求項11に記載の射出成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャトルモールド成形およびオーバーモールド成形を用いた製造方法に関する。

関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月2日に出願された米国仮出願63/196096号、および2021年11月22日に出願された米国仮出願63/282099号の利益を主張する。

技術分野
【0002】
本明細書の開示は、射出成形システムに関する。

背景技術
【0003】
射出成形機による成形品の製造は、型締め後の金型への樹脂の射出、樹脂の固化による体積減少を補うための高圧での金型への樹脂の押し込み、樹脂が固化するまでの金型内での成形品の保持、および金型からの成形品の取り出しが含まれる。射出成形工程を繰り返し行い、所望の数の成形品を得る。1つの金型で所定数の成形を行った後、射出成形機から金型を排出し、次の金型を段取りして射出成形機に挿入し、次の金型で所定数の射出成形を行う。
【0004】
上述の成形方法において、1台の射出成形機に対して、2つの金型を用いる方法が提案されている。例えば、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号では、射出成形機の両側に搬送装置を配置するシステムが論じられている。図1は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システムを示す。このシステムでは、樹脂を射出し、成形品を取り出す成形動作位置と、金型内に射出した樹脂を冷却する冷却位置との間で金型を移動させる。
【0005】
米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システムでは、オーバーモールド成形として知られている射出成形工程については論じられていない。オーバーモールド成形とは、2つ以上の部材を互いに重ねて成形する多段階の射出成形工程である。
【0006】
オーバーモールド成形を可能にするシャトルモールド成形射出システムが求められる。

発明の概要
【0007】
射出成形システムであって、樹脂を金型に射出する射出成形機と、前記射出成形機内の第1の位置と前記射出成形機外の第2の位置との間で金型を移動させるように構成される搬送装置と、コントローラと、挿入ユニットとを備え、前記射出成形システムに対する改良は、前記射出成形機により第1の金型でN回(N≧2)の射出処理を行うまでは、前記第1の金型を移動させないように前記搬送装置を制御するように構成される前記コントローラであって、前記第1の金型での前記N回の前記射出処理後に、前記第1の金型を前記第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記射出成形機の外部にある第2の金型を前記射出成形機内に移動させるように前記搬送装置を制御するようにさらに構成される前記コントローラと、前記第1の金型での前記N回の射出処理に基づいて得られた第1の成形品の1つを前記第2の金型に挿入し、前記第1の成形品を挿入した前記第2の金型内に前記射出成形機により樹脂を射出して、第2の成形品を得るように構成される前記挿入ユニットとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の様々な実施形態、目的、特徴、および利点を示す。
【0009】
図1は、射出成形システムを示す。
【0010】
図2は、射出成形機の側面図である。
【0011】
図3は、固定プラテンの端面図である。
【0012】
図4A図4Kは、成形処理を示すフローチャートを示す。
【0013】
図5A図5Rは、例示的な一実施形態における成形処理を示す。
【0014】
図6A図6Fは、成形処理を示すフローチャートを示す。
【0015】
図6G図6Iは、図6A図6Fにおける成形処理に対する改良を示す。
【0016】
図7A図7AOは、例示的な一実施形態の成形処理を示す。
【0017】
図面全体を通して、別段の記載がない限り、同一の参照番号および符号は、図示する実施形態の同様の特徴、要素、構成要素、または部分を示すために用いられる。図面を参照して本開示を詳細に説明するが、これは説明のための例示的な実施形態に関連して行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲および趣旨を逸脱することなく、説明される例示的な実施形態に対して変更および修正を加えることができることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、いくつかの実施形態を説明しており、当業者に既知の詳細については、特許、特許出願、および他の参考文献に依拠する。したがって、本明細書において、特許、特許出願、または他の参考文献が引用される、または繰り返されるとき、それらは、記載されている提案だけでなくあらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることを理解されたい。
【0019】
図面を参照して、本開示の一実施形態における射出成形システムについて説明する。各図中の矢印XおよびYは、互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは、地面に対して垂直(直立)方向を示す。
【0020】
図1図3は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システム1を示しており、本明細書では情報/説明の目的のためだけに提供されている。
【0021】
射出成形システム1は、射出成形機2と、搬送装置3Aおよび3Bと、制御装置4とを含む。射出成形システム1は、1台の射出成形機2に対して、搬送装置3Aおよび3Bを用いて、複数の金型を入れ替えながら成形品を製造する。2つの金型100Aおよび100Bを用いる。
【0022】
金型100A/100Bは、固定金型101と、固定金型101に対して開閉される可動金型102との組である。成形品は、固定金型101と可動金型102との間に形成されるキャビティに溶融樹脂を射出することで成形される。固定金型101および可動金型102には、それぞれ取付板101aおよび102aが固定されている。取付板101aおよび102aは、金型100A/100Bを射出成形機2の成形動作位置11(型締位置)に固定するために用いられる。
【0023】
金型100A/100Bには、固定金型101と可動金型102との間を閉状態に維持する自己閉鎖部103が設けられている。自己閉鎖部103により、射出成形機2から金型100A/100Bを搬出した後も、金型100A/100Bが開くことを防止することが可能となる。自己閉鎖部103は、磁力を利用して金型100A/100Bを閉状態に維持する。自己閉鎖部103は、固定金型101および可動金型102の対向面に沿って複数の箇所に配置されている。自己閉鎖部103は、固定金型101側の要素と可動金型102側の要素との組み合わせである。通常、金型100Aおよび100Bの1つに対して2組以上の自己閉鎖部103が設けられる。
【0024】
搬送装置3Aは、金型100Aを射出成形機2の成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3Bは、金型100Bを成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3A、射出成形機2、および搬送装置3Bは、この順にX軸方向に並ぶように配置されている。言い換えれば、搬送装置3Aおよび搬送装置3Bは、射出成形機2をX軸方向において挟むように、射出成形機2に対して横方向に配置されている。搬送装置3Aおよび3Bは、互いに対向して配置され、搬送装置3Aは射出成形機2の左右の一側方に、搬送装置3Bは他側方にそれぞれ隣接して配置されている。成形動作位置11は、搬送装置3Aと搬送装置3Bとの間に位置している。搬送装置3Aおよび3Bは、それぞれフレーム30と、搬送ユニット31と、複数のローラ32と、複数のローラ33とを含む。
【0025】
フレーム30は、搬送装置3Aおよび3Bの骨格であり、搬送ユニット31と、複数のローラ32および33とを支持する。搬送ユニット31は、金型100A/100BをX軸方向に往復移動させ、成形動作位置11に対して金型100A/100Bを排出および挿入する装置である。
【0026】
搬送ユニット31は、モータを駆動源とした電動シリンダであり、シリンダに対して進退するロッドを含む。シリンダはフレーム30に固定され、ロッドの端部には固定金型101が固定されている。搬送ユニット31は、流体アクチュエータ、電動アクチュエータのいずれも使用可能であるが、電動アクチュエータにより、金型100A/100Bの搬送時に、その位置や速度の制御精度の向上を図ることができる。流体アクチュエータとしては、例えば、油圧シリンダ、エアシリンダを挙げることができる。電動アクチュエータとしては、電動シリンダに加えて、モータを駆動源としたラックアンドピニオン機構、モータを駆動源としたボールねじ機構等を挙げることができる。
【0027】
搬送ユニット31は、搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置されている。しかし、金型100Aおよび100Bを支持する共通の支持部材を用い、この支持部材に対して単一の共通の搬送ユニット31を配置してもよい。搬送ユニット31を搬送装置3Aと3Bのそれぞれに独立して配置した場合は、金型100Aと金型100Bとで搬送時の移動ストロークが異なる場合に対応することが可能となる。例えば、金型の幅(X方向の幅)が異なっていたり、金型の厚み(Y方向の幅)が異なっていたりして、金型を同時に搬送できない場合である。
【0028】
複数のローラ32は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ32は、Z軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの側面(取付板101aおよび102aの側面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。複数のローラ33は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ33は、Y軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aおよび102aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。
【0029】
制御装置4は、射出成形機2を制御するためのコントローラ41と、搬送装置3Aを制御するためのコントローラ42Aと、搬送装置3Bを制御するためのコントローラ42Bとを含む。各コントローラ41、42A、42Bは、例えば、CPU等のプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置と、センサやアクチュエータに接続されるインタフェース(図示せず)とを含む。プロセッサは、記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。コントローラ41が実行するプログラム(制御)の一例は後述する。コントローラ41は、コントローラ42Aおよび42Bと通信可能に接続され、コントローラ42Aおよび42Bに金型100A/100Bの搬送に関する指示を行う。コントローラ42Aおよび42Bは、金型100A/100Bの搬入や搬出が終了した場合に、動作完了の信号をコントローラ41に送信する。さらに、コントローラ42Aおよび42Bは、異常発生時に非常停止信号をコントローラ41に送信する。
【0030】
射出成形機2、搬送装置3Aおよび搬送装置3Bのそれぞれには、コントローラが配置されているが、1つのコントローラで3台全ての装置を制御してもよい。より確実に協調的に動作させるために、搬送装置3Aと搬送装置3Bとを単一のコントローラで制御してもよい。
【0031】
図2は、射出成形機2の側面図である。図3は、固定プラテン61の端面図であり、図2のI-I線の矢印方向から見た図である。
【0032】
図1および図2を参照して、射出成形機2は、射出装置5と、型締装置6と、成形品を取り出す取出機7とを含む。射出装置5および型締装置6は、フレーム10上にY軸方向に配置されている。
【0033】
射出装置5は、Y軸方向に延びるように配置された射出シリンダ51を含む。射出シリンダ51は、バンドヒータ等の加熱装置(図示せず)を含み、ホッパ53から導入された樹脂を溶融する。射出シリンダ51にはスクリュ51aが内蔵されており、スクリュ51aを回転させることで射出シリンダ51内に導入された樹脂が可塑化され、計量される。スクリュ51aの軸方向(Y軸方向)への移動により、射出ノズル52から溶融樹脂を射出することができる。
【0034】
図2に、ノズル52としての遮断ノズルの一例を示す。吐出口52aを開閉するピン56aが、図2の開閉機構56として配置されている。ピン56aは、リンク56bを介してアクチュエータ(シリンダ)56cに連結されており、アクチュエータ56cの動作により吐出口52aが開閉される。
【0035】
射出シリンダ51は、駆動部54に支持されている。駆動部54には、スクリュ51aを回転駆動させて樹脂の可塑化と計量を行うモータと、スクリュ51aを軸方向に進退させる駆動モータとが配置されている。駆動部54は、フレーム10上のレール12に沿ってY軸方向に進退可能である。また、駆動部54には、射出装置5をY軸方向に進退させるアクチュエータ(例えば電動シリンダ)55が配置されている。
【0036】
型締装置6は、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行う。型締装置6には、Y軸方向に順に、固定プラテン61、可動プラテン62、可動プラテン63が配置されている。プラテン61~63には、複数のタイバー64が通過している。各タイバー64は、Y軸方向に延びる軸であり、その一端部が固定プラテン61に固定されている。各タイバー64は、可動プラテン62に形成された各貫通穴に挿入されている。各タイバー64の他端部は、調整機構67を介して可動プラテン63に固定されている。可動プラテン62および63は、フレーム10上のレール13に沿ってY軸方向に移動可能であり、固定プラテン61は、フレーム10に固定されている。
【0037】
可動プラテン62と可動プラテン63との間には、トグル機構65が配置されている。トグル機構65は、可動プラテン63に対して(言い換えれば、固定プラテン61に対して)、可動プラテン62をY軸方向に進退させる。トグル機構65は、リンク65a~65cを含む。リンク65aは、可動プラテン62に回転自在に連結されている。リンク65bは、可動プラテン63に回動自在に連結されている。リンク65aとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cは、アーム66cに回動自在に連結されている。
【0038】
アーム66cは、ボールナット66bに固定されている。ボールナット66bは、Y軸方向に延びるボールねじ軸66aに係合し、ボールねじ軸66aの回転によりY軸方向に進退する。ボールねじ軸66aは、可動プラテン63によって回転自在となるように支持されており、モータ66は、可動プラテン63に支持されている。モータ66は、モータ66の回転量を検出しながら、ボールねじ軸66aを回転駆動する。モータ66の回転量を検出しながらモータ66を駆動することにより、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行うことが可能となる。
【0039】
射出成形機2は、型締力を計測するためのセンサ68を含み、各センサ68は、例えばタイバー64に設けられた歪みゲージであり、タイバー64の歪みを検出することで型締力を算出する。
【0040】
調整機構67は、可動プラテン63に回転自在に支持されたナット67bと、駆動源であるモータ67aと、モータ67aの駆動力をナット67bに伝達する伝達機構とを含む。各タイバー64は、可動プラテン63に形成された穴を通過して、ナット67bと係合している。ナット67bを回転させることにより、ナット67bとタイバー64との間のY軸方向の係合位置が変化する。すなわち、タイバー64に対する可動プラテン63の固定位置が変化する。これにより、可動プラテン63と固定プラテン61との間の間隔を変化させることができるため、型締力等を調整することができる。
【0041】
成形動作位置11は、固定プラテン61と可動プラテン62との間の領域である。
【0042】
成形動作位置11に導入された金型100A/100Bは、固定プラテン61と可動プラテン62との間に挟まれ、それによって型締めされる。可動プラテン62の移動により、可動金型102の移動に基づく開閉が行われる。
【0043】
取出機7は、X軸方向に延びるレール71と、レール71上をX軸方向に移動可能な可動レール72とを含む。可動レール72は、Y軸方向に延びるように設置されており、可動レール72上にはスライダ73が設けられている。スライダ73は、可動レール72にガイドされてY軸方向に移動する機能と、昇降軸73aをZ軸方向に昇降する機能とを含む。昇降軸73aの下端部には、真空ヘッド74が設けられており、真空ヘッド74には、成形品に特化したチャック板75が取り付けられている。取出機7は、型開き後、レール71、可動レール72、およびスライダ73により、図2中に破線で示すように、真空ヘッド74を固定金型101と可動金型102との間に移動し、成形品を吸着して、射出成形機2の外部へ搬送する。別の例示的実施形態では、取出機は、成形品を機械的に把持する方式のものである。
【0044】
図3は、固定プラテン61の中央部の開口部61aを示しており、ノズル52がこの開口部を通って進退する。固定プラテン61の可動プラテン62側の面(内面という)には、複数のローラBRが回転自在となるように支持されている。複数のローラBRは、回転軸を中心としてY軸方向に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体620が固定されており、このローラ支持体620によって、複数のローラBRが支持されている。固定プラテン61の内面には、X軸方向に延びる溝61bが形成されている。
【0045】
溝61bは、上下に離間して2列形成されている。各溝61bには、ローラユニット640が配置されている。ローラユニット640には、複数のローラSRが回転自在となるように支持されている。複数のローラSRは、回転軸を中心としてZ軸方向に回転し、金型100A/100Bの外面(取付板101aの外面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。II-II線断面図に示すように、ローラユニット640は、バネ641の付勢により、ローラSRが溝61bから突出する位置に位置する一方、型締め時には、溝61b内に後退して、ローラSRが溝61bから突出しない位置に位置する。ローラユニット640は、金型100A/100Bの入れ替え時には、金型100A/100Bと固定プラテン61の内面とが接触して内面が損傷することを防止でき、型締め時には、固定プラテン61の内面と金型100A/100Bとが密接することを妨げない。固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体630が固定されており、このローラ支持体630によって、複数のローラSRが支持されている。
【0046】
固定プラテン61には、固定金型101を固定プラテン61に固定するための複数の固定機構(クランプ)610が配置されている。各固定機構610は、取付板101aと係合する係合部610a、および係合位置と係合解除位置との間で係合部610aを移動させる内蔵アクチュエータ(図示せず)を含む。
【0047】
なお、可動プラテン62についても、固定プラテン61と同様に、複数のローラBRと、ローラ支持体620および630と、ローラユニット640と、可動金型102を固定するための固定機構610とが配置されている。
【0048】
図4A図4Kは、本実施形態におけるコントローラ41が実行する射出成形システム1の動作の一例を示す。図4A図4Kには、既知の射出成形機能であるステップと、これらの既知の機能に対する改良であるステップとが含まれる。既知の機能は、本実施形態についての詳細な説明を提供するために含まれている。説明を目的として、これらの改良に関連するステップを改良として示すことにする。以下の例では、金型100Aおよび100Bを入れ替えながら成形動作を行う場合を示す。
【0049】
ステップS1では、初期設定を行う。金型100Aと100Bの両方に対して、射出装置5および型締装置6の動作条件を登録する。動作条件には、1回の射出樹脂量、温度、射出速度、型締力、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値等が含まれるが、これらに限定されない。これらの動作条件は、金型100Aと金型100Bとが同種の金型であっても異なる。1回目の成形動作は金型100Aを用いるので、動作条件として金型100Aに関する条件が自動設定される。また、射出シリンダ51の加温や初回の樹脂の可塑化計量等を開始する。
【0050】
後述するように、金型100Aの動作条件の場合であっても、一次成形品を成形するための動作条件と、一次成形品および三次成形品を成形するための動作条件とは異なることがある。ステップS1では、コントローラ41は、ユーザ入力に基づいて、金型100Aを用いて一次成形品「n」を成形するための動作条件Aと、金型100Bを用いて二次成形品「y」を成形するための動作条件Bと、金型100Aを用いて一次成形品「n」および三次成形品「x」を成形するための動作条件Cとを設定する。
【0051】
ステップS2では、金型100Aを射出成形機2内に搬送する。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62との間の隙間を、金型100Aの厚み(Y方向の幅)よりも少し広くする。次に、コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬入指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11に搬入する。金型100Aを搬入すると同時に金型100Bを搬出する。金型100Aの搬入が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬入完了を示す信号が送信される。搬入完了を示す信号を受信すると、モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Aに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Aを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれロックする。
【0052】
ステップS3では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。ステップS4では、金型100Aに対する射出の準備を行う。アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。
【0053】
ステップS5では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、シリンダ51内の樹脂を金型100A内に高圧で押し込む。センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張し、初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。よって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。
【0054】
型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このようにタイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に基づいて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることが可能である。タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整は、任意のタイミングで行えばよい。
【0055】
ステップS6では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS12では、ステップS6で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Aの冷却が完了したかどうかを判定する。冷却が完了した場合は、ステップS13およびS15の処理をステップS14と並行して行う。後述するように、金型100Aを移動/排出する前に冷却が行われるので、ステップS12は射出成形動作の改良である。
【0056】
上記の射出準備(S4)、射出保圧(S5)、および冷却(計時開始および完了判定)(S6、S12)のステップを経て、第1の一次成形品を成形する。図4Aには図示しないが、射出樹脂の冷却処理は、ステップS6の冷却時間の計測開始からステップS12の完了判定までの間に行われ、金型100Aに接続された温度調節器(図示せず)、または射出成形システム1の外部から供給される空気により、金型内の溶融樹脂を冷却する処理である。
【0057】
図4BのステップS13~S122は、射出成形動作の改良を示す。ステップS13では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Aが型開きされる。ステップS14では、取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102側に残留している第1の一次成形品を取り出し、射出成形システム1の外部へ搬送する。チャック板75が成形品Pに対向する位置に真空ヘッド74が移動し、そこで成形品Pを吸着力で保持する。取出機7は、後述するように、第1の一次成形品を金型100Bに挿入(配置)するまで、第1の一次成形品を保持し続ける。
【0058】
ステップS15では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Aが型閉じされる。
【0059】
ステップS16では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。ステップS17では、金型100Aに対する射出の準備を行う。これには、樹脂の計量が含まれる。ノズル52が金型100Aから離れていると、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。
【0060】
ステップS18では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。ステップS18での射出は、ステップS5と同形状の第2の一次成形品を成形するためのものである。
【0061】
より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、樹脂を金型100A内に高圧で押し込む。ステップS18の処理の際、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張する。場合によっては、初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。
【0062】
型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このようにタイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に基づいて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることが可能である。タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整は、任意のタイミングで行えばよい。
【0063】
ステップS66では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。
【0064】
ステップS122では、ステップS66で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Aの冷却が完了したかどうかを判定する。冷却が完了した場合は、ステップS133およびS155の処理をステップS144と並行して行う。
【0065】
上記の射出準備(S4)、射出保圧(S5)、および冷却(計時開始および完了判定)(S66、S122)のステップを経て、第2の一次成形品を成形する。本実施形態では、第1および第2の一次成形品は、同様の材料および形状の成形品である。図示しないが、射出樹脂の冷却処理は、ステップS66の冷却時間の計測開始からステップS122の完了判定まで行われ、そこで金型100Aに接続された温度調節器(図示せず)、または射出成形システム1の外部から供給される空気により、金型内の溶融樹脂を冷却する。
【0066】
図4CのステップS133~S188は、射出成形動作の改良を示す。ステップS133では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されているため、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Aが型開きされる。
【0067】
ステップS144では、取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102側(キャビティ内)に残留している第2の一次成形品を取り出し、成形機2の上部領域に搬送して、待機状態で保持する。チャック板75が成形品Pに対向する位置に真空ヘッド74が移動し、成形品Pを吸着力で保持する。取出機7は、後述するように、第2の一次成形品を金型100Bに挿入(配置)するまで、第2の一次成形品を保持し続ける。
【0068】
ステップS155では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に接近させる。これにより、可動金型102Aが固定金型101Aに密着し、金型100Aが型閉じされる。
【0069】
ステップS166では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。ステップS177では、金型100Aに対する射出の準備を行う。ここでは、樹脂を計量する。アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。
【0070】
ステップS188では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。ステップS188での射出は、ステップS5と同形状の第3の一次成形品を成形するためのものである。
【0071】
より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、シリンダ51内の樹脂を金型100A内に高圧で押し込む。ステップS188の処理の際、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張し、場合によっては、初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。
【0072】
型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このようにタイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に基づいて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることが可能である。タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整は、任意のタイミングで行えばよい。
【0073】
次に、ステップS19およびS21の処理をステップS20と並行して行う。ステップS19では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS20では、型締装置6に関連する処理を行う。まず、固定機構610による金型100Aのロックを解除する。ステップS188から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型の入れ替えが可能となる空間を形成する。
【0074】
ステップS21では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。保圧サックバックおよびノズルシャットオフは、ノズル52が金型100Aから離れたときに溶融樹脂が垂れることを防止するものである。これらの処理は、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させる前の遅延時間中に行うことができる。保圧サックバックとは、保圧後にスクリュ51aを後退させて、射出シリンダ51内や金型100A内の樹脂圧力を低減するものである。ノズルシャットオフは、ノズル52の吐出口52aを閉鎖することである。上記の動作により、樹脂の漏出を抑制することが可能となる。
【0075】
上記の射出準備(S17/S177)、射出保圧(S18/S188)、および冷却(計時開始および完了判定)のステップを経て、第2および第3の一次成形品を成形する。図示しないが、射出樹脂の冷却処理は、ステップS19の冷却時間の計測開始からステップS22の完了判定までの間に行われ、金型100Aに接続された温度調節器(図示せず)、または射出成形システム1の外部の空気により、金型内の溶融樹脂を冷却する処理である。
【0076】
金型100Aの冷却処理の少なくとも一部は、成形動作位置11ではなく、搬送装置3A上で行う。金型100Aの冷却処理は、S22での金型の入れ替えからS34での金型の入れ替えまでの処理の少なくとも一部、例えば、後述する成形動作位置11での金型100B内の成形品Aの取り出し(S1444)や一次成形品の配置(S26、S266)等と並行して行われる。
【0077】
ステップS22では、金型100Aと100Bとを入れ替える。金型100Aを成形動作位置11から搬送装置3Aに搬出し、金型100Bを搬送装置3Bから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬出指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11から搬出する。搬出が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Aは搬送装置3A上で冷却される。自己閉鎖部103によって金型100Aの閉状態が維持される。
【0078】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS23で、成形動作の動作条件として金型100Bに関する条件を設定する。コントローラ41は、ステップS1で設定した複数の動作条件(動作条件A、BおよびC)から、動作条件Bを読み出して設定する。例えば、金型100Bの厚み(Y方向の幅)、型締力等を今回の成形の動作条件として設定する。また、金型100Bに対応した射出速度等の動作条件も設定する。次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Bに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Bを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0079】
本実施形態では、ステップS22の後にステップS23を行っている。別の例示的実施形態では、動作条件の切り替えには時間を要することがあるので、例えば、動作条件を金型100Aの搬出指示と同時に切り替えるようにしてもよい。
【0080】
ステップS25では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Bが型開きされる。
【0081】
図4DのステップS26~S30は、射出成形動作の改良を示す。ステップS26では、ステップS14と同様に、取出機7を駆動して、第1の一次成形品を金型100Bの可動金型側に挿入(配置)する。ステップS27では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Bが型閉じされる。
【0082】
ステップS28では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Bの型締めを行う。ステップS29では、金型100Bに対する射出の準備を行う。ここでは、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Bに接触させる。二次成形品αの成形は、第1の一次成形品を金型100Bに配置した状態で行われ、ステップS29~S33およびS36により、一体化すべき第1の一次成形品に樹脂を射出してオーバーモールド成形する。本実施形態では、二次成形品αを成形するために射出する樹脂は、一次成形品を成形するために射出する樹脂とは異なる種類の樹脂である。射出樹脂の冷却処理は、ステップS666の冷却時間の計測開始からステップS1222の完了判定まで行われ、金型100Bに接続された温度調節器(図示せず)、または射出成形システム1の外部から供給される空気により、金型内の溶融樹脂を冷却する処理である。
【0083】
ステップS30では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100B内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、シリンダ51内の樹脂を金型100B内に高圧で押し込む。これにより、第1の一次成形品をオーバーモールド成形することで二次成形品αが形成される。ステップS30の処理中に、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Bの温度が次第に上昇することで、金型100Bが熱膨張し、初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このようにタイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に基づいて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることが可能である。
【0084】
ステップS666では、金型100B内の成形品の冷却時間の計時を開始する。
【0085】
ステップS1222では、ステップS666で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Bの冷却が完了したかどうかを判定する。冷却が完了した場合は、ステップS1333からステップS1555の処理とステップS1444の処理とを並行して行う。
【0086】
二次成形品αの成形は、上記の射出準備(S29)、射出保圧(S30)、および冷却(計時開始および完了判定)(S666、S1222)の各ステップで行う。射出樹脂の冷却処理は、ステップS666の冷却時間の計測開始からステップS1222の完了判定まで行われ、金型100Bに接続された温度調節器(図示せず)、または射出成形システム1の外部から供給される空気により、金型内の溶融樹脂を冷却する処理である。
【0087】
ステップS1333では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Bが型開きされる。
【0088】
図4EのステップS266~S1888は、射出成形動作の改良を示す。ステップS1444では、取出機7を駆動して、金型100Bの可動金型102側(キャビティ内)に残留している二次成形品αを取り出し、射出成形機2の上部領域に搬送して、待機状態で保持する。チャック板75が二次成形品αに対向する位置に真空ヘッド74が移動し、二次成形品αを吸着力で保持する。取出機7は、取り出しステップ(S1444)から後述する金型100Aへの二次成形品αの挿入(配置)(S26666)が行われるまで、二次成形品αを保持し続ける。
【0089】
ステップS1555では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に接近させる。その結果、分離していた可動金型102が再び固定金型101に密着し、金型100Bが型閉じされる。
【0090】
ステップS1666では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Bの型締めを行う。ステップS1777では、金型100Bに対する射出の準備を行う。ここでは、樹脂を計量する。アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Bに接触させる。
【0091】
ステップS1888では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。ステップS1888での射出は、ステップS29と同形状を有する二次成形品βを成形するためのものである。
【0092】
より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100B内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、シリンダ51内の樹脂を金型100B内に高圧で押し込む。ステップS1888の処理の際、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Bの温度が次第に上昇することで、金型100Bが熱膨張する。場合によっては、初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このように、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に応じて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。
【0093】
次に、ステップS31およびS33の処理をステップS32と並行して行う。ステップS31では、金型100B内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS32では、型締装置6に関連する処理を行う。固定機構610による金型100Bの固定を解除する。ステップS30から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型の入れ替えが可能となる空間を形成する。
【0094】
ステップS33では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。
【0095】
より具体的には、保圧サックバックおよびノズルシャットオフは、ノズル52が金型100Bから離れたときに溶融樹脂が垂れることを防止するものである。これらの処理は、ステップS32で固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させる前の遅延時間中に行うことができる。保圧サックバックとは、保圧後にスクリュ51aを後退させて、射出シリンダ51内や金型100B内の樹脂圧力を低減するものである。ノズルシャットオフは、ノズル52の吐出口52aを閉鎖することである。上記の動作により、樹脂の漏出を抑制することが可能となる。次の射出のための樹脂計量の精度を向上させることができる。以上の処理により、樹脂が漏れ出ることを防止できるが、金型の構造や樹脂の種類によっては、金型100Bとノズル52との間で長い糸状の樹脂が発生する場合がある。これらの事例は、ノズル52にエアを吹きつける装置を設置することで対処することができる。
【0096】
ステップS34では、金型100Bと金型100Aとを入れ替える。金型100Bを成形動作位置11から搬送装置3Bに搬出し、金型100Aを搬送装置3Aから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Bに金型100Bの搬出指示を送信し、コントローラ42Bは搬送ユニット31を駆動して、金型100Bを成形動作位置11から搬出する。金型100Bの搬出が完了すると、コントローラ42Bからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Bは搬送装置3B上で冷却される。自己閉鎖部103によって金型100Bの閉状態が維持される。
【0097】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS35で、成形動作の動作条件として金型100Aに関する第2の組の条件を設定する。コントローラ41は、ステップS1で設定した複数の動作条件(動作条件A、BおよびC)の中から、動作条件Cを読み出して設定する。金型100Aの第1の組の条件と第2の組の条件との相違点は、第2の組の条件では一次成形品と三次成形品とを同時に成形する必要があるので、計量値、射出速度、保圧切り替え位置、保圧力等である。次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Aに密着させる。成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Aを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0098】
本実施形態では、ステップS34の後にステップS35を行っている。別の例示的実施形態では、動作条件の切り替えには時間を要することがあるので、例えば、動作条件を金型100Bの搬出指示と同時に切り替えるようにしてもよい。
【0099】
ステップS6666では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。
【0100】
ステップS12222では、ステップS6666で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Aの冷却が完了したかどうかを判定する。冷却が完了した場合は、ステップS13333からステップS15555の処理とステップS14444の処理とを並行して行う。
【0101】
ステップS13333では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102を離間することができ、金型100Aが型開きされる。ステップS14444では、取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102側(キャビティ内)に残留している一次成形品を取り出し、射出成形機2の上部に搬送して、そこで待機状態で待機する。チャック板75が第3の一次成形品に対向する位置に真空ヘッド74が移動し、そこで第3の一次成形品を吸着力で保持する。取出機7は、取り出しステップ(S14444)から後述の金型100Bへの第3の一次成形品の挿入(配置)(S26666)が行われるまで、第3の一次成形品を保持し続ける。
【0102】
図4H図4Kは、射出成形動作の改良を示す。
【0103】
ステップS26666では、取出機7を駆動して、射出成形機2の上部で待機状態にある二次成形品α(ステップS14444)を、金型100Aの可動金型102側に挿入(配置)する。
【0104】
ステップS10000では、金型100Aの固定側に配置したゲートGを駆動して、三次成形品側の流路を開放する。これにより、1回の射出で、一次成形品と三次成形品とに同時に樹脂を充填および保圧することが可能となる。ゲートGは、エア、油圧、サーボ等で駆動することができる。
【0105】
ステップS15555では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Aが型閉じされる。
【0106】
ステップS16666では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。
【0107】
ステップS17777では、金型100Aに対する射出の準備を行う。ここでは、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。
【0108】
ステップS18888では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。このステップS18888での射出は、三次成形品xおよび一次成形品nを成形するためのものである。
【0109】
より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、樹脂を金型100A内に高圧で押し込む。ステップS18888の処理の際、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張する。初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このように、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に応じて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。
【0110】
次に、ステップS19999およびステップS21000の処理をステップS20000と並行して行う。ステップS19999では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS20000では、型締装置6に関連する処理を行う。固定機構610による金型100Aの固定を解除する。ステップS18888から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型の入れ替えが可能となる空間を形成する。
【0111】
ステップS21000では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。
【0112】
保圧サックバックおよびノズルシャットオフは、ノズル52が金型100Aから離れたときに溶融樹脂が垂れることを防止するものである。これらの処理は、ステップS20000で固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させる前の遅延時間中に行うことができる。保圧サックバックとは、保圧後にスクリュ51aを後退させて、射出シリンダ51内や金型100A内の樹脂圧力を低減するものである。ノズルシャットオフは、ノズル52の吐出口52aを閉鎖することである。このような動作により、樹脂の漏出を抑制し、次の射出のための樹脂計量の精度を向上させることが可能となる。以上の処理により、樹脂が漏れ出ることを防止できる。金型の構造や樹脂の種類によっては、金型100Aとノズル52との間で長い糸状の樹脂が発生する場合がある。これを防止するために、ノズル52にエアを吹きつける装置を設置してもよい。
【0113】
上記の射出準備(S17777)、射出保圧(S18888)、および冷却(計時開始および完了判定)のステップを経て、三次成形品xおよび一次成形品nの成形を行う。射出樹脂の冷却処理は、ステップS19999の冷却時間の計測開始からステップS36の完了判定までの間に行われ、金型100Aに接続された温度調節器(図示せず)、または射出成形システム1の外部から供給される空気により、金型内の溶融樹脂を冷却する処理である。
【0114】
金型100Aの冷却処理の少なくとも一部は、成形動作位置11ではなく、搬送装置3A上で行う。金型100Aの冷却処理は、S22222での金型の入れ替えからS344での金型の入れ替えまでの処理の少なくとも一部、例えば、後述する成形動作位置11での金型100B内の二次成形品αの取り出し(S144444)や一次成形品の配置(S266666)等と並行して行われる。
【0115】
ステップS22222では、金型100Aと金型100Bとを入れ替える。金型100Aを成形動作位置11から搬送装置3Aに搬出し、金型100Bを搬送装置3Bから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬出指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11から搬出する。金型100Aの搬出が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Aは搬送装置3A上で冷却される。自己閉鎖部103によって金型100Aの閉状態が維持される。
【0116】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS23333で、成形動作の動作条件として金型100Bに関する条件を設定する。すなわち、コントローラ41は、ステップS1で設定した複数の動作条件(動作条件A、BおよびC)の中から、動作条件Bを読み出して設定する。例えば、金型100Bの厚み(Y方向の幅)、型締力等を今回の成形動作の動作条件として設定する。また、金型100Bに対応した射出速度等の動作条件も設定する。次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Bに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Bを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0117】
本実施形態では、ステップS22222の後にステップS23333を行っている。別の例示的実施形態では、動作条件の切り替えには時間を要することがあるので、例えば、動作条件を金型100Aの搬出指示と同時に切り替えるようにしてもよい。
【0118】
ステップS66666では、金型100B内の成形品の冷却時間の計時を開始する。
【0119】
ステップS122222では、ステップS66666で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Bの冷却が完了したかどうかを判定する。冷却が完了すると、ステップS133333からステップS155555の処理とステップS144444の処理とを並行して行う。
【0120】
上記の射出準備(S17777)、射出保圧(S18888)、および冷却(計時開始および完了判定)(S66666、S122222)のステップを経て、二次成形品yの成形を行う。射出樹脂の冷却処理は、ステップS66666の冷却時間の計測開始からステップS122222の完了判定までの間に行われ、金型100Aに接続された温度調節器(図示せず)、または射出成形システム1の外部から供給される空気により、金型内の溶融樹脂を冷却する処理である。
【0121】
ステップS133333では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102を離間することができ、金型100Bが型開きされる。ステップS144444では、取出機7を駆動して、金型100Bの可動金型102側(キャビティ内)に残留している二次成形品αを取り出し、射出成形機2の上部に搬送して、そこで待機状態を保つ。チャック板75が二次成形品αに対向する位置に真空ヘッド74が移動し、二次成形品αを吸着力で保持する。取出機7は、取り出しステップ(S144444)から金型100Bへの二次成形品αの挿入(配置)(S26666)が行われるまで、二次成形品αを保持し続ける。
【0122】
ステップS155555では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Bが型閉じされる。
【0123】
ステップS166666では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Bの型締めを行う。ステップS177777では、金型100Bに対する射出の準備を行う。ここでは、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Bに接触させる。
【0124】
ステップS188888では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。ステップS188888での射出は、ステップS177と同形状を有する二次成形品yを成形するためのものである。
【0125】
より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100B内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、樹脂を高圧で押し込む。ステップS188888の処理の際、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Bの温度が次第に上昇することで、金型100Bが熱膨張し、初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このように、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に応じて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。
【0126】
次に、ステップS311およびS333の処理をステップS322と並行して行う。ステップS311では、金型100B内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS322では、型締装置6に関連する処理を行う。固定機構610による金型100Bの固定を解除する。ステップS188888から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型の入れ替えが可能となる空間を形成する。
【0127】
ステップS333では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。
【0128】
保圧サックバックおよびノズルシャットオフは、ノズル52が金型100Bから離れたときに溶融樹脂が垂れることを防止するものである。これらの処理は、ステップS322で固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させる前の遅延時間中に行うことができる。保圧サックバックとは、保圧後にスクリュ51aを後退させて、射出シリンダ51内や金型100B内の樹脂圧力を低減するものである。ノズルシャットオフは、ノズル52の吐出口52aを閉鎖することである。このような動作により、樹脂の漏出を抑制し、次の射出のための樹脂計量の精度を向上させることが可能となる。以上の処理により、樹脂が漏れ出ることを防止できる。金型の構造や樹脂の種類によっては、金型100Bとノズル52との間で長い糸状の樹脂が発生する場合がある。これを防止するために、ノズル52にエアを吹きつける装置を設置してもよい。
【0129】
ステップS344では、金型100Bと金型100Aとの入れ替えを行う。金型100Bを成形動作位置11から搬送装置3Bに搬出し、金型100Aを搬送装置3Aから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Bに金型100Bの搬出指示を送信し、コントローラ42Bは搬送ユニット31を駆動して、金型100Bを成形動作位置11から搬出する。金型100Bの搬出が完了すると、コントローラ42Bからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Bは搬送装置3B上で冷却される。自己閉鎖部103によって金型100Bの閉状態が維持される。
【0130】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS355で、成形動作の動作条件として金型100Aに関する第2の組の条件を設定する。コントローラ41は、ステップS1で設定した複数の動作条件(動作条件A、BおよびC)の中から、動作条件Cを読み出して設定する。金型100Aの第1の組の条件と第2の組の条件との相違点は、第2の組の条件では一次成形品と三次成形品とを同時に成形する必要があるので、計量値、射出速度、保圧切り替え位置、保圧力等である。次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Aに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Aを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0131】
本実施形態では、ステップS344の後にステップS355を行っている。別の例示的実施形態では、動作条件の切り替えには時間を要することがあるので、例えば、動作条件を金型100Bの搬出指示と同時に切り替えるようにしてもよい。
【0132】
ステップS36では、ステップS19999で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Aの冷却が完了したかどうかを判定する。冷却が完了した場合は、ステップS37からステップS39の処理とステップS38の処理とを並行して行う。
【0133】
ステップS37では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Aが型開きされる。ステップS38では、取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102側に残留している成形品を取り出し、射出成形システム1の外部に搬送する。チャック板75が三次成形品xおよび一次成形品nに対向する位置に真空ヘッド74が移動し、吸着力で保持する。取り出した完成品を、吸着力で保持した三次成形品xおよび一次成形品nから分離する。三次成形品xは、ベルトコンベア(図示せず)上に載置するか、あるいは収納場所、例えば箱(図示せず)に取出機7で直接搬入する。
【0134】
ステップS39では、本ステップの時点での成形品の生産数を予想生産数量THと比較する。これまでに生産された成形品の数は、ROMまたはRAM(図示せず)に記憶される。生産数量THは、ステップS1で設定した目標生産数量である。
【0135】
成形品数が予想生産数量TH未満の場合には、処理はステップS26666に戻り、上記の処理を繰り返す。言い換えれば、処理は、金型100Aおよび金型100Bの一次成形品の挿入/射出/保圧に進み、金型100Aと金型100Bとの入れ替えを行う。
【0136】
成形品の数が予想生産数量THに達すると、処理は終了する。
【0137】
取出機7の保持部74Aが一次成形品nを保持し、保持部74Bが二次成形品yを保持した状態で、保持部74Cによって三次成形品xを取り出す。
【0138】
次に、三次成形品x1、x2、x3、およびx4がこの順序で完成する上記処理の例示的な一実施形態の一例を示す。上述したように、第1の三次成形品(例えばx1)が完成する前に、第1の三次成形品x1の完成後に完成すべき第2の三次成形品(例えばx2)用の一次成形品n2および二次成形品y2の成形処理を開始しているだけでなく、x2用の一次成形品n2および二次成形品y2はすでに完成してもいる。x3用の一次成形品n3および二次成形品y3の射出も行う。ステップS39からステップS26666への移行を考慮する場合は、ステップS26666において、ステップS26666後のステップS144444でx2用の二次成形品y2を取り出す。言い換えれば、x2用の二次成形品は、x1を取り出す前に完成する。

<成形挙動>
【0139】
図5A図5Rは、図4A図4Kの処理を実施する射出成形システムによる、一次から三次成形品の金型構成を用いた成形処理を示す。
【0140】
本例示的実施形態では、一次成形品が生成された順序に基づいて、一次成形品を一次成形品1、一次成形品2、一次成形品3と称する。どの一次成形品を参照するかを指定する必要がないときは、一次成形品nを用いることにする。
【0141】
本例示的実施形態では、二次成形品とは、一次成形品nに射出処理を追加して行うことで生成された成形品である。生成順序に基づいて、二次成形品を二次成形品α、二次成形品βと称する。どの二次成形品を参照するかを指定する必要がないときは、二次成形品yを用いることにする。
【0142】
本例示的実施形態では、三次成形品とは、二次成形品yに射出処理を追加して行うことで生成された成形品である。三次成形品を三次成形品xと称する。
【0143】
図5A図5Rは、金型100Aおよび100Bの断面図、および可動金型102側のキャビティ形状である。
【0144】
図5Aは、YZ平面に平行な金型100Aの断面、および可動金型102のY軸負方向の平面図を示す。金型100Aが射出成形機2内に位置するとき、型開き方向とはY軸正方向であり、金型100Aの搬送装置3A側への排出方向とはX軸負方向であり、垂直方向とはZ軸正方向である。
【0145】
金型100Aは、後述する一次成形品1(n)および三次成形品xを成形するための金型であり、可動金型102と、一次成形品1に対応するキャビティ104nと、三次成形品3に対応するキャビティ104xとを備える。金型100Aのキャビティ104nおよび104xは、XZ平面においてそれぞれ凸形状を有する。可動金型102のキャビティもまた、平面形状を有し、キャビティ104nおよび104x内に任意のレンズ形状を有する。キャビティ104xは、後述する二次成形品α(y)を受け入れることができ、型閉じ後に、二次成形品α(y)をオーバーモールド成形して三次成形品xを形成することができる。
【0146】
金型100Bは、二次成形品α(x)を成形するための金型であり、二次成形品αに対応するキャビティ104xからなる。金型100Bの固定キャビティ104yは、XZ平面において凸形状を有する。可動金型102のキャビティは、平面形状を有し、キャビティ104y内に任意のレンズ形状を有する。
【0147】
キャビティ104yは、一次成形品1(n)を受け入れることができ、型閉じ後に、一次成形品1(n)をオーバーモールド成形して二次成形品α(y)を形成することができる。
【0148】
図5Aは、金型100Aの閉状態、および図4AのステップS1~ステップS4の金型構成を示す。固定金型101は、一次成形品1(n)の曲面105に対応する突出部131と、三次成形品xの曲面132に対応する突出部106とを有する。曲面105および106は、任意のレンズ形状としてもよい。
【0149】
一方、可動金型102は平面形状を有する。
【0150】
図5Bは、一次成形品1(n)を製造するための金型100Aのキャビティ104nに溶融樹脂を流し込んだ状態、および図4AのステップS5~ステップS12における金型の金型構成を示す。一次成形品1は、金型100A内に構成される。
【0151】
図5Cは、金型100Aを型開きし、取出機7の昇降軸73Aが金型100Aに進入した状態、および図4BのステップS14における一連の動作を示す。取出機7の昇降軸73Aに連結された保持部(チャック)74Aによって、一次成形品1(n)を保持し、可動金型102から取り出す。保持部74Aは、吸着力を用いて一次成形品1(n)のゲート部の一部を保持している。後述するように、金型100Bにゲートを配置(挿入)する前に、ゲートを専用位置に仮配置し、保持部74Aのゲートの保持方向を変更する。保持部74Aには、真空方式以外の方式を用いてもよい。
【0152】
上述したような垂直移動に加えて、本実施形態の取出機7は、昇降軸73Aを軸周りに回転させることで、少なくとも保持部74Aを軸方向に少なくとも180度回転可能な回転機構78を有する。回転機構78には、昇降軸73Aまたは保持部74Aを上下(z軸方向)に移動させる機構、あるいは 昇降軸73Aまたは保持部74Aを左右(y軸方向、型締め/型開き方向)に移動させる機構を設けることもできる。
【0153】
後述するように、回転機構は、可動金型102から取り出した一次成形品1を可動金型102上に配置するために用いられるものであり、その目的を考えると、少なくとも保持部74Aを射出成形機2のプラテン61および62の面(XZ平面)に平行な方向に軸周りに180度回転させることができれば十分である。
【0154】
回転機構78および垂直水平移動機構は、取出機7の制御部により制御され、制御部は、射出成形システム1のコントローラ41により制御される。
【0155】
図5Dは、一次成形品2(n)を製造するための金型100Aのキャビティ104nに溶融樹脂を流し込んだ状態を示し、図4BのステップS15~S122における金型の一実施形態である。一次成形品2(n)は、金型100A内に構成される。このとき、ステップS14で説明した一次成形品1は、保持部74Aにより保持され、射出成形機2の上部で待機状態にある。
【0156】
図5Eは、金型100Aを型開きして、取出機7の昇降軸73Bを金型100A内に配置した 状態、および図4CのステップS144に伴う一連の動作を示す。取出機7の昇降軸73Bに連結された保持部(チャック)74Bによって、一次成形品2(n)を保持し、可動金型102から取り出す。
【0157】
図5Fは、一次成形品3(n)を製造するための金型100Aのキャビティ104nに溶融樹脂を流し込んだ状態を示し、図4EのステップS155~S177における金型の一実施形態である。一次成形品3は、金型100A内に構成される。このとき、一次成形品1および2は、保持部74Aおよび74Bにより保持され、射出成形機2の上部に保存されている。
【0158】
図5Gは、金型100Bの開状態、および一次成形品1を保持する保持部74Aが金型100Bに進入した状態(挿入状態)を示す。この状態は、図4DのステップS26における一連の動作を示す。
【0159】
一次成形品1の平面部116を可動金型102のインサート保持機117に挿入し、一次成形品1を可動金型102の凹部(キャビティ)内に位置決め配置する。
【0160】
可動金型102は、二次成形品のキャビティ110の一部を形成し、一次成形品1を配置(挿入)する凹部110Bと一次成形品1の突出部115とが嵌合する。固定金型101は、キャビティ110の一部を形成し、平面形状に構成される。
【0161】
図5Hは、金型100Bの可動金型102において、二次成形品αをオーバーモールド成形する状態を示し、一次成形品1を挿入した状態で樹脂を射出(オーバーモールド)して、二次成形品α(y)を構成する。この状態は、図4DのステップS27~S1222における一連の動作を示す。
【0162】
図5Iは、金型100Bを型開きし、取出機7の昇降軸73Cを金型100Bに挿入した状態を示し、図4EのステップS1444における一連の動作について説明する。取出機7の昇降軸73Cに連結された保持部(チャック)74Cによって、二次成形品α(y)を吸着力で保持し、可動金型102から取り出す。
【0163】
図5Jは、金型100Bの開状態、および一次成形品2を保持する保持部74Bを金型100Bに挿入した状態(挿入状態)を示す。図4EのステップS266における一連の動作を示す。
【0164】
一次成形品2の平面部116を可動金型102のインサート保持機117に挿入し、一次成形品2を可動金型102の凹部(キャビティ)内に位置決め配置する。
【0165】
可動金型102は、二次成形品のキャビティ110の一部を形成し、一次成形品2を配置(挿入)する凹部110Bと一次成形品2の突出部115とが嵌合する。固定金型101は、キャビティ110の一部を形成し、平面形状に構成される。
【0166】
図5Kは、金型100Bの可動金型102において、二次成形品β(y)をオーバーモールド成形する場合を示し、一次成形品2(n)を挿入した状態で樹脂を射出(オーバーモールド)して、二次成形品β(y)を構成する。図4EのステップS155~S1888における一連の動作について説明する。
【0167】
図5Lは、金型100Aを型開きし、取出機7の昇降軸73Aを金型100Aに挿入した状態を示す。取出機7の昇降軸73Aに連結された保持部(チャック)74Aによって、一次成形品3(n)を吸着力で保持する。図4GのステップS14444における一連の動作を示す。
【0168】
図5Mは、金型100Aを型開きし、二次成形品α(y)を金型100Aの保持部74Cに挿入した状態(挿入状態)を示す。図4KのステップS26666における一連の動作について説明する。
【0169】
可動金型102側から真空吸着することで、一次成形品3の可動金型102の凹部(キャビティ)への二次成形品α(y)の位置決め配置を実現する。
【0170】
ゲート200を180度切り替えて、二次成形品α(y)へのオーバーモールド成形を可能にする。これにより、一次成形品と三次成形品とを同時に成形することが可能となる。切り替えは、エア、油圧、サーボ等で行うことができる。
【0171】
図5Nは、金型100Aの可動金型102において、三次成形品xをオーバーモールド成形する状態を示し、二次成形品α(y)を挿入した状態で樹脂を射出(オーバーモールド)して、三次成形品xを構成する。キャビティの1つには、一次成形品nを充填する。図4KのステップS15555~S18888における一連の動作を示す。
【0172】
本例示的実施形態の一結果として、2回のインサート成形動作により効率的に厚肉レンズを製造することができる。
【0173】
図5Oは、金型100Bを型開きし、取出機7の昇降軸73Cを金型100Bに挿入した状態を示し、図4IのステップS144444における一連の動作を示す。取出機7の昇降軸73Cに連結された保持部(チャック)74Cによって、二次成形品β(y)を吸着力で保持し、可動金型102から取り出す。
【0174】
図5Pは、金型100Bを型開きし、一次成形品3を保持する保持部74Aを金型100Bに挿入した状態(挿入状態)を示す。図4IのステップS26666における一連の動作を示す。
【0175】
図5Qは、金型100Bの可動金型102において、二次成形品yをオーバーモールド成形する状態を示し、一次成形品nを挿入した状態で樹脂を射出(オーバーモールド)して、二次成形品yを構成する。図4Iおよび図4KのステップS155555~S188888おける一連の動作を示す。
【0176】
図5Rは、三次成形品xおよび一次成形品nを取り出した金型100Aの開状態を示す。三次成形品xは、保持部74Bに吸着力で保持され、一次成形品nは、保持部74Aに吸着力で保持される。三次成形品xと一次成形品nとを両方同時に金型100Aの外部に搬送して、ゲート切断機能を有する切断機構(図示せず)により、三次成形品と一次成形品とに分離する。三次成形品を射出成形機2の外部に搬出し、ベルトコンベア(図示せず)等に搬入する。これにより、厚肉成形品が完成する。吸着力で保持部74Cに保持された一次成形品nは、金型100Bに挿入されるまで、射出成形機2の上部で保持される。
【0177】
搬送装置3Aおよび搬送装置3Bによって、金型100Aおよび100Bを射出成形機2に搬入/搬出しながら、複数の厚肉レンズ成形品xを並行して製造できるので、射出成形機2の待ち時間を短縮でき、効率的な製造を実現することができる。
【0178】
搬送装置3Aおよび搬送装置3Bを含む射出成形システムを用いた別の例示的実施形態では、射出成形機2の上部において、取出機7の保持部74Aおよび74Bで保持した状態で一次成形品α1およびα2を待機させる処理を行わなくてもよい。取出機7で一次成形品α1およびα2を取り出し、射出成形機2の外部に設けられた一次成形品を収納する収納場所、例えば箱に一時的に配置する。
【0179】
例示的実施形態では、金型100Aと金型100Bとは、例えば連結部を介して、互いに連結することができる。別の例示的実施形態では、金型100Aと金型100Bとは、一体化されたユニットであってもよい。例えば、金型100Aの固定金型101と金型100Bの固定金型101とを一体化することができる。
【0180】
2回のオーバーモールド成形動作の一例を示したが、1回または2回以上のオーバーモールド成形動作を行うことができる。

<成形品の製造>
【0181】
図6A図6Iは、射出成形システム1の動作例を示す。以下の例では、金型100Aおよび金型100Bを入れ替えて成形動作を行う場合を示す。
【0182】
図6A図6Fは、成形処理を示すフローチャートを示す。ステップS1では、初期設定を行う。金型100Aと金型100Bのそれぞれに対して、射出装置5および型締装置6の動作条件を登録する。例えば、1回の射出樹脂量、温度、射出速度、型締力、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値等である。これらの条件は、金型100Aと金型100Bとで異なる場合も同じ場合もある。
【0183】
1回目の成形動作には金型100Aを用い、そこで、第1の動作条件として金型100Aに関する条件が自動設定される。初回の射出シリンダ51の加温や樹脂の可塑化計量等を開始する。後述するように、金型100Aの動作条件の場合であっても、一次成形品nを成形するための動作条件と、一次成形品nおよび三次成形品xを成形するための動作条件とは異なることがある。
【0184】
ステップS1では、コントローラ41は、金型100Aを用いて一次成形品nを形成するための動作条件Aと、金型100Bを用いて二次成形品yを形成するための動作条件Bと、金型100Aを用いて一次成形品nおよび三次成形品xを形成するための動作条件Cとを設定する。
【0185】
ステップS2では、金型100Aを射出成形機2内に搬送する。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62との間の隙間を、金型100Aの厚み(Y方向の幅)よりも少し広くする。次に、コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬入指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11に搬入する。搬入が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬入完了を示す信号が送信される。搬入完了を示す信号を受信すると、モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Aに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。また、固定機構610を駆動して、金型100Aを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0186】
ステップS3では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。ステップS4では、金型100Aに対する射出の準備を行う。ここでは、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。
【0187】
ステップS5では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、樹脂を高圧で押し込む。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張する。初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このように、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に応じて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。
【0188】
ステップS6では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS7では、ステップS6で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Aの冷却が完了したかどうかを判定する。
【0189】
上記の射出準備(S4)、射出保圧(S5)、および冷却(計時開始および完了判定)のステップを経て、第1の一次成形品を成形する。射出樹脂の冷却処理は、ステップS6の冷却時間の計測開始からステップS7の完了判定までの間に行われ、金型100Aに接続された温度調節器(図示せず)、または射出成形システム1の外部から供給される空気により、金型100A内の溶融樹脂を冷却する処理である。
【0190】
ステップS8では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Aが型開きされる。ステップS9では、取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102側(キャビティ内)に残留している一次成形品を取り出し、射出成形機2の上部に搬送して待機状態を保つ。取出機7は、取り出し処理(S9)から後述する金型100Bへの第1の一次成形品の挿入(配置)(S20)が行われるまで、第1の一次成形品を保持し続ける。
【0191】
ステップS10では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Aが型閉じされる。
【0192】
ステップS11では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。ステップS12では、金型100Aに対する射出の準備を行う。ここでは、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。
【0193】
ステップS13では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。ステップS13での射出は、ステップS5と同形状を有する第2の一次成形品を成形するためのものである。
【0194】
より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、樹脂を高圧で押し込む。ステップS13の処理の際、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張する。初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このように、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に応じて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整は、任意のタイミングで行えばよい。
【0195】
次に、ステップS14およびステップS16の処理をステップS15の処理と並行して行う。ステップS14では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS15では、型締装置6に関連する処理を行う。固定機構610による金型100Aの固定を解除する。ステップS13から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型100Aと金型100Bとを入れ替え可能な空間を形成する。
【0196】
ステップS16では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。
【0197】
保圧サックバックおよびノズルシャットオフは、ノズル52が金型100Aから離れたときに溶融樹脂が垂れることを防止するものである。これらの処理は、ステップS15で固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させる前の遅延時間中に行うことができる。保圧サックバックとは、保圧後にスクリュ51aを後退させて、射出シリンダ51内や金型100A内の樹脂圧力を低減するものである。ノズルシャットオフは、ノズル52の吐出口52aを閉鎖することである。このような動作により、樹脂の漏出を抑制し、次の射出のための樹脂計量の精度を向上させることが可能となる。以上の処理により、樹脂が漏れ出ることを防止できる。金型の構造や樹脂の種類によっては、金型100Aとノズル52との間で長い糸状の樹脂が発生する場合がある。これを防止するために、ノズル52にエアを吹きつける装置を設置してもよい。
【0198】
ステップS17では、金型100Aと金型100Bとを入れ替える。金型100Aを成形動作位置11から搬送装置3Aに搬出し、金型100Bを搬送装置3Bから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬出指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11から搬出する。金型100Bは搬送装置3Bから成形動作位置11へと移動する。金型100Aの搬出が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Aは搬送装置3A上で冷却される。自己閉鎖部103によって金型100Aの閉状態が維持される。
【0199】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS18で、成形動作の動作条件として金型100Bに関する条件を設定する。すなわち、コントローラ41は、S1で設定した複数の動作条件(動作条件A、BおよびC)の中から、動作条件Bを読み出して設定する。例えば、金型100Bの厚み(Y方向の幅)、型締力等を今回の成形動作の動作条件として設定する。金型100Bに対応した射出速度等の動作条件を設定する。次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Bに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Bを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0200】
上述の実施形態では、ステップS17の後にステップS18を行っている。別の例示的実施形態では、動作条件の切り替えには時間を要することがあるので、例えば、金型100Aの搬出指示と同時に動作条件を切り替えるようにしてもよい。
【0201】
ステップS19では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Bが型開きされる。ステップS20では、取出機7を駆動して、ステップS9で待機状態に置かれていた第1の一次成形品を金型100Bに挿入(配置)する。
【0202】
ステップS21では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Bが型閉じされる。
【0203】
ステップS22では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Bの型締めを行う。ステップS23では、金型100Bに対する射出の準備を行う。アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Bに接触させる。二次成形品αは、第1の一次成形品を金型100Bに配置した状態で成形され、ステップS24により、一体化すべき一次成形品に樹脂を射出してオーバーモールド成形する。
【0204】
次に、ステップS25およびステップS27の処理をステップS26の処理と並行して行う。ステップS25では、金型100B内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS26では、型締装置6に関連する処理を行う。固定機構610による金型100Bの固定を解除する。ステップS24から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型100Bと金型100Aとを入れ替える空間を形成する。
【0205】
ステップS27では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。
【0206】
ステップS28では、金型100Bと金型100Aとの入れ替えを行う。金型100Bを成形動作位置11から搬送装置3Bに搬出し、金型100Aを搬送装置3Aから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Bに金型100Bの搬出指示を送信し、コントローラ42Bは搬送ユニット31を駆動して、金型100Bを成形動作位置11から搬出する。金型100Aは搬送装置3Aから成形動作位置11へと移動する。金型100Bの搬出が完了すると、コントローラ42Bからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Bは搬送装置3B上で冷却される。このとき、自己閉鎖部103によって金型100Bの閉状態が維持される。
【0207】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS29で、成形動作の動作条件として金型100Aに関する条件を設定する。すなわち、コントローラ41は、S1で設定した複数の動作条件(動作条件A、BおよびC)の中から、対応する動作条件を読み出して設定する。例えば、金型100Aの厚み(Y方向の幅)、型締力等を今回の成形動作の動作条件として設定する。金型100Aに対応した射出速度等の動作条件を設定する。次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Aに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Aを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0208】
ステップS30では、ステップS14で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Aの冷却が完了したかどうかを判定する。
【0209】
ステップS31では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Aが型開きされる。
【0210】
ステップS32では、取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102側(キャビティ内)に残留している第2の一次成形品を取り出し、射出成形機2の上部領域に搬送して、待機状態に置く。取出機7は、取り出しステップ(S32)から後述する金型100Bへの第2の一次成形品の挿入(配置)(S45)が行われるまで、第2の一次成形品を保持し続ける。
【0211】
ステップS33では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Aが型閉じされる。
【0212】
ステップS34では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。ステップS35では、金型100Aに対する射出の準備を行う。ここでは、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。
【0213】
ステップS36では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。ステップS36での射出は、ステップS5と同形状を有する第3の一次成形品を成形するためのものである。より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、樹脂を高圧で押し込む。ステップS36の処理の際、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張する。初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このように、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に応じて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整は、任意のタイミングで行えばよい。
【0214】
次に、ステップS37およびステップS39の処理をステップS38の処理と並行して行う。ステップS37では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS38では、型締装置6に関連する処理を行う。固定機構610による金型100Aの固定を解除する。ステップS36から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型100Aと金型100Bとを入れ替え可能な空間を形成する。
【0215】
ステップS39では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。
【0216】
ステップS40では、金型100Aと金型100Bとの入れ替えを行う。金型100Aを成形動作位置11から搬送装置3Aに搬出し、金型100Bを搬送装置3Bから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬出指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11から搬出する。金型100Bは搬送装置3Bから成形動作位置11へと移動する。金型100Aの搬出が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Aは搬送装置3A上で冷却される。自己閉鎖部103によって金型100Aの閉状態が維持される。
【0217】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS40で、成形動作の動作条件として金型100Bに関する条件を設定する。すなわち、コントローラ41は、S1で設定した複数の動作条件(動作条件A、BおよびC)の中から、対応する動作条件を読み出して設定する。例えば、金型100Bの厚み(Y方向の幅)、型締力等を今回の成形動作の動作条件として設定する。金型100Bに対応した射出速度等の動作条件を設定する。次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Bに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。また、固定機構610を駆動して、金型100Bを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれロックする。
【0218】
本例示的実施形態では、ステップS40の後にステップS41を行っている。別の例示的実施形態では、動作条件の切り替えには時間を要することがあるので、例えば、金型100Aの搬出指示と同時に動作条件を切り替えるようにしてもよい。
【0219】
ステップS42では、ステップS25で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Bの冷却が完了したかどうかを判定する。
【0220】
ステップS43では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Bが型開きされる。ステップS44では、取出機7を駆動して、金型100Bの可動金型102側(キャビティ内)に残留している二次成形品αを取り出し、第2の一次成形品を金型100Bの可動金型102側に挿入後に、射出成形機2の上部に搬送して待機させる。取出機7は、取り出し処理(S44)から後述する金型100Aへの二次成形品αの挿入(配置)(S58)が行われるまで、二次成形品αを保持し続ける。
【0221】
ステップS46では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Bが型閉じされる。
【0222】
ステップS47では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Bの型締めを行う。ステップS48では、金型100Bに対する射出の準備を行う。アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Bに接触させる。二次成形品βは、第2の一次成形品を金型100Bに配置した状態で成形され、ステップS49により、一体化すべき第2の一次成形品に樹脂を射出してオーバーモールド成形する。
【0223】
次に、ステップS50およびステップS52の処理をステップS51の処理と並行して行う。ステップS50では、金型100B内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS51では、型締装置6に関連する処理を行う。固定機構610による金型100Bの固定を解除する。ステップS49から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型100Bと金型100Aとを入れ替える空間を形成する。
【0224】
ステップS52では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。
【0225】
ステップS53では、金型100Bと金型100Aとを入れ替える。金型100Bを成形動作位置11から搬送装置3Bに搬出し、金型100Aを搬送装置3Aから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Bに金型100Bの搬出指示を送信し、コントローラ42Bは搬送ユニット31を駆動して、金型100Bを成形動作位置11から搬出する。金型100Aは搬送装置3Aから成形動作位置11へと移動する。金型100Bの搬出が完了すると、コントローラ42Bからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Bは搬送装置3B上で冷却される。自己閉鎖部103によって金型100Bの閉状態が維持される。
【0226】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS54で、成形動作の動作条件として金型100Aに関する条件を設定する。この処理から一次成形品と三次成形品とを同時に成形する処理に移行するために、金型100Aの動作条件Cを設定し、この動作条件Cは、動作条件Aとは異なるものである。型締力や計量値等の条件は、動作条件AとCとで異なることがある。
【0227】
次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Aに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Aを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0228】
ステップS55では、ステップS36で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Aの冷却が完了したかどうかを判定する。
【0229】
ステップS56では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Aが型開きされる。ステップS57では、取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102側(キャビティ内)に残留している第3の一次成形品を取り出す。
【0230】
図6G図6Iは、図6A図6Fの成形処理に対する改良を示す。
【0231】
ステップS58では、二次成形品αを金型100Aに挿入し、次いで、第3の一次成形品が射出成形機2の上部に搬送され待機する。取出機7は、取り出し処理(S57)から後述する金型100Bへの第3の一次成形品の挿入(配置)(S72)が行われるまで、第3の一次成形品を保持し続ける。第4の一次成形品および三次成形品Aを形成する準備として、三次成形品Aのキャビティに樹脂を流すために、ステップS59でゲートの切り替えを行う。
【0232】
ステップS60では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Aが型閉じされる。
【0233】
ステップS61では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Aの型締めを行う。ステップS62では、金型100Aに対する射出の準備を行う。樹脂を計量する。ノズル52が金型100Aから離れていると、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Aに接触させる。
【0234】
ステップS63では、溶融樹脂の射出および保圧を行う。ステップS63での射出は、第4の一次成形品と三次成形品Aとを同時に成形するためのものである。
【0235】
より具体的には、射出装置5を駆動してノズル52から金型100A内のキャビティに溶融樹脂を充填し、樹脂の固化による体積減少を補うために、樹脂を高圧で押し込む。ステップS63の処理の際、センサ68によって実際の型締力を計測する。成形中、金型100Aの温度が次第に上昇することで、金型100Aが熱膨張する。初期の型締力としばらく時間が経過した後の型締力に差が生じる場合がある。したがって、次回の型締めの際の型締力を、センサ68の計測結果に基づき補正することができる。型締力の調整は、モータ67を駆動して、タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整により行う。このように、タイバー64に対する可動プラテン63の位置の初期値を、センサ68の計測結果に応じて補正して型締力を調整することで、型締力の精度を高めることができる。タイバー64に対する可動プラテン63の位置調整は、任意のタイミングで行えばよい。
【0236】
次に、ステップS64およびステップS66の処理をステップS65の処理と並行して行う。ステップS64では、金型100A内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS65では、型締装置6に関連する処理を行う。固定機構610による金型100Aの固定を解除する。ステップS63から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型100Aと金型100Bとを入れ替え可能な空間を形成する。
【0237】
ステップS66では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。
【0238】
ステップS67では、金型100Aと金型100Bとを入れ替える。金型100Aを成形動作位置11から搬送装置3Aに搬出し、金型100Bを搬送装置3Bから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Aに金型100Aの搬出指示を送信し、コントローラ42Aは搬送ユニット31を駆動して、金型100Aを成形動作位置11から搬出する。金型100Bは搬送装置3Bから成形動作位置11へと移動する。金型100Aの搬出が完了すると、コントローラ42Aからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Aは搬送装置3A上で冷却される。自己閉鎖部103によって金型100Aの閉状態が維持される。
【0239】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS68で、成形動作の動作条件として金型100Bに関する条件を設定する。すなわち、コントローラ41は、ステップS1で設定した複数の動作条件(動作条件A、BおよびC)の中から、対応する動作条件を読み出して設定する。例えば、金型100Bの厚み(Y方向の幅)、型締力等を今回の成形動作の動作条件として設定する。金型100Bに対応した射出速度等の動作条件を設定する。次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Bに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Bを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0240】
本例示的実施形態では、ステップS67の後にステップS68を行っている。別の例示的実施形態では、動作条件の切り替えには時間を要することがあるので、例えば、動作条件を金型100Aの搬出指示と同時に切り替えるようにしてもよい。
【0241】
ステップS69では、ステップS50で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Bの冷却が完了したかどうかを判定する。
【0242】
ステップS70では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Bが型開きされる。ステップS71では、取出機7を駆動して、金型100Bの可動金型102側(キャビティ内)に残留している二次成形品βを取り出し、第3の一次成形品を金型100Bの可動金型102側に挿入後に、射出成形機2の上部に搬送して待機させる。取出機7は、取り出し処理(S71)から後述する金型100Aへの二次成形品βの挿入(配置)(S85)が行われるまで、二次成形品βを保持し続ける。
【0243】
ステップS73では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Bが型閉じされる。
【0244】
ステップS74では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Bの型締めを行う。ステップS75では、金型100Bに対する射出の準備を行う。ここでは、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Bに接触させる。二次成形品γは、第3の一次成形品を金型100Bに配置した状態で成形され、ステップS76により、一体化すべき第3の一次成形品に樹脂を射出してオーバーモールド成形する。
【0245】
次に、ステップS77およびステップS79の処理をステップS78の処理と並行して行う。ステップS77では、金型100B内の成形品の冷却時間の計時を開始する。ステップS78では、型締装置6に関連する処理を行う。固定機構610による金型100Bの固定を解除する。ステップS76から所定の時間の遅延後にモータ66を駆動して、トグル機構65を駆動する。これにより、型締力を解除し、固定プラテン61に対して可動プラテン62を僅かに離間させ、金型100Bと金型100Aとを入れ替え可能な空間を形成する。
【0246】
ステップS79では、射出装置5に関連する処理を行う。ここでは、例えば、保圧サックバック、ノズルシャットオフ、射出装置5の後退等を行う。
【0247】
ステップS80では、金型100Bと金型100Aとを入れ替える。金型100Bを成形動作位置11から搬送装置3Bに搬出し、金型100Aを搬送装置3Aから成形動作位置11に搬入する。コントローラ41はコントローラ42Bに金型100Bの搬出指示を送信し、コントローラ42Bは搬送ユニット31を駆動して、金型100Bを成形動作位置11から搬出する。金型100Aは搬送装置3Aから成形動作位置11へと移動する。金型100Bの搬出が完了すると、コントローラ42Bからコントローラ41へ搬出完了を示す信号が送信される。金型100Bは搬送装置3B上で冷却される。自己閉鎖部103によって金型100Bの閉状態が維持される。
【0248】
搬入完了を示す信号を受信すると、ステップS81で、成形動作の動作条件として金型100Aに関する条件を設定する。ステップS54と同様に、条件として動作条件Cを設定する。条件設定をする理由は、第5の一次成形品および三次成形品Bのためである。動作条件Aと比較して、型締力や計量値等の条件が異なることがある。次の射出のための可塑化計量の開始を行う。モータ66を駆動して、固定プラテン61と可動プラテン62とを金型100Aに密着させる。このときは、成形中に発生させるような型締力を発生させる必要はない。固定機構610を駆動して、金型100Aを固定プラテン61および可動プラテン62にそれぞれ固定する。
【0249】
ステップS82では、ステップS64で計測を開始した冷却時間が所定の時間に達したかどうかに基づいて、金型100Aの冷却が完了したかどうかを判定する。
【0250】
ステップS83では、モータ66を駆動して、固定プラテン61から可動プラテン62を離間する。固定金型101は固定プラテン61に固定機構610により固定され、可動金型102は可動プラテン62に固定機構610により固定されている。これにより、固定金型101から可動金型102が離間し、金型100Aが型開きされる。ステップS84では、取出機7を駆動して、金型100Aの可動金型102側(キャビティ内)に残留している第4の一次成形品および三次成形品Aを取り出す。ステップS85では、二次成形品βを金型100Aに挿入し、第4の一次成形品および三次成形品Aが射出成形機2の上部に搬送され待機する。
【0251】
ステップS86では、モータ66を駆動して、可動プラテン62を固定プラテン61に向かって移動させる。これにより、可動金型102が固定金型101に密着し、金型100Bが型閉じされる。
【0252】
ステップS87では、モータ66を駆動して、トグル機構65を駆動し、固定プラテン61と可動プラテン62とにより金型100Bの型締めを行う。ステップS88では、金型100Bに対する射出の準備を行う。ここでは、アクチュエータ55を駆動して射出装置5を移動し、ノズル52を金型100Bに接触させる。二次成形品γは、第3の一次成形品を金型100Bに配置した状態で成形され、図6のステップS89により、一体化すべき第3の一次成形品に樹脂を射出してオーバーモールド成形する。
【0253】
ステップS90では、三次成形品の生産数量が予定/目標生産数量TH未満かどうかを判定する。生産数量が満たない場合には、処理はステップS67に戻る。生産数量が予定/目標生産数量TH以上の場合には、処理は終了する。

<成形挙動>
【0254】
図7A図7Dは、図6A図6Iの処理を実施する射出成形システムによる、一次から三次成形品の金型構成を用いた成形処理、および成形品の挙動を示す。
【0255】
本実施形態では、生成順序に基づいて、一次成形品を一次成形品1、一次成形品2、一次成形品3と称する。どの一次成形品を参照するかを指定する必要がないときは、一次成形品nを用いる。
【0256】
本実施形態では、二次成形品とは、一次成形品nに射出処理を追加して行うことで生成された成形品である。生成順序に基づいて、二次成形品を二次成形品α、二次成形品βと称する。どの二次成形品を参照するかを指定する必要がないときは、二次成形品yを用いる。
【0257】
本実施形態では、三次成形品とは、二次成形品yに射出処理を追加して行うことで生成された成形品である。生成順序に基づいて、三次成形品を三次成形品A、三次成形品Bと称する。どの三次成形品を参照するかを指定する必要がないときは、三次成形品xを用いる。
【0258】
図7Aは、金型100Aおよび金型100Bの断面図、および可動金型102のキャビティ形状を示す。図7Aの下部に、XY平面に平行な金型100Aおよび金型100Bの断面を示す。図7Aは、射出成形機内における位置(A)、射出成形機の反操作側にある金型(B)、および射出成形機の操作側にある金型(C)を示す。図7Aはまた、射出成形時の取出機の位置(D)および成形品を保持する取出機の状態(E)を示す。
【0259】
図7Aの左上部に、一次成形、二次成形、および三次成形の各処理における充填形状、および三次成形後の状態である最終成形品を示す。本実施形態では、成形モデルを2個取り成形として仮定したが、成形品の取り数は、任意の数とすることができる。
【0260】
金型100Aは、後述する一次成形品1(n)および三次成形品A(x)を成形するための金型である。金型100Bは、二次成形品α(y)を成形するための金型である。樹脂を充填するキャビティは、金型100Aおよび金型100Bに構成される。
【0261】
図7Aは、初期設定のステップS1を完了後、金型100Aを成形機に搬送し、一次成形のための型締めをし、一次成形品1を成形し、次いで冷却時間の経過後に型開きする様子を示す。
【0262】
図7Bは、一次成形品1を取り出すために下降した取出機を示す。
【0263】
図7Cは、一次成形品1を取り出す取出機を示す。
【0264】
図7Dは、一次成形品1の取り出し後に上昇すると同時に、一次成形品1を保持して待機する取出機を示す。
【0265】
図7Eは、図6BのステップS10~S16の処理後の状態を示す。この状態では、金型100A内に一次成形品2が存在する。
【0266】
図7Fは、図6BのステップS17の処理を示す。図7Fはまた、金型100A内の一次成形品2を冷却している間、金型100Bを射出成形機に搬送し、金型100Aを射出成形機の操作側の反対側に搬送する様子を示す。
【0267】
図7Gは、金型入れ替え後に動作条件を100Bの設定に変更し、次いで金型100Bを型開き後に、一次成形品1を保持する取出機7が下降する様子を示す。
【0268】
図7Hは、一次成形品1を金型100Bに挿入する取出機7を示す。これは、図6CのステップS20に対応する状態である。
【0269】
図7Iは、一次成形品1の挿入直後に取出機7が上昇し、金型100Bを型閉じおよび型締めし、二次成形品αを成形するために金型100Bに対する射出の準備を行う様子(図6CのステップS23の処理)を示す。
【0270】
図7Jは、一次成形品1にオーバーモールド成形を行って成形された二次成形品αの状態であり、成形後に冷却時間の計測を開始し、型締めを解除してシャットオフ動作を行い、シリンダ(図示せず)を後退させる様子(図6CのステップS27までの処理)を示す。
【0271】
図7Kは、金型100Bを射出成形機2の外部に搬送し、金型100Aを射出成形機2内に搬送した後、射出成形機2を一次成形品3を成形するための動作条件Aに設定し、一次成形品2の取り出しのための冷却時間が完了したかどうかを確認する様子を示す。
【0272】
図7Lは、金型100Aを型開き後に、取出機7が下降する状態を示す。
【0273】
図7Мは、一次成形品2を金型100Aから取り出す取出機7を示す。
【0274】
図7Nは、一次成形品2を取り出し後に上昇し、次の挿入に備えて待機する取出機7を示す。
【0275】
図7Oは、取出機7の上昇後に型閉じおよび型締めを行って、一次成形品3を成形する様子を示す。成形後に冷却時間の計測を開始し、型締めを解除してシャットオフ動作を行い、シリンダ(図示せず)を後退させる(図6DのステップS39までの処理)。
【0276】
図7Pは、金型100Aを射出成形機2の外部に搬送し、金型100Bを射出成形機2内に搬送した後、射出成形機2を二次成形品βを成形するための動作条件Bに設定し、二次成形品αの取り出しのための冷却時間が完了したかどうかを確認する様子を示す。
【0277】
図7Qは、二次成形品αを取り出すために下降する取出機7の状態を示す。
【0278】
図7Rは、二次成形品αを取り出す取出機7を示す。
【0279】
図7Sは、一次成形品2を挿入するために僅かに上昇する取出機7を示す。
【0280】
図7Tは、一次成形品2を金型100Bに挿入する取出機7を示す。
【0281】
図7Uは、一次成形品2を挿入後に取出機7が上昇して待機し、型閉じおよび型締めをして、二次成形品βを成形するための射出の準備を行う様子を示す。
【0282】
図7Vは、一次成形品2にオーバーモールド成形を行って、二次成形品βを成形する様子を示す。成形後に冷却時間の計測を開始し、型締めを解除してシャットオフ動作を行い、シリンダ(図示せず)を後退させる(図6EのステップS52までの処理)。
【0283】
図7Wは、金型100Bを射出成形機2の外部に搬送し、金型100Aを射出成形機2内に搬送した後、射出成形機2を三次成形品を成形するための動作条件Cに設定し、一次成形品3の取り出しのための冷却時間が完了したかどうかを確認する様子を示す。
【0284】
図7Xは、一次成形品3を取り出すために下降する取出機7を示す。
【0285】
図7Yは、一次成形品3を取り出して、二次成形品αを三次成形用のキャビティに挿入する様子を示す。
【0286】
図7Zは、二次成形品αを挿入後に上昇して待機する取出機7を示す。このとき、金型100Aのゲート切り替えが行われ、一次成形品と三次成形品とが同時に成形される。
【0287】
図7AAは、金型100Aを型閉じおよび型締めし、射出の準備をして成形された一次成形品4および三次成形品Aであり、冷却時間の計測を開始し、型締めを解除してシャットオフ動作を行い、シリンダ(図示せず)を後退させる様子(図6GのステップS66までの処理)を示す。
【0288】
図7ABは、金型100Aを射出成形機2の外部に搬送し、金型100Bを射出成形機2内に搬送した後、射出成形機2を二次成形品γを成形するための動作条件Bに設定し、二次成形品βの取り出しのための冷却時間が完了したかどうかを確認する様子を示す。
【0289】
図7ACは、二次成形品βを取り出すために下降する取出機7を示す。
【0290】
図7ADは、二次成形品βを取り出す取出機7を示す。
【0291】
図7AEは、一次成形品3を金型100Bに挿入する取出機7を示す。
【0292】
図7AFは、一次成形品3を挿入後に取出機7が上昇して待機し、型閉じおよび型締めを行った後に、二次成形品γを成形するための射出の準備を行う様子を示す。
【0293】
図7AGは、一次成形品3にオーバーモールド成形を行って二次成形品γを成形し、成形後に冷却時間の計測を開始し、型締めを解除してシャットオフ動作を行い、シリンダ(図示せず)を後退させる様子(図6HのステップS79までの処理)を示す。
【0294】
図7AHは、金型100Bを射出成形機2の外部に搬送し、金型100Aを射出成形機2内に搬送した後、射出成形機2を三次成形品を成形するための動作条件Cに設定し、一次成形品4および三次成形品Aの取り出しのための冷却時間が完了したかどうかを確認する様子を示す。
【0295】
図7AIは、一次成形品4および三次成形品Aを取り出すために下降する取出機7を示す。
【0296】
図7AJは、一次成形品4および三次成形品Aを取り出す取出機7を示す。
【0297】
図7AKは、二次成形品βを挿入するために下降する取出機7の状態を示す。
【0298】
図7ALは、一次成形品3を取り出して、二次成形品βを三次成形用のキャビティに挿入する様子を示す。
【0299】
図7AMは、取出機が上昇して待機し、型閉じおよび型締めを行って、一次成形品5および三次成形品Bを成形するための射出の準備を行う様子を示す。
【0300】
図7ANは、二次成形品βにオーバーモールド成形を行って、一次成形品5および三次成形品Bを成形する様子を示す。
【0301】
図7AOは、三次成形品Aを取出機7から完成品収納場所に搬送し、実際の生産数量が予定/目標生産数量未満かどうかを判定する(図6IのステップS90)状態を示す。
【0302】
所定数の生産数量THに達しなかった場合には、処理は図7Aに戻り、図7A図7AOに関連する処理を繰り返す。
【0303】
上述したように、図6のステップS1において、コントローラ41は、操作者の指示に基づいて、金型100Aと金型100Bの両方に対して温度を設定することができる。別の例示的実施形態では、オーバーモールド成形によって製造される最終成形品の中間層(図7Aの例における二次成形領域)に位置する内層部品を製造するための金型温度は、内層部品の外部(図7Aの例における一次および三次成形領域)に位置する表層部品を製造するための金型温度よりも低く設定される。
【0304】
金型100Bの温度は、図7Gにおいて設定することができるが、別の例示的実施形態では、温度をできるだけ低く、例えば、成形対象の樹脂を金型に射出して充填することができる温度に設定する。例えば、厚肉成形品をオーバーモールド成形するとき、中間層として機能する二次成形品領域は、最終成形品の表面精度や寸法に影響しない。したがって、第2の層の成形においては、成形品の表面精度や寸法を監視する必要なしに樹脂を射出および充填することで、冷却速度を上昇させることができる。
【0305】
一次成形領域、二次成形領域、または三次成形領域の厚さを意図的に変更することは、効果的な手法となり得る。例えば、二次成形領域の厚さを一次成形領域および三次成形領域の厚さよりも厚く形成し、低い金型温度で厚肉を形成することで、厚肉部品を短時間で成形することができる。高温で形成される一次および三次成形領域が薄くなるため、冷却時間が短縮され、生産性を高めることができる。
【0306】
成形品の二次成形領域がより厚い肉厚を持つ場合は、二次成形品αは、最終的に取得すべき部品厚の大部分を占める厚さを有することができる。図7Zにおいても、一次成形品を成形する場合と同様に、金型100Aを、例えば、成形樹脂の熱変形温度の-5℃~-30℃に設定すると、転写性が高く、表面精度に優れた三次成形品を成形することができる。
【0307】
上述したように、金型100Aと金型100Bとに温度差を設けて成形することにより、より生産性の高い厚肉部品の成形が可能となる。
【0308】
本実施形態では、第1および第3の層を形成する金型100Aを高温に設定し、第2の層を形成する金型100Bを低温に設定する。別の例示的実施形態では、成形処理の所期の用途に応じて、金型100Aを低温に設定し、金型100Bを高温に設定することができる。
【0309】
図6AのステップS1において、操作者が成形品ごとに樹脂の射出温度を設定するとき、各成形品の中から中間領域(この例では、二次成形品)の部品を指定すると、二次成形品の樹脂温度が一次成形品/三次成形品の樹脂温度よりも低くなるように樹脂温度を自動的に決定することができる(一次成形品、二次成形品および三次成形品)。

定義
【0310】
説明においては、開示する実施例が完全に理解されるように、具体的な詳細を記載している。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、および回路については、本開示を不要に長くすることを避けるために、詳細には説明していない。
【0311】
本明細書では、ある要素または部分が、別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」と言及される場合、それは、直接にその別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」こともあるし、あるいは介在する要素または部分が存在することもあることを理解されたい。これに対して、ある要素が、別の要素または部分「の上に直接にある」、「に直接に接続されている」、または「に直接に結合されている」と言及される場合には、介在する要素または部分は存在しない。「および/または」という用語を用いるときには、関連して列挙されている項目があれば、そのうちの1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
【0312】
本明細書では、「の下(under)」、「の真下(beneath)」、「の下方(below)」、「の下側(lower)」、「の上方(above)」、「の上側(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」等の空間的に相対的な用語を、様々な図面に示すある要素または特徴の別の(1つまたは複数の)要素または特徴に対する関係を記述する際に、説明を容易にするために用いることがある。しかし、これらの空間的に相対的な用語は、図面に示す配向に加えて、使用時または動作時における装置の様々な配向をも包含することを意図するものと理解されたい。例えば、図中の装置を反転した場合には、別の要素または特徴の「下方(below)」または「真下(beneath)」と記述された要素が、それらの別の要素または特徴の「上方(above)」に配向されることになる。したがって、「の下方(below)」等の相対的な空間用語は、上および下の両方の配向を包含することができる。装置は、その他の配向にすることもでき(90度またはその他の配向に回転させることもでき)、本明細書で用いる空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈されるものとする。同様に、「近位(proximal)」および「遠位(distal)」という相対的な空間用語も、適用可能な場合には、入れ換えることができることもある。
【0313】
本明細書で用いる「約」という用語は、例えば、10%以内、5%以内、またはそれ未満を意味する。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することもある。
【0314】
本明細書では、第1、第2、第3等の用語を、様々な要素、構成要素、領域、部分、および/または区画を説明するために用いることがある。これらの要素、構成要素、領域、部分、および/または区画は、これらの用語によって限定されないものと理解されたい。これらの用語は、単にある要素、構成要素、領域、部分、または区画を、別の領域、部分、または区画と区別するために用いているに過ぎない。したがって、以下に論じる第1の要素、構成要素、領域、部分、または区画は、本明細書の教示を逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分、または区画と呼ぶこともできる。
【0315】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することは意図していない。本開示を説明する文脈における(中でも、添付の特許請求の範囲の文脈における)「1つの(a,an)」および「前記/その(the)」という用語ならびに類似の指示語の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、単数形および複数形の両方を含むと解釈されるものとする。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」および「含有する(containing)」という用語は、別段の言及がない限り、非限定用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)と解釈されるものとする。具体的には、本明細書でこれらの用語を用いるとき、記載する特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを指定するが、明示的には述べられていない1つまたは複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループが存在すること、あるいは追加されることを排除するものではない。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、単にその範囲に該当する各別個の値について個々に言及する簡略表記法として機能するよう意図するものに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書においては個々に記載されたかのごとく本明細書に組み込まれる。例えば、10~15の範囲を開示する場合には、11、12、13および14もまた開示される。本明細書に記載する全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提示するあらゆる例または例示的な言葉(例えば「等の(such as)」)の使用は、単に本開示をより明確にすることを意図するものに過ぎず、別段に特許請求の範囲に記載がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載のない任意の要素が、本開示の実施に必須であることを示すものではないと解釈されたい。
【0316】
本開示の方法および構成は、様々な実施形態の形で組み込むことができ、そのほんの一部が本明細書に開示されているに過ぎないことを理解されたい。それらの実施形態の変形形態は、上述の説明を読めば、当業者には明白であろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を必要に応じて採用するものと想定しており、また、本開示が、本明細書に具体的に記載されたものとは別様に実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用法により許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正形態および均等物を含む。さらに、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、その全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組み合わせが、本開示に包含される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M
図5N
図5O
図5P
図5Q
図5R
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
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図7H
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図7J
図7K
図7L
図7M
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図7S
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図7AH
図7AI
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図7AL
図7AM
図7AN
図7AO
【国際調査報告】