(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】エレクトロポレーション装置のワイヤを分離するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574295
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022033352
(87)【国際公開番号】W WO2022266043
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー エス. マラス
(72)【発明者】
【氏名】バルン バンサル
(72)【発明者】
【氏名】ジョディ エム. ウェイクフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー ヘルゲソン
(72)【発明者】
【氏名】アイザック リマー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ジェイ. ライデン
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ダブリュ. エブナー
(72)【発明者】
【氏名】スアン キュー
(72)【発明者】
【氏名】ネイル ホーキンソン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー オリヴェリウス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK16
4C160MM38
(57)【要約】
エレクトロポレーションカテーテルのためのシステム及び方法が本明細書において提供される。エレクトロポレーションカテーテルは、シャフトと、シャフトの遠位端に結合されるとともに、複数の電極を含む直径可変ループと、を含む。カテーテルはさらに、複数の電極に接続され、直径可変ループ及びシャフトを通って延びる複数の電気ワイヤであって、複数の電極に通電するように構成された複数の電気ワイヤと、シャフト及び直径可変ループの少なくとも一方の少なくとも一部を通って延びるマルチルーメン配置体とを含む。マルチルーメン配置体は、複数の電気ワイヤの第1のサブセットを収容する第1のルーメンと、複数の電気ワイヤの第2のサブセットを収容する第2のルーメンと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトの遠位端に結合されるとともに、複数の電極を含む直径可変ループと、
前記複数の電極に接続され、前記直径可変ループ及び前記シャフトを通って延びる複数の電気ワイヤであって、前記複数の電極を通電するように構成されている前記複数の電気ワイヤと、
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方の少なくとも一部を通って延びるマルチルーメン配置体と、
を備え、
前記マルチルーメン配置体は、
前記複数の電気ワイヤの第1のサブセットを収容する第1のルーメンと、
前記複数の電気ワイヤの第2のサブセットを収容する第2のルーメンと、を備える、エレクトロポレーションカテーテル。
【請求項2】
前記直径可変ループ及び前記シャフトを通って延びる整形ワイヤ及び起動ワイヤをさらに備え、
前記マルチルーメン配置体は、前記整形ワイヤ及び前記起動ワイヤを収容する第3のルーメンをさらに備える、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項3】
前記第1のルーメン及び前記第2のルーメンの断面は、概して腎臓形又は涙形である、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項4】
前記マルチルーメン配置体は、ワイヤを収容しない少なくとも1つのダミールーメンをさらに備える、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項5】
前記マルチルーメン配置体は、前記直径可変ループの少なくとも一部を通って延び、
前記第1のルーメン及び前記第2のルーメンは、それぞれ、前記直径可変ループの外周又は前記直径可変ループの内周に近接して配置される、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項6】
前記複数の電気ワイヤの少なくとも1つは、約0.0015インチ(0.0381ミリメートル)の厚さを有する絶縁体を含む、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項7】
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方内に注入される充填材をさらに備える、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項8】
前記複数の電極の少なくとも1つの縁部に形成された少なくとも1つのシールをさらに備え、
前記少なくとも1つのシールは、導電性流体が前記直径可変ループの内部に侵入するのを防止するように構成されている、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項9】
前記複数の電気ワイヤの少なくとも1つは、前記マルチルーメン配置体から延び、前記マルチルーメン配置体の周囲を少なくとも部分的に円周方向に延びて、関連する電極において終了する、請求項1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項10】
シャフトと、
前記シャフトの遠位端に結合されるとともに、複数の電極を含む直径可変ループと、 前記複数の電極に接続され、前記直径可変ループ及び前記シャフトを通って延びる複数の電気ワイヤであって、前記複数の電極に通電するように構成されている前記複数の電気ワイヤと、
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方の少なくとも一部を通って延びるチューブ配置体と、
を備え、
前記チューブ配置体は、
前記複数の電気ワイヤの第1のサブセットを収容する第1のチューブを備え、
前記複数の電気ワイヤの第2のサブセットは、前記第1のチューブの外側にあり、前記複数の電気ワイヤの前記第1のサブセットから物理的に分離されている、
エレクトロポレーションカテーテル。
【請求項11】
前記チューブ配置体は、前記複数の電気ワイヤの前記第2のサブセットを収容する第2のチューブをさらに備える、請求項10に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項12】
前記第1のチューブ及び前記第2のチューブは、熱収縮材料を含む、請求項11に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項13】
前記第1のチューブは、前記第2のチューブ内に位置する、請求項11に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項14】
前記第1のチューブ及び前記第2のチューブは、二軸に配置されている、請求項11に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項15】
前記複数の電気ワイヤの少なくとも1つは、約0.0015インチ(0.0381ミリメートル)の厚さを有する絶縁体を含む、請求項10に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項16】
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方内に注入される充填材をさらに備える、請求項10に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項17】
前記複数の電極の少なくとも1つの縁部に形成された少なくとも1つのシールをさらに備え、
前記少なくとも1つのシールは、導電性流体が前記直径可変ループの内部に侵入するのを防止するように構成されている、請求項10に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
【請求項18】
エレクトロポレーション用カテーテルを組み立てる方法であって、
複数の電極を含む直径可変ループにシャフトを結合することと、
複数の電極に複数の電気ワイヤを接続することであって、前記複数の電気ワイヤは、前記直径可変ループ及び前記シャフトを通って延びるとともに、前記複数の電極に通電するように構成されている、前記接続することと、
前記複数の電気ワイヤの第1のサブセットを、前記複数の電気ワイヤの第2のサブセットから物理的に分離するために、マルチルーメン配置体とチューブ配置体との少なくとも一方を実施することと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方に充填材を注入することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の電気ワイヤが導電性流体に曝されるのを防止するのを容易にするために、前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方にシールを形成することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月14日に出願された米国仮出願第63/210,098号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、組織アブレーションシステムに関する。特に、本開示は、エレクトロポレーションカテーテルにおいてワイヤを互いに分離することに関する。
【背景技術】
【0003】
人体の解剖学的構造を苦しめている様々な状態を治療するために、アブレーション治療が一般に使用され得ることが知られている。例えば、アブレーション治療は、心房性不整脈の治療に用いられることがある。組織がアブレーションされるか、少なくともアブレーション発生器によって作り出され、アブレーションカテーテルによって送られるアブレーションエネルギーにさらされると、組織に損傷が形成される。心房性不整脈(異所性心房頻拍、心房細動、心房粗動などを含むが、これらに限定されない)のような病態を改善するために、アブレーションカテーテルに取り付けられた、あるいはアブレーションカテーテル内にある電極を使用して、心臓組織内に組織アポトーシスを形成する。
【0004】
不整脈(すなわち、不規則な心臓のリズム)は、房室収縮の同期の喪失や血流のうっ滞など、さまざまな危険な状態を引き起こし、さまざまな病気や死にさえ至ることさえある。心房性不整脈の主な原因は、心臓の左心房又は右心房内の迷走電気信号であると考えられている。アブレーションカテーテルはアブレーションエネルギー(高周波エネルギー、冷凍アブレーション、レーザー、化学薬品、高密度焦点式超音波など)を心臓組織に与え、心臓組織に損傷を形成する。この損傷は望ましくない電気経路を破壊し、それによって不整脈につながる迷走電気信号を制限又は防止する。
【0005】
エレクトロポレーションは、細胞膜に孔形成を誘引する強い電界を印加する非熱的アブレーション技術である。電場は、例えばナノ秒から数ミリ秒の比較的短いパルスを印加することで誘引することができる。このようなパルスを繰り返してパルス列を形成してもよい。このような電場が生体においてで組織に印加されると、組織内の細胞は経膜電位を受け、細胞壁の孔が開く。エレクトロポレーションは可逆的(すなわち、一時的に開いた孔が再び閉じる)であっても、不可逆的(すなわち、孔が開いたまま)であってもよい。例えば、遺伝子治療の分野では、可逆的エレクトロポレーション(すなわち、一時的に孔が開く)が、高分子量の治療用ベクターを細胞にトランスフェクションするために使用される。他の治療用途では、適切に構成されたパルス列だけを用いて、例えば不可逆的エレクトロポレーションを引き起こすことによって、細胞破壊を引き起こすことができる。
【0006】
不可逆的エレクトロポレーション(IRE)又はパルスフィールドアブレーション(PFA)を用いてバイポーラエネルギーを供給するために使用されるカテーテルでは、そのようなカテーテル内に配線される異なる電気ワイヤ間に十分な電気的絶縁性及び絶縁耐力を提供することが重要である。例えば、カテーテルは複数の電極を含み、それらの電極の対が電気的なバイポール対として機能することがある。このような状況では、一対のうちの第1の電極に接続された電気ワイヤを一対のうちの第2の電極に接続された電気ワイヤから電気的に絶縁することが重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、エレクトロポレーションカテーテルが提供される。カテーテルは、シャフトと、シャフトの遠位端に結合された直径可変ループと、を備え、前記直径可変ループは複数の電極を含む。カテーテルはさらに、複数の電極に接続され、直径可変ループ及びシャフトを通って延びる複数の電気ワイヤであって、複数の電極に通電するように構成されている、複数の電気ワイヤと、前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方の少なくとも一部を貫通して延びるマルチルーメン配置体と、を備える。マルチルーメン配置体は、複数の電気ワイヤの第1のサブセットを収容する第1のルーメンと、複数の電気ワイヤの第2のサブセットを収容する第2のルーメンと、を備える。
【0008】
別の態様において、エレクトロポレーションカテーテルが提供される。カテーテルは、シャフトの遠位端に結合されるとともに複数の電極を含む、直径可変ループと、複数の電極に接続され、直径可変ループ及びシャフトを通って延びる複数の電気ワイヤと、を備え、複数の電気ワイヤは、複数の電極に通電するように構成されている。カテーテルはさらに、シャフト及び直径可変ループの少なくとも一方の少なくとも一部を貫通して延びるチューブ配置体と、を備え、チューブ配置体は、複数の電気ワイヤの第1のサブセットを収容する第1のチューブを備え、複数の電気ワイヤの第2のサブセットは第1のチューブの外側にあり、複数の電気ワイヤの第1のサブセットから物理的に分離されている。
【0009】
さらに別の態様では、エレクトロポレーションカテーテルを組み立てる方法が提供される。この方法は、複数の電極を含む直径可変ループにシャフトを結合することと、複数の電極に複数の電気ワイヤを接続することであって、複数の電気ワイヤは直径可変ループとシャフトを通って延び、複数の電気ワイヤは複数の電極に通電するように構成されている接続することと、複数の電気ワイヤの第1のサブセットを複数の電気ワイヤの第2のサブセットから物理的に分離するために、マルチルーメン配置体とチューブ配置体の少なくとも一方を実施することと、を含む。
【0010】
本開示の前述及び他の態様、特徴、詳細、実用性及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読み、添付図面を検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】エレクトロポレーション療法用システムの概略ブロック図である。
【0012】
【
図1B】
図1Aに示すカテーテルと共に使用され得る遠位ループサブアセンブリの一実施形態の図である。
【
図1C】
図1Aに示すカテーテルと共に使用され得る遠位ループサブアセンブリの一実施形態の図である。
【0013】
【
図2A】
図1Aに示すシステムと共に使用され得るハンドルの一実施形態の図である。
【0014】
【
図2B】
図1Aに示すシステムと共に使用され得るハンドルの別の実施形態の図である。
【0015】
【
図3】
図1Aに示すシステムと共に使用され得る直径可変ループの一実施形態の図である。
【0016】
【
図4】
図1Aに示すシステムと共に使用され得るカップリング配置体の一実施形態の断面図である。
【0017】
【
図5A】マルチルーメン配置体の一実施形態の端面図である。
【0018】
【
図5B】
図5Aに示したマルチルーメン配置体の透視図である。
【0019】
【
図6】マルチルーメン配置体の別の実施形態の端面図である。
【0020】
【
図7】マルチルーメン配置体の別の実施形態の端面図である。
【0021】
【
図8】マルチルーメン配置体の別の実施形態の端面図である。
【0022】
【
図9】マルチルーメン配置体の別の実施形態の端面図である。
【0023】
【
図10】マルチルーメン配置体の別の実施形態の端面図である。
【0024】
【
図11】マルチルーメン配置体の別の実施形態の端面図である。
【0025】
【
図12】チューブ配置体の一実施形態の概略図である。
【0026】
【
図13】チューブ配置体の別の実施形態の概略図である。
【0027】
【
図14】カテーテル部分の一実施形態の端面図である。
【0028】
【
図15】カテーテル部分の別の実施形態の端面図である。
【0029】
【
図16】
図15に示す第2のルーメン内の配線配置体の一実施形態の端面図である。
【0030】
【
図17】
図15に示す第2のルーメン内の配線配置体の別の実施形態の端面図である。
【0031】
【
図18】
図15に示す第2のルーメン内の配線配置体の別の実施形態の端面図である。
【0032】
【0033】
【
図20A】
図10に示すマルチルーメン配置体に使用され得る配線配置体の端部概略図である。
【0034】
【発明を実施するための形態】
【0035】
エレクトロポレーションカテーテルのためのシステム及び方法が本明細書において提供される。エレクトロポレーションカテーテルは、シャフトと、シャフトの遠位端に結合されるとともに複数の電極を含む直径可変ループと、を備える。カテーテルはさらに、複数の電極に接続され、直径可変ループ及びシャフトを通って延びる複数の電気ワイヤであって、複数の電極に通電するように構成されている、複数の電気ワイヤと、シャフト及び直径可変ループの少なくとも一方の少なくとも一部を貫通して延びるマルチルーメン配置体と、を備える。マルチルーメン配置体は、複数の電気ワイヤの第1のサブセットを収容する第1のルーメンと、複数の電気ワイヤの第2のサブセットを収容する第2のルーメンと、を備える。
【0036】
本開示の例示的な実施形態は、肺静脈分離(PVI)に関して記載されるが、本明細書に記載される本開示の記載された特徴及び方法は、本明細書の開示に基づいて当業者に理解されるように、任意の数のシステム及び任意の数の用途に組み込まれ得ることが企図される。
【0037】
図1Aは、エレクトロポレーション療法のためのシステム10のブロック図である。一般に、システム10は、カテーテル14の遠位端48に配置されたカテーテル電極アセンブリ12を含む。本明細書で使用する場合、「近位」とは、臨床医に近いカテーテルの端部に向かう方向を指し、「遠位」とは、臨床医から離れる方向であって、(一般に)患者の体内を指す。電極アセンブリは、個別の、電気的に絶縁された1つ又は複数の電極素子を含む。各電極素子は、本明細書ではカテーテル電極とも呼ばれ、選択的に他の電極素子とペアリングされ、又は組み合わされて、バイポーラ又はマルチポーラ電極として機能できるように個別に配線されている。
【0038】
システム10は、組織を破壊するための不可逆的エレクトロポレーション(IRE)に使用することができる。特に、システム10は、エレクトロポレーション誘引一次アポトーシス療法に使用することができ、これは、細胞膜(細胞壁)の完全性を、直接的に不可逆的に喪失させるような方法で電流を供給し、破壊及び細胞アポトーシスを引き起こす効果を指す。この細胞死のメカニズムは、細胞の外壁の破壊が細胞の内部に有害な影響を及ぼすことを意味する「アウトサイド・イン」プロセスとみなすことができる。典型的には、古典的な細胞膜エレクトロポレーションでは、電流は、約0.1~1.0キロボルト/センチメートル(kV/cm)の電界強度を提供できる、近接しつつも間隔を空けた電極間の(例えば、0.1~20ミリ秒(ms)の持続時間を有する)短時間パルスの形態のパルス電界として送られる。システム10は、例えば、高出力(例えば、高電圧及び/又は高電流)エレクトロポレーション処置のための高出力ループカテーテル(
図1B及び
図1C参照)とともに使用され得る。いくつかの特定の実施形態において、システム10は、比較的高い電圧及び短いパルス持続時間を有するエレクトロポレーションパルス信号を送るように構成される。
【0039】
一実施形態では、ループカテーテルの全ての電極が同時に電流を流す。あるいは、他の実施形態では、ループカテーテルの電極の対の間で刺激が与えられる。円形に配置された複数の電極を用いて同時に電流を流すことで、エレクトロポレーションに十分な深さの損傷を形成することが容易になる。電極を同時に活性化しやすくするため、電極は3Dマッピングシステムへの接続とEPアンプへの接続とを切り替え可能にしてもよい。ループカテーテルの場合、ループの直径を最小にすると、複数の電極が互いに重なることがある。
【0040】
多電極ループカテーテルによる非可逆的エレクトロポレーションは、肺静脈1本につきわずか1回のショックで肺静脈分離を可能にし、高周波(RF)アブレーションチップを静脈周辺に連続して配置するのに比べ、施術時間を大幅に短縮できる可能性がある。
【0041】
通電の方法は、DCパルスに関するものとして記載されているが、実施形態は、変形例を使用してもよく、本開示の精神及び範囲内に留まることが理解されるべきである。例えば、指数関数的に減衰するパルス、指数関数的に増加するパルス、及び組み合わせが使用されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、ACパルスが使用されてもよい。
【0042】
さらに、エレクトロポレーションにおける細胞破壊のメカニズムは、主に加熱効果によるものではなく、むしろ高電圧電場の印加による細胞膜の破壊によるものであることを理解すべきである。したがって、エレクトロポレーションは、高周波(RF)エネルギーを使用した場合に起こりうる熱効果を、いくらか回避できる可能性がある。この「寒冷療法」には望ましい特徴がある。
【0043】
このような背景から、ここで再び
図1Aを参照すると、システム10は、少なくとも1つのカテーテル電極を含むカテーテル電極アセンブリ12を含む。電極アセンブリ12は、患者の身体17内の組織16のエレクトロポレーション療法のためのカテーテル14などの医療装置の一部として組み込まれる。例示的な実施形態では、組織16は心臓又は心臓組織を含む。しかしながら、実施形態は、様々な他の身体組織に関してエレクトロポレーション療法を実施するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0044】
図1Aは、さらに、18、20、及び21と指定された複数の帰還電極を示し、これらはエレクトロポレーション発生器26、ECGモニタ28のような電気生理学(EP)モニタ、及び内部身体構造の視覚化、マッピング、及びナビゲーションのための位置特定及びナビゲーションシステム30のような、全体システム10に含まれる様々なサブシステムによって使用され得る身体接続を図で表す。図示の実施形態では、帰還電極18,20,21はパッチ電極である。単一のパッチ電極の図示は(明瞭化のための)図式的なものであり、これらのパッチ電極が接続されるこのようなサブシステムは、複数のパッチ(体表)電極を含んでもよく、典型的には、一つより多いパッチ(体表)電極を含んでおり、(本明細書で説明するような)分割パッチ電極を含んでもよいことを理解されたい。他の実施形態では、帰還電極18,20,21は、例えば、1つ又は複数のカテーテル電極を含む、帰還電極として使用するのに適した他のタイプの電極であってもよい。カテーテル電極である帰還電極は、電極アセンブリ12の一部であってもよいし、別個のカテーテル又は装置(図示せず)の一部であってもよい。システム10は、(電子制御ユニット50及びデータ記憶メモリ52を含む)メインコンピュータシステム32をさらに備えてもよく、これは、特定の実施形態では、位置特定及びナビゲーションシステム30と統合される場合がある。システム32は、他の構成品の中でも、様々なユーザ入出力機構34A及びディスプレイ34Bなどの従来のインターフェース構成品をさらに備えてもよい。
【0045】
エレクトロポレーション発生器26は、エレクトロポレーション通電方法に従って電極要素に通電するように構成され、これは、予め決定されるか、又は、ユーザ選択可能であり得る。エレクトロポレーション誘引一次アポトーシス療法のために、発生器26は電流を生成するように構成され得、電流は、約0.1~1.0kV/cmの電界強度を(すなわち、組織部位において)提供することができる近接しつつ間隔を空けた電極間の、短時間DCパルス(例えば、ナノ秒~数ミリ秒の持続時間、0.1~20ミリ秒の持続時間、又はエレクトロポレーションに適した任意の持続時間)の形態のパルス電界として電極アセンブリ12を介して送られる不可逆的エレクトロポレーションに必要な振幅とパルス持続時間は、反比例の関係にある。パルス持続時間が短くなると、エレクトロポレーションを達成するためには振幅を大きくしなければならない。
【0046】
エレクトロポレーション発生器26は、本明細書においてDCエネルギー源とも呼ばれることがあり、すべてが同じ方向に電流を生成する一連のDCエネルギーパルスを生成するように構成された単相性エレクトロポレーション発生器26である。他の実施形態において、エレクトロポレーション発生器は、全てが同じ方向に電流を生成しないDCエネルギーパルスを生成するように構成された二相性又は多相性エレクトロポレーション発生器である。いくつかの実施形態において、例えば、エレクトロポレーション発生器26は、信号の第1の(例えば、正の)位相が信号の第2の(すなわち、負の)位相と同一又は類似の電圧振幅及びパルス持続時間を有する二相性の対称パルス信号を送るように構成される。他の実施形態において、エレクトロポレーション発生器26は、信号の第1の(例えば、正の)位相が信号の第2の(すなわち、負の)位相と異なる電圧振幅及び/又は持続時間を有する二相性の非対称パルス信号を送るように構成される。いくつかの例示的なエレクトロポレーション通電方式が、2020年12月3日に出願された米国出願第17/247,198号に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
いくつかの実施形態において、エレクトロポレーション発生器26は、50ジュール、100ジュール、200ジュールなどの選択可能なエネルギーレベルで、DCパルスでエネルギーを出力するように構成される。他の実施形態は、より多くの又はより少ないエネルギー設定を有してよく、利用可能な設定の値は、同じであっても異なっていてもよい。エレクトロポレーションを成功させるために、いくつかの実施形態は、200ジュール出力レベルを利用する。例えば、エレクトロポレーション発生器26は、200ジュール出力レベルにおいて、約300ボルト(V)から約3,200Vまでの最大振幅を有するDCパルスを出力し得る。いくつかの実施形態において、最大振幅は、さらに大きくてもよい(例えば、約10,000V)。他の実施形態では、任意の他の適切な正又は負の電圧を出力することができる。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるシステム及び方法は、約200ナノ秒から約20マイクロ秒のパルス幅で、約500Vから約4,000Vの振幅を有するパルスを含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、可変インピーダンス27は、アーク放電を制限するために、システム10のインピーダンスを変化させることができる。さらに、可変インピーダンス27は、エレクトロポレーション発生器26の出力の振幅、持続時間、パルス形状などの1つ又は複数の特性を変更するために使用され得る。別個の構成品として図示されているが、可変インピーダンス27は、カテーテル14又は発生器26に組み込まれてもよい。
【0049】
図1Aを引き続き参照すると、上述したように、カテーテル14は、エレクトロポレーション用の機能を含むことができ、特定の実施形態では、他のタイプのアブレーション(例えば、RFアブレーション)用の機能も含んでもよい。しかしながら、それらの実施形態において、提供されるアブレーションエネルギーのタイプ(例えば、冷凍アブレーション、超音波など)に関して変形が可能であることが理解されるべきである。
【0050】
図示の実施形態では、カテーテル14は、ケーブルコネクタ又はインターフェース40、ハンドル42、及び近位端46と遠位端48とを有するシャフト44を含む。カテーテル14は、温度センサ、追加の電極、及び対応する導線又はリード線など、本明細書には図示されていない他の従来の構成品も含むことができる。コネクタ40は、発生器26から延びるケーブル56の機械的及び電気的接続を提供する。コネクタ40は、当該技術分野で知られている従来の構成品を含むことができ、図示されているように、カテーテル14の近位端に配置されている。
【0051】
ハンドル42は、臨床医がカテーテル14を持つための場所を提供し、さらに、身体17内でシャフト44を操縦又は誘導するための手段を提供することができる。例えば、ハンドル42は、カテーテル14を通ってシャフト44の遠位端48まで延びるガイドワイヤの長さを変更する手段又はシャフト44を操縦する手段を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ハンドル42は、カテーテルの部分の形状、サイズ、及び/又は向きを変えるように構成されてもよく、ハンドル42の構造は様々であってもよいことが理解されるであろう。別の実施形態では、カテーテル14はロボット駆動又は制御されてもよい。したがって、臨床医がハンドルを操作してカテーテル14(及び特にそのシャフト44)を前進/後退、及び/又は、操縦又は誘導するのではなく、ロボットを使用してカテーテル14を操作する。シャフト44は、身体17内で移動するように構成された細長い管状の可撓性部材である。シャフト44は、電極アセンブリ12を支えるとともに、関連する導体、及び場合によっては信号処理又は調整に使用される追加の電子機器を含むように構成される。シャフト44はまた、流体(潅注液及び体液を含む)、医薬品、及び/又は外科用ツールもしくは器具の輸送、送達、及び/又は除去を可能にし得る。シャフト44は、ポリウレタンのような従来の材料から作られてもよく、本明細書に記載されるように、導電体、流体又は外科用ツールを収容及び/又は輸送するように構成された1つ又は複数のルーメンを画定する。シャフト44は、従来のイントロデューサを介して、身体17内の血管又は他の構造に導入され得る。次いで、シャフト44は、ガイドワイヤ又は当該技術分野で公知の他の手段の使用を介して、身体17を通って組織16の部位などの所望の位置まで前進/後退及び/又は操縦又は誘導され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、カテーテル14は、シャフト44の遠位端に配置された(
図1Aには示されていない)カテーテル電極を有するループカテーテルである。ループの直径は可変、即ち、変更可能であってよい。いくつかの実施形態では、ループカテーテルは、約27ミリメートル(mm)の最大直径を有する。いくつかの実施形態では、ループの直径は約15mmと約28mmとの間で変更可能である。あるいは、カテーテルは直径が固定されたループカテーテルであってもよいし、異なる直径の間で変更可能であってもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル14は14個のカテーテル電極を有する。他の実施形態において、カテーテル14は、10個のカテーテル電極、20個のカテーテル電極、又はエレクトロポレーションを実施するための任意の他の適切な数の電極を含む。いくつかの実施形態において、カテーテル電極は、白金リング電極などのリング電極である。あるいは、カテーテル電極は、部分的なリング電極又は可撓性材料上に印刷された電極のような、任意の他の適切なタイプの電極であってもよい。様々な実施形態において、カテーテル電極は、1.0mm、2.0mm、2.5mm、及び/又は、エレクトロポレーションに適した他の任意の長さを有する。
【0053】
体内構造の視覚化、マッピング及びナビゲーションのために、位置特定及びナビゲーションシステム30を提供することができる。位置特定及びナビゲーションシステム30は、当該技術分野において一般的に知られている従来の装置(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、一般に譲渡された米国特許第7,263,397号「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location and Mapping in the Internal Body Structures」を参照して一般的に示されている、Abbott Laboratories.から市販されているEnSite Precision(商標)システム)を含んでもよい。しかしながら、このシステムは例示であり、本質的に限定的なものではないことを理解されたい。空間内でカテーテルを位置特定/ナビゲーションする(及び可視化する)ための他の技術が知られており、例えば、Biosense Webster, Inc.のCARTOナビゲーション及び位置特定システム、Boston Scientific Schimed, Inc.のRhythmia(登録商標)システム、Koninklijke Philips N.V.のKODEX(登録商標)システム、Northern Digital Inc.のAURORA(登録商標)システム、一般に入手可能な透視システム、又はMediguide Ltd.のgMPSシステムのような磁気位置特定システムが挙げられる。この点に関して、位置特定、ナビゲーション及び/又は視覚化システムのいくつかは、カテーテルの位置情報を示す信号を生成するためにセンサが設けられることを伴うものであり、例えばインピーダンスベースの位置特定システムの場合には1つ又は複数の電極を含み、あるいは、例えば磁場ベースの定位システムの場合には磁場の1つ又は複数の特性を検出するように構成された1つ又は複数のコイル(すなわち、ワイヤ巻線)を含むことができる。さらに別の例として、システム10は、「Hybrid Magnetic-Based and Impedance Based Position Sensing」と題し、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,536,218号を参照して一般的に示されるように、電界ベース及び磁界ベースを組み合わせたシステムを利用することができる。
【0054】
図1B及び
図1Cは、システム10においてカテーテル14と共に使用され得る遠位ループサブアセンブリ146の一実施形態の図である。当業者であれば、他の実施形態では、任意の適切なカテーテルを使用できることを理解するであろう。具体的には、
図1Bは、遠位端142に直径可変ループ150を有する遠位ループサブアセンブリ146の側面図である。
図1Cは、遠位ループサブアセンブリ146の直径可変ループ150の端面図である。当業者であれば、本明細書に開示された実施形態は直径可変ループの状況で論じられているが、本明細書に記載された方法及びシステムは、任意の適切なカテーテル(例えば、固定ループカテーテル、直線カテーテルなど)を使用して実施され得ることを理解するであろう。
図1B及び
図1Cに示すように、直径可変ループ150はシャフト44の遠位部151に結合されている。
【0055】
直径可変ループ150は、(
図1Cに示す)拡張(「開いた」とも称される)直径160と(図示しない)格納(「閉じた」とも称される)直径160との間で選択的に移行可能である。例示の実施形態では、拡張直径160は28mmであり、格納直径160は15mmである。他の実施形態では、直径160は、任意の適切な開いた直径160と閉じた直径160との間で変更可能であってもよい。
【0056】
図示の実施形態では、直径可変ループ150は、拡張構成において、直径可変ループ150の円周周辺に実質的に等間隔に配置された14個のカテーテル電極144を含む。格納構成では、電極144の1つ又は複数が重なっていてもよい。
【0057】
カテーテル電極144は、1000ボルト及び/又は10アンペアの範囲の電流を伝導及び/又は放電するように構成された白金リング電極である。他の実施形態では、直径可変ループ150は、任意の適切な材料で作られた任意の適切な数のカテーテル電極144を含むことができる。カテーテル電極144は、高電圧及び/又は高電流(例えば、1000ボルト及び/又は10アンペアの範囲)を伝導するのに適した任意のカテーテル電極を含むことができる。各カテーテル電極144は、絶縁ギャップ152によって他の各カテーテル電極から分離されている。例示の実施形態では、各カテーテル電極144は(
図1Cに示す)同じ長さ164を有し、各絶縁ギャップ152は他の各ギャップ152と同じ長さ166を有する。長さ164と長さ166は、例示の実施形態では共に約2.5mmである。他の実施形態では、長さ164及び長さ166は互いに異なっていてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテル電極144の全てが同じ長さ164を有するとは限らず、及び/又は、絶縁ギャップ152の全てが同じ長さ166を有するとは限らない。いくつかの実施形態では、カテーテル電極144は、直径可変ループ150の円周周辺に等間隔に配置されていない。
【0058】
直径160及びカテーテル電極144の間隔は、組織に対するエネルギー密度の目標範囲を提供するように、また、人間の様々な解剖学的形状に対して十分なエレクトロポレーション範囲を提供するように、変更されてよい。直径可変ループ150の円周の周囲を実質的に均等かつ連続的に被覆し、その一方で、直径可変ループ150が直径160を所望の極値に変えるために伸縮できるように十分な柔軟性を依然として可能にするため、一般に、適切な長さ164を有する十分な数の電極144が望ましい。
【0059】
上述のように、カテーテル電極144の長さ164は変更されてもよい。カテーテル電極144の長さ164を長くすると、直径可変ループ150の円周の周囲における電極144の被覆を増加させる一方で、電極144上の電流密度を(表面積を増加させることによって)減少させることができ、エレクトロポレーション操作中のアーク放電を防止するのに役立つことがある。しかしながら、長さ164を長くしすぎると、直径可変ループ150が滑らかな円形形状を形成するのを妨げる可能性があり、直径可変ループ150の閉じた直径160を制限する可能性がある。さらに、長さ164を長くしすぎると、電源によってカテーテル電極144に印加される電流密度が、治療の成功に必要な最小電流密度を下回る点まで、カテーテル電極144の表面積が増大する可能性がある。逆に、長さ164を短くすると表面積が減少し、それによってカテーテル電極144の電流密度が(他のシステム変更がないと仮定すると)増加する。上述したように、電流密度が大きくなると、エレクトロポレーション中にアーク放電が発生する危険性が高まり、アーク放電を防止するために、より大きなシステム抵抗を追加する必要が生じる可能性がある。さらに、直径可変ループ150の円周を望ましいように均一に被覆するためには、長さ164が短くなると、より多くのカテーテル電極144が必要となる可能性がある。直径可変ループ150上のカテーテル電極144の数を増やすと、直径可変ループ150が所望の最小直径160まで収縮できなくなる可能性がある。
【0060】
パルスフィールドアブレーション(PFA)は、心臓不整脈の治療、特に瞬間的な肺静脈分離(PVI)のためのアブレーションの効果的な形態であることが示されている。PFAは、(例えば、直径可変ループ150を含む)カテーテル上に配置された電極から高電圧パルスを供給することを含む。PFAでは、例えば、電圧振幅は約300Vから少なくとも3,200V(又は10,000Vほどの大きさでもよい)の範囲であってもよく、パルス幅は数百ナノ秒から数十ミリ秒の範囲であってもよい。
【0061】
これらの電界は、(バイポーラアプローチの場合は)隣接する電極間に、又は(モノポーラアプローチの場合は)1つ又は複数の電極と帰還パッチ間に印加することができる。これらのアプローチには(例えば、直径可変ループ150を使用する場合に)それぞれ利点と欠点がある。
【0062】
損傷の大きさ及び近接性については、モノポーラアプローチの方が効果範囲は広く、同じ印加電圧でより深い損傷を形成できる可能性がある。さらに、モノポーラアプローチは、離れた位置から損傷を作ることができる(例えば、一般的に近接するが、必ずしも組織に接触する必要はない)。バイポーラアプローチでは、より小さな損傷を形成することができ、経皮的損傷を形成するためには組織との近接や接触が必要となる。しかし、モノポーラアプローチでは必要以上に大きな損傷が生じる可能性があり、バイポーラアプローチで生じる損傷はより局所的なものとなる可能性がある。
【0063】
モノポーラアプローチは効果範囲が広いため、不要な骨格筋や神経の活性化を引き起こす可能性がある。対照的に、バイポーラアプローチは、リード上の電極間隔に比例して効果範囲が制限され、心筋細胞や神経線維を脱分極させる可能性が低い。
【0064】
モノポーラアプローチでは、カテーテルワイヤと電極には単一の電位のみが印加される。さらに、すべての電極が同じ極性であるため、この構成は(例えば、直径可変ループ150を使用する場合に)アーク放電の影響を受けにくい。対照的に、バイポーラアプローチでは、様々な電極が様々な電位にあるため、カテーテルの内部構造を、アーク放電を防止するように構築しなければならない。さらに、遠位端に直径可変ループ(例えば、直径可変ループ150)を有するカテーテルでは、ループの大きさやカテーテルの向きによっては、反対極性の電極が重なり、アーク放電が生じ、又は電流経路が分路される可能性があり、一般に望ましくない。さらに、インターリーブされた電極は、組織感知に使用される信号を妨害する可能性がある。
【0065】
システム10の動作を監視するために、カテーテル電極144及び/又は帰還電極18,20,21間の1つ又は複数のインピーダンスが測定されてもよい。例えば、システム10の場合、インピーダンスは、2018年10月23日に出願された米国特許出願公開第2019/0117113号、2018年12月19日に出願された米国特許出願公開第2019/0183378号、及び2020年5月20日に出願された米国特許出願第63/027,660号に記載されているように測定されてもよく、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0066】
例示的な実施形態では、カテーテル14の操作を可能にするために、複数のワイヤ(
図1A~1Cには図示せず)がカテーテル14を通って配線されている。例えば、(直径可変ループ150の形状を制御するための)整形ワイヤ、(直径可変ループ150の直径を制御するための)起動ワイヤ、及び、(カテーテル電極144の動作を制御するための)複数の電気ワイヤが、以下でさらに詳細に説明されるように、カテーテル14を通って配線され得る。
【0067】
図2Aは、システム10及び直径可変ループ150と共に使用され得るハンドル200の一実施形態の斜視図である。ハンドル200は、第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ204を含む。第1のアクチュエータ202は、例えば、シャフト44に対して直径可変ループ150を選択的に偏向させるために、ハンドル200の長手方向軸に沿ってスライド可能であってもよい。第2のアクチュエータ204は、例えば、直径可変ループ150の直径を選択的に調節するために、ハンドル200の長手方向軸を中心として回転可能であってもよい。したがって、第1のアクチュエータ202及び第2のアクチュエータ204は、カテーテル14を通って延びる1つ又は複数の起動ワイヤに接続されてもよい。
【0068】
図2Bは、システム10及び直径可変ループ150と共に使用され得るハンドル210の別の実施形態の斜視図である。ハンドル210は、第1のアクチュエータ212及び第2のアクチュエータ214を含む。第1のアクチュエータ212は、例えば、シャフト44に対して直径可変ループ150を選択的に偏向させるために、ハンドル210の長手方向軸に対して実質的に垂直である回転軸を中心に回転可能であってもよい。第2のアクチュエータ214は、例えば、直径可変ループ150の直径を選択的に調節するために、ハンドル210の長手方向軸を中心として回転可能であってよい。従って、第1のアクチュエータ212及び第2のアクチュエータ214は、カテーテル14を通って延びる1つ又は複数の起動ワイヤに接続されてもよい。
【0069】
当業者であれば、ハンドル200及び210は単なる例示であり、本明細書に記載のシステム及び方法を実施するために、任意の適切なハンドル及び/又はアクチュエータの配置が使用され得ることを理解するであろう。
【0070】
図3は、(
図1A及び
図1Bに示される)直径可変ループ150を実施するために使用され得る直径可変ループ300の一実施形態の図である。この実施形態では、直径可変ループ300は、直径可変ループ300のほぼ中間点304に位置する磁気センサ302を含む。あるいは、直径可変ループ300は、任意の適切な数及び配置の磁気センサを含んでもよい。磁気センサ302に加えて、1つ又は複数の磁気センサ(図示せず)もシャフト44内に配置することができる。直径可変ループ300及びシャフト44内の磁気センサは、(上述の)位置特定及びナビゲーションシステム30を使用してカテーテル14の位置及び向きを特定するのを容易にする。
【0071】
図4は、直径可変ループ150とシャフト44の遠位部151との間の結合配置体400の一実施形態の断面図である。
図4では、2本の電気ワイヤ402と1つのカテーテル電極144とが示されており、電気ワイヤ402の1本がカテーテル電極144に結合されている。さらに、
図4に示すように、(例えば、ステンレス鋼から作製された)編組404が結合配置体400を補強している。図示の実施形態では、編組404はプルリング406の中間付近まで延びているが、カテーテル電極144の遠位側には(又はそれを越えては)延びていない。編組404をカテーテル電極144の近位で終了させることにより、編組440が電気ワイヤ402と干渉する可能性を防ぐ。
【0072】
カテーテル14内では、電気絶縁破壊又は電気的アーク放電を回避するために、正と負の電気ワイヤ(例えば、(
図4に示す)電気ワイヤ402)間に十分な電気的絶縁及び絶縁耐力を与えることが重要である。少なくともいくつかの既知のシステムでは、様々なワイヤ(例えば、電気ワイヤ、整形ワイヤ、起動ワイヤ)はすべて、1つのルーメン(例えば、カテーテル本体によって形成されるルーメン)を通して配線される。しかしながら、(
図1に示す)カテーテル14のような不可逆的エレクトロポレーション(IRE)/パルスフィールドアブレーション(PFA)カテーテルでは、様々なワイヤ間の分離を改善することが望ましい場合がある。従って、本明細書に記載のシステム及び方法は、IRE/PFAカテーテルにおいて様々なワイヤを互いに分離することを容易にする。しかしながら、当業者であれば、本明細書で説明する実施形態は、IRE/PFAカテーテルでの使用に限定されるものではなく、他の医療装置(例えば、高周波(RF)アブレーションカテーテル)でも同様に使用できることを理解するであろう。
【0073】
例えば、直径可変ループ150が14個のカテーテル電極144を含む実施形態では、合計14本の対応する電気ワイヤが直径可変ループ150を通って配線されてもよい。これらの電気ワイヤは、対応する電極に通電する際に比較的高い電圧及び電流を流す。従って、電気絶縁破壊又はアーク放電を避けるために、電気ワイヤの正及び負のワイヤは互いに十分に絶縁されていなければならない。2つのワイヤ間の電気的アークは、例えば、カテーテル14内の材料の焼損や焦げを引き起こす可能性がある。
【0074】
いくつかの実施形態では、様々なワイヤを互いに分離するために、マルチルーメン配置体が利用される。例えば、直径可変ループ150は、螺旋状に成形された丸い管から形成される。直径可変ループ150の操作を容易にするために、整形ワイヤ(例えば、ニチノールワイヤ)、起動ワイヤ、及び、電気ワイヤが、チューブの中に配線される。起動ワイヤを引張ることにより、いくつかの実施形態では、直径可変ループ150を(例えば、直径可変ループ150をイントロデューサに挿入しやすくするために)真っすぐにして直線状にすることができる。
【0075】
図1Cに戻って参照すると、直径可変ループ150が螺旋形状から直線形状に移行するとき、直径可変ループ150の内周170に沿って延びるワイヤは、直径可変ループの外周172に沿って延びるワイヤよりもさらに伸張される。この伸張により、内周170に沿って延びる電気ワイヤは、通常、所定の位置に接着されているため、断線する可能性がある。本明細書で説明するマルチルーメン配置体は、様々なワイヤを十分に分離することに加えて、電気ワイヤの伸張及び断線を防止する。本明細書で説明される実施形態の少なくともいくつかは、直径可変ループ150の状況で説明されるが、当業者であれば、本明細書で説明されるマルチルーメン配置体が、直径可変ループ150及び/又はシャフト44内で実施され得ることを理解するであろう。さらに、当業者であれば、本明細書で説明するワイヤ配線構成は単なる例示であり、他のワイヤ配線構成も本開示の精神及び範囲内であることを理解するであろう。本明細書に記載されるマルチルーメン配置体は、任意の適切な技術を用いて作製され得る。例えば、一実施形態では、複数のルーメンは、中実の円筒体から材料を除去することによって形成される。あるいは、本明細書に記載のマルチルーメン配置体は、様々なルーメンを規定する薄壁プラスチックチューブを押出成形することによって形成されてもよい。
【0076】
図5Aは、マルチルーメン配置体500の一実施形態の端面図であり、
図5Bは、マルチルーメン配置体500の透視図である。
図5A及び
図5Bに示す実施形態では、マルチルーメン配置体500は、(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44によって形成される)チューブ502を含み、このチューブ502は、チューブ502を通って延びる第1のルーメン510、第2のルーメン512、及び、第3のルーメン514の3つのルーメンを画定する。この実施形態では、第1のルーメン510及び第2のルーメン512の断面は一般に涙形であり、第3のルーメン514の断面は円形である。あるいは、各ルーメン510,512,及び514は、任意の適切な形状を有してもよい。
【0077】
この実施形態では、第1の極性を有する電気ワイヤ(例えば、正の電気ワイヤ)は、第1のルーメン510を通って配線され、第2の極性を有する電気ワイヤ(例えば、負の電気ワイヤ)は、第2のルーメン512を通って配線される。したがって、異なる極性を有する電気ワイヤは異なるルーメンに位置し、互いに電気的に絶縁される。さらに、この実施形態では、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、第3のルーメン514を通って配線される。したがって、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、電気ワイヤから分離されている。追加のワイヤ(例えば、磁気センサ302のためのワイヤ)もまた、第3のルーメン514を通って配線されてもよい。
【0078】
直径可変ループ150内に位置する場合、第1のルーメン510及び第2のルーメン512は、内周170の反対側にあり、外周172に近接して位置する。この構成により、第1のルーメン510及び第2のルーメン512を通って配線された電気ワイヤが、直径可変ループ150がまっすぐになる時に伸びたり断線したりするのを防ぐことができる。
【0079】
図6は、マルチルーメン配置体600の別の実施形態の端面図である。
図6に示す実施形態では、マルチルーメン配置体600は、チューブ602を通って延びる第1のルーメン610、第2のルーメン612、第3のルーメン614、第4のルーメン616、第5のルーメン618、及び、第6のルーメン620の、6つのルーメンを画定する、(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44によって形成される)チューブ602を含む。この実施形態では、すべてのルーメン610,612,614,616,618,620の断面はすべて円形である。あるいは、全てのルーメン610,612,614,616,618,620は、任意の適切な形状を有してもよい。
【0080】
この実施形態では、第1の極性を有する電気ワイヤ(例えば、正の電気ワイヤ)は、第2のルーメン612を通って配線され、第2の極性を有する電気ワイヤ(例えば、負の電気ワイヤ)は、第3のルーメン614を通って配線される。したがって、異なる極性を有する電気ワイヤは、異なるルーメンに位置し、互いに電気的に絶縁される。さらに、この実施形態では、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、第6のルーメン620を通って配線される。したがって、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、電気ワイヤから分離されている。追加の電気ワイヤ(例えば、磁気センサ302用の電気ワイヤ)は、第4のルーメン616を通して配線されてもよい。この実施形態では、第1のルーメン610及び第5のルーメン618は、ワイヤを有さないダミールーメンである。しかしながら、第1のルーメン610及び第5のルーメン618は、第2のルーメン612,第3のルーメン614,第4のルーメン616,及び、第6のルーメン620、の周囲の壁の厚さを比較的一定に保つので、構造上の利点を提供する。
【0081】
図7は、マルチルーメン配置体700の別の実施形態の端面図である。
図7に示す実施形態では、マルチルーメン配置体700は、第1のルーメン710、第2のルーメン712、第3のルーメン714、及び、第4のルーメン716の、4つのルーメンを画定する、(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44によって形成される)チューブ702を含む。この実施形態では、すべてのルーメン710,712,714,716の断面はすべて円形である。あるいは、ルーメン710,712,714,716は、任意の適切な形状を有してもよい。
【0082】
この実施形態では、第1の極性を有する電気ワイヤ(例えば、正の電気ワイヤ)は、第1のルーメン710を通って配線され、第2の極性を有する電気ワイヤ(例えば、負の電気ワイヤ)は、第2のルーメン712を通って配線される。このように、異なる極性を有する電気ワイヤは、異なるルーメンに位置し、互いに電気的に絶縁される。さらに、この実施形態では、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、第4のルーメン716を通って配線される。したがって、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、電気ワイヤから分離されている。追加のワイヤ(例えば、磁気センサ302用のワイヤ)は、第3のルーメン714を通して配線されてもよい。
【0083】
図8は、マルチルーメン配置体800の別の実施形態の端面図である。
図8に示す実施形態では、マルチルーメン配置体800は、第1のルーメン810、第2のルーメン812、第3のルーメン814、第4のルーメン816、及び、第5のルーメン818の、5つのルーメンを画定する、(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44によって形成される)チューブ802を含む。この実施形態では、すべてのルーメン810,812,814,816,818の断面はすべて円形である。あるいは、ルーメン810,812,814,816,818は、任意の適切な形状を有してもよい。
【0084】
この実施形態では、第1の極性を有する電気ワイヤ(例えば、正の電気ワイヤ)は、第2のルーメン812を通って配線され、第2の極性を有する電気ワイヤ(例えば、負の電気ワイヤ)は、第3のルーメン814を通って配線される。このように、異なる極性を有する電気ワイヤは異なるルーメンに位置し、互いに電気的に絶縁される。さらに、この実施形態では、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、第5のルーメン818を通って配線される。したがって、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、電気ワイヤから分離されている。追加のワイヤ(例えば、磁気センサ302のためのワイヤ)もまた、第5のルーメン818を通って配線されてもよい。この実施形態では、第1のルーメン810及び第4のルーメン816は、ワイヤを有さないダミールーメンである。しかしながら、第1のルーメン810及び第4のルーメン816は、第2のルーメン812、第3のルーメン814、及び、第5のルーメン818の周囲の壁の厚さを比較的一定に保つので、構造上の利点を提供する。
【0085】
図9は、マルチルーメン配置体900の別の実施形態の端面図である。
図9に示す実施形態では、マルチルーメン配置体900は、第1のルーメン910、第2のルーメン912、及び、第3のルーメン914の、3つのルーメンを画定する、(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44によって形成される)チューブ902を含む。この実施形態において、第1のルーメン910及び第2のルーメン912の断面は、概して腎臓形であり、第3のルーメン914の断面は、概して涙形である。ルーメン910,912,914の形状は、ルーメン910,912,914の周囲の壁の厚さを比較的一定に保つ。あるいは、ルーメン910,912,914は、任意の適切な形状を有してもよい。
【0086】
この実施形態において、第1の極性を有する電気ワイヤ(例えば、正の電気ワイヤ)は、第1のルーメン910を通って配線され、第2の極性を有する電気ワイヤ(例えば、負の電気ワイヤ)は、第2のルーメン912を通って配線される。したがって、異なる極性を有する電気ワイヤは異なるルーメンに位置し、互いに電気的に絶縁される。さらに、この実施形態では、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、第3のルーメン914を通って配線される。したがって、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、電気ワイヤから分離されている。追加のワイヤ(例えば、磁気センサ302用のワイヤ)もまた、第3のルーメン914を通して配線されてもよい。
【0087】
図10は、マルチルーメン配置体1000の別の実施形態の端面図である。
図10に示す実施形態では、マルチルーメン配置体1000は、第1のルーメン1010、第2のルーメン1012、及び、第3のルーメン1014の、3つのルーメンを画定する、(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44によって形成される)チューブ1002を含む。この実施形態では、第1のルーメン1010及び第2のルーメン1012の断面は概して円形であり、第3のルーメン1014の断面は球根形状を有する。あるいは、ルーメン1010,1012,1014は任意の適切な形状を有していてもよい。
【0088】
この実施形態では、第1の極性を有する電気ワイヤ(例えば、正の電気ワイヤ)は、第1のルーメン1010を通って配線され、第2の極性を有する電気ワイヤ(例えば、負の電気ワイヤ)は、第2のルーメン1012を通って配線される。このように、異なる極性を有する電気ワイヤは、異なるルーメンに位置し、互いに電気的に絶縁される。さらに、この実施形態では、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、第3のルーメン1014を通って配線される。したがって、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、電気ワイヤから分離されている。追加の電気ワイヤ(例えば、磁気センサ302用の電気ワイヤ)も、第3のルーメン1014を通して配線することができる。
【0089】
図11は、マルチルーメン配置体1100の別の実施形態の端面図である。
図11に示す実施形態では、マルチルーメン配置体1100は、第1のルーメン1110、第2のルーメン1112、及び、第3のルーメン1114の、3つのルーメンを画定する、(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44によって形成される)チューブ1102を含む。この実施形態において、ルーメン1110,1112,1114の断面は、概して円形である。あるいは、ルーメン1110,1112,1114は、任意の適切な形状を有してもよい。
【0090】
この実施形態では、第1の極性を有する電気ワイヤ(例えば、正の電気ワイヤ)は、第1のルーメン1110を通って配線され、第2の極性を有する電気ワイヤ(例えば、負の電気ワイヤ)は、第2のルーメン1112を通って配線される。このように、異なる極性を有する電気ワイヤは、異なるルーメンに配置され、互いに電気的に絶縁される。さらに、この実施形態では、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、第3のルーメン1114を通って配線される。したがって、整形ワイヤ及び起動ワイヤは、電気ワイヤから分離されている。追加のワイヤ(例えば、磁気センサ302のためのワイヤ)もまた、第3のルーメン1114を通って配線されてもよい。
【0091】
本明細書で説明するマルチルーメンの実施形態は、大電流と高電圧を流す電気ワイヤ間の電気絶縁破壊を防ぐのに役立つ配線を可能にする。また、より正確で一貫性のある組立工程を実現し、電気ワイヤのスクラップや断線を減らすことができる。異なるルーメンに異なる種類の電気ワイヤを配線することにより、人為的ミスや装置の故障の可能性が減少し、組立時間とコストも削減される。
【0092】
十分な絶縁を確保するためのもう一つの技法は、強固な絶縁体を電気ワイヤに使用することである。少なくともいくつかの既知の医療装置における電気ワイヤは、例えば、最大で約0.0007インチ(0.01778ミリメートル)の厚さを有する絶縁体を有することがある。しかし、本明細書に記載のシステム及び方法では、電気ワイヤの絶縁体は、例えば、最大約0.0015インチ(0.0381ミリメートル)の厚さを有していてもよい。これは、少なくともいくつかの既知の医療機器における電気ワイヤの絶縁のおよそ2倍である。厚みが増すことにより、追加された材料による絶縁耐力が増し、摩耗、削れ、傷、又はその他の損傷から保護するためのワイヤの耐久性と強度が大幅に向上する。この結果、電気ワイヤの全体の絶縁耐力が一貫して確実に向上する。
【0093】
他の実施形態では、(絶縁耐力及び絶縁を増やすために)電気ワイヤの対の物理的分離は、様々なチューブ配置体を使用して達成され得る。例えば、非導電性材料又は絶縁性材料からなるチューブを、直径可変ループ150及び/又はシャフト44の少なくとも一部を通してワイヤの長さに沿って延ばし、必要に応じて電気ワイヤ対の間に物理的分離及びバリアを提供することができる。チューブは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、又は他の適切な材料などの熱収縮材料から作製することができる。あるいは、チューブは、収縮機能を有さない、完全に膨張したチューブや押出チューブから作製することもできる。チューブに使用される材料は、例えば、配線される電気ワイヤの量やカテーテル自体のサイズに関するスペース及び/又はフィッティングの事項に基づいて選択することができる。
【0094】
正と負の配線を分離するために、一対のチューブを使用することができる。例えば、
図12は、チューブ配置体1200の一実施形態の概略図である。この実施形態では、第1のチューブ1202と第2のチューブ1204とが同軸に配置されている。物理的に絶縁するために、第1のワイヤ(例えば、正の電気ワイヤ)は、第1のチューブ1202内に配線されてもよく、第2のワイヤ(例えば、負の電気ワイヤ)は、第2のチューブ1204内かつ第1のチューブ1202の外側に配線されてもよい。
【0095】
図13は、チューブ配置体1300の別の実施形態の概略図である。この実施形態では、第1のチューブ1302及び第2のチューブ1304が二軸に配置される。物理的に絶縁するために、第1のセットのワイヤ(例えば、正の電気ワイヤ)は、第1のチューブ1302内に配線されてもよく、第2のセットのワイヤ(例えば、負の電気ワイヤ)は、第2のチューブ1304内に配線されてもよい。
【0096】
図14は、第1のルーメン1410、第2のルーメン1412、第3のルーメン1414、及び、第4のルーメン1416を画定するチューブ1402を含む(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44内の)カテーテル部分1400の一実施形態の端面図である。
図14に示すように、複数の電気ワイヤ1420及びセンサワイヤ1422は、第4のルーメン1416を通って配線される。この実施形態では、チューブ1424も第4のルーメン1416を通って延びている。さらに、電気ワイヤ1420の第1のセット(例えば、正の電気ワイヤ)は、チューブ1424内に配置され、電気ワイヤ1420の第2のセット(例えば、負の電気ワイヤ)は、チューブ1424の外側に配置される。チューブ1424は、上述したように、例えば熱収縮材料から作製することができる。
【0097】
図15は、(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44内の)カテーテル部分1500の別の実施形態の端面図である。カテーテル部分1400と比較して、カテーテル部分1500は、第1のルーメン1510、第2のルーメン1512、及び、第3のルーメン1514のみを含むように、2つのルーメン間の壁をなくしている。壁がないため、これは「ゴーストルーメン」構成と呼ばれることがある。
【0098】
図16は、第2のルーメン1512内の配線配置体1600の一実施形態の端面図である。この実施形態では、電気ワイヤ1602は、チューブで互いに物理的に絶縁されていない。従って、電気ワイヤ1602はそれぞれ、電気ワイヤの対からの十分な絶縁を確実にするために(例えば、上述のような)十分な絶縁を含むべきである。
【0099】
図17は、第2のルーメン1512内の配線配置体1700の別の実施形態の端面図である。この実施形態において、電気ワイヤ(例えば、正のワイヤ)の第1のセット1702は、チューブ1706によって電気ワイヤ(例えば、負のワイヤ)の第2のセット1704から分離される。
【0100】
図18は、第2のルーメン1512内の配線配置体1800の別の実施形態の端面図である。この実施形態において、電気ワイヤ(例えば、正のワイヤ)の第1のセット1802は、第1のチューブ1804内に囲われ、電気ワイヤ(例えば、負のワイヤ)の第2のセット1806は、第2のチューブ1808内に囲われる。
【0101】
いくつかの実施形態では、電気ワイヤの絶縁破壊を防止するために、カテーテルの内部(例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44の内部)が曝される導電性流体の量を減少させる。導電性流体は、例えば生理食塩水又は血液である。導電性流体への露出を低減するために、直径可変ループ150及び/又はシャフト44の内部にシーラント又は充填材を塗布してもよい。この材料は、例えば、シリコーンゲル、ウレタンゲル、又は他の適切な適合性及び/又は粘性材料であってよい。一実施形態では、充填材はカテーテル部分の遠位端からカテーテル部分内に注入され、カテーテル部分の近位端に位置するインジケータ孔(図示せず)により、完全に充填されたときの判断が容易になる。
【0102】
導電性流体への露出を低減する(及び電気ワイヤの絶縁破壊を防止する)ための別の技術は、直径可変ループ150及び/又はシャフト44の露出した穴を除去し、継ぎを当て、シールし、及び/又は、リフローすることである。これらの穴は、例えば、直径可変ループ150及び/又はシャフト44を通る様々なワイヤの配線を容易にするために、元々含まれている可能性がある。しかしながら、ワイヤが配線されると、これらの穴は、導電性流体への露出を少なくするために閉じることができる。一実施形態では、適切なエポキシ(例えば、ウレタンエポキシ)が各穴貫通部に塗布される。別の実施形態では、RFエネルギーが直径可変ループ150内のカテーテル電極144に印加される。RFエネルギーの印加により、カテーテル電極144に近接する熱可塑性材料が、その近傍の穴の中及び周囲に流れ込む。RF電極材料の印加には、カテーテル電極144及び対応するワイヤをカテーテル14内により完全に埋め込み、カテーテル電極144の端部もシールするという付加的な利点もある。
【0103】
例えば、
図19は複数の電極1902を含むカテーテル部分1900の透視図である。カテーテル部分1900では、RFエネルギーが電極1902に印加され、電極近傍の熱可塑性材料1904が流れ、電極1902の縁部にシール隆起1906を発生させている。
【0104】
図20Aは、直径可変ループ150内で(
図10に示す)マルチルーメン配置体1000と共に使用され得る配線配置体2000の端部概略図である。
図20Bは、配線配置体2000の軸方向概略図である。当業者であれば、配線配置体2000が、本明細書に記載される他のマルチルーメン配置体と共に同様に使用され得ることを理解するであろう。
【0105】
この実施形態では、配線配置体2000により、12個のリング電極のための配線が容易になる。明確にするために、第12の電極2002、第11の電極2004、第10の電極2006、及び、第9の電極2008のみが示されている。さらに、この実施形態では、(例えば、第12の電極2002及び第10の電極2006を含む)偶数電極用のワイヤは、第1のルーメン1010を通って配線され、(例えば、第11の電極2004及び第9の電極2008を含む)奇数電極用のワイヤは、第2のルーメン1012を通って配線される。
【0106】
配線配置体2000では、各電極の電極ワイヤは、チューブ1002の対応する穴を通り、関連するルーメンを出て、対応する電極の溶接部まで、チューブ1002の周囲を少なくとも部分的に円周方向に延びる。
【0107】
例えば、
図20A及び
図20Bに示すように、(第12の電極2002に対応する)第12の電極ワイヤ2020は、チューブ1002内に画定された穴2022を通って、第1のルーメン1010から出る。穴2022は、例えば、チューブ1002を貫通することによって形成することができる。第12の電極ワイヤ2020がチューブ1002を出ると、第12の電極ワイヤ2020はチューブ1002の周囲を部分的に円周方向に延び、第12の電極2002上の溶接部2024で終了する。
【0108】
図20A及び
図20Bに示す実施形態では、溶接部は、対応する電極ワイヤを含まなかったルーメンに近接して位置する。すなわち、溶接部2024は第2のルーメン1012に近接して配置され、一方、第12の電極ワイヤ2020は第1のルーメン1010を通って配線される。あるいは、溶接部は、対応する電極線がチューブ1002の周囲を少なくとも部分的に円周方向に延びる限り、任意の適切な位置に配置されてもよい。
【0109】
さらに、この実施形態では、第1のルーメン1010から出ている電極ワイヤは、第1の方向(例えば、時計回り)に部分的に円周方向に延び、一方、第2のルーメン1012から出ている電極ワイヤは、第2の反対方向(例えば、反時計回り)に部分的に円周方向に延びている。あるいは、電極ワイヤはすべて同じ方向に延びてもよいし、それぞれが任意の適切な方向に延びてもよい。
【0110】
さらに、
図20Bにおいて、第10の電極2006と第9の電極2008は、その最終的な位置で示されていないことに留意すべきである。むしろ、製造を完了するために、第10の電極2006と第9の電極2008は、
図20Bに示される2つの矢印で示されるように、チューブ1002に取り付けられる前に、軸方向に近位方向に移動されるであろう。
【0111】
電極ワイヤをチューブ1002の周囲で部分的に円周方向に延長することには利点があり得る。例えば、電極ワイヤの各端部は、通常、露出した導体(例えば、むき出しの銅)を含む。電極ワイヤを図示のように延長することにより、任意の露出した導体が、第1のルーメン1010及び第2のルーメン1012の外側に位置する。これにより、露出した導体が、第1のルーメン1010及び第2のルーメン1012に浸入する可能性のある液体と接触するのを防ぐことができる。
【0112】
当業者であれば、ワイヤを互いに隔離するための本明細書に記載の様々な実施形態は、互いに独立して、又は任意の適切な組み合わせで実施され得ることを理解するであろう。
【0113】
本明細書に記載の実施形態は、エレクトロポレーションカテーテルのシステム及び方法を提供する。エレクトロポレーションカテーテルは、シャフトと、シャフトの遠位端に結合されるとともに、複数の電極を含む、直径可変ループと、を備える。カテーテルはさらに、複数の電極に接続され、直径可変ループ及びシャフトを通って延びる複数の電気ワイヤであって、複数の電極を通電するように構成されている、複数の電気ワイヤと、シャフト及び直径可変ループの少なくとも一方の少なくとも一部を通って延びるマルチルーメン配置体と、を備える。マルチルーメン配置体は、複数の電気ワイヤの第1のサブセットを収容する第1のルーメンと、複数の電気ワイヤの第2のサブセットを収容する第2のルーメンと、を備える。
【0114】
以上、本開示の特定の実施形態について、ある程度詳細に説明したが、当業者であれば、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることが可能である。方向についての全ての言及(例えば、上方、下方、上方向、下方向、左、右、左方向、右方向、上端、下端、より上、より下、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、本開示の読者の理解を助けるための識別目的のために使用されるだけであり、特に、本開示の位置、方向、又は使用に関する制限を生じさせるものではない。結合についての言及(例えば、取り付けられた、結合された、接続されたなど)は、広義に解釈されるべきであり、要素間の連結及び要素間の相対移動との間に中間部材を含み得る。そのため、結合に関する言及は、必ずしも2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを推論するものではない。上記の説明に含まれる、又は添付図面に示されるすべての事項は、例示的なものとしてのみ解釈され、限定するものではないことが意図される。詳細又は構造の変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の精神から逸脱することなく行うことができる。
【0115】
本開示の要素又はその好ましい実施形態を紹介する場合、冠詞「ひとつの(a)」、「ひとつの(an)」、「その(the)」、及び「前述の(said)」は、要素が1つ又は複数存在することを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0116】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成に様々な変更を加えることが可能であるため、上記の説明に含まれる、又は添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味において解釈されないことが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0116
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0116】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成に様々な変更を加えることが可能であるため、上記の説明に含まれる、又は添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味において解釈されないことが意図される。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
シャフトと、
前記シャフトの遠位端に結合されるとともに、複数の電極を含む直径可変ループと、
前記複数の電極に接続され、前記直径可変ループ及び前記シャフトを通って延びる複数の電気ワイヤであって、前記複数の電極を通電するように構成されている前記複数の電気ワイヤと、
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方の少なくとも一部を通って延びるマルチルーメン配置体と、
を備え、
前記マルチルーメン配置体は、
前記複数の電気ワイヤの第1のサブセットを収容する第1のルーメンと、
前記複数の電気ワイヤの第2のサブセットを収容する第2のルーメンと、を備える、エレクトロポレーションカテーテル。
(項目2)
前記直径可変ループ及び前記シャフトを通って延びる整形ワイヤ及び起動ワイヤをさらに備え、
前記マルチルーメン配置体は、前記整形ワイヤ及び前記起動ワイヤを収容する第3のルーメンをさらに備える、項目1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目3)
前記第1のルーメン及び前記第2のルーメンの断面は、概して腎臓形又は涙形である、項目1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目4)
前記マルチルーメン配置体は、ワイヤを収容しない少なくとも1つのダミールーメンをさらに備える、項目1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目5)
前記マルチルーメン配置体は、前記直径可変ループの少なくとも一部を通って延び、
前記第1のルーメン及び前記第2のルーメンは、それぞれ、前記直径可変ループの外周又は前記直径可変ループの内周に近接して配置される、項目1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目6)
前記複数の電気ワイヤの少なくとも1つは、約0.0015インチ(0.0381ミリメートル)の厚さを有する絶縁体を含む、項目1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目7)
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方内に注入される充填材をさらに備える、項目1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目8)
前記複数の電極の少なくとも1つの縁部に形成された少なくとも1つのシールをさらに備え、
前記少なくとも1つのシールは、導電性流体が前記直径可変ループの内部に侵入するのを防止するように構成されている、項目1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目9)
前記複数の電気ワイヤの少なくとも1つは、前記マルチルーメン配置体から延び、前記マルチルーメン配置体の周囲を少なくとも部分的に円周方向に延びて、関連する電極において終了する、項目1に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目10)
シャフトと、
前記シャフトの遠位端に結合されるとともに、複数の電極を含む直径可変ループと、 前記複数の電極に接続され、前記直径可変ループ及び前記シャフトを通って延びる複数の電気ワイヤであって、前記複数の電極に通電するように構成されている前記複数の電気ワイヤと、
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方の少なくとも一部を通って延びるチューブ配置体と、
を備え、
前記チューブ配置体は、
前記複数の電気ワイヤの第1のサブセットを収容する第1のチューブを備え、
前記複数の電気ワイヤの第2のサブセットは、前記第1のチューブの外側にあり、前記複数の電気ワイヤの前記第1のサブセットから物理的に分離されている、
エレクトロポレーションカテーテル。
(項目11)
前記チューブ配置体は、前記複数の電気ワイヤの前記第2のサブセットを収容する第2のチューブをさらに備える、項目10に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目12)
前記第1のチューブ及び前記第2のチューブは、熱収縮材料を含む、項目11に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目13)
前記第1のチューブは、前記第2のチューブ内に位置する、項目11に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目14)
前記第1のチューブ及び前記第2のチューブは、二軸に配置されている、項目11に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目15)
前記複数の電気ワイヤの少なくとも1つは、約0.0015インチ(0.0381ミリメートル)の厚さを有する絶縁体を含む、項目10に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目16)
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方内に注入される充填材をさらに備える、項目10に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目17)
前記複数の電極の少なくとも1つの縁部に形成された少なくとも1つのシールをさらに備え、
前記少なくとも1つのシールは、導電性流体が前記直径可変ループの内部に侵入するのを防止するように構成されている、項目10に記載のエレクトロポレーションカテーテル。
(項目18)
エレクトロポレーション用カテーテルを組み立てる方法であって、
複数の電極を含む直径可変ループにシャフトを結合することと、
複数の電極に複数の電気ワイヤを接続することであって、前記複数の電気ワイヤは、前記直径可変ループ及び前記シャフトを通って延びるとともに、前記複数の電極に通電するように構成されている、前記接続することと、
前記複数の電気ワイヤの第1のサブセットを、前記複数の電気ワイヤの第2のサブセットから物理的に分離するために、マルチルーメン配置体とチューブ配置体との少なくとも一方を実施することと、
を含む、方法。
(項目19)
前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方に充填材を注入することをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記複数の電気ワイヤが導電性流体に曝されるのを防止するのを容易にするために、前記シャフト及び前記直径可変ループの少なくとも一方にシールを形成することをさらに含む、項目18に記載の方法。
【国際調査報告】