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特表2024-522539圧力容器を保護するための容器および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】圧力容器を保護するための容器および方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/06 20060101AFI20240614BHJP
   B29C 70/32 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
F17C1/06
B29C70/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574343
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 US2021036162
(87)【国際公開番号】W WO2022256022
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/195,295
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523451222
【氏名又は名称】ヒラコイド インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジュベール デ ウッシュ, パスカル
(72)【発明者】
【氏名】メンカテッリ, ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ワシレンコフ, チャドウィック
【テーマコード(参考)】
3E172
4F205
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AA06
3E172AB01
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC01
3E172BC04
3E172BC05
3E172CA13
3E172CA14
3E172DA37
3E172DA38
4F205AD16
4F205AG07
4F205AH55
4F205HA02
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA46
4F205HB01
4F205HK33
(57)【要約】
容器は、圧力容器(PV)の一部を受け入れるための第1および第2の内面をそれぞれ含む第1および第2の中空シェルを含む。第1の中空シェルは、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された繊維層と、第1の内面と実質的に同心であり、第1の内面と繊維層との間に配置されたエネルギー散逸材料とを含む。第2の中空シェルは、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された繊維層と、第2の内面と実質的に同心であり、第2の内面と第2の繊維層との間に配置されたエネルギー散逸材料とを含む。第1および第2の中空シェルは、PVを少なくとも部分的に囲むための容積を画定するように互いに取り付け可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器用の容器であって、
前記圧力容器の第1の部分を受け入れるように構成された第1の内面を含む第1の中空シェルであって、
前記第1の内面と実質的に同心であり、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第1の繊維層と、
前記第1の内面と実質的に同心であり、前記第1の内面と前記第1の繊維層との間に配置された第1のエネルギー散逸材料と
を備える、第1の中空シェルと、
前記圧力容器の第2の部分を受け入れるように構成された第2の内面を含む第2の中空シェルであって、
前記第2の内面と実質的に同心であり、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第2の繊維層と、
前記第2の内面と実質的に同心であり、前記第2の内面と前記第2の繊維層との間に配置された第2のエネルギー散逸材料と
を備える、第2の中空シェルと、
を備え、
前記第1および第2の中空シェルが、前記圧力容器を少なくとも部分的に囲むための容積を画定するように互いに取り付け可能である、容器。
【請求項2】
前記第1および第2の内面のうちの少なくとも一方が、少なくとも部分的に円筒形、少なくとも部分的に球形、少なくとも部分的に円錐形である、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第1および第2の内面のうちの少なくとも一方が、少なくとも部分的に軸対称である、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記第1および第2の中空シェルが、前記圧力容器を実質的に囲むための容積を画定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記第1の中空シェルが第1の半円筒を画定し、前記第2の中空シェルが第2の半円筒を画定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記第1の中空シェルが第1のボウル形状を画定し、前記第2の中空シェルが第2のボウル形状を画定する、請求項1から5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記第1および第2の繊維層のうちの少なくとも一方が、複数の螺旋プライを備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記螺旋プライが、互いに対して螺旋状に配置されている、請求項7に記載の容器。
【請求項9】
前記螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)が、軸に対してθi=1の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
前記螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)が、軸に対してθi=2の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える、請求項8または9に記載の容器。
【請求項11】
θi=2がθi=1と約1から約25度異なる、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
前記螺旋プライが織り合わされたトウを備える、請求項8に記載の容器。
【請求項13】
前記螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)が、軸に対して(+αi=1+θi=1)および(-αi=1+θi=1)の角度で織り合わされたトウを備える、請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)が、軸に対して(+αi=2+θi=2)および(-αi=2+θi=2)の角度で織り合わされたトウを備える、請求項12または請求項13に記載の容器。
【請求項15】
θi=2がθi=1と約1から約25度異なる、請求項14に記載の容器。
【請求項16】
前記第1のエネルギー散逸材料が、前記第1の中空シェルの前記内面を画定する、請求項1から15のいずれか1項に記載の容器。
【請求項17】
前記第1の繊維層が、前記第1の中空シェルの外面を画定する、請求項1から16のいずれか1項に記載の容器。
【請求項18】
前記第2のエネルギー散逸材料が、前記第2の中空シェルの前記内面を画定する、請求項1から17のいずれか1項に記載の容器。
【請求項19】
前記第2の繊維層が、前記第2の中空シェルの外面を画定する、請求項1から18のいずれか1項に記載の容器。
【請求項20】
前記第1の中空シェルが、
前記第1の内面と実質的に同心の第3の繊維層と、
前記第1の内面と実質的に同心であり、前記第1の繊維層と前記第3の繊維層との間に配置された第3のエネルギー散逸材料と
をさらに備える、請求項1から19のいずれか1項に記載の容器。
【請求項21】
前記第2の中空シェルが、
前記第2の内面と実質的に同心の第4の繊維層と、
前記第2の内面と実質的に同心であり、前記第2の繊維層と前記第4の繊維層との間に配置された第4のエネルギー散逸材料と
をさらに備える、請求項1から20のいずれか1項に記載の容器。
【請求項22】
前記第1の中空シェルが、前記第1の内面と前記第1の繊維層との間に配置された第1の螺旋状に編組された層または織布を備える、請求項1から21のいずれか1項に記載の容器。
【請求項23】
前記第2の中空シェルが、前記第2の内面と前記第2の繊維層との間に配置された第2の螺旋状に編組された層または織布を備える、請求項1から22のいずれか1項に記載の容器。
【請求項24】
前記第1の繊維層の前記樹脂が、前記第1の螺旋状に編組された層または織布を少なくとも部分的に含浸するか、または前記第2の繊維層の前記樹脂が、前記第2の螺旋状に編組された層または織布を少なくとも部分的に含浸する、請求項23に記載の容器。
【請求項25】
前記第1の繊維層および前記第2の繊維層の繊維が、独立して、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、パラアラミド、炭素、グラファイト、ガラス、アラミド、玄武岩、超高分子量ポリプロピレン(UHMWPP)、天然材料、金属、石英、セラミック、および再生繊維からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1から24のいずれか1項に記載の容器。
【請求項26】
前記第1および第2のエネルギー散逸材料のうちの少なくとも一方が、発泡体を備える、請求項1から25のいずれか1項に記載の容器。
【請求項27】
前記発泡体が、ポリ塩化ビニル(PVC)、膨張性ポリウレタン(PU)、発泡ポリスチレン(EPS)、発泡ポリプロピレン(EPP)、ポリエチレン(PE)、アルミニウム発泡体、放射状に配向された足場3D印刷材料、ハニカム構造体、独立気泡体、連続気泡体、粘弾性ゲルを含むか、またはメタマテリアルを規定する、請求項26に記載の容器。
【請求項28】
前記第1の繊維層が、前記第2の繊維層と実質的に同一の組成を含む、請求項1から27のいずれか1項に記載の容器。
【請求項29】
前記第1の繊維層が、前記第2の繊維層とは異なる組成を含む、請求項1から27のいずれか1項に記載の容器。
【請求項30】
前記第1の繊維層が、前記第2の繊維層と実質的に同一の材料構成を含む、請求項1から29のいずれか1項に記載の容器。
【請求項31】
前記第1の繊維層が、前記第2の繊維層とは異なる材料構成を含む、請求項1から29のいずれか1項に記載の容器。
【請求項32】
前記第1のエネルギー散逸材料が、前記第2のエネルギー散逸材料と実質的に同一の組成を含む、請求項1から31のいずれか1項に記載の容器。
【請求項33】
前記第1のエネルギー散逸材料が、前記第2のエネルギー散逸材料とは異なる組成を含む、請求項1から31のいずれか1項に記載の容器。
【請求項34】
前記第1のエネルギー散逸材料が、前記第2のエネルギー散逸材料と実質的に同一の材料構成を含む、請求項1から32のいずれか1項に記載の容器。
【請求項35】
前記第1のエネルギー散逸材料が、前記第2のエネルギー散逸材料とは異なる材料構成を含む、請求項1から32のいずれか1項に記載の容器。
【請求項36】
前記第1の中空シェルに取り付けられた第1のファスナと、
前記第2の中空シェルに取り付けられ、前記第1の中空シェルを前記第2の中空シェルに取り付けるために前記第1のファスナと係合するように構成された第2のファスナと
をさらに備える、請求項1から35のいずれか1項に記載の容器。
【請求項37】
前記第1のファスナが第1のねじ山を備え、前記第2のファスナが前記第1のねじ山と回転可能に係合するように構成された第2のねじ山を備える、請求項36に記載の容器。
【請求項38】
前記第1のファスナが、トグルラッチ、パイプクランプ、またはボルト継手を備える、請求項36に記載の容器。
【請求項39】
第1の部分および第2の部分を有する圧力容器を保護する方法であって、
前記圧力容器の前記第1の部分を請求項1から38のいずれか1項に記載の容器の第1の中空シェルに挿入することと、
前記圧力容器の前記第2の部分を請求項1から38のいずれか1項に記載の容器の第2の中空シェルに挿入することと、
前記第1の中空シェルを前記第2の中空シェルに取り付けることと
を含む、方法。
【請求項40】
圧力容器を保護する方法であって、
前記圧力容器を複数の螺旋プライによって覆うこと
を含み、前記螺旋プライが互いに対して螺旋状に配置される、方法。
【請求項41】
前記螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)が、軸に対してθi=1の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)が、軸に対してθi=2の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
θi=2がθi=1と約1から約25度異なる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記螺旋プライが織り合わされたトウを備える、請求項40から44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)が、軸に対して(+αi=1+θi=1)および(-αi=1+θi=1)の角度で織り合わされたトウを備える、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)が、軸に対して(+αi=2+θi=2)および(-αi=2+θi=2)の角度で織り合わされたトウを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
θi=2がθi=1と約1から約25度異なる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
圧力容器用の容器を製造する方法であって、
第1の中空シェルを、
前記圧力容器の第1の部分を受け入れるように構成された第1の内面を形成するように第1のエネルギー散逸材料を成形すること、および
樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第1の繊維層を、前記第1のエネルギー散逸材料と実質的に同心になるように前記第1のエネルギー散逸材料の上に形成すること
を含むステップを使用して形成することと、
第2の中空シェルを、
前記圧力容器の第2の部分を受け入れるように構成された第2の内面を形成するように第2のエネルギー散逸材料を成形すること、および
樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第2の繊維層を、前記第2のエネルギー散逸材料と実質的に同心になるように前記第2のエネルギー散逸材料の上に形成すること
を含むステップを使用して形成することと、
を含み、
前記第1の中空シェルが、前記圧力容器を少なくとも部分的に囲むように前記第2の中空シェルに取り付け可能である、
方法。
【請求項49】
圧力容器であって、
複数の螺旋プライであって、前記螺旋プライが、互いに対して螺旋状に配置される複数の螺旋プライを備える、圧力容器。
【請求項50】
前記螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)が、軸に対してθi=1の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)が、軸に対してθi=2の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
θi=2がθi=1と約1から約25度異なる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記螺旋プライが織り合わされたトウを備える、請求項49から52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)が、軸に対して(+αi=1+θi=1)および(-αi=1+θi=1)の角度で織り合わされたトウを備える、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)が、軸に対して(+αi=2+θi=2)および(-αi=2+θi=2)の角度で織り合わされたトウを備える、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
θi=2がθi=1と約1から約25度異なる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記容器の1つ以上の層の中または間に埋め込まれたセンサをさらに備える、請求項1から38のいずれか1項に記載の容器。
【請求項58】
前記センサが、衝撃を監視するように構成された圧電センサを備える、請求項57に記載の容器。
【請求項59】
前記センサが、ガス漏れを監視するように構成されたファイバブラッググレーティング(FBG)を備える、請求項57または請求項58に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月1日に出願された「Containers and Methods for Protecting Pressure Vessels」という名称の米国仮特許出願第63/195,295号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本出願は、圧力容器に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
圧力容器(PV)は、圧力下で液体または気体などの流体を貯蔵するように構成されたリザーバである。圧力は、周囲圧力よりも実質的に高いことがあり、例えば、200バールを超えることがある。PV内の流体は、単独で、または圧力下にあるときに危険であり得る。例えば、一部のPVは、約700バールの圧力で水素を貯蔵するために使用され得る。燃料源として加圧水素または他の加圧燃料を使用することが望ましい場合があるが、乗り物(自動車、トラック、飛行機、宇宙船など)において使用されるPVは、衝突または突然の停止によって引き起こされ得るような突然の動きを受けることがある。PVが破損した場合、結果として生じる漏れまたは爆発は危険であり、または壊滅的でさえあり得る。したがって、PVを保護する改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
圧力容器を保護するための容器および方法が本明細書で提供される。
【0005】
一態様では、圧力容器用の容器が本明細書で提供される。容器は、圧力容器の第1の部分を受け入れるように構成された第1の内面を含む第1の中空シェルを含み得る。容器は、圧力容器の第2の部分を受け入れるように構成された第2の内面を含む第2の中空シェルを含み得る。第1の中空シェルは、第1の内面と実質的に同心であり、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第1の繊維層を含み得る。第1の中空シェルは、第1の内面と実質的に同心であり、第1の内面と第1の繊維層との間に配置された第1のエネルギー散逸材料を含み得る。第2の中空シェルは、第2の内面と実質的に同心であり、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第2の繊維層を含み得る。第2の中空シェルは、第2の内面と実質的に同心であり、第2の内面と第2の繊維層との間に配置された第2のエネルギー散逸材料を含み得る。第1および第2の中空シェルが、圧力容器を少なくとも部分的に囲むための容積を画定するように互いに取り付け可能であり得る。
【0006】
一部の例では、第1および第2の内面のうちの少なくとも一方が、少なくとも部分的に円筒形、少なくとも部分的に球形、少なくとも部分的に円錐形である。
【0007】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1および第2の内面のうちの少なくとも一方が、少なくとも部分的に軸対称である。
【0008】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1および第2の中空シェルが、圧力容器を実質的に囲むための容積を画定する。
【0009】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の中空シェルが第1の半円筒を画定し、第2の中空シェルが第2の半円筒を画定する。
【0010】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の中空シェルが第1のボウル形状を画定し、第2の中空シェルが第2のボウル形状を画定する。
【0011】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1および第2の繊維層のうちの少なくとも一方が、複数の螺旋プライを備える。
【0012】
一部の例では、螺旋プライは、互いに対して螺旋状に配置され得る。必要に応じて、螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)は、軸に対してθi=1の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える。必要に応じて、螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)は、軸に対してθi=2の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える。必要に応じて、θi=2はθi=1と約1から約25度異なる。
【0013】
一部の例では、螺旋プライは織り合わされたトウを備える。必要に応じて、螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)は、軸に対して(+αi=1+θi=1)および(-αi=1+θi=1)の角度で織り合わされたトウを備える。必要に応じて、螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)は、軸に対して(+αi=2+θi=2)および(-αi=2+θi=2)の角度で織り合わされたトウを備える。必要に応じて、θi=2はθi=1と約1から約25度異なる。
【0014】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1のエネルギー散逸材料が、第1の中空シェルの内面を画定する。
【0015】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の繊維層が、第1の中空シェルの外面を画定する。
【0016】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第2のエネルギー散逸材料が、第2の中空シェルの内面を画定する。
【0017】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第2の繊維層が、第2の中空シェルの外面を画定する。
【0018】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の中空シェルが、第1の内面と実質的に同心の第3の繊維層と、第1の内面と実質的に同心であり、第1の繊維層と第3の繊維層との間に配置された第3のエネルギー散逸材料とをさらに備える。
【0019】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第2の中空シェルが、第2の内面と実質的に同心の第4の繊維層と、第2の内面と実質的に同心であり、第2の繊維層と第4の繊維層との間に配置された第4のエネルギー散逸材料とをさらに備える。
【0020】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の中空シェルが、第1の内面と第1の繊維層との間に配置された第1の螺旋状に編組された層または織布を備える。
【0021】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第2の中空シェルが、第2の内面と第2の繊維層との間に配置された第2の螺旋状に編組された層または織布を備える。必要に応じて、第1の繊維層の樹脂は、第1の螺旋状に編組された層または織布を少なくとも部分的に含浸するか、または第2の繊維層の樹脂が、第2の螺旋状に編組された層または織布を少なくとも部分的に含浸する。
【0022】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の繊維層および第2の繊維層の繊維が、独立して、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、パラアラミド、炭素、グラファイト、ガラス、アラミド、玄武岩、超高分子量ポリプロピレン(UHMWPP)、天然材料、金属、石英、セラミック、および再生繊維からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0023】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1および第2のエネルギー散逸材料のうちの少なくとも一方が、発泡体を備える。必要に応じて、発泡体は、ポリ塩化ビニル(PVC)、膨張性ポリウレタン(PU)、発泡ポリスチレン(EPS)、発泡ポリプロピレン(EPP)、ポリエチレン(PE)、アルミニウム発泡体、放射状に配向された足場3D印刷材料、ハニカム構造体、独立気泡体、連続気泡体、粘弾性ゲルを含むか、またはメタマテリアルを規定する。
【0024】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の繊維層が、第2の繊維層と実質的に同一の組成を含む。
【0025】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の繊維層が、第2の繊維層とは異なる組成を含む。
【0026】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の繊維層が、第2の繊維層と実質的に同一の材料構成を含む。
【0027】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1の繊維層が、第2の繊維層とは異なる材料構成を含む。
【0028】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1のエネルギー散逸材料が、第2のエネルギー散逸材料と実質的に同一の組成を含む。
【0029】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1のエネルギー散逸材料が、第2のエネルギー散逸材料とは異なる組成を含む。
【0030】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1のエネルギー散逸材料が、第2のエネルギー散逸材料と実質的に同一の材料構成を含む。
【0031】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、第1のエネルギー散逸材料が、第2のエネルギー散逸材料とは異なる材料構成を含む。
【0032】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、容器は、第1の中空シェルに取り付けられた第1のファスナと、第2の中空シェルに取り付けられ、第1の中空シェルを第2の中空シェルに取り付けるために第1のファスナと係合するように構成された第2のファスナとをさらに備える。必要に応じて、第1のファスナは第1のねじ山を備え、第2のファスナは第1のねじ山と回転可能に係合するように構成された第2のねじ山を備える。必要に応じて、第1のファスナは、トグルラッチ、パイプクランプ、またはボルト継手を備える。
【0033】
追加的または代替的に、本明細書で提供される容器のいずれかは、容器の1つ以上の層の中または間に埋め込まれたセンサを含み得る。必要に応じて、センサは、衝撃を監視するように構成された圧電センサを含む。必要に応じて、センサは、ガス漏れを監視するように構成されたファイバブラッググレーティング(FBG)を含む。
【0034】
別の態様では、圧力容器を保護する方法が本明細書で提供される。圧力容器は、第1および第2の部分を有し得る。本方法は、圧力容器の第1の部分を本明細書で提供される容器のいずれかの第1の中空シェルに挿入することを含み得る。本方法は、圧力容器の第2の部分を本明細書で提供される容器のいずれかの容器の第2の中空シェルに挿入することを含み得る。本方法は、第1の中空シェルを第2の中空シェルに取り付けることを含み得る。
【0035】
別の態様では、圧力容器を保護する別の方法が本明細書で提供される。本方法は、圧力容器を複数の螺旋プライによって覆うことを含む得る。螺旋プライは、互いに対して螺旋状に配置され得る。
【0036】
一部の例では、螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)は、軸に対してθi=1の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える。必要に応じて、螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)は、軸に対してθi=2の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える。必要に応じて、θi=2はθi=1と約1から約25度異なる。
【0037】
追加的にまたは代替的に、一部の例では、螺旋プライは織り合わされたトウを備える。必要に応じて、螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)は、軸に対して(+αi=1+θi=1)および(-αi=1+θi=1)の角度で織り合わされたトウを備える。必要に応じて、螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)は、軸に対して(+αi=2+θi=2)および(-αi=2+θi=2)の角度で織り合わされたトウを備える。必要に応じて、θi=2はθi=1と約1から約25度異なる。
【0038】
本明細書で提供されるなお別の態様では、圧力容器用の容器を製造する方法が提供される。方法は、第1の中空シェルを形成すること、および第2の中空シェルを形成することを含み得る。第1の中空シェルは、圧力容器の第1の部分を受け入れるように構成された第1の内面を形成するように第1のエネルギー散逸材料を成形すること、および樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第1の繊維層を、第1のエネルギー散逸材料と実質的に同心になるように第1のエネルギー散逸材料の上に形成することを含むステップを使用して形成され得る。第2の中空シェルは、圧力容器の第2の部分を受け入れるように構成された第2の内面を形成するように第2のエネルギー散逸材料を成形すること、および樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第2の繊維層を、第2のエネルギー散逸材料と実質的に同心になるように第2のエネルギー散逸材料の上に形成することを含むステップを使用して形成され得る。第1の中空シェルは、圧力容器を少なくとも部分的に囲むように第2の中空シェルに取り付け可能である。
【0039】
本明細書で提供されるさらに別の態様では、圧力容器が提供される。圧力容器は、複数の螺旋プライを含み得る。螺旋プライは、互いに対して螺旋状に配置され得る。
【0040】
一部の例では、螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)は、軸に対してθi=1の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える。必要に応じて、螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)は、軸に対してθi=2の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを備える。必要に応じて、θi=2はθi=1と約1から約25度異なる。
【0041】
一部の例では、螺旋プライは織り合わされたトウを備える。必要に応じて、螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)は、軸に対して(+αi=1+θi=1)および(-αi=1+θi=1)の角度で織り合わされたトウを備える。必要に応じて、螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)は、軸に対して(+αi=2+θi=2)および(-αi=2+θi=2)の角度で織り合わされたトウを備える。必要に応じて、θi=2はθi=1と約1から約25度異なる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1A図1Bは、圧力容器(PV)用の例示的な容器の断面図を概略的に示している。
【0043】
図2図2A図2Bは、PVの周りの例示的な容器の組み立ての断面図を概略的に示している。
【0044】
図3AB図3A図3Cは、異なるプライの例示的な構成を概略的に示している。
図3C図3A図3Cは、異なるプライの例示的な構成を概略的に示している。
【0045】
図4図4A図4Bは、PV用の別の例示的な容器の断面図を概略的に示している。
【0046】
図5図5は、PV用の別の例示的な容器の断面図を概略的に示している。
【0047】
図6図6は、PV用の別の例示的な容器の断面図を概略的に示している。
【0048】
図7図7は、PVについての例示的なオーバーラップを概略的に示している。
【0049】
図8図8は、PVの例示的な構造を概略的に示している。
【0050】
図9図9図12は、PV用の容器を作製するためのそれぞれの方法における操作の例示的なフローを示している。
図10図9図12は、PV用の容器を作製するためのそれぞれの方法における操作の例示的なフローを示している。
図11図9図12は、PV用の容器を作製するためのそれぞれの方法における操作の例示的なフローを示している。
図12図9図12は、PV用の容器を作製するためのそれぞれの方法における操作の例示的なフローを示している。
【0051】
図13図13は、PVを作製するための方法における操作の例示的なフローを示している。
【0052】
図14A図14Aは、例示的な螺旋状レイアップによる亀裂伝播のモデルを概略的に示している。
【0053】
図14B図14Bは、図14Aのモデルにおける異なるピッチ角に対する深さの関数としてのエネルギー放出率のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な説明
圧力容器を保護するための容器および方法が本明細書で提供される。
【0055】
本明細書で提供されるように、PV(水素圧力容器、HPVなど)は、保護ボックスまたはクラッシュボックスと呼ばれることがある耐衝撃性容器内にそれらを部分的または完全に囲むことによって保護され得る。そのような別個の容器の使用は、PVの耐圧機能を容器の衝突耐性/耐衝撃性から分離し得る。例えば、そのような容器は、衝突または外部発射体などの衝撃からPVへの損傷を抑制し得る。容器は、PVとは別個であって囲むことから、容器およびPVの構造設計は、例えば、繊維タイプ、樹脂、および製造プロセスの異なる選択によって個々に最適化され得る。本明細書のいくつかの例では、容器は、少なくとも1つの外部繊維複合シェル(例えば、螺旋状複合シェル)と、「コア」と呼ばれることがある少なくとも1つのエネルギー散逸材料とを含む積層構造として設計され得る。容器は、PVの挿入に対応するように2つ以上の部品に形成されてもよく、部品は、その中にPVを部分的または完全に囲み、それによってPVを保護するように互いに取り付け可能であってもよい。したがって、容器が損傷した場合、PVを交換する(これは面倒で高価で危険であり得る)必要なく、別のそのような容器と容易に交換され得る。本明細書のいくつかの例では、損傷した容器が修理され、次いで同じまたは異なるPVとともに再使用され得る。本明細書の他の例では、PV自体は、互いに対して螺旋状に配置された複数の螺旋プライによって覆われてもよく、またはPVは、互いに対して螺旋状に配置された複数の螺旋プライを使用して形成されてもよい。
【0056】
図1A図1Bは、PV100用の例示的な容器110の断面図を概略的に示している。容器110は、PV100を少なくとも部分的に囲み、いくつかの例では、PV100を実質的に囲むか、または完全に囲む。本明細書で使用される場合、PVを「少なくとも部分的に囲む」とは、PVの少なくとも一部が容器によって囲まれていることを意味することを意図している。PVを「実質的に囲む」とは、PVの大部分(例えば、PVの50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、98%超、または最大99%)が容器によって囲まれているが、PVの残り(例えば1%以上)は容器によって囲まれていないことを意味することを意図している。図示の例では、PV100の首部101は、PV内の流体が使用され得るように容器110から突出し得る一方で、PVの残りは容器110内に囲まれ得る。この例では、PV100の主リザーバは、容器110内に完全に囲まれているが、PV100の別の部分(ここでは、首部101、または首部の一部のみであり得る)は、容器から突出していることから、PV100は、容器110内に実質的に囲まれていると考えることができる。PVを「完全に囲む」とは、PVの全体が容器によって囲まれていることを意味することを意図している。
【0057】
容器110は、第1の中空シェル120および第2の中空シェル130を含み得る。第1の中空シェル120は、圧力容器100の第1の部分を受け入れるように構成された第1の内面121を含み得る。第1の中空シェル120は、第1の内面と実質的に同心であり、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第1の繊維層122を含み得る。第1の中空シェル120はまた、第1の内面121と実質的に同心であり、第1の内面121と第1の繊維層122との間に配置された第1のエネルギー散逸材料123を含み得る。第2の中空シェル130は、圧力容器100の第2の部分を受け入れるように構成された第2の内面131を含み得る。第2の中空シェル130は、第2の内面131と実質的に同心であり、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第2の繊維層132を含み得る。第2の中空シェル130はまた、第2の内面と実質的に同心であり、第2の内面と第2の繊維層との間に配置された第2のエネルギー散逸材料133を含み得る。第1および第2の中空シェル120、130は、圧力容器100を少なくとも部分的に囲むための容積を画定するように互いに取り付け可能であり得る。図1Aに示す非限定的な例では、第1および第2の中空シェル120、130は、接合部140において互いに交わる。中空シェルを互いに取り付けるための例示的な構造が図2A図2Bを参照して説明される。要素を指すために「第1」、「第2」などのラベルを使用することは、それらの要素間の特定の空間的関係を暗示することを意図しないことを理解されたい。
【0058】
図1A図1Bに示す非限定的な例では、第1のエネルギー散逸材料123は、第1の中空シェル120の内面121を画定し得、第1の繊維層122は、第1の中空シェルの外面を画定し得る。同様に、第2のエネルギー散逸材料133は、第2の中空シェル130の内面131を画定し得、第2の繊維層132は、第2の中空シェルの外面を画定し得る。しかしながら、そのような層は、互いに対して、およびそれらのそれぞれの中空シェルの内面および外面に対して任意の適切な配置を有し得る。さらにまた、内面および外面は、繊維層、エネルギー散逸材料、および/または他の層の任意の適切な組み合わせを含み得る。代替的な配置のいくつかの追加の非限定的な例が、図4A図4B図5、および図6を参照して説明される。第1の繊維層122などの繊維層の例示的な構成が、図3A図3Cを参照して以下にさらに説明される。
【0059】
容器110、および本明細書の他の箇所に記載されている他の容器は、PV100を少なくとも部分的に囲むのに適した形状の任意の適切な組み合わせを含み得ることが理解されよう。例示的には、中空シェル120の内面121は、PV100の外面のそれぞれの部分の形態に追従し、接触するように成形され得る。同様に、中空シェル130の内面131は、PV100の外面のそれぞれの部分の形態に追従し、接触するように成形され得る。したがって、中空シェル120、130の異なる部分は、互いに異なる形状であってもよく、任意の適切な断面を有してもよい。例示的には、第1および第2の内面121、131のうちの少なくとも一方は、少なくとも部分的に円筒形、少なくとも部分的に球形、または少なくとも部分的に円錐形である。図1A図1Bに示す非限定的な例では、第1の内面121の一部は円筒形であり、第1の内面121の別の部分は球形であり、内面131は球形である。したがって、第1の中空シェル120は、第1のボウル形状を画定すると考えられてもよく、第2の中空シェル130は、第2のボウル形状を画定すると考えられてもよい。乗り物(自動車、トラック、飛行機、宇宙船など)などの任意の適切な状況において使用するために、PVを部分的に、実質的に、または完全に囲むように、他の形状が容易に想定され得る。これに関して、2つの材料間の空間的関係を説明するための「実質的に同心」という用語の使用は、材料が必然的に特定の形状の断面(例えば、円筒形、円錐形、または球形)を有することを暗示するのではなく、互いに実質的に同一の中心を有する形状を有する材料を指すことを意図している。
【0060】
例えば、図2A図2Bは、PVの周りの例示的な容器の組み立ての断面図を概略的に示している。図2Aに示す非限定的な例では、容器210は、第1の半円筒を画定する第1の中空シェル220と、第2の半円筒を画定する第2の中空シェル230とを含む。図2Aに示す非限定的な例では、第1および第2の中空シェル220、230は、接合部240において互いに交わる。したがって、容器210の複合断面は、図2Aに示す領域において実質的に円筒形であってもよい。容器210は、存在する場合、他の領域(具体的には図示せず)において異なる形状であり得る。
【0061】
第1および第2の中空シェルを互いに取り付けるために、例えば、第1および第2の中空シェル120、130を互いに取り付けるために、または第1および第2の中空シェル220、230を互いに取り付けるために、任意の適切な構造が使用され得る。例示的には、容器110または210(または本明細書で提供される任意の他の容器)は、第1の中空シェルに取り付けられた第1のファスナと、第2の中空シェルに取り付けられ、第1の中空シェルを第2の中空シェルに取り付けるために第1のファスナと係合するように構成された第2のファスナとを含み得る。例えば、図2Aに示す容器210では、第1および第2のファスナ(まとめて250で指定される)は、トグルラッチ、パイプクランプ、またはボルト継手のそれぞれの部分を含み得る。必要に応じて、容器210はまた、接合部240の周りに配置されたパッド260を含み得る。別の例として、図2Bに示す容器211は、図1A図1Bに示す容器110と同様に構成されてもよく、例えば、第1の中空シェル120と同様に構成された第1の中空シェル221を含んでもよく、第2の中空シェル130と同様に構成された第2の中空シェル231を含んでもよい。PV100を第1の中空シェル221内に挿入し、PVの露出端部を第2の中空シェル231によって覆い、第1および第2のファスナを使用して第1および第2の中空シェルを互いに固定することによって、PVは、容器211内に部分的に、実質的に、または完全に囲まれ得る。容器211において、第1および第2のファスナ(まとめて251で指定される)は、トグルラッチ、パイプクランプ、またはボルト継手のそれぞれの部分を含んでもよく、パディング261を含んでもよい。あるいは、第1のファスナは、第1のねじ山を含んでもよく、第2のファスナは、第1のねじ山と回転可能に係合するように構成された第2のねじ山を含んでもよい。すなわち、容器211の第1および第2のファスナは、PV100を収容する内部容積を画定するように第2の中空シェル231が第1の中空シェル221にねじ込まれ得るように構成され得る。
【0062】
第1の中空シェル(例えば、中空シェル120、220、または221)の第1の繊維層は、1つ以上のプライを含み得、そのそれぞれは、任意の適切な構成を有し得る。同様に、第2の中空シェル(例えば、中空シェル130、230、または231)の第2の繊維層は、1つ以上のプライを含み得、そのそれぞれは、任意の適切な構成を有し得る。第1の中空シェルの第1の繊維層の組成および材料構造は、第2の中空シェルの第2の繊維層の組成および材料構造と同様であってもよく、または異なっていてもよい。いくつかの例では、第1の繊維層、第2の繊維層、または第1および第2の繊維層の両方は、織布、編組された層、または1つ以上の螺旋プライを含み得る。本明細書で使用される場合、「織布」という用語は、2つ以上のトウを互いに直角に交絡させることによって形成された要素を意味することを意図している。本明細書で使用される場合、「トウ(tow)」という用語は、糸、ロープ、フィラメント、またはテープなどのトウの長手方向軸に沿って細長い可撓性部材を意味することを意図している。トウは、モノリシックであってもよく、または複数の繊維を含んでもよい。いくつかの例では、トウは、樹脂によって少なくとも部分的に含浸され、トウの長手方向軸に沿って細長い複数の繊維を含み得る。本明細書で使用される場合、「編組された層」という用語は、3つ以上のトウを互いに非直角に互いに交絡させることによって形成された要素を意味することを意図している。本明細書で使用される場合、プライを指す場合の「螺旋状」という用語は、プライのトウがそのプライ内に螺旋状に配置されていることを意味することを意図している。本明細書で使用される場合、「プライ」という用語は、組成、材料構成、またはその両方によって、別の層と区別可能な層を意味することを意図している。プライは、1つの層を含んでもよく、または複数の層を含んでもよい。
【0063】
図3A図3Cは、異なるプライの例示的な構成を概略的に示している。図3Aに示す非限定的な例では、プライ321、322、323は、PV100から離間して配置されている(例えば、エネルギー散逸材料によってPV100から分離されてもよく、または互いに隣接して配置されて繊維層を形成してもよい)。図示の例では、プライ321は、第1の繊維層の最も内側のプライ(「プライ1」)であり得、プライ322は、プライ321の外側であり得(「プライ2」)、プライ323は、第1の繊維層の最も外側のプライ(「プライ3」)であり得るが、第1の繊維層は、任意の適切な数のプライを含んでもよいことが理解されよう。プライ321、322、323は、それぞれ螺旋状であり得る。図3Aに示すように、各プライのトウは、別個のプライ配向を有する単一のプライを形成するために互いに隣接して巻回され得る。例えば、プライ321のトウ(i=1)は、PV100の軸320(この軸は、第1の中空シェルの内面340と同軸であり得る)に対してθi=1の角度で互いに隣接して巻回され得る。プライ322のトウ(i=2)は、軸320に対してθi=2の角度で互いに隣接して巻回されてもよい。プライ323のトウ(i=3)は、軸320に対してθi=3の角度で互いに隣接して巻回されてもよい。角度θi=1、θi=2、およびθi=3は、グローバル基準軸(ここでは、PV長手方向軸320)に対するトウの繊維配向を示す。隣接するプライのトウ配向間の差、すなわちθi=2-θi=1は、ピッチ角と呼ばれることがある。隣接するプライの角度の差θi=2-θi=1、θi=3-θi=2、θi=4-θi=3が互いに実質的に同一である場合、得られるプライは、一定のピッチ角を有すると呼ばれることがあり、そのような隣接するプライの配向の差が互いに異なる場合、得られるプライは、一定のピッチ角を有しないと呼ばれることがある。例えば、θi=2は、θi=1から約1度から約25度異なっていてもよく、θi=3は、θi=2から約1度から約25度異なっていてもよい。角度θi=1、θi=2、およびθi=3の間のこのような差の結果として、螺旋プライ321、322、323は、互いに対して螺旋状に配置され得る。そのような螺旋状配置は、容器、したがってPV100に追加の衝突耐性を付与し得る。本明細書で使用される場合、複数のプライに言及する場合の「螺旋状配置」または「螺旋状レイアップ」は、隣接するプライのトウが螺旋を画定するように互いに異なる角度で配置されることを意味することを意図している。したがって、プライ321、322、323のそれぞれは、螺旋状であってもよく、プライ321、322、323の配置も螺旋状であってもよい。本明細書で使用される場合、「約」および「実質的に」とは、記載された値の±10%以内を意味する。螺旋状に配置されたプライは、隣接するプライ間の滑らかなプライ間(ピッチ)角度遷移を可能にする。これは、弾性特性の滑らかな遷移をもたらし、プライ間の界面における層間せん断応力を低減する。これらの応力は、衝撃事象下での層間剥離の形成を担う。したがって、螺旋状レイアップは、損傷の発生を遅延、低減、または抑制するのに役立つ。さらに、螺旋状レイアップは、主にマトリックス損傷の形成を介してエネルギーを散逸させることができる。例えば、亀裂は、局所的な繊維配向(螺旋状の亀裂)に続いて、蛇行した経路に沿って成長および伝播し、したがって繊維の大部分を損傷せずに残し、高いエネルギー散逸、遅延、低減、または抑制された壊損、および構造的完全性の増加につながることがある。亀裂は、伝播中に局所的な繊維配向に追従することができ、したがって繊維(臨界荷重を担持する構成要素)の破損を抑制または防止する。これは、マトリックス分裂の形成および層間剥離の螺旋状分布を特徴とする、亜臨界レベルでの(すなわち、貫通または剛性の実質的な損失の前の)広範な損傷拡散をもたらす。
【0064】
繊維層は、プライおよび/またはプライ内のトウのさらに他の配置を含み得る。例えば、図3Bは、螺旋プライが織り合わされたトウを含む例を示している。図3Bに示す非限定的な例では、第1の中空部材の第1の繊維層のプライ331、332、333は、PV100から離間して配置される(例えば、エネルギー散逸材料によってPV100から分離され得る)。図示の例では、プライ331は、第1の繊維層の最も内側のプライ(「プライ1」)であり得、プライ332は、プライ321の外側であり得(「プライ2」)、プライ333は、第1の繊維層の最も外側のプライ(「プライ3」)であり得るが、第1の繊維層は、任意の適切な数のプライを含んでもよいことが理解されよう。プライ331、332、333は、それぞれ螺旋状であり得る。例えば、図3Bに示すように、プライ331のトウ(i=1)は、PV100の軸320(第1の中空シェルの内面340と同軸であり得る)に対して(+αi=1+θi=1)および(-αi=1+θi=1)の角度で織り合わされてもよい。プライ332のトウ(i=2)は、軸320に対して(+αi=2+θi=2)および(-αi=2+θi=2)の角度で織り合わされてもよい。プライ333のトウ(i=3)は、軸320に対して(+αi=3+θi=3)および(-αi=3+θi=3)の角度で織り合わされてもよい。角度θi=1、θi=2、θi=3は、互いに異なっていてもよい。例えば、θi=2は、θi=1から約1度から約25度異なっていてもよく、θi=3は、θi=2から約1度から約25度異なっていてもよい。角度αi=1、αi=2、およびαi=3は、互いに異なっていてもよい。例えば、αi=2は、αi=1から約1度から約90度異なっていてもよく、αi=3は、αi=2から約1度から約90度異なっていてもよい。角度θi=1、θi=2、およびθi=3の間のこのような差の結果として、螺旋プライ331、332、333は、互いに対して螺旋状に配置され得る。そのような螺旋状配置は、容器、したがってPV100に追加の衝突耐性を付与し得る。織り合わされたトウのない層では、層内の隣接するプライ間の界面は、シェルと実質的に同等の形状の滑らかな表面で表され得る。織り合わされたトウを有する層では、隣接するプライ間の界面は、互いに交差する隣接するプライのトウに起因して不均一である。PV上の衝突または衝撃事象中に、繊維強化層に発生する可能性が高い重大な破損の1つは、層間剥離損傷、すなわち2つの隣接するプライに属する隣接するトウ間の剥離である。不均一な界面の存在は、層間剥離がその元の平面から偏向することを制約し得る。このメカニズムは、層間剥離の伝播を妨害、低減、または抑制することがあり、したがって、耐衝撃性の向上をもたらす。
【0065】
図3Cは、螺旋状レイアップを形成するように互いに対して螺旋状に配置された複数の螺旋プライ301~307を含む繊維層343の断面を概略的に示している。螺旋プライ301~307のそれぞれは、樹脂マトリックス312内に螺旋トウ311を含む。図示の例では、それぞれのプライ301~307内のトウ311の配向は、(例えば、図3Aまたは図3Bを参照して説明したような方法で)互いに異なる。繊維層343の形状は、PV軸320と同心である。図3Cに示す断面内の繊維層343は、例えば、図1A図1Bを参照して説明した容器110の断面180内の繊維層122、図2Aを参照して説明した容器210の断面280内の繊維層、図2Bを参照して説明した容器211の断面281内の繊維層(図3Cに示すボリュームに投影される)、図4A図4Bを参照して説明した容器410の断面480内の繊維層422、図4A図4Bを参照して説明した容器410の断面480’内の繊維層422’、図5を参照して説明した容器510の断面580内の繊維層(図3Cに示すボリュームに投影される)、図6を参照して説明した容器の第1の中空シェル620の断面680内の繊維層622、図6を参照して説明した容器の第1の中空シェル620の断面680’内の繊維層622’、図6を参照して説明した容器の第1の中空シェル620の断面680’’内の繊維層622’’、図7を参照して説明したオーバーラップ700の断面780内の繊維層、または図8を参照して説明したPV800の断面880内の繊維層に対応し得る。7つの螺旋プライ301~307が図3Cに示されているが、本明細書で提供される繊維層のいずれも任意の適切な数のプライを含んでもよく、例えば、約1~20プライ、または約2~15プライ、または約3~10プライ、または約4~8プライを含み得ることが理解されよう。必要に応じて、そのような各プライは、螺旋状に巻回されてもよく、さらなる選択肢として、螺旋状に巻回されたプライは、本明細書に記載されるような利点の1つ以上を提供するように螺旋状に配置されてもよい。
【0066】
図1A図1Bを参照してさらに上述したように、第1の中空シェル、第2の中空シェル、または第1および第2の中空シェルの両方は、1つ以上の追加の層を含み得る。例示的に、図4A図4Bは、PV100用の別の例示的な容器410の断面図を概略的に示している。容器410は、PV100を少なくとも部分的に囲み、いくつかの例では、PV100を実質的に囲むか、または完全に囲む。図1A図1Bを参照して説明したものと同様の方法で、容器410は、第1の中空シェル420および第2の中空シェル430を含み得る。第1の中空シェル420は、PV100の第1の部分を受け入れるように構成された第1の内面421を含み得る。第1の中空シェル420は、第1の内面と実質的に同心であり、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第1の繊維層422を含み得る。第1の中空シェル420はまた、第1の内面421と実質的に同心であり、第1の内面421と第1の繊維層422との間に配置された第1のエネルギー散逸材料423を含み得る。図4A図4Bに示す非限定的な例では、第1の中空シェル420は、第1の内面421と実質的に同心の追加の繊維層422’と、第1の内面と実質的に同心であり、第1の繊維層422と追加の繊維層423との間に配置された追加のエネルギー散逸材料423とをさらに含み得る。追加の繊維層422’は、樹脂によって少なくとも部分的に含浸され得る。
【0067】
図4A図4Bに示す第2の中空シェル430は、PV100の第2の部分を受け入れるように構成された第2の内面431を含み得る。第2の中空シェル430は、第2の内面431と実質的に同心であり、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第2の繊維層432を含み得る。第2の中空シェル430はまた、第2の内面と実質的に同心であり、第2の内面と第2の繊維層との間に配置された第2のエネルギー散逸材料433を含み得る。図4A図4Bに示す非限定的な例では、第2の中空シェル420は、第2の内面431と実質的に同心の追加の繊維層432’と、第2の内面と実質的に同心であり、第2の繊維層と追加の繊維層との間に配置された追加のエネルギー散逸材料433’とをさらに含み得る。第1および第2の中空シェル420、430は、PV100を少なくとも部分的に囲むための容積を画定するように互いに取り付け可能であり得る。図4Aに示す非限定的な例では、第1および第2の中空シェル420、430は、接合部440において互いに交わる。中空シェルを互いに取り付けるための例示的な構造が図2A図2Bを参照して説明される。
【0068】
図4A図4Bに示す非限定的な例では、図1A図1Bを参照して説明したものと同様に、第1のエネルギー散逸材料423は、第1の中空シェル420の内面421を画定し得、第2のエネルギー散逸材料433は、第2の中空シェル430の内面431を画定し得る。さらに、追加の繊維層422’は、第1の中空シェル420の外面を画定し得、追加の繊維層432’は、第2の中空シェル430の外面を画定し得る。第1および第2の中空シェル420、430のそれぞれに設けられた追加の繊維層および追加のエネルギー散逸材料は、複数段の耐衝撃性を提供し得る。さらなる耐衝撃性を提供するために、追加の繊維層422’、432’の一方または両方は、図4Bに示すような方法で、複数のプライ、例えば必要に応じて螺旋状に配置され得る螺旋プライを含み得る。必要に応じて、1つ以上のセンサは、容器410の1つ以上の層の中または間に埋め込まれてもよい。センサは、例えば、衝撃を監視するように構成された圧電センサ、ガス漏れを監視するように構成されたファイバブラッググレーティング(FBG)などを含み得る。そのようなセンサは、例えば有線または無線通信経路を介して、適切な監視システムに取り付けられ得る。1つの非限定的な例では、FBGセンサは、局所歪み磁場(local strain filed)の変化を記録および監視する。そのような変化は、損傷の存在の結果である。したがって、シェル内の様々な深さにFGBセンサを配置することにより、衝撃事象時にクラッシュボックス内の損傷の深さを検出することが可能である。これは、クラッシュボックスの耐久性、残存する保護能力、およびこれが交換または修理を必要とするかどうかを判断するために使用されることができる。FBG信号は、オンボードライブ(有線または無線)監視によって処理され、監視された信号の特定の変更の発生時に記録をトリガするように較正されることができる。信号変更のタイプに応じて、異なるタイプの損傷を区別することが可能である。例えば、記録された信号のピークの変化は、層間剥離の通過を示唆し、一方、信号の完全な切断は、FBGセンサを担持する光ファイバを破壊する層間亀裂(translaminar crack)(深刻な損傷)の形成を示す。例えばポリマーの形態の圧電センサの存在は、衝撃時の漏れ検出インジケータおよび損傷インジケータの両方として使用されることができる。圧電センサは、圧力の局所的な変化の指標を提供する。これは、PVからの漏れ、ならびに衝撃荷重発生圧力状態から生じる可能性がある。送信信号のエンティティは、潜在的な漏れならびに衝撃損傷事象の深刻さおよび位置と相関するように適切に較正されることができる。
【0069】
追加的または代替的に、図4Aに示すような方法で、エネルギー散逸材料423、433の一方または両方は、追加の耐衝撃性を提供するように成形されてもよい。例えば、図4Aに示すような方法で、第1のエネルギー散逸材料423は、PV100の第1の端部を受け入れるように構成された球状/ボウル形状の領域内でより厚くてもよく、第2のエネルギー散逸材料433は、PV100の第2の端部を受け入れるように構成された球状/ボウル形状の領域内でより厚くてもよく、したがって、これらの端部領域へのあらゆる衝撃に対するさらなる緩衝材をもたらす。あるいは、エネルギー散逸材料423、433の一方または両方は、実質的に均一な厚さを有してもよい。図1A図1Bを用いて説明した第1のエネルギー散逸材料123、133も同様に、図4Aを用いて説明したような形状であってもよく、実質的に均一な厚さであってもよいことに留意されたい。
【0070】
耐衝撃性をさらに高めるために、追加のおよび/または異なる形状のエネルギー散逸材料が含まれてもよい。例えば、図5は、PV100用の別の例示的な容器510の断面図を概略的に示している。容器510は、本明細書に記載の他の容器(例えば、容器110、210、211、410または610、具体的に示されていない詳細)と同様に構成され得、PV100の対応する端部を衝撃から緩衝するための追加の材料550を含み得る。そのような追加の材料は、例えば、PV100の一方の端部が衝撃に対して特に脆弱である、例えば燃料タンクの前縁を形成する場合に有用であり得る。PVのこの領域は、実際には、特にPVの輸送および取り扱い中に低速衝撃損傷を受けやすい。
【0071】
さらに他の構成も想定され得る。例えば、図6は、PV用の別の例示的な容器の断面図を概略的に示している。図6は、容器の第1の中空シェル620の断面を示しているが、容器の第2の中空シェルは、同様に構成されてもよく、または異なって構成されてもよいことが理解されよう。図6に示す例では、第1の中空シェル620は、第1の中空シェル内の任意の適切な位置に配置され得る第1の螺旋状に編組された層または織布660を含む。例示的には、第1の螺旋状に編組された層または織布660は、第1の内面621と繊維層622との間に配置され得る。追加的または代替的に、繊維層622’’は、第1の中空シェル620の内面を画定してもよい。必要に応じて、エネルギー散逸層623は、内部に、例えば、第1の螺旋状に編組された層または織布660と繊維層622’’との間に配置されてもよい。第1の中空シェル620(ならびに本明細書で提供される他の中空シェル)は、任意の適切な数および配置の層を含み得、これらは、ともに衝突に起因するPV100への損傷を抑制し得る。例示的には、中空シェル620は、繊維層622の外側に配置された追加の螺旋状に編組された層または織布660’と、追加の螺旋状に編組された層または織布660’の外側に配置された追加のエネルギー散逸層632’と、追加のエネルギー散逸層632’の外側に配置され、第1の中空シェル620の外面を画定する追加の繊維層622’とを含み得る。
【0072】
2Dまたは3D技術を使用して製造された編組は、繊維角度変動に関連する直径変動の興味深い特性を提供する。繊維は管状編組内で滑ることができるため、これはそのような編組の直径を拡大または縮小することを可能にする。この特性は、構造の直径を漸進的に拡大し、層間および/または層に沿って繊維角度を僅かに変化させて、2つの隣接する編組された層の間に非常に小さなクロック角度(clocking angle)の変動を形成するように、いくつかの層が互いに効果的にスリーブを付けられた螺旋状構成(helicoidal architecture)を有する構造を形成するのに有利とすることができる。このような編組繊維強化構造は、筒状の編組を長手方向に沿って切断した後、平らに広げた平坦な編組テープの形態で提供されることもできる。繊維角度配向はまた、テープの幅とともに変化する。このような編組テープが使用されて、同じテープの異なる層を僅かに異なる繊維角度で積層して、螺旋状構成を有する構造を形成することもできる。この特性はまた、たて糸とよこ糸との間の最初の90°の角度を変更するように傾斜された織布に見出すことができ、これは、ある織物層から次の織物層への小さな角度変動(例えば、90°、85°、80°、75°などで層を整列するための5°のクロック角度など)を有する一連のたて糸/よこ糸角度を形成するように調整されることができ、したがって螺旋状構成を有する構造を形成する。
【0073】
例えば、図6を参照して説明したような方法で、繊維層が螺旋状に編組された層または織布に隣接して配置される例では、繊維層の樹脂は、螺旋状に編組された層または織布に少なくとも部分的に含浸し得る。例えば、フィラメントワインディングが使用される場合、予備含浸トウおよび乾燥繊維トウの両方が使用され得る。これは、容器部分の硬化中に、予備含浸トウの過剰な樹脂の一部が乾燥トウに流入し得ることを意味する。予備含浸トウの過剰な樹脂に応じて、乾燥トウの特定の程度の部分的な含浸が得られ得る。螺旋状に編組された層または織布の完全または部分的な含浸は、例えば、本明細書の他の箇所に記載されているようなセンサを使用して、耐衝撃性およびガス漏れ検出を向上させ得る。繊維強化層内では、より高い程度の繊維含浸を有するプライをより低い程度の繊維含浸を有するプライに交互にすることは、隣接するプライ間の弾性特性の変動をもたらす。亀裂偏向、亀裂停止および亀裂拡散を含むこれらのエネルギー散逸メカニズムは、繊維層のより高い耐損傷性および構造的完全性を可能にする。これらのメカニズムの有効性は、弾性特性の差とともに増加する。さらに、繊維層内に部分的に含浸されたプライが存在すると、シェルの可撓性を向上させる。これは、破壊点に達する前の衝撃事象中に、弾性変形下でより大量のエネルギーの吸収度を可能にする。
【0074】
中空シェルが同様のタイプの2つ以上の層(例えば、2つ以上の繊維層、2つ以上のエネルギー散逸材料、または2つ以上の螺旋状に編組された層または織布)を含む例では、そのタイプの各層は、互いに同じ組成、または互いに同じ材料構成、または互いに同じ組成および同じ材料構成の両方を有してもよいことが理解されよう。本明細書で使用される場合、「組成」という用語は、要素に含まれる材料を指すことを意図している。本明細書で使用される場合、「材料構成」という用語は、要素に含まれる材料の物理的配置を指すことを意図している。例えば、互いに同じ組成を有する2つの要素は、互いに実質的に同一の材料から作製され得る。これらの材料は、互いに同じ材料構成を有してもよく、互いに異なる材料構成を有してもよい。また、例えば、互いに異なる組成を有する2つの要素は、互いに同じ材料構成を有してもよく、または互いに異なる材料構成を有してもよい。例示的には、所与のプライは、互いに異なる長手方向の配向を有するトウを含み得る。そのようなトウは、互いに同じ細長部材の一部であり得る。
【0075】
1つの非限定的な例では、内側繊維層は、微小亀裂を停止するように選択された角度△θおよびαを有する螺旋状体(helicoid)を含み得る。このような内側繊維層は、加圧下でガスを保護するのに役立ち得るが、外側繊維層は、内側繊維層とは異なる材料構成を有し得る。例えば、外側繊維層は、衝突などのより大きな衝撃から保護するように選択された角度△θおよびαを有する螺旋状体を含み得る。微小亀裂耐性(micro-cracking resistance)を高めるための△θおよびαの範囲は、例えば、30°から90°であり得る。さらに、微小亀裂耐性をさらに高めるために、薄いプライのトウが使用され得る。より大きな衝撃から保護するための△θおよびαの範囲は、1°~25°でなければならない。さらに、薄いプライ、標準プライ、および/または厚いプライの任意の適切な組み合わせが使用されて、良好な耐衝撃性を達成し、材料コストおよびレイアップ時間を低減し得る。△θおよびαのより小さい範囲は、螺旋状レイアップによって決定される局所的な繊維配向にしたがって、主に制動マトリックスを介して亀裂が伝播することを可能にし得る。これは、繊維の大部分が損傷を受けない蛇行した亀裂パターンに沿って大量のエネルギーを散逸させることを可能にし、したがって、深刻な衝撃事象下でシェルの構造的完全性を維持することを可能にする。
【0076】
△θおよびαの範囲におけるこのような区別は、螺旋状に配置されたレイアップにおいて成長する螺旋状マトリックス亀裂(sprialling matrix crack)の前面でのエネルギー放出率(亀裂が特定の材料内を伝播するのに必要なエネルギー)の発生を説明する解析モデルにしたがう。解析モデルを記述する方程式は、Mencattelliら、「Realising bio-inspired impact damage-tolerant thin-ply CFRP Bouligand structures via promoting diffused sub-critical helicoidal damage」、Composites Science and Technology,182,107684(2019)に見出すことができ、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。このモデルは、亀裂前面に沿った局所エネルギー放出率(G)の解析を介してねじれた螺旋状亀裂の成長を記述し、亀裂は、最初は平坦な状態から開始する。グローバル基準システム(global reference system)および亀裂前面に沿ったローカル基準システムは、任意の所与の時点でねじれてよじれたときに、亀裂前面を完全に画定する。図14Aは、例示的な螺旋状レイアップによる亀裂伝播のモデルを概略的に示している。図14Bは、図14Aのモデルにおける異なるピッチ角に対する深さの関数としてのエネルギー放出率のプロットである。より具体的には、図14Aは、0°配向およびPVの長手方向軸に対応するx軸に沿って整列された繊維を有するプライ(0)内で開始し、次いで追加のプライ(1)、(2)、(3)、および(4)を通ってz方向(PVの長手方向軸に対して垂直であり、且つPVの半径方向に)に伝播する螺旋状亀裂を示している。亀裂の表面は、図14Aに示す網掛け曲線1401によって説明され得る。問題に対する閉形式解は、(i)亀裂はマトリックスのみを破壊し、マトリックスは等方性である;(ii)亀裂前面が真っ直ぐのままである;(iii)層間剥離および繊維破断などの他の破損メカニズムが発生しない;(iv)最初に平坦な亀裂がモードIで開いている、すなわち、亀裂表面が、主にxに沿って、すなわち亀裂表面に垂直に加えられる変位で開いている、と仮定することによって得られることができる。この開放状態は、PVを通って半径方向に伝播する層間亀裂をよく表す。これらの仮定にしたがうと、PVの空間x-y-zに完全に画定された螺旋状亀裂の前面におけるエネルギー放出率の発生の式を得ることが可能である。
【0077】
図14Bは、2.5°(曲線1411)、5°(曲線1412)、10°(曲線1413)、20°(曲線1414)、および45°(曲線1415)のピッチ角(Δθ)に対するエネルギー放出率(G/G、無次元量)を示している。例えば、Δθ=20°(曲線1414)を有する螺旋状層は、PVの長手方向軸に対して以下の配向θで積層されたプライを有するようにモデル化された:[0°/20°/40°/60°/80°/100°/120°/140°/160°/180°/200°/.../1440°]。Δθ=5°の螺旋状層(曲線1412)は、PVの長手方向軸に対して以下の配向θで積層されたプライを有するようにモデル化された:[0°/5°/10°/15°/20°/25°/30°/35°/40°/45°/50°/...715°/720°]。他のレイアップ(他のピッチ角を有する)も同様にモデル化された。この非限定的な例では、プライは、20g/mの繊維面積重量を有する炭素/エポキシUDの薄いプライによって作製される。より高いエネルギー放出率は、微小亀裂が促進され、拡散損傷および高いエネルギー散逸を可能にすることを意味する。より低いエネルギー放出率は、微小亀裂の形成の可能性がより低いことを意味する。図14Bは、図14Aに示すx-z平面に平行な平坦な亀裂を成長させるのに必要なエネルギー放出率(G)の値によって正規化されたものである。図14Bでは、ピッチ角が2.5°(曲線1411)から5°(曲線1412)、10°(曲線1413)、20°(曲線1414)、および45°(曲線1415)に増加するにつれて、エネルギー放出率が減少することが分かる。したがって、図14Bから、△θを小さくすることにより、螺旋状亀裂の成長に対する亀裂耐性(衝撃下などの支配的なモードI開放下)が低下し、微小亀裂の伝播が容易になることが理解されよう。これは、繊維、したがってクラッシュボックスの完全性を維持しながら、より多くのエネルギーが散逸されることを可能にする。△θを増加させると、成長する螺旋状亀裂に対する(支配的なモードI開放下の)亀裂耐性が増加し、微小亀裂の形成を遅延させ、減少させ、または抑制し、層間剥離および繊維破断などの破損の壊滅的なメカニズムの発生を促進する。したがって、より大きい△θは、漏れ(内層)を回避するためにより良好な微小亀裂耐性を可能にするが、より小さい△θは、衝撃により良好に抵抗し、衝撃位置(外層)においてより多くのエネルギーを散逸させることを可能にする。内側および外側繊維層はまた、または代替的に、意図された機能のそれぞれの性能を高めるために異なる組成を有してもよい。例えば、内層は、強化されたエポキシ樹脂に埋め込まれた薄いプライの炭素繊維などの微細亀裂に対する高い耐性を有する強靭な材料によって作製されることができ、外層は、ガラス繊維および/またはアラミド繊維または複数の繊維タイプの組み合わせなどの炭素繊維よりも高い延性を有する繊維強化材から作製することができる。
【0078】
薄いプライ(TP)の繊維強化材料のスタックを含む複合積層体は、より厚いプライを使用して製造された同じ厚さの部品と比較して、より良好な機械的特性、ならびに微細亀裂および層間剥離に対する改善された耐性を示し得る。TP繊維強化材料は、繊維の長手方向においてマトリックスに微小亀裂を形成するために(すなわち、マトリックス分裂)、より高い適用荷重を必要とする。この上昇した微小亀裂耐性は、改善された層間剥離耐性をもたらす。例えば、市販の航空宇宙用一方向(UD)炭素/エポキシ(C/E)プリプレグは、グレード190(.0073インチ/プライ)またはグレード145(.0056インチ/プライ)である。TPUDは、典型的には、グレード75(.003インチ/プライ)またはそれより薄い。グレードは、g/mで測定されたUDプリプレグ中の炭素繊維の公称面積重量を指定する。TP積層体は、最小ゲージの低減および/またはより軽い等価な性能構造を可能にする。TP材料は、例えば、一方向(UD)テープ、非クリンプ布(NCF)または織られた材料を含み得る。積層体は、バランスのとれた(ほぼ同じ数のプラス配向およびマイナス配向のプライを有する)、対称な(すなわち、レイアップの中央平面よりも上の各プライは、中央平面より下のほぼ等しい距離に同一のプライ(ほぼ同じ材料、厚さ、および配向)を有し得る)プライスタックを含み得る。
【0079】
任意の適切な材料、または材料の組み合わせが本容器に使用され得ることが理解されよう。例えば、上記のように、本繊維層は、樹脂、例えば、当該技術分野において知られているような熱硬化性または熱可塑性樹脂によって少なくとも部分的に含浸され得る。樹脂は、必要に応じて、衝撃の場合の爆発の危険性をさらに低減するために、難燃剤であってもよく、または難燃剤を含んでいてもよい。1つの非限定的な例では、外側複合シェル内の樹脂は、PVへの損傷に起因する漏れの場合に火炎損傷についての可能性を低減するために難燃材料を備えてもよい。
【0080】
本繊維層は、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含み得る。例えば、本明細書で提供される繊維層は、互いに独立して、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、パラアラミド、炭素、グラファイト、ガラス、アラミド、玄武岩、超高分子量ポリプロピレン(UHMWPP)、天然材料(例えば、麻または亜麻)、金属、石英、セラミック、および再生繊維からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含み得る。本繊維層内の繊維は、エネルギー散逸材料のより広い表面に衝撃のエネルギーを分配し、したがってPVへの損傷を抑制し得る荷重スプレッダおよび鋭い衝撃ストッパとして作用することが期待され得る。
【0081】
いくつかの例では、本エネルギー散逸材料は、発泡体を含み得る。発泡体は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、膨張性ポリウレタン(PU)、発泡ポリスチレン(EPS)、発泡ポリプロピレン(EPP)、ポリエチレン(PE)、アルミニウム発泡体、放射状に配向された足場3D印刷材料、ハニカム構造体、独立気泡体(closed cell foam)、連続気泡体(open cell foam)、粘弾性ゲルを含み得るか、またはメタマテリアルを規定し得る。ハニカム構造体は市販されており、例えば、アルミニウムハニカム、またはDuPont de Nemours,Inc.(デラウェア州ウィルミントン)から市販されている難燃性メタアラミド材料であるNOMEX(登録商標)である。本明細書で使用される場合、「メタマテリアル」という用語は、フットボール用ヘルメットにおいて使用されるような、異なる長さスケールで同様の特性を有するセル状の階層構造を指すことを意図している。
【0082】
本明細書で提供される容器のいずれかの第1および第2の中空シェルは、PVを保護するための任意の適切な方法で使用され得ることが理解されよう。そのような方法は、例えば、PVの第1の部分を本容器のいずれかの第1の中空シェルに挿入することと、PVの第2の部分をその容器の第2の中空シェル内に挿入することと、第1の中空シェルを第2の中空シェルに取り付けることとを含み得る。
【0083】
本明細書の教示は、PVから分離可能なクラッシュボックスを必ずしも形成することなくPVを保護するために使用され得ることも理解されよう。例示的には、PVを保護する方法は、圧力容器を複数の螺旋プライによって覆うことを含み得、螺旋プライは、互いに対して螺旋状に配置される。図7は、PV100(PV100の内部プライが示されている)のための例示的なオーバーラップ700を概略的に示している。オーバーラップ700は、複数の螺旋プライを含み得、螺旋プライは、互いに対して螺旋状に配置される。あるいは、PV自体は、複数の螺旋プライを含むように形成されてもよく、螺旋プライは、互いに対して螺旋状に配置される。図8は、PVの例示的な構造を概略的に示している。PV800は、複数の螺旋プライを含み得、螺旋プライは、互いに対して螺旋状に配置される。図3Aを参照して説明したのと同様の方法で、PV800またはオーバーラップ700の螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)は、θi=1の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを含み得る。螺旋プライのうちの第2の螺旋プライ(i=2)は、θi=2の角度で互いに隣接して巻回された複数のトウを含み得る。必要に応じて、θi=2は、プライが螺旋状配置を画定するように、θi=1から約1から約25度異なってもよい。あるいは、図3Bを参照して説明したのと同様の方法で、螺旋プライは、織り合わされたトウを含み得る。例えば、螺旋プライのうちの第1の螺旋プライ(i=1)は、(+α+θi=1)および(-α+θi=1)の角度で織り合わされたトウを含み得る。螺旋プライの第2のもの(i=2)は、(+α+θi=2)および(-α+θi=2)の角度で織り合わされたトウを含む。必要に応じて、θi=2は、θi=1と約1から約25度異なっていてもよい。非限定的な一例では、PV800の少なくとも一部は、圧力荷重に耐えるように犠牲マンドレルに従来から巻回されている螺旋層と、衝撃に耐えるように螺旋状に配置された第2の外側の複数のプライとを使用して形成されてもよい。
【0084】
本容器、PV用のオーバーラップ、およびPVは、操作の任意の適切な組み合わせを使用して作製され得る。図9図12は、PV用の容器を作製するためのそれぞれの方法における操作の例示的なフローを示している。ここで図9を参照すると、方法900は、第1の中空シェルを形成すること(操作910)と、第2の中空シェルを形成することとを含み得、第1の中空シェルは、PVを少なくとも部分的に囲むように第2の中空シェルに取り付け可能である。第1の中空シェルは、圧力容器の第1の部分を受け入れるように構成された第1の内面を形成するために第1のエネルギー散逸材料を成形すること(操作911)と、第1のエネルギー散逸材料の上に、第1のエネルギー散逸材料と実質的に同心となるように、樹脂によって少なくとも部分的に含浸された第1の繊維層を形成すること(操作912)とを含むステップを使用して形成され得る。第2の中空シェルは、圧力容器の第2の部分を受け入れるように構成された第2の内面を形成するために第2のエネルギー散逸材料を成形すること(操作921)と、第2のエネルギー散逸材料の上に、第2のエネルギー散逸材料と実質的に同心となるように、少なくとも部分的に樹脂を含浸させた第2の繊維層を形成すること(操作922)とを含むステップを使用して形成され得る。方法900の操作は、図1A図1B図2A図2B図4A図4B図5、または図6を参照して説明したような容器を調製するために使用され得る。
【0085】
例示的に、操作911、912、921および922は、図10図12に示すような操作の任意の適切な組み合わせを使用して実行され得る。ここで図10を参照すると、方法1000は、成形されたマンドレルにエネルギー散逸材料(コア)を形成すること、例えば発泡体を成形して、コアのハニカム/発泡体ストリップをマンドレル形状に成形することまたは巻回すること(操作1010)を含み得る。方法1000は、エネルギー散逸材料(例えば、発泡体)上に、可変または一定のピッチ角を有する螺旋状レイアップで螺旋層を巻回すること(操作1020)を含み得る。螺旋層を形成するために使用されるトウは、樹脂によって少なくとも部分的に含浸され得る。方法1000は、構造を硬化させること(操作1030)を含み得る。方法1000は、マンドレルを除去すること(操作1040)を含み得る。方法1000は、結果として得られる容器(クラッシュボックス)にPVを挿入すること(操作1050)を含み得る。図1A図1Bを参照して説明した容器110は、図10を参照して説明したような操作を使用して作製され得る容器の非限定的な例である。
【0086】
ここで図11を参照すると、方法1100は、可変または一定のピッチ角を有する螺旋状レイアップで螺旋層を犠牲マンドレル上に巻回して、内側および外側シェルを形成すること(操作1110)を含み得る。方法1100は、得られた構造を硬化させること(操作1120)を含み得る。方法1100は、マンドレルを除去すること(操作1130)を含み得る。方法1100は、サンドイッチクラッシュボックスを形成するために、エネルギー散逸材料、例えば膨張性ポリウレタン(PU)発泡体をシェル間に注入すること(操作1140)を含み得る。方法1100は、結果として得られる容器(クラッシュボックス)にPVを挿入すること(操作1150)を含み得る。結果として得られる容器は、それらの間に配置されたエネルギー散逸材料を有する、それぞれの繊維層によって画定された内面および外面を含み得る。
【0087】
ここで図12を参照すると、方法1200は、エネルギー散逸材料、例えば発泡体コアをマンドレル形状にトリミングすること(操作1210)を含み得る。方法1200は、可変または一定のピッチ角を有する螺旋状レイアップにおいて螺旋層を巻回すること(操作1220)を含み得る。方法1200は、層を編組して螺旋状に編組された構造を形成するか、または追加のエネルギー散逸材料、例えば発泡体を使用すること(操作1230)を含み得る。方法1200は、構造体に難燃性添加剤樹脂を含浸させること(操作1240)を含み得る。方法1200は、螺旋状レイアップにおいて螺旋層を巻回すること(操作1250)を含み得る。操作1230から1250は、任意の適切な回数、例えば、1回、2回、3回、または3回を超えて繰り返されてもよい。方法1200は、構造を硬化させること(操作1260)を含み得る。方法1200は、マンドレルを除去すること(操作1270)を含み得る。方法1200は、結果として得られる容器(クラッシュボックス)にPVを挿入すること(操作1280)を含み得る。図6を参照して説明した容器は、図12を参照して説明したような操作を使用して作製され得る容器の非限定的な例である。
【0088】
図13は、PVを作製するための方法1300における操作の例示的なフローを示している。方法1300は、螺旋状に螺旋層を巻回すること(操作1310)を含み得る。方法1300は、構造を硬化させること(操作1320)を含み得る。方法1300は、マンドレルを除去すること(操作1330)を含み得る。図8を参照して説明したPVは、図13を参照して説明したような操作を使用して作製され得るPVの非限定的な例である。
【0089】
本明細書で提供されるような分離された保護クラッシュボックス(容器)の使用は、PVの重量および複雑さを低減することを可能にし得ることが理解されよう。実際に、繊維を含む以前に知られている繊維強化複合PVでは、繊維は、加圧ガスに起因して常に引張応力下にあり得る。繊維強化複合材料では、このような引張状態は、例えば、Kamarudinら、「Effect of high velocity ballistic impact on pretensioned carbon fibre reinforced plastic(CFRP)plates」、IOP Conference Series:Materials Science and Engineering 165(1):012005(2017)(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたように、衝撃強度の低下をもたらし得る。本発明者らは、従来知られている複合PVが、引張応力を緩和するために過剰に構築(overbuild)されていること、例えば、PVを過剰に構築することが、構造的重量も増加させながら衝撃性能を向上させ得、したがって非効率的な設計をもたらすことを認識した。比較すると、本明細書で提供される別個の保護容器は加圧される必要がないことから、衝撃特性は低下せず、材料をより効率的に使用することができる。
【0090】
図4A図4Bおよび図6を参照して説明したようないくつかの例では、本容器は、交互の螺旋状サブ積層体およびエネルギー散逸材料(例えば、発泡体)層を有するマルチコア構造で構築することができる。そのような配置は、衝撃損傷の亀裂停止メカニズムとして機能すると期待される弾性特性の周期的変化を生じさせることがある。これは、容器に複数の耐衝撃性を付与することが期待され、ひいてはPVの稼働寿命を延ばすことが期待される。
【0091】
他の例では、マルチコア構造は、交互の螺旋状サブ積層体および部分的に含浸された乾燥繊維強化層を含み得る。部分的な含浸は、過剰な樹脂をブリードアウトし、乾燥繊維層を部分的に含浸させるために、過剰に含浸されたフィラメント巻回螺旋状サブ積層体を使用して達成され得る。これは、衝突性能を改善するためだけでなく、クラッシュボックス内の異なる段階で漏れ検出システムを形成し得る。追加的または代替的に、部分的に含浸された層は、亀裂停止およびより高い損傷許容性を促進する弾性特性の周期的変化を提供し得る。
【0092】
追加的または代替的に、エネルギー散逸材料(例えば、発泡体コア)は、圧力/歪みに応答する圧電/FBG検知を備えてもよい。ほとんどの外部層が使用されて、クラッシュボックスを修理するための中断時間を必要とせずに衝撃損傷およびその深さを検出し得る。これは、クラッシュボックスの安全マージン変化のライブ監視を提供し得る。例えばPVと接触しているエネルギー散逸材料の最内層は、最終的な漏れを検出するように構成されたセンサを含み得る。しかしながら、圧力容器ではなく容器が衝撃損傷を吸収することにより、そのような衝撃に続く貯蔵/燃料電池ユニットの中断時間が比較的短くなり得ることが理解されよう。
【0093】
いくつかの例では、圧力容器により近い容器の内側シェルの少なくとも一部は、螺旋状に配置されたUHMWPE、パラアラミド繊維、または本明細書に開示される他の繊維から作製されることができる。そのような螺旋状に配置された材料は、衝撃および高速衝撃中の背面偏向の比較的大きな減少を提供し、衝撃事象中のより小さな鈍り(blunt)をもたらすことが期待され得る。これは、容器を突き抜けてPV内の局所領域に運動量を伝達する衝撃の可能性をさらに低減し、衝撃許容性をさらに向上すると期待される。
【0094】
螺旋状繊維配置は、螺旋状マトリックス分裂および層間剥離を含むマトリックス損傷の形成を通じて衝撃からのエネルギーの散逸を促進し得ることにさらに留意されたい。本明細書のいくつかの例は、そのようなマトリックス損傷を「修復」するために使用され得る繊維強化材料または熱可塑性ベールの埋め込まれた熱可塑性ストリップを含み得る。例えば、熱および/または圧力が損傷した容器に加えられ、熱可塑性材料を溶融させ、割れたマトリックスを再充填させ得る。これは、容器の使用可能寿命を著しく延ばし得る。
【0095】
さらに、より詳細に上述したように、本容器は、PVの挿入に容易に対応するように2つ以上の部品を含み得る。このように、容器は、損傷した場合に容易に交換され得る(必要に応じて、上述したような方法で修復される)。例示的には、2つの同一のハーフシェルが、例えば図2Aを参照して説明したような方法で、PV形状によって画定された矢状面の周りに組み立てられて接続され得る。あるいは、中空シェルは、例えば図2Bを参照して説明したような方法で、内部でHPVを摺動させるためのドーム開口部を有する容器形状にわたって軸対称を画定するように形成されてもよい。いくつかの例では、容器は、そうでなければ耐衝撃性を低下させ得る容器に対する応力または荷重の変化を抑制するために、加圧後に設置されてもよい。
【0096】
本容器を調製するための操作のいくつかの例は、図9図12を参照して説明されているが、本容器は、樹脂トランスファ成形、注入、圧縮プレス成形、繊維巻回、および自動繊維配置を含むがこれらに限定されない技術の任意の適切な組み合わせを使用して調製され得ることが理解されよう。図10を参照して説明したような方法で、繊維は、エネルギー散逸材料上に直接配置されてもよい。あるいは、図11を参照して説明したような方法で、繊維は、マンドレル/雄型上に配置されてシェルを形成し、エネルギー散逸材料(例えば、膨張性PUなどの発泡体)がシェルの内側に注入されてもよく、より小さい雄マンドレルが使用されて、発泡体ライナーの厚さを画定する半径方向の空間を残してもよい。さらに他の例では、容器を調製することは、構造のコアを構成するために独立気泡体軸対称マンドレル上に、またはプライの高い圧縮を確保するために軸対称マンドレル上に螺旋状に繊維層のフィラメントワインディングを行うことを含み得、エネルギー散逸材料は、シェルの製造後に挿入され得る。追加的または代替的に、エネルギー散逸材料は、3D印刷またはフライス加工またはスタンピングされてもよい。追加的または代替的に、エネルギー散逸材料は、それ自体が螺旋状または螺旋状に巻回され得るフィラメント巻回可撓性発泡体を含むか、またはそれから構成されてもよい。
【0097】
図1A図1Bおよび図2Bを参照して説明したような例から明らかなように、1つまたは2つの開口部を有する少なくとも部分的に円筒形の中央部の使用は、両側からのPVの摺動での出入りを可能にし得る。いくつかの例では、キャップは、容器の入口(首)へのアクセスを可能にするように構成されてもよく、接続パイプを少なくとも部分的に覆ってもよい。例えば図2Bを参照して説明したようなねじ付きエンドキャップは、キャップが少なくとも部分的に円筒形の中央部に取り付けられ得る方法の一例である。
【0098】
本発明の様々な例示的な実施形態を上述したが、本発明から逸脱することなく様々な変形および変更が行われることができることは当業者には明らかであろう。添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲内に入る全てのそのような変形および変更を包含することを意図している。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
【国際調査報告】