(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】間欠式カテーテルおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61L 29/06 20060101AFI20240614BHJP
A61L 29/08 20060101ALI20240614BHJP
A61L 29/04 20060101ALI20240614BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20240614BHJP
A61M 25/01 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61L29/06
A61L29/08
A61L29/04 100
A61L29/04 110
A61M1/00 160
A61M25/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574516
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022029431
(87)【国際公開番号】W WO2022260831
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】シディーキ、シャハブ
【テーマコード(参考)】
4C077
4C081
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA19
4C081AC08
4C081BB05
4C081CA012
4C081CA041
4C081CA211
4C081CA271
4C081CB051
4C081CE09
4C081DC03
4C081EA06
4C267AA03
4C267BB06
4C267BB19
4C267BB53
4C267CC26
4C267HH08
(57)【要約】
ここに開示されるのは、間欠式カテーテルおよび方法である。間欠式カテーテルの一例では、間欠式カテーテルは、カテーテルチューブと、カテーテルチューブの少なくとも遠位部分の表面上に配置された潤滑剤と、カテーテルチューブの近位部分に結合された漏斗とを含み得る。カテーテルチューブはポリマー材料からなる。潤滑剤は、患者またはユーザの尿道に挿入されるとすぐに潤滑剤が液体状態に遷移するように、潤滑剤106が20℃(68°F)より上で液体状態を有し得る。漏斗は、尿を排泄するために漏斗の近位端に漏斗開口を含み得る。間欠式カテーテルの方法の一例では、方法は、間欠式カテーテルを製造または使用する方法を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠式カテーテルであって、
ポリマー材料からなるカテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの少なくとも遠位部分の表面上に配置された潤滑剤であって、患者またはユーザの尿道内への挿入時に固体状態から液体状態に遷移するように構成された潤滑剤と、
前記カテーテルチューブの近位部分に結合された漏斗であって、該漏斗は、尿を排泄するために前記漏斗の近位端に漏斗開口を含む、漏斗と
を備える間欠式カテーテル。
【請求項2】
前記潤滑剤は、該潤滑剤からなる粒子の形態で前記カテーテルチューブの前記表面上に配置される、請求項1に記載の間欠式カテーテル。
【請求項3】
前記潤滑剤は実質的に水を含まない、請求項1または2に記載の間欠式カテーテル。
【請求項4】
前記潤滑剤は、21℃(70°F)乃至35℃(95°F)の融点を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項5】
前記潤滑剤は、天然油脂、合成油脂、またはそれらの組み合わせである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項6】
前記潤滑剤は、ココナッツ油、ココアバター、パーム油、シアバター、またはそれらの混合物である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項7】
前記ポリマー材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリ塩化ビニル、またはゴムである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項8】
前記カテーテルチューブの前記表面は、プラズマ処理によって改質される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項9】
前記カテーテルチューブの前記表面における前記ポリマー材料の表面エネルギーは、前記潤滑剤の表面エネルギーよりも少なくとも0.005N/m(5dyn/cm)大きい、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項10】
前記カテーテルチューブの前記表面における前記ポリマー材料の表面エネルギーは、前記潤滑剤の表面エネルギーよりも少なくとも0.010N/m(10dyn/cm)大きい、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項11】
間欠式カテーテルであって、
ポリマー材料からなるカテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの少なくとも遠位部分の表面上に配置された親水性コーティングと、
前記親水性コーティング上に配置された潤滑剤であって、該潤滑剤は、患者またはユーザの尿道に挿入時に、固体状態から液体状態に遷移するように構成されている潤滑剤と、
前記カテーテルチューブの近位部分に結合された漏斗であって、該漏斗は尿を排泄するために前記漏斗の近位端に漏斗開口を含む、漏斗と
を備える間欠式カテーテル。
【請求項12】
前記潤滑剤は、該潤滑剤からなる粒子の形態で前記親水性コーティング上に配置される、請求項11に記載の間欠式カテーテル。
【請求項13】
前記潤滑剤は実質的に水を含まない、請求項11または12に記載の間欠式カテーテル。
【請求項14】
前記潤滑剤は、21℃(70°F)乃至35℃(95°F)の融点を有する、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項15】
前記潤滑剤は、天然油脂、合成油脂、またはそれらの組み合わせである、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項16】
前記潤滑剤は、ココナッツ油、ココアバター、パーム油、シアバター、またはそれらの混合物である、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項17】
前記親水性コーティングの表面の表面エネルギーは、前記潤滑剤の表面エネルギーよりも少なくとも0.005N/m(5dyn/cm)大きい、請求項11乃至16のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項18】
前記親水性コーティングの表面の表面エネルギーは、前記潤滑剤の表面エネルギーよりも少なくとも0.010N/m(10dyn/cm)大きい、請求項11乃至16のいずれか一項に記載の間欠式カテーテル。
【請求項19】
間欠式カテーテルを製造する方法であって、
潤滑剤が固体状態から液体状態に遷移するように、前記潤滑剤のリザーバを加熱することと、
前記潤滑剤が液体状態であるときに、間欠式カテーテルのカテーテルチューブの少なくとも遠位部分を前記リザーバ内に浸漬することにより、前記カテーテルチューブの少なくとも前記遠位部分の表面上に前記潤滑剤を配置することと、
前記潤滑剤が該潤滑剤の前記液体状態から前記固体状態に遷移するように、前記カテーテルチューブの前記表面上に配置された前記潤滑剤を冷却可能とすることと
を含む方法。
【請求項20】
前記潤滑剤は、21℃(70°F)乃至35℃(95°F)の融点を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記潤滑剤は、天然油脂、合成油脂、またはそれらの組み合わせである、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
潤滑剤は、ココナッツ油、ココアバター、パーム油、シアバター、またはそれらの混合物である、請求項19乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
請求項19乃至22のいずれか一項に記載の方法は、前記カテーテルチューブを前記リザーバ内に浸漬する前に、前記カテーテルチューブの前記表面を改質すべく、前記カテーテルチューブの少なくとも前記遠位部分をプラズマ処理で処理することをさらに含む方法。
【請求項24】
前記カテーテルチューブは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリ塩化ビニル、およびゴムから選択されるポリマー材料からなる、請求項19乃至23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記カテーテルチューブを前記リザーバ内に浸漬することは、前記カテーテルチューブを前記潤滑剤内に5乃至7秒間滞留させることを含む、請求項19乃至24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
請求項19乃至25のいずれか一項に記載の方法は、前記カテーテルチューブを前記リザーバ内に浸漬した後に、前記カテーテルチューブを前記リザーバから徐々に引き抜くことをさらに含む方法。
【請求項27】
請求項19乃至26のいずれか一項に記載の方法は、前記カテーテルチューブの前記表面上に配置された前記潤滑剤が所望の厚みとなるまで、前記カテーテルチューブの前記リザーバ内への浸漬を繰り返すことをさらに含む方法。
【請求項28】
請求項19乃至27のいずれか一項に記載の方法は、前記カテーテルチューブの前記表面上に配置された前記潤滑剤を冷却可能とするために、前記間欠式カテーテルをラックに吊るすことをさらに含む方法。
【請求項29】
間欠式カテーテルを製造する方法であって、
間欠式カテーテルのカテーテルチューブの少なくとも遠位部分の表面上に親水性コーティングを配置することと、
潤滑剤が固体状態から液体状態に遷移するように、前記潤滑剤のリザーバを加熱することと、
前記潤滑剤が液体状態であるときに、前記カテーテルチューブの少なくとも前記遠位部分を前記リザーバ内に浸漬することにより、前記親水性コーティング上に前記潤滑剤を配置することと、
前記潤滑剤が該潤滑剤の液体状態から固体状態に遷移するように、前記親水性コーティング上に配置された前記潤滑剤を冷却可能とすることと
を含む方法。
【請求項30】
前記潤滑剤は、21℃(70°F)乃至35℃(95°F)の融点を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記潤滑剤は、天然油脂、合成油脂、またはそれらの組み合わせである、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記潤滑剤は、ココナッツ油、ココアバター、パーム油、シアバター、またはそれらの混合物である、請求項29乃至31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記カテーテルチューブを前記リザーバ内に浸漬することは、前記カテーテルチューブを前記潤滑剤内に5乃至7秒間滞留させることを含む、請求項29乃至32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
請求項29乃至33のいずれか一項に記載の方法は、前記カテーテルチューブを前記リザーバ内に浸漬した後、前記カテーテルチューブを前記リザーバから徐々に引き抜くことをさらに含む方法。
【請求項35】
請求項29乃至34のいずれか一項に記載の方法は、前記親水性コーティング上に配置された前記潤滑剤が所望の厚みとなるまで、前記カテーテルチューブの前記リザーバ内への浸漬を繰り返すことをさらに含む方法。
【請求項36】
請求項29乃至35のいずれか一項に記載の方法は、前記カテーテルチューブの前記表面上に配置された前記潤滑剤を冷却可能とするために、前記間欠式カテーテルをラックに吊るすことをさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
間欠式カテーテルを尿道に挿入するために、間欠式カテーテルは一般に潤滑の必要がある。一例において、乾燥間欠式カテーテルは、尿道挿入の前に潤滑剤の塗布によって手動で潤滑される。別の例では、水活性化親水性コーティングでコーティングされた間欠式カテーテルが、尿道挿入に使用される。水は、水と接触すると直ちに親水性コーティングを膨潤させ、尿道挿入のために間欠式カテーテルに非常に滑らかな表面を形成する。間欠式カテーテルの水活性化親水性コーティングを濡らすことは、間欠式カテーテルを保持するパッケージに含まれる水の小袋を破裂させ、続いて尿道挿入の前にパッケージ内の水中でカテーテルを前後に動かすことによって達成される。さらに別の例では、間欠式カテーテルは、尿道挿入のためにパッケージ内ですでに湿潤されている。上記の各場合において、間欠的カテーテルは、尿道挿入の間、ならびにその後、例えば間欠式カテーテルを廃棄するときに、取り扱うのに汚れることがある。尿道挿入の前後の両方で清潔で汚れのない間欠式カテーテルが必要とされている。
【発明の概要】
【0002】
本明細書に開示されるのは、上記に対処する間欠式カテーテルおよび方法である。
本明細書で開示されるのは、間欠式カテーテルであり、いくつかの実施形態では、間欠式カテーテルは、カテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの少なくとも遠位部分の表面上に配置された潤滑剤と、前記カテーテルチューブの近位部分に結合された漏斗とを含む。前記カテーテルチューブはポリマー材料からなる。潤滑剤は、患者またはユーザの尿道に挿入時に、固体状態から液体状態に遷移するように構成されている。前記漏斗は、尿を排泄するために前記漏斗の近位端に漏斗開口を含む。
【0003】
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、該潤滑剤からなる粒子の形態で前記カテーテルチューブの前記表面上に配置される。
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は実質的に水を含まない。
【0004】
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、21℃(70°F)乃至35℃(95°F)の融点を有する。
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、天然油脂、合成油脂、またはそれらの組み合わせである。
【0005】
いくつかの実施形態において、潤滑剤は、ココナッツ油、ココアバター、パーム油、シアバター、またはそれらの混合物である。
いくつかの実施形態において、前記ポリマー材料は、熱可塑性ポリウレタン(TPU:thermoplastic polyurethane)、シリコーン、ポリ塩化ビニル、またはゴムである。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記カテーテルチューブの前記表面は、プラズマ処理によって改質される。
いくつかの実施形態では、前記カテーテルチューブの前記表面における前記ポリマー材料の表面エネルギーは、前記潤滑剤の表面エネルギーよりも少なくとも0.005N/m(5dyn/cm)大きい。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記カテーテルチューブの前記表面における前記ポリマー材料の表面エネルギーは、前記潤滑剤の表面エネルギーよりも少なくとも0.01N/m(10dyn/cm)大きい。
【0008】
また、本明細書で開示されるのは、別の間欠式カテーテルであり、いくつかの実施形態では、間欠式カテーテルは、前記カテーテルチューブの少なくとも遠位部分の表面上に配置された親水性コーティングと、前記親水性コーティング上に配置された潤滑剤と、前記カテーテルチューブの近位部分に結合された漏斗とを含む。前記カテーテルチューブはポリマー材料からなる。潤滑剤は、患者またはユーザの尿道に挿入時に、固体状態から液体状態に遷移するように構成されている。前記漏斗は、尿を排泄するために前記漏斗の近位端に漏斗開口を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、該潤滑剤からなる粒子の形態で前記親水性コーティング上に配置される。
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は実質的に水を含まない。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、21℃(70°F)乃至35℃(95°F)の融点を有する。
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、天然油脂、合成油脂、またはそれらの組み合わせである。
【0011】
いくつかの実施形態において、潤滑剤は、ココナッツ油、ココアバター、パーム油、シアバター、またはそれらの混合物である。
いくつかの実施形態では、前記親水性コーティングの表面の表面エネルギーは、前記潤滑剤の表面エネルギーよりも少なくとも0.005N/m(5dyn/cm)大きい。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記親水性コーティングの表面の表面エネルギーは、前記潤滑剤の表面エネルギーよりも少なくとも0.01N/m(10dyn/cm)大きい。
また、本明細書に開示されるのは、間欠式カテーテルを製造する方法である。方法は、いくつかの実施形態において、加熱工程、潤滑剤配置工程、および冷却工程を含む。前記加熱工程は、潤滑剤が固体状態から液体状態に遷移するように、前記潤滑剤のリザーバを加熱することを含む。前記潤滑剤配置工程は、前記潤滑剤が液体状態であるときに、間欠式カテーテルのカテーテルチューブの少なくとも遠位部分を前記リザーバ内に浸漬することを含む。前記潤滑剤配置工程は、前記カテーテルチューブの少なくとも前記遠位部分の表面上に前記潤滑剤を配置する。前記冷却工程は、前記潤滑剤が該潤滑剤の液体状態から固体状態に遷移するように、前記カテーテルチューブの表面上に配置された前記潤滑剤を冷却可能とすることを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、21℃(70°F)乃至35℃(95°F)の融点を有する。
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、天然油脂、合成油脂、またはそれらの組み合わせである。
【0014】
いくつかの実施形態において、潤滑剤は、ココナッツ油、ココアバター、パーム油、シアバター、またはそれらの混合物である。
いくつかの実施形態では、前記方法は、表面改質工程をさらに含む。前記表面改質工程は、前記潤滑剤配置工程の前に、前記カテーテルチューブの前記表面を改質すべく、前記カテーテルチューブの少なくとも前記遠位部分をプラズマ処理で処理することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記カテーテルチューブは、TPU、シリコーン、ポリ塩化ビニル、およびゴムから選択されるポリマー材料からなる。
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤配置工程は、前記カテーテルチューブを潤滑剤内に5乃至7秒間滞留させることを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記方法は、引き抜き工程をさらに含む。前記引き抜き工程は、前記潤滑剤配置工程の後に、前記カテーテルチューブを前記リザーバから徐々に引き抜くことを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記方法は、繰り返し工程をさらに含む。前記繰り返し工程は、前記カテーテルチューブの表面上に配置された前記潤滑剤が所望の厚みとなるまで、前記潤滑剤配置工程を繰り返すことを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記方法は、吊り下げ工程をさらに含む。前記吊り下げ工程は、前記冷却工程のために前記間欠式カテーテルをラックに吊り下げることを含む。
また、本明細書に開示されるのは、別の間欠式カテーテルを製造する方法である。方法は、いくつかの実施形態において、親水性コーティング配置工程、加熱工程、潤滑剤配置工程、および冷却工程を含む。前記親水性コーティング配置工程は、間欠式カテーテルのカテーテルチューブの少なくとも遠位部分の表面上に親水性コーティングを配置することを含む。前記加熱工程は、潤滑剤が固体状態から液体状態に遷移するように、前記潤滑剤のリザーバを加熱することを含む。前記潤滑剤配置工程は、前記潤滑剤が液体状態であるときに、前記カテーテルチューブの少なくとも前記遠位部分を前記リザーバ内に浸漬することを含む。前記潤滑剤配置工程は、前記親水性コーティング上に前記潤滑剤を配置する。前記冷却工程は、前記潤滑剤が該潤滑剤の液体状態から固体状態に遷移するように、前記親水性コーティング上に配置された前記潤滑剤を冷却可能とすることを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、21℃(70°F)乃至35℃(95°F)の融点を有する。
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤は、天然油脂、合成油脂、またはそれらの組み合わせである。
【0020】
いくつかの実施形態において、潤滑剤は、ココナッツ油、ココアバター、パーム油、シアバター、またはそれらの混合物である。
いくつかの実施形態では、前記潤滑剤配置工程は、前記カテーテルチューブを潤滑剤内に5乃至7秒間滞留させることを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記方法は、引き抜き工程をさらに含む。前記引き抜き工程は、前記潤滑剤配置工程の後に、前記カテーテルチューブを前記リザーバから徐々に引き抜くことを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記方法は、繰り返し工程をさらに含む。前記繰り返し工程は、前記親水性コーティング上に配置された前記潤滑剤が所望の厚みとなるまで、前記潤滑剤配置工程を繰り返すことを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記方法は、吊り下げ工程をさらに含む。前記吊り下げ工程は、前記冷却工程のために前記間欠式カテーテルをラックに吊り下げることを含む。
また、本明細書に開示されるのは、間欠式カテーテルを使用する方法である。方法は、いくつかの実施形態において、取得工程、取り出し工程、挿入工程、および排泄工程を含む。前記取得工程は、外装内に配置された間欠式カテーテルを含む、包装された間欠式カテーテルを取得することを含む。前記間欠式カテーテルのカテーテルチューブは、該カテーテルチューブの少なくとも遠位部分の表面上に配置された固体状態にある潤滑剤を含む。前記取り出し工程は、前記間欠式カテーテルの漏斗によって前記間欠式カテーテルを前記外装から取り出すことを含む。前記挿入工程は、前記カテーテルチューブを尿道に挿入することを含む。前記挿入と同時に、前記カテーテルチューブの前記表面上に配置された前記潤滑剤は、前記カテーテルチューブの潤滑のために液体状態に遷移する。前記排泄工程は、膀胱から尿を排泄することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記方法は、引き抜き工程をさらに含む。前記引き抜き工程は、前記排泄工程の後に、前記カテーテルチューブを前記膀胱から引き抜くことを含む。前記引き抜き工程と同時に、前記間欠式カテーテルの清潔で汚れのない処分のために、前記カテーテルチューブの前記表面上に配置された任意の残りの潤滑剤は固体状態に遷移する。前記潤滑剤の固体状態への遷移は、前記潤滑剤を体温より低い周囲温度にさらすことに従う。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、配置工程および再密閉工程をさらに含む。前記配置工程は、前記間欠式カテーテルを前記外装内に配置することを含む。前記再密閉工程は、前記間欠式カテーテルを前記外装内に再び密閉することを含む。前記再密閉工程は、前記間欠式カテーテルからの残尿漏れを防止する。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記方法は、配置工程をさらに含む。前記配置工程は、前記間欠式カテーテルを配置することを含む。
本明細書で提供される概念のこのよう特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】いくつかの実施形態による男性用間欠式カテーテルを示す。
【
図2】いくつかの実施形態による女性用間欠式カテーテルを示す。
【
図3】いくつかの実施形態による男性用間欠式カテーテルの使用方法を示す。
【
図4】いくつかの実施形態による女性用間欠式カテーテルの使用方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0029】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数の工程のグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。加えて、前述の特徴またはステップのいずれかは、1つまたは複数の特徴もしくはステップをさらに含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0030】
「近位」に関しては、例えば、カテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者またはユーザに使用される場合、臨床医の近くにあることを意図した針の部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者またはユーザに使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者またはユーザに使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0031】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者またはユーザに使用される場合、患者またはユーザの近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者またはユーザに使用される場合、患者またはユーザの近くまたは患者またはユーザ内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者またはユーザに使用される場合、患者またはユーザの近くまたは患者またはユーザ内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0032】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
間欠式カテーテル
図1および
図2は、いくつかの実施形態による男性用間欠式カテーテル100および女性用間欠式カテーテル200をそれぞれ示す。
【0033】
図示のように、間欠式カテーテル100または200は、カテーテルチューブ102または202と、カテーテルチューブ102または202の近位部分に結合された漏斗104とを含む。カテーテルチューブ102または202は、該カテーテルチューブ102または202の少なくとも遠位部分の表面上に、カテーテルチューブ102または202の全体にわたって配置された潤滑剤106を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、カテーテルチューブ102または202は、該カテーテルチューブ102または202の少なくとも遠位部分の表面上に、カテーテルチューブ102または202の全体にわたって配置された親水性コーティングを含み、潤滑剤106が親水性コーティング上に配置される。カテーテルチューブ102または202および漏斗104についての説明は、下記に記載されており、潤滑剤106についての説明は、以下に記載される。
【0034】
カテーテルチューブ102とカテーテルチューブ202は、カテーテルチューブ102がカテーテルチューブ202よりも長いという点で異なるが、カテーテルチューブ102および202の各カテーテルチューブは、カテーテル先端110の周りに複数のアイレット108を含む。アイレット108は、後述する漏斗開口112と流体連通している。さらに、カテーテルチューブ102および202の各カテーテルチューブは表面を含めて、ポリマー材料からなる。ポリマー材料は、TPU、シリコーン、ポリ塩化ビニル、またはゴムである。ゴムは、天然ゴム、合成ゴム、またはそれらの組合せ、例えば天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとのブレンドを含むレッドゴムであり得る。任意選択的に、カテーテルチューブ102または202の表面は、カテーテルチューブ102または202の表面におけるポリマー材料の表面エネルギーSEを増加させるためにプラズマ処理によって改質される。プラズマ処理の有無にかかわらず、カテーテルチューブ102または202の表面におけるポリマー材料の表面エネルギーSEは、潤滑剤の表面エネルギーよりも少なくとも0.005N/m(5dyn/cm)、0.010N/m(10dyn/cm)、0.015N/m(15dyn/cm)、または0.020N/m(20dyn/cm)大きい。
【0035】
漏斗104は、尿を排泄するためにカテーテルチューブ102または202の反対側の漏斗104の近位端に開口する漏斗開口112を含む。アイレット112は、後述する漏斗開口108と流体連通している。加えて、漏斗104は、漏斗104の外面に一体化された複数のリッジ114を含む。リッジ114は、以下に記載されるパッケージ化された間欠式カテーテル118または218の外装116または216から間欠式カテーテル100または200を取り出す間、ハンドルとして漏斗104を把持するように構成される。これに加えて又はこれに代えて、リッジ114は、間欠式カテーテル100または200を尿道に挿入する間、ハンドルとして漏斗104を把持するように構成されている。
【0036】
図3または
図4に示すように、間欠式カテーテル100または200は、包装された間欠式カテーテル118または218を形成するために外装116または216内に配置され得る。特に、外装116または216内に配置された間式欠カテーテル100または200は、実質的に水を含まない固体状態にある潤滑剤106を含む。
【0037】
潤滑剤
ここでも、潤滑剤106は、該カテーテルチューブ102または202の少なくとも遠位部分の表面上に、カテーテルチューブ102または202の全体にわたって配置される。しかしながら、いくつかの実施形態では、潤滑剤106は、カテーテルチューブ102または202の表面上の親水性コーティング(存在する場合)上に配置される。
【0038】
潤滑剤106は、標準温度および標準気圧(NTP:normal temperature and pressure)より下で固体状態を有し、NTPより上で液体状態を有する。NTPは、米国標準技術局(NIST:National Institute of Standards and Technology)に従って20℃(68°F)の温度および101kPa(760mmHg)の気圧として定義される。このような潤滑剤は、間欠式カテーテル100または200が、パッケージ化された間欠式カテーテル118または218としてパッケージ化されて保管されている間、または尿管内に挿入される直前などに、潤滑剤106が20℃(68°F)未満の固体状態を有するという点で有利である。また、固体状態の潤滑剤106は、親水性コーティングまたはカテーテルチューブ102または202の表面上に比較的乾燥した微粒子の形態をとることができるという点で、清浄で汚れがないという利点がある。潤滑剤106は、0.5%未満の水、例えば0.3%未満、0.2%未満、または0.1%未満の水のように1%未満の水を含むが、実質的に水を含まない。潤滑剤106は、患者またはユーザの尿道に挿入されるとすぐに潤滑剤106が液体状態に遷移するように、潤滑剤106が20℃(68°F)より上で液体状態を有するという点でさらに有利である。
【0039】
前述の潤滑剤は、21℃(70°F)乃至35℃(95°F)の融点を有する天然油脂、半合成油脂、合成油脂、またはそれらの組合せなどの油脂であってもよい。例えば、潤滑剤106は、ココナッツ油(融点24℃(76°F))、カカオバター(融点34℃(93°F))、パーム油(融点35℃(95°F))、シアバター(融点32℃(90°F))、またはそれらの混合物を含む天然脂肪を含むことができるが、これらに限定されない。硬化ココナッツ油などの硬化天然油脂を含む半合成油脂を使用することにより、より暖かい環境で所望されるように潤滑剤106の融点を上昇させることができる。本明細書では融点が使用されるが、溶融は、例えば最も純粋な材料であっても0.56乃至1.1℃(2乃至3°F)の小さな温度範囲にわたって生じる物理的変化であることを理解されたい。潤滑剤106はその液体状態で非常に滑らかであるだけでなく、ココナッツ油などの特定の油脂は、そのような油脂が皮膚の健康および泌尿器系などの器官の健康に有益であり得るという点で、潤滑剤106としてさらに有利である。実際、ココナッツ油は、抗酸化特性および抗菌特性さえ有しており、尿路感染症(UTI:urinary tract infection)を軽減するのに役立ち得る。
【0040】
潤滑剤106(例えば、パーム油)の湿潤性または展延性は、潤滑剤106およびカテーテルチューブ102または202の表面の表面エネルギーSEによって支配されるようである。このような湿潤性は、液体状態の潤滑剤106の広がりパラメータSを考慮することによって理解することができる。ここで、Sは、以下の式のように、付着仕事量Waと凝集仕事量Wcとの間の差を表す。
【0041】
S=Wa-Wc=γS-(γSL+γL) 式1
式1において、γSは、カテーテルチューブ102または202の表面などの固体の表面エネルギーであり、γLは、液体状態の潤滑剤106などの液体の表面張力であり、γSLは、固体と液体との間の界面張力である。液体状態の潤滑剤106がカテーテルチューブ102または202の表面上に広がるためには、S≧0であることが望ましい。液体状態の潤滑剤106をカテーテルチューブ102または202の表面上に非常によく行き渡らせるためには、S≧10であることが望ましい。例えば、ココナッツ油は、液体状態で0.027N/m(27.413dyn/cm)の表面張力を有する。ココナッツ油がカテーテルチューブ102または202の表面を適切に湿潤するために、カテーテルチューブ102または202の表面の表面エネルギーSEは、ココナッツ油の表面エネルギーSEよりも少なくとも0.010N/m(10dyn/cm)以上大きい必要がある。しかしながら、そのような条件が満たされない場合、カテーテルチューブ102または202の表面は、カテーテルチューブ102または202の表面の適切な湿潤のためにSEを増加させる上述のようなプラズマ処理で処理され得る。
【0042】
方法
間欠式カテーテル100または200の方法は、間欠式カテーテル100または200を製造する方法を含む。例えば、間欠式カテーテル100または200を製造する方法は、表面改質工程、親水性コーティング配置工程、加熱工程、潤滑剤配置工程、引き出し工程、繰り返し工程、吊り下げ工程、冷却工程、および包装工程から選択される1つまたは複数の工程を含むことができる。
【0043】
実施される場合、表面改質工程は、親水性コーティング配置工程、潤滑剤配置工程、またはその両方を実施する前に、カテーテルチューブ102または202の少なくとも遠位部分の表面上に、カテーテルチューブ102または202の全体にわたってプラズマ処理で処理して、カテーテルチューブ102または202の処理した表面を改質することを含む。上述したように、カテーテルチューブ102または202の表面を含むカテーテルチューブ102または202は、TPU、シリコーン、ポリ塩化ビニル、およびゴムから選択されるポリマー材料からなる。
【0044】
実施される場合、親水性コーティング配置工程は、カテーテルチューブ102または202の少なくとも遠位部分の表面上に、カテーテルチューブ102または202の全体にわたって親水性コーティングを配置することを含む。
【0045】
加熱工程は、潤滑剤106が固体状態から液体状態に遷移するように、潤滑剤106のリザーバを加熱することを含む。上述したように、固体状態の潤滑剤106は20℃(68°F)より下であり、液体状態の潤滑剤106は20℃(68°F)より上である。例えば、潤滑剤106は、それぞれ24℃(76°F)、93°F、95°F、90°Fの融点を有するココナッツ油、カカオバター、パーム油、またはシアバターなど、70°F乃至95°F(両端を含む)の融点を有することができる。潤滑剤106が加熱工程の間および潤滑剤配置工程などの特定の後続の工程の間に液体状態を維持することを確実にするために、潤滑剤106のリザーバは、潤滑剤106の融点より高い温度、例えば潤滑剤106の融点より2.8℃(5°F)、5.6℃(10°F)、8.4℃(15°F)、11.2℃(20°F)、または14.0℃(25°F)高い温度に加熱され得る。例えば、潤滑剤106がココナッツ油である場合、潤滑剤106のリザーバは少なくとも約37.8℃(約100°F)に加熱され得る。
【0046】
潤滑剤配置工程は、潤滑剤106が液体状態である場合に、カテーテルチューブ102または202の少なくとも遠位部分を、最大でカテーテルチューブ102または202の全体をリザーバ内に浸漬することを含む。また、潤滑剤配置工程は、カテーテルチューブ102または202を潤滑剤106内に5乃至7秒間滞留させることによって、カテーテルチューブ102または202の表面の親水性コーティングまたは1つ以上の表面要素(例えば、細孔、荷電種等)と相互作用するのに十分な時間を潤滑剤106に提供することを含む。潤滑剤配置工程は、親水性コーティングがカテーテルチューブ102または202の表面上に配置されている場合、潤滑剤106を親水性コーティング上に配置する。あるいは、親水性コーティングがカテーテルチューブ102または202の表面上に配置されていない場合、潤滑剤配置工程は、カテーテルチューブ102または202の表面上に潤滑剤106を配置する。
【0047】
引き抜き工程は、潤滑剤配置工程の後に、カテーテルチューブ102または202をリザーバから徐々に引き抜くことを含む。特に、いくつかの実施形態では、引き抜き工程を潤滑剤配置工程の一部とみなすことができる。いずれにしても、引き抜き工程は、親水性コーティングもしくはカテーテルチューブ102または202の表面上に最初に配置された潤滑剤106に、それらの間の界面においてリザーバ内の潤滑剤106と熱的に平衡するのに十分な時間を提供するものであり、これは、親水性コーティングもしくはカテーテルチューブ102または202の表面上の潤滑剤106の厚さに影響を及ぼし得る。
【0048】
繰り返し工程が潤滑剤配置工程の一部ではない場合、繰り返し工程は、カテーテルチューブ102または202の親水性コーティングまたは表面上の潤滑剤106が所望の厚みとなるまで、潤滑剤配置工程および引き抜き工程を繰り返すことを含む。表面エネルギーSEに応じて、いくつかの実施形態では繰り返し工程を実行する必要はない。すなわち、他の実施形態では、繰り返し工程は、1回、2回、3回、または4回以上の回数を含む任意の回数を実施することができる。例えば、カテーテルチューブ102または202の表面を含むカテーテルチューブ102または202がシリコーンまたはPVCである場合、シリコーンおよびPVCのより低い表面エネルギーのために、繰り返し工程は1回または複数回行われ得る。しかしながら、カテーテルチューブ102または202の表面を含むカテーテルチューブ102または202がTPUであり、かつ潤滑剤106がココナッツ油である場合、繰り返し工程は行う必要がない。
【0049】
吊り下げ工程は、冷却工程のために間欠式カテーテル100または200をラックに吊り下げることを含む。
冷却工程は、潤滑剤106が該潤滑剤106の液体状態から固体状態に遷移するように、親水性コーティング上またはカテーテルチューブ102または202の表面上に配置された潤滑剤106を冷却可能とすることを含む。
【0050】
包装工程は、間欠式カテーテル100または200を外装116または216に包装することを含む。
間欠式カテーテル100または200の方法は、間欠式カテーテル100または200を使用する方法を含む。例えば、本方法は、取り出し工程、挿入工程、排泄工程、引き抜き工程、および配置工程から選択される1つ以上の工程を含むことができる。
【0051】
取得工程は、外装116または216内に配置された間欠式カテーテル100または200を含む包装された間欠式カテーテル118または218を取得することを含む。上述したように、親水性コーティングがカテーテルチューブ102または202の表面上に配置されている場合、間欠式カテーテル100または200は、親水性コーティング上に配置された潤滑剤106を含む。あるいは、親水性コーティングがカテーテルチューブ102または202の表面上に配置されていない場合、間欠式カテーテル100または200は、カテーテルチューブ102または202の表面上に配置された潤滑剤106を含む。
【0052】
取り出し工程は、間欠式カテーテル100または200の漏斗104によって間欠式カテーテル100または200を外装116または216から取り出すことを含む。
挿入工程は、カテーテルチューブ102または202を尿道に挿入することを含む。挿入と同時に、親水性コーティング上もしくはカテーテルチューブ102または202の表面上に配置された潤滑剤106は、カテーテルチューブ102または202の潤滑のために液体状態に遷移する。潤滑剤106の液体状態への遷移は、約37℃(約98.6°F)の体温など、20℃(68°F)を超える体温に潤滑剤106をさらすことに従う。
【0053】
前記排泄工程は、膀胱から尿を排泄することを含む。
方法は、引き抜き工程をさらに含む。引き抜き工程は、排泄工程の後に、カテーテルチューブ102または202を膀胱から引き抜くことを含む。取り出し工程と同時に、間欠式カテーテル100または200の清潔で汚れのない処分のために、親水性コーティング上もしくはカテーテルチューブ102または202の表面上に配置された任意の残りの潤滑剤106は固体状態に遷移する。潤滑剤106の固体状態への遷移は、潤滑剤106を20℃(68°F)より低い周囲温度にさらすことに従う。
【0054】
配置工程は、間欠式カテーテル100または200を外装116または216内に配置することを含む。
再密閉工程は、外装116または216内の間欠式カテーテル100または200を再密閉することを含む。再密閉工程は、間欠式カテーテル100または200からの残尿漏れを防止する。
【0055】
配置ステップは、間欠式カテーテル100または200を配置することを含む。
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
【国際調査報告】