(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】電気化学的金属堆積システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C25C 1/00 20060101AFI20240614BHJP
C25B 11/031 20210101ALI20240614BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20240614BHJP
C25B 11/065 20210101ALI20240614BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C25C1/00 301Z
C25C1/00 301A
C25B11/031
C25B11/052
C25B11/065
C22B3/44 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574582
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022031844
(87)【国際公開番号】W WO2022256457
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523451587
【氏名又は名称】エヌティーエイチ サイクル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NTH CYCLE,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベシティス,チャド
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニングス,エミリー
(72)【発明者】
【氏名】オコナー,メーガン
【テーマコード(参考)】
4K001
4K011
4K058
【Fターム(参考)】
4K001AA01
4K001AA02
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4K058BA16
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4K058BB04
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4K058CA12
(57)【要約】
金属の選択的回収のための電気化学堆積装置及び方法。電気化学堆積装置は、多孔質カソード材料と、アノードと、アノードとカソードとによって形成される電極間領域と、ガス放出チャネルとを備える。この方法は、金属を含む溶液をキャビティ内に通過させることと、金属の酸化状態を変化させることと、多孔質カソード材料上に金属を選択的に堆積させることとを含むことができる。電気化学堆積装置は、金属水酸化物の形態で金属供給物から金属を回収することができる。回収された金属は、鉱物、電子廃棄物、及び黒色塊を含むがこれらに限定されない任意の供給源からのものであり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学堆積システムであって、前記電気化学堆積システムは、
少なくとも1つの多孔質カソード材料と、
少なくとも1つのアノードと、
を備え、
前記少なくとも1つの多孔質カソード材料及び前記少なくとも1つのアノードは、電極間領域を形成し、
前記電気化学堆積システムは更に、
前記少なくとも1つの多孔質カソード材料及び前記少なくとも1つのアノードの周りに配置されたハウジングと、
少なくとも1つのガス放出チャネルと、
少なくとも1つの入口と、
少なくとも1つの出口と、
を備える、電気化学堆積システム。
【請求項2】
直列に配置された複数の電気化学堆積システムを備える、請求項1に記載の電気化学堆積システム。
【請求項3】
並列に配置された複数の電気化学堆積システムを備える、請求項1又は2に記載の電気化学堆積システム。
【請求項4】
フィルタを更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気化学堆積システム。
【請求項5】
集電体を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気化学堆積システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの多孔質カソード材料はカーボンナノチューブを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気化学堆積システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアノードは多孔質である、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気化学堆積システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの多孔質カソード材料は、約25cm
2~約10m
2の電気活性領域を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気化学堆積システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの多孔質カソード材料は触媒を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気化学堆積システム。
【請求項10】
少なくとも1つの選択膜を更に備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気化学堆積システム。
【請求項11】
金属を電気化学的に堆積させるための方法であって、
金属を含む溶液をキャビティ内に通過させることと、
前記キャビティ内に少なくとも部分的に配置された多孔質カソード材料に電荷を印加することと、
前記溶液を、前記印加された電荷を有する多孔質カソード材料と接触させることと、
前記金属の酸化状態を変化させることと、
前記金属の少なくとも一部を前記多孔質カソード材料上に選択的に堆積させることと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記溶液をアノードと接触させることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質カソード材料を酸と接触させることを更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記多孔質カソード材料をバッファと接触させることを更に含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ガスを発生させることを更に含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
浸出を更に含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記金属の前記酸化状態を変化させることは、前記金属の前記酸化状態を増大させることを含む、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液を多孔質カソード材料と接触させることは、前記溶液に前記多孔質カソード材料を横断させることを含む、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記溶液を多孔質カソード材料と接触させることは、前記溶液を前記多孔質カソード材料に通過させることを含む、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記選択的に堆積された金属を前記多孔質カソード材料から除去することを更に含む、請求項11から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月1日に出願された「Electrochemical Metal Deposition Apparatus and Method」と題する米国仮特許出願第63/195,567号、及び2021年10月29日に出願された「Electrochemical Metal Deposition Apparatus and Method」と題する米国仮特許出願第63/273,840号の出願の利益を主張し、それらの両方の仕様は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、溶液からの金属の選択的沈殿及び堆積のための電気化学システム、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
技術の進歩により、金属、材料及び化合物の必要性がますます高まっている。また、政治的及び気候上の懸念により、環境に配慮した金属回収プロセスの必要性も増大している。金属及び金属化合物のリサイクルは、エネルギー貯蔵/電池、電気自動車(「electric vehicle、EV」)、風車、及び太陽電池を含むグリーン技術及びエネルギー移行技術の開発にとって重要である。鉱物及び希土類(「rare earth、RE」)金属を含む金属は、代替エネルギー時代の石油と呼ばれてきた重要な材料であり、銅及びRE金属の需要は今後数十年で劇的に増加すると予想されている。また、寿命末期の電池及び他の金属含有製品のリサイクルの必要性も高い。具体的には、リチウム、コバルト、ニッケル、及びマンガンがこれらの金属として挙げられる。コバルト、ニッケル、及びマンガンは、多くの場合、リチウムイオン電池のカソード材料として機能する。一台の電気自動車は、1kgを超えるRE及び他の金属並びにリチウムイオン電池を含む。更に、各国は、特に重要な鉱物及び金属の生産需要を輸入に依存することが多い。
【0004】
持続可能な金属源の生成を可能にするための経済的で、エネルギー効率が高く、気候を意識したプロセスが必要とされている。本発明は、コスト及び環境への影響を抑えた方法で、混合金属資源を選択的に個々の金属生成物に分離する。本発明は、電解採取又は溶媒抽出などの古典的なエネルギー集約型湿式製錬プロセス及び乾式製錬プロセスに代わる、従来の及び従来にない国内資源からの金属回収及び分離のための高スループットの電気化学プロセスを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、電気化学堆積システムであって、電気化学堆積システムは、少なくとも1つの多孔質カソード材料と、少なくとも1つのアノードと、を備え、少なくとも1つの多孔質カソード材料及び少なくとも1つのアノードは、電極間領域を形成し、電気化学堆積システムは更に、少なくとも1つの多孔質カソード材料及び少なくとも1つのアノードの周りに配置されたハウジングと、少なくとも1つのガス放出チャネルと、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口と、を備える電気化学堆積システムに関する。一実施形態では、電気化学堆積システムは、直列に配置された複数の電気化学堆積システムを備える。一実施形態では、電気化学堆積システムは、並列に配置された複数の電気化学堆積システムを備える。
【0006】
別の実施形態では、電気化学堆積システムは、フィルタを更に備える。別の実施形態では、電気化学堆積システムは、集電体を更に備える。別の実施形態では、少なくとも1つの多孔質カソード材料は、カーボンナノチューブを含む。別の実施形態では、少なくとも1つのアノードは多孔質である。別の実施形態では、少なくとも1つの多孔質カソード材料は、約25cm2~約10m2の電気活性領域を含む。別の実施形態では、少なくとも1つの多孔質カソード材料は、触媒を含む。別の実施形態では、電気化学堆積システムは、少なくとも1つの選択膜を更に含む。
【0007】
本発明はまた、金属を電気化学的に堆積させるための方法であって、金属を含む溶液をキャビティ内に通過させることと、キャビティ内に少なくとも部分的に配置された多孔質カソード材料に電荷を印加することと、溶液を、印加された電荷を有する多孔質カソード材料と接触させることと、金属の酸化状態を変化させることと、金属の少なくとも一部を多孔質カソード材料上に選択的に堆積させることと、を含む方法に関する。一実施形態では、方法は、溶液をアノードと接触させることを更に含む。別の実施形態では、方法は、多孔質カソード材料を酸と接触させることを更に含む。別の実施形態では、本方法は、多孔質カソード材料をバッファと接触させることを更に含む。別の実施形態では、方法は、ガスを生成することを更に含む。別の実施形態では、方法は、浸出を更に含む。別の実施形態では、金属の酸化状態を変化させることは、金属の酸化状態を増大させることを含む。別の実施形態では、溶液を多孔質カソード材料と接触させることは、溶液に多孔質カソード材料を横断させることを含む。別の実施形態では、溶液を多孔質カソード材料と接触させることは、溶液に多孔質カソード材料を通過させることを含む。別の実施形態では、方法は、選択的に堆積された金属を多孔質カソード材料から除去することを更に含む。
【0008】
本発明はまた、溶液から導電性多孔質カソード材料上への金属及び金属化合物の選択的堆積のための装置に関する。本発明はまた、溶液から導電性多孔質カソード材料上に金属及び金属化合物を選択的に堆積させる方法に関する。
【0009】
本発明のシステム、装置、及び方法は、溶液からの金属の選択的堆積に使用することができる。「システム」及び「装置」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲を通して互換的に使用される。
【0010】
溶液は、リサイクル施設、スクラップ施設、採鉱作業、採鉱、石油、及びガス生産及び/又は精製からの廃棄物堆積物、化学生産施設、電子廃棄物施設、製造施設、水処理施設、科学研究施設、あるいはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な供給源に由来し得る。本発明の装置及び方法は、溶液から選択された金属を除去するために使用され得る。除去された金属は、電池、半導体、精製金属、電子部品、磁石、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の製品の製造に使用されてもよい。金属は、装置の一部への堆積によって、又は望ましくない金属が堆積された通過生成物として溶液から除去することができ、その結果、目的の金属が残されて収集される。装置及び方法は、溶液又は金属を除去、抽出、又は精製するためのより大きなプロセスにおける前処理工程又は後処理工程として使用することができる。装置及び方法の1つの利点は、溶液の実質的な前処理、すなわち複数の化学反応工程を必要とせずに、溶液からの所望の金属の選択性及び収集効率が改善されることである。本発明の装置及び方法は、他の装置及び方法と比較してより低い及びより高い効率で、1つ以上の目的の金属の選択的堆積を可能にする。
【0011】
本発明はまた、多孔質カソード材料上への少なくとも1つの金属の選択的堆積のための化学堆積装置及びシステムの使用に関する。本発明は更に、多孔質カソード材料上に少なくとも1つの金属を電気化学的に堆積させるための方法の使用に関する。
【0012】
本発明は、酸化還元反応を介して、金属化合物を形成するより容易に抽出可能な1つ以上の金属を含む溶液及び/又は化合物から金属を抽出するために使用され得る。本発明は、金属水酸化物を形成し、金属水酸化物を多孔質カソード材料上に堆積させることができる。本発明はまた、多孔質アノード材料において、又は多孔質アノード材料に近接して金属酸化物を形成するために使用されてもよい。本発明によって回収された金属及び/又は金属化合物生成物は、除去され、収集され得る。本発明は、黒色塊、鉱石、濃縮物、鉱くず、電池、磁石、非鉄スクラップ、及び使用済み電子機器を含むがこれらに限定されない材料から金属を抽出するために使用することができる。
【0013】
本発明は、電気化学堆積装置及びシステムを含む。電気化学堆積装置/システムは、金属を選択的に回収するためのフロースルー電気化学堆積システムを備えてもよい。選択的に回収された金属は、これらに限定されないが、RE金属を含み得る。選択的に回収された金属は、これらに限定されないが、ネオジム(「Nd」)、プラセオジム(「Pr」)、ジスプロシウム(「Dy」)、銅(「Cu」)、リチウム(「Li」)、ナトリウム(「Na」)、マグネシウム(「Mg」)、カリウム(「K」)、カルシウム(「Ca」)、チタン(「Ti」)、バナジウム(「V」)、クロム(「Cr」)、マンガン(「Mn」)、鉄(「Fe」)、コバルト(「Co」)、ニッケル(「Ni」)、カドミウム(「Cd」)、亜鉛(「Zn」)、アルミニウム(「Al」)、ケイ素(「Si」)、銀(「Ag」)、スズ(「Sn」)、白金(「Pt」)、金(「Au」)、ビスマス(「Bi」)、ランタン(「La」)、ユーロピウム(「Eu」)、ガリウム(「Ga」)、スカンジウム(「Sc」)、ストロンチウム(「Sr」)、イットリウム(「Y」)、ジルコニウム(「Zr」)、ニオブ(「Nb」)、モリブデン(「Mo」)、ルテニウム(「Ru」)、ロジウム(「Rh」)、パラジウム(「Pd」)、インジウム(「In」)、ハフニウム(「Hf」)、タンタル(「Ta」)、タングステン(「W」)、レニウム(「Re」)、オスミウム(「Os」)、イリジウム(「Ir」)、水銀(「Hg」)、鉛(「Pb」)、ポロニウム(「Po」)、セリウム(「Ce」)、サマリウム(「Sm」)、エルビウム(「Er」)、イッテルビウム(「Yb」)、トリウム(「Th」)、ウラン(「U」)、プルトニウム(「Pu」)、テルビウム(「Tb」)、プロメチウム(「Pm」)、テルル(「Te」)、又はそれらの組み合わせを含み得る。金属は、従来の資源(例えば、未使用鉱石)又は従来にない資源(例えば、寿命末期磁石及び電池又は石炭フライアッシュ又は鉱くず)から回収され得る。本発明は、現場で金属を処理するために既存の設備で実施することができる。本発明は、原鉱採掘と比較して、運用コスト、エネルギー要件、及びCO2排出を少なくとも約50%まで削減することができる。本発明はまた、原鉱採掘と比較して、温室効果ガス排出(例えば、製造された金属製品1kg当たり最大約280kgのCO2)を削減することができる。
【0014】
電気化学堆積装置及びシステムは、多孔質カソード材料を含んでもよい。カソードアルカリ生成を使用して、金属水酸化物を多孔質カソード材料上に堆積させてもよい。金属堆積の代替的な機構が、直接カソード還元又は直接アノード酸化又は間接酸化又は間接還元を含んでもよい。電気化学は、低速拡散性物質移動によって制限されなくてもよい。電気化学堆積装置は、フロースルーシステムを備えてもよい。フロースルーシステムは、迅速な堆積動態を維持することができる。堆積動態は、少なくとも約200g hr-1m-2の速度で起こり得る。堆積される金属は、化学式Mn+(OH)n、(Mn+)mO(n×m)/2、又はM0であってもよいが、これらに限定されない。堆積される金属は、金属炭酸塩又は硫酸塩であってもよいが、これらに限定されない。電気化学堆積装置及びシステムは、モジュール式膜状フォーマットを含んでもよい。複数の電気化学堆積装置/システムが存在してもよい。複数の電気化学堆積装置又はシステムは、並列に動作してもよい。複数の電気化学堆積装置又はシステムは、直列に動作してもよい。複数の電気化学堆積装置又はシステムを直列に動作させることにより、連続的な酸化還元プロセスを容易にすることができる。
【0015】
本発明の目的、利点、及び新規な特徴、並びに更なる適用範囲は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明に部分的に記載され、部分的には以下を検討することによって当業者に明らかになり、又は本発明の実施によって習得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の1つ以上の実施形態を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、本発明の1つ以上の実施形態を例示するためのものにすぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。図面において、
【0017】
【
図1】多孔質カソード材料及びアノードを通って流れる供給物を示す、本発明の電気化学堆積の図である。
【0018】
【
図2】不透過性境界を備える本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0019】
【
図3】不透過性境界と2つの多孔質カソード材料とを積層構成で備える本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0020】
【
図4】不透過性境界と、2つの多孔質カソード材料の間に配置されたアノードとを備える本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0021】
【
図5】多孔質カソード材料及びアノードを横断及び/又は通過する各透過流を含む本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0022】
【
図6】最初に多孔質カソード材料を横断及び/又は通過し、次いでアノードを横断及び/又は通過する各透過流を含む本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0023】
【
図7】最初にアノードを横断及び/又は通過し、次いで多孔質カソード材料を横断及び/又は通過する各透過流を含む本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0024】
【
図8】積層構成の多孔質カソード材料及びアノードを示す、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0025】
【
図9】積層構成にあり、異なる供給流及び/又は透過流を有する多孔質カソード材料及びアノードを示す、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0026】
【
図10】2つの供給源を示す、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0027】
【
図11】中央区画内で合流して単一の透過液を形成する2つの供給源を備える、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0028】
【
図12】電極間領域で混合して混合透過液を形成する外部からの流入流を含む、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0029】
【
図13】電極間領域で混合して混合透過液を形成する外部からの流入流を含み、各外部からの流入流は、多孔質カソード材料及びアノードを横断及び/又は通過する、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0030】
【
図14】電極間領域で混合して混合透過液を形成する外部からの流入流を含み、各外部からの流入流は、最初にアノードを横断及び/又は通過し、次いで多孔質カソード材料を横断及び/又は通過する、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0031】
【
図15】電極間領域内で混合して混合透過液を形成する外部からの流入流を含み、各外部からの流入流は、最初に多孔質カソード材料を横断及び/又は通過し、次いでアノードを横断及び/又は通過する、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0032】
【
図16】複数の並列に動作する多孔質カソード材料及びアノードを備え、複数の供給物が多孔質カソード材料及びアノードと接触している、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0033】
【
図17】複数の並列に動作する多孔質カソード材料及びアノードを備え、複数の供給物が多孔質カソード材料又はアノードのいずれかと接触している、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0034】
【
図18】直列に動作する多孔質カソード材料及びアノードを備え、供給物が多孔質カソード材料及びアノードと接触している、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0035】
【
図19】直列に動作する多孔質カソード材料及びアノードを備え、供給物が多孔質カソード材料又はアノードと接触している、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0036】
【
図20】金属酸化物堆積のための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0037】
【
図21】非イオン性金属堆積のための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0038】
【
図22】センターフロー設計を有する本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0039】
【
図23】Ni
2+イオンが堆積されて水酸化ニッケルに変換される、電気化学堆積装置の一実施形態の図である。
【0040】
【
図24】酸化マンガンの沈殿のための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0041】
【
図25】酸化マンガン(MnO
2)の沈殿及びNiCo混合水酸化物沈殿物(mixed hydroxide precipitate、「MHP」)の抽出のための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0042】
【
図26】MnO
2の沈殿及び濾過、Ni及びCoの再利用、並びにNiCo混合水酸化物沈殿物(「MHP」)の抽出のための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0043】
【
図27】MnO
2の沈殿のために中央区画内で合流する電解質及びニッケル-マンガン-コバルト源を備える、本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0044】
【
図28】MnO
2の沈殿及び抽出、並びに水酸化コバルト(III)(Co(OH)
3)及びオキシ水酸化コバルト(III)(CoOOH)の形成のための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0045】
【
図29】MnO
2の沈殿及び抽出、水酸化コバルト(III)(Co(OH)
3)及びオキシ水酸化コバルト(III)(CoOOH)の形成、並びにCoOOHの抽出のための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0046】
【
図30】固体ニッケル-マンガン-コバルト酸化物(solid nickel-manganese-cobalt oxide、NMC
(s))を形成するための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0047】
【
図31】水酸化鉄(III)(Fe(OH)
3)、酸化鉄(III)(Fe
2O
3)、及び水酸化ニッケル(Ni(OH)
2)を形成するための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0048】
【
図32】炭酸リチウム(Li
2CO
3)を形成するための本発明の電気化学堆積装置の図である。
【0049】
【
図33】フィルタプレート及び細長い集電体を備える電気化学堆積装置における流れの配置の図である。
【0050】
【
図34】フィルタプレート及びメッシュを備える電気化学堆積装置におけるプレート構成の図である。
【0051】
【
図35】フィルタプレートを備える電気化学堆積装置における流れの配置の図であり、アノード又は多孔質カソード材料のいずれかが、交互のパターンでフィルタプレートの両側に少なくとも部分的に配置されている。
【0052】
【
図36】フィルタプレートを備える電気化学堆積装置における流れの配置の図であり、アノード及び多孔質カソード材料が、フィルタプレートの各側に少なくとも部分的に配置されている。
【0053】
【
図37】センターフロー式電気化学堆積装置を示す図である。
【0054】
【
図38】電気化学堆積装置用のフィルタプレートの概略図である。
【0055】
【
図39】黒色塊再利用のための各方法工程に関連する本発明の構成要素及び装置の金属分離方法の写真付きフロー概略図である。
【0056】
【
図40】電気化学堆積装置を使用して焼成Niスクラップをアップグレードするプロセスフロー図である。
【0057】
【
図41】個々の部品を示す電気化学堆積装置の一実施形態の拡大図である。
【0058】
【
図42】流体の流れ及び電気の流れを示す電気化学堆積装置の一実施形態の正面切欠図である。
【0059】
【
図43】電気化学堆積装置の一実施形態の外部ハウジングを示す図である。
【0060】
【
図44】ガス放出オリフィスを示す中央プレート構成要素の斜視側面図である。
【0061】
【
図45】多孔質カソード材料に垂直なポートを有する電気化学堆積装置の一実施形態の多孔質カソード材料側の図である。
【0062】
【
図46】多孔質カソード材料に平行なポートを有する電気化学堆積装置の一実施形態の多孔質カソード材料側の図である。
【0063】
【
図47】ガス放出弁を有する電気化学堆積装置の一実施形態のアノード側の図である。
【0064】
【
図48】多孔質カソード材料に垂直なポートを有する電気化学堆積装置の一実施形態の多孔質カソード材料プレートの図である。
【0065】
【
図49】多孔質カソード材料に平行なポートを有する電気化学堆積装置の一実施形態の多孔質カソード材料プレートの図である。
【0066】
【
図50】電気化学堆積装置の一実施形態の枠組プレートの図である。
【0067】
【
図51】電気化学堆積装置を使用した金属生成物の生成を示すプロセスフロー図である。
【0068】
【
図52】電気化学堆積装置を使用した選択金属の濃縮プロセスを示すプロセスフロー図である。
【0069】
【
図53】電気化学堆積装置を使用した黒色塊からの金属生成物の生成を示すプロセスフロー図である。
【0070】
【
図54】本発明の電気化学堆積装置の一実施形態を示す図である。
【0071】
【
図55】電気化学堆積装置の一実施形態のためのプレート及びハウジングを備えるプレートシステムを示す図である。
【0072】
【
図56】電気化学堆積装置の一実施形態のプレート、ハウジング、自動化システム、電源、弁、フローモニタ、及びハウジングを示す図である。
【0073】
【
図57】電気化学堆積装置の一実施形態のプレート、ハウジング、自動化システム、電源、弁、フローモニタ、及びハウジングを示す図である。
【0074】
【0075】
【
図59】電気化学堆積装置を使用してイルメナイト鉱石からTi及びFeを抽出するプロセスフロー図である。
【0076】
【
図60】Co生成物、Ni生成物、及びMn生成物を生成するための、電気化学堆積装置を組み込んだプロセスフロー図である。
【0077】
【
図61】本発明の電気化学堆積装置/方法の合成Nd水溶液及び実廃棄物(例えば、実際の磁石抽出物)に対する電気化学的性能を示すグラフである。
【0078】
【
図62】供給物が合成電池多孔質カソード材料流である場合のCo堆積及び回収の堆積速度対透過流量を示すグラフである。
【0079】
【
図63】供給物が合成電池多孔質カソード材料流である場合のNi堆積及び回収の堆積速度対透過流量を示すグラフである。
【0080】
【
図64】供給物が合成電池多孔質カソード材料流である場合の、SEM及びEDSによって特徴付けられる全電着金属の一部としての正規化された金属原子のパーセンテージを示すグラフである。
【0081】
【
図65】供給物が黒色塊抽出物である場合のCo堆積及び回収の堆積速度対透過流量を示すグラフである。
【0082】
【
図66】供給物が黒色塊抽出物である場合のNi堆積及び回収の堆積速度対透過流量を示すグラフである。
【0083】
【
図67】供給物が黒色塊抽出物である場合の、ICP-MS、SEM及びEDSによって特徴付けられる全電着金属の一部としての正規化された金属原子のパーセンテージを示すグラフである。
【0084】
【
図68】50時間の一定の多孔質カソード材料寿命での金属堆積速度の関数としての単位利益マージンを示すグラフである。
【0085】
【
図69】一定の金属堆積速度での多孔質カソード材料寿命の関数としての単位利益マージンを示すグラフである。
【0086】
【
図70】供給物が合成電池多孔質カソード材料流である場合の、電気化学堆積装置上で収集され乾燥された金属酸化物沈殿物を示す一連のSEM画像である。
【0087】
【
図71】供給物が黒色塊抽出物である場合の、電気化学堆積装置上で収集及び乾燥された金属酸化物沈殿物を示す一連のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
発明の詳細な説明
本発明は、電気化学堆積装置、システム、及び方法に関する。本発明は、酸化還元反応を介して、金属化合物を形成する容易に抽出可能な1つ以上の金属を含む溶液及び/又は化合物から金属を抽出するために使用され得る。酸化還元反応は、所与の金属の電荷を、例えば2+の電荷から1+又は3+の電荷に変化させることができる。本発明は、金属水酸化物を形成し、金属水酸化物を多孔質カソード材料上に堆積させることができる。本発明はまた、多孔質アノード材料において、又は多孔質アノード材料に近接して金属酸化物を形成するために使用されてもよい。金属水酸化物又は金属酸化物を選択的に形成して、不純物として除去し、より価値の高い金属を収集することができる。本発明によって形成された金属及び/又は金属化合物生成物は、本発明から除去され、収集され得る。本発明からの除去は、本発明における電荷、流れ、又は化学の変化によって達成することができる。金属は、特定の金属のためのフィルタ、膜、カラム、又は他の分離方法によって収集され得る。本発明は、黒色塊、鉱石、濃縮物、鉱くず、電池、磁石、非鉄スクラップ、及び使用済み電子機器を含むがこれらに限定されない材料から金属を抽出するために使用することができる。本発明は、例えば石炭フライアッシュ及びリチウム電池から金属を抽出するために使用することができる。リチウム電池は、リチウムニッケルマグネシウムコバルト酸化物電池を含み得るが、これに限定されない。本発明はまた、例えば、ニッケル、マグネシウム、及びコバルトからのリチウム電池の製造に使用することができる。本発明は、硫酸及び水酸化ナトリウムを含むがこれらに限定されない酸及び塩基を製造するために更に使用され得る。
【0089】
「金属」又は「複数の金属」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において、金属原子を含む化合物、混合物又は物質として定義される。「金属」又は「複数の金属」という用語は、これらに限定されないが、金属水酸化物、金属酸化物、金属塩、元素金属、金属イオン、非イオン性金属、鉱物、又はそれらの組み合わせを含む。
【0090】
「酸」又は「複数の酸」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において、7未満のpHを有する溶液として定義される。
【0091】
「バッファ」又は「複数のバッファ」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において、溶液に添加されると、その溶液を、化合物を含まない溶液と比較してpHの変化に抵抗させる化合物として定義される。
【0092】
「浸出」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において、材料から金属又は複数の金属を解放するか、抽出するか、遊離させるか、又は除去するために使用されるプロセスとして定義される。
【0093】
「酸化還元」、「酸化還元反応」、又は「還元酸化反応」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において、化学種の還元及び/又は酸化を伴う化学反応として定義される。
【0094】
本発明は、金属を沈殿させて堆積させる電気化学堆積装置又はシステムに関する。電気化学堆積装置は、ハウジングと、カソードとして作用することができる多孔質カソード材料であって、金属が多孔質カソード材料の表面上に堆積される、多孔質カソード材料と、アノードと、入口と、出口とを備え得る。多孔質カソード材料は、炭素、金属、金属化合物、多孔質ポリマー、多孔質セラミック又はそれらの組み合わせを含んでもよい。多孔質カソード材料は、異種材料、例えば、混合炭素、金属、ポリマー、又はセラミック材料を含んでもよい。多孔質カソード材料は、金属もしくは金属酸化物触媒、保護層、ポリマーバインダー又はそれらの組み合わせを含んでもよい。多孔質カソード材料は、多孔質構造に作製された材料又は媒体、例えば、粒子、繊維、又はフラスコを含んでもよい。ハウジングは、電気化学堆積プロセスを視覚的に観察できるように、透明プラスチック、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル、及び/又は金属支持体を含むことができるが、これらに限定されない。電気化学堆積装置は、集電体を更に備えてもよい。集電体は、Tiを含んでもよいが、これに限定されない。電気化学堆積装置は、Oリングシールを更に備えてもよい。電気化学堆積装置は、集電体がOリングシールを破壊するのを回避するための穴を更に備えてもよい。電気化学堆積装置は、従来の金属抽出方法、例えば焼成及び/又は化学沈殿と組み合わせて使用することができる。
【0095】
本発明の方法は、供給物を電気化学堆積装置に通過させることと、供給物を多孔質カソード材料と接触させることと、多孔質カソード材料の表面上に金属を堆積させて透過液を形成することと、透過液を電気化学堆積装置から送出することと、堆積した金属を多孔質カソード材料の表面から除去して濃縮物を形成することと、濃縮物を電気化学堆積装置に通過させることと、を含んでもよい。本方法は、従来の金属濃縮方法、例えば、焼成及び/又は化学沈殿と組み合わせて使用することができる。
【0096】
ここで、本発明の非限定的かつ代替的な実施形態を示す図を参照すると、
図1は、透過流12が多孔質カソード材料14及びアノード16を横断及び/又は通過して同時に流れる本発明の電気化学堆積装置10を示す。
【0097】
図2は、供給物22に多孔質カソード材料14及びアノード16を横断及び/又は通過させてキャビティ24内に押し込む不透過性境界20を備える、本発明の電気化学堆積装置18を示す。
【0098】
図3は、2つの積層された多孔質カソード材料14を備える、本発明の電気化学堆積装置26を示す。
図3は、積層された3つの電極を示しているが、任意の数の多孔質カソード材料14及びアノード16を任意の順序で積層することができる。
【0099】
図4は、交互の多孔質カソード材料14及びアノード16を備える、本発明の電気化学堆積装置28を示す。
図4は、積層された3つの電極を示しているが、任意の数の多孔質カソード材料14及びアノード16を任意の順序で積層することができる。
【0100】
図5は、本発明の電気化学堆積装置30を示し、供給物22が電極間領域32に入り、多孔質カソード材料14及びアノード16と接触する。次いで、各透過流12は、多孔質カソード材料14及びアノード16を横断及び/又は通過する。
【0101】
図6は、本発明の電気化学堆積装置34を示し、供給物22が電極間領域32に入り、多孔質カソード材料14と接触する。透過流12は、アノード16に接触し、これを通過する前に、多孔質カソード材料14に接触し、これを横断及び/又は通過しなければならない。
【0102】
図7は、本発明の電気化学堆積装置36を示し、供給物22が電極間領域32に入り、アノード16と接触する。透過流12は、多孔質カソード材料14に接触し、これを通過する前に、アノード16に接触し、これを横断及び/又は通過しなければならない。
【0103】
図8は、本発明の電気化学堆積装置38を示す。複数の供給物22が、複数の電極間領域32に入る。透過流12は、複数の電極間領域32から、直列に配置された複数の多孔質カソード材料14及びアノード16を同時に横断及び/又は通過する。
【0104】
図9は、本発明の電気化学堆積装置40を示す。流れ42は、多孔質カソード材料14上に堆積される第2の金属の経路を示す。複数の多孔質カソード材料14及びアノード16が直列に配置されている場合、複数の金属が各多孔質カソード材料14上に堆積されてもよい。異なる金属が各多孔質カソード材料14上に堆積されてもよい。
図9に示すように、2つの異なる金属が2つの異なる多孔質カソード材料14から放出されて、2つの異なる濃縮物及び/又は抽出物44及び46をもたらすことができる。金属又は金属酸化物を含む濃縮物及び/又はラフィネートの数は、多孔質カソード材料14の数、すなわち、3つ、4つ、又は5つ(又はそれ以上)の多孔質カソード材料14に依存し、例えば、3つから5つ(又はそれ以上)の異なる金属の堆積を容易にし、3つから5つ(又はそれ以上)の濃縮物及び/又はラフィネートを生成し得る。この図は、3つから5つの金属、濃縮物、及び/又はラフィネートを示しているが、任意の数の金属、濃縮物、及び/又はラフィネートを抽出することができる。流れ48は、多孔質カソード材料14上に金属を堆積させる電気化学堆積装置40を自由に通過する供給物22の経路を示す。目的外の金属を堆積させることによって間接的に金属を回収するために、流れ48を使用してもよい。
【0105】
図10は、本発明の電気化学堆積装置50を示しており、供給物22と外部からの流入流52とを多孔質カソード材料14を横断して直接電極間領域32へと流入させることによって、供給物22が外部からの流入流52と同時に電極間領域32を通過する。外部からの流入流52は、供給物22もしくは再利用された濃縮物54、又は任意の他の金属溶液源を含み得る。
【0106】
図11は、本発明の電気化学堆積装置56を示し、供給物22及び外部からの流入流52が同時に電極間領域32に入り、混合する。電気化学堆積装置56の供給物22及び外部からの流入流52は、同じ溶液を含んでも、異なる溶液を含んでもよい。
【0107】
図12は、本発明の電気化学堆積装置58を示し、外部からの流入流52が電極間領域32内で混合して混合透過液60を形成する。供給物22はまた、多孔質カソード材料14又はアノード16と接触して濃縮物及び/又はラフィネート54を形成する。
【0108】
図13は、本発明の電気化学堆積装置62を示し、各外部からの流入流52は、多孔質カソード材料14及びアノード16に接触し、それらを横断及び/又は通過して電極間領域32に入り、混合透過液60を形成しなければならない。
【0109】
図14は、本発明の電気化学堆積装置64を示し、外部からの流入流52は、多孔質カソード材料14に接触し、それらを通過し、電極間領域32内で混合する前に、アノード16に接触し、それらを横断及び/又は通過しなければならない。
【0110】
図15は、本発明の電気化学堆積装置66を示し、外部からの流入流52は、アノード16に接触し、それらを通過し、電極間領域32内で混合する前に、多孔質カソード材料14に接触し、それらを横断及び/又は通過しなければならない。
【0111】
図16は、本発明の電気化学堆積装置68を示し、金属堆積が並列に起こる。複数の供給物22が、複数の電極間領域32に並列に入る。各供給物22は、多孔質カソード材料14及びアノード16と接触する。
【0112】
図17は、本発明の電気化学堆積装置70を示し、複数の供給物22が電気化学堆積装置70に並列に入り、各供給物22が2つの多孔質カソード材料14又は2つのアノード16に接触する。
【0113】
図18は、本発明の電気化学堆積装置72を示し、金属堆積が直列に起こる。供給物22は、流れ74を接続することによって、複数の電極間領域32に出入りする。供給物22は、複数の電極間領域32の各々において多孔質カソード材料14及びアノード16と接触する。
【0114】
図19は、本発明の電気化学堆積装置76を示し、流れ74を接続することによって供給物22が複数の電極間領域32に出入りし、供給物22が各電極間領域32内の2つの多孔質カソード材料14及び2つのアノード16に接触する。
【0115】
図20は、ハウジング80を備える本発明の電気化学堆積装置78を示す。供給物22は、キャビティ82に入り、多孔質カソード材料14と接触して還元酸化反応を受ける。還元酸化反応は、例示的な反応領域84で起こり、金属86を堆積させることができる。反応領域84において、多孔質カソード材料14は、酸化還元反応90を介して水88を電気分解して水素92及び水酸化物イオン94を形成するように作用する。水酸化物イオン94は、金属イオン96と反応して金属水酸化物98を形成する。金属水酸化物98は、多孔質カソード材料14の表面上に堆積100する。供給物22は、透過流12に沿って通過し、多孔質カソード材料14、電極間領域32、アノード16、及び堆積後領域102を横切り、次いで電気化学堆積装置78から透過液104として流出する。透過流12は、所与の電気化学堆積装置内の供給物22の経路である。流れ104は、金属が枯渇していてもよく、又は金属を含んでいなくてもよい。金属86は、多孔質カソード材料14から放出されて濃縮物及び/又は抽出物54を形成する。場合により、濃縮物及び/又はラフィネート54は、供給物22として電気化学堆積装置78へと再利用されてもよい。ラフィネートは、電気化学堆積装置78から有価金属が除去された溶液であってもよい。したがって、
図20の透過液はラフィネートであってもよい。
【0116】
図21は、本発明の電気化学堆積装置106を示す。電気化学堆積装置106において、金属イオン96は、酸化還元反応90を介して非イオン性の又はゼロ価の金属108に変換される。非イオン性金属108は次いで、多孔質カソード材料14上に堆積100される。
【0117】
図22は、本発明の電気化学堆積装置110を示し、金属は、電気化学堆積装置を通る中心流によって多孔質カソード材料14上に堆積される。供給物22は、電気化学堆積装置110の領域112に入る。供給電解質114が領域116に流入し、流れ118によって多孔質カソード材料14を横切る。反応120によって水素分子及び水酸化物アニオンが生成され、水酸化物アニオンは金属カチオンと反応して金属水酸化物を形成する。金属水酸化物122は、電気化学堆積装置110から流れ124によって金属水酸化物濃縮物として流出する。供給電解質114はまた、流れ126によってアノード16を横切る。水は、反応128によってアノード16で加水分解され、キャビティ131内で水素イオン及び酸素を形成する。供給電解質114は、流れ132によって電気化学堆積装置110から流出し、酸性浸出へと再利用されてもよい。供給電解質114の約50%(又は他の部分)が多孔質カソード材料14を通過及び/又は横断して流れることができ、供給電解質114の約50%(又は他の部分)がアノード16を通過及び/又は横断して流れることができる。流れ132は、アノード電解によって酸性化されてもよい。供給電解質114は、表面134によって多孔質カソード材料14及びアノード16を横切らせられ、供給電解質114が電気化学堆積装置110から直接流出するのを防ぐ。任意選択的に、表面134は存在しなくてもよく、供給電解質114は、電気化学堆積装置110から同時に直接流出し、多孔質カソード材料14及びアノード16を横切って領域112及び領域131にそれぞれ流入してもよい。
【0118】
図23は、ニッケル酸化物の選択的堆積のための化学堆積装置の例示的な実施形態を示す。Niイオンが、電気化学的装置内で堆積されるNi(OH)
2に電気化学的に変換される。Niを含まない透過液(ラフィネート)が、電気化学装置から流出する。堆積したNi(OH)
2は、多孔質カソード材料(例えば、
図23に示すカソード)から放出され、濃縮Ni(OH)
2を含む溶液として放出され得る。
【0119】
図24は、本発明の電気化学堆積装置144を示す。電気化学堆積装置144において、供給物146(例えば、Ni、Mn及びCo)は、キャビティ130に入り、多孔質カソード材料14と接触して還元酸化反応を受ける。還元酸化反応は、例示的な反応領域148で起こり得る。反応領域148において、多孔質カソード材料14は、酸化還元反応90を介して水88を電気分解して水素92及び水酸化物イオン94を形成する。次いで、供給物146は、電極間領域32を通過してアノード16に接触し、還元酸化反応を受ける。還元酸化反応は、例示的な反応領域150で起こり得る。反応領域150において、アノード16は、酸化還元反応158を介して例えばマンガン154を電気分解する。マンガン154は、水88と反応して水素イオン152及びMnO
2156を形成する。MnO
2156は、アノード16の表面上に堆積160する。MnO
2は、アノード16から除去されてもよく、溶解したMnO
2を含む流れ162によって堆積後領域145を通って電気化学堆積装置144から流出する。濃縮物54は、キャビティ130から出る。
【0120】
図25は、本発明の電気化学堆積装置164を示す。電気化学堆積装置164において、供給物146(例えば、Ni、Mn及びCo)は、キャビティ130に入り、アノード16と接触して還元酸化反応を受ける。還元酸化反応は、例示的な反応領域150で起こり得る。反応領域150において、アノード16は、酸化還元反応158を介して例えばマンガン154を変換する。マンガン154は、水88と反応して水素イオン152及びMnO
2156を形成する。次いで、供給物146は、電極間領域32を通過して多孔質カソード材料14に接触し、還元酸化反応を受ける。還元酸化反応は、例示的な反応領域166で起こり得る。反応領域166において、多孔質カソード材料14は、酸化還元反応90を介して水88を電気分解する。水88は、例えばNi及び/又はCo
2+168と反応して、ニッケル-コバルト金属水酸化物沈殿物170を形成する。ニッケル-コバルト金属水酸化物沈殿物170は、堆積後領域145に入り、流れは、金属水酸化物沈殿物170を含む流れ172によって電気化学堆積装置164から出る。濃縮物54は、キャビティ130から出る。
【0121】
図26は、本発明の電気化学堆積装置174を示す。電気化学堆積装置174において、供給物176(例えば、Ni及びCo)は、キャビティ130に入り、多孔質カソード材料14と接触して還元酸化反応を受ける。多孔質カソード材料14は、酸化還元反応90を介して水88を電気分解して水素92及び水酸化物イオン94を形成する。水酸化物イオン94は、Ni及び/又はCo
2+168と反応して、ニッケル-コバルト金属水酸化物沈殿物170を形成する。電解質114は、電極間領域32に入り、多孔質カソード材料14を横切ってキャビティ130に入る。電解質114及びニッケル-コバルト金属水酸化物沈殿物170は、ニッケル-コバルト金属水酸化物沈殿物170及び電解質114を含む流れ178によって電気化学堆積装置174から出る。供給物180(例えば、Ni、Mn及びCo)は、キャビティ182に入り、アノード16と接触して還元酸化反応を受ける。アノード16は、酸化還元反応158を介してマンガン154を電気分解する。マンガン154は、水88と反応して水素イオン152及びMnO
2156を形成する。塩化物イオンはまた、酸化還元反応184によって塩素に変換される。電解質114は、電極間領域32に入り、アノード16を横切ってキャビティ182に入る。電解質114は、NaClを含んでもよいが、これに限定されない。電解質114及びMnO
2156は、MnO
2156及び電解質114を含む流れ186によって電気化学堆積装置174から出る。流れ186はフィルタ188に接触して、流れ186からMnO
2156を除去して供給物176を形成し、これは電気化学堆積装置174へと再利用される。アノード16は、酸化還元反応158を介してマンガン154を電気分解する。マンガン154は、水88と反応して水素イオン152及びMnO
2156を形成する。多孔質カソード材料14は、酸化還元反応90を介して水88を電気分解して水素92及び水酸化物イオン94を形成する。
【0122】
図27は、本発明の電気化学堆積装置190を示す。電気化学堆積装置190において、供給物146(例えば、Ni、Mn及びCo)は、キャビティ182に入り、アノード16と接触して還元酸化反応を受ける。MnO
2156は、外部からの流入流52によって電極間領域32に入る。電解質114は、キャビティ130に入り、多孔質カソード材料14と接触して還元酸化反応を受ける。電解質114及びMnO
2156は、MnO
2156、電解質114、ニッケル、及びコバルトを含む流れ186によって電気化学堆積装置190から出る。
【0123】
図28は、本発明の電気化学堆積装置192を示す。電気化学堆積装置192には、少なくとも2つの電気化学堆積チャンバが直列に設置されている。第1の電気化学堆積チャンバは、
図29の電気化学堆積装置190に従って、例えばMnO
2156、電解質114、ニッケル、及びコバルトを含む流れ186を生成する。流れ186はフィルタ188に接触してMnO
2156を除去し、Ni-Co供給物176を形成する。Ni-Co供給物176は、第2の電気化学堆積チャンバのキャビティ182に入り、アノード16と接触して還元酸化反応を受ける。Co
2+194は、酸化還元反応196を受けてCo
3+198を形成する。Co
3+198は、外部からの流入流52によって電極間領域32に入る。電解質114は、キャビティ130に入り、多孔質カソード材料14と接触して還元酸化反応を受ける。多孔質カソード材料14は、酸化還元反応90を介して水88を電気分解して水素92及び水酸化物イオン94を形成する。水酸化物イオン94は、電極間領域32でCo
3+198と反応して、Co(OH)
3及びCoOOHを含む流れ200を形成する。
【0124】
図29は、本発明の電気化学堆積装置202を示す。電気化学堆積装置202において、電解質114は電極間領域32に入り、多孔質カソード材料14及びアノード16を横切る。電解質114は、NaClを含んでもよいが、これに限定されない。供給物146(例えば、Ni、Mn及びCo)は、第1の通過材料としてキャビティ182に入り、アノード16と接触して酸化還元反応184及び158を受ける。酸化還元反応184では、塩化物イオンが塩素に変換される。酸化還元反応158では、マンガン154は、水88と反応して水素イオン152及びMnO
2156を形成する。MnO
2156、Ni及びCo
2+は、流れ204によって電気化学堆積装置202から出て、フィルタ188と接触する。フィルタ188は、MnO
2156を除去して、溶液中にNi及びCo
2+を含むNi-Co供給物206を形成する。Ni-Co供給物206は、第2の通過供給物として作用し、キャビティ182に入ってアノード16と接触し、酸化還元反応184及び208を受ける。酸化還元反応184では、塩化物イオンは再び塩素に変換される。酸化還元反応208では、Co
2+194がCo
3+198に変換される。Co
3+198は、水酸化物イオン94と反応してCo(OH)
3及びCoOOHを生成する。Ni、Co(OH)
3及びCoOOHを含む流れ210は、電気化学堆積装置202を出て、フィルタ212に接触する。フィルタ212は、CoOOHを除去して、Niを含む供給物214を形成する。供給物214は、キャビティ130に入り、多孔質カソード材料14と接触して還元酸化反応92を受ける。酸化還元反応92において、水88は、水素92及び水酸化物イオン94を形成するために電気分解される。水酸化物イオン94は、Ni
2+216と反応してNi(OH)
2218を形成する。Ni(OH)
2218は、流れ220によって電気化学堆積装置202から出る。
【0125】
図30は、本発明の電気化学堆積装置222を示す。電気化学堆積装置222において、供給物146(例えば、Ni、Mn及びCo)は、キャビティ130に入り、多孔質カソード材料14と接触して還元酸化反応を受ける。多孔質カソード材料14は、酸化還元反応90を介して水88を電気分解して水素92及び水酸化物イオン94を形成する。水酸化物イオン94は、溶媒Ni、Mn及びCo
2+224と反応してNMC
(s)226を形成する。NMC
(s)226は、流れ228によって電気化学堆積装置222から出る。電解質114は、電極間領域32に入り、多孔質カソード材料14及びアノード16を横切る。電解質114は、NaHCO
3及び/又はNa
2SO
4を含んでもよい。水88は、酸化還元反応230によって酸素232及び水素イオン152に変換される。酸化還元反応230によって生成された酸は、流れ234によって再利用される。酸は浸出へと再利用され得る。
【0126】
図31は、本発明の電気化学堆積装置236を示す。電気化学堆積装置236は、直列に設置された少なくとも2つの電気化学堆積チャンバを使用する。電気化学堆積装置236において、供給物238(例えば、Fe
2+、Cu
2+、及びNi
2+)は、第1の電気化学堆積チャンバのキャビティ130に入り、多孔質カソード材料14と接触して還元酸化反応を受ける。還元酸化反応は、例示的な反応領域240で起こり得る。反応領域240において、多孔質カソード材料14は、酸化還元反応248によってCu
2+242をCu(0)244に変換する。透過液250は、電極間領域32に入り、アノード16と接触して還元酸化反応を受ける。還元酸化反応は、例示的な反応領域252で起こり得る。反応領域252において、アノード16は、酸化還元反応258によってFe
2+254をFe
3+256に変換する。Fe
3+256はまた、水酸化物イオン94と反応してFe(OH)
3260を形成する。濃縮物54は、キャビティ130から電気化学堆積装置236から出る。Fe(OH)
3、Fe
2O
3、及びNi
2+を含む流れ262は、電気化学堆積装置236を出て、フィルタ188に接触する。フィルタ188は、Fe(OH)
3及びFe
2O
3を除去して、Ni
2+を含む供給物264を形成する。供給物264は、第2の電気化学堆積チャンバのキャビティ130に入り、多孔質カソード材料14と接触する。水88は、酸化還元反応90によって水素92及び水酸化物イオン94に変換される。水酸化物イオン94は、Ni
2+216と反応してNi(OH)
2(s)218を形成する。Ni(OH)
2(s)218は、流れ266を通って電気化学堆積装置236から出る。電解質114は、キャビティ182に入り、アノード16と接触する。電解質114は、NaHCO
3及び/又はNa
2SO
4を含んでもよい。水88は、酸化還元反応230によって酸素232及び水素イオン152に変換される。酸化還元反応230によって生成された酸は、流れ234によって再利用される。
【0127】
図32は、本発明の電気化学堆積装置268を示す。電気化学堆積装置268において、供給物270(例えば、Li
+272及びSO
4
2-イオン)が膜間領域1417に入る。Li
+272は、Li
+特異的カチオン交換膜274を横切る。Li
+特異的カチオン交換膜274は、Na
+を含むがこれに限定されない、Li
+272を除く一価イオン276に対して不透過性である。NaHCO
3電解質114は、キャビティ130に入り、多孔質カソード材料14と接触する。水88は、酸化還元反応90によって水素92及び水酸化物94に変換される。水酸化物94はHCO
3-278と反応して炭酸塩280を形成する。炭酸塩280は、多孔質カソード材料14を横切り、Li
+272と反応してLi
2CO
3を形成する。Li
2CO
3は、Li濃縮物又は沈殿物を含む濃縮物54として電気化学堆積装置268から出る。枯渇したLi
+272及びSO
4
2-溶液は、流れ282によって電気化学堆積装置268から出る。SO
4
2-を含むがこれに限定されないアニオンが、例示的な流れ286に従ってアニオン交換膜284を横切り、領域288に入る。硫酸ナトリウムと電解質とを含む供給物290が、領域292に入り、アノード16と接触する。水88は、水素イオン152及び酸素232に変換される。水素イオン152及び酸素232は、流れ294によってアノード16を横切り、領域288に入り、硫酸を形成する。硫酸は、流れ296によって電気化学堆積装置268から出る。
【0128】
図33は、プレート312と、多孔質カソード材料14と、アノード16と、メッシュ314と、ガスケット316と、集電体318と、カラー320と、カラーガスケット322とを備えるプレート構成310を示す。ガスケット316、集電体318、カラー320、及びカラーガスケット322の対が、プレート312の周りに少なくとも部分的に配置されてもよい。プレート312は、メッシュ314の周りに少なくとも部分的に配置されてもよい。任意選択的に、細長い集電体324が、
図34に示すように、多孔質カソード材料14の横に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0129】
図35は、プレートを備える電気化学堆積装置における流れ326の配置を示す。多孔質カソード材料14及びアノード16の対が、プレート312の周りに少なくとも部分的に配置され、各プレート312は、2つの多孔質カソード材料14又は2つのアノード16のいずれかの間に少なくとも部分的に配置されている。アノード透過液327が、2つのアノード16の間に少なくとも部分的に配置されたプレート312を横切る。多孔質カソード材料透過液328が、2つの多孔質カソード材料14の間に少なくとも部分的に配置されたプレート312を横切る。流れ326の配置は、並列に配置された少なくとも3つのプレート312を含み、少なくとも第1のチャネル及び第2のチャネルを形成する。金属供給物330は、第1のチャネル及び第2のチャネルを通って流れる。複数のチャネルが存在してもよく、金属供給物330は複数のチャネルを通って流れてもよい。
【0130】
図36は、プレートを備える電気化学堆積装置における流れ332の配置を示す。多孔質カソード材料14及びアノード16は、プレート312の周りに少なくとも部分的に配置されている。電解質供給物334が、プレート312を横切る。流れ332の配置は、並列に配置された少なくとも3つのプレート312を含み、少なくとも第1のチャネル及び第2のチャネルを形成する。金属供給物330は、第1のチャネルを通って流れ、多孔質カソード材料14と接触する。アノード透過液は、第2のチャネルを通って流れ、アノード16を収縮させる。
【0131】
図37は、センターフロー式電気化学堆積装置336を示す。金属供給物330が、センターフロー式電気化学堆積装置336に入る。電解質供給物リザーバ338によって供給された電解質供給物334が、センターフロー式電気化学堆積装置336の領域340に入る。水酸化物イオン342が多孔質カソード材料14を横切り、金属水酸化物が形成される。金属水酸化物濃縮物344が、センターフロー式電気化学堆積装置336から流出する。金属水酸化物濃縮物344は、金属イオン及び/又は電解質を含んでもよい。金属イオン及び/又は電解質は、リザーバ346に貯蔵され、流れ348によってセンターフロー式電気化学堆積装置336へと再利用されてもよい。電解質供給物334は、アノード16を横切り、センターフロー式電気化学堆積装置336から流出し、リザーバ350に収集されてもよい。
【0132】
図38は、プレートを備える電気化学堆積装置の一実施形態を示す。プレートは、例えば、アノード側アクリル352が配置されたプラスチックメッシュ354を含む。メッシュ354(例えば、プラスチックメッシュ)は、ガスケット356(例えば、ゴムガスケット)の横に配置されている。ゴムガスケット356は、アノード16の横に配置されている。アノード16は、集電体318の横に配置されている。集電体318は、フレーム358の横に配置されている。フレーム358は、少なくとも1つのメッシュ354の横に配置されている。プラスチックメッシュ354は、集電体318の横に配置されている。また、集電体318は、カソード(例えば、多孔質カソード材料)14の横に配置されている。カソード14は、プラスチックメッシュ354の横に配置されている。また、ゴムガスケット356の横に、プラスチックメッシュ354を配置してもよい。ゴムガスケット356は、360の横に配置されている。
【0133】
図39に示すように、本発明の電気化学堆積装置380は、金属を回収するプロセスに組み込まれてもよい。出発材料382を流体と組み合わせて、金属を含有する溶液を形成する。溶液を、混合容器384内で形成する。溶液に、不純物386、例えば、限定されないが、グラファイト、アルミノケイ酸塩、脈石材料、ポリマー、及び他の不溶物を除去するための処理を施す。次いで、混合容器388を介して溶液のpHを調整する。フィルタ390を使用して、望ましくない金属、例えば望ましくない金属酸化物を除去する。電気化学堆積装置380は、多孔質カソード材料14上に金属を堆積させることによって溶液から金属を回収する。堆積した金属を、電気化学堆積装置380から放出し、沈降タンク392へと送り込む。沈殿物を収集して最終生成物394を収集する。
図40に示すように、複数の電気化学堆積装置380を使用して特定の金属を回収することもできる。
【0134】
図41は、バックハウジング410及びフロントハウジング412内に配置された集電体406、多孔質カソード材料14、アノード16、及びセパレータ408を備える本発明の電気化学堆積装置404を示す。ロッド414(例えば、チタンロッド)が、バックハウジング410及びフロントハウジング412内に部分的に配置され、集電体406に接触している。
【0135】
図42は、電気接点418と、供給物入口ポート420と、透過液出口422と、濃縮物出口424とを備える本発明の電気化学堆積装置416を示す。供給物は、流れ426に従って電気化学堆積装置416を横切って移動することができる。
【0136】
図43は、化学堆積装置用の外部ハウジングの一実施形態を示す図である。外部ハウジングは、多孔質カソード材料、アノード、電極、集電体、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、化学堆積装置の内部構成要素のための保護ケーシングを提供する。外部ハウジングは、供給物ライン、透過液ライン、投入物ラインもしくは産出物ライン、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないラインを取り付けるための1つ以上の外部ポートを有することができる。
【0137】
図44は、中間プレート448及び押出成形物449を備える中央プレート構成要素446の斜視側面図を示す。中間プレート448は、複数のオリフィス450を備える。ガス放出チャネル452が、中央プレート構成要素446内に配置されている。2つのガス放出チャネルを含むガス放出チャネル452は、中央プレート構成要素446の基部に平行である。2つのガス放出チャネルの一方から水素ガス流が拡散され、他方から酸素ガス流が拡散される。
【0138】
図45~
図50は、電気化学堆積装置の様々な実施形態を示す。
図45は、保持体458と、ファスナオリフィス460と、圧力計461と、ポート462と、電極ポート464と、ガス放出チャネル466と、カバープレート468と、流出ポート470と、電極チャネル472とを備える電気化学堆積装置455の多孔質カソード材料側を示す。
【0139】
図46及び
図49は、保持体459と、ファスナオリフィス460と、圧力計461と、カソード側ポート474と、電極ポート464と、カバープレート468と、流出ポート470と、電極チャネル472とを備える電気化学堆積装置456の多孔質カソード材料側を示す。
【0140】
図47及び
図48は、保持体458と、ファスナオリフィス460と、ガス放出チャネル466と、アノード側ポート475と、電極ポート464と、カバープレート468と、流出ポート470と、ガス放出弁480とを備える電気化学堆積装置476のアノード側を示す。
【0141】
図50は、複数の締結オリフィス494と、嵌合溝496と、保持体458(
図47参照)を受け入れるためのキャビティ498とを備える電気化学堆積装置の一実施形態の枠組プレートを示す。
【0142】
図51は、電気化学堆積装置508を用いた金属生成物の生成プロセス500を示す。電解質供給物502及び金属供給物504は、電気化学堆積装置508内に入り、及び/又は電気化学堆積装置508を通過して、水素及び酸素ガス流506、水性アノード透過液510、並びに多孔質カソード材料透過液512をもたらす。電気化学堆積装置508は、電源511によって電力供給される。電源は、約10Vの電圧を提供してもよい。多孔質カソード材料透過液512は、フィルタ514と接触して、固体金属生成物516及び水性金属塩水生成物を生成する。
【0143】
図52は、電気化学堆積装置536を使用して選択された金属を濃縮するためのプロセス518を示す。電解質タンク522からの電解液が、ポンプ524によって、電気化学堆積装置536を備える処理ユニット528に搬送される。タンク532からの金属供給物が、手動蠕動ポンプ534によって、電気化学堆積装置536を備える処理ユニット528に搬送される。処理ユニット528からの透過液が、透過液タンク538に入る。濃縮された金属供給物が、インラインバッグフィルタ530に入り、金属供給物タンク532へと再利用される。
【0144】
図53は、電気化学堆積装置566を使用した黒色塊からの金属生成物生成プロセス540を示す。黒色塊固体542を均質化して、均質化された黒色塊544を形成する。均質化された黒色塊を、容器546内で例えば硫酸及び過酸化水素と接触させて、黒色塊スラリーを形成する。黒色塊スラリーを、容器552内でフィルタ548と接触させてグラファイト550を除去し、黒色塊抽出物を形成する。黒色塊抽出物を水酸化ナトリウム554と接触させて黒色塊抽出物スラリー556を形成し、これをフィルタ558と接触させて、容器560に収集された金属沈殿物を除去する。黒色塊抽出物562は、容器564内で水で希釈された後に、電気化学堆積装置566に入って電解質570と接触する。再循環された黒色塊568は、容器564へと再利用してもよい。電気化学堆積装置566からのアノード透過液は、容器572内に収集される。電気化学堆積装置566からの生成物、例えばNiCo582をフィルタ574と接触させて、廃水及び/又はLi塩水576及び濃縮された生成物を生成する。濃縮された生成物は、ブレンダー580で均質化された後に貯蔵容器584内に収集される。
【0145】
図54は、電源588と、試薬及び供給物貯蔵システム590と、供給物ポート592と、透過液ポート596と、試薬ポート594と、酸及び/又は塩基ポート598とを備える電気化学堆積装置586を示す。
図55は、ハウジング602と、投入物及び/又は産出物アレイ606と、プレートアレイ604と、プレートアジャスタ608とを備えるプレートシステム600を示す。
図56~
図57は、ハウジング602と、投入物及び/又は産出物アレイ606と、プレートアレイ604と、プレートアジャスタ608と、試薬及び供給流体ポンプ614と、自動化制御システム616とを備える電気化学堆積装置610を示す。
【0146】
図58は、厚いカラー620と、ガスケット622と、多孔質カソード材料14と、集電体318と、プレート626と、アノード16と、薄いカラー628と、Oリング624とを備えるプレート618を示す。
【0147】
本発明は、未使用鉱石から寿命末期材料までの広範囲の金属加工用途に利用することができる。
図59は、本発明の化学堆積装置を使用した鉱物(例えば、未使用鉱石)からの金属抽出のプロセスフロー図である。鉱物投入物;鉱石、濃縮物、凝集材料、スラリー、又はそれらの組み合わせの形態を含むがこれらに限定されない鉄投入物;酸、触媒、界面活性剤、又はそれらの組み合わせの形態を含むがこれらに限定されない他の投入物は、例えばボールミル粉砕によって破砕され、浸出されて溶液を形成する。次いで、溶液は、化学堆積装置によって処理されて、混合鉄産出物、例えばTi/Fe産出物、及び/又は他の金属産出物、例えば銅、リチウム、又は他の目的の金属を形成する。イルメナイトなどの未使用鉱石をプロセスに投入してもよい。最初に、鉱石をより小さい粒径に破砕及び/又は粉砕してもよい。次いで、粉砕された鉱石を、密度分離、磁気分離、浮選などの様々な方法を使用して、より高品位の濃縮物に選鉱してもよい。次いで、鉱石濃縮物は、酸、高圧酸化、又は本発明を含むがこれらに限定されないプロセスで浸出される。浸出は、1つ以上の特定の金属のみを溶解するために選択的に行われてもよい。次いで、未溶解材料を溶解材料から濾過する。次いで、浸出溶液中の金属は、本発明の電気化学堆積プロセスによって再沈殿する。金属を選択的に沈殿させて、高純度の金属生成物を得ることができる。例えば、Tiを、イルメナイト浸出液から選択的に沈殿させてもよい。
【0148】
図60は、本発明の化学堆積装置を使用した鉱物からの金属抽出のプロセスフロー図である。鉱物投入物を浸出して浸出生成物を形成する。浸出生成物を濾過して、選択された金属又は材料を除去し、酸、塩基、バッファ、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない試薬を使用してpHを調整する。濾過された生成物は、化学堆積装置によって処理されて生成物をもたらす。生成物は金属を含み得る。受け取った材料は、電池、磁石、電気モータ、回路基板、触媒コンバータなどからの破砕及び/又は粉砕された寿命末期材料であってもよい。材料は、最初に、還元酸、酸化酸、又は本発明を含むがこれらに限定されないプロセスで浸出される。浸出は、所望の金属のみを溶解するために、又は望ましくない金属を除去するために選択的に行われてもよい。次いで、未溶解材料を溶解金属から濾過する。濾過された材料は、グラファイトなどの生成物であり得る。必要に応じて、化学的方法又は本発明を使用してpH調整を完了して、望ましい金属又は望ましくない金属のいずれかを沈殿させることができる。次いで、沈殿物を溶解液から濾過する。次いで、濾液を電気化学的濾過に通して、アップグレードされたより価値の高い金属生成物を得る。電池の場合、これは、一例として、Ni沈殿物、Co沈殿物、混合NiCo沈殿物、NMC沈殿物などであり得る。磁石の場合、これは、Nd沈殿物、Pr沈殿物、混合NdPr沈殿物などであり得る。回路基板の場合、これは、Cu沈殿物、Au沈殿物、又は混合CuAu沈殿物であり得る。触媒コンバータの場合、これは、Pd沈殿物、Pt沈殿物、Rh沈殿物、混合PdPtRh沈殿物などであり得る。
【0149】
図61は、本発明の化学堆積装置を使用した合成Nd対実廃棄物の回収のグラフを示す。最大回収率、堆積速度、及び電流効率は、合成Ndの方が大きい。
図61は、寿命末期磁石から製造された合成Nd溶液及びNd溶液の両方からのNd回収を評価した結果を示す。寿命末期磁石を、
図60に記載したものと同様に、オーブン中での減磁、粉砕、硝酸への溶解、残留固形物の濾過、必要に応じてpH調整、及びその後の電気化学堆積によって処理した。合成Ndは、Pr、Dy、及びFeを含む磁石溶液中の他の種の存在、並びにより高い投入Nd濃度に起因して予想されるように、EOL磁石Ndと比較してより高い回収率、堆積速度、及び電流効率を有することが観察された。動作条件は、標準流量(
図23参照)であった。
【0150】
Co回収率は、一般に、透過流量の増加及び堆積速度の減少と共に減少する。
図62は、標準流量構成(
図23参照)における透過流量の関数としての混合合成Ni/Mn/Co溶液からのCo回収率(%)及び堆積速度(g/m2/h)の結果を示す。透過流量が増加すると、Co回収率は減少するが、堆積速度は増加する。回収されるCoは少ないが、総質量流量Coがより大きく増加するため、堆積速度は増加する。
【0151】
図63は、Ni堆積及び回収についての堆積速度対透過流量のグラフを示す。Ni堆積速度は、一般に、透過流量の増加及び堆積速度の増加と共に増加する。Ni回収率は、一般に、透過流量の増加及び堆積速度の減少と共に減少する。
図63は、標準流量構成(
図23参照)における透過流量の関数としての混合合成Ni/Mn/Co溶液からのNi回収率(%)及び堆積速度(g/m2/h)の結果を示す。透過流量が増加すると、Co回収率は減少するが、堆積速度は増加する。回収されるNiは少ないが、総質量流量Niがより大きく増加するため、堆積速度は増加する。
【0152】
図64は、Co、Ni及びMnについての様々な電圧における金属分率のグラフを示す。Co金属分率は、化学堆積装置に2.25Vが印加された場合に最大であった。Ni及びMn金属分率は、化学堆積装置に2.5Vが印加された場合に最大であった。このグラフは、各金属分率に最適な電圧があることを示している。
図64は、本発明の電気化学堆積システムからの沈殿物の金属組成の結果を印加電圧の関数として示す。印加されたセル電圧が2.25Vから2.5Vへ、更に3.0Vへと増加するのに伴って、Ni:Mn:Co生成物比は変化した。全ての電圧において、Ni及びCoは、Mnと比較して優先的に沈殿した。2.25Vでは、Niと比較してCoに3:1の選択性があった。2.5Vでは、Coと比較してNiに3:1の選択性があった。3Vでは、CoとNiとの間に有意な選択性はなかった。選択的金属水酸化物沈殿のための系を調整する能力は、3つの金属pH-peダイアグラムの違いに関連する。
【0153】
図65は、0~10mL/分の透過流量及び0~25g/m
2/hrの堆積速度についてのCo堆積及び回収についての堆積速度対透過流量のグラフを示す。Co堆積速度は、一般に、透過流量の増加及び堆積速度の増加と共に増加する。
図65は、黒色塊、すなわち細断された寿命末期のLiイオン電池、又は
図60に示すような電気化学堆積への投入物、並びに抽出液からのCo回収率(%)及び堆積速度(g/m2/h)に関する結果を、標準的な流れ構成(
図23参照)における透過流量の関数として示す。
図62と同様に、透過流量が増加すると、Co回収率は減少するが、堆積速度は増加する。回収されるCoは少ないが、総質量流量Coがより大きく増加するため、堆積速度は増加する。
【0154】
図66は、0~10mL/分の透過流量及び0~25g/m
2/hrの堆積速度についてのNi堆積及び回収についての堆積速度対透過流量のグラフを示す。Ni堆積速度は、一般に、透過流量の増加及び堆積速度の増加と共に増加する。Ni回収率は、一般に、透過流量の増加及び堆積速度の減少と共に減少する。
図66は、黒色塊、すなわち細断された寿命末期のLiイオン電池、又は
図60の電気化学堆積への投入物、並びに抽出液からのNi回収率(%)及び堆積速度(g/m2/h)に関する結果を、標準的な流れ構成(
図23参照)における透過流量の関数として示す。
図62と同様に、透過流量が増加すると、Ni回収率は減少するが、堆積速度は増加する。回収されるNiは少ないが、総質量流量Niがより大きく増加するため、堆積速度は増加する。
【0155】
図67は、Co、Ni、Mn、Li、Cu、Al及びTiについての様々な電圧における金属分率のグラフを示す。Co、Ni、Mn及びLiは、電気化学堆積装置を使用して堆積したときに高い金属分率を有していた。Cu、Al及びTiは、Ni、Mn及びLiと比較して、試験した電圧でより低い金属分率を有していた。
図67は、電気化学堆積装置からの沈殿物の金属組成に関する結果を、黒色塊、すなわち細断された寿命末期のLiイオン電池、又は
図60の電気化学堆積への投入物、抽出液からの印加電圧の関数として示す。印加されたセル電圧が2.25V及び3.0Vから増加するのに伴って、Ni:Mn:Co:Li:Cu:Alの生成比は変化した。全ての電圧において、Ni及びCoは、Mnと比較して優先的に沈殿した。3Vでは、NiよりもCoが2:1で選択的に沈殿した。選択的金属水酸化物沈殿のための系を調整する能力は、3つの金属pH-peダイアグラムの違いに関連する。両方の電圧で、Liは沈殿しなかった。全てのLiが電気化学堆積装置流出物に迂回されるので、これは、天然に存在するLi塩水中に存在するものと同様のLiレベルを有するLi塩水副生成物と考えることができる。
【0156】
図68は、単位マージン対堆積速度のグラフを示す。125を超える堆積速度は、正の単位マージンをもたらした。
図68は、黒色塊、すなわち細断された寿命末期電池を投入物として使用する、
図60のフロー図の詳細な技術計量経済分析の感度分析に基づく多孔質電極寿命(時間)の関数としての単位マージン(%)を示す。仮定は
図68と同じであった。感度分析は、正の単位マージンを達成し、>100時間で限界に近づくためには、電極寿命が50時間を超える必要があることを示している。これらは、本発明者らが既に実験的に達成しており、工業用電極の寿命が典型的には2000~20000時間の範囲にあるため、保守的な値である。
【0157】
図69は、Co堆積及び回収についての堆積速度対透過流量のグラフを示す。Co堆積速度は、一般に、透過流量の増加及び堆積速度の増加と共に増加する。Co回収率は、一般に、透過流量の増加及び堆積速度の減少と共に減少する。
【0158】
図70は、供給物が合成電池多孔質カソード材料流である場合の、電気化学堆積装置上で収集され乾燥された金属酸化物沈殿物を示す一連のSEM画像618である。SEM画像620は、10ミクロンスケールのバー624が付記された金属酸化物沈殿物622を示す。SEM画像620は、2ミクロンスケールのバー626が付記された金属酸化物沈殿物622を示す。
【0159】
図71は、供給物が黒色塊抽出物である場合の、電気化学堆積装置上で収集及び乾燥された金属酸化物沈殿物を示す一連のSEM画像628である。SEM画像630は、10ミクロンスケールのバー634が付記された金属酸化物沈殿物632を示す。SEM画像636は、2ミクロンスケールのバー634が付記された金属酸化物沈殿物632を示す。
【0160】
電気化学堆積装置又はシステムは、高表面積を有する多孔質カソード材料又は他の多孔質材料を含んでもよい。多孔質カソード材料は、溶液(例えば、水溶液)が多孔質カソード材料を横断及び/又は通過することを可能にする。多孔質カソード材料は導電性であってもよい。多孔質カソード材料は、正に帯電していても負に帯電していてもよい。多孔質カソード材料は、直流(「DC」)源、交流(「AC」)源、又はパルス電流によって帯電させることができる。多孔質カソード材料は再生されてもよい。
【0161】
多孔質カソード材料は、カーボンナノチューブ及び/又は炭素繊維を含み得るが、これらに限定されない。カーボンナノチューブは、単層、多層、又はそれらの組み合わせであってもよい。カーボンナノチューブは、少なくとも約0.05mm、約0.05mm~約2.0mm、約0.1mm~約1.8mm、約0.2mm~約1.5mm、約0.4mm~約1.4mm、約0.6mm~約1.2mm、約0.8mm~約1.0mm、又は約2.0mmを含むが、これらに限定されない長さを有し得る。多孔質カソード炭素又は金属メッシュもしくはフェルトなどの他の材料は、少なくとも約25m2/g、約25m2/g~約1000m2/g、約50m2/g~約950m2/g、約100m2/g~約900m2/g、約150m2/g~約850m2/g、約200m2/g~約800m2/g、約250m2/g~約750m2/g、約300m2/g~約700m2/g、約350m2/g~約650m2/g、約400m2/g~約500m2/g、又は約1000m2/gを含むがこれらに限定されない固体材料と比較して高い表面積を含むことができる。アノードは、多孔質であってもよく、又は多孔質材料を含んでもよい。アノードは、カーボンクロス又はフェルト、Tiメッシュ又はフェルトを含むことができるが、これらに限定されない。
【0162】
電気化学堆積装置及び方法は、フロースルー電気化学を可能にすることができる。電気化学堆積装置及び方法は、低速拡散性物質移動によって制限されなくてもよい。電気化学堆積装置及び方法は、迅速な堆積動態を維持することができる。迅速な堆積動態は、これらに限定されないが、少なくとも約20g hr-1m-2、少なくとも約50g hr-1m-2、少なくとも約100g hr-1m-2、少なくとも約200g hr-1m-2、少なくとも約300g hr-1m-2、少なくとも約400g hr-1m-2、少なくとも約500g hr-1m-2、少なくとも約600g hr-1m-2、少なくとも約700g hr-1m-2、少なくとも約800g hr-1m-2、少なくとも約900g hr-1m-2、少なくとも約1000g hr-1m-2、少なくとも約2000g hr-1m-2、少なくとも約5000g hr-1m-2、少なくとも約10000g hr-1m-2、又は少なくとも約20000g hr-1m-2を含む堆積速度を含み得る。迅速な堆積動態は、これらに限定されないが、約20g hr-1m-2~約1000g hr-1m-2、約50g hr-1m-2~約900g hr-1m-2、約100g hr-1m-2~約800g hr-1m-2、約200g hr-1m-2~約700g hr-1m-2、約300g hr-1m-2~約600g hr-1m-2、約400g hr-1m-2~約500g hr-1m-2、又は約1000g hr-1m-2を含む堆積速度を含み得る。標準流量堆積速度は、式Rd,avg(g m-2h-1)=337.6×Qp(mL min-1)×(Cf-Cp)に従って計算することができ、式中、Qp(mL min-1)は透過流量であり、Cf及びCpはそれぞれ供給物及び透過液中のモル濃度である(Cf-Cpは100を超える回収率である)。最大堆積速度は、式Rd,max(g m-2h-1)=117.4×Iss(A)に従って計算することができ、Issは定常状態電流である。
【0163】
電気化学堆積装置及び方法は、1つ以上の金属が沈殿する電気活性領域を含むことができる。電気活性領域は、少なくとも約25cm2、約25cm2~約1000cm2、約50cm2~約900cm2、約75cm2~約800cm2、約100cm2~約700cm2、約200cm2~約600cm2、約300cm2~約500cm2、又は約1000cm2を含むがこれらに限定されない領域を含んでもよい。電気活性領域は、約93.75cm2の領域を含んでもよい。電気活性領域は、少なくとも約1.0m2、約1.0m2~約10.0m2、約1.5m2~約9.5m2、約2.0m2~約9.0m2、約2.5m2~約8.5m2、約3.0m2~約8.0m2、約3.5m2~約7.5m2、約4.0m2~約7.0m2、約4.5m2~約6.5m2、約5.0m2~約6.0m2、又は約10.0m2を含むがこれらに限定されない領域を含んでもよい。
【0164】
電気化学堆積装置及び方法は、電気活性領域を増加させるために並列に実行されてもよい。電気化学堆積装置及び方法の総電気活性領域は、少なくとも約10m2、約10m2~約20m2、約11m2~約19m2、約12m2~約18m2、約13m2~約17m2、約14m2~約16m2、又は約20m2を含むがこれらに限定されない領域を含むことができる。電気化学堆積装置及び方法の総電気活性領域は、少なくとも約20m2、約20m2~約200m2、約100m2~約190m2、約110m2~約180m2、約120m2~約170m2、約130m2~約150m2、約140m2~約150m2、又は約200m2を含むがこれらに限定されない領域を含むことができる。並列に動作する個々の電気化学堆積装置の数は、少なくとも2、2~200、10~180、20~160、30~140、40~120、50~100、60~90、70~80、又は200を含むが、これらに限定されない。
【0165】
電気化学堆積装置及び方法は、比表面積×電気活性材料の重量として計算された総表面積を含むことができる。例えば、100m2/gの比表面積を有する50gの電気活性材料は、5000m2の総表面積を有する。電気化学堆積装置及び方法はまた、実密度×表面積から計算された幾何学的表面を含むことができる。例えば、1m2の表面上に50m2/gの実密度を有する50gの電気活性材料は、1m2の幾何学的表面積を有する。電気化学堆積装置の電気活性領域は、総表面積と幾何学的表面積との間であってもよい。
【0166】
電気化学堆積装置及び方法は、電流密度を維持することができる。電流密度は、定常状態の電流密度であってもよい。電流密度は、少なくとも約1mA/cm2、約1mA/cm2~約50mA/cm2、約5mA/cm2~約45mA/cm2、約10mA/cm2~約40mA/cm2、約15mA/cm2~約35mA/cm2、約20mA/cm2~約30mA/cm2、又は約50mA/cm2を含み得るが、これらに限定されない。電流密度は、少なくとも約50mA/cm2、約50mA/cm2~約50A/cm2、約5A/cm2~約45A/cm2、約10A/cm2~約40A/cm2、約15A/cm2~約35A/cm2、約20A/cm2~約30A/cm2、又は約50A/cm2を含み得るが、これらに限定されない。電流密度は、少なくとも約50A/m2、約50A/m2~約7.0kA/m2、約0.5kA/m2~約6.5kA/m2、約1kA/m2~約6.0kA/m2、約1.5kA/m2~約5.5kA/m2、約2.0kA/m2~約5.0kA/m2、約2.5kA/m2~約4.5kA/m2、約3.0kA/m2~約4.0kA/m2、又は約7.0kA/m2を含み得るが、これらに限定されない。電気化学堆積装置及び方法は、広範囲のpH値で動作することができる。電気化学堆積装置及び方法は、少なくともpH0、pH0~約pH10、約pH1~約pH9、約pH2~約pH8、約pH3~約pH7、約pH4~約pH6、又は約pH10を含むがこれらに限定されないpHで動作することができる。
【0167】
電気化学堆積装置及び方法は、広範囲の圧力値で動作することができる。電気化学堆積装置及び方法は、少なくとも約1atm、約1atm~約50atm、約5atm~約40atm、約10atm~約30atm、又は約50atmを含むがこれらに限定されない圧力で動作することができる。電気化学堆積装置及び方法は、少なくとも約0.1psi、約0.1psi~約60psi、約1psi~約55psi、約5psi~約50psi、約10psi~約45psi、約15psi~約40psi、約20psi~約35psi、約25psi~約30psi、又は約60psiを含むがこれらに限定されない差圧で動作することができる。
【0168】
電気化学堆積装置及び方法は、供給物から金属を選択的に回収することができる。回収率は、少なくとも約30%、約30%~約99%、約50%~約97%、約70%~約95%、約75%~約90%、約80%~約85%、又は約99%を含み得るが、これらに限定されない。
【0169】
電気化学堆積装置及び方法は、精製金属を生成することができる。金属の純度は、少なくとも約20%、約20%~約99.9%、約25%~約99%、約30%~約97%、約35%~約95%、約40%~約90%、約45%~約85%、約50%~約80%、約55%~約75%、約60%~約70%、又は約99.9%を含み得るが、これらに限定されない。
【0170】
電気化学堆積装置及び方法は、流体の流れで動作することができる。流体の流れは、層流及び/又は乱流であってもよい。流体の流れは、流量として存在してもよい。流量には、少なくとも約0.5mL/分、約0.5mL/分~約10.0mL/分、約1.0mL/分~約9.5mL/分、約1.5mL/分~約9.0mL/分、約2.0mL/分~約8.5mL/分、約2.5mL/分~約8.0mL/分、約3.0mL/分~約7.5mL/分、約3.5mL/分~約7.0mL/分、約4.0mL/分~約6.5mL/分、約4.5mL/分~約6.0mL/分、又は約10.0mL/分が含まれ得るが、これらに限定されない。流量には、少なくとも約10mL/分、約10mL/分~約100mL/分、約20mL/分~約90mL/分、約30mL/分~約80mL/分、約40mL/分~約70mL/分、約50mL/分~約60mL/分、又は約100mL/分も含まれ得るが、これらに限定されない。流量には、少なくとも約100mL/分、少なくとも約100mL/分~約1000mL/分、約200mL/分~約900mL/分、約300mL/分~約800mL/分、約400mL/分~約700mL/分、約500mL/分~約600mL/分、又は約1000mL/分も含まれ得るが、これらに限定されない。流量には、少なくとも約1L/分、少なくとも約1L/分~10L/分、約2L/分~約9L/分、約3L/分~約8L/分、約4L/分~約6L/分、又は約10L/分も含まれ得るが、これらに限定されない。流量には、少なくとも約10L/分、少なくとも約10L/分~約100L/分、約20L/分~約90L/分、約30L/分~約80L/分、約40L/分~約60L/分、又は約100L/分も含まれ得るが、これらに限定されない。
【0171】
電気化学堆積装置は、クロスフロー膜システム及び/又はデッドエンドフローシステムを備えてもよい。電気化学堆積装置は、モジュール式膜様構成、例えば、プレートアンドフレーム膜構成、螺旋巻構成、管状構成、又は中空繊維構成を含むことができる。複数の電気化学堆積装置が存在してもよい。複数の電気化学堆積装置は、並列に動作してもよい。複数の電気化学堆積装置を並列に動作させることにより、単一の電気化学堆積装置を動作させることと比較して、多孔質カソード材料上により多くの金属を堆積させることができる。複数の電気化学堆積装置は、直列に動作してもよい。複数の電気化学堆積装置を直列に動作させることにより、直列の多孔質カソード材料のそれぞれに1種類の金属を堆積させることができ、単一の電気化学堆積装置を動作させる場合と比較して、より多くの種類の金属を同時に堆積させることができる。複数の電気化学堆積装置を直列に動作させることにより、連続的な酸化還元プロセスを容易にすることができる。
【0172】
供給物が電気化学堆積装置を通って流れる。供給物は、合成であってもよく、又は工業的もしくは商業的プロセスに由来してもよい。供給物は、単一の金属を含んでも、又は複数の金属を含んでもよい。供給物は、金属供給物、黒色塊、金属微粒子、金属化合物、金属イオン、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。単一の金属又は複数の金属は、少なくとも約1mM、約1mM~約30mM、約5mM~約25mM、約10mM~約20mM、約30~50mM、約40mM~100mM、約60mM~400mM、約200mM~1000mM、又は約500mM~5000mMを含むがこれらに限定されない濃度を有し得る。供給物は、電解質を含んでもよい。電解質は、少なくとも約1mM、約1mM~約30mM、約5mM~約25mM、約10mM~約20mM、約30~50mM、約40mM~100mM、約60mM~400mM、約200mM~1000mM、又は約500mM~5000mMを含むがこれらに限定されない濃度を含み得る。供給物は、合成磁石、リサイクル磁石、黒色塊、電気廃棄物、電池廃棄物、リサイクル電池、リサイクル金属スクラップ、鉱石、鉱くず、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない多数の種類の材料を含むことができる。鉱石は、RE、Ti及び/又はFeを含んでもよいが、これらに限定されない。鉱石は、イルメナイト鉱石であってもよい。電池廃棄物は、Liイオン電池廃棄物を含み得る。電池廃棄物は、電池カソード廃棄物を含んでもよい。電池カソード廃棄物は、Ni、Mn、及びCoを含んでもよいが、これらに限定されない。供給物成分は前処理されてもよい。前処理は、減磁、ボールミル粉砕、濾過、酸浸出、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の数のプロセスを含み得る。
【0173】
装置及び方法は、酸を利用することができる。酸は、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、酢酸、シアン化水素、ギ酸、シュウ酸、亜硫酸、亜硝酸、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の数の酸を含み得る。
【0174】
装置及び方法は、酸化剤を含んでもよい。酸化剤は、塩素、臭素、酸素、二酸化炭素、オゾン、ヨウ素、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の数の酸化剤を含んでもよい。
【0175】
装置及び方法は、溶媒抽出剤を含み得る。溶媒抽出剤は、限定はしないが、アラミン336(トリ/オクチル-デシルアミン)、メタ-キシレン、シアネックス272(ビス-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸)、ヒドロキシオキシム、ジ(2-エチル-ヘキシル)リン酸、ヘキサン、リン酸トリブチル、炭化水素希釈剤、硫化ジアルキル、アルキルアミン、水酸化ナトリウム、TPEN(N,N,N´,N´,-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン、D2EHPA、又はそれらの組み合わせを含む化学物質を含み得る。
【0176】
供給物成分の前処理は、濾過、破砕、摩砕、混合、均質化、浸出、pH調整、沈殿又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。供給物は、石炭フライアッシュを含んでもよいが、これに限定されない。石炭フライアッシュは前処理されてもよい。石炭フライアッシュは、ガス(例えば、不活性ガス)中で再加熱して金属富化炭素蒸気を生成し、金属富化炭素蒸気をガラス繊維フィルタに衝突させて収集することによって前処理されてもよい。金属富化炭素蒸気は、収集され、浸出(例えば、酸浸出)されてもよい。
【0177】
装置及び方法は、バッファを備えることができる。バッファは、電気化学プロセスによって達成されるpHより上/下のpHに溶液を維持するために使用され得る。pHの維持は、金属の分離及び/又は堆積に有用であり得る。例えば、pH2.5では、Al3+とCu2+との両方が完全に溶解する。Al3+はpH約4.2で完全に沈殿し、Cu2+はpH約4.2以下では沈殿し始めるに過ぎない。多孔質カソード材料での水酸化物のカソード生成中に両者の急激な分離を完了するために、バッファを使用してpH上昇を4.2に制限してAlを沈殿させ、Cuを溶液中に残すことができる。
【0178】
装置及び方法は、金属の沈殿を操作するための試薬を含み得る。例えば、硫酸塩(M2+SO4
2-)としてのCo、Ni、及びMnは実質的に水に可溶(>100g/L)であるが、炭酸塩(M2+CO3
2-)としてのCo、Ni、及びMnは実質的に水に不溶である。水酸化物又は酸化物としてのCo、Ni、及びMnは、酸化状態に依存する溶解度の範囲を有する。したがって、Co、Ni、及びMn硫酸塩を水に添加すると、1Mを超える濃度でも完全に溶解する可能性がある。次いで、沈殿した材料組成物を、特定の試薬を使用して操作することができる。二酸化炭素及び/又は重炭酸塩は、カソード生成水酸化物と反応して炭酸塩を形成する試薬として使用することができる。次いで、炭酸塩は、Co-Ni-Mn硫酸塩溶液と反応し、Co-Ni-Mn混合沈殿物を形成することによって全ての金属を不溶性にして一緒に沈殿させることができる。
【0179】
カソード試薬として水を使用し、アノード試薬として塩化物を使用してもよい。選択的沈殿のために、アノードで生成された反応性塩化物種は、最初に例えばMnと特異的に反応して、酸化状態を2+から4+に増加させることができる。次いで、Mn4+をカソード水酸化物と反応させてMnO2を選択的に沈殿させ、それによってMnO2を溶解したCo及びNiから分離することができる。反応性塩化物種は、Coを2+から3+に選択的に酸化し、溶解したNiから分離され得るCo(OH)3の選択的沈殿をもたらし得る。
【0180】
バッファ及び/又は試薬は、少なくとも0、約pH0~約pH13、約pH1~約pH12、約pH2~約pH11、約pH4~約pH10、約pH5~約pH9、約pH6~約pH8、又は約pH13を含むがこれらに限定されないpHで使用され得る。バッファ及び/又は試薬は、少なくとも約0.01M、約0.01M~約2M、約0.02M~約1.8M、約0.05M~約1.5M、約0.1M~約1.2M、約0.2M~約1.0M、又は約2Mを含むがこれらに限定されない濃度であり得る。
【0181】
本発明の装置及び方法は、混合物から個々の金属を選択的に沈殿させるため、あるいは混合物から全ての金属を同時に沈殿させるためのカソード試薬及び/又はアノード試薬の選択を含み得る。イオン及び/又は試薬のリストは、限定されないが、テトラキサリン酸カリウム二水和物(KH3C4O8・2H2O);酒石酸水素カリウム(KHC4H4O6);クエン酸二水素カリウム(KH2C6H5O7);クエン酸;クエン酸一水和物;クエン酸三ナトリウム塩;クエン酸ナトリウム三塩基二水和物;フタル酸水素カリウム(KHC8H4O4);リン酸三ナトリウムNa3PO4;リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4);リン酸ナトリウム二塩基性脱水物;リン酸ナトリウム二塩基性四水和物;リン酸水素二カリウム(K2HPO4);リン酸二水素カリウム(KH2PO4);リン酸二水素ナトリウム(KH2PO4);ピロリン酸ナトリウム二塩基;ピロリン酸ナトリウム四塩基十水和物;四ホウ酸二ナトリウム十水和物(Na2B4O7・10H2O);四ホウ酸ナトリウム十水和物;二酸化炭素;炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3);炭酸ナトリウム(Na2CO3);水酸化カルシウムCa(OH)2;ジグリコール酸水素ナトリウム;リン酸;酢酸;酢酸ナトリウム;酢酸ナトリウム三水和物;リン酸ピペラジン;トリス塩酸塩;トリス;塩酸カリウム(KCl);塩酸(HCl);水酸化ナトリウム(NaOH);トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;ホウ砂;酢酸アンモニウム;トリフルオロ酢酸;トリフルオロ酢酸アンモニウム;MES2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸;MESヘミナトリウム塩;MES水和物;MES一水和物;MESカリウム塩;MESナトリウム塩;BIS TRIS ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン;BIS TRIS HCl;ADA N-(2-アセトアミド)-2-イミノ二酢酸;ADA二ナトリウム塩;ACES2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸;PIPESピペラジン-N,N´-ビス(2-エタンスルホン酸);PIPES二カリウム塩;PIPES二ナトリウム塩;PIPESセスキナトリウム塩;PIPESナトリウム塩;MOPSO3-(N-モルホリノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸;MOPSOナトリウム塩;BIS TRISPROPANE1,3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン;BES N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸;BESナトリウム塩;MOPS3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸;MOPSヘミナトリウム塩;MOPSナトリウム塩;TES N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸;TESヘミナトリウム塩;TESナトリウム塩;HEPES N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N´-(2-エタンスルホン酸);HEPES半ナトリウム塩;HEPESカリウム塩;HEPESナトリウム塩;DIPSO3-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸;MOBS4-(N-モルホリノ)ブタンスルホン酸;TAPSO3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸;TRIZMA Tris(ヒドロキシメチル)メチルアミン;HEPPSO N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N´-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸);POPSOピペラジン-N,N´-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸);POPSO水和物;TEA Tris(2-ヒドロキシエチル)アミン;EPPS4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸;トリカインN-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン;Gly-Gly N-グリシルグリシン;ビシンN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン;HEPBS N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N´-(4-ブタンスルホン酸);TAPS N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸;TAPSナトリウム塩;AMPD2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール;TABS N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-4-アミノブタンスルホン酸;AMPSO3-[(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸;CHES2-(N-シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸;CAPSO3-(シクロヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸;CAPSOナトリウム塩;AMP2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール;CAPS3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸;CABS4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸;AMPSO;AMPSOナトリウム塩;TRIZMA酢酸塩;TRIZMA塩基;TRIZMA HCl;マレイン酸TRIZMA;TRIZMA第一リン酸塩;ビシン;カコジル酸;カコジル酸ナトリウム三水和物;重酒石酸ナトリウム一水和物;酒石酸ナトリウム二水和物;酢酸カルシウム水和物;炭酸カルシウム;石灰;第二リン酸カルシウム;エタノールアミン塩酸塩;イミダゾール;グリコール酸;イミダゾールHCl;グリオキサリン;過ヨウ素酸;酢酸カリウム;重炭酸カリウム;炭酸カリウム;クエン酸カリウム三塩基性一水和物;フタル酸水素カリウム;第二リン酸カリウム;リン酸カリウム二塩基性三水和物;一塩基性リン酸カリウム;三塩基性リン酸カリウム;ヒスチジン;乳酸;乳酸ナトリウム;乳酸カリウム;グルコン酸;グルコン酸ナトリウム;グルコン酸カリウム;グルコン酸カルシウム;アスパラギン酸;アスパラギン酸ナトリウム;アスパラギン酸カリウム;アスパラギン酸カルシウム;グルタミン酸;グルタミン酸ナトリウム;グルタミン酸カリウム;グルタミン酸カルシウム;コハク酸;コハク酸ナトリウム;コハク酸カリウム;コハク酸カルシウム;マレイン酸;マレイン酸ナトリウム;マレイン酸カリウム;マレイン酸カルシウム;フマル酸;フマル酸ナトリウム;フマル酸カリウム;フマル酸カルシウム;ケトグルタル酸;グルタル酸塩;シュウ酸;シュウ酸塩;マロン酸;マロン酸エステル;EDTAギ酸;ギ酸塩;カルボン酸及びその誘導体;プロピオン酸;プロピオン酸塩;酪酸;酪酸塩;安息香酸、安息香酸塩及びそれらの誘導体;トルエン酸;溶離液;ニトロ安息香酸;ニトロベンゾエート;クロロ安息香酸;クロロベンゾエート;フェノール、フェノラート及びそれらの誘導体;ニトロフェノール類;ニトロフェノラート;ハロフェノール類;ハロフェノラート;アルキルフェノール;アルキルフェノラート;アンモニア;アンモニウム;アルキルアミン及びその誘導体;アミノアルコール類及びそれらの誘導体;ホスフェート類及びそれらの誘導体;フッ化水素及びフッ化物塩;ヨウ化水素塩及びヨウ化物塩;セレン酸及び亜セレン酸塩;ヨウ素酸;ヨウ素酸塩;臭素酸水素;臭素酸塩;硫化水素;水硫化物塩;硫化物塩;二酸化硫黄;;亜硫酸;亜硫酸塩;二酸化セレン;亜セレン酸;亜セレン酸塩;セレン酸;セレン酸水素塩;セレン酸塩;二酸化ケイ素;ケイ酸;ケイ酸塩塩;クロム酸水素塩;クロメート塩;モリブデン酸水素;モリブデン酸塩;ヒ素酸;ヒ酸塩
過塩素酸;過塩素酸塩;シアン化水素;シアン化物塩;チオシアン酸水素;チオシアネート塩;又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0182】
供給物は、溶液、水溶液、非水溶液、有機溶媒、イオン液体、共融溶媒、ガス、均質混合物、不均質混合物、スラリー、非ニュートン流体、蒸気、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。溶液は金属流を含み得る。供給物は、電気化学堆積装置の多孔質カソード材料を経由して、及び/又は通って流れる。複数の供給物が電気化学堆積装置を通って流れてもよい。
【0183】
電気化学堆積装置及び方法は、触媒を含むことができる。触媒の選択は、標的多孔質カソード材料及びアノード反応に依存し得る。例えば、水素発生反応(hydrogen evolution reaction、「HER」)触媒を多孔質カソード材料での反応に使用して、水を還元し、水酸化物を生成し(pHを上昇させ)てもよい。具体的なHER触媒は、コスト、性能、及び他のパラメータに依存し得る。多孔質カソード材料は、直接金属還元沈殿;過酸化水素への酸素の還元を含むがこれに限定されない酸化剤生成:二酸化炭素ラジカルへの二酸化炭素の還元を含むがこれに限定されない還元剤生成;及び/又は、犠牲電子受容体として水ではなく酸素を使用した必要とされる全体的なセル電位の削減を含むがこれらに限定されない、水還元以外の他のプロセスに使用されてもよい。アノードは、直接金属酸化沈殿;塩化物から二塩化物ラジカルへの酸化などの酸化剤生成;及び/又は、犠牲電子供与体を使用した必要とされる全体的なセル電位の削減プロセスを含むがこれらに限定されない他のプロセスに使用されてもよい。選択的な触媒選択が、電気抽出プロセスに大きな影響を及ぼしてもよく、触媒選択が、所望の金属沈殿プロセスの制御を可能にしてもよい。
【0184】
多孔質カソード材料用のHER触媒は、Pt、Pt/C、Tl、In、Cd、Pb、Ga、Zn、Sn、Bi、Ag、Cu、Fe、Co、Ni、Au、Rh、Ir、Re、W、Mo、Nb、Ti、Ta、Al、Pd、Hg、V、Hf、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない金属;Ni-Ti、Mo-Ni、Mo-Co、Mo-Pt、Ni-Zr、Mo-S、Ni-Co、Ni-Fe、Ni-Mo-Cd、Ni-Mo-Fe、La5Ni合金、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない合金;グラフェン、(B、N、S、Pで)ドープされたグラフェン、CNT、(B、N、D.Pで)ドープされたCNT、黒色炭素、活性炭、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない炭素系材料;IrO2-RuO2、SrxNbO3-δ又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない金属酸化物;MoS2、FeS2、FeNiS、TaS2、NbS2、Mo2C、MoSe2、CoMoS2、WS2(Fe、Co、Ni、Cu、Ptで)ドープされたMoS2、ドープされたMoS3、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない2Dナノ材料;Co-ポルフィリン、Rh-ポルフィリン、Fe-ポルフィリン、Ni-ポルフィリン、Cu-コロール、ビス有機金属ジポルフィリン、Ni-ジホスフィン、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない分子/ポルフィリン/コロール;ヒドロゲナーゼ及びヒドロゲナーゼ模倣物;CoP、MoP2、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないリン化物;WCを含むがこれに限定されない炭化物;MoS2、NiS2、ZnS、CdS、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない硫化物;R-SiW12O404-、H3PMo12O40、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないポリオキソメタレート;あるいはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0185】
酸素発生触媒(OEC)をアノードで使用することができ、TiO2、ZnO、WO3、IrO2、MnO2、Mn2O3、CoO、Co2O3、CoO2、Co3O4、Fe2O3、CuO、NiO、Ni2O3、CoOOH、RuO2、PtO、FeOOH、PbO2、PtO2、Fe3O4、NiOx、SnO2、Ta2O5、ZrO2、WO3、又はそれらの組み合わせを含む金属酸化物;CoSe2、NiSe、Co3S4、MoS2、TaS2、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない金属カルコゲナイド;SrTiO2、BiVO4、InSnO2、Co3V2O8、ZnCo2O4、CaMn4O5、CaMn3O4、CoNiOx、NiCuOx、CoMoOx、FeMoOx、CuCoOx、IrO2-Ta2O3、NiCo2O4、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない二金属酸化物;NiFeS、NiCo2Se4、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない二金属カルコゲナイド;NiFeAlO4、BiCu2VO6、CoNiFe水酸化物、CoCrFeOx、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない多金属酸化物;N-TiO2、Ni-IrO2、Ni-RuO2、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないドープされた金属酸化物;La:NaTaO3、LaSrCrO3、Ba0.5Sr0.5Co0.8Fe0.2O3-δ、LaNiO3、SrCoO3、Ba2NdIrO6、SrIrO2、LaNiO3、LaMnO3、LaCuO3、LaCrO3、LaCoO3、SrFeO3、NiLa2O4、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されないペロブスカイト;ポリオキシメタレート;Ni(OH)2-CNT、Ni-Ti、Ni-Fe、Co-Fe、Co-Mn、Ni-V、Fe-Ni-Co、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない層状複水酸化物;CoOx、NiOx、FeOx、NiyCo1-yOx、NiFeOx、MoS2、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない2Dナノ材料;NiFe、NiCo、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない金属有機構造体(MOF);Ni3N、C3N4、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない窒化物;Ti3C2を含むがこれに限定されない炭化物;炭酸水酸化物;ホウ酸塩;リン化物;N-ドープもしくはS-ドープされたグラフェン、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないグラフェン;Mn-コロール、Co-ポルフィリン、Ni-ポルフィリン、Mn-ポルフィリン、Ru-ポリピリジン、Ru-アミン、Ir-錯体、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない分子/ポルフィリン/コロール;あるいはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0186】
触媒は酸素還元反応に使用することもでき、反応O2+2e-+2H+→H2O2による2電子の生成が好ましい。好ましい酸素還元を達成するために使用される触媒は、Ptを含むがこれに限定されない金属;グラフェン、(B、N、S、Pで)ドープされたグラフェン、CNT、(B、N、D.Pで)ドープされたCNT、黒色炭素、活性炭を含むがこれらに限定されない炭素系材料;又はそれらの組み合わせ;シトクロムC(4e-)、シトクロムCオキシダーゼ、Fe-ポルフィリン、Co-ポルフィリン、Mn-ポルフィリン、Cr-ポルフィリン、Cu-ポルフィリンを含むがこれらに限定されないポルフィリン/コロール;又はそれらの組み合わせ;あるいはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0187】
触媒は、一般的な酸化触媒を含み得る。一般的な酸化触媒は、RuO2、IrO2、SnO2、PbO2、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない金属酸化物;Sb-Sn-RuO2、Ru0.3Ti0.7O2、Ru0.3Sn0.7O2、IrO2/SnO2、SnO2-Sb2O5、Bi2O5-PbO2、Ti-Ru-SnOx、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない混合金属酸化物;(B、Bi、F、Cl、P、Sbで)ドープされたSnO2、(Fe、Co、Bi、Fなどで)ドープされたPbO2、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないドープされた金属酸化物;Ptを含むがこれに限定されない金属;ホウ素ドープダイヤモンド、グラファイト、カーボンペレット、カーボンフェルト、カーボンブラックスラリー、炭素繊維、ガラス状炭素、グラファイト粒子、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない炭素;あるいはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0188】
触媒は、一般的な還元触媒を含み得る。一般的な還元触媒としては、α-PMo12O40
3-、P2W18O62
6-、P2W17O61Fe(III)(H2O)8-SiW11O39Fe(II)(H2O)6-、PW11O39Ru(III)(H2O)4-、K17[Ln(As2W17O61)2]axH2O、Nd(SiMo7W4O39)2
13-、a-SiMo12O40
4-、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないポリオキソメタレート;CNT、カーボンフェルト、カーボンフォーム、カーボンメッシュ、カーボンナノファイバー、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない炭素系材料(被覆及び非被覆);発泡体、フェルト、Ni、Cu、Al、もしくはTiからのメッシュ、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない金属系材料(被覆及び非被覆);あるいはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0189】
多孔質カソード材料に電圧を印加することができる。電圧が多孔質カソード材料に印加されている間に、供給物が電気化学堆積装置の多孔質カソード材料を通って流れてもよい。電圧は、少なくとも約0.25V、約0.25V~約5.0V、約0.5V~約4.75V、約0.75V~約4.5V、約1.0V~約4.25V、約1.25V~約4.0V、約1.5V~約3.75V、約1.75V~約3.5V、約2.0V~約3.25V、約2.25V~約3.0V、又は約5.0Vを含み得るが、これらに限定されない。
【0190】
金属は、カソード材料の表面上に電気沈殿、すなわち堆積され得る。堆積される金属は、これらに限定されないが、ネオジム(「Nd」)、プラセオジム(「Pr」)、ジスプロシウム(「Dy」)、銅(「Cu」)、リチウム(「Li」)、ナトリウム(「Na」)、マグネシウム(「Mg」)、カリウム(「K」)、カルシウム(「Ca」)、チタン(「Ti」)、バナジウム(「V」)、クロム(「Cr」)、マンガン(「Mn」)、鉄(「Fe」)、コバルト(「Co」)、ニッケル(「Ni」)、カドミウム(「Cd」)、亜鉛(「Zn」)、アルミニウム(「Al」)、ケイ素(「Si」)、銀(「Ag」)、スズ(「Sn」)、白金(「Pt」)、金(「Au」)、ビスマス(「Bi」)、ランタン(「La」)、ユーロピウム(「Eu」)、ガリウム(「Ga」)、スカンジウム(「Sc」)、ストロンチウム(「Sr」)、イットリウム(「Y」)、ジルコニウム(「Zr」)、ニオブ(「Nb」)、モリブデン(「Mo」)、ルテニウム(「Ru」)、ロジウム(「Rh」)、パラジウム(「Pd」)、インジウム(「In」)、ハフニウム(「Hf」)、タンタル(「Ta」)、タングステン(「W」)、レニウム(「Re」)、オスミウム(「Os」)、イリジウム(「Ir」)、水銀(「Hg」)、鉛(「Pb」)、ポロニウム(「Po」)、セリウム(「Ce」)、サマリウム(「Sm」)、エルビウム(「Er」)、イッテルビウム(「Yb」)、トリウム(「Th」)、ウラン(「U」)、プルトニウム(「Pu」)、テルビウム(「Tb」)、プロメチウム(「Pm」)、テルル(「Te」)、又はそれらの組み合わせを含み得る。堆積される金属は、化学式Mn+(OH)n、又は(Mn+)mO(n×m)/2であってもよいが、これらに限定されない。堆積される金属は、金属炭酸塩であってもよい。金属は、非イオン形態で堆積されてもよい。堆積される非イオン性金属は、M0の形態であってもよい。金属は、特定の化学量論に従って堆積され得る。例えば、第1の金属がM1であり、第2の金属がM2であり、第3の金属がM3である場合、金属は化学量論比M1:M2:M3で堆積されてもよい。金属は、1:1:1、1:2:1、1:1:2、又は2:1:1の化学量論比を含むがこれらに限定されない任意の化学量論比で堆積されてもよい。化学量論比で堆積された金属を、例えばCo含有材料から抽出することができる。化学量論比で堆積される金属が、金属水酸化物として堆積されてもよい。化学量論比で堆積された金属を、カソード材料として使用してもよい。例えば、化学量論比で堆積されたNi-Mn-Co水酸化物を使用して、Liイオン電池用のカソードを製造することができる。
【0191】
電気化学堆積装置及び方法は、1つ以上の金属の酸化状態を変化させることができる。H、Li、Na、K、Rb、Cs、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないアルカリ金属は、+1酸化として水溶液中にのみ存在し得る。ゼロ酸化状態の天然金属は、唯一の他の一般的な形態であり、この酸化状態は水と激しく反応して水素及び酸化金属を生成する。アルカリ金属イオンは、高い水溶性を有し得、電気抽出中に沈殿しない傾向がある。
【0192】
Be、Mg、Ca、Sr、Ba、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないアルカリ金属は、+2酸化として水溶液中にのみ存在し得る。ゼロ酸化状態の天然金属は、唯一の他の一般的な形態であり、水と激しく反応して水素及び酸化金属を生成する。これらの金属イオンは、高い水溶性を有し、電気抽出中に沈殿しない傾向がある。
【表1】
【0193】
より高い遷移金属酸化状態を有する金属水酸化物は、より熱力学的に好ましい金属カチオン-水酸化物アニオン結合を有し得、金属水酸化物として沈殿する傾向がより大きくなり得る。例えば、≧+4の酸化状態を有する金属イオンは、pH<2(又は[HO-]<10-12M)で沈殿する傾向がある。+3の酸化状態を有する金属イオンは、1~6(又は10-13<[HO-]<10-8)のpH範囲で沈殿する傾向がある。+2の酸化状態を有する金属イオンは、6~10(又は10-8<[HO-]<10-4)のpH範囲で沈殿する。+1の酸化状態を有する金属イオンは、pH>10(又は10-4<[HO-])で沈殿する。天然金属は自然に水中に沈殿する。
【0194】
より低いpHで沈殿するように1つの金属をより高い酸化状態に酸化することにより、単一の金属イオンの選択的沈殿が可能になり得る。例えば、黒色塊の4つの一次金属は、ニッケル、マンガン、コバルト、及びリチウムであり得る。Ni
2+、Mn
2+、及びCo
2+の標準的な還元(酸化の逆)電位を表2に列挙しており、Li
+は更に酸化することができないため、Li
+の電位は列挙されていない。MnはCo又はNiよりも低い酸化電位を有し、Mn
2+を選択的に酸化してMnを二酸化マンガン(MnO
2)として沈殿させるために使用され得るいくつかの電気抽出戦略が存在し得る。
【表2】
【0195】
最初に、低pHの混合Ni/Mn/Co供給物が多孔質カソード材料を通過してもよく、そこで水の還元が水酸化物を生成してpHを上昇させてもよい。次いで、溶液は、Co
2+ではなく酸化されたMn
2+に十分なアノード電位でアノードを通過することができる。次いで、酸化されたMn
4+は、MnO
2として沈殿し、濾過によって収集されてもよい。このプロセスの例示的な実施形態を
図24に示す。
【0196】
最初に、中程度のpHの混合Ni/Mn/Co供給物が、Co
2+ではなくMn
2+を酸化するのに十分なアノード電位でアノードを通過してもよい。次いで、酸化されたMnはMnO
2として沈殿し、多孔質アノード又はアノードと多孔質カソード材料との間に配置された別個のフィルタによって濾過される。次いで、残りのNi/Co溶液は多孔質カソード材料を通過することができ、そこで水還元が水酸化物を生成し、それによってpHを上昇させ、混合NiCo水酸化物生成物を沈殿させる。次いで、混合されたNiCo水酸化物生成物を濾過によって収集することができる。このプロセスの例示的な実施形態を
図25に示す。
【0197】
中程度のpHの混合Ni/Mn/Co供給物が、最初にアノードを経由して流れてもよく、NaCl電解質供給物が、アノードと多孔質カソード材料との間を流れてもよい。NaCl電解質供給物は、アノードと多孔質カソード材料の両方を通って別々に流出してもよい。NaClがアノードを通って流れるのに伴って、塩化物は酸化されて塩素になってもよく、次いで塩素はアノード通過流中のMn
2+と選択的に反応して、沈殿物としてMnO
2を生成してもよい。次いで、MnO
2を濾別してもよく、残りのNi/Co溶液は次いで、多孔質カソード材料を経由して流れてもよい。NaCl溶液が多孔質カソード材料を通って流れるのに伴って、水酸化物を生成する水還元が起こり、水酸化物は溶液中のNi/Coと反応してNiCo混合金属水酸化物(MHP生成物)を生成する。このプロセスの例示的な実施形態を
図26に示す。
【0198】
低pHの混合Ni/Mn/Co供給物が、アノードを通って外側から流入してもよく、電解質供給物が、多孔質カソード材料を通って外側から流入し、両方の反応溶液が電極の間で混合する。混合Ni/Mn/Co供給物がCo
2+ではなくMn
2+を酸化するのに十分な電位でアノードを通過すると、Mnは選択的に酸化されてMn
4+となり、MnO
2として沈殿する。多孔質カソード材料を電解質が通過するのに伴って水が水素と水酸化物とに還元されると、生成された水酸化物が中央のチャンバで混合し、pHを上昇させてMnO
2の沈殿を促進することができる。次いで、生成したMnO
2を濾過によって収集することができる。このプロセスの例示的な実施形態を
図27に示す。
【0199】
3つ全ての金属を個別に分離することが望ましい場合、複数の金属を個別に分離するために、様々な電気化学堆積チャンバを直列に使用することができる。例えば、第2の金属分離プロセスのアノード電位は、Co
3+へのCo
2+酸化が達成されるように第1のプロセスよりも高くてもよい。次いで、Co
3+は、多孔質カソード材料によって生成された水酸化物と反応し、Co(OH)
3又はCoOOHとして沈殿し得る。CoOOHは濾過によって収集することができる。次いで、残りのNi溶液は、多孔質カソード材料を経由して流れてpHを更に上昇させ、Ni(OH)
2の沈殿を可能にすることができる。このプロセスの例示的な実施形態を
図28に示す。
【0200】
2つ以上の個々の金属を分離するための別の流れ様式は、適度なpHの混合Ni/Mn/Co溶液を、電解質塩化物がアノードを通って流れるのに伴って電解質塩化物を塩素に酸化するのに十分なアノード電位を有するアノードによって流すことであり得る。次いで、生成した塩素は、Mn
2+を酸化してMn
4+にし、これがMnO
2として沈殿する。次いで、MnO
2をフィルタ上に収集する。次いで、残りのNi/Co溶液は、残りのNi/Co溶液がアノードを通って流れるのに伴って塩化物を二塩化物ラジカルアニオンに酸化するのに十分な電位で、別のアノードを経由して流れる。次いで、生成したジクロリドラジカルアニオンによってCo
2+がCo
3+に酸化してCoOOHとして沈殿したものを濾過によって収集する。残りのNi溶液は多孔質カソード材料を経由して流れ、多孔質カソード材料を通って流れる水を還元して水酸化物を生成する。水酸化物はNiと反応してNi(OH)
2として沈殿してもよく、次いでこれを濾過によって収集することができる。このプロセスの例示的な実施形態を
図29に示す。
【0201】
3つの金属Ni、Mn、及びCoを一度に沈殿させるために、溶解したNi/Mi/Co(「NMC」)溶液の弱酸性混合物を多孔質カソード材料を経由して流すと同時に、電解質溶液をアノードと多孔質カソード材料との間を通して流す。電解質が多孔質カソード材料を通って流れると、水が還元されて水素及び水酸化物アニオンが生成され、水酸化物アニオンは、その中を流れる溶解したNi
2+/Mn
2+/Co
2+と反応して混合NMC水酸化物沈殿物を生じる。硫酸塩ではなく重炭酸塩が電解質として使用される場合、重炭酸塩が水酸化物と反応して炭酸塩を生成してもよく、これがNMCを沈殿させることにより、混合NMC炭酸塩沈殿物が生成されてもよい。他のNMC塩を製造するために、同様の戦略を使用してもよい。アノードを通って流れる電解質は、水酸化を受けて酸素及びプロトン/酸を生成することができ、これらは次いで、最初の浸出工程へと再利用されてもよい。このプロセスの例示的な実施形態を
図30に示す。
【0202】
フロースキームが、例えば硫化鉱石中に存在するFe、Cu、Ni、Co、PGM、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の金属混合物に使用されてもよい。表1において、元素の下の数字は、一般的な、例えば典型的に観察される酸化状態である。複数の酸化状態は、酸化状態が電気化学的酸化還元プロセスによって操作され得ることを示す。このプロセスは、アノード又は多孔質カソード材料で直接行われてもよく、あるいは二酸化炭素ラジカル又は塩素などの酸化剤を含むがこれらに限定されない反応性還元剤の生成を介して間接的に行われてもよい。例えば、Cu1+のCu0への還元が多孔質カソード材料で起こってもよく、又はMn2+のMn4+への酸化がアノードで直接もしくは塩素生成を介して間接的に起こってもよい。
【0203】
表2によれば、複数の酸化状態を有する複数の金属(例えば、黒色塊抽出物は、最初は全て2+状態のNi、Co、Mnを有するが、個々の金属は複数の酸化状態Ni(2+)、Co(2+、3+)、Mn(2+、4+、7+)を有する)、次いで、印加された電気化学電位を合理的に操作して、金属のうちの1つのみを選択的に酸化することができる。例えば、黒色塊の場合、1.25~1.85V(又は特定のMn濃度についてのネルンストの式による適切な範囲)のアノード電位を印加することによって最初にMn2+をMn4+に選択的に酸化して、その後の濾過による除去のためにMnO2として選択的に沈殿させることができる。次いで、1.9Vを超える電位(又は特定のCo濃度についてのネルンストの式による適切な範囲)を印加することによってCo2+を選択的に酸化して、その後の濾過による除去のためにCo(OH)3又はCoOOHとして沈殿させることができる。最後に、溶液の水酸化物濃度を増加させることによって、それ以上酸化しないNi2+をNi(OH)2として沈殿させてもよい。
【0204】
鉱石/濃縮物(例えば、カルコパイライト)中の金属、例えばNiを浸出させることができる。浸出した濃縮物は、例えばFe
2+、Cu
1+/2+、及びNi
2+のわずかに酸性の混合金属溶液である。溶液は、最初に、溶解したCuが多孔質カソード材料で金属銅に最初に還元される流動様式を通って流れる。次いで、溶解したFe
2+をアノードでFe
3+に酸化することができる。Fe
3+は沈殿してFe(OH)
3又はFe
2O
3を形成し、これを濾過によって収集することができる。残りのNi
2+溶液は、Ni
2+が多孔質カソード材料中を流れてNi(OH)
2として沈殿する水酸化物を生成し、濾過によって収集することができる別の流れ様式を通過することができる。このプロセスの例示的な実施形態を
図31に示す。
【0205】
低電気抽出反応性金属、例えばLi
+を生成物として収集することができる。Li
+は、おそらく炭酸塩として、輸送可能な塩水中に濃縮されてもよく、又は濃縮後に沈殿してもよい。電気抽出技術をハイブリッド化してもよく、電気透析技術を使用してLi
+などの種を選択的に濃縮及び/又は沈殿させてもよい。電気透析中、バイポーラ電極システムを、アノードの近くに配置されたアニオン交換膜、及び多孔質カソード材料の近くに配置されたカチオン交換膜と組み合わせて使用することができ、膜は2つの電極の間に配置される。次いで、電気透析は、電極によって生成された電場、及び水の分解中に生成されたイオン(カソードアニオン性水酸化物及び(アノードカチオン性プロトン)を使用することによって、電解質中のアニオン及びカチオンを分離することができる。例えば、硫酸リチウム溶液がイオン交換膜の間を流れる場合、正のリチウムイオンはカチオン交換膜を通って多孔質カソード材料に向かってエレクトロマイグレーションし、負の硫酸イオンはアニオン交換膜を通ってアノードに向かってエレクトロマイグレーションする。イオン交換膜は、イオンのみを通過させ、水の通過を防止することができる。したがって、膜を通ってエレクトロマイグレーションするイオンは、膜透過液中に濃縮され得る。硫酸リチウム溶液中にカチオン汚染物質が存在する場合、Li
+のみを通過させるLiイオン特異的カチオン交換膜を使用することによって、これらを排除することができる。最後に、Li濃縮物ではなくLi沈殿物が最終生成物である場合、炭酸水素ナトリウム電解質を使用して炭酸イオンをカソード生成することができる。炭酸リチウム(Li
2CO
3)は、それぞれ13g/L(0.18M)と比較して、130g/L(5.4M)で水酸化リチウム(LiOH)よりも著しく低いSTP溶解度を有する。ハイブリッド電気抽出電気透析システムは、生成された酸及び/又は塩基を代替の浸出プロセス及び沈殿プロセスにそれぞれ使用するために更に融合され得る。アノード/カソード反応は、金属の酸化/還元に使用することができ、金属の電荷の増加/減少は、水の分解中のプロトン/水酸化物と同様のエレクトロマイグレーションプロセスを推進することができる。このプロセスの例示的な実施形態を
図32に示す。
【0206】
金属は、金属水酸化物として堆積されてもよい。堆積した金属水酸化物は、Mn+(OH)nの形態であり得る。多孔質カソード材料は、水の還元を電気触媒し得る。水の電気触媒還元は、化学反応2H2O+2e-→H2+2HO-に従って起こる。還元水からの水酸化物アニオンは、金属イオンと反応して金属水酸化物を生成し得る。カソード材料付近の水酸化物濃度は、供給物中の他の場所と比較して高くなり得る。カソード材料付近の高い相対水酸化物濃度は、多孔質カソード材料上への均一な金属又は金属酸化物の沈殿及び堆積を促進する。金属水酸化物は、以下の化学式に従って形成することができる:
2e-+2H2O→H2+2OH-
Mn++(OH)n→M(OH)n(s)
Mn++2e-+2H2O→H2+M(OH)n(s)。
例えば、水酸化コバルトは、水酸化物イオンがCoと比較して化学量論的に過剰な以下の式に従って形成することができる:
2e-+2H2O→H2+2OH-
Co2++2OH-→Co(OH)2(s)
Co2++2e-+2H2O→H2+Co(OH)2(s)。
【0207】
単一の金属を多孔質カソード材料の表面上に堆積させることができる。単一の金属を複数の多孔質カソード材料の表面上に堆積させることができる。複数の多孔質カソード材料の表面上に単一の金属を堆積させることは、例えば、供給物を第1の多孔質カソード材料に通過させ、供給物中の金属の例えば90%を第1の多孔質カソード材料上に堆積させて枯渇溶液を形成することによって、供給物中の金属の量を順次減少させることと、この枯渇溶液を第2の多孔質カソード材料に通過させて、例えば枯渇溶液中の金属の90%を第2の多孔質カソード材料上に堆積させることと、を含んでもよい。多孔質カソード材料は、長い使用寿命を有してもよい。多孔質カソード材料の寿命は、少なくとも約50時間、約50時間~約1000時間、約100時間~約900時間、約200時間~約800時間、約300時間~約700時間、約400時間~約600時間、約500時間~約1200時間、約1200時間~約2000時間、約1500時間~約3000時間、約2200時間~約4000時間、又は約5000時間を含み得るが、これらに限定されない。
【0208】
複数の金属が、複数の多孔質カソード材料の表面上に堆積されてもよい。例えば、第1の金属、例えばNdは、第1の多孔質カソード材料上に堆積されてもよく、第2の金属、例えばPrは、第2の多孔質カソード材料上に堆積されてもよい。別の例では、Cuを1.5Vで第1の多孔質カソード材料上に堆積させてもよく、次いでNi又はCoを3.0Vで第2の多孔質カソード材料上に堆積させてもよい。
【0209】
金属は、供給物から不純物を除去し、目的の金属、例えばLiが収集のために電気化学堆積装置を通過することを可能にするために、多孔質カソード材料上に堆積されてもよい。多孔質カソード材料上への金属堆積は透過液をもたらす。透過液は、金属を含まないか、又は金属が枯渇していてもよい。金属が枯渇した透過液は、供給物として電気化学堆積装置へと再利用され得る。多孔質カソード材料上への金属堆積は、複数の透過液をもたらし得る。
【0210】
堆積した金属は、多孔質カソード材料から除去され、金属を含む濃縮物及び/又は抽出物を形成することができる。濃縮物及び/又は抽出物は、供給物として電気化学堆積装置へと再利用され得る。多孔質カソード材料から除去された堆積金属は、複数の濃縮物及び/又は抽出物を形成することができる。
【0211】
堆積した金属は、多孔質カソード材料から除去される。堆積した金属は、多孔質カソード材料の表面上のクロスフローを増加させること及び/又は空気洗浄によって多孔質カソード材料から除去することができる。堆積した金属はまた、電気化学堆積装置に逆流を通すことによって多孔質カソード材料から除去されてもよい。堆積した金属は、堆積した金属を多孔質カソード材料から反発させるパルス電流によって多孔質カソード材料から除去することができる。堆積した金属はまた、パルス電流と組み合わせて多孔質カソード材料の表面上のクロスフローを増加させることによって多孔質カソード材料から除去されてもよい。更に、堆積した金属は、パルス電流と組み合わせて電気化学堆積装置に逆流を通すことによって多孔質カソード材料から除去することができる。
【0212】
電気化学堆積法は、溶媒抽出剤を含み得る。溶媒抽出剤は、カソード材料に非共有結合していてもよい。溶媒抽出剤は、リン酸トリブチル、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、ジ(2-エチル-ヘキシル)リン酸、ジアルキルスルフィド、ヒドロキシオキシム、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。溶媒抽出剤は、水性であっても非水性であってもよい供給液に溶解されてもよい。溶媒抽出剤は、in situ可逆的電気化学的金属固相抽出プロセスを容易にし得る。電気化学堆積装置は、複数の溶媒抽出剤を含んでもよい。
【0213】
電気化学堆積装置は、センターフロー設計を有してもよい。センターフロー設計は、供給物を受け取るための領域;供給電解質を受け取るための領域;第1の出口;多孔質カソード材料;及びアノードを備えてもよい。多孔質カソード材料は、供給物を受け取るための領域と連通していてもよい。水酸化物イオンは、多孔質カソード材料を横切って移動し、多孔質カソード材料の表面で生じ、及び/又は多孔質カソード材料内で生じ、供給物を受け取るための領域に入ってもよい。金属イオンは、多孔質カソード材料に堆積されてもよく、金属水酸化物に変換されてもよい。変換された金属水酸化物は、供給物を受け取るための領域内に金属水酸化物濃縮物を形成し得る。金属水酸化物濃縮物は、電気化学堆積装置から第1の出口を通って流出してもよい。水がアノードで電気分解されて、水素イオン及び酸素を形成してもよい。水が多孔質カソード材料で電気分解されて、水素及び水酸化物イオンを形成してもよい。電気化学堆積装置は、第2の出口を更に備えてもよい。供給電解質は、電気化学堆積装置から第2の出口を通って流出してもよい。供給電解質は、浸出溶液(例えば、酸性浸出溶液)へと再利用してもよい。電気化学堆積装置はまた、アノード透過液領域、供給物領域、及び電解質供給物領域を備えてもよい。任意選択的に、アノード透過液領域と供給物領域と電解質供給物領域との間にクロスフローがあってもよい。電気化学堆積装置は、電解質供給物領域からの流出を防止するための表面を備えてもよい。表面は、例えば、剛性壁、弁、可撓性膜、又はそれらの組み合わせであってもよい。電気化学堆積装置はまた、第3の出口を備えてもよい。第1、第2、及び第3の出口は、アノード透過液領域、供給物領域、及び電解質供給物領域からの流出を可能にするために、電気化学堆積装置に配置されてもよい。
【0214】
センターフロー設計は、多孔質カソード材料及びアノードに対して垂直な、かつ多孔質カソード材料及びアノードから離れるように移動する正圧を生成することができる。多孔質カソード材料又はその近くで生成された金属水酸化物は、センターフロー設計を通るクロスフローによって再懸濁され、及び/又は集められてもよい。
【0215】
本発明の方法は、金属イオンを含む供給物を電気化学堆積装置に接触又は通過させることと、供給物を多孔質カソード材料と接触させることと、多孔質カソード材料の表面上に金属を堆積させることと、金属イオンを金属水酸化物に変換して金属水酸化物濃縮物を形成することと、を含んでもよい。方法は、金属水酸化物濃縮物から金属水酸化物を回収することを更に含み得る。金属水酸化物濃縮物から金属水酸化物を回収することは、フィルタ、濾過装置、沈降プロセス、遠心分離機、プレス、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない装置に金属水酸化物濃縮物を通過させることを含み得る。方法は、水を電気分解して水素ガス及び水酸化物イオンを形成することを更に含み得る。方法は、水を電気分解して酸素ガス及び水素イオンを形成することを更に含み得る。水は、多孔質カソード材料及び/又はアノードで電気分解されてもよい。方法は、多孔質カソード材料及び/又はアノードを横断して電解質供給物を接触させることを更に含んでもよい。電解質供給物は、HCl、HNO3、又は他の塩を含んでもよいが、これらに限定されない。電解質供給物は、電解プロトン及び電解水酸化物を含んでもよいが、これらに限定されない。電解質供給流は、アノードを横断して電解プロトンを、及び多孔質カソード材料を横断して電解水酸化物を輸送することができる。方法はまた、電解液を浸出溶液(例えば、酸性浸出溶液)へと再利用することを含んでもよい。供給物領域及び/又はアノード透過液領域からの産出物も再利用することができる。
【0216】
本発明は、濾過装置を更に備えてもよい。濾過装置は、金属水酸化物濃縮物を受け取ることができる。濾過装置は、入口と、出口と、ハウジングと、フィルタとを備えてもよい。入口は、金属水酸化物濃縮物を受け入れてもよい。金属水酸化物が枯渇した溶液は、出口を経由して濾過装置から流出してもよい。フィルタは、細孔、膜、交換カラム、又はそれらの組み合わせを含み得る。フィルタは、金属水酸化物を捕捉可能であってもよい。本発明は、電気化学堆積装置に流入する供給物を収容する容器を更に含んでもよい。本発明はまた、ユーザインターフェースを含むことができる。ユーザインターフェースは、スクリーンを備えることができる。画面はタッチスクリーンであってもよい。ユーザインターフェースは、自動制御システムを備えることができる。自動制御システムは、洗浄、in situ洗浄、又はフィードバックループを使用する洗浄サイクルに使用することができる。
【0217】
電気化学堆積装置は、ガスを発生させることができる。ガスは、酸素、水素、塩素、NOx(式中、Xは1~4の整数である)、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。電気化学堆積装置はまた、ガス放出弁を備えてもよい。ガス放出弁は、電気化学堆積装置によって生成されたガスを放出することができる。ガス放出弁は、ベント、手動弁、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0218】
電気化学堆積装置は、フィルタプレスを備えてもよい。フィルタプレスは、フィルタプレートと、フィルタプレスシリンダと、多孔質カソード材料と、アノードと、入口と、出口とを備えてもよい。フィルタプレスはまた、メッシュ、ガスケット、集電体、カラーガスケット、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。メッシュ、ガスケット、集電体、及びカラーガスケットの対が、フィルタプレートの両側に少なくとも部分的に配置されてもよい。メッシュは、フィルタプレート内に少なくとも部分的に配置されてもよい。集電体は、細長い集電体を含むことができる。細長い集電体は、穿孔された金属シートを含んでもよい。細長い集電体は、Ti、ステンレス鋼、又は他の金属を含んでもよいが、これらに限定されない。フィルタプレートは、2つのガスケットの間に少なくとも部分的に配置されてもよい。多孔質カソード材料は、第1の集電体と第1のカラーとの間に少なくとも部分的に配置されてもよい。アノードは、第2の集電体と第2のカラーとの間に少なくとも部分的に配置されてもよい。カラーは、集電体とカラーガスケットとの間に少なくとも部分的に配置されてもよい。電解質溶液が、フィルタプレートを通過及び/又は横断して流れてもよい。多孔質カソード材料は、例えば、供給物と電解質供給物とが混合するのを防ぐことによって、供給物と電解質供給物とを分離することができる。
【0219】
電気化学堆積装置は、フィルタプレスを備えてもよく、並列に配置された複数のプレートを備えてもよい。並列に配置されたプレートは、少なくとも2つのチャネルを形成することができる。複数のプレートの各プレートが電解液を受け取ってもよい。電極及びアノードが、プレートの周りに少なくとも部分的に配置されてもよい。並列に配置されたプレートによって形成された少なくとも1つのチャネルが、2つの多孔質カソード材料と接触してもよい。供給物が、2つの多孔質カソード材料と接触する少なくとも1つのチャネルによって受け取られてもよい。並列に配置されたプレートによって形成された少なくとも1つのチャネルが、2つのアノードと接触してもよい。アノード透過液が、2つのアノードと接触する少なくとも1つのチャネルによって受け取られてもよい。
【0220】
フィルタプレスを含む電気化学堆積装置は、プレートあたり少なくとも約50mL/分、プレートあたり約50mL/分~プレートあたり約10L/分、プレートあたり約100mL/分~プレートあたり約9L/分、プレートあたり約200mL/分~プレートあたり約8L/分、プレートあたり約300mL/分~プレートあたり約7L/分、プレートあたり約400mL/分~プレートあたり約
6L/分、プレートあたり約500mL/分~プレートあたり約5L/分、プレートあたり約600mL/分~プレートあたり約4L/分、プレートあたり700mL/分~プレートあたり約3L/分、プレートあたり約800mL/分~プレートあたり約2L/分、プレートあたり約900mL/分~プレートあたり約1L/分又はプレートあたり約10L/分を含むがこれらに限定されない供給流量及び/又は電解質供給流量で動作してもよい。総供給流量及び/又は電解質供給流量は、少なくとも約500L/分、約500L/分~約1500L/分、約600L/分~約1400L/分、約700L/分~約1300L/分、約800L/分~約1200L/分、約900L/分~約1100L/分、又は約1500L/分を含んでもよいが、これらに限定されない。アノード透過流量は、少なくとも約18L/分、約18L/分~約99L/分、約27L/分~約90L/分、約36L/分~約81L/分、約45L/分~約72L/分、約54L/分~約63L/分、又は約99L/分を含んでもよいが、これらに限定されない。アノード透過液は、電解質供給物の少なくとも約10%、約10%~約50%、約20%~約40%、又は約50%を含んでもよいが、これらに限定されない、プレートあたりのアノード透過流量は、少なくとも約1L/分、約1L/分~約36L/分、約9L/分~約27L/分、又は約36L/分を含み得るが、これらに限定されない。
【0221】
電気化学堆積装置は、コンピュータ制御システムを備えてもよい。コンピュータ制御システムは、改善されたカソード材料結合及び/又は金属選択性を有する抽出剤を設計するために電気化学堆積装置の性能を評価することができる。コンピュータ制御システムはまた、動作条件のリアルタイム最適化のために電気化学堆積装置の性能を評価することができる。
【0222】
電気化学堆積法は、浸出を更に含んでもよい。浸出は、ある範囲の電流密度(A/m2)で実行することができる。電流密度は、少なくとも1A/m2、約1A/m2~約7000A/m2、約10A/m2~約6500A/m2、約50A/m2~約6000A/m2、約100A/m2~約5000A/m2、約200A/m2~約4500A/m2、約300A/m2~約4000A/m2、約400A/m2~約3500A/m2、約500A/m2~約3000A/m2、約600A/m2~約2500A/m2、約700A/m2~約2000A/m2、約800A/m2~約1500A/m2、又は約7000A/m2を含み得るが、これらに限定されない。
【0223】
浸出は、酸及び/又は試薬を生成し得る。生成速度は、電流密度(A/m2)、電極の面積(m2)、及び反応の電流効率(η;所望の反応をもたらす流れた電子の割合)の関数であり得る。水からの酸発生の場合、反応は、100%の電流効率で起こり得るアノード水酸化(2H2O→4H++4e-+O2)であり得る。アノード水酸化は、流れた1電子ごとに1H+を生成し得る。例えば、7000A/m2の最大電流密度で1m2の面積では、単一電極での電流は7000A又は(7000C/s)/(ファラデー定数;96845C/mol e-)であり、これは、+d[H+]/dt=0.072モル/秒の最大速度でプロトンが生成され得ること、例えば、13.8秒で1モルのプロトンが生成され得ることを示す。全体的な生成速度は、複数の並列な電極によって増加されてもよい。
【0224】
単一電極(1m2)の酸生成速度の範囲は、定常状態の電流密度とプロセスの電流効率との両方に依存し得る。定常状態の電流密度は、供給原料投入速度を低下させることによって低下させることができる。電流効率は、水酸化反応に向かう全電流の割合を低下させることができる同時アノード酸化反応を操作することによって低下させることができる。例えば、黒色塊浸出に、黒色塊1kg当たり3Lの4M硫酸を使用することができる。硫酸は-2.8及び2のpKaを有し、4Mの濃度の硫酸は-1と0との間のpHをもたらし得る。このpH範囲は、この濃度の水溶液中では、全ての硫酸分子が解離してプロトン及び重硫酸塩を生成することを示す。したがって、浸出させる黒色塊1kgごとに、12モルのH+を使用することができる。1000A/m2の電流密度、及び+d[H+]/dt=0.01モル/秒では、黒色塊1kgを浸出させるのに必要な12モルのH+を生成するのに1200秒又は20分かかる。電流密度を高めると、必要なH+生成の時間が短縮され得る。
【0225】
浸出の時間スケールは、数秒から数分、数時間から数日の範囲であり得る。浸出の時間スケールは、酸生成速度及び/又は粒子溶解速度に依存し得る。粒子溶解は表面限定プロセスであり得、粒子の表面積対体積比は全体的な溶解又は浸出速度に影響を及ぼし得る。浸出粒子のサイズは、鉱石の濃縮物及び鉱くずについては数十から数百ミクロン、破砕された鉱石粒子についてはミリメートルの範囲であってもよい。浸出粒子は、少なくとも100ミクロン、約100ミクロン~約50mm、約300ミクロン~約25mm、約500ミクロン~約10mm、約1mm~約5mm、又は約50mmを含むがこれらに限定されない直径を有し得る。ナノ粒子触媒を使用して浸出の時間スケールを加速することもできる。より大きな粒子に、例えば粉砕、摩砕、破砕、超音波処理、又はそれらの組み合わせなどの更なる処理を施して、より小さな粒径分布を達成し、浸出速度を増加させることができる。浸出粒子は、浸出前に凝集されてもよい。溶解する必要がある材料の量もまた、より長い浸出時間を必要とするより大きな質量での浸出の時間スケールに影響を及ぼし得る。磁気分離、浮選、密度分離、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない粒子選別を使用して、総質量を減少させ、浸出速度を増加させることができる。
【0226】
金属の粒子の種類及び酸化状態もまた、浸出の時間スケールに影響を及ぼし得る。金属酸化物及び金属水酸化物は、酸(Mn+O(n/2)(S)+nH+
(aq)→Mn+
(aq)+(n/2)H2O)へと直接浸出されてもよく、初期酸化状態が高い(n+が高い)ほど、溶解が遅くなり、浸出速度が低下する。酸化物及び/又は水酸化物は、還元剤(例えば、過酸化水素、亜硫酸水素塩など)の添加によって還元されて、酸化状態を減少させ、浸出速度を増加させることができる。例えば、還元酸(過酸化水素+硫酸)浸出を黒色塊に使用することができる。溶解される材料が金属又は金属硫化物である場合、酸化性酸浸出が必要とされてもよい。溶解プロセス全体の硫化物-金属結合強度を低下させるために、金属の水性可溶性金属イオン(例えばPt0+Cl2→Pt2++2Cl-)への初期酸化、又は硫化物のより高い酸化状態(S2-+2O2→SO4
2-)への初期酸化が必要とされてもよい。この追加の工程は、浸出の全体的な速度を制限することができる。
【0227】
浸出効率は、少なくとも約0.5%、約0.5%~約99%、約1%~約97%、約5%~約95%、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~約60%、又は約99%を含み得るが、これらに限定されない。浸出中に微量の高価値物質又は微量の有害物質が存在する場合には、低い浸出効率が好ましくてもよい。浸出された材料中のほとんどの金属が有価である場合には、高い浸出効率が好ましくてもよい。標的金属又は有害金属のみが溶解する場合には、中間的な浸出効率が好ましい。
【0228】
酸を酸化剤として使用してもよい。酸は、硫酸、硝酸、他の酸、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。酸は、1つ以上の無機化合物(炭素系ではない化合物)から誘導される鉱酸(又は無機酸)酸を含み得るが、これに限定されない。無機酸としては、限定されないが、フッ化水素酸;塩酸;臭化水素酸;硫酸、亜硫酸;硝酸;過塩素酸;過臭素酸;亜リン酸;ピロリン酸;スルファミン酸;フルオロケイ酸;亜セレン酸;リン酸;次亜リン酸;リンモリブデン酸;ポリリン酸;過ヨウ素酸;ヨウ素酸;ホウ酸;モリブデン酸;タングストケイ酸;リンタングステン酸;クロロスルホン酸;塩化白金酸;メタリン酸;ヘキサフルオロリン酸;テトラフルオロホウ酸;ニトロシル硫酸;ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸;シアン化水素;アジ化水素;クロム酸;水;硫化水素;炭酸;過酸化水素;アンモニウム;亜ヒ酸;ヒ素酸;又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0229】
酸は、有機酸を含み得る。有機酸は、酸性特性を有する有機化合物である(有機化合物は、一般に、炭素-水素結合を含有する任意の化学化合物である)。有機酸は、ギ酸;酢酸;クロロ酢酸;ジクロロ酢酸;トリクロロ酢酸;ベンゼンスルホン酸;ブロモ酢酸;ジブロモ酢酸;トリブロモ酢酸;グリコール酸;トリフルオロメタンスルホン酸;過酢酸;エチレンジアミン四酢酸;マレイン酸;フタル酸;コハク酸;アミノメタンスルホン酸;ブロモクロロ酢酸;サリチル酸;チオ酢酸;スルファニル酸;シュウ酸;チオグリコール酸;マロン酸;クロロジフルオロ酢酸;プロピオン酸;アントラニル酸;フルオロ酢酸;ジフルオロ酢酸;トリフルオロ酢酸;ギ酸;乳酸;酒石酸;没食子酸;バルビツール酸;脂質酸;タンニン酸;リンゴ酸;フマル酸;安息香酸;アミノ酸;脂肪酸;スルホサリチル酸;クエン酸;トルエンスルホン酸;ソルビン酸;ニトリロ三酢酸;ピルビン酸;ヨード酢酸;デヒドロキン酸;フェノール及び置換フェノール;チオフェノール及び置換チオフェノール;アミノフェノール及び置換アミノフェノール;アニリン;ピクリン酸;ピリジン及び置換ピリジン;メチルアンモニウム及び他のアルキルアンモニウム;任意のカルボン酸、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。カルボン酸は、R基に結合したカルボキシル基(C(=O)OH)を含む有機酸である。カルボン酸の一般式は、R-COOH又はR-CO2Hであり、Rはアルキル、アルケニル、アリール又は他の基を指す。
【0230】
浸出は、ある範囲のpH値にわたって行われ得る。pHは、少なくとも約-3.0、約-3.0~約5.0、約-2.5~約2.5、約-2.0~約2.0、約-1.5~約1.5、約-1.0~約1.0、又は約5.0を含み得るが、これらに限定されない。浸出は、塩基性条件下で行うこともできる。
【0231】
様々な種類の材料が浸出され得る。浸出され得る材料には、黒色塊;凝集粒子;濃縮物、スラリー、金属、プラスチック、ガラス、繊維、ポリマー、又はそれらの組み合わせの混合物;Liイオン電池及び/又はNiMH電池を含むがこれらに限定されない電池材料;触媒コンバータ、磁石、石油精製触媒、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない触媒スクラップ;製造スクラップ;めっき産業用スクラップ及び溶液;金属濾過ケーキ;非鉄スクラップ;Ni-Co合金スクラップを含むがこれに限定されない合金スクラップ;細断及び/又は断片化された混合非鉄スクラップ;Niスクラップ;電動機;貴金属溶液及び/又はスイープ;回路基板を含むがこれに限定されない電子廃棄物;配線;鉱くず;金属含有薄膜及び/又はコーティング;破砕及び/又は粉砕された金属材料;フィルタに捕捉された金属含有微粒子;あるいはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0232】
浸出は酸化剤を含んでもよい。酸化剤(oxidant)又は酸化剤(oxidizer)としても知られている酸化剤(oxidizing agent)は、他の物質を酸化する能力を有する物質である。酸化剤は、金属微粒子が金属状態又は硫化物として存在する場合、金属溶解のために酸と組み合わせて使用され得る。金属状態では、酸化剤が金属状態からカチオン状態に変化して、金属イオンの溶解を可能にし得る。金属硫化物では、酸化剤を使用して、硫黄を、固体からのその放出及び溶解を可能にする金属イオンとのより低い結合エネルギーを有するより高い酸化状態に変換することができる。酸化剤を金属硫化物と共に使用する場合、硫化物酸化からの硫酸のin situ生成を浸出酸として使用することができる。酸化剤としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、スーパーオキシド、ヒドロペルオキシドラジカル、酸素、次亜塩素酸、次亜フッ素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、ジクロリドラジカル、ジブロミドラジカル、ジヨージドラジカル、オゾン、O-原子、カーボネートラジカル、アジドラジカル、アミノラジカル、二酸化窒素ラジカル、三酸化窒素ラジカル、ホスファイトラジカル、ホスファイトラジカル、サルファイトラジカル、硫酸ラジカル、ペルオキソモノサルフェートラジカル、セレナイトラジカル、ジチオシアネートラジカル、二酸化塩素、過マンガン酸塩、フェレート、二酸化臭素、過ホウ酸塩、二酸化鉛、王水(3HCl+HNO3)、濃硝酸、HNO3+H2SO4、過硫酸、カロ酸、過塩素酸、クロム酸、三酸化クロム、亜酸化窒素、二酸化窒素、又はそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0233】
浸出は還元剤を含んでもよい。(還元剤(reductant)、還元剤(reducer)、又は電子供与体としても知られている)還元剤(reducing agent)は、酸化還元化学反応において電子を失うか、又は(酸化剤(oxidizing agent)、酸化剤(oxidant)、又は酸化剤(oxidizer)として知られている)電子受容体に電子を「供与」する元素又は化合物である。浸出される金属が溶解に耐える高い酸化状態(>2+)で存在する場合、還元剤を使用することができる。還元剤は、高価の金属イオンと反応して、溶解しやすい低価の金属イオンを生じる(例えば、Fe3++e-→Fe2+)。還元剤としては、限定されないが、水性電子、H原子、二酸化炭素ラジカル、亜リン酸ラジカル、二酸化硫黄ラジカル、亜硫酸塩、過酸化水素、ヒドラジン、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムナトリウム、第一鉄イオン、第一スズイオン、二酸化硫黄、ジチオネート、チオ硫酸塩、アスコルビン酸、還元糖、亜リン酸塩、ジチオトレイトール、一酸化炭素、シアン化物、還元炭素、ヒドロキノン、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0234】
様々な種類の金属、鉱物、及び/又は鉱石濃縮物を浸出させることができる。鉱石濃縮物は、破砕、摩砕、及び/又は粉砕されて小粒径になり、次いで磁気分離、密度分離、浮選、サイズ分離などの分離プロセスによって所望の金属に関して濃縮された鉱石材料である。鉱石濃縮物は、限定されないが、銅濃縮物;ニッケル濃縮物;コバルト濃縮物;チタン濃縮物;卑金属濃縮物;金濃縮物;銀濃縮物;RE濃縮物;貴金属濃縮物;Ni-Cu、Ni-Co、Co-Cu、Ni-Co-Cu、Ni-Co-Cuと白金族金属(platinum group metals、PGM)との混合物を含むがこれらに限定されない混合濃縮物を含むことができる。浸出される鉱物としては、限定されないが、イルメナイト;石炭又は石炭副生成物、例えば、フライアッシュ、ボーキサイト、アカンサイト、バライト、ベリル、ボルナイト、キャッシタティ、クロマイト、シンナバール、コルンビット-タンタル石、方鉛鉱、輝水鉛鉱、ペントランダイト、シーライト、スペリルライト、スファレライト、ウラニナイト、ウルフラマイト、タコナイト、パイロルサイト、ブルーナイト、プシロメラン、及びロドクロサイト、又はそれらの組み合わせ;スポムデン、ペグマタイト、ペタライト、レピドライト、ヘクトライト粘土及び他の粘土中のLi;限定されないが、カルコパイライト、カルコサイト、コベライト、ボルナイト、テトラヘドライト、ジゲナイト、マラカイト、アズライト、キュプライト、クリソコリア、テンナンタイト、ジオプターゼ、エナガイトを含むCu鉱石;マグネタイト、ヘマタイト、ゲーサイト、リモナイト、シデライト、タコナイトを含むがこれらに限定されないFe鉱石;コバルト酸塩を含むがこれに限定されない共鉱石;ミルライト、ニッケルライン、ペンタンダイト、カマサイト、テエナイト、ラテライト、ニッケル含有リモナイト、ガーニエライト中のNi;閃亜鉛鉱、スミソナイト、ヘミモルファイト、ウルツ鉱、ハイドロジンサイト中のZn;クーロン、パイロクロア、ユーキセナイト、カーボナタイト中のNb;ウルフェナイト、粉末状岩、輝水鉛鉱中のMo;ペントランダイト及びパイロキセナイト中のRu;遊離金属としてのRh;クーパー鉱、ポラライト、及び遊離金属中のPd;アカンサイト、アルゲンタイト、遊離金属、クロラジライト、プニクチド、及びカルコゲナイド中のAg;スズ石、スタンナイト、シリンドライト、フランケイト、カンファーダイト、及びテアライト中のSn;タンタル石、マイクロライト、ウォジナイト、ユーキセナイト、ポリクラーゼ、サマルサイト及びフェルグソナイト中のTa;ウルフラマイト、シーライト、鉄重石、及びマンガン重石中のW;輝水鉛鉱、硫化物、テルル化物、アンチモン化物、及びヒ化物としてのPGM金属、並びにニッケル及び銅との合金中のRe;遊離金属、合金、硫化物、テルル化物、アンチモン化物、ヒ化物、スペクトリライト、及びクーパー鉱としてのPt;遊離/天然金属、Ag、Hg、Te等の合金、電磁石、鉱脈堆積物、ナゲット、カラベライト、クレネライト、ナギアイト、ペッツアイト、シルバナイト、マルドナイト、アウロスティバイト、オーリキュプリド、ノボドネプライト、及びウェイシャン鉱としてのAu;方鉛鉱、ボランジェライト、アングレサイト、白鉛鉱中のPb;輝蒼鉛鉱、ビスマス酸塩としてのBi;ゼノタイム、モナザイト、ガドリナイト、サマルカイト、ユーキセナイト、イットロタンタライト、イットロタングスティート、イットロフルオライト、サレナイト、イットリアライト、ユージアリート、バスタナサイト、アラナイト、ロパライト、アンシライト、パラサイト、ランタナイト、ケブキナイト、セライト、スティルウェライト、ブリソライト、フルオセライト、セリアナイト、カルボナタイト、ペグマタイト中の希土類元素(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb);カルノタイト、オートナイト、ウラノファン、トルベルナイト、コフィナイト、褐炭、モナザイト中のU;又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0235】
浸出は対イオンを含み得る。試薬及び/又はバッファがアニオン性である場合、カチオン性対イオンは、H+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Al3+、Bi2+、テトラフェニルホスホニウム、テトラアルキルアンモニウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム及び誘導体、イオン性液体カチオン、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。列挙された試薬/バッファがカチオン性である場合、アニオン性対イオンは、F-、Cl-、Br-、I-、ホウ酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、ヨウ素酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフェニルホウ酸塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、イオン性液体アニオン、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0236】
本発明を、以下の非限定的な例によって更に説明する。
【実施例】
【0237】
コバルトフィルタケーキ又は「黒色塊」をベンダーから入手した。黒色塊を、最初に寿命末期のLiイオン電池混合物を単離し、この混合物を不活性細断し、次いでバルクプラスチック及び金属(集電体)を活性アノード(グラファイト)及び多孔質カソード材料(金属、すなわちNi、Mn、Co)粉末から機械的に分離することによって生成した。後者は黒色塊であった。黒色塊の一次金属重量を計算した。残りの質量は、酸化物酸素、アノードグラファイト、及びポリマーバインダーであった。低pH還元Co溶解法に関する報告された文献に従って、黒色塊から金属を浸出させる一般的な手順を開発した。
【0238】
500mLの4M硫酸、200mLの30%過酸化水素、及び120gの黒色塊を添加することによって、2Lの三角フラスコ中で金属浸出を完了させた。黒色塊を10~20gのより少量のアリコートずつ激しく撹拌しながら添加して、酸素ガス形成からのグラファイト安定化フォームの形成を防止した。黒色塊添加によって、反応溶液を加熱した。黒色塊溶液が安定化したら、磁気撹拌下で2~3時間、60~80Cに加熱した。次いで、溶液をDI水で1Lに希釈し、0.3ミクロンナイロン膜に通して濾過し、未溶解材料を除去した。次いで、ピンクがかった黄褐色の濾液のpH(典型的には1~2)及びUV-visの金属含有量(典型的にはCo/Niで100~150mM)を測定した。手順は、受け取った黒色塊中の金属の>90%を浸出させると判定され、最初の試行で成功した。
【0239】
次いで、酸性金属浸出溶液のpHを、2M NaOHの少量のアリコートの添加によって4~5に上昇させた。このpHに達すると、黄褐色の沈殿物が溶液中に形成され始めた(スキーム1の左下中央)。次いで、pH調整した溶液を0.3ミクロンの膜に通して濾過し、沈殿した物質を除去した。この時点で、黒色塊抽出物は、Ni:Mn:Co:Li金属イオン比が3:2:4:1であった。Fe、Cu、及びAlなどの微量金属は、ほとんどがpH調整工程及び濾過工程によって除去された。NMC BMEは、電気化学堆積装置が活性多孔質カソード材料を金属水酸化物として再利用する準備ができていた。
【0240】
前述の例は、前述の例で使用されたものの代わりに本発明の実施形態の一般的又は具体的に記載された構成要素及び/又は動作条件を置き換えることによって、同様に良好に繰り返すことができる。
【0241】
特定の実施形態を参照して特定の金属、試薬、酸、前処理、材料の種類、及び動作パラメータを説明したが、特にリサイクル又は処理される各材料又は金属はカスタマイズされた試薬、プロセス、及び動作パラメータを必要とするため、他の金属、試薬、酸、前処理、材料の種類及び動作パラメータを本発明に従って使用することができる。そのようなカスタマイズのための本発明の変形及び修正は、当業者には明らかであり、全てのそのようなカスタマイズを網羅することが意図されている。
【0242】
なお、明細書及び特許請求の範囲において、「約」又は「およそ」とは、所与の量又は値の20パーセント(20%)以内を意味する。
【0243】
本発明は、開示された実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、他の実施形態も同じ結果を達成することができる。本発明の変形及び修正は当業者には明らかであり、全てのそのような修正及び均等物を網羅することが意図されている。上記及び/又は添付書類に引用した全ての参考文献、出願、特許、及び刊行物、並びに対応する出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。上記で「必須」であると具体的に述べられていない限り、様々な構成要素又はそれらの相互関係のいずれも本発明の動作に必須ではない。むしろ、様々な構成要素を置換し、及び/又はそれらの関係を互いに再構成することによって、望ましい結果を達成することができる。
【国際調査報告】