(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】浸漬冷却用吸着剤
(51)【国際特許分類】
B01D 15/00 20060101AFI20240614BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20240614BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20240614BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240614BHJP
C01B 32/354 20170101ALN20240614BHJP
【FI】
B01D15/00 J
B01J20/20 B
B01J20/28 Z
B01J20/30
C01B32/354
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574595
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022072781
(87)【国際公開番号】W WO2022256849
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594193793
【氏名又は名称】カルゴン カーボン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】マゾッコリ、ジェイソン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】バターワース、スティーブン エル.
【テーマコード(参考)】
4D017
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4D017AA03
4D017AA04
4D017AA05
4D017BA13
4D017CA03
4D017CB01
4D017DA01
4G066AA05B
4G066AC07A
4G066AC08A
4G066AC11A
4G066BA25
4G066BA38
4G066CA01
4G066CA43
4G066CA46
4G066CA47
4G066CA56
4G066DA07
4G066FA22
4G066FA34
4G146AA06
4G146AC30A
4G146AC30B
4G146AD33
4G146BA22
4G146BA25
4G146BA31
4G146CB11
(57)【要約】
電子部品を冷却するために使用されるものなどの、浸漬冷却システムで冷却剤を濾過するための吸着剤。吸着剤は、約1重量%~約5重量%のバルク酸素含有量、最大で約1.5重量%の水分レベル、及び少なくとも約150のモラセス価を有する活性炭吸着剤材料を含み得る。吸着剤は、筐体内に収容され得、筐体を通して冷却剤を搬送して、冷却剤から導電性汚染物質を除去する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の導電性汚染物質を含有する冷却剤を精製する方法であって、前記方法が、
前記冷却剤を吸着剤と接触させ、それによって、前記吸収剤に前記1つ以上の導電性汚染物質を吸着させることを含み、前記吸着剤が、約1重量%~約5重量%のバルク酸素含有量、最大で約1.5重量%の水分レベル、及び少なくとも約150のモラセス価を有する吸着剤材料を含み、
前記吸着剤材料が、活性炭を含む、方法。
【請求項2】
前記活性炭が、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、及び他の炭素質材料のうちの1つ以上から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸着剤材料が、少なくとも約500℃の温度の不活性雰囲気下の炭素質材料の仮焼から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記吸着剤材料が、少なくとも約850mg/gの重量ヨウ素価を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記吸着剤材料が、少なくとも約1100mg/gの重量ヨウ素価を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記吸着剤が、酸素の再導入を防止するように処理されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
酸素の前記再導入を防止するように前記吸着剤を処理することが、前記吸着剤材料を不活性雰囲気でパージすることと、前記吸着剤を酸素捕捉化合物とともに筐体内に配置することと、前記吸着剤を収容する筐体から酸素を機械的に除去することと、のうちの1つ以上を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記冷却剤が、油、炭化水素、ケトン、エーテル、又はそれらの任意のフッ素化誘導体のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却剤が、約34℃~約175℃の沸点及び1kHzで約10未満の誘電率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却剤が、約0.8cSt以下の動粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
電子部品を前記冷却剤と接触させることと、前記電子部品から前記冷却剤に導電性汚染物質を拡散させることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
サイズ排除フィルタを通して前記冷却剤を濾過することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上の導電性汚染物質を含有する冷却剤を精製するためのシステムであって、前記システムが、
約1重量%~約5重量%のバルク酸素含有量、最大で約1.5重量%の水分レベル、及び少なくとも約150のモラセス価を有する吸着剤材料を含む吸着剤を収容する筐体と、
前記冷却剤の少なくとも一部分が前記吸着剤に接触するように、前記吸着剤、及び前記冷却剤を収容するタンクと連通している、少なくとも1つの入口、又は少なくとも1つの出口、又は少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口と、を備える、システム。
【請求項14】
前記吸着剤が、活性炭である吸着剤材料を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記活性炭が、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、及び他の炭素質材料のうちの1つ以上から形成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記吸着剤材料が、少なくとも約500℃の温度の中間雰囲気下の炭素質材料の仮焼から形成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記吸着剤材料が、少なくとも約850mg/gの重量ヨウ素価を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記吸着剤材料が、少なくとも約1100mg/gの重量ヨウ素価を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記吸着剤が、酸素の再導入を防止するために窒素でパージされている、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記吸着剤が、前記筐体内に不活性充填されるか、又は真空充填される、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記吸着剤を通して前記冷却剤を搬送するポンプを更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記冷却剤が、油、炭化水素、ケトン、エーテル、又はそれらの任意のフッ素化誘導体のうちの1つ以上を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記冷却剤が、約34℃~約175℃の沸点、約-38℃~約-138℃の凝固点、及び1kHzで約10未満の誘電率を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項24】
前記冷却剤が、約0.8cSt以下の動粘度を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項25】
1つ以上の導電性汚染物質を含有する電子部品を更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項26】
前記電子部品が、データセンター内に収容されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記吸着剤を含む前記筐体の下流に接続されたサイズ排除フィルタを更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項28】
1つ以上の導電性汚染物質を含有する冷却剤を精製するための組成物であって、前記組成物が、
約1重量%~約5重量%のバルク酸素含有量、最大で約1.5重量%の水分レベル、及び少なくとも約150のモラセス価を有する吸着剤材料を含む吸着剤を含み、前記吸着剤材料が、活性炭を含む、組成物。
【請求項29】
前記活性炭が、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、及び他の炭素質材料のうちの1つ以上から形成される、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記吸着剤材料が、約6.5~約12の接触pHを有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
前記吸着剤材料が、少なくとも約850mg/gの重量ヨウ素価を有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
前記吸着剤材料が、少なくとも約1100mg/gの重量ヨウ素価を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記吸着剤が、酸素の再導入を防止するように処理されている、請求項28に記載の組成物。
【請求項34】
1つ以上の導電性汚染物質を含有する冷却剤を精製するための吸着剤を作製するための方法であって、前記吸着剤が、吸着剤材料を含有し、前記方法が、
前駆体吸着剤材料を仮焼し、それによって、約1重量%~約5重量%のバルク酸素含有量、最大で約1.5重量%の水分レベル、及び少なくとも約150のモラセス価を有する吸着剤材料を形成することを含み、
前記吸着剤材料が、活性炭を含む、方法。
【請求項35】
前記活性炭が、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、及び他の炭素質材料のうちの1つ以上から形成される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
仮焼が、少なくとも約500℃の温度で起こる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
酸素及び水分の再導入を防止するように前記吸着剤材料を処理することを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
酸素の再導入を防止するように前記吸着剤を処理することが、前記吸着剤材料を不活性雰囲気でパージすることと、前記吸着剤を酸素捕捉化合物とともに筐体内に配置することと、前記吸着剤を収容する筐体から酸素を機械的に除去することと、のうちの1つ以上を含む、請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月4日に出願された、米国仮特許出願第63/196,892号の優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、冷却剤を精製するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
クライアントコンピューティングの需要及びデータセンター密度が増加し続けるにつれて、マイクロプロセッサ、チップセット、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、及びメモリモジュールなどの、電子部品の放熱要件も高まっている。従来のクライアントコンピューティングデバイス及びデータセンターは、冷気を電子部品に移動させ、伝導及び対流によって廃熱を除去するヒートシンク、冷却フィン、及びファンによって頻繁に空気冷却される。そのようなデバイス及び技術は、欠点を有する。空気は電気的に絶縁され、非腐食性であるが、所与の熱容量に対するその高容量は、冷気を電子部品に移動させ、加熱された排気を除去し、加熱された排気を冷却し(多くの場合、空調によって)、冷気として再循環することが機械的にエネルギー集約的であることを意味する。
【0004】
対照的に、浸漬冷却は、熱伝導性であるが電気絶縁性(誘電性)である冷却剤に電子部品を包む。それによって、廃熱は、電子部品から冷却剤に熱を伝達することによって、冷却剤によって電子部品から除去される。その後、ここで加熱された冷却剤は、熱交換器に進み、空気又は水などの別の流体に近接することによって冷却される。冷却剤は、正常運転中に露出及び通電されるリード線、トレース、表面実装パッド、はんだ、及び他の電子部品と安全に接触し得ることを確保するために電気的に絶縁されている。
【0005】
一般に、浸漬冷却システムは、冷却剤に浸漬され冷却される電子デバイスを備える。経時的に、電子デバイスの様々な材料成分が、冷却剤内に浸出し得る。冷却剤自体は、電気的に絶縁されているが、はんだ及び金属電子部品からの金属、並びにエラストマー、はんだフラックス、レジスト材料、PVC絶縁、発泡体、接着剤、及び冷却剤とのその反応生成物に見られる炭化水素油は、冷却剤の導電率を増加させ得る汚染物質を導入する。流体の電気伝導率を増加させるそのような汚染物質は、導電性汚染物質と称され、それらは、典型的には、冷却剤に浸漬される電子部品から浸出又は別様に拡散することによって冷却剤に導入される。導電率の増加は、電気的に絶縁されたままでなければならない冷却剤にとって望ましくないため、そのような導電性汚染物質は、除去されなければならない。
【0006】
現在、浸漬冷却システム用の濾過システムが存在する。しかしながら、そのような従来のフィルタ及び吸着剤は、頻繁に交換されなければならず、これは、コストがかかり、望ましくない保守及びダウンタイムにつながり得る。例えば、吸着剤材料を含む従来の吸着剤は、冷却剤に予想される汚染物質の質量の約5倍の量の筐体内に提供される。吸着剤の最適化、特に、その中に含有された吸着剤材料の効率及び吸着容量を増加させることによる最適化、及びフィルタに含まれる吸着剤は、吸着剤交換の必要性が低減されるのみならず、より高い純度を有する冷却剤を使用して改善された効率ももたらす、浸漬冷却と関連付けられたコストを低減することになる業界における進歩を表すことになる。そのような吸着剤は、冷却剤自体に汚染物質を追加的に導入してはならない。
【発明の概要】
【0007】
本開示によるいくつかの実施形態の概要を以下に示す。
【0008】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、1つ以上の導電性汚染物質を含有する冷却剤を精製する方法に関し、方法が、冷却剤を吸着剤と接触させ、それによって、吸着剤に1つ以上の導電性汚染物質を吸着させることを含み、吸着剤が、約1重量%~約5重量%のバルク酸素含有量、最大で約1.5重量%の水分レベル、及び少なくとも約150のモラセス価を有する吸着剤材料を含み、吸着剤材料が、活性炭を含む。
【0009】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、活性炭が、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、及び他の炭素質材料のうちの1つ以上から形成される。
【0010】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、吸着剤材料が、少なくとも約500℃の温度の不活性雰囲気下の炭素質材料の仮焼から形成される。
【0011】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、吸着剤材料が、少なくとも約850mg/gの重量ヨウ素価を有する。
【0012】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、吸着剤材料が、少なくとも約1100mg/gの重量ヨウ素価を有する。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、吸着剤が、酸素の再導入を防止するように処理されている。
【0014】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、酸素の再導入を防止するように吸着剤を処理することが、吸着剤材料を不活性雰囲気でパージすることと、吸着剤を酸素捕捉化合物とともに筐体内に配置することと、吸着剤を収容する筐体から酸素を機械的に除去することと、のうちの1つ以上を含む。
【0015】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、冷却剤が、油、炭化水素、ケトン、エーテル、又はそれらの任意のフッ素化誘導体のうちの1つ以上を含む。
【0016】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、冷却剤が、約34℃~約175℃の沸点及び1kHzで約10未満の誘電率を有する。
【0017】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、冷却剤が、約0.8cSt以下の動粘度を有する。
【0018】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、電子部品を冷却剤と接触させることと、電子部品から冷却剤に導電性汚染物質を拡散させることと、を更に含む。
【0019】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、サイズ排除フィルタを通して冷却剤を濾過することを更に含む。
【0020】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、1つ以上の導電性汚染物質を含有する冷却剤を精製するためのシステムに関し、システムが、約1重量%~約5重量%のバルク酸素含有量、最大で約1.5重量%の水分レベル、及び少なくとも約150のモラセス価を有する吸着剤材料を含む吸着剤を収容する筐体と、冷却剤の少なくとも一部分が吸着剤に接触するように、吸着剤、及び冷却剤を収容するタンクと連通している、少なくとも1つの入口、又は少なくとも1つの出口、又は少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口と、を備える。
【0021】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、吸着剤が、活性炭である吸着剤材料を含む。
【0022】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、活性炭が、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、及び他の炭素質材料のうちの1つ以上から形成される。
【0023】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、吸着剤材料が、少なくとも約500℃の温度の中間雰囲気下の炭素質材料の仮焼から形成される。
【0024】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、吸着剤材料が、少なくとも約850mg/gの重量ヨウ素価を有する。
【0025】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、吸着剤材料が、少なくとも約1100mg/gの重量ヨウ素価を有する。
【0026】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、吸着剤が、酸素の再導入を防止するために窒素でパージされている。
【0027】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、吸着剤が、筐体内に不活性充填されるか、又は真空充填される。
【0028】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、吸着剤を通して冷却剤を搬送するポンプを更に含む。
【0029】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、冷却剤が、油、炭化水素、ケトン、エーテル、又はそれらの任意のフッ素化誘導体のうちの1つ以上を含む。
【0030】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、冷却剤が、約34℃~約175℃の沸点、約-38℃~約-138℃の凝固点、及び1kHzで約10未満の誘電率を有する。
【0031】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、冷却剤が、約0.8cSt以下の動粘度を有する。
【0032】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、1つ以上の導電性汚染物質を含有する電子部品を更に含む。
【0033】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、電子部品が、データセンター内に収容されている。
【0034】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、システムに関し、吸着剤を含む筐体の下流に接続されたサイズ排除フィルタを更に含む。
【0035】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、1つ以上の導電性汚染物質を含有する冷却剤を精製するための組成物に関し、組成物が、約1重量%~約5重量%のバルク酸素含有量、最大で約1.5重量%の水分レベル、及び少なくとも約150のモラセス価を有する吸着剤材料を含む吸着剤を含み、吸着剤材料が、活性炭を含む。
【0036】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、組成物に関し、活性炭が、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、及び他の炭素質材料のうちの1つ以上から形成される。
【0037】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、組成物に関し、吸着剤材料が、約6.5~約12の接触pHを有する。
【0038】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、組成物に関し、吸着剤材料が、少なくとも約850mg/gの重量ヨウ素価を有する。
【0039】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、組成物に関し、吸着剤材料が、少なくとも約1100mg/gの重量ヨウ素価を有する。
【0040】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、組成物に関し、吸着剤が、酸素の再導入を防止するように処理されている。
【0041】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、1つ以上の導電性汚染物質を含有する冷却剤を精製するための吸着剤を作製するための方法に関し、吸着剤が、吸着剤材料を含有し、方法が、前駆体吸着剤材料を仮焼し、それによって、約1重量%~約5重量%のバルク酸素含有量、最大で約1.5重量%の水分レベル、及び少なくとも約150のモラセス価を有する吸着剤材料を形成することを含み、吸着剤材料が、活性炭を含む。
【0042】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、活性炭が、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、及び他の炭素質材料のうちの1つ以上から形成される。
【0043】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、仮焼が、少なくとも約500℃の温度で起こる。
【0044】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、酸素及び水分の再導入を防止するように吸着剤材料を処理することを更に含む。
【0045】
いくつかの態様では、本明細書に説明される技術は、方法に関し、酸素の再導入を防止するように吸着剤を処理することが、吸着剤材料を不活性雰囲気でパージすることと、吸着剤を酸素捕捉化合物とともに筐体内に配置することと、吸着剤を収容する筐体から酸素を機械的に除去することと、のうちの1つ以上を含む。3.
【0046】
本開示は、電子部品の冷却剤を精製する方法を提供し、方法は、冷却剤を吸着剤と接触させることを含み、吸着剤は、少なくとも330の重量モラセス価によって特徴付けられる。任意の実施形態では、吸着剤が、例えば、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、又は他の炭素質材料から形成された活性炭であり得る。任意の実施形態では、吸着剤は、少なくとも約500℃の温度の不活性雰囲気下の炭素質材料の仮焼から形成され得る。任意の実施形態では、吸着剤は、約0.2g/cm3~約1g/cm3の見かけ密度を呈し得る。任意の実施形態では、吸着剤は、少なくとも約1100mg/gなどの、少なくとも約850mg/gのヨウ素価を呈し得る。任意の実施形態では、吸着剤は、約15重量%未満の含水率を有し得る。任意の実施形態では、好適な吸着剤は、例えば、吸着剤を不活性雰囲気でパージすることと、吸着剤を酸素捕捉化合物とともに筐体内に配置することと、吸着剤を収容する筐体から酸素を機械的に除去することと、によって、酸素含有表面基を除去するように処理されている。任意の実施形態では、処理は、吸着剤を不活性雰囲気でパージすることを含み得る。
【0047】
吸着剤は、冷却剤を精製するために使用され得、冷却剤は、任意選択的に、約34℃~約175℃の沸点及び1kHzで約10未満の誘電率を有する、油、炭化水素、ケトン、エーテル、又はそれらの任意のフッ素化誘導体のうちの1つ以上を含み得る。任意の実施形態では、好適な冷却剤は、約0.8cSt以下の動粘度を呈し得る。
【0048】
任意の実施形態では、冷却剤で冷却される電子部品は、プリント回路基板(PCB)であり得る。冷却は、電子部品を冷却剤と接触させることによって実施され得る。任意の実施形態では、冷却剤は、サイズ排除フィルタを通して濾過され得る。
【0049】
本開示は、電子部品の冷却剤を精製するための装置アセンブリ又はシステムであって、冷却剤と、吸着剤を含む筐体と、を含み、筐体が、吸着剤を冷却剤と接触させるように構成され、吸着剤が、少なくとも約330のモラセス価によって特徴付けられている、装置アセンブリ又はシステムを更に提供する。任意の実施形態では、吸着剤は、窒素でパージされて、酸素含有表面基を除去し得る。任意の実施形態では、吸着剤は、筐体内に不活性充填されるか、又は真空充填されたものとして提供され得る。装置アセンブリは、吸着剤を通して冷却剤を搬送するポンプを更に備え得る。任意の実施形態では、冷却剤は、任意選択的に、約34℃~約175℃の沸点、約-38℃~約-138℃の凝固点、及び1kHzで約10未満の誘電率を有する、油、炭化水素、ケトン、エーテル、又はそれらの任意のフッ素化誘導体のうちの1つ以上であり得る。任意の実施形態では、冷却剤は、データセンター内に収容された電子部品を冷却するために使用され得る。任意選択的に、冷却剤は、例えば、吸着剤を含む筐体の下流に接続されたサイズ排除フィルタを通して冷却剤を搬送することによって、筐体を通過した後に濾過され得る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本明細書に説明される実施形態の態様、特徴、利益、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面に関して明らかであろう。
【0051】
【
図1】本明細書に開示される吸着剤が使用され得る浸漬冷却システムの概略図を図示する。
【
図2】本明細書に開示される吸着剤が使用され得る二相浸漬冷却システムの概略図を図示する。
【
図3】吸着剤材料の達成された脱色の相対量対測定されたモラセス価を測定する、吸着剤材料の脱色曲線をプロットする。
【
図4】光の波長の関数としてモラセスフィルタの透過率を図示するスペクトルスキャンの例を図示する。
【
図5】5重量%、10重量%、15重量%、及び20重量%の共通の活性炭濃度における、F/S RB乾燥又は仮焼RB-硝酸ナトリウム懸濁液に対する平均pH測定値を図示する。
【
図6】5重量%、10重量%、15重量%、及び20重量%の共通の活性炭濃度における、F/S BGX乾燥又は仮焼BGX-硝酸ナトリウム懸濁液に対する平均pH測定値を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の組成物及び方法を説明する前に、本発明の範囲は、説明されている特定のプロセス、組成物、又は方法論が変化する可能性があるため、それらに限定されないことを理解されたい。また、説明で使用される用語は、特定のバージョン又は実施形態を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に説明されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の実施形態の実施又は試験に使用することができるが、ここで、好ましい方法、デバイス、及び材料が説明される。本明細書で言及される全ての刊行物は、それが説明として特定される態様に関して参照により組み込まれる。本明細書のいかなるものも、本発明が先行発明によるこのような開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0053】
本文書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈から判断して明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数形を含む。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書のいかなる内容も、本開示に記載された実施形態が、先行発明によるこのような開示に先行する権利を有していないことを認めるものと解釈されるべきではない。本書で使用する場合、用語「含む」は、「を含むが、それに限定されない」ことを意味する。
【0054】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、使用される数値のプラス又はマイナス10%の数値を意味する。例えば、「約50%」は、45~55%の範囲内にあることを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「電子機器ラック」は、コンピュータシステム、電子システム、又は情報技術装置の1つ以上の発熱構成要素を有する任意のハウジング、フレーム、ラック、区画、ブレードサーバシステムなどを含み、例えば、ハイ、ミドル、又はローエンドの処理能力を有するスタンドアロンコンピュータプロセッサであり得る。本明細書で使用される場合、「電子部品」とは、例えば、冷却を必要とするコンピュータシステム又は他の電子機器ユニットの任意の発熱電子部品を指す。一例として、電子部品は、1つ以上のプロセッサダイ、メモリダイ、又はメモリサポートダイを含む、冷却されることになる1つ以上の集積回路ダイ及び/又は他の電子デバイスを備え得る。本明細書で使用される場合、「データセンター」は、冷却されることになる1つ以上の電子機器ラックを収容するコンピュータ設置を指す。特定の例として、データセンターは、サーバユニットなどのラックマウントコンピューティングユニットの1つ以上の列を含み得る。データセンターは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、中央処理ユニット(CPU)又はハードウェア若しくはソフトウェア制御論理などの1つ以上の処理リソース、ROM、及び/あるいは他のタイプの不揮発性メモリを含み得る。データセンターの追加的な構成要素は、1つ以上のディスクドライブ、外部デバイスと通信するための1つ以上のネットワークポート、並びにキーボード、マウス、及びビデオディスプレイなどの様々な入力及び出力(I/O)デバイスを含み得る。そのようなデータセンター、電子部品、又は電子機器ラックは、多くの場合、様々な電子部品間、又はデータセンター、電子部品、又は電子機器ラック自体内にデータを送信するように動作可能である1つ以上のシステムを含み、そのようなシステムは、いくつかのデータセンター又は電子機器ラックを接続するときに、電子機器ラック又はネットワーク内のデータバスと呼ばれる。そのようなシステムはまた、ネットワーク又はコンピュータネットワークと呼ばれ得る。
【0056】
本明細書で使用する場合、用語「吸着剤材料」は、吸着特性、吸収特性、又は吸着特性と吸収特性との組み合わせを呈する任意の材料を意味する。吸着特性は、原子、イオン、又は分子が材料の表面に付着することを意味する。吸収特性は、原子、イオン、又は分子が材料のバルク相に入り、かつそれによって保持されることを意味する。一例として、吸着剤材料としては、限定されるものではないが、活性炭、再活性炭、天然及び合成ゼオライト、シリカ、シリカゲル、アルミナ、ジルコニア、並びに珪藻土が挙げられる。本明細書で使用する場合、「吸着剤材料」とは、その構成成分が実質的に吸着性及び/又は吸収性であり、吸着性及び/又は吸収性でない最少の成分(例えば、活性炭ペレットがその形状を維持するために必要な最少量の結合剤)のみを有する材料である。
【0057】
本明細書で使用する場合、用語「吸着剤」は、吸着又は吸収特性を呈さない1つ以上の追加の材料とのブレンド、混合物、複合材料、又は化合物中に吸着剤材料を含む任意の組成物又は複合材料を意味する。一例として、吸着剤の一実施形態は、熱伝導性充填剤と混合された活性炭吸着剤材料を含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、「導電性汚染物質」は、それ自体、又は他の材料に作用することによって、回路、トレース、又は電子機器ラック若しくはデータセンター内に存在する他の電気デバイス若しくは構成要素間の電気伝導率を増加させ得る任意の材料を含む。導電性汚染物質の例は、限定されず、アルミニウム、銅、鋼、鉛、スズ、銀、金、カドミウム、ヒ素、セレン、ニッケル、水銀、亜鉛、並びにそれらの他の金属及び合金などの金属破片、はんだ、フラックス、水、塩、イオン、炭素粒子、セラミック、導電性ポリマー、レジストのうちの1つ以上を含む。
【0059】
本明細書に説明される吸着剤又は吸着剤材料は、密度、多孔度、及び輸送構造(重量モラセス価を介した)、酸素レベル、及び混合物レベルなどの様々な特性によって特徴付けられ得る。ASTM Internationalからの標準化された方法が、これらの様々な特性の多くを特徴付けるために使用され得る。例えば、細孔(又は空隙)容積は、ASTM D4284-12(2017)e1又はその均等物を使用して決定され得る。細孔は、3つの一般的なサイズ範囲に特徴付けられ得る。マイクロ細孔は、約2nm未満の細孔直径を呈する。メソポアは、直径2nm~50nmの範囲であるが、マクロ細孔は、50nm超の直径を有する。粒子サイズ分布は、ASTM D2862-16又はその均等物に従って決定され得る。含水率は、ASTM D2867-17又はその均等物を使用して決定され得る。重量ヨウ素価は、標準試験方法ASTM D4607-14又は同一の業界試験、例えば、Calgon Carbon Corporation試験TM-4を使用して決定され得る。重量ヨウ素価は、ヨウ素価と呼ばれることがあり得ることに留意されたい。
【0060】
本明細書に使用される場合、「重量モラセス価」又は「モラセス価」は、「Determination of the Molasses Number of Activated Carbon」と題されたCalgon Carbon Method Number TM-3に従った吸着剤又は吸着剤材料の脱色能力の決定を意味する。完全な試験手順が本明細書に完全に説明されている。重量モラセス価は、吸着剤又は吸着剤材料の質量当たりで測定された単位なし量として報告される。
【0061】
吸着剤(したがって、それが一部である筐体及びシステム)は、例えば、使用中に汚染された冷却剤を精製するために使用され得る。例えば、データセンター構造材料(例えば、ポリマー、金属)の1つ以上の構成要素は、冷却剤の外及び中に浸出し得る。別の例では、冷却剤は、構造材料の1つ以上の構成要素と反応して、冷却剤を汚染し得る反応生成物を生成し得る。これらの導電性汚染物質は、冷却剤の電気伝導率を増加させ、したがって、電子部品の動作にリスクをもたらし得る。このように、システムは、そのような導電性汚染物質を除去するために実装され得る。このように、例えば、浸漬冷却用途で冷却剤を精製するための、冷却剤を精製する際の装置のアセンブリ及びそれらの使用のための方法が本明細書に提供される。
【0062】
そのようなアセンブリは、筐体内に冷却剤及び吸着剤を収容するように構成された容器を備え、筐体は、吸着剤を冷却剤と接触させるように構成されている。アセンブリは、例えば、データセンター用の浸漬冷却システム、又は冷却を必要とする他の電子部品などの、浸漬冷却のためのシステム内に収容され得る。
図1に図示されるように、そのようなシステム100は、ある体積の冷却剤104で充填されるタンク102、電子部品106、及び吸着剤を含む筐体110を備え得る。冷却剤104の上部は、冷却剤104がタンク102内に充填されるレベルに対応する表面108を形成する。
【0063】
本明細書に開示される方法及び装置アセンブリに好適な好適な吸着剤の例としては、限定されるものではないが、炭素質チャー、活性炭、再活性炭、天然及び合成ゼオライト、シリカ、シリカ粘土、カーボンナノチューブ、並びにグラフェンが挙げられる。好ましくは、吸着剤は、活性炭を含み、これは、冷却剤を精製するのに好適な方法及び装置アセンブリの様々な態様を例証するために以下で使用されることになる。しかしながら、本明細書で以下に説明される方法及び装置アセンブリのいずれかは、本明細書で企図及び開示される方法及びシステムから逸脱することなく、上記に列挙した任意の吸着剤を利用し得る。
【0064】
任意の実施形態では、吸着剤は、活性炭を含み得る。活性炭は、限定されるものではないが、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、他の炭素質材料(例えば、押出ペレット)、又はそれらの任意の組み合わせなどの、任意の既知の供給源から得られ得る。市販の活性炭源としては、限定されるものではないが、木材/植物源に由来し、リン酸を使用して活性化される活性炭の粒径グレードであるBGXなどのACTICARBONE(登録商標)活性炭(Calgon Carbon Corporationから入手可能)、炭源に由来する活性炭であるRB(同様にCalgon Carbon Corporationから入手可能)、又はKuraray製の活性炭(例えば、KURARAY COAL)が挙げられる。
【0065】
任意の実施形態では、吸着剤(活性炭又はその他)は、粉末、顆粒、又はペレットの形態で提供され得る。例えば、活性炭は、再凝集炭素粉末、上記に列挙された材料の処理(例えば、粉砕、微粉砕など)から生成される粉砕された顆粒などの(限定されないが)、粉末形態又は顆粒形態で提供され得る。本明細書で使用される場合、粒状活性炭(GAC)は、50メッシュの篩(約0.300mmの孔)上に保持されるようにサイズ決めされた活性炭粒子を指す。本明細書で使用される場合、粉末活性炭(PAC)は、80メッシュの篩(約0.180mmの孔)を通過する活性炭粒子を指す。
【0066】
活性炭は、当技術分野で周知のプロセスによって、例えば、炭化及び活性化によって、又は直接活性化によって形成され得る。例えば、木材、ナッツシェル、石炭、ピッチなどの原材料は、ガス化された蒸気及び/又は二酸化炭素で酸化及び脱揮されて、炭素質材料内に細孔構造を形成し、それによって、吸着部位を生じさせ得る。酸化及び脱揮プロセスは、例えば、リン酸、ホウ酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの任意の組み合わせなどの、脱水化学物質による化学処理を含み得る。
【0067】
液体冷却剤中の吸着剤の性能は、吸着剤の含水率及び/又は酸素含有量のうちの1つ以上が低減されたときに改善され得る。含水率を低減するために、吸着剤は、周囲雰囲気のおよその圧力よりも小さい絶対圧力、例えば、約101,325Pa未満(海面における雰囲気では約101kPa)、又は真空に近い絶対圧力に曝露され得る。吸着剤を上記の低下した圧力に曝露させることに対して代替的又は追加的に、吸着剤は、約100℃、約125℃、約150℃、約175℃、又は約200℃の温度、又は上記の温度のうちの1つ以上で形成される範囲に加熱され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、吸着剤又は吸着剤材料は、酸素を除去するために仮焼され得る。仮焼は、当技術分野で周知のプロセスであり、不活性環境下で約500℃~約1000℃の温度で実施され得る。仮焼は、約500℃、約550℃、約600℃、約650℃、約700℃、約750℃、約800℃、約850℃、約900℃、約950℃、約1000℃、又は上記の温度のうちの1つ以上に対応する端点を有する任意の範囲の温度で実施され得る。
【0069】
吸着剤材料は、蒸気注入速度、温度、滞留時間、及び活性化ガス(例えば、蒸気、二酸化炭素など)の含有量を制御することによって、所望の見かけ密度、モラセス価、及びヨウ素価に活性化され得る。当業者であれば、好適な活性化条件を決定し、必要に応じて最適化して、望ましい開示された特性を有する吸着剤を提供することができるであろう。
【0070】
例えば、本明細書に開示される方法及びシステムに好適な活性炭などの吸着剤は、約0.2g/cm3~約1g/cm3、例えば、約0.3g/cm3~約0.7g/cm3、約0.2g/cm3~約0.4g/cm3、又は約0.2g/cm3~約0.5g/cm3の見かけ密度を呈し得る。追加的又は代替的に、活性炭などの吸着剤は、少なくとも約800mg/g、例えば、約800mg/g~約2000mg/g、約900mg/g~約1500mg/g、若しくは約1000mg/g~約1500mg/g、又は約900mg/g、約1000mg/g、約1100mg/g、約1200mg/g、約1300mg/g、約1400mg/g、約1500mg/g、約1600mg/g、約1700mg/g、約1800mg/g、約1900mg/g、若しくは約2000mg/gのヨウ素価を呈し得る。活性炭などの好適な吸着剤は、少なくとも約150、例えば、約150~約200(例えば、ココナッツ系の場合)、約200~約600(例えば、石炭系の場合)、若しくは約1000~約6000(例えば、木材系の場合)の重量モラセス価、又は約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、290、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、又は上記に列挙された値のうちの2つ以上の間に形成される任意の範囲、又は少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、若しくは少なくとも約400などの、先行する値のうちの任意の1つを少なくとも超える任意の範囲の値の重量モラセス価によって特徴付けられ得る。仮焼された吸着剤の重量モラセス価は、仮焼されていない吸着剤の重量モラセスよりも高い可能性がある。少なくとも約150のモラセス価を有する任意の供給源原料からの活性炭は、本開示によって包含され、本明細書に開示される方法及びシステムにおける使用に好適である。限定されるものではないが、活性炭などの、本開示による好適な吸着剤は、約15重量%未満、約14重量%未満、約13重量%未満、約12重量%未満、約11重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4.5重量%未満、約4.0重量%未満、約3.5重量%未満、約3.0重量%未満、約2.5重量%未満、約2.0重量%未満、約1.5重量%未満、約1.0重量%未満、約0.5重量%未満、あるいは約15重量%、約14重量%、約13重量%、約12重量%、約11重量%、約10重量%、約9重量%、約8重量%、約7重量%、約6重量%、約5重量%、約4.5重量%、4.0重量%、約3.5重量%、約3.0重量%、約2.5重量%、約2.0重量%、約1.5重量%、約1.0重量%、若しくは約0.5重量%、若しくは約0.1重量%、又は端点としての先行する値のうちの2つ以上から形成される任意の範囲の含水率を有する。特定の実施形態では、供給源にかかわらず、約5重量%未満の吸着剤は、ASTM D2862-16(又はその均等物)によって決定される場合、40メッシュ(US)又は0.425mm以下の粒子直径を有する。好適な吸着剤は、追加的に、約23重量%を超えない灰分量を有し得る。好適な吸着剤は、例えば、約20%以下、約15%以下、約10%以下、5%、又は約3%以下などの、約23%以下の灰分量を有し得る。
【0071】
任意の実施形態では、活性炭などの吸着剤は、表面生成物を脱着又は反応(酸化)させるように処理され得、表面生成物の存在は、X線光電子分光法(XPS)、熱重量分析(TGA)、元素分析、温度プログラム脱着、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法、Boehm滴定、水吸着、水分バランス、又は乾燥前及び乾燥後の活性炭の質量差を確認すること、又はそれらの任意の組み合わせなどを通じて、任意の既知の方法によって測定され得る。
【0072】
任意の実施形態では、低減した酸素含有量を有する吸着剤(バルク酸素又は表面酸素のいずれかに関して)は、少なくとも約500℃、例えば、約500℃~約1000℃、又は約500℃、約550℃、約600℃、約650℃、約700℃、約750℃、約800℃、約850℃、約900℃、約950℃、又は約1000℃などの、この範囲内の任意の値の温度で前駆体吸着剤材料を仮焼して、それによって、吸着剤材料を形成することによって形成され得る。仮焼後、吸着剤材料は、不活性雰囲気下で冷却される。仮焼のプロセスは、得られた吸着剤の水分及びバルク酸素の低減のための主要な駆動因子であるが、一方で、不活性雰囲気中で吸着剤を冷却することは、仮焼された後の吸着剤への水分又は酸素の再導入を実質的に防止するのに役立つ。仮焼プロセスは、限定されず、不活性雰囲気下で本段落に説明される上記の温度のうちの少なくとも1つに吸着剤を曝露させることを含む。不活性雰囲気は、吸着剤の追加的な表面機能性又は活性をもたらさない限り、限定されない。そのような不活性雰囲気の例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスのうちの1つ以上が挙げられ、触媒機能が付与されない特定の条件では、不活性雰囲気は、窒素ガスであり得、また特定の実施形態では、仮焼は、真空下で実施され得る。
【0073】
例えば、吸着剤は、酸素化表面基又は水分を除去するために窒素下でパージされた後に、提供され得る。任意選択的に、吸着剤は、真空充填筐体に包装及び提供され得、これは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,131,368号に開示されている方法に従って実施され得る。例えば、吸着剤は、加温され、次いで、ガス不透過性包装材料(例えば、バッグ)内で窒素下で冷却されて、包装材料内に真空を十分に作り出し得、その時点で包装材料は、密封され得る。例えば、吸着剤が活性炭を含む任意の実施形態では、炭素質材料は、不活性雰囲気下で約500℃~約1000℃に加熱され、所望の時間、仮焼され、次いで、不活性雰囲気中で100℃に冷却され、不活性雰囲気下で包装材料に装填され、次いで、更に冷却され、依然として不活性雰囲気下で封止され得る。
【0074】
吸着剤材料のバルク酸素含有量は、吸着剤材料が冷却剤内の導電性汚染物質と反応することを回避するために、制限されるべきである。例えば、バルク酸素含有量は、約15重量%以下、約14重量%以下、約13重量%以下、約12重量%以下、約11重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下であり得る。例えば、バルク酸素含有量は、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約5重量%の範囲内にあり得る。
【0075】
本開示は、上記に説明されるように、冷却剤を吸着剤で精製するための方法を更に提供し、方法は、例えば、吸収又は吸着によって、冷却剤中の導電性汚染物質を吸着剤に移すのに効果的な条件下で、冷却剤を吸着剤と接触させることを含む。本明細書に開示される方法及びシステムに好適な、好適な吸着剤の例としては、限定されるものではないが、炭素質チャー、活性炭、再活性炭、天然及び合成ゼオライト、シリカ、シリカ粘土、カーボンナノチューブ、並びにグラフェンが挙げられる。例えば、活性炭などの好適な吸着剤は、約0.2g/cm3~約1g/cm3、例えば、約0.3g/cm3~約0.7g/cm3、約0.2g/cm3~約0.4g/cm3、又は約0.2g/cm3~約0.5g/cm3の見かけ密度を呈し得る。追加的又は代替的に、活性炭などの吸着剤は、少なくとも約800mg/g、例えば、約800mg/g~約2000mg/g、約900mg/g~約1500mg/g、又は約1000mg/g~約1500mg/gのヨウ素価を呈し得る。活性炭などの好適な吸着剤は、少なくとも約150、例えば、約150~約250(例えば、ココナッツ系の場合)、約330~約600(例えば、石炭系の場合)、又は約1000~約6000(例えば、木材系の場合)の重量モラセス価によって特徴付けられ得る。好適な吸着剤はまた、約15%未満、例えば、約10%未満、約2.5%未満、又は約0.01%~約2.5%の含水率を有し得る。好ましくは、供給源にかかわらず、約5重量%未満の吸着剤は、ASTM D2862-16(又はその均等物)によって決定される場合、40メッシュ(US)又は0.425mm以下の粒子直径を有する。好適な吸着剤は、追加的に、約23重量%を超えない灰分量を有し得る。好適な吸着剤は、例えば、約20%以下、約15%以下、約10%以下、5%以下、又は約3%以下などの、約23%以下の灰分量を有し得る。
【0076】
冷却剤を吸着剤と効果的に接触させるために、吸着剤は、冷却剤を受動的又は能動的に濾過するのに好適な形態で提供され得る。例えば、
図1に戻ると、吸着剤は、必要に応じてカートリッジが交換され得るように、筐体110と組み合わせて使用されるカートリッジ形態で提供され得る。筐体110は、筐体110内の吸着剤カートリッジを通して冷却剤を能動的に搬送するための入口114及び出口116を備え得る。当業者であれば、吸着剤フィルタを通して冷却剤を搬送するためのポンプの使用に好適な方法及び装置に精通するであろう。例えば、自動車用燃料ポンプとして一般的に使用される任意のものが使用され得る。あるいは、筐体は、それ自体が、例えば、穿孔された壁を有して、冷却剤に対して透過性であり得、冷却剤は、吸着剤に受動的に接触し得る。この構成は、より少量の冷却剤が必要であり、フィルタへの導電性汚染物質の拡散がそれらの除去に十分である場合に特に有用であり得る。任意選択的に、筐体は、吸着剤を含む筐体の排水で流される任意の吸着剤材料を捕捉するために、吸着剤の下流のサイズ排除フィルタを追加的に収容するか、又はそれに接続され得る。例えば、フィルタは、約325メッシュ~約40メッシュ、例えば、約200メッシュ~約40メッシュ、約100メッシュ~約40メッシュ、又は約80メッシュ~約40メッシュであり得る。本明細書で使用される場合、メッシュサイズは、USサイズに対応し、325メッシュは、44μmの開口サイズに対応し、200メッシュは、約75μmの開口サイズに対応し、100メッシュは、約150μmの開口サイズに対応し、80メッシュは、約180μmの開口サイズに対応し、40メッシュは、約425μmの開口サイズに対応する。
【0077】
吸着剤は、冷却剤中で予想される汚染物質の質量の約2~3倍である量、当技術分野で現在推奨されている量よりも少ない量で筐体内に提供され得る。例えば、冷却剤によって接触されることになるエラストマー質量の総量は、合計され得、続いて、その質量の約0.1%(比較的清潔である場合)~約25%(極端な場合)が冷却剤中に浸出し得る汚染物質であるという仮定がなされる。任意の実施形態では、例えば、約200gの吸着剤が、最大約800Lの冷却剤から導電性汚染物質を除去するために使用され得る。冷却剤を精製するための方法は、任意の実施形態では、吸着剤を除去し、吸着剤を新鮮な吸着剤と置き換えることを含み得る。任意選択的に、吸着剤は、特に、吸着剤が活性炭を含む実施形態では、再活性化又は仮焼を行うための当技術分野で公知の任意の方法によって、再活性化又は仮焼され得る。
【0078】
浸漬冷却システム、装置アセンブリ、及びその中に収容される吸着剤は、適合する冷却剤に関して特に限定されず、冷却電子部品における使用に好適である任意の冷却剤を精製するために使用され得る。当業者であれば、様々な有用な冷却剤、及びその所望の特性に精通するであろう。一般的に、浸漬冷却は、単相又は二相冷却システムのいずれかを利用して、電子部品によって生成される熱を放散する。単相冷却システムの冷却剤は、一般に、液相で提供され、対流、機械的撹拌、又はそれらの組み合わせを使用して、冷却全体を通して液相に留まり、電子部品から冷却剤に伝達されるエネルギーを放散する。エネルギーの流れの方向(デバイスからの又はデバイスへの)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対エネルギー(すなわち、温度)差によって決定される。二相システムでは、冷却剤も一般的に液体として提供される。電子部品の表面に形成された熱は、液体冷却剤に伝達され、それを気化して気泡を形成し、これが液体冷却剤の表面まで上昇する。液体冷却剤の表面の上方に位置する凝縮器は、上昇する蒸気の凝縮温度の温度を下回る温度で動作し、それによって、気化した冷却剤を凝縮し、その液相に戻し得る。
【0079】
任意の用途では、電子部品を冷却するのに好適な冷却剤は、電子部品のいかなる回路の問題も回避するのに十分に低い誘電率及び導電率を有し得る。例えば、好適な冷却剤は、1kHz(例えば、約0.1~約10)で約10未満、好ましくは約7.5未満(例えば、約0.1~約7.5)の誘電率(例えば、ASTM D924によって決定される)を有し得る。好適な冷却剤は、約108Ω・cm~約1015Ω・cm未満の電気抵抗率(例えば、ASTM D257-14によって決定される)を有し得る。
【0080】
加えて、冷却剤は、電子部品から離れるようにエネルギーを伝達するのに十分な熱伝導率及び比熱、並びに冷却剤が自由に移動することを可能にする粘度を有し得る。例えば、好適な冷却剤は、約1000J/kg・K~約1350J/kg・Kの比熱(例えば、ASTM E1269-11(2018)によって決定される)を有し得る。好適な冷却剤は、約0.05W/m℃~約0.5W/m℃の熱伝導率(例えば、ASTM D2717-86によって決定される)を有し得る。好適な冷却剤は、約0.80cSt以下、例えば、約0.25cSt~約0.80cStの動粘度(例えば、ASTM D341-77によって測定される)を有し得る。
【0081】
単相冷却システムにおける使用に好適な冷却剤は、例えば、高い大気圧下沸点を呈し得る。二相冷却システムでは、冷却剤は、電子部品の作動表面温度よりも低い沸点を有し得るが(界面における気化を確保するために)、沸点は、冷却剤の大部分が典型的な動作条件中に液相に留まることを確保するように、周囲作動温度よりも高い。例えば、二相システムの好適な冷却剤は、約34℃~約175℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、約145℃、約150℃、約155℃、約160℃、約165℃、約170℃、又は約175℃の沸点を有し得る。二相システムの冷却剤はまた、高い蒸発潜熱を呈し得る。
【0082】
冷却剤は、単一の流体であってもよく、又は流体の混合物であってもよい。好適な冷却剤の例としては、限定されるものではないが、油(例えば、鉱油、植物油、ヒマシ油、シリコーンオイル)、ケトン、及び過フッ素化ケトン(例えば、3M Companyによって販売されているNOVEC649又はNOVEC774)、炭化水素及び過フッ素化炭化水素(例えば、3M Companyによって販売されているFC-72、FC-84、FC-3284、FC-3283、FC-40)、ポリフェニルエーテル又はヒドロフルオロエーテル(HFE)流体(例えば、3M Companyによって販売されているSANTOVAC5ポンプ流体、NOVEC7000、NOVEC7100、NOVEC7200、NOVEC7300、NOVEC7500、又はNOVEC7700)、ヒドロフルオロエーテルオレフィン(HFEO)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヘキサフルオロプロピレン三量体(例えば、米国特許第10,662,359号、三量体の開示を含むその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、ジフェニルエーテル/ビフェニル、又はそれらの任意の混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、冷却剤は、サイズ排除フィルタを通して濾過される。
【0083】
本明細書に開示される吸着剤を利用する浸漬冷却システムは、上記に列挙されたものに加えて、構成要素を更に備えてもよい。
図1に示されるように、冷却剤104及び電子部品106は、タンク102内に収容され、これらは、溶接された金属(例えば、炭素鋼、アルミニウム、ステンレス鋼)又はガラスから作製され、熱損失を防止するために断熱され得る。タンクは、その中で電子部品を冷却するのに十分な冷却剤を保持するのに十分にサイズ決めされ得る。例えば、タンクは、約500L、約550L、約600L、約650L、約700L、約750L、約800L、約850L、約900L、約950L、又は約1000Lであってもよい。
図2に示されるものなどの、二相冷却システム200では、ある体積の冷却剤204を有するタンク202及びその中に収容される電子部品106が提供される。また、タンク202内には、吸着剤を含む筐体110も収容される。筐体110は、入口114及び出口116を備え得、いくつかの実施形態では、筐体110は、ポンプ112に接続され得る。二相冷却システム200では、冷却剤表面208まで上昇する気化した冷却剤226は、冷却剤表面208の上方に、蒸気ゾーン218と呼ばれる蒸気のヘッドスペースを生成することになる。したがって、二相冷却システム200は、気化した冷却剤を再液化するために、蒸気ゾーン218内に位置する凝縮器220を追加的に備え得る。二相システムはまた、蒸気ゾーンの上方のヘッドスペース224に移動する水を収集するための乾燥剤222を備え得る。したがって、乾燥剤222は、蒸気ゾーン218の上方に位置し、予想される水質量の少なくとも5倍の量などの、予想される水を収集するのに十分な量で提供され得る。
【0084】
本明細書に開示される構成のいずれかでは、冷却剤が吸着剤に接触すると、吸着剤の粒子が冷却剤に混入する可能性がある。したがって、本開示に説明されるシステム内に、吸着剤の粒子が流れる際に吸着剤の粒子が冷却剤に入ることを除去するか、又は別様に防止する、少なくとも1つのサイズ排除フィルタを任意選択的に含むことが企図される。浸漬冷却システム及び装置アセンブリは、例えば、電磁弁を制御する機械的及び圧力スイッチに接続された蛇腹、並びに流体レベルを制御するためのポンプ、熱源、ヒートシンク、冷却システム、能動的又は受動的温度制御システム、熱交換器、又はそれらの任意の組み合わせを通じた圧力制御を更に含み得る。
【0085】
電子部品の冷却剤を精製する方法が提供され、方法は、冷却剤を吸着剤と接触させることを含み、吸着剤は、少なくとも330の重量モラセス価によって特徴付けられる。
【0086】
いくつかの実施形態では、吸着剤は、活性炭である。
【0087】
いくつかの実施形態では、活性炭が、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭、無煙炭、木材、泥炭、ナッツ殻、ピット、ココナッツ、ババスナッツ、マカダミアナッツ、デンデナッツ、モモピット、チェリーピット、オリーブピット、クルミ殻、木材、バガス、籾殻、トウモロコシ殻、小麦殻、ポリマー、樹脂、石油ピッチ、及び他の炭素質材料のうちの1つ以上から形成される。
【0088】
いくつかの実施形態では、吸着剤が、少なくとも約500℃の温度の不活性雰囲気下の炭素質材料の仮焼から形成される。
【0089】
いくつかの実施形態では、吸着剤は、約0.2g/cm3~約1g/cm3の見かけ密度を有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、吸着剤は、少なくとも約850mg/gのヨウ素価を有する。
【0091】
いくつかの実施形態では、吸着剤は、少なくとも約1100mg/gのヨウ素価を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、吸着剤は、約15重量%未満の含水率を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、吸着剤は、酸素含有表面基を除去するように処理されている。
【0094】
いくつかの実施形態では、酸素含有表面基を除去するための処理は、吸着剤を不活性雰囲気でパージすることと、吸着剤を酸素捕捉化合物とともに筐体内に配置することと、吸着剤を収容する筐体から酸素を機械的に除去することと、のうちの1つ以上を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、処理は、吸着剤を不活性雰囲気でパージすることを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、冷却剤が、油、炭化水素、ケトン、エーテル、又はそれらの任意のフッ素化誘導体のうちの1つ以上を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、冷却剤が、約34℃~約175℃の沸点及び1kHzで約10未満の誘電率を有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、冷却剤は、約0.8cSt以下の動粘度を有する。
【0099】
いくつかの実施形態では、電子部品は、プリント回路基板(PCB)である。
【0100】
いくつかの実施形態では、方法は、電子部品を冷却剤と接触させることを更に含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、方法は、サイズ排除フィルタを通して吸着剤を含む筐体の排水を搬送することを更に含む。
【0102】
電子部品の冷却剤を精製するためのシステムであって、冷却剤と、吸着剤を含む筐体と、を含み、筐体が、吸着剤を冷却剤と接触させるように構成され、吸着剤が、少なくとも約330のモラセス価によって特徴付けられている、システムが提供される。
【0103】
いくつかの実施形態では、吸着剤は、窒素でパージされて、酸素含有表面基を除去する。
【0104】
いくつかの実施形態では、吸着剤は、筐体内に不活性充填されるか、又は真空充填される。
【0105】
いくつかの実施形態では、システムは、吸着剤を通して冷却剤を搬送するポンプを更に備える。
【0106】
いくつかの実施形態では、冷却剤が、油、炭化水素、ケトン、エーテル、又はそれらの任意のフッ素化誘導体のうちの1つ以上を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、冷却剤が、約34℃~約175℃の沸点、約-38℃~約-138℃の凝固点、及び1kHzで約10未満の誘電率を有する。
【0108】
いくつかの実施形態では、電子部品は、データセンター内に収容されている。
【0109】
いくつかの実施形態では、システムは、吸着剤を含む筐体の下流に接続されたサイズ排除フィルタを更に備える。
【実施例】
【0110】
実施例を説明する前に、試験方法を完全に説明する必要がある。
【0111】
重量モラセス価の決定
重量モラセス価を決定するために、Calgon Carbon Corporation製試験方法番号TM-3(「TM-3」)を利用した。TM-3は、活性炭の脱色能力を決定することを意図している。活性炭の脱色能力は、活性炭の細孔構造及び材料輸送を表す。TM-3に準じた重量モラセス価の決定。
【0112】
制限:試験に使用されるモラセス溶液の濃度は、標準炭素に依存する。本明細書に使用される場合、「標準炭素」は、重量モラセス価の性質の基準物質である活性炭吸着剤材料である。当業者によって理解されるように、「200標準炭素」は200の重量モラセス価をもたらすことが予想でき、「250標準炭素」は250の重量モラセス価を有することが予想することができる。200標準炭素は、230未満の重量モラセス価を有すると予測される活性炭製品に使用されなければならない。250標準炭素は、350未満の重量モラセス価を有すると予測される活性炭製品に使用されなければならない。400標準炭素は、350以上の重量モラセス価を有すると予測される活性炭製品に使用されなければならない。製品がモラセス標準炭素制限を含むモラセス仕様範囲を有する場合は常に、より高いモラセス標準炭素を使用する必要がある。このような場合、製造上の注記として製品仕様書に利用するモラセス標準炭素を含めることが適切である。モラセス溶液は希釈することができない。2.5mmの固定経路長を使用しなければならない。
【0113】
当業者には理解されるように、標準炭素は、モラセス価の好適な標準物質である限り限定されない。400標準炭素の一例は、Moon Township、PAのCalgon Carbon Corporationから入手可能な「RB」である。RBは、1070mg/gの最小重量ヨウ素価、400の重量モラセス価、23重量%の最大灰分、2重量%の最大含水率、及び60重量%~75重量%の325メッシュでスクリーニングされたか、又は44μm未満のサイズを有する粒子を有する瀝青炭から作製された粉末状の蒸気活性炭である。320標準炭素の第2の例は、Moon Township、PAのCalgon Carbon Corporationから入手可能な「RC」である。RCは、1020mg/gの最小重量ヨウ素価、320の重量モラセス価、23重量%の最大灰分、2重量%の最大含水率、及び60重量%~75重量%の325メッシュでスクリーニングされたか、又は44μm未満のサイズを有する粒子を有する瀝青炭から作製された粉末状の蒸気活性炭である。230標準炭素の第3の例は、Moon Township、PAのCalgon Carbon Corporationから入手可能な「BL」である。BLは、1000mg/gの最小重量ヨウ素価、230の重量モラセス価、10重量%の最大灰分、2重量%の最大含水率、及び60重量%~75重量%の325メッシュでスクリーニングされたか、又は44μm未満のサイズを有する粒子を有する瀝青炭から作製された粉末状の蒸気活性炭である。
【0114】
方法の原理:廃糖蜜モラセスの溶液を、未知の脱色能力の炭素で、及び上記に明記したモラセス価を有する標準炭素で処理する。より高い標準炭素は、
図3に示されるように、脱色曲線の平坦部で値を測定するために使用される。濾液の吸光度は、2.5mmの経路長を有する波長472nmの標準分光光度計上で決定される。試料のモラセス価は、試料の吸光度値と標準炭素との比から計算される。
【0115】
安全上の注意点:実験装置を扱うときは、慎重な取り扱いと優れた実験技術を常に使用する必要がある。この試験を実施する担当者は、この手順で使用される装置に関連する潜在的な安全上の問題に注意する必要がある。
【0116】
TM-3に使用された機器は、以下の表1に記載される。
【表1】
【0117】
TM-3に使用された試薬は、以下の表2に記載される。
【表2】
【0118】
モラセス溶液を、以下の手順に従って調製した:
1.約50グラムの廃糖蜜モラセスを清潔で乾燥したビーカーに秤量し、水が95℃に加熱されるまで置いておいた。
2.メスシリンダーを使用して、1000mLのASTMタイプ2の水をステンレス鋼ビーカーに加えた。
3.ビーカーをアルミホイル又は大きなガラスカバーで覆い、ホットプレートに置き、95℃まで加熱した。
4.水が95℃に達したら、秤量したモラセスをステンレス鋼ビーカーに移し、よく撹拌して混合した。ステンレス鋼ビーカーをホットプレートから取り外した。
5.溶液を室温(約25℃)に冷却した。
6.ステンレス鋼ビーカーからのモラセス溶液を好適な容器に吸い上げた。TYGONチューブの一部がビーカーに配置され、チューブの端がビーカーの底から1インチ離れるようにした。サイフォンを開始するためにピペット電球を使用した。溶液を別の容器(例えば、大きなガラス瓶)にサイフォンした。
7.残りのビーカー内容物を廃棄した。モラセス溶液を冷蔵庫に最大24時間保存した。モラセス溶液を、試験方法を実行している間、氷上に保持した。
8.0.46±0.0002グラムの250モラセス標準炭素を、清潔で乾燥した400mLビーカーに秤量した。
【0119】
200及び250標準炭素標準化
9.50mLのモラセス溶液をビーカーにピペットで入れた。炭素が完全に濡れるまで、モラセス溶液を加えながらビーカーを旋回させた。
10.ビーカーをホットプレートに置き、熱電対/温度計をビーカーに配置して、先端がビーカーの底に当たるようにした。熱電対/温度計が98℃に達するまで溶液を加熱し、ストップウォッチを開始した。熱電対又は温度計を取り外し、溶液を30秒間沸騰させた。
11.試料は、予め調製したWhatman(登録商標)No.3濾紙を用いて、ブフナー漏斗を通して真空濾過した。フィルタを約20mLの溶液で覆い、この濾液を廃棄した。残りの部分を濾過した。
12.波長472nmにおける分光光度計上の濾液の吸光度を、2.5mmの固定経路セルを用いて測定し、記録した。溶液は、吸光度が0.630~0.650であったとき、標準化されたとみなされた。
13.溶液は、吸光度が0.650超であったとき、暗過ぎるとみなされた。加えられる水の量を決定するために、モラセス溶液の量を測定し、0.640を乗算し、ステップ12から記録された吸光度を乗算した。数を減算し、結果は、モラセス溶液に加えられるミリリットル単位の水の量であった。水を加え、溶液をよく混合した。ステップ8~13は、3つの連続した分析試料が0.630~0.650の間の吸光度値を有するまで繰り返された。
14.溶液は、吸光度が0.630未満であったとき、明る過ぎるとみなされた。加えられるモラセスの量を決定するために、モラセス溶液の量を測定し、0.640を乗算し、ステップ12から記録された吸光度を乗算した。2つの数を減算し、減算の結果を10で除算し、除算の結果を小さいガラスビーカーに加えられたモラセスの量(重量)として使用した。約25mLのモラセス溶液をビーカーに加えてモラセスを溶解した。ビーカーをホットプレートで90℃まで加熱し、その後、わずかに冷却した。内容物をモラセス溶液に加え、よく混合した。ステップ8~14を、3つの連続した試料が0.630~0.650の吸光度値を有するまで繰り返した。
【0120】
400標準炭素標準化
15.0.46±0.0002グラムの400モラセス標準炭素を、清潔で乾燥した400mlビーカーに秤量した。
16.50mLのモラセス溶液をビーカーにピペットで入れた。炭素が完全に濡れるまで、モラセス溶液を加えながらビーカーを旋回させた。
17.ビーカーをホットプレートに置き、熱電対/温度計をビーカーに配置して、先端がビーカーの底に当たるようにした。熱電対/温度計が98℃に達するまで溶液を加熱し、ストップウォッチを開始した。熱電対又は温度計を取り外し、溶液を30秒間沸騰させた。
18.試料は、予め調製したWhatman(登録商標)No.3濾紙を用いて、ブフナー漏斗を通して真空濾過した。フィルタを約20mLの溶液で覆い、この濾液を廃棄した。残りの30mL部分を濾過し、その後の測定に用いた。
19.波長472nmにおける分光光度計上の濾液の吸光度を、2.5mmの固定経路セルを用いて測定し、記録した。溶液は、吸光度が0.390~0.410であったとき、標準化されたとみなされた。
20.溶液は、吸光度が0.410超であったとき、暗過ぎるとみなされた。加えられる水の量を決定するために、モラセス溶液の量を測定し、0.400を乗算し、ステップ19から記録された吸光度を乗算した。数を減算し、結果は、モラセス溶液に加えられたミリリットル単位の水の量であった。水を加え、溶液をよく混合した。ステップ15~20を、3つの連続した試料が0.390~0.410の吸光度値を有するまで繰り返した。
21.溶液は、吸光度が0.390未満であったとき、明る過ぎるとみなされた。加えられるモラセスの量を決定するために、モラセス溶液の量を測定し、0.400を乗算し、ステップ19から記録された吸光度を乗算した。2つの数を減算し、減算の結果を10で除算し、除算の結果を小さいガラスビーカーに加えられたモラセスの量(重量)であった。約25mLのモラセス溶液をビーカーに加えてモラセスを溶解した。得られた溶液をホットプレート上で90℃まで加熱し、次いで、わずかに冷却した。内容物をモラセス溶液に加え、よく混合した。ステップ15~21を、3つの連続した試料が0.390~0.410の吸光度値を有するまで繰り返した。
【0121】
任意選択的に、ビーカーを標準化した。ビーカー標準化は、試験に使用される他のものと大きく異なる沸騰時間を有するビーカーを識別及び排除することを意図する。これらのビーカーの排除は、ラボ内精度を改善する。サプライヤーが経時的に一貫したビーカーを供給することができないとき、試験される全てのビーカーに対する新しい手段が確立される必要がある。平均は、標準偏差の3倍を超えるビーカーを含むべきではない。
【0122】
ビーカーを、以下の手順に従って標準化した。
1.番号又は他の特定のマーキングの付いた全てのビーカーを特定する。
2.50mLのピペットを使用して、TM-3で使用するために標準化されるように、50mLの脱イオン水/蒸留水を400mLのビーカーの各々に加える。
3.ビーカーをホットプレートに置き、熱電対又は温度計をビーカーに配置して、先端がビーカーの底に当たるようにし、ストップウォッチを開始した。
4.ビーカー内の水が95℃に達するのにかかる時間を測定し、最も近い秒までの時間を記録する。
5.標準化されているビーカーのセットの平均時間を決定する。
6.平均から±20秒の時間を有するビーカーを、TM-3の試料分析及び標準化に使用し得る。
7.20秒の範囲内に収まらないビーカーは、TM-3の試料又は標準を分析するために使用することができない。
【0123】
試料を、以下の手順に従って分析した。
1.炭素の試料を提供し、その95%以上が325メッシュスクリーンを通過するまで粉砕した。試料が最近の生産からのものでない場合は、使用前に150℃で一定の重量まで乾燥させた。標準炭素内部炭素標準を同様に調製した。材料の細かさが同等であることを確認するために、当量を微粉砕した。
2.乾燥した微粉砕された炭素試料の0.46±0.0002グラムの部分を、別々の清潔で乾燥した400mLのビーカーに秤量した。
3.試料の濾過用の濾過セットアップを準備した。Whatman(登録商標)No.3フィルタ円がブフナー漏斗に配置された。漏斗を250mLの濾過フラスコに接続し、濾過真空を開始した。濾紙円の全面をコーティングすることを確認しながら、濾紙懸濁液50mLを加えた。全ての液体が排出された後、吸引瓶に集められた濾液は廃棄された。
4.50mLの標準化モラセス溶液を、分析される炭素を収容するビーカーにピペットで入れた。炭素が完全に濡れるまで、モラセス溶液を加えながらビーカーを旋回させた。
5.ビーカーをホットプレートに置き、熱電対又は温度計をビーカーに配置して、先端がビーカーの底に当たるようにした。熱電対が98℃を読み取るまで溶液を加熱し、ストップウォッチを開始した。熱電対又は温度計を取り外し、溶液を30秒間沸騰させた。
6.試料を、ステップ3に従って予め調製されたWhatman(登録商標)No.3濾紙を使用して、ブフナー漏斗を通して真空によって濾過した。フィルタを約20mLの試料で覆い、この濾液を廃棄した。残りの部分を濾過した。
7.波長472nmにおける分光光度計上の濾液の吸光度を、2.5mmの固定経路Klett(商標)Summerson Cellを使用して測定し、記録した。脱イオン水又は蒸留水を基準として用いた。
8.モラセス価を計算した:
モラセス価=(A×B)/C
式中、Aは、標準炭素のモラセス価であり(250又はそれ以外)、Bは、250標準炭素又は他の標準炭素に対する3つの決定値の平均吸光度であり、Cは、分析されている活性炭の濾液の吸光度である。
9.モラセス価は、従来の四捨五入の手法を使用して、最も近い10の位で報告された。(例えば、226=230)
【0124】
接触pH及び中和の決定
接触pHを決定するために、Calgon Carbon Corporation試験方法番号TM-62(「TM-62」)を利用した。この方法は、1部の炭素と4部の水との重量比で顆粒状活性炭と静的に接触する水のpHを測定することが意図されている。混合物を中和するための要件も決定され得る。接触pHの決定は、以下に説明されるように実施される。
1.顆粒状活性炭試料の重量25.0gの代表的な部分を400mlビーカーに入れる。試料が最近の生成物に由来する場合を除き、試料を150℃で3時間、オーブン乾燥させ、使用前に乾燥器内で室温まで冷却する。
2.100mlの試薬水を加える。試薬水は、ASTM D 1193 タイプllとして説明される。最近沸騰した蒸留水又は脱イオン水は、一般的に、タイプll水の要件を満たしている。
3.磁気撹拌ロッドを加え、混合物を低速で5分間撹拌する。
4.5分後、撹拌を停止し、炭素を1分間沈降させる
5.溶液中に電極を配置し、pH値を読み取る。このpH値を「接触pH」として報告する。
【0125】
接触pHを測定した後、任意選択の中和実験が酸を介して実施され得るか、又は塩基滴定が、終点のpH7に達するまで実施され得る。TM-62方法に従って、これは、以下のように実施される。
1.混合物が撹拌されている際、適切な試薬でゆっくりと滴定する。終点は、およそ1分間、pH7である。接触pHが>7である場合、0.10N HClを使用する。pHが<7の場合、0.10N NaOHを使用する。
2.中和を達成するために必要な「mLの試薬」を報告する。
【0126】
炭素懸濁濾液pH及びその中和の決定
この方法は、100mLの脱イオン水に加え、25℃の温度制御水浴中で24時間穏やかに振盪した25gの顆粒状炭素懸濁液を濾過することから得られる濾液を滴定するために必要な酸(0.004N HCl)又は塩基(0.004N NaOH)の量を決定するように設計される。24時間後、顆粒状炭素懸濁液は、重力濾過又は真空濾過のいずれかを使用して濾過される。濾液の初期pHが測定される。濾液の初期pHが>7である場合、pH7の終点に達するまで、0.004N HClが濾液にゆっくりと滴定される。濾液を中和するために必要な0.004N HClの体積を記録する。この情報を用いて、当業者は、異なる炭素のアルカリ特性を比較することができる。当業者によって理解されるように、炭素のアルカリ性が高いほど、より多くの酸がその濾液を中和するために必要とされることになる。
【0127】
逆に、濾液の初期pHが<7である場合、pH7の終点に達するまで、0.004N NaOHが濾液にゆっくりと滴定される。濾液を中和するために必要な0.004N NaOHの体積を記録する。この情報を用いて、異なる炭素の酸特性を比較することができる。炭素が酸性であるほど、より多くの酸がその濾液を中和するために必要とされることになる。
【0128】
質量滴定を介したゼロ電荷pHの点の決定
本明細書ではpHPZCと呼ばれる炭素のゼロ電荷点(PZC)pHは、正味炭素表面電荷がゼロであるpHを説明する。2つの炭素を比較する場合、より高いpHPZC値を有する炭素は、よりアルカリ性の炭素表面を示唆する。逆に、2つの炭素を比較する場合、より低いpHPZCを有する炭素は、本質的により酸性である。ゼロ電荷pHの点は、「Valdes H.,et al,"Effect of Ozone Treatment on Surface Properties of Activation Carbon",Langmuir,Vol18,2002,pp.2111-2116」に説明される方法に基づき、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。pHPZCを決定するために、以下の手順に従った。
1.適切な量の硝酸ナトリウムを沸騰した脱イオン水に加えることによって、3つの異なる0.1N硝酸ナトリウム(NaNO3)を作製した。
2.0.1N硝酸ナトリウム溶液のpHを、0.1N硝酸又は水酸化ナトリウムのいずれかの少量の添加を使用して、3、6、又は11のいずれかのpHに調整した。
3.様々なpHの各溶液について、40mlのその溶液を7本の50mlの遠心分離管のセットに加えた。
4.pH調整した硝酸ナトリウム溶液を収容する7本の遠心分離管の各セットについて、顆粒状炭素を加えて、0.1、1.0、5.0、10.0、15.0、及び20.0重量%の炭素質量濃度を達成した。第7の管は、炭素を収容せず、ブランクとして分析に含めた。
5.炭素が溶液に加えられると、炭素懸濁液は、温度制御された水浴中で、25℃で24時間穏やかに振盪される。
6.24時間後、溶液を水浴から除去し、炭素を約1時間沈降させる。
7.次に、各炭素懸濁液のpHを、pHプローブを使用して測定する。24時間にわたって一貫したpHを確保するために、「ブランク」溶液をチェックする。
8.pH3、6、又は11の溶液のいずれかを使用する試料のセットについて、pHを炭素質量の関数としてプロットする。次いで、炭素のpHPZC値を、3つの試料セットの各々に対して、測定されたpHが安定化した点として定義する。この安定したpHは、炭素が懸濁された硝酸ナトリウムの初期pHとは無関係に、概して同じとなることが予想される。
【0129】
熱重量分析(TGA)
炭素試料をTGA装置(TA Instruments Model TGA 500)内に配置し、窒素流下で不活性に加熱したが、一方で、試料を約25℃~900℃に加熱した。試料からの質量損失は、装置内の感度の高い秤を使用して、加熱される際に測定される。水分を含有する試料は、最高約100℃の温度で質量を失う可能性が高く、他の表面酸化物は、約200~900℃の範囲の温度でCO又はCO2のいずれかとして試料から追い出され得る。したがって、当業者は、自然に酸化された可能性のある原料活性炭対その原料の仮焼バージョンなどの、2つの炭素間の質量損失の相対的な程度を調べることによって、試料中の表面酸素種又は水分の量を比較することができる。高温仮焼プロセスに供された炭素は、そのプロセスを通して水分及び表面酸素部分を失った可能性があり、したがって、TGAで失われる質量は、同じ材料の非仮焼原料と比較して少なくなる。
【0130】
元素酸素分析
活性炭試料の「バルク」酸素含有量は、元素分析器を使用して測定され得る。この文脈では、バルク酸素は、X線分光法(XPS)などの相補的技術によって決定される炭素表面の最初の数ナノメートルのみで測定され得る酸素のみに対して、試料全体にわたって存在し得る任意の酸素として定義される。様々な乾燥炭素試料のバルク酸素含有量を、試料を高温に加熱し、赤外線検出器を使用して酸素濃度を決定する、元素vario El cubeを使用して決定した。このデバイスを使用して、当業者は、仮焼活性炭と非仮焼活性炭との間の酸素含有量差を比較することができる。
【0131】
活性炭の含水率の決定
活性炭試料の含水率を決定するために、Calgon Carbon Corporation試験方法番号TM-1(「TM-1」)を実施した。このTM-1試験は、ASTM D2867と同一である。
【0132】
活性炭のヨウ素価の決定
活性炭試料の灰分量を決定するために、Calgon Carbon Corporation試験方法番号TM-4(「TM-4」)を実施した。このTM-4試験は、ASTM D4607と同一である。
【0133】
活性炭の灰分量の決定
活性炭試料の灰分量を決定するために、Calgon Carbon Corporation試験方法番号TM-5(「TM-5」)を実施した。このTM-5試験は、ASTM D2866と同一である。
【0134】
活性炭の見かけ密度の決定
活性炭試料の灰分量を決定するために、Calgon Carbon Corporation試験方法番号TM-7(「TM-7」)を実施した。このTM-5試験は、ASTM D2854と同一である。
【0135】
実施例1-様々な活性炭の適合性
様々な供給源に由来し、かつ様々な方法によって調製された様々な活性炭を、以下の表3に示されるように、冷却剤を精製するための吸着剤として使用するためにスクリーニングした。BGXは、N
2 BET又は約1550~1650m
2/gの吸着の比表面、2.5重量%の灰分量、及び約0.24g/cm
3の所定密度を有する木材系粒状活性炭であり、Moon Township、PennsylvaniaのCalgon Carbon Corporationから入手可能である。RBは、少なくとも1070mg/gのヨウ素価、23重量%を超えない灰分量、2重量%を超えない含水率、及び約60~75重量%のマイナス325USメッシュの湿式スクリーンメッシュサイズを有する石炭系粉末状活性炭であり、Moon Township、PennsylvaniaのCalgon Carbon Corporationから入手可能である。
【表3】
【0136】
具体的な乾燥手順は以下のとおりである。
【0137】
なし:濾過媒体を供給されたまま容器から取り出し、試験した。
【0138】
真空:およそ100グラムの濾過媒体材料を4オンスのガラス瓶に加えた。次に、瓶の開口部を、2つのゴム結合剤で定位置に保持された3つのKIMWIPES(登録商標)(繊細な作業のためのセルロースワイプ)で覆った。覆った瓶を真空オーブン内に配置した。真空を適用し、試料を180℃まで加熱した。乾燥を、24時間、又は真空オーブン内の圧力が乾燥が完了したことを示す100mTorr(13.33Pa)未満になるまで行った。オーブンを真空下で室温まで冷却させた。室温であるとき、チャンバーを乾燥窒素で大気圧まで通気し、KIMWIPES(登録商標)を除去し、瓶をキャップし、蓋をビニルテープで巻いた。次いで、試料を、保管のために乾燥N2ボックス内に配置した。
【0139】
N2/炉:およそ50グラムの濾過媒体材料を4オンスのガラス瓶に加えた。キャップのない充填された瓶をマッフル炉内に配置し、ドアを閉じた。窒素流を90SCFHに設定し、炉を10分間パージした。次いで、窒素流を20SCFHまで低減させ、炉を180℃に加熱した。乾燥を180℃で16時間行った。瓶を180℃でオーブンから取り出し、キャップをし、次いで、室温に戻した。次いで、試料を、保管のために乾燥N2ボックス内に配置した。
【0140】
空気/溶媒オーブン:通気溶媒オーブン内における空気乾燥。およそ50グラムの濾過媒体材料を4オンスのガラス瓶に加えた。キャップのない瓶を、通気溶媒オーブン内に配置にし、オーブンを180℃に加熱した。乾燥を16時間行った。瓶を180℃でオーブンから取り出し、キャップをし、次いで、室温に戻した。次いで、試料を、保管のために乾燥N2ボックス内に配置した。
【0141】
不活性雰囲気の仮焼/キルン:不活性雰囲気中のキルン仮焼。およそ0.5kgの活性炭をロータリーキルンに加えた。活性炭を、不活性窒素雰囲気下、950℃で20分間処理した。次いで、仮焼活性炭を窒素収容ボックス内に排出し、約100℃まで不活性に冷却した。次いで、活性炭を、空気への曝露を最小化する様式で、窒素パージ容器内に不活性充填するか、又は真空充填した。
【0142】
実施例2-含水率
様々な供給源に由来し、かつ様々な含水率を有する様々な活性炭を、表4に説明されるように、吸着剤としての使用との適合性についてスクリーニングした。
【表4】
【0143】
実施例3
より大規模な仮焼実験を、ロータリーキルンを使用して実施し、石炭系の「RB」活性炭を、窒素流下で最大30分間、約980℃の温度で仮焼した。仮焼されると、炭素を窒素ブランケット下で冷却させ、次いで、不活性充填した。以下の表5は、実験室で乾燥された(典型的には150℃で3時間)か、又は未加工のままのいずれかの、仮焼RB対その原料(F/Sによって示される)の特性の一部を比較する。仮焼RBは「仮焼RB」と記載され、乾燥RB原料は「F/S RB乾燥」と記載され、未加工原料RBは「F/S RB」と記載されている。
【0144】
表5では、炭素の仮焼は、0.2重量%、乾燥単独では達成することができないレベルの低水分を達成する。仮焼プロセスの利点はまた、バルク酸素レベルを観察するときにも見られ、仮焼RBで1.6%であった。これは、F/S RBと比較して約2倍、かつF/S RB乾燥と比較して1.5倍の低減である。更に、他のRB試料と比較して、仮焼RBの接触pHの10.4への増加に気付くと、これは、表面酸素基又は炭素中に存在する他の酸性部分の除去を通して、仮焼プロセスから生じる炭素アルカリ性の増加を示す。理論に束縛されることは望まないが、低い水分、酸素含有量、及び表面酸性度は、浸漬冷却用途のための活性炭の重要な特性であると考えられ、表5は、高温仮焼プロセスが、ヨウ素及びモラセス価の比較的小さな変化によって示されるように、原料炭素の輸送構造を著しく変化させることなく、これらの固有の特質を有する活性炭生成物を生成することを示す。
【表5】
【0145】
顆粒状の木材系活性炭の仮焼を実験室で実施し、原料であるF/S BGXを窒素流下で30分間、約950℃の温度で仮焼した。仮焼されると、活性炭を窒素ブランケット下で周囲温度まで冷却させた。次いで、それを不活性環境で保管した。F/S BGXのこの仮焼バージョンは、仮焼BGXと呼ばれる。F/S BGXの空気乾燥バージョンについてもデータを収集し、適切な場合、F/S BGX乾燥として記載する。このバージョンの活性炭を、空気中で3時間、150℃でF/S BGXを乾燥させることによって作製した。これらの木材系材料の物理的及び化学的特性が表6に説明される。
【表6】
【0146】
表6では、仮焼BGX試料は、0.1重量%未満の非常に低い水分レベルを達成した。更なる利点は、仮焼BGX試料バルク酸素濃度がF/S BGX乾燥試料よりも約50%低く、F/S BGX試料よりも約65%低かったため、仮焼を通じて達成される。加えて、仮焼BGXの接触pHは、F/S BGX乾燥試料について測定された酸性pH値4.0に対して、7.3の値でほぼ中性であった。仮焼BGX試料の増加した接触pHは、少ない表面酸素基及びおそらく他の酸性部分の存在に起因して、その表面酸性度の顕著な低減を示す。表6のデータはまた、仮焼BGX材料が1500を超えるモラセス価を有するため、仮焼プロセスがF/S BGXの固有細孔構造を高度に維持することを示す。この大きいモラセス価は、十分に発達した輸送細孔構造を示す。更に、仮焼BGX試料はまた、1000を超えるヨウ素価を有し、これは、顕著な全表面活性を有する活性炭の特徴である。仮焼BGXによって呈される細孔構造及び表面活性は、その非常に低い水分、低い酸素含有量、及び低減された表面酸性度と組み合わせて、浸漬冷却用途に木材系の活性炭を使用するときの主な利点であると考えられる。
【0147】
表5に列挙された試料について、TGA分析を実施した。表7は、TGAで処理した後の仮焼RB、F/S RB乾燥、及びF/S RBの質量損失データを説明する。表7では、仮焼RB試料の総質量損失は、わずか1.50重量%であったが、それに対して、F/S RB乾燥及びF/S RB試料については、それぞれ1.91及び2.38重量%の値であった。仮焼RB試料は、TGA中の処理後に最小の総質量百分率変化を呈したため、これは、仮焼が、TGA実験中に活性炭から放出され得る水分が少なく表面官能基が少ない、より不活性な活性炭を生成したことを示す。逆に、F/S RB乾燥及びF/S RB材料は、仮焼RBよりも多くの固有の水分及び表面官能基を含有したため、それぞれのTGA実験中により多くの質量を失った。
【表7】
【0148】
表8は、TGAで処理した後の仮焼BGX、F/S BGX乾燥、及びF/S BGXの質量損失(重量%)を説明する。仮焼BGX試料の総質量損失は、わずか9.35重量%であったが、それに対して、F/S BGX乾燥及びF/S BGX試料については、それぞれ、12.60及び35.50重量%の値であった。仮焼プロセスは、単独で乾燥するよりもより原始的な活性炭表面を生成するため、仮焼RBは、分析中に発生し得る水分及び表面部分のレベルが本質的に低いため、TGAで処理した後に少ない総質量損失を呈した。この木材系の活性炭については、200~600℃の範囲の混入した水分(25~200℃の範囲)及び表面酸化物又は他の表面官能基を除去する際に、仮焼が特に効果的であると考えられる。質量損失の差は、600~900℃の範囲でF/S BGX乾燥と仮焼BGXとの間であまり顕著ではないが、仮焼BGXによって呈されるより小さい質量損失は、追加の表面酸素又は他の官能基を除去するために高温における仮焼の重要性を依然として示す。したがって、活性炭原料であるF/S BGXの仮焼は、浸漬冷却用途に特に適した特性を有する、増強された木材系製品である仮焼BGXを生成する。
【表8】
【0149】
表9は、TM-62に説明されるように、仮焼RB、F/S RB乾燥、又はF/S RBのいずれかの炭素懸濁液を中和するために必要な接触pH及び0.1N塩酸(HCl)の量を説明する。ここで、より塩基性の活性炭を示す、F/S RB乾燥と比較して、仮焼RB懸濁液を滴定するとき、pH7の終点に達するために0.1N HClをほぼ10mL多く必要とする。仮焼RBのより高い接触pHと協調する滴定データは、仮焼プロセスから生じる炭素表面からの酸性部分の排除に起因して、その増加したアルカリ性質を強化する。
【表9】
【0150】
表10は、TM-62に説明されるように、仮焼BGX及びF/S BGX乾燥の炭素懸濁液を中和するために必要な0.1N NaOHのpH及び量を説明する。表9では、仮焼BGXの接触pHは6.7であり、pH7の終点に到達するために0.9mLの0.1N NaOHのみを必要としたが、それに対して、F/S BGX乾燥試料は、4.0の顕著により酸性の接触pHを有し、その滴定終点に到達するために48.5mLの塩基を必要とした。これは、その製造方法に起因して、活性炭原料が本質的に酸性(BGXの場合のように)であるときでさえも、仮焼プロセスが、酸性度が低下した活性炭製品をもたらすことを示す。
【表10】
【0151】
表11は、F/S RB乾燥及び仮焼RBの水性懸濁液から得られた濾液の滴定を説明する。ここで、0.004N HCl酸を使用して40mLの濾液を滴定した。仮焼RB濾液の初期pHは10.5であり、pHの終点値7に達するために12.5mLの酸を必要としたが、それに対し、F/S RB乾燥濾液を滴定するとき、その濾液が9.8の低アルカリ性の初期値を有したため、2.8mLのみが必要とされた。この滴定データ及び2つの材料の初期濾液pHの差は、乾燥活性炭に対する仮焼活性炭の増強されたアルカリ性質を反映する。
【表11】
【0152】
表12は、F/S BGX乾燥及び仮焼BGXの水性懸濁液から得られた濾液の滴定を説明する。仮焼BGX懸濁液から得られた濾液の初期pHは、7.8でわずかにアルカリ性であり、終点pH7に達するために16.8mLの0.004N HClを必要とした。逆に、F/S BGX乾燥懸濁液から得られた濾液の初期pHは、4.7の値で有意により酸性であった。この濾液は、滴定終点pHに達するために、68mLの0.004N NaOHを必要とした。表11のデータは、(その製造方法に起因して)本質的に酸性であるBGXのような活性炭についてさえも、仮焼が、本出願に有益である中性又はアルカリ状態に向かう活性炭表面の顕著なシフトをもたらすことを示す。
【表12】
【0153】
仮焼などの熱プロセスは、活性炭の表面機能性に影響し、これは、次いで、そのpHPZCに影響する。RB及びBGX活性炭については、より大きいpHPZC値が仮焼後に測定され、活性炭表面の塩基(アルカリ)特性の増加を示す。仮焼プロセスは、酸性酸素含有表面基を除去する。
【0154】
図5は、5重量%、10重量%、15重量%、及び20重量%の共通の活性炭濃度における、F/S RB乾燥又は仮焼RB-硝酸ナトリウム懸濁液に対する平均pH測定値を示す。F/S RB乾燥活性炭の重量%が15及び20重量%に増加したため、約11.5の非対称pH
PZC値が観察された。あるいは、仮焼RBの量が20重量%に増加したため、平均懸濁液pHは、依然として増加していた。これは、仮焼RBのpH
PZCが少なくとも11.8であるが、おそらくそれよりも高いことを意味する。
図5のデータは、F/S RB活性炭の仮焼が、増強された表面アルカリ性を付与し、それによって、浸漬冷却用途におけるその機能性を改善することを示す。
【0155】
図6は、5重量%、10重量%、15重量%、及び20重量%の共通の活性炭濃度における、F/S BGX乾燥又は仮焼BGX-硝酸ナトリウム懸濁液に対する平均pH測定値を示す。F/S BGX乾燥活性炭の重量%が20重量%に増加したため、約4.5の非対称pH
PZC値が観察された。あるいは、仮焼BGXの量が20重量%に達したため、記録された平均pHは減少していたが、約6.5のほぼ中性pH
PZC値に向かって安定している。
図6のデータは、F/S BGX活性炭の仮焼が、その表面酸性を減少させ、それによって、浸漬冷却用途におけるその機能性を改善することを示す。
【0156】
上記の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照する。図面では、文脈上別段の指示がない限り、類似の記号は、典型的には類似の構成要素を識別する。発明を実施するための形態、図面、及び特許請求の範囲に説明される例示的な実施形態は、限定することを意図するものではない。本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用してもよく、他の変更を行ってもよい。概して本明細書に説明され、かつ図に例示されるような本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換、結合、分離、及び設計され得、それら全てが本明細書に明示的に意図されていることが容易に理解されよう。
【0157】
本開示は、様々な態様の図解として意図されている、本出願に説明される特定の実施形態に関して限定されない。当業者に明らかであろうように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形を行うことができる。本開示の範囲内の機能的に同等の方法及び装置は、本明細書に列挙したものに加えて、上記の説明から当業者には明らかであろう。かかる修正及び変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるものであり、かかる特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲を伴う。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又はシステムに限定されず、それらは変化する場合があることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0158】
本明細書における実質的に任意の複数及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は用途に適切な場合、複数から単数形及び/又は単数形から複数形に翻訳することができる。様々な単数形/複数形の配列は、明確にするために本明細書に明示的に記載され得る。
【国際調査報告】