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特表2024-522567針先の配置を補助するための医療機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】針先の配置を補助するための医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/42 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61M5/42 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574718
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2022064954
(87)【国際公開番号】W WO2022253915
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】2107803.5
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2110614.1
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2114811.9
(32)【優先日】2021-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2204356.6
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523453880
【氏名又は名称】インドメッド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INDOMED LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン ラヴァティ
(72)【発明者】
【氏名】コーマック ブレナー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066FF05
4C066HH17
(57)【要約】
本発明は、血管内に針先をうまく配置するのを補助するために使用される医療機器に関する。医療機器は、内部に真空チャンバを画定する本体と、針のハブと係合するためのポートと、本体の外部から本体の内部の真空チャンバまでポートを通る流体通路と、真空チャンバ内の真空によって作用されるユーザへの音声/触覚フィードバックを生成する手段と、を備える。音声/触覚フィードバックを生成する手段には、当接アームと、当接アームによって係合される相補的な当接面とが含まれる。当接面は、その長さに沿って、当接アームに対向するリブを有する。真空チャンバ内の真空により、当接アームおよび当接面のうちの一方を他方に対して移動させ、それによって、当接アームがリブに解放可能に係合して、音声/触覚フィードバックが生成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内に針先をうまく配置するのを補助するために使用される医療機器(10、100)であって、
前記医療機器は、
内部に真空チャンバ(103)を画定する本体(11、101)であって、前記本体は針のハブと係合するためのポート(41、105)を有し、前記ポートは前記本体の外部から前記本体の内部の前記真空チャンバまでの流体通路を画定する、前記本体と、
前記真空チャンバ内の真空によって作用されるユーザへの音声フィードバックおよび触覚フィードバックのうちの少なくとも一方を生成する手段と、
を備え、
フィードバックを生成する前記手段には、当接アーム(19、111)と、前記当接アームによって動作可能に係合される相補的な専用の当接面(113)とが含まれ、
前記当接面は、その長さに沿って配置され、前記当接アームに対向する、間隔を置いて近接配置された複数の当接部材(15、115)を有し、
前記真空チャンバ内の前記真空により、前記当接アームおよび前記当接面のうちの一方を前記当接アームおよび前記当接面のうちの他方に対して移動させるように動作可能であることによって、前記当接アーム(19、111)が前記当接面の前記当接部材(15、115)のうちの少なくとも1つと解放可能に係合し、前記フィードバックを生成する、医療機器(10、100)。
【請求項2】
前記当接アーム(19、111)および前記当接面(113)が前記本体の内部に配置されている、請求項1に記載の医療機器(10、100)。
【請求項3】
前記本体の外部と前記真空チャンバとの中間の前記流体通路に、前記ポートに前記真空を選択的に加えるように動作可能な弁(119)が設けられている、請求項1または2に記載の医療機器(10、100)。
【請求項4】
前記ポートへの前記真空の適用を制御するように動作可能な、解放可能なラッチ(43)が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項5】
前記真空チャンバは、細長い折り畳み可能な蛇腹(29、118)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項6】
前記折り畳み可能な蛇腹(29、118)が弾性変形可能な材料から構成される、請求項5に記載の医療機器(10、100)。
【請求項7】
前記折り畳み可能な蛇腹を伸長させるように動作可能なバネ(35、125)が設けられている、請求項5または6に記載の医療機器(10、100)。
【請求項8】
前記蛇腹(29、118)は、一対の実質的に平面状の対向するエンドプレートを有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項9】
前記蛇腹が折り畳まれた構成にあるときに、前記蛇腹内部の空隙を実質的に満たし、前記蛇腹の内側の空気量を最小限に抑えるように動作可能な内部プラグが前記蛇腹(29、118)に設けられている、請求項5~8のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項10】
前記蛇腹(29、118)のための誘導手段を設けることで、前記蛇腹が拡張構成にまたは拡張構成から、収縮構成にまたは収縮構成から移行する際に、前記蛇腹の最外端の移動方向を、ひいては前記蛇腹の形状を制御する、請求項5~9のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項11】
前記蛇腹(29、118)は、内側蛇腹と外側蛇腹とのデュアルスキンを有する、請求項5~10のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項12】
前記蛇腹(29、118)が実質的に円筒形状である、請求項5~11のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項13】
前記真空チャンバは、解放可能に取り外し可能な真空チャンバを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項14】
複数の当接アーム(19、111)が設けられている、請求項1~13のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項15】
複数の相補的な当接面(113)が設けられている、請求項14に記載の医療機器(10、100)。
【請求項16】
各当接アーム(19、111)に専用の当接面(113)が設けられている、請求項15に記載の医療機器(10、100)。
【請求項17】
前記弁は、前記本体に接続された針の長手方向軸に垂直な力を加えることによって作動する、請求項3に記載の医療機器(10、100)。
【請求項18】
前記解放可能なラッチは、前記本体に接続された針の長手方向軸に垂直な力を加えることによって作動する、請求項4に記載の医療機器(10、100)。
【請求項19】
前記流体通路が、前記弁が係合するようにシリコンゴムで構成された前記本体の部分によって画定される、請求項3に記載の医療機器(10、100)。
【請求項20】
前記真空が150mmHg(20kPa)~250mmHg(33.3kPa)である、請求項1~19のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項21】
前記弁は、10~55ショアAのショア硬度を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項22】
針のハブの開口部と前記弁の閉鎖点との間の前記流体通路の容積が、0.05ml以下である、請求項1~21のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【請求項23】
前記ポートに、そこから分岐するサイドポートが設けられており、前記サイドポートはその上に閉鎖部を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の医療機器(10、100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関する。より具体的には、本発明は、血管内に針先をうまく配置するのを補助するために使用される医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような医療機器の1つに、出願人自身の特許協力条約(PCT)特許出願である特許文献1に開示されている医療機器がある。特に、これらの医療機器によって対処される問題、その機能および利点に関する検討を含む、特許文献1の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
特許文献1は、医療従事者がセントラルライン挿入中に中心静脈にアクセスする際に、医療従事者に迅速かつ有用なフィードバックを提供する医療機器を開示している。更に、医療機器は、既知の機器よりも扱いにくくなく、針を配置するための既知の技術を簡素化し、多くの代替製品よりも製造コストが安価である。
【0004】
しかしながら、これらの医療機器にはまだ改善の余地がある多くの側面があることが想定される。例えば、医療従事者に静脈内への針先の配置が成功したことを知らせる速度を更に向上させることが有利であろう。これにより、医療従事者が針先を静脈の後壁を貫通させることによって、静脈から出ることを防止する。第二に、これまでのケースよりもより頻繁に、かつ更に顕著なフィードバックを提供することが有利であろう。第三に、針先が静脈壁を貫通したことを検出するのに更により敏感な医療機器を提供することが有利であろう。第四に、針が静脈内または静脈に近い位置にあると考えられる場合に針を動かさないように、作動させるのがより容易な機器を提供することが有利であろう。第五に、標準的な技術を使用して機器を製造することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2020/079251号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、既知の機器の欠点のうちの少なくとも1つを克服し、消費者に有用な代替的な選択肢を提供する医療機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、血管内に針先をうまく配置するのを補助するために使用される医療機器が提供され、医療機器は、内部に真空チャンバを画定する本体であって、本体は針のハブと係合するためのポートを有し、ポートは本体の外部から本体の内部の真空チャンバまでの流体通路を画定する、本体と、真空チャンバ内の真空によって作用されるユーザへの音声フィードバックおよび触覚フィードバックのうちの少なくとも一方を生成する手段とを備え、フィードバックを生成する手段には、当接アームと、当接アームによって動作可能に係合される相補的な専用の当接面とが含まれ、当接面は、その長さに沿って配置され、当接アームに対向する、間隔を置いて近接配置された複数の当接部材を有し、真空チャンバ内の真空により、当接アームおよび当接面のうちの一方を当接アームおよび当接面のうちの他方に対して移動させるように動作可能であり、それによって、当接アームが当接面の当接部材のうちの少なくとも1つと解放可能に係合することで、フィードバックを生成する。
【0008】
このような医療機器を有することにより、音声/触覚フィードバックを生成する手段は、より迅速かつ頻繁に認識可能なフィードバックを提供し、それ故、検出がより容易になる。これにより、医療従事者が針の先端が血管内にあるという指標を認識する可能性が高まり、医療従事者が針の先端を、静脈を通って静脈の反対側に出してしまう可能性を回避する。当接部材は、リブによって提供されることが好ましい。あるいは、当接部材は、当接アームが接触する他の突起、空洞、くぼみ、または凹凸のある表面によって提供されることもできる。音声/触覚フィードバックを生成する手段は、ブラダーのひだに対して通過するスクレーパーアームにもはや依存しない(ブラダーのひだは比較的離間しており、医療従事者にフィードバックを提供するのに機器内に大量の血液を流入させる必要がある)。これにより、針先が正確に位置していることをより高感度かつ迅速に、明確に示す機器が提供される。
【0009】
本発明の一実施形態では、当接アームおよび当接面が本体の内部に配置される医療機器が提供される。これは、本発明の有用な実施形態とみなされる。当接アームおよび当接面を本体の内部に配置することにより、よりコンパクトな機器が提供される。
【0010】
本発明の一実施形態では、本体の外部と、ポートに選択的に真空を加えるように動作可能な真空チャンバとの中間の流体通路に弁が設けられた医療機器が提供される。これは、本発明の特に好ましい実施形態とみなされる。このような弁を有することにより、針先が体内に進入した後、かつ血管に進入する前に機器をプライミングすることができる。これにより、針先を患者の体内に挿入する前に、機器内に空気が誤って侵入し、それに対応して真空が失われることがなくなる。
【0011】
本発明の一実施形態では、ポートへの真空の適用を制御するように動作可能な解放可能なラッチが設けられた医療機器が提供される。これは、患者の体内に針先を挿入した後、かつ血管内に針先を挿入する前に機器をプライミングする有用な方法としても見られる。
【0012】
本発明の一実施形態では、真空チャンバが細長い折り畳み可能な蛇腹を備える医療機器が提供される。蛇腹は円筒形であることが好ましいが、楕円形、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、または断面が他の多面形であるもの等、他の形状も容易に想定される。細長い蛇腹を有することにより、蛇腹はコンパクトかつ予測可能な方法で折り畳むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態では、折り畳み可能な蛇腹が弾性変形可能な材料から構成される医療機器が提供される。これは、蛇腹がその通常の形状に戻ろうとし、これにより真空力が提供される故に本発明の有用な態様としても見られる。
【0014】
本発明の一実施形態では、折り畳み可能な蛇腹を伸張させるように動作可能なバネが設けられた医療機器が提供される。バネは、ポートを介した真空吸引力の生成を更に支援し、より有用な機器をもたらす。更に、バネは、当接アームと当接面との間の摩擦を克服し、蛇腹内の均一な拡張を保証し、蛇腹が所望の方向に拡張するのを促進するように動作可能である。
【0015】
本発明の一実施形態では、蛇腹が一対の実質的に平面状の対向するエンドプレートを有する医療機器が提供される。平面状の対向するエンドプレートを有することにより、エンドプレートが互いに嵌合することができ、それによって、折り畳まれた真空チャンバ内の空気量が減少し、針への血液の進入とその結果として生じる圧力の変化に対してより迅速に反応する、より敏感な機器がもたらされる。
【0016】
本発明の一実施形態では、蛇腹が折り畳まれた構成にあるときに、蛇腹の内部の空隙を実質的に満たし、蛇腹内の空気量を最小限に抑えるように動作可能な内部プラグが蛇腹に設けられた医療機器が提供される。繰り返しになるが、折り畳まれた蛇腹の内部の空隙を埋めるプラグを設けることにより、折り畳まれた真空チャンバ内の空気量が減少し、針への血液の進入とその結果として生じる圧力変化に対してより迅速に反応する、より敏感な機器がもたらされる。
【0017】
本発明の一実施形態では、蛇腹が拡張構成にまたは拡張構成から、収縮構成にまたは収縮構成から移行する際に、蛇腹の最外端の移動方向を、ひいては蛇腹の形状を制御するための蛇腹用の誘導手段が設けられた医療機器が提供される。蛇腹が変形し、静止構成に戻る方法を制御することによって、機器は、そうでない場合よりも、より多様で、より制御された警告通知を提供することができる。更に、これにより、蛇腹が静止構成に戻るときに蛇腹が「詰まる」可能性が回避される。
【0018】
本発明の一実施形態では、蛇腹が内側蛇腹と外側蛇腹とのデュアルスキンを有する医療機器が提供される。これは、本発明の特に有益な実施形態とみなされる。デュアルスキン蛇腹を有することにより、達成される真空力がより大きくなり、圧縮時の蛇腹のエアポケットが大幅に減少し、同じ外形寸法を有するシングルスキン蛇腹と比較して、蛇腹の内部容積が減少する。内部の蛇腹が効果的にプラグを形成し、空気の隙間を減少させる。これは、より正確で感度の高い機器をもたらし、更に、医療従事者がより扱いやすい、よりコンパクトな機器がもたらされる。
【0019】
本発明の一実施形態では、真空チャンバが解放可能に取り外し可能な真空チャンバを備える医療機器が提供される。これは、真空を提供する有用な代替方法とみなされる。蛇腹を使用する代わりに、真空にした容器を医療機器の本体に接続して、真空を提供することもできる。これにより、必要に応じて真空の大きさを正確に選択できるようになる。
【0020】
本発明の一実施形態では、複数の当接アームが設けられた医療機器が提供される。複数の当接アームを有することにより、ユーザへのフィードバックの量を増加させることができ、針先が血管内にあるという、より顕著な警告サインをもたらすことができる。
【0021】
本発明の一実施形態では、複数の相補的な当接面が設けられた医療機器が提供される。本発明の一実施形態では、各当接アームに専用の当接面が設けられた医療機器が提供される。
【0022】
本発明の一実施形態では、本体に接続された針の長手方向軸に垂直な力を加えることによって弁が作動する医療機器が提供される。本発明の一実施形態では、本体に接続された針の長手方向軸に垂直な力を加えることによってラッチが作動する医療機器が提供される。これらは、本体に接続された針の長手方向軸に垂直な力を与えることにより、弁またはラッチの切り替えによって針が前進または後退することがない故に、有用であると見なされる。これにより、不用意に針を挿入しすぎること、および後退させすぎることを防止し、これは患者の安全性を大幅に向上させ得る。
【0023】
本発明の一実施形態では、弁が係合するようにシリコンゴムで構成された本体部分によって流体通路が画定される医療機器が提供される。シリコンゴムは比較的柔らかいショアA硬度を有し、それ故、変形して、比較的容易に本体内の流体通路を遮断し、蛇腹内の真空を維持することができる。これは、弁を容易に開口することによって、弁の切り替えにより針が前進または後退しない故に、有用であると見なされる。これにより、不用意に針を挿入しすぎること、および後退させすぎることを防止する。
【0024】
本発明の一実施形態では、針ハブの開口部と弁の閉鎖点との間の流体通路の容積は、0.05mlである。好ましくは、針ハブの開口部と弁の閉鎖点との間の流体通路の容積は、0.05ml未満である。流体通路は、一般に、長さと直径が制限されることで、あらゆる空隙を更に制限する。
【0025】
本発明の一実施形態では、弁の両側の流体通路にインサートがあり、流体通路の有効開口断面積を機器に取り付けられた針の同様の断面積まで更に減少させる。
【0026】
本発明の一実施形態では、真空が150mmHg(20kPa)~250mmHg(33.3kPa)である医療機器が提供される。これは、機器からの迅速な応答を取得し、静脈内の針先の配置を早期に特定するのに特に適していると考えられる。
【0027】
本発明の一実施形態では、弁が10~55ショアAのショア硬度を有する医療機器が提供される。
【0028】
本発明の一実施形態では、ポートに、そこから分岐するサイドポートが設けられており、サイドポートはその上に閉鎖部を有する、医療機器が提供される。繰り返すと、これは本発明の特に有用な態様であると考えられる。サイドポートは、サイドポートを通して、ポートを通って、かつ針に沿って、ワイヤを導入するために使用することができ、セルディンガーまたは修正セルディンガー技術の迅速な実行を可能にする。
【0029】
次に、本発明を、添付の図面を参照して、単なる例示として示されるそのいくつかの実施形態に関する以下の説明から、より明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による医療機器の斜視図である。
図2】蛇腹および圧縮バネを取り外した、図1の機器の別の斜視図である。
図3図1の機器の側面断面図である。
図4図3の丸で囲んだ部分Bの拡大図である。
図5図3の丸で囲んだ部分Cの拡大図である。
図6】蛇腹が拡張構成にある、図1と同様の医療機器の斜視図である。
図7】蛇腹が拡張構成にある、図3と同様の医療機器の側面断面図である。
図8】プランジャが後退構成にある、図2と同様の図である。
図9】本発明による医療機器の第2の実施形態の背面斜視図である。
図10図9の医療機器の側面断面図である。
図11】明確化するために蛇腹を取り外した、図9の医療機器の側面断面図である。
図12】明確化するために蛇腹を取り外した、図9の医療機器の背面斜視図である。
図13】蛇腹および圧縮バネを取り外した、図9の医療機器の正面斜視図である。
図14】蛇腹および圧縮バネを取り外した、図13と同様の背面斜視図である。
図15】本発明による医療機器の第3の実施形態の背面斜視図である。
図16図15の医療機器の断面図である。
図17図15の医療機器の端面図である。
図18図17の線B-Bに沿った断面図である。
図19図17の線A-Aに沿った断面図である。
図20】本発明による医療機器の第4の実施形態の背面斜視図である。
図21】弁を除いた、図20の医療機器の断面図である。
図22】弁を除いた、図20の医療機器の別の断面図である。
図23図22の丸で囲んだ部分Cの拡大図である。
図24図20の医療機器の断面図である。
図25図20の医療機器の別の断面図である。
図26図25の丸で囲んだ部分Cの拡大図である。
図27】本発明による医療機器の第5の実施形態の正面図である。
図28図27の医療機器の斜視図である。
図29図27の医療機器の斜視図である。
図30図27の医療機器の斜視図である。
図31図27の医療機器の端面図である。
図32】本発明による医療機器の第6の実施形態の背面斜視図である。
図33図32の医療機器の側面断面図である。
図34】本発明による医療機器の第7の実施形態の背面斜視図である。
図35】プランジャを押下した、図34の医療機器の背面斜視図である。
図36図34の医療機器の端面図である。
図37図36の線B-Bに沿った断面図である。
図38図36の線A-Aに沿った断面図である。
図39】本発明による医療機器の第8の実施形態の背面斜視図である。
図40図39の医療機器の斜視断面図である。
図41図39の医療機器の背面図である。
図42図41の線A-Aに沿った側面断面図である。
図43】本発明による医療機器の第9の実施形態の側面図である。
図44図43の線A-Aに沿った断面図である。
図45図43の線A-Aに沿った断面図である。
図46図45の丸で囲んだ部分Bの拡大図である。
図47図43の医療機器の背面斜視図である。
図48図43の医療機器の背面図である。
図49図48の線A-Aに沿った断面図である。
図50図48の線A-Aに沿った断面図である。
図51図48の線A-Aに沿った断面図である。
図52】本発明による医療機器の第10の実施形態の斜視図である。
図53図52に示す医療機器の断面図である。
図54図52の医療機器の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照すると、一般に参照番号10で示される、血管内に針先をうまく配置するのを補助するために使用される、本発明による医療機器が示されている。医療機器10は、円形断面のプランジャ13を収容する本体11を備え、プランジャ13は、その長さに沿って互いに離間し、それによって、当接面を形成する隆起した当接部材、この例ではリブ15を有する。プランジャ13は、本体11内の、同様に円形断面であるチャネル17内に配置されており、プランジャ13は、本体の長手方向軸に実質的に平行な方向に、前後に往復運動するように、本体11内を移動するよう構成されている。
【0032】
本体11は、開口部21に隣接する当接アームレバー19を有する。レバー19は、機器10の長手方向軸と平行に延在しており、レバー19はその自由端に突起23を有し、突起23は、プランジャ13上の隣接するリブ15間の隙間27よりも狭い先端25を有する。蛇腹29が設けられており、蛇腹29は本体11に嵌合するスリーブ31を有し、締り嵌めにより気密シールを形成し、蛇腹29を本体11に固定する。
【0033】
プランジャ13は、プランジャの端部33で蛇腹29に機械的に取り付けられており、プランジャ13および蛇腹29は、圧縮バネ35によって本体11から離れるように付勢されている。内孔39を有する針37は、針の内孔39がプランジャ13を収容する本体11の内部チャネル17に開口した状態で、本体11の対向端部41に成形されている。
【0034】
機器10の長手方向軸と実質的に平行に延在する第2のレバー43は、機器10の端部41に隣接して配置されている。レバー43は、プランジャ13上の相補的なラッチングリッジ47と係合するラッチング面45を有する。第2のレバー43は、本体11の外径を超えて延在して、針37に近位の指タブ49を形成する。レバー43は、開口部53内にエラストマーをオーバーモールドすることによってレバー43の周りの開口部53が充填された状態で、その基部51にて本体11に接続されている。エラストマーは本体11およびレバー43に接着し、それによって、開口部53内に気密シールを形成する。同時に、指タブ49が本体から実質的に半径方向に引き離されると、エラストマーはレバー43が本体11の長手方向軸から離れる方向に湾曲することを可能にし、それにより、ラッチング面45がラッチングリッジ47と係合しなくなるようにする。
【0035】
使用中、蛇腹29は(図1図3、および図4に示すように)圧縮され、これによりバネ35が圧縮されて、プランジャ13を本体11に対して位置決めし、それによりラッチング面45がプランジャ13のラッチングリッジ47と重なり合う。ラッチング面45は、ラッチングリッジ47とプランジャ13上のリブ15のうちの1つとの間の隙間55に落ち込み、それによって、プランジャ13を所定の位置に保持し、蛇腹29およびバネ35を圧縮状態に保持する。ラッチングリッジ47とラッチング面45とが嵌合することにより、機器10がプライミングされ、プランジャ13の解放時に針の先端に真空を加える準備ができているという正の触覚フィードバックが提供される。
【0036】
操作者は針37を患者内に挿入し、指タブ49を持ち上げる。指タブ49を持ち上げることにより、レバー43が湾曲し、ラッチング面45がラッチングリッジ47から係合解除され、プランジャ13が解放されて、針先に真空が加えられる。流体が針37に入ると(一旦、針先が静脈に挿入されると)、蛇腹29とバネ35との両方が拡張し、それによって、プランジャ13が移動し、レバー19の突起23の先端25がプランジャ13上のリブ15上を移動し、これにより、操作者が聞いたり感じたりすることができる振動や触覚フィードバックがもたらされる。
【0037】
機器10は、一旦、針が患者内に挿入されると、操作者がレバー43を解放するだけで済むように、予め圧縮された状態で操作者に提供されてもよく、それによって、非常に簡単な一連の操作ステップを確保できることが理解されよう。
【0038】
蛇腹を圧縮状態に保持するための特定の手段が、プランジャを後退位置に保持することによって示されているが、限定しないが、針を挿入する前に本体11をスクイズしてプランジャ13を所定の位置に保持する等、他の手段を使用することもできる。実際、レバー19をユーザが押すことにより、プランジャを所定の位置に維持することができる。ユーザがレバー19への圧力を解放すると、プランジャが解放され、指をレバー19に接触させたままのユーザは、プランジャリブ15が突起23を越えて移動するのを感じるであろう。実際、壁が薄いか、または蛇腹29内の真空の損失を防ぐ気密膜を備えた開口部がある、本体11内の別個の部分(図示せず)があってもよく、これにより、プランジャが本体11内で移動すると、ユーザは薄い壁または膜を通してプランジャ13を感じることができ、それにより、触覚フィードバックが提供される。この開口部(設けられている場合)は、レバー19と併せて、またはレバー19とは別個に設けることができる。
【0039】
他の実施形態で前述したように、針先で必要とされる真空の強さと蛇腹の幾何学的形状とによっては、バネを必要としない場合もある。以下の他の実施形態で説明するように、プランジャは蛇腹の一部として形成されてもよく、これにより、一つの部品が省略される。
【0040】
針を本体内に直接成形する利点は、機器内に閉じ込められる空気の量を減少させ、これにより、機器全体の感度を向上させることである。また、針をルアーフィッティングおよびフラッシュバックチャンバと個別に製造する必要性もなくなる。しかしながら、必要に応じて、針は本体内に直接成形されなくてもよく、代わりに、以下の他の実施形態で説明するようにルアーを使用して取り付けられてもよい。
【0041】
針の長手方向軸に対して指タブ49が垂直に移動することにより、作動中に針が誤って前進または後退しないことを確実とする。代替的な実施形態で説明されるように、複数のアーム(即ち、突起23)および相補的な当接部材(即ち、リブ15)を使用することで、機器の感度を高めるとともに、触覚フィードバックを生成するための前述の方法を利用することができる。
【0042】
次に、図9図14までを参照すると、一般に参照番号60で示される、医療機器の代替的な実施形態が示されている。医療機器60は、図1図8を参照して説明した実施形態と同様の構造であり、同様の部品は前と同じ参照番号が与えられている。医療機器60は、医療機器60の本体61が医療機器10の本体11よりも短く、前の実施形態の蛇腹29よりも蛇腹63の幅がより広いが長手方向にはよりコンパクトであるという点で、図1図8に示される医療機器とは異なる。レバー43には、指タブ65が設けられており、機器の動作中にレバーの解放を容易にする。更に、以前は、医療機器10のリブ15は、同様にプランジャの上面に沿って配置された当接レバーアーム19と係合するためにプランジャの上面に沿って配置されていたが、本実施形態では、リブ15は、同様に本体61の下側に位置された当接アームレバー19と係合するためにプランジャ13の下側に配置されている。
【0043】
図15図19を参照すると、内部に真空チャンバ103を画定する本体101を備える、一般に参照番号100で示される、血管内に針先をうまく配置するのを補助するために使用される医療機器の第3の実施形態が示されている。本体101は、針のハブ(図示せず)と係合するためのポート105を有し、ポート105は、本体の外部から本体の内部の真空チャンバ103までの流体通路107を画定する。
【0044】
医療機器には、更に、ユーザへの音声/触覚フィードバックを生成する手段109が設けられており、前記手段は、真空チャンバ内の真空によって機能する。音声/触覚フィードバックを生成する手段109は、当接アーム111と、当接アームによって動作可能に係合される、相補的な専用の当接面113とを備える。当接面113は、その長さに沿って配置され、当接アーム111に対向する、間隔を置いて近接配置された複数のリブ115を有する。
【0045】
医療機器は、流体通路を通って真空チャンバから空気を排出するために、ポート105の方向に、内方に押下することができる蛇腹118を組み込んだプランジャ117を備える。一旦、空気が真空チャンバから排出されると、弁119が操作されて、流体通路が閉鎖され、それによって、真空チャンバ103内への空気の逆流が防止される。弁が図15および図19に示される位置にあるときには、流体が流体通路を通過する可能性があるが、弁アーム123を操作することによって、弁がピボット点121を中心に約90°回転されると、楕円形状のカム124が流体通路107に対して内方に押し込まれ、それによって流体通路をシールする。弁が流体通路をシールする位置まで回転されると、流体が真空チャンバ内に流入することができないため、プランジャは押下された状態に維持される。
【0046】
使用時には、プランジャ117を押下し、次いで弁119を閉鎖することによって、真空チャンバから空気を排出する。針(図示せず、セルディンガー技術の場合、または修正セルディンガー技術の場合はシース付き針)が医療機器のポート105に接続されている。次に、多くの場合、超音波誘導を使用して、針の先端が患者内に導入される。針の先端が患者の体内にあるとき、弁119が作動して、流体通路107を再度開口する。針は筋肉内に配置されているため、流体は流体通路内に入らず、真空はそのまま維持される。次に、医療従事者は、必要に応じて超音波誘導を使用して、針の先端を静脈に向けて誘導することができる。一旦、針の先端が静脈の壁を貫通して血管内に入ると、血液は真空チャンバ103内の真空の作用により、流体通路内に移動できるようになる。アセンブリは大気に対して閉じられているため、血流への空気の危険な混入が妨げられる。
【0047】
血液が流体チャンバ内に入ると、真空チャンバ内の真空によって以前は収縮構成に保持されていたプランジャおよび蛇腹がポート105から離れる方向に外方に拡張し始める。この拡張は、部分的には蛇腹118を構成する弾性変形可能な材料の弾性特性によって、また、部分的には螺旋バネ125(明確化するために蛇腹118を取り除いた図16に最も明確に示されている)によって生じる。この力を提供するには自然の弾性、またはバネのいずれかで十分であると考えられるが、この2つを組み合わせることで、機器のより迅速かつ敏感な操作が可能となる。しかしながら、必ずしもバネを使用しなくてもよいことが理解されよう。バネを使用する場合、弁の閉鎖時および図示されていない機器のプライミング時に、バネの力によって蛇腹がその完全に収縮された/圧縮された形状を超えて押され、それによって、蛇腹のみを使用することによって可能であるよりもより高い真空を生成することができることを理解されよう。これは、真空を生成するために、以下に説明する蛇腹とバネとの組み合わせを使用する全ての実施形態に当てはまる。
【0048】
血液が流体チャンバ内に入り、真空チャンバ103内の真空によって内方に引き込まれると、当接面113が当接アーム111に対して移動し、それによって、当接アーム111が当接面113のリブ115のうちの少なくとも1つと解放可能に係合する。当接アームがリブ115と接触すると、音声/触覚フィードバックが生成される。より多くの血液が流体通路内に入り蛇腹内に入ると、当接アーム111は、当接面の長さに沿って、離間したリブと連続的に接触し、当接面が当接アームに対して移動するときに一連のクリックを引き起こす。
【0049】
図示の実施形態では、当接面の両側に1つずつ、2つの当接アーム111があり、当接面の対向する両側に1セットのリブ115があることが理解されよう。所望であれば、2つより多いまたは少ない当接アームを設けることができ、実際、1つ以上のセットのリブに1つより多くの当接アームを設けることができる。2つの当接アームおよび2セットのリブは、医療機器の長手方向軸に平行な方向に相互に対してオフセットされている。このようにして、当接アームおよび関連するリブは、音声/触覚フィードバックを提供するときに交互に動作する。好ましくは、2セットのリブは、一対の隣接するリブ115の頂点間の距離の半分だけオフセットされるようにする。
【0050】
実施形態の様々な利点は、更に検討することによって明らかになるであろう。例えば、リブに対する当接アームの最初のクリックを可能な限り早く確実に行うには、蛇腹内の圧力変化に応答して、当接アームが可能な限り早く、かつ強制的に動くように傾斜していることが有利である。図15図19に示す実施形態では、バネ125がプランジャ117を蛇腹118の端部に対して付勢するレイアウトが示されている。プランジャは、プランジャの長さに沿ってパターン化されたリブ付き表面115を有し、それらは互いに対向しており、プランジャの長さに沿って互いに半ピッチずれた位置にある。
【0051】
バネ125は、当接アーム/リブの抵抗に打ち勝ち、必要な真空が確実に生成されるようにする。バネは、蛇腹118が拡張する速度を増加させ、より多くの拡張エネルギーを蛇腹に付与することで、結果的により高い真空を生じさせ、これにより流体がより速く針および蛇腹内に流入し、より早い最初のクリックおよび後続するクリックがもたらされる。バネ125が生成する力は、(好ましくは)リブ上の当接アームの摩擦に打ち勝つのに必要な力を超えて、蛇腹によって生成される真空力を増大させる。このように、バネと蛇腹との組み合わせにより、より応答性の高い機器がもたらされ、触覚/音声フィードバックの開始がスピードアップする。
【0052】
バネの拡張、従ってプランジャの動きおよびフィードバックの生成は、真空によって保持されている蛇腹によって抑制されている。従って、当接アームは以前の実装形態のように蛇腹上にはもはやないが、その動きは依然として蛇腹によって直接的に制御される。重要なことに、バネ125およびプランジャ117の配置により、蛇腹の平坦な端部が押下されて、真空を生成するときに、凹面が形成されるのを制限/防止する。これは、蛇腹が長手方向に拡張し始める前に、流体の進入が最初に凹面に作用して、蛇腹118の最外端の平面を再形成する必要性をなくす故に有利である。また、医療機器の長手方向軸に沿った蛇腹118の拡張を指示し、従って、蛇腹の湾曲を制限し、これは、蛇腹とプランジャ117との間に嵌合特性を提供して、プランジャを蛇腹上に位置付けることを可能にすることによって、更に支持することができる。
【0053】
プランジャ117は、本体101内に完全に押し込まれると、蛇腹が完全に変位して最大真空を生成していることを示す停止部に当たることが有利であり、停止部は蛇腹が完全に圧縮され、弁が閉鎖され機器をプライミングする前に、最大量の空気が蛇腹から排出されたことをユーザにフィードバックする。これは、操作者に機器がプライミングされているという安心感をもたらし、機器をより使いやすくし、機器から再現性のあるパフォーマンスが得られる。蛇腹を圧縮する力を解放すると、蛇腹が反発し、好ましくは、当接アームをリブに対して湾曲させて、小さな体積の増加で蛇腹の非常に小さな動きについて蛇腹をプライミングする。医療機器の全体寸法に関して、図15図19に示す構成により、非常に小さな内部容積/直径を有する蛇腹118を製造することが可能となり、血液が針に進入することによって引き起こされる、あらゆる所定の圧力/容積変化に対してプランジャの比較的長い移動を可能にすることができる。更に、プランジャは、圧縮された蛇腹内のエアポケットを減少させ、効果的にプラグを形成し、蛇腹の有効圧縮内部容積を減少させ、従って、圧力変化に対する応答性をより高める。
【0054】
本発明の別の有利な態様は、当接アームおよび当接面の両方が蛇腹および機器の本体の内部に配置される方法である。これら全てのコンポーネントを内部に配置することにより、有利には、エアポケットを減少させ、外部にバネを取り付けるよりも人間工学に基づいた解決策がもたらされる。バネ125および音声/触覚フィードバックを生成する手段109を内部に配置することにより、機器に厚みと重量を追加する蛇腹ハウジングの必要性がなくなり、操作者の手の中で動く蛇腹の追加の触覚フィードバックが可能になり、操作者は蛇腹内を直接見ることが可能となる。有利には、この実施形態により、血液サンプリングのために蛇腹を弁から容易に取り外すことが可能となる。蛇腹を簡単に取り外せるというこの特徴は便利であるが、必須ではないことが理解されよう。代わりに、操作者は単に蛇腹をもう一度圧縮して、機器から血液サンプルを外に出すことができる。
【0055】
荷重をかけられたバネプランジャ117の動きは、蛇腹118内の圧力によって制御され、バネ125により、より高い真空、より強い反発、従って血管が穿刺された後のより速い応答が可能になる。弁は、本体にオーバーモールドすることで、組み立てステップの数を減らすことができる。弁は、好ましくは、透明グレードポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、または10~55ショアAのショア硬度を有する医療グレードのシリコンゴムで作られた機器の本体上にオーバーモールドできる熱可塑性エラストマー(TPE)で形成されることが好ましい。薄いプラスチックまたは金属製クリッカー素材をクリッカー(当接アーム)に使用でき、プラスチックの最小ショア硬度は60ショアDであることが好ましい。同様のショア硬度がプランジャおよび当接部材(リブ)に使用され、血液に浸した場合でも聞こえなければならない可聴クリック音をもたらす。
【0056】
バネを装填したプランジャは、特に蛇腹が柔らかい材料で作られている場合に、蛇腹自体よりも蛇腹内の真空をより高めることに貢献することができる。実際、プランジャは、バネの力で強制的に拡張される際の蛇腹壁の変形を防止する壁/スリーブを有することができ、適切な真空が確実に生成されるようにする。これは、バネによって生成される高い真空レベルによる拡張中に、蛇腹の壁が意図される形状を維持できない場合に特に関係する。
【0057】
0.5ml~2.5mlの範囲の容積を有する蛇腹は、当接アームを当接面上に押し付ける能力が限られている可能性がある。バネを追加することにより、当接アームが当接面上を移動し、蛇腹を補足することを確実とすることができる。
【0058】
リブ115はプランジャ117上に図示されているが、リブ115は、流体通路107に形成することができ、実際、リブ115は、プランジャ117上に位置する当接アーム111との成形(図示せず)を容易にするよう、開口部によって形成することができることを理解されよう。有利には、蛇腹118のネックがこれらの開口部を覆い、気密機器を維持するようにする。
【0059】
次に、図20図26を参照すると、一般に参照番号200で示される、本発明による医療機器の第4の実施形態が示されており、同様の部分には前と同じ参照番号が付与されている。医療機器200は、外側蛇腹スキン203と内側蛇腹スキン205とを備えるツインスキン蛇腹201を含むという点で、前述の医療機器とは異なる。プランジャエンドキャップ207は、外側蛇腹スキン203および内側蛇腹スキン203のそれぞれの最外端に接続されている。プランジャエンドキャップ207は、細長いシャフト209を通過させるためのアパチャ208を有する。
【0060】
特に図23および図26を参照すると、プランジャエンドキャップ207上に当接アーム211があり、細長いシャフト上に当接面213があることが分かる。当接面は、ここでも、密に離間した複数のリブ215によって提供される。密にとは、1.0ミリメートル(0.001m)未満の間隔を意味する。いくつかの実施形態では、離間したリブは、1.0ミリメートル(0.001m)を超える間隔であるが、4.0mm(0.004m)未満の間隔であることができる。実際、ここでもまた、2つの当接アーム211と、各当接アームに対して1つずつ、一対の当接面213とがあり、各当接面213は、相補的な当接アーム211と係合するための、その長さに沿った複数のリブを含む。
【0061】
使用時には、蛇腹201から空気を排出するためにエンドキャップが押下され、細長いシャフト209がプランジャエンドキャップ207のアパチャ208を通過する。一旦、空気が排出されると、(図24および図25に示すように)弁119が動作して、流体通路107を閉鎖し、蛇腹を折り畳まれた状態に維持する。針またはシース付き針がポート106に取り付けられ、弁が再度解放される前に、針先が患者に挿入される。針先が血管に入ると、蛇腹201の自然な弾性によって生成される真空力によって蛇腹が拡張し、血液が蛇腹内に引き込まれる。蛇腹201が拡張すると、プランジャエンドキャップ207が外方に移動し、当接アーム211が当接面213のリブ215に対して移動し、それによって、針の先端が静脈内に正確に位置付けられたことを示す音声/触覚フィードバックがユーザに提供される。
【0062】
図20図26に示す構造には、いくつかの更なる特徴および利点がある。例えば、二重蛇腹は、外側の折り畳まれた壁203および内側の折り畳まれた壁205を備えるように示されており、中央のリブ付きシャフト209は、内部蛇腹の基部に取り付けられている。リブ付きシャフト209は、プランジャエンドキャップ207のアパチャを貫通しており、アパチャには当接アームが設けられている。エンドキャップは蛇腹の端部にあり、蛇腹が伸縮するときに蛇腹とともに動き、触覚および音声フィードバックを生成する。
【0063】
外径13mm、内径6.4mmの二重蛇腹は、同じ材料および壁厚の外径13mmの同等の単一蛇腹に比べて、75%少ない体積で2倍の拡張力を生成することができる。この体積の減少は、蛇腹内のあらゆる圧力の増加とそれに対応する長さの変化の増加とに伴う、その軸に沿った長さの増加に相関する。有利なことに、壁が二重になっているため、同じ外径の標準的な単一蛇腹のほぼ2倍の真空を生成することができる。この配置により、当接アームおよびリブのインライン配置が可能になり、リブとアームとの間の詰まりにより拡張中に蛇腹の動きが妨げられるリスクを回避する。
【0064】
中央のリブ付きシャフト209は、内側蛇腹の基部217に取り付けられており、内側蛇腹の基部を越えて外方に延在している。内側蛇腹のこの基部217は、弁コネクタ221の十字形219(図24に最もよく示される)によって形成される空間に強制的に挿入され、弁コネクタ221は、蛇腹201の開口部とシールを形成し、それにより、蛇腹201内に挿入されると、蛇腹の内部容積を弁ハウジングの流体通路107に接続する穴のみがあり、弁コネクタ221は主要な弁本体との押し込み嵌めを有する(この弁コネクタ221コンポーネントは、残りのコンポーネントを参照しやすいように、図21および図22から除去されている)。
【0065】
有利なことに、内側蛇腹の基部を外側蛇腹の基部に接続するリブ215を有する中心シャフト209により、内側蛇腹部分および外側蛇腹部分の壁が同時に動くことを確実とし、蛇腹およびプランジャエンドキャップ207により大きな拡張力が加えられる。
【0066】
特に注目すべきは、プランジャエンドキャップ内に配置された当接アームクリッカーであり、2つの当接アームの間隔は1/2ピッチずれており、感度レベルの向上が可能である。当接アームの数は、ピッチをそれに応じて変更して増加させることができる。本発明のこの態様は、本明細書で説明する実施形態の全てではないにしても、ほとんどに適用可能である。
【0067】
分解図を参照すると、内側蛇腹の延長部分は、蛇腹の主開口部を通って延在し、ネック部分の十字形のリブ間に位置する。この延長部分の開口側とは反対側にリブ付きシャフト209が強制的に配置され、弁コネクタ221、蛇腹201およびリブ付きシャフト209を共に強固に接続する。有利なことに、弁コネクタ221上の十字形リブ219の配置により、空気がネック部分の中央開口部を通って中心的に流れ、十字形リブ219の間を通り、蛇腹201の内部容積内に流れ込むことが可能となる。
【0068】
この配置により、円筒蛇腹の所定の外径で生成される潜在的な最大真空の増加が可能となり、圧縮中のあらゆるエアポケットが減少し、システムの応答性が向上し、当接アームおよび当接面のリブを中心軸に沿って維持することを理解されよう。この設計により、操作者に快適性をもたらすようハードストップも可能である。製造を容易にするために、二重蛇腹を複数の部品で作製することもできる。
【0069】
次に、図27図31までを参照すると、本発明による医療機器の第5の実施形態が示されている。医療機器は、プランジャ302および蛇腹303を誘導するための実質的に外側の長方形フレーム301を備えることが分かる。一対の当接アーム305がプランジャ302に取り付けられており、それぞれが複数のリブを有する、一対の当接面307が当接アームに対向する、フレームの側面の内面に形成されている。
【0070】
使用時には、プランジャが押下され、蛇腹が収縮して蛇腹から空気が排出される。ポート105には針が接続されている。弁(図示せず)が設けられている場合には、蛇腹の早期の拡張を防ぐよう弁をシールする。あるいは、弁が設けられていない場合には、ユーザが親指をプランジャの上に置いた状態を維持することによって、プランジャを所定の位置に保持する。あるいは、ラッチ(図示せず)が設けられている場合には、それを使用して蛇腹の早期の拡張を防止することもできる。一旦、針先が体内に入ると、プランジャは針先が血管に入るまで拡張しないため、解放されてもよい。
【0071】
この実施形態にはいくつかの利点がある。これは、(弁を除く)2つの部品を有する非常にシンプルな実施形態であり、当接アームが(別個であってもよいが)蛇腹の一部として形成されている。使用時には、蛇腹303は圧縮され、取り付けられた針(図示せず)が体内に入る(この段階では弁は開口されている)前に弁が閉鎖される。一体化された当接アームは、フレームのアームと整列する開口部を有し、反対側の表面は、当接アームの接触端縁にわずかに重なって係合するリブ付き表面を呈する。この配置により、蛇腹の直径を比較的小さくすることが可能となり、従って、あらゆる体積の変化に対して高レベルの動きが可能となる。前述のように、バネは内部または外部に適用することができる。バネを内部に配置しやすくするよう、蛇腹303の開口部を大きくする必要があることが想定される。
【0072】
次に、図32および図33を参照すると、一般に参照番号400で示される、本発明の第6の実施形態が示されており、同様の部分には前と同じ参照番号が与えられている。医療機器400は、針403を取り付けるためのポートを有するフレーム401を備える。フレーム401は、蛇腹407のステムが緩く嵌合する開口部を有し、蛇腹の他端は、蛇腹の内側突起としっかりと嵌合するフレームに取り付けられている。バネ413は、フレームを蛇腹ステムから付勢する。フレームは、蛇腹407と係合し、蛇腹が折り畳み構成にある状態でフレームを蛇腹ステム上の所定の位置に保持するためのクラスプ405を有する。機器の使用が望まれ、針先が患者の体内に配置されると、クラスプ405を解放することができる。蛇腹407がバネによって与えられる追加の力により拡張すると、フレーム401が移動し、フレーム上の当接アームが蛇腹の一部の外面411上の当接面409に沿って、かつ当接面409に対して移動し、当接面409上のリブ415をクリックする。
【0073】
この実施形態では、弁は必要ない。ユーザは、針が患者に挿入されるときに蛇腹にかかる収縮力を解放し、クラスプが解放されると蛇腹が拡張できるようになり、従って、蛇腹内に真空が生成される。フレームにフィットする蛇腹の突起により、蛇腹内のエアポケットが減少し、感度が向上する。クラスプ405または当接アームは、壊れるように設計することができ、その使用を単回使用の機器に限定してもよい。リブ415およびクラスプが固定されるフランジ417は、別個の、蛇腹ステムに嵌合する第3の部品から作製されてもよい。
【0074】
次に、図34図38を参照すると、一般に参照番号500で示される、本発明による医療機器の第7の実施形態が示されており、同様の部分には前と同じ参照番号が与えられている。第7の実施形態は、構成において多くの点で(図15図19を参照して上述した)第3の実施形態と類似している。まず、図34および図35を参照すると、本体501、プランジャエンドキャップ117、弁119およびポート105を有する医療機器が示されている。図34では、機器は静止しており、プランジャエンドキャップ117は押下されておらず、蛇腹(図示せず)は圧縮されていない。図35では、ユーザは、プランジャエンドキャップ117を親指で内方に押し込んでおり、それによって、蛇腹を圧縮している。一旦、蛇腹(図示せず)が圧縮され、蛇腹から空気が排出されると、弁を作動させて流体通路107をシールすることができる。特に、図35を参照すると、プランジャエンドキャップ117が押下されると、当接面のリブ503を見ることができる。これらのリブ503は、蛇腹上の当接ディスク505に係合する。
【0075】
特に、図37を参照すると、弁119が代替的なカム面を有していることが分かる。弁アーム123が図37に示すように直立位置にあるとき、流体通路107は遮断される。ユーザが指または親指で弁アームを操作することによって、弁アームがピボット点121を中心に前方または後方に旋回すると、弁が流体通路を再び開口する。上記の図15図19に示した第3の実施形態と同様に、弁アームは機器に取り付けられた針ルアーの近くに配置することができることが理解されよう。このようにして、ユーザは、取り付けられた針の長手方向軸に対してほぼ垂直な方向に弁アームを解放することができる。
【0076】
使用時には、図37に示すように、プランジャエンドキャップが本体の内方に押下され、弁が閉位置に置かれる(この構成では、蛇腹103が折り畳まれておらず、かつ空気が排出されておらず、プランジャエンドキャップ117は内方に押し出されていないことが理解されよう。弁のみが操作されている。)プランジャが内方に押し込まれて蛇腹が折り畳まれると、弁が閉鎖され、針がポート105の端部に配置される。その後、弁が解放/開口される前に針が患者の体内に導入される。針先(図示せず)が血管に入ると、蛇腹103は、蛇腹を形成する弾性変形可能な材料のそれ自体の弾性力によって、再び自由に拡張する。蛇腹の最外端に取り付けられた当接アーム505は、蛇腹103が拡張すると、本体の内側の当接面の複数のリブ503と接触し、音声および/または触覚フィードバックを生成する。別個の部品として示されているが、当接アームは蛇腹103の一部として形成することもできる。
【0077】
次に、図39図42を参照すると、一般に参照番号600で示される、本発明の第8の実施形態が示されており、同様の部分は前と同じ参照番号を有する。図39図42に示す実施形態は、真空源を提供するよう本体603の端部に取り付けられ得る真空シリンダ601が設けられているという点で、他の実施形態とは異なる。真空シリンダ601は、蛇腹ではなく、収縮しない。真空シリンダは、真空にされて密封されたカプセルによって提供され得ることが想定される。本体603には針605が接続されているが、これは必須ではなく、別個の針を本体603に接続してもよい。本体603は、更に、円筒609ケーシング内に収容された内部ピストン607を備える。ピストン607は、本体の長手方向軸に平行な方向に移動するように構成されている。内部ピストンは、円筒ケーシング609の内側に取り付けられた当接アーム(図示せず)と係合するために、その長さに沿って鋸歯状構成に配置された複数のリブを備えた当接面611を有する。本体603は、更に、円筒ケーシング609の外端に取り付けられ、両端が開口した中空パイプ613を介して提供され、真空シリンダのシールを穿孔するための鋭利な部分を有する、真空シリンダ上のシールを穿孔する手段を備える。
【0078】
使用時には、一旦針先が患者の体内に入ると、中空パイプ613で真空シリンダ601を穿孔することによって、真空シリンダ601が本体603の端部に導入される。真空シリンダは、次に、円筒ケーシング609内に真空を作り出し、これによりピストンを内方に引き込む。ピストンは、針先が血管に入り、針先の圧力が低下するまで、所定の位置に保持される。血液は針を通って円筒ケーシング609内に流れ始め、内部ピストンは真空シリンダ601に向かって後方に引かれ、当接アームと係合する当接面により音声および/または触覚フィードバックが生成される。
【0079】
この実施形態には、前の実施形態に対して多くの相違点および利点があることが理解されよう。まず、真空が蛇腹以外の供給源により加えられている。第二に、一方向弁(例えば、ダックビル弁)を追加すると、真空源を取り除くことができる(図示せず)。真空の大きさは、内部に異なる真空レベル(KPaで測定)を備えた異なる真空シリンダを設けることによって、医師が必要と考える真空レベルに応じて、異なる患者の生理機能や異なる作業に合わせて選択することができる。この実施形態は、非常に小型であるという利点を有する。
【0080】
挿入に失敗した後に真空の再生成を可能にする、シリンジを使用した手動での真空の生成も考えられるが、事前充填した真空バイアルの方が良いと考えられる。真空を導入するためのプッシュオンバイアルにより、ゴム製シールを貫通する。ピストンの反対側には非常に少量の空気が存在するため、ピストンはあまり動かず、メインハウジングとプランジャとの間のあらゆる隙間を減少させ、音声/触覚フィードバック機構がそのエンクロージャ内に可能な限り小さな空気スペースを有することを確実とすることによって、空気の量が最小限に抑えられる。ピストンフランジはプレス加工されているため、当接面に直接係合する。有利には、プランジャ上の摩擦を制限するようワイパーを使用し、それにより、小さな圧力変化が「クリック」として記録されるようにする。有利には、ワイパーと内壁との間の接触面積を低減するよう、メインハウジングの内径をできる限り小さくし、摩擦を更に最小限に抑えるようにする。本体の直径を小さくすることで、真空チャンバの容積が大きい場合と比較して、より高い真空が形成される結果となる。一列のリブのみが図示されているが、前述したように、当接アームの数を増やして一列より多く使用することで、ピストンの任意の動きに対するクリック数を増加させることができることが理解されよう。
【0081】
フィードバックを生成するために当接アームが説明されているが、弁と真空チャンバとの間にプラグを挿入できることが理解されよう。この実施形態では、プラグにより、弁側の空気容積と真空チャンバとの間のシールを維持する。真空が加えられると、好ましくは、プラグの弁側に少量の空気が存在し、これにより加えられた真空によってプラグに圧力が加えられ、プラグは、保持手段によって、プラグの両側の所定の圧力差以内に、シートに解放可能に保持される。前と同様に、流体が針に入る前にプラグが解放されないことを確実とするように、弁の針側には最小限の空気がある。弁が開口し、流体が針に入ると、プラグの弁側で発生する追加の圧力によりプラグが解放され、プラグは(圧力差により)シートから急速に突き出て表面に音を立てて接触することで、音が発生し、これにより針の中に血液が入ったことを示す。プラグは金属ベアリングであることができ、接触面は独特で非常に聞き取りやすい音を生成する別の金属面であることができる。前述したように、解放時のプラグの動きにより、クリックによる音を発生させることができることが理解されよう。
【0082】
ゴム製シールを穿孔することによって、バイアルから真空を導入することを上で説明したが、代わりに、(前の実施形態で説明したとおり)バイアルとポートとの間の弁を開口して、ポートに真空を生成することによって、真空を適用することもできることが理解されよう。
【0083】
図43図51を参照すると、一般に参照番号700で示される、本発明の第9の実施形態が示されており、同様の部分には前と同じ参照番号が与えられている。これは非常に単純な実装形態であり、製造コストが低く、使用も簡単である。機器700は、針(図示せず)を取り付けるためのポート105と、圧縮され得る蛇腹103と、蛇腹の拡張を助けるためのバネ125とを備える。弁は設けられていないが、所望の場合、設けてもよい。蛇腹凹部131の内側には当接アーム129が取り付けられており、蛇腹104上にはリブを備えた当接面130が形成されている。プランジャ117を押し込むことにより、内側蛇腹104が圧縮され、空気が排出される。
【0084】
図43図51に示す実施形態は、一体型の蛇腹およびリブ構成を備える。非常に小さなエアポケットがあり、1つの部品で成形可能である。使用時には、ユーザは蛇腹を圧縮して真空を形成する。ユーザは、円筒シャフト127を蛇腹凹部131内に保持する外側環状面126をスクイズすることによって、蛇腹を圧縮状態に維持する。機器のポートに取り付けられた針(図示せず)を挿入すると、ユーザは表面126上のグリップを解放し、これにより、シャフト127が解放され、従って、蛇腹が再び膨張するときに蛇腹内に真空を加え、ひいては、ポート105に真空を加える。機器は、前の実施形態と同様の方法で動作するポートに隣接する弁を有することができる。この解決策の利点は、蛇腹が拡張する間に、ユーザがリブ130に対する当接アーム129の動きを感じることである。
【0085】
図面は、機器の本体内のリブ130の上を延在する1つの当接アーム129のみを示している。当接アームは環状リングであってもよく、リブは本体内部の円周方向に形成されてもよい。あるいは、当接面のリブ、当接アームおよびバネは、蛇腹凹部131内に位置する円筒シャフト127の端部の開口部(図示せず)を通して成形後に追加されてもよい。
【0086】
蛇腹凹部131内に配置された円筒シャフト127は、蛇腹が圧縮されたときに蛇腹内の空隙を埋めるように機能する。円筒シャフト127および蛇腹凹部131の直径は、本体(即ち、蛇腹チャンバ)の折り畳まれた内径に近く、有利には、直径がより狭いようにする。このようにして、蛇腹が折り畳まれたときにリブが中央コンポーネントを受け入れるため、折り畳まれた蛇腹内の空気が大幅に減少する。更なる代替として、図面に示すように、リブを蛇腹の本体のより狭い部分に位置するスリーブ上に配置し、当接アームをインサート上に配置することもできる。必要に応じて、バネにより追加の真空/応答性を提供する。
【0087】
図52図54を参照すると、一般に参照番号800で示される、本発明の第10の実施形態が示されており、同様の部分には前と同じ参照番号が与えられている。機器は、プランジャ803を備えた、標準的なシリンジに類似した本体801を備える。シリンジは、当技術分野で公知のいわゆる「フリクションレス」シリンジであることが好ましい。バネ805は、プランジャを外方に付勢し、それによって、流体をシリンジチャンバ807内に引き込み、シリンジチャンバ807の内部を真空にするように動作可能である。カラー809は、プランジャ803のシャフト815に沿った当接面813と係合するための当接アーム811をその上に有する。
【0088】
弁(図示せず)を、本体801内のプランジャ803の位置を制御するポートまたはリリースラッチに追加することができる。使用時には、ユーザはプランジャ803を押下し、弁(図示せず)を閉鎖して、プランジャとポート817との間のチャンバ807内に最小限の空気が存在するようにプランジャ803を配置することで、バネ805を圧縮状態に維持する。ユーザは、機器に取り付けられた針(図示せず)を患者の体内に挿入し、弁を開口して、ポートに圧力を加える。針が静脈を貫通すると、バネによりプランジャが伸長し、プランジャ上の当接面813が当接アーム811を通過し、移動時にクリック音がする。この実施形態の使用は弁を使用するものとして説明してきたが、プランジャを完全に押下した位置に自動的に保持するラッチを展開することもでき、針が患者に挿入されると、ラッチは操作者によって解放される。
【0089】
本発明の異なる実施形態にはいくつかの追加の有利な態様があり、それらを以下に概説する。
【0090】
機器は非常に軽量であり、操作者による針の繊細な操作を妨げない。重要なのは、弁またはラッチの作動であり、これにより針の先端を真空にすることが可能となるが、操作者が血管を損傷したり見逃したりする可能性のある針先の意図しない動きを引き起こさない点である。上述の第3の実施形態は、針に垂直に力を加えた状態で弁を回転させる必要があるため、針の前後の動きが妨げられる。弁が開口しているとき、針は患者の体内に位置しているという事実により、針は前方または後方にしか移動できない。シリコン弁の一般的な性質は、レバーの位置に関係なく、開口するのにほとんど力を必要としない性質である。同様に、ラッチ構成を備えた実施形態では、ラッチの動作が針を患者内に配置するのに悪影響を及ぼすことはない。
【0091】
弁レバーを備えた針に隣接する機器の端部の設計は、操作者が使用する標準グリップを妨げない。ライトタッチスクイズバルブを記載したが、当業者には理解されるように、他のタイプの弁を使用することもできる。重要なのは、弁/ラッチは操作者が針を保持する場所に隣接しており、操作者の指の穏やかな動きによって非常に簡単にアクセスし、作動させることができる点である。
【0092】
操作者は、長年にわたって細い血管に針を指向するための細かい運動技能および技術/グリップを開発してきており、本発明の目的は、これから逸脱することを操作者に求めるものではない。従って、機器は軽量であり、現在展開されているグリップおよび動きで操作できる必要がある。針先で真空を展開するための手段は、針グリップの近位にあり、簡単に見つけられる必要があり、操作するのに最小限の移動量および力を必要とするべきである。重要なことに、図示の実施形態では、レバーを後方に動かすことにより、結果的に、血管を完全に貫通するリスクを伴う、更なる針の血管内への進入が促進されることはない。操作者は、弁を解放するのに針のグリップを変更または解放する必要はなく、弁は針または機器自体の通常のグリップで簡単に解放される。
【0093】
上述したように、ユーザが針を保持する方法について機器が変更を必要としないことが重要である。これは学習された方法であり、妥協することはできず、弁を開口するのに挿入の途中で停止することも許されない。弁は軽量である必要があり、弁レバーは簡単に見つけられる必要があるため、操作者の指先の近くにある必要があり、その接触点は針に向かって可能な限り前方にある必要がある。好ましくは、弁を開口するために必要な動作は、針を前後に動かしてはならず、弁は開位置および閉位置で正のフィードバックを提供する必要がある。機器がプライミングされアクティブであることをユーザが確信できるように、弁の解放は確実である必要がある。弁は、活栓を含む任意のタイプのものであることができるが、特に、その解放によって操作者が針のグリップを変更したり、針に直接的または間接的に力を加えたりして、針の位置または血管に対する軌道が意図せず変化する結果を引き起こし、望ましくない結果を引き起こしてはならない。
【0094】
好ましくは、弁は、レバーによってシリコンチューブを軽く挟むことによって提供され、チューブの挟み込みを取り除き、最初に空気が、次に血液が蛇腹に流れ込むようにするには、軽く触れるだけでよい。
【0095】
蛇腹の反発エネルギーは、より大きな蛇腹/真空チャンバ内に配置された蛇腹/真空チャンバで外部真空を加えることによっても増加させることができる。本発明から逸脱することなく、他の変形を行うこともできる。二重蛇腹およびバネを様々な実施形態で示してきたが、蛇腹の真空および反発エネルギーを増加させることで、感度を向上させるそれらの使用は、他の1つ以上の実施形態において互換的に使用され得ることが理解されよう。実際、非常に高い真空の高感度バージョンの機器を生成する必要がある場合には、バネを二重蛇腹とともに使用することもできる。
【0096】
当接アームのピッチに対する当接面のピッチが重要になる場合がある。リブのピッチを増加させ、リブ上で同時にクリックしない当接アームの数を増加させることに、価値があり得る。本体上には複数列のリブがあり、各列は独自の当接アームを有し、各列または当接アームのペアは、蛇腹が拡張している間、各列/クリッカーペアから同時にクリックが発生しないように配置されている。リブおよびアームのピッチを小さくすると、分解能が向上し、弁または蛇腹が解放されたときにリブがクリックのカスプにある可能性が高まり、静脈が穿刺されたことを示す最初のクリックがより速くなる。触覚/音声フィードバックを生成するための手段を収容するのに実用的な最小直径の蛇腹が好ましい。
【0097】
当接アームの設計は、特に最初のクリック時に素早くクリックする必要があるように設計されている。従って、長すぎることはない。また、(素材と厚さとの組み合わせに起因して)硬すぎても良くなく、さもなければ摩擦が増し、蛇腹の動きが制限されて、最初のクリックが遅れる可能性がある。いくつかの実施形態では、当接アームは、40A~80A程度のショアA硬度を有するゴム等のゴムから構築することができる。これは、良好なレベルの音声フィードバックを提供し、拡張する蛇腹の摩擦を制限するのに十分な可撓性を備えていることが示されている。前述したように、当接アームは薄いプラスチック、金属、またはエラストマー製であってもよい。図1図14に示す実施形態では、アームおよびリブの材料は、典型的なショア硬度が60ショアDを超える程度のアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等の比較的硬いポリマーであり得ることが想定される。
【0098】
アームおよびリブの素材の組み合わせを変えることで、異なる音響効果を生み出すことができる。ゴム製のアームがプラスチック製のリブに衝突すると低いピッチが発生し、聞こえるように、両者の間に比較的広い接触面積(リブに衝撃を与えるリブの面積によって画定される接触面)と、蛇腹を通して聞こえ、かつ操作者が感じるのに十分な音量を生み出すよう比較的硬いアームと、が必要であり、この比較的広い接触面積と硬いアームとにより、バネおよび/または蛇腹によって克服する必要がある抵抗が加わり、これは、一部のユーザにとってはプランジャを押下することを困難にし、機器の圧力変化に対する反応を鈍らせる可能性がある。硬いプラスチックや金属アームでも同じことが当てはまり、接触面積が小さくても可聴音を発生させることができる一方、この組み合わせは、依然として比較的高い摩擦を発生させ、これは通常、バネを使用して克服する必要がある。
【0099】
有利には、アームは、ベースがより可撓性を有する材料である、硬質材料と可撓性材料との組み合わせとすることができ、または、全体を硬質材料で形成して可撓性ベースに固定することで、前述したように、比較的容易に曲げることを可能にし、動きに対する抵抗を低減することもできる。第1および第2の実施形態の構成は、音声および触覚フィードバックを生成するためにより長いレバーを展開するという点で異なる。最低60Dのショア硬度を有するABSポリマーのレバーおよびプランジャを使用すると、血液に浸されている場合でさえも必要な触覚および音声フィードバックを提供することが判明している。
【0100】
実験を通して、リブのピッチを約1mmにすることにより、一旦アームが前のリブを離れると、アームは十分な速度に上がり、次のリブに当たると可聴音を生成することが判明した。このピッチを1mm未満に小さくすると、アームの運動エネルギーが減少し、衝撃力および衝撃から生成された音を低減させることができる。
【0101】
また、リブとアームとの間の打撃表面積の有効量は、四角形のリブの衝撃を受ける角部に半径または面取りを加えることによって変更可能であり、衝撃の可聴音量を増加させてクリックをより聞こえるようにできることも理解されよう。リブのピッチおよび高さは、リブに対してアームが移動するときに、蛇腹の拡張および収縮の様々な段階を示す、異なる音を提供するよう変更できることが理解されよう。例えば、ラッチまたは弁の解放時に影響を受ける最初のリブと次のリブとの間により大きな隙間があってもよく、最初のクリックは機器のプライミングが完了したことを示し、第2のクリックは血液が針に進入したことを示すことができる。このより大きな隙間により、血液が針に入る前に、圧縮力が解放されたときに、蛇腹が拡張することが可能となる。より大きな隙間は、蛇腹が完全に折り畳まれていることも示している。ピッチおよび振幅を変更して、蛇腹が完全に折り畳まれていることを示すこともできる。これにより、蛇腹内で最大の真空が達成され、機器の感度を提供するのに十分な移動量が保証される。
【0102】
アームをヒンジ接続して、異なる方向に異なる抵抗を提供し、従って、異なる音を提供することができることが理解されよう。実際、これを達成するためにねじりバネを有用に配置することができ、打撃端上の硬質材料の物体(またはバネが局所的に硬化されていてもよい)をリブから解放する際に非常に高いレベルの運動エネルギーを提供して、リブ上で可聴打撃音を発生させることができ、バネは湾曲する方向に応じて異なる抵抗を提供する。ねじりバネを使用して、より硬いリブを制御することもできる。言うまでもなく、硬いリブの基部にコイルバネ、またはアームとして機能するコイルバネの脚等、他のタイプのバネを使用することもできる。全ての場合において、コイルバネは、摩擦を最小限に抑えながら、リブに必要な運動エネルギーを生成するために必要な可撓性を提供する。
【0103】
蛇腹は、一般に、針と一直線にあるように示されているが、蛇腹は針に対して最大90度の角度をなしていてもよく、これにより機器の全長が効果的に短縮され、操作者が機器を親指と指との間で容易に保持できるようになることが理解されよう。この機器の効果的な短縮により、特に蛇腹が伸長しているときに、機器が操作者の手のひらに接触する可能性が大幅に減少し、操作中に針を注意深く誘導するために重要である、よく確立された精密なモーターグリップを操作者が変更する必要がなくなり、これは手の小さい操作者にとって特に重要である。これは、操作者がグリップを変更する必要があり、使用される典型的なシリンジが機器よりも長い従来のシリンジを使用する場合と比較して、大きな利点をもたらす。
【0104】
いくつかの実施形態では、蛇腹に入る流体がリブおよびアーム構成上を流れ、これらが水没することさえあることが判明している。流体通路の開口部またはプランジャにチャネルを設けることで、最初の流体がプランジャと接触して蛇腹を満たすときにアームおよびリブから遠ざかるのを促進して、この減衰効果を最小限に抑えることができ、それにより、クリック音が可能な限り大きな音となり、特に蛇腹が液体で満たされる前の最初の数回のクリックがよく聞こえるようにすることができることを理解されよう。あるいは、低摩擦シールをプランジャの自由端に追加することもでき、これは流体チャネル内でプランジャとともに移動し、第1のリブがアームによって衝撃を受けたときに、血液が第1のリブに浸入するのを防ぎ、血液の音響減衰を更に制限する。流体とアームおよびリブとの接触を遅らせるために、リブおよびアームは、それらが最高点に位置し、蛇腹への最初の流体の侵入から遠ざかるように配置され得る。
【0105】
アームがリブにこすりつけられて音声および可聴フィードバックを提供するものとして説明してきたが、真空の低下または血液の侵入に応じて動く蛇腹によって引き起こされるあらゆるこすれが音声/触覚フィードバックを提供することができることが理解されよう。有利なことに、リブは、真空を生成するために蛇腹内で利用可能な力を最大化する低摩擦の解決策を提供し、また、非常に効果的な音声フィードバックも提供する。蛇腹は円筒形の形状であるように示されているが、その形状は変化してもよく、実際、正方形または長方形の断面を有してもよいことが理解されよう。針と蛇腹との間のエアポケットは、可能であれば最小化すべきであり、針と蛇腹とを接続するあらゆる穴の直径が、機器で使用されることが予想される最大の針の直径未満、または製造上実用的な大きさであることが望ましい。
【0106】
蛇腹は、それ自体の壁の剛性によって真空を生成するものとして説明してきたが、真空は、その体積を拡張するために、バネまたは他の手段を使用して拡張力を加えることによって生成できることが理解されよう。二重蛇腹は、金型から内部コアを解放することができるように螺旋状の折り目を備えてもよい。このような螺旋パターンの折り目を持つ蛇腹の拡張は、その軸に沿った回転と伸長をもたらす結果となり得る。蛇腹は、ブロー成形されることが好ましいが、圧縮成形または回転成形されてもよい。蛇腹の開口部が直径に対して十分に大きい場合、材料の弾性限界が高い場合には、蛇腹を射出成形してもよい。
【0107】
好ましくは、所定の体積変化に対して蛇腹の可能な限り大きな寸法変化を達成し、かつ機器の重量を軽減できるように、蛇腹の体積を小さくすることが望ましい。機器は、針の直後の透明/不透明チャネルに十分な血液を引き込むことができる必要があり、操作者はこの血液を見て、針が適切な位置にあることを視覚的に確認でき、更なる確信が得られる。血液を引き込むのに必要な真空は、少なくとも部分的に、針のゲージに依存し、これは適宜対応することができる。いくつかの実施形態では、蛇腹がユーザの手(手のひら)に対して動くか、またはユーザの手に接触するトリガー機構を設けてもよく、これもまた、針が血管をうまく穿刺したことを示すものとして使用され得る。
【0108】
プランジャの動きを電荷に変換し、音源や光源に給電して操作者に蛇腹の伸長について警告できることが理解されよう。例えば、当接アームは、屈曲中に電圧を生成するピエゾストリップであることができ、これは、例えば、LEDを点灯させたり、ブザーあるいはその他のセンサまたはインジケータに給電して、蛇腹の動きを操作者に更に警告したりするために使用可能である。
【0109】
特に説明しない限り、バネは任意の実施形態の内部または外部に適用することもできる。多くの場合、当接アームが蛇腹とは別個に示されているが、当接アームは蛇腹の一部であってもよいことが理解されよう。実際、蛇腹の一部である場合、当接アームは蛇腹の自由端に配置されることが好ましいが、必要に応じて蛇腹の可動部分のどこに配置されてもよい。
【0110】
蛇腹は、好ましくは、16~22ゲージの範囲で、3cm(0.03m)~8cm(0.08m)の長さを有する針の先端で、150mmHg(20kPa)~250mmHg(33.3kPa)の範囲で十分な真空を生成できなければならないことが確認されている。針が蛇腹に接続され、蛇腹が完全に圧縮されて血液が針を通して引き上げられると、圧力の上昇を避けるために、完全に圧縮されると、チャンバ内に最小限の量の空気が存在する必要があり、体積の減少を引き起こし(ボイルの法則による)、血液が機器に流入したときに、音声および/または触覚および/または視覚フィードバックの生成を可能にするのに十分な寸法変化を提供できなければならない。
【0111】
1635Nmのレートを有するバネを使用することにより、第3の実施形態では180mmHgの真空が提供され、様々な針を使用して迅速な応答が得られることが判明した。
【0112】
血管に入る前に針先が真空になっていることが重要であり、それにより、血管に入るときに蛇腹チャンバ内の真空が解放され、これが蛇腹の寸法の変化として記録され、これによりクリックまたはその他の正の音声および/または触覚フィードバックがもたらされる。例えば、蛇腹の端部にある当接アームをリブに対して緊張させることにより、最初の重要なクリックが可能な限り早く発生することを確実とする。血液が針の全長に沿って移動する必要はないが、針内を移動する間に蛇腹内に登録可能な圧力変化が生じることが必要である。実際、最初のクリックは、針が機器に接続されていない場合、血液が受動的に針から出るよりも早く発生することが好ましく、なぜなら、これは、従来の視覚的な「フラッシュバック」方法よりも操作者に迅速なフィードバックを提供するからであり、この従来の合図を利用するには、操作者は超音波画面から目をそらす必要がある。
【0113】
機器の感度を最大化するには、システム内の最小の圧力増加を蛇腹の動きに変換して、重要な最初のクリックを提供する設計にする必要がある。これを可能にするには、蛇腹は、針内の少量の血液が測定可能な寸法変化として変換され、触覚/音声信号が当接アームによって生成され得るようなチャンバ容積(蛇腹が圧縮され、真空が生成されたとき)を有する必要がある。蛇腹は、蛇腹のこの寸法変化を可能な限り早く引き起こすために、血液をできるだけ早く針に引き込むために押下している間に必要な真空を生成できる必要がある。
【0114】
従って、一般的に使用される針の針先に必要な真空を提供することができ、それにより、蛇腹が針を通して血液を引き込むことができ、針内の血液が蛇腹内の適切な寸法変化をもたらす蛇腹設計が必要であり、結果的に圧力が増加し、この寸法変化により、フラッシュバックが通常提供するよりも迅速に音声/触覚フィードバックをもたらす。これはフラッシュバックよりもより早く起こることが好ましいが、フラッシュバックが観察されるのとほぼ同時に聴覚的なクリックが聞こえた場合でさえも、聴覚的なフィードバックにより操作者が針先から注意をそらす必要がなくなり、最終的にはより迅速なフィードバックが提供され、操作者が画面を見ることから注意をそらすことがなくなり、従って、操作者が針を遠くに動かしすぎたり、目標から逸れたりするリスクが排除されることが理解されよう。
【0115】
近似により、長さ5cmの16ゲージ針は、内部圧縮直径5mm、圧縮体積1.26mlの円筒蛇腹に0.1mlの流体を導入すると、1.3mm程度の変位をもたらすことが判明しており、圧縮時にエアポケットは存在せず、これは、記載された実施形態(リブが変位より少なくとも小さいピッチで離間されている場合)において音声フィードバックを提供するのに十分な動きである。蛇腹が針を通る血流速度を増加させることを念頭に置くと、これは、従来の受動的フラッシュバック方法と比較して、操作者が、針が正しく配置されたとの通知を受け取るまでの時間を改善する。蛇腹の体積が小さいと、比例してより多くの動きをもたらし、これにより解像度がより向上し、操作者への通知速度の点で更に優れている。操作者は、機器を使用して血液をサンプリングしたい場合があるため、非圧縮蛇腹の容積を約2.5mlと大きくすることが望ましい場合がある。
【0116】
この機器はまた、少なくともいくつかの実施形態では、必要に応じて機器の本体から取り外し可能である蛇腹により、分析のための血液の収集を可能にするか、または蛇腹を圧縮することによって機器から血液を搾り出すことができ、この拡張された使用により、抗凝固剤の添加が必要になる場合がある。当接アームは、細かいピッチのリブ上を移動するものとして説明してきたが、粗い表面や隆起の上を移動したり、曲がりくねった経路(当接アームが突起や隆起によって設けられている)を通って移動したりしてもよく、これにより、適切な触覚フィードバックがもたらされることが理解されよう。蛇腹は、一般に、クリッカー/当接アームをリブまたは粗面に対して直接移動させるものとして説明してきたが、リブまたは粗面をリブに沿って直接移動させてもよいことが理解されよう。実際、蛇腹に接続されている、または蛇腹の一部であり得るクリッカー/当接アーム上でリブ/粗面が間接的に移動することができる。
【0117】
上で述べたように、流体が機器に流入するとき、システム内の対応する減圧レベルが蛇腹の最大寸法変化に変換されることが重要である。従って、物理的に押下されて蛇腹内に真空を発生させ、回復時の音声/触覚/視覚フィードバックに直接変換されないときの蛇腹のあらゆる変形は、好ましくは回避されるかまたは最小限に抑えられるべきである。低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、ハイトレル(登録商標)、熱可塑性エラストマー、またはその他の熱可塑性プラスチックで製造された蛇腹は、壁厚が一般に0.1~0.3mmの範囲にあり、容易に変形可能であり、または、容易に変形するより柔らかいシリコンやTPE材料から製造される。蛇腹を完全に押下した部分にエアポケットが存在する場合、蛇腹の動きを更に遅らせ、かつ減少させ、それにより、ユーザは機器を使用する価値について疑問を抱くことになるだろう。例えば、先の例に基づいて、凹状端部によって引き起こされる窪みが1mmであった場合、システムに0.1mlの流体が入り、動きが僅か1.3mmであったとしても、この窪みの回復は蛇腹の動きに深刻な影響を及ぼす(これは、長さ5cmの16ゲージ針の体積の2倍にほぼ等しいと理解される)。操作者にそのような変形を生じさせないようにする手段を提供することが望ましく、前記変形を回避するために蛇腹と係合する第2の非変形表面を含み得る。好ましくは、蛇腹を前記表面に取り付けることで、蛇腹の変形が溝付きの壁でのみ生じ、他の場所では生じないことを確実とするようにする。
【0118】
蛇腹は可撓性を有しており、蛇腹が伸長時に湾曲することに起因して(端部は平行でない)、蛇腹がその軸に沿って伸長しない故、蛇腹の伸びも均一ではない。案内手段を設けることで、あらゆる真空の低下に対して蛇腹の動きが確実に最大化されるようにすることができる。他の誘導手段がシステム内に摩擦をもたらす可能性があるため、この誘導手段は、蛇腹を特定の方向に指向するバネによって提供されることが好ましい。上の実施形態で説明したように、バネを設けることで、当接アーム/リブ構成が必要とする長さに沿った蛇腹の均一な拡張も促進する。
【0119】
しかしながら、蛇腹を片側でより多く湾曲および伸長させることを促進することが好ましい場合がある。蛇腹の片側の移動能力を制限することによって、自由側の更なる移動が促進され、所定の真空低下に対するフィードバックに変換できるより大きな変位が生成される。このようにして、機器に入る所定量の流体に対する最初のクリックをより早く行うことができる。有利には、針が所定の位置にあることが確認されると、蛇腹が完全に伸長できるように、操作者によって制限側を解放してもよく、または蛇腹の制限側は、蛇腹が伸長するとその角度が変化するため自動的に解放されてもよい。上述した第3の実施形態を参照すると、リブは異なる高さを有することができ、従って、一方の側ではより容易に解放され、他方の側では相対的により多くの動きが可能となり、これにより解像度が向上する。より自由な側のリブは、蛇腹が湾曲するときに当接アームとの接触を維持するように配置することができる。
【0120】
上述したように、弁が閉鎖される前に完全に押下された蛇腹内のエアポケットにより、蛇腹の拡張に遅れが生じ、従って、音声および/または触覚フィードバックの最初の「クリック」が遅れる。これは、圧力の増加により空気が圧縮され(P1V1=P2V2)、蛇腹が収縮するためである(蛇腹は可能な限り早く拡張したい)。エアポケットを低減するには、次の手法の1つ以上を使用することができる。
【0121】
まず、円筒蛇腹の端部(折り目のない壁)は、折り畳んだときに接触するか、または可能な限り互いに接近するように、互いにほぼ平行であることが好ましい。第二に、蛇腹折り目の最大の圧縮を可能にする薄い蛇腹素材を使用する。このようにして、壁の折り目の積み重ねられた高さが最小限に抑えられ、それによって積み重ねられた壁間のデッドスペースが減少する。第三に、蛇腹自体の突起によりその容積を埋めることによって、または弁あるいは針に直接接続するための手段を含むことができる別個の部品によって、積み重ねられた蛇腹壁間の空隙を排除することが有用であると考えられる。第四に、上述の二重蛇腹により、上述の突起は事実上、第1の外側蛇腹に組み込まれた第2の内側蛇腹となる。第五に、主要蛇腹チャンバと弁との間の流体チャネルを部分的に充填して、空気量を減少させ、流体および空気が通過できるのに十分なスペースを残すが、エアポケットを制限することができる。第六に、弁と、血液が機器に入る針ハブの開口部との間に流体チャネルの部分的な充填が適用され得る。これらの技術の全てまたは一部を使用して、蛇腹内のエアポケットのサイズを低減することができる。
【0122】
針ハブの開口部と弁の閉鎖点との間の流体通路の容積は、0.05ml未満であり、好ましくは、より小さいことが想定される(実際の設計では0.02mlである)。弁が開口すると、針が流体に接触する前に、針内の空気および弁の針側が蛇腹内の真空低下に影響を与えることを可能にする所定数のクリックが発生し、従って、操作者に機器の作動を認識させる。誤検知を排除するよう、血管に入る前に弁が開口するときに最初のクリックが起こらないように、当接アームと当接面との間隔を配置することが好ましい場合がある。
【0123】
様々な実施形態が触覚フィードバックの生成に使用され得ることが想定される。まず、触覚フィードバックのための構成は、円筒蛇腹の外径に適用され得る。蛇腹は、形成または取り付けられたディスクを有し、ディスクは、リブ上をフリックすることができる厚さ0.1mm(0.0001m)~1mm(0.001m)の範囲の薄い材料であることが好ましい。リブは、蛇腹の外面に近接して配置され、それにより、蛇腹が拡張するときにディスクがリブ表面上をフリックし、それによってフィードバックを提供する。複数列のリブを設けることもできる。複数列のリブが設けられている場合には、それらを蛇腹の周りに等間隔に配置することで、蛇腹が湾曲する傾向を軽減し、拡張中に押し込まれる可能性を低減することが好ましく、なぜなら、これにより、機器が蛇腹に血液を引き込むことを停止し、触覚フィードバックの提供を停止する可能性があるからである。
【0124】
バネが展開される場合、当接アームまたは他の突起に対するバネの任意の部分の動きによって、音声および/または触覚フィードバックが生成され得る。
【0125】
説明される実施形態では、当接アーム、または当接面に係合する当接ディスクについて言及している。当接アームは、別個の分離したアームまたは複数の別個の分離したアームであることができ、アームは細長いアームであってもよく、または当接アームは、ディスク、突起、プレート、本体のうちの1つに取り付けられたカラーあるいは環状リング、真空チャンバ、または蛇腹(存在する場合)の形態をとることができることが理解されよう。ディスク、プレート、カラー、または環状リングは、均一な外周を有することができ、または当接面と係合するために周方向に間隔を置いて配置された1つ以上の突出タブを有していてもよい。当接アームは、粗い表面であってもよい。
【0126】
第二に、触覚フィードバックの配置は、医療機器の長手方向軸に沿って適用することができる。このようにして、蛇腹はリブ付きシャフトをフリッカー上に押し(またはその逆も同様)、リブ付きシャフトは蛇腹の長手方向軸と位置合わせされることが好ましい。流体が蛇腹に入るときにクリッカー/リブが流体と接触する場所では、流体がそれらの機能に影響を与えることなく通過できるような位置にクリッカー/リブがあることが理解されよう。しかしながら、好ましくは、クリッカー/リブは、流体が蛇腹内への進入中(機器が意図した方向に保持されている場合)にクリッカー/リブ上を通過しないように配置され、クリッカー/リブは、蛇腹内で最初に流体が集まる場所には配置されず、それ故、重要な最初のクリックを生成するクリッカー/リブの能力を妨げないようにする。当接アーム/リブの位置は、それらの係合によって生じる振動が様々なハウジングを通して操作者に感じられるような位置にある。当接アーム/クリッカーおよび当接面/リブの組み合わせが蛇腹の内部にある場合、音波はより長く滞留し、従って、操作者により長いフィードバック信号を供給することが想定される。
【0127】
体内に入った後、かつ血管に入る前の機器のプライミングは、多くの方法で達成することができる。まず、弁を開口することによって蛇腹内の真空を針先に加える。第二に、蛇腹またはバネにかかる収縮力を物理的に解放することによって、蛇腹またはバネがそれ自体の力で拡張し、針先に真空を加える。そして第三に、別個にまたは上述した第1および第2の方法と組み合わせて、収縮した蛇腹に伸張力を加える。
【0128】
針が患者の体内にある間にユーザが誤って蛇腹を押下した場合に空気を逃がすために、蛇腹に一方向弁を取り付けることができる。説明した実施形態の全てにおいて、機器は、針またはカテーテルオーバーニードル機器が最初の中心静脈の穿刺に使用された場合に起こり得る潜在的に致命的な合併症である、患者の血流への空気の引き込み(空気塞栓)を防止することが理解されよう。
【0129】
本発明は、超音波誘導を使用する操作者の観点から説明されているが、本発明は、例えば、血管を発見するための一般的な臨床環境において、一般に超音波を使用せずに静脈を発見するためにも使用可能であることが理解されよう。更に、機器は、限定されないが、生検、穿刺吸引、骨髄穿刺、および中でもセルディンガー法による胸部または腹膜ドレーンの設置等、多くの代替処置に適用することができる。
【0130】
本明細書では、弾性変形可能という用語が使用されている。弾性変形可能とは、自然な形状から変形した材料が、力が取り除かれると元の形状に戻る性質を意味することが理解されよう。
【0131】
本明細書において、「備える(comprise、comprises、comprised、comprising)」という用語と、「含む(include、includes、included、including)」という用語は、完全に互換性があるとみなされ、可能な限り幅広い解釈が与えられるべきである。
【0132】
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で構造および詳細の両方において変更することができる。
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【国際調査報告】