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特表2024-522572飲料調製マシン及びそのような飲料調製マシンを使用して飲料製品を調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】飲料調製マシン及びそのような飲料調製マシンを使用して飲料製品を調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20240614BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20240614BHJP
   A47J 31/40 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A47J31/06 323
A47J31/36 122
A47J31/36 328
A47J31/40 107
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574822
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2022067476
(87)【国際公開番号】W WO2023274905
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21183059.1
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】プリエーゼ, アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】リッチー, ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】スコラノ, ルチオ
(72)【発明者】
【氏名】ペレンテス, アレクサンドル
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA19
4B104AA20
4B104BA32
4B104BA40
4B104BA70
4B104EA17
4B104EA30
(57)【要約】
本発明は、飲料調製マシン(1)であって、飲料成分を保持するカプセル(101)を受容するためのチャンバと、飲料調製デバイス(4)であって、流体をチャンバに送達するための送達デバイス(23)と、チャンバ内に流体を注入するために送達デバイス(23)に選択的に流体接続可能な第1及び第2の注入要素(16)と、送達された流体をチャンバから放出するための放出要素(20)を有する放出デバイスと、を有する飲料調製デバイス(4)と、を備える。第1の注入要素(14)は、第2の注入要素(16)よりもチャンバ内に更に突出する。第1の注入要素(14)は、放出要素(20)よりもチャンバ内に更に突出する。第2の注入要素(16)がチャンバ内に突出する領域が、放出要素(20)がチャンバ内に突出する領域よりも高く位置する。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料調製マシン(1)であって、
飲料成分(102)を保持するカプセル(101)を受容するためのチャンバ(2)と、
飲料調製デバイス(4)であって、
流体を前記チャンバ(2)に送達するための送達デバイス(23)と、
第1の注入要素(14)及び第2の注入要素(16)であって、それぞれ、前記チャンバ(2)内に流体を注入するために前記送達デバイス(23)に選択的に流体接続可能である、第1の注入要素(14)及び第2の注入要素(16)と、
前記送達された流体を前記チャンバ(2)から放出するための放出要素(20)を有する放出デバイス(18)と、
を有する飲料調製デバイス(4)と、を備え、
前記第1の注入要素(14)は、前記第2の注入要素(16)よりも前記チャンバ(2)内に更に突出し、前記第1の注入要素(14)は、前記放出要素(20)よりも前記チャンバ(2)内に更に突出し、
前記第2の注入要素(16)が前記チャンバ(2)内に突出する領域(16.2)が、前記放出要素(20)が前記チャンバ(2)内に突出する領域(20.2)よりも高く位置する、
飲料調製マシン(1)。
【請求項2】
前記第2の注入要素(16)は、前記放出要素(20)に向けられた出口開口部(16.1)を備える、請求項1に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項3】
前記第1の注入要素(14)が前記チャンバ(2)内に突出する領域が、前記放出要素(20)が前記チャンバ(2)内に突出する前記領域よりも高く位置し、好ましくは前記第2の注入要素(16)が前記チャンバ(2)内に突出するのと同じ高さに位置する、請求項1又は2に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項4】
前記第2の注入要素(16)及び好ましくは前記第1の注入要素(14)は、前記チャンバ(2)の上部若しくは最上部領域(14.2)において前記チャンバ(2)内に突出し、並びに/又は、好ましくは前記放出要素(20)は、前記チャンバ(2)の下部若しくは最下部領域(20.2)において前記チャンバ(2)内に突出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項5】
前記第1の注入要素(14)、前記第2の注入要素(16)、及び前記放出要素(20)は全て、前記飲料調製デバイス(4)の同じ側から前記チャンバ(2)内に突出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項6】
前記カプセル(101)を保持するためのカプセルホルダ(6)を更に備え、前記カプセルホルダ(6)は、好ましくは、前記チャンバ(2)を画定するように、前記飲料調製デバイス(4)に対して移動可能であり、かつ/又は前記飲料調製デバイス(4)に選択的に接続可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項7】
前記送達デバイス(23)は、液体を前記チャンバ(2)に送達するための液体送達デバイス(24)を備え、好ましくは、前記液体送達デバイス(24)は、導管を介して前記第1の注入要素(14)及び前記第2の注入要素(16)に選択的に流体接続可能であり、
好ましくは、前記第1の注入要素(14)及び前記第2の注入要素(16)のうちの少なくとも1つに前記液体を選択的に送達するために、好ましくは前記導管内に、弁(30、32、34、36)が設けられる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項8】
前記送達デバイス(23)は、空気のような気体を前記チャンバ(2)に送達するための気体送達デバイス(26)を備え、前記気体送達デバイス(26)は、導管を介して前記第1の注入要素(14)及び前記第2の注入要素(16)に選択的に流体接続可能であり、
好ましくは、前記第1の注入要素(14)及び前記第2の注入要素(16)のうちの少なくとも1つに前記気体を選択的に送達するために、好ましくは前記導管内に、弁(30、32、34、36)が設けられる、
請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項9】
前記弁は、
前記第1の注入要素(14)を前記気体送達デバイス(26)又は前記液体送達デバイス(24)のいずれかに選択的に接続するための第1の弁(30)と、
前記第2の注入要素(16)を前記気体送達デバイス(26)又は前記液体送達デバイス(24)のいずれかに選択的に接続するための第2の弁(32)と、
を備える、請求項7又は8に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項10】
前記弁は、
前記第2の注入要素(16)を気体排出ポート(35-out)に選択的に接続するように構成された第3の弁(34)と、
前記放出要素(20)を注出導管又は液体排出ポート(37-out)のいずれかに選択的に接続するように構成された第4の弁(36)と、
を備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)。
【請求項11】
飲料製品を調製するための方法であって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の飲料調製マシン(1)を用意するステップ(202)と、
飲料成分(102)を保持するカプセル(101)を用意するステップ(204)であって、前記カプセル(101)は、i)空洞(104.0)を画定する本体(104)であって、前記空洞(104.0)が一方の側に開口部(104.5)を有する、本体(104)と、ii)前記開口部(104.5)を覆い、前記空洞(104.0)を閉じるように前記本体(104)に取り付けられた膜(106)と、を有し、前記本体(104)は、i)飲料成分(102)を収容する飲料スペース(108)と、ii)前記飲料スペース(108)と前記膜(106)との間に広がるヘッドスペース(110)と、iii)前記飲料スペース(108)を前記ヘッドスペース(110)から分離する仕切り要素(105)であって、好ましくはフィルタ要素を含む、仕切り要素(105)と、を含む、ステップ(204)と、
前記カプセル(101)を前記チャンバ(2)内に受容するステップ(206)と、
前記膜(106)を通して前記飲料スペース(108)内に前記第1の注入要素(14)を挿入するステップ(208)と、
前記膜(106)を通して前記ヘッドスペース(110)内に前記第2の注入要素(16)を挿入するステップ(210)と、
前記膜(106)を通して前記ヘッドスペース(110)内に前記放出要素(20)を挿入するステップ(212)と、
前記第1の注入要素(14)を介して前記飲料スペース(108)内に流体、好ましくは少なくとも液体を送達し、前記送達された流体、好ましくは前記送達された液体が、飲料製品を調製するために前記飲料成分(102)と相互作用し得るようにするステップ(214)と、
前記放出要素(20)を介して前記カプセル(101)から前記飲料製品を放出するステップ(216)と、
前記飲料製品を放出した後に、前記放出要素(20)をすすぐように、前記第2の注入要素(16)を介して前記ヘッドスペース(110)内に流体、好ましくは液体及び/又は蒸気を注入するステップ(218)と、
を含む、方法。
【請求項12】
前記飲料製品を放出した後に、前記第2の注入要素(16)を介して前記ヘッドスペース(110)内に流体を注入するステップ(218)は、前記第2の注入要素(16)を介して前記ヘッドスペース(110)内に流体を注入して(218)、前記注入された流体を前記放出要素(20)及び/又はその周囲に、好ましくは少なくとも前記放出要素(20)の放出開口部(20.1)に噴出又は噴霧するようにするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
i)前記第1の注入要素(14)を介した前記飲料スペース(108)内への流体、好ましくは液体の前記送達中、及び/又は、ii)前記放出要素(20)を介した前記飲料製品の前記放出中に、前記第2の注入要素(16)を介して前記ヘッドスペース(110)内に気体を注入するステップ(222)、
を更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の注入要素(14)を介して前記飲料スペース(108)内に流体、好ましくは液体を送達するステップ(222)は、前記飲料製品を生成する前に、前記飲料成分(102)を予備湿潤するステップ(224)と、任意選択で、前記第2の注入要素(16)及び前記放出要素(20)のうちの少なくとも1つを介して前記カプセル(101)から気体を排出するステップ(226)と、を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
i)前記飲料スペース(108)内に流体、好ましくは液体を注入した後に、ii)前記飲料製品を放出する間に少なくとも部分的に同時に、並びに/又は、iii)前記ヘッドスペース(110)内に流体、好ましくは液体及び/若しくは蒸気を送達する間に少なくとも部分的に、前記飲料スペース(108)内に気体を注入するステップ(228)、
を更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ヘッドスペース(110)内に流体、好ましくは液体及び/又は蒸気を注入した後に、前記第2の注入要素(16)を介して前記ヘッドスペース(110)内に気体を注入するステップ(230)、
を更に含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー、茶、スープなどの飲料製品を調製する飲料調製マシンに関する。本発明はまた、そのような飲料調製マシンを使用して飲料製品を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の飲料調製マシンは、i)淹出チャンバに挿入されたカプセル内に液体を送達するための注入器と、ii)得られた飲料製品をカプセルから放出するための、例えば針の形態の放出要素とを有することができる。
【0003】
しかしながら、第1のカプセルから放出された後に、飲料製品の痕跡が放出要素上及びその周囲に残る可能性がある。次に、これらの飲料製品の痕跡は、後続のカプセルで調製される飲料製品と混ざり合い、したがって、特に後続のカプセルが第1のカプセルと異なる場合、飲料製品の特性、例えば、その味又は色を変える可能性がある。
【0004】
更に、一部の飲料製品が使用済みカプセル内に残り、ユーザがカプセルを飲料調製デバイスから取り出しているときにカプセルから漏れ出ることがあり、それによってユーザにトラブルを引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、飲料調製マシンで連続的に調製される2つの飲料製品の痕跡が混合される問題を軽減又は回避しながら、連続的な飲料製品を調製することを可能にする飲料調製マシン及び方法を提供することである。
【0006】
一態様によれば、本発明は、飲料調製マシンであって、
飲料成分を保持するカプセルを受容するためのチャンバと、
飲料調製デバイスであって、
流体をチャンバに送達するための送達デバイスと、
第1の注入要素及び第2の注入要素であって、それぞれ、チャンバ内に液体を注入するための液体送達デバイスに選択的に流体接続可能である、第1の注入要素及び第2の注入要素と、
送達された流体をチャンバから放出するための放出要素を有する放出デバイスと、
を有する飲料調製デバイスと、を備え、
第1の注入要素は、第2の注入要素よりもチャンバ内に更に突出し、第1の注入要素は、放出要素よりもチャンバ内に更に突出し、
第2の注入要素がチャンバ内に突出する領域が、放出要素がチャンバ内に突出する領域よりも高く位置する、
飲料調製マシンに関する。
【0007】
したがって、第2の注入要素の出口は、放出要素よりも高く位置してもよい。そのため、第2の注入要素がすすぎ液、例えば水を注出するとき、すすぎ液は、特に先行する飲料製品の調製の後又は終了時、及び後続の飲料製品の調製の前に、放出要素上及び/又はその周囲を流れることができる。したがって、すすぎ液は、放出要素上及び/又はその周囲から、先行する飲料製品の痕跡を完全に又は部分的に除去することができ、その後、すすぎ液は、放出要素及び液体放出デバイスを介して淹出チャンバから排出することができる。
【0008】
また、送達された流体及びすすぎ流体の全てがカプセルから排出され得るため、飲料調製マシンは、場合によっては生分解性カプセルがあまりにも早く劣化し、既にマシン内の容器にあることを制限又は回避することを可能にする。更に、これは、カプセル内に水が残らないため、回収エネルギーが高くなるので、環境への影響を低減するのに役立つ。
【0009】
更に、飲料調製マシンは、このように飲料成分の全てがカプセルからユーザに実際に送達されることを確実にし、これは、いくつかの特定の製品にとって好ましい。
【0010】
本出願において、「より高い」という用語、及び「上部」、「最上部」、「下部」、「最下部」のようなその派生語は、飲料調製マシンがそのサービス構成又はその動作の向きにあり、したがってカプセルを受容して飲料製品を調製する準備ができているときに測定される高度の差を指し得る。飲料調製マシンがそのような構成又は向きにあるとき、「第2の注入要素がチャンバ内に突出する領域は、放出要素がチャンバ内に突出する領域よりも高く位置する」という表現は、第2の注入要素によって注出されたすすぎ液が重力の作用下で放出要素に向かって流れることを意味し得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、第2の注入要素は、放出要素に向かってすすぎ液を噴出又は噴霧するように構成されてもよい。したがって、第2の注入要素又はその出口開口部は、第2の注入要素の出口開口部を介してチャンバ内に注入された液体が放出要素上に噴出又は噴霧され得るように構成されてもよい。したがって、第2の噴出要素によって噴出又は噴霧されるすすぎ液の噴流が、放出要素上及び/又はその周囲に位置する表面をすすぐことができるため、放出要素を高い効率で洗浄することができる。
【0012】
本出願において、「カプセル」という用語は、乾燥、液体、固体、例えば粉末状、ペースト状、及び/又は他の形態の飲料原材料を封入する任意の容器を指し得る。例えば、カプセルは、硬質又は軟質の本体及び/又は膜を有し得る。本体及び膜(エンベロープ)は、概して、同じ材料又は異なる材料から作製され得る。本体及び膜(エンベロープ)は、概して、同じ形状又は異なる形状を有し得る。カプセルは、密封されていてもよい、又は部分的若しくは全体的に多孔性であってもよい。「カプセル」という用語はまた、シングルサーブの容器、ポッド又はサッシェに対応し得る。
【0013】
本出願において、「飲料製品」という用語は、飲用可能な液体、又は食用(edible)若しくは食用(comestible)液体、例えばスープを指し得る。本出願において、「飲料調製」という用語及びその派生語は、液体とカプセル内に収容された製品との間の任意の種類の相互作用、例えば、混合、溶解、浸出、又は、水若しくは蒸気のような流体の圧力を伴う若しくは伴わない抽出を指し得る。
【0014】
一実施形態によれば、第2の注入要素は、放出要素に向けられた出口開口部を備えてもよい。
【0015】
一実施形態によれば、第1の注入要素がチャンバ内に突出し得る領域は、放出要素がチャンバ内に突出する領域よりも高く、好ましくは第2の注入要素がチャンバ内に突出するのと同じ高さに位置する。
【0016】
したがって、飲料製品の調製中、第1の注入要素は、放出要素に向かって流れ、放出要素を通過する飲料製品の痕跡を全く又はあまり受け取らない。換言すれば、飲料製品の痕跡は、大部分が放出要素の上及び/又は周囲に生じる。
【0017】
一実施形態によれば、第2の注入要素及び好ましくは第1の注入要素は、チャンバの上部若しくは最上部領域においてチャンバ内に突出してもよく、並びに/又は放出要素は、チャンバの下部若しくは最下部領域においてチャンバ内に突出してもよい。
【0018】
したがって、第2の注入要素及び好ましくは第1の注入要素のこの配置は、第2の注入要素及び場合によっては第1の注入要素の上及び/又はその周囲の飲料製品の痕跡を最小限に抑える、又は更には回避することができる。
【0019】
一実施形態によれば、第1の注入要素、第2の注入要素及び放出要素は全て、飲料調製デバイスの同じ側からチャンバ内に突出してもよい。
【0020】
したがって、第1の注入要素、第2の注入要素及び放出要素のこの配置は、飲料調製マシン、特にその淹出チャンバの設計を簡略化するのに役立ち得る。
【0021】
一実施形態によれば、飲料調製マシンは、カプセルを保持するためのカプセルホルダを更に備えてもよく、カプセルホルダは、好ましくは、チャンバを画定するように、飲料調製デバイスに対して移動可能であり、かつ/又は飲料調製デバイスに選択的に接続可能である。
【0022】
したがって、カプセルホルダは、カプセルをチャンバ内の正しい場所に受容して保持するのに寄与することができる。いくつかの実施形態では、カプセルホルダは、飲料調製デバイスに対して以下の間で選択的に移動可能である。
i)チャンバが開いて少なくとも1つのカプセルを受容するように、カプセルホルダが飲料調製デバイスから離れている受容構成と、
ii)チャンバを狭める又は閉じるように、カプセルホルダが飲料調製デバイスに近接している接続構成。
【0023】
飲料調製マシンから取り外され得る取り外し可能なカプセルホルダの代わりに、飲料調製マシンは、カプセルを受容して取り扱うための淹出チャンバを画定する取り外し不可能な部分を含んでもよい。
【0024】
一実施形態によれば、送達デバイスは、液体をチャンバに送達するための液体送達デバイスを備えることができ、好ましくは、液体送達デバイスは、導管を介して第1の注入要素及び第2の注入要素に選択的に流体接続可能であり、
好ましくは、第1の注入要素及び第2の注入要素のうちの少なくとも1つに液体を選択的に送達するために、好ましくは導管内に、弁が設けられてもよい。
【0025】
したがって、第1の注入要素及び/又は第2の注入要素は、飲料成分と相互作用するために、チャンバ内に液体、例えばすすぎ液又は飲用液体を供給することができる。
【0026】
一実施形態によれば、送達デバイスは、空気のような気体をチャンバに送達するための気体送達デバイスを更に備えることができ、気体送達デバイスは、好ましくは導管を介して、第1の注入要素及び第2の注入要素に選択的に流体接続可能であり、
好ましくは、第1の注入要素及び第2の注入要素のうちの少なくとも1つに気体を選択的に送達するために、弁が、好ましくは導管内に設けられてもよい。
【0027】
したがって、第1の注入要素及び/又は第2の注入要素は、飲料製品及び/又はすすぎ液をカプセル及びチャンバから排出するのを助けるために、気体をチャンバ内に注入してもよい。送達された気体は、飲料製品内にエマルジョンを作るために使用されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、気体送達デバイスは、気体が食品等級であるという条件で、圧縮空気、CO(二酸化炭素)、N(窒素)、蒸気を含む群において選択される少なくとも1つの気体を送達するように構成されてもよい。
【0029】
別の実施形態によれば、弁は以下を備えてもよい。
第1の注入要素を気体送達デバイス又は液体送達デバイスのいずれかに選択的に接続するための第1の弁と、
第2の注入要素を気体送達デバイス又は液体送達デバイスのいずれかに選択的に接続するための第2の弁。
【0030】
したがって、第1及び第2の弁は、気体を送達する回路及び液体を送達する回路に共通であってもよい。この配置は、飲料調製マシンの設計を簡略化するのに役立ち得る。
【0031】
更なる態様によれば、本発明は、飲料を調製する方法であって、
先行する請求項のいずれか一項に記載の飲料調製マシンを用意するステップと、
飲料成分を保持するカプセルを用意するステップであって、カプセルは、i)空洞を画定する本体であって、空洞が一方の側に開口部を有する、本体と、ii)開口部を覆い、空洞を閉じるように本体に取り付けられた膜と、を有し、本体は、i)飲料成分を収容する飲料スペースと、ii)飲料スペースと膜との間に広がるヘッドスペースと、iii)飲料スペースをヘッドスペースから分離する仕切り要素であって、好ましくはフィルタ要素を含む、仕切り要素と、を含む、ステップと、
カプセルをチャンバ内に受容するステップと、
膜を通して飲料スペース内に第1の注入要素を挿入するステップと、
膜を通してヘッドスペース内に第2の注入要素を挿入するステップと、
膜を通してヘッドスペース内に放出要素を挿入するステップと、
第1の注入要素を介して飲料スペース内に流体、好ましくは少なくとも液体を送達し、送達された液体が、飲料製品を調製するために飲料成分と相互作用し得るようにするステップと、
放出要素を介してカプセルから飲料製品を放出するステップと、
飲料製品を放出した後に、放出要素をすすぐように、第2の注入要素を介してヘッドスペース内に流体、好ましくは少なくとも液体及び/又は蒸気を注入するステップと、
を含む、方法に関する。
【0032】
したがって、第2の注入要素がすすぎ液、例えば水を注出するとき、すすぎ液は、特に先行する飲料製品の調製の後又は終了時、及び後続の飲料製品の調製の前に、放出要素上及び/又はその周囲を流れることができる。
【0033】
流体が蒸気である又は蒸気を含む場合、蒸気は、一定時間後に凝縮し、次いで、飲料製品の送達を可能にし得る。蒸気は、飲料製品の抽出前にカプセルを熱処理するために、例えば、飲料成分を殺菌するために、又は、特に予備湿潤(pre-wetting)段階において飲料成分を前もって加熱するために使用されてもよい。
【0034】
一実施形態によれば、飲料製品を放出した後に、第2の注入要素を介してヘッドスペース内に流体を注入するステップは、第2の注入要素を介してヘッドスペース内に流体を注入して、注入された流体を放出要素及び/又はその周囲に、好ましくは少なくとも放出要素の放出開口部に噴出又は噴霧するようにするステップを含む。
【0035】
したがって、すすぎ流体は、放出要素上及び/又はその周囲から、先行する飲料製品の痕跡を完全に又は部分的に除去することができ、その後、すすぎ流体は、放出要素及び放出デバイスを介して淹出チャンバから排出することができる。
【0036】
一実施形態によれば、方法は、i)第1の注入要素を介した飲料スペース内への流体、好ましくは液体の送達中、及び/又は、ii)放出要素を介した飲料製品の放出中に、第2の注入要素を介してヘッドスペース内に気体を注入するステップを更に含んでもよい。
【0037】
したがって、注入された気体は、飲料製品がヘッドスペース内に拡散するのを防止又は軽減することができ、これは、その清浄度を高める。
【0038】
一実施形態によれば、第1の注入要素を介して飲料スペース内に流体、好ましくは液体を送達するステップは、飲料製品を生成する前に、飲料成分を予備湿潤するステップと、任意選択で、第2の注入要素及び放出要素のうちの少なくとも1つを介してカプセルから気体を排出するステップと、を含んでもよい。
【0039】
したがって、飲料成分を予備湿潤するステップは、飲料製品のいくつかの特性を向上させることに寄与し得る。蒸気は、予備湿潤のために、あるいはすすぎのために使用され得る。
【0040】
一実施形態によれば、本方法は、i)飲料スペース内に流体、好ましくは液体を注入した後に、ii)飲料製品を放出する間に少なくとも部分的に同時に、並びに/又は、iii)ヘッドスペース内に流体、好ましくは液体及び/若しくは蒸気を送達する間に少なくとも部分的に、飲料スペース内に気体を注入するステップを更に含んでもよい。
【0041】
したがって、注入された気体は、飲料スペースから放出要素内に飲料製品を放出するのに役立ち得る。
【0042】
一実施形態によれば、方法は、ヘッドスペース内に流体、好ましくは液体及び/又は蒸気を注入した後に、第2の注入要素を介してヘッドスペース内に気体を注入するステップを更に含んでもよい。
【0043】
したがって、注入された気体は、ヘッドスペースから放出要素内に飲料製品を放出するのに役立ち得る。
【0044】
(残りの水を取り出すことによる)カプセルのこのすすぎ及びフラッシングにより、飲料調製マシンの容器の内側にあるカプセルの浸軟及び事前の堆肥化が回避され、カプセルの分解中に放出されるエネルギーのレベルが更に改善される。
【0045】
いくつかの実施形態では、放出された飲料製品は、放出要素の下流に配置され、飲料製品を抽出するように構成された注出ユニットに送達されてもよい。したがって、注出ユニットは、飲料製品を更に下流に、好ましくはユーザのカップ内に注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の更なる特徴、詳細及び利点は、添付の図面の実施形態に関連して説明される。
図1】カプセルホルダを含む一実施形態による飲料調製マシンの一部の、図2の矢印Iに沿った概略外観図を示す。
図2図1の線II-IIに沿って切断された概略半切り欠き斜視側面図を、それに適したカプセルと共に示す。
図3図1の線III-IIIに沿って切断された概略半切り欠き斜視側面図を、カプセルと共に示す。
図4図1の線IV-IVに沿って切断された概略半切り欠き斜視側面図を、カプセルと共に示す。
図5図3の細部Vの拡大図を示す。
図6】カプセルを有する図1のカプセルホルダの概略斜視図を示す。
図7図7図8のカプセルを有する図1図6の飲料調製マシンのチャンバの、図4の線VII-VIIにほぼ沿った概略拡大断面図を示す。
図8図1図5に示されるカプセルの概略分解斜視図を示す。
図9】その膜のない図8のカプセルの概略斜視図を示す。
図10】一実施形態による方法を示すフロー図を示す。
図11】液体又は気体が流れ得ない待機状態における、カプセルを有する図1図7の飲料調製マシンの一部の流体図の概略図を示す。
図12】液体が流れ得る状態における図11と同様の図を示す。
図13】気体が流れ得る状態における図11と同様の図を示す。
図14】飲料成分が予備湿潤され得る状態における図11と同様の図を示す。
図15】液体又は気体が流れることなく、液体が飲料成分と相互作用し得る浸出状態における図11と同様の図を示す。
図16】気体がカプセルから飲料製品を流し出し得る状態における図11と同様の図を示す。
図17】飲料製品によって汚れた部分の一部を液体がすすぎ得る状態の図11と同様の図を示す。
図18図16及び図17に示される機能を組み合わせた状態の図11と同様の図を示す。
図19図6のカプセルの概略断面図を、詳細な液体の流れと共に示す。
図20図12及び図13に示される機能を同時に果たす状態における図11と同様の図を示す。
図21図19と同様の図を、詳細な液体及び気体の流れと共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1図6は、飲料製品を調製する飲料調製マシン1の一実施形態、並びにその特定の詳細及び部品を示す。図1図6は、チャンバ2と飲料調製デバイス4とを備える飲料調製マシン1を示す。
【0048】
チャンバ2は、飲料成分102を保持するカプセル101を受容するように構成される。チャンバ2は、飲料調製マシン1のカプセルホルダ6とカバー8との間に形成することができる。チャンバ2は、カプセル101のような形状の容積を有してもよい。
【0049】
カプセル101は、図2及び図3に見られ、図8及び図9に詳述されるように、本体104及び膜106を有してもよい。膜106は、本体104に直接又は間接的に取り付けられてもよい。膜106は、概して円形形状を有してもよい。膜106は、比較的可撓性であってもよく、プラスチック箔及び/又はアルミニウム箔を含む積層体を含んでもよい。
【0050】
本体104は、空洞104.0を画定してもよく、概して円錐台形状を有してもよい。本体104は、側壁104.1と、端壁104.2と、空洞104.0の一方の側の開口部104.5の周りの環状リム104.4とを有してもよい。側壁104.1は、端壁104.2と一体であってもよく、例えば一体型であってもよい。膜106は、環状リム104.4上に接着又は溶接されてもよい。本体104は、比較的剛性であってもよい。本体104は、アルミニウムから作られてもよい。本体104はまた、バイオベースのプラスチック又は繊維ベースの材料から作製されてもよい。好ましくは、本体104の材料は、リサイクル可能、堆肥化可能、及び/又は生分解性である。
【0051】
更に、本体104は、空洞104.0を以下のものに分割するように構成された、仕切り構成要素105を含むことができる。
i)飲料成分102、例えばコーヒー粉末を収容する飲料スペース108と、
ii)飲料スペース108と膜106との間に広がるヘッドスペース110。
【0052】
仕切り要素105は、飲料スペース108をヘッドスペース110から分離することができる。仕切り要素105は、好ましくはフィルタ要素を含む。
【0053】
図示された例では、仕切り構成要素105は、その中央領域において平坦であってもよく、又はわずかに膨らんでいてもよい。仕切り構成要素105は、フィルタ要素を備えてもよく、織布又は不織布材料、例えば、PA、PET、PP、紙などから形成されてもよい。
【0054】
例示的な形状及びサイズとして、カプセル101は、約50~55mmの最大直径を有する、概ね円形形状を有してもよい。飲料スペース108は約9mmの高さを有してもよく、ヘッドスペースは約7.5mmの高さを有してもよく、これはカプセル101の対称軸に平行に測定することができる。
【0055】
カプセルホルダ6は、カプセル101がチャンバ2内の正しい場所に受容されるように、カプセル101、特にその本体104を保持するように構成されてもよい。カプセルホルダ6は、チャンバ2を画定するように飲料調製デバイス4に選択的に接続可能であってもよい。図1図6の実施形態では、カプセルホルダ6は、カバー8及び飲料調製デバイス4に対して軸Xに沿って選択的に並進移動可能であってもよい。したがって、カプセルホルダ6は、以下の間で移動することができる。
i)チャンバ2が開いてカプセル101を受容するように、カプセルホルダ6が飲料調製デバイス4及びカバー8から離れている受容構成(図示せず)と、
ii)チャンバ2を閉じて飲料製品を調製するように、カプセルホルダ6が飲料調製デバイス4及びカバー8に近接し、ここでは接触さえしている接続構成(図1図6)。
【0056】
飲料調製マシン1は、カプセル101がチャンバ2に挿入されることを可能にするように構成された図示されていない挿入導管(insertionconduct)を更に備えてもよい。挿入されたカプセル1は、重力の作用下でチャンバ2に到達することができる。
【0057】
更に、飲料調製デバイス4は、送達デバイス23と、第1の注入要素14と、第2の注入要素16と、放出デバイス18とを有する。
【0058】
送達デバイス23は、少なくとも1つの流体をチャンバ2に送達するように構成される。流体は、例えば、熱水、冷水、蒸気、ミルク(例えば、乳製品又は植物ベースのミルク)、コーヒーなどであってもよい。図1図6の実施形態では、液体は、1℃~120℃(蒸気)、好ましくは40℃~100℃の温度の熱水又は蒸気であってもよい。流体は、飲料製品を生成するようにカプセル101内の飲料成分102と相互作用するのに適していてもよい。飲料調製マシン1、特に送達デバイス23を動作させる例を、図12図21の流体図に関連して以下に詳細に説明する。
【0059】
第1の注入要素14は、流体をチャンバ2内に注入するための送達デバイス23に、選択的に流体接続可能である。同様に、第2の注入要素16は、流体をチャンバ2内に注入するための送達デバイス23に、選択的に流体接続可能である。
【0060】
特に図7に見られるように、第1の注入要素14及び第2の注入要素16は、実質的に直線形状を有してもよい。第1の注入要素14及び第2の注入要素16は、それぞれの中空針又はカニューレを含むことができる。第1及び第2の注入要素14及び16の針は、例えば、それぞれ長さ約11mm及び長さ7mmであってもよく、両方とも約1mmの内径を有する。第1及び第2の注入要素14及び16の針の片持ち梁端部は、例えば、それぞれ約30度及び-30度のベベル角度を有してもよく、これは、膜106及び仕切り構成要素105を貫通するのに役立つ。
【0061】
図7に見られるように、第1の注入要素14は、(例えば)熱水を飲料成分102に送達するために、カプセル101の飲料スペース108内に位置する飲料成分102に向けられた出口開口部14.1を備えてもよい。第2の注入要素16は、放出要素20に向けられた出口開口部16.1を備えてもよい。第2の注入要素16は、放出要素20に向かってすすぎ流体を噴出又は噴霧するように構成されてもよい。したがって、第2の注入要素16又はその出口開口部16.1は、第2の注入要素16を介して(すなわち、その出口開口部16.1を介して)チャンバ2内に注入された流体を放出要素20に噴出又は噴霧することができるように構成され得る。
【0062】
放出デバイス18は、送達された流体をチャンバ2から放出するための放出要素20を有する。放出要素20は、実質的に直線形状を有してもよい。放出要素20は、例えば長さ7mmで内径約2.5mmを有し得る中空針又はカニューレを含んでもよい。放出要素20の針の片持ち梁端部は、重力による適切な流体放出を向上させるために、例えば約170度のベベル角を有してもよい。更に、放出デバイス18は放出導管22を有してもよく、放出導管22は、放出要素20の下流に配置され、放出された飲料製品をユーザのカップ51のような容器(図示せず)に向かって導くことができる。
【0063】
チャンバ2に対する第1の注入要素14及び第2の注入要素16並びに放出要素20の水平方向及び長手方向の配置が、図7に拡大して示されている。図1図7において、軸Xは水平方向及び長手方向を表し、軸Yは水平方向及び横断方向を表し、軸Zは、飲料調製マシン1がそのサービス構成又は動作向きにあるときに上方に(重力と反対に)方向づけられた垂直方向を表す。
【0064】
第1の注入要素14は、第2の注入要素16よりもチャンバ2内に更に突出する。これは、長手方向Xに沿って測定することができる。第1の注入要素14はまた、放出要素20よりもチャンバ2内に更に突出している。これは、長手方向Xに沿って測定することができる。
【0065】
第1の注入要素14、第2の注入要素16、及び放出要素20は全て、飲料調製デバイス4の同じ側、すなわち図3の右側からチャンバ2内に突出し得る。
【0066】
図2図4は、チャンバ2に対する第1の注入要素14及び第2の注入要素16並びに放出要素20の垂直配置を示す。特に図4に示されるように、第2の注入要素16がチャンバ2内に突出する領域16.2は、放出要素20がチャンバ2内に突出する領域20.2よりも高く位置する。これは、垂直方向Zに沿って測定することができる。
【0067】
同様に、第1の注入要素14がチャンバ2内に突出する領域14.2は、放出要素20がチャンバ2内に突出する領域20.2よりも高く位置してもよい。好ましくは、第2の注入要素16及び第1の注入要素14は、実質的に同じ高さでチャンバ2内に突出することができる。
【0068】
図1図6の実施形態では、第2の注入要素16及び第1の注入要素14は、チャンバ2の上部領域、すなわち、図4の領域16.2及び14.2においてチャンバ2内に突出してもよい。放出要素20は、チャンバ2の最下部領域、すなわち、図4の領域20.2においてチャンバ2内に突出してもよい。
【0069】
図11図18及び図20は、1つの特定の実施形態の油圧及び/又は空気圧回路を示す流体図を示す。しかしながら、本発明による飲料調製マシン及び方法は、これらの流体図に限定されず、様々な構成又は流体図を用いて実施されてもよい。
【0070】
図11図18及び図20の流体図に示されるように、送達デバイス23は、液体送達デバイス24(図3)及び気体送達デバイス26(図2)を備えてもよい。液体送達デバイス24は、飲料製品の調製を助ける液体、例えば水を送達するためのポンプ又はブースタポンプユニット(boosterpump unit、BPU)を含んでもよい。気体送達デバイス26は、飲料製品の調製、カプセルの洗浄及び/又はすすぎを助ける気体、例えば空気を送達するためのポンプ又はブースタポンプユニット(BPU)を含んでもよい。
【0071】
液体送達デバイス24は、図11に示される導管を介して、第1の注入要素14及び第2の注入要素16に選択的に流体接続可能であり得る。同様に、気体送達デバイス26は、図11に示される導管を介して、第1の注入要素14及び第2の注入要素16に選択的に流体接続可能であり得る。
【0072】
これらの油圧及び空気圧接続を行うために、飲料調製デバイス4は、図11に示されるような導管及び弁を更に備えてもよい。弁は、液体及び/又は気体を第1の注入要素14及び/又は第2の注入要素16に選択的に送達するように、導管にそれぞれ設けられる。弁は、以下を含むことができる。
第1の注入要素14を送達デバイス23に、したがって気体送達デバイス26又は液体送達デバイス24のいずれかに選択的に接続するように構成された第1の弁30と、
第2の注入要素16を送達デバイス23に、したがって気体送達デバイス26又は液体送達デバイス24のいずれかに選択的に接続するように構成された第2の弁32と、
第2の注入要素16を気体排出ポート35-outに選択的に接続するように構成された第3の弁34と、
放出要素20を注出導管又は液体排出ポート37-outのいずれかに選択的に接続するように構成された第4の弁36。
【0073】
図11図18及び図20の例では、第1、第2、第3及び第4の弁30、32、34、36は、三方弁によって形成されてもよい。それにもかかわらず、流体図の設計に応じて、第1、第2、第3及び第4の弁30、32、34、36は、1つ以上の入口ポート及び1つ以上の出口ポート、並びに当該入口ポート及び出口ポートを選択的に接続するためのモータを有することができる。
【0074】
導管及び弁の個々の配置は、図11図18及び図20に正確に示されているので、本明細書では説明しない。
【0075】
図11は、送達デバイス23から、したがって液体送達デバイス24及び気体送達デバイス26から遠ざけるように液体及び気体流を向けるように、飲料調製デバイス4内に配置され得る逆止弁(checkvalve)又は逆止弁(non-return valve)を更に示す。図11はまた、ポンプを含み得る主水源38を示す。
【0076】
電子制御ユニット(Electronic Control Unit、ECU)40が飲料調製マシン1に含まれてもよい。ECU40は、好ましくはカバー8に向かい、かつカバー8から離れるカプセルホルダ6の移動を制御することによって、チャンバ12の開閉を制御するように構成されてもよい。ECU40は更に、第1、第2、第3及び第4の弁30、32、34、36の開閉を選択的に制御するように構成されてもよい。
【0077】
ECU40はまた、好ましくは液体及び気体のそれぞれの圧力及び/又は温度を設定するために、送達デバイス23、したがって場合によっては液体送達デバイス24及び気体送達デバイス26を制御するように構成されてもよい。特に、ECU40は、所与のカプセルのための特定のレシピに関する情報を受信し、それに応じてこれらの圧力及び/又は温度を設定することができ、情報は、例えば、カプセル101上に符号化される。
【0078】
図10は、飲料製品を調製するための方法201を示す。方法201は、以下のステップを含んでもよい。
第1のステップ202において、飲料調製マシン1が提供される。
第2のステップ204において、カプセル101が、例えばユーザによって提供される。
第3のステップ206において、カプセル101が、カプセルホルダ6及び/又は図示されていない挿入導管に挿入され、次いで、カプセル101が、カプセルホルダ6によって保持され得るチャンバ2内に受容される。
第4のステップ208において、第1の注入要素14が、膜106を通して飲料スペース108内に挿入される。
第5のステップ210において、第2の注入要素16が、膜106を通してヘッドスペース110内に挿入される。第5のステップ210は、カプセルホルダ6及びカバー8が互いに接続されるとき、すなわちチャンバ2が閉じられるときに、第4のステップ208と同時に行われてもよい。
第6のステップ212において、放出要素20が、膜106を通してヘッドスペース110内に挿入される。第6のステップ212は、カプセルホルダ6及びカバー8が互いに接続されるとき、すなわちチャンバ2が閉じられるときに、第4のステップ208及び/又は第5のステップ210と同時に行われてもよい。
第7のステップ214において、流体、例えば熱水及び/又は蒸気が、第1の注入要素14を介して飲料スペース108内に送達され、送達された液体が、飲料製品を調製するために飲料成分102と相互作用し得るようにする。この相互作用は、コーヒー、茶、スープなどのような飲料製品を調製するために、浸出、抽出、溶解などによって生じ得る。
第8のステップ216において、飲料製品が、放出要素20を介してカプセル101から放出される。飲料製品は、ユーザのカップ51内に注出されるように、注出ユニットを通して運ばれてもよい。
第9のステップ218において、飲料製品を放出した後に、放出要素20をすすぐように、飲料調製デバイス4が第2の注入要素16を介してヘッドスペース108内に液体、例えば水を注入してもよい。
第10のステップ220において、使用済みカプセル101をチャンバ2から排出させるために、チャンバ2が開かれてもよい。
【0079】
第9のステップ218において飲料製品を放出した後に、第2の注入要素16を介してヘッドスペース110内に流体を注入するステップ218は、第2の注入要素16を介してヘッドスペース110内に流体を注入して218、注入された流体を放出要素20及び/又はその周囲に、好ましくは少なくとも放出要素20の放出開口部20.1(図7)に噴出又は噴霧するようにするステップを含む。
【0080】
方法201のいくつかのステップが図11図18及び図20に示されており、以下の記号が使用される。
細い線及び太い線は導管を表す。
矢印は、流体(液体、蒸気又は気体)が従い得る方向を表す。
太線は、流体(液体、蒸気、又は気体)が導管内を流れていることを示す。
【0081】
第1、第2、第3、及び第4の弁30、32、34、36は、黒い色をしているそれらの開放ポートと、白い色をしているそれらの閉じられた遮断ポートとを有する。
【0082】
以下の表1及び表2は、「待機」、「水オン」、「空気オン」、「予備湿潤」、「注入」、「空気フラッシュ」、「水フラッシュ」、「空気/水フラッシュ」、及び「水/空気オン」とそれぞれラベル付けされた、図11図18及び図20に表された様々な基本機能を実行するために、ECU40が飲料調製デバイス4をどのように制御し得るかの例を示す。これらのラベルは、表1及び表2の第1の行、並びに図11~18及び図20の両方に示されている。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1及び表2の第1の列において、
「EV A-水弁」という用語は、第1の弁30を示す。
「EV B-空気弁」という用語は、第2の弁32を示す。
「EV C-排出弁」という用語は、第3の弁34を示す。
「モータ位置」という用語は、第4の弁36を示し、以下の位置に置くことができる。
「クランプ」は、第4の弁36が閉じられていることを示す。
「中間」は、第4の弁36が飲料製品をユーザのカップ51に向けて注出することを示す。
「すすぎ」は、第4の弁36が液体排出ポート37-outに向かって排出液体を許容することを示す。
「水ポンプ(BPU)」という用語は、液体送達デバイス24を示す。
「空気ポンプ」という用語は、気体送達デバイス26を示す。
「ボイラー温度」という用語は、流体、好ましくは液体及び/又は蒸気が加熱され得る温度、例えば90℃、100℃、又は120℃を示す。
「主水ポンプ」という用語は、主水源38を示す。
数字「1」は、対応する弁若しくはデバイスに又はそこから流体が流れていることを示す。
記号「-」は、対応する弁若しくはデバイスに又はそこから流体が流れていないことを示す。
【0086】
方法201は、i)第1の注入要素14を介した飲料スペース108内への流体、好ましくは液体の送達中、及び/又は、ii)放出要素20を介した飲料製品の放出中に、第2の注入要素16を介してヘッドスペース110内に気体を注入するステップ222を更に含んでもよい。
【0087】
流体、好ましくは液体を飲料スペース108内に送達するステップ222は、飲料製品を生成する前に、流体、液体及び/又は蒸気によって飲料成分102(図7図8)を予備湿潤するステップ224を含んでもよい。更に、任意選択のステップ226は、第2の注入要素16及び放出要素20のうちの少なくとも1つを介して、カプセル101から気体を排出することを含んでもよい。
【0088】
方法201は、i)飲料スペース108内に流体、好ましくは液体を注入した後に、ii)飲料製品を放出する間に少なくとも部分的に同時に、及び/又は、iii)ヘッドスペース110内に流体、好ましくは液体を送達する間に少なくとも部分的に、飲料スペース108内に気体を注入するステップ228を更に含んでもよい。
【0089】
方法201は、ヘッドスペース110内に流体、好ましくは液体を注入した後に、第2の注入要素16を介してヘッドスペース110内に気体を注入するステップ230を更に含んでもよい。
【0090】
更なるステップ232において、放出された飲料製品は、放出要素20の下流に配置され、飲料製品を、例えばユーザのカップ51内に注出するように構成された注出ユニット51に送達されてもよい。
【0091】
図11図21の流体図を参照する。図11は、「待機」の機能を示す。第4、第5及び第6のステップ208、210及び212は、第1及び第2の注入要素14及び16並びに放出要素20が膜106を通して挿入された状態で実行されている。流体、液体、蒸気及び/又は気体は、回路内又は弁を通って流れなくてもよい。
【0092】
図12は、「水オン」の機能を示す。流体、例えば水は、送達デバイス23から、ここでは液体送達デバイス24から、第1の注入要素14を介して飲料スペース108内に流れることができる。飲料成分102は濡れてもよく、一部の飲料製品は、放出要素20及び弁36を介して放出され、次いで、ユーザのカップ51内に注出されてもよい。
【0093】
図13は、「空気オン」の機能を示す。空気は、送達デバイス23、ここでは気体送達デバイス26から、第2の注入要素16を介してヘッドスペース110内に流れることができる。これにより、カプセル内に残っている飲料製品を押し出すことができ、一部の飲料製品は、依然として放出要素20を介して放出され、次いで、ユーザのカップ51内に注出され得る。
【0094】
特に、気体、例えば空気は、カプセルをその環境、例えばチャンバ2に対して気密に保つように選択された圧力下で送達されてもよい。例えば、チャンバ2が周囲圧力下にある場合、空気圧は周囲圧力よりもわずかに高く、したがって最小であってもよい。
【0095】
したがって、カプセル101は、特に、第1及び第2の注入要素14及び16並びに放出要素20を形成する針の周囲で、送達された気体によって、並びにこれらの針を保持する針板の相補的形状によって、気密に保たれ得る。飲料調製後に、送達された気体は、第4の弁36及び気体排出ポート35-outを介して、カプセル101から排出され得る。この気体を排出するために、カプセル101の気密性を損なう恐れがあるハンマー効果を回避するために、弁及びポンプを穏やかに作動させることができる。
【0096】
図14は、「予備湿潤」の機能を示す。流体、液体及び/又は蒸気は、第4の弁36が閉じられると、送達デバイス23から第1の注入要素14を介してカプセル101の飲料スペース108内に流れ、そこに留まることができる。空気は、第2の弁34を介して気体排出ポート35-outに排出されてもよい。飲料成分102は濡れてもよい。流体が蒸気である又は蒸気を含む場合、蒸気は、一定時間後に飲料成分102の周囲で凝縮し、次いで、飲料製品の送達を可能にし得る。
【0097】
図15は、「浸出」の機能を示す。水及び/又は蒸気が既に送達されており、飲料成分102と接触しているので、流体、液体、蒸気及び/又は気体は、回路内又は弁を通って流れる可能性はない。飲料成分102は、水と相互作用して飲料製品を生成することができ、飲料製品の送達は許可されない。
【0098】
図16は、「空気フラッシュ」の機能を示す。空気は、気体送達デバイス26から第1の注入要素14を介して流れて、飲料製品を飲料スペース108から流し出すことができる。第4の弁36が開くと、飲料製品は、放出要素20を介して放出され、ユーザのカップ51内に注出され得る。
【0099】
図17は、「水フラッシュ」の機能を示す。流体、液体及び/又は蒸気は、送達デバイス23から第2の注入要素16を介して流れて、ヘッドスペース110をすすぐことができる。特に、流体は、図19に垂直矢印によって示されるように、放出要素20上及びその周囲に噴出又は噴霧することができる。第4の弁36が「すすぎ」位置にあるとき、すすぎ流体、例えば水は、放出要素20及び液体排出ポート37-outを介して排出され得る。あるいは、すすぎ流体は、すすぎ流体が飲料製品と同じ特性を有する場合、飲料製品の一部として送達され得る。
【0100】
図18は、「空気/水フラッシュ」の機能を示し、これは、第4の弁36が「すすぎ」位置にあるとき、全ての流体、例えば、液体が放出要素20及び液体排出ポート37-outを介して排出され得ることを除いて、図16及び図17に関連して前述した「空気フラッシュ」及び「水フラッシュ」の機能を組み合わせる。特に、水は、図21の左側の垂直矢印によって示されるように、放出要素20上及びその周囲に噴出又は噴霧することができ、一方、右側の矢印によって示されるような空気は、すすぎ液流体、好ましくは液体及び/又は蒸気をカプセルから流し出してもよい。
【0101】
図20は、「水/空気オン」の機能を示し、これは、図12及び図13に関連して上述した「水オン」及び「空気オン」の機能を同時に実行する。「水/空気オン」の機能は、「水オン」及び「空気オン」の機能を次々に続いて実行することの代替である。特に、水は飲料スペース108の内部を流れることができ、空気は、飲料スペース108から来る流体、好ましくは液体及び/又は蒸気を、仕切り要素105を通してカプセルから押し出すことができる。
【0102】
本発明は、添付の特許請求の範囲によって包含される限り、上述した実施形態に限定されない。
図1
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【国際調査報告】