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特表2024-522577膜エレメントを提供するための製品および製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】膜エレメントを提供するための製品および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/06 20190101AFI20240614BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B32B7/06
B32B5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575359
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022063842
(87)【国際公開番号】W WO2022258354
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021003009.5
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511034561
【氏名又は名称】ザルトリウス ステディム ビオテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケスティング アルフォンス
(72)【発明者】
【氏名】ソン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブリメリヒ マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラン ルイ
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AJ04C
4F100AJ06C
4F100AK54C
4F100AK55C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CB00D
4F100CB00E
4F100DC21B
4F100DC21C
4F100DJ00C
4F100EJ323
4F100EJ32C
4F100JL14A
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00E
(57)【要約】
本発明は、膜エレメントを提供するための製品に関し、膜エレメントは、キャリアフィルムと、膜フィルムであって、支持層と、膜層とを少なくとも含む膜フィルムと、を備え、膜フィルムはキャリアフィルムに剥離可能に結合され、膜フィルムは、複数の実質的に別個の膜エレメントを有する。本発明はまた、対応する製造プロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアフィルム(8)並びに、
少なくとも支持層(6)及び膜層(4)を含む膜フィルムを備え、
前記膜フィルムは、前記キャリアフィルム(8)に剥離可能に結合され、
前記膜フィルムは、複数の実質的に別個の膜エレメント(2)を備える、膜エレメントを提供するための製品(1)。
【請求項2】
前記支持層(6)は、前記キャリアフィルム(8)と前記膜層(4)との間に配置されている、請求項1に記載の製品(1)。
【請求項3】
前記膜層(4)は多孔質の吸収性材料を備え、および/または
前記膜層(4)は、
セルロース、特に硝酸セルロースおよび/または酢酸セルロース、および/または
ポリスルホン、特にポリエーテルスルホン(PESU)
を備える、請求項1または2に記載の製品(1)。
【請求項4】
前記膜層(4)は、約50μm~約200μmの厚さを有し、および/または
前記キャリアフィルム(8)は、シリコーンコーティングを有するキャリア材料を含む、上記請求項のいずれかに記載の製品(1)。
【請求項5】
前記キャリアフィルム(8)は、約100μm~約300μm、特に約150μmの厚さを有し、および/または
前記支持層(6)は、約10μm~約20μm、特に約12μmの厚さを有する、上記請求項のいずれかに記載の製品(1)。
【請求項6】
前記膜フィルムの前記支持層(6)は、接着剤によって剥離可能に前記キャリアフィルム(8)に結合され、および/または
前記膜フィルムの前記膜層(4)は、接着剤(10)によって前記膜フィルムの前記支持層(6)に結合される、上記請求項のいずれかに記載の製品(1)。
【請求項7】
前記接着剤(10)は、接触接着剤および/または溶融接着剤を含む、請求項6に記載の製品(1)。
【請求項8】
前記接着剤(10)は、約8μm~約20μm、特に約10μmの層厚を有する、請求項6または7のいずれかに記載の製品(1)。
【請求項9】
前記膜エレメント(2)は、少なくとも部分的に構造化された表面を有する、上記請求項のいずれかに記載の製品(1)。
【請求項10】
前記膜エレメント(2)は、前記膜層(4)内に1つまたは複数の構造(16)を有する、上記請求項のいずれかに記載の製品(1)。
【請求項11】
前記膜層(4)内の前記1つまたは複数の構造(16)は、前記膜層(4)に対する少なくとも部分的なアブレーションによって形成され、および/または
構造(16)は、特に流体を案内し、および/または流体の流れを制御するための、1つまたは複数の流線(18)を形成し、および/または
構造(16)は、1つまたは複数の混合ゾーンおよび/または反応ゾーン(20)を形成する、請求項10に記載の製品(1)。
【請求項12】
膜エレメント(2)を提供するための製品(1)を製造するための方法であって、
支持層(6)を提供する工程と、
キャリアフィルム(8)を前記支持層(6)の第1の面に剥離可能に結合する工程と、
膜層(4)を前記支持層(6)の第2の面に結合する工程と、
前記支持層および前記膜層(4)に対する少なくとも部分的なアブレーションによって複数の膜エレメント(2)を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項13】
前記膜エレメント(2)は、レーザ切断によって形成および/または構造化される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記支持層(6)および/または前記膜層(4)に接着剤(10)を塗布して、前記支持層(6)を前記膜層(4)に結合する工程、および/または
前記支持層(6)および/または前記キャリアフィルム(8)に接着剤(10)を塗布して、前記支持層(6)を前記キャリアフィルム(8)に剥離可能に結合する工程
をさらに含む、請求項12または13のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜エレメントを提供するための製品およびそのような製品を製造するための方法に関する。
【0002】
固定されたDNA、RNAおよび/または固定されたタンパク質を有する膜材料を使用する試験方法は、試料中の特定の物質、特に抗体を検出するためにしばしば使用される。この分子生物学的方法は、特に臨床検査医学および医薬研究において、例えば「ラテラルフローアッセイ」または試験片として使用される。
【0003】
膜材料はまた、「官能化」され得る、すなわち、試料の挙動、特にマイクロ流体挙動に影響を及ぼすおよび/または制御する表面構造を有することができる。これにより、例えば、試料の反応強度を高めることができる。
【0004】
試験を分析するために、試料の塗布後に膜を分析器に挿入する。これは、膜を分析器内に確実かつ正確に位置決めするために、膜を適切な形状に切断することを必要とする。
【0005】
しかしながら、成形するために膜を切断すると、作業量が増加し、試験能力が低下する。膜は位置がずれるおよび/または詰まる可能性があるため、膜が分析器および/または試験カートリッジにしっかりと挿入されていることを確認できないことも多い。
【0006】
特定された欠陥に照らして、本発明の目的は、膜エレメントの改善された提供のための製品およびそのような製品を製造する方法を提供することである。
【0007】
この問題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に定義される。
【0008】
本発明の第1の態様は、膜エレメントを提供するための製品に関し、膜エレメントは、キャリアフィルム並びに、少なくとも支持層及び膜層を含む膜フィルムを備え、膜フィルムはキャリアフィルムに剥離可能に結合され、膜フィルムは、複数の実質的に別個の膜エレメントを有する。
【0009】
製品は、特に、複数(好ましくは2以上、さらに好ましくは20超、さらに好ましくは100超)の膜エレメントを提供するように適合され、膜エレメントは、製品から個別に剥離および/または分離することができる。膜フィルムの支持層は、有利には、膜フィルムがキャリアフィルムから剥離され得る、特に剥離され得るように、キャリアフィルムに剥離可能に結合される。
【0010】
個々の膜エレメントは、好ましくは、それらが試験カートリッジおよび/または分析器および/または試料ホルダに実質的に正確に挿入され得るように適合および/または形成および/または成形される。
【0011】
特に好ましくは、製品は、細長いおよび/または長円形および/またはテープ状の形状を有し、さらに好ましくはロールから巻き出されるように適合される。これにより、例えば分析方法で使用するための、省スペースの保管および膜エレメントの有利な提供が可能になる。
【0012】
支持層は、好ましくは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)、PA(ポリアミド)、および/または同様の材料、特に、低い厚さならびに高度の可撓性および耐久性を有する材料を含む、および/またはこれらからなる。
【0013】
支持層は、有利には、約10μm~約20μm、特に約12μmの厚さを有する。
【0014】
支持層は、有利には、キャリアフィルムと膜層との間に少なくとも局所的に配置される。
【0015】
膜層は、好ましくは、多孔質材料、特に微多孔質材料、および/または吸収剤、特に高吸収性材料を含む。
【0016】
多孔質の吸収性材料は、例えば、スポンジ構造を有し、流体を収集および/または吸収するように適合される。膜層は、好ましくは、マイクロフィルタ膜層を含み、および/または膜層は、約0.1μm~約20μm、好ましくは約5μm~15μmの孔径、特に公称、中程度および/または最大孔径を有し、これは特に、膜層上および/または膜層中および/または膜層に沿って流体を輸送するための膜層の有利な毛細管効果を生成する。
【0017】
膜層は、有利には、セルロース、特に硝酸セルロース(ニトロセルロース)および/または酢酸セルロース、および/またはポリスルホン、特にポリエーテルスルホン(PESU)、デキストランポリマー、および/または同様の特性および/または同様の特質を有する材料、特に実質的にスポンジ様の材料および/または流体の横方向の流れを可能にする材料を含むおよび/またはそれらからなる。特に、高いタンパク質結合能を有する材料は、上述の分析方法に有利である。
【0018】
膜層は、有利には、約50μm~約200μmの厚さを有する。
【0019】
キャリアフィルムは、好ましくはシリコーンコーティングを有するキャリア材料、より好ましくはシリコーン処理紙を含む。
【0020】
シリコーンコーティングまたは同様のコーティングは、特に、支持層からのキャリアフィルムの有利な剥離、特に、キャリア材料からの膜フィルムの本質的に非破壊的な剥離を容易にする。
【0021】
キャリアフィルムは、有利には、約100μm~約300μm、さらに好ましくは約120μm~約200μm、特に約150μmの厚さを有する。
【0022】
膜フィルムの支持層は、好ましくは接着剤によってキャリアフィルムに剥離可能に結合される。
【0023】
本出願の意味において、剥離可能に結合されているとは、実質的に、熱および/または溶媒の影響を受けずに剥離する能力を指す。特に、剥離可能に結合されているとは、例えばピンセットまたは同様のツールを使用することによって、互いに剥離可能に結合された2つの層を実質的に非破壊的に分離する能力を説明する。例えば、ポストイットノートのスタックは、剥離可能に結合された複数のノートシートからなる。
【0024】
膜フィルムの膜層は、接着剤によって膜フィルムの支持層に結合されることがさらに好ましい。支持層のキャリアフィルムへの実質的に剥離可能な結合とは対照的に、膜層の支持層への結合は、特に強度および/または耐久性の向上を示す。言い換えれば、膜層の支持層への接合および/または結合は、好ましくは支持層のキャリアフィルムへの接合および/または結合よりも、好ましくは5倍、さらに好ましくは10倍以上耐性がある。膜層と支持層との間の結合は、実質的に剥離不能であること、すなわち、膜層と支持層との実質的に非破壊的な分離および/または膜フィルムの層の分離が不可能であることがさらに好ましい。
【0025】
これは、膜エレメントを製品から剥離および/または分離するとき、膜層の支持層からの偶発的および/または望ましくない剥離および/または分離が防止され、そうでなくても少なくともより困難になるので有利である。これは、支持層および/または膜層と比較して、キャリアフィルムに対する接着剤のより低い接着性によって達成されることが好ましい。代替的および/または追加的に、異なる接着剤を使用することができ、膜層と支持層との間の接着剤は、支持層とキャリアフィルムとの間の接着剤よりも強い接合をもたらす。代替的および/または追加的に、キャリアフィルムは、シリコーンなどの接着剤の接着を低減する剥離剤および/またはコーティングを有することができる。
【0026】
接着剤は、好ましくは、支持層をキャリアフィルムに剥離可能に結合するため、および/または膜層を支持層に結合するための接触接着剤および/または溶融接着剤を含む。
【0027】
接着剤は、一般に、本質的に恒久的に接着性であり、それらと結合および/または接合された接着結合部分は、実質的に互いに、残留物を含まず、および/または非破壊的に結合解除および/または分離され得る。分散接着剤および/または溶融接着剤が特に好ましい。接着剤は、有利には、少なくともわずかに疎水性、すなわち撥水性であり、および/または流体、特に水と混合しない、および/または吸収しない。これは、試験される流体へのいかなる影響も防止され、そうでなくても少なくとも低減されるので、特に有利である。特に、接着剤、特に接触接着剤は、揮発性界面活性剤および/またはアルコールを含まない。
【0028】
溶融接着剤は、特に、接着接合部品の迅速かつ確実な結合および/または接合を容易にする。溶融接着剤はまた、一般に、高い耐薬品性を有し、したがって、膜エレメントに塗布される流体への影響を防止するか、または少なくとも低減する。
【0029】
特定の溶融接着剤の接着特性はまた、熱曝露によって低下させることができ、したがって、接着結合部分の実質的に非破壊的な剥離を達成する。溶融接着剤は、支持層を膜層に接合するのに特に有利であるが、これは、これらの層が必ずしも互いに剥離可能および/または結合不可能である必要はないからである。
【0030】
接着剤は、さらに好ましくは、約8μm~約20μm、好ましくは約9μm~約14μm、特に約10μmの層厚を有する。
【0031】
製品の剥離可能および/または結合不可能な膜エレメントは各々、好ましくは、膜層の少なくとも1つの領域、支持層の対応するおよび/または結合された領域、ならびに膜層のこれらの領域を支持層に連結するために設けられた接着剤の少なくとも一部を含む。
【0032】
膜エレメントは、支持層をキャリアフィルムに結合するために設けられた接着剤の少なくとも一部をさらに含むことが好ましい。これは、膜エレメントの安全な設置を達成するために、膜エレメントの分析器への剥離可能な結合および/または接着を可能にするので、特に有利である。
【0033】
有利には、膜エレメントは、その外周の少なくとも一部に沿って、1つまたは複数の他の膜エレメントおよび/または製品の膜フィルムの少なくとも別の領域から離間している。言い換えれば、膜エレメントは、好ましくは実質的に別個である。
【0034】
膜エレメントは、好ましくは、膜層および支持層の領域をアブレーションおよび/または切断および/または溶融することによって形成される。さらに、膜エレメントは、その外周に、隣接する膜エレメントおよび/または膜エレメントを取り囲む製品の膜フィルムに対して実質的に連続したおよび/または中断されない間隙を有する。
【0035】
代替的および/または追加的に、膜エレメントの外周は、少なくとも局所的に穿孔されていてもよく、すなわち、複数の孔が設けられていてもよく、これにより、製品からの膜エレメントの単純な剥離および/または分離も可能になる。
【0036】
これに関連して、レーザ切断によって膜エレメントを画定および/または形成および/または成形すること、すなわち、レーザ放射で膜層および支持層をアブレーションおよび/または切断および/または溶融することが特に有利である。膜エレメントの材料および/または形状に応じて、レーザ放射の出力、波長、パルスエネルギー、および/またはパルス持続時間を適宜調整することができる。代替的および/または追加的に、機械加工および/または化学的方法を使用することができる。
【0037】
例えば、膜エレメントは、例えば、膜エレメントの側方領域が互いに分離されるように、膜エレメントの中央領域の膜層および支持層を除去することによって、1つまたは複数の流線を有するように形成および/または成形および/または画定される。
【0038】
代替的および/または追加的に、膜エレメントは、有利には、好ましくは膜層を少なくとも部分的におよび/または局所的にアブレーションすることによって生成された少なくとも部分的に構造化された表面を有する。特に、膜エレメントは、膜層内に1つまたは複数の構造を有することができる。構造は、特に流体を案内し、および/または流体の流れを制御するための1つまたは複数の流線を形成することが好ましい。結果として、流体は、膜層上および/または膜層内および/または膜層に沿って有利に案内され得る。
【0039】
特に、異なる流体経路は、特に流体経路間の影響を防止する、そうでなくても少なくとも低減するために、互いに実質的に区切られ得る。複数の流線は、有利には、流体を実質的に同一の条件下で試験することができるように、実質的に均一、すなわち同形になるように適合される。
【0040】
膜エレメントの形状は、例えば、少なくとも膜層および支持層からなる膜フィルムをアブレーションおよび/または切断することによって形成することができる。代替的および/または追加的に、膜エレメントの膜層内の1つまたは複数の構造は、例えば、膜層の厚さの少なくとも一部をアブレーションおよび/または切断することによって提供および/または適合させることができる。
【0041】
これに関連して、レーザ切断、すなわちレーザ放射によるエネルギーによるアブレーションおよび/または切断および/または溶融によってアブレーションおよび/または切断および/または溶融することが特に有利である。生成される材料および/または形状および/または構造に応じて、レーザ放射の出力、波長、パルスエネルギー、および/またはパルス持続時間を適宜調整することができる。
【0042】
特に好ましくは、複数の膜エレメントは、実質的に同一の形状および/または構造を有する。代替的および/または追加的に、1つまたは複数の膜エレメントは、逸脱した形状および/または構造を有することができる。例えば、製品が異なる膜エレメントを提供する場合に有利であり、異なる膜エレメントは、例えば連続するプロセス工程で必要とされ、および/または異なる試験カートリッジまたは分析器に挿入される。特に、異なる膜エレメントは、製品内および/または製品上にグループおよび/または繰り返し配置で配置することができる。
【0043】
代替的および/または追加的に、膜エレメントは、有利には、好ましくは1つまたは複数の構造によって形成される1つまたは複数の混合および/または反応ゾーンおよび/または1つまたは複数の塗布ゾーンを含む。
【0044】
特に、混合および/または反応ゾーンでは、2つ以上の流体を組み合わせて互いに混合および/または反応させることができる。混合および/または反応ゾーンは、1つまたは複数の流体と反応する物質をさらに含むことができる。(例えば、「ディスペンサ」および/または「スポッター」による)DNA、RNAおよび/またはタンパク質の包埋および/または配列および/または固定が特に好ましい。あるいは、他の手段によって、例えばピペットで液滴を適用することによって、物質を混合および/または反応ゾーンに導入することができる。
【0045】
塗布ゾーンは、特に、流体が塗布される膜層上の領域とすることができ、流体は、好ましくは、塗布ゾーンから膜層内に少なくとも局所的におよび/または膜エレメントの表面全体に分布する(側方流)。
【0046】
膜エレメントは、流体を案内するための実質的に直線状のおよび/または少なくとも局所的に湾曲したおよび/または円弧状の線を含むことができる。様々な構造を設けることができ、および/または膜エレメントの領域を、例えば流線に沿った流体の規定された流速などの要件に従って形成および/または適合させることができる。形成されたおよび/または成形された流線および/または構造は、特に、膜層上および/または膜層内の流体のマイクロ流体挙動に影響を与えるおよび/または制御することができる。
【0047】
製品は、本質的に連続的な穿孔をさらに含むことができ、それによって、例えば、ディスペンサ内で製品を搬送することによって膜エレメントの有利な提供を達成することができる。代替的および/または追加的に、対応する嵌合部品は、試験カートリッジおよび/または分析器内に存在することができ、正確な位置決めおよび/または挿入を可能にする。
【0048】
さらなる態様は、膜エレメントを提供するための製品、特に本発明の第1の態様による製品を製造するための方法に関し、方法は、支持層を提供する工程と、特に接触接着剤および/または溶融接着剤によって、キャリアフィルムを支持層の第1の面に剥離可能に結合させる工程と、特に接触接着剤および/または溶融接着剤によって、膜層を支持層の第2の面に結合する工程と、支持層および/または膜層を少なくとも局所的にアブレーションすることによって、複数の膜エレメントを形成する工程と、を含む。好ましくは、膜層および支持層は、実質的に剥離不可能な方法で互いに結合される、すなわち、結合は、層の少なくとも1つを少なくとも部分的に破壊することなくしては本質的に生じ得ない。
【0049】
製造方法は、好ましくは、まず、支持層、例えば薄いPETフィルムを提供する工程と、支持層の面にキャリアフィルム、例えばシリコーン処理紙を結合する工程とを含む。本方法は、支持層の反対側に、例えばニトロセルロースを含む膜層を結合する工程をさらに含むことが好ましい。本方法は、さらに好ましくは、続いて、膜フィルム(膜層および支持層)に複数の膜エレメントを形成する工程を含む。膜エレメントは、好ましくは、膜層および支持層の領域をアブレーションおよび/または切断および/または溶融することによって形成される。
【0050】
これに関連して、レーザ切断によって膜エレメントを画定および/または形成および/または成形すること、すなわち、レーザ放射によって膜層の領域および支持層の対応する領域をアブレーションおよび/または切断および/または溶融することが特に有利である。膜エレメントの材料および/または形状に応じて、出力、波長、パルスエネルギー、および/またはパルス持続時間を適宜調整することができる。代替的および/または追加的に、機械加工および/または化学的方法を使用することができる。
【0051】
あるいは、本方法は、以下の膜フィルムを形成する工程を含むことができ、本工程は、支持層および膜層を提供する工程と、支持層を膜層に結合する工程と、膜フィルムの支持層をキャリアフィルムに剥離可能に結合する工程と、支持層および膜層(膜フィルム)を少なくとも局所的にアブレーションすることによって、膜フィルムの複数の膜エレメントを形成する工程とを含む。
【0052】
プロセス工程の順序は様々であり得る。膜エレメントは、好ましくは、形成されたおよび/または成形された膜エレメントがキャリアフィルムによって固定および/または支持されるように、膜層、支持層およびキャリアフィルムが結合された後に形成および/または成形される。
【0053】
有利には、本方法は、膜エレメントの膜層の少なくとも一部および/または膜フィルムの少なくとも一領域をアブレーションすることによって膜エレメントを構造化する工程をさらに含む。
【0054】
膜エレメントの少なくとも一部は、特に、膜層が支持層に結合される前に構造化することができる。これは、支持層の完全性が構造化によって影響されないという利点を有する。
【0055】
代替的および/または追加的に、構造化は、膜層がキャリアフィルムに結合された後に起こり得る。これは、膜フィルムがキャリアフィルムによってさらに強化および/または安定化されるという利点を有する。
【0056】
膜エレメントは、レーザ切断によって有利に形成および/または成形および/または構造化される。
【0057】
有利には、本方法は、
支持層および/または膜層に接着剤を塗布して、支持層を膜層に好ましくは実質的に剥離不能に結合する工程、および/または
支持層および/またはキャリアフィルムに接着剤を塗布して、支持層をキャリアフィルムに剥離可能に結合する工程、
のうちの1つまたは複数をさらに含む。
【0058】
膜層と支持層との間の結合の強度および/または耐久性および/または抵抗強度は、好ましくは、支持層とキャリアフィルムとの間の強度および/または耐久性および/または抵抗強度よりも、特に5倍を超えて大きい。言い換えれば、膜層を支持層から分離および/または剥離するためには、支持層をキャリアフィルムから分離および/または剥離するよりも大きな力、特に5倍を超える力が必要である。
【0059】
接着剤は、好ましくは、支持層および/または膜層および/またはキャリアフィルムの片面または複数の面に、好ましくは約8μm~約20μm、特に約10μmの層厚で少なくとも局所的に塗布される。接着剤は、有利には、接触接着剤および/または溶融接着剤を含む。接着剤は、有利には、噴霧および/またはブラッシングおよび/または他の手段によって実質的に均一に塗布される。
【0060】
図面を参照して、以下では、課題を解決するための個々の実施形態の例を説明する。場合によっては、記載された個々の実施形態は、特許請求される範囲を実行するために必須ではないが、特定の用途において所望の特性を提供する特徴を有する。したがって、以下に記載される実施形態のすべての特徴を有さない実施形態も、記載された技術的教示に該当するものとして開示されると考えられる。さらに、不必要な繰り返しを避けるために、特定の特徴は、以下に説明する個々の実施形態に関連してのみ言及される。したがって、個々の実施形態は、単独で検討されるだけでなく、組み合わせた検討にも基づいて検討されなければならないことに留意されたい。この組み合わされた検討に基づいて、当業者は、個々の実施形態が他の実施形態の個々のまたはいくつかの特徴を含むことによって変更され得ることを認識するであろう。
【0061】
他の実施形態を参照して説明された個々のまたはいくつかの特徴を有する個々の実施形態の体系的な組み合わせは、望ましく好都合である可能性があり、したがって考慮されなければならず、また説明に含まれると見なされなければならないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】複数の膜エレメントを提供するための製品の例示的な実施形態を示し、膜エレメントが製品から取り外されている。
図2】複数の膜エレメントを提供するための製品の例示的な実施形態を示し、膜フィルムの一部が製品のキャリアフィルムから剥離した。
図3】例示的な構造16および間隙24、ならびに製品1の好ましい実施形態のエレメントの例示的な配置を示す。
図4a】複数の膜エレメントを提供するための製品を製造するための例示的な方法を示す。
図4b】複数の膜エレメントを提供するための製品を製造するための代替的な例示的な方法を示す。
図5】製品によって提供される例示的な構造を有する膜エレメントを示す。
図6】追加の例示的な膜エレメントを示す。
図7】例示的な構造化膜エレメントの詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図面の詳細な説明
図1は、複数の膜エレメント2を提供するための製品1の例示的な実施形態を示し、示されている膜エレメント2のうちの1つが製品1から剥離および/または結合解除された。膜エレメント2は、特に、分析器および/または試験カートリッジの提供された部分に挿入されるように適合される。
【0064】
図1は、本質的に細長いおよび/またはテープ状の形状を有する製品1の断面を示す。製品1は、好ましくは、少なくとも1つのキャリアフィルム8と、少なくとも1つの支持層6および膜層4を含む(好ましくは多層の)膜フィルムとを含む。
【0065】
膜層4は、多孔質、特に微孔質、および/または吸収性(特に高吸収性)材料を含み、これは特にスポンジ構造を含み、流体を吸収および/または収集するのに適している。用途に応じて、膜層は、約5μmまたは約10μmの、特に公称の、平均および/または最大の孔径を有することが好ましく、これは特に、流体を膜層上および/または膜層中および/または膜層に沿って搬送するための膜層4の毛細管効果を促進する。特に、膜層4は、約50μm~約200μmの厚さを有する。
【0066】
膜層4は、有利には、セルロース、特に硝酸セルロース(ニトロセルロース)および/または酢酸セルロース、および/またはポリスルホン、特にポリエーテルスルホン(PESU)、デキストランポリマー、および/または同様の特性および/または同様の特質を有する材料、特に実質的にスポンジ様の材料および/または流体の横方向の流れを可能にする材料を含むおよび/またはそれらからなる。
【0067】
キャリアフィルム8は、シリコーン処理紙などのシリコーンコーティングを有するキャリア材料を含み、したがって、キャリアフィルム8を支持層6から実質的に容易に剥離することができ、特に実質的に非破壊的に剥離することができる。キャリアフィルムは、好ましくは、約100μm~約300μmの材料厚さを有する。
【0068】
支持層6は、好ましくは、約10μm~約20μmの厚さを有し、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)、PA(ポリアミド)、および/または高い可撓性および耐久性を有する同様の材料からなる。
【0069】
キャリアフィルム8および膜フィルムは、少なくとも局所的に上下に配置され、膜フィルムの支持層6は、キャリアフィルム8に剥離可能に結合および/または接続される。膜フィルムは、好ましくは、膜フィルム、特に膜エレメント2が、例えばピンセットを用いて、キャリアフィルム8から実質的に非破壊的に剥離または結合解除され得るように、キャリアフィルム8に剥離可能に結合される。特に、膜フィルムは、接触接着剤および/または溶融接着剤を含む接着剤によってキャリアフィルム8に剥離可能に結合される。
【0070】
製品1の図示された部分は、複数(例えば、3つ)の実質的に離散的に形成された膜エレメント2を含む。この例では、膜エレメント2は、本質的に同一に形成および/または成形され、すなわち、実質的に同一の形状を有する。代替的および/または追加的に、1つまたは複数の膜エレメント2は、逸脱した形状を有することができる。
【0071】
図示の実施形態では、膜エレメント2の膜層4は、膜エレメント2に含まれない膜層4’’からその外周に沿った間隙24によって区切られている。間隙24は、特に、少なくとも膜フィルム、すなわち膜層4および支持層6を局所的にアブレーションおよび/または除去および/または溶融することによって生成することができる。レーザ切断がこの目的に特に適している。
【0072】
さらに、図示された膜エレメント2は、実質的に同一に構造化されている。膜エレメント2は、膜エレメント2の膜層4に形成され、かつ少なくとも1つの塗布ゾーン22に塗布された流体を膜エレメント2から離れるように導くのに適した1つまたは複数の(例えば、10本の)流線18を含む。流線18は、1つまたは複数の構造16によって画定および/または形成され、および/または好ましくは互いに離間され、1つまたは複数の構造16は、特に(少なくとも部分的に)例えばレーザ切断によって膜層4をアブレーションおよび/または除去および/または溶融することによって生成される。
【0073】
図1に示す実施形態では、膜層4と、膜層4を支持層6に少なくとも部分的に接続する接着剤10(図3参照)とを、支持層6がそこに残り、特に見えるように、構造16に沿って除去した。これは、膜エレメント2の形状が、流線18の間に存在する(すなわち、部分的に架橋する)支持層6によって安定化され、および/または膜エレメント2が製品1から剥離した後に膜エレメント2の構造安定性を実質的に維持するという特定の利点を有する。
【0074】
図2は、複数の膜エレメント2を提供するための製品1の例示的な実施形態を示し、膜エレメント2に含まれない、および/または膜エレメント2の一部ではない膜フィルムの膜層4’’および支持層6’’は、製品1のキャリアフィルム8から剥離した。図示の製品1では、膜エレメント2は製品1の膜フィルムの全面にわたって形成されていない。膜エレメント2の間の膜層4’’および支持層6’’は、好ましくは、膜エレメント2の膜層4または支持層6とそれぞれ本質的に同じ特徴または特性を有する。特に、図2に示すように、膜層4’’および/または支持層6’’も分離することができる(剥離または結合解除することができる)。
【0075】
膜エレメント2に含まれない膜層4’’および支持層6’’を引き離し、および/または剥離し、および/または結合解除することによって、膜エレメント2のみが製品1上に残るため、膜エレメント2の提供を改善することができる。これにより、膜エレメント2をより容易に識別および/または把持および/または操作して、例えばピンセットによって膜エレメント2を製品1から取り外すおよび/または結合解除することが可能になる。
【0076】
図3は、例示的な構造16および間隙24、ならびに製品1の好ましい実施形態の要素の例示的な配置を示す。
【0077】
図示の製品1は、接着剤10によって支持層6に剥離可能に結合された少なくとも1つのキャリアフィルム8を含む。接着剤10は、好ましくは、接触接着剤および/または溶融接着剤を含む。キャリアフィルム8は、好ましくは約100μm~約300μm、例えば約150μmの材料厚さを有する。キャリアフィルム8は、好ましくはシリコーンコーティングを有するキャリア材料、より好ましくはシリコーン処理紙を含む。代替的および/または追加的に、キャリアフィルム8は、別の材料、好ましくは同様の非接着特性を有する材料を含むことができ、したがって、剥離可能な結合を達成し、キャリアフィルム8aからの支持層6の実質的に非破壊的な剥離を可能にする。
【0078】
支持層6は、好ましくは約10μm~約20μm、例えば約12μmの材料厚さを有する。支持層6は、好ましくは、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)、PA(ポリアミド)、および/または同様の材料を含む、および/またはこれらからなる。支持層6は、特に、膜エレメント2および/または膜層4を支持および/または安定化するために使用される。
【0079】
支持層6は、好ましくは接着剤10によって膜層4に結合および/または接続され、接着剤10は、支持層6とキャリアフィルム8との間に設けられた接着剤10と実質的に同一であるか、または異なる。異なる接着層10の厚さは、実質的に同一であっても異なっていてもよい。膜層4は、好ましくは約50μm~約200μmの材料厚さを有する。膜層4は、好ましくは、多孔質、特に微多孔質、および/または吸収性、特に高吸収性の材料、例えば、セルロース、特に硝酸セルロース(ニトロセルロース)および/または酢酸セルロース、および/またはポリスルホン、特にポリエーテルスルホン(PESU)、デキストランポリマー、および/または同様の特性および/または同様の特質を有する材料を含む。
【0080】
好ましくは、接着剤10は、支持層6をキャリアフィルム8に剥離可能に結合するため、および/または膜層4を支持層6に、好ましくは実質的に剥離不能に結合するための接触接着剤および/または溶融接着剤を含む。さらに、膜層4と支持層6との間の結合は、好ましくは、支持層6とキャリアフィルム8との間の結合と比較して、より大きな接着および/または抵抗強度を有する。結合および/または接続された接着結合部品を、実質的に残留物なしに、および/または非破壊的に互いに結合解除および/または分離することを可能にする接着剤10も好ましい。接着剤10は、有利には、少なくともわずかに疎水性、すなわち撥水性であり、および/または流体、特に水と混合しない。
【0081】
支持層6と膜層4との間の結合および/または接続の接着力は、支持層6とキャリアフィルム8との間よりも大きいおよび/またはより耐性があることが好ましい。これは、例えば、対応して異なる接着剤10によって、および/または適切に選択された材料および/または膜層4およびキャリアフィルム8の処理によって達成することができる。
【0082】
特に、キャリアフィルム8としてシリコーン処理紙を使用する場合、膜フィルムとキャリアフィルム8との間の比較的低い接着性を達成することができ、したがってキャリアフィルム8からの膜フィルムの簡単な剥離を達成することができる。
【0083】
図3の製品1の図示された部分は、実質的に離散的に形成された、すなわち、互いに実質的に区切られた複数(例えば、5つ)の膜エレメント2を含む。膜エレメント2は、間隙24a~24dによって互いに分離および/または離間している。したがって、個々の膜エレメント2は、他の膜エレメント2とは独立してキャリアフィルム8から剥離または除去することができる。
【0084】
図示のように、間隙24aは、間隙24b~24dとは異なって形成される。間隙24aは、膜フィルムの厚さ全体、すなわち、膜層4、支持層6、および膜層4と支持層6とを接続する接着剤10を通って延びる。膜エレメント2eは、特に、そのような間隙24aを有する膜エレメント2を形成することによって製品1から結合解除することができる。膜エレメント2eは、膜フィルム(特に、膜層4、支持層6、およびそれらの間に位置する接着剤10)を含む。これは、剥離した膜エレメント2eが、例えば膜エレメント2eの取り扱いを容易にするために、支持層6の外側に接着剤10を有することを本質的に意図しない場合に特に有利である。
【0085】
あるいは、間隙24b~24dは、膜層4を支持層6に、または支持層6をキャリアフィルム8に接続する、膜層4、支持層6および接着層10をアブレーションおよび/または除去および/または溶融することによって形成することができる。これは、膜層4とは反対側に少なくとも局所的に接着剤10を含む剥離した膜エレメント2dを得るために特に有利である。言い換えれば、このように剥離または結合解除された膜エレメント2dは、キャリアフィルム8から剥離される側に少なくとも局所的に接着剤10を有する。このような膜エレメント2dは、例えば、膜エレメント2dを分析器内で確実に保持するために有利である。
【0086】
膜エレメント2dは、接着剤10によって分析器内の支持層6の面に接着することができ、および/または前記接着剤と剥離可能に結合することができるので、分析器および/または試験カートリッジ内の膜エレメント2の確実な位置決めを特に達成することができる。
【0087】
図3は、例示的な構造化膜層4を有する膜エレメント2cの断面をさらに示す。膜エレメント2cは、特に、膜層4内の構造16a~16cによって形成された2つの流線18aおよび18bを含む。
【0088】
1つまたは複数の構造16は、好ましくは、膜フィルムの膜層4および場合により接着層10をアブレーションおよび/または切断および/または除去および/または溶融することによって形成および/または生成される。図4aおよび図4bに関してより詳細に説明するように、レーザ切断はこの目的に特に適している。
【0089】
流線18aおよび18bは、特に、膜層4に沿っておよび/または膜層4内で流体を導くように適合されている。流線18aおよび18bを形成する膜層4は、構造16によって膜エレメント2cのそれぞれの隣接する膜層4’aおよび4’bから実質的に分離および/または区切られる。したがって、特に、膜層4’aおよび4’bは、流線18aおよび18bによって案内される流体と接触しない。
【0090】
構造16は、好ましくは、膜層4の厚さの少なくとも一部にわたって、さらに好ましくは、膜層4の実質的に全厚にわたって延在する(膜エレメント2cの構造16aおよび16bを参照)。あるいは、構造16は、膜層4を貫通し、膜層4と支持層6とを接続する接着層10の厚さの少なくとも一部を貫通する(構造16c参照)。
【0091】
図4aは、複数の膜エレメント2を提供するための製品を製造するための例示的な方法、または製品を製造するための方法を実行するのに適した装置を示す。支持層6は、好ましくは、例えばロールから最初に提供される。支持層6の一方の面には、少なくとも1つの接着装置12の接着剤10が少なくとも局所的に塗布および/または噴霧され、および/または支持層6の一方の面は少なくとも局所的に接着剤10で湿潤される。少なくとも1つの接着装置12による接着剤10の本質的に均一および/または連続的な層の塗布が好ましい。
【0092】
続いて、キャリアフィルム8は、好ましくは、ロールから巻き出され、接着剤10を含む支持層6の面上に配置され、および/または結合および/または接続される。
【0093】
また、支持層6のキャリアフィルム8とは反対側に接着剤10を塗布することが好ましい。これは、特に、支持層6とキャリアフィルム8との間に設けられるのと同じ接着剤10である。続いて、膜層4は、支持層6上に配置されるか、または支持層6に結合または接続される。
【0094】
次いで、複数の膜エレメント2は、好ましくは、例えば1つまたは複数のアブレーション装置14によって形成および/または成形および/または構造化される。アブレーション装置14は、特に、製品1、特に膜フィルムの少なくとも一部を少なくとも局所的にアブレーションおよび/または除去するように適合されている。特に、アブレーション装置14は、膜層4、支持層6、および接着層10に、図3に示す間隙24を選択的に形成するように適合される。アブレーション装置14は、特に、膜エレメント2(特に膜層4)に1つまたは複数の構造16を選択的に形成するように適合される。
【0095】
この目的のために、アブレーション装置14は、膜層4および/または接着剤10および/または支持層6の少なくとも一部を切断および/または溶融するための1つまたは複数の手段を備えることができる。
【0096】
アブレーション装置14は、好ましくは、膜エレメント2を成形および/または形成するために、および/または膜エレメント2の少なくとも膜層4に1つまたは複数の構造16を成形するために、レーザ切断のための1つまたは複数の手段を備える。代替的および/または追加的に、アブレーション装置14は、膜エレメント2を形成および/または構造化するための1つまたは複数の穿孔および/またはミリング工具を備えることができる。
【0097】
有利には、製品1の製造または方法の個々の工程は、時間効率の良い方法で大量の製品1を製造することができるように、実質的に連続的におよび/または並行して実行される。支持層6、キャリアフィルム8および膜層4は、特に、図4に示すように最も適切に供給される、すなわち、ロールから巻き出され、様々なプロセス工程に実質的に連続的に供給される。
【0098】
任意選択的に、装置は、特に改善された製品品質を得るまたは確保するために、製品1および/またはその構成要素(図示せず)を焼き戻し、支持、プレスおよび/または検査するための1つまたは複数の装置を備えることが好ましい。
【0099】
図4bは、複数の膜エレメントを提供するための製品を製造するための代替的な例示的な方法を示す。図4aに示す方法と比較して、膜フィルムは、最初に、接着剤10によって膜層4を支持層6に結合することによって製造される。続いて、キャリアフィルム8は、接着剤によって膜フィルムの支持層6に剥離可能に結合され、膜エレメント2を形成および/または構造化するためにアブレーション装置14に供給される。剥離可能な結合は、キャリアフィルム8からの支持層6の単純かつ/または実質的に非破壊的な分離を可能にする。
【0100】
代替的および/または追加的に、少なくとも1つのアブレーション装置14は、キャリアフィルム8が供給および/または結合される前に膜層4を構造化するように配置および/または位置決めすることができる。
【0101】
図5は、例示的な形状および/または構造を有する製品1から剥離した膜エレメント2を示す。
【0102】
膜層4の一端において、図5a)の構造化膜エレメント2は、被試験流体を塗布するのに特に適しており、かつそこから複数(例えば、3つ)の連続する混合および/または反応ゾーン20を有する複数(例えば、4つ)の流線18がそれぞれ延在する塗布ゾーン22を備え、流線18の幅は膜エレメント2の幅よりも小さい。そのような流線18の形成は、流線18ならびに混合および/または反応ゾーン20上および/またはそれに沿った流体の濃度を増加させ、したがってこれらの混合および/または反応ゾーン20における反応強度の増加を達成する。
【0103】
さらに、図5a)の膜エレメント2は、塗布ゾーン22とは反対側の端部に構造16を有し、構造16は、膜エレメント2の表面の一部、例えば約5分の1~約4分の1を形成する。特に、膜層4’は、この構造16において実質的に表面上でアブレーションおよび/または除去された。そのような適合は、膜エレメント2の取り扱いの改善を達成するために特に有利である。特に、膜エレメント2は、試験を実施するのに必要な膜層4を損なうことなく、ピンセットでこの端部を把持することができる。膜エレメント2はまた、この領域に標識することができる。
【0104】
塗布ゾーン22、流線18、ならびに混合および/または反応ゾーン20は、好ましくは、構造16および/または間隙24によって形成および/または成形される。
【0105】
図示の例では、図5a)の膜エレメント2は、好ましくは、複数の実質的に分離された膜層4’を含み、これらの膜層4’は、塗布ゾーン22内に塗布された流体がこれらの分離された膜層4’に本質的に到達することができないように、塗布ゾーン22、流線18ならびに混合および/または反応ゾーン20から実質的に区切られ、および/または離間される。特に、これらの分離された膜層4’は、流線18の間に配置され、それらを互いに離間させる。膜エレメント2のそのような実施形態は、例えばアブレーション装置14によって膜層4を除去および/または切断および/または溶融するための処理労力が結果として低減されるので、特に有利である。さらに、1つまたは複数の分離された膜層4’の存在は、流線18内の流体の分布に対する視覚的参照を可能にする。
【0106】
膜層4の一端において、図5b)による構造化膜エレメント2は、流体を塗布するための塗布ゾーン22を備え、ここから複数(図示の例では10本)の流線18が延びる。流線18は、膜エレメント2の第1の領域において実質的に扇形であり、第2の領域において互いに実質的に平行に配置される。図5a)による膜エレメント2と比較して、図5b)による膜エレメント2の流線18の間には分離された膜層4’は存在しない。言い換えれば、流線18を形成する図5b)の膜エレメント2の構造16は、それぞれの流線18の全距離にわたって延び、それらを互いに離間させる。そのような適合は、流線18の互いに対する区切りの改善を達成するために特に有利である。
【0107】
図5b)の膜エレメント2は、塗布ゾーン22の反対側の膜エレメント2の端部に分離された膜層4’をさらに備える。図5a)の膜エレメント2に関して、これは特に、膜エレメント2の取り扱いの改善を容易にする。
【0108】
しかしながら、絶縁膜層4’はアブレーションおよび/または除去されないので、図5b)の膜エレメント2を製造するのに必要な労力は低減される。
【0109】
特に図3に関して説明したように、図5a)および図5b)の剥離した膜エレメント2は、例えば分析器内で膜エレメント2の有利な固定を可能にするために、それらの(図示せず)底部に接着剤を少なくとも局所的に含むことができる。
【0110】
図6は、膜エレメントの例示的な構造を示し、構造は各々、複数(例えば、5本または10本)の流線18を形成し、その各々は、塗布ゾーン22から延びる。流線18は各々、局所的に実質的に扇形に延びる、すなわち、それらは異なる角度でおよび/または互いに離間して塗布ゾーン22から延び、外側流線18の角度(例えば、約135°)は、特に中央流線の角度(例えば、約90°)よりも大きい。
【0111】
図6a)の膜エレメント2は、実質的に軸対称に形成され、2つの対向する塗布ゾーン22、ならびに実質的に円形の形状を有し、取り付けゾーン22の間の実質的に中心に配置されたいくつかの(例えば、5つの)混合および/または反応ゾーン20を備える。流線18は、それぞれ1つの塗布ゾーン22からそれぞれ1つの混合および/または反応ゾーン20まで実質的に扇形に延びる。この実施形態は、2つの流体が互いに別々に膜エレメント2に塗布され、互いに混合され、および/または膜層4の特定の領域で互いに反応する場合に特に有利である。
【0112】
図6a)の膜エレメント2とは対照的に、膜エレメント6b)は対称的ではない。図6b)の膜エレメント2は、特に、流線18内に単一のフォークおよび/または分岐26を備える。
【0113】
フォーク26は、下部塗布ゾーン22に塗布され、対応する流線18に沿って流れる流体を、流体が減少した濃度で対応する混合および/または反応ゾーン20に移動するように、2つの流線18に分割する。膜エレメント2は、流体を(再)方向付けるための複数のそのようなおよび/または同様のフォーク26を備えることができる。
【0114】
さらに、図6b)の膜エレメント2は、好ましくは、例えば「ディスペンサ」および/または「スポッター」によって、DNA、RNAおよび/またはタンパク質を好ましくは導入することができる流線18に沿って1つまたは複数のさらなる混合および/または反応ゾーン20を形成する。これは、特に、流体が塗布ゾーン22の間の実質的に中心に配置された混合および/または反応ゾーン20に到達する前に流体を試験するために使用される。したがって、流体の品質および/または濃度および/または他の特質は、流体が中央に配置された混合および/または反応ゾーン20に到達する前に試験および/または確認することができる。
【0115】
図6a)および図6b)の膜エレメント2は、コーナーおよび流線18の間に存在する実質的に分離された膜層4’をさらに備える。あるいは、分離された膜層4’をアブレーションして、下に位置する支持層6を露出させることができる。
【0116】
図7は、膜層4内に複数(例えば、6本)の流線18を備える例示的な構造化膜エレメント2の詳細を示す。この例では、流線18は、実質的に平行に配置され、膜エレメント2の上に蛇行形状の配置で実質的に同一に延びる。このような適合は、特に、流線18の毛細管効果を改善して、前記流線に沿って流体を有利に導く。
【0117】
流線18の各々は、好ましくは、例えばDNA、RNA、および/またはタンパク質が導入された混合および/または反応ゾーン20を備える。
【0118】
試験される流体がDNA、RNAおよび/またはタンパク質を含む混合および/または反応ゾーン20に到達すると、前記混合物はDNA、RNAおよび/またはタンパク質と反応することができる。反応は、好ましくは、混合および/または反応ゾーン20の少なくとも一部において目に見える色の変化をもたらし、これは特に分析器で検出することができる。反応が起こらない場合、試験される流体は、おそらく、特定の抗体などの反応に必要な物質の濃度がないかまたは低すぎる。
【0119】
図7の膜エレメント2の流線18は、好ましくは膜層4の厚さの少なくとも一部を除去することによって、構造16によって形成される。代替的および/または追加的に、流線18は、膜層4および支持層6に間隙24を形成することによって少なくとも部分的に形成することができる。膜エレメント2は、流線18によって案内される流体が到達しない複数(例えば、4つ)の分離された膜層4’をさらに備える。分離された膜層4’は、膜エレメント2の取り扱いの改善および/または形状安定性の向上を特に意図している。
【符号の説明】
【0120】
1 膜エレメントを提供するための製品
2 膜エレメント
4 膜層
4’ 膜エレメントの分離された膜層
4’’ 膜エレメントを含まない膜層
6 支持層
6’’ 膜エレメントを含まない支持層
8 キャリアフィルム
10 接着剤
12 接着装置
14 アブレーション装置
16 構造
18 流線
20 混合および/または反応ゾーン
22 塗布ゾーン
24 間隙
26 フォーク
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a)】
図5b)】
図6a)】
図6b)】
図7
【国際調査報告】