(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】トリプルMPストリームによる尿素の製造
(51)【国際特許分類】
C07C 273/04 20060101AFI20240614BHJP
C07C 275/00 20060101ALI20240614BHJP
B01D 3/14 20060101ALI20240614BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20240614BHJP
B01D 3/06 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C07C273/04
C07C275/00
B01D3/14 A
B01D5/00 A
B01D3/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575460
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 NL2022050325
(87)【国際公開番号】W WO2022260524
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512061836
【氏名又は名称】スタミカーボン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨゼフ・クルースト
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルムス・ヒューベルテュス・ヘールツ
【テーマコード(参考)】
4D076
4H006
【Fターム(参考)】
4D076BB18
4D076BB21
4D076BC02
4D076EA08Z
4D076EA14Z
4D076FA02
4D076FA12
4D076FA31
4D076FA34
4D076JA10
4H006AA04
4H006AC57
4H006BC52
4H006BD34
4H006BD52
4H006BD81
4H006BE14
4H006BE41
(57)【要約】
本開示は、高圧CO2ストリッパ、下流の中圧処理ユニット、及び反応器から尿素合成溶液を受容する中圧解離装置を使用する、尿素製造プラント及びプロセスであって、処理ユニット及び解離装置からのガスが第1の凝縮器内で凝縮され、合成セクションからのオフガスが第2の凝縮器内で別に凝縮される、尿素製造プラント及びプロセスに関する。改造方法も記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧(HP)ストリッパ(HPS)と、NH
3及びCO
2から尿素を形成するための反応ゾーン(HPR)と、凝縮ゾーン(HPCC)とを備えるHP合成セクション(HPSS)を備える尿素製造プラントであって、前記HPストリッパ(HPS)が、ストリップガスとしてのCO
2供給物の入口を有し、前記プラントが、中圧(MP)処理ユニット(MPTU)と、MP解離装置(MPD)と、第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)及び第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)と、前記反応ゾーン(HPR)から前記HPストリッパ(HPS)への尿素溶液の第1のフローライン(1a)と、前記反応ゾーン(HPR)から前記MP解離装置(MPD)への尿素溶液の第2のフローライン(1b)と、を更に備え、前記プラントが、前記HPストリッパ(HPS)から前記MP処理ユニット(MPTU)へのストリッピングした尿素溶液(2)の液体フローラインを備え、
前記MP処理ユニット(MPTU)が、第1のMPガスストリーム(4)のガス出口を有し、前記MP解離装置(MPD)が、第2のMPガスストリーム(5)のガス出口を有し、前記HP合成セクション(HPSS)が、ガス出口と、第3のMPガスストリーム(14、14a)の減圧要素(V1)と、を有し、
前記第1の、第2の、及び第3のMPガスストリームからなる群から選択される2つのガスストリームが、前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)内で組み合わせられて凝縮される、尿素製造プラント。
【請求項2】
前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)が、前記MP処理ユニット(MPTU)から前記第1のMPガスストリーム(4)を受容し、かつ前記MP解離装置(MPD)から前記第2のMPガスストリーム(5)を受容するように配置されており、前記第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)が、前記第3のMPガスストリーム(14)を受容し、好ましくは、前記第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)が、凝縮器、スクラバ、及び/又は吸収器を備える、請求項1に記載の尿素製造プラント。
【請求項3】
前記MP処理ユニット(MPTU)が、フラッシュ容器である、請求項1又は2に記載の尿素製造プラント。
【請求項4】
-前記MP処理ユニット(MPTU)から低圧解離装置(LPD)への尿素溶液の液体フローライン(7)と、
-前記低圧解離装置(LPD)から低圧カルバメート凝縮器(LPCC)へのガスフローライン(12)と、
-前記低圧カルバメート凝縮器(LPCC)から前記第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)へのカルバメート溶液の液体フローライン(13)と、
-前記第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)から前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)へのカルバメート溶液の液体フローライン(15)と、
-前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)から前記高圧(HP)合成セクション(HPSS)へのカルバメート溶液の液体フローライン(9)と、を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の尿素製造プラント。
【請求項5】
水を除去するために尿素溶液を加熱するための加熱ゾーン(PEV)と、好ましくは、前記低圧解離装置(LPD)から前記加熱ゾーン(PEV)への尿素溶液の液体フローライン(11a)と、を更に備え、前記加熱ゾーン(PEV)が、前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)の少なくとも一部と熱交換接触し、好ましくは、前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)が、シェルアンドチューブ熱交換器内に少なくとも部分的に提供されて、ガスが前記シェル内で凝縮され、尿素溶液(11a)が前記チューブ内で加熱される、請求項1~4のいずれか一項に記載の尿素製造プラント。
【請求項6】
MP CO
2ストリッパ(MPS)と、前記MP解離装置(MPD)から前記MP CO
2ストリッパ(MPS)への尿素溶液の液体フローライン(8)と、を更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の尿素製造プラント。
【請求項7】
前記MP CO
2ストリッパ(MPS)から前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)へのガスフローライン(17)を更に備える、請求項6に記載の尿素製造プラント。
【請求項8】
前記第2のMP凝縮セクション(MPCC-2)が、シェルアンドチューブ熱交換器と、下流のガス/液体分離器と、任意選択で、前記分離器からガスを受容する吸収器と、を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の尿素製造プラント。
【請求項9】
前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)からのガス(10)もまた、前記第2のMP凝縮セクション(MPCC-2)に供給され、
前記第2のMP凝縮セクション(MPCC-2)からのガス(18)が、吸収器に、好ましくは低圧吸収器に供給される、請求項1~8のいずれか一項に記載の尿素製造プラント。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の尿素製造プラントで実行される尿素製造プロセスであって、前記プロセスが、反応ゾーン(HPR)からHPストリッパ(HPS)に尿素合成溶液の第1の部分(1a)を供給し、CO
2をストリップガスとして使用して前記ストリッパ(HPS)内の尿素溶液をストリッピングして、ストリッピングした尿素溶液(2)を得ることと、ストリッピングした尿素溶液(2)をMP処理ユニット(MPTU)に供給して、第1のMPガスストリーム(4)及び処理された尿素溶液(7)を得ることと、前記反応ゾーン(HPR)からの前記尿素合成溶液の第2の部分(1b)を、MP解離装置(MPD)内で加熱することによってカルバメート分解に供して、第2のMPガスストリーム(5)及びMP尿素溶液(8)を得ることと、減圧によってHP合成セクション(HPR)から第3のMPガスストリーム(14)を提供することと、を含み、前記プロセスが、第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)内で前記第1の、第2の、及び第3のMPガスストリーム(4、5、14)からなる群から選択される2つのガスストリームを組み合わせて凝縮することを伴い、
前記プロセスが、好ましくは、前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)内で前記第1のガスストリーム(4)及び前記第2のガスストリーム(5)を組み合わせて凝縮することと、第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)内で前記第3のガスストリームを凝縮に供することと、を伴う、尿素製造プロセス。
【請求項11】
前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)が、前記第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)よりも高い圧力で動作する、請求項10に記載の尿素製造プロセス。
【請求項12】
前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)が、前記第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)の動作圧力よりも1~10bar高い圧力で動作する、請求項10又は11に記載の尿素製造プロセス。
【請求項13】
-前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)が、15~35barの圧力で動作し、
-前記MP処理ユニット(MPTU)が、15~35barの圧力で動作し、好ましくは、前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)と同じ圧力で、又はそれよりも高い圧力で動作する断熱フラッシュ容器であり、
-前記第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)が、15~35barの圧力で動作する、請求項10~12のいずれか一項に記載の尿素製造プロセス。
【請求項14】
前記HPストリッパ(HPS)が、0.65~0.80の範囲のストリッピング効率で動作する、請求項10~13のいずれか一項に記載の尿素製造プロセス。
【請求項15】
既存の尿素製造プラントを改良する方法であって、前記既存の尿素製造プラントが、高圧(HP)ストリッパ(HPS)と、NH
3及びCO
2から尿素を形成するための反応ゾーン(HPR)と、凝縮ゾーン(HPCC)とを備えるHP合成セクション(HPSS)を備え、前記HPストリッパ(HPS)が、ストリップガスとしてのCO2供給物の入口を有し、前記HP合成セクション(HPSS)が、ガス出口を有し、前記プラントが、前記反応ゾーン(HPR)から前記HPストリッパ(HPS)への尿素溶液の第1のフローライン(1a)を備え、
前記方法が、前記プラント内にまだ存在していない場合に、以下のユニット及び接続、
-第1のMPガスストリーム(4)のガス出口を有する中圧(MP)処理ユニット(MPTU)と、
-第2のMPガスストリーム(5)のガス出口を有するMP解離装置(MPD)と、
-第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)及び第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)と、
-前記反応ゾーン(HPR)から前記MP解離装置(MPD)への尿素溶液の第2のフローライン(1b)と、
-第3のMPガスストリーム(14)を得る前記HP合成セクション(HPSS)の前記ガス出口からのガスの減圧要素(V1)と、
-前記HPストリッパ(HPS)から前記MP処理ユニット(MPTU)へのストリッピングした尿素溶液(2)の液体フローラインと、を加えることを含み、
前記方法は、好ましくは、前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)を、前記MP処理ユニット(MPTU)から前記第1のMPガスストリーム(4)を受容し、かつ前記MP解離装置(MPD)から前記第2のMPガスストリーム(5)を受容するように配置することと、第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)を、前記第3のMPガスストリーム(14)を受容するように配置することとによって、
前記第1のMPガスストリーム(4)、前記第2のMPガスストリーム(5)、及び前記第3のMPガスストリーム(15)からなる群から選択される2つのガスストリームが、第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)内で組み合わせられて凝縮され、かつ前記群(4、5、15)から選択される1つのガスストリームが、第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)内で別に凝縮されるように、前記プラントを構成することを更に含む、既存の尿素製造プラントを改良する方法。
【請求項16】
前記既存のプラントが、第1の中圧(MP)ガスストリーム(4)のガス出口を有するMP処理ユニット(MPTU)と、前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)と、前記HPストリッパ(HPS)から前記MP処理ユニット(MPTU)へのストリッピングした尿素溶液(2)の前記液体フローラインと、第3のMPガスストリーム(14)を得る前記HP合成セクション(HPSS)の前記ガス出口からのガスの前記減圧要素(V1)と、を備え、前記方法が、
第2のMPガスストリーム(5)のガス出口を有する前記MP解離装置(MPD)と、
前記第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)と、
前記反応ゾーン(HPR)から前記MP解離装置(MPD)への尿素溶液の前記第2のフローライン(1b)とを提供することと、
前記第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)を、前記MP処理ユニット(MPTU)から前記第1のMPガスストリーム(4)を受容し、かつ前記MP解離装置(MPD)から前記第2のMPガスストリーム(5)を受容するように配置することと、前記第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)を、前記HP合成セクション(HPSS)から前記第3のMPガスストリーム(14)を受容するように配置することと、を含む、請求項15に記載の既存の尿素製造プラントを改良する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NH3及びCO2からの尿素の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
序論
尿素プラントは、しばしば、ストリップガスとしてのCO
2供給物の少なくとも一部を使用する高圧(HP)ストリッパを備えたタイプのもの(例えば、StamicarbonのCO
2ストリッピングプロセス)である。限定されないが、本発明の尿素のCO
2ストリッピング型尿素プロセスの例示的なプロセススキームは、Ullmann’s Encyclopedia、chapter Urea、2010、
図16に示されている。例示されたプロセスでは、反応器は、液体の出口と、ガスの出口と、を有し、反応器からのガスは、高圧スクラバに供給される。ストリッパからの尿素溶液は、低圧デコンポーザに供給され、次いで、水の冷却を使用する熱交換器である予蒸発器に供給される。反応器からのガスは、高圧スクラバに供給される。低圧デコンポーザ又は解離装置からのガスは、低圧カルバメート凝縮器内で凝縮されて、結果として生じる水を含有するカルバメートストリームが合成セクションにリサイクルされる。一般的には、反応ゾーンへの水の補給が尿素収率に悪影響をもたらすので、低水リサイクルが望まれる。典型的なCO
2ストリッピング型尿素プロセスにおける高圧ストリッパは、通常、0.87のストリッピング効率αで動作する。
【0003】
尿素の生産能力と比較して比較的小さいHPストリッパを有し、かつ低エネルギー消費である尿素製造プラント及びプロセスに対する要求が存在する。また、尿素製造プラントの生産能力を高めるように既存の尿素製造プラントを改良したいという要望が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の態様では、高圧(HP)ストリッパ、NH3及びCO2から尿素を形成するための反応ゾーン、並びに凝縮ゾーンを含むHP合成セクションを備え、尿素製造プラントであって、HPストリッパが、ストリップガスとしてのCO2供給物の入口を有し、プラントが、中圧(MP)処理ユニットと、MP解離装置と、第1のMPカルバメート凝縮セクションと、第2のMPカルバメート凝縮セクションと、当該反応ゾーンから当該HPストリッパへの尿素溶液の第1のフローラインと、当該反応ゾーンから当該MP解離装置への尿素溶液の第2のフローラインと、を更に備え、プラントが、当該HPストリッパから当該MP処理ユニットへのストリッピングした尿素溶液の液体フローラインを備え、MP処理ユニットが、第1のMPガスストリームのガス出口を有し、MP解離装置が、第2のMPガスストリームのガス出口を有し、HP合成セクションが、ガス出口と、第3のMPガスストリームの減圧要素と、を有し、当該第1の、第2の、及び第3のMPガスストリームからなる群から選択される2つのガスストリームが、当該第1のMPカルバメート凝縮セクション内で組み合わせられて凝縮される、尿素製造プラントに関する。
【0005】
好ましくは、当該第1のMPカルバメート凝縮セクションは、当該MP処理ユニットから当該第1のMPガスストリームを受容し、かつ当該MP解離装置から当該第2のMPガスストリームを受容するように配置され、当該第2のMPカルバメート凝縮セクションは、当該第3のMPガスストリームを受容し、好ましくは、当該第2のMPカルバメート凝縮セクションは、凝縮器、スクラバ、及び/又は吸収器を備えている。
【0006】
本発明はまた、かかるMP処理ユニット、MP解離装置、並びに第1及び第2のMPカルバメート凝縮セクションを備えたかかる尿素製造プラントにおいて実行される尿素製造プロセスに関する。
【0007】
本発明はまた、既存の尿素製造プラントを改良する方法であって、既存の尿素製造プラントが、高圧(HP)ストリッパ、NH3及びCO2から尿素を形成するための反応ゾーン、並びに凝縮ゾーンを含むHP合成セクションを備えており、HPストリッパが、ストリップガスとしてのCO2供給物の入口を有し、HP合成セクションが、ガス出口を有し、プラントが、当該反応ゾーンから当該HPストリッパへの尿素溶液の第1のフローラインを備え、方法は、プラント内にまだ存在していない場合に、以下のユニット及び接続、すなわち、第1のMPガスストリームのガス出口を有する中圧(MP)処理ユニット、第2のMPガスストリームのガス出口を有するMP解離装置、第1のMPカルバメート凝縮セクション、及び第2のMPカルバメート凝縮セクション、及び当該反応ゾーンから当該MP解離装置への尿素溶液の第2のフローライン、第3のMPガスストリームを提供する当該HP合成セクションの当該ガス出口からのガスの減圧要素、当該HPストリッパから当該MP処理ユニットへのストリッピングした尿素溶液の液体フローライン、を加えることを含み、方法は、好ましくは、第1のMPカルバメート凝縮セクションを、当該MP処理ユニットから当該第1のMPガスストリームを受容し、かつ当該MP解離装置から当該第2のMPガスストリームを受容するように配置することによって、並びに第2のMPカルバメート凝縮セクションを、当該第3のMPガスストリームを受容するように配置することによって、当該第1、第2、及び第3のMPガスストリームからなる群から選択される2つのガスストリームが、第1のMPカルバメート凝縮セクション内で組み合わせられて凝縮されるように、かつ当該群から選択される1つのガスストリームが、第2のMPカルバメート凝縮セクション内で別に凝縮されるように、プラントを構成することを更に含む、既存の尿素製造プラントを改良する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による例示的な尿素製造プラント及びプロセスを概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図に例示される実施形態は、例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0010】
本発明は、一態様では、MP処理ユニット内のHPストリッパからのストリッピングした尿素溶液のMP処理、特に断熱フラッシュを組み合わせて、第1のMPガスストリームを提供し、MP解離装置内のHPストリッパを迂回する尿素合成溶液の一部のMP解離によって、第2のガスストリームを提供し、かつ、MPへの合成セクションのオフガスを減圧して、第3のMPガスストリームを提供する、という賢明な洞察に基づくものである。更に、プロセスは、中圧でこれらのMPガスストリームのうちの2つを組み合わせて凝縮して、MPカルバメート溶液を形成することを含む。HP合成セクションへとリサイクルされるMPカルバメート溶液は、有利には、低含水量を有し、それによって、反応ゾーンでの尿素の収量が向上し、組み合わせたMP凝縮において放出された熱は、有利には、熱統合に使用することができる。
【0011】
一実施形態では、MP解離装置からの第2のMPガスストリーム及び第3のガスストリームとしての反応器オフガスは、MP処理ユニット(例えば、フラッシュ容器)からの第1のガスストリームの別の凝縮との、中圧での組み合わせた凝縮を受ける。
【0012】
一実施形態では、MP処理ユニット(例えば、フラッシュ容器)からの第1のMPガスストリーム及び第3のガスストリームとしての反応器オフガスは、MP解離装置からの第2のMPガスストリームの別の凝縮との、MPでの組み合わせた凝縮を受ける。
【0013】
好ましい実施形態では、MP処理ユニット(例えば、フラッシュ容器)からの第1のMPガスストリーム及びMP解離装置からの第2のMPガスストリームは、第1のMPカルバメート凝縮セクション内で組み合わせられて凝縮され、有利なN/C比のバランシング、及び第3のMPガスストリームとしての反応器オフガスの別々の凝縮を提供する。この実施形態では、有利には、当該ガスストリームを組み合わせて凝縮することによってMP解離装置からの第2のMPガスストリームを凝縮するために、低N/C比及び低不活性物質含有量の第1のMPガスストリームが使用される。それによって、(比較的低い不活性含有量による)比較的高い温度及び(N/C比による)低い含水量の形成されたMPカルバメート溶液が、所与のMP凝縮圧力で達成される。尿素溶液から水を蒸発させることに寄与するように、例えば、熱交換を通して尿素生成物溶液を加熱するために、高い温度が使用される。
【0014】
MP処理ユニットは、好ましくは、フラッシュ容器、特に断熱フラッシュ容器である。断熱フラッシングは、NH3とCO2とのモル比が低い(例えば、N/Cが1.0よりも低い)フラッシュ蒸気を提供する。HP CO2ストリッパからのストリッピングした尿素溶液のMP断熱フラッシングによる蒸気は、例えば、約40mol%のNH3と、約50mol%のCO2と、を含む。フラッシュ容器の出口での尿素溶液は、好ましい断熱フラッシュでは、フラッシュ容器の入口の尿素溶液よりも低い温度を有する。
【0015】
合成セクションからのオフガスは、例えば、尿素製造プラント内に備えられたHP尿素合成反応器から放出される。オフガスは、例えば、約65mol%のNH3及び20mol%のCO2を含有する。
【0016】
合成セクションは、MP処理ユニットの入口に接続されたストリッピングした尿素溶液の出口を有する、HP CO2ストリッパを備えている。HP反応ゾーンは、例示的な一実施形態では、少なくとも2.7、例えば約3のN/C比、及び例えば少なくとも120bar、例えば約140barの圧力で動作する。HP CO2ストリッピングを受けずにMP解離装置によって部分的に受容される尿素合成溶液は、HP CO2ストリッパの出口の尿素溶液と比較して比較的高いN/C比を有する。尿素合成溶液は、尿素、水、カルバミン酸アンモニウム、及びアンモニアを含む。MP解離装置からの第2のガスストリームもまた、比較的高いN/C比を有する。第2のガスストリームは、例えば65mol%のNH2及び25mol%のCO2を含有する。
【0017】
本発明の尿素製造プラント及びプロセスは、CO2ストリッピング型である。プラントは、HPストリッパと、NH3及びCO2から尿素を形成するための反応ゾーンと、凝縮ゾーンを含む高圧(HP)合成セクションと、を備えている。反応ゾーンは、1つ以上の反応器を備えている。複数の反応器は、直列又は並列に配置され得る。プラントは、例えば、垂直尿素反応器を備えている。反応ゾーン及び凝縮ゾーンはまた、単一の容器内に、例えばプール反応器などの水平容器内に組み合わせられ得る。反応ゾーンは、典型的には、尿素合成溶液の出口と、オフガスの別個の出口と、を有する。合成セクションは、オフガスの出口と、ストリッピングした尿素溶液の出口と、ストリップされていない尿素合成溶液の出口と、を有する。
【0018】
凝縮ゾーンは、例えば、高圧カルバメート凝縮器、好ましくはチューブ束及びシェル側空間を備えたシェルアンドチューブ熱交換器によって提供される。例えば、直線状のチューブ束又はU字形状のチューブ束が使用される。凝縮されるガスが好ましくはシェル側空間に供給され、冷却流体がチューブに供給される。代替的に、凝縮されるガスがチューブに供給され、冷却流体がシェル側空間に供給される。
【0019】
凝縮器は、横型又は縦型の凝縮器であり得る。凝縮器は、例えば、冷却流体側及び凝縮側を備えた熱交換器であり、凝縮側の連続相として液体で動作し、一方で、凝縮されるガスが気泡として存在して液相を通って上昇するように構成されている。これは、有利には、凝縮器での(実質的に)完全な凝縮を提供する。
【0020】
凝縮器は、例えばU字形状のチューブ束のチューブ内に冷却流体がある、例えば横型の浸漬凝縮器であり、例えばプール凝縮器若しくはプール反応器であり、又は例えばチューブ内に冷却流体がある縦型凝縮器であり、又は例えばガスがチューブ内で凝縮されて液相中の気泡として上昇する縦型凝縮器である。更に他の実施形態では、凝縮器は、例えば縦型落下膜凝縮器である。
【0021】
ストリッパは、ストリップガスとして使用されるCO2供給物の入口を有する熱交換器であり、反応ゾーンからの尿素合成溶液の一部とストリップガスとの間で向流接触するように、及び尿素溶液を加熱するように構成されている。CO2ストリッパは、例えば、尿素溶液の落下膜をチューブ内でストリッピングすることによって動作するように構成された縦型シェルアンドチューブ熱交換器であり、頂部の尿素溶液の入口と、底部のストリッピングされた尿素溶液の出口と、HP凝縮セクションに接続された頂部のガスの出口と、を備え、全てが、当該チューブへの入口及びチューブからの出口である。例えば、ストリッパはまた、例えば蒸気などの、加熱流体のシェルを備えている。別個のHP凝縮器及び反応器が使用される実施形態では、プラントは、凝縮器から反応器への凝縮物のフローラインを備えている。HPカルバメート凝縮器はまた、典型的には、NH3供給物を受容する。
【0022】
プラントは、中圧(MP)処理ユニット、好ましくはフラッシュ容器と、HPストリッパからそのMP処理ユニットへのストリッピングした尿素溶液の液体フローラインと、を備えている。MP処理ユニットは、第1のMPガスストリームのガス出口と、処理された尿素溶液の液体出口と、を有する。プラントは、MP解離装置と、当該反応ゾーンから当該HPストリッパへの尿素溶液の第1のフローラインと、当該反応ゾーンから当該MP解離装置への尿素溶液の第2のフローラインと、を更に備えている。そのため、反応ゾーンからの、特に反応器からの尿素合成溶液の一部がHPストリッパに供給され、別の部分がMP解離装置に供給される。好ましい実施形態では、単一の反応器が、HPストリッパ及びMP解離装置の両方に尿素溶液を供給するように接続される。
【0023】
好ましいMPフラッシュ容器は、概して、10~70bar、好ましくは10~35bar、例えば18~25barの圧力で動作する。好ましいMPフラッシュ容器は、好ましくはMP解離装置と同じ又はそれよりも高い圧力で、例えばMP解離装置の圧力よりも0~10bar高い圧力、例えば1~10bar高い圧力、より好ましくは2~7bar高い圧力で動作する。MP解離装置は、第2のMPガスストリームのガス出口を有する。HP合成セクションは、オフガスのガス出口と、オフガスの減圧要素と、を有し、第3のMPガスストリームを提供する。減圧要素は、例えば弁、例えば制御弁である。プロセス及びプラントでは、当該第1の、第2の、及び第3のMPガスストリームからなる群から選択される2つのガスストリームは、当該第1のMPカルバメート凝縮セクション内で組み合わせられて凝縮される。当該群から選択される1つのガスストリームは、第2のMPカルバメート凝縮セクション内で別に凝縮される。
【0024】
プラントは、好ましくは、当該第1の、第2の、及び第3のMPガスストリームからなる群から選択される2つのガスストリームを第1のMPカルバメート凝縮セクションに輸送するためのガスフローラインを備えている。好ましくは、プラントは、第1及び第2のMPガスストリームを第1のMPカルバメート凝縮セクションに輸送するためのガスフローラインと、第3のMPガスストリームを第2のMPカルバメート凝縮セクションに供給するためのガスフローラインと、を備えている。
【0025】
好ましくは、第1のMPカルバメート凝縮セクションは、MP処理ユニットから第1のMPガスストリームを受容し、かつMP解離装置から第2のMPガスストリームを受容するよう配置される。好ましくは、プラントは、MP処理ユニットから第1のMPカルバメート凝縮セクションへのガスフローラインと、MP解離装置から第1のMPカルバメート凝縮セクションへのガスフローラインと、を備えている。好ましくは、プラントは、第3のMPガスストリームを供給するための、当該減圧要素(又はユニット)から第2のMPカルバメート凝縮セクションへのガスフローラインを備えている。興味深い実施形態では、HP合成セクションからの第3のMPガスストリームは、第2のMPカルバメート凝縮セクションの入口において、HP合成セクションのガス出口でのガスストリームの(例えば、質量ベースで)NH3含有量の少なくとも90%であるNH3含有量を有する。例えば、HP合成セクションから第2のMPカルバメート凝縮セクションへの第3のガスストリームのガスフローラインは、HPで動作するスクラバ又は凝縮器を含まない。
【0026】
好ましくは、第2のMPカルバメート凝縮セクションは、凝縮器、スクラバ、及び/又は吸収器を備えている。好ましくは、第2のMP凝縮セクションは、シェルアンドチューブ熱交換器(凝縮器)を備えており、冷却流体、例えば冷却水がチューブ内にあり、凝縮されるガスがシェル側空間に供給される。好ましくは、熱交換器はまた、シェル側空間内で、例えば凝縮されるガスとの並流接触で、カルバメート含有液体を受容する。カルバメート含有液体は、例えば低圧(LP)回収セクションから供給される。例えば、ガス及び液体はどちらも、シェル側空間の底部に供給され、熱交換器は、頂部に1つの出口を有する。熱交換器は、例えばU字形状の縦型チューブ束を備えている。凝縮セクションは、好ましくは、プロセス流体を熱交換器から受容する、ガス/液体分離器を更に備えている。
【0027】
好ましくは、第2のMP凝縮セクションは、シェルアンドチューブ熱交換器と、下流のガス/液体分離器と、任意選択で、当該分離器からガスを受容する吸収器と、を備えている。
【0028】
好ましくは、吸収器からの液体は、当該熱交換器に供給され、LPカルバメート溶液は、吸収液体として吸収器に供給される。
【0029】
また、第2のMP凝縮セクションが(凝縮器としての)熱交換器及びガス/液体分離器からなる、すなわち吸収器のない実施形態では、セクションは、CO2ストリッピング型の尿素プラントにおいてHP合成セクションからオフガスを除去するために多く使用されるHPスクラバとの類似性によって、スクラバと称され得る。
【0030】
本発明によるプラント及びプロセスの実施形態では、好ましくは断熱フラッシュ容器であるMP処理ユニットは、比較的CO2リッチな(例えば、NH3とCO2とのモル比が1.0未満、例えば0.80~0.90の範囲である)MPガスストリームを利用可能にし、有利には、HPストリッパのより少ないエネルギー(蒸気)消費に寄与する。HPストリッパを迂回する尿素合成溶液を受容するMP解離装置は、有利には、比較的小さいHPストリッパを備えた比較的高い尿素製造能力を可能にする。MP解離装置からのガスストリームは、比較的NH3リッチである(NH3とCO2とのモル比が、例えば、少なくとも2.3、例えば2.50~3.0の範囲、例えば約2.60である)。このガス蒸気は、好ましくは、MP処理ユニット(好ましくは断熱フラッシュ容器)からのガスストリームと組み合わせられて、中圧(例えば、22~30barなどの、20~30bar)で第1のMPカルバメート凝縮セクションにおいて凝縮される。少量の不活性物質を伴うかかる圧力は、有利には、120℃を超える比較的高い温度をもたらす。好ましくは、凝縮は、水分蒸発のために加熱される尿素溶液との熱交換接触において実行される。第1のMPカルバメート凝縮セクション内のカルバメート溶液のN/C比は、MPのCO2供給物の一部を当該第1のMPカルバメート凝縮セクションに加えることによって補正され(減少され)得る。
【0031】
CO2供給物は、典型的には、いくつかの不活性物質を含有し、例えば水素変換器で使用するために加えられる、酸素を含み得る。第1のMPカルバメート凝縮セクションに供給されるCO2供給物は、例えばHP CO2圧縮機の段間地点から、又は専用のMP CO2圧縮機から提供され得る。例えば、第1のMPカルバメート凝縮セクションへのCO2の供給ラインは、水素変換器、典型的には触媒変換器を備えており、そこでCO2供給物中の汚染物質として存在するH2が除去される。水素変換器の出口でのCO2供給物は、例えば0.05~0.20体積%のO2、好ましくは約0.10体積%のO2を含有する。有利には、中圧で動作するユニットには不動態化空気がないこと、又は少ないことが必要であるので、MPストリッパによって受容されるCO2供給物ストリームは、好ましくは、HPストリッパによって受容されるCO2供給物よりも低いO2含有量を有する。
【0032】
CO2供給物は、例えば上流のアンモニアプラントの合成ガス製造セクションから生じ得る。
【0033】
CO2供給物は、例えば、好ましくは断熱ストリッパであるMPストリッパを通して第1のMPカルバメート凝縮セクションに供給される。MPストリッパは、例えば、尿素溶液及びCO2供給物が向流接触するように構成され、ガス入口と、ガス出口と、液体入口と、液体出口と、を有する。MPストリッパは、例えば、ガス/液体の接触を確実にするための充填ベッドを備えている。MPストリッパのガス出口からのガスは、第1のMP凝縮セクションに供給される。接触は、尿素溶液中の(遊離した及び/又はカルバメートとしての)アンモニアの量の減少をもたらし、それによって、ストリッピングを提供する。尿素溶液は、CO2の一部を取り込み得る。任意選択のMPストリッパに供給されるCO2供給物ストリームは、例えば、少なくとも95体積%のCO2及び0.10体積%未満のNH3を含み、好ましくは、NH3を含まない。MPストリッパを通してCO2供給物を提供することは、例えば、MP解離装置からの尿素溶液が、LP解離装置及び良好なカルバメート凝縮を達成するためのLPカルバメート凝縮器を備えているLP回収セクションに供給される場合に有利である。
【0034】
MP処理ユニットからの尿素溶液及びMP解離装置からの尿素溶液は、尿素溶液を受容するLP解離装置及びLP解離装置からガスを受容するLPカルバメート凝縮器を備えているLP回収セクションに直接的又は間接的に供給される。MP処理ユニットからの尿素溶液及びMP解離装置からの尿素溶液は、共通のLP回収セクションで、又は別個のLP回収セクションで処理され得る。LPカルバメート凝縮器はまた、カルバメートの結晶化を防止するために水を受容する。水は、例えば、例えば廃水処理セクションから、クリーンプロセス凝縮物として提供される。CO2供給物の一部は、任意選択で大気フラッシュタンク凝縮器を通して、任意選択でLPカルバメート凝縮器に供給されて、LPカルバメート凝縮器内のカルバメート溶液のN/C比を減少させて、良好な凝縮を確実にし、かつ(大気)吸収器へのNH3の高い供給を回避する。LP凝縮セクションからのカルバメート溶液は、圧縮されて、例えば第2のMPカルバメート凝縮器にリサイクルされ、例えば25~50重量%のH2O、例えば約30重量%のH2Oを含む。
【0035】
好ましくは、プラントは、LP解離装置と、MP処理ユニットからLP解離装置への尿素溶液の液体フローラインと、を備えている。好ましくは、プラントは、LPカルバメート凝縮器と、LP解離装置からLPカルバメート凝縮器へのガスフローラインと、を備えている。好ましくは、プラントは、LPカルバメート凝縮器から第2のMPカルバメート凝縮セクション(例えば、MPスクラバ)へのカルバメート溶液の液体フローラインを備えている。好ましくは、プラントは、第2のMPカルバメート凝縮セクションから第1のMPカルバメート凝縮セクションへのカルバメート溶液の液体フローラインを備えている。好ましくは、プラントは、特に任意選択でHP凝縮ゾーンを通してカルバメート溶液を反応ゾーンに供給するために、当該第1のMPカルバメート凝縮セクションから当該高圧(HP)合成セクションへのカルバメート溶液の液体フローラインを備えている。
【0036】
尿素プラント及びプロセスの高圧合成セクションは、CO2供給物の少なくとも一部をストリップガスとして使用するHPストリッパを備えている。
【0037】
CO2供給物は、例えばCO2供給物を生じる上流の合成ガスプラントからの、不活性成分を含む。典型的には、HP合成セクションへのCO2供給物は、例えば尿素合成セクションの腐食を防止するために加えられた、酸素を含む。酸素はまた、合成セクションの上流のCO2供給物中のH2を除去するために加えられ得る。HP合成セクションは、1つ以上のオフガスの出口を備える。オフガスは、不活性成分、並びに不凝縮NH3及びCO2を含む。合成セクションからのオフガスは、NH3が比較的リッチ(例えば、N/C比が少なくとも2.2、又は2.3~3.0の範囲)であり、MP範囲内の圧力まで膨張し、第2のMPカルバメート凝縮セクションにおいて凝縮を受ける。凝縮は、例えば、第2のMPカルバメート凝縮セクション内に備えられた熱交換器内で、LP回収セクションからの水を含むカルバメートリサイクルストリームの存在下で実行される。好ましくは、プラント、特にHP合成セクションは、HPスクラバを備えていない。好ましくは、プロセスは、合成セクションのオフガスが水性液体ストリームと高圧で接触することを含まない。
【0038】
中圧でのHP合成セクションからのオフガスの凝縮は、HPスクラバの使用と比較して、安全性の向上及びより低い機器コストといった利点を提供する。
【0039】
第2のMPカルバメート凝縮セクション(例えばMPスクラバ)は、例えば、水を冷却することによって動作し、カルバメート出口での温度は、例えば80~100℃の範囲である。第2のMPカルバメート凝縮セクションは、例えば、15~25bar、好ましくは20~25barの圧力で動作する。例えば25~30重量%の含水量を有する、第2のMPカルバメート凝縮セクションからのカルバメート溶液は、第1のMPカルバメート凝縮セクション内のカルバメートで富化される。第1のMPカルバメート凝縮セクションは、例えば、第2のMPカルバメート凝縮セクションからのカルバメート溶液よりも、例えば少なくとも5重量%(パーセント点)少ない含水量を有するカルバメート溶液を提供する。第1のMPカルバメート凝縮セクションからのカルバメート溶液は、例えば、15~20重量%の範囲の含水量を有する。第1のMPカルバメート凝縮セクションは、例えば、第2のMPカルバメート凝縮セクションよりも少なくとも10℃高い温度で、例えば110℃~120℃で動作する。このようにして、第2のMPカルバメート凝縮セクション内のカルバメート溶液は、比較的高い含水量を有し得、それによって、カルバメート結晶化のリスクのない、より低い凝縮温度を可能にする。より低い温度は、非凝縮NH3の下流の(LP)吸収器へのより少ない通気に寄与する。これは、廃水処理(WWT)セクションにおけるより少ないエネルギー消費、及び有利には、WWTからのより少ないリサイクルに寄与し得る。第1のMPカルバメート凝縮セクションは、例えば20~30bar、好ましくは22~27barの圧力で、好ましくは第2のMPカルバメート凝縮セクションよりも高い圧力で動作する。LP吸収器からの水性液体は、WWTに供給され得る。
【0040】
有利には、HP合成セクションからの不活性物質は、第1のMPカルバメート凝縮セクションに進入せず、それによって、熱交換のためのより高い凝縮温度を提供し、熱交換は、例えば水分蒸発のための尿素溶液の加熱に使用され得る。
【0041】
第2のMPカルバメート凝縮セクションからのカルバメート溶液は、より高い温度で動作する第1のMPカルバメート凝縮セクションに供給される。それによって、LP回収セクションからのカルバメート溶液に含まれる水は、有利には、直列の3つの凝縮器内でのカルバメートの結晶化を防止するために使用される。例えば、本発明によるプロセスの例示的な一実施形態では、カルバメート溶液は、30重量%のH2OでLPカルバメート凝縮器から得られて第2のMPカルバメート凝縮器(例えば、スクラバ)に供給され、26重量%のH2Oを有するカルバメート溶液を提供し、次に、第1のMPカルバメート凝縮器に供給されて、有利には、HP合成にリサイクルされる、20重量%のH2Oのより低い含水量を有するカルバメート溶液を提供する。
【0042】
好ましくは、第1のMPカルバメート凝縮セクションからの非凝縮ガスは、第2のMPカルバメート凝縮セクションに供給される。好ましい実施形態では、非凝縮ガスは、第2のMPカルバメート凝縮セクション内で反応器からのオフガスと組み合わせられて凝縮される。好ましくは、第2のMPカルバメート凝縮セクションは、第1のMPカルバメート凝縮セクションよりも低い圧力で、例えば少なくとも1.0bar低い圧力で、例えば1.0~5bar低い圧力で動作する。
【0043】
第2のMPカルバメート凝縮セクションからの非凝縮ガスは、例えば、例えばLPで動作する吸収器に供給される。非常に有利には、好ましい実施形態では、HP合成からの不活性ガスは、第2のMPカルバメート凝縮器に供給されず、それによって、吸収器への凝縮可能なガスの供給を低減し、かつ第2のMPカルバメート凝縮器内の全ガス圧力のために加熱ゾーン内の温度を上昇させる。
【0044】
好ましくは、第1のMPカルバメート凝縮セクションからの非凝縮ガスは、特に第2のMPカルバメート凝縮セクション内での爆発性混合物を回避するために、低いH2含有量を有する。低いH2含有量は、第1のMPカルバメート凝縮セクションに供給されるMP CO2供給物の上流でのH2除去によって達成される。有利には、第1のMPカルバメート凝縮セクション内での部分的な凝縮は、例えば当該セクション内の単一の凝縮器だけの単純な機器に寄与し、かつ、当該凝縮器の下流端部での乱流などによって当該凝縮器と熱交換接触している加熱ゾーン内で加熱される尿素溶液への熱の輸送に寄与する。例えば、凝縮器は、シェル及びチューブ熱交換器として提供され、尿素溶液がチューブ内で加熱され、ガスがシェル側空間内で凝縮される。
【0045】
有利には、プラントは、好ましくはアンモニア凝縮器を備えておらず、かつ好ましくはアンモニア液体のリサイクルフローラインを備えていない。
【0046】
好ましくは、プラントは、水及びアンモニアを除去するための尿素溶液を加熱するための加熱ゾーンを更に備えている。好ましくは、プラントは、任意選択で大気フラッシュタンクを通した、LP解離装置から当該加熱ゾーンへの尿素溶液の液体フローラインを備えている。好ましくは、加熱ゾーンは、当該第1のMPカルバメート凝縮セクションの少なくとも一部と熱交換接触し、LP解離装置は、典型的には、LP復元ゾーンのLP解離装置である。好ましくは、加熱ゾーンは、特に尿素溶融物を調製するために、LP回収セクションからの、特に当該LP回収セクション内に備えられたLP解離装置からの尿素溶液を加熱して、尿素溶液からの水分蒸発に使用するために使用される。好ましくは、第1のMPカルバメート凝縮セクションは、例えば上で説明したように、シェルアンドチューブ熱交換器内に少なくとも部分的に提供され、ガスがシェル(シェル側空間)内で凝縮され、尿素溶液がチューブ内で加熱される。
【0047】
加熱ゾーン(例えば予蒸発器)からの被加熱尿素溶液は、好ましくは、NH3及び濃縮尿素溶液を含有する水蒸気を得るように、ガス/液体分離を受ける。濃縮尿素溶液は、例えば、75~85重量%の尿素含有量を有し得る。加熱ゾーンの入口で受容される尿素溶液は、例えば60~75重量%の尿素含有量を有し、例えば、約0.7重量%のNH3を含む。好ましくは、尿素濃度は、加熱ゾーン内で5~10重量%(パーセントポイント)上昇する。比較的高い尿素濃度は、第1のMPカルバメート凝縮セクション内で、110℃などの比較的高い温度によって達成され得る。
【0048】
濃縮尿素溶液は、例えば、任意選択で貯蔵タンクを通して、真空蒸発セクションに供給されて、尿素溶融物を提供する。尿素溶融物は、例えば、造粒機又はプリリングタワーなどの仕上げセクション内で固化される。尿素溶融物はまた、例えばメラミンプラントに供給され得る。他の用途も可能である。
【0049】
加熱ゾーン(予蒸発器)は、例えば、1.0絶対bar未満の、例えば0.4~0.6絶対barなどの0.3~0.8絶対barの圧力で動作する。
【0050】
加熱された尿素溶液は、有利には、例えば約0.05重量%などの0.10重量%未満の低いNH3含有量を有する。尿素貯蔵タンク内での溶液の貯蔵には、低いNH3含有量が望ましい。
【0051】
したがって、加熱された尿素溶液は、例えば32.5重量%の所望の尿素濃度を得るために、低いNH3含有量によって、例えば、水を加えることによって、例えばディーゼル排気流体(DEF)の製造に使用することができる。DEFを製造するための十分に高い純度を有する水は、例えば、WWTセクションからの浄化したプロセス凝縮物として、蒸気凝縮物として、又は脱塩水として加えられ得る。DEFは、典型的には、32.5重量%の尿素及び67.5重量%の水であり、好ましくは、32.5重量%の尿素に基づいて、すなわち、32.5重量%の尿素を有するために必要に応じて加えられる又は除去される水に基づいてアルカリ度が変換されたときに、0.2重量%未満のNH3としてのアルカリ度を有する。有利には、本発明のプロセスでは、低いNH3含有量を達成するための蒸気ストリッピングは不要である。
【0052】
本明細書で使用される場合、「予蒸発器」という用語は、蒸発セクションがプラント内に存在しなければならないことを意味するものではない。いくつかの実施形態では、プラントは、予蒸発器を備えているが、尿素溶融物を生成するための蒸発セクションを備えていない。
【0053】
本発明はまた、CO2ストリッピング型の尿素プラント内で実行される、好ましくは本発明の尿素製造プラントで実行される、尿素製造プロセスに関する。尿素製造プロセスは、例えば、反応ゾーンからHPストリッパに尿素合成溶液の第1の部分を供給することと、CO2をストリップガスとして使用してHPストリッパ内の尿素溶液をストリッピングして、ストリッピングした尿素溶液を提供することと、ストリッピングした尿素溶液をMP処理ユニットに供給して、第1のMPガスストリーム及び処理された尿素溶液を提供することと、MP解離装置内で加熱することによって、反応ゾーンからの尿素合成溶液の第2の部分にカルバメートの分解を受けさせて、第2のMPガスストリーム及びMP尿素溶液を提供することと、減圧によってHP合成セクションから第3のMPガスストリームを提供することと、を含む。プロセスは、第1のMPカルバメート凝縮セクション内の当該第1の、第2の、及び第3のMPガスストリームからなる群から選択される2つのガスストリームを組み合わせて凝縮することを含む。好ましくは、プロセスは、当該第1のMPカルバメート凝縮セクション内で第1及び第2のガスストリームを組み合わせて凝縮することと、第2のMPカルバメート凝縮セクション内で第3のガスストリームに凝縮を受けさせることと、を含む。
【0054】
好ましくは、第1のMPカルバメート凝縮セクションは、第2のMPカルバメート凝縮セクションの動作圧力よりも高い、例えば1~10bar高い、より好ましくは1~5bar高い、更により好ましくは1~3bar高い圧力で動作する。
【0055】
好ましくは、第1のMPカルバメート凝縮セクションは、15~35barの圧力で動作する。好ましくは、MP処理ユニット、好ましくは断熱フラッシュ容器は、15~35barの圧力で動作する。好ましくは、断熱フラッシュ容器は、第1のMPカルバメート凝縮セクションと同じ圧力で動作する。好ましくは、第2のMPカルバメート凝縮セクションは、15~35barの圧力で動作する。
【0056】
好ましくは、HPストリッパは、0.65~0.80、例えば0.70~0.75の範囲のストリッピング効率αで動作する。比較的低いストリッピング効率は、有利には、HPストリッパによるより少ないエネルギー消費を、例えばより少ない蒸気の消費を提供する。追加的に、HPストリッパ及びHPカルバメート凝縮器は、比較的小型であり得、これは、有利には、既存の尿素プラントを改造してHP合成セクションの所望される制限された改良で生産能力を高め得る。MP処理ユニット、特に好ましい断熱フラッシュ容器は、ストリッピング効率が比較的低くても、カルバメートリサイクルによる低水リサイクルに寄与し得る。
【0057】
好ましくは、30~70体積%の尿素合成溶液が、反応ゾーンからMP解離装置に供給され、すなわち、HPストリッパを迂回する。それによって、MP解離装置は、大量のHPストリッパを取り出すことができる。
【0058】
また、上述のように既存の尿素製造プラントを改良する方法が提供される。
【0059】
好ましくは、方法は、MP処理ユニットから第1のMPガスストリームを受容し、かつMP解離装置から第2のMPガスストリームを受容するように、第1のMPカルバメート凝縮セクションを配置することを含む。好ましくは、方法は、MP処理ユニットから第1のMPカルバメート凝縮セクションへのガスフローライン、及びMP解離装置から第1のMPカルバメート凝縮セクションへのガスフローラインを提供することを含む。好ましくは、方法は、第3のMPガスストリームを供給するための、減圧要素から第2のMPカルバメート凝縮セクションへのガスフローラインを提供することを含む。方法は、概して、HP合成セクションを全く又は殆ど変更しない有利な方式で、尿素プラントの生産能力の向上を提供する。
【0060】
興味深い実施形態では、既存のプラントは、ストリッピングした尿素溶液を受容するMP処理ユニット、特にMP断熱フラッシュ容器と、第1のMPカルバメート凝縮器と、を備えている。第1のMPカルバメート凝縮器は、反応器からの及び/又はHPカルバメート凝縮器からの合成セクションのオフガス、及び既存のプラント内のMP処理ユニットからのガスを受容する。例えば、第1のMPカルバメート凝縮器は、既存のプラント内の尿素溶液の加熱ゾーンと、特に予蒸発器と熱交換接触する。かかる既存のプラントを改良する好ましい本発明の方法は、反応器からプラントへの尿素合成溶液の一部を受容するMP解離装置を加えることと、第2のMPカルバメート凝縮器、第3のMPガスストリーム(例えば、反応器オフガス)を第2のMPカルバメート凝縮器に供給するためのガスフローライン及び、ガスストリームをMP解離装置から第1のMPカルバメート凝縮器に供給するためのガスフローラインを加えることと、を含む。このようにして、有利には、反応器オフガス中の不活性ガスは、もはや予蒸発器の温度に悪影響を及ぼさない(低下させない)。更に、本発明のプラントに関して考察される様々な利点及びプロセスは、改良されたプラントにおいて得られる。非常に有利には、尿素プラントの生産能力の向上は、HP機器を加えることも改良することもなく、MP解離装置によって得ることができる。尿素製造プラントの上記の選好はまた、改良された尿素プラント、例えば、加えられた第2のMPカルバメート凝縮器から第1のMPカルバメート凝縮器へのカルバメート溶液の液体フローラインにも適用される。好ましくは、既存のプラントは、HPスクラバを備えておらず、好ましくは既存のプラントでは、合成セクションのオフガスは、反応器及び/又はHPカルバメート凝縮器から、例えば弁(例えば制御弁)などの減圧要素を通して、第1のMPカルバメート凝縮器に直接に供給される。
【0061】
図1は、本発明の実施形態による例示的な尿素製造プロセス及びプラントを示す。プラントは、HPストリッパ(HPS)を含む高圧(HP)合成セクション(HPSS)と、NH
3及びCO
2から尿素を形成するための反応ゾーン(HPR)と、凝縮ゾーン(HPCC)と、を備えている。反応ゾーン(HPR)は、尿素合成溶液の液体出口(1)及び不活性物質の別個のガス出口(14)を有する反応器、例えば縦型尿素反応器を備えている。尿素合成溶液の第1の部分(1a)は、CO
2をストリップガスとして使用するHPストリッパ(HPS)に供給される。HPストリッパ(HPS)からのストリッピングした尿素溶液(2)は、MP処理ユニット(MPTU)に供給される。尿素合成溶液の第2の部分(1b)は、尿素溶液を加熱するための熱交換器であるMP解離装置(MPD)に供給される。それによって、尿素合成溶液を供給するために、単一の反応器がHPストリッパ及びMP解離装置の両方に接続される。どちらもNH
3及びCO
2を含む、MP処理ユニット(MPTU)からのガス(4)及びMP解離装置(MPD)からのガス(5)は、尿素溶液(11a)を加熱するために使用される予蒸発ユニット(PEV)と熱交換接触する第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)内で凝縮されて、加熱された尿素溶液(11b)を提供する。HPストリッパ(HPS)からのガス(3)は、NH
3供給物も受容する凝縮ゾーン(HPCC)内のHPカルバメート凝縮器内で凝縮されて、反応ゾーン(HPR)内の反応器に供給される凝縮物(6)を提供する。MP処理ユニット(MPTU)からの尿素溶液(7)は、尿素溶液(7)を加熱するための好ましくはシェルアンドチューブ熱交換器であるLP解離装置(LPD)に供給されて、カルバミン酸アンモニウムをNH
3及びCO
2に分解する。MP解離装置(MPD)からの尿素溶液(8)はまた、MPストリッパ(MPS)に供給され、そこでMP CO
2供給物と接触する。MPストリッパからの尿素溶液(16)は、例えばLP回収セクションに、例えばLP解離装置(LPD)(図示せず)に供給される。HP合成セクション(HPSS)からのガス(14)、例えば反応ゾーン(HPR)内の反応器からのガス(14)及び/又はHPカルバメート凝縮器からのガス(14a)は、例えば1つ以上の弁(V1)などの減圧要素のMPに膨張させて、第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)からの非凝縮ガス(10)も受容する第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)に供給される。第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)からの非凝縮ガス(18)は、例えばLPで動作する吸収器に供給される。LP解離装置(LPD)から得られたガス(12)は、CO
2供給物の一部も直接的又は間接的に受容するLPカルバメート凝縮器(LPCC)に供給される。LPカルバメート凝縮器(LPCC)からの比較的高い含水量を有するLPカルバメート溶液(13)は、第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)に供給され、そこでカルバメート結晶化を回避するのを補助する。第2のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-2)からのMPカルバメート溶液(15)は、高温で動作する第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)に供給され、そこで、有利には、カルバメートが富化される。結果として生じるカルバメート溶液(9)は、HP合成セクション(HPSS)に、例えばHP凝縮ゾーン(HPCC)にリサイクルされる。LP解離装置(LPD)から得られた尿素溶液(11)は、任意選択で更なる拡張ステップの後に依然として水を含有しており、例えば、有利には高温の、第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)内で放出される熱を使用して、予蒸発器(PEV)内で尿素溶液(11a)として加熱され、ガス/液体分離を受けさせて、水蒸気及び濃縮尿素溶液を提供する。MP CO
2供給物の一部を含むMP CO
2ストリッパ(MPS)からのガス(17)は、第1のMPカルバメート凝縮セクション(MPCC-1)に供給されて、当該凝縮セクションの適切なN/C比に寄与する。
【0062】
プラントの選好はまた、プロセスに、及び改造方法(既存のプラントを改良する方法)に適用される。プロセスは、好ましくは、記載されるプラント内で実行される。改造方法は、好ましくは、記載されるプラントを提供する。
【0063】
本出願では、プロセスストリーム(すなわち水蒸気ラインではない)の場合、高圧(HP)は、100barよりも高く、例えば120~300bar、典型的には150~200barである。中圧(MP)は、例えば10~70bar(30~70barの中間圧力を含む)、特に10~40barであり、低圧(LP)は、例えば1.0~10bar、特に1.0~8bar、例えば1.5~5barである。全ての圧力は、bar絶対圧で提供される。
【0064】
尿素溶液及びカルバメートストリームについて本明細書で使用されるN/C比は、尿素プラントの技術分野で使用されるように、NH3、CO2、及びH2Oだけからなる、いわゆる尿素製造前の初期混合物の組成を反映し、モル比である。ガスストリームのN/C比は、NH3とCO2とのモル比を示す。
【0065】
「カルバメート」という用語は、本明細書で使用される場合、尿素プラントの技術分野で使用される用語である、カルバミン酸アンモニウムを指す。
【0066】
「典型的」及び「特に」という用語は、いくつかの実施形態で使用することができる特徴を示すために使用されているが、必須ではない。また、好ましい特徴も必須ではない。
【0067】
「液体フローライン」及び「液体連通」という用語は、液体が、任意選択でいくつかの中間ユニットを通って、2つのユニット間の通路を通過することを可能にするフローライン(例えば、配管又はダクト)を指す。液体連通には気相輸送が含まれないので、蒸発器、蒸気のフローライン、及び凝縮器によって接続された2つのユニットは、流体連通している(気相輸送及び液体輸送を包含する)が、液体連通していない。第1のユニットは、例えば、第1のユニットの液体の出口が凝縮器の入口と接続され、かつ凝縮器の液体の出口が第2のユニットの入口と接続された場合に、第2のユニットと液体連通する。液体フローライン内には、例えば、ポンプが存在し得る。「ガスフローライン」は、2つのユニット間でガスを気相輸送するためのフローラインである。気相輸送は、液体としての材料の輸送を含まない。
【0068】
ストリッピング効率(α)は、尿素(ビウレット)に変換されたアンモニアの量をアンモニアの総量で除算したものとして定義され、HPストリッパの場合、典型的には、ストリッパの液体出口で測定される。この定義は、ストリッパの出口に基づくNH3変換の定義に相当する。したがって、α=(2×重量%尿素/60)/[(2×重量%尿素/60)+(重量%NH3/17)]であり、ストリッパの液体出口で測定され、式中、重量%NH3は、カルバミン酸アンモニウムを含む全てのアンモニア種を含む。当業者は、「ストリッピング効率」が、ストリッパのエネルギー効率ではなく、ストリッパ液体出口の尿素純度を指すことを理解する。
【0069】
カルバメート凝縮器内での凝縮は、NH3及びCO2の、液体であるカルバミン酸アンモニウムへの反応を含む、いわゆるカルバメート凝縮を指し、よって、実際には、ガス状NH3及びCO2が液相のカルバメートになる。カルバメート分解は、カルバメートのNH3及びCO2への解離反応を指す。
【0070】
本明細書の上で考察されたように、本発明は、高圧CO2ストリッパ、下流の中圧処理ユニット、及び反応器から尿素合成溶液を受容する中圧解離装置を使用する、尿素製造プラント及びプロセスであって、処理ユニット及び解離装置からのガスが第1の凝縮器内で凝縮され、合成セクションからのオフガスが第2の凝縮器内で別に凝縮される、尿素製造プラント及びプロセスに関する。改造方法も記載されている。
【実施例】
【0071】
ここで、本発明を、以下の非限定的な実施例によって更に例示する。この実施例は、本発明を限定するものではなく、また、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0072】
実施例1
図1によるプロセスでは、第2のMPカルバメート凝縮器は、93℃及び21barで動作し、36重量%のNH
3、37重量%のCO
2(遊離並びにNH
3及びCO
2のカルバメートとしての両方)、及び第1のMPカルバメート凝縮器に供給された26重量%のH
2Oを含むカルバメート溶液を提供する。第1のMPカルバメート凝縮器を114℃及び24barで動作させて、有利な低含水量でHP合成に供給され得る、38重量%のNH
3、42重量%のCO
2、及び19重量%のH
2O(遊離並びにNH
3及びCO
2のカルバメートとしての両方のパーセンテージ)を含有するカルバメート溶液を産生した。
【国際調査報告】