(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】車両の少なくとも1つの周辺センサの性能を評価する方法及び装置、並びにそのような装置を備えた車両
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240614BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G01M17/007 B
G08G1/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575510
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2022060344
(87)【国際公開番号】W WO2022258248
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021002910.0
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラルーシ リハブ
(72)【発明者】
【氏名】ストラック トビアス
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181EE02
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
本発明は、車両(F)、特に自動運転操作、特に高度自動運転操作のために設定された車両(F)の少なくとも1つの周辺センサ(s1~sz)の性能を評価する方法に関する。本発明による方法は、少なくとも1つの基準物体(RO1、RO2、RO3)に対する周辺センサ(s1~sz)のフォルスネガティブを検出する工程、予め決定された評価期間中に検出されたフォルスネガティブをこれらの時間的長さによって分類し、複数の予め決定された時間クラスの1つにそれぞれ割り当てる工程、予め決定された評価期間中にそれぞれの時間クラスのフォルスネガティブが発生する頻度を示す、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率を、時間クラスの各々について決定する工程、時間クラスの各々についてフォルスネガティブ閾値を予め決定する工程、時間クラスごとに、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率が、時間クラスに予め決定されたフォルスネガティブ閾値を超過する頻度を決定する工程、決定された、それぞれの時間クラスに予め決定されたフォルスネガティブ閾値をフォルスネガティブ率が超過する事例の数が、それぞれの時間クラスに予め決定された値より大きい場合、周辺センサ(s1~sz)の性能が損なわれていると評価する工程、の方法工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(F)、特に自動運転操作、特に高度自動運転操作のために設定された車両(F)の少なくとも1つの周辺センサ(s1~sz)の性能を評価する方法において、
-少なくとも1つの基準物体(RO1、RO2、RO3)に対する前記周辺センサ(s1~sz)のフォルスネガティブを検出する工程、
-予め決定された評価期間中に検出された前記フォルスネガティブを当該フォルスネガティブの時間的長さによって分類し、複数の予め決定された時間クラスの1つにそれぞれ割り当てる工程、
-前記予め決定された評価期間中にそれぞれの前記時間クラスのフォルスネガティブが発生する頻度を示す、それぞれの前記時間クラスのフォルスネガティブ率を、前記時間クラスの各々について決定する工程、
-前記時間クラスの各々についてフォルスネガティブ閾値を予め決定する工程、
-時間クラスごとに、それぞれの前記時間クラスの前記フォルスネガティブ率が、当該時間クラスに予め決定された前記フォルスネガティブ閾値を超過する頻度を決定する工程、
-前記決定された、それぞれの前記時間クラスに予め決定された前記フォルスネガティブ閾値を前記フォルスネガティブ率が超過する事例の数が、それぞれの前記時間クラスに予め決定された値より大きい場合、前記周辺センサ(s1~sz)の前記性能が損なわれていると評価する工程、
の方法工程を特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法工程は、基準物体(RO1、RO2、RO3)が複数の場合に基準物体(RO1、RO2、RO3)ごとに実行され、及び/又は周辺センサ(s1~sz)が複数の場合に周辺センサ(s1~sz)ごとに実行される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フォルスネガティブを検出するために、前記基準物体(RO1、RO2、RO3)に対する前記車両(F)の他の周辺センサ(s1~sz)の検知結果が考慮される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両(F)の前記他の周辺センサ(s1~sz)のセンサデータフュージョンの前記検知結果が使用される
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
レーダセンサ、ライダセンサ、又はカメラセンサとして設計された、前記車両(F)の周辺センサ(s1~sz)の前記性能が評価される
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
真っすぐ又は斜め前方、或いは真っすぐ又は斜め後方に向いた検出領域を有する、前記車両(F)の周辺センサ(s1~sz)の前記性能が評価される
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記性能が損なわれていると評価された場合、前記自動運転操作を、前記損なわれた性能に適合させる、又は終了する
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計及び設定された装置(2)。
【請求項9】
請求項8に記載の装置(2)を備えた車両(F)。
【請求項10】
自動運転操作を実行するように形成及び設定された、請求項9に記載の車両(F)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部の特徴による車両の少なくとも1つの周辺センサの性能を評価する方法、車両の少なくとも1つの周辺センサの性能を評価する装置、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102017006260号明細書に記載されているように、車両における少なくとも1つの周辺センサの検知特性を決定する方法、及びそのような方法を実行するように設定された車両が従来技術から知られている。この方法は、複数の測定サイクルで車両の複数の周辺センサをそれぞれ読み取る工程と、複数の測定サイクルの各測定サイクルで同じ対象物体を識別する工程であって、複数の測定サイクルの測定サイクルごとに、複数の周辺センサのうちの少なくとも1つの検査対象の周辺センサについて、それぞれの測定サイクルで検査対象の周辺センサによって対象物体が検出されたかどうかが検査される工程と、複数の測定サイクルのうちの、検査対象の周辺センサによって対象物体が検出された測定サイクルの数として、検査対象の周辺センサの検知数を生成する工程と、検知数から、検査対象の周辺センサの性能の程度を決定する工程とを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術と比べて改善された、車両の少なくとも1つの周辺センサの性能を評価する方法、従来技術と比べて改善された、車両の少なくとも1つの周辺センサの性能を評価する装置、及び従来技術と比べて改善された車両を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する、車両の少なくとも1つの周辺センサの性能を評価する方法、請求項8の特徴を有する、車両の少なくとも1つの周辺センサの性能を評価する装置、及び請求項9に記載の特徴を有する車両によって解決される。
【0005】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
車両、特に自動運転操作、特に高度自動又は自律運転操作のために設定された車両の少なくとも1つの周辺センサ又は複数の周辺センサの性能を評価する本発明による方法において、以下の方法工程が実行される。
-少なくとも1つの基準物体に対する周辺センサのフォルスネガティブを検出する、特に連続的に検出する工程、
-予め決定された評価期間中に検出されたフォルスネガティブをこれらの時間的長さによって分類し、複数の予め決定された時間クラスの1つにそれぞれ割り当てる工程、
-予め決定された評価期間中にそれぞれの時間クラスのフォルスネガティブが発生する頻度を示す、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率を、時間クラスの各々について決定する工程、
-時間クラスの各々についてフォルスネガティブ閾値を予め決定する工程、
-時間クラスごとに、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率が、この時間クラスに予め決定されたフォルスネガティブ閾値を超過する頻度を決定する工程、
-特に予め決定された期間、例えば1時間内に決定された、それぞれの時間クラスに予め決定されたフォルスネガティブ閾値をフォルスネガティブ率が超過する事例の数が、それぞれの時間クラスに予め決定された値、特にそれぞれの時間クラスに予め決定された頻度閾値より大きい場合、周辺センサの性能が損なわれていると評価する工程。
【0007】
車両、特に自動運転操作、特に高度自動又は自律運転操作のために設定された車両の少なくとも1つの周辺センサの性能を評価する本発明による装置は、本方法を実行するように設計及び設定されている。特に、本装置は、本方法を実行するように設計及び設定された処理ユニットを備えている。それに加えて、本装置は、特に車両の少なくとも1つの周辺センサ、特に車両の複数の周辺センサを備えている。それぞれの周辺センサは、例えばレーダセンサ、ライダセンサ、又はカメラセンサとして設計され、本装置は、同一又は様々に設計された複数の周辺センサを備えることができる。
【0008】
本発明による車両は、この装置を備える。本車両は、特に自動運転操作、特に高度自動又は自律運転操作を実行するように設計及び設定されている。
【0009】
少なくとも1つ又はそれぞれの周辺センサは、特に車両の外側周辺を検出するための特に周辺検出センサである。少なくとも1つの周辺センサの性能は、センサパフォーマンスとも呼ばれる。
【0010】
基準物体は、フォルスネガティブに関する性能を評価するのに適する、選択された物体である。基準物体は、次の基準によって選択することができる。
-その物体が、存在する、すなわち周辺センサのうちの少なくとも1つによって認識される、
-その物体が、評価対象の周辺センサによって認識されるはずである、すなわちこの周辺センサの検出領域内にある、
-その物体が、評価対象の周辺センサに対して隠されていない。
【0011】
したがって、基準物体は、真っすぐ又は斜め前方に向いた検出領域を有する周辺センサに対する物体、特に車両の直ぐ前及び車両の横前方にある物体である。基準物体として適していない物体の例は、例えば、それぞれの周辺センサに対して隠された物体、及び周辺センサの検知領域、すなわち検出領域の外側にある物体である。このような物体は、周辺センサによって検出できないことから周辺センサによって検知されないため、周辺センサの検知パフォーマンス、すなわち検知に関する性能を検査するのに適していない。
【0012】
したがって、本発明による解決策において、少なくとも1つの周辺センサの性能の評価は、周辺センサのフォルスネガティブを、特に連続的に決定することと、決定されたフォルスネガティブの継続時間、すなわち非検知継続時間を予め決定された時間クラスによって分類することとに基づいている。フォルスネガティブ、すなわち偽陰性とは、実際にはその場所に物体が存在するにもかかわらず、周辺センサがその場所の物体を検知しないことを意味する。したがって、フォルスネガティブは、周辺センサが測定サイクルにおいて周辺センサに見える物体を検知しなかったことを示す測定結果である。時間クラスの各々について、予め決定された評価期間中にそれぞれの時間クラスのフォルスネガティブが発生する回数を示す、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率が決定される。時間クラスの各々について、フォルスネガティブ閾値が定義される。時間クラスごとに、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率が、その時間クラスに対して定義されたフォルスネガティブ閾値を超過する回数が決定される。決定された超過の数が、それぞれの時間クラスに予め決定された値より大きい場合、性能は損なわれていると評価される。
【0013】
自動、特に高度自動又は自律運転操作時に、車両、特に、自動、特に高度自動又は自律運転操作を実行するための車両のシステムは、車両の周辺センサがその物体認識に関する性能について予め決定された要件、例えば予め決定された検知率を満たすかどうかを認識しなければならない。これは、本発明による解決策によって可能になる。これらの要件が満たされない場合、自動、特に高度自動又は自律運転操作を、例えば最大許容走行速度を下げることによって、低減された性能に適合させる、或いは、自動、特に高度自動又は自律運転操作を終了して車両制御を車両運転者に委ねる。
【0014】
したがって、本発明による解決策によって、自動、特に高度自動又は自律運転操作は、少なくとも1つ又はそれぞれの周辺センサの性能、すなわちセンサパフォーマンスが予め決定された要件を満たす場合にのみ許可されるため、安全なものになる。
【0015】
考えられる実施形態では、方法工程は、基準物体が複数の場合に基準物体ごとに実行され、及び/又は周辺センサが複数の場合に周辺センサごとに実行される。したがって、上記の解決策により、車両のすべての周辺センサをその性能に関して評価することができる。すべての基準物体を使用することによって、性能の評価が向上する。
【0016】
考えられる実施形態では、フォルスネガティブを検出するために、基準物体に対する車両の他の周辺センサの検知結果が考慮される。それによって、特に、それぞれの物体が適切な基準物体であるかどうかを決定することができ、かつその物体が評価対象の周辺センサにより検出可能なはずであるかどうかを決定することができるため、評価対象の周辺センサについてフォルスネガティブを正確に決定することができる。
【0017】
考えられる実施形態では、車両の他の周辺センサからのセンサデータフュージョンの検知結果が使用される。これによって、評価対象の周辺センサのフォルスネガティブを決定する際の信頼性が向上するため、その性能の評価が向上する。
【0018】
考えられる実施形態では、レーダセンサ、ライダセンサ、又はカメラセンサとして設計された、車両の周辺センサの性能が評価される。
【0019】
考えられる実施形態では、真っすぐ又は斜め前方、或いは真っすぐ又は斜め後方に向いた検出領域を有する、車両の周辺センサの性能が評価される。これによって、特に、比較的長期間にわたり、車両の真っすぐ又は斜め前方、或いは車両の真っすぐ又は斜め後方にいる他の交通参加者、特に先行若しくは後続する他の交通参加者を基準物体として使用することができる。
【0020】
考えられる実施形態において、性能が損なわれていると評価された場合、自動、特に高度自動又は自律運転操作を、その損なわれた性能に適合させ、特に車両の速度を低下させ、又は自動運転操作を終了する。これによって、自動、特に高度自動又は自律運転操作が、十分に高性能な周辺センサでのみ、したがって高い安全性で実行されることが保証される。
【0021】
上述の解決策は、特に、非検知継続時間が長い場合よりも非検知継続時間が短い場合のほうが、特定のフォルスネガティブ閾値を超過するフォルスネガティブ率を許容できるという考えに基づいている。したがって、周辺センサの性能は、有利には、様々な時間クラスのフォルスネガティブ率に応じて評価される。
【0022】
したがって、特定の周辺センサが満たさなければならない要件として、有利には、予め決定された期間において、特定の時間クラスのフォルスネガティブ率が、この時間クラスに対して定義されたフォルスネガティブ閾値と等しくなることが許容される最大回数、すなわち頻度が特定される。フォルスネガティブ閾値は、有利には、センサタイプごとに、すなわち例えばレーダセンサ、ライダセンサ、及びカメラセンサに個別に予め決定される。
【0023】
周辺センサがこれらのすべての要件を満たす場合、その性能は損なわれていないと評価される。それ以外の場合、性能は損なわれていると評価される。
【0024】
有利には、残りの周囲センサの要件が、同様にして予め決定及び検査される。
【0025】
代替的又は追加的に、周辺センサの検知されたフォルスネガティブをもとにして、例えば、性能を評価するための他の値、例えば、周辺センサのフォルスネガティブ間の平均継続時間及び/又は周辺センサの特定のフォルスネガティブクラス、すなわち時間クラスのフォルスネガティブ間の平均継続時間などを計算することもできる。
【0026】
例えば、特定の時間帯に検知された、周辺センサのフォルスネガティブをもとにして、例えば時間帯がより長い場合の更なる統計を決定することもできる。
【0027】
したがって、上記の解決策は、有利には次の考えに基づいている。
【0028】
選択された周辺センサのフォルスネガティブが連続的に検出される。フォルスネガティブとは、選択された周辺センサが、測定サイクルにおいて、その周辺センサで見える少なくとも1つの基準物体を検知しなかったことを示す測定結果であると理解される。周辺センサで見える基準物体の存在に関する情報は、他の周辺センサから送られる。
【0029】
予め決定された評価期間中に検出されたフォルスネガティブは、それらを複数の予め決定された時間クラスの1つにそれぞれ割り当てるために、当該フォルスネガティブの時間的長さによって分類される。
【0030】
予め決定された時間クラスの各々について、予め決定された評価期間内にそれぞれの時間クラスのフォルスネガティブが検知された回数が決定される。評価期間内に決定された特定の時間クラスのフォルスネガティブの数は、この時間クラスのフォルスネガティブ率に相当する。
【0031】
時間クラスごとに、フォルスネガティブ閾値が定義される。
【0032】
時間クラスごとに、頻度閾値が定義される。
【0033】
時間クラスごとに、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ閾値をそれぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率が超過するかどうか、及びフォルスネガティブ閾値を超過するこれらの事象が発生する頻度、特に1時間当たりの回数が決定される。決定された頻度がそれぞれの時間クラスに対して定義された頻度閾値を超過する場合、周辺センサの性能は損なわれていると評価される。
【0034】
上記の工程は、有利には、存在する基準物体ごとに、かつ検査対象の周辺センサの各々について実行される。
【0035】
以下では、本発明の例示的な実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】車両と、車両の周辺における他の車両として形成された複数の基準物体とを含む交通状況の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、車両Fと、車両Fの周辺における他の車両として形成された複数の基準物体RO1、RO2、RO3とを含む交通状況の概略図を示す。車両Fは、特に自動運転操作、特に高度自動又は自律運転操作のために設定された車両Fである。
【0038】
車両Fは、そのような車両Fの少なくとも1つの周辺センサs1、si、sz、又は複数の周辺センサs1、si、szの性能を評価するための以下に説明する方法を実行するように設計及び設定された装置2を備える。周辺センサs1、si、szに関して、iは、1~zの制御変数であり、すなわちs1~szの周辺センサが車両Fに設けられている。したがって、車両Fに設けられた複数の周辺センサs1、si、sz(ここでi=1~z)は、以下では周辺センサs1~szとも呼ばれる。以下、それぞれの周辺センサは、具体的に例えばs1と呼ばれない場合には、周辺センサs1~sz、又は周辺センサsiと呼ばれる。
【0039】
装置2は、特に周辺センサs1~szに結合された処理ユニット3を特に備える。特に、この処理ユニット3は、本方法を実行するように設計及び設定されている。それに加えて、車両F、特にその装置2は、特に少なくとも1つの周辺センサs1~sz、特に複数の周辺センサs1~szを備える。それぞれの周辺センサs1~szは、例えば、レーダセンサ、ライダセンサ、又はカメラセンサとして設計され、同一又は様々に設計された複数の周辺センサs1~szを設けることができる。少なくとも1つ又はそれぞれの周辺センサs1~szは、特に車両Fの外側周辺を検出するための、特に周辺検出センサである。少なくとも1つ又はそれぞれの周辺センサs1~szの性能はセンサパフォーマンスとも呼ばれる。
【0040】
本方法においては、特に以下の方法工程が実行される。
-少なくとも1つの基準物体RO1、RO2、RO3に対する周辺センサs1~szのフォルスネガティブを検出する、特に連続的に検出する工程、
-予め決定された評価期間中に検出されたフォルスネガティブをこれらの時間的長さによって分類し、複数の予め決定された時間クラスの1つにそれぞれ割り当てる工程、
-予め決定された評価期間中にそれぞれの時間クラスのフォルスネガティブが発生する頻度を示す、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率を、時間クラスの各々について決定する工程、
-時間クラスの各々についてフォルスネガティブ閾値を予め決定する工程、
-時間クラスごとに、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率が、この時間クラスに予め決定されたフォルスネガティブ閾値を超過する頻度を決定する工程、
-特に予め決定された期間、例えば1時間内に決定された、それぞれの時間クラスに予め決定されたフォルスネガティブ閾値をフォルスネガティブ率が超過する事例の数が、それぞれの時間クラスに予め決定された値、特にそれぞれの時間クラスに予め決定された頻度閾値より大きい場合、周辺センサs1~szの性能が損なわれていると評価する工程。
【0041】
特に、高度自動運転操作において、この高度自動運転操作を実行するための車両F又は車両Fのシステムは、車両Fの周辺センサs1~szがその物体認識に関する性能について予め決定された要件、例えば検知率を満たすかどうかを認識しなければならない。これらの要件が満たされない場合、すなわち性能が損なわれていると評価された場合、高度自動運転操作を、例えば最大許容走行速度を下げることによって、低減された性能に適合させる、又は高度自動運転操作を終了して車両制御を車両運転者に委ねる。ここに記載される方法は、それぞれの周辺センサs1~szの性能を評価することを可能にする。
【0042】
周辺センサs1~szの検知率を決定する方法は、従来技術から、例えば独国特許出願公開第102017006260号明細書からすでに知られている。この従来技術では、決定は、様々な周辺センサs1~szの物体検知の統計的評価に基づいている。
【0043】
センサ検知を評価する場合、通常、フォルスポジティブ、フォルスネガティブ、及びトゥルーポジティブが区別される。フォルスポジティブ、すなわち偽陽性とは、実際にはその場所に物体が存在しないにもかかわらず、周辺センサs1~szがその場所の物体を検知することを意味する。これは、ゴースト物体とも呼ばれる。フォルスネガティブ、すなわち偽陰性は、実際にはその場所に物体が存在するにもかかわらず、周辺センサs1~szがその場所の物体を検知しないことを意味する。トゥルーポジティブ、すなわち真陽性は、実際にその場所に存在する物体を周辺センサs1~szがその場所で検知することを意味する。トゥルーポジティブは、上述の従来技術では検知率と呼ばれる。
【0044】
周辺センサs1~szの性能の評価は、フォルスネガティブを連続的に決定することに基づいている。フォルスネガティブは、周辺センサs1~szが測定サイクルにおいて周辺センサs1~szに見える物体、図示される例ではそれぞれの基準物体RO1、RO2、RO3を検知しなかったことを示す測定結果である。
【0045】
更に、非検知継続時間、すなわちフォルスネガティブの継続時間が決定される。非検知継続時間は、その継続時間によって分類され、複数の時間クラスのうちの1つにそれぞれ割り当てられる。予め決定された評価期間中にそれぞれの時間クラスのフォルスネガティブが発生する回数が決定される。評価期間に応じた特定の時間クラスの決定されたフォルスネガティブの数は、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率(FN率)と呼ばれる。時間クラスごとにフォルスネガティブ閾値(FN閾値)が定義される。時間クラスごとに、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率が、この時間クラスに対して定義されたフォルスネガティブ閾値を超過する回数が決定される。決定された超過の数が、それぞれの時間クラスに予め決定された値より大きい場合、性能は損なわれていると評価される。
【0046】
有利には、物体検知に複数の周辺センサs1~szが使用され、車両周辺の予め決定された位置領域で検知された物体が基準物体RO1、RO2、RO3、すなわち関連物体として識別される。物体の検知はセンサデータフュージョンによって行われる。したがって、有利には、それぞれの周辺センサs1~szの性能を評価するために、特にそれぞれの基準物体RO1、RO2、RO3に関するフォルスネガティブを検出するために、車両Fの複数又はすべての他の周辺センサs1~szの検知結果も使用される。他の周辺センサs1~szのこれらの検知結果は、有利には、センサデータフュージョンが施され、次いで、融合されたセンサデータが上記の目的に使用される。
【0047】
予め決定される位置領域は、センサ領域内において、車両Fの周辺の対象となる領域、例えば直ぐ前、左前方、右前方である。これらの位置領域には、車両Fに関連する、すなわち、車両Fが迅速に反応しなければならない、若しくはシステムが特定の目標挙動で反応しなければならない物体が位置する。したがって、ここで説明する方法により、特に、真っすぐ又は斜め前方に向いた検出領域を有する、車両Fの1つ又はそれぞれの周辺センサs1~szの性能が評価される。
【0048】
基準物体RO1、RO2、RO3は、例えばフォルスネガティブに関する性能を評価するなど、特定の性能テストを実行するのに適する、選択された物体である。基準物体RO1、RO2、RO3は、次の基準によって選択することができる。
-その物体が、存在する、すなわち周辺センサs1~szのうちの少なくとも1つにより認識される、
-その物体が、評価対象の周辺センサs1~szによって認識されるはずである、すなわちこの周辺センサs1~szの検出領域内にある、
-その物体が、評価対象の周辺センサs1~szに対して隠されていない。
【0049】
したがって、基準物体RO1、RO2、RO3は、特に、車両Fの直ぐ前、及び車両Fの横前方にある物体である。基準物体RO1、RO2、RO3として適さない物体の例は、例えば、それぞれの周辺センサs1~szに対して隠される物体、及び周辺センサs1~szの検知領域外にある物体である。このような物体は、周辺センサs1~szによって検出できないことから周辺センサs1~szによって検知されないため、周辺センサs1~szの検知パフォーマンス、すなわち検知に関する性能を検査するのに適していない。
【0050】
図1による例では、基準物体RO1、RO2、RO3は、車両Fの直ぐ前及び横前方にある他の車両である。
【0051】
複数の周辺センサs1~szは、例えば、それぞれレーダセンサ、ライダセンサ、又はカメラセンサである。複数の同一又は異なる周辺センサs1~szを組み合わせることができる。
【0052】
周辺センサs1~szの各々について、それぞれの周辺センサs1~szの検知されたフォルスネガティブをもとにしてフォルスネガティブ率(FN率)が決定される。決定は、予め決定された時間帯にわたって、すなわち予め決定された評価期間にわたって行われる。この予め決定された時間帯、すなわち予め決定された評価期間は、予め決定された数の測定サイクルを含む。決定は、次式に従って行われる。
【0053】
【0054】
ここで、FNsiはFN率を表す。N(FN)siは、周辺センサsiが基準物体RO1、RO2、RO3を認識しなかった回数、すなわち認識された非検知の数を表す。評価期間に実行される測定サイクルの数はmjで示される。この数は評価期間の継続時間の尺度である。
【0055】
更に、周辺センサsiについて、認識された非検知が継続する長さ、すなわち非検知継続時間Lsiが決定される。非検知継続時間Lsiは、基準物体RO1、RO2、RO3が周辺センサsiによって検知されなかった連続する測定サイクルの数に相当する。
【0056】
非検知継続時間Lsiは、それらの時間的長さによって分類される。このために、一連の時間クラスLk、k=1、...nが定義され、決定された非検知継続時間がそれらの時間的長さに応じてこれらの時間クラスLkの1つにそれぞれ割り当てられる。
【0057】
時間クラスLkごとに、評価期間内にそれぞれの時間クラスLkのフォルスネガティブが発生する回数が決定され、これに基づいて、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ率が以下のように計算される。
【0058】
【0059】
ここで、FN(Lk)siは、時間クラスLkのフォルスネガティブ率を表す。添え字siは、周辺センサsiについて時間クラスLkのフォルスネガティブ率が決定されたことを示す。N(Lk)は、評価期間において時間クラスLkに割り当てられたフォルスネガティブの数を表す。Tは、評価期間の継続時間、又は、これと同じ意味である、評価期間における測定サイクルの数を表す。したがって、時間クラスLkのフォルスネガティブ率は、フォルスネガティブ率を時間クラスによって分類した結果に相当する。
【0060】
さらに、フォルスネガティブ率は、例えば物体タイプ、例えば乗用車に関する時間クラスLkのフォルスネガティブ率、貨物自動車に関する時間クラスLkのフォルスネガティブ率に基づいて、及び/又は、他の物体特性、例えば物体速度に基づいて、分類することができる。
【0061】
以下の表1は、例えば周辺センサs1及び基準物体RO1、RO2、RO3について、周辺センサs1の性能がどのように評価されるのかを例示することを意図している。周辺センサs1は、例えばライダセンサであり、基準物体RO1、RO2、RO3は、例えば
図1で直ぐ前を走行する車両、すなわち基準物体RO1である。
【0062】
この例では、評価期間は9回の測定サイクルを含む。基準物体RO1は、車両Fに設けられた周辺センサs1~szを用いて測定サイクルの各々で識別できた。評価期間は、説明上の理由から短く選択されているが、実用ではこれよりもはるかに長い期間を選択することができる。現在の測定サイクルは、t0で示され、前の8回の測定サイクルは、t-1~t-8で示されている。表1は、測定サイクルと、これらの測定サイクルにおいてそれぞれ行われた検知を示す。1は、周辺センサs1がそれぞれの測定サイクルにおいて基準物体RO1を検知したことを示す。0は、周辺センサs1がそれぞれの測定サイクルにおいて基準物体RO1を検知しなかったことを示す。
【0063】
例えば、3つの時間クラスL1、L2及びL3は以下のように定義される。
- 0<Ls1<2の非検知継続時間が時間クラスL1に割り当てられる、
- Ls1=2の非検知継続時間が時間クラスL2に割り当てられる、
- Ls1>2の非検知継続時間が時間クラスL3に割り当てられる。
【0064】
時間クラスL1、L2、L3は、以下でFNクラスとも呼ばれる。
【0065】
【0066】
この例では、以下が当てはまる。
【0067】
【0068】
【0069】
これは、観察された9回の測定サイクルのうちの1回で基準物体RO1が周辺センサs1によって検知されなかったことを意味する。基準物体RO1は、最大1回の測定サイクル、ここでは測定サイクルt-7で検知されなかった。
【0070】
決定された非検知継続時間Ls1=1は、上記で定義された分類に従って時間クラスL1に割り当てられる。
【0071】
したがって、時間クラスL1のフォルスネガティブは、9回の測定サイクルのうちの1回で検知される。
【0072】
時間クラスL1のフォルスネガティブ率は次の結果となる。
【0073】
【0074】
時間クラスL2又はL3のフォルスネガティブは検知されない。したがって、時間クラスL2及びL3のフォルスネガティブ率は以下のようになる。
【0075】
【0076】
次の表2は、測定の別の例を示す。
【0077】
【0078】
この例では、フォルスネガティブ率が次式で得られる。
【0079】
【0080】
【0081】
これは、観察された9回の測定サイクルのうち2回で基準物体RO1が周辺センサs1によって検知されなかったことを意味する。基準物体RO1は、最大2回の連続する測定サイクルで検知されなかった。
【0082】
決定された非検知継続時間Ls1=2は、上記で定義された分類に従って時間クラスL2に割り当てられる。
【0083】
時間クラスL2のフォルスネガティブは1つだけであり、9回の測定サイクルのうち2回で決定される。
【0084】
したがって、時間クラスL2のフォルスネガティブ率は以下のようになる。
【0085】
【0086】
時間クラスL1又はL3のフォルスネガティブは検知されない。したがって、時間クラスL1及びL3のフォルスネガティブ率は以下のようになる。
【0087】
【0088】
以下の表3に従って測定した場合、FN率は次式で得られる。
【0089】
【0090】
【数11】
しかし、非検知継続時間がより一層長い。
【0091】
【0092】
決定された非検知継続時間Ls1=3は、上記で定義された分類に従って時間クラスL3に割り当てられる。
【0093】
時間クラスL3のフォルスネガティブが1つある。
【0094】
したがって、時間クラスL3のフォルスネガティブ率は以下のようになる。
【0095】
【0096】
時間クラスL1又はL2のフォルスネガティブは検知されない。したがって、時間クラスL1及びL2のフォルスネガティブ率は以下のようになる。
【0097】
【0098】
表4に従って測定した場合、フォルスネガティブ率が次式で得られる。
【0099】
【0100】
【数15】
このとき、以下の2つの非検知継続時間が得られる。
【0101】
【0102】
【0103】
決定された非検知継続時間Ls1=3は時間クラスL3に割り当てられ、非検知継続時間Ls1=1は時間クラスL1に割り当てられる。
【0104】
時間クラスL3のフォルスネガティブが1つあり、時間クラスL1のフォルスネガティブが2つある。
【0105】
したがって、時間クラスL1及びL3のフォルスネガティブ率は、以下のようになる。
【0106】
【0107】
これらの測定は、すべての周辺センサs1~szに対して実行される。
【0108】
上記の解決策は、非検知継続時間が長い場合よりも非検知継続時間が短い場合のほうが、特定のフォルスネガティブ閾値を超過するフォルスネガティブ率を許容できるという考えに基づいている。したがって、周辺センサs1~szの性能は、様々な時間クラスのFN率に応じて評価される。
【0109】
特定の周辺センサs1~szが満たさなければならない要件として、予め決定された期間において、特定の時間クラスLkのフォルスネガティブ率が、この時間クラスLkに対して定義されたフォルスネガティブ閾値と等しくなることが許容される最大回数、すなわち頻度が特定される。フォルスネガティブ閾値は、センサタイプごとに個別に予め決定される。
【0110】
例えば、周辺センサs1~snに課せられる要件は次のとおりである。
-時間クラスL1のフォルスネガティブ率は、時間クラスL1のフォルスネガティブ閾値に、1時間に最大5回達することが許され、このフォルスネガティブ閾値より大きくなることは許されない、
-時間クラスL2のフォルスネガティブ率は、時間クラスL2のフォルスネガティブ閾値に1時間に最大3回達することが許され、このフォルスネガティブ閾値より大きくなることは許されない、
-時間クラスL3のフォルスネガティブ率は、時間クラスL3のフォルスネガティブ閾値に1時間に最大1回達することが許され、このフォルスネガティブ閾値より大きくなることは許されない。
【0111】
周辺センサs1~szがこれらの要件をすべて満たす場合、その性能は損なわれていないと評価される。それ以外の場合、性能は損なわれていると評価される。したがって、時間クラスL1のフォルスネガティブ率が、この時間クラスL1に対して定義されたフォルスネガティブ閾値を、1時間に5回より多く超過する場合、又は時間クラスL2のフォルスネガティブ率がこの時間クラスL2に定義されたフォルスネガティブ閾値を1時間に3回より多く超過する場合、又は時間クラスL3のフォルスネガティブ率がこの時間クラスL3に定義されたフォルスネガティブ閾値を1時間に1回より多く超過する場合は、性能が損なわれていると評価される。
【0112】
残りの周辺センサs1~szの要件が、同様にして予め決定及び検査される。
【0113】
周辺センサs1~szの検知されたフォルスネガティブをもとにして、例えば、周辺センサs1~szのフォルスネガティブ間の平均継続時間、又は周辺センサs1~szの特定のフォルスネガティブクラス(時間クラス)のフォルスネガティブ間の平均継続時間など、性能を評価するための他の値を計算することができる。
【0114】
特定の時間帯に検知された、周辺センサs1~szのフォルスネガティブをもとにして、例えば時間帯がより長い場合の更なる統計を決定することができる。
【0115】
したがって、上記の解決策は、次の考えに基づいている。
【0116】
選択された周辺センサsiのフォルスネガティブは連続的に検出される。フォルスネガティブとは、選択された周辺センサsiが、測定サイクルにおいて、周辺センサsiで見える少なくとも1つの基準物体RO1、RO2、RO3を検知しなかったことを示す測定結果であると理解される。周辺センサsiで見える基準物体RO1、RO2、RO3の存在に関する情報は、他の周辺センサs1~szから送られる。
【0117】
予め決定された評価期間中に検出されたフォルスネガティブは、それらを複数の予め決定された時間クラスLk(ここでk=1、...n)の1つにそれぞれ割り当てるために、それらの時間的長さによって分類される。
【0118】
予め決定された時間クラスLk(ここでk=1、...n)の各々について、予め決定された評価期間内にそれぞれの時間クラスのフォルスネガティブが検知される回数が決定される。評価期間内に決定された特定の時間クラスのフォルスネガティブの数は、この時間クラスのフォルスネガティブ率に相当する。
【0119】
時間クラスLk(ここでk=1、...n)ごとにフォルスネガティブ閾値が定義される。
【0120】
時間クラスLk(ここでk=1、...n)ごとに頻度閾値が定義される。
【0121】
時間クラスLk(ここでk=1、...n)ごとに、それぞれの時間クラスのフォルスネガティブ閾値を、それぞれの時間クラスLkのフォルスネガティブ率が超過するかどうか、及びフォルスネガティブ閾値を超過するこれらの事象が発生する頻度、すなわち1時間当たりの回数が決定される。決定された頻度がそれぞれの時間クラスに対して定義された頻度閾値を超過する場合、周辺センサsiの性能は損なわれていると評価される。
【0122】
以上の工程が、存在する基準物体RO1、RO2、RO3ごとに、かつ検査対象の周辺センサs1~szごとに実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017006260号明細書
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(F)、特に自動運転操作、特に高度自動運転操作のために設定された車両(F)の少なくとも1つの周辺センサ(s1~sz)の性能を評価する方法において、
-少なくとも1つの基準物体(RO1、RO2、RO3)に対する前記周辺センサ(s1~sz)のフォルスネガティブを検出する工程、
-予め決定された評価期間中に検出された前記フォルスネガティブを当該フォルスネガティブの時間的長さによって分類し、複数の予め決定された時間クラスの1つにそれぞれ割り当てる工程、
-前記予め決定された評価期間中にそれぞれの前記時間クラスのフォルスネガティブが発生する頻度を示す、それぞれの前記時間クラスのフォルスネガティブ率を、前記時間クラスの各々について決定する工程、
-前記時間クラスの各々についてフォルスネガティブ閾値を予め決定する工程、
-
前記時間クラスごとに、それぞれの前記時間クラスの前記フォルスネガティブ率が、当該時間クラスに予め決定された前記フォルスネガティブ閾値を超過する頻度を決定する工程、
-前記決定された、それぞれの前記時間クラスに予め決定された前記フォルスネガティブ閾値を前記フォルスネガティブ率が超過する事例の数が、それぞれの前記時間クラスに予め決定された値より大きい場合、前記周辺センサ(s1~sz)の前記性能が損なわれていると評価する工程、
の方法工程を特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法工程は、
前記基準物体(RO1、RO2、RO3)が複数の場合に
前記基準物体(RO1、RO2、RO3)ごとに実行され、及び/又は
前記周辺センサ(s1~sz)が複数の場合に
前記周辺センサ(s1~sz)ごとに実行される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フォルスネガティブを検出するために、前記基準物体(RO1、RO2、RO3)に対する前記車両(F)の他の周辺センサ(s1~sz)の検知結果が考慮される
ことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記車両(F)の前記他の周辺センサ(s1~sz)のセンサデータフュージョンの前記検知結果が使用される
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
レーダセンサ、ライダセンサ、又はカメラセンサとして設計された、前記車両(F)の
前記周辺センサ(s1~sz)の前記性能が評価される
ことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
真っすぐ又は斜め前方、或いは真っすぐ又は斜め後方に向いた検出領域を有する、前記車両(F)の
前記周辺センサ(s1~sz)の前記性能が評価される
ことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記性能が損なわれていると評価された場合、前記自動運転操作を、前記損なわれた性能に適合させる、又は終了する
ことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計及び設定された装置(2)。
【請求項9】
請求項8に記載の装置(2)を備えた車両(F)。
【請求項10】
前記自動運転操作を実行するように形成及び設定された、請求項9に記載の車両(F)。
【国際調査報告】