IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バテル メモリアル インスティチュートの特許一覧

<>
  • 特表-微小電子デバイスの高分解能結像 図1
  • 特表-微小電子デバイスの高分解能結像 図2
  • 特表-微小電子デバイスの高分解能結像 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】微小電子デバイスの高分解能結像
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240614BHJP
   G02F 1/35 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
H01L21/66 N
G02F1/35
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575597
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022031929
(87)【国際公開番号】W WO2022260923
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/208,347
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591072086
【氏名又は名称】バテル メモリアル インスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケント, トーマス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】サイモン, ジェフリー エー.
【テーマコード(参考)】
2K102
4M106
【Fターム(参考)】
2K102AA12
2K102BB01
2K102BC01
2K102BD09
2K102DD03
2K102EA21
2K102EB10
2K102EB20
4M106AA01
4M106AA02
4M106AA10
4M106BA05
4M106DH09
4M106DH12
4M106DH32
4M106DH38
4M106DH39
(57)【要約】
結像方法では、集束される光学ビームの焦点は、集積回路(IC)ウエハまたはチップ内またはその上の大まかな場所のセットの大まかな場所において、順次機械的に位置付けられる。各大まかな場所において、2次元(2D)画像またはマッピングタイルが、電子ビーム操向を使用して、ICウエハまたはチップ上またはその中の細かい場所に焦点を操向することによって入手され、各細かい場所において位置付けられる焦点を用いて、集束される光学ビームによって、細かい場所においてICウエハまたはチップの中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、出力信号を入手する。2D画像またはマッピングタイルは、ICウエハまたはチップの画像またはマッピングを発生させるために、重複する2D画像またはマッピングタイルをともにスティッチングすることを含む、組み合わせられる。電子ビーム操向は、ガルボミラーを使用して実施されてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像方法であって、
集積回路(IC)ウエハまたはチップ内またはその上の大まかな場所のセットの大まかな場所において、集束される光学ビームの焦点を順次機械的に位置付けることと、
各大まかな場所において位置付けられる前記集束される光学ビームの前記焦点を用いて、前記集束される光学ビームの電子ビーム操向を使用して、前記ICウエハまたはチップ上またはその中の細かい場所の2次元(2D)セットの細かい場所に前記集束される光学ビームの前記焦点を操向することによって、2D画像またはマッピングタイルを入手し、各細かい場所において位置付けられる前記集束される光学ビームの前記焦点を用いて、前記集束される光学ビームによって、前記細かい場所において前記ICウエハまたはチップの中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、出力信号を入手することと、
電子プロセッサを使用して、前記ICウエハまたはチップの画像を発生させるために、重複する2D画像またはマッピングタイルをともにスティッチングすることを含む、前記2D画像またはマッピングタイルを組み合わせることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記集束される光学ビームの前記焦点を順次機械的位置付けることは、その上に前記ICウエハまたはチップが配置される、機械的平行移動段を使用して、前記集束される光学ビームの前記焦点に対して、前記ICウエハまたはチップを平行移動させることを含む、請求項1に記載の結像方法。
【請求項3】
前記電子ビーム操向は、ガルボミラーを使用して実施される、請求項1-2のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項4】
fテータ走査レンズと、対物レンズとを含む、光学列を使用して、光学ビームを前記焦点に集束させることにより、前記集束される光学ビームを発生させることをさらに含む、請求項3に記載の結像方法。
【請求項5】
前記ICウエハまたはチップ内またはその上の前記大まかな場所のセットは、3次元(3D)体積に跨架し、前記ICウエハまたはチップの前記画像は、前記ICウエハまたはチップの3D画像である、請求項1-4のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項6】
前記出力信号を入手することは、前記集束される光学ビームによって、前記細かい場所において前記ICウエハまたはチップの中に光学的に入射される前記電荷に応答して前記ICウエハまたはチップによって生産される電気信号を入手することを含む、請求項1-5のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項7】
前記出力信号は、非線形光学相互作用によって生産される、請求項1-6のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項8】
前記ICウエハまたはチップは、基板の前側に配置される、活性層を備え、
前記集束される光学ビームは、900フェムト秒またはそれを下回るパルス持続時間と、前記基板のバンドギャップよりも低い光子エネルギーとを有する、パルス式の集束される光学ビームを備え、
前記ICウエハまたはチップ内またはその上の前記大まかな場所のセットは、前記活性層内にあり、
前記集束されるレーザビームは、前記基板を通して通過し、前記大まかな場所に到達するように配列され、
前記出力信号は、非線形光学相互作用によって、前記細かい場所において前記ICウエハまたはチップの中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、請求項1-6のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項9】
前記パルス式の集束される光学ビームの前記光子エネルギーは、前記活性層のバンドギャップよりも低く、前記パルス式の集束される光学ビームの前記光子エネルギーは、1.0eVまたはそれよりも低い、請求項8に記載の結像方法。
【請求項10】
その中で前記ファイバが、イッテルビウムおよび/またはエルビウムでドープされる、ファイバレーザを使用して、前記集束される光学ビームを発生させることをさらに含む、請求項1-9のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項11】
ファイバベースのフェムト秒レーザを使用して、前記集束される光学ビームを発生させることをさらに含む、請求項1-9のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項12】
各細かい場所において入手される前記出力信号は、波形を含み、
前記2D画像またはマッピングタイルを入手することはさらに、前記電子プロセッサを使用して、各細かい場所において入手される前記波形を処理し、前記2D画像またはマッピングタイル内の前記細かい場所に関する単一の値または値のデータセットを生産することを含む、請求項1-11のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項13】
各細かい場所において入手される前記出力信号は、2つ以上のセンサから収集されるデータを含み、
前記2D画像またはマッピングタイルを入手することはさらに、前記電子プロセッサを使用して、各細かい場所において、2つ以上のセンサから収集される前記データを処理し、前記2D画像またはマッピングタイル内の前記細かい場所に関する単一の値または値のデータセットを生産することを含む、請求項1-11のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項14】
前記重複する2D画像またはマッピングタイルをともにスティッチングすることによって発生させられる位置合わせデータは、異なるタイル間の各細かい場所において入手される前記出力信号の空間的関係を判定するために使用される、請求項12-13のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項15】
前記集束される光学ビームは、無線周波数(RF)信号によって駆動されるレーザによって発生させられるパルス式の集束される光学ビームを備え、
前記出力信号を入手することは、前記パルス式の集束される光ビームの反復率およびそれに対する位相ロックにおいて発生させられる基準信号を使用する、前記出力信号のロックイン増幅を含む、請求項1-14のいずれか1項に記載の結像方法。
【請求項16】
結像デバイスであって、
集積回路(IC)ウエハまたはチップ内またはその上の大まかな場所のセットの大まかな場所において、集束される光学ビームの焦点を順次機械的に位置付けるための手段と、
各大まかな場所において位置付けられる前記集束される光学ビームの前記焦点を用いて、2次元(2D)画像タイルを入手するための手段であって、前記2D画像タイルを入手するための手段は、
(i)電子ビーム操向を使用して、前記ICウエハまたはチップ上またはその中の細かい場所の2Dセットの細かい場所に前記集束される光学ビームの前記焦点を操向するための手段と、
(ii)各細かい場所において位置付けられる前記集束される光学ビームの前記焦点を用いて、前記集束される光学ビームによって、前記細かい場所において前記ICウエハまたはチップの中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、出力信号を入手するための手段と
を含む、手段と、
前記ICウエハまたはチップの画像を発生させるために、重複する2D画像タイルをともにスティッチングすることを含む、前記2D画像タイルを組み合わせるための、電子プロセッサを含む、手段と
を備える、結像デバイス。
【請求項17】
前記順次機械的位置付けのための手段は、その上に前記ICウエハまたはチップが配置される機械的平行移動段を備える、請求項16に記載の結像デバイス。
【請求項18】
前記操向するための手段は、前記集束される光学ビームを電子的に操向するためのガルボミラーを備える、請求項16-17のいずれか1項に記載の結像デバイス。
【請求項19】
フェムト秒ファイバレーザを含む、前記集束される光学ビームを発生させるための手段をさらに備える、請求項16-18のいずれか1項に記載の結像デバイス。
【請求項20】
前記フェムト秒ファイバレーザは、イッテルビウムおよび/またはエルビウムでドープされるファイバを備える、請求項19に記載の結像デバイス。
【請求項21】
結像デバイスであって、
集束される光学ビームを発生させるように構成される、レーザおよび光学列と、
その上に集積回路(IC)ウエハまたはチップが配置される機械的平行移動段であって、前記機械的平行移動段は、前記ICウエハまたはチップ内またはその上の大まかな場所のセットの大まかな場所において、前記集束される光学ビームの焦点を順次位置付けるように動作可能である、機械的平行移動段と、
各大まかな場所において位置付けられる前記集束される光学ビームの前記焦点を用いて、電子ビーム操向を使用して、前記ICウエハまたはチップ上またはその中の細かい場所の2次元(2D)セットの細かい場所に前記集束される光学ビームの前記焦点を操向するように構成される、ビーム操向デバイスと、
各大まかな場所において位置付けられる前記集束される光学ビームの前記焦点を用いて、前記集束される光学ビームによって、細かい場所の前記2Dセットの前記細かい場所において前記ICウエハまたはチップの中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、出力信号を入手することによって、大まかな位置毎の2D画像またはマッピングタイルを入手するように構成される、読出デバイスと
を備える、結像デバイス。
【請求項22】
前記ICウエハまたはチップの画像またはマッピングを発生させるために、重複する2D画像またはマッピングタイルをともにスティッチングすることを含む、前記2D画像またはマッピングタイルを組み合わせるようにプログラミングされる、電子プロセッサさらに備える、請求項21に記載の結像デバイス。
【請求項23】
前記ビーム操向デバイスは、ガルボミラーを備え、前記光学列は、fテータ走査レンズと、対物レンズとを含む、請求項21-22のいずれか1項に記載の結像デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2021年6月8日に出願され、「HIGH RESOLUTION IMAGING OF MICROELECTRONIC DEVICES」と題された、米国仮出願第63/208,347号の利益を主張する。
【0002】
以下は、微小電子機器技術、集積回路(IC)技術、非破壊IC試験および特性評価技術、非破壊メモリ抽出技術、IC故障分析技術、非破壊IC結像技術、および同様の用途に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
光学キャリア入射は、ICの活性層の具体的な場所上に集束される光学ビーム(典型的には、レーザビーム)を採用し、その場所において、電子孔対を励起する。励起された電子孔対は、光学的に入射されるキャリアを構成する。所望のキャリア入射を生産するためには、光学ビームの光子エネルギーは、典型的には、活性層のバンドギャップよりも高い。
【0004】
光学キャリア入射の多数の用途が、存在する。例えば、ICウエハまたはチップを横断した光学キャリア入射の走査が、ICの画像を生産するために使用され得る。そのような結像に関する出力信号は、ICの選定される端子を横断して測定される電圧または電流もしくはインピーダンス、反射率測定値等であり得る。
【0005】
一般に、ICウエハまたはチップは、構造的支持を提供する基板と、基板の前側に配置される活性層とを含む。活性層は、典型的には、非常に薄く、例えば、厚さが数十ミクロンまたはそれ未満であり、したがって、通常、自己支持型ではない。基板は、通常、約100ミクロン厚またはそれよりも厚いウエハまたはチップの形態にあり、ICウエハまたはチップに対する構造的支持を提供する。加工においては、大きい基板ウエア(例えば、300mmの直径、400mmの直径、またはそれよりも大きいまたは小さい直径)上で実施されるウエハレベル処理によって、部分的または全体的に完成されるICの2次元的配列を製造することが、一般的であり、ウエハレベル処理の後、ウエハは、個々のICを分離するためにダイスカットされる。したがって、用語「ICウエハまたはチップ」は、ダイスカット前(IC「ウエハ」)またはダイスカット後(IC「チップ」)のICを広義に網羅する。基板の「前側」は、その上に活性層が配置または加工される側である。活性層は、単一の層または層のスタックであってもよく、可能性として、nウェルまたはpウェル等のドーピング特徴、量子ウェルまたはドット等の特徴、ポリシリコン層、および/またはその他を含む。種々の金属化トレース、絶縁層、および/または同等物が、活性層上に配置されてもよい、または活性層が、スタックである場合、金属化トレース層および/または絶縁層が、スタックの層の間に点在されてもよい。基板はまた、前側と反対側である「後側」も有する。活性層が、基板の前側で加工されるため、その中で光学ビームが前側に印加される光学キャリア入射(すなわち、前側光学キャリア入射)は、原則として、光学キャリア入射に関する厳格な焦点および必然的な高い空間的分解能を達成することができる。しかしながら、実践では、前側光学キャリア入射は、典型的には、活性層の上部において、またはその近傍(すなわち、基板から遠位)に配置される、金属化トレース、絶縁層、または同等物によって悪影響を受け得る。
【0006】
後側光学キャリア入射は、キャリアを活性層の中に光学的に入射するために使用される一方、活性層の上部において、またはその近傍に位置する金属化トレースまたは他のIC特徴からの干渉を回避することができる。本アプローチでは、光学ビームは、基板の後側に印加され、基板を通して進行し、基板の前側に配置される活性層に到達する。しかしながら、後側光学キャリア入射に伴う困難が、存在する。多くの場合、活性層は、通常、十分に発達したシリコン技術の場合のように、基板と同一の材料から加工される、または基板材料のバンドギャップよりも高いバンドギャップを伴う材料から加工され得る。これらの場合では、基板のバンドギャップは、活性層のバンドギャップに匹敵し、またはそれよりも小さく、光学キャリア入射のために使用される後側照明は、基板のバンドギャップよりも高い光子エネルギーを有する。したがって、照明は、それが、活性層に到達し、それによって吸収され得る前に、基板によって吸収されるであろう。
【0007】
基板の光吸収を低減させる、または排除するために、基板は、機械的、化学的、または機械化学的処理によって薄化または除去され、および/または研磨され、光学粗度を低減させることができる。しかしながら、これらは、破壊的プロセスであり、これは、いくつかの用途に関しては望ましくない。ウエハの薄化または除去はまた、薄化または除去される基板を伴うICが、脆弱であると、時間がかかり、多くの場合、繊細なプロセスである(先に言及されるように、活性層は、典型的には、非常に薄いため自己支持型ではあり得ない)。加えて、基板の薄化または除去は、活性層の中に機械的歪みおよび/または構造的欠陥を導入する、活性層の熱ヒートシンキングを修正する、(例えば、基板が、光ガイドとして作用する場合)光電子ICの光学的挙動を修正する、および/またはその他等の機構によって、ICウエハまたはチップの機能的挙動を改変し得る。
【0008】
いくつかの用途では、光学キャリア入射は、ICウエハまたはチップの画像を発生させるために使用される。そのようにするためには、ICウエハまたはチップは、典型的には、機械的平行移動段上に搭載され、場所のグリッドの場所において光学キャリア入射を実施するために、光学キャリア入射のために使用される光学ビームに対して移動される。場所毎に、出力信号が、測定され、これは、光学的に入射される電荷によって発生させられる。出力信号は、例えば、光出力信号またはICウエハまたはチップの端子において測定される電気信号であってもよい。グリッドの場所において測定された出力信号は、次いで、ICウエハまたはチップの画像を形成する。
【0009】
しかしながら、そのような結像方法に伴う問題は、特に、場所のグリッドが、高空間的分解能において画像を提供するように稠密であることが所望される場合、これが、時間のかかるプロセスであり得ることである。さらに、機械的平行移動段の機械的平行移動機構の許容誤差の限定は、画像の達成可能な空間的分解能を限定し得る。
【0010】
ある改良が、本明細書に開示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(簡単な要約)
本明細書に開示されるいくつかの例証的実施形態によると、ある結像方法が、開示される。集束される光学ビームの焦点が、集積回路(IC)ウエハまたはチップ内またはその上の大まかな場所のセットの大まかな場所において、順次機械的に位置付けられる。各大まかな場所において位置付けられる集束される光学ビームの焦点を用いて、2次元(2D)画像またはマッピングタイルが、集束される光学ビームの電子ビーム操向を使用して、ICウエハまたはチップ上またはその中の細かい場所の2Dセットの細かい場所に集束される光学ビームの焦点を操向することによって入手され、各細かい場所において位置付けられる集束される光学ビームの焦点を用いて、集束される光学ビームによって、細かい場所においてICウエハまたはチップの中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、出力信号を入手する。電子プロセッサを使用して、2D画像またはマッピングタイルは、ICウエハまたはチップの画像を発生させるために、重複する2D画像またはマッピングタイルをともにスティッチングすることを含む、組み合わせられる。本方法はさらに、随意に、ICウエハまたはチップの画像をディスプレイ上に表示することを含む。いくつかの実施形態では、電子ビーム操向は、ガルボミラーを使用して実施される。ICウエハまたはチップ内またはその上の大まかな場所のセットは、随意に、3次元(3D)体積に跨架し得、ICウエハまたはチップの画像は、その時、ICウエハまたはチップの3D画像である。
【0012】
直前の段落の結像方法のいくつかの実施形態では、ICウエハまたはチップは、基板の前側に配置される活性層を備え、集束される光学ビームは、900フェムト秒またはそれを下回るパルス持続時間と、基板のバンドギャップよりも低い光子エネルギーとを有する、パルス式の集束される光学ビームを備え、ICウエハまたはチップ内またはその上の大まかな場所のセットは、活性層内にあり、集束されるレーザビームは、基板を通して通過し、大まかな場所に到達するように配列され、出力信号は、細かい場所における集束されるレーザビームの2光子吸収によって、細かい場所においてICウエハまたはチップの中に光学的に入射される電荷に応答して生産される。いくつかのそのような実施形態では、集束される光学ビームは、その中でファイバが、イッテルビウムおよび/またはエルビウムでドープされる、ファイバレーザを使用して発生させられる。
【0013】
本明細書に開示されるいくつかの例証的実施形態によると、結像デバイスは、ICウエハまたはチップ内またはその上の大まかな場所のセットの大まかな場所において、集束される光学ビームの焦点を順次機械的に位置付けるための手段と、各大まかな場所において位置付けられる集束される光学ビームの焦点を用いて、2D画像タイルを入手するための手段と、ICウエハまたはチップの画像を発生させるために、重複する2D画像タイルをともにスティッチングすることを含む、2D画像タイルを組み合わせるための、電子プロセッサを含む、手段とを備える。2D画像タイルを入手するための手段は、(i)電子ビーム操向を使用して、ICウエハまたはチップ上またはその中の細かい場所の2Dセットの細かい場所に集束される光学ビームの焦点を操向するための手段と、(ii)各細かい場所において位置付けられる集束される光学ビームの焦点を用いて、集束される光学ビームによって、細かい場所においてICウエハまたはチップの中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、出力信号を入手する手段とを含む。順次機械的な位置付けのための手段は、その上にICウエハまたはチップが配置される、機械的平行移動段を備えてもよい。操向するための手段は、集束される光学ビームを電子的に操向するためのガルボミラーを備えてもよい。結像デバイスはさらに、集束される光学ビームを発生させるための手段を含んでもよく、その中でファイバが、イッテルビウムおよび/またはエルビウムでドープされる、ファイバレーザを含む。
【0014】
本明細書に開示されるいくつかの例証的実施形態によると、結像デバイスが、開示される。レーザおよび光学列は、集束される光学ビームを発生させるように構成される。機械的平行移動段が、提供され、その上にICウエハまたはチップが、配置される。機械的平行移動段は、ICウエハまたはチップ内またはその上の大まかな場所のセットの大まかな場所において、集束される光学ビームの焦点を順次位置付けるように動作可能である。ビーム操向デバイスは、各大まかな場所において位置付けられる集束される光学ビームの焦点を用いて、電子ビーム操向を使用して、ICウエハまたはチップ上またはその中の細かい場所の2Dセットの細かい場所に集束される光学ビームの焦点を操向するように構成される。読出デバイスは、各大まかな場所において位置付けられる集束される光学ビームの焦点を用いて、集束される光学ビームによって、細かい場所の2Dセットの細かい場所においてICウエハまたはチップの中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、出力信号を入手することによって、大まかな場所毎の2D画像またはマッピングタイルを入手するように構成される。いくつかの実施形態では、電子プロセッサは、ICウエハまたはチップの画像を発生させるために、重複する2D画像またはマッピングタイルをともにスティッチングすることを含む、2D画像またはマッピングタイルを組み合わせるようにプログラミングされる。ビーム操向デバイスは、ガルボミラーを備えてもよい。光学列は、fテータ走査レンズと、対物レンズとを含んでもよい。読出デバイスは、電圧計、電流計、オーム計、分光計、分光器、および/または光検出器のうちの1つ以上を備えてもよい。結像デバイスはさらに、随意に、ICウエハまたはチップの画像を表示するように構成される、ディスプレイを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面に示される任意の定量的寸法は、非限定的な例証的実施例として理解されるものとする。別様に示されない限り、図面は、縮尺通りではなく、図面の任意の側面が、縮尺通りであるものとして示される場合、図示される縮尺は、非限定的な例証的実施例として理解されるものとする。
【0016】
図1図1は、光学キャリア入射デバイスを図式的に図示する。
【0017】
図2図2は、図1の光学キャリア入射デバイスを使用して達成される、非線形光学相互作用による光学キャリア入射を図式的に図示する。
【0018】
図3図3は、図1の光学キャリア入射デバイスを使用して好適に実施される、ICウエハまたはチップ結像プロセスを図式的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
図1を参照すると、光学キャリア入射デバイスは、(図1において破線によって図式的に示される)パルス式光学ビーム12を出力する、光源(例えば、例証的レーザ)10を含む。機械的平行移動段14は、接着剤、真空チャック、サンプルクリップ、または同等物を用いて、ICウエハまたはチップ20を保持する(詳細は示されない)。別のアプローチでは、ICウエハまたはチップ20は、プリント回路基板(PCB)上に搭載されてもよく、これは、ひいては、ねじまたは他の締結具によって、平行移動段14に搭載される。例証的機械的平行移動段14は、図1では、x方向、y方向、z方向として(一般性を喪失することなく)標識される、3つの互いに直交する方向のいずれかにおいて制御可能な平行移動を提供する、3軸平行移動段である。光学列16は、レーザ10によるパルス式光学ビーム12の出力を平行移動段14によって保持されるICウエハまたはチップ20に印加するように配列される。
【0020】
図2を参照すると、ICウエハまたはチップ20の拡大図表現が、示されている。ICウエハまたはチップ20は、前側24と、後側26とを有する、基板22と、基板22の前側24に配置される、活性層28とを含む。一般に、活性層28は、採用されるIC技術に応じて、種々の方法において、基板22の前側24に配置され得る。いくつかのシリコン加工プロセスの場合では、活性層28は、基板22の前側24の最上部分を修正し、活性層28を形成する、イオン注入、ドーパント拡散、またはその他等のプロセスステップによって、基板22の前側24で加工される。他のシリコン加工技術では、活性層28は、真空蒸発、スパッタリング、化学的蒸着、またはその他等の堆積技法によって、前側24に堆積される、1つ以上のエピタキシャルシリコン層を備えてもよい。変型アプローチでは、堆積される層のうちの1つ以上は、ゲルマニウム(Ge)またはケイ素とゲルマニウムとの合金(SiGe)等、シリコンとは異なる群IV材料のものであってもよい。活性層28は、加えて、または代替として、III-VまたはII-VI化合物半導体等の異なる材料タイプのうちの1つ以上の堆積される層を含み得る。前述の実施例では、基板22は、シリコン基板である。しかしながら、より一般的には、基板22は、これらの材料を採用する技術が、多くの場合、光電子ICウエハまたはチップのために使用されるため、ガリウムヒ素(GaAs)、リン化インジウム(InP)、またはその他等の異なる材料から作製され得る。典型的には(必ずしもそうであるとは限らないが)、活性層28は、基板22と同一の材料または互換性のある類似する材料から作製される。後者のいくつかの実施例は、シリコン基板上のSiGe活性層、GaAs基板上のGaAs活性層、およびGaAs基板上のアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)活性層、GaAs基板上の交互するGaAs/AlGaAs層のスタックを備える活性層、InP基板上の空間格子整合されたInGaAs層および/またはその他を含む。これらは、単に、非限定的な例証的実施例である。以下において、例証的目的のみのために、基質22は、シリコン基板であることが仮定され、活性層28も同様に、シリコンまたは(例えば、異なるドーピングタイプ/レベルを伴う)シリコン層のスタックであることが仮定される。示されないが、ICウエハまたはチップ22が、金属化トレース、電気的絶縁層(例えば、堆積される酸化層および/または基板22の前側24の最上部分の酸化によって形成される酸化ケイ素層)、および/またはその他等の付加的な特徴を含み得ることが理解されるであろう。
【0021】
図1および2を引き続き参照すると、光学列16は、基板22の前側24に配置される活性層28内の焦点32において、パルス式光学ビーム12を集束するように配列される、対物レンズ30を含む。図2に見られるように、図示される光学キャリア入射は、したがって、その中でパルス式光学ビーム12が、基板22を通して通過し、基板22の前側24に配置される活性層28に到達する、後側光学キャリア入射を採用する。先に言及されるように、後側光学キャリア入射は、活性層の上部において、またはその近傍に位置する金属化トレースまたは他のIC特徴からの散乱を回避する際の利点を有する。しかしながら、後側光学キャリア入射は、典型的には、基板のバンドギャップが、活性層のバンドギャップに匹敵する、またはそれよりも小さいとき、光学キャリア入射に関して、光学ビームが、基板のバンドギャップよりも高い光子エネルギーを有するはずであり、したがって、照明は、それが、活性層に到達し、それによって吸収され得る前に、基板によって吸収されるであろうため、非実践的である。これは、基板を薄化または除去することによって対処され得るが、先に言及されるように、アプローチする多数の不利点が存在する。
【0022】
開示される光学キャリア入射の種々の側面は、基板22のバンドギャップを下回る、好ましくはまた、活性層28のバンドギャップを下回る光子エネルギーを伴う光を出力する、レーザ(または他の光源)10を使用する後側光学キャリア入射を用いて、非線形光学相互作用による吸収を利用し、活性層28の中に電荷を入射させることによって、本問題に対処する。基板22のバンドギャップを下回っているパルス式光学ビーム12の光子エネルギーから必然的な結果は、ビーム12が、吸収を殆どまたは全く伴わずに、基板22を通して通過するということである。したがって、本明細書に開示される光学キャリア入射方法は、好ましくは、ICウエハまたはチップ20の基板22を薄化または除去することを含まない。加えて、基板22の後側26の研磨は、典型的には、要求されない。典型的には、後側は、散乱に起因する偽信号を低減させるために、後側照明を採用する従来的な用途において研磨される。しかしながら、非線形光学相互作用による吸収に関して、光学的に粗い表面上の散乱は、散乱光が、非常に低い強度であるため、非線形光学相互作用を発生させることができず、信号に最小限の影響を及ぼすにすぎないであろうため、分解能を有意に悪化させない。
【0023】
線形吸収のみが、考慮される場合、パルス式光学ビーム12はまた、キャリア入射を結果としてもたらす吸収を殆どまたは全く伴わずに、活性層28を通して通過するであろう。しかしながら、図2に図式的に示されるように、対物レンズ30は、活性層28内の焦点32において、パルス式光学ビーム30を集束するように動作する。これは、ビーム30の全ての光エネルギーが、焦点32において集中されると、焦点28における高い光強度(およびそれに対応して、高い電場強度)を結果としてもたらす。高電場は、例えば、2光子吸収(TPA)、活性層内の第3の高調波発生(THG)によって生成される光学ビームの吸収、活性層内のより高い高調波発生によって生成される光学ビームの吸収、または別の非線形光学相互作用または非線形光学相互作用の組み合わせ等の非線形光学相互作用による吸収を誘発することができる。2光子吸収等の非線形光学相互作用プロセスでは、吸収は、典型的には、光強度の2乗、3乗、またはより高次の多項式に比例する。集束されるビームは、焦点32において十分な強度を生産し、したがって、パルス式光学ビーム30の光エネルギーの一部が、2光子吸収または他の非線形光学相互作用を用いて、焦点32において活性層28によって吸収され、本吸収された光エネルギーは、焦点32においてキャリアを活性層28の中に(光学的に)入射するために十分である。
【0024】
非線形光学相互作用による吸収を活用する本アプローチに伴う課題は、光学パワーが焦点32において堆積されることに起因して、焦点32における高い光強度が、焦点32における急速な加熱を結果としてもたらし得ることである。これは、光学ビーム12をパルス化することによって、開示される光学キャリア入射技法において最小限にされ、したがって、各パルスは、900フェムト秒またはそれを下回るパルス持続時間を有する。換言すると、レーザ10は、フェムト秒レーザである。いくつかの実施形態では、レーザ10は、下記に議論されるように、ファイバベースのフェムト秒レーザである。パルスは、パルス間の熱消散を可能にするために十分な長さの時間間隔だけ分離される。例えば、フェムト秒レーザは、いくつかの非限定的な例証的実施形態では、50~100MHzにおいて動作し、したがって、連続フェムト秒パルスは、約10~20ナノ秒の時間間隔だけ離間される。したがって、パルス式光学ビーム12は、各パルス内に十分な光エネルギーを堆積し、2光子吸収または非線形光学相互作用による他の吸収を生産するが、パルス式光学ビーム12の(時間平均)パワーは、焦点32における解決困難な加熱を回避するために十分に低い。
【0025】
非限定的な例証的実施例として、基板22が、シリコン基板である場合、そのバンドギャップは、典型的には、約1.1eVであるが、精密なバンドギャップエネルギーは、ドーパントまたは不純物のタイプおよびレベルに依存する。本場合に関して、パルス式光学ビーム12の光子エネルギーは、好ましくは、シリコンバンドギャップを下回るために、1.0eVまたはそれを下回る。活性層28は、本場合では、シリコンベースの活性層であってもよいが、別の材料を備える活性層も、想定される。本光子エネルギーを伴ういくつかの好適なフェムト秒レーザは、その中でファイバが、イッテルビウム(Yb)および/またはエルビウム(Er)でドープされる、ファイバレーザを含み、これは、900フェムト秒(fs)またはそれを下回るパルス持続時間および150ミリワット(mW)またはそれよりも高い(平均)光学パワー等、シリコン基板との併用に関する望ましい動作パラメータを達成することができるが、より低いパワー、例えば、いくつかのより広範囲な実施形態では、少なくとも10ミリワットの平均光学パワーを有するパルス式光学ビームもまた、想定される。約1,550~1,560nm(約0.80eVの光子エネルギー)の光子エネルギー、50~100MHzの範囲内のパルス周波数、および150mWまたはそれよりも高い平均光学パワーを伴う、本タイプのいくつかの好適なフェムト秒ファイバレーザは、Menlo Systems GmbH(Martinsried, Germany)から入手可能である。
【0026】
光学キャリア入射システムはさらに、2光子吸収または他の非線形光学相互作用プロセスによる吸収によって、焦点32において入射されるキャリアに応答して生産される、出力信号34を測定するように構成される。出力信号34は、例えば、活性層28内の焦点32において入射されるキャリアに応答してICウエハまたはチップ20によって生産される電気信号、または活性層28内の焦点32において入射されるキャリアの再組み合わせまたは活性層内の非線形相互作用によって生産される光出力信号であってもよい。図1の例証的システムでは、出力信号34は、光出力収集対物レンズ38によって光検出器36上に集束される、光出力を検出するための光検出器36を使用して測定される、光出力信号である。出力信号34が、ICウエハまたはチップ20によって生産される電気信号である場合、これは、例えば、ICウエハまたはチップ20の選定された端子を横断して測定される、電圧または電流またはインピーダンスとして測定されてもよい(端子の選定は、好適には、ICウエハまたはチップ20のアーキテクチャの先験的な知識に基づく)。さらなる非限定的な例証的実施例として、出力信号34を生産する読出デバイスは、電圧計、電流計、オーム計、分光計、分光器、および/または光検出器のうちの1つ以上を備えてもよい。いくつかの用途では、種々の対のICウエハまたはチップ20の端子を横断して測定される、光出力信号および1つ以上の電気信号等の複数の出力信号が、測定されてもよい。
【0027】
逆に言えば、出力信号の測定は、随意であり、具体的なメモリ要素を具体的な電荷状態に設定することによってICメモリを光学的にプログラミングする等のいくつかの実施形態では、出力信号が、測定されない場合があることに留意されたい。
【0028】
対物レンズ30に加えて、図1の例証的光学列16は、機械式チョッパ40と、ビーム分割器42と、ガルボミラー44と、fテータ走査レンズ46と、対物レンズ30に入力する管レンズ48とを含む。レーザパワーを低減させるための減衰器等の他の光学構成要素もまた、光学列16内に含めることが想定される。ビーム分割器42は、可視光(例えば、赤色または緑色ヘリウムネオン、すなわち、HeNe、レーザ)を発光する低パワー整合レーザ50とともに、光学列16を整合するために使用される、随意の構成要素である。チョッパ40は、ロックイン増幅器52と併せて動作し、出力信号34を検出するための高感度検出器を提供する。チョッパ40は、典型的には、フェムト秒レーザ10よりもはるかに低い周波数において動作し、例えば、一非限定的な例証的実施形態では、チョッパ40は、1kHzにおいて動作する一方、フェムト秒レーザ10は、100MHzのパルス周波数を伴うパルス式光学ビーム12を生産する。チョッパ40を採用するのではなく、その中でロックイン増幅器52が、パルス式出力レーザ10の反復率およびそれに対する位相ロックにおいて発生させられる信号である、無線周波数(RF)ロックイン増幅、またはレーザパルスからトリガされるボックスカー平均化等の別のタイプのロックイン増幅が、使用されることができる。ロックインからの信号の位相および大きさの両方が、測定され得、位相は、有利なこととして、データが転送される方法についての情報を提供することができる。
【0029】
先に言及されるように、光学キャリア入射システムに伴う別の問題は、特に、結像のために使用されるとき、場所のグリッドが、高い空間的分解能において画像を提供するように稠密である場合、時間のかかるプロセスであり得るということである。さらに、機械的平行移動段の機械的平行移動機構の許容誤差の限定は、画像の達成可能な空間的分解能を限定し得る。
【0030】
本問題に対処するために、図1の光学キャリア入射システムは、例証的ガルボミラー44(または、MEMSベースの変形可能ミラー、圧電性変形可能ミラー、音響光学ビーム操向、電気光学ビーム操向等の別の電子ビーム操向デバイス)を採用し、パルス式光学ビーム12を電子的に操向し、本明細書では、2次元(2D)画像タイルと称される、画像の小さい領域を入手する。より一般的には、いくつかの実施形態では、多値データセットが、2Dマッピングタイルと称される、小さい領域に到達するために入手される。図1の例証的システムでは、ビーム操向デバイス44は、ガルボミラーであり、Fテータ走査レンズ46は、ガルボミラー44によって導入されるパルス式光学ビーム12の角度偏向を補正する。ビームの側方運動は、したがって、ガルボミラー44の角度およびガルボミラー44とFテータ走査レンズ46との間の間隔によって判定される。
【0031】
機械的平行移動段14の動作によって到達される大まかな場所において位置付けられる集束される光学ビーム12の焦点32を用いて、2D画像またはマッピングタイルが、(i)(ガルボミラー44または他の電子ビーム操向デバイスを経由して)電子ビーム操向を使用して、ICウエハまたはチップ20上またはその中の細かい場所の2Dセットの細かい場所に集束される光学ビーム12の焦点32を操向し、(ii)各細かい場所において位置付けられる集束される光学ビームの焦点を用いて、集束される光学ビーム12によって、細かい場所においてICウエハまたはチップ20の中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、出力信号34を入手することによって入手される。図1の例証的実施形態では、デジタル入手ハードウェア(DAQ)54が、ガルボミラー44(または他の電子ビーム操向デバイス)を制御させるために使用され、操向(i)および出力信号入手(ii)を実施し、後者は、機械式チョッパ40によって実施されるチョッピングから導出される基準信号と併用されるロックイン増幅器52と併せて、(または、代替として、基準として、レーザ10のパルス式出力の反復率およびそれに対する位相ロックにおいて発生させられる信号を伴うRFロックイン増幅を使用して)実施され、良好なノイズ除去を提供する。いくつかの例証的実施形態では、National Instruments Corporation(Austin, Texas, USA)製のDAQが、DAQ54として使用される。全体的な画像入手は、画像またはマッピングタイルの入手を制御し、入手された画像またはマッピングタイルを受信するために、DAQ54を制御するコンピュータ56によって制御され、コンピュータ56は、ICウエハまたはチップ20内またはその上の大まかな場所のセットの大まかな場所において、集束される光学ビーム12の焦点32を順次機械的に位置付けるために、機械的平行移動段14を制御する。2D画像またはマッピングタイルが、2次元画像である一方、平行移動段14が、(図1に図示されるような)3次元(3D)平行移動段である場合、大まかな場所のセットは、2Dである最終画像を提供する、大まかな場所の2D配列であり得る、または大まかな場所のセットは、z方向に沿った大まかな場所の間隔によって判定される奥行(z)方向における大まかな分解能を伴うが、3D(すなわち、体積)である、最終画像を提供する、大まかな場所の3D配列であり得る。
【0032】
コンピュータ56は、2D画像またはマッピングタイルを組み合わせるために、好適なソフトウェアによってプログラミングされる。タイル境界において平滑な画像コンテンツを提供するためには、近隣の画像またはマッピングタイルは、好ましくは、重複しており(例えば、隣接する大まかな場所間の間隔を画像またはマッピングタイルのサイズよりも小さくあるように設定することによって達成される)、画像またはマッピングタイルは、ICウエハまたはチップ20の画像を発生させるために、重複する2D画像またはマッピングタイルをともにスティッチングすることによって組み合わせられる。一非限定的な例証的アプローチでは、コンピュータ56は、ImageJ画像処理セット(imagej.netおよびgithub.com/imagej/imagej1において入手可能)の対毎および/またはグリッド/集合スティッチングプラグインを実行することによって、画像スティッチングを実施するようにプログラミングされる。
【0033】
図1の例証的実施形態は、DAQ54と、画像入手の制御および処理のためのコンピュータ56とを採用するが、より一般的には、これらの制御および処理動作は、電子プロセッサによって実施され得る。電子プロセッサ54、56は、段14およびガルボミラー44の両方を直接制御するコンピュータを備えてもよく、ロックイン増幅器52から出力される信号を受信するために接続される、またはDAQ54とコンピュータ56の図示される組み合わせを備えてもよい、または特別に構成されるマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラまたはFPGAベースのコントローラを備えてもよい、またはクラウドベースのサーバコンピュータを備えてもよい、またはそれらの種々の組み合わせを備えてもよい、および/またはその他である。
【0034】
図1に示される構成の光学キャリア入射システムが、実際に、構築され、試験された。本システムは、100MHzのパルスレートおよび300mWの(平均)光学パワーにおいて動作する、100fsパルスを伴う、Menlo Systems製の1,550~1,560nmのYb:ファイバレーザを採用した。ガルボミラーが、0.5~20ms/度の小休止を伴う、走査パラメータの3度×3度の走査範囲とともに、電子ビーム操向デバイス44として使用された。対物レンズ30は、所望の結像倍率に応じて、10倍~100倍の対物レンズであり、機械的平行移動段14は、0.75mm/ステップサイズ(4.5mmの走査寸法)を伴う大まかな場所の2次元7×7グリッド、または所望の画像寸法に応じた他のグリッドおよびステップサイズの組み合わせを入手するように動作された。チョッパ40は、1~5kHzにおいて動作され、ロックイン増幅器52は、1ms~3msの時定数を伴って、ピコアンペア(pA)範囲内の電流入力モードにおいて動作された。他の実験では、RFロックイン増幅が、使用され、基準信号は、レーザのパルス式出力に対してロックされるレーザ10から出力される、100MHzのRF信号である。結像または空間的マッピングタスクに関して、画像またはマッピングタイルは、ImageJのFijiオープンソース実装を使用して、ともにスティッチングされた(Fijiは、「Fiji Is Just ImageJ」の頭字語である)。これらが、単に実験において使用される例証的値であり、これらの種々のパラメータに関する他の値および値の組み合わせが、具体的なハードウェアおよび実施されている光学キャリア入射タスクに応じて好適であることが期待されることを理解されたい。
【0035】
図2を参照すると、一実験では、出力34は、2光子吸収または他の非線形光学相互作用によって生産される光出力信号であり、光検出器36は、シリコン光検出器であった。図2に示されるプロット60は、可視スペクトルの緑色範囲内にピークを有する光出力のプロットであり、光出力信号が、活性層内の第3の高調波発生に応答して発生させられることが確認される。
【0036】
別の実験では、光学キャリア入射による結像が、市販の8ビットマイクロコントローラIC上で実施された。本場合では、画像は、光学ビーム誘発性電流(OBIC)画像であり、その中で出力34は、マイクロボルト(μV)において測定される、パワー端子を横断した電圧であった。線形吸収を提供する800nmのポンプレーザおよび1倍テレセントリック走査レンズを使用する結像と比較して、図1のシステムを使用して入手される画像は、空間的分解能および画像コントラストの両方において、有意により優れていた。
【0037】
図3を参照すると、図1および2の光学キャリア入射システムによって実施される好適な結像方法が、フローチャートを用いて示されている。動作70では、ICウエハまたはチップ20は、機械的平行移動段14上に搭載される。好ましくは、搭載動作70は、ICウエハまたはチップ20の基板22を薄化または除去もしくは研磨することを含まない。動作72では、機械的平行移動段14は、初期の2Dまたは3D段の平行移動位置(2Dまたは3Dは、段14がz方向の「奥行」移動を含むかどうかに依存し、そうである場合、大まかな点のセットが、2Dまたは3Dであるかどうかである)まで移動するように動作される。動作74では、電子ビーム操向デバイス44は、現在の段の平行移動位置(すなわち、現在の大まかな場所)において、画像またはマッピングタイルを走査する。より具体的には、動作74では、ビーム操向デバイス44は、ICウエハまたはチップ20上またはその中の細かい場所の2Dセットの細かい場所に集束される光学ビーム12の焦点32を操向するように動作され、各細かい場所において、集束される光学ビーム12によって、細かい場所においてICウエハまたはチップ20の中に光学的に入射される電荷に応答して生産される、出力信号34が、測定される。例証的図1では、ビーム操向デバイス44は、電気機械的ビーム操向を提供する、例証的ガルボミラー44である。他の実施形態では、ビーム操向デバイスは、より高速な電子ビーム操向を提供することができる、電気光学変調を採用してもよい。典型的には、細かい場所のセットは、x-y平面内の細かい場所の2次元グリッドを画定する。
【0038】
随意の画像処理動作75では、入手された画像またはマッピングタイルが、処理され得る。例えば、空間的位置において収集されるアナログ信号から、後続のスティッチングを促進する、マルチチャネルビットマップ画像までの平行移動が、実施され得る。別の実施例として、各細かい場所において入手される出力信号34は、波形を含み得、2D画像タイルの入手はさらに、電子プロセッサ54、56を使用して、各細かい場所において入手される波形を処理し、2D画像タイル内の細かい場所に関する単一の値を生産することを含む。別の実施例として、各細かい場所において入手される出力信号34は、2つ以上のセンサから収集されるデータを含み得、2D画像タイルの入手はさらに、電子プロセッサ54、56を使用して、各細かい場所において2つ以上のセンサから収集されるデータを処理し、2D画像タイル内の細かい場所に関する単一の値を生産することを含む。後者の実施例では、センサは、入射されるキャリアに応答してICウエハまたはチップ20によって生産され、電圧計または同等物によって測定される電気信号と、光検出器36によって測定される非線形高調波の発生によって生産される、光学信号とを含み得る。また別の変型として、処理75は、低減されたデータセットを生産するが、細かい場所毎の単一の値を生産し得ない。例えば、各細かい場所において入手される出力信号34が、ピーク波形である場合、処理75は、Aがピーク振幅、Pがピーク位置、かつWがピーク全幅半値(FWHM)である、トリプレット(A,P,W)を発生させ得る。本場合では、出力は、各細かい場所におけるトリプレット(A,P,W)であり、したがって、各細かい場所における単一の値を有する画像タイルではなく、一般化されたマッピングタイルを構成する。別のアプローチとして、低減されたデータセットが、比較的小さい場合、トリプレットデータセットをエンコードするために、例えば、赤色-緑色-青色(RGB)色空間またはYUV型色空間を使用して、値を結合し、カラーピクセル値の形態において単一の値を形成することが想定される。本場合では、出力は、各細かい場所における単一の値を伴う画像であり、その中で単一の値は、(RGB)または(YUV)色空間点であり、疑似カラー画像を生産する。
【0039】
動作76では、入手された画像タイル(またはマッピングタイル)は、記憶装置78(例えば、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ、磁気ディスク、ランダムアクセスメモリ、またはRAM等)内に記憶される。決定80において、これが、結像されることになる最後の大まかな場所であるかどうかが判定される。そうではない場合、フローは、動作82に渡され、その時点で機械的平行移動段14が、次の段の平行移動位置(すなわち、次の大まかな場所)まで移動するように動作され、動作74、76、80は、したがって、大まかな場所のセットの全ての大まかな場所に対応する画像またはマッピングタイルが、入手されるまで、繰り返される。典型的には、大まかな場所のセットは、x-y平面内に2Dグリッドを、またはx-y-z空間内にわたって3Dグリッドを形成する。
【0040】
最後の大まかな場所に関する画像またはマッピングタイルが、入手され、記憶されるとき、決定80は、画像またはマッピングタイルをともにスティッチングし、ICウエハまたはチップの画像を発生させることを含む、画像またはマッピングタイルを組み合わせる、動作84にフローを移す。例えば、スティッチングは、FijiまたはImageJの別の実装を採用してもよい。随意に、画像は、動作86において、例えば、コンピュータ56のディスプレイ88上に表示されてもよい(図1参照)。マッピングタイルがともにスティッチングされることになるような(各細かい場所における単一の値を伴う画像ではなく)各細かい場所における多値データセットを伴うマッピングの場合では、種々のタイプのスティッチングが、採用され得る。トリプレット(A,P,W)が各細かい場所において出力される例証的実施例に関して、スティッチングは、すでに説明されるように動作するが、トリプレットの各フィールドに適用され得、例えば、振幅(A)、ピーク位置(P)、および幅(W)の値はそれぞれ、独立して、ともにスティッチングされ得る。別のアプローチでは、トリプレット内のフィールドの1つをスティッチングする際に使用される位置合わせは、トリプレット内の他のフィールドをスティッチングするためにも使用され得る。例えば、重複する2D画像またはマッピングタイルをともにスティッチングすることによって発生させられる位置合わせデータは、異なるタイル間の各細かい場所において入手される出力信号の空間的関係を判定するために使用されてもよい。
【0041】
図3の方法では、タイル画像またはマッピングを走査する、動作74は、図1および2を参照して本明細書に説明されるような2光子吸収または他の非線形光学相互作用プロセスによる光学キャリア入射を採用することが仮定される。しかしながら、より一般的には、動作74は、代替として、(図1および2の実施形態におけるもの等のような非線形吸収プロセスを使用するのではなく)光学ビームの線形吸収を使用する光学キャリア入射を採用することができる。例えば、動作74は、その中で光子が、従来の線形吸収によって吸収される、従来の光学ビーム誘発性電流(OBIC)を使用して、タイル画像を走査し得る。光の線形吸収を達成するためには、そのような技法は、一般に、活性層のバンドギャップよりも高い光学ビームの光子エネルギーを用いて実施されるであろう。さらに、基板が、活性層のバンドギャップよりも小さい、またはそれに匹敵するバンドギャップを有する場合、ビームが、基板の前側に印加され、したがって、それは、基板によって吸収されないか、またはビームは、基板の後側から印加されるが、走査することの前に、基板が薄化または除去されるかのいずれかである。
【0042】
線形吸収を採用するこれらの結像技法は、依然として、図3のタイル画像入手アプローチからの利益を享受することが予期される。一利点において、電子ビーム操向は、機械的平行移動段のみを使用する走査と比較して高速であり、それによって、より高速な画像入手を提供する。別の利点において、電子ビーム操向を使用して入手される画像またはマッピングタイルは、多くの場合、達成可能な空間的分解能を限定する機械的平行移動段の機械的平行移動機構の許容誤差への限定に起因して、機械的平行移動段を単独で使用することによって達成され得るものよりも高い空間的分解能を達成することができる。
【0043】
好ましい実施形態が、例証され、説明されている。明白なこととして、修正および改変が、前述の詳細な説明を熟読および理解することに応じて、当業者に想起されるであろう。全てのそのような修正および改変が、添付の請求項またはそれらの均等物の範囲内に入る限り、本発明は、それらを含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】