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特表2024-522602極低温流体送出システム及びそれを使用する空調装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】極低温流体送出システム及びそれを使用する空調装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 7/04 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
F17C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575674
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 IL2022050604
(87)【国際公開番号】W WO2022259246
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】283826
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523458807
【氏名又は名称】グリーン キノコ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GREEN KINOKO LTD
【住所又は居所原語表記】POB 364, Shefayim, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アラジ ロン
(72)【発明者】
【氏名】シモノフ-ベンヤミン アイリス
(72)【発明者】
【氏名】レイジア タル
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB11
3E172AB20
3E172BA04
3E172BB04
3E172BB12
3E172EA03
3E172EB02
3E172GA20
3E172JA10
3E172KA03
(57)【要約】
極低温流体タンク及び極低温流体タンクを極低温流体送出システムに接続するためのタンクコネクタ装置と共に使用するための極低温流体送出システム。極低温流体送出システムが、極低温流体タンクに取り付けられるように構成されたタンク係合部材と、極低温流体を分配するように構成された少なくとも1つの分配部材と、液体極低温流体を受容し、内部に配置された液体極低温流体が沸騰してガス極低温流体になることを可能にし、少なくとも1つの分配部材に向かって非加圧方式でその送出を容易にするように構成された沸騰チャンバを含む気化器モジュールと、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温流体タンクと共に使用するための極低温流体送出システムであって、
a.前記極低温流体タンクに固定して取り付けられ、前記タンクから前記システムへの極低温流体の流出を選択的に可能にするように構成されたタンク係合部材と、
b.前記システムの外部に極低温流体を分配するように構成され、任意選択で、少なくとも前記システムの動作中に、前記タンク係合部材に対して高い位置に保持される、少なくとも1つの分配部材と、
c.前記タンク係合部材及び前記少なくとも1つの分配部材に流体接続された気化器モジュールであって、液体極低温流体を受容するように構成された液体受容部分と、内部に配置された液体極低温流体をガス極低温流体に沸騰させ、前記少なくとも1つの分配部材に向けて非加圧方式で前記液体極低温流体の送出を容易にするガス放出部分とを有する沸騰チャンバを備える気化器モジュールと、を備え、前記沸騰チャンバが、
i.タンク係合部材と流体連通する液体極低温流体入口と、液体出口と、を備える、液体受容部分を構成する液体受容容器と、
ii.前記液体受容容器の前記液体出口と流体連通する流体入口と、前記分配部材と流体連通するガス出口と、を備える、前記ガス放出部分を構成するガス放出容器と、
iii.所定量の液体が前記ガス分配タンク内に収容されているときに、前記液体受容容器と前記ガス放出容器との間の流体連通を選択的に阻止するように構成された流れ阻止部材と、を備える、極低温流体送出システム。
【請求項2】
前記流れ阻止部材が、前記ガス放出容器内に配置されたフロート部材と、前記液体受容容器内に配置され、接続要素によって前記フロート部材に接続されたプラグ部材と、を備え、前記プラグ部材が、前記液体受容容器の前記液体出口を塞ぐのに適した形状で構成されている、請求項1に記載の極低温流体送出システム。
【請求項3】
前記液体受容容器が、前記ガス放出容器の下方に隣接して配置され、前記液体受容容器の前記液体出口が、前記ガス放出容器の前記流体入口の下方に隣接して配置される、請求項2に記載の極低温流体送出システム。
【請求項4】
前記接続要素が、前記フロート部材から、前記ガス放出容器の前記流体入口及び前記液体受容容器の前記液体出口を通って前記プラグ部材まで延在する金属ロッドである、請求項3に記載の極低温流体送出システム。
【請求項5】
前記フロート部材が、前記極低温流体タンク内に貯蔵されたタイプの極低温流体上にフロート部材が浮くことを可能にするのに十分な寸法及び密度で構成されている、請求項2から4のいずれか一項に記載の極低温流体送出システム。
【請求項6】
前記フロートが、極低温流体との動作に適した材料から形成される、請求項5に記載の極低温流体送出システム。
【請求項7】
前記フロートがポリオキシメチレンから形成される、請求項6に記載の極低温流体送出システム。
【請求項8】
前記フロート部材が、前記ガス放出容器の断面と同様であるがより小さい断面で構成されている、請求項2から7のいずれか一項に記載の極低温流体送出システム。
【請求項9】
前記極低温流体送出システムが周囲温度にさらされる、請求項1から8のいずれか一項に記載の極低温流体送出システム。
【請求項10】
前記極低温流体送出システムが、周囲環境からの断熱材を少なくとも部分的に含まない、請求項1から9のいずれか一項に記載の極低温流体送出システム。
【請求項11】
前記沸騰チャンバの少なくとも一部が、沸騰速度制御装置を備える、請求項10に記載の極低温流体送出システム。
【請求項12】
前記沸騰速度制御装置が、前記沸騰チャンバへの装着及び前記沸騰チャンバからの取り外しを可能にするように構成されている、請求項11に記載の極低温流体送出システム。
【請求項13】
前記沸騰チャンバ内の前記極低温流体に圧力を制御可能に加えるように構成された加圧装置を更に備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の極低温流体送出システム。
【請求項14】
前記加圧装置が、前記沸騰チャンバの前記内部に少なくとも間接的に熱を印加するように構成された少なくとも1つの加熱要素と、前記沸騰チャンバの前記内部内のガス圧力を測定するように構成された圧力センサと、を備える、請求項13に記載の極低温流体送出システム。
【請求項15】
前記加圧装置が、独立した電源に接続されるように構成されている、請求項13又は14に記載の極低温流体送出システム。
【請求項16】
前記極低温流体が非毒性極低温液体である、請求項1から15のいずれか一項に記載の極低温流体送出システム。
【請求項17】
前記極低温流体が液体窒素である、請求項16に記載の極低温流体送出システム。
【請求項18】
前記極低温流体が液体空気である、請求項16に記載の極低温流体送出システム。
【請求項19】
前記沸騰チャンバが、液体極低温流体が前記システムから出るのを防止するように構成された安全装置を更に備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の極低温流体送出システム。
【請求項20】
極低温流体タンクと共に使用するための空調装置であって、極低温流体タンクを収容するように構成されたタンク受容部分を下端に有するハウジングと、前記タンク受容部分から垂直上方に延在し、請求項1から19のいずれか一項に記載の極低温流体送出システムの気化器モジュールの少なくとも一部を内部に収容するように構成された中空ネックと、前記極低温流体送出システムの少なくとも1つの分配部材を収容するように構成されたハウジングの上部にある分配部分と、を備える空調装置。
【請求項21】
前記ネックが、前記ネックの長さを増加及び減少させ、前記タンク受容部分と前記分配部分との間の距離をそれぞれ増加及び減少させるように動作可能な伸長機構を備える、請求項20に記載の空調装置。
【請求項22】
前記ネックが、前記タンク受容部分及び前記分配ヘッドよりも実質的に狭い、請求項20又は21に記載の空調装置。
【請求項23】
前記分配部分が、少なくとも前記装置の動作中に、前記タンク受容部分の上方1~3メートルの距離に配置されるように構成されている、請求項20から22のいずれか一項に記載の空調装置。
【請求項24】
前記装置が、前記極低温流体タンク内に貯蔵された極低温流体の量を測定するように構成されたスケールを更に備える、請求項20から23のいずれか一項に記載の空調装置。
【請求項25】
前記重量測定装置が、前記測定値を少なくとも1つの遠隔装置に送信するように構成された通信モジュールを備える、請求項24に記載の空調装置。
【請求項26】
前記空調装置が、前記沸騰チャンバに向かう極低温流体の流れを阻止しながら、前記沸騰チャンバの動作の結果として前記沸騰チャンバの周囲に生成された冷気を前記ハウジングの外部に搬送するように構成された極低温ガス節約モジュールを更に備える、請求項20から25のいずれか一項に記載の空調装置。
【請求項27】
前記極低温ガス節約モジュールが、前記タンク係合部材と前記沸騰チャンバとを相互接続し、所定量の冷気がその周囲に蓄積されたときにその流体の流れを阻止するように構成された極低温弁と、前記蓄積された冷気を前記ハウジングの外部に搬送するための空気流を生成するように構成された対流手段と、を備える、請求項26に記載の空調装置。
【請求項28】
前記極低温弁が、通常は開いており、前記対流手段が電気によって動作されるときに閉じられるように構成されている、請求項27に記載の空調装置。
【請求項29】
ネックと、底部と、前記ネック内の上部と、それらの間に延在する側壁とを有する内側流体保持容器と、を備える極低温流体タンクを、前記タンクの外部にある極低温流体送出システムに接続するためのタンクコネクタ装置であって、前記システムが、極低温液体入口を備え、前記タンクコネクタ装置が、
a.中心垂直軸を有し、前記極低温流体タンクの前記ネックに液密に嵌合されるように構成されたタンク取付装置であって、外部対向面と、タンク対向面と、前記垂直軸に沿ってそれらの間に延在する中央トンネルとを有し、前記中央トンネルが第1の直径を有するスリーブを構成する、タンク取付装置と、
b.前記タンク取付装置内に液密に嵌合され、液体入口部分及びガス入口部分を有する流体引き込み装置であって、前記液体入口部分が、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を備え、前記中央トンネル内に嵌合され、前記タンク対向面から前記外部対向面から離れる方向に垂直に突出し、前記スリーブと前記液体入口部分との間に形成された前記空間の少なくとも一部が前記ガス入口部分を構成する、流体引き込み装置であって、前記流体引き込み装置がまた、前記液体入口部分と流体連通する液体出口部分と、前記ガス入口部分と流体連通するガス出口部分と、を備え、前記液体出口部分が、前記外部対向面と関連付けられ、前記液体入口部分が、前記内側流体保持容器内に受容されるように構成され、前記内側流体保持容器から前記液体出口部分に向かう極低温液体の流れを可能にするように動作可能である、流体引き込み装置と、
c.前記液体出口部分と選択的に流体連通し、前記タンクコネクタ装置からの極低温液体の流出を選択的に可能にするように動作する少なくとも1つの流体分配部材と、を備える、タンクコネクタ装置。
【請求項30】
前記液体入口部分が、前記タンク対向面から、前記タンク対向面の前記外側対向面から離れる方向に、前記入口部分よりも大きく突出している、請求項29に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項31】
前記スリーブ及び前記液体入口部分が、前記ガス入口部分を少なくとも部分的に構成するそれらの間の空間が環状であるように同心である、請求項29に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項32】
前記少なくとも1つの流体分配部材が、前記極低温流体送出システムの対応する部材を液密に内部にぴったりと受容してそれらの間の流体連通を可能にするように構成された液体分配部材を備える、請求項30又は31に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項33】
前記液体分配部材が、対応する部材が内部にぴったりと受容されていないときに液体がそこを通って流れるのを防止するように構成された液体流れ阻止機構を有する送出システム係合部材を備える、請求項32に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項34】
前記送出システム係合部材が、特定の断面を有する受容ソケットによって構成され、同じ断面を有する対応する部材をぴったりと受容するように構成されている、請求項32又は33に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項35】
前記タンク取付装置が、前記極低温流体タンクの前記ネックの外面上に緊密に嵌合するように構成された中空本体として形成され、前記タンク対向面が、前記極低温流体タンクの前記内側流体保持容器と前記中空本体との間に流体通路を形成する少なくとも1つの開口部を備える、請求項29から34のいずれか一項に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項36】
前記中空本体が、圧力計と、流体充填チューブと、前記本体の前記側壁を通って延在し、前記本体の前記タンク対向面に形成された対応する開口部と流体連通するタンク圧力逃がし弁と、を備える、請求項35に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項37】
前記タンク取付装置が、前記極低温流体タンクの前記本体及び前記ネックの両方に装着されるように構成されたクランプを備え、前記クランプが、前記タンクコネクタ装置が前記タンクの前記ネックに装着され、前記ネックから取り外されることを可能にする弛緩状態と、前記クランプ要素が前記本体の一部を前記ネックに押し付けてそれらの間に液密取付を形成する密着状態との間で動作可能である、請求項33又は34に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項38】
前記タンク取付装置が、前記極低温流体タンクの前記ネック内に挿入されるのに適した通常状態と、前記極低温流体タンクの前記ネック内に緊密に嵌合することができる拡張状態との間で移行可能な伸長可能本体を備える、請求項29から35のいずれか一項に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項39】
前記伸長可能本体が、前記外部対向面の上方に隣接して配置された上部と、前記タンク対向面の下方に隣接して配置された下部とを有する締付装置によって、前記通常状態から前記拡張状態に移行するように構成され、前記締付装置が、前記伸長可能本体をその通常状態と拡張状態との間で移行させるために、前記上部と前記下部との間の距離を増加及び減少させるように動作可能である、請求項38に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項40】
前記本体の前記中央トンネルが、剛性材料から形成され、前記伸長可能本体が、前記中央トンネルの周囲のスリーブとして形成される、請求項38又は39に記載のタンクコネクタ装置。
【請求項41】
前記通常状態において、前記伸長可能本体が、第1の断面積を有し、前記拡張状態において、前記伸長可能本体が、前記第1の断面積よりも大きい第2の断面積を有する、請求項39又は40に記載のタンクコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、空調装置の分野に関し、詳細には、そのすぐ周囲への極低温流体の放出を利用する空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の主題が参照する種類の車両の例は、以下に開示されている。
・米国特許第5960635号は、圧力容器内の液体窒素源と、潜熱を吸収して窒素ガスになるように液体窒素を圧力容器からハウジング内に放出する放出弁とを有する液体窒素を使用する空調装置を開示している。装置は更に、放出弁を制御するサーモスタットと、ハウジングの外側からより暖かい空気を吹き付けてハウジングの内側の窒素ガスと混合し、より低温の空気混合物にする除湿装置と、を備える。除湿装置は、より低温の空気混合物をハウジングの外側の大気に導く前に、より低温の空気混合物を更に除湿する。
・韓国特許第101666183号は、酸素を排出するための冷却装置であって、本体の上端に形成され、下部カバーが本体の下端に取り外し可能に取り付けられる、冷却空気排出ユニットと、充填容器から排出される酸素ガスであって、少なくとも1つの液体酸素(LOX)充填容器から排出される酸素ガスは、送風ファン及び排出チューブを排出するようにガイドするための少なくとも1つの排出チューブを通して排出される、酸素ガスの量を制御するための制御ユニットと、を有する、冷却装置を開示する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の主題の第1の態様によれば、極低温流体タンクと共に使用するための極低温流体送出システムであって、
a.当該極低温流体タンクに固定して取り付けられ、当該タンクからシステムへの極低温流体の流出を選択的に可能にするように構成されたタンク係合部材と、
b.システムの外部に極低温流体を分配するように構成された分配部材と、
c.当該タンク係合部材と分配部分とを流体接続し、液体極低温流体を受容するように構成された液体受容部分と、内部に配置された液体極低温流体をガス極低温流体に沸騰させ、分配部材に向けて非加圧方式で液体極低温流体の送出を容易にするガス放出部分とを有する沸騰チャンバを備える気化器モジュールと、を備える、極低温流体送出システムが提供される。
【0004】
第1の態様は、少なくとも以下に列挙する実施形態を含むことができる。
実施形態1 極低温流体タンクと共に使用するための極低温流体送出システムであって、
a.当該極低温流体タンクに固定して取り付けられ、当該タンクからシステムへの極低温流体の流出を選択的に可能にするように構成されたタンク係合部材と、
b.システムの外部に極低温流体を分配し、少なくともシステムの動作中に、タンク係合部材に対して高い位置に保持されるように構成された分配部材と、
c.当該タンク係合部材と分配部分とを流体接続し、液体極低温流体を受容するように構成された液体受容部分と、内部に配置された液体極低温流体をガス極低温流体に沸騰させ、分配部材に向けて非加圧方式で液体極低温流体の送出を容易にするガス放出部分とを有する沸騰チャンバを備える気化器モジュールと、を備える、極低温流体送出システムが提供される。
実施形態2 極低温流体送出システムであって、沸騰チャンバが、
a.タンク係合部材と流体連通している液体極低温流体入口と、液体出口と、を備える、液体受容部分を構成する液体受容容器と、
b.ガス放出部分を構成するガス分配容器であって、液体受容容器の液体出口と流体連通する流体入口と、分配部材と流体連通するガス出口と、を備える、ガス分配容器と、
c.所定量の液体がガス分配タンク内に見出される/配置されるときに、液体受容容器とガス分配容器との間の液体連通を選択的に阻止するように構成された流れ阻止部材と、を備える、実施形態1に記載の極低温流体送出システム。
実施形態3 極低温流体送出システムであって、流れ阻止部材が、ガス分配容器内に配置されたフロート部材と、液体受容容器内に配置され、接続要素によって当該フロート部材に接続されたプラグ部材と、を備え、当該プラグ部材が、液体受容容器の液体出口を塞ぐのに適した形状で構成されている、実施形態2に記載の極低温流体送出システム。
実施形態4 液体受容容器がガス分配容器の下方に隣接して配置され、液体受容容器の液体出口がガス分配容器の流体入口の下方に隣接して配置される、実施形態3に記載の極低温流体送出システム。
実施形態5 接続要素が、フロート部材から、ガス分配容器の流体入口及び液体受容容器の液体出口を通ってプラグ部材まで延在する金属ロッドである、実施形態4に記載の極低温流体送出システム。
実施形態6 フロート部材が、極低温流体タンク内に貯蔵されたタイプの極低温流体内でのフロートを可能にするのに十分な寸法及び密度で構成されている、実施形態3から5のいずれか1つに記載の極低温流体送出システム。
実施形態7 フロートが、極低温流体での動作に適した材料から形成される、実施形態6に記載の極低温流体送出システム。
実施形態8 フロートがポリオキシメチレンから形成される、実施形態7に記載の極低温流体送出システム。
実施形態9 フロート部材が、ガス分配容器の断面と同様であるが、より小さい断面で構成されている、実施形態3から8のいずれか1つに記載の極低温流体送出システム。
実施形態10 極低温流体送出システムが周囲環境である、実施形態1から9のいずれか1つに記載の極低温流体送出システム。
実施形態11 極低温流体送出システムが、断熱材を少なくとも部分的に含まない、実施形態1から10のいずれか1つに記載の極低温流体送出システム。
実施形態12 沸騰チャンバの少なくとも一部が、断熱層で構成されている、実施形態11に記載の極低温流体送出システム。
実施形態13 断熱層が、沸騰部材からの装着及び取り外しを可能にするように構成されている、実施形態12に記載の極低温流体送出システム。
実施形態14 沸騰部材内の極低温流体に圧力を制御可能に加えるように構成された加圧装置を更に備える、実施形態1から13のいずれか1つに記載の極低温流体送出システム。
実施形態15 加圧装置が、沸騰部材の内部に少なくとも間接的に熱を印加するように構成された少なくとも1つの加熱要素と、沸騰部材の内部のガス圧力を測定するように構成された圧力センサと、を備える、実施形態14に記載の極低温流体送出システム。
実施形態16 加圧装置が、独立した電源によって動作されるように構成されている、実施形態14又は15に記載の極低温流体送出システム。
実施形態17 極低温流体が、非毒性極低温液体である、実施形態1から16のいずれか1つに記載の極低温流体送出システム。
実施形態18 極低温流体が液体窒素である、実施形態17に記載の極低温流体送出システム。
実施形態19 極低温流体が液体空気である、実施形態17に記載の極低温流体送出システム。
実施形態20 沸騰チャンバが、液体極低温流体がシステムから出るのを防止するように構成された安全装置を更に備える、実施形態1から19のいずれか1つに記載の極低温流体送出システム。
実施形態21 極低温流体タンクと共に使用するための空調装置であって、極低温流体タンクを収容するように構成されたタンク受容部分を下端に有するハウジングと、当該タンク受容部分から垂直上方に延在し、実施形態1から20のいずれか1つに記載の極低温流体送出システムを内部に収容するように構成された中空ネックと、当該極低温流体送出システムの分配部材を収容するように構成されたハウジングの上部にある分配部分と、を備える空調装置。
実施形態22 ネックが、当該ネック部分がその長さを増加及び減少させ、それぞれ、タンク受容部分と分配部分との間の距離を増加及び減少させることを可能にするように、伸長機構を備えて構成されている、実施形態21の空調装置。
実施形態23 ネック部分が、タンク受容部分及び分配ヘッドよりも実質的に小さい設置面積を有する、実施形態21又は22に記載の空調装置。
実施形態24 分配部分が、少なくとも装置の動作中に、タンク受容部分の上方1~3メートルの間に配置されるように構成されている、実施形態21から23のいずれか1つに記載の空調装置。
実施形態25 装置が、極低温流体タンク内に貯蔵された極低温流体の量を測定するように構成されたスケールを更に備える、実施形態21から24のいずれか1つに記載の空調装置。
実施形態26 重量測定装置が、当該測定値を少なくとも1つの遠隔装置に送信するように構成された通信モジュールを備える、実施形態25に記載の空調装置。
実施形態27 空調装置が、沸騰チャンバに向かう極低温流体の流れを阻止しながら、沸騰チャンバの動作に続いて沸騰チャンバの周囲で生成された冷気をハウジングの外部に搬送するように構成された極低温ガス節約モジュールを更に備える、実施形態21から26のいずれかに記載の空調装置。
実施形態28 極低温ガス節約モジュールが、タンク係合部材と沸騰チャンバとを相互接続し、所定量の冷気がその周囲に蓄積されたときにその流体の流れを阻止するように構成された極低温弁と、当該蓄積された冷気をハウジングの外部に容易にする/搬送するための空気流を生成するように構成された対流要素と、を備える、実施形態27に記載の空調装置。
実施形態29 極低温弁が、通常は開いており、温度及び対流要素が電気によって動作されるときに閉じられるように構成されている、実施形態28の空調装置。
【0005】
本開示の主題の第2の態様によれば、ネックと、底部と、ネックによって構成される上部と、それらの間に延在する側壁とを有する内側容器と、を備える極低温流体タンクを、極低温液体入口を備える極低温流体送出システムに接続するためのタンクコネクタ装置であって、
a.極低温流体タンクのネックの周囲に液密に嵌合されるように構成されたタンク取付装置であって、当該極低温流体タンクが、外部対向面と、タンク対向面と、それらの間をその垂直軸に沿って横断する中央トンネルとを有する、タンク取付装置と、
b.中央トンネル内に液密に嵌合され、タンク対向面から垂直に突出する流体入口部分と、外部対向面から垂直に突出する流体出口部分とを有する流体引き込みモジュールであって、当該流体入口部分が、内側容器内に受容されるように構成され、内側容器から流体出口部分に向かう極低温流体の流れを可能にするように動作する、流体引き込みモジュールと、
c.流体出口部分と選択的に流体連通しており、タンクコネクタ装置の外部への極低温流体の流出を選択的に可能にするように動作する少なくとも1つの流体分配部材と、を備える、タンクコネクタ装置が提供される。
【0006】
第2の態様は、少なくとも以下に列挙される実施形態を含むことができる。
実施形態30 ネックと、底部と、ネックによって構成される上部と、それらの間に延在する側壁とを有する内側容器と、を備える極低温流体タンクを、極低温液体入口を備える極低温流体送出システムに接続するためのタンクコネクタ装置であって、
a.極低温流体タンクのネックの周囲に液密に嵌合されるように構成されたタンク取付装置であって、当該極低温流体タンクが、外部対向面と、タンク対向面と、それらの間をその垂直軸に沿って横断する中央トンネルとを有する、タンク取付装置と、
b.中央トンネル内に液密に嵌合され、タンク対向面から外部対向面から離れる方向に垂直に突出する流体入口部分と、外部対向面からタンク対向面から離れる方向に垂直に突出する流体出口部分とを有する流体引き込みモジュールであって、当該流体入口部分が、内側容器内に受容されるように構成され、内側容器から流体出口部分に向かう極低温流体の流れを可能にするように動作する、流体引き込みモジュールと、
c.流体出口部分と選択的に流体連通しており、タンクコネクタ装置の外部への極低温流体の流出を選択的に可能にするように動作する少なくとも1つの流体分配部材と、を備える、タンクコネクタ装置。
実施形態31 少なくとも1つの流体分配部材が、タンクコネクタ装置の外部に極低温ガスを選択的に分配するように構成されたガス分配部材を備え、流体引き込みモジュールが、極低温ガスが内側容器からガス分配部材に向かって流れることを可能にするように動作するガス引き込み部材を備える、実施形態30のタンクコネクタ装置。
実施形態32 少なくとも1つの流体分配部材が、極低温流体送出システムの極低温液体入口に極低温液体を選択的に分配するように構成された液体分配部材を備え、流体引き込みモジュールが、極低温液体が内側容器から液体分配部材に向かって流れることを可能にするように動作する液体引き込み部材を備える、実施形態30又は31に記載のタンクコネクタ装置。
実施形態33 液体引き込み部材が、液体入口部分を備え、ガス引き込み部材がガス入口部分を備え、両方が当該流体入口部分を構成し、液体入口部分が、ガス入口部分よりもタンク対向面からより大きく突出する、実施形態30から32のいずれか1つに記載のタンクコネクタ装置。
実施形態34 液体引き込み部材が、第1の直径を有するパイプの形態であり、流体引き込みモジュールが、当該液体引き込み部材を取り囲み、第1の直径よりも大きい第2の直径を有するスリーブを更に備え、その結果、環状空間がそれらの間に形成され、ガス引き込み部材を構成する、実施形態32に記載のタンクコネクタ装置。
実施形態35 液体分配部材が、極低温流体送出システムの対応する係合部材を液密に嵌合可能に受容して、それらの間の流体連通を可能にするように構成された係合部材を備える、実施形態33又は34のタンクコネクタ装置。
実施形態36 係合部材が、対応する係合部材が内部に嵌合可能に受容されていないときに、係合部材を通る液体流を防止するように構成された液体流れ阻止機構を備える、実施形態35のタンクコネクタ装置。
実施形態37 プラグ部分の係合部材が、特定の断面を有するソケットによって構成され、同じ断面の対応する係合部材をぴったりと受容するように構成されている、実施形態35又は36のタンクコネクタ装置。
実施形態38 タンク取付装置が、極低温流体タンクのネック部分の外面上に緊密に嵌合するように構成された中空キャップ状本体として形成され、タンク対向面が、極低温流体タンクの内側容器と中空キャップ状本体との間に流体通路を形成する少なくとも1つの開口部を備える、実施形態30から37のいずれか1つに記載のタンクコネクタ装置。
実施形態39 キャップ状本体が、圧力計と、一方向入口を有する充填チューブと、側壁を通って延在し、中空キャップ状本体内の中空空間と流体連通する圧力逃がし弁と、を備える、実施形態38に記載のタンクコネクタ装置。
実施形態40 タンクコネクタ装置であって、タンクコネクタ装置が、キャップ状本体及び極低温流体タンクのネックの両方に装着されるように構成されたクランプ要素を更に備え、タンクコネクタ装置が装着されてネック部分から取り外されることを可能にする弛緩状態と、クランプ要素がキャップ状本体の一部をネック部分に押し付けてそれらの間に液密取付を形成する密着状態とで構成されている、実施形態37又は38のタンクコネクタ装置。
実施形態41 タンク取付装置が、極低温流体タンクのネック部分内に挿入されるのに適している通常状態と、極低温流体タンクのネック部分内に緊密に嵌合されるように動作可能である伸長可能状態との間で移行可能である伸長可能本体を備える、実施形態30から37のいずれか1つに記載のタンクコネクタ装置。
実施形態42 伸長可能本体が、外部対向面の上方に隣接して配置された上部と、タンク対向面の下方に隣接して配置された下部とを有する締付装置によって、通常状態から伸長可能な状態に移行するように構成され、締付が、通常状態と伸長可能な状態との間で伸長可能本体を移行させるために、上部と下部との間の距離を増加及び減少するように動作可能である、実施形態41のタンクコネクタ装置。
実施形態43 中央トンネルが、剛性材料から形成され、伸長可能本体が、中央トンネルの周囲のスリーブとして形成される、実施形態41又は42に記載のタンクコネクタ装置。
実施形態44 スリーブの直径が、伸長可能本体の通常状態及び伸長可能な状態の両方において同じままであり、通常状態において、スリーブ及び中央トンネルが、それらの間に環状空間を形成し、伸長可能な状態では、スリーブが、中央トンネルに対して液密にぴったりと押し付けられる、実施形態43に記載のタンクコネクタ装置。
実施形態45 通常状態において、伸長可能本体が、第1の直径を伴って構成され、伸長可能状態において、伸長可能本体が、第1の直径よりも大きい第2の直径を伴って構成されている、実施形態41から44のいずれか1つに記載のタンクコネクタ装置。
実施形態46 通常状態において、伸長可能本体が、第1の断面表面積を伴って構成され、伸長可能状態において、伸長可能本体が、第1の断面表面積より大きい第2の断面表面積を伴って構成されている、実施形態41から44のいずれか1つに記載のタンクコネクタ装置。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例示するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、実施形態をここで説明する。
図1】本開示の主題の一例による、極低温空調装置の斜視図である。
図2】本開示の主題の一例による、極低温流体タンクに取り付けられた極低温流体送出システムの斜視図である。
図3図2に見られる極低温流体送出システムの液体受容部分の斜視図である。
図4A】明確化のために透明な側壁を有する、図2に見られるような極低温流体送出システムの沸騰チャンバの斜視図である。
図4B】流れ阻止部材が許容状態にある、図4Aの沸騰チャンバ内の領域4Bの拡大部分の平面A-Aに沿った断面図である。
図4C図4Bと同じであり、流れ阻止部材が阻止状態にある。
図5A】包まれた状態の断熱機構を有する、図4Aの沸騰チャンバ内の領域4Bの拡大部分の平面A-Aに沿った断面図を示す例示的な実施形態である。
図5B図5Aと同じであり、断熱機構が遠隔状態にあり、断熱機構が折り畳まれた状態である。
図6A】本開示の主題の一例による、気化モジュールに取り付けられたガス節約モジュールの斜視図である。
図6B図6Aの気化器モジュールにおける領域6Bの拡大部分の斜視図であり、極低温流体送出システムを有する極低温空調装置のネックの内側に沿って切り取られており、極低温弁が開かれ、コンベクタがオフにされている。
図6C図6Aの気化器モジュールにおける領域6Bの拡大部分の斜視図であり、極低温流体送出システムを有する極低温空調装置のネックの内側に沿って切り取られており、極低温弁が閉じられており、コンベクタがオンにされている。
図7A】当該技術分野で知られている極低温流体タンクの斜視図である。
図7B図7Aの極低温流体タンクの平面B-Bに沿った断面図である。
図8A】本開示の主題の一例による、極低温流体タンクに取り付けられたタンクコネクタ装置及びそれに取り付けられたシステム接続部分の斜視図である。
図8B図8Aのタンクコネクタ装置が取り付けられた、図7Aの極低温流体タンクの断面図である。
図9A図8Aに示すタンクコネクタ装置及びシステム接続部分の部分分解図である。
図9B図8Aのタンクコネクタ装置及びそれに取り付けられたシステム接続部分の平面C-Cに沿った断面図である。
図10A】本開示の主題の別の例による、極低温流体タンクに取り付けられたタンクコネクタ装置の斜視図である。
図10B図8Aのタンクコネクタ装置及びそれに取り付けられたシステム接続部分の、中心垂直面に沿った断面図である。
図10C図10Aの平面D-Dに沿った、図8Aのタンクコネクタ装置及びそれに取り付けられたシステム接続部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の主題による極低温空調装置(以下、「装置」)の一例は、アルフレスコスタンドアロン冷却ユニットとして動作するように構成され、極低温流体をそのごく近傍に放出することを可能にする。
【0009】
一般に、装置は、中空内部を有するハウジングと、ハウジング内に配置され、極低温流体タンクに接続されるように構成された極低温流体送出システムと、を備えることができる。極低温流体送出システムは、第1の部分からシステム内への極低温液体の流れを可能にし、受容した液体極低温流体が沸騰してガス極低温流体になることを可能にし、システムの異なる部分でシステムの外部へのガス極低温流体の放出を容易にするように構成することができる。場合によっては、極低温流体タンクを装置の近傍に配置して、単一の携帯型装置を形成することができる。他の場合には、極低温流体タンクは、遠隔位置に配置することができ、1つ以上のチューブ要素を介して取り外し可能な液密接続で1つ以上の装置に接続することができる。
【0010】
装置は、極低温流体タンクと共に使用されるように構成することができ、極低温流体タンクは、ハウジング内に一体化されるか、又はそれと互換性があるかのいずれかであり得る。本開示の主題の更なる実施形態では、極低温流体タンクは、タンクコネクタ装置が取り付けられた状態で構成することができ、タンクコネクタ装置は、以下で更に詳述するように、装置へのタンクの迅速かつ安全な取り外し及び接続を可能にするように構成される。
【0011】
冷却のために極低温流体を使用する利点の1つは、それらの液体対気体膨張比である。いくつかの極低温流体は、(摂氏20度で)1:650より大きい液体対気体膨張比を有し、例えば、1リットルの液体窒素は、約700リットルのガスを提供することができ、これは、比較的極低温で装置の外部に放出され、装置のすぐ周囲の温度を低下させるために使用され得る。
【0012】
装置は、周囲環境で屋外で動作するように構成することができる。装置はまた、電力網に接続されることなく(すなわち、小型携帯電源によって動作させられることができる)、更なる場合には、任意の電源にプラグ接続されることなく、動作させられるように構成されることができる。装置は、装置内の極低温流体の沸騰を誘発するのに十分な熱を環境から吸収することによって、それを行うことができる。その目的のために、装置は、システムと環境との間の十分な熱伝達を可能にするために、そこからの断熱を提供又は防止しながら、極低温流体送出システムを収容するように構成することができる内部空間を画定する中空ハウジングを有することができる。周囲環境で動作することにより、装置は可動式に構成することができ、ガス作動式パティオヒータと同様に、ある場所から別の場所へ容易に操作することを可能にできる。本開示の主題の他の例では、装置は、電気を利用する少なくとも1つの要素を備えることができる。そのような例では、装置は、システムによる熱吸収を促進するための加熱装置、又は装置内の極低温流体の流れの調節を補助するための極低温ソレノイド弁を備えることができる。
【0013】
ハウジングは、極低温流体タンクを収容するように構成されたタンク受容部分を備えることができ、例えば、補充目的のために、そこからタンクの挿入及び取り外しをすることを可能にする。ハウジングの中空本体は、内部空間を画定する薄い外部シェルを備えることができ、外部シェルは、少なくともそのいくつかの部分において、装置の外部との十分な熱伝達を可能にするように適合され得る。その目的のために、ハウジングの少なくとも一部は、アルミニウム、ポリカーボネート及びポリプロピレン又はABSなどの高い熱伝導特性を有する材料から形成することができ、(使用される材料のタイプに応じて)約1~4mmの厚さで形成することができる。場合によっては、ハウジングのいくつかの部分を他の部分よりも狭くして、極低温流体送出システムをハウジングの外部シェルから分離する内部空間内の空気の体積を減少させることができる。場合によっては、外部シェルのいくつかの部分は、他の部分よりも薄くても厚くてもよい。
【0014】
ハウジングのタンク受容部分は、それ自体を安定させるのに十分な重量を備えることができる。他の場合には、ハウジングは、ハウジング内に設けられたタンクによって十分な安定性が提供され得る場合には比較的軽量であり得る。場合によっては、タンク受容部分は、その底面にスケールを備えて構成され得、その上に、極低温流体タンクが、内部に貯蔵された極低温流体の量を測定するために配置され得る。タンク受容部分は、内部に一体化された、又はそれと一体化可能な格納式カートを更に備えることができ、その上に極低温流体タンクを配置することができる。
【0015】
ハウジングは、分配部分を備えることができ、分配部分を通して、極低温ガスが、その上部で装置の外部に放出され、細長いネック部分によってタンク受容部分に接続される。
【0016】
図1を参照すると、10として示される本例の装置は、ハウジング12と、ハウジング12から分離され得るか、又はハウジング12と一体であり得る基部14とを有する。ハウジング12は、その底部に極低温流体タンク(図示せず)を受容して収容するように構成されたタンク受容部分16と、その上部に分配部分18と、タンク受容部分16と分配部分18とを相互接続する細長いネック19と、を備える。
【0017】
タンク受容部分16は、ハウジング12内の内部空間へのアクセスを提供する選択的に取り外し可能なハッチを有する開口部(図示せず)を備えることができる。開口部及びハッチは、25~50リットルのデュワ、特に35リットルのデュワのような様々なサイズの極低温貯蔵タンクを受容するように寸法決めされている。場合によっては、装置と共に使用することができる極低温流体は、窒素などの非毒性かつ不燃性の極低温流体でなければならない。更なる場合には、極低温流体は液化空気(すなわち、凝縮温度まで冷却された大気の組成を模倣するガスの混合物)であってもよく、そのような場合には、装置は屋内で動作することができる。
【0018】
一般に、分配部分は、内部に配置される1つ以上のガス出口を有することによって、その周囲に最大360度のガスを分配するように構成されることができる。ガス出口は、互いに等間隔に配置することができる。1つ以上のガス出口は、極低温流体ガスがそれを通して分配される開状態と、極低温流体ガスがそれを通して分配されることを防止されている閉状態とを伴って構成されることができる。場合によっては、1つ以上のガス出口は、ガスが分配される角度を増加又は減少させるために、ハウジングに対するそれらの角度を変更するように操作されることができる。
【0019】
本例では、分配部分18は、装置10の上部に配置され、3つのガス出口17A、17B(第3のものは図示せず)を備え、その各々は、装置の周囲に冷却された球を形成するために、装置の周囲に他の2つから120度に配置される。
【0020】
一般に、分配部分は、少なくとも装置の動作中、タンク受容部分の上方0.5~3メートルの間に配置することができる。その目的のために、ネックは、伸長機構を備えて構成され得、伸長及び短縮することを可能にし、それによって、タンク受容部分からの分配部分の距離を増加及び減少させる。場合によっては、分配部材は、そこから放出されるガスを導くために、各ガス出口に対して少なくとも1つの方向付け要素を備えることができる。本開示の主題の更なる例では、1つ以上のガス出口は、ハウジングのネックに沿って配置され得る。
【0021】
本例では、細長いネック19は中空であり、タンク受容部分16及び分配部分18よりも実質的に小さい設置面積で構成される。ネックの設置面積は、極低温流体タンクを分配部分18に結合するための極低温流体送出システム用の導管を提供する極低温流体送出システムの収容を可能にするように構成される。円形断面で示されているが、細長いネックは、様々な形態、例えば、楕円形断面、又は六角形若しくは八角形断面をとってもよい。
【0022】
一般に、極低温流体送出システムは、その一端に、液体極低温流体を受容するように構成されたタンク係合部材と、他端に、そこからガス極低温流体を分配するように構成された少なくとも1つの分配部材とを有することができる。タンク係合部材は、極低温流体タンクに液密に取り外し可能に取り付けられ、極低温流体がシステム内に選択的に流入できるように構成することができる。極低温流体タンクからシステム内への極低温流体の流れは、タンク内の極低温流体の気化によってタンク内に作用する内力のみによって自然に生じることができる。他の場合には、外部手段を使用してタンク内の流体に力を印加し、液体極低温流体がタンクから出るのを容易にすることができる。
【0023】
少なくとも1つの分配部材は、少なくともシステムの動作中に、タンク係合部材に対して高い位置に保持され、ガス極低温流体をシステムの外部に、すなわちハウジングの分配部材に及び分配部材を通して分配するように構成することができる。
【0024】
極低温流体送出システムは、タンク係合部材と分配部材とを気密に流体接続する気化器モジュールを更に備える。例えば、タンク係合部材及び分配部材は、極低温流体と共に使用されるように構成されたチューブ部材によって接続することができる。受容された液体極低温流体がガス極低温流体に変わることを可能にするために、気化器モジュールは、内部に受容された液体極低温流体が沸騰し、非加圧のガス極低温流体に気化することを可能にするように構成された沸騰部材を備えることができ、そこから分配部材へと促進される。
【0025】
本例の極低温流体送出システム100は、図2図5Bに最もよく示されており、タンク係合部材110と、分配部材120と、タンク係合部材110と分配部材120とを流体接続する気化器モジュール130と、を備える。タンク係合部材110は、極低温流体タンク20と極低温流体送出システム100との間の流体連通を可能にするように、極低温流体タンク20への液密接続を可能にするように構成される。場合によっては、タンク係合部材110は、図8A図10Cに関連して更に説明するように、極低温流体タンクのネックの周囲に嵌合されたタンクコネクタ装置に接続されるように構成することができる。
【0026】
一般に、極低温流体送出システムの分配部材は、極低温ガスを受容して気化器モジュールからその外部に分配するように構成することができる。場合によっては、分配装置は、ガスの連続流を提供するように構成されることができる一方、他の場合には、様々な強度でガスのバーストを提供するように構成されることができる。
【0027】
分配部材120は、気化器モジュール130からガス極低温流体を受容し、ハウジング12の分配部分18に向かって及び分配部分18から出るように、気密方式でガス極低温流体を容易にするように構成される。本例では、分配部材120は、少なくとも1つの出口122によって構成され、この出口は、ガス極低温流体がほぼ大気圧で沸騰チャンバ140から分配部分18の少なくとも1つのガス出口17A及び17Bに流れることを可能にするように構成されている。
【0028】
一般に、気化器モジュールは、タンク係合部材から分配部材への極低温流体の流れを可能にするように構成された気密チューブシステムとして形成することができる。この目的のために、気化器モジュールは、極低温流体で動作するのに適した材料から形成することができる。システムは、タンク内の極低温流体の周囲気化によって生成される圧力のみによって生じる、気化器モジュール内の極低温流体の移動のみによって動作することができることが強調される。
【0029】
気化器モジュールは、液体受容部分と、ガス放出部分と、を備えることができる。液体受容部分は、圧力逃がし弁を有する安全解放弁を備えることができ、安全解放弁は、内部の圧力が特定の閾値を超えて上昇したときに液体受容部分から極低温流体が放出されることを可能にするように構成される。
【0030】
図3に示す、132で示される、本例の気化器モジュール130の液体受容部分は、以下に詳述するように、極低温流体タンク20に接続するのに適したシステム接続部分133と、液体出口134と、ユーザがシステムへの流体の流れを手動で阻止することが可能になるように構成されたストップコック135と、液体受容部分132内の圧力が危険なほど高い、すなわち22 PSIを超える場合に液体極低温流体を液体受容部分132からシステムの外部に導くために開くように構成された圧力逃がし弁136と、を備える。本例のガス放出部分は、システムの分配部材120によって構成される。
【0031】
一般に、気化器モジュールは、沸騰チャンバを備えて構成することができ、この沸騰チャンバ内で、液体極低温流体が、制御された方法で沸騰し、ガス極低温流体に変わることができる。沸騰チャンバは、液体極低温流体が内部に蓄積することを可能にするように構成された液体受容部分と、内部に蓄積された液体極低温流体がガス極低温流体に沸騰することを可能にし、分配部材に向かって非加圧方式でその送出を容易にするように構成されたガス放出部分と、を備えて構成することができる。本明細書で使用される「非加圧方式」という用語は、少なくとも沸騰チャンバのガス放出部分で生じる沸騰のみによって生成される圧力によって、ガス極低温流体がシステムの分配部材を通ってハウジングの分配部分から流出することができることを意味する。
【0032】
沸騰チャンバは、互いに流体連通する液体受容容器及びガス分配容器を備えることができる。液体受容容器は、沸騰チャンバの液体受容部分を構成することができ、その一部分で液体受容部分と流体連通し、その異なる部分でガス分配容器と流体連通することができる。液体受容容器は、液体受容容器内での液体極低温流体の沸騰を緩和するように、液体極低温流体を受容して蓄積するように構成することができる。
【0033】
ガス分配容器は、ガス放出部分を構成することができ、液体極低温流体を受容するように受容容器と流体連通し、ガス状極低温ガスを分配することを可能にするように分配部材と流体連通することができる。ガス分配容器は、内部に配置された極低温液体が、制御された方法でその気体形態に沸騰することを可能にするように構成することができる。ガス分配容器は、ハウジングの外部と容器の内部空間との間の周囲熱伝達を可能にするために、ハウジングの外部エンベロープ、より具体的にはその細長いネックに近接して配置及び/又は嵌合されるのに適した寸法で構成することができる側壁を備えることができる。
【0034】
液体受容容器及びガス分配容器は、液体受容容器がほぼ満杯であるときにのみ液体がガス分配容器内に流れ始めるように互いに接続され得る。本開示の主題の一例では、ガス分配容器は、液体受容容器の上部に配置することができ、より具体的には、液体受容容器の天井の少なくとも一部は、ガス分配容器の床の少なくとも一部を構成する。他の例では、液体受容容器及びガス分配容器は、液密パイプ要素によって流体接続され得る。
【0035】
図2及び図4A図4Bに示すように、気化器モジュール130は、内部に配置された液体極低温流体がガス極低温流体に沸騰することを可能にするように構成された沸騰チャンバ140を備える。本例では、沸騰チャンバ140は、ハウジング12の細長いネック19内に配置されるように構成されている。この例では、その直径は細長いネック19の直径よりもわずかに小さい。沸騰チャンバ140は、液体受容容器150と、液体受容容器150に液密に流体接続されたガス分配容器160と、を備える。
【0036】
液体受容容器150は、垂直に通過する中心軸Xを画定する円筒として形成され、底部隔壁152と、上部隔壁153と、それらの間に延在し、第1の内径D1を有する側壁154と、を備える。底部隔壁152には液体入口155が形成されており、タンクから液体受容部分132を介して液体極低温流体が流入可能であり、上部隔壁153には液体出口156が形成されている。液体入口155及び液体出口156の両方は、中心軸Xと同心である。ガス分配容器160も円筒として形成され、液体受容容器150の上部隔壁153の上面を構成する底部隔壁162と、上部隔壁163と、それらの間に延在し、D1よりも大きい第2の内径D2を有する側壁164と、を備える。底部隔壁162は、液体出口156に流体接続された液体入口165を備え、上部隔壁163は、共に分配部材120を構成するガス出口122A及び122Bを備える。液体入口165も中心軸Xと同心であり、液体受容容器150の液体出口156と接続チャネル170を形成する。ガス分配容器160は、システムへのアドオンの一体化を可能にするように構成された少なくとも1つのコネクタ168を備える。
【0037】
一般に、沸騰チャンバは、所定量の液体がガス分配タンク内に配置されたときに液体受容容器とガス分配容器との間の流体連通を選択的に阻止するように構成された阻止装置を更に備えることができる。したがって、液体極低温流体がガス分配容器に入る特定の範囲まで液体受容容器が充填され、十分な極低温液体が入ると、阻止装置が流体経路を阻止する。したがって、容器内の液体極低温流体は、潜熱を吸収し、気化して気体形態になる。次に、液体対気体膨張比は極低温ガスの方が大きいので、ガス極低温流体は自己加圧して、ガス分配チャンバのガス出口から、分配部材を通って、システムから出る。
【0038】
阻止装置は、測定要素及び阻止要素を備えることができる。測定要素は、ガス分配容器内の液体の量を測定し、所定量の液体が測定されたときに阻止要素を作動させるように構成され、阻止要素は、測定要素によるその作動時に液体受容容器とガス分配容器との間の流体連通を阻止するように構成される。
【0039】
図4A図4Cに示すように、沸騰チャンバ140は、流体がガス分配容器160内に流入することができる許容状態と、流体がガス分配容器160内に流入することを防止して、内部に配置された液体極低温流体が沸騰することを可能にする阻止状態とを有するように構成された流れ阻止部材200を更に備える。流れ阻止部材200は、ガス分配容器160内に配置されたフロート210と、液体受容容器150内に配置されたプラグ部材220と、を備える。フロート210は、ガス分配容器160内の液体レベルと共に上昇するように構成され、したがって、ガス分配容器内の液体の量を測定するための測定要素を構成する。プラグ部材220は、フロート210によって作動されたときに、そこからガス分配容器160に向かう液体の流れを選択的に阻止するように、液体受容容器の液体出口156に嵌合するように構成される。
【0040】
フロート210は、極低温流体タンク内に貯蔵されたタイプの極低温流体内でフロートすることを可能にしながら、極低温流体との動作に適した寸法で構成され、かつ材料から形成される。極低温流体が窒素である場合、フロートは、ポリオキシメチレンなどのエンジニアリング熱可塑性物質から形成することができる。フロート210は、フロート210がガス分配容器160の側壁164に対して角度をなすことを防止するために、ガス分配容器160よりもわずかに小さいが同様の形状で構成され、一方で、フロート210と側壁164との間に、ガス極低温流体が通過することが可能な間隙180を形成する。フロート210は、ガス分配容器160の第2の内径D2よりも小さく、第1の内径D1よりも大きい第3の内径D3を備える。距離D2-D3は、フロート210の下方に配置される液体極低温流体の気化を可能にし、気化されたガス極低温流体が分配部材120に向かって促進されることを可能にするのに十分であるように構成される。本例では、フロート210は、キャップ212が緊密に嵌合された中空本体211から形成される。一般に、測定要素及び阻止要素は、互いに有線又は無線で電気的に通信する2つの別個の要素によって構成することができる。例えば、フロート及びプラグは、互いに無線通信することができ、フロートがガス分配容器の底部隔壁から特定の距離に到達すると、フロートは、液体出口を遮断するようにプラグに信号を送ることができる。場合によっては、測定要素及び阻止要素は、単一要素を形成するように物理的に接続されることができ、阻止要素は、液体受容容器内に配置されることができ、測定要素は、接続チャネルを介してそれらを接続する接続部材を有しながら、ガス分配容器内に配置されることができる。場合によっては、接続要素の長さは、フロートとプラグとを互いに近づけたり、互いから遠ざけたりするために変更することができる。
【0041】
本発明において、フロート210とプラグ部材220とは、上端がフロート210に接続され、下端がプラグ部材220で構成された接続部材230を介して接続されている。接続部材230は、接続チャネル170を通って垂直軸Xに沿って延在し、ガス分配チャンバ内に配置されたガス分配セグメント231と、液体受容容器150内に配置された液体受容セグメント232とを有する。許容状態では、ガス分配セグメント231は長さL1で構成され、阻止状態では、ガス分配セグメント231はL1より大きい長さL2で構成され、長さL2-L1は、プラグが液体出口156に到達してこれを遮断するためにフロートが上昇すべき距離を決定する。本例では、接続部材230の液体受容セグメント232は、そこに螺合されるばね234要素を伴って構成され、流れ阻止部材200の状態間の円滑な動作及び移行を容易にするために、阻止状態においてフロートが接続部材230に印加する揚力に反対の力を印加するように構成される。他の例では、フロート210は、円滑な動作及び状態間の移行を容易にするために、十分な重力を提供するのに十分な重量で構成される。
【0042】
本開示の主題の一例によれば、装置は、気化モジュール部分のいずれかの周囲に断熱装置を備えることができる。具体的には、装置は、沸騰チャンバと装置の外部シェルとの間に断熱層を選択的に提供するように構成された、沸騰チャンバの周囲の断熱装置を備えることができる。断熱装置は、格納状態で構成することができ、格納状態では、沸騰チャンバ側壁がハウジングの外部シェルに近接し、空気のみが沸騰チャンバを外部シェルから分離する。断熱装置はまた、展開状態で構成することができ、展開状態では、格納式層が沸騰チャンバの少なくとも一部を取り囲む。格納式層は、沸騰チャンバ内の極低温流体の沸騰速度を遅くするために断熱特性を有するように構成することができ、その結果、装置を通して分配されるガス極低温流体が少なくなる。他の場合には、格納式層は、沸騰チャンバ内の極低温流体の沸騰速度を加速するために、熱伝導特性を有するように構成することができ、その結果、より多くのガス極低温流体が装置を通して分配される。
【0043】
断熱装置は、格納式層を沸騰チャンバの任意の部分の周囲に選択的に展開及び格納するように構成された展開機構を備えることができる。展開機構は、格納式層が少なくともガス分配チャンバを完全に取り囲む完全展開と、格納式層が展開機構内に完全に格納され得るか、又はガス分配チャンバから離間され得る非展開との間の所望の範囲まで格納式層を展開するように構成され得る。場合によっては、展開機構は、スクロール機構によって構成され得、又は、ガス分配チャンバから装着及び取り外しされるように垂直方向に操作可能なスリーブによって構成され得る。
【0044】
本例では、装置は、図5Aでは展開状態にあり、図5Bでは格納状態にある断熱装置250を更に備える。断熱装置250は、操作機構251と、円筒形状を有し、液体受容容器150全体を取り囲むように液体受容容器150とハウジング12の外部シェルとの間に嵌合するように寸法決めされた格納式層252と、を備える。本例の操作機構251は、格納式層252の一方の側が固定的に接続され、展開状態の格納式層252のほぼ全体を収容し、展開状態の格納式層252のほぼ全体を展開するように構成されたスクロール機構として示されている。本発明の操作機構251は、作動ハンドル253によって電気を必要とせずに手動で操作され、格納式層252がガス分配容器160を取り囲む範囲をユーザが決定することを可能にする。
【0045】
一般に、極低温流体送出システムは、各極低温流体タンクを使用できる時間量を延長するように構成することができる極低温ガス節約モジュールを含むことができる。極低温ガス節約モジュールは、沸騰チャンバが、沸騰チャンバ内の強烈な冷気から生じる氷及び/又は冷気の形態の冷気をその周囲に蓄積することができる蓄積状態と、冷却が対流手段によって行われている分配状態との間で移行可能である。極低温ガス節約モジュールは、極低温流体を使用せずに周囲を冷却するために、その蓄積された冷気を利用するように構成することができ、これは、極低温ガス節約モジュールが動作している間、極低温流体の流れを阻止することができることを意味する。極低温ガス節約モジュールは、沸騰チャンバに向かう極低温流体の流れを低減及び/又は防止するために極低温弁を使用しながら、装置内の冷気によって冷却され、それを装置の外部周囲に搬送する空気流を生成する少なくとも1つの空気流生成器を作動させることによって動作させることができる。蓄積された冷気の対流はまた、沸騰チャンバ及びそのすぐ周囲の温度を、沸騰チャンバの円滑な動作に好ましい温度範囲に上昇させ得る。
【0046】
極低温ガス節約モジュールは、外部電力網、自己発電電気、又はシステムの一部を構成するバッテリのいずれかから得ることができる電力によって動作するように構成することができる。場合によっては、沸騰チャンバの動作中に電力を生成し、極低温ガス節約モジュールの作動中に電力を放出することができる。バッテリを使用して電力を極低温ガス節約モジュールに供給することができる場合、システムは、一方のバッテリがモジュールに電力を供給することを可能にし、他方のバッテリがシステムの外部で充電されることを可能にするように構成された2つのバッテリスロットを備えることができる。
【0047】
場合によっては、極低温ガス節約モジュールは、極低温弁及び対流手段と電子通信する熱センサを備えて構成することができる。このような場合、沸騰チャンバの温度が所定の閾値未満に低下したとき、極低温ガス節約モジュールは、対流手段を作動させながら、タンクから沸騰チャンバに向かう流れを防止又は大幅に減少させる命令を極低温弁に提供する。
【0048】
図6A図6Cに示す本例では、極低温ガス節約モジュール110’が、極低温弁116’によってタンク係合部材110を沸騰チャンバ140に相互接続している。極低温弁116’は、弁エンジンボックス112’に接続されており、弁エンジンボックス内には、極低温弁116’を動作させるように構成されたモータ(図示せず)がある。少なくとも1つの対流部材119’は、沸騰チャンバに隣接して配置することができ、空調装置内からその外部に冷気を搬送するように動作するように構成することができる。通信モジュール(図示せず)は、弁エンジンボックス112’内に配置され、温度センサ(同様に図示せず)によって沸騰チャンバ140の周囲に蓄積された冷気の量に関する情報を受信し、それに応じて対流手段119’及び極低温弁116’のモータと通信するように構成される。
【0049】
図6Bに示されるように、沸騰チャンバ140上に蓄積された冷気(C)の量は、システムの外部への十分な冷却を誘発するのに十分ではなく、したがって、沸騰チャンバに向かう液体極低温流体の流れ(矢印L)及び分配部材に向かうガス極低温流体の流れ(矢印G)を有する、システム100の通常動作が生じる。この状況では、極低温弁116は開いており(この場合は通常開いている)、対流手段は動作していない。
【0050】
図6Cに示されるように、沸騰チャンバ140上に蓄積された冷気(C)の量は、ここで、システムの外部への十分な冷却を誘発するのに十分であり、したがって、極低温ガス節約モジュール110’は、分配状態に移行される。分配状態では、沸騰チャンバに向かう液体極低温流体の流れ(矢印L)は阻止されている(矢印L)。この状況では、極低温弁116は閉じられ、対流手段119は、ハウジングの外部に熱を伝達するように動作する。
【0051】
図7A及び図7Bは、本発明の装置と共に使用するための典型的な極低温流体タンクを示す。極低温流体タンク20は、外側ジャケット21と、それらの間に断熱層(図示せず)を有することができる内側流体保持容器22と、を備える。内側流体保持容器22は、外側ジャケット21と共にネック部分23を形成し、内側流体保持容器22への開口部を画定し、ネック部分から内側流体保持容器22内にそのほぼ底部まで延在する入口チューブ24が形成される。
【0052】
本開示の主題によれば、極低温流体送出システムのタンク係合部材は、極低温流体がタンクから出てシステムに流入することを選択的に可能にするように、極低温流体タンクに液密に取り外し可能に取り付けられるように構成することができる。この目的のために、極低温流体タンクは、タンクコネクタ装置を備えて構成することができ、このタンクコネクタ装置に極低温流体送出システムのタンク係合部材を接続して、ユーザにとって迅速かつ便利な方法で、タンク内に貯蔵された極低温流体を環境にさらすことなく、システムをタンクに取り付けたりタンクから取り外したりすることができる。タンクコネクタ装置は、タンクコネクタ装置を極低温流体タンクに固定して取り付けるように構成された結合要素を備えることができる。
【0053】
一般に、極低温流体タンクに液密に取り付けられるように構成することができるタンクコネクタ装置は、タンクのネックの周囲に嵌合されるように構成されたタンク取付装置と、制御された方法でタンクから本体を通ってその外部への流体極低温流体の流れを容易にするように構成された流体引き込みモジュールと、を備えることができる。タンク取付装置は、流体がそこを通って流れることを可能にするために、その垂直軸に沿って横断する中央トンネルを備えることができる。
【0054】
場合によっては、流体引き込みモジュールは、中央トンネル内に液密に嵌合されることができ、外部対向面から離れる方向にタンク対向面から垂直に突出する流体入口部分と、タンク対向面から離れる方向に外部対向面から垂直に突出する流体出口部分とを有することができる。流体入口部分は、内側容器内に受容されるように構成され、内側容器から流体出口部分に向かう極低温流体の流れを可能にするように動作することができる。流体出口部分は、タンクコネクタ装置の外部への極低温流体の流出を選択的に可能にするように動作する少なくとも1つの流体分配部材と流体連通するように構成することができる。
【0055】
本開示の主題のタンクコネクタ装置300の一例が、極低温流体タンク20に取り付けられた状態で図8A及び図8Bに示されており、タンク係合部材110のシステム接続部分400を有する状態で図9A及び図9Bに示されている。タンクコネクタ装置300は、システム対向面312と反対側のタンク対向面313との間に延在する側壁311を有するキャップ状本体310を備える。側壁311は、ネック部分23内にぴったりと嵌合するように寸法決めされている。側壁はまた、タンク対向面313の上方の側壁311の一部から横方向外向きに突出し、ネック部分23の上部に位置決めされるのに十分な範囲まで延在するスカート314を備え、スカート314の下方のネックの部分は、タンクコネクタ装置300が極低温流体タンク20に取り付けられたときにネック部分23にぴったりと嵌合するように構成されたネック嵌合部分315を画定する。スカート314は、円周溝(図示せず)を有する底面を備え、キャップ状本体310が極低温流体タンク20に取り付けられたときに極低温流体タンク20からの流体漏れを防止するようにシールバンドが配置されている。
【0056】
キャップ状本体310はまた、圧力計316と、一方向弁317と、キャップ状本体310内に形成された内部空間内に外部から貫通して延在する少なくとも1つの逃がし弁318と、を備え、3つのガス許容開口部(そのうちの2つ315A及び315Bが示されているガス許容開口部)と流体連通し、本例では中空であるキャップ状本体310のタンク対向面313に形成され、タンクに取り付けられたときに内側流体保持容器22との流体連通を可能にする。
【0057】
一般に、タンクコネクタ装置の結合要素は、タンクのネック部分に螺合することができるスカートの伸長部など、キャップ状本体の一体部分によって構成することができる。他の場合には、結合要素は、当業者に知られている任意の取付手段によって実装することができる。より具体的には、結合要素は、キャップ状本体に対して置かれるように構成された結合要素の少なくとも一部分と、ネック部分に対してその内部から又は外部から置かれるように構成された結合要素の少なくとも一部分とを有することができる。結合要素は、ネック部分へのタンク取付装置の取り付けを増加させるように動作する締付装置を備えて構成することができる。
【0058】
本例では、タンクコネクタ装置300は、締付クランプとして構成された結合要素320を備え、2つの半円321A及び321Bから形成され、その一端で互いに枢動可能に接続され、その他端に締付装置324を有する。結合要素320の各半円は、その上端から横方向内向きに突出し、キャップ状本体のスカート314上に装着されるように構成された上部リムと、その底面から横方向内向きに突出し、タンクのネック部分の一部に対して置かれるように構成された底部リムと、を備えて構成され、底部リムは、本例では、ネック部分23に埋め込まれた複数の円周溝25のうちの1つであり、そのような嵌合を可能にする。
【0059】
一般に、液体引き込みモジュールは、タンクに面する部分と、取付部分と、を備えることができる。いくつかの例では、タンクに接続されたときに、タンク内に少量の極低温液体が存在するときであっても液体を引き込むことを可能にするために、タンクに面する部分は、内側流体保持容器の底部付近に到達するのに十分な範囲まで、タンク対向面から垂直方向外向きに延在することができる。他の例では、システムのタンク係合部材は、可撓性ホースによって構成することができ、タンクに面する部分は、極低温流体タンクからの可撓性ホースの容易な取り外しを可能にするために固定することができ、極低温流体タンクは、可撓性ホースが到達するために特定のスポットの代わりに半径内に位置決めすることができるので、その容易な取り付けを可能にする。
【0060】
液体引き込みモジュールtの取付部分は、システム対向面の外部に面することができ、面一であるか、システム対向面から突出するか、又はシステム対向面に埋め込まれる。取付部分は、極低温流体送出システムの対応する係合部材を気密状態で嵌合可能に受容するように構成された受容ソケットを備えることができる。極低温流体送出システムの対応する係合部材は、受容ソケットに対して相補的な形状を有することができ、受容ソケットは、対応する係合部材が受容ソケットと完全に係合していないときに受容ソケットを通る流体の流れを防止するように構成された流れ阻止機構を備えて構成することができる。
【0061】
本例では、タンクコネクタ装置300は、システム対向面312からタンク対向面313までキャップ状本体310を横断し、中心垂直軸X’と同心である液体引き込みモジュールt340を備える。液体引き込みモジュールt340は、キャップ状本体310のタンク対向面313から垂直下方に延在するチューブ330によって構成されるタンクに面する部分を備える。チューブ330は、内側流体保持容器22の高さH2よりもわずかに大きい高さH3を備え、これは、内側流体保持容器22内の液体の量が少ないときであっても液体を引き込むことを可能にするために、その底部付近に到達するのに十分である。
【0062】
液体引き込みモジュール340の取付部分は、キャップ状本体310のシステム対向面312内に埋め込まれた受容ソケット350を備え、受容ソケット350とチューブ330とを相互接続するクイックコネクタ(図示せず)を有する。受容ソケット350は、選択的コネクタ355につながる底部開口部352に収束する傾斜側壁351を備えて構成される。傾斜側壁351の上面は、システム対向面312から垂直上方に突出するガイドリム353を備えて構成され、対応する要素の受容ソケット350へのガイドされた挿入を可能にする。本例の選択的コネクタ355は、対応する係合要素が内部に嵌合されるときのみ、そこを通る流体通過を選択的に可能にするように構成される。
【0063】
一般に、極低温流体送出システムのタンク係合部材は、タンクコネクタ装置300と取り外し可能な流路を形成するように構成されたシステムコネクタ部分によって構成することができる。システム接続部分は、システム側面及びタンク対向面を有するコネクタ本体を備えることができる。システム側面は、極低温流体送出システムへの、より具体的には気化器モジュールへの液密接続を可能にするように構成されたシステムコネクタを備えて構成することができる。タンク対向面は、そこから垂直に突出し、タンク固定部分の受容ソケット内に液密に緊密に嵌合されるように、より具体的には、受容ソケットの底部の開口部を通して少なくともその一部をぴったりと嵌合されるように構成されている、対応する係合要素を備えることができる。
【0064】
本例では、極低温流体送出システム100のタンク係合部材は、タンクコネクタ装置300と係合するように構成されたシステム接続部分400を備える。システム接続部分400は、システム対向面312と、タンクコネクタ装置300のシステム対向面412に適合するか又はそれよりも大きい円周を有するタンク対向面413との間に延在する側壁411を有する本体410を備える。システム接続部分400とタンクコネクタ装置300との間の液密接続を可能にするために、キャップ状本体310のシステム対向面312は、その円周の周囲に延在し、内部にぴったりと嵌合されたシールバンド319Aを有する円周凹部319を備える。
【0065】
システム接続部分400は、タンク対向面413から突出する対応する係合要素415と、システム対向面412から突出するシステムコネクタ(図示せず)と、を備え、両方とも中心垂直軸X’に沿って延在し、中心垂直軸X’と同心である。対応する係合要素415は、受容ソケット350にぴったりと嵌合されるように受容ソケットに適合する断面で構成されたソケット適合部分414を備え、対応する係合要素415は、選択的コネクタ355に適合するように構成される。
【0066】
一般に、タンクコネクタ装置は、タンク係合部材と共に又はタンク係合部材なしでタンクを取り外すことを可能にするためにシステム接続部分がタンク係合部材から離間されている格納状態と、システム接続部分がタンク係合部材上に気密に嵌合されている嵌合状態との間で操作するように構成された伸長機構を備えて構成することができる。場合によっては、システム接続部分は、伸長機構を構成することができ、格納状態では、少なくとも係合要素は、システムコネクタから第1の範囲まで離間され、嵌合状態では、係合要素は、第1の範囲よりも大きい第2の範囲までシステムコネクタから離間されるが、依然として、係合要素からシステムコネクタの外への液密通路を提供する。
【0067】
本開示の主題のタンクコネクタ装置300’の別の例が、図10A図10Cに示されており、極低温流体タンク20に取り付けられている。タンクコネクタ装置300は、システム対向面312と反対側のタンク対向面313との間に延在する側壁311を有する伸長可能本体310を備える。側壁311は、ネック部分23内にぴったりと嵌合するように寸法決めされている。本体はまた、システム対向面312から横方向外向きに突出し、ネック部分23の上部に配置されるのに十分な範囲まで延在するスカート314を備える。
【0068】
一般に、タンクコネクタ装置は、極低温流体タンクのネック部分に液密に緊密に嵌合されることによって、ネック部分に接続することができる。場合によっては、タンクコネクタ装置は、その直径を増加させてネック部分の内壁を押し付け、それによって液密シールを提供するように構成することができる。タンクコネクタ装置は、剛性コアと圧縮性エンベロープとを有することができ、圧縮性エンベロープは、その直径を増加させるように圧縮されることを可能にする様式で、剛性コア上に嵌合されるように設計される。場合によっては、側壁に対して圧縮されることが意図されるタンクコネクタ装置300’の部分は、それらの間の摩擦を増加させるために、剛性表面を伴って構成されることができる。
【0069】
本例では、本体は、内壁371と、タンクに面する部分370Aと、外部に面する部分370Bとを有する剛性中空トンネル370を備える。剛性中空トンネル370は、その垂直軸Xに沿ってシステム対向面312からタンク対向面313まで本体を横断し、圧縮性外部シェル372は、それに取り付けられた底部ナット373によって剛性中空トンネル370上に保持される。伸長可能本体310は、第1の直径を有する通常状態と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有し、ネック部分23内に緊密に嵌合することを可能にする伸長可能な状態との間で移行可能であるように構成される。本体は、剛性中空トンネル370の外部に面する部分370B上に配置されるねじ山に螺合される締付ナット374によって、通常状態から伸長可能状態に圧縮されるように構成される。締付ナット374は、ユーザが本体の状態を通常状態から伸長可能状態に変更することを可能にする側方ハンドル374Aを備える。
【0070】
タンクコネクタ装置300’は、極低温流体タンクから極低温ガスを受容し、選択的にタンクコネクタ装置300’の外部へのその放出を可能にするように構成されたガス収容部分375(又は流体出口)を更に備える。ガス収容部分375は、圧力計316と、一方向弁317と、外部からガス収容部分375内に形成された内部空間に延在する少なくとも1つの逃がし弁318と、を備える。
【0071】
タンクコネクタ装置300’は、ガス収容部分375の内部空間の直径よりも小さい直径を有するパイプによって構成された液体引き込み部材330を備える。液体引き込み部材330は、ガス収容部分375の上面から突出する取付部分を有する上部を備えており、液体引き込みモジュールt340の取付部分と同一である。液体引き込み部材330はまた、本体310のタンク対向面313から離れるように垂直に延在し、その垂直軸と位置合わせされた底部を備える。液体引き込み部材330及び剛性中空トンネル370の内壁371は、同心であり、(図10Cに示されるように)極低温ガスがその空間内で極低温流体タンクからガス収容部分375まで流れることを可能にするように、それらの全長にわたって互いから離間される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
【国際調査報告】