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▶ マイクロポート・ニューロテック(シャンハイ)・カンパニー・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ステント及び薬剤保持ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/90 20130101AFI20240614BHJP
【FI】
A61F2/90
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575792
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2022097717
(87)【国際公開番号】W WO2022267888
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110693999.2
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516346171
【氏名又は名称】マイクロポート・ニューロテック(シャンハイ)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ツィーハオ
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ジュアン
(72)【発明者】
【氏名】ティアン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ウェンビン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA42
4C267AA53
4C267BB06
4C267BB08
4C267BB31
4C267BB43
4C267CC08
4C267CC11
4C267DD01
4C267EE08
4C267GG16
4C267GG22
4C267GG23
4C267GG24
4C267HH04
4C267HH08
(57)【要約】
ステント及び薬剤保持ステントを提供する。ステントは少なくとも一つのステントメッシュ(100)を含む。ステントメッシュ(100)は、ステントメッシュ(100)の円周方向に端と端とをつないで連続して接続された複数のステントストラット(110)を含み、隣り合うステントストラット(110)の頭部と尾部との間に複数のジョイント(120)が形成されおり、ステントメッシュ(100)は、ジョイント(120)の開閉の角度の変化によって拡張し又はすぼみ、ステントストラット(110)の各々は、少なくとも一つの主セクション(101)と、少なくとも一つの幅広セクション(102)とを含み、主セクション(101)の幅は幅広セクション(102)の幅よりも小さく、一つのステントメッシュ(100)では、空間が合理的に使用されるように、隣り合うステントストラットの幅広セクション(102)がステントメッシュ(100)の軸方向に互い違いに配置されており、ステントの金属被覆率及び半径方向支持能力を向上させる包括的な効果が改善される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントであって、少なくとも一つのステントメッシュを含み、各ステントメッシュが、前記ステントメッシュの周囲に沿って円周方向に連続して接続された複数のステントストラットを含み、複数のステントストラットが、端と端とをつないで連続して接続されており、隣り合うステントストラットの接続された端にジョイントが形成されており、前記ステントメッシュが、前記ジョイントにおける角度が広くなった結果として又は狭くなった結果として拡張するように又は折り畳まるように構成されており、
前記ステントストラットが、少なくとも一つの主セクションと、前記少なくとも一つの主セクションと交互に配置された少なくとも一つの幅広セクションとを含み、前記主セクションが、前記幅広セクションの幅よりも小さな幅を有し、各ステントメッシュにおいて、隣り合うステントストラットの前記幅広セクションが前記ステントメッシュの軸に沿って互い違いにされており、
前記ステントの半径方向強度が1kPaから300kPaの範囲にある、
ステント。
【請求項2】
各ジョイントにおける前記角度が最小化されたときに、前記ステントの前記半径方向強度が50kPaから300kPaの範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
各ジョイントにおける前記角度が最小化されたときに、前記ステントの前記半径方向強度が100kPaから200kPaの範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記ステントが、直径2.0mmから5.0mmの拡張された構成にあるときに、前記ステントの前記半径方向強度が1kPaから30kPaの範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
前記ステントが、直径2.0mmから5.0mmの拡張された構成にあるときに、前記ステントの前記半径方向強度が1kPaから15kPaの範囲にある、請求項4に記載のステント。
【請求項6】
前記ステントが、直径2.0mmから5.0mmの拡張された構成にあるときに、前記ステントの前記半径方向強度が1kPaから12kPaの範囲にある、請求項5に記載のステント。
【請求項7】
各ジョイントにおける前記角度が0°から140°の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項8】
各ジョイントにおける前記角度が0°から5°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの金属被覆率が30%から99%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項9】
各ジョイントにおける前記角度が5°から30°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの金属被覆率が5%から90%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項10】
各ジョイントにおける前記角度が30°から90°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの金属被覆率が4%から15%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項11】
各ジョイントにおける前記角度が30°から90°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの前記金属被覆率が8%から15%の範囲にある、請求項10に記載のステント。
【請求項12】
各ジョイントにおける前記角度が90°から140°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの金属被覆率が3%から12%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項13】
各ジョイントにおける前記角度が0°から5°の範囲にあるときに、前記ステントの金属被覆率が20%から60%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項14】
各ジョイントにおける前記角度が5°から30°の範囲にあるときに、前記ステントの金属被覆率が5%から45%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項15】
各ジョイントにおける前記角度が30°から90°の範囲にあるときに、前記ステントの金属被覆率が3%から15%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項16】
各ジョイントにおける前記角度が90°から140°の範囲にあるときに、前記ステントの金属被覆率が2%から15%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項17】
各ステントストラットが、二つの主セクションと、前記二つの主セクション間に位置する一つの幅広セクションとを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項18】
前記ステントメッシュが、八つから24個のステントストラットを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項19】
少なくとも一つの幅広セクションが空洞を含む、請求項1に記載のステント。
【請求項20】
前記幅広セクションが一つから10個の空洞を含む、請求項19に記載のステント。
【請求項21】
前記空洞が、円弧形、四辺形及び三角形のうちの少なくとも一つを含む縦断面形状を含む、請求項19に記載のステント。
【請求項22】
前記空洞が、円形、細長い形状、多角形、波形、環形及び不規則形のうちの少なくとも一つを含む横断面形状を含む、請求項19に記載のステント。
【請求項23】
前記空洞が、その中に薬物又は放射線不透剤が充填されるように構成されている、請求項19に記載のステント。
【請求項24】
各ジョイントにおける前記角度が最小化されたときに、同じジョイントで接続された隣り合うステントストラットにおいて、前記ステントストラットのうちの一方のステントストラットの前記幅広セクションが、前記ステントストラットのうちの他方のステントストラットの前記主セクションと重ならない、請求項1に記載のステント。
【請求項25】
少なくとも一つのステントストラットにおいて、前記幅広セクションが、前記ステントストラットの長手方向に沿った前記ステントストラットの両側で、前記主セクションを超える同じ幅又は異なる幅のマージンを有する、請求項1に記載のステント。
【請求項26】
少なくとも一つのステントストラットにおいて、前記幅広セクションが、前記ステントストラットの長手方向に沿った前記ステントストラットの片側で、前記主セクションと面一である、請求項1に記載のステント。
【請求項27】
前記ステントの拡張された構成において、同じジョイントで接続された隣り合うステントストラットがV字形構造を形成し、隣り合うステントストラットの、前記主セクションが前記幅広セクションと面一である側は、同時に、前記V字形構造の内側又は外側に位置する、請求項26に記載のステント。
【請求項28】
前記ステントが、軸方向に接続された少なくとも二つのステントメッシュを含む、請求項1から27のいずれか一項に記載のステント。
【請求項29】
前記ステントが少なくとも一つの連結ストラットを含み、隣り合うステントメッシュの前記ジョイントが前記連結ストラットを介して接続されている、請求項28に記載のステント。
【請求項30】
前記連結ストラットが、線形、波形、鋸歯形、円形、環形、Ω字形状及びS字形状のうちの少なくとも一つを含む形状を含む、請求項29に記載のステント。
【請求項31】
薬物装填ステントであって、少なくとも一つのステントメッシュを含み、各ステントメッシュが、前記ステントメッシュの周囲に沿って円周方向に連続して接続された複数のステントストラットを含み、複数のステントストラットが、端と端とをつないで連続して接続されており、隣り合うステントストラットの接続された端にジョイントが形成されており、前記ステントメッシュが、前記ジョイントにおける角度が広くなった結果として又は狭くなった結果として拡張するように又は折り畳まるように構成されており、
前記ステントストラットが、少なくとも一つの主セクションと、前記少なくとも一つの主セクションと交互に配置された少なくとも一つの幅広セクションとを含み、前記主セクションが、前記幅広セクションの幅よりも小さな幅を有し、各ステントメッシュにおいて、隣り合うステントストラットの前記幅広セクションが前記ステントメッシュの軸に沿って互い違いにされており、前記幅広セクションうちの少なくとも一つの幅広セクションが、その中に薬物が充填されるように構成された空洞を含み、
前記ステントの半径方向強度が1kPaから300kPaの範囲にある、
薬物装填ステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置の分野に関し、詳細には、ステント及び薬物装填ステント(drug-loaded stent)に関する。
【背景技術】
【0002】
頭蓋内アテローム硬化性狭窄(ICAS)は、虚血性脳卒中の発生、発達及び再発の重要な原因である。臨床的介入は、症状を有するICAS患者に集中して実施され、主な治療手段は、抗血小板投与、血管形成術及び伝統的手術を含む。抗血小板投与は症候性ICASに対する古典的治療法であるが、脳卒中の高い発生率に関連している。伝統的手術は非常に危険であり、したがってめったに使用されない。
【0003】
頭蓋内介入分野における発展の結果、現在は、血管形成術が症候性ICAS治療の重要な方法となっている。血管形成術は、裸金属ステント、単純バルーン、薬物被覆冠動脈ステントなどを用いた拡張法を含む。しかしながら、裸金属ステント又は単純バルーンに基づく拡張法は再狭窄のリスクに関連しており、実質的には薬物被覆冠動脈ステントがバルーン拡張式薬物被覆ステントである。このようなステントは、送達システムに装填されるときに大きな外径寸法を有し、大きな外径寸法は、標的部位に送達すること、特に蛇行性血管部位又は複雑な病変部位を通して標的部位に送達することを難しくする。対照的に、マイクロカテーテルによって送達するように設計された自己拡張式ステントは、送達システムに装填されるときの外径寸法が小さいために、標的部位により容易に送達することができる。
【0004】
頭蓋外動脈とは異なり、頭蓋内動脈の生理的構造には以下のような特徴がある。(1)大きな生理的湾曲及びかなりの生理的蛇行、特に、動脈硬化性であるとき、通常は狭窄の結果として動脈硬化性であるときの大きな生理的湾曲及びかなりの生理的蛇行、及び、(2)薄くて弾性のない外層。外層は、組織による支持なしでクモ膜下腔に位置しており、したがって機械的損傷に対する不十分な抵抗を示す。頭蓋内動脈の壁の断裂を通して薬物が頭蓋内動脈から漏出すると、又は薬物が頭蓋内動脈を透過すると、薬物は、脳脊髄液中を通って脳全体にわたって広がる傾向があり、脊髄に達することさえある。したがって、頭蓋内動脈内で使用するステントは、適当な半径方向強度を有することが望ましい。過大な半径方向強度を有するステントは、標的部位に送達することが難しいことがあり、又は使用中に血管に対する損傷を引き起こすことがある。その一方で、不十分な半径方向強度を有するステントは、血管内の狭窄斑(stenotic plaque)を適切に支持することができないことがある。さらに、斑を所望のとおりに覆うことができるようにするために、ステントは十分な金属被覆率を有する必要がある。しかしながら、易損傷性で弾性を欠く頭蓋内血管に関しては、高い金属被覆率が過大な半径方向強度をもたらす傾向があり、過大な半径方向強度は、頭蓋内血管に対する損傷、したがって可能なステント内再狭窄につながることがある。過大な半径方向強度を有するいくつかの既存の自己拡張式ステントは、頭蓋内血管に対する損傷を頻繁に生じさせることが報告されている。既存の自己拡張式ステントの中には、その優れた半径方向強度にもかかわらず、金属被覆率が不十分であるために、良好な治療効果を提供することができないものもある。
【0005】
したがって、これらの既存のステントは、十分な金属被覆率と望ましい半径方向強度の両方をともに提供することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、良好な金属被覆率と望ましい半径方向強度の両方をともに提供することはできないという従来のステントに関連した問題を解決し得るステントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明では、ステントであって、少なくとも一つのステントメッシュを含み、各ステントメッシュが、ステントメッシュの周囲に沿って円周方向に連続して接続された複数のステントストラット(stent strut)を含み、複数のステントストラットが、端と端とをつないで連続して接続されており、隣り合うステントストラットの接続された端にジョイントが形成されており、ステントメッシュが、ジョイントにおける角度が広くなった結果として又は狭くなった結果として拡張するように又は折り畳まるように構成されており、
ステントストラットが、少なくとも一つの主セクションと、少なくとも一つの主セクションと交互に配置された少なくとも一つの幅広セクション(broadened section)とを含み、主セクションが、幅広セクションの幅よりも小さな幅を有し、各ステントメッシュにおいて、隣り合うステントストラットの幅広セクションがステントメッシュの軸に沿って互い違いにされており、ステントの半径方向強度が1kPaから300kPaの範囲にある、ステントが提供される。
【0008】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が最小化されたときに、ステントの半径方向強度は50kPaから300kPaの範囲にあってもよい。
【0009】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が最小化されたときに、ステントの半径方向強度は100kPaから200kPaの範囲にあってもよい。
【0010】
任意選択で、ステントが、直径2.0mmから5.0mmの拡張された構成にあるときに、ステントの半径方向強度は1kPaから30kPaの範囲にあってもよい。
【0011】
任意選択で、ステントが、直径2.0mmから5.0mmの拡張された構成にあるときに、ステントの半径方向強度は1kPaから15kPaの範囲にあってもよい。
【0012】
任意選択で、ステントが、直径2.0mmから5.0mmの拡張された構成にあるときに、ステントの半径方向強度は1kPaから12kPaの範囲にあってもよい。
【0013】
任意選択で、各ジョイントにおける角度は0°から140°の範囲にあってもよい。
【0014】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が0°から5°の範囲にあるときに、ステントメッシュの金属被覆率は30%から99%の範囲にあってもよい。
【0015】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が5°から30°の範囲にあるときに、ステントメッシュの金属被覆率は5%から90%の範囲にあってもよい。
【0016】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が30°から90°の範囲にあるときに、ステントメッシュの金属被覆率は4%から15%の範囲にあってもよい。
【0017】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が30°から90°の範囲にあるときに、ステントメッシュの金属被覆率は8%から15%の範囲にあってもよい。
【0018】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が90°から140°の範囲にあるときに、ステントメッシュの金属被覆率は3%から12%の範囲にあってもよい。
【0019】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が0°から5°の範囲にあるときに、ステントの金属被覆率は20%から60%の範囲にあってもよい。
【0020】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が5°から30°の範囲にあるときに、ステントの金属被覆率は5%から45%の範囲にあってもよい。
【0021】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が30°から90°の範囲にあるときに、ステントの金属被覆率は3%から15%の範囲にあってもよい。
【0022】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が90°から140°の範囲にあるときに、ステントの金属被覆率は2%から15%の範囲にあってもよい。
【0023】
任意選択で、各ステントストラットは、二つの主セクションと、二つの主セクション間に位置する一つの幅広セクションとを含んでいてもよい。
【0024】
任意選択で、ステントメッシュは、八つから24個のステントストラットを含んでいてもよい。
【0025】
任意選択で、幅広セクションのうちの少なくとも一つの幅広セクションは空洞を含んでいてもよい。
【0026】
任意選択で、幅広セクションは一つから10個の空洞を含んでいてもよい。
【0027】
任意選択で、空洞は、円弧形、四辺形及び三角形のうちの少なくとも一つからなる縦断面形状を含んでいてもよい。
【0028】
任意選択で、空洞は、円形、細長い形状、多角形、波形、環形及び不規則形のうちの少なくとも一つからなる横断面形状を含んでいてもよい。
【0029】
任意選択で、空洞は、その中に薬物又は放射線不透剤が充填されるように構成されていてもよい。
【0030】
任意選択で、各ジョイントにおける角度が最小化されたときに、ジョイントのうちの同じ一つのジョイントで接続された隣り合うステントストラットにおいて、ステントストラットのうちの一方のステントストラットの幅広セクションは、ステントストラットのうちの他方のステントストラットの主セクションと重ならなくてもよい。
【0031】
任意選択で、少なくとも一つのステントストラットにおいて、幅広セクションは、ステントストラットの長手方向に沿ったステントストラットの両側で、主セクションを超える同じ又は異なる幅のマージンを有していてもよい。
【0032】
任意選択で、少なくとも一つのステントストラットにおいて、幅広セクションは、ステントストラットの長手方向に沿ったステントストラットの片側で、主セクションと面一であってもよい。
【0033】
任意選択で、ステントの拡張された構成において、同じジョイントで接続された隣り合うステントストラットはV字形構造を形成していてもよく、隣り合うステントストラットの、主セクションが幅広セクションと面一である側は、同時に、V字形構造の内側又は外側に位置する。
【0034】
任意選択で、ステントは、軸方向に接続された少なくとも二つのステントメッシュを含んでいてもよい。
【0035】
任意選択で、ステントは少なくとも一つの連結ストラットを含んでいてもよく、隣り合うステントメッシュのジョイントは連結ストラットを介して接続されている。
【0036】
任意選択で、連結ストラットは、線形、波形、鋸歯形、円形、環形、「Ω」字形状及び「S」字形状のうちの少なくとも一つからなる形状を含んでいてもよい。
【0037】
本明細書ではさらに、薬物装填ステントであって、少なくとも一つのステントメッシュを含み、各ステントメッシュが、ステントメッシュの周囲に沿って円周方向に連続して接続された複数のステントストラットを含み、複数のステントストラットが、端と端とをつないで連続して接続されており、隣り合うステントストラットの接続された端にジョイントが形成されており、ステントメッシュが、ジョイントにおける角度が広くなった結果として又は狭くなった結果として拡張するように又は折り畳まるように構成されており、
各ステントストラットが、少なくとも一つの主セクションと、少なくとも一つの主セクションと交互に配置された少なくとも一つの幅広セクションとを含み、主セクションが、幅広セクションの幅よりも小さな幅を有し、各ステントメッシュにおいて、隣り合うステントストラットの幅広セクションがステントメッシュの軸に沿って互い違いにされており、幅広セクションうちの少なくとも一つの幅広セクションが、その中に薬物が充填されるように構成された空洞を含み、
ステントの半径方向強度が1kPaから300kPaの範囲にある、薬物装填ステントが提供される。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係るステントは、ステントメッシュの周囲に沿って円周方向に連続して接続された複数のステントストラットをそれぞれが含む少なくとも一つのステントメッシュを含み、複数のステントストラットは、端と端とをつないで連続して接続されており、隣り合うステントストラットの接続された端にはジョイントが形成されている。ステントメッシュは、ジョイントにおける角度が広くなった結果として又は狭くなった結果として拡張するように又は折り畳まるように構成されている。各ステントストラットは、主セクションと、主セクションと交互に配置された幅広セクションとを含む。主セクションは、幅広セクションの幅よりも小さな幅を有する。各ステントメッシュにおいて、隣り合うステントストラットの幅広セクションは、ステントメッシュの軸に沿って互い違いにされている。本発明に係る薬物装填ステントも同様の構造を有する。幅広セクションと主セクションの幅が異なること、及び幅広セクションが互い違いに配置されていることは、先行技術に優る以下の利点のうちの少なくとも一つを本発明に与える。
【0039】
1.合理的な空間利用及び金属被覆率と半径方向強度との間の良好なトレードオフが達成され、良好な金属被覆率と望ましい半径方向強度の両方をともに提供することはできないという従来のステントに関連した問題を解決する。
【0040】
2.幅広セクションが互い違いに配置されていることは、折り畳まれた構成にあるときにステントがコンパクトなサイズを有することを可能にし、コンパクトなサイズは、病変部位にステントを通すことを容易にする。
【0041】
3.幅広セクションは比較的に大きな表面積を有するため、幅広セクションに空洞を形成することができ、それらの空洞に、ステントの薬物装填能力又は放射線不透過性を増大させるために薬物又は放射線不透剤を充填することができる。
【0042】
添付図面は、本発明のより十分な理解を容易にするために示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを当業者は理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1a】本発明の一実施形態によるステントメッシュの概略部分図である。
図1b】折り畳まれた構成にある図1aのステントメッシュを示す概略図である。
図2】本発明の別の実施形態によるステントメッシュの概略部分図である。
図3a】本発明のさらに別の実施形態によるステントメッシュの概略部分図である。
図3b】折り畳まれた構成にある図3aのステントメッシュを示す概略図である。
図4a】本発明の一実施形態による幅広セクションを示す概略図である。
図4b】本発明の別の実施形態による幅広セクションを示す概略図である。
図4c】本発明のさらに別の実施形態による幅広セクションを示す概略図である。
図5a】本発明による空洞パターンの任意選択の第1の実施態様を概略的に示す図である。
図5b】本発明による空洞パターンの任意選択の第2の実施態様を概略的に示す図である。
図5c】本発明による空洞パターンの任意選択の第3の実施態様を概略的に示す図である。
図5d】本発明による空洞パターンの任意選択の第4の実施態様を概略的に示す図である。
図5e】本発明による空洞パターンの任意選択の第5の実施態様を概略的に示す図である。
図6】本発明の一実施形態によるステントの概略部分図である。
図7a】ステントメッシュのジョイントの一実施態様を特に示す、本発明によるステントメッシュの概略部分図である。
図7b】折り畳まれた構成にある図7aのステントメッシュを示す概略図である。
図8a】ステントメッシュのジョイントの別の実施態様を特に示す、本発明によるステントメッシュの概略部分図である。
図8b】折り畳まれた構成にある図8aのステントメッシュを示す概略図である。
図9a】ステントメッシュのジョイントのさらに別の実施態様を特に示す、本発明によるステントメッシュの概略部分図である。
図9b】折り畳まれた構成にある図9aのステントメッシュを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の以下のより詳細な説明を添付図面を参照して読むと、本発明の目的、利点及び特徴がより明白になる。図は、実施形態の平易で分かりやすい説明を容易にすることを唯一の目的として、正確な倍率で描かれているとは限らない非常に単純化された形で提供されていることに留意されたい。さらに、図に示された構造体は通常、実際の構造体の部分である。特に、図は、はっきりした強調を有する傾向があるため、それらの構造体はしばしば異なる倍率で描かれる。
【0045】
本明細書で使用されるとき、単数形「一つ」、「1個」及び「該」は複数の指示物を含む。本明細書において、用語「又は」は一般に「及び/又は」の意味で使用され、「いくつかの」は一般に「少なくとも一つ」の意味で使用され、「少なくとも二つ」は一般に「二つ以上」の意味で使用される。さらに、本明細書における用語「第1」、「第2」及び「第3」の使用は、例示だけを目的とすることが意図されており、それらの用語の使用を、相対的な重要度を示し若しくは暗示するものと解釈すべきではなく、又は参照したアイテムの数値的番号を暗黙のうちに示していると解釈すべきでもない。したがって、「第1」、「第2」又は「第3」を用いたアイテムの定義は、そのアイテムが一つ又は少なくとも二つ存在することの明示又は暗黙の指示である。本明細書で使用されるとき、用語「近位端」は一般に手術者に近い方の端を指し、用語「遠位端」は一般に患者に近い方の端を指す。用語「一方の端」及び「他方の端」並びに「近位端」及び「遠位端」は一般に、端点だけを指すのではなしに、相対する端点を含む相対する端部を指すために使用される。用語「装着」、「結合」及び「接続」は広義に解釈されるべきである。例えば、接続は、恒久的な、分離可能な若しくは一体的な接続、機械的若しくは電気的接続、直接接続若しくは一つ以上の介在媒体を有する間接的接続、又は二つの要素間の内部連絡若しくは相互作用であることがある。本明細書で使用されるとき、一つの要素が別の要素上に「配されている」と書かれているとき、それは一般に、二つの要素間に接続、結合、係合又は伝達関係があることを意味することだけが意図されており、それらの関係は、直接的なものであっても、又は一つ以上の介在要素を有する間接的なものであってもよく、それらの関係を、二つの要素間の特定の空間的位置関係を示している又は暗示していると解釈すべきではない。すなわち、その要素は、そうでないことが文脈から明らかである場合を除き、もう一方の要素の内側、外側、上方、下、そばに位置することがあり、又はもう一方の要素に対する他の位置に位置することがある。当業者は、本明細書における上述の用語の特定の意味をそのコンテキストに応じて理解することができる。
【0046】
原則として、本発明は、良好な金属被覆率と望ましい半径方向強度の両方をともに提供することはできないという従来のステントに関連した問題を解決し得るステントを提供することを追求する。
【0047】
以下では、添付図面を参照して本発明を説明する。
【0048】
次に、図1aから9bを参照する。図1aは、本発明の一実施形態によるステントメッシュの概略部分図である。図1bは、折り畳まれた構成にある図1aのステントメッシュを示す概略図である。図2は、本発明の別の実施形態によるステントメッシュの概略部分図である。図3aは、本発明のさらに別の実施形態によるステントメッシュの概略部分図である。図3bは、折り畳まれた構成にある図3aのステントメッシュを示す概略図である。図4aは、本発明の一実施形態による幅広セクションを示す概略図である。図4bは、本発明の別の実施形態による幅広セクションを示す概略図である。図4cは、本発明のさらに別の実施形態による幅広セクションを示す概略図である。図5aは、本発明による空洞パターンの任意選択の第1の実施態様を概略的に示している。図5bは、本発明による空洞パターンの任意選択の第2の実施態様を概略的に示している。図5cは、本発明による空洞パターンの任意選択の第3の実施態様を概略的に示している。図5dは、本発明による空洞パターンの任意選択の第4の実施態様を概略的に示している。図5eは、本発明による空洞パターンの任意選択の第5の実施態様を概略的に示している。図6は、本発明の一実施形態によるステントの概略部分図である。図7aは、ステントメッシュのジョイントの一実施態様を特に示す、本発明によるステントメッシュの概略部分図である。図7bは、折り畳まれた構成にある図7aのステントメッシュを示す概略図である。図8aは、ステントメッシュのジョイントの別の実施態様を特に示す、本発明によるステントメッシュの概略部分図である。図8bは、折り畳まれた構成にある図8aのステントメッシュを示す概略図である。図9aは、ステントメッシュのジョイントのさらに別の実施態様を特に示す、本発明によるステントメッシュの概略部分図である。図9bは、折り畳まれた構成にある図9aのステントメッシュを示す概略図である。
【0049】
図1a及び1bに示されているように、一実施形態ではステントが提供され、このステントは、複数のステントストラット110をそれぞれが含む複数のステントメッシュ100を含み、複数のステントストラット110は、ステントメッシュ100の周囲に沿って円周方向に接続されており、複数のステントストラットは端と端とをつないで連続して接続されており、隣り合うステントストラットの接続された端にはジョイントが形成されている。ステントメッシュ100は、ジョイント120における角度が広くなった結果として又は狭くなった結果として拡張するように又は折り畳まるように構成されている。各ステントストラット110は、少なくとも一つの主セクション101と少なくとも一つの幅広セクション102とを含む。主セクション101は、幅広セクション102の幅よりも小さな幅を有する。隣り合うステントストラット110の幅広セクション102は、ステントメッシュ100の軸に沿って互い違いにされている(千鳥状になっている)。ジョイントにおける角度が0°から5°の範囲にあるとき、単一(single)のステントメッシュの金属被覆率は30%から99%の範囲にある。この実施形態では、長さが、ステントストラットの軸に沿って測定される。この実施形態では、幅が、測定対象の軸に対して垂直であるのみならず、ステントメッシュ100の外周面の接線方向でもある方向に測定される。図1aから9bでは、幅が測定される方向が、測定対象の軸と図を見ている人の視線の両方に対して垂直である。図1aでは、幅の方向が200として示されており、200の符号がつけられている。本明細書で言及される他の幅又は長さも同様のやり方で測定される。
【0050】
ステントの金属被覆率は、移植されたステントによって覆われた脈管セグメントの全面積に対するステントの金属外表面の全面積の比率のことを指す。具体的には、ステントの金属被覆率を式:金属被覆率=Ss/πDL×100%として表現することができ、この式で、Ssは、ステントの金属外表面の面積を表し、Dは、覆われたセグメントの外径であり、Lは、覆われたセグメントの長さである。金属被覆率はステントの構造に依存し、したがって、ステントの構造、任意選択で、拡張された構成又は折り畳まれた構成にあるステントの構造を適切に変更することにより、金属被覆率を増大させることができることが理解されるであろう。
【0051】
図1a及び1bに示されたステントには複数のステントメッシュ100があることが理解されるであろう。図1a及び1bに示されているのは、ステントメッシュ100の一部分に過ぎず(後に説明する図3aから3b及び図6から9bについても同様である)、ステントメッシュ100は、図1a及び1bに示された部分の多数の複製物から構築されていてもよく、それらの多数の複製物は一緒に接続されていてもよい。さまざまな実施形態において、それぞれの単一のステントメッシュ100は、八つから24個、好ましくは12個から18個のステントストラット110を含んでいてもよい。同様に、ステントも、複数の(例えば二つから18個の)ステントメッシュ100を含む。各ステントメッシュ100は、端と端とをつないで接続されたステントストラット110でできたリング形の構造体であり、このような多数のステントメッシュ100が軸方向に接続されてステントを形成する。拡張された構成にあるとき、ステントメッシュ100は図1aに示されているとおりであり、このステントを使用して血管などの人間組織を支持することができる。図1bに示されているような折り畳まれた構成にあるとき、ステントメッシュ100は、血管の管腔などの限定された空間に通すのに適している。ステントストラット110の主セクション101は、より小さな空間をステントが全体的に占有することを可能にし、一方、幅広セクション102は、ステントの金属被覆率が、ステントによる斑(plaque)の望ましい被覆を可能にするのに十分な大きさを有することを保証することができる。幅広セクション102と主セクション101の幅が異なること、及び幅広セクション102が互い違いに配置されていることは、ステントが、ステントが狭窄部位を支持することができることを保証し得る望ましい半径方向強度を有し、その一方で、血管に対する損傷を引き起こさないことを可能にする。
【0052】
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたステントが空洞を有さなくてもよい。しかしながら、本発明の発明者が実行した薬物装填ステントの分析によればこれは望ましくない。自己拡張式ステントに基づく既存の大部分の薬物装填技術は、ステントの表面を薬物層で又は薬物を含む膜でコーティングすることを含む。薬物を含むポリマーナノファイバをステント表面に吹き付けることによって形成されたポリマー膜で表面コーティングされた自己拡張式ステントが知られている。ステントに付着させた、薬物を含む膜で完全に又は部分的にコーティングされた別の自己拡張式管腔ステントも知られている。コーティング膜とこの膜に塗布された薬物層とを含む形状記憶金属メッシュからなるさらに別のステントも知られている。これらの全ての技術は、自己拡張式ステントのクリンピング(crimping)、装填及び送達中に薬物層があまりにも早く損耗又は剥離するという欠点を不可避的に有し、ステントに形成された空洞に薬物を充填することはこの問題に対する良い解決策であると考えられる。実際に、この設計は、冠動脈薬物溶出ステントなどの、頭蓋外動脈の狭窄を治療するためのいくつかのステントにおける用途を見つけた。したがって、いくつかの実施形態では、金属セクションの薬物装填能力を増大させるために、幅広セクションに、薬物を入れるための空洞を形成してもよい。この薬物装填能力を達成することができるのは、(1)幅広セクション102の幅が広く、したがって幅広セクション102が薬物装填の基本的空間要件を満たし、(2)ステント表面に薬物をコーティングする代わりに空洞に薬物を装填することが、ステントのクリンピング、装填及び送達中に薬物があまりにも早く損耗又は剥離するという問題を回避するためである。この配置は、望ましい空間利用を可能にし、薬物装填能力と半径方向強度の両方を考慮し、折り畳まれた構成においてステントがコンパクトなサイズを有することを可能にし、コンパクトなサイズは、病変部位にステントを通すことを容易にする。したがって、このステントは、病変部位に通す満足のいく能力、望ましい薬物装填能力、及び良好な半径方向強度を提供することができる。
【0053】
上記の配置を有する場合、ステントは、折り畳まれた構成にあるときに0.0165インチ以下の半径方向寸法を有することができ、このことは、ステントを、使用可能な最も小さな送達マイクロカテーテルとともに使用することを可能にする。全ての実施形態において、ステントは、折り畳まれた構成にあるときに0.3から0.7mmの外径を有していてもよく、このことは、ステントを、0.013インチから0.027インチの範囲の内径を有するマイクロカテーテルとともに使用することを可能にする。全ての実施形態において、ステントストラットは、0.05mmから0.07mmの壁厚を有していてもよい。
【0054】
本発明の発明者は、ステントストラット110の長さに対する幅広セクション102の全長のさまざまな比率を用いた試験を実行した。試験した全てのステントについて、折り畳まれた構成における外径は0.53mm、折り畳まれた構成における全長は9.68mm、ステントストラットの厚さは0.07mm、ステントメッシュの数は6であった。折り畳まれた構成におけるこれらの全ての同じ初期寸法から出発して、ステントが3mmの半径方向寸法まで拡張したときに、ステントの半径方向強度及び金属被覆率を測定した。結果が表1に示されている。
【0055】
【表1】
【0056】
表1のデータから分かるように、対照試験の役目を果たす試験番号1の結果との比較で、ステントストラット110の長さに対する一つのステントストラットの幅広セクション102の全長の比率が5%から95%の範囲にあるステントは、望ましい半径方向強度と十分に大きな金属被覆率の両方を示す。
【0057】
さらに、表1のデータから分かるように、ステントストラット110の長さに対する一つのステントストラットの幅広セクション102の全長の比率は、15%から75%であることが好ましく、20%から50%であるとより好ましい。特定のいくつかの実施形態では、ステントストラット110の長さに対する一つのステントストラットの幅広セクション102の全長の比率が、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%などであってもよい。
【0058】
さらに、ステントストラット110の長さに対する隣り合う二つのステントストラット110の幅広セクション102の全長の比率は100%を超えない。さらに、表1のデータから分かるように、ステントストラット110の長さに対する隣り合うステントストラット110の幅広セクション102の全長の比率は同じでもあってもよく、又は異なっていてもよい。
【0059】
さらに、表1のデータから分かるように、これらのステントは1kPaから100kPaの半径方向強度を示す。
【0060】
本発明の発明者はさらに、さまざまな構造のステントを、直径2mmから5mmにおけるステントの半径方向強度、ジョイントにおける角度が最小化されたときの半径方向強度、及び金属被覆率に関して試験した。試験試料中、実験試料1から3は、主セクション101と幅広セクション102とが交互に配置されたステントであった。比較試料1から4は、一定のストラット幅をそれぞれが有するステントである。結果が表2に示されている。
【0061】
【表2】
【0062】
表2のデータから分かるように、本実施形態によるステント試料は1kPaから300kPaの半径方向強度を示した。
【0063】
さらに、表2のデータから分かるように、ジョイントにおける角度が最小化されたとき、ステント試料は50kPaから300kPaの範囲の半径方向強度を示した。ジョイントにおける角度が最小化されたとき、ステントの半径方向強度が100kPaから200kPaの範囲にあるとより好ましい。この範囲の半径方向強度を有し、ジョイントにおける角度が最小化されたときに、ステントは、大きな金属被覆率を有し、その一方で、(例えば直径2mmから5mmの)展開された構成に拡張されたときに望ましい半径方向強度を示す。展開された構成における適当な半径方向強度は、血管内の標的部位においてステントが望ましい支持を提供することを可能にし、その一方で、易損傷性の血管壁に対する損傷を引きこさない。ジョイントにおける角度は、臨床使用中に血管に送達するためにステントが折り畳まれた構成にあるときに最小化される。折り畳まれた構成ではステントが適切な半径方向強度を有することも望まれる。これは、折り畳まれた構成における過大な半径方向強度が、血管を通してステントを標的部位に送達することを難しくすることがあり、又は他の問題を引き起こすことがあるためである。ステントの半径方向強度がステントの構造に依存すること、及びステントの構造が適正に設計されているときにのみ適当な半径方向強度を得ることができることが理解されるであろう。
【0064】
さらに、表2のデータから分かるとおり、直径2.0mmから5.0mmに拡張されたとき、ステント試料は1kPaから30kPaの範囲の半径方向強度を示した。この2.0mmから5.0mmの直径範囲において、半径方向強度は、1kPaから15kPaの範囲にあることがより好ましく、1kPaから12kPaの範囲にあるとよりいっそう好ましい。
【0065】
さまざまな実施形態において、ステントストラット110の長さは1mmから2.5mmの範囲にあってもよい。好ましい一実施形態では、ステントストラット110の長さが1.2mmから1.5mmの範囲にあってもよい。ステントストラット110の形状は概して線形であってもよく、又はステントストラット110に一つ以上の曲線部分があってもよいが、曲線部分は全体的に長手方向に延びる。
【0066】
さまざまな実施形態において、ステントストラット110は20mmから150mmの幅を有していてもよい。さまざまな実施形態において、主セクション101の幅は30μmから50μmの範囲にあってもよい。さまざまな実施形態において、幅広セクション102の幅は90μmから120μmの範囲にあってもよい。
【0067】
ステントの金属被覆率は、ステントの構造及びジョイント120における角度によって決定される。ステントの構造が均一であるとき、ジョイント120における角度は、ジョイント120で接続された隣り合う二つのステントストラット110によって規定される。ジョイント120における角度が0°であるとき、ステントは、上述の折り畳まれた構成であり、この構成では、ジョイント120で接続された二つのステントストラット110が間に0°の角度を規定し、その結果、ステントの金属被覆率が大きくなる。ジョイント120における角度が30°から120°であるとき、ステントは、ステントが低い金属被覆率を示す上述の拡張された構成である。折り畳まれた構成では、ステントの所定の全金属表面積及びストラットの所定の厚さにおいて、金属被覆率がより大きいことはステントの外径がより小さいことを意味し、ステントの外径がより小さいことは、血管内でステントをより容易に前進させること、及びより遠い標的部位又はより狭い血管内の標的部位にステントを送達することを可能にする。拡張された構成では、金属被覆率がより大きいことが、病変部位においてステントが斑をより望ましく覆うことを可能にし、より良好な治療効果を提供する。幅の広いストラットセクションと幅の狭いストラットセクションとが交互に配置された設計は、ステントが、有効に改善された金属被覆率を有し、その一方で満足のいく半径方向強度を示すことを可能にする。幅広セクションの比率が異なるステントメッシュ100のさまざまな角度における金属被覆率が表3に示されている。

【0068】
【表3】
【0069】
表3のデータから分かるように、ステントが、ステントのジョイントにおける角度が0°から5°の範囲にある構成にあるとき、ステントメッシュ100は30%から99%の金属被覆率を有する。さらに、表3から分かるように、ステントのジョイントにおける角度が0°から5°の範囲にあるステントの前記構成では、ステントメッシュ100が80%から99%の金属被覆率を有することが好ましい。
【0070】
表3のデータから分かるように、ジョイント120における角度は0°から120°の範囲にあってもよい。他のいくつかの実施形態では、ジョイント120における角度が0°から140°の範囲にあってもよい。ジョイント120における角度が0°又はほぼ0°であるとき、ステントは折り畳まれた構成にある。この折り畳まれた構成は、マイクロカテーテルに装填する前にステントをガイドシースの中にクリンピングすることによって達成することができる。マイクロカテーテルに装填された後も、マイクロカテーテルの中での後続の送達中も、ステントは折り畳まれた構成に留まる。ステントが折り畳まれた構成にあるのはジョイント120における角度が0°であるときだけに限らないことに注意されたい。マイクロカテーテルの内径に応じて、ステントは、ジョイント120におけるさまざまな角度でマイクロカテーテルに装填されることがある。マイクロカテーテルの内径がより大きいと、その結果としてジョイント120における角度はより大きくなる。例えば、ステントの折り畳まれた構成において、ジョイント120における角度が0°から5°であることがある。ジョイント120における角度が30°から120°の間にあるとき、ステントは、拡張された構成を構成する。いくつかの実施形態では、ステントが外径2mmから3mmに拡張したとき、ジョイント120における角度は30°から90°の範囲にある。拡張された構成は必ずしも、ステントが完全に拡張したステントの自然状態ではないことに留意されたい。むしろ、拡張された構成において、ステントが所定の外径に拡張しただけであることがある。例えば、内径2mmから3mmの管に入れられているとき、拡張された構成において、ステントは外径2mmから3mmに拡張していることがある。このとき、ジョイント120における角度は折り畳まれた構成における角度よりも大きい。この管から出された後、又はより大きな内径を有する管に移された後、ステントはさらに拡張することがあり、結果としてジョイント120における角度が大きくなることがある。
【0071】
ジョイントにおける角度が5°から30°の範囲にあるとき、単一のステントメッシュは5%から90%の金属被覆率を示す。
【0072】
表3のデータから分かるように、ジョイントにおける角度が30°から90°の範囲にあるとき、単一のステントメッシュは4%から15%の金属被覆率を示す。さらに、表3のデータから分かるように、ステントのジョイントにおける角度が30°から90°の範囲にあるとき、単一のステントメッシュ100の金属被覆率は8%から15%であることが好ましい。
【0073】
ジョイントにおける角度が90°から140°の範囲にあるとき、単一のステントメッシュは3%から12%の金属被覆率を示す。
【0074】
個々のステントメッシュ100の金属被覆率に加えて、ステントの全体の金属被覆率がステントメッシュ間の連結ストラット130に依存することもある。連結ストラット130が長いほど、ステントメッシュ100は互いからより大きな距離を置いて配置される。連結ストラット130が存在するため、ステントの全体の金属被覆率は個々のステントメッシュ100の金属被覆率よりも小さい。連結ストラット130が等しい長さ及び同じ構造を有するときには、ステントメッシュ100間の連結ストラットの数が多いほどステントの金属被覆率は大きくなる。さらに、ステントの金属被覆率が連結ストラットの構造に依存することもある。本明細書に記載された実施形態において、ジョイントにおける角度が0°から5°の範囲にあるとき、ステントの全体の金属被覆率は20%から60%、好ましくは35から60%であり、ジョイントにおける角度が5°から30°の範囲にあるとき、ステントの全体の金属被覆率は5%から45%、好ましくは8%から40%であり、ジョイントにおける角度が30°から90°の範囲にあるとき、ステントの全体の金属被覆率は3%から15%、好ましくは8%から15%であり、ジョイントにおける角度が90°から140°の範囲にあるとき、ステントの全体の金属被覆率は2%から15%、好ましくは5%から15%である。
【0075】
さまざまな実施形態において、ステントストラット110は、一つから10個の幅広セクション102を含んでいてもよい。ステントストラット110は一つの幅広セクション102を含むことが好ましい。このことは、良好な空間利用を可能にし、大きな金属被覆率及び/又は十分な薬物装填量を保証する。さらに、ステントストラット110は、一つから11個の主セクション101を含んでいてもよい。ステントストラット110は二つの主セクション101を含むことが好ましい。同じステントでは主セクション101が幅広セクション102と交互に配置される。幅広セクション102の幅に対する主セクション101の幅の比率は1/4から2/3の範囲にあってもよい。良好な空間利用を達成するためには、この幅の比率が1/3であることが好ましい。隣り合うステントストラット110は、同じ又は異なる数の幅広セクション102を含んでいてもよい。各ステントストラット110は一つ以上の幅広セクション102を含んでいてもよい。図1aを参照すると、一実施形態では、ステントストラット110が、三つの主セクション101と、主セクション101と交互に配置された二つの幅広セクション102とを含む。それぞれの幅広セクションは二つの主セクション間に位置する。さらに、同じステントメッシュ100では、隣り合うステントストラットが、二つの主セクション101と、主セクション間に位置する一つの幅広セクション102とを含む。続けて図2を参照すると、好ましい一実施形態では、ステントメッシュ100のステントストラット110が、二つの主セクション101と、主セクション間に位置する一つの幅広セクション102とを含む。
【0076】
ステントメッシュ100はさらに、ステントストラット110を接続するための屈曲部121を含む。さまざまな実施形態において、屈曲部121の幅に対する主セクション101の幅の比率は1/2から3/4の範囲にあってもよい。この比率は3/5であることが好ましく、これによって、ステントが低い強度を有することを可能にする一方で、ジョイント120における破損を防ぐことができる。
【0077】
さまざまな実施形態において、ステントストラット110の最も短い主セクション101の長さに対するステントストラット110の長さの比率は10/3以上、好ましくは6/1であってもよい。
【0078】
さまざまな実施形態において、屈曲部121の長さに対するステントストラット110の長さの比率は8以上であってもよい。この比率は12であることが好ましく、これによって、ステントが低い強度を有することを可能にする一方で、ジョイント120における破損を防ぐことができる。
【0079】
ジョイント120における角度が最小化されたとき、一つのステントストラット110の幅広セクション102は、同じジョイント120で接続された隣り合うステントストラット110の主セクション101と重ならないことが好ましい。設計中において逆向き推論を使用してもよく、すなわち、全体構造強度及び設計サービス寿命を確保した前提で、最小化された角度にある隣り合うステントストラット110の主セクション101間の半径方向距離を得て、その半径方向距離から幅広セクション102の寸法を計算する。これによって、空間利用を強化することができ、ステントがよりいっそう小さな全体サイズを有することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、それぞれのジョイント120で接続された隣り合うステントストラット110の異なる対の主セクション101が、角度が最小化されたときに、異なる半径方向距離を隔てて配置されてもよい。この場合には、良好な空間利用を達成するために、ステントストラット110の幅広セクション102の幅を個別に設計してもよい。あるいは、最小化された角度にある隣り合うステントストラット110の全ての対の半径方向距離のうちの最も小さな半径方向距離に従って、全ての幅広セクション102を、同じ幅を有するように設計してもよい。これは低コストの設計手法を表す。
【0080】
上で論じた実施形態が好ましいが、いくつかの特別なケースでは、ジョイント120における角度が最小化されたときに、同じジョイント120で接続された隣り合うステントストラット110において、ステントストラット110の主セクション101間の半径方向距離が、片側の主セクション101に対する幅広セクション102の突出部の幅よりも小さくてもよいことが理解されるであろう。これはさらに良好な空間利用を達成することができる。
【0081】
図2に示されているように、一実施形態では、幅広セクション102が、ステントストラットの長手方向に沿ったステントストラットの両側で、主セクション101を超える同じ幅のマージンを有する。幅広セクション102の中心軸はステントストラット110の中心軸と一致し、任意選択で、幅広セクション102の中心軸はステントストラット110の中心軸と、製作公差範囲内のオフセットで一致する。
【0082】
他のいくつかの実施形態では、幅広セクション102が、ステントストラットの長手方向に沿ったステントストラットの両側で、主セクション101を超える異なる幅のマージンを有していてもよい。例えば、図3a及び3bに示されているように、一実施形態では、幅広セクション102が、ステントストラットの長手方向に沿ったステントストラットの片側で、主セクション101と面一である。ステントの拡張された構成では、同じジョイント120で接続された隣り合うステントストラット110がV字形構造を形成し、隣り合うステントストラット110の、幅広セクション102が主セクション101と面一である側は、両方ともに、V字形構造の内側又は外側に位置することが好ましい。
【0083】
他の実施形態では、隣り合うステントストラット110の、幅広セクション102が主セクション101と面一である側は、V字形構造の、同じ方向を向いた側に位置していてもよい。言い換えると、ステントの拡張された構成において、同じジョイント120で接続された隣り合うステントストラット110はV字形構造を形成し、隣り合うステントストラット110の、幅広セクション102が主セクション101と面一である側は、両方ともにV字形構造の内側に位置すること、又は外側に位置することがない。すなわち、隣り合うステントストラット110の、幅広セクション102が主セクション101と面一である側の一方がV字形構造の内側に位置し、隣り合うステントストラット110の、幅広セクション102が主セクション101と面一である側の他方がV字形構造の外側に位置する。
【0084】
図4aから4cを参照すると、各幅広セクション102は、主セグメント103と移行セグメント104とを含み、各移行セグメント104が主セグメント103を一つの主セクション101につなぐ。移行セグメント104は、さまざまな形状のうちのいずれの形状を含んでいてもよい。例えば、一実施形態では、移行セグメント104がそれぞれ、主セグメント103から主セクション101に向かって次第に狭くなっている(図4a参照)。代替実施形態では、移行セグメント104がそれぞれ、主セクション101の両側で、外側に開いた二つの移行ノッチを含む。移行セグメント104は主セグメント103と同じ幅を有し、移行ノッチの開口は、主セクション101から主セグメント103に向かって次第に狭くなっている(図4b参照)。別の代替実施形態では、全ての幅広セクション102の移行セグメント104のうち少なくともいくつかの移行セグメント104が、上で論じた形状のうちの少なくとも一つを含む(すなわち図4a、4b及び4cに示された例のうちのいずれか)。移行セグメント104は他のやり方で構成されていてもよいことが理解されるであろう。他のいくつかの実施形態、例えば図3aに示された実施形態では、幅広セクション102が主セグメント103だけを含んでいてもよく、この場合には主セグメント103が主セクション101に直接につながれる。
【0085】
幅広セクションは比較的に大きな表面積を有するため、幅広セクションに空洞を形成することができ、それらの空洞には、ステントの薬物装填能力又は放射線不透過性を増大させるために薬物又は放射線不透剤が充填されていてもよい。図5aから5eを参照すると、幅広セクション102は空洞105を含んでいてもよく、空洞は空洞パターンによって形成され、空洞パターンは、中実パターン、中空パターン、連続パターン及び不連続パターンのうちの少なくとも一つを含む。各空洞は、円柱、直平行六面体及び三角柱のうちの少なくとも一つを含む形状を有していてもよい。各空洞は、円形、細長い形状、多角形、波形、環形及び不規則形のうちの少なくとも一つを含む横断面形状を有していてもよい。各空洞は、円弧形、四辺形及び三角形のうちの少なくとも一つを含む縦断面形状を有していてもよい。横断面形状は、空洞が形成された幅広セクション102の外表面に対して平行に切られた断面の形状を指し、縦断面形状は、幅広セクション102の外表面と長手方向の両方に対して垂直に切られた断面の形状を指すことに注意されたい。空洞105は、薬物又は放射線不透剤がその中に充填されるように構成される。いくつかの実施形態では、空洞105が、ステントストラット110を貫いてステントストラット110の全厚にわたって延びる貫通溝穴であってもよい。いくつかの他の実施形態では、空洞105が、ステントストラット110の厚さの一部分を貫いて延びる止まり穴であってもよい。図4aから4cは特に、移行セグメント104を例示及び図示することが意図されており、図5aから5eは特に、空洞105を例示及び図示することが意図されていることが理解されるであろう。移行セグメント104が図4aから4cのいずれかに示されているとおりに構成されているとき、空洞105は、同じ図に示されているとおりに形づくられていなければならないということは決してなく、又は空洞が図5aから5eのいずれかに示されているとおりに構成されているとき、移行セグメント104は、同じ図に示されているとおりに形づくられていなければならないということは決してない。これらの実施態様は、どの組合せで組み合わされていてもよい。
【0086】
さまざまな実施形態において、幅広セクション102の幅に対する空洞パターンの最大幅の比率は1/3から4/5の範囲にあってもよい。この比率は1/2であることが好ましい。なぜなら、この比率は、良好な空間利用を可能にすることができ、十分な薬物装填量を保証することができるためである。空洞パターンの幅は、幅広セクション102の幅が測定されるのと同じ方向に測定される。
【0087】
図1aを参照すると、一実施形態では、ステントが、軸方向に接続された少なくとも二つのステントメッシュ100を含む。ステントは、四つから18個のステントメッシュ100、好ましくは六つから10個のステントメッシュ100を含んでいてもよい。ステントメッシュは、適当なやり方で互いに接続されていてもよい。図6を参照すると、好ましい一実施形態では、ステントが連結ストラット130を含み、隣り合うステントメッシュ100のジョイント120が連結ストラット130によって位置合わせ及び接続されている。図6に示された実施形態では、隣り合うステントメッシュ100のジョイント120が位置合わせされており、隣り合うステントメッシュ100が互いに鏡面対称である。さらに、図6を参照すると、連結ストラット130は、ステントの円周方向に沿って接続されていない対の間に介在するジョイント120の対を接続していてもよい。この配置は、ジョイントにおける角度を広くすること又は狭くすることを容易にすることができ、空間利用を強化することができる。代替実施形態では、ジョイント120が位置合わせされていなくてもよく、連結ストラットがジョイント120になくてもよいことが理解されるであろう。さらに、ジョイント120が連結ストラット130によって位置合わせ及び接続されるとき、それらの接続は、上で論じたやり方とは別のやり方で実施されてもよい。例えば、位置合わせされたジョイント120の全ての対がそれぞれ、連結ストラット130を用いて接続されていてもよい。あるいは、ステントに沿った円周方向の接続されていない二つの対を間に置いて、位置合わせされたジョイント120の対が連結ストラット130を用いて接続されていてもよい。他の配置も可能である。
【0088】
さまざまな実施形態において、連結ストラット130の幅に対する主セクション101の幅の比率は1/2から1の範囲にあってもよい。連結ストラット130の破損を満足のいく形で防ぐためには、この比率が1/2であることが好ましい。
【0089】
図1aから1b及び7aから9bを参照すると、連結ストラット130は、線形、波形、鋸歯形、円形、環形、「Ω」字形状及び「S」字形状のうちの少なくとも一つを含む形状を有していてもよい。連結ストラット130の形状は非線形、例えば波形、「Ω」字形状又は「S」字形状であることが好ましい。なぜなら、これらの形状は、ステントの全体的な折り畳み及び拡張を容易にすることができるためである。連結ストラット130のさまざまな実施態様が、上で論じた空洞105、移行セグメント104及び幅広セクション102の実施態様と任意の組合せで組み合わされてもよいことが理解されるであろう。
【0090】
他の実施形態では、連結ストラット130にさらに空洞が形成されていてもよいが、全体的な構造信頼性の観点からこれは好ましくない。
【0091】
図1から3b及び7aから9bを参照すると、いくつかの実施形態では、ジョイント120における角度が最小化されたときに、ステントメッシュ100のいずれか一つにおいて、隣り合うステントストラット110の幅広セクション102が、ステントメッシュ100の軸に沿ってある距離を隔てて配置されてもよい(図1b、7b及び9b参照)。より好ましい実施形態では、ジョイント120における角度が最小化されたときに、各ステントメッシュ100において、隣り合うステントストラット110の幅広セクション102が、ステントメッシュ100の軸に沿ってぴったりと接触していてもよい(図3b及び8b参照)。
【0092】
いくつかの実施形態では、ステントが、コバルト基合金、マグネシウム合金、ニッケル-チタン合金、ステンレス鋼など、又はこれらの組合せで形成されたものであってもよい。
【0093】
本明細書では、上で定義したステントとは主に、その中に薬物又は放射線不透剤が充填された空洞105を含む点で異なる薬物装填ステントも提供される。
【0094】
薬物装填ステントの他の特徴の詳細については、ステントに関連した本明細書の上記の説明を参照することができる。
【0095】
本発明は、複数のステントストラット110をそれぞれが含む少なくとも一つのステントメッシュ100を含むステントを提供し、複数のステントストラット110は端と端とをつないで連続して接続されており、隣り合うステントストラット110の接続された端にはジョイント120が形成されている。ステントメッシュ100は、ジョイント120における角度が広くなった結果として又は狭くなった結果として拡張するように又は折り畳まるように構成されている。各ステントストラット110は、少なくとも一つの主セクション101と少なくとも一つの幅広セクション102とを含む。主セクション101は、幅広セクション102と交互に配置されている。主セクション101は、幅広セクション102の幅よりも小さな幅を有する。各ステントメッシュ100では、隣り合うステントストラット110の幅広セクション102が、ステントメッシュ100の軸に沿って互い違いにされている。本発明はさらに、同様の構造の薬物装填ステントを提供する。幅広セクション102と主セクション101の幅が異なること、及び幅広セクション102が互い違いに配置されていることは、合理的な空間利用を可能にし、金属被覆率と半径方向強度との間の良好なトレードオフを達成する。このようにすると、ステントは、折り畳まれた構成にあるときにコンパクトなサイズを有することができ、コンパクトなサイズは、病変部位にステントを通すことを容易にする。したがって、良好な金属被覆率と望ましい半径方向強度の両方をともに提供することはできないという従来のステントに関連した問題が解決される。
【0096】
上に示した説明は、単に、本発明の好ましいいくつかの実施形態の説明であり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することは意図されていない。以上の教示に基づき当業者によってなされた一切の変更及び修正は、添付の特許請求項に定義された範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
100 ステントメッシュ
110 ステントストラット
120 ジョイント
130 連結ストラット
101 主セクション
102 幅広セクション
103 主セグメント
104 移行セグメント
105 空洞
121 屈曲部
200 幅方向
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
【手続補正書】
【提出日】2024-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントであって、少なくとも一つのステントメッシュを含み、各ステントメッシュが、前記ステントメッシュの周囲に沿って円周方向に連続して接続された複数のステントストラットを含み、複数のステントストラットが、端と端とをつないで連続して接続されており、隣り合うステントストラットの接続された端にジョイントが形成されており、前記ステントメッシュが、前記ジョイントにおける角度が広くなった結果として又は狭くなった結果として拡張するように又は折り畳まるように構成されており、
前記ステントストラットが、少なくとも一つの主セクションと、前記少なくとも一つの主セクションと交互に配置された少なくとも一つの幅広セクションとを含み、前記主セクションが、前記幅広セクションの幅よりも小さな幅を有し、各ステントメッシュにおいて、隣り合うステントストラットの前記幅広セクションが前記ステントメッシュの軸に沿って互い違いにされており、
前記ステントの半径方向強度が1kPaから300kPaの範囲にある、
ステント。
【請求項2】
各ジョイントにおける前記角度が最小化されたときに、前記ステントの前記半径方向強度が50kPaから300kPaの範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
各ジョイントにおける前記角度が最小化されたときに、前記ステントの前記半径方向強度が100kPaから200kPaの範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記ステントが、直径2.0mmから5.0mmの拡張された構成にあるときに、前記ステントの前記半径方向強度が1kPaから30kPaの範囲にあり、任意選択で、前記ステントが、直径2.0mmから5.0mmの拡張された構成にあるときに、前記ステントの前記半径方向強度が1kPaから15kPaの範囲にあり、任意選択で、前記ステントが、直径2.0mmから5.0mmの拡張された構成にあるときに、前記ステントの前記半径方向強度が1kPaから12kPaの範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
各ジョイントにおける前記角度が0°から140°の範囲にあり、
又は、各ステントストラットが、二つの主セクションと、前記二つの主セクション間に位置する一つの幅広セクションとを含み、
又は、前記ステントメッシュが、八つから24個のステントストラットを含み、
又は、各ジョイントにおける前記角度が最小化されたときに、同じジョイントで接続された隣り合うステントストラットにおいて、前記ステントストラットのうちの一方のステントストラットの前記幅広セクションが、前記ステントストラットのうちの他方のステントストラットの前記主セクションと重なっておらず、
又は、少なくとも一つのステントストラットにおいて、前記幅広セクションが、前記ステントストラットの長手方向に沿った前記ステントストラットの両側で、前記主セクションを超える同じ幅又は異なる幅のマージンを有し、
又は、少なくとも一つのステントストラットにおいて、前記幅広セクションが、前記ステントストラットの長手方向に沿った前記ステントストラットの片側で、前記主セクションと面一であり、任意選択で、前記ステントの拡張された構成において、同じジョイントで接続された隣り合うステントストラットがV字形構造を形成し、隣り合うステントストラットの、前記主セクションが前記幅広セクションと面一である側は、同時に、前記V字形構造の内側又は外側に位置する、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
各ジョイントにおける前記角度が0°から5°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの金属被覆率が30%から99%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項7】
各ジョイントにおける前記角度が5°から30°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの金属被覆率が5%から90%の範囲にあり、
又は、各ジョイントにおける前記角度が30°から90°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの金属被覆率が4%から15%の範囲にあり、任意選択で、各ジョイントにおける前記角度が30°から90°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの前記金属被覆率が8%から15%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項8】
各ジョイントにおける前記角度が90°から140°の範囲にあるときに、前記ステントメッシュの金属被覆率が3%から12%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項9】
各ジョイントにおける前記角度が0°から5°の範囲にあるときに、前記ステントの金属被覆率が20%から60%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項10】
各ジョイントにおける前記角度が5°から30°の範囲にあるときに、前記ステントの金属被覆率が5%から45%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項11】
各ジョイントにおける前記角度が30°から90°の範囲にあるときに、前記ステントの金属被覆率が3%から15%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項12】
各ジョイントにおける前記角度が90°から140°の範囲にあるときに、前記ステントの金属被覆率が2%から15%の範囲にある、請求項1に記載のステント。
【請求項13】
少なくとも一つの幅広セクションが空洞を含み
任意選択で、前記幅広セクションが一つから10個の空洞を含み、
又は、前記空洞が、円弧形、四辺形及び三角形のうちの少なくとも一つを含む縦断面形状を含み、
又は、前記空洞が、円形、細長い形状、多角形、波形、環形及び不規則形のうちの少なくとも一つを含む横断面形状を含み、
又は、前記空洞が、その中に薬物又は放射線不透剤が充填されるように構成されている、請求項1に記載のステント。
【請求項14】
前記ステントが、軸方向に接続された少なくとも二つのステントメッシュを含み、任意選択で、前記ステントが少なくとも一つの連結ストラットを含み、隣り合うステントメッシュの前記ジョイントが前記連結ストラットを介して接続されており、任意選択で、前記連結ストラットが、線形、波形、鋸歯形、円形、環形、Ω字に似た形状及びS字に似た形状のうちの少なくとも一つを含む形状を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のステント。
【請求項15】
薬物装填ステントであって、少なくとも一つのステントメッシュを含み、各ステントメッシュが、前記ステントメッシュの周囲に沿って円周方向に連続して接続された複数のステントストラットを含み、複数のステントストラットが、端と端とをつないで連続して接続されており、隣り合うステントストラットの接続された端にジョイントが形成されており、前記ステントメッシュが、前記ジョイントにおける角度が広くなった結果として又は狭くなった結果として拡張するように又は折り畳まるように構成されており、
前記ステントストラットが、少なくとも一つの主セクションと、前記少なくとも一つの主セクションと交互に配置された少なくとも一つの幅広セクションとを含み、前記主セクションが、前記幅広セクションの幅よりも小さな幅を有し、各ステントメッシュにおいて、隣り合うステントストラットの前記幅広セクションが前記ステントメッシュの軸に沿って互い違いにされており、前記幅広セクションうちの少なくとも一つの幅広セクションが、その中に薬物が充填されるように構成された空洞を含み、
前記ステントの半径方向強度が1kPaから300kPaの範囲にある、
薬物装填ステント。
【国際調査報告】