(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】人体検知
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240614BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/14 340
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575848
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2022065136
(87)【国際公開番号】W WO2022258498
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520089657
【氏名又は名称】エリプティック ラボラトリーズ エーエスエー
【氏名又は名称原語表記】ELLIPTIC LABORATORIES ASA
【住所又は居所原語表記】Hausmanns gate 21, 0182 Oslo, Norway
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストラット,グエナエル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カヴリ,トム エイステイン
(72)【発明者】
【氏名】バッケン ションスフィエル,アイリック トールビョルン
(72)【発明者】
【氏名】スコルスヴィク,ハルシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】クローン,ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】ボレン スヴェンセン,トビアス
【テーマコード(参考)】
5B069
5E555
【Fターム(参考)】
5B069BB13
5B069JA01
5B069JA02
5B069JA06
5E555AA77
5E555BA02
5E555BA38
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5E555BB38
5E555BC02
5E555CA02
5E555CA07
5E555CA18
5E555CA47
5E555FA00
(57)【要約】
本発明は、電子デバイスに対するユーザの在席を監視するためのシステム、それに関連する方法、およびコンピュータに実装されたソフトウェアに関する。電子デバイスは、超音波範囲内で動作するように構成された少なくとも1つの音響変換器を含む。少なくとも1つの音響変換器は、電子デバイスから所定の範囲内でユーザの在席を検出するように構成される。システムは、ユーザを検出した後に、所定の第1の期間の間、少なくとも1つの音響変換器をオフにし、第1の期間の終了時に、ユーザの在席を検出するために音響変換器を起動するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスに対するユーザの在席を監視するためのシステムであって、
前記電子デバイスは、少なくとも1つの音響変換器を含み、
前記少なくとも1つの音響変換器は、超音波範囲内で動作するように構成され、
前記少なくとも1つの音響変換器は、前記電子デバイスから所定の範囲内でユーザの在席を検出するように構成され、
前記システムは、前記ユーザを検出した後に、所定の第1の期間の間、前記少なくとも1つの音響変換器をオフにし、前記第1の期間の終了時に、前記ユーザの在席を検出するために前記少なくとも1つの音響変換器を起動する、
システム。
【請求項2】
前記ユーザからの入力を受け取るためのユーザインタフェースを構成する第2の音響変換器を含み、
前記第2の音響変換器は、前記ユーザの入力によって起動されるように構成され、
前記システムは、前記第2の音響変換器の起動時に、前記第1の期間を第2の期間で延長するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つの前記第2の音響変換器は、タッチパッド、コンピュータマウス、またはキーボードのうちの少なくとも1つを含むコンピュータインタフェースであり、
前記コンピュータインタフェースにおける活動の検出時に、前記ユーザ検知モニタは、所定の第3の期間の間、非アクティブになるように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電子デバイスは、コンピュータスクリーンを含み、
前記システムは、選択された前記非アクティブ期間の終了時に、前記コンピュータスクリーンの光強度を低下させるように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記音響変換器は、超音波パルスを放射および受信し、放射から受信までの時間経過を測定して前記ユーザまでの距離を測定するように構成された送信機および受信機を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
受信した前記信号を分析して、前記ユーザが在席している場合と在席していない場合の信号プロファイルを格納するように構成された、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
赤外線信号などの電磁信号を受信して前記ユーザの在席を確認するための第3の音響変換器をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
電子デバイスに対するユーザの在席を監視するための方法であって、
前記電子デバイスは、超音波範囲内で動作するように構成された少なくとも1つの音響変換器を含み、
前記少なくとも1つの音響変換器は、前記電子デバイスから所定の範囲内で前記ユーザの在席を検出するように構成され、
前記ユーザの検出時に、所定の期間の間、前記音響変換器をオフにするステップと、前記所定の期間の終了時に、前記ユーザの在席を検出した場合に前記少なくとも1つの音響変換器を起動するステップと、を含む、
方法。
【請求項9】
前記電子デバイスは、第2の音響変換器を含み、
前記第2の音響変換器は、前記ユーザの入力によって起動されるように構成され、
前記第2の音響変換器の起動時に、前記所定の期間を所定の第2の期間で延長するステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の音響変換器は、タッチパッド、コンピュータマウス、またはキーボードのうちの少なくとも1つを含むコンピュータインタフェースであり、
前記コンピュータインタフェースにおける活動の検出時に、前記ユーザ検知モニタは、第3の期間の間、非アクティブになるように構成される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電子デバイスは、コンピュータスクリーンを含み、
選択された前記非アクティブ期間の終了時に、前記コンピュータスクリーンの光強度を低下させるステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
請求項8~11のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された、コンピュータに実装されたソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス、特にラップトップコンピュータの消費電力を削減するための解決策に関し、特にユーザが在席していることを監視するときの解決策に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ほとんどの電子デバイスには、所定のタイムアウトがあり、それを過ぎるとデバイスがオフにされるか、消費電力を抑えたハイバネーション状態に入る。これは、通常、キーボード、タッチスクリーン、またはマウスの使用などの最後の活動からの経過時間を定義したタイムスケジュールに基づいている。ユーザが映画を観たり、講義を受けたり、あるいはテキストを再構築しようと考えている場合、これはユーザには迷惑である場合がある。このため、多くのユーザは、省電力モードに入る前の時間にそれを調整してしまい、省電力モードが正しく機能しなくなってしまう。
【0003】
他のより高度なシステムは、スクリーンやラップトップコンピュータに搭載されたカメラを使用することができるが、これはハッキングやユーザの行動を監視しやすくするためだけではなく、雇用主に監視されたくないユーザには不評である可能性がある。この場合、ユーザは、会議などで実際に使用しないときにカメラにシールを貼ってしまうかもしれない。代替的に、顔認識用の赤外線カメラを使用して、スクリーンの前での活動やそこに在席しているかを監視することもできる。別の既知の解決策として、レーダー技術を使用してユーザの在席を検出する方法がある。一例として、Novelda社の人体検知センサ(https://novelda.com/technology/)を使用するラップトップコンピュータが挙げられる。米国特許出願第2019/034609号、米国特許出願第2020/026342号、および欧州特許出願第2271134号には、ユーザが在席しているかどうか、またはユーザとの距離を検出する他のシステムが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、デバイスの消費電力を制限しながら、デバイスの前での活動を監視することを提供することである。ユーザが近づくとラップトップコンピュータはロック解除され、離れるとロックされ、また、在席している限りは望ましくないハイバネーションやシャットダウンが発生しないことをユーザはシームレスに体感することができる。
【0005】
また、本発明の目的は、スピーカやマイクロフォンなど、コンピュータの既存の機能を利用することである。これにより、コンピュータは、通常のコンピュータやデバイスのハードウェアに変更を加えることなく機能することができる。この場合、追加のアクティブセンサまたはパッシブセンサが使用されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した問題を解決することを目的とするものであり、これは、添付の特許請求の範囲に記載されるように達成される。
【0007】
好ましくは、本発明は、ラップトップコンピュータなどの電子デバイスには通常、音響変換器、すなわちスピーカやマイクロフォンが搭載されているか、そのような外部機器と接続されるように準備されているという事実を利用する。このような音響変換器の多くは、可聴範囲と、可聴範囲のすぐ外側にある超音波近傍の範囲とで動作可能である。好ましい実施形態によれば、システムは、スピーカでの放射から受信機/マイクロフォンでの受信までの音響信号の飛行時間を測定する。この信号に変化があれば、動きがあることを意味し、ユーザの在席を示すことができる。
【0008】
しかしながら、このような音響変換器の動作には、一定の消費電力が必要であり、デバイスの消費電力を大幅に増加させることなく、ユーザの活動を検出することを実現することが、本発明のさらなる目的である。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ユーザの在席を監視しながら、電子デバイスの消費電力を制限することである。これは、添付の特許請求の範囲に記載されるように達成される。
【0010】
このように、本発明は、制御システムの消費電力を削減することにより、電子デバイスの消費電力を削減することができるシステムおよび方法を提供する。これは、デバイスの使用を監視し、選択された期間後にユーザの在席を確認することで達成される。この期間は、キーボード、タッチパッド、またはマウスの動きによってリセットされるか、コンピュータの前での他の登録された動きによってリセットされるなど、多くの要因に依存してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、本発明を例示的に示す添付の図面を参照して本発明を説明する。
【
図1】ユーザと、本発明による電子デバイスとの配置を示す図である。
【
図2a】本発明の好ましい実施形態によって利用される時間シーケンスを示す図である。
【
図2b】本発明の好ましい実施形態によって利用される時間シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、本発明は、ラップトップコンピュータ1などの電子デバイスの消費電力を削減することに関連することができる。ラップトップコンピュータは、スクリーン1aと、キーボード1bと、コンピュータマウス1cと、場合によってはタッチパッドと、ユーザ2の在席を測定することができる少なくとも1つの近接センサ1dおよび1eと、を含む。
【0013】
より具体的には、近接センサ1dおよび1eは、好ましくは、ほとんどのコンピュータに既に搭載されている音響変換器である。これらの音響変換器は、音響信号3をそれぞれ送信および受信することができるスピーカおよびマイクロフォンから構成されており、デバイスに既に存在する音響変換器を使用することができる20kHz~25kHzの超音波近傍の範囲で音響信号3を送受信することができる。電子デバイス1は、音響信号3を使用して、デバイス1の前にある物体またはユーザ2の位置および/または動きを検出および監視することができる。経時的な活動から、静止している物体とユーザとを区別することができる。また、音響反射の特性の分析結果を使用して、物体が人間2である可能性を確認することもできる。
【0014】
測定は、コンピュータの前の所定の距離内に物体が存在するかどうかを検出するために、信号の放射から受信までの時間経過を測定するなど、既知の方法で行うことができる。後続の信号を比較することで、時間経過における変化またはドップラー分析を使用して動きを登録して、ユーザの活動を確認することができる。また、過去の測定結果に基づいて信号を分析し、デバイスの近くに静止している物体からの反射と、範囲内に移動するユーザとを区別できるようにすることもできる。
【0015】
好ましくは、測定は、選択された期間において信号3を送受信し、受信した信号に基づいて、デバイスの前にユーザが在席しているかどうか、または少なくともユーザが在席している可能性を計算することによって達成される。信号3は、推定されるユーザとの距離や距離の可能性を計算するために時間領域で分析されてもよく、あるいはユーザの動きを認識するためにドップラー分析を使用してもよい。測定間の時間は、手動で調整されてもよい。ただし、これは、キーボードやマウスなどの動作や、コンピュータの動作に基づくユーザの在席の可能性など、登録された動作や他のセンサによって異なる。
【0016】
例えば、履歴(ラップトップコンピュータが電力を節約しているかどうか)、コンテキスト(ラップトップコンピュータが接続されているかどうか)、状況(ユーザがたくさん動いているためにセンサが急速にトリガされているかどうか、あるいは環境が騒がしいかどうか)に基づいて電力管理スキームを適応させることで、あるいはユーザの在席を確認した後に、ユーザが在席している確率に基づいて超音波検知をオフにすることで、電力管理プロファイルを構築するために以前のユーザ活動を使用してもよい。また、本発明によるシステムは、ユーザが在席していない場合のバックグラウンド信号とユーザが在席している場合の信号との違いを学習することができてもよい。
【0017】
本発明の目的は、監視センサ1dおよび/または1eの消費電力を削減するために、デューティサイクル機構を使用することである。最初の測定の後に、センサは、再起動される前に、電力対離席検知応答時間に関する設計上の設定に応じて、各デューティサイクル間で30秒~120秒の期間、中断されてもよい。センサは、ユーザの在席をどれだけ早く検出できるかに応じて、各デューティサイクルで1秒~120秒動作する。シミュレーションによれば、通常のユーザの活動では平均して2秒未満しか動作しないが、ユーザが静止している場合や在席していない場合(例えば、センサがオフになっている間に離席した場合)には、より長く動作する。
【0018】
キーボードやマウスの動作を監視し、キー/マウスが使用されていない場合のみ、あるいは所定の期間使用されていない場合のみ超音波センサが起動させるようにすることで、消費電力をさらに50%~80%削減することができる。
【0019】
ユーザが長時間じっと座っていると稀にコンピュータがロックされる場合がある。これを防止するために、コンピュータがロックされる前にスクリーンが数秒間暗くなるようにすることができる。ユーザは、暗くなった画面を元に戻し、また、望ましくないロックを防ぐには、体を少し動かすか、キーボード、タッチデバイス、またはマウスの動作を組み合わせるだけでよいことにすぐに気づくであろう。ここで、この減光機構は、デバイスがスリープモードに入る前に、マウスやキーボードを動かすかデバイスに触れる選択肢をユーザに与える。これに関して、ユーザは、体を少し動かすことで、意図しない離席センサの出力を事前にキャンセルすることができる。
【0020】
十分に低い消費電力の平均目標値に到達するために、各デューティサイクルから独立して在席を検出するセンサエンジンのデューティサイクルを実現するための方法が開発された。各デューティサイクルは、センサが作動する「オン時間」と、センサがオフになる「オフ時間」とから構成される。オン時間およびオフ時間は、適応的である。これは、センサのイベントとキー/マウスの動作の検出に基づいて調整されることを意味する。
【0021】
図2aを参照すると、デューティサイクルを利用する好ましい方法が示されている。
【0022】
図において、センサは、オン状態21である可能性がある。ここで、センサを起動させる最後に登録されたアクティブなイベントの後に、2つのサイクルが維持される。これにより、時間t_startが定義される。
【0023】
図に示す第1のサイクルには、本発明の好ましい実施形態による減光機能27が示されている。ここで、現在の時間t_currentがt_start+t_dimと比較される。t_dimは、t_startから、シャットダウンをユーザに警告するためにスクリーンが暗くなるまでの時間と定義される。なにも登録されない場合、デバイスは、時間t_start+t_lockにおいてロック状態23となる。ここで、t_lock>t_dimである。t_lockとt_dimとの差は、暗くなったスクリーンに対するユーザの反応の予想範囲である。活動が登録された場合、デバイスは、オン状態が維持されて、新しいt_startが定義される。
【0024】
第2のサイクルは、センサ状態に関連する。登録されたユーザ活動25において、ユーザが活動中であると想定されるので、センサは、選択された期間t_offの間、オフ状態22にされてもよい。ここで、新しいt_startがt_current+t_offとして定義される。これは、ユーザが在席し続けていることを確認するためにセンサがいつオンになるかを決定する。
【0025】
センサがオフ状態の間、キーボード、マウス、またはタッチセンサの動作が登録されたときに、デバイスは、自動的にt_startをt_current+t_offにリセットする。
【0026】
すなわち、各デューティサイクルにおいて、センサは、時間T_lock(所定のタイムアウト期間)を最大持続時間で実行し、ユーザの動きまたはキー/マウスイベントにより在席が検出された場合にサイクルを早期に終了させる。在席が報告されると、センサは、次のデューティサイクルが開始されるまで即座にオフ状態にされる。時間T_lock内に在席もキー/マウスの動作も検出されない場合、センサは離席を報告し、コンピュータはロックされる。
【0027】
デューティサイクル内で時間T_dimにおける動きが検出されなかった場合、スクリーンは暗くなり、ユーザはスクリーンを再度明るくするように本能的に動く。暗くなったスクリーンに対する小さな動きもセンサに登録され、画面は再び明るくなり、コンピュータはロックされない。サイクル開始から時間T_lockが経過するまでセンサが動きを検出しなかった場合のみ、コンピュータは最終的にロックされる。
【0028】
センサが「オフ」モードになると、次のデューティサイクルが発生すべき時間(t_start=t_current+T_off)が記録される。ここで、T_offはデューティサイクル間の所定のオフ時間を表す。センサが中断されている間、センサによってのみ使用されるすべてのソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントはオフにされる。その結果、センサによって消費される電力は、実質的にゼロとなる。
【0029】
ただし、センサがオフモードであっても、キー/マウスの動作26が監視されてもよい。キー/マウスのイベントはラップトップコンピュータの前にユーザが在席していることを十分に示すので、キーまたはマウスのイベントが検出された場合、開始時間はt_start=t_current+T_offにリセットされる(次のデューティサイクルの開始を遅らせる)。
【0030】
ユーザがシステムにログインしたときに、t_startもt_current+T_offに設定される。
【0031】
ユーザが離席した場合、離席が検出されてコンピュータがロックされるまでの応答時間は、T_offおよびT_lockのパラメータによって決定される。ユーザが離席した後の第1のデューティサイクルにおいて、センサは、時間T_lockが経過するまで継続的にユーザの動きを探し続ける。時間T_lockが経過した場合、離席を報告して、コンピュータがロックされる。
【0032】
したがって、各デューティサイクル中のセンサの「オン時間」は、ユーザの行動に依存する。センサの活動は、ユーザの体のわずかな動きから在席が検出されたときに即座に中断されるので、オン時間は、通常、ユーザが活動しているときに短くなり、映画観賞時などのように長時間じっと座っているときには長くなる。このように、「オン時間」は、ユーザの在席を検出するのにかかる時間と直接相関している。
【0033】
図2bには、シナリオの一例が示されている。左から右への時間軸において、ユーザは在席しており、センサはt_[1]にある。時間A1(タイムカウントt[1])において、ユーザの活動が登録され、センサが所定の期間T1の間オフになる。期間T1(t_off)の後、t_start[2]=t[1]+t_offでの時間C1において、センサが再び起動され、時間A2のt[2]においてユーザの在席が検出され、所定の第1の期間T1の間再びオフにされる。後の時間B1(t_key)において、キーボードからの動作が登録される。これは、オフ期間T1をリセットするか、T1と等しい可能性がある所定の第2の期間T2で延長する。延長された期間T2の後、時間t_start[3]=t_key+t_offにおいて、センサはC2でオンにされ、時間t[3]において新しいユーザの動きがA3で登録される。これは、新しい第1の期間T1のためにセンサをオフにする。期間T1の後、t_start[4]=t[3]+t_offにおいて、センサは再び起動されるが、ユーザは離席した後の場合、所定の第4の期間T4の後、t_dimにおいて、スクリーンは暗くなり、所定の第5の期間T5の後、t_start[4]+t_lockにおいて、ユーザの在席が検出されなかったと想定されてデバイスがロック可能となるので、システムがロックされてもよい。
【0034】
そのため、平均応答時間は次式のようになる:
T_average_response=0.5×T_off+T_lock (式2)
例えば、T_off=60秒、T_lock=90秒とすると、平均応答時間は120秒となる。
【0035】
望ましい待ち時間の選択は、実際のユーザテストを通じて評価されるべきであり、ここで確定されるべきものではない。出願人は、ユーザがプリンタから紙を取ってくる間や、同僚に短い質問をするために離席したときなどに、コンピュータがロックされることを望んでいないと想定しているので、1分~3分という時間は不合理なものではないと思われる。
【0036】
要約すると、本発明は、電子デバイスに対するユーザの在席を監視するためのシステムおよび対応する方法に関する。電子デバイスは、超音波範囲内で動作するように構成された少なくとも1つの音響変換器を含む。少なくとも1つの音響変換器は、デバイスから所定の範囲内のユーザの在席を検出するように構成される。これは、動きなどを検出するためにドップラーを使用するパルスエコー測定によって達成されてもよい。さらに、システムは、ユーザの在席を検出した後に、所定の第1の期間の間、少なくとも1つの音響変換器をオフにし、第1の期間の終了時に、ユーザの在席を検出するために音響変換器を起動するように構成される。
【0037】
また、デバイスは、ユーザからの入力を受け取るためのユーザインタフェースを構成する第2の音響変換器を含む。これにより、ユーザの在席を確認することができる。好ましくは、第2の音響変換器は、ユーザの入力によって起動されるように構成される。システムは、第1の期間の間の第2の音響変換器の起動時に、第1の期間を第2の期間で延長するように構成される。第2の音響変換器は、例えば、タッチパッド、コンピュータマウス、またはキーボードのうちの1つであってもよい。また、コンピュータインタフェースにおける活動の検出時、例えば第1の音響変換器がアクティブであるときに、ユーザ検知モニタは、第3の期間の間、非アクティブになるように構成されてもよい。
【0038】
好ましくは、デバイスは、コンピュータスクリーンを含み、選択された非アクティブ期間の終了時にシステムが在席/動きを登録しなかった場合、システムは、スクリーンの光強度を低下させ、暗くしたことで、ユーザの在席を証明する登録された動きまたはキーの押下などの他の活動が引き起こされる場合に、それを登録するように構成される。
【0039】
音響変換器は、通常、超音波パルスを放射および受信し、放射から受信までの時間経過を測定してユーザまでの距離を測定するように、あるいはドップラーシフトを測定して動きを登録するように構成された送信機および受信機、またはその両方に適した1つの音響変換器を含む。また、システムは、受信した信号を分析して、ユーザが在席している場合と在席していない場合の信号プロファイルを格納してもよい。
【0040】
また、システムは、赤外線信号などの電磁信号を受信してユーザの在席を確認するための第3の音響変換器を含んでもよい。
【0041】
また、本発明は、電子デバイスに対するユーザの在席を監視するための方法、およびそのような方法を実施するための、コンピュータに実装されたソフトウェア製品に関する。該方法は、ユーザの検出時に、所定の期間の間、音響変換器をオフにするステップと、所定の期間の終了時に、ユーザの在席を検出した場合に少なくとも1つの音響変換器を起動するステップと、を含む。
【0042】
第2の音響変換器を使用する該方法は、ユーザの入力によって起動されるステップと、第2の音響変換器の起動時に、期間を所定の第2の期間で延長するステップと、を含む。第2の音響変換器は、タッチパッド、コンピュータマウス、またはキーボードのうちの少なくとも1つを含むコンピュータインタフェースであってもよい。コンピュータインタフェースにおける活動の検出時に、ユーザ検知モニタは、第3の期間の間、音響変換器に対して非アクティブになるように構成される。ここで、第2の期間T2と第3の期間は、音響変換器のタイプに応じて同一のものであってもよく、同様のものであってもよい。例えば、キーボードの積極的な使用により、検知センサの非アクティブ時間が1回のイベントよりも長くなる場合がある。デバイスは、コンピュータスクリーンを含む。該方法は、選択された非アクティブ期間の終了時に、コンピュータスクリーンの光強度を低下させるステップを含む。
【国際調査報告】