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特表2024-522628滅菌ガスの出入りを可能にする一方で、流動性材料の漏出を阻止するガス透過性バリアによって覆われたアパーチャを有する、ガス滅菌可能なシリンジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】滅菌ガスの出入りを可能にする一方で、流動性材料の漏出を阻止するガス透過性バリアによって覆われたアパーチャを有する、ガス滅菌可能なシリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20240614BHJP
   A61M 5/38 20060101ALI20240614BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61M5/31 530
A61M5/38 500
A61M5/32 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575863
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 IB2022055406
(87)【国際公開番号】W WO2022259217
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,434
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/231,494
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/233,910
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/667,950
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】オウ・デュアン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ザバトスキー・ジョセフ・エフ
(72)【発明者】
【氏名】キンテーロ・ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】タンハウザー・ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】クリクスノフ・レオ・ビー
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス・ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ビック・アリソン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066EE06
4C066LL20
4C066MM03
4C066NN01
(57)【要約】
ガス滅菌可能なシリンジ(100)は、流体チャンバ(105)を画定する壁を有するエンクロージャを含む。流動性材料が、エンクロージャの流体チャンバ内に配設されている。プランジャ(104)は、エンクロージャとともに組み立てられ、流動性材料を分注するためにエンクロージャの遠位端に向かって移動可能である。1つ又は2つ以上のアパーチャ(126)が、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに形成されている。ガス透過性バリア(544)は、滅菌ガスがガス透過性バリアによって覆われた少なくとも1つのアパーチャを通過することを可能にする一方で、流動性材料がアパーチャのうちの少なくとも1つを通過することを阻止するために、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに形成されたアパーチャのうちの少なくとも1つを覆う。ガス透過性バリアは、滅菌ガスに対して透過性であり、エンクロージャの流体チャンバ内に配設された流動性材料に対して不透過性である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス滅菌可能なシリンジであって、
流体チャンバを画定する壁を有するエンクロージャと、
前記エンクロージャの前記流体チャンバ内に配設された流動性材料と、
前記エンクロージャとともに組み立てられ、前記エンクロージャから前記流動性材料を分注するために前記エンクロージャの遠位端に向かって移動可能なプランジャと、
前記エンクロージャの前記壁のうちの少なくとも1つに形成された1つ又は2つ以上のアパーチャと、
前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された前記アパーチャのうちの少なくとも1つを覆うガス透過性バリアであって、前記ガス透過性バリアによって覆われた前記アパーチャのうちの前記少なくとも1つを滅菌ガスが通過することを可能にする一方で、前記ガス透過性バリアによって覆われた前記アパーチャのうちの前記少なくとも1つを前記流動性材料が通過することを阻止する、ガス透過性バリアと、を備える、ガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項2】
前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された前記アパーチャのうちの前記少なくとも1つを覆う前記ガス透過性バリアが、前記滅菌ガスに対して透過性であり、前記エンクロージャの前記流体チャンバ内に配設された前記流動性材料に対して不透過性である、請求項1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項3】
前記ガス透過性バリアが、滅菌手順中に前記滅菌ガスの出入りを可能にするように、かつ前記流動性材料が前記ガス透過性バリアを通過することを阻止するように構成された閉鎖気孔率を有する、請求項2に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項4】
前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された前記1つ又は2つ以上のアパーチャが、前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された複数のアパーチャを備え、前記ガス透過性バリアが、前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された前記それぞれの複数のアパーチャの各々を充填する複数のガス透過性本体を備える、請求項1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項5】
前記それぞれの複数のアパーチャの各々を充填する前記複数のガス透過性本体が、前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに結合されている、請求項4に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項6】
前記ガス透過性バリアが、シリコーン、室温加硫シリコーン(RTV)、液体シリコーンゴム(LSR)、高粘度ゴム(HCR)、及び合成フラッシュ紡糸高密度ポリエチレン繊維からなる群から選択される材料から作製されている、請求項1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項7】
前記滅菌ガスが、酸化エチレンを含み、前記流動性材料が、液体及びシリコーン系局所皮膚接着剤を含む局所皮膚接着剤からなる群から選択されている、請求項1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項8】
前記エンクロージャが、
前記流体チャンバを取り囲むシリンジバレルと、
前記シリンジバレルの遠位端に位置する分注開口部と、
前記シリンジバレルの前記遠位端に位置する前記分注開口部を介して前記流動性材料を分注するために、前記シリンジバレルの前記遠位端に向かって移動可能なプランジャと、を備え、
前記ガス透過性バリアが、前記滅菌ガスが前記分注開口部を通過することを可能にする一方で、前記流動性材料が前記分注開口部を通過することを阻止するために、前記分注開口部を覆う、請求項1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項9】
前記シリンジバレルの前記遠位端に固定され、前記分注開口部を覆う、エンドキャップと、
前記滅菌ガスが前記エンドキャップを通過することを可能にするために前記エンドキャップに形成された1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部と、を更に備え、
前記ガス透過性バリアが、前記エンドキャップ内部に配設されており、前記1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部と前記シリンジバレルの前記遠位端における前記分注開口部との間に位置しており、
前記エンドキャップが、中央ハブを有し、前記エンドキャップの前記中央ハブと前記シリンジバレルの遠位端壁との間に気密シールを形成するために、前記中央ハブが、前記シリンジバレルの前記遠位端壁に係合する、請求項8に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項10】
ガス滅菌可能なシリンジであって、
第1の流体チャンバ及び第1の流体分注開口部を有する第1のシリンジバレルと、第2の流体チャンバ及び第2の流体分注開口部を有する第2のシリンジバレルと、を含む、デュアルバレルシリンジと、
前記第1のシリンジバレルの前記第1の流体チャンバ内に配設された第1のプランジャと、前記第2のシリンジバレルの前記第2の流体チャンバ内に配設された第2のプランジャと、を含む、デュアルバレルプランジャと、
前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を覆うために、前記デュアルバレルシリンジの遠位端に解放可能に固定されたエンドキャップであって、少なくとも1つのエンドキャップ開口部が内部に形成されている、エンドキャップと、
前記エンドキャップ内に配設されており、前記少なくとも1つのエンドキャップ開口部と、前記それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部との間に位置しているガス透過性バリアと、を備える、ガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項11】
ともに混合されるように構成されている第1の部分及び第2の部分を含む流動性材料を更に備え、
前記流動性材料の前記第1の部分が、前記第1のシリンジバレルの前記第1の流体チャンバ内に配設されており、
前記流動性材料の前記第2の部分が、前記第2のシリンジバレルの前記第2の流体チャンバ内に配設されており、
前記ガス透過性バリアが、前記第1のシリンジバレル及び前記第2のシリンジバレルの前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を覆い、前記ガス透過性バリアが、滅菌ガスが前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を通過することを可能にする一方で、前記流動性材料の前記第1の部分及び前記第2の部分が前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を通過することを阻止する、請求項10に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項12】
前記エンドキャップが、ハブを備え、前記ハブが、前記エンドキャップハブと前記デュアルバレルシリンジの遠位端壁との間に気密シールを形成するために、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に係合する、請求項11に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項13】
前記エンドキャップハブが、前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を受容するために開放している近位端と、前記少なくとも1つのエンドキャップ開口部を含む遠位端壁によって閉鎖された遠位端と、を有し、
前記エンドキャップが、前記エンドキャップハブの外面から外向きに延在する少なくとも1つの半径方向に延在する突出部を含み、
前記デュアルバレルシリンジが、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁から突出する少なくとも1つの固定フランジを含み、前記少なくとも1つの固定フランジが、前記エンドキャップを前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に解放可能に固定するために、前記エンドキャップハブの前記少なくとも1つの半径方向に延在する突出部に係合するように構成されている、請求項12に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項14】
前記流動性材料を前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端から圧出するように構成されたアプリケータ先端を更に備え、前記アプリケータ先端が、近位端及び遠位端を有する分注管と、前記分注管の前記近位端に固定されたアプリケータ先端コネクタと、前記分注管内に配設されたスタティックミキサと、を含み、
前記アプリケータ先端コネクタが、少なくとも1つの半径方向に延在する突出部を有し、前記突出部が、前記アプリケータ先端を前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に解放可能に固定するために、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁から突出する前記少なくとも1つの固定フランジに係合するように構成されている、請求項13に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項15】
前記ガス透過性バリアが、前記滅菌ガスに対して透過性であり、前記流動性材料の前記第1の部分及び前記第2の部分に対して不透過性である、請求項11に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項16】
前記ガス透過性バリアが、滅菌手順中に前記滅菌ガスの出入りを可能にし、前記流動性材料の前記第1の部分及び前記第2の部分が前記ガス透過性バリアを通過することを阻止するように構成されたクローズドセル気孔率を有する、請求項15に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項17】
ガス滅菌可能なシリンジであって、
第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルを含むデュアルバレルシリンジであって、
前記第1のシリンジバレルが、第1の流体チャンバと、前記第1のシリンジバレルの遠位端に位置する第1の流体分注開口部と、を含み、
前記第2のシリンジバレルが、第2の流体チャンバと、前記第2のシリンジバレルの遠位端に位置する第2の流体分注開口部と、を含み、
流動性材料の第1の部分が、前記第1のシリンジバレルの前記第1の流体チャンバ内に配設されており、
前記流動性材料の第2の部分が、前記第2のシリンジバレルの前記第2の流体チャンバ内に配設されている、デュアルバレルシリンジと、
前記デュアルバレルシリンジとともに組み立てられたデュアルバレルプランジャであって、前記第1のシリンジバレルの前記第1の流体チャンバ内に配設された第1のプランジャと、前記第2のシリンジバレルの前記第2の流体チャンバ内に配設された第2のプランジャと、を含む、デュアルバレルプランジャと、
前記それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの前記遠位端に位置する前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を覆うための、前記デュアルバレルシリンジの遠位端に解放可能に固定されたエンドキャップであって、
前記エンドキャップが、内部に形成された少なくとも1つのエンドキャップ開口部を有する、エンドキャップと、
ガス透過性バリアであって、前記エンドキャップ内に配設されており、前記少なくとも1つのエンドキャップ開口部と、前記それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの前記遠位端に位置する前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部との間に位置しており、滅菌ガスに対して透過性であり、前記流動性材料に対して不透過性であり、前記滅菌ガスが、前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を通過することを可能にする一方で、前記流動性材料の前記第1の部分及び前記第2の部分が前記ガス透過性バリアを通過することを阻止する、ガス透過性バリアと、を備える、ガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項18】
前記エンドキャップが、中央ハブを備え、前記中央ハブが、前記エンドキャップハブと前記デュアルバレルシリンジの遠位端壁との間に気密シールを形成するために、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に係合し、
前記エンドキャップの前記中央ハブが、前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を受容するために開放している近位端と、前記少なくとも1つのエンドキャップ開口部を含む遠位端壁によって閉鎖された遠位端と、を有し、
前記エンドキャップが、前記エンドキャップの前記中央ハブの外面から外向きに延在する少なくとも1つの半径方向に延在する突出部を含み、
前記デュアルバレルシリンジが、少なくとも1つの固定フランジを含み、前記少なくとも1つの固定フランジが、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁から突出しており、前記エンドキャップを前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に解放可能に固定するために、前記エンドキャップの前記少なくとも1つの半径方向に延在する突出部に係合するように構成されている、請求項17に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項19】
前記第1のシリンジバレルが、前記第1の流体チャンバを取り囲み、前記第1のシリンジバレルの前記遠位端まで延在する、円筒形状の外壁を有し、
前記第1のシリンジバレルの前記円筒形状の外壁に形成された少なくとも1つの第1の通気開口部と、
前記第1のシリンジバレルの前記円筒形状の外壁の内面に形成されており、前記少なくとも1つの第1の通気孔と前記第1のシリンジバレルの前記遠位端との間に位置している、第1の一方向プランジャ止め具と、
前記第2のシリンジバレルの前記円筒形状の外壁に形成された少なくとも1つの第2の通気開口部と、
前記第2のシリンジバレルの前記円筒形状の外壁の内面に形成されており、前記第2のシリンジバレルの前記少なくとも1つの第2の通気孔と前記第2のシリンジバレルの前記遠位端との間に位置している、第2の一方向プランジャ止め具と、を更に備える、請求項17に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【請求項20】
前記第1のプランジャが、前記第1のプランジャの遠位端に位置する第1のプランジャヘッドを有し、前記第1のプランジャヘッドが、前記第1の一方向プランジャ止め具と接触しており、前記少なくとも1つの第1の通気孔と前記第1のシリンジバレルの前記遠位端との間に位置しており、
前記第2のプランジャが、前記第2のプランジャの遠位端に位置する第2のプランジャヘッドを有し、前記第2のプランジャヘッドが、前記第2の一方向プランジャ止め具と接触しており、前記少なくとも1つの第2の通気孔と前記第2のシリンジバレルの前記遠位端との間に位置している、請求項19に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本特許出願は、2021年6月11日に出願された米国特許仮出願第63/209,434号(代理人整理番号ETH6121USPSP1)、2021年8月10日に出願された米国特許仮出願第63/231,494号(代理人整理番号ETH6132USPSP1)、及び2021年8月17日に出願された米国特許仮出願第63/233,910号(代理人整理番号ETH6120USPSP1)の利益を主張するものであり、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本特許出願は、本特許出願と同時に提出された、同一出願人による米国特許出願公開第17/667,969号(代理人整理番号ETH6141USNP1)に関するものであり、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本特許出願は、概して、医療デバイスに関し、より具体的には、流動性材料を吐出するために使用されるシリンジに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の記載)
患者を保護し、処置後の治癒及び回復を促進するために、外科処置を行うときに滅菌状態を維持することが重要である。また、外科処置中に使用される医療デバイス、器具、及び構成要素を滅菌することも必要である。
【0004】
したがって、滅菌医療デバイス及び外科用器具を提供することを対象とする多くの取り組みがなされてきた。いくつかの例では、医療デバイス及び外科用器具は、滅菌されるためにパッケージ及び容器の内部に配置される。例えば、Bagozziらへの米国特許第7,909,249号は、医療デバイスを保持するように設計されたスチーム滅菌可能な装置を開示している。装置は、カプセル内部に配置される医療デバイスの形状に適合する形状を有するカプセルを含む。装置は、カプセルと協働して医療デバイスを収容するように構成されたエンクロージャを含む。カプセル及び/又はエンクロージャは、医療デバイス(例えば、インプラント)を滅菌するために、蒸気が装置に出入りすることを可能にする開口部を含み得る。
【0005】
Mermetらへの米国特許第8,276,348号は、滅菌のために1つ又は2つ以上の物体を保持するように設計された容器を開示している。容器は、入口開口部及び排出開口部を有し、これらの開口部を通って、1つ又は2つ以上の物体が容器に出入りすることができる。容器は、小さい穴が開けられた周壁を有する剛性部分と、滅菌流体に対して多孔性であり、微生物汚染に対して非多孔性である非剛性部分と、を含む。容器の剛性部分の開口部及び非剛性部分の気孔率は、剛性部分及び非剛性部分の内側、並びに剛性部分内に収容された1つ又は2つ以上の物体の周りでの滅菌流体の十分な拡散を可能にする。
【0006】
Wallaceへの米国特許第4,154,342号は、医療器具又は外科用器具用の滅菌可能なパッケージを開示している。パッケージは、多孔性プラスチックから作製されたフィルタ要素を含む、剛性又は半剛性容器を含み、フィルタ要素は、滅菌ガスの通過を可能にする一方で、細菌がパッケージ内に進入することを阻止するように適合されている。
【0007】
国際公開第2014/187779号は、事前充填されたシリンジの表面を滅菌する方法を開示している。シリンジは、ガス透過性である1つ又は2つ以上の材料から構成されるパッケージ内部に配置される。滅菌方法は、摂氏15~50度の低温で行われる。
【0008】
Luらへの米国特許第10,710,759号は、事前充填された医療デバイスをパッケージングする方法を開示している。本方法は、1つ又は2つ以上の医療デバイスを保持することができる区画を画定するフロントパネル及びバックパネルを有するパッケージを製造することを含む。フロントパネル又はトップパネルの少なくとも1つは、ガス透過性材料を含む部分を有し、パウチの残りの部分はガス不透過性である。ガス透過性材料は、滅菌ガスが材料を通過し、区画内に収容された1つ又は2つ以上の物品に接触することを可能にする。滅菌が完了すると、パウチは密封され、ガス透過性部分は、完全にガス不透過性のパウチに封入された滅菌された医療デバイスを残して切り取られる。
【0009】
また、滅菌のために医療デバイスを容器内部に配置することなく医療デバイスを滅菌することを対象とする取り組みもなされてきた。例えば、Fischerらへの米国特許第8,617,483号は、流動性インプラント材料が密封シリンジ内部にパッケージングされた後に、流動性インプラント材料を滅菌するシステムを開示している。システムは、シリンジ内に嵌合し、シリンジの外部の大気と流体連通する多孔性スリーブを含む。多孔性スリーブを流動性インプラント材料に隣接して配置することにより、容器の開放端に位置する、ガスを透過させるように抵抗が最低の経路を作り出し、密封されたシリンジ内部にパッケージングされた流動性インプラント材料を通る最大ガス透過長さが効果的に減少し、これにより流動性インプラント材料がシリンジ内部にある間に流動性インプラント材料をガス状薬剤によって滅菌することが可能になる。
【0010】
Sodhiへの米国特許第10,064,990号は、ガス又は放射線によって滅菌可能な流体経路を有するシリンジアセンブリを開示している。シリンジアセンブリは、プランジャロッドと、シリンジバレルと、放射線又はガスによる流体経路の一部の滅菌を可能にする第1のキャップ及び第2のキャップと、を含む。流体経路の滅菌を提供する構造的特徴によって、シリンジアセンブリを取り囲む外部パッケージング材料を必要とせずに、流体経路を滅菌されたままにすることが可能になる。
【0011】
Winnへの米国特許第8,435,217号は、二液型ポリマーのためのガス滅菌可能な送達システムを開示している。送達システムは、少なくとも2つのシリンジバレルを含み、各バレルは、アセンブリをガス滅菌するために滅菌剤ガスがプランジャシールを通して透過することを可能にするガス透過性プランジャシールで密封される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の進歩にもかかわらず、シリンジ及びシリンジに装填される材料を容易かつ効果的に滅菌し、シリンジ及び事前装填された材料を医療処置の前及び間滅菌状態に維持するためのシステム、デバイス、及び方法が引き続き必要とされている。
【0013】
また、相対的に高い粘度(例えば、1,000,000センチポアズまで)を有する前駆体(例えば、シリコーン系ポリマー)を分注するために使用され得、それによって、組織接着剤を形成するように前駆体を接合(例えば、混合)することができる、低コストで調達が容易な滅菌可能なシリンジが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、流体チャンバを画定する1つ又は2つ以上の壁を有するエンクロージャと、流体チャンバ内に配設された粘性のある流動性材料(例えば、シリコーン系ポリマー、組織接着剤を形成するために使用される前駆体)と、を含む。
【0015】
一実施形態では、エンクロージャは、好ましくは、粘性のある流動性材料を分注するために移動可能なプランジャ(例えば、ピストンを有するシリンジプランジャ)を含む。
【0016】
一実施形態では、エンクロージャは、望ましくは、流体チャンバと流体連通するエンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに形成された複数のマイクロアパーチャを含む。マイクロアパーチャは、好ましくは、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)がマイクロアパーチャを通過することを可能にする一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの幾何学形状及び/又はサイズ(例えば、断面直径)を有する。したがって、マイクロアパーチャは、好ましくは、滅菌ガスが通過することを可能にするほど大きいが、粘性のある流動性材料を分注するために正圧が加えられたときに粘性のある流動性材料がマイクロアパーチャから漏出するのを阻止するほど小さい。
【0017】
一実施形態では、エンクロージャは、遠位端壁を有するシリンジバレルと、シリンジバレルの遠位端壁から突出する分注先端と、分注先端の遠位端に固定されたエンドキャップと、プランジャの遠位端に固定されたピストンと、を含むことができる。
【0018】
一実施形態では、マイクロアパーチャは、好ましくは約0.1ミクロン~約25ミクロン、より好ましくは約1ミクロンの内径IDを有する。
【0019】
一実施形態では、粘性のある流動性材料は、好ましくは約1,000~100,000センチポアズ、より好ましくは約2,000~75,000センチポアズ、更により好ましくは約30,000~60,000センチポアズの粘度を有する。
【0020】
一実施形態では、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)は、エンクロージャの1つ又は2つ以上の壁に形成されたマイクロアパーチャを通過して、流体チャンバ内に配設された粘性のある流動性材料を滅菌することができる。しかしながら、分注動作中、粘性のある流動性材料が正圧下で分注されているとき、流動性材料の粘度が相対的に高いので、流動性材料がマイクロアパーチャを通過すること及び/又はマイクロアパーチャから漏出することを阻止する。
【0021】
一実施形態では、滅菌可能なシリンジは、シリンジバレル、シリンジプランジャ、ピストン、分注先端、及び/又は望ましくは分注先端の遠位端にある分注開口部を覆うエンドキャップの1つ若しくは2つ以上の壁に形成されたマイクロアパーチャ又はマイクロ穴を含み得る。
【0022】
一実施形態では、マイクロアパーチャは、種々のシステム、デバイス、及び方法を使用して、シリンジの1つ又は2つ以上の構成要素内に形成され得る。例えば、一実施形態では、シリンジの1つ又は2つ以上の構成要素にマイクロアパーチャをレーザ穿孔するために、レーザデバイスが使用され得る。
【0023】
一実施形態では、特にポリマー材料又はガラスのレーザ穿孔は、非常に高速で費用効果が高く、レーザドリルを使用して短時間(例えば、数秒)内にシリンジに多くのマイクロアパーチャを穿孔又は形成し得る。
【0024】
一実施形態では、マイクロドリルなどの機械構成要素を使用して、シリンジの1つ又は2つ以上の構成要素にマイクロアパーチャを形成することができる。
【0025】
一実施形態では、加熱されたプローブを使用してシリンジにマイクロアパーチャを形成することができ、それによって、加熱されたプローブを使用して材料(例えば、ポリマー材料)を溶融してマイクロアパーチャを形成する。
【0026】
一実施形態では、水ジェットを使用して、シリンジの1つ又は2つ以上の構成要素にマイクロアパーチャを形成することができる。
【0027】
一実施形態では、粘性のある流動性材料は、好ましくは、組織接着剤を作製するために使用される高粘度前駆体である。組織接着剤を作製するために使用される粘性前駆体(例えば、シリコーンポリマー)は、約0.1ミクロン~約25ミクロン、より好ましくは約1ミクロンの直径を有する非常に狭いマイクロアパーチャを通って漏出することがない。それぞれのマイクロアパーチャの直径は、使用される真空及び使用される圧力において、粘性のある流動性材料(例えば、シリコーン流体)がマイクロアパーチャを通って漏出することができるが、マイクロアパーチャの量/面積密度が、滅菌ガス(例えば、酸化エチレンガス)がシリンジ内に浸透することを可能にして、シリンジ及び封入された粘性のある流動性材料を滅菌するのに十分な量/面積密度になるように選択される。
【0028】
一実施形態では、シリンジバレルは、好ましくは、シリンジバレルの近位端から遠位端まで延在する円筒形壁を有する。
【0029】
一実施形態では、シリンジバレルは、ポリマー材料又はガラスから作製され得る。
【0030】
一実施形態では、エンクロージャのマイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかは、シリンジバレルの円筒形状の外壁に形成される。
【0031】
一実施形態では、シリンジは、好ましくは、シリンジバレルの遠位端を部分的に閉鎖する遠位端壁を含む。一実施形態では、遠位端壁は、好ましくは、シリンジバレル内に装填された粘性のある流動性材料を分注するための開口部を有する。
【0032】
一実施形態では、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかは、シリンジバレルの遠位端壁に形成される。
【0033】
一実施形態では、遠位端壁に形成されたマイクロアパーチャは、流体チャンバと流体連通しており、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)が通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌するが、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれのサイズを有する。
【0034】
一実施形態では、シリンジは、粘性のある流動性材料を分注するためにシリンジバレルの遠位端壁から突出している分注先端を含む。
【0035】
一実施形態では、分注先端は、流体チャンバと流体連通する導管を画定する管状外壁を含む。
【0036】
一実施形態では、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかは、分注先端の管状外壁に形成される。分注先端マイクロアパーチャは、望ましくは、流体チャンバと流体連通している。
【0037】
一実施形態では、分注先端の管状外壁に形成されたマイクロアパーチャは、流体チャンバと流体連通しており、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)がマイクロアパーチャを通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料がマイクロアパーチャを通過することを阻止する、それぞれのサイズを有する。
【0038】
一実施形態では、シリンジは、好ましくは、分注先端の外壁の遠位端に固定されたエンドキャップを含む。
【0039】
一実施形態では、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかはエンドキャップに形成される。
【0040】
一実施形態では、エンドキャップに形成されたマイクロアパーチャは、流体チャンバと流体連通しており、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)が通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの形状又はサイズ(例えば、断面直径)を有する。
【0041】
一実施形態では、シリンジプランジャは、流体チャンバを画定するシリンジバレルの円筒形壁の内面に係合する外周を有するピストンを含む遠位端を有する。
【0042】
一実施形態では、エンクロージャのマイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかは、ピストンに形成される。
【0043】
一実施形態では、ピストンに形成されたマイクロアパーチャは、流体チャンバと流体連通しており、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)が通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの幾何学形状又はサイズ(例えば、断面直径)を有する。
【0044】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジのエンクロージャは、好ましくは、近位端と、遠位端と、エンクロージャの近位端と遠位端との間に延在する長手方向軸と、を有する。
【0045】
一実施形態では、エンクロージャに形成されたマイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかは、好ましくは、エンクロージャの長手方向軸に垂直なそれぞれの軸に沿って延在する。
【0046】
一実施形態では、エンクロージャに形成されたマイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかは、好ましくは、シリンジバレルの長手方向軸と平行であるそれぞれの軸に沿って延在する。
【0047】
一実施形態では、エンクロージャに形成されたマイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかは、好ましくは、シリンジバレルの長手方向軸に対して斜めであるそれぞれの軸に沿って延在する。
【0048】
一実施形態では、エンクロージャ内に形成されたマイクロアパーチャは、エンクロージャの近位端に隣接して位置する。
【0049】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、シリンジに形成されたマイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆う微孔質層、フィルム、又はスリーブ(以下、「微孔質層」と称される)を含むことができる。微孔質層(例えば、TYVEK(登録商標)又はTYVEK様材料から作製されている)は、滅菌ガスが通過することを可能にする一方で、エンクロージャの流体チャンバ内に配設された粘性のある流動性材料が通過することを阻止する。微孔質層は、フラッシュ紡糸高密度ポリエチレン繊維から作製された合成材料などの合成材料であり得る。
【0050】
一実施形態では、微孔質層は、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つの外面(例えば、シリンジバレルの円筒形壁の外面)を覆う。
【0051】
一実施形態では、微孔質層は、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つの内面(例えば、シリンジバレルの円筒形壁の内面)を覆う。
【0052】
一実施形態では、微孔質層は、好ましくは、滅菌ガスが、微孔質層及び微孔質層によって覆われた1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャを通過することを可能にするために、滅菌可能なシリンジの構成要素に形成された1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャを覆う。
【0053】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、エンクロージャ(例えば、シリンジバレル)の外壁の外面を覆う保護スリーブ(例えば、非多孔性スリーブ)を含み得る。
【0054】
一実施形態では、シリンジバレルは、円筒形状を有する外壁を有し、保護スリーブは、シリンジバレルの円筒形状の外壁に適合する円筒形状を有する。
【0055】
一実施形態では、保護スリーブは、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆うための伸長位置と、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆わずに露出させるための後退位置との間で移動可能である。一実施形態では、滅菌可能なシリンジは、滅菌ガスが覆われていないマイクロアパーチャを通過することができるように、保護スリーブが後退位置にある状態で滅菌される。滅菌後、保護スリーブは、シリンジをパッケージング、出荷、貯蔵、及び/又は使用する間マイクロアパーチャを覆うために伸長位置に移動され得る。一実施形態では、保護スリーブは、伸長位置において、粘性のある流動性材料がマイクロアパーチャを通して漏出することを阻止するように、マイクロアパーチャのうちの1つ又は2つ以上を覆い得る。
【0056】
一実施形態では、マイクロアパーチャは、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つを完全に通って、壁の外面から内面まで延在し得る。
【0057】
一実施形態では、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つは、望ましくは、外面及び内面を有し、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかは、壁の外面において露出された開放外端と、壁の内面から離隔された閉鎖内端と、を有する、ブラインド開口部を含み得る。
【0058】
一実施形態では、エンクロージャの壁は、好ましくは、マイクロアパーチャのブラインド開口部の閉鎖内端とエンクロージャの壁の内面との間に位置する膜を含む。膜は、好ましくは、滅菌ガスを通過させるほど薄いが、粘性のある流動性材料がマイクロアパーチャを通過及び/又は漏出するのを阻止するほど厚い。
【0059】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、流体チャンバを画定及び/又は取り囲む外壁を有するシリンジバレルと、流体チャンバ内に配設された粘性のある流動性材料と、シリンジバレルとともに組み立てられたシリンジプランジャと、を含む。
【0060】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、望ましくは、流体チャンバと流体連通するシリンジバレルの外壁に形成された複数のマイクロアパーチャを含む。
【0061】
一実施形態では、複数のマイクロアパーチャは、粘性のある流動性材料に加えられる正圧を生成するためにプランジャが使用される分注動作中などに、滅菌ガスがマイクロアパーチャを通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料がマイクロアパーチャを通過及び/又は漏出することを阻止する、それぞれの形状及び/又はサイズ(例えば、断面直径)を有する。
【0062】
一実施形態では、マイクロアパーチャは、シリンジバレルの外壁の外面から内面まで延在するそれぞれの開口部を有する。
【0063】
一実施形態では、マイクロアパーチャのそれぞれの開口部は、0.1~25ミクロンの内径を有する。
【0064】
一実施形態では、マイクロアパーチャのそれぞれの開口部は、1ミクロンの内径を有する。
【0065】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、シリンジバレルの外壁の表面を覆い、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆う微孔質層を含む。
【0066】
一実施形態では、微孔質層は、好ましくは、滅菌ガスが通過することを可能にする一方で、粘性のある流動性材料が通過及び/又は漏出することを阻止する。
【0067】
一実施形態では、微孔質層は、フラッシュ紡糸高密度ポリエチレン繊維のブランドである、TYVEK(登録商標)という商標で販売されている材料、又はTYVEK(登録商標)ブランドに構造及び機能が類似している合成材料であり得る。
【0068】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、シリンジバレルの外壁の外面を覆う保護スリーブを含む。
【0069】
一実施形態では、保護スリーブは、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆うための伸長位置と、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆わずに露出させるための後退位置との間で移動可能である。
【0070】
一実施形態では、マイクロアパーチャは、シリンジバレルの外壁の外面からシリンジバレルの外壁の内面まで、シリンジバレルの外壁を完全に通って延在している。
【0071】
一実施形態では、マイクロアパーチャは、シリンジバレルの外壁の外面に露出された開放外端と、流体チャンバを画定するシリンジバレルの外壁の内面から離隔された閉鎖内端と、を有する、ブラインド開口部を含む。
【0072】
一実施形態では、シリンジバレルの外壁は、好ましくは、マイクロアパーチャのブラインド開口部の閉鎖内端とシリンジバレルの外壁の内面との間に位置する膜を含む。滅菌ガスは、膜を通って拡散し得るが、粘性のある流動性材料は、膜を通過し得ない。
【0073】
一実施形態では、シリンジプランジャは、ピストンを含む遠位端を有し、ピストンは、流体チャンバ内に配設されており、粘性のある流動性材料に係合する。
【0074】
一実施形態では、シリンジバレルの外壁は、マイクロアパーチャのうちのいくつかを含む円筒形壁を含む。
【0075】
一実施形態では、シリンジバレルは、好ましくは、流体チャンバと流体連通するマイクロアパーチャが形成された遠位端壁を含む。
【0076】
一実施形態では、遠位端壁に形成されたマイクロアパーチャは、好ましくは、滅菌ガスが通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの幾何学形状及び/又はサイズを有する。
【0077】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、シリンジバレルの遠位端壁から突出し、シリンジバレルの流体チャンバと流体連通する分注先端を含む。
【0078】
一実施形態では、分注先端は、好ましくは、流体チャンバと流体連通するマイクロアパーチャが形成された外壁を有する。
【0079】
一実施形態では、分注先端に形成されたマイクロアパーチャは、好ましくは、滅菌ガスが通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの幾何学形状及び/又はサイズを有する。
【0080】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、分注先端の遠位端に接続されたエンドキャップを含み得る。エンドキャップは、粘性のある流動性材料を分注する前に分注先端から取り外され得る。
【0081】
一実施形態では、エンドキャップは、内部に形成されており、流体チャンバと流体連通する、エンドキャップマイクロアパーチャを含み得る。
【0082】
一実施形態では、エンドキャップに形成されたマイクロアパーチャは、好ましくは、滅菌ガスが通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの幾何学形状及び/又はサイズを有する。
【0083】
一実施形態では、ピストンは、流体チャンバを画定するシリンジバレルの壁の内面に係合する外周を有する。
【0084】
一実施形態では、ピストンは、好ましくは、内部に形成されており、流体チャンバと流体連通するためにピストンを通って延在する、ピストンマイクロアパーチャを含む。
【0085】
一実施形態では、ピストンに形成されたマイクロアパーチャは、好ましくは、滅菌ガスが通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料がピストンを通過することを阻止する、それぞれの形状及び/又はサイズを有する。
【0086】
一実施形態では、1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャが、シリンジプランジャのピストンに穿孔され得る。一実施形態では、ピストンに形成されたマイクロアパーチャを介して逃げる任意の流動性材料は、好ましくは、ユーザの手に接触しないように、シリンジバレルの後方/近位区分内に捕捉される。
【0087】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、円筒形状の外壁と、円筒形状の外壁の遠位端を閉鎖する遠位端壁と、を有する、シリンジバレルを含む。
【0088】
一実施形態では、円筒形状の外壁及び遠位端壁は、シリンジバレルの流体チャンバを画定する。
【0089】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、遠位端壁から突出する分注先端を含む。分注先端は、好ましくは、流体チャンバと流体連通する導管を有する。
【0090】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、分注先端の遠位端を覆うエンドキャップを有する。
【0091】
一実施形態では、粘性のある流動性材料は、シリンジバレルの流体チャンバ内に配設されており、シリンジプランジャは、シリンジバレルとともに組み立てられ、分注先端の遠位端から粘性のある流動性材料を分注するために、シリンジバレルの遠位端壁に向かって移動可能である。
【0092】
一実施形態では、複数のマイクロアパーチャが、流体チャンバと流体連通するシリンジバレルの円筒形状の外壁に形成され得る。一実施形態では、マイクロアパーチャは、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)が通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの幾何学形状及び/又はサイズ(例えば、断面直径)を有する。
【0093】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆う微孔質層を含み、それによって、微孔質層は、滅菌ガスが通過することを可能にして、粘性のある流動性材料を滅菌する一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する。
【0094】
一実施形態では、微孔質層は、シリンジバレルの円筒形壁の外面と接触している。
【0095】
一実施形態では、微孔質層は、シリンジバレルの円筒形壁の内面と接触している。
【0096】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、シリンジバレルの流体チャンバと流体連通する遠位端壁マイクロアパーチャが形成された遠位端壁を含むことができる。
【0097】
一実施形態では、遠位端壁マイクロアパーチャは、滅菌ガスが通過することを可能にする一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの断面直径を有する。
【0098】
一実施形態では、微孔質層は、遠位端壁マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆い得る。
【0099】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、シリンジバレルの流体チャンバと流体連通する分注先端マイクロアパーチャが外壁に形成された分注先端を含み得る。
【0100】
一実施形態では、分注先端マイクロアパーチャは、滅菌ガスが通過することを可能にする一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの断面直径を有する。
【0101】
一実施形態では、微孔質層は、分注先端に形成されたマイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆い得る。
【0102】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、シリンジバレルの流体チャンバと流体連通するエンドキャップマイクロアパーチャが形成されたエンドキャップを含む。
【0103】
一実施形態では、エンドキャップに形成されたマイクロアパーチャは、滅菌ガスが通過することを可能にする一方で、粘性のある流動性材料が通過することを阻止する、それぞれの幾何学形状及び/又はサイズ(例えば、断面直径)を有する。
【0104】
一実施形態では、微孔質層は、好ましくは、エンドキャップに形成されたマイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆う。
【0105】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、シリンジバレルの円筒形状の外壁の外面を覆う保護スリーブを含むことができる。
【0106】
一実施形態では、保護スリーブは、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆うための伸長位置と、マイクロアパーチャのうちの少なくともいくつかを覆わずに露出させるための後退位置との間で移動可能である。
【0107】
一実施形態では、滅菌可能なシリンジは、エンクロージャの遠位端を部分的に閉じる遠位端壁を有するシリンジバレルなどのエンクロージャ、エンクロージャ内部シールを形成するピストンを有するシリンジプランジャ、分注先端、及び分注先端の遠位端を覆うように構成されたエンドキャップなどの様々な構成要素を含むことができる。
【0108】
一実施形態では、エンクロージャは、ポリマー材料及び/又はガラスで作製されているシリンジ又はバイアルであり得る。
【0109】
一実施形態では、ピストンは、ポリマー材料及び/又はゴムから作製され得る。
【0110】
一実施形態では、シリンジは、好ましくは、組織接着剤を形成するために使用され得る前駆体及び/又は成分(例えば、シリコーン系ポリマー)等の粘性のある流動性材料、より好ましくは、組織接着剤を作製するために使用され得る高粘度の流動性前駆体(例えば、シリコーン系ポリマー)を分注するように設計される。
【0111】
一実施形態では、シリンジバレルの外壁に形成されたマイクロアパーチャは、好ましくは、分注手順の開始時にシリンジバレルの近位端においてピストンの場所の近くに位置し、それにより、ピストンがシリンジバレルの遠位端に向かって遠位に前進すると、ピストンは、マイクロアパーチャがないシリンジバレルの外壁の領域内に移動して、流動性材料の漏出を阻止し(ピストンがマイクロアパーチャに対して遠位に移動しているため)、流動性材料の連続的な圧出を提供する。
【0112】
一実施形態では、シリンジに形成されるマイクロアパーチャは、ブラインドマイクロアパーチャであり得、流体チャンバを画定する壁を完全に通って穿孔されてはおらず、それによって、壁の小部分を、シリンジバレル内に装填された粘性のある流動性材料を滅菌するための滅菌ガス(例えば、酸化エチレンガス)によって透過され得る非常に薄い膜として無傷のまま残す。
【0113】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、流体チャンバを画定する壁を有するエンクロージャと、エンクロージャの流体チャンバ内に配設された流動性材料と、エンクロージャとともに組み立てられ、エンクロージャから流動性材料を分注するためにエンクロージャの遠位端に向かって移動可能なプランジャと、を含む。
【0114】
一実施形態では、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに1つ又は2つ以上のアパーチャを形成することができる。一実施形態では、ガス透過性バリアが、滅菌ガスがガス透過性バリアによって覆われたアパーチャのうちの少なくとも1つを通過することを可能にする一方で、流動性材料がガス透過性バリアによって覆われたアパーチャのうちの少なくとも1つを通過することを阻止するために、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに形成されたアパーチャのうちの少なくとも1つを覆う。
【0115】
一実施形態では、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに形成されたアパーチャのうちの少なくとも1つを覆うガス透過性バリアは、滅菌ガスに対して透過性であり、エンクロージャの流体チャンバ内に配設された流動性材料に対して不透過性である。
【0116】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、滅菌手順の間滅菌ガスの出入りを可能にするほど高いが、流動性材料がガス透過性バリアを通過することを阻止するほど低い、気孔率を有する。
【0117】
一実施形態では、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに形成された1つ又は2つ以上のアパーチャは、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに形成された複数のアパーチャを含む。
【0118】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに形成されたそれぞれの複数のアパーチャの各々を充填する複数のガス透過性本体を備える。
【0119】
一実施形態では、それぞれの複数のアパーチャの各々を充填する複数のガス透過性本体は、エンクロージャの壁のうちの少なくとも1つに結合される。
【0120】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、シリコーン、室温加硫シリコーン(room temperature vulcanized silicone、RTV)、液体シリコーンゴム(liquid silicone rubber、LSR)、高粘度ゴム(high consistency rubber、HCR)、及び合成フラッシュ紡糸高密度ポリエチレン繊維(例えば、TYVEK(登録商標)層)から作製され得る。
【0121】
一実施形態では、滅菌ガスは、酸化エチレンを含み得、流動性材料は、液体、局所皮膚接着剤、及び/又はシリコーン系局所皮膚接着剤を含み得る。
【0122】
一実施形態では、エンクロージャは、流体チャンバを取り囲むシリンジバレルと、シリンジバレルの遠位端に位置する分注開口部と、シリンジバレルの遠位端に位置する分注開口部を介して流動性材料を分注するためにシリンジバレルの遠位端に向かって移動可能なプランジャと、を含むことができる。
【0123】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、滅菌ガスが分注開口部を通過することを可能にする一方で、流動性材料が分注開口部を通過することを阻止するために、分注開口部を覆う。
【0124】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、シリンジバレルの遠位端に固定され、分注開口部を覆うエンドキャップを含み得る。一実施形態では、1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部がエンドキャップに形成され、滅菌ガスがエンドキャップを通過することを可能にし得る。
【0125】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、エンドキャップ内部に配設され、1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部とシリンジバレルの遠位端の分注開口部との間に位置している。
【0126】
一実施形態では、エンドキャップは、中央ハブを有し、中央ハブは、エンドキャップの中央ハブとシリンジバレルの遠位端壁との間に気密シールを形成するために、シリンジバレルの遠位端壁に係合する。
【0127】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、望ましくは、第1の流体チャンバ及び第1の流体分注開口部を有する第1のシリンジバレルと、第2の流体チャンバ及び第2の流体分注開口部を有する第2のシリンジバレルと、を含む、デュアルバレルシリンジを含む。
【0128】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、第1のシリンジバレルの第1の流体チャンバ内に配設された第1のプランジャと、第2のシリンジバレルの第2の流体チャンバ内に配設された第2のプランジャと、を含む、デュアルバレルプランジャを含み得る。
【0129】
一実施形態では、エンドキャップは、第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部を覆うために、デュアルバレルシリンジの遠位端に解放可能に固定されている。
【0130】
一実施形態では、エンドキャップは、内部に形成された少なくとも1つのエンドキャップ開口部を有する。
【0131】
一実施形態では、ガス透過性バリアが、エンドキャップ内に配設されており、少なくとも1つのエンドキャップ開口部と、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部との間に位置している。
【0132】
一実施形態では、流動性材料は、互いに混合されるように構成された第1の部分及び第2の部分を含む。一実施形態では、流動性材料の第1の部分は、第1のシリンジバレルの第1の流体チャンバ内に配設されており、流動性材料の第2の部分は、第2のシリンジバレルの第2の流体チャンバ内に配設されている。
【0133】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、望ましくは、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部を覆う。ガス透過性バリアは、滅菌ガスが第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部を通過することを可能にする一方で、流動性材料の第1の部分及び第2の部分が第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部を通過することを阻止する。
【0134】
一実施形態では、エンドキャップは、ハブを含み、ハブは、エンドキャップハブとデュアルバレルシリンジの遠位端壁との間に気密シールを形成するために、デュアルバレルシリンジの遠位端壁に係合する。
【0135】
一実施形態では、エンドキャップハブは、第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部を受容するために開放している近位端と、少なくとも1つのエンドキャップ開口部を含む遠位端壁によって閉鎖された遠位端と、を有する。
【0136】
一実施形態では、エンドキャップは、好ましくは、エンドキャップハブの外面から外向きに延在する少なくとも1つの半径方向に延在する突出部を含む。
【0137】
一実施形態では、デュアルバレルシリンジは、望ましくは、デュアルバレルシリンジの遠位端壁から突出する少なくとも1つの固定フランジを含む。少なくとも1つの固定フランジは、エンドキャップをデュアルバレルシリンジの遠位端壁に解放可能に固定するために、エンドキャップハブの少なくとも1つの半径方向に延在する突出部に係合するように構成される。
【0138】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、望ましくは、デュアルバレルシリンジの遠位端から流動性材料を圧出するように構成されたアプリケータ先端を含む。アプリケータ先端は、望ましくは、近位端及び遠位端を有する分注管と、分注管の近位端に固定されたアプリケータ先端コネクタと、分注管内に配設されたスタティックミキサと、を含む。
【0139】
一実施形態では、アプリケータ先端コネクタは、好ましくは、少なくとも1つの半径方向に延在する突出部を有し、少なくとも1つの半径方向に延在する突出部は、アプリケータ先端をデュアルバレルシリンジの遠位端壁に解放可能に固定するために、突出部デュアルバレルシリンジの遠位端壁から突出する少なくとも1つの固定フランジに係合するように構成されている。
【0140】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、滅菌ガスに対して透過性であり、流動性材料の第1の部分及び第2の部分に対して不透過性である。したがって、滅菌ガスはガス透過性バリアを通って流れることができるが、流動性材料の第1の部分及び第2の部分はガス透過性バリアを通って流れることができない。
【0141】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、滅菌手順中に滅菌ガスの出入りを可能にするほど高いが、流動性材料の第1の部分及び第2の部分がガス透過性バリアを通過することを阻止するほど低い、気孔率を有する。
【0142】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、望ましくは、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルを含むデュアルバレルシリンジを含む。第1のシリンジバレルは、好ましくは、第1の流体チャンバと、第1のシリンジバレルの遠位端に位置する第1の流体分注開口部と、を含み、第2のシリンジバレルは、好ましくは、第2の流体チャンバと、第2のシリンジバレルの遠位端に位置する第2の流体分注開口部と、を含む。
【0143】
一実施形態では、流動性材料の第1の部分は、第1のシリンジバレルの第1の流体チャンバ内に配設されており、流動性材料の第2の部分は、第2のシリンジバレルの第2の流体チャンバ内に配設されている。
【0144】
一実施形態では、デュアルバレルプランジャが、デュアルバレルシリンジとともに組み立てられている。デュアルバレルプランジャは、好ましくは、第1のシリンジバレルの第1の流体チャンバ内に配設された第1のプランジャと、第2のシリンジバレルの第2の流体チャンバ内に配設された第2のプランジャと、を含む。
【0145】
一実施形態では、エンドキャップは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの遠位端に位置する第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部を覆うために、デュアルバレルシリンジの遠位端に解放可能に固定され得る。一実施形態では、エンドキャップには、少なくとも1つのエンドキャップ開口部が形成されている。
【0146】
一実施形態では、ガス透過性バリアが、エンドキャップ内に配設されており、少なくとも1つのエンドキャップ開口部と、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの遠位端に位置している第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部との間に位置している。ガス透過性バリアは、滅菌ガスに対して透過性であり、流動性材料に対して不透過性であり、滅菌ガスが第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部を通過することを可能にする一方で、流動性材料の第1の部分及び第2の部分が第の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部及び/又はガス透過性バリアを通過することを阻止する。
【0147】
一実施形態では、エンドキャップは、望ましくは、中央ハブを含み、中央ハブは、エンドキャップハブとデュアルバレルシリンジの遠位端壁との間に気密シールを形成するために、デュアルバレルシリンジの遠位端壁に係合する。
【0148】
一実施形態では、エンドキャップの中央ハブは、第1の流体分注開口部及び第2の流体分注開口部を受容するために開放している近位端と、少なくとも1つのエンドキャップ開口部を含む遠位端壁によって閉鎖された遠位端と、を有する。
【0149】
一実施形態では、エンドキャップは、エンドキャップの中央ハブの外面から外向きに延在する少なくとも1つの半径方向に延在する突出部を含む。
【0150】
一実施形態では、デュアルバレルシリンジは、望ましくは、デュアルバレルシリンジの遠位端壁から突出する少なくとも1つの固定フランジを含み、少なくとも1つの固定フランジは、エンドキャップをデュアルバレルシリンジの遠位端壁に解放可能に固定するために、エンドキャップの少なくとも1つの半径方向に延在する突出部に係合するように構成される。
【0151】
一実施形態では、第1のシリンジバレルは、好ましくは、第1の流体チャンバを取り囲み、第1のシリンジバレルの遠位端まで延在する円筒形状の外壁を有する。
【0152】
一実施形態では、少なくとも1つの第1の通気開口部が、第1のシリンジバレルの円筒形状の外壁に形成される。
【0153】
第1のシリンジバレルの円筒形状の外壁の内面に、第1の一方向プランジャ止め具が形成され得る。第1の一方向プランジャ止め具は、少なくとも1つの第1の通気孔と第1のシリンジバレルの遠位端との間に位置し得る。
【0154】
一実施形態では、少なくとも1つの第2の通気開口部が、第2のシリンジバレルの円筒形状の外壁に形成される。
【0155】
第2の一方向プランジャ止め具は、第2のシリンジバレルの円筒形状の外壁の内面に形成され得る。第2の一方向プランジャ止め具は、第2のシリンジバレルの少なくとも1つの第2の通気孔と第2のシリンジバレルの遠位端との間に位置し得る。
【0156】
一実施形態では、第1のプランジャは、好ましくは、第1のプランジャの遠位端に位置する第1のプランジャヘッドを含む。一実施形態では、第1のプランジャヘッドは、第1の一方向プランジャ止め具と接触しており、少なくとも1つの第1の通気孔と第1のシリンジバレルの遠位端との間に位置している。
【0157】
一実施形態では、第2のプランジャは、好ましくは、第2のプランジャの遠位端に位置する第2のプランジャヘッドを含む。一実施形態では、第2のプランジャヘッドは、第2の一方向プランジャ止め具と接触しており、少なくとも1つの第2の通気孔と第2のシリンジバレルの遠位端との間に位置している。
【0158】
一実施形態では、流動性材料(例えば、液体、シリコーン系局所皮膚接着剤)で充填されるように構成されたエンクロージャ(例えば、シリンジ、バイアル)は、ガス透過性であり、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)がエンクロージャに流入することを可能にする一方で、エンクロージャ内に収容された流動性材料の漏出を阻止する液体密封能力を維持する。エンクロージャは、ポリマー材料及び/又はガラスで作製され得る。
【0159】
一実施形態では、エンクロージャは、1つ又は2つ以上の壁と、壁のうちの少なくとも1つに形成された1つ又は2つ以上のアパーチャと、を有する。一実施形態では、アパーチャのうちの少なくとも1つは、ガス透過性バリア(例えば、ガス透過性プラグ、ガス透過性塊、ガス透過性シール)で充填され、ガス透過性バリアは、滅菌ガスがガス透過性バリアを通過することを可能にして、エンクロージャの内容物(例えば、流動性材料)を滅菌する一方で、エンクロージャの内容物がエンクロージャから漏出することを阻止する。
【0160】
一実施形態では、流動性材料のためのエンクロージャは、複数のアパーチャを有し、各アパーチャは、ガス透過性塊で充填されている。
【0161】
一実施形態では、ガス透過性塊は、滅菌ガスに対して透過性であり、流動性材料(例えば、液体、流動性局所皮膚接着剤)に対して不透過性である。
【0162】
一実施形態では、液体組成物のためのエンクロージャは、ガス滅菌を可能にするように構成されている。エンクロージャは、エンクロージャ上の任意の場所に形成され得る1つ又は2つ以上のアパーチャを有する。1つ又は2つ以上のアパーチャは、好ましくは、滅菌ガスに対して透過性である多孔性の硬化性組成物で充填される。ガス透過性組成物は、滅菌中に滅菌ガスの出入りを可能にするほど高いが、エンクロージャ内に貯蔵された液体の漏出を阻止するほど低い、気孔率を有する。
【0163】
一実施形態では、エンクロージャに形成されたアパーチャの各々は、約1~5mmの直径を有する。ガス透過性バリアは、好ましくは、1~5mmの直径を有するアパーチャを密封する。一実施形態では、ガス透過性バリアは、好ましくは、それぞれのアパーチャ内でエンクロージャに結合する。
【0164】
一実施形態では、アパーチャは、液体状態、未硬化状態、又は部分的に硬化した状態を有する硬化性組成物によって充填され得る。硬化性組成物は、アパーチャ内に配設された後、多孔性のガス透過性バリア、プラグ、本体、及び/又はシールを形成するように硬化され得、多孔性のガス透過性バリア、プラグ、本体、及び/又はシールは、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)が通過することを可能にして、エンクロージャの内部を滅菌する一方で、エンクロージャ内に配設された流動性材料がエンクロージャから漏出するのを阻止する。
【0165】
一実施形態では、エンクロージャは、シリンジバレルと、シリンジバレル遠位端壁と、プランジャと、分注先端と、分注先端の分注開口部を閉鎖するエンドキャップと、を含み得る。上述のアパーチャのうちの1つ又は2つ以上は、シリンジバレル、シリンジバレル遠位端壁、プランジャ、分注先端、及びエンドキャップのうちのいずれか1つに形成され得、各アパーチャは、本明細書に開示されるガス透過性バリア、プラグ、本体、及び/又はシールのうちの1つで充填され得る。
【0166】
一実施形態では、ガス透過性バリアを形成するために使用される配合物は、好ましくは、多孔性であり、硬化性であり、エンクロージャ内に格納された流動性材料(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤)の安定性に影響を及ぼすことなく、穴を確実に塞ぐ及び/又は密封することができる。
【0167】
一実施形態では、アパーチャのうちの1つ又は2つ以上は、非対称形状及び/又は断面を有し得、ガス透過性バリア(例えば、シール、プラグ)を形成するために使用される配合物は、硬化される前にアパーチャの形状に適合し得るように、未硬化状態でアパーチャに導入され得る。完全に硬化された後、ガス透過性バリアは、好ましくは、アパーチャの独特の形状に適合する。
【0168】
一実施形態では、ガス透過性エンクロージャを作製するためのシステムは、エンクロージャに形成された1つ又は2つ以上のアパーチャ内にガス透過性シールを形成するために使用される配合物を導入しながら、エンクロージャ(例えば、シリンジバレル)内に挿入可能な犠牲スリーブ/シリンダを含み得る。一実施形態では、犠牲スリーブ/シリンダは、ガス透過性シールを形成するために使用される配合物を硬化させる間、エンクロージャ内部に位置付けられたままである。ガス透過性シールを形成するために使用される配合物が硬化された後、犠牲スリーブ/シリンダは、エンクロージャから取り外され得る。犠牲スリーブ/シリンダは、1つ又は2つ以上のアパーチャを含むエンクロージャの内面と1つ又は2つ以上のアパーチャを充填するガス透過性シールの表面との間に滑らかな表面をもたらすようにガス透過性シールを形作るフレームとして機能することができる。
【0169】
シアノアクリレート系皮膚閉創システムは、創傷を閉鎖するための局所皮膚接着剤として使用されることが多いが、シアノアクリレート系接着剤は、相対的に柔軟性がなく、1%未満の弾性度を有する。シアノアクリレート系接着剤で閉鎖された創傷が、動いている身体部分(例えば、膝、手首、肘)上に配置され、伸張されるとき、結果として生じる応力効果の分散は、創傷閉鎖の性能及び耐久性に悪影響を及ぼし得る。
【0170】
シリコーン系局所皮膚接着剤は、動く身体部分上の創傷を密封するうえではるかに有効であることが証明されている。シリコーン系接着剤と皮膚との間の保持力は、シアノアクリレート系皮膚閉創製品を使用するときに達成され得る結果と等しいか又はそれよりも良好である。シリコーン系局所皮膚接着剤は、その元の長さの160%まで伸張することができ、その元の寸法に完全に回復することができる。シリコーン系局所皮膚接着剤を異方性メッシュと組み合わせるとき、この組み合わせを使用して、応力分散を最適化し、相対的に非弾性のシアノアクリレート系システムと比較してヒトの皮膚に対する性能を改善することができる。
【0171】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジから分注される流動性材料は、好ましくは、動かせる身体部分上に位置する創傷を含む創傷を閉鎖及び/又は密封するために使用され得るシリコーン系局所皮膚接着剤を含む。
【0172】
シアノアクリレート系皮膚閉創製品を滅菌するために使用される加熱滅菌法は、シリコーン系局所皮膚接着剤には適していない。したがって、シリコーン系局所皮膚接着剤を分注するために使用されるデバイス(例えば、シリンジ)を滅菌するための改善されたシステム、デバイス、及び方法が必要とされている。
【0173】
一実施形態では、本特許出願は、流動性材料(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤)がガス滅菌可能なシリンジ内に収容されている間に、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)が流動性材料を滅菌することを可能にするためのシステム、デバイス、及び方法を開示する。
【0174】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、流動性材料(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤、局所皮膚接着剤の成分)を受容するように構成された流体チャンバを画定する壁を有するエンクロージャ(例えば、シリンジバレル)を含む。一実施形態では、エンクロージャは、望ましくは、流動性材料を分注するために移動可能なプランジャを含む。
【0175】
一実施形態では、エンクロージャの遠位端は、ガス滅菌可能なシリンジの遠位端から流動性材料を圧出するための分注開口部を含む。一実施形態では、エンドキャップは、分注開口部を覆うために、エンクロージャの遠位端に固定され得る。エンドキャップは、望ましくは、1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部を有する。ガス透過性バリア(例えば、プラグ、パック、本体)は、好ましくは、エンドキャップとエンクロージャの分注開口部との間に配設される。ガス透過性バリアは、ガス(例えば、滅菌ガス)に対して透過性であり、液体(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤)に対して不透過性である。
【0176】
一実施形態では、滅菌手順の間、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)は、エンドキャップ開口部、ガス透過性バリア、及び分注開口部を通過して、シリンジ、エンクロージャ、流体チャンバ、及びエンクロージャの流体チャンバ内に配設された流動性材料を滅菌する。
【0177】
特定の実施形態では、ガス透過性バリアは、以下の材料のうちの1つ又は2つ以上から作製され得る:室温加硫シリコーン(RTV)、液体シリコーンゴム(LSR)、及び高粘度ゴム(HCR)を含む、シリコーン材料。
【0178】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、空隙及び/又は気孔率(すなわち、クローズドセル気孔率)を有するクローズドセル構造を含む。一実施形態では、ガス透過性バリア(例えば、ガス透過性プラグ)は、成形又はダイカットされ得る。
【0179】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、ダブルバレルシリンジを含み得、プランジャは、ダブルバレルプランジャを含み得る。
【0180】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、第1の部分が第1のシリンジバレル内に配設されており、第2の部分が第2のシリンジバレル内に配設された、二液型ポリマー材料を含有するダブルバレルシリンジを含み得る。ガス滅菌可能なシリンジは、2つの部分がシリンジから押し出される前に、ポリマー材料の2つの部分の滅菌を可能にする。
【0181】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、流動性ポリマー組成物の2つの部分を一緒に混合し、混合されたポリマー材料を人体上の様々な場所に塗布するように構成されたミキサ(例えば、スタティックミキサ、ミキシング先端)を含み得る。
【0182】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、滅菌ガスがプランジャの周囲及びシリンジバレルの流体チャンバ内に流れることを可能にするために通気されるプランジャを含み得る。一実施形態では、プランジャは、プランジャヘッドを有し得、プランジャヘッドは、ガス透過性プランジャシールを含み、滅菌ガスがガス透過性プランジャシールを通ってシリンジバレルの流体チャンバ内に流れることを可能にする。ガス透過性プランジャシールは、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)がプランジャシールを通って流れることを可能にするほど高い気孔率を有するが、流動性材料(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤)がプランジャシールを通過することを阻止するほど低い、気孔率を有する。
【0183】
一実施形態では、ダブルバレルプランジャを有するガス滅菌可能なシリンジは、第1のプランジャの遠位端に位置する第1のガス透過性プランジャシールと、第2のプランジャの遠位端に位置する第2のガス透過性プランジャシールと、を含み得る。
【0184】
一実施形態では、エンドキャップ内に配設されたガス透過性バリア(例えば、ガス透過性プラグ、ガス透過性パック)及び/又はそれぞれのプランジャの遠位端に固定可能なガス透過性プランジャシールは、主にクローズドセル気孔率を有する。
【0185】
一実施形態では、本明細書に開示されるガス透過性バリア及びガス透過性プランジャシールはまた、ガス透過性プラグ、ガス透過性パック、ガス透過性本体、ガス透過性塊、ガス透過性膜、ガス透過性層、及び/又はガス透過性隔膜と称され得る。
【0186】
一実施形態では、エンドキャップ内に配設されたガス透過性バリア及び/又はプランジャの遠位端に位置するガス透過性プランジャシールは、総体積の1%~90%、より好ましくは総体積の5%~80%の気孔率範囲を有し、主にクローズドセル気孔率を有する、種々のシリコーンゴム材料から作製され得る。
【0187】
一実施形態では、エンドキャップ内に配設されたガス透過性バリア及び/又はプランジャの遠位端に位置するガス透過性プランジャシールは、格納中にシリンジ内の流動性材料を密封する間、ガス滅菌可能なシリンジ内に含有される流動性材料(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤)の任意の成分と化学的に反応しない材料から作製されている。
【0188】
一実施形態では、ガス透過性バリア及び/又はガス透過性プランジャシールは、10~50のショアA硬度等級を有する多孔性シリコーン材料から作製され得る。
【0189】
一実施形態では、ガス透過性シールを形成するために使用されるシリコーン系ポリマーの気孔率は、インシチュガス生成方法を使用して硬化中に生成され得る。
【0190】
一実施形態では、ガス透過性シールは、市販のシリコーンRTV発泡体を使用して作製され得、それによって、配合物は、ガス滅菌可能なシリンジとともに使用されるときに結果を最適化するように気孔率レベルを調節するように修正され得る。
【0191】
一実施形態では、ガス透過性バリア及び/又はガス透過性プランジャシールは、成形又はダイカットされ得る。一実施形態では、エンドキャップ内に配設されたガス透過性バリアは、より大きい多孔性シリコーンゴムシートからダイカットされ得る。一実施形態では、ガス透過性プランジャシールは、成形プロセスを使用して作製され得る。
【0192】
他の実施形態では、ガス透過性バリアは、ゴム及び/又はポリマー材料等の他のガス透過性材料を使用して作製され得る。
【0193】
一実施形態では、ガス透過性シールは、シリンジの内容物に適合する材料から作製されている。これらの材料の例としては、とりわけ、シリコーン-ポリエチレン、シリコーン-アクリル又はシリコーン-ポリウレタンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されず、これらは、本明細書に開示されるガス透過性密封構成要素の形状に形成され得る。
【0194】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、エンクロージャのエンドキャップ側で充填され得る。エンクロージャのエンドキャップ側を介した充填はまた、キャップ側充填と称され得る。一実施形態では、流動性材料(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤)は、エンクロージャの遠位端(例えば、ダブルバレルシリンジの遠位端)に位置する1つ又は2つ以上の分注開口部を介してシリンジ内に装填される。
【0195】
充填方法の一実施形態では、非通気ダブルバレルプランジャは、プランジャヘッドがシリンジバレルの閉鎖遠位端に位置するように、ダブルバレルシリンジ内に完全に挿入され得る。一実施形態では、流動性材料は、シリンジバレルの遠位端に位置する分注開口部に導かれる。流動性材料がシリンジバレルの流体チャンバに充填されるにつれて、流動性材料によって作り出される流体圧力は、非通気プランジャをシリンジの近位端に向かって移動させる(すなわち、後退させる)。非通気ダブルバレルプランジャの最終静止位置は、シリンジバレルの流体チャンバ内に導かれる流動性材料の体積に依存する。上述のキャップ側充填方法は、シリンジバレル内に閉じ込められる周囲空気の体積を最小限に抑える。シリンジが事前選択された充填容積まで充填されると、1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部を有するエンドキャップと、エンドキャップ内に配設されたガス透過性バリアとが、シリンジバレルの遠位端に固定される。
【0196】
滅菌手順の間、滅菌ガスは、好ましくは、エンドキャップのエンドキャップ開口部を通過し、ガス透過性バリアを通過し、分注開口部を通過して、それぞれのシリンジバレルの流体チャンバ内に入り、シリンジバレルの内部、流体チャンバ、及びシリンジバレル内に配設された流動性材料を滅菌する。
【0197】
充填方法の一実施形態では、キャップ側シリンジ充填は、最初に、ピストンをダブルバレルシリンジのシリンジバレルの閉鎖遠位端に配置することによって達成され得る。通気式プランジャは、好ましくは、シリンジバレルの開放近位端内に前進させられ、プランジャの遠位端がピストンに係合するまで、シリンジバレルの閉鎖遠位端に向かって移動させられる。ピストンは、シリンジバレルの内面と適切なシールを作り出し、通気式プランジャは、ピストンの後部に自由に挿入される。流動性材料がシリンジバレルの流体チャンバに充填されるにつれて、配合物がキャップ側からシリンジに入るときに作り出される流体圧力によって、ピストン及び通気式プランジャが、シリンジ内に導入される流動性材料の事前選択された体積に依存する最終静止位置まで近位に移動する(すなわち、後退する)。それぞれのシリンジバレル内に装填される流動性材料の体積が大きいほど、シリンジバレルの遠位端に対するプランジャの近位移動量が大きくなる。流動性材料についての事前選択された体積が達成されると(すなわち、充填後)、1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部を有するエンドキャップ及びガス透過性バリアが、シリンジバレルの遠位端に固定される。
【0198】
滅菌手順の間、滅菌ガスは、好ましくは、エンドキャップにおけるエンドキャップ開口部を通過し、ガス透過性バリアを通過し、分注開口部を通過して、シリンジバレルの流体チャンバ内に入り、シリンジバレルの内部及びシリンジバレルの内容物を滅菌する。
【0199】
通気式プランジャを有するガス滅菌可能なシリンジの場合、滅菌ガスは、好ましくは、通気式プランジャを通ってエンクロージャ(例えば、ダブルバレルシリンジ)の流体チャンバに流入し、流体チャンバ及び流体チャンバ内に配設された流動性材料を滅菌する。
【0200】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、シリンジバレルの近位開放端を介して充填され得る。この方法は、プランジャ側充填と称され得る。一実施形態では、プランジャ側充填方法の間、シリンジバレルを流動性材料で充填する前に、1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部を有するエンドキャップ及びガス透過性バリアが、シリンジバレルのエンドキャップ側に固定される。一実施形態では、流動性材料は、開放プランジャ側を介してシリンジバレルを充填するために、シリンジバレルの開放端内に導かれる。次に、プランジャは、シリンジバレルの開放端に挿入されて、シリンジバレルを充填する流動性材料のための適切なシールを作り出す。この圧縮可能なプランジャは、充填されたシリンジバレル内に閉じ込められたままである周囲空気を排出するために利用される。
【0201】
一実施形態では、プランジャ側充填方法を使用して、効率を改善し、コストを最小限に抑えることができる。一実施形態では、プランジャ側充填は、高スループットの自動化された充填機器が、シリンジを流動性材料で充填するために利用されることを可能にする。プランジャ側充填方法はまた、同じ外部寸法フットプリントを有するシリンジの使用を可能にし、それによって、システムは、複数の異なる充填容積を提供するように制御され得る。同じ外部フットプリントを有するシリンジを利用することにより、操作者は、異なる充填容積を有するシリンジに対して単一の共有ブリスターパッケージを使用することも可能になる。
【0202】
一実施形態では、上述の効率を達成するために、プランジャ側シリンジ充填方法は、一方向プランジャ留め具要素及び正確に配置されたシリンジバレル通気穴を有する通気シリンジバレル内に挿入される非通気プランジャを使用する。シリンジの利用可能な充填容積を超えない既知の充填容積を用いる場合、一方向プランジャ留め具要素及びシリンジバレル通気穴は、充填されたシリンジバレルから周囲空気が効果的に排出されることを可能にするように位置付けられる。
【0203】
一実施形態では、シリンジバレルのプランジャ側充填後、プランジャは、シリンジバレルの遠位端に向かって遠位方向に前進させられ、シリンジバレル通気穴を介してシリンジバレルから空気を排出する。プランジャヘッドがシリンジバレルから空気を効果的に排出した後、シリンジバレルを充填するために使用される流動性材料の事前選択された体積に応じて、シリンジバレル通気穴は、好ましくは、プランジャヘッドの前縁に近接する場所でそれぞれのシリンジバレルの長さに沿って位置付けられる。
【0204】
一実施形態では、シリンジバレル通気穴はまた、好ましくは、シリンジバレル内に収容された流動性材料を滅菌するために、シリンジバレルへの滅菌ガスの出入りのための追加の経路を作り出すことによって、滅菌プロセスを補助する二次機能を果たす。
【0205】
一実施形態では、一方向プランジャ留め具要素は、好ましくは、充填されたシリンジ内へのプランジャ挿入時に、プランジャが遠位方向に移動するときに一方向プランジャ留め具要素を容易に乗り越えることができるが、プランジャヘッドが一方向プランジャ留め具要素を越えて遠位方向に移動すると、プランジャが一方向プランジャ留め具要素に接触してプランジャがシリンジの近位端に向かって容易に後退することを阻止する構造(例えば、半径方向に延在する突出部)をプランジャが有するように、シリンジバレルの内径に形成される。一実施形態では、プランジャヘッドが一方向プランジャ留め具要素を越えて移動すると、プランジャを後退させるために過剰な力が必要とされる。
【0206】
シリンジバレル通気穴を一方向プランジャ留め具要素の場所に対して正確な場所に、かつシリンジバレルを充填するために使用される流動性材料の体積に応じて配置することにより、プランジャヘッドは、シリンジバレル通気穴をシリンジバレル内に配設された流動性材料から確実に隔離する。
【0207】
シリンジバレル通気穴及び一方向止め具の正確な場所は、多数の固有の充填容積を収容するために、シリンジバレルの標準セット内で修正され得る。各固有の充填容積は、好ましくは、それ自体の固有のシリンジ設計を生成するが、全ての設計は、好ましくは、一定の外側寸法を有するシリンジバレルの1つの汎用セット内に適合する。
【図面の簡単な説明】
【0208】
図1】本特許出願の一実施形態による、遠位端壁、分注先端、及びエンドキャップを有するシリンジバレルと、シリンジプランジャと、を含み、シリンジのガス滅菌を可能にするために内部に形成された複数のマイクロアパーチャを有する、ガス滅菌可能なシリンジの概略図である。
図2】本特許出願の一実施形態による、ガス滅菌可能なシリンジのガス滅菌を可能にするための複数のマイクロアパーチャを有するガス滅菌可能なシリンジを作製する方法を示す。
図3A】本特許出願の一実施形態による、シリンジバレルが、ガス滅菌可能なシリンジのガス滅菌を可能にするために内部に形成された複数のマイクロアパーチャを有する、シリンジバレル及びシリンジプランジャを含むガス滅菌可能なシリンジの概略図である。
図3B】エンドキャップが取り外され、シリンジプランジャが、図3Aに示されるシリンジプランジャの場所の遠位の場所に移動された、図3Aのガス滅菌可能なシリンジを示す。
図4】本特許出願の一実施形態による、シリンジバレルが、ガス滅菌可能なシリンジのガス滅菌を可能にする一方で、粘性のある流動性材料がブラインドマイクロアパーチャを通って漏出するのを阻止するために、複数のブラインドマイクロアパーチャが内部に形成された外壁を含む、ガス滅菌可能なシリンジのシリンジバレルの断面図である。
図5A】本特許出願の一実施形態による、ガス滅菌可能なシリンジのガス滅菌を可能にするために複数のマイクロアパーチャが形成されたシリンジバレルを含み、複数のマイクロアパーチャを選択的に覆うためにシリンジバレルの外面にわたって摺動可能な保護スリーブを含む、ガス滅菌可能なシリンジの概略図である。
図5B】本特許出願の一実施形態による、保護スリーブがシリンジバレル内に形成された複数のマイクロアパーチャを覆うために伸長位置にある、図5Aのガス滅菌可能なシリンジを示す。
図6】本特許出願の一実施形態による、シリンジバレルと、複数のマイクロアパーチャが形成された分注先端と、を含み、シリンジバレルに形成されたマイクロアパーチャを覆う第1の微孔質スリーブと、分注先端に形成されたマイクロアパーチャを覆う第2の微孔質スリーブと、を含む、ガス滅菌可能なシリンジの概略図である。
図7】本特許出願の一実施形態による、シリンジバレルと、複数のマイクロアパーチャが形成された分注先端と、シリンジバレル及び分注先端の内面を覆う微孔質スリーブと、を含む、ガス滅菌可能なシリンジの概略図である。
図8】本特許出願の一実施形態による、シリンジバレルと、シリンジバレルの遠位端を部分的に閉鎖する遠位端壁と、分注先端と、分注先端の遠位端を覆うエンドキャップと、ピストンを有するシリンジプランジャと、を含み、それぞれの微孔質スリーブによって覆われるシリンジバレル、遠位端壁、エンドキャップ、及びピストンに形成された複数のマイクロアパーチャを含む、ガス滅菌可能なシリンジの概略図である。
図9】本特許出願の一実施形態による、複数のマイクロアパーチャが形成された第1のシリンジバレルと、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルのガス滅菌を可能にするために複数のマイクロアパーチャが内部に形成された第2のシリンジバレルと、を含む、ガス滅菌可能なシリンジシステムの概略図である。
図10A】本特許出願の一実施形態による、遠位端壁、分注先端、及びエンドキャップを有するシリンジバレルと、シリンジプランジャと、を含み、内部に形成された複数のアパーチャを有する、ガス滅菌可能なシリンジのサブアセンブリの概略図である。
図10B】本特許出願の一実施形態による、図10Aのサブアセンブリを含み、ガス滅菌可能なシリンジのガス滅菌を可能にするためにアパーチャを充填するガス透過性バリアを有する、ガス滅菌可能なシリンジの概略図である。
図11A】本特許出願の一実施形態による、内部に形成された複数のアパーチャを有するシリンジバレルを含むガス滅菌可能なシリンジのサブアセンブリの概略図である。
図11B】本特許出願の一実施形態による、ガス滅菌可能なシリンジのガス滅菌を可能にするためにアパーチャを充填するガス透過性バリアを有する図11Aのシリンジバレルを示す。
図12】本特許出願の一実施形態による、アパーチャと、ガス滅菌可能なシリンジのガス滅菌を可能にするためにアパーチャを充填するガス透過性バリアと、を有する、ガス滅菌可能なシリンジを作製する方法を示す。
図13】本特許出願の一実施形態による、ダブルバレルシリンジと、ダブルバレルプランジャと、エンドキャップ開口部を有するエンドキャップと、ガス透過性バリアと、を含む、ガス滅菌可能なシリンジの分解図である。
図14図13に示されるガス透過性バリアの上面図を示す。
図15】本特許出願の一実施形態による、ダブルバレルシリンジと、ダブルバレルシリンジの遠位端に固定されたエンドキャップ開口部を有するエンドキャップと、エンドキャップ内に配設されたガス透過性バリアと、を含む、ガス滅菌可能なシリンジの遠位端面図を示す。
図16A】本特許出願の一実施形態による、ダブルバレルシリンジと、第1のプランジャ及び第2のプランジャを有するダブルバレルプランジャと、それぞれの第1のプランジャ及び第2のプランジャの遠位端に固定されたプランジャシールと、ダブルバレルシリンジの遠位端を覆って固定可能なエンドキャップと、を含む、ガス滅菌可能なシリンジの分解図である。
図16B】ダブルバレルシリンジ、それぞれの第1のプランジャ及び第2のプランジャの遠位端に固定されたプランジャシールを有するダブルバレルプランジャ、及びエンドキャップが一緒に組み立てられ、シリンジバレルが流動性材料で充填された後の、図16Aに示されるガス滅菌可能なシリンジの側面図を示す。
図17】本特許出願の一実施形態による、ダブルバレルシリンジと、エンドキャップ開口部を有するエンドキャップと、ダブルバレルシリンジの遠位端に位置するガス透過性バリアと、ダブルバレルシリンジ内に挿入可のプランジャプランジャを有するダブルバレルプランジャと、それぞれの第1のプランジャ及び第2のプランジャの遠位端に固定可能な第1のガス透過性プランジャシール及び第2のガス透過性プランジャシールと、混合及び分注先端と、を含む、ガス滅菌可能なシリンジの分解図である。
図18A】本特許出願の一実施形態による、ダブルバレルシリンジと、ダブルバレルプランジャと、エンドキャップ開口部を有するエンドキャップと、を含む、ガス滅菌可能なシリンジの斜視図である。
図18B図18Aに示されるガス滅菌可能なシリンジの正面図である。
図19】本特許出願の一実施形態による、ダブルバレルシリンジと、ダブルバレルプランジャと、エンドキャップ開口部を有するエンドキャップと、エンドキャップ内に配設されるように構成されたガス透過性バリアと、を含む、図18A及び図18Bに示されるガス滅菌可能なシリンジの分解図である。
図20図19に示されるガス滅菌可能なシリンジの分解図である。
図21A図19に示されており、第1のプランジャと、第2のプランジャと、を含む、ダブルバレルプランジャの遠位端の斜視図である。
図21B図21Aに示されるダブルバレルプランジャの斜視図である。
図22A図21Bに示されるダブルバレルプランジャの第1のプランジャ及び第2のプランジャの遠位端の拡大図である。
図22B図21A及び図22Aに示されるダブルバレルプランジャの第1のプランジャ及び第2のプランジャの遠位端の斜視図である。
図23図19に示されており、第1のシリンジバレルと、第2のシリンジバレルと、を含む、ダブルバレルシリンジの断面図である。
図24図23に示される第1のシリンジバレルの中央区分の拡大図である。
図25図19に示されるダブルバレルシリンジの断面図である。
図26図19に示されるダブルバレルプランジャの断面図である。
図27図18Bに示されるガス滅菌可能なシリンジの断面図である。
図28A図18Bに示されるガス滅菌可能なシリンジの中央区分の拡大図である。
図28B】本特許出願の一実施形態による、ガス滅菌可能なシリンジの第1のシリンジバレルの中央区分の断面図である。
図29A図18A及び図18Bに示されるガス滅菌可能なシリンジのエンドキャップの斜視図である。
図29B図29Bに示されるエンドキャップの別の斜視図である。
図29C図29A及び図29Bに示されるエンドキャップの正面図である。
図29D図29A図29Cに示されるエンドキャップの上面図である。
図30図19に示されるエンドキャップ及びガス透過性バリアの断面図である。
図31】本特許出願の一実施形態による、ガス透過性バリアがエンドキャップの内部に配設された図30のエンドキャップを示す。
図32】本特許出願の一実施形態による、ダブルバレルシリンジと、ダブルバレルプランジャと、ダブルバレルシリンジの遠位端に固定されたエンドキャップと、ガス透過性バリアと、を含む、ガス滅菌可能なシリンジの遠位端の断面図を示す。
図33】本特許出願の一実施形態による、ダブルバレルシリンジと、ダブルバレルプランジャと、を含む、ガス滅菌可能なシリンジのサブアセンブリの上面図を示す。
図34A】本特許出願の一実施形態による、図33に示されるダブルバレルシリンジの遠位端を覆って固定される多機能コネクタの斜視図を示す。
図34B図34Aに示される多機能コネクタの遠位端面図を示す。
図35】本特許出願の一実施形態による、図34A及び図34Bの多機能コネクタ、多機能コネクタのD字形開口部に挿入可能な第1のガス透過性バリア及び第2のガス透過性バリア、並びに多機能コネクタの雄ねじ付きポストに固定可能なエンドキャップの分解図である。
図36図35の多機能コネクタの雄ねじ付きポストを覆って固定された図35のエンドキャップを示す図である。
図37】各シリンジが、その遠位端に固定された図36の多機能コネクタ及びエンドキャップを有する、複数のガス滅菌可能なシリンジの斜視図を示す。
図38】本特許出願の一実施形態による、ガス滅菌可能なシリンジの混合及び分注先端の側面図を示す。
図39】本特許出願の一実施形態による、ガス滅菌可能なシリンジの遠位端に固定された図38の混合及び分注先端を示す。
図40】本特許出願の一実施形態による、ガス透過性バリアを受容するように適合された、第1のD字形開口部及び第2のD字形開口部を有する、ガス透過性シリンジのための多機能コネクタの遠位端面図を示す。
図41】ダブルバレルシリンジのための先行技術のコネクタの遠位端面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0209】
図1を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ100は、好ましくは、シリンジバレル102と、シリンジバレルとともに組み立てられるように構成されたシリンジプランジャ104と、を含む。シリンジバレル102は、好ましくは、組織接着剤の前駆体又は成分等の流動性材料を受容するように構成された流体チャンバ105を有する。一実施形態では、流動性材料は、約1,000~100,000センチポアズ、より好ましくは約2,000~75,000センチポアズ、更により好ましくは約30,000~60,000センチポアズの相対的に高い粘度を有する粘性のある流動性材料である。一実施形態では、シリンジプランジャ104は、粘性のある流動性材料を分注するために遠位方向DIR1に押し下げられ得る。ガス滅菌可能なシリンジ100は、ポリマー材料、ガラス、及びゴム、並びに/又は前述の材料の組み合わせを含む、種々の材料から作製され得る。
【0210】
一実施形態では、粘性のある流動性材料は、2020年5月28日に出願された米国特許出願公開第16/885,361号(代理人整理番号ETH6070USNP1)、2021年5月24日に出願された米国特許出願公開第17/327,940号(代理人整理番号ETH6070USCIP1)、2021年5月28日に出願された米国特許出願公開第16/885,366号(代理人整理番号ETH6084USNP1)、及び2020年5月24日に出願された米国特許出願公開第17/327,952号(代理人整理番号ETH6084USCIP1)に開示されているような二液型シリコーン接着剤配合物の前駆体を含むか、又はこの前駆体であり得、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0211】
一実施形態では、シリンジバレル102は、好ましくは、開放している近位端106と、遠位端壁110によって部分的に閉鎖された遠位端108と、を有する。ガス滅菌可能なシリンジ100は、好ましくは、遠位端壁110から遠位方向に突出する分注先端112を含む。分注先端112は、シリンジバレル102の流体チャンバ105内に配設された流動性材料を分注するための流路を提供する導管114を有する。導管114の遠位端の開口部は、エンドキャップ116によって覆われ得る。エンドキャップ116は、出荷及び貯蔵中に分注先端112の遠位端を覆うことができる。エンドキャップ116は、流動性材料を分注するために分注先端112の遠位端から取り外され得る。
【0212】
一実施形態では、シリンジプランジャ104は、好ましくは、シリンジバレル102の流体チャンバ105内に配設されたピストン118を含む。ピストン118は、好ましくは、シリンジバレル102の内面に係合してピストンとシリンジバレルの内面との間にシールを形成する外周を有する。ピストン118は、ゴム又はポリマー材料から作製され得る。プランジャ104は、好ましくは、ピストン118の近位側に固定された遠位端を有するプランジャステム120を含む。一実施形態では、プランジャ104は、好ましくは、望ましくはプランジャステム120の近位端に固定されたサムタブ122を含む。サムタブ122は、ピストン118を強制的にシリンジバレル102の遠位端壁110に向かって遠位方向に摺動させるために、DIR1で示される遠位方向に押し下げられ得る。一実施形態では、エンドキャップ116が取り外された状態で、サムタブ122が遠位方向DIR1に押し下げられると、シリンジバレル102の流体チャンバ105内に事前装填された流動性材料は、分注先端112の遠位端の開口部から分注されように、強制的に下流に流されて分注先端110の導管114に流入し得る。
【0213】
一実施形態では、シリンジバレル102は、望ましくは、外壁124を有し、複数のマイクロアパーチャ126が、シリンジバレル102の外壁124に形成(例えば、穿孔、レーザ穿孔、機械的穿孔)され得る。マイクロアパーチャ126は、小さい開口部をレーザ穿孔するレーザデバイスを使用することによって形成することができる。一実施形態では、シリンジバレル102は、長手方向軸Aに沿って延在する長さを有し、マイクロアパーチャ126は、シリンジバレル102の長手方向軸Aに垂直な軸Aに沿って延在し得る。一実施形態では、1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ128は、長手方向軸Aに対して斜めであり、かつ/又は垂直ではない軸Aに沿って、シリンジバレル102の外壁124を通って延在し得る。
【0214】
一実施形態では、1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ130は、シリンジプランジャ104のピストン118を通って延在し得る。
【0215】
一実施形態では、1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ132が、シリンジバレル102の遠位端壁110に形成され得る。遠位端壁110に形成されたマイクロアパーチャ132は、シリンジバレル102の長手方向軸Aと平行であるそれぞれの軸に沿って延在し得る。しかしながら、他の実施形態では、遠位端壁110に形成されたマイクロアパーチャ132は、シリンジバレル102の長手方向軸Aに対してある角度を画定するそれぞれの軸に沿って延在し得る。
【0216】
一実施形態では、ピストン118を通って延在するマイクロアパーチャ130のうちの1つ又は2つ以上は、サムタブ122とピストン118との間に延在するプランジャ104のプランジャステム120内に位置付けられ、及び/又はプランジャステム120と位置合わせされ得る。
【0217】
一実施形態では、1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ134が、分注先端112の遠位端を覆って固定されるエンドキャップ116内に形成され得る。一実施形態では、エンドキャップ116は、シリンジバレル102の長手方向軸Aと平行であるそれぞれの軸に沿って延在するマイクロアパーチャ134を有し得る。一実施形態では、エンドキャップ116は、シリンジバレル102の長手方向軸Aと平行ではない(例えば、斜めの)それぞれの軸に沿って延在する1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ136を有し得る。
【0218】
本明細書に開示されるマイクロアパーチャは、様々な技術及び方法を使用して形成され得る。図2を参照すると、一実施形態では、シリンジバレル102の外壁124にマイクロアパーチャ126を形成するために、レーザデバイス125を利用することができる。一実施形態では、レーザデバイス125は、好ましくは、外壁124を完全に通って(すなわち、外壁124の外面138から内面140まで)延在するマイクロアパーチャ126をレーザ穿孔するために、シリンジバレル102の外壁124に接触するレーザ光135を生成する。一実施形態では、レーザデバイス125は、シリンジバレルの長手方向軸Aに垂直な1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャを形成するように構成され得る。レーザデバイス125はまた、シリンジバレル102の長手方向軸Aに対して平行である、斜めである、かつ/又は垂直ではない、1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ128を形成するようにプログラムされ得る。
【0219】
一実施形態では、レーザデバイス125は、プランジャ104のピストン118における1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ130、シリンジバレル102の遠位端壁110における1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ132、及び/又は分注先端112の遠位端を覆って固定されたエンドキャップ116における1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ134、136を形成するために利用され得る。レーザデバイスはまた、分注先端112にマイクロアパーチャをレーザ穿孔するために使用され得る。
【0220】
ガス滅菌可能なシリンジの1つ又は2つ以上の構成要素にマイクロアパーチャを形成するために、機械的ドリルの使用、加熱プローブの使用、及び水ジェットの使用を含む他の方法が使用され得る。
【0221】
図3Aを参照すると、一実施形態では、シリンジ200は、好ましくは、外面238及び内面240を備えた外壁224を有するシリンジバレル202を含む。シリンジバレル202は、好ましくは、開放している近位端206と、遠位端壁210によって少なくとも部分的に閉鎖された遠位端208と、を有する。シリンジバレル202の外壁224は、好ましくは、粘性のある流動性材料(図示せず)を受容するように構成された流体チャンバ205を画定し、かつ/又は取り囲む。シリンジ200は、遠位端壁210と、遠位端壁210から突出する分注先端212と、を有する。分注先端212の遠位端は、粘性のある流動性材料を分注するために取り外され得るエンドキャップ216によって覆われている。
【0222】
一実施形態では、シリンジバレル202は、好ましくは、シリンジバレル202の外壁224に形成され、外壁224の外面238から内面240まで延在する1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ226を有する。一実施形態では、1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ226は、シリンジバレルの遠位端208よりもシリンジバレル202の近位端206に近い。
【0223】
図3A及び図3Bを参照すると、一実施形態では、シリンジバレル202の外壁226の遠位端208よりも近位端206の近くに1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ226を位置付ける結果として、プランジャ204が遠位方向DIR1に押し下げられるときに粘性のある流動性材料が1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ226を通って漏出する機会が大幅に少なくなる。図3A及び図3Bに示されるように、流動性材料を分注するための手順の開始時(すなわち、図3Aに示されるプランジャ204の位置)に、エンドキャップ216(図3A)が分注先端212の遠位端から取り外された後、ピストン218は、シリンジバレル202の外壁224の近位端206の近くに位置する。分注手順を開始するためにシリンジプランジャ204が押し下げられると、ピストン218は、シリンジバレルに形成された1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ226を越えて遠位方向(DIR1)に移動する。結果として、分注動作が進行するにつれて、ピストン218は、マイクロアパーチャ226を越えて移動し、マイクロアパーチャを有しない外壁224の区分内へ遠位方向に前進し、それによって、粘性のある流動性材料がマイクロアパーチャを通して漏出する可能性を最小限に抑える一方で、流動性材料の連続的な圧出を提供する。
【0224】
図4を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ300は、好ましくは、シリンジバレル302の長手方向軸Aに沿って延在する外壁324を有するシリンジバレル302を含む。シリンジバレル302の外壁324は、好ましくは、シリンジ300の動作中に分注される粘性のある流動性材料315を収容するように適合された流体チャンバ305を画定する外面338及び内面340を含む。一実施形態では、シリンジ300は、好ましくは、シリンジバレル302の外壁324に形成されたブラインド開口部を有する1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ326を含む。マイクロアパーチャ326のブラインド開口部は、外壁324を完全に通って延在してはおらず、外壁324の内面340に到達せず、それによって、マイクロアパーチャのブラインド開口部の閉鎖端とシリンジバレル302の外壁324の内面340との間に延在する外壁324から形成された薄膜335を残す。
【0225】
一実施形態では、マイクロアパーチャ326、328は、好ましくは約0.1ミクロン~約25ミクロン、より好ましくは約1ミクロンの内径IDを有する。一実施形態では、流体チャンバ305内に配設された粘性のある流動性材料315は、好ましくは約1,000~100,000センチポアズ、より好ましくは約2,000~75,000センチポアズ、更により好ましくは約30,000~60,000センチポアズの粘度を有する。結果として、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)は、流体チャンバ305の内側を滅菌するためにマイクロアパーチャ326、328及び膜335を通過することができるが、分注動作中、流動性材料315が正圧下にあるとき、流動性材料315のより高い粘度は、流動性材料315が膜335を通って漏出するか、又はマイクロアパーチャ326、328から漏出することを阻止する。
【0226】
一実施形態では、ブラインド開口部を有するマイクロアパーチャ326の第1のグループは、シリンジバレル302の長手方向軸Aに垂直なそれぞれの軸に沿って延在することができる。
【0227】
一実施形態では、ブラインド開口部を有するマイクロアパーチャ328の第2のグループは、シリンジバレル302の長手方向軸Aに対して斜めのそれぞれの軸及び/又は長手方向軸Aに垂直ではないそれぞれの軸に沿って延在し得る。
【0228】
図5Aを参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ400は、好ましくは、シリンジ及びシリンジ内に装填された粘性のある流動性材料を滅菌するための後退位置(図5A)と、粘性のある流動性材料を分注するための伸長位置(図5B)との間でシリンジバレル上を移動され得る、保護スリーブ442を含む。一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ400は、望ましくは、シリンジバレル402と、プランジャ404と、シリンジバレル402の遠位端408から突出する分注先端412と、分注先端412の遠位端における開口部を覆うエンドキャップ416と、を含む。一実施形態では、シリンジ400は、好ましくは、シリンジバレル402の外壁424に形成されており、シリンジバレル402の外面438から内面440まで延在している1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ426を含む。1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ426は、シリンジバレル402の長手方向軸Aに垂直な軸及び/又は垂直でない(例えば、斜めに延在する)軸を有し得る。
【0229】
図5A及び図5Bを参照すると、一実施形態では、非多孔性材料から作製され得る保護スリーブ442は、図5Aに示される後退位置と図5Bに示される伸長位置との間で、シリンジバレル402の外壁424の外面438上を摺動するように適合されている。図5Aに示される後退位置では、保護スリーブ442は、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)が、シリンジ400、及びシリンジバレル402の流体チャンバ405内に配設された粘性のある流動性材料(図示せず)を滅菌するために利用され得るように、1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ426を覆っていない。保護スリーブ442が後退させられると(図5A)、滅菌ガスは、流体チャンバ405内の粘性のある流動性材料を含むシリンジ400を滅菌するために、マイクロアパーチャ426を通過することができる。
【0230】
図5Bに示される位置では、保護スリーブ442は、シリンジバレル402の外壁424に形成された1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ426を覆うために伸長位置に移動させられている。一実施形態では、保護スリーブ442は、シリンジバレル402の外壁424上に設けられ、それによって、滅菌後であって流動性材料を分注する前に1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ426上を摺動してマイクロアパーチャ426を密封し、流動性材料がシリンジ400から分注される際にマイクロアパーチャを通って漏出するのを阻止することができる。流動性材料(図示せず)が分注動作中に正圧下にあるとき、拡張された保護スリーブ442(図5B)は、流動性材料がマイクロアパーチャ426から漏出するのを抑制する。
【0231】
図6を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ500は、好ましくは、流動性材料(例えば、組織接着剤の前駆体)を受容するように適合された流体チャンバ505を画定するシリンジバレル502と、ピストン518を有するプランジャ504と、分注先端512と、分注先端512の遠位端において分注開口部を覆うエンドキャップ516と、を含む。一実施形態では、複数のマイクロアパーチャ526がシリンジバレル502の外壁524に画定される。シリンジバレル502の流体チャンバ505内に貯蔵された流動性材料に対して透過性ではないが、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)に対して透過性である、微孔質スリーブ544(例えば、TYVEK(登録商標)スリーブ)等のガス透過性バリアが、シリンジバレルの外壁524に形成されたマイクロアパーチャ526を覆うように、シリンジバレル502の外壁524の外面538上に提供され得る。
【0232】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ500は、1つ又は2つ以上の微孔質スリーブによって覆われる他の場所に形成された追加のマイクロアパーチャを含み得る。一実施形態では、シリンジ500の分注先端512は、内部に形成された1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ546を有し得、これは、シリンジバレル502に形成されたマイクロアパーチャ526を覆う微孔質スリーブ544と構造が類似する分注先端微孔質スリーブ548によって覆われている。
【0233】
分注先端微孔質スリーブ548(例えば、TYVEK(登録商標)スリーブ)は、(漏出を阻止するために)シリンジバレル502の流体チャンバ505内に貯蔵される流動性材料に対して透過性ではないが、滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)に対して透過性である。分注先端微孔質スリーブ548は、分注先端の外壁に形成されたマイクロアパーチャ526を覆うために、分注先端512の外面の周りに巻き付けられ得る。一実施形態では、微孔質材料が、分注先端の内面を裏打ちし得る。
【0234】
図7を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ600は、好ましくは、シリンジバレル602と、プランジャ604と、シリンジバレル602の遠位端から突出する分注先端612と、を含む。一実施形態では、シリンジ600は、好ましくは、シリンジバレル602の外壁624に形成されており、シリンジバレル602の外壁624の外面638から内面640まで延在している複数のマイクロアパーチャ626を含む。マイクロアパーチャ626は、好ましくは、シリンジバレル602の流体チャンバ605と流体連通している。一実施形態では、微孔質スリーブ644(例えば、TYVEK(登録商標)スリーブ)は、好ましくは、シリンジバレル602の外壁624の内面640を裏打ちして、シリンジバレル602の外壁624を通って延在するマイクロアパーチャ626を覆っている。微孔質スリーブ644は、好ましくは、プランジャ604のピストン618が、微孔質スリーブ644の内面645上を摺動することを可能にする一方で、好ましくは、微孔質スリーブ644の内面との流体密封シールを維持する内径IDを画定している。一実施形態では、分注先端612を介して粘性のある流動性材料を分注するために、シリンジプランジャ604が遠位方向DIR1に押し下げられるとき、ピストン618は、好ましくは、微孔質スリーブ644の内面645上を摺動する。
【0235】
一実施形態では、分注先端612は、好ましくは、分注先端612の外壁に形成された複数のマイクロアパーチャ644を含み、これらのマイクロアパーチャは、シリンジバレル602の流体チャンバ605と流体連通している。一実施形態では、第2の微孔質スリーブ648は、好ましくは、分注先端612の内面を裏打ちし、分注先端612内に形成されたマイクロアパーチャ644を覆っている。第2の微孔質スリーブ648は、シリンジバレル602の流体チャンバ605内に貯蔵された流動性流体に対して透過性ではないが、第2の微孔質スリーブ644は、シリンジ600及びシリンジの流体チャンバ605内に配設された流動性流体を滅菌するために利用され得る滅菌ガス(例えば、酸化エチレン)に対して透過性である。
【0236】
図8を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ700は、好ましくは、シリンジバレル702と、ピストン718を含むシリンジプランジャ704と、分注先端712と、分注先端712の遠位端における開口部を選択的に覆うエンドキャップ716と、を含む。シリンジバレル702は、望ましくは、プランジャ704を受容するために開放している近位端706と、遠位端壁710によって部分的に閉鎖された遠位端708と、を有する。
【0237】
一実施形態では、マイクロアパーチャ726は、シリンジバレル702の外壁724に形成される。一実施形態では、微孔質スリーブ744は、シリンジバレル702の外壁724の外面738を覆って、シリンジバレル702の外壁724に形成されたマイクロアパーチャ726を覆っている。微孔質スリーブ744は、シリンジ700及びシリンジ700内に配設された流動性材料を滅菌するために、滅菌ガスがマイクロアパーチャ726を通過することを可能にする一方で、シリンジバレル702の流体チャンバ705内に配設された流動性材料がマイクロアパーチャ726を通って漏出することを阻止する。
【0238】
一実施形態では、遠位端壁710は、好ましくは、内部に形成された1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ732を有する。微孔質層748は、好ましくは、遠位端壁710に形成されたマイクロアパーチャ732を覆う。微孔質層748は、シリンジ700及びシリンジ700内に配設された流動性材料を滅菌するために、滅菌ガスが遠位端壁710に形成されたマイクロアパーチャ732を通過することを可能にする一方で、シリンジバレル702の流体チャンバ705内に配設された流動性材料がマイクロアパーチャ732を通って漏出することを阻止する。
【0239】
一実施形態では、エンドキャップ716は、内部に形成された1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ734を有し、微孔質層752は、エンドキャップ716内の1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ743を覆っている。微孔質層752は、シリンジ700及び流動性材料を滅菌するために、滅菌ガスがエンドキャップ716に形成されたマイクロアパーチャ734を通過することを可能にする一方で、シリンジバレル702の流体チャンバ705内に配設された流動性材料がマイクロアパーチャ734を通って漏出するのを阻止する。
【0240】
一実施形態では、シリンジプランジャ704のピストン718は、好ましくは、内部に形成された1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ730を有し、微孔質層750は、ピストン718に形成された1つ又は2つ以上のマイクロアパーチャ730を覆っている。微孔質層750は、シリンジ700及び流動性材料を滅菌するために、滅菌ガスがピストン718に形成されたマイクロアパーチャ730を通過することを可能にする一方で、シリンジバレル702の流体チャンバ705内に配設された流動性材料がピストン718のマイクロアパーチャ730を通って漏出するのを阻止する。
【0241】
図9を参照すると、一実施形態では、組織接着剤の前駆体を分注するためのシリンジシステム800は、第1のシリンジバレル802Aの外壁824Aの外面から内面まで延在する、内部に形成された複数のマイクロアパーチャ826Aを有する組織接着剤の第1の前駆体を含有する第1のシリンジバレル802Aを含み得る。
【0242】
一実施形態では、システム800は、好ましくは、第2のシリンジバレル802Bを含み、第2のシリンジバレル802Bは、組織接着剤の第2の前駆体を収容し、内部に形成された複数のマイクロアパーチャ826Bを有する。複数のマイクロアパーチャ826Bは、第2のシリンジバレル802Bの外壁824Bの外面から内面まで延在している。
【0243】
一実施形態では、シリンジシステム800は、好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル802A、802B内に配設された2つの流動性材料が、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル802A、802Bの分注先端812A、812Bから同時にかつ/又はほぼ同時に分注されることを可能にするプランジャ804を含む。第1の前駆体及び第2の前駆体は、分注されると、好ましくは、一緒に混合及び/又は接合されて、組織接着剤を形成する。
【0244】
一実施形態では、本明細書に開示されるガス滅菌可能なシリンジのうちの1つ又は2つ以上は、ガス滅菌手順中に使用されるように適合されたパウチ内にシリンジを配置することによって滅菌され得る。パウチは、1つ又は2つ以上の非多孔性パネル(例えば、箔から作製され、可撓性ポリマーから作製されている)と、滅菌ガスを通過させることを可能にする1つ又は2つ以上の多孔性パネル(例えば、TYVEK(登録商標)材料製)と、を有し得る。パウチは、シリンジをパウチ内部に密封するために密封され得る。パウチを密封した後、密封されたパウチ内部に配設されたシリンジを滅菌するために、滅菌ガスが密封パウチの1つ又は2つ以上の多孔性パネルを通過し得る。滅菌後、1つ又は2つ以上の多孔性パネルは、細菌及び汚染物質が多孔性パネルを通過することを阻止して、シリンジの滅菌状態を維持する。
【0245】
図10Aを参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なエンクロージャ900(例えば、ガス滅菌可能なシリンジ)は、好ましくは、シリンジバレル902と、シリンジバレルとともに組み立てられるように構成されるシリンジプランジャ904と、を含む。シリンジバレル902は、好ましくは、組織接着剤(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤)の前駆体又は成分等の流動性材料を受容するように構成された流体チャンバ905を画定する。
【0246】
一実施形態では、シリンジバレル902は、好ましくは、開放している近位端906と、遠位端壁910によって少なくとも部分的に閉鎖された遠位端908と、を有する。ガス滅菌可能なシリンジ900は、好ましくは、遠位端壁910から遠位方向に突出する分注先端912を含む。分注先端912は、流動性材料(図示せず)を分注するための流路を提供する導管914を有する。流動性材料は、シリンジバレル902の流体チャンバ905内に配設され得る。分注先端912の導管914の遠位端における分注開口部は、好ましくは、エンドキャップ916によって覆われている。エンドキャップ916は、ガス滅菌可能なシリンジ900を出荷及び貯蔵する間、分注先端912の遠位端を覆い得る。一実施形態では、エンドキャップ916は、シリンジバレル902の遠位端から流動性材料を分注及び/又は圧出するために、分注先端912の遠位端から取り外され得る。
【0247】
一実施形態では、シリンジプランジャ904は、好ましくは、シリンジバレル902の流体チャンバ905の内部に配設され得るピストン918(例えば、プランジャヘッド)を含む。ピストン918は、好ましくは、シリンジバレル902の内面に係合してピストンとシリンジバレルの内面との間に液密シールを形成する外周を有する。一実施形態では、ピストン918は、ゴム及び/又はポリマーを含む様々な従来の材料から作製され得る。プランジャ904は、好ましくは、ピストン918の近位側に固定された遠位端を有するプランジャステム920を含む。一実施形態では、プランジャ904は、好ましくは、望ましくはプランジャステム920の近位端に固定されるサムタブ922を含む。サムタブ922は、ピストン918を強制的に流体チャンバ905内でシリンジバレル902の遠位端壁910に向かって遠位方向に摺動させるために、DIR1で示される遠位方向に押し下げられ得る。一実施形態では、エンドキャップ916が取り外された状態で、サムタブ922が遠位方向DIR1に押し下げられると、シリンジバレル902の流体チャンバ905内に事前装填された流動性材料は、分注先端912の遠位端における分注開口部から圧出されるように、強制的に下流に流されて分注先端912の導管914に流入し得る。
【0248】
一実施形態では、シリンジバレル902は外壁924を有し、ガス滅菌可能なシリンジ900は、シリンジバレル902の外壁924に形成された(例えば、穿孔された、レーザ穿孔された、機械的に穿孔された)1つ又は2つ以上のアパーチャ926を含み得る。
【0249】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ900は、シリンジプランジャ904のピストン918を通って延在する1つ又は2つ以上のアパーチャ930を含み得る。一実施形態では、ピストン918を通って延在するアパーチャ930のうちの1つ又は2つ以上は、サムタブ922とピストン918との間に延在するプランジャ904のプランジャステム920内に位置付けられ、及び/又はプランジャステム920と位置合わせされ得る。プランジャ904は、通気式プランジャであり得る。
【0250】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ900は、シリンジバレル902の遠位端壁910に形成された1つ又は2つ以上のアパーチャ932を含み得る。
【0251】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ900は、エンドキャップ916の壁に形成された1つ又は2つ以上のアパーチャ934を含み得、エンドキャップ916の壁は、分注先端912の遠位端に位置する分注開口部を覆って固定可能である。
【0252】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ900は、分注先端912の外壁を通って延在する、1つ又は2つ以上のアパーチャ936を含み得る。
【0253】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ900内に形成されたアパーチャ926、930、932、934、及び936の各々は、好ましくは、約1~5mmの直径を有する。
【0254】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ900のアパーチャ926、930、932、934、及び936は、好ましくは、ガス透過性バリア945(すなわち、ガス透過性プラグ、ガス透過性シール)で充填され、ガス透過性バリア945は、ガス滅菌可能なシリンジ900を滅菌するために、滅菌ガスがアパーチャを通過することを可能にする一方で、シリンジバレル902の流体チャンバ905内に配設された粘性のある流動性材料が、ガス透過性バリア945で充填されたアパーチャ926、930、932、934、及び936を通過する(例えば、漏出する)ことを阻止する。
【0255】
一実施形態では、ガス透過性バリアを形成するために使用される配合物は、好ましくは、多孔性であり、硬化性であり、エンクロージャ(例えば、シリンジ)内に貯蔵された流動性材料(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤)の安定性に影響を及ぼすことなく、アパーチャを確実に塞ぐ及び/又は密封することができる。
【0256】
一実施形態では、アパーチャのうちの1つ又は2つ以上は、非対称形状及び/又は断面を有し得、ガス透過性バリアを形成するために使用される配合物は、硬化される前にアパーチャの形状に適合し得るように、未硬化状態でアパーチャに導入される。完全に硬化された後、ガス透過性バリアは、好ましくは、アパーチャの形状に適合して、滅菌ガスがアパーチャを通過することを可能にする一方で、流動性材料がガス透過性バリアを通過することを阻止するために開口部を密封する。一実施形態では、ガス透過性バリアを形成するために使用される材料(例えば、シリコーンゴム)は、好ましくは、シリンジを形成するために使用される材料に結合する。
【0257】
図11Aを参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1000は、好ましくは、流体チャンバ1005を取り囲む外壁1024を有するシリンジバレル1002を含む。一実施形態では、複数のアパーチャ1026が、シリンジバレル1002の外壁1024に形成され得る。アパーチャ1026は、異なる形状、構成、及び/又は直径を有し得る。アパーチャは、非対称及び/又は不均一な形状を有し得る。アパーチャ1026は約1~5mmの直径を有することができる。
【0258】
図11Bを参照すると、一実施形態では、シリンジバレル1002の外壁1024に形成されたそれぞれのアパーチャ1026は、滅菌ガスが、流体チャンバ1005内に配設された粘性のある流動性材料(図示せず)に到達するために、アパーチャ1026を通過することを可能にする一方で、粘性のある流動性材料が塞がれたアパーチャ1026を通って漏出し、かつ/又は逃げることを阻止するガス透過性バリア1045(例えば、プラグ)で充填され得る。一実施形態では、アパーチャ1026を充填してガス透過性バリア1045を形成する多孔性材料は、最初に、未硬化の流動可能な状態にあるときにアパーチャを充填し、次いで硬化されてガス透過性バリアを形成し得る。初期の未硬化状態において、ガス透過性バリア1045を形成するために使用される材料は、好ましくは、ガス透過性バリア1045に関連付けられたアパーチャ1026の特定の形状に適合する。ガス透過性バリア材料は、シリンジバレル1002の外壁1024に形成されたそれぞれのアパーチャ1026内に配設された後、滅菌可能なシリンジ1000のシリンジバレル1002の外壁1024に形成されたそれぞれのアパーチャ1026の各々を充填する構造的に安定したガス透過性バリア1045(例えば、プラグ)を形成するために硬化され得る。一実施形態では、ガス透過性バリア1045は、シリンジ及び/又はシリンジバレル1002の1つ又は2つ以上の壁と結合する多孔性シリコーンゴムから作製され得る。
【0259】
一実施形態では、図10A及び図10Bに示され、上述された滅菌可能なシリンジ900の穴926、930、932、934、及び936は、図11A及び図11Bに示された穴1026の形状、構成、及び/又は直径と同様の形状、構成、及び/又は直径を有し得る。
【0260】
一実施形態では、滅菌可能なシリンジに形成された穴を充填するガス透過性バリアを形成及び/又は成形するために、犠牲スリーブが使用され得る。図12を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1100は、望ましくは、流体チャンバ1105を取り囲む外壁1124を有するシリンジバレル1102を含み、流体チャンバ1105は、流動性材料(例えば、組織接着剤)を受容するように構成されている。一実施形態では、シリンジバレル1102の流体チャンバ1105との連通を提供するために、1つ又は2つ以上のアパーチャ1126がシリンジバレル1102の外壁1124に形成されている。一実施形態では、ガス透過性バリア1145を形成するために硬化され得る材料でアパーチャ1126を充填する前に、犠牲スリーブ1142(例えば、管状構造)がシリンジバレル1102内に挿入され得る。犠牲スリーブ1142の外面は、シリンジバレル1102の外壁1124の内面1140に係合するか、又は内面1140に近接して対向して位置し得る。犠牲スリーブ1142がアパーチャ1126を覆うためにシリンジバレル1102の内部に配設された状態で、流動性の硬化性多孔性材料(例えば、シリコーン)をアパーチャ1126内に配設して、アパーチャ1126を充填するガス透過性バリア1145を形成することができる。穴1126を充填する未硬化材料は、好ましくは、穴及び未硬化材料に接触する犠牲スリーブ1142の外面の形状に適合する。アパーチャ1126内に配設された材料が硬化された後、犠牲スリーブ1142は、シリンジバレル1102の外壁1124の内部から取り外されて、ガス透過性バリア1145とシリンジバレル1102の外壁1124の内面1140との間に滑らかな界面を提供し得る。一実施形態では、犠牲スリーブ1142はシリコーンゴムで作製され得る。
【0261】
図13を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1200は、好ましくは、近位端1204と、遠位端1206と、を有するエンクロージャ1202(ダブルバレルシリンジ)を含む。エンクロージャ1202は、好ましくは、流動性材料の第1の部分を受容するように構成された第1のシリンジバレル1208と、流動性材料の第2の部分を受容するように構成された第2のシリンジバレル1210と、を含む。
【0262】
一実施形態では、エンクロージャ1202は、好ましくは、第1のシリンジバレル1208の遠位端と流体連通する第1の分注開口部1212と、第2のシリンジバレル1210の遠位端と流体連通する第2の分注開口部1214と、を含む。一実施形態では、流動性材料の第1の部分及び第2の部分は、それぞれの第1の分注開口部及び第2の分注開口部1212、1214を介して圧出された後、シリコーン系局所皮膚接着剤などの外科処置中に使用される生体適合性材料を形成するために、(例えば、スタティックミキサを用いて)一緒に混合され得る。
【0263】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1200は、好ましくは、第1のシリンジバレル1208の開放端に挿入されるように構成された第1のプランジャ1218と、第2のシリンジバレル1210の開放端に挿入されるように構成された第2のプランジャ1220と、を含む、ダブルバレルプランジャ1216を含む。一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1200は、好ましくは、第1のプランジャ及び第2のプランジャ1218、1220の近位端を相互接続するサムタブ1222を含む。サムタブ1222は、第1のプランジャ及び第2のプランジャ1218、1220をエンクロージャ1202の遠位端1206に向かって遠位方向DIR1に同時に押し下げるように係合され得、次に、それぞれの分注開口部1212、1214から流動性材料の第1の部分及び第2の部分が圧出される。
【0264】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1200は、好ましくは、エンクロージャ1202の遠位端1206に位置する分注開口部1212、1214を覆って固定されるように適合されたエンドキャップ1224を含む。一実施形態では、エンクロージャの遠位端1206は、望ましくは、エンドキャップ1224をエンクロージャ1202(例えば、ダブルバレルシリンジ)の遠位端1206に固定するために、エンドキャップ1224のハブの外面上に設けられた半径方向に延在する突出部1265A、1265B(図15)に係合するように構成されたエンドキャップ接続フランジ1255A、1255Bを含む。エンドキャップ1224は、好ましくは、内部に形成された第1のエンドキャップ開口部1226及び第2のエンドキャップ開口部1228を含む。エンドキャップ1224がエンクロージャ1202の遠位端1206に固定された状態で、エンドキャップ開口部1226、1228は、好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1208、1210の流体チャンバ内に配設された流動性材料の第1の部分及び第2の部分を滅菌するために、滅菌ガスがエンドキャップ1224並びに第1の分注開口及び第2の分注開口部1212、1214を通過することを可能にするように適合されている。
【0265】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1200は、好ましくは、エンドキャップ1224内に配設されるように構成され、第1の分注開口部及び第2の分注開口部1212、1214の遠位端とエンドキャップ1224の内面との間に位置付けられているガス透過性バリア1230(例えば、硬化シリコーンプラグ)を含む。一実施形態では、ガス透過性バリアは、クローズドセル気孔率を有するシリコーンゴムから作製され得る。
【0266】
特定の実施形態では、ガス透過性バリア1230は、次の材料、すなわち、室温加硫シリコーン(RTV)、液体シリコーンゴム(LSR)、及び高粘度ゴム(HCR)を含むシリコーン材料のうちの1つ又は2つ以上から作製され得る。
【0267】
一実施形態では、ガス透過性バリア1230は、空隙及び/又は気孔率を有するクローズドセル構造を含む。一実施形態では、ガス透過性バリア1230は、成形又はダイカットされ得る。一実施形態では、ガス滅菌プロセス(例えば、酸化エチレンガス滅菌プロセス)の反復真空サイクル中にシリンジバレルの内容物(例えば、流動性材料)を密封するために、ガス透過性バリアには貫通穴は存在しない(すなわち、オープンセル細孔は存在しない)。
【0268】
一実施形態では、エンドキャップ1224内に配設されたガス透過性バリア1230は、全体積の1%~90%の間、より好ましくは全体積の5%~80%の間の気孔率範囲を有し、主にクローズドセル気孔率を有する様々なシリコーンゴム材料から作製され得る。
【0269】
一実施形態では、エンドキャップ1224内に配設されたガス透過性バリア1230は、ガス滅菌可能なシリンジの内容物と適合性があり、かつ化学的に反応しない材料から作製されている。ガス透過性バリアのための好ましい材料の例としては、特に、シリコーン-ポリエチレン、シリコーン-アクリル、又はシリコーン-ポリウレタンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されず、これらは、本明細書に開示されるガス透過性バリアの形状に形成され得る。
【0270】
一実施形態では、ガス透過性バリア1230は、5~70のショアA硬度等級を有する多孔性シリコーン材料から作製され得る。
【0271】
一実施形態では、ガス透過性バリア1230を形成するために使用されるシリコーン系ポリマーの気孔率は、インサイチュガス生成方法を使用して硬化中に生成され得る。
【0272】
一実施形態では、ガス透過性バリア1230は、市販のシリコーンRTV発泡体を使用して作製され得、それによって、配合物は、ガス滅菌可能なシリンジとともに使用されるときに、結果を最適化するように気孔率レベルを調節するように修正され得る。
【0273】
一実施形態では、ガス透過性バリア1230は、成形又はダイカットされ得る。一実施形態では、ガス透過性バリアは、より大きい多孔性シリコーンゴムシートからダイカットされ得る。
【0274】
一実施形態では、ガス透過性バリアは、ゴム及び/又はポリマー材料等の、ガス透過性の高い他の材料から作製され得る。
【0275】
一実施形態では、ガス透過性バリア1230がエンドキャップ1224とともに組み立てられた後、エンドキャップは、好ましくはエンクロージャ1202の遠位端に固定される。エンドキャップのハブは、好ましくは、滅菌ガスがエンドキャップのハブの下端とエンクロージャの遠位端壁との間を通過できないように、エンクロージャの遠位端と気密シールを形成する。
【0276】
エンドキャップ1224がエンクロージャ1202の遠位端1206に固定された状態で、エンドキャップ開口部1226及び1228は、好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1208、1210の流体チャンバ内に配設された流動性材料の第1の部分及び第2の部分を滅菌するために、滅菌ガスがエンドキャップ1224、ガス透過性バリア1230、並びに第1の分注開口部及び第2の分注開口部1212、1214を通過することを可能にするように適合されている。
【0277】
図14を参照すると、一実施形態では、ガス透過性バリア1230は、好ましくは、ガス滅菌可能なシリンジ1200のエンクロージャ1202(図13)内に配設された流動性材料の第1の部分及び第2の部分を滅菌するために、滅菌ガスがガス透過性バリアを通過することを可能にするために多孔性を有する。一実施形態では、ガス透過性バリア1230は、クローズドセル細孔を含有するシリコーンゴムから作製されている。一実施形態では、滅菌プロセス中にシリンジ内に配設された流動性材料の漏出を阻止するために、ガス透過性バリア1230には開孔(例えば、マイクロアパーチャ)が存在しない。ガス透過性バリア1230の孔は、互いに相互接続されておらず、滅菌ガスがガス透過性バリアを通過することを可能にする一方で、流動性材料の一部がガス透過性バリアを通過することを阻止する。したがって、ガス透過性バリア1230は、滅菌ガスが通って流れることを可能にする一方で、より粘性のある液体がガス透過性バリア1230を通過し、かつ/又はガス透過性バリア1230を通って流れることを阻止するように設計される。
【0278】
図15を参照すると、一実施形態では、エンドキャップ1224は、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1208、1210の遠位端に位置する分注開口部1212、1214(図13)を覆って固定され得る。一実施形態では、エンクロージャ1202(図13)の遠位端1206は、望ましくは、エンドキャップ接続フランジ1255A、1255Bを含み、エンドキャップ接続フランジ1255A、1255Bは、エンドキャップ1224をエンクロージャ1202(例えば、ダブルバレルシリンジ)の遠位端1206に固定するために、エンドキャップ1224のハブの外面に設けられた半径方向に延在する突出部12656A、1265B(図15)に係合するように構成されている。エンドキャップ1224のハブの下端は、好ましくは、エンクロージャ1202の遠位端と気密シールを形成する。
【0279】
一実施形態では、ガス透過性バリア1230(図14)は、エンドキャップ1224内に配設されており、エンドキャップ1224に形成された第1のエンドキャップ開口部及び第2のエンドキャップ開口部1226、1228と位置合わせされている。エンドキャップ1224は、好ましくは、それぞれのシリンジバレル1208、1210の流体チャンバ内に配設された流動性材料の部分を滅菌するために、滅菌ガスがエンドキャップ1224及びガス透過性バリア1230を通過することを可能にする第1のエンドキャップ開口部1226及び第2のエンドキャップ開口部1228を含む。
【0280】
一実施形態では、滅菌ガスは、好ましくは、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1208、1210のそれぞれの流体チャンバに入るために、第1のエンドキャップ開口部及び第2のエンドキャップ開口部1226、1228及びガス透過性バリア1230を通過する。
【0281】
一実施形態では、エンクロージャの流体チャンバ内への滅菌ガスのための唯一の入口経路は、エンドキャップ1224内に形成された第1のエンドキャップ開口部及び第2のエンドキャップ開口部1228を通る。
【0282】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ用のエンドキャップは、単一のエンドキャップ開口部を有し得る。
【0283】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ用のエンドキャップ1224は、3つ又はそれ以上のエンドキャップ開口部を有し得る。
【0284】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1200が滅菌された後、エンドキャップ1224は、好ましくは、シリンジを出荷及び貯蔵する間、定位置に留まる(すなわち、エンクロージャ1202の遠位端に固定される)。外科処置中に、エンドキャップ1224は、エンクロージャの遠位端1206から切り離され、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1208、1210内に配設された流動性材料を混合及び/又は圧出するためにエンクロージャの遠位端に固定可能な混合及び分注先端又は分注先端(図示せず)によって置き換えられ得る。
【0285】
実験1.図13図15に示される構造と同様の構造を有し、各々が二液型シリコーン接着剤配合物を含有するガス滅菌可能なシリンジを、酸化エチレン(ethylene oxide、EO)ガスを使用して滅菌した。生物学的インジケータ(biologic indicator、BI)は、ガス透過性バリア(例えば、ガス透過性プラグ)及び/又はガス透過性プランジャシールの機能を試験するために、ガス滅菌可能なシリンジのそれぞれのシリンジバレルの流体チャンバ内に配置された。試験されたデバイスの全てにおける生物学的インジケータは、負の結果を示し、このことは、酸化エチレン滅菌ガスがシリンジ内に進入し、シリンジ内に配設されたシリコーン接着剤配合物の2つの部分の各々を効果的に滅菌することができたことを示す。EO曝露時間は785サイクル(約5時間)であり、その後、滅菌チャンバ内の残留EOガスを除去するために50mmHg未満の真空圧を適用した。BIは、全ての細菌がEOサイクルによって中和されたことを示し、このことは、シリンジがEO透過性であることを証明した。更に、滅菌したシリンジ内の残留EO含量を試験した。試験の結果は、3.59μg/cmの残留EO含量を示したが、これは10μg/cmの必要限度をはるかに下回っている。
【0286】
図16Aを参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1200は、好ましくは、第1のシリンジバレル1208及び第2のシリンジバレル1210を有するエンクロージャ1202(例えば、ダブルバレルシリンジ)を含む。エンドキャップ1224は、好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1208、1210の遠位端に位置する第1の分注開口部及び第2の分注開口部1212、1214(図13)を覆うために、エンクロージャ1202の遠位端1206に固定されている。
【0287】
一実施形態では、ダブルバレルプランジャ1216のそれぞれの第1のプランジャ及び第2のプランジャ1218、1220の遠位端は、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1208、1210の近位端に位置する開口部に挿入される。第1のプランジャ1218の遠位端は、第1のシリンジバレル1208の内面と液密シールを形成するように構成された第1のプランジャシール1219を含み得、第2のプランジャ1220の遠位端は、第2のシリンジバレル1210の内面と液密シールを形成するように構成された第2のプランジャシール1221を含み得る。一実施形態では、ダブルバレルプランジャ1216がダブルバレルシリンジ1202とともに組み立てられるとき、滅菌ガスは、第1のシリンジバレルの第1の流体チャンバ内に配設された流動性組成物の第1の部分を滅菌するために、第1のプランジャシール1219の外周と第1のシリンジバレル1208の外壁の内面との間を通過し、第1のシリンジバレルの第1の流体チャンバ内に進入することができる。一実施形態では、同様の構造が、第2のシリンジバレル1210の第2の流体チャンバ内に配設された流動性組成物の第2の部分を滅菌するために提供される。一実施形態では、滅菌ガスは、第2のシリンジバレル1210の第2の流体チャンバ内に配設された流動性組成物の第2の部分を滅菌するために、第2のプランジャシール1221の外周と第2のシリンジバレル1210の外壁の内面との間を通過し、第2のシリンジバレルの第2の流体チャンバ内に進入し得る。
【0288】
図16Bを参照すると、一実施形態では、第1のシリンジバレル1208は、好ましくは、流動性材料の第1の部分で充填され、第2のシリンジバレル1210は、好ましくは、流動性材料の第2の部分で充填される。第1のプランジャ及び第2のプランジャ1218、1220の遠位端は、好ましくは、エンクロージャ1202の近位端1204の開口部に挿入される。エンドキャップ1224は、好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1208、1210の遠位端に位置する分注開口部1212、1214(図13)を覆うために、エンクロージャ1202の遠位端1206に固定されている。
【0289】
シリンジ及びシリンジの内容物は、好ましくは、滅菌ガスをエンドキャップ1224のエンドキャップ開口部を通過させることによって滅菌される。シリンジ1200が滅菌された後、エンドキャップ1224は、好ましくは、デバイスを出荷及び貯蔵する間定位置に留まる。外科処置中に、シリンジが滅菌環境内に位置する状態で、エンドキャップ1224が、取り外されて、混合及び分注先端又は分注先端と交換され得、混合及び分注先端又は分注先端は、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1208、1210内に収容された流動性材料の第1の部分及び第2の部分を混合及び/又は分注するために、エンクロージャの遠位端1206に固定されている。
【0290】
図17を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1300は、好ましくは、近位端1304及び遠位端1306を有するエンクロージャ1302を含む。エンクロージャ1302は、好ましくは、流動性材料の第1の部分を受容するように構成された第1の流体区画を有する第1のシリンジバレル1308と、流動性材料の第2の部分を受容するように構成された第2の流体区画を有する第2のシリンジバレル1310と、を含む。
【0291】
一実施形態では、エンクロージャ1302は、好ましくは、第1のシリンジバレル1308の第1の流体区画と流体連通する第1の分注開口部1312と、第2のシリンジバレル1310の第2の流体区画と流体連通する第2の分注開口部1314と、を含む。
【0292】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1300は、好ましくは、第1のエンドキャップ開口部1326及び第2のエンドキャップ開口部1328を含むエンドキャップ1324を含む。一実施形態では、第1のエンドキャップ1326は、好ましくはエンドキャップ1324内に配設され、第1のエンドキャップ開口部及び第2のエンドキャップ開口部1326、1328と位置合わせされたガス透過性バリア1330(例えば、ガス透過性プラグ)を受容するように適合されている。一実施形態では、ガス透過性バリア1330を含むエンドキャップ1326は、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1308、1310の遠位端において分注開口部1312、1314を覆うために、エンクロージャ1302の遠位端1306に固定されるように適合されている。一実施形態では、エンドキャップ1324とガス透過性バリア1330との組み合わせは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1308、1310内に配設された流動性材料の第1の部分及び第2の部分を滅菌するために、滅菌ガスがエンドキャップ1324及びガス透過性バリア1330を通過することを可能にする。
【0293】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1300は、好ましくは、第1のシリンジバレル1308内に配設されるように適合された第1のプランジャ1318と、第2のシリンジバレル1310内に配設されるように適合された第2のプランジャ1320と、を含む、ダブルバレルプランジャ1316を含む。一実施形態では、ダブルバレルプランジャ1316は、好ましくは、それぞれの第1のプランジャ及び第2のプランジャ1318、1320の近位端に固定されたサムタブ1322を含み、それにより、ダブルバレルプランジャ1316をエンクロージャ1302の遠位端1306に向かって同時に押し下げることができる。
【0294】
一実施形態では、第1のガス透過性プランジャシール1362は、好ましくは、第1のプランジャ1318の遠位端に固定可能であり、第2のガス透過性プランジャシール1364は、好ましくは、第2のプランジャ1320の遠位端に固定可能である。第1のガス透過性プランジャシール及び第2のガス透過性プランジャシール1362、1364は、好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1308、1310内に配設された流動性材料の部分を滅菌するために、滅菌ガスが第1のガス透過性プランジャシール及び第2のガス透過性プランジャシール1362、1364を通過することを可能にするように構成される。一実施形態では、第1のガス透過性プランジャシール及び第2のガス透過性プランジャシールは、クローズドセル細孔を含むシリコーンゴムから作製され得る。一実施形態では、滅菌プロセスの間第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル内に配設された内容物(例えば、流動性材料)の漏出を阻止するために、ガス透過性プランジャシール内に開孔(例えば、マイクロアパーチャ)は存在しない。
【0295】
一実施形態では、ダブルバレルプランジャ1316は、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1308、1310の第1の流体区画及び第2の流体区画を滅菌するために滅菌ガスが通過することを可能にする通気孔及び/又は導管を含み得る。通気孔及び/又は導管は、第1のガス透過性プランジャシール及び第2のガス透過性プランジャシール1362、1364と流体連通し得る。
【0296】
一実施形態では、エンドキャップ1324及びガス透過性バリア1330は、第1の分注開口部及び第2の分注開口部1312、1314の開口部を覆うために、エンクロージャ1302の遠位端1306を覆って固定されている。エンドキャップ1324及びガス透過性バリア1330がエンクロージャ1302の遠位端に固定された状態で、滅菌ガスは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1308、1310の流体チャンバ内に配設された流動性材料の第1の部分及び第2の部分を滅菌するために、第1のエンドキャップ開口部及び第2のエンドキャップ開口部1326、1328、ガス透過性バリア1330、及び分注開口部1312、1314を通過することができる。
【0297】
第1のプランジャ及び第2のプランジャ1318、1320がそれぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1308、1310内に配設された状態で、滅菌ガスは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1308、1310内に配設された流動性材料の部分を滅菌するために、プランジャ並びに/又は第1のガス透過性プランジャシール及び第2のガス透過性プランジャシール1362、1364を通過することができる。
【0298】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジは、好ましくは、エンクロージャ1302の遠位端1306に固定され得る混合及び分注先端1350を含む。一実施形態では、混合及び分注先端1350は、好ましくは、流動性組成物の第1の部分及び第2の部分を一緒に混合し、ガス滅菌可能なシリンジ1300の遠位端から流動性組成物を圧出するように構成される。
【0299】
一実施形態では、混合及び分注先端1350は好ましくは、近位端1354及び遠位端1356を有する混合及び分注管1352を有する。好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1308、1310内に配設される流動性材料の第1の部分及び第2の部分を一緒に混合するために、スタティックミキサ1358が混合及び分注管1352内に配設される。
【0300】
一実施形態では、混合及び分注先端1350は、好ましくは、コネクタ1360を含み、コネクタ1360は、混合及び分注先端1350をガス滅菌可能なシリンジ1300のエンクロージャ1302の遠位端1306に接続するように適合されている。一実施形態では、混合及び分注先端1350は、好ましくは、コネクタ1360の外面から延在する、半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突出部1361を含む。一実施形態では、半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突出部1361は、好ましくは、混合及び分注先端1350をエンクロージャ1302の遠位端に固定するために、エンクロージャ1302の遠位端に位置する固定フランジ1385A、1385Bに係合するように構成される。
【0301】
一実施形態では、外科処置中に、ガス透過性バリア1330を含むエンドキャップ1324が、エンクロージャ1302の遠位端1306から切り離され、混合及び分注先端1350によって置き換えられ得る。混合及び分注先端1350の近位端に位置するコネクタ1360は、エンクロージャ1302の遠位端1306に位置する露出された第1の分注開口部及び第2の分注開口部1312、1314を覆って固定され得る。コネクタ1360の近位端における半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突出部1361は、好ましくは、混合及び分注先端をエンクロージャの遠位端に固定するために、エンクロージャ1302の遠位端にある固定フランジ1385に係合する。第1のプランジャ及び第2のプランジャ1318、1320の近位端に固定されたサムタブ1322をエンクロージャ1302の遠位端1306に向かって遠位方向DIR1に押し下げて、流動性材料の第1の部分及び第2の部分を第1の分注開口部及び第2の分注開口部1312、1314から混合及び分注先端1350の混合及び分注管1352内に強制的に流すことができる。流動性材料の第1の部分及び第2の部分が混合分注管1352を通って遠位方向DIR1に流れるとき、流動性材料の2つの部分は、混合分注管1352内に配設されたスタティックミキサ1358を介して一緒に混合される。
【0302】
図18A図18B図19、及び図20を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1400は、好ましくは、近位端1404及び遠位端1406を有するエンクロージャ1402を含む。一実施形態では、エンクロージャ1402は、好ましくは、第1の流体区画1405Aを有する第1のシリンジバレル1408と、第2の流体区画1405Bを有する第2のシリンジバレル1410と、を含む、ダブルバレルシリンジである。
【0303】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1400は、好ましくは、第1のシリンジバレル1408の近位端に挿入されるように適合された第1のプランジャ1418と、第2のシリンジバレル1410の近位端に挿入されるように適合された第2のプランジャ1420と、を含む、ダブルバレルプランジャ1416を含む。
【0304】
一実施形態では、第1のプランジャ1418は、好ましくは、第1のプランジャ1418の遠位端に位置する第1のプランジャヘッド1419を含み、第2のプランジャ1420は、好ましくは、第2のプランジャ1420の遠位端に位置する第2のプランジャヘッド1421を含む。一実施形態では、第1のプランジャヘッド及び第2のプランジャヘッド1419、1421の外周は、好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410の内面と液密シールを形成する。
【0305】
一実施形態では、ダブルバレルプランジャ1416は、好ましくは、第1のプランジャ及び第2のプランジャ1418、1420の近位端を相互接続するサムタブ1422を含む。一実施形態では、サムタブ1422は、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410の遠位端から流動性材料の第1の部分及び第2の部分を圧出するために、ダブルバレルプランジャ1416を遠位方向DIR1(図18A及び図18B)に押し下げるために使用され得る。
【0306】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1400は、好ましくは、エンクロージャ1402の遠位端1406に固定されたエンドキャップ1424を含む。エンクロージャ1402内に配設された流動性材料の第1の部分及び第2の部分を滅菌するために、滅菌ガスがエンドキャップを通過してそれぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410の第1の流体区画及び第2の流体区画1405A、1405Bに進入することを可能にする一方で、流動性材料がガス透過性バリア1430を通過することを阻止するために、ガス透過性バリア1430(図19及び図20)が、エンドキャップ1424内に配設され得る。一実施形態では、エンドキャップ1424は、好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410の第1の流体チャンバ及び第2の流体チャンバ1405A、1405B内に配設された流動性材料の第1の部分及び第2の部分を滅菌するために、滅菌ガスがエンドキャップ1424及びガス透過性バリア1430(図19及び図20)を通過することを可能にするように構成された1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部1426(図18A)を含む。
【0307】
図19及び図20を参照すると、一実施形態では、エンクロージャ1402は、好ましくは、第1のシリンジバレル1408の第1の流体区画1405Aと流体連通する第1の分注開口部1412と、第2のシリンジバレル1410の第2の流体区画1405Bと流体連通する第2の分注開口部1414と、を含む。
【0308】
一実施形態では、第1のシリンジバレル1408は、好ましくは、内部に形成された1つ又は2つ以上の通気開口部140を有する外壁1425を有する。第1のシリンジバレル1408は、好ましくは、1つ又は2つ以上の通気開口部1440とエンクロージャ1402の近位端1404との間に位置する外壁1425の内面に形成された第1の一方向プランジャ止め具1442を含む。一実施形態では、第1のプランジャヘッド1419が第1の一方向プランジャ止め具1442を越えて遠位方向に移動した後、第1の一方向プランジャ止め具1442は、第1のプランジャに係合して、第1のプランジャ1418を遠位方向DIR1に移動させることをより容易にし、第1のプランジャ1418を近位方向DIR2に後退させることをより困難にする。
【0309】
一実施形態では、第1の一方向プランジャ止め具1442は、充填されたシリンジへのプランジャ挿入時に、プランジャが、第1の一方向プランジャ止め具1442へのテーパ状導入部を容易に乗り越えることができるが、第1の一方向プランジャ止め具1442に通過した後、第1の一方向プランジャ止め具1442に乗り上げ、過剰な力がなければこの静止位置から後退することができなくなるように、第1のシリンジバレル1408の内径内に設計されている。一実施形態では、一方向プランジャ止め具1442は、滅菌中に生じる圧力変化及び真空サイクル中の第1のプランジャの移動を阻止するように設計される。
【0310】
一実施形態では、第1のシリンジバレル1424は、望ましくは、第1のシリンジバレル1408の長さに沿って延在する外壁1424の内面に形成された細長い旋条1444を含む。細長い旋条1444は、好ましくは、第1のシリンジバレル1408の一方向プランジャ止め具1442に隣接して終端する。細長い旋条1444は、好ましくは、第1のシリンジバレル1408に対する第1のプランジャ1418の摺動運動を誘導する。
【0311】
一実施形態では、第2のシリンジバレル1410は、好ましくは、内部に形成された1つ又は2つ以上の通気穴1446を有する外壁1427を含む。第2のシリンジバレル1410は、好ましくは、第2のシリンジバレルの1つ又は2つ以上の通気穴1446とエンクロージャ1402の近位端1404との間に位置する第2の一方向プランジャ止め具1448を含む。一実施形態では、第2のプランジャヘッド1420が第2の一方向プランジャ止め具1448を越えて遠位方向に移動した後、第2の一方向プランジャ止め具1448は、第2のプランジャ1420を遠位方向DIR1に移動させることをより容易にする一方で、第2のプランジャ1420を近位方向DIR2に後退させることをより困難にするために、第2のプランジャ1420に係合する。第2のシリンジバレル1410は、好ましくは、第2のシリンジバレル1410の長さに沿って延在し、第2の一方向プランジャ止め具1448に隣接して終端する細長い旋条1450を含む。細長い旋条1450は、好ましくは、第2のシリンジバレル1410に対する第2のプランジャ1420の摺動運動を誘導する。
【0312】
一実施形態では、第2の一方向プランジャ止め具1448は、充填されたシリンジ内へのプランジャ挿入時に、プランジャが、第2の一方向プランジャ止め具1448へのテーパ状導入部を容易に乗り越えるが、第2の一方向プランジャ止め具1448を通過した後、第2の一方向プランジャ止め具1448に乗り上げ、過剰な力がなければこの静止位置から後退することができなくなるように、第2のシリンジバレル1410の内径内に設計されている。一実施形態では、第2の一方向プランジャ止め具1448は、滅菌中に生じる圧力変化及び真空サイクル中の第2のプランジャの移動を阻止するように設計される。
【0313】
特定の実施形態では、複数の異なる充填容積を提供する製品ライン用に単一の外部寸法フットプリントを有するシリンジを使用することが有利であり得る。共有フットプリントは、異なる充填容積を有するシリンジのための単一の共有剛性ブリスターパッケージングに単純化することが所望され得る。シリンジバレル内の一方向プランジャ止め具1442、1448の正確な場所は、一方向プランジャ止め具が様々な所望の充填容積レベルにおいてシリンジバレル内部に配置されて、異なる充填容積を有する単一のシリンジフットプリントを可能にするように、修正、調整、及び/又はカスタマイズされ得る。より大きい充填容積を有するように設計されたシリンジの場合、一方向プランジャ止め具は、シリンジバレルの遠位端から更に離れて位置付けられ、より小さい充填容積を有するように設計されたシリンジの場合、一方向プランジャ止め具は、シリンジバレルの遠位端のより近くに位置付けられる。
【0314】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1400は、好ましくは、エンクロージャ1402の近位端1404に位置しており、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410の近位端の周囲に延在している円周フランジ1452を含む。一実施形態では、円周フランジ1452は、好ましくは、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410の近位端を相互接続する。ユーザは、ガス滅菌可能なシリンジの遠位端から流動性材料を圧出するために、円周フランジを指で係合させ得る。
【0315】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1400は、好ましくは、エンクロージャ1402の遠位端1406に位置するエンドキャップ接続フランジ1454A、1454Bを含み、これらのフランジは、エンドキャップ1424をエンクロージャ1402の遠位端1406に解放可能に固定するために、エンドキャップ1424の外面に設けられた半径方向に延在する突出部1456A、1456Bに係合するように構成されている。エンドキャップは、好ましくは、エンクロージャの遠位端に固定されると、エンクロージャの遠位端壁と気密シールを形成する。
【0316】
図21A図21B及び図22A図22Bを参照すると、一実施形態では、デュアルバレルプランジャ1416は、好ましくは、第1のプランジャ1418及び第2のプランジャ1420を含む。サムタブ1422は、それぞれの第1のプランジャ及び第2のプランジャ1418、1420の近位端を相互接続する。
【0317】
一実施形態では、第1のプランジャ1418は好ましくは、近位端1460及び遠位端1462と、を有する、第1のプランジャシャフト1458を含む。第1のプランジャ1418は、好ましくは、第1のプランジャシャフト1458の外面にわたって、第1のプランジャシャフトの長さに沿って延在する細長いガイドレール1464を含む。一実施形態では、細長いガイドレール1464は、望ましくは、第1のプランジャシャフト1458の遠位端1462で終端する。一実施形態では、第1のプランジャシャフト1458の遠位端1462は、好ましくは、半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突出部1466が第1の一方向プランジャ止め具1442を越えて遠位方向に移動した後に第1のプランジャの後退を阻止するために、第1のシリンジバレル1408(図19)の第1の一方向プランジャ止め具1442に係合するように適合された半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突出部1466を含む。
【0318】
一実施形態では、第1のプランジャヘッド1419は、第1のプランジャシャフト1458の遠位端1462から離隔されて、第1のプランジャシャフトの遠位端と第1のプランジャヘッド1419との間に位置する第1のプランジャキャビティ1468を画定する。
【0319】
一実施形態では、第2のプランジャ1420は好ましくは、近位端1472及び遠位端1474を有する第2のプランジャシャフト1470を含む。第2のプランジャ1420は、好ましくは、第2のプランジャシャフト1470の外面にわたって、第2のプランジャシャフトの長さに沿って延在する細長いガイドレール1476を含む。細長いガイドレール1476は、望ましくは、第2のプランジャシャフト1470の遠位端1474において終端する。一実施形態では、第2のプランジャシャフト1470の遠位端1474は、好ましくは、半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突出部1478が第2の一方向プランジャ止め具1448を越えて遠位方向に移動した後に第2のプランジャの後退を阻止するために、第2のシリンジバレル1410(図19)の第2の一方向プランジャ止め具1448に係合するように適合された半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突出部1478を含む。
【0320】
一実施形態では、第2のプランジャヘッド1421は、第2のプランジャシャフト1470の遠位端1474から離隔されて、第2のプランジャシャフト1470の遠位端と第2のプランジャヘッド1421との間に位置する第2のプランジャキャビティ1480を画定する。
【0321】
図23を参照すると、一実施形態では、デュアルバレルシリンジ1402は、図21A図21B及び図22A図22Bに示され、上記で説明されたデュアルバレルプランジャ1416を受容するように構成されている。一実施形態では、第1のシリンジバレル1408は、第1のプランジャ1418(図21A及び図21B)を受容するように構成されており、第2のシリンジバレル1410は、第2のプランジャ1420(図21A及び図21B)を受容するように構成されている。
【0322】
図23及び図24を参照すると、一実施形態では、第1のシリンジバレル1408は、好ましくは、第1のシリンジバレルの長さに沿って延在する外壁1425を含む。第1のシリンジバレル1408は、好ましくは、外壁1425を通過する1つ又は2つ以上の通気穴1440を含む。通気穴1440は、第1のシリンジバレル1408内に存在する周囲空気が第1のシリンジバレルから圧出されることを可能にする。通気穴1440はまた、第1のシリンジバレルの流体チャンバ1405A内への滅菌ガス用の補助経路を提供し得る。第1の一方向プランジャ止め具1442は、好ましくは、第1のシリンジバレル1408の外壁1425の内面上に形成される。第1の一方向プランジャ止め具142は、くぼみ又は突出部であり得る。1つ又は2つ以上の細長いガイドスロット1444(例えば、旋条)は、外壁1425の内面に形成されており、第1のシリンジバレル1408の長さに沿って延在している。一実施形態では、1つ又は2つ以上の細長いガイドスロット1444は、第1のプランジャ1418の長さに沿って延在する1つ又は2つ以上のガイドレール1464を受容するように適合されている(図21A及び図21B)。
【0323】
図23を参照すると、一実施形態では、第2のシリンジバレル1410は、好ましくは、第2のシリンジバレルの長さに沿って延在する外壁1427を含む。第2のシリンジバレル1410は、好ましくは、外壁1427を通過する1つ又は2つ以上の通気穴1446を含む。通気穴1446は、第2のシリンジバレル1410内に存在する周囲空気が第2のシリンジバレルから圧出されることを可能にする。通気穴1446はまた、第2のシリンジバレル1410の流体チャンバ1405B内への滅菌ガス用の補助経路を提供し得る。第2の一方向プランジャ止め具1448は、好ましくは、第1のシリンジバレル1410の外壁1427の内面上に形成されている。1つ又は2つ以上の細長いガイドスロット1450(例えば、旋条)は、外壁の内面に形成されており、第2のシリンジバレル1410の長さに沿って延在している。一実施形態では、1つ又は2つ以上の細長いガイドスロット1450は、ダブルバレルプランジャの第2のプランジャ1420(図21A及び図21B)の長さに沿って延在する1つ又は2つ以上のガイドレール1476を受容するように適合されている。
【0324】
図25を参照すると、一実施形態では、第1のシリンジバレル1408は、第1のシリンジバレルの長さに沿って延在する外壁1425を含む。第1のシリンジバレルの1つ又は2つ以上の細長いガイドスロットは、第1のシリンジバレル1408の内面にわたって互いに均等に離隔され得る。一実施形態では、1つ又は2つ以上の細長いガイドスロットは、好ましくは、第1のシリンジバレル1408の外壁1425の内面上に形成された4つの細長いガイドスロット1444A~1444Dを含む。一実施形態では、4つの細長いガイドスロット1444A~1444Dは、互いに平行であるそれぞれの軸に沿って延在している。
【0325】
一実施形態では、第2のシリンジバレル1410は、第1のシリンジバレルの長さに沿って延在する外壁1427を含む。第2のシリンジバレルの1つ又は2つ以上の細長いガイドスロットは、第2のシリンジバレル1410の内面にわたって互いに均等に離隔され得る。一実施形態では、1つ又は2つ以上の細長いガイドスロットは、好ましくは、第2のシリンジバレル1410の外壁1427の内面上に形成された4つの細長いガイドスロット1450A~1450Dを含む。一実施形態では、4つの細長いガイドスロット1450A~1450Dは、互いに平行であるそれぞれの軸に沿って延在している。
【0326】
図26を参照すると、一実施形態では、第1のプランジャ1418は、第1のプランジャの長さに沿って延在する第1のプランジャシャフト1458を含む。一実施形態では、1つ又は2つ以上の細長いガイドレールは、好ましくは、第1のプランジャ1418の第1のプランジャシャフト1458の外面上に形成された4つの細長いガイドレール1464A~1464Dを含む。一実施形態では、4つの細長いガイドレール1464A~1464Dは、第1のプランジャ1418の第1のプランジャシャフト1458の外面にわたって互いに均等に離隔されている。一実施形態では、4つの細長いガイドレール1464A~1464Dは、互いに平行であるそれぞれの軸に沿って延在する。
【0327】
一実施形態では、第2のプランジャ1420は、第2のプランジャの長さに沿って延在する第2のプランジャシャフト1470を含む。一実施形態では、1つ又は2つ以上の細長いガイドレールは、好ましくは、第2のプランジャ1420の第2のプランジャシャフト1470の外面上に形成された4つの細長いガイドレール1476A~1476Dを含む。一実施形態では、4つの細長いガイドレール1476A~1476Dは、第2のプランジャ1420の第2のプランジャシャフト1470の外面にわたって互いに均等に離隔されている。一実施形態では、4つの細長いガイドレール1476A~1476Dは、互いに平行であるそれぞれの軸に沿って延在している。
【0328】
図27を参照すると、一実施形態では、デュアルバレルシリンジ及びデュアルバレルプランジャが一緒に組み立てられるとき、第1のプランジャ1418は、第1のシリンジバレル1408内に挿入され、第2のプランジャ1420は、第2のシリンジバレル1410内に挿入される。
【0329】
一実施形態では、第1のプランジャ1418の4つの細長いガイドレール1464A~1464D(図26)は、エンクロージャ1402の遠位端1406に向かう第1のプランジャの摺動運動を誘導するために、第1のシリンジバレル1408のそれぞれの4つの細長いガイドスロット1444A~1444D(図25)内に着座させられている。
【0330】
一実施形態では、第2のプランジャ1420の4つの細長いガイドレール1476A~1476D(図26)は、エンクロージャ1402の遠位端1406に向かう第2のプランジャの摺動運動を誘導するために、第2のシリンジバレル1410のそれぞれの4つの細長いガイドスロット1450A~1450D(図25)内に着座させられている。
【0331】
図28Aを参照すると、一実施形態では、デュアルバレルプランジャ1416(図21A)は、第1のプランジャ1418が第1のシリンジバレル1408内に配設され、第2のプランジャ1420が第2のシリンジバレル1410内に配設されるように、ダブルバレルシリンジ1402に挿入される。一実施形態では、第1のプランジャ及び第2のプランジャ1418、1420は、第1のプランジャヘッド1419が第1のシリンジバレル1408の1つ又は2つ以上の通気開口部1440の遠位にあり、第1のプランジャシャフト1458の遠位端1462が第1のシリンジバレル1408の1つ又は2つ以上の通気開口部1440の近位にあり、第1のプランジャキャビティ1468が第1のシリンジバレル1408の1つ又は2つ以上の通気開口部1440と位置合わせされるように、図28Aに示される位置まで遠位方向DIR1に前進させられ得る。第1のプランジャバレルシャフト1458の遠位端1462に位置する半径方向突出部1466は、近位方向DIR2への第1のプランジャ1418の後退を阻止するために、第1のシリンジバレルの第1の一方向プランジャ止め具1442に係合する。
【0332】
同時に、第2のプランジャヘッド1421は、第2のシリンジバレル1410の1つ又は2つ以上の通気開口部1446の遠位にあり、第2のプランジャシャフト1470の遠位端1474は、第2のシリンジバレル1410の1つ又は2つ以上の通気開口部1446の近位にあり、第2のプランジャキャビティ1480は、第2のシリンジバレル1410の1つ又は2つ以上の通気開口部1446と位置合わせされる。第2のプランジャシャフト1470の遠位端1474に位置する半径方向突出部1478は、近位方向DIR2への第2のプランジャ1420の後退を阻止するために、第2のシリンジバレル1410の第2の一方向プランジャ止め具1448に係合する。
【0333】
図28Bを参照すると、第1のプランジャヘッド1419が第1のシリンジバレル1408の1つ又は2つ以上の通気開口部1440A、1440Bの遠位にある状態で、第1のプランジャシャフト1458の遠位端1462は、第1のシリンジバレル1408の外壁1425を通って延在する通気開口部1440A、1440Bの近位にある。第1のプランジャヘッド1419と第1のプランジャシャフト1458の遠位端1462との間に位置する第1のプランジャキャビティ1468は、第1のシリンジバレル1408の外壁1425を通って延在する通気開口部1440A、1440Bと位置合わせされる。
【0334】
一実施形態では、流動性組成物の第1の部分は、第1のシリンジバレル1408の第1の流体区画1405A内に配設されている。第1のプランジャヘッド1419は、第1のシリンジバレル1408の外壁1425の内面と液密及び/又は流体密封シールを形成する外周を有する。滅菌ガスは、通気開口部1440A、1440Bを通過し、第1のプランジャヘッド1419の外周と第1のシリンジバレル1408の外壁1425の内面との間を流れ、第1のシリンジバレルの第1の流体チャンバ1405内に配設された流動性組成物の第1の部分を滅菌するために、第1の流体チャンバ1405Aに進入することができる。同様の構造が、第2のシリンジバレルの第2の流体チャンバ内に配設された流動性組成物を滅菌するために提供されている。
【0335】
図29A図29Dを参照すると、一実施形態では、エンドキャップ1424は、エンクロージャ1402(図18A及び図18B)の遠位端に固定されるように構成されている。エンドキャップは、好ましくは、第1のエンドキャップ開口部及び第2のエンドキャップ開口部1426A、1426Bを含み、これらの開口部は、ガス滅菌可能なシリンジ1400並びに第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410(図18A及び図18B)内に配設された流動性組成物の第1の部分及び第2の部分を滅菌するために、滅菌ガスがエンドキャップを通過することを可能にする。
【0336】
一実施形態では、エンドキャップ1424は、中央ハブ1484から外向きに延在する、半径方向に延在する突出部1456A、1456Bを有する中央ハブ1484を含む。エンドキャップ1424は、エンドキャップの遠位端から突出するエンドキャップグリップ1486を含み、エンドキャップグリップ1486は、ガス滅菌可能なシリンジ(図18a及び図18B)のエンクロージャ1402の遠位端にエンドキャップを固定するために使用され得る。
【0337】
図30を参照すると、一実施形態では、エンドキャップ1424は、開放している下端と、端壁1485によって閉鎖された上端と、を有する、中央ハブ1484を含む。エンドキャップ開口部1426A、1426Bは、エンドキャップの端壁1485を通過する。ハブ1484及びエンドキャップの端壁1485は、ガス透過性バリア1430を受容するように適合されたエンドキャップチャンバ1495を画定している。
【0338】
図31を参照すると、一実施形態では、ガス透過性バリア1430をエンドキャップチャンバ1495内に挿入することができ、その結果、エンドキャップ開口部1426A、1426Bは、好ましくは、ガス透過性バリア1430と位置合わせされる。一実施形態では、ガス透過性バリア1430は、好ましくは、エンドキャップ端壁1495の底面の近くに位置するように、中央ハブ1484の上端に隣接して位置付けられる。中央ハブ1484の下端は、好ましくは、滅菌ガスが第1のエンドキャップ開口部及び第2のエンドキャップ開口部1426A、1426Bを介してのみガス滅菌可能なシリンジ内に流れ得るように、エンクロージャ又はシリンジの遠位端壁と気密シールを形成している。
【0339】
図32を参照すると、一実施形態では、ガス透過性バリア1430が内部に配設されたエンドキャップ1424は、ガス滅菌可能なシリンジ1400のエンクロージャ1402の遠位端1406に固定され得る。一実施形態では、エンドキャップ1424のハブ1484の開放している下端は、エンクロージャ1402の第1の分注開口部及び第2の分注開口部1412、1414の自由端の上に位置付けられる。エンドキャップグリップ1486は、エンドキャップ1424をエンクロージャ1402の遠位端1406に対して回転させるために使用することができ、それによって、エンドキャップの半径方向に延在する第1の突出部及び第2の突出部1566A、1456Bが、エンドキャップ1424を第1の分注開口部及び第2の分注開口部1412、1414の上に固定するためにエンクロージャのエンドキャップ固定フランジ1454A、1454Bに係合する。エンドキャップのハブの下端は、好ましくは、エンクロージャに固定されると、エンクロージャの遠位端と気密シールを形成する。
【0340】
一実施形態では、エンドキャップ1424がエンクロージャ1402の遠位端1406に固定された状態で、ガス透過性バリア1430は、エンドキャップ開口部1426A、1426B(図33)とそれぞれの第1の流体チャンバ及び第2の流体チャンバ1405A、1405Bと流体連通する第1の分注開口部及び第2の分注開口部1412、1414との間に配設されている。一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1400は、滅菌ガスに曝露され得、その後、滅菌ガスは、ガス滅菌可能なシリンジ1400の内部並びに第1の流体チャンバ及び第2の流体チャンバ内に配設された流動性材料の部分を滅菌するために、エンドキャップ開口部1426A、1425B、ガス透過性バリア1430、第1の分注先端及び第2の分注先端1412、1414を通過し、第1の流体チャンバ及び第2の流体チャンバ1405A、1405Bに進入する。
【0341】
一実施形態では、滅菌ガスはまた、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410の通気開口部1440、1446を通過して、滅菌ガスがガス滅菌可能なシリンジ1400のシリンジバレル1408、1410の第1の流体チャンバ及び第2の流体チャンバ1405A、1405Bに進入するための補助経路を提供し得る。
【0342】
一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1400は、流動性材料(例えば、シリコーン系局所皮膚接着剤)の第1の部分及び第2の部分で充填され得る。一実施形態では、エンドキャップ1424及びガス透過性バリア1430がエンクロージャ1402の遠位端1406を覆って固定された状態で、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410の開放近位端が流動性材料で充填される。一実施形態では、流動性材料の第1の部分は、第1のシリンジバレル1408の第1の流体チャンバ1405A内に配設されており、流動性材料の第2の部分は、第2のシリンジバレル1410の第2の流体チャンバ1405B内に配設されている。
【0343】
一実施形態では、ダブルバレルプランジャ1416は、ダブルバレルシリンジ1402とともに組み立てられ、それによって、第1のプランジャ1418が第1のシリンジバレル1408の第1の流体チャンバ1405A内に配設されており、第2のプランジャ1420が第2のシリンジバレル1410の第2の流体チャンバ1405B内に配設されている。次いで、ダブルバレルプランジャ1416は、遠位方向DIR1に前進させられ、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410内に存在する任意の空気を、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル内に形成される通気開口部1440、1446を介して排出する。
【0344】
一実施形態では、図32に示される静止位置において、プランジャシャフトの遠位端における半径方向突出部は、好ましくは、一方向プランジャ止め具1442、1448(図28A)に係合して、第1のプランジャ及び第2のプランジャの後退を阻止する。プランジャキャビティ1468、1480は、望ましくは、それぞれの通気開口部1440、1446と位置合わせされ、その結果、通気開口部は、好ましくは、滅菌ガスがそれぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1408、1410の第1の流体区画及び第2の流体区画1405A、1405Bに入るための補助経路を提供する。
【0345】
一実施形態では、滅菌ガスは、好ましくは、第1のシリンジバレルの第1の流体チャンバ1405Aに進入するために、第1のシリンジバレル1408の1つ又は2つ以上の通気開口部1440を通過し、第1のプランジャキャビティ1468に進入し、第1のプランジャヘッド1419の外周と第1のシリンジバレルの外壁1425の内面との間に入り、それによって、滅菌ガスが第1の流体チャンバ1405Aに流入するための補助経路を提供する。
【0346】
一実施形態では、滅菌ガスは、好ましくは、第2のシリンジバレルの第2の流体チャンバ1405Bに進入するために、第2のシリンジバレル1410の1つ又は2つ以上の通気開口部1446を通過し、第2のプランジャキャビティ1480に進入し、第2のプランジャヘッド1421の外周と第2のシリンジバレル1410の外壁1427の内面との間に入り、それによって、滅菌ガスが第2の流体チャンバ1405Bに流入するための補助経路を提供する。
【0347】
図33を参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1500は、好ましくは、第1のシリンジバレル1508及び第2のシリンジバレル1510を有するエンクロージャ1502を含む。ガス滅菌可能なシリンジ1500は、望ましくは、第1のシリンジバレル1508内に配設された第1のプランジャ1518と、第2のシリンジバレル1510内に配設された第2のプランジャ1520と、を含む、ダブルバレルプランジャ1516を含む。
【0348】
図34A及び図34Bを参照すると、一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1500(図33)は、望ましくは、滅菌、混合、及び分注動作が行われることを可能にする多機能コネクタ1582を含む。一実施形態では、多機能コネクタは、好ましくは、第1のシリンジバレル1508(図33)の遠位端と結合されるように適合された第1のハブ1583と、第2のシリンジバレル1510(図33)の遠位端に固定されるように適合された第2のハブ1584と、を含む。多機能コネクタ1582は、好ましくは、第1のハブ及び第2のハブ1583、1584から遠位方向に延在する雄ねじ付きポスト1585を含む。一実施形態では、遠位方向に延在するフランジ1586は、雄ねじ付きポスト1584を第1のD字形開口部1587と第2のD字形開口部1588とに分割するために、雄ねじ付きポスト1585を二等分する。
【0349】
図35を参照すると、一実施形態では、多機能コネクタ1582の第1のD字形開口部1587は、第1のガス透過性バリア1530A(例えば、第1のガス透過性プラグ)を受容するように適合されており、多機能コネクタ1582の第2のD字形開口部1588は、第2のガス透過性バリア1530B(例えば、第2のガス透過性プラグ)を受容するように適合されている。一実施形態では、第1のガス透過性バリア1530Aは、コネクタ1582の第1のD字形開口部1587の形状に一致するD字形を有し、第2のガス透過性バリア1530Bは、コネクタ1582の第2のD字形開口部1588の形状に一致するD字形を有する。
【0350】
図35及び図36を参照すると、一実施形態では、第1のガス透過性バリア及び第2のガス透過性バリア1530A、1530Bが多機能コネクタ1582のそれぞれのD字形開口部1587、1588に挿入された後、中央開口部1526を有するエンドキャップ1524が、ガス透過性バリア及び雄ねじ付きポスト1585の遠位端の上に位置付けられる。多機能コネクタ1582の遠位方向に延在するフランジ1586は、エンドキャップ1524の中央開口部1526を二等分する。一実施形態では、エンドキャップ1524は、エンドキャップ1524を雄ねじ付きポスト1585に固定するために、雄ねじ付きポスト1585の雄ねじと噛合するように適合された雌ねじ(図示せず)を有する。
【0351】
図33図36、及び図37を参照すると、一実施形態では、多機能コネクタ1582は、ガス滅菌可能なシリンジ1500の第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1508、1510の遠位端とともに組み立てられ得る。一実施形態では、第1のシリンジバレル1508の遠位端は、好ましくは、多機能コネクタ1582の第1のハブ1583に挿入可能であり、第2のシリンジバレル1510の遠位端は、好ましくは、多機能コネクタ1582の第2のハブ1584に挿入可能である。
【0352】
図37を参照すると、一実施形態では、多機能コネクタ1582は、好ましくは、第1のシリンジバレル1508(図33)の遠位端に固定されるように構成された第1のハブ1583と、第2のシリンジバレル1510(図33)の遠位端に固定されるように構成された第2のハブ1584と、を含む。コネクタ1582の遠位方向に延在するフランジ1586は、雄ねじ付きポスト1585を遠位方向に延在するフランジ1586の一方の側に位置する第1のD字形開口部1587と、遠位方向に延在するフランジ1586の反対側に位置する第2のD字形開口部1588とに分割するために、雄ねじ付きポスト1585を二等分する。ガス透過性バリア1530A、1530B(図35)は、それぞれのD字形開口部1587、1588に挿入される。
【0353】
図35図36図38、及び図39を参照すると、一実施形態では、エンドキャップ1524は、多機能コネクタ1582の雄ねじ付きポスト1585との接続から螺合解除され得る。第1のガス透過性バリア及び第2のガス透過性バリア1530A、1530Bは、雄ねじ付きポスト1585のそれぞれのD字形開口部1587、1588から取り外され得る。エンドキャップ1534及びガス透過性バリア1530A、1530Bを取り外した後、混合及び分注先端1550は、シリンジ1500から流動性材料を圧出するために、多機能コネクタ1582の雄ねじ付きポスト1585に螺合され得る。
【0354】
図38を参照すると、一実施形態では、混合及び分注先端1550は、好ましくは、コネクタ1560の外面から延在する、半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突出部1561を含む。半径方向に延在する1つ又は2つ以上の突出部1561は、好ましくは、混合及び分注先端1550をエンクロージャの遠位端に固定するために、エンクロージャ(例えば、シリンジ、デュアルバレルシリンジ))の遠位端に位置する固定フランジに係合するように適合されている。
【0355】
図38及び図39を参照すると、一実施形態では、混合及び分注先端1550は、好ましくは、流動性組成物の第1の部分及び第2の部分を一緒に混合し、ガス滅菌可能なシリンジ1500の遠位端から流動性組成物を圧出するように構成されている。
【0356】
一実施形態では、混合及び分注先端1550は好ましくは、近位端1554及び遠位端1556を有する混合及び分注管1552を有する。スタティックミキサ1558は、好ましくは、それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1508、1510内に配設された流動性材料の第1の部分及び第2の部分を一緒に混合するために、混合及び分注管1552内に配設されている。スタティックミキサ1558は、第1の部分及び第2の部分が混合及び分注管1552の長さに沿って流れるときに、流動性材料の第1の部分及び第2の部分を一緒に混合するように構成されている。
【0357】
一実施形態では、混合及び分注先端1550は、好ましくは、雌ねじ(図示せず)を有するコネクタ1560を含み、雌ねじは、雄ねじ付きポスト1585(図35)の雄ねじと噛合するように構成されている。一実施形態では、ガス滅菌可能なシリンジ1500は、好ましくは、第1のプランジャ1518及び第2のプランジャ1520を有するデュアルバレルプランジャ1516を含む。ガス滅菌可能なシリンジ1500は、好ましくは、サムタブ1522を含み、サムタブ1522は、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1508、1510内の内容物を強制的に混合及び分注先端1550内に流すために、ダブルバレルシリンジ1502の遠位端1506に向かって遠位方向DIR1に押し下げられ得る。
【0358】
図39を参照すると、一実施形態では、流動性材料の2つの部分を強制的に混合及び分注管1552の近位端1554内に圧出するために、デュアルバレルプランジャ1516のサムタブ1522をDIR1と表された遠位方向に押し下げることによって、流動性材料を混合及び分注先端1550から分注及び/又は圧出することができる。スタティックミキサ1558は、望ましくは、流動性材料の第1の部分及び第2の部分が、スタティックミキサ1558及び混合及び分注管1552の長さに沿って流れるときに、第1の部分及び第2の部分を一緒に混合するように構成されている。一実施形態では、外科処置中に、流動性材料は、好ましくは、混合及び分注管1552の遠位端1556から圧出される。
【0359】
図40を参照すると、一実施形態では、多機能コネクタ1582は、好ましくは、雄ねじ付きポスト1585(図35)と、雄ねじ付きポスト1585を第1のD字形開口部1587と第2のD字形開口部1588とに二分する分割壁1586と、を含む。多機能コネクタ1582の第1のハブ及び第2のハブ1583、1584は、第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレル1508、1510(図33)の断面積と実質的に同様である断面積を画定している。D字形開口部1587、1588は、好ましくは、多機能コネクタ1582の第1のハブ1583及び第2のハブ1584によって画定される断面積の20%である断面積を画定している。
【0360】
図41は、先行技術のコネクタ82の第1のハブ83及び第2のハブ84によって画定される断面積の5%のみを含む分注開口部87、88を有する先行技術のコネクタ82を示す。
【0361】
図40に示される多機能コネクタ1582は、図41に示される先行技術のコネクタ82に勝る利点を提供する。第1に、多機能コネクタは、出口(すなわち、分注開口部87及び88)よりも大きい出口(すなわち、D字形開口部1587及び1588)を有する。D字形開口部1587及び1588と、D字形開口部に挿入されたガス透過性ストッパと、を有する新規のシリンジ設計は、シリンジのより大きい出口が、シリンジ内部により多くの滅菌ガスを許容するので、ガス透過性シリンジの滅菌を改善する。加えて、D字形開口部1587及び1588のより大きいサイズは、流動性組成物を圧出するために必要とされる圧出力を低減する。
【0362】
上記の説明は本発明の実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の及び更なる実施形態が考案され得、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。例えば、本発明では、本明細書に記載されるか、又は本明細書に参照により組み込まれる実施形態のうちのいずれかに示される特徴のうちのいずれも、本明細書に記載されるか、又は本明細書に参照により組み込まれる他の実施形態のうちのいずれかに示される特徴のうちのいずれかとともに組み込まれ、かつ本発明の範囲内に依然として含まれ得ることが企図されている。
【0363】
〔実施の態様〕
(1) ガス滅菌可能なシリンジであって、
流体チャンバを画定する壁を有するエンクロージャと、
前記エンクロージャの前記流体チャンバ内に配設された流動性材料と、
前記エンクロージャとともに組み立てられ、前記エンクロージャから前記流動性材料を分注するために前記エンクロージャの遠位端に向かって移動可能なプランジャと、
前記エンクロージャの前記壁のうちの少なくとも1つに形成された1つ又は2つ以上のアパーチャと、
前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された前記アパーチャのうちの少なくとも1つを覆うガス透過性バリアであって、前記ガス透過性バリアによって覆われた前記アパーチャのうちの前記少なくとも1つを滅菌ガスが通過することを可能にする一方で、前記ガス透過性バリアによって覆われた前記アパーチャのうちの前記少なくとも1つを前記流動性材料が通過することを阻止する、ガス透過性バリアと、を備える、ガス滅菌可能なシリンジ。
(2) 前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された前記アパーチャのうちの前記少なくとも1つを覆う前記ガス透過性バリアが、前記滅菌ガスに対して透過性であり、前記エンクロージャの前記流体チャンバ内に配設された前記流動性材料に対して不透過性である、実施態様1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(3) 前記ガス透過性バリアが、滅菌手順中に前記滅菌ガスの出入りを可能にするように、かつ前記流動性材料が前記ガス透過性バリアを通過することを阻止するように構成された閉鎖気孔率を有する、実施態様2に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(4) 前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された前記1つ又は2つ以上のアパーチャが、前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された複数のアパーチャを備え、前記ガス透過性バリアが、前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに形成された前記それぞれの複数のアパーチャの各々を充填する複数のガス透過性本体を備える、実施態様1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(5) 前記それぞれの複数のアパーチャの各々を充填する前記複数のガス透過性本体が、前記エンクロージャの前記壁のうちの前記少なくとも1つに結合されている、実施態様4に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【0364】
(6) 前記ガス透過性バリアが、シリコーン、室温加硫シリコーン(RTV)、液体シリコーンゴム(LSR)、高粘度ゴム(HCR)、及び合成フラッシュ紡糸高密度ポリエチレン繊維からなる群から選択される材料から作製されている、実施態様1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(7) 前記滅菌ガスが、酸化エチレンを含み、前記流動性材料が、液体及びシリコーン系局所皮膚接着剤を含む局所皮膚接着剤からなる群から選択されている、実施態様1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(8) 前記エンクロージャが、
前記流体チャンバを取り囲むシリンジバレルと、
前記シリンジバレルの遠位端に位置する分注開口部と、
前記シリンジバレルの前記遠位端に位置する前記分注開口部を介して前記流動性材料を分注するために、前記シリンジバレルの前記遠位端に向かって移動可能なプランジャと、を備え、
前記ガス透過性バリアが、前記滅菌ガスが前記分注開口部を通過することを可能にする一方で、前記流動性材料が前記分注開口部を通過することを阻止するために、前記分注開口部を覆う、実施態様1に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(9) 前記シリンジバレルの前記遠位端に固定され、前記分注開口部を覆う、エンドキャップと、
前記滅菌ガスが前記エンドキャップを通過することを可能にするために前記エンドキャップに形成された1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部と、を更に備え、
前記ガス透過性バリアが、前記エンドキャップ内部に配設されており、前記1つ又は2つ以上のエンドキャップ開口部と前記シリンジバレルの前記遠位端における前記分注開口部との間に位置しており、
前記エンドキャップが、中央ハブを有し、前記エンドキャップの前記中央ハブと前記シリンジバレルの遠位端壁との間に気密シールを形成するために、前記中央ハブが、前記シリンジバレルの前記遠位端壁に係合する、実施態様8に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(10) ガス滅菌可能なシリンジであって、
第1の流体チャンバ及び第1の流体分注開口部を有する第1のシリンジバレルと、第2の流体チャンバ及び第2の流体分注開口部を有する第2のシリンジバレルと、を含む、デュアルバレルシリンジと、
前記第1のシリンジバレルの前記第1の流体チャンバ内に配設された第1のプランジャと、前記第2のシリンジバレルの前記第2の流体チャンバ内に配設された第2のプランジャと、を含む、デュアルバレルプランジャと、
前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を覆うために、前記デュアルバレルシリンジの遠位端に解放可能に固定されたエンドキャップであって、少なくとも1つのエンドキャップ開口部が内部に形成されている、エンドキャップと、
前記エンドキャップ内に配設されており、前記少なくとも1つのエンドキャップ開口部と、前記それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部との間に位置しているガス透過性バリアと、を備える、ガス滅菌可能なシリンジ。
【0365】
(11) ともに混合されるように構成されている第1の部分及び第2の部分を含む流動性材料を更に備え、
前記流動性材料の前記第1の部分が、前記第1のシリンジバレルの前記第1の流体チャンバ内に配設されており、
前記流動性材料の前記第2の部分が、前記第2のシリンジバレルの前記第2の流体チャンバ内に配設されており、
前記ガス透過性バリアが、前記第1のシリンジバレル及び前記第2のシリンジバレルの前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を覆い、前記ガス透過性バリアが、滅菌ガスが前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を通過することを可能にする一方で、前記流動性材料の前記第1の部分及び前記第2の部分が前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を通過することを阻止する、実施態様10に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(12) 前記エンドキャップが、ハブを備え、前記ハブが、前記エンドキャップハブと前記デュアルバレルシリンジの遠位端壁との間に気密シールを形成するために、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に係合する、実施態様11に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(13) 前記エンドキャップハブが、前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を受容するために開放している近位端と、前記少なくとも1つのエンドキャップ開口部を含む遠位端壁によって閉鎖された遠位端と、を有し、
前記エンドキャップが、前記エンドキャップハブの外面から外向きに延在する少なくとも1つの半径方向に延在する突出部を含み、
前記デュアルバレルシリンジが、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁から突出する少なくとも1つの固定フランジを含み、前記少なくとも1つの固定フランジが、前記エンドキャップを前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に解放可能に固定するために、前記エンドキャップハブの前記少なくとも1つの半径方向に延在する突出部に係合するように構成されている、実施態様12に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(14) 前記流動性材料を前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端から圧出するように構成されたアプリケータ先端を更に備え、前記アプリケータ先端が、近位端及び遠位端を有する分注管と、前記分注管の前記近位端に固定されたアプリケータ先端コネクタと、前記分注管内に配設されたスタティックミキサと、を含み、
前記アプリケータ先端コネクタが、少なくとも1つの半径方向に延在する突出部を有し、前記突出部が、前記アプリケータ先端を前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に解放可能に固定するために、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁から突出する前記少なくとも1つの固定フランジに係合するように構成されている、実施態様13に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(15) 前記ガス透過性バリアが、前記滅菌ガスに対して透過性であり、前記流動性材料の前記第1の部分及び前記第2の部分に対して不透過性である、実施態様11に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
【0366】
(16) 前記ガス透過性バリアが、滅菌手順中に前記滅菌ガスの出入りを可能にし、前記流動性材料の前記第1の部分及び前記第2の部分が前記ガス透過性バリアを通過することを阻止するように構成されたクローズドセル気孔率を有する、実施態様15に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(17) ガス滅菌可能なシリンジであって、
第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルを含むデュアルバレルシリンジであって、
前記第1のシリンジバレルが、第1の流体チャンバと、前記第1のシリンジバレルの遠位端に位置する第1の流体分注開口部と、を含み、
前記第2のシリンジバレルが、第2の流体チャンバと、前記第2のシリンジバレルの遠位端に位置する第2の流体分注開口部と、を含み、
流動性材料の第1の部分が、前記第1のシリンジバレルの前記第1の流体チャンバ内に配設されており、
前記流動性材料の第2の部分が、前記第2のシリンジバレルの前記第2の流体チャンバ内に配設されている、デュアルバレルシリンジと、
前記デュアルバレルシリンジとともに組み立てられたデュアルバレルプランジャであって、前記第1のシリンジバレルの前記第1の流体チャンバ内に配設された第1のプランジャと、前記第2のシリンジバレルの前記第2の流体チャンバ内に配設された第2のプランジャと、を含む、デュアルバレルプランジャと、
前記それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの前記遠位端に位置する前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を覆うための、前記デュアルバレルシリンジの遠位端に解放可能に固定されたエンドキャップであって、
前記エンドキャップが、内部に形成された少なくとも1つのエンドキャップ開口部を有する、エンドキャップと、
ガス透過性バリアであって、前記エンドキャップ内に配設されており、前記少なくとも1つのエンドキャップ開口部と、前記それぞれの第1のシリンジバレル及び第2のシリンジバレルの前記遠位端に位置する前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部との間に位置しており、滅菌ガスに対して透過性であり、前記流動性材料に対して不透過性であり、前記滅菌ガスが、前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を通過することを可能にする一方で、前記流動性材料の前記第1の部分及び前記第2の部分が前記ガス透過性バリアを通過することを阻止する、ガス透過性バリアと、を備える、ガス滅菌可能なシリンジ。
(18) 前記エンドキャップが、中央ハブを備え、前記中央ハブが、前記エンドキャップハブと前記デュアルバレルシリンジの遠位端壁との間に気密シールを形成するために、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に係合し、
前記エンドキャップの前記中央ハブが、前記第1の流体分注開口部及び前記第2の流体分注開口部を受容するために開放している近位端と、前記少なくとも1つのエンドキャップ開口部を含む遠位端壁によって閉鎖された遠位端と、を有し、
前記エンドキャップが、前記エンドキャップの前記中央ハブの外面から外向きに延在する少なくとも1つの半径方向に延在する突出部を含み、
前記デュアルバレルシリンジが、少なくとも1つの固定フランジを含み、前記少なくとも1つの固定フランジが、前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁から突出しており、前記エンドキャップを前記デュアルバレルシリンジの前記遠位端壁に解放可能に固定するために、前記エンドキャップの前記少なくとも1つの半径方向に延在する突出部に係合するように構成されている、実施態様17に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(19) 前記第1のシリンジバレルが、前記第1の流体チャンバを取り囲み、前記第1のシリンジバレルの前記遠位端まで延在する、円筒形状の外壁を有し、
前記第1のシリンジバレルの前記円筒形状の外壁に形成された少なくとも1つの第1の通気開口部と、
前記第1のシリンジバレルの前記円筒形状の外壁の内面に形成されており、前記少なくとも1つの第1の通気孔と前記第1のシリンジバレルの前記遠位端との間に位置している、第1の一方向プランジャ止め具と、
前記第2のシリンジバレルの前記円筒形状の外壁に形成された少なくとも1つの第2の通気開口部と、
前記第2のシリンジバレルの前記円筒形状の外壁の内面に形成されており、前記第2のシリンジバレルの前記少なくとも1つの第2の通気孔と前記第2のシリンジバレルの前記遠位端との間に位置している、第2の一方向プランジャ止め具と、を更に備える、実施態様17に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
(20) 前記第1のプランジャが、前記第1のプランジャの遠位端に位置する第1のプランジャヘッドを有し、前記第1のプランジャヘッドが、前記第1の一方向プランジャ止め具と接触しており、前記少なくとも1つの第1の通気孔と前記第1のシリンジバレルの前記遠位端との間に位置しており、
前記第2のプランジャが、前記第2のプランジャの遠位端に位置する第2のプランジャヘッドを有し、前記第2のプランジャヘッドが、前記第2の一方向プランジャ止め具と接触しており、前記少なくとも1つの第2の通気孔と前記第2のシリンジバレルの前記遠位端との間に位置している、実施態様19に記載のガス滅菌可能なシリンジ。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28A
図28B
図29A
図29B
図29C
図29D
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
【国際調査報告】