(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】高炉イメージングのための荷電粒子検出器のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C21B 7/24 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
C21B7/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575866
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022032853
(87)【国際公開番号】W WO2022261335
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511053621
【氏名又は名称】ディスィジョン サイエンシズ インターナショナル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレゴ,アントニー
(72)【発明者】
【氏名】シモン,ショーン
【テーマコード(参考)】
4K015
【Fターム(参考)】
4K015KA10
(57)【要約】
高エネルギー荷電粒子を用いた撮像技術を用いて、高炉などの検査対象を撮像することができる。高炉を撮像する例示的な方法は、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を高炉の高さに沿って上下に移動させることによって第1移動動作を実行することと、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を高炉の周りで時計回りまたは反時計回りに移動させることによって第2移動動作を実行することと、第1粒子追跡検出器によって入射荷電粒子を受信することと、第2粒子追跡検出器によって、高炉を通過する出射荷電粒子を受信することと、受信した入射および出射荷電粒子に対応する電気信号を処理することによって、第1粒子追跡検出器と第2粒子追跡検出器との間に位置する対象体積の画像を生成することとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子測定装置であって、
高炉に隣接して配置され、入射荷電粒子を受け取る第1粒子追跡検出器であって、前記入射荷電粒子の位置および方向を測定するように構成された、第1粒子追跡検出器;
前記高炉に隣接して配置され、前記高炉を通過した後の出射荷電粒子を受け取り、受け取った前記出射荷電粒子の位置および方向を測定する、第2粒子追跡検出器;
を備え、
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、機械的支持構造に対して移動可能に結合され、
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記高炉の高さに沿って上下に移動可能であり、
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記高炉の周りを時計回りまたは反時計回りに移動可能であり、
前記高炉の側面に隣接する前記第1粒子追跡検出器の位置は、前記高炉の側面に隣接する前記第2粒子追跡検出器の位置よりも高く、
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器はそれぞれ、受信した前記入射荷電粒子および前記出射荷電粒子に対応する電気信号を生成するように構成され、前記電気信号はプロセッサによって受信および処理されたとき、前記第1粒子追跡検出器と前記第2粒子追跡検出器との間に位置する関心体積の画像を構築することを可能にする、
粒子測定装置。
【請求項2】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器はそれぞれ、前記高炉に面する第1側面および第2側面を有し、
前記第1側面の表面積または前記第2側面の表面積は、前記高炉の外周と前記第1粒子追跡検出器または前記第2粒子追跡検出器との間の距離に基づいて選択される、
請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項3】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記高炉の高さに沿って、同時にまたは揃って、上下に移動可能である、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項4】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記第2粒子追跡検出器の位置に対する前記第1粒子追跡検出器の位置を同じに維持しつつ、前記高炉の高さに沿って上下に移動可能である、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項5】
前記第1粒子追跡検出器と第3粒子追跡検出器とを備える第1可動アセンブリが、前記高炉に隣接して配置され、隙間により、前記高炉の高さに沿って垂直方向に前記第1粒子追跡検出器と前記第3粒子追跡検出器とが分離される、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項6】
前記第1粒子追跡検出器は、前記第1粒子追跡検出器と前記第3粒子追跡検出器との間の前記隙間が調整可能であるように、前記第3粒子追跡検出器に対して移動可能である、請求項5記載の粒子測定装置。
【請求項7】
前記第1粒子追跡検出器、前記第2粒子追跡検出器、および少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器が前記高炉の周囲に配置され、
前記少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器は、前記機械的支持構造に対して移動可能に結合され、
前記高炉の高さの少なくとも一部は、前記第1粒子追跡検出器の高さ、前記第2粒子追跡検出器の高さ、および前記少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器の高さと重複する、
請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項8】
前記第1粒子追跡検出器、前記第2粒子追跡検出器、および前記少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器は、前記高炉の周りに幾何学的パターンを形成する、請求項7記載の粒子測定装置。
【請求項9】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器のそれぞれは、ハウジング内に封入され、前記ハウジングは、前記ハウジング内の温度および湿度を制御するように構成された空調機器を有する、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項10】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記第1粒子追跡検出器上および前記第2粒子追跡検出器上に空気を吹き付けるように構成されたファンまたは空調機器に隣接して配置される、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項11】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記高炉の外周から所定の距離だけ離れて配置される、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項12】
前記粒子測定装置は、プロセッサと、命令を記憶するメモリとを有し、前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記受信された電気信号に関連する処理情報に基づいて前記画像を生成させる、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項13】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記関心体積の原子番号および密度の空間マップの推定値を含む前記画像を生成させる、請求項12記載の粒子測定装置。
【請求項14】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記高炉内で金属物体が溶融する凝集ゾーンまたは前記高炉内でコークスが滞留するデッドマンゾーンを含む、前記高炉内の内容物の3次元画像を生成させる、請求項12に電気炉の粒子測定装置。
【請求項15】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記画像内の前記高炉内の炉床内の亀裂または継ぎ目が存在するか否かの通知を生成させる、請求項12記載の粒子測定装置。
【請求項16】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記画像内の前記高炉の外壁における亀裂が存在するか否かの通知を生成させる、請求項12記載の粒子測定装置。
【請求項17】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記画像内のサブボリュームを生成させ、
前記サブボリュームは、前記高炉内の所定の領域に関連付けられ、
前記所定の領域は、第1撮像精度に関連付けられ、
前記画像の前記サブボリュームを生成する時間は、前記第1撮像精度よりも低い第2撮像精度に関連する前記高炉内の別の領域に関連する別のサブボリュームを生成する時間よりも長い、
請求項12記載の粒子測定装置。
【請求項18】
前記粒子測定装置は、プロセッサと、命令を記憶するメモリとを有し、前記命令は前記プロセッサによって実行されたとき、前記プロセッサに、前記機械的支持構造に関連する1つまたは複数のモータに対して命令を送信させ、前記命令は、前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器を、上または下に移動させ、時計回りまたは反時計回りに移動させる、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項19】
高炉を撮像する方法であって、
第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を前記高炉の高さに沿って上下に移動させることによって第1移動動作を実行するステップであって、前記高炉の側面に隣接する前記第1粒子追跡検出器の位置は前記第2粒子追跡検出器の位置よりも高い、ステップ;
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器を前記高炉の周りで時計回りまたは反時計回りに移動させることによって、第2移動動作を実行するステップ;
前記第1移動動作と前記第2移動動作の後:
前記第1粒子追跡検出器によって入射荷電粒子を受信するステップ;
前記第2粒子追跡検出器によって、前記高炉を通過する出射荷電粒子を受信するステップ;
受信した前記入射荷電粒子および前記出射荷電粒子に対応する電気信号を処理することによって、前記第1粒子追跡検出器と前記第2粒子追跡検出器との間に配置された関心体積の画像を生成するステップ;
を有する方法。
【請求項20】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器の上下動を同時にまたは揃って実施するステップ;
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器の上下動を、前記第2粒子追跡検出器の位置に対する前記第1粒子追跡検出器の位置を同じに保ちながら実行するステップ;
を有する、請求項18記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2021年6月9日に出願された米国仮特許出願第63/208,899号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
この特許文献は、荷電粒子検出器を用いて様々なアイテムを撮像および検査する技術分野に関する。
【背景技術】
【0003】
図1は、炉の底部に圧力下で導入された空気流と、金属鉱石、コークス、および頂部に供給されたフラックスの混合物との反応によって液体金属を生成することができる垂直シャフト炉を含むことができる高炉100の例を示す。高炉はその後の鋼への加工のために鉄鉱石から銑鉄を製造するために使用することができ、鉛、銅、および他の金属の加工にも使用することができる。高炉においては、圧力下の空気の流れによって急速燃焼を維持することができる。
【0004】
鉄含有材料(例えば、鉄鉱石ペレットおよび焼結体)、コークス、およびフラックス(例えば、石灰石)の炉装入物は、シャフト102を通って下降することができ、そこで予熱され、上昇する還元ガスと反応して、炉床104内に蓄積する液体鉄およびスラグを生成する。約900°~1,250℃(約1,650°および2,300° F)の温度に予熱された空気は、噴射された燃料、例えばオイルまたは天然ガスと一緒に、炉床104の頂部付近の炉の周囲に配置された複数の羽口(ノズルとしても知られている)を通して炉内に吹き込むことができる。これらのノズルは、大型炉においては12個から40個までの場合がある。予熱された空気は次に、電気炉を取り囲む大径管であるバスル管から供給される。予熱された空気は予熱されたコークスと激しく反応し、電気炉を通って上昇する一酸化炭素などの還元ガスを形成するとともに、液体鉄およびスラグを生成する約1,650℃(約3,000°F)の非常に高い温度をもたらす。
【0005】
図1を参照すると、ボッシュは、空気とコークスとの間の反応に近接しているので、炉の最も高温の部分である。溶融鉄は炉床104に蓄積する。炉床104は、溶融鉄を引き出すためのタップホールと、より高い位置においては、不純物とフラックスとの混合物を除去するためのスラグホールとを有する。炉床104およびボッシュは、炭素型耐火ブロックで形成することができる厚肉構造であり、一方、スタックは、炉殻を保護するために高品質の耐火粘土レンガ(耐火レンガとしても知られる)で形成することができる。これらの耐火物を燃え尽きないようにするために、プレート、ステーブ、または冷却水を循環させるためのスプレーをそれらの中に組み込むことができる。
【0006】
スタックは、連続運転中に頂部に入ったコークス、鉱石、および石灰石が交互になった層でいっぱいに保たれる。コークスは、底部で点火され、羽口からの強制空気と共に急速に燃焼される。鉱石中の酸化鉄は、コークスからの炭素および一酸化炭素によって溶融鉄へ化学的に還元される。形成されるスラグは、石灰石フラックス、コークスからの灰、および鉱石中の不純物とフラックスとの反応によって形成される物質からなる。スラグは、溶融鉄の頂部上において溶融状態で浮遊する。高温ガスは燃焼ゾーンから上昇し、スタック内の新鮮な材料を加熱し、次いで、炉の頂部付近のダクトを通って出る。
【発明の概要】
【0007】
この特許文献は、高炉内の関心体積などの機器内の関心体積を検査するための装置、システム、および方法を開示している。開示された技術は、高炉の隣に配置された複数の検出器を使用して、高炉を通過するミューオンおよび電子などの自然に発生する荷電粒子を測定し、これにより、高炉内の内部構造および/または高炉の外部構造の画像を得ることができるようにすることによって、高炉を監視する現在の技術の欠点の少なくともいくつかを克服することができる。この特許文献に提示される技術は、関心体積を横断する荷電粒子の多重クーロン散乱および減衰を測定することができ、および/または、関心体積を横断する荷電粒子の散乱角および減衰を測定することができ、その結果、関心体積(例えば、高炉内)の材料および密度を決定することができ、および/または、高炉の健全性を決定することができる。
【0008】
高炉を撮像する例示的な方法は、以下を有する:第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を高炉の高さに沿って上下に移動させることによって第1移動動作を実行するステップであって、高炉の側面に隣接する第1粒子追跡検出器の位置が第2粒子追跡検出器の位置よりも高い、ステップ;第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を高炉の周りで時計回りまたは反時計回りに移動させることによって第2移動動作を実行するステップ;第1移動動作および第2移動動作が実行された後:第1粒子追跡検出器によって、入射荷電粒子を受信するステップ;第2粒子追跡検出器によって、高炉を通過する出射荷電粒子を受信するステップ;受信した入射荷電粒子および出射荷荷電粒子に対応する電気信号を処理することによって、第1粒子追跡検出器と第2粒子追跡検出器との間に位置する関心体積の画像を生成するステップ。
【0009】
いくつかの実施形態において、本方法は以下を有する:第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器の上下動を同時にまたは一致して実行するステップ;第2粒子追跡検出器の位置に対する第1粒子追跡検出器の位置を同じに保ちながら、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器の上下動を実行するステップ。
【0010】
いくつかの実施形態において、粒子計測装置は以下を備える:高炉に隣接して配置され、入射荷電粒子を受け取る第1粒子追跡検出器であって、受信した入射荷電粒子の位置および方向を測定するように構成されている、第1粒子追跡検出器;高炉に隣接して配置され、高炉を通過した後の出射荷電粒子を受け取り、受信した出射荷電粒子の位置および方向を測定する、第2粒子追跡検出器;第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は機械的支持構造に対して移動可能に結合され、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は高炉の高さに沿って上または下に移動可能であり、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は高炉の周りを時計回りまたは反時計回りに移動可能であり、高炉の側面に隣接する第1粒子追跡検出器の位置は第2粒子追跡検出器の位置より高く、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器はそれぞれ、受信された入射荷電粒子および出射荷電粒子に対応する電気信号を生成するように構成されており、電気信号は、プロセッサによって受信され処理されると、第1粒子追跡検出器と第2粒子追跡検出器との間に位置する関心体積の画像を構築することを可能にする。
【0011】
いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器がそれぞれ、高炉に面する第1側面および第2側面を含み、第1側面または第2側面の表面積は、高炉の外周と第1粒子追跡検出器または第2粒子追跡検出器との間の距離に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は、高炉の高さに沿って同時にまたは揃って上下に移動可能である。いくつかの実施形態において第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は高炉の高さに沿って上下に移動可能であり、第2粒子追跡検出器の位置に対する第1粒子追跡検出器の位置は同じに保たれる。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第3粒子追跡検出器を備える第1可動アセンブリが高炉に隣接して配置され、ギャップにより、第1粒子追跡検出器および第3粒子追跡検出器を、高炉の高さに沿って垂直方向に分離する。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器は第3粒子追跡検出器に対して移動可能であり、これにより、第1粒子追跡検出器と第3粒子追跡検出器との間の隙間が調整可能である。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器、第2粒子追跡検出器、および少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器は高炉の周囲に配置され、少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器は機械的支持構造に対して移動可能に結合され、高炉の高さの少なくとも一部分は、第1粒子追跡検出器、第2粒子追跡検出器、および少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器の高さと重複する。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器、第2粒子追跡検出器、および少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器は、高炉の周りに幾何学的パターンを形成する。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器の各々はハウジング内に封入され、ハウジングは、内部の温度および湿度を制御するように構成された空調機器を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は、第1粒子追跡検出器上および第2粒子追跡検出器上に空気を吹き付けるように構成されたファンまたは空調機器に隣接して配置される。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は、高炉の外周から所定の距離だけ離れて配置される。いくつかの実施形態において、粒子測定装置は、プロセッサと、記憶された命令を有するメモリとを含み、命令はプロセッサによって実行されると、プロセッサに、受信された電気信号に関連する処理情報に基づいて画像を生成させる。いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、関心体積の原子番号および密度の空間マップの推定値を含む画像をプロセッサに生成させる。
【0014】
いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、プロセッサに、高炉内で金属物体が溶融する凝集ゾーン、または高炉内でコークスが滞留するデッドマンゾーンを含む、高炉内の内容物の3次元画像を生成させる。いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、プロセッサに、画像内の高炉内の炉床内の亀裂または継ぎ目が存在するか否かの通知を生成させる。いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、プロセッサに、画像内の高炉の外壁における亀裂が存在するか否かの通知を生成させる。いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、プロセッサに、画像内のサブボリュームを生成させ、サブボリュームは高炉内の所定の領域に関連付けられ、所定の領域は第1撮像精度に関連付けられ、画像のサブボリュームを生成する時間は、第1撮像精度よりも低い第2撮像精度に関連付けられた高炉内の別の領域に対応する別のサブボリュームを生成する時間よりも長い。いくつかの実施形態において、粒子測定装置は、プロセッサと、記憶された命令を有するメモリとを含み、命令はプロセッサによって実行されると、プロセッサに、機械的支持構造に関連付けられた1つまたは複数のモータに対して命令を送信させ、命令は第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を上または下に移動させ、時計回りまたは反時計回りに移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【0016】
【
図2】高炉の検査を容易にするための例示的なシステムを示す。
【0017】
【
図3】検査対象の周りに配置された例示的な機械的支持構造体を示し、機械的支持構造体は、検出器(感知ユニットまたはSuperModuleとしても知られる)を含む。
【0018】
【
図4】高炉側面から見た垂直方向の検出器の配置例を示す。
【0019】
【0020】
【
図6】高炉などの検査対象物の周囲に配置された検出器の例示的な構成の上面図を示す。
【0021】
【
図7】2つ以上の検出器に対して通信可能に結合されたコンピュータのブロック図を示す。
【0022】
【
図8】高炉などの検査対象物の周囲の粒子追跡検出器を動作させるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、高炉の1例を示す。高炉100および炉構造内の燃焼プロセスを監視することにより、以下を実施できる:鉄鉱石が軟化および溶融し始める凝集ゾーン(または凝集ゾーン)の形状および位置を監視する;コークスが滞留し得るデッドマンゾーンの形状および位置を監視する;高炉の内壁上のかさぶりの位置および形状を判定する;エアポケットの位置および形状を判定する;耐火材料および炉床の内部構造(例えば、厚さ、割れなど)を測定する。現在、ある程度、このような監視は、高温カメラおよび赤外線(IR)カメラによって達成することができる。しかしながら、これらの方法は炉の内部構造、耐火材料、および炉床の完全な図を提供することができず、これは現在の高炉撮像技術の長年の課題である。
【0024】
図1において、シャフト102は、コークス、鉱石、および石灰石が交互になった層でいっぱいにすることができる。石灰石フラックス、コークスからの灰、および鉱石中の不純物とフラックスとの反応によって形成される物質からなるスラグが形成され、溶融鉄の上部に溶融状態で浮遊する。このプロセスは炉100の内部でなされるので、層および鉄の厚さおよび位置は、従来の方法によって判定することができない。さらに、プロセスが経時的に継続するにつれて、容易に検出することができず、炉、炉床、および耐火材料の一般的な構造的完全性を評価することができない、かさぶたおよび他の変形がシャフト102内に生成される。したがって、この特許文献に記載された技術は、高炉100の内部層および/または構造体の画像化を可能にすることができる。
【0025】
開示される実施形態は、荷電粒子(宇宙線粒子または高エネルギー荷電粒子としても知られる)を使用して、高炉などの産業機器の撮像を提供することができる装置、システム、および方法を説明する。開示される荷電粒子検出器および関連する機械的支持構造は、宇宙線の成分である荷電粒子をプローブとして使用して、高炉の検査を可能にし、様々な材料の3次元(3D)マッピングを提供することができる。例えば、開示された技術は、関心体積を横断する荷電粒子に基づいて、対照的な原子番号および/または密度(例えば、コークス、鉄鉱石、溶融鉄、空気ポケット、凝集ゾーン、デッドマンゾーンなど)、耐火物および炉床の厚さ、耐火物および炉床における任意の亀裂または継ぎ目の存在の表示、および/または、高炉の外壁における任意の亀裂の存在の表示を含む、高炉の内部含有量の3D画像を生成することができる。したがって、この特許文献に記載された例示的な実施形態は、高炉イメージング技術における長年の課題に対する潜在的な解決策を提供することができる。いくつかの実施形態において、システム設計および実装がブラスト炉を撮像するために最適化されるが、他のタイプの物体も同様に撮像するために使用され得る。
【0026】
荷電粒子の使用は、いくつかの利点を有する。開示された技術の1つの技術的利益は、荷電粒子の使用が、人工放射線(例えば、X線)を生成せず、その代わりに、宇宙線束によって生成される自然発生の高エネルギー荷電粒子をプローブとして使用して、関心体積を撮像することである。少なくともこの技術的利益は、開示された装置を、任意の人間、他の生物および材料物体に対して安全にする。
【0027】
開示されたシステムは、高エネルギー荷電粒子と感受性検出器との相互作用によって提供される情報を利用して、荷電粒子と感受性検出器の材料との相互作用に対する反応として電気信号を生成する。本明細書に開示されるシステムによって使用される高エネルギー荷電粒子は、2次宇宙線としても知られる。これらの粒子は、大気中の1次宇宙線の相互作用において生成される。海面での2次宇宙線の2つの成分は、電子とミュー粒子である。2次宇宙線中に非常に少量で存在する他の荷電粒子は、陽子、イオン、荷電中間子、荷電重バリオンおよびタウオンである。これらの粒子の全ては、それらが高感度検出器の材料と相互作用する場合、電気信号を生成することができる。しかしながら、それらの数が少なく、浸透能力が比較的低いので、これらの粒子は、開示されるシステムの開発および動作中に無視することができる。
【0028】
高エネルギー電子は、ミューオンによって生成される軌道と同様の高感度検出器内に軌道を生成することができるが、その比較的低い透過能力のために、大部分の電子は吸収され、高炉のような高シールドの高密度の検査対象物を透過することができる最もエネルギーの高いものだけである。高炉内で遭遇する非常に高い密度および平均原子番号を考えると、より低いエネルギーのミュー粒子でさえも、減衰すると考えられる。その結果、再構成の減衰部分は、トラックおよび貨物スキャンのような低密度の用途に比べてはるかに重要になる。
【0029】
大気中の1次宇宙線の相互作用において生成される正および負に帯電したミューオンは、様々な材料を検出および画像化するための高感度プローブを提供する。この材料は、高炉内の内容物を含むが、これらに限定されるものではない。これらのミュー粒子と高感度検出器の材料との相互作用によって高感度検出器において生成される信号は、上述の目的のために開示されたシステムにおいて使用される。
【0030】
荷電粒子が物質を通過するとき、荷電粒子は、主に材料内の原子内電子との相互作用によってエネルギーを失う。このエネルギー損失は概ね、材料を通過する電子雲の有効厚さにほぼ比例する。これらの原子内電子の電荷は原子核内の同数のプロトンと釣り合っており、ほとんどの場合、原子核内のプロトンの数は中性子の数にほぼ等しいので、電子雲の横断の厚さは横断される物質の質量密度にほぼ比例すると言える。水素原子は、原子核内に中性子を有さないので、この例外である。したがって、単位質量あたりの電子数は2倍になる。
【0031】
荷電粒子が関心物体を通過する際に、荷電粒子を検出し、測定することは、多くの用途を有する。1つの例示的な用途において、この特許文献に記載されているような荷電粒子検出技術を使用して、高炉を検査することができる。高炉を通過する宇宙線ミューオンの散乱角の測定を用いて、高炉内の材料の層を測定し、炉自体に異常があるかどうかを判定することができる。
【0032】
図2は、高炉100の検査を容易にするための例示的なシステムを示す。例示的なシステムは、高炉100の両側(または対向する側面)に配置することができる2つの検出器205、207(検出ユニットまたはSuperModuleとも呼ばれる)を含む。検出器205、207は、可動アセンブリ202a、202bに対して結合される。例示的な実施形態において、検出器は、断面がほぼ正方形であり、4フィートの長さのドリフトチューブを有する。
図3~
図4に示すように、第1検出器205は、第1検出器205から高炉100を通過するミュー粒子を含む入射荷電粒子301を検出することができ、入射荷電粒子301はさらに第2検出器207を通過し、第2検出器207は、出射荷電粒子301を検出することができる。
図2では2つの検出器が示されているが、より多くの検出器を使用することができ、様々な構成に配置することができる。例えば
図6に示されている検査対象物100の周囲に配置された検出器500が例である。
【0033】
図5は、ドリフトチューブ502を含む例示的な検出器500を示す。ドリフトチューブは、ドリフトチューブを通過する荷電粒子を検出することができる。ドリフトチューブは、信頼性が高く安価なカバー領域を提供して、その内部のガスと相互作用する荷電粒子の位置を測定することができる。装置のいくつかの実施形態において、ドリフトチューブは、高温製造工程の存在下で動作するための安全予防措置として、密閉され、不燃性ガスで充填される。シンチレーティングファイバ、体積シンチレータ、抵抗板チャンバ、または陰極ストリップチャンバなどの他の荷電粒子検出器技術を、検査システムの一部としてドリフトチューブの代わりに、またはドリフトチューブと併せて使用することができる。
【0034】
ドリフトチューブベースのシステムのいくつかの実施形態において、ドリフトチューブは、ドリフトチューブモジュール内に統合することができる。モジュール内の管は、互いに接着されてもよく、または他の手段によって機械的に一体化されてもよい。モジュール内に組み込まれたチューブは、同じ電子ユニットに対して接続される。いくつかの実施形態において、単一のモジュールは、2つの層に配置された24本のドリフトチューブを含み、各層に12本のドリフトチューブがある。
【0035】
ドリフトチューブベースのシステムのいくつかの実施形態において、ドリフトチューブモジュールは検出器に対して機械的に統合することができる。いくつかの実施形態において、検出器は12個のドリフトチューブモジュールを含むことができ、6個のドリフトチューブはX方向に沿って配向され、6個のドリフトチューブはY方向に沿って配向され、Xに垂直である。各方向において、モジュールの3つの層は、垂直方向に配向されたモジュールによって分離される。各モジュールは構造的に同じであってもよく、全てのモジュールは、交換可能であってもよい。検出器内のモジュールは、恒久的に固定されなくてもよく、モジュールまたはモジュール間の任意の接続を切断することなく、分離し、再統合してもよい。いくつかの実施形態において、検出器は12層のドリフトチューブ(各方向に6)を含むことができ、各層に24本のチューブがある。この例における検出器は、288本のチューブと12個の電子ユニットとを含むことができる。電子ユニットは、検出器のための外部ケーブル接続の数を減らすために、典型的にはハブを介して互いに接続される。開示された実施形態および他の実施形態は、十字交差ドリフトチューブモジュール間の角度が正確に90度でない場合、正確に3つの層がない場合、または1つ以上の検出デバイス(たとえば、ドリフトチューブおよびシンチレーションファイバ)を使用する場合において、実装することができる。例えば、サブモジュールの2つの交差したアレイの長手方向の間に0~90度の角度間隔がある実施形態は、単位コスト当たりのより良好なカバレッジを提供することができる。検出器は、1つ以上の検出装置からなる1つの方向に整列された任意の数の層と、0~90度の間の角度間隔を有する1つ以上の検出装置からなる異なる方向に整列された任意の数の層とが存在するように、任意の有利な方法で配置することができる。ドリフトチューブなどの1つの検出装置が垂直方向に配置され、体積シンチレータなどの別の検出装置が垂直検出器の円周の周りに配置されるような、開示された実施形態および他の実施形態を、実装することができる。他の荷電粒子検出器は、シリコンウェハ、薄型隙間チャンバ(TGC)、および厚型ガス電子増倍管(THGEM)検出器をさらに含むことができる。
【0036】
図2~
図3を参照すると、第1粒子追跡検出器205は、高炉100を通過する入射荷電粒子301を受け取るように配置される。検出器205、207は例えば、高炉を通過する荷電粒子301の位置および方向を測定することが可能であり、一方、荷電粒子301は通過することが可能である。検出器は、高炉に隣接する任意の外部構造との干渉を最小限に抑えながら、かつ検出器205、207の動作温度を許容可能な所定の範囲内に維持しながら、可能な限り高炉の近くに配置することができる。検出器は、高炉100の近くまたは遠くに配置することができる。しかしながら、検出器205、207が高炉100から離れるほど、高炉の同じ内容積のより大きい検出器表面積を撮像することになる。したがって、いくつかの実施形態において、高炉100に面する検出器205、207の側面の表面積は、検出器205、207と高炉100の外周との間の距離に基づくか、またはその距離の関数である。
【0037】
図2~
図4に示すように、第2粒子追跡検出器207は、第1粒子追跡検出器205に対してより低い位置に、かつ溶融鉄および他の材料(電気炉せず)を含む高炉100などの関心体積に対して第1粒子追跡検出器205の反対側に配置することができる。第2粒子追跡検出器207は、第1粒子追跡検出器205を通過し、高炉100およびその中の材料を通過する、出射荷電粒子301の少なくとも一部を受け取り、第2検出器207を通るこれらの出射荷電粒子301の位置および方向を測定するように配置される。
【0038】
機械的支持構造体上の検出器の取り付け高さは、入射する宇宙線ミューオン束および検査要件のモデル化に基づいて選択することができる。荷電粒子は、粒子トラックの2つのインジケータに基づいて、各モジュール内でさらに識別される。取り付けの高さは、各検出器205、207に対して調整することができる。この高さは、システムおよび/または特定の検査対象に対して最適化することができる。最適化は、検査対象の大きさおよび天頂角に対する宇宙線束方向分布のモデル化に基づいてすることができる。
【0039】
図2において、高炉100の隣の上下矢印は、検出器205、207が検出器205、207に対して結合されたモータを使用して高炉100の高さに沿って上下に移動することができることを示し、モータは機械的支持構造(
図3に304として示される)に対して結合される。機械的支持構造304はまた、2つの検出器205、207のための可動性および支持を提供する2つ以上の可動アセンブリを有することができ、これらは間隙を伴って互いの上に垂直配向で設置される。例えば、検出器を備える1つの可動アセンブリは、機械的支持構造体の上部に位置することができ、別の検出器を備える別の可動アセンブリは、2つの可動アセンブリの間に間隙を有する機械的支持構造体の底部領域に位置することができる。いくつかの実施形態において、第1機械的支持構造体アセンブリは第1検出器205を含み、第2機械的支持構造体は
図3に示されるような第2検出器207を含むことができる。可動アセンブリという用語は、モバイルプラットフォームとも呼ばれる。いくつかの実施形態において、検出器205、207はモータを介して揃って(または同時に)上下に移動され、これにより、別の検出器207の位置に対する1つの検出器205の位置が、高炉の高さに沿って異なる位置まで検出器205、207が上下に移動されるのと同じとなる。いくつかの実施形態において、1つの検出器205と別の検出器207との間の垂直距離があらかじめ決定される。
図2において、左右を指す矢印は、高炉100の複数の領域における荷電粒子の位置および方向を測定するために、検出器205、207を高炉の周りに移動させることができることを示す。機械的支持構造体304は、機械的支持構造体304を高炉100の周りで時計回りまたは反時計回りに回転または移動させることができる別のモータに対して結合することができる(
図2~
図3の底部の左右の矢印によって示す)。
【0040】
検出器205、207は、
図3の1つの例示によって示されるように、機械的支持構造304上に設置されて、関心体積の検査および撮像を可能にすることができる。各機械的支持構造は、垂直に設置された2つの検出器を含むことができ、1つは頂部にもう1つは底部にそれぞれ設置され、垂直方向に分離する間隙を有することができる。機械的支持構造体は、検出器が高炉の周りを水平および垂直に移動することを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、最小数の可動アセンブリは、検査対象の両側に設置可能な2つとすることができる。いくつかの実施形態において、可動アセンブリは、規則的な幾何学的図形(例えば、三角形、正方形、五角形、または六角形)を形成する規則的パターンで検査対象の周囲に設置することができ、これにより、検出器は幾何学的図形(
図6に示されるような上から下に見た図)を形成することができる。可動アセンブリは、荷電粒子が少なくとも2つの検出器によって検出されているときに、データ収集中のさらなる移動を回避するために、適所に固定することができる。
【0041】
可動アセンブリに関連する他の機械的要素は、システムの幾何学的剛性を向上させるために可動アセンブリを相互接続する剛性金属バーを含むことができ、および/または、可動アセンブリは、検査対象の周りに規則的な幾何学的パターンでさらに配置することができる。例示的な実施形態において、可動アセンブリは、データ収集中にシステムの幾何学的剛性を可能にするために、剛性金属バーを用いて適切な位置に配置した後に一緒に接続することができる。他の機械的要素はさらに、雪、強風、および/または直射日光などの極端な気象に対する保護を提供するために、可動アセンブリおよび/または検出器の上または周囲に、可搬性の天蓋またはプラスチックエンクロージャを含む。可動アセンブリ内の上部検出器の取り付け高さは、さらに機械的に調整可能である。同じ移動アセンブリ内の2つの検出器間の間隙のサイズは、機械的に調整可能である。
【0042】
移動プラットフォーム上の両方の検出器の高さを変更することができ、1つの移動プラットフォーム上の検出器を分離する間隙のサイズも変更することができる。検出器間の間隙は垂直方向に4フィートとすることができ、可動アセンブリ全体は、12フィート以上の高さとすることができる。寸法または間隙に関連するこれらの数は例であり、異なる実施形態において変更することができる。検出器は、関心体積内の検査対象(例えば、高炉)を移動させることなく、関心体積100の検査および撮像を可能にすることができる。
【0043】
検出器205、207は、高炉100の周りに再配置することができる。
図3に示されるように、機械的支持構造304は、第1粒子追跡検出器205および第2粒子追跡検出器207の両方を、これらのユニットが機能することができる位置に維持することができる。さらに、
図2の上矢印および下矢印、ならびに
図2~
図3の左矢印および右矢印によって示されるように、検出器205、207は、機械的支持構造304上で上下に配置(または移動)することができ、および/または、高炉100の異なる領域が検査されることを可能にするために高炉100の周りで回転することができる。
【0044】
この特許文献に開示されるシステムは、
図6に異なる検出器構成について示されるように、検査対象物100(例えば、高炉)のサイズおよび検査の要件に応じて、異なる数の可動アセンブリおよび関連する検出器を含むことができる。いくつかの実施形態において、最小数の可動アセンブリは2個であり、検査対象の両側に設置することができる。
【0045】
図2~
図4において、高炉100は、膨大な量の熱を発生させ得る。2つ以上の検出器205、207は、2つ以上の検出器205、207の温度を許容範囲内に保つために環境制御を必要とするドリフトチューブおよび関連する電子機器およびケーブルを有することにより、システム構成要素の適切な動作を容易にすることができる。高炉に隣接する構造体の具体的な構成、および周囲温度範囲と湿度などの一般的な環境要因に応じて、2つ以上の検出器205、207の動作温度を許容範囲内に維持するための特定の環境制御は、高炉が位置する各サイトに合わせて調整することができる。いくつかの実施形態において、2つ以上の検出器205、207のための特定の環境制御は、温度および湿度が格納容器に結合された空調機器によって直接制御される環境格納容器(例えば、ハウジング内)内に各検出器を完全に封入することを含む。いくつかの他の実施形態において、2つ以上の検出器205、207のための特定の環境制御は、検出器に隣接して配置され、検出器を風冷するポータブル空調ユニットを有するオープン設計を有する検出器などの受動冷却技術を採用することを含む。いくつかの実施形態において、2つ以上の検出器205、207のための特定の環境制御は、検出器を冷却するために検出器に対して結合された換気ファンを使用することを含み得る。いくつかの実施形態において、検出器205、207は、2つ以上の検出器205、207が高炉100の外周からある安全な距離(例えば、所定の距離)だけ離れて配置され、これにより、高炉100から放射される熱が2つ以上の検出器205、207を損傷せず、または2つ以上の検出器205、207の温度が所定の上限動作温度を超えないことにより、環境制御を必要としない場合がある。
【0046】
プロセッサ(
図7に704として示される)を備えるコンピュータは、第1粒子追跡検出器205および第2粒子追跡検出器207の両方に対して通信可能に結合することができ、これにより、スキャンモジュール(
図7に710として示される)が、第1粒子追跡検出器205に入り第2粒子追跡検出器207を出る荷電粒子に基づいて個々の荷電粒子トラックを測定して、高炉内の関心体積の原子番号および密度の空間マップの推定値を得ることができる。スキャンモジュールは、検出器205、207によって送られる荷電粒子の検出に関連する電気信号に基づいて空間マップの推定値を生成することができる。第1インジケータは、一致ウィンドウ内の信号のタイミング一致に基づく。一致ウィンドウサイズはさらに、各関連電子ユニットのファームウェア内のモジュールごとに独立して設定することができる。一致ウィンドウサイズは、モジュール内の高感度検出器のタイミング特性と、モジュール配置の位置における周囲放射場とに基づいて、さらに最適化することができる。第2インジケータはさらに、選択された高感度検出器の位置に基づく。第2インジケータは、モジュール内の選択された高感度検出器の位置、および検査対象に対するモジュールの相対位置に基づいて、さらに最適化することができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、スキャンモジュール710は、検出器205、207に入り、および/またはそこから出る荷電粒子に関連する電気信号を処理することに基づいて(例えば、荷電粒子の位置および方向)、以下の3D画像を生成することができる:対照的な原子番号および密度(例えば、コークス、鉄鉱石、溶融鉄、エアポケット、凝集ゾーン、デッドマンゾーンなど)を含む高炉の内部物質;耐火物および炉床の厚さ;耐火物および炉床における任意の亀裂または継ぎ目の存在の表示;および/または高炉の外壁における任意の亀裂の存在の表示。検出器205、207は、入射および出射する高エネルギー荷電粒子を連続的に測定することができる。スキャンモジュール710によって動作される再構成アルゴリズムは、高炉の内容物の3D画像である画像を提供するために、構成可能な期間にわたって検出器205、207からの信号を統合することができる。検出器の位置および数にかかわらず、システムは、全ての検出器ペア間の制限放射線内の高炉領域の一部または高炉全体の画像をいつでも提供することができる。いくつかの実施形態において、2つ以上の検出器205、207は、高炉の大部分または全体を通して、入射および出射する高エネルギー荷電粒子を測定することを可能にするサイズを有するように設計され得る。
【0048】
高炉内の異なる領域は、その特定の領域に有用な画像を形成するために、異なる時間積分期間を必要とする場合がある。例えば、高炉のいくつかの領域(例えば、高炉の上部領域)はより低い精度を必要とするか、または、より動的であり、意味のある分析のためにより短い積分時間を必要とする場合がある。高炉の他の領域(例えば、凝集ゾーン、デッドマンゾーン、高炉の外面)は、より高い精度を必要とするか、または、より静的であることがありより長い積分時間を許容する場合がある。この文脈において、検出器205、207に対して通信可能に結合されたコンピュータのスキャンモジュール710は、これらの固有の必要性を満たすために、異なる積分時間における異なる位置の再構成画像のサブボリュームを作成または生成することができる。スキャンモジュール710は、より高い精度を必要とする領域を通って入射および出射する高エネルギー荷電粒子を分析することによって、サブボリュームを生成することができ、そのような領域の位置は、事前に定義することができる。いくつかの実施形態において、少なくとも、検出器205、207が常に、入射および出射する高エネルギー荷電粒子を連続的に測定することができるので、高炉画像全体はいつでも利用可能である。
【0049】
スキャンモジュール710によって実行されるデータ処理の方法は、荷電粒子トラックに属するものとして識別されない信号をフィルタリングすることをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、スキャンモジュール710は、荷電粒子トラック上のフィルタを使用して、特定の方向または所望のもしくは特定の領域における解像度を最適化すことができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、スキャンモジュール710は、機械的支持構造体に関連する1つまたは複数のモータに対して命令を送信して、1つまたは複数の可動アセンブリが検出器を上下に移動させるようにすることができ、および/または、機械的支持構造体が高炉100の周りで時計回りまたは反時計回りの方向に検出器を移動させるようにすることができる。
【0051】
図6に示すように、システム内のいくつかの検出器および関連する可動アセンブリの数は、検査対象のサイズおよび他の検査要件に基づいて選択することができる。可動アセンブリはデータ収集の開始前に、検査対象100の周囲に配置または位置することができる。検出器の互いに対する相対的な位置は、疎調整を提供するための機械的調査のプロセスと、その後の微調整を提供するための荷電粒子トラックの測定に基づく幾何学的較正とによって決定することができる。幾何学的較正は、入ってくる粒子トラックおよび出て行く粒子トラックの収集された測定値に基づくことができる。
【0052】
ドリフトチューブベースの検出器の実施形態において、粒子トラックの改善された測定は、収集されたデータに基づく時間-半径変換関数の較正によって達成することができる。較正は、データ収集プロセス中に反復的に実行される。したがって、システム内の各ドリフトチューブ検出器について、時間-半径応答関数の反復較正を実行することができる。較正はデータ収集プロセス中に実行され、その結果は検査対象の撮像において使用される。他の実施形態において、上述のサブシステムの信頼できる動作のための支持サブシステムが含まれてもよい。
【0053】
図7は、2つ以上の検出器に対して通信可能に結合されたコンピュータのブロック図を示す。コンピュータは、メモリ702と、1つまたは複数のプロセッサ704とを備える。メモリ702は、その内部に記憶されたプロセッサ実行可能命令を含む。1つまたは複数のプロセッサ704による実行時のプロセッサ実行可能命令は、本明細書で説明されるように、スキャンモジュール710に関連する動作を実行することによってコンピュータを構成する。いくつかの実施形態において、コンピュータは、1つまたは複数のコンピュータまたは1つまたは複数のサーバであってもよい。コンピュータは、3D画像などの情報を別のコンピュータに対して送信するための送信機706を含むことができる。コンピュータは、2つ以上の検出器から測定情報を受信する受信機708を含むことができ、測定情報は、2つ以上の検出器によって検出された高エネルギー荷電粒子を示す。
【0054】
図8は、高炉などの検査対象物の周囲の粒子追跡検出器を動作させるフローチャートである。動作802は、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を高炉の高さに沿って上下に移動させることによって第1移動動作を実行することを含み、第1粒子追跡検出器の高炉の側面に隣接する位置は、第2粒子追跡検出器の位置よりも高い。動作804は、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を高炉の周りで時計回りまたは反時計回りに移動させることによって、第2移動動作を実行することを含む。
【0055】
動作802および804が実行された後、動作806~810が実行される。動作806は、第1粒子追跡検出器によって、入射荷電粒子を受け取ることを含む。動作808は、第2粒子追跡検出器によって、高炉を通過する出射荷電粒子を受信することを含む。動作810は、受信した入射荷電粒子および出射荷電粒子に対応する電気信号を処理することによって、第1粒子追跡検出器と第2粒子追跡検出器との間に位置する関心体積の画像を生成することを含む。いくつかの実施形態において、
図8に記載される動作は、スキャンモジュール(
図7に710として示される)によって実施されるか、または実施するように指示される。例えば、スキャンモジュールは、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を(例えば、上/下および/または時計回り/反時計回りに)移動させる命令を送信することができる;スキャンモジュールは、第1および/または第2粒子追跡検出器がそれぞれ、入射および出射荷電粒子を検出したことを示す電気信号を受信することができる;および/または、スキャンモジュールは、受信された入射および出射荷荷電粒子に対応する電気信号に基づいて、関心体積の画像を作成または生成することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、本方法は以下を有する:第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器の上下動を同時にまたは揃って実行するステップ;第2粒子追跡検出器の位置に対する第1粒子追跡検出器の位置を同じに保ちながら、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器の上下動を実行するステップ。
【0057】
いくつかの実施形態において、粒子測定装置は以下を備える:入射荷電粒子を受け取るために高炉に隣接して配置され、入射荷電粒子の位置および方向を測定するように構成された、第1粒子追跡検出器;高炉に隣接して配置され、高炉を通過した出射荷電粒子を受け取り、受け取った出射荷電粒子の位置および方向を測定するように構成された、第2粒子追跡検出器;第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は機械的支持構造に対して移動可能に結合され、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は高炉の高さに沿って上または下に移動可能であり、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は高炉の周りを時計回りまたは反時計回りに移動可能であり、高炉の側面に隣接する第1粒子追跡検出器の位置は、高炉の側面に隣接する第2粒子追跡検出器の位置よりも高く、第1粒子追跡検出器と第2粒子追跡検出器はそれぞれ、受信した入射および出射荷電粒子に対応する電気信号を生成するように構成され、電気信号は、プロセッサによって受信され処理されると、第1粒子追跡検出器と第2粒子追跡検出器との間に位置する関心体積の画像の構築を可能にする。
【0058】
いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器がそれぞれ、高炉に面する第1側面および第2側面を含み、第1側面または第2側面の表面積は、高炉の外周と第1粒子追跡検出器または第2粒子追跡検出器との間の距離に基づいて選択される。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器が高炉の高さに沿って同時にまたは揃って上下に移動可能である。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は、高炉の高さに沿って上下に移動可能であり、一方、第2粒子追跡検出器の位置に対する第1粒子追跡検出器の位置は同じに保たれる。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第3粒子追跡検出器を備える第1可動アセンブリが、高炉に隣接して配置され、ギャップにより、第1粒子追跡検出器および第3粒子追跡検出器を、高炉の高さに沿って垂直方向に分離する。
【0059】
いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器は、第1粒子追跡検出器と第3粒子追跡検出器との間の隙間が調整可能であるように、第3粒子追跡検出器に対して移動可能である。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器、第2粒子追跡検出器、および少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器は高炉の周囲に配置され、少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器は機械的支持構造に対して移動可能に結合され、高炉の高さの少なくとも一部分は、第1粒子追跡検出器、第2粒子追跡検出器、および少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器の高さと重複する。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器、第2粒子追跡検出器、および少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器は、高炉の周りに幾何学的パターンを形成する。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器の各々は、ハウジング内の温度および湿度を制御するように構成された空調機器を有するハウジング内に封入される。
【0060】
いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は、第1粒子追跡検出器上および第2粒子追跡検出器上に空気を吹き付けるように構成されたファンまたは空調機器に隣接して配置される。いくつかの実施形態において、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器は、高炉の外周から所定の距離だけ離れて配置される。いくつかの実施形態において、粒子測定装置は、プロセッサと、記憶された命令を有するメモリとを含み、命令はプロセッサによって実行されると、プロセッサに、受信された電気信号に関連する処理情報に基づいて画像を生成させる。いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、対象体積の原子番号および密度の空間マップの推定値を含む画像をプロセッサに生成させる。
【0061】
いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、プロセッサに、高炉内で金属物体が溶融する凝集ゾーン、または高炉内でコークスが滞留するデッドマンゾーンを含む高炉内の内容物の3次元画像を生成させる。いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、プロセッサに、画像内の高炉内の炉床内の亀裂または継ぎ目が存在するか否かの通知を生成させる。いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、プロセッサに、画像内の高炉の外壁における亀裂が存在するか否かの通知を生成させる。いくつかの実施形態において、命令がプロセッサによって実行されると、プロセッサに、画像内のサブボリュームを生成させ、サブボリュームは高炉内の所定の領域に関連付けられ、所定の領域は第1撮像精度に関連付けられ、画像のサブボリュームを生成する時間は、第1撮像精度よりも低い第2撮像精度に関連付けられた高炉内の別の領域に関連付けられた別のサブボリュームの生成時間よりも長い。いくつかの実施形態において、粒子測定装置は、プロセッサと、記憶された命令を有するメモリとを含み、命令はプロセッサによって実行されると、プロセッサに、機械的支持構造に関連付けられた1つまたは複数のモータに対して命令を送信させ、命令は、第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を、上または下に移動させ、時計回りまたは反時計回りに移動させる。
【0062】
本文書に記載される開示および他の実施形態および機能的動作は、デジタル電子回路、または本文書に開示される構造およびそれらの構造的等価物を含む、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェア、またはそれらのうちの1つまたは複数の組み合わせで実装され得る。開示された実施形態および他の実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実装され得る。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝搬信号をもたらす物質の組成、またはそれらの1つ以上の組み合わせであり得る。「データ処理装置」という用語は、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するためのすべての装置、デバイス、および機械を包含する。装置はハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらのうちの1つまたは複数の組み合わせを構成するコードを含むことができる。伝搬信号は人工的に生成された信号、例えば、適切な受信機装置への透過のための情報を符号化するために生成される機械生成の電気信号、光信号、または電磁信号である。
【0063】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイルされたまたは解釈された言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラムとして、またはコンピューティング環境での使用に適したモジュール、コンポーネント、サブルーチン、または他のユニットとしてを含む、任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応しない。プログラムは他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語文書に記憶された1つまたは複数のスクリプト)を保持するファイルの一部、問題のプログラム専用の単一ファイル、または複数の協調ファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または1つのサイトに位置するか、または複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0064】
本明細書で説明されるプロセスおよび論理フローは、入力データ上で動作し、出力を生成することによって機能を実行するために、1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実行され得る。プロセスおよび論理フローはまた、特殊目的論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行することができ、装置はまた、特殊目的論理回路として実装することができる。
【0065】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディスクを含むか、またはそれらからデータを受信するか、またはそれらにデータを転送するために動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータは、そのような装置を有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は例として、半導体メモリ装置、たとえば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置、磁気ディスク、たとえば、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、ならびにCD ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリ装置を含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補足されるか、または専用論理回路に組み込まれ得る。
【0066】
この特許文献は多くの詳細を含むが、これらは、発明の範囲または特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈で本特許文献に記載されている特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は複数の実施形態において別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。さらに、特徴は特定の組み合わせで作用するものとして上述されてもよく、最初にそのように特許請求されたものとしてさえも、特許請求された組み合わせからの1つまたは複数の特徴は場合によっては組み合わせから切り出すことができ、特許請求された組み合わせはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形形態を対象とすることができる。
【0067】
同様に、動作が特定の順序で図面に描かれているが、これは所望の結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序で、または連続的な順序で実行されること、またはすべての図示された動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。さらに、本特許文書に記載される実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではない。
【0068】
いくつかの実装形態および例のみが説明され、他の実装形態、拡張形態、および変形形態は、本特許文書に記載および図示されるものに基づいて実施することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子測定装置であって、
高炉に隣接して配置され、入射荷電粒子を受け取る第1粒子追跡検出器であって、前記入射荷電粒子の位置および方向を測定するように構成された、第1粒子追跡検出器;
前記高炉に隣接して配置され、前記高炉を通過した後の出射荷電粒子を受け取り、受け取った前記出射荷電粒子の位置および方向を測定する、第2粒子追跡検出器;
を備え、
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、機械的支持構造に対して移動可能に結合され、
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記高炉の高さに沿って上下に移動可能であり、
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記高炉の周りを時計回りまたは反時計回りに移動可能であり、
前記高炉の側面に隣接する前記第1粒子追跡検出器の位置は、前記高炉の側面に隣接する前記第2粒子追跡検出器の位置よりも高く、
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器はそれぞれ、受信した前記入射荷電粒子および前記出射荷電粒子に対応する電気信号を生成するように構成され、前記電気信号はプロセッサによって受信および処理されたとき、前記第1粒子追跡検出器と前記第2粒子追跡検出器との間に位置する関心体積の画像を構築することを可能にする、
粒子測定装置。
【請求項2】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器はそれぞれ、前記高炉に面する第1側面および第2側面を有し、
前記第1側面の表面積または前記第2側面の表面積は、前記高炉の外周と前記第1粒子追跡検出器または前記第2粒子追跡検出器との間の距離に基づいて選択されている、
請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項3】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記高炉の高さに沿って、同時にまたは揃って、上下に移動可能である、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項4】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器は、前記第2粒子追跡検出器の位置に対する前記第1粒子追跡検出器の位置を同じに維持しつつ、前記高炉の高さに沿って上下に移動可能である、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項5】
前記第1粒子追跡検出器と第3粒子追跡検出器とを備える第1可動アセンブリが、前記高炉に隣接して配置され、隙間により、前記高炉の高さに沿って垂直方向に前記第1粒子追跡検出器と前記第3粒子追跡検出器とが分離される、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項6】
前記第1粒子追跡検出器は、前記第1粒子追跡検出器と前記第3粒子追跡検出器との間の前記隙間が調整可能であるように、前記第3粒子追跡検出器に対して移動可能である、請求項5記載の粒子測定装置。
【請求項7】
前記第1粒子追跡検出器、前記第2粒子追跡検出器、および少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器が前記高炉の周囲に配置され、
前記少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器は、前記機械的支持構造に対して移動可能に結合され、
前記高炉の高さの少なくとも一部は、前記第1粒子追跡検出器の高さ、前記第2粒子追跡検出器の高さ、および前記少なくとも1つの追加の粒子追跡検出器の高さと重複する、 請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項8】
前記粒子測定装置は、プロセッサと、命令を記憶するメモリとを有し、前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記受信された電気信号に関連する処理情報に基づいて前記画像を生成させる、請求項1記載の粒子測定装置。
【請求項9】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記関心体積の原子番号および密度の空間マップの推定値を含む前記画像を生成させる、請求項
8記載の粒子測定装置。
【請求項10】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記高炉内で金属物体が溶融する凝集ゾーンまたは前記高炉内でコークスが滞留するデッドマンゾーンを含む、前記高炉内の内容物の3次元画像を生成させる、請求項
8電気炉の粒子測定装置。
【請求項11】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記画像内の前記高炉内の炉床内の亀裂または継ぎ目が存在するか否かの通知を生成させる、請求項
8記載の粒子測定装置。
【請求項12】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記画像内の前記高炉の外壁における亀裂が存在するか否かの通知を生成させる、請求項
8記載の粒子測定装置。
【請求項13】
前記命令は前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、前記画像内のサブボリュームを生成させ、
前記サブボリュームは、前記高炉内の所定の領域に関連付けられ、
前記所定の領域は、第1撮像精度に関連付けられ、
前記画像の前記サブボリュームを生成する時間は、前記第1撮像精度よりも低い第2撮像精度に関連する前記高炉内の別の領域に関連する別のサブボリュームを生成する時間よりも長い、
請求項
8記載の粒子測定装置。
【請求項14】
高炉を撮像する方法であって、
第1粒子追跡検出器および第2粒子追跡検出器を前記高炉の高さに沿って上下に移動させることによって第1移動動作を実行するステップであって、前記高炉の側面に隣接する前記第1粒子追跡検出器の位置は前記第2粒子追跡検出器の位置よりも高い、ステップ; 前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器を前記高炉の周りで時計回りまたは反時計回りに移動させることによって、第2移動動作を実行するステップ;
前記第1移動動作と前記第2移動動作の後:
前記第1粒子追跡検出器によって入射荷電粒子を受信するステップ;
前記第2粒子追跡検出器によって、前記高炉を通過する出射荷電粒子を受信するステップ;
受信した前記入射荷電粒子および前記出射荷電粒子に対応する電気信号を処理することによって、前記第1粒子追跡検出器と前記第2粒子追跡検出器との間に配置された関心体積の画像を生成するステップ;
を有する方法。
【請求項15】
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器の上下動を同時にまたは揃って実施するステップ;
前記第1粒子追跡検出器および前記第2粒子追跡検出器の上下動を、前記第2粒子追跡検出器の位置に対する前記第1粒子追跡検出器の位置を同じに保ちながら実行するステップ;
を有する、請求項1
4記載の方法。
【国際調査報告】