(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】治療媒体デリバリーデバイス及びその標的デリバリー方法
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61M37/00 550
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575869
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022032500
(87)【国際公開番号】W WO2022261094
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】メリル バードノ
(72)【発明者】
【氏名】ジャレッド ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン ショート
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267AA71
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB03
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4C267BB62
4C267BB63
4C267CC01
4C267CC08
4C267CC20
4C267CC21
4C267CC23
4C267GG02
4C267GG16
4C267GG46
4C267HH08
(57)【要約】
記載される実施形態は、活性化可能な化合物を患者の組織にデリバリーするためのデバイス、システム及び方法を対象とする。より具体的には、記載される実施形態は、活性化可能な化合物をデリバリーし、前記化合物を活性化するように動作可能なデリバリーデバイスを対象とする。このようなデリバリーデバイスは、活性化可能な化合物のデリバリー及び/又は活性化のための治療ゾーンと、活性化可能な化合物の制御されたデリバリー及び活性化のために、活性化可能な化合物のデリバリー及び/又は活性化を阻止する非治療ゾーンとを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織に治療をデリバリーするための治療デバイスであって、
壁を画定するデリバリーチャンバを含む流体デリバリーシステムを含む平坦なシートを画定するパッチアセンブリを含み、ここで、前記壁は、平面治療ゾーンを画定するカバー層を含み、前記平面治療ゾーンは前記デリバリーチャンバから前記平面治療ゾーンの外面への流体の制御された通過を可能にするように動作可能な多孔性を有し、前記デリバリーチャンバは、活性化可能な治療媒体を受け入れ、前記活性化可能な治療媒体を前記治療ゾーンにデリバリーして、患者の組織に移送させるように構成されており、前記デリバリーチャンバは、組織において前記活性化可能な治療媒体を活性化するように動作可能な光透過用導管を提供するように動作可能である、治療デバイス。
【請求項2】
前記デリバリーチャンバの前記治療ゾーンと光学的に連通している光源をさらに含む、請求項1記載の治療デバイス。
【請求項3】
前記治療ゾーンの少なくとも一部は光透過性となるように構成されている、請求項1~2のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項4】
光透過性となるように構成された前記治療ゾーンの部分は、250nm~700nmの光波長範囲にわたって少なくとも40%の光透過率を有する、請求項3記載の治療デバイス。
【請求項5】
前記デリバリーチャンバは拡張層を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項6】
前記デリバリーチャンバに隣接する膨張チャンバをさらに含み、前記膨張チャンバは前記拡張層内に画定され、前記膨張チャンバは、前記膨張チャンバを膨張させるための加圧拡張媒体を受け入れるように構成されており、前記膨張チャンバの膨張は、組織に対して前記治療ゾーンを強制的に係合させるように動作可能である、請求項5記載の治療デバイス。
【請求項7】
前記デリバリーチャンバは、前記拡張層と前記カバー層との間に位置し、前記デリバリーチャンバは、患者の組織にデリバリーするための前記活性化可能な治療媒体を受け入れるように構成されている、請求項5~6のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項8】
前記デリバリーチャンバは、前記膨張チャンバから流体的に分離されている、請求項7記載の治療デバイス。
【請求項9】
前記拡張層は、非追従性材料、半追従性材料、追従性材料又はそれらの組み合わせを含む、請求項5~8のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項10】
前記チャンバはデリバリーサブゾーンをさらに含み、前記カバー層は、前記活性化可能な治療媒体が前記デリバリーチャンバ内の閾値圧力を超えたときに前記デリバリーサブゾーンから前記活性化可能な治療媒体を滲出するように構成された多孔性を有する材料を含む、請求項5~9のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項11】
前記シャフトは、前記膨張チャンバと流体連通する膨張導管と、前記デリバリーチャンバと流体連通するデリバリー導管とを含む、請求項6~10のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項12】
前記活性化可能な治療媒体は、光活性化される細胞外マトリックス架橋促進剤を含む、請求項1~11のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項13】
前記デリバリーチャンバは、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリペリン又はエレクトロスピニングされたPTFEの少なくとも1つの層を含む、請求項1~12のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項14】
患者の体の組織に治療を提供する方法であって、前記方法は、
請求項1~13のいずれか1項記載の治療デバイスの治療ゾーンを患者の体の組織に対して配置すること、
前記治療ゾーンにおいて前記活性化可能な治療媒体を患者の組織にデリバリーすること、及び、
組織において前記活性化可能な治療媒体を活性化すること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、概して、血管、器官及び皮膚などの生体組織を治療するためのデバイス及び方法に関する。より具体的には、本開示は、標的を絞った方法でそのような生体組織に治療媒体をデリバリーするための治療デリバリーシステムデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
幾つかの用途において、身体組織は、組織自体における様々な生理学的結果を促進するために治療されうる。しかしながら、血管組織への治療のデリバリーは制御が難しい場合がある。例えば、血流によって治療用化合物が選択された部位から洗い流され、治療用化合物が希釈され、あるいは、治療化合物が、所望の治療部位に直接ではなく、単に隣接してデリバリーされうるので、血管の性質により、治療用化合物などの治療媒体を血管内の特定の部位にデリバリーすることが困難になることがある。例えば、血管形成術の処置中に、バルーンが治療の標的となる部位の血管壁に接触するときに、バルーンは治療用化合物のデリバリーに障害となる可能性がある。治療用化合物のデリバリー後の選択された部位における治療用化合物の活性化など、治療を効果的にするために複数の工程又は要素を必要とする特定の所望の治療が存在するときに、さらに困難が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
要旨
記載される実施形態は、経カテーテル処置などにおいて、活性化可能な化合物を患者の管腔にデリバリーするためのデバイス、システム及び方法を対象とする。より具体的には、記載される実施形態は、活性化可能な化合物をデリバリーし、化合物を活性化するように動作可能なデリバリーデバイスを対象とする。このようなデリバリーデバイスは、活性化可能な化合物のデリバリー及び/又は活性化のための治療ゾーンと、活性化可能な化合物の制御されたデリバリー及び活性化のために、活性化可能化合物のデリバリー及び/又は活性化を阻止する非治療ゾーンとを含むことができる。
【0004】
第一の例(「例1」)によれば、患者の管腔に挿入されるように構成されたシャフトと、前記シャフトに結合されたバルーンアセンブリとを含む、患者の管腔に治療をデリバリーするための治療デバイスは提供される。場合により、バルーンアセンブリは、第一の端部、第二の端部、前記第一の端部に隣接する第一のショルダー部分、前記第二の端部に隣接する第二のショルダー部分、及び、前記第一のショルダー部分と前記第二のショルダー部分との間に位置する中間部分を画定することができ、前記バルーンアセンブリは、第一のサイズからより大きい第二のサイズに膨張されるように構成されており、前記バルーンアセンブリは治療ゾーンを含み、前記バルーンアセンブリは、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンで活性化可能な治療媒体を患者の管腔にデリバリーし、そして前記バルーンアセンブリの治療ゾーンで治療媒体を活性化するように構成されている。
【0005】
例1に加えて、別の例(「例2」)によれば、前記治療デバイスは、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンと光学的に連通する光源を含む。
【0006】
例1又は例2に加えて、別の例(「例3」)によれば、前記治療ゾーンの少なくとも一部は光透過性となるように構成されている。
【0007】
例3に加えて、別の例(「例4」)によれば、光透過性となるように構成された治療ゾーンの部分は、400nm~700nmの光波長範囲にわたって少なくとも40%透過の光透過率を有する。
【0008】
例3又は4に加えて、別の例(「例5」)によれば、前記治療ゾーンは親水性材料を含む。
【0009】
前述の例のいずれかに加えて、別の例(「例6」)によれば、前記バルーンアセンブリは、光を遮断するように構成されたバルーンアセンブリの非治療ゾーンをさらに含む。
【0010】
例6に加えて、別の例(「例7」)によれば、前記非治療ゾーンは、第一のショルダー部分及び第二のショルダー部分を含む。
【0011】
例6又は7に加えて、別の例(「例8」)によれば、前記非治療ゾーンは、400nm~700nmの光波長範囲にわたって40%未満の光透過率を有する。
【0012】
例6~8に加えて、別の例(「例9」)によれば、前記非治療ゾーンは放射線不透過性材料を含む。
【0013】
前述の例のいずれかに加えて、別の例(「例10」)によれば、前記バルーンアセンブリは拡張層及びカバー層を含む。
【0014】
例10に加えて、別の例(「例11」)によれば、前記バルーンアセンブリは、前記拡張層内に画定された膨張チャンバをさらに含み、前記膨張チャンバは、前記バルーンアセンブリを膨張させるための加圧拡張媒体を受け入れるように構成されている。
【0015】
例10又は11に加えて、別の例(「例12」)によれば、前記バルーンアセンブリは、前記拡張層と前記カバー層との間に位置するデリバリーチャンバをさらに含み、前記デリバリーチャンバは患者の管腔へのデリバリーのための前記活性化可能な治療媒体を受け入れるように構成されている。
【0016】
例12に加えて、別の例(「例13」)によれば、前記デリバリーチャンバは前記膨張チャンバから流体的に分離されている。
【0017】
例10~13に加えて、別の例(「例14」)によれば、前記拡張層は、非追従性材料、半追従性材料、追従性材料又はそれらの組み合わせを含む。
【0018】
例10~14に加えて、別の例(「例15」)によれば、前記拡張層は、ポリエステル、ナイロン、Pebax、ポリウレタン、シリコーン、ポリエチレン又はそれらの組み合わせを含む。
【0019】
例10~15に加えて、別の例(「例16」)によれば、前記バルーンアセンブリはデリバリーゾーンをさらに含み、前記カバー層は、前記活性化可能な治療媒体が前記デリバリーチャンバ内の閾値圧力を超えるときに、前記活性化可能な治療媒体を前記デリバリーゾーンから滲出させるように構成された多孔性を有する材料を含む。
【0020】
例11~16に加えて、別の例(「例17」)によれば、前記シャフトは、前記膨張チャンバと流体連通する膨張導管と、前記デリバリーチャンバと流体連通するデリバリー導管とを含む。
【0021】
前述のいずれかの例に加えて、別の例(「例18」)によれば、前記治療デバイスは、光活性化される細胞外マトリックス架橋促進剤の形態で前記活性化可能な治療媒体を有する。
【0022】
前述のいずれかの例に加えて、別の例(「例19」)によれば、前記治療デバイスは、ナフタルイミド、リボフラビン5’-ホスフェート及び/又はローズベンガルの形態で前記活性化可能な治療媒体を有する。
【0023】
いずれかの例に加えて、別の例(「例20」)によれば、前記シャフトは作動導管をさらに含む。
【0024】
例20に加えて、別の例(「例21」)によれば、前記作動導管は、前記光源からの光を前記バルーンアセンブリの作動ゾーンに伝達する。
【0025】
1つの例(「例22」)によれば、患者の体の管腔に治療を提供する方法が提供される。この方法は、シャフトと、前記シャフトに結合されたバルーンアセンブリとを含む治療デバイスを提供することを含み、前記バルーンアセンブリは、第一の端部、第二の端部、前記第一の端部に隣接する第一のショルダー部分、前記第二の端部に隣接する第二のショルダー部分、及び、前記第一のショルダー部分と前記第二のショルダー部分との間に位置する中間部分を画定し、前記バルーンアセンブリは治療ゾーンを含み、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンで活性化可能な治療媒体を患者の管腔にデリバリーし、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンで前記治療媒体を活性化するように構成されている。この方法は前記バルーンアセンブリを患者の体の管腔内に配置することをさらに含む。この方法はまた、前記バルーンアセンブリを第一のサイズから第二のより大きなサイズに膨張させることを含む。この方法はまた、治療ゾーンで前記活性化可能な治療媒体を患者の管腔にデリバリーすることを含む。この方法はまた、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンで前記活性化可能な治療媒体を活性化することを含む。
【0026】
例22に加えて、別の例(「例23」)によれば、前記治療デバイスは、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンと光学的に連通する光源をさらに含み、前記活性化可能な治療媒体を活性化する工程は、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンに光を提供することを含む。
【0027】
例23に加えて、別の例(「例24」)によれば、前記活性化ゾーンは光透過性となるように構成されている。
【0028】
例22~24に加えて、別の例(「例25」)によれば、前記バルーンアセンブリは、光を遮断するように構成された非治療ゾーンを含む。
【0029】
例22~25に加えて、別の例(「例26」)によれば、前記バルーンアセンブリは拡張層及びカバー層を含み、前記デリバリーチャンバは前記拡張層と前記カバー層との間に位置し、そして、前記デリバリーチャンバは膨張チャンバから流体的に分離されている。
【0030】
例26に加えて、別の例(「例27」)によれば、前記バルーンアセンブリを膨張させる工程は、加圧拡張媒体を膨張チャンバに供給することを含み、前記活性化可能な治療媒体をデリバリーする工程は、活性化可能な治療媒体をデリバリーチャンバに提供することを含む。
【0031】
例27に加えて、別の例(「例28」)によれば、この方法は、前記活性化可能な治療媒体をデリバリーチャンバに供給する前に、前記バルーンアセンブリの膨張チャンバから加圧拡張媒体の一部を除去して、前記バルーンアセンブリを第二のより大きなサイズから、前記第一のサイズよりも大きく、前記第二のサイズよりも小さい第三のサイズまで収縮させることをさらに含む。
【0032】
例28に加えて、別の例(「例29」)によれば、この方法は、前記活性化可能な治療媒体をデリバリーチャンバに提供した後に、前記膨張チャンバ内の圧力を増加させることをさらに含み、前記膨張チャンバ内の圧力が増加すると、前記デリバリーチャンバに力が加わり、前記デリバリーチャンバの圧力が増加する。
【0033】
1つの例(「例30」)によれば、治療デバイスを製造する方法が提供される。この方法は、第一の端部、第二の端部、前記第一の端部に隣接する第一のショルダー部分、前記第二の端部に隣接する第二のショルダー部分、及び、前記第一のショルダー部分と前記第二のショルダー部分との間に位置する中間部分を画定するバルーンアセンブリを用意することを含み、前記バルーンアセンブリは、第一のサイズからより大きな第二のサイズに膨張するように構成されており、前記バルーンアセンブリは光透過性材料から作製される。この方法は、所定の領域における前記バルーンアセンブリの光透過率を低減するために、前記所定の領域で前記バルーンアセンブリを処理することをさらに含み、前記所定の領域は非治療ゾーンを含み、前記バルーンアセンブリの残りの領域は治療ゾーンを含む。この方法はまた、患者の管腔内に挿入されるように構成されたシャフトにバルーンアセンブリを結合することを含む。
【0034】
例30に加えて、別の例(「例31」)によれば、前記バルーンアセンブリを所定領域で処理する工程は、前記所定領域を遮光性材料でマスキングすることを含む。
【0035】
例30に加えて、別の例(「例32」)によれば、前記バルーンアセンブリを所定領域で処理する工程は、前記所定領域を親水性コーティング、充填剤又は接着剤で処理することを含む。
【0036】
1つの例(「例33」)によれば、治療デバイスを製造する方法は提供される。この方法は、第一の端部、第二の端部、前記第一の端部に隣接する第一のショルダー部分、前記第二の端部に隣接する第二のショルダー部分、及び、前記第一のショルダー部分と前記第二のショルダー部分との間に位置する中間部分を画定するバルーンアセンブリを用意することを含み、前記バルーンアセンブリは第一のサイズから第二のより大きなサイズに膨張するように構成されている。この方法は、所定の領域における前記バルーンアセンブリの光透過率を高めるために、前記所定の領域で前記バルーンアセンブリを処理することをさらに含み、前記所定の領域は治療ゾーンを含み、前記バルーンアセンブリの残りの領域は非治療ゾーンを含む。この方法はまた、患者の管腔内に挿入されるように構成されたシャフトに前記バルーンアセンブリを結合することを含む。
【0037】
例33に加えて、別の例(「例34」)によれば、前記バルーンアセンブリを前記所定領域で処理する工程は、前記所定領域にプラズマ処理を施すことを含む。
【0038】
例33に加えて、別の例(「例35」)によれば、前記バルーンアセンブリを前記所定の領域で処理する工程は、前記所定の領域で前記バルーンアセンブリを緻密化することを含む。
【0039】
例33に加えて、別の例(「例36」)によれば、前記バルーンアセンブリを前記所定領域で処理する工程は、前記バルーンアセンブリの細孔を熱可塑性充填剤で充填することを含む。
【0040】
例33に加えて、例(「例37」)によれば、前記バルーンアセンブリを前記所定領域で処理する工程は、前記バルーンアセンブリを親水性材料で処理することを含む。
【0041】
例33に加えて、別の例(「例38」)によれば、前記バルーンアセンブリを前記所定領域で処理する工程は、前記所定領域を親水性コーティング、充填剤又は接着剤で処理することを含む。
【0042】
1つの例(「例39」)によれば、患者の体の管腔に治療を提供する方法は提供される。この方法は、バルーンアセンブリを患者の体の管腔の内側に配置することを含み、前記バルーンアセンブリはシャフトに結合され、第一の端部、第二の端部、前記第一の端部に隣接する第一のショルダー部分、前記第二の端部に隣接する第二のショルダー部分、及び、前記第一のショルダー部分と前記第二のショルダー部分との間に位置する中間部分を画定し、前記バルーンアセンブリは、治療ゾーンと非治療ゾーンを含み、活性化可能な治療媒体を患者の管腔にデリバリーするように構成されている。この方法はバルーンアセンブリを第一のサイズから第二のより大きなサイズに膨張させることをさらに含む。この方法はまた、前記活性化可能な治療媒体を患者の管腔にデリバリーすることを含む。この方法はまた、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンで前記活性化可能な治療媒体を活性化することを含む。
【0043】
例39に加えて、別の例(「例40」)によれば、前記活性化可能な治療媒体を活性化する工程は、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンと光学的に連通する光源を用いて前記バルーンアセンブリの治療ゾーンに光を提供することを含む。
【0044】
例39又は40に加えて、別の例(「例41」)によれば、この方法は、前記治療ゾーンを通して光を透過させることをさらに含む。
【0045】
例39~41に加えて、別の例(「例42」)によれば、この方法は、前記バルーンアセンブリの非治療ゾーンによって透過光を遮断することをさらに含む。
【0046】
例39~42に加えて、別の例(「例43」)によれば、前記バルーンアセンブリを配置することは、拡張層及びカバー層を治療対象の標的部位に近接して配置することを含み、前記バルーンアセンブリは拡張層とカバー層との間に位置するデリバリーチャンバを含み、前記デリバリーチャンバは膨張チャンバから流体的に分離されている。
【0047】
例43に加えて、別の例(「例44」)によれば、前記バルーンアセンブリを膨張させることは、加圧拡張媒体を膨張チャンバに提供することを含み、前記活性化可能な治療媒体をデリバリーする工程は、前記活性化可能な治療媒体をデリバリーチャンバに提供することを含む。
【0048】
例44に加えて、別の例(「例45」)によれば、この方法は、前記活性化可能な治療媒体を前記デリバリーチャンバに供給する前に、前記バルーンアセンブリの膨張チャンバから加圧拡張媒体の一部を除去して、前記バルーンアセンブリを前記第二のより大きなサイズから、前記第一のサイズよりも大きく、前記第二のサイズよりも小さい第三のサイズまで収縮させることをさらに含む。
【0049】
例45に加えて、別の例(「例46」)によれば、この方法は、前記活性化可能な治療媒体を前記デリバリーチャンバに提供した後に、前記膨張チャンバ内の圧力を増加させることをさらに含み、前記膨張チャンバ内の圧力が増加すると、前記デリバリーチャンバに力が加わり、前記デリバリーチャンバの圧力が増加する。
【0050】
1つの例(「例47」)によれば、第一の端部、第二の端部、前記第一の端部に隣接する第一のショルダー部分、前記第二の端部に隣接する第二のショルダー部分、及び、前記第一のショルダー部分と前記第二のショルダー部分の間に位置する中間部分を画定するバルーンアセンブリを含み、前記バルーンアセンブリは第一のサイズから第二のより大きなサイズまで膨張するように構成されている、治療デバイスを製造する方法が提供される。この方法は、バルーンアセンブリの治療ゾーンを光透過性でありかつ第一の光透過率を有するように構成することを含む。この方法は、前記バルーンアセンブリの非治療ゾーンを、前記治療ゾーンよりも光透過性が低く、前記第一の光透過率よりも低い第二の光透過率を有するように構成することを含む。
【0051】
例47に加えて、別の例(「例48」)によれば、前記バルーンアセンブリの非治療ゾーンを治療ゾーンよりも光透過性が低くなるように構成することは、前記治療ゾーンよりも透過率が低い材料の外層を前記非治療ゾーンに設けることを含む。
【0052】
例47又は48に加えて、別の例(「例49」)によれば、前記バルーンアセンブリの非治療ゾーンを治療ゾーンよりも光透過性が低くなるように構成することは、前記非治療ゾーンに疎水性材料を設けることを含む。
【0053】
例49に加えて、別の例(「例50」)によれば、前記治療ゾーンを疎水性処理剤で処理することによって、前記非治療ゾーンに疎水性材料を設ける。
【0054】
例47~50に加えて、別の例(「例51」)によれば、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンを光透過性に構成することは、前記治療ゾーンにプラズマ処理された材料を設けることを含む。
【0055】
例51に加えて、別の例(「例52」)によれば、前記治療ゾーンをプラズマ処理することによって、前記治療ゾーンにプラズマ処理された材料を設ける。
【0056】
例52に加えて、別の例(「例53」)によれば、プラズマ処理された材料を含む前記治療ゾーンを形成することによって、前記治療ゾーンにプラズマ処理された材料を設ける。
【0057】
例47~53に加えて、別の例(「例54」)によれば、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンを光透過性となるように構成することは、前記治療ゾーンに緻密化材料を設けることを含む。
【0058】
例54に加えて、別の例(「例55」)によれば、前記治療ゾーン上で緻密化プロセスを使用することによって、前記治療ゾーンに緻密化材料を設ける。
【0059】
例54に加えて、別の例(「例56」)によれば、緻密化プロセスを受けた材料を含む治療ゾーンを形成することによって、前記治療ゾーンに緻密化材料を設ける。
【0060】
例47~56に加えて、別の例(「例57」)によれば、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンを光透過性となるように構成することは、前記治療ゾーンに親水性材料を設けることを含む。
【0061】
例57に加えて、別の例(「例58」)によれば、前記治療ゾーンを親水性材料でコーティング又は充填することによって、前記治療ゾーンに親水性材料を設ける。
【0062】
例57に加えて、別の例(「例59」)によれば、親水性材料でコーティング又は充填された材料を含む治療ゾーンを形成することによって、前記治療ゾーンに親水性材料を設ける。
【0063】
1つの例(「例60」)によれば、血管を治療するための装置は、拡張可能要素を通る少なくとも1つの開口部を有する拡張可能要素を含み、前記少なくとも1つの開口部は、光活性化可能な流体を血管にデリバリーするように動作可能であり、前記拡張可能要素は、拡張可能要素が拡張されたときに拡張可能要素と血管との間に光活性化可能な流体を収容して配置するように構成されている。この装置はまた、光活性化可能な流体が拡張可能要素と血管との間に収容されて配置されている間に、光活性化可能な流体を活性化するように動作可能な光源を含む。
【0064】
例60に加えて、別の例(「例61」)によれば、前記光活性化可能な流体は、光によって活性化されると、血管上で足場形成を促進する。
【0065】
例60又は61に加えて、別の例(「例62」)によれば、前記拡張可能要素は、前記拡張可能要素が拡張されたときに血液がバイパス管腔を通って流れることを可能にするように構成されたバイパス管腔を含む。
【0066】
1つの例(「例64」)によれば、患者の管腔に治療をデリバリーするための治療デバイスは提供される。前記治療デバイスは、患者の管腔に挿入されるように構成されたシャフトと、前記シャフトに結合されたバルーンアセンブリを形成するフィルムとを場合により含み、前記バルーンアセンブリは、第一のサイズから第二のより大きなサイズまで膨張されるように構成されており、前記バルーンアセンブリは治療ゾーンを含み、前記治療ゾーンは光透過性であり、フィルムを通して治療媒体を移送させるように動作可能である。
【0067】
例64に加えて、別の例(「例65」)によれば、前記バルーンアセンブリは少なくとも1層の延伸ポリテトラフルオロエチレンである。
【0068】
例64又は65に加えて、別の例(「例66」)によれば、前記バルーンアセンブリの治療ゾーンは、少なくとも1つの媒体移送ゾーン及び少なくとも1つの光透過ゾーンを含む。
【0069】
例66に加えて、別の例(「例67」)によれば、前記少なくとも1つの光透過ゾーンは緻密化延伸ポリテトラフルオロエチレンから形成されている。
【0070】
例66又は67に加えて、別の例(「例68」)によれば、前記少なくとも1つの媒体移送ゾーンは、少なくとも1つの光透過ゾーンから分離されている。
【0071】
例66~68に加えて、別の例(「例69」)によれば、前記少なくとも1つの媒体移送ゾーンは、ひし形、正方形、楕円形、円形又はスリットの実質的な形状である。
【0072】
例66~69に加えて、別の例(「例70」)によれば、前記少なくとも1つの光透過ゾーンは、表面積で治療ゾーンの少なくとも50%を画定している。
【0073】
別の例(「例71」)によれば、患者の組織に治療をデリバリーするための治療デバイスは、壁を画定するデリバリーチャンバを含む流体デリバリーシステムを含む平坦なシートを画定するパッチアセンブリを含み、前記壁は、デリバリーチャンバから平面治療ゾーンの外表面への流体の制御された通過を可能にするように動作可能な多孔性を有する平面治療ゾーンを画定するカバー層を含み、前記デリバリーチャンバは活性化可能な治療媒体をデリバリーチャンバーの治療ゾーンにデリバリーして患者の組織に移送し、組織で前記活性化可能な治療媒体を活性化するように構成されている。
【0074】
例71に加えて、別の例(「例72」)によれば、前記デリバリーチャンバの治療ゾーンと光学的に連通している光源をさらに含む。
【0075】
例71~72に加えて、別の例(「例73」)によれば、前記治療ゾーンの少なくとも一部は光透過性となるように構成されている。
【0076】
例71~73に加えて、別の例(「例74」)によれば、光透過性となるように構成された治療ゾーンの部分は、250nm~700nmの光波長範囲にわたって少なくとも40%透過の光透過率を有する。
【0077】
例71~73に加えて、別の例(「例75」)によれば、前記デリバリーチャンバは拡張層を含む。
【0078】
例75に加えて、別の例(「例76」)によれば、前記デリバリーチャンバに隣接する膨張チャンバをさらに含み、前記膨張チャンバは拡張層内に画定され、前記膨張チャンバは膨張チャンバを膨張させるための加圧拡張媒体を受け入れるように構成されており、前記膨張チャンバの膨張は、組織に対して治療ゾーンを強制的に係合させるように動作可能である。
【0079】
例75又は76に加えて、別の例(「例77」)によれば、前記デリバリーチャンバは拡張層とカバー層との間に位置し、前記デリバリーチャンバは、患者の組織へのデリバリーのための前記活性化可能な治療媒体を受け入れるように構成されている。
【0080】
例77に加えて、別の例(「例78」)によれば、前記デリバリーチャンバは前記膨張チャンバから流体的に分離されている。
【0081】
例75~78に加えて、別の例(「例79」)によれば、前記拡張層は、非追従性材料、半追従性材料、追従性材料又はそれらの組み合わせを含む。
【0082】
例75~79に加えて、別の例(「例80」)によれば、前記チャンバはデリバリーサブゾーンをさらに含み、前記カバー層は、前記活性化可能な治療媒体が前記デリバリーチャンバ内の閾値圧力を超えたときに、前記デリバリーサブゾーンから前記活性化可能な治療媒体を滲出させるように構成された多孔性を有する材料を含む。
【0083】
例76~80に加えて、別の例(「例81」)によれば、前記シャフトは、前記膨張チャンバと流体連通する膨張導管と、前記デリバリーチャンバと流体連通するデリバリー導管とを含む。
【0084】
例71~82に加えて、別の例(「例82」)によれば、前記デリバリーチャンバは、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリペリン又はエレクトロスピニングされたPTFEの少なくとも1つの層を含む。
【0085】
別の例(「例83」)によれば、患者の体の組織に治療を提供する方法であって、例71~82のいずれかに記載の治療デバイスの治療ゾーンを患者の体の組織に対して配置すること、前記活性化可能な治療媒体を治療ゾーンで患者の組織にデリバリーすること、及び、組織で前記活性化可能な治療媒体を活性化することを含む。
【0086】
前述の例は単なる実施例であり、本開示によって別途提供される本発明の概念の範囲を限定したり又は狭めたりするために読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に制限的なものではなく、本質的に例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図面の簡単な説明
添付図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0088】
【
図1】
図1は、患者の管腔に挿入された状態を示す例示的な治療デバイスである。
【0089】
【
図2】
図2は、1つの実施形態による、シャフトに結合されたバルーンアセンブリを有する例示的な治療デバイスである。
【0090】
【
図3】
図3は、1つの実施形態による、治療ゾーン及び非治療ゾーンを有する例示的なバルーンデバイスである。
【0091】
【
図4】
図4は、1つの実施形態による、滲出カバーを実装する例示的なバルーンデバイスである。
【0092】
【
図5】
図5は、1つの実施形態による、滲出媒体チャンネル及び膨張媒体チャンネルが表されている例示的なバルーンデバイスである。
【0093】
【
図6】
図6は、1つの実施形態による、光が通過する管腔を有するシャフトである。
【0094】
【
図7】
図7は、1つの実施形態による、シャフト内に配置された滲出媒体チャンネル、膨張媒体チャンネル及び光通過用管腔を有するバルーンデバイスの断面図である。そして
【0095】
【
図8】
図8は、1つの実施形態による、バイパス管腔を有する例示的なバルーンデバイスである。
【0096】
【
図9】
図9は、パターン化された光透過ゾーン及び流体移送ゾーンを有する例示的なバルーンデバイスである。
【0097】
【
図10】
図10a及び10bは、バルーンデバイスに使用される光透過ゾーン及び流体移送ゾーンのパターンの例示的な実施形態である。
【0098】
【
図11】
図11a及び11bは、バルーンデバイスに使用される光透過ゾーン及び流体移送ゾーンの異なるパターンの例示的な実施形態である。
【0099】
【
図12】
図12は、バルーンデバイスに実装されうる光透過ゾーン及び流体移送ゾーンのパターンの様々な実施形態である。
【
図13】
図13は、バルーンデバイスに実装されうる光透過ゾーン及び流体移送ゾーンのパターンの様々な実施形態である。
【
図14】
図14は、バルーンデバイスに実装されうる光透過ゾーン及び流体移送ゾーンのパターンの様々な実施形態である。
【
図15】
図15は、バルーンデバイスに実装されうる光透過ゾーン及び流体移送ゾーンのパターンの様々な実施形態である。
【
図16】
図16は、バルーンデバイスに実装されうる光透過ゾーン及び流体移送ゾーンのパターンの様々な実施形態である。
【
図17】
図17は、バルーンデバイスに実装されうる光透過ゾーン及び流体移送ゾーンのパターンの様々な実施形態である。
【
図18】
図18は、バルーンデバイスに実装されうる光透過ゾーン及び流体移送ゾーンのパターンの様々な実施形態である。
【0100】
【
図19】
図19A~19Cは、組織構造及び前記組織構造内に実装されている例示的なバルーンデバイスの例示的な実施形態である。
【0101】
【
図20】
図20は、標的部位に染料をデリバリーした後に解剖されて示された組織構造の例示的な実施形態である。
【0102】
【
図21】
図21は、1つの実施形態によるパッチアセンブリの上面図である。
【0103】
【0104】
【
図23】
図23は、1つの実施形態による、患者の皮膚上のパッチアセンブリの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0105】
詳細な説明
定義と用語
本開示は、限定的に読まれることを意図したものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の専門家がその用語に帰するであろう意味の文脈で広く読まれるべきである。
【0106】
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」という用語は、記載された測定値を含む測定値、及び記載された測定値に合理的に近い任意の測定値も含む測定値を指すために互換的に使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的エラー、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮した性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた微調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に決定できないと判断された場合には、「約」及び「およそ」という用語は、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解できる。
【0107】
本明細書では、便宜上のみで特定の用語が使用されている。例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「左(left)」、「右(right)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「上(upward)」、「下(downward)」などの単語は図示されている構成又は取り付け位置での部品の向きを単に説明するものである。実際、参照される構成要素は任意の方向に向けることができる。同様に、プロセス又は方法が示され又は説明される本開示全体にわたって、方法が最初に実行される特定の動作に依存することが文脈から明らかでない限り、方法の工程は任意の順序で又は同時に実行されうる。
【0108】
本明細書で使用されるときに、「血管形成術圧力」は、特定のサイズのバルーンに対してPTA処置を実行するのに必要な最小圧力を意味する。この値はバルーンのサイズに依存し、公称膨張圧力から定格破裂圧力までの作動圧力範囲内にあることができる。公称膨張圧力はバルーンが公称直径に達する最小圧力であり、定格破裂圧力は製造者が提供する医療用バルーンの圧力範囲の上限である。
【0109】
本明細書で使用されるときに、「メディカルデバイス」とは、体の管腔又は体腔内にインプラント処置及び/又は展開できる任意のメディカルデバイスを意味する。様々な実施形態において、メディカルデバイスは、血管内メディカルデバイス、例えば、ステント、ステントグラフト、グラフト、心臓弁、心臓弁フレーム又はプレステント、閉塞器、センサー、マーカー、閉鎖デバイス、フィルタ、塞栓保護デバイス、アンカー、薬物デリバリーデバイス、心臓又は神経刺激リード、胃腸スリーブなどを含むことができる。
【0110】
様々な実施形態の説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0111】
様々な例は、例えば血管形成術に関連して、体腔に治療媒体をデリバリーするための治療デリバリーシステムデバイス及び方法に関する。幾つかの例において、そのようなシステム及び方法は、治療される領域と治療をデリバリーするバルーンとの間の係合を強化して、治療部位のより正確な標的化を提供するように構成されている。幾つかの例において、治療領域/長さは、治療のデリバリー中に治療媒体をデリバリーするように構成されたバルーンの部分と血管壁との間のより強固な係合又は接触を達成するために、バルーンによって表される総表面積/長さよりも小さい。幾つかの例において、治療媒体は、増強されたコラーゲンマトリックスの生成を通じて組織壁(例えば、血管)の強化を助けるコラーゲン架橋剤(例えば、光活性化可能)である。本明細書で論じられる治療は特定の病態生理学を考慮することができるが、システム及び方法が様々な生理学的状態及び様々な理由で実施されうることは本開示の範囲内である。例として、治療としては、限定するわけではないが、プラーク形成の治療のための血管の拡張、末梢動脈疾患における持続的管腔の取得、A/Vフィステル成熟の促進、即時フィステル成熟、動脈瘤エンドグラフトシールゾーンの安定化、動脈瘤の成長予防、血栓の安定化、解離修復(例えば、解離した部分を元の位置に安定させる)、穿孔修復、静脈血栓の再組織化及び安定化、心房中隔欠損の閉鎖、血管アクセス部位の閉鎖などを挙げることができる。
【0112】
図に示されるデバイスは、様々なデバイス特徴の例であり、図示される組み合わせは明らかに本発明の範囲内であるが、それらの例及びそれらの図は、本明細書で提供される発明の概念が、より少ない数の特徴、追加の特徴、又は単一の図に示されている1つ以上の特徴に対する代替の特徴を備えたデバイスから制限されることを示唆することを意図するものではない。説明の点として、様々な実施形態において、
図4に示されるデバイスのバルーンは、
図5を参照して説明したカバー層を含むことができる。また、その逆も同様であることを理解すべきである。
【0113】
図1を参照すると、図示のデバイスは治療デバイス10である。治療デバイス10は、挿入部位4で患者2に挿入されうる。挿入部位4により、治療デバイス10は患者2の体腔6(例えば、導管)にアクセスすることができる。治療デバイス10は、例えば、血管系、胆管系、リンパ系、呼吸器系又は消化器系の管腔を含む、様々な体腔内で使用するように構成されうる。治療デバイス10はまた、光源7、拡張媒体源8及び治療媒体源9などの多くの特徴を含むことができる。例えば、これらの特徴の1つ又はすべては、治療デバイス10に一体型ユニットとして組み込まれることができる。しかしながら、様々な実施形態において、治療デバイス10は光源7、拡張媒体源8及び治療媒体源9のうちの1つ以上と接続、結合又は係合するように動作可能であることができ、それらは、幾つかの実施形態において別個であるが、接続されたシステム構成要素である。治療デバイス10は、ユーザが治療デバイス10を操作するための1つ以上のハンドル、流体継手(例えば、ルアーフィッティング)、止血弁などを含む、そのようなアセンブリに一般的に関連付けられる様々な特徴を含むことができる。
【0114】
幾つかの例において、光源7は、所望の波長範囲にわたって所望の強度で光を発するように構成されている。例えば、光源7は体の外部にあってもよく、光は光ファイバーケーブル又は類似の透光性材料を介して運ばれてもよい。光源7はまた、シャフト12内、又は拡張層25の内部、拡張層25とカバー層30の間などのバルーンアセンブリの内部に配置されてもよく、あるいはカバー層30に織り込まれ/取り付けられてもよい。光はまた、LEDなどの局所光源によって提供されうる。
【0115】
幾つかの例において、拡張媒体源8は、圧力源(例えば、手動ポンプ)及び拡張媒体リザーバ(例えば、塩類溶液で満たされた容器)を含む。拡張媒体源8は、所望の圧力で拡張媒体を治療デバイス10にデリバリーするように構成されており、圧力を解放又は軽減するように構成されてよく、及び/又は、拡張及び脱拡張又は収縮サイクルを実行するために負圧を適用するように構成されてよい。例えば、拡張媒体源8は、コントラスト剤と混合された塩類溶液、塩類溶液のみ、及び/又は治療媒体と組み合わされたこれらのいずれかを含むことができる。膨張媒体は、電気機械ポンプ及び/又は圧力調整の手動方法を通じて導入されうる。
【0116】
幾つかの例において、治療媒体源9は、圧力源(例えば、手動ポンプ)及び治療媒体リザーバ(例えば、治療用化合物が充填された容器)を含む。治療媒体源9は、所望の圧力又は流量で治療媒体を治療デバイス10にデリバリーするように構成されている。例えば、治療媒体源9は、拡張圧力が血管形成術に対して比較的低い間(≦1ATM)、又は拡張圧力が所望の血管形成効果を誘発するのに十分である間(3~30ATM)に導入されうる。幾つかの例において、拡張媒体源8及び治療媒体源9は区別される要素として示されているが、幾つかの例おいては、拡張媒体源8及び治療媒体源9は単一の両用システム構成要素として統合されている。例えば、拡張媒体は治療媒体として機能することができ、単一の圧力源を使用して、組み合わされた拡張媒体/治療媒体を治療デバイス10にデリバリーすることができる。
【0117】
ここで
図2を参照すると、治療デバイス10は、患者2の体腔6に挿入されるように構成されたシャフト12と、シャフト12に結合されたバルーンアセンブリ14とを含む。使用中、バルーンアセンブリ14は、治療手順中に展開されると、患者2の体腔6(例えば、血管)内で(例えば、所定の直径に)拡張される。
【0118】
バルーンアセンブリ14は、第一の端部15a、第二の端部15b、前記第一の端部15aに隣接する第一のショルダー部分20a、前記第二の端部15bに隣接する第二のショルダー部分20b、及び、前記第一のショルダー部分20aと前記第二のショルダー部20b(本明細書において、第一のショルダー部分及び第二のショルダー部20a、20bを総称して「ショルダー部分20」と呼ぶ)の間に位置する中間部分22を画定する。参考までに、ショルダー部分20は、一般に、バルーンアセンブリ14の主作動長さ及びバルーンアセンブリが結合されるシャフト12の隣接部分からのテーパ又は他の移行部に対応する。ショルダー20は、バルーンアセンブリ14が展開される特定の治療領域に応じて、様々な形状、テーパ、段差、輪郭、オーバーラップ、長さ及び他の特徴を含むことができる。治療デバイス10は、長手方向軸11を画定することができる。シャフト12は、長手方向軸11に沿って延在し、長手方向軸11の周りに配置されうる。
【0119】
膨張すると、バルーンアセンブリ14は、中間部分22の直径より小さい直径を有するショルダー部分20を含むことができる。換言すれば、ショルダー部分20は、バルーンアセンブリ14の傾斜領域又は移行領域として機能し、バルーンアセンブリ14のこれらの部分は、完全なサイズ又は直径ではない。したがって、バルーンアセンブリ14が患者の管腔(例えば、血管)内で拡張されるときに、バルーンアセンブリ14の中間部分22は患者の血管壁と接触するが、ショルダー部分20は接触しないか、又は、患者の血管壁との好ましい量の接触(例えば、比較的連続的な係合及び/又は管腔壁に対する所望量の拡張力)を有しないことができる。
【0120】
ここで
図3を参照すると、幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリ14は、第一のゾーンと第二のゾーンとを含む。治療ゾーン16とも記載できる第一のゾーンは、体腔6内の所定の位置で所望の治療を提供するように動作可能なバルーンアセンブリ14の部分である。幾つかの例において、治療ゾーン16は、バルーンアセンブリ14の選択された表面領域(例えば、全外表面より小さい)を含む。治療ゾーン16の特性については、以下でより詳細に説明する。バルーンアセンブリ14の非治療ゾーン18とも記載できる第二のゾーン18は、不活性となるように、又はバルーンアセンブリ14の治療ゾーン16によって示される一部又はすべての治療特徴を提供しないように構成されうる。第二のゾーンは、一般に、治療ゾーン16によって表される表面領域以外の1つ以上の表面領域に対応し、非治療ゾーン18として記載することができる。
【0121】
幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリ14は、拡張層25を含むことができる。拡張層25は、シャフト12の周囲に配置され、膨張チャンバ26を形成する。膨張チャンバ26は、拡張層25によって完全に又は部分的に取り囲まれることができる。治療ゾーン16及び非治療ゾーン18は、拡張層25の表面上に画定されうる。
【0122】
さらなる実施形態において、バルーンアセンブリ14は、拡張層25及びカバー層30を含むことができる。カバー層30は、拡張層25を取り囲むか、又は拡張層25の周りに完全に又は部分的に配置される。カバー層30は、カバー層20から半径方向内向きにデリバリーチャンバ32を形成することができる。このような例において、デリバリーチャンバ32は、カバー層30と拡張層25との間に配置され、したがって、カバー層30は、拡張層25から半径方向外側に配置される。デリバリーチャンバ32は、カバー層30の内面とバルーンアセンブリ14の外面との間の空間として記載されることができ、デリバリーチャンバは膨張チャンバ26とは別の第二のチャンバであることを意味する。
【0123】
幾つかの例において、デリバリーチャンバ32と膨張チャンバ26は、拡張層25によって流体的に分離されている。膨張チャンバ26とデリバリーチャンバ32を分離することにより、膨張チャンバ26とデリバリーチャンバ32に異なる媒体(例えば、膨張チャンバ26内の塩類溶液などの拡張媒体、及びデリバリーチャンバ32内の架橋剤などの治療媒体)を充填することができる。また、これにより、膨張チャンバ26とデリバリーチャンバ32を独立して充填しそして空にすることができる。これら2つの特徴部を組み合わせると、血管形成術を行うときに処置方法及び結果を改善するための追加の利点を得ることができる。さらに、デリバリーチャンバ32は、治療媒体で満たされ、その後、拡張層25を膨張させることによりデリバリーし、カバー層30内の圧力を増加させて滲出を可能にし(すなわち、デリバリーチャンバ力を提供するために膨張チャンバ26を使用する)、その結果、1つの治療デバイス10が、デバイス10を取り外したり又は位置を変更したりする必要なく、すべての処置工程を提供できるため、処置中に複数のバルーンを交換する必要がない。
【0124】
膨張チャンバ26及びデリバリーチャンバ32を充填及び排出するために、デバイス10は、デリバリー導管24及び膨張導管28を含むことができる。膨張導管28は、膨張チャンバ26と流体連通しており、そしてデリバリー導管24はデリバリーチャンバ32と流体連通している。したがって、デリバリーチャンバ32及び膨張チャンバ26は、独立して充填及び空にすることができる。幾つかの実施形態において、
図7に見られるように、デリバリー導管24及び膨張導管28はシャフト12内に配置される。代替実施形態において、
図4に見られるように、デリバリー導管24及び膨張導管28のそれぞれが長手方向軸11の周りに包囲して配置され、シャフト12の長手方向の長さに延びるように、デリバリー導管24及び膨張導管28はシャフト12に一体化されている。したがって、シャフト12は、膨張媒体及び治療媒体をそれぞれのチャンバに運ぶことができる。シャフト12、より具体的にはデリバリー導管24及び膨張導管28は、膨張媒体源8及び治療媒体源9に結合して、媒体をそれぞれのチャンバに分配できるように動作可能である。
【0125】
図4を参照すると、膨張媒体及び治療媒体をそれぞれのチャンバにデリバリーするために、デバイス10のシャフト12はステムチューブ13をさらに含むことができる。ステムチューブ13は、バルーンアセンブリ14が周囲に配置されるシャフト12の部分を含む。したがって、拡張層25及びカバー層30を実装するこれらの実施形態において、拡張層25及びカバー層30はステムチューブ13の周りに配置される。同様に、ステムチューブ13は、膨張導管28が膨張チャンバ26と流体接触し、デリバリー導管24がデリバリーチャンバ32と流体接触するシャフト12の部分を含むことができる。
【0126】
次に、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16及び非治療ゾーン18についてさらに詳細に説明する。治療ゾーン16は、バルーンアセンブリ14の選択された表面領域(例えば、全外面より小さい)を含む。非治療ゾーン18は、バルーンアセンブリ14の外表面領域の残り又は残りの一部を含むことができる。治療ゾーン16は、同様に様々なサブゾーンに細分することもできる。例えば、治療ゾーン16は、デリバリーサブゾーン16a及び活性化サブゾーン16bをさらに含むことができる。デリバリーサブゾーン16a及び活性化サブゾーン16bは、治療ゾーン16の隣接する表面領域に表されてもよく、治療ゾーン16内でオーバーラッピングする領域を有してもよく、又は治療ゾーン16内で同一の広がりを有してもよい。
【0127】
デリバリーサブゾーン16aは、バルーンアセンブリ14を通した流体移送を特徴とすることができる。これは、様々な方法で達成されうる。例えば、バルーンアセンブリ14は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(「ePTFE」)を含む様々な材料を実装することができる。ePTFEなどの様々な材料は、指定された圧力に達する前又は達したときのいずれかに流体がカバー層30を通って移動できるチャンネル又は細孔を組み込むように構成されうる。この透過性の特徴により、バルーンアセンブリ14からの治療媒体の制御された放出が容易になる。そのようなチャンネル又は細孔は、材料自体の特徴又は特性(例えば、材料の微細構造)であってもよく、及び/又はバルーンアセンブリ14の製造中に形成されてもよい(例えば、レーザー照射、パターニング及び/又はエッチングプロセスを介して)。流体移送は、処理又はコーティング(例えば、表面張力を低下させるためのPVA表面処理)によって促進されうることも理解される。チャンネル又は細孔は、均一なパターン、ランダムなパターン又は不均一なパターンでデリバリーサブゾーン16a内に提供されうる。さらに、チャンネル又は細孔は、均一なサイズ及び形状のチャンネル又は細孔を有するデリバリーサブゾーン16aを通して提供されてよく、又はチャンネル又は細孔は、所望に応じて、不均一なサイズ及び形状を含んでもよい。
【0128】
活性化サブゾーン16bは、バルーンアセンブリ14を通る光透過性を特徴とすることができる。光透過性を達成するために、バルーンアセンブリ14上の活性化サブゾーン16bは、光透過を可能にする多数の材料及び技術を含むことができる。例えば、活性化サブゾーン16bはビニル材料を含むことができる。幾つかの例において、ビニルバルーン材料は、所定の波長(例えば、470nm(青色光)、520nm(緑色光)、400nm~700nm(可視光のすべての波長)、10nm~400nm(紫外光)、又は赤外光)の光の有効量又は用量の透過を可能にし、バルーンアセンブリ14の壁を透過する。
【0129】
ビニル材料は様々な場合に適しているが、所望の光透過レベルを達成するために必要に応じて他の材料を使用することもできる。例えば、ePTFEは、バルーン材料として様々な例で利用されうる。ePTFEを緻密化して活性化サブゾーン16bを形成し、材料内の空隙及び/又は自由空間を減少させて、カバー層30のその部分での光透過率を高めることができる。
【0130】
追加的に又は代替的に、活性化サブゾーン16bの光透過率は、光透過率を高めるために湿潤化するように構成された親水性フィルム又はバッカーなどの親水特性を利用することによって(例えば、材料の表面及び/又は層内の空隙を減少させることによって)高めることができる。幾つかの例において、活性化サブゾーン16bは、約70パーセント~約90パーセントの光透過率レベルを備える。このような透過率レベルは、適切に湿らせたナイロンバッカーを利用して達成できる。材料の湿潤化は、親水性材料(例えば、親水性コーティング又は層)及び表面処理(例えば、プラズマ処理)を利用することによって促進されうる。このような親水性材料としては、PVA、PEG鎖を含むもののような親水性ポリマー、ヒドロゲルポリマー、Lupasol(登録商標)SK、Lupasol(登録商標)WF及びヘパリンが挙げられる。プラズマ処理に加え、追加の材料処理としては、2015年8月11日付けのLeonteinらの米国特許第9,101,696号明細書及び2016年8月9日付けのLeonteinらの米国特許第9,408,950号明細書に記載されているようなヘパリン結合を促進することを利用するものが挙げられる。幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリの活性化サブゾーン16bは、光透過率が約50~90%効率であることができる。幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリの活性化サブゾーン16bは、光透過率が約20%~約100%効率であることができる。他の実施形態において、活性化サブゾーン16bは、光透過率が約70~87%効率であることができる。他の実施形態において、活性化サブゾーン16bは、光透過率が約80%効率であることができる。
【0131】
特定の例示的な実施形態を参照すると、バルーンアセンブリ14は、拡張層25及びカバー層30を含むことができる。バルーンアセンブリ14の層25、30は、各層の上のサブゾーンの組み合わせを含む、様々なサブゾーンを有する治療ゾーン16を含むことができる。例えば、1つの実施形態において、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16は、拡張層25上の活性化サブゾーン16bと、カバー層30上のデリバリーサブゾーン16aとを含む。カバー層30はまた、デリバリーサブゾーン16aとオーバーラッピングする、又はそれと同一の広がりを有する活性化サブゾーン16bを含むことができる。
【0132】
拡張層25の治療ゾーン16に関して、治療ゾーン16は、ビニル材料から形成された活性化サブゾーン16bを含むことができる。議論したように、ビニルはその光透過性の性質により実装されうる。さらに、ビニル(又は他の十分に不透過性の材料)は、動作圧力でバルーンアセンブリ14の壁を通る加圧拡張媒体の流れを防止するのに役立ち、同時に、所定の波長での有効量又は用量の光の透過を可能にすることができる。したがって、拡張層25の治療ゾーン16は、加圧可能かつ光透過性の両方となるように構成することができる。別の言い方をすれば、拡張層25の治療ゾーン16は、動作条件下で光透過性であるが、治療媒体に対して比較的に不透過性であるように構成されうる。
【0133】
カバー層30の治療ゾーン16に関して、治療ゾーン16は、活性化サブゾーン16b及びデリバリーサブゾーン16aを含むことができる。カバー層30の治療ゾーン16は、ePTFE又は他の適切な材料から形成されうる。幾つかの実施形態において、ePTFEは、急速延伸のプロセス中に形成される細孔を提供することによって、カバー層30上に含まれるデリバリーサブゾーン16aに適切な機能を提供する。より具体的には、ePTFEは、流体によって特定の圧力がかかる前又は後に流体がカバー層30を通って移動できるチャンネル又は細孔を含むように構成されうる。これにより、カバー層30を介した流体の制御された放出が可能になる。カバー層30の治療ゾーン16は、前述したように、チャンネル又は細孔の挿入又は作成によって、カバー層30を介した流体の移動を可能にすることもできる。
【0134】
ePTFEなどの膨張(エキスパンデッド、膨張、延伸または発泡)した、又は開放構造の材料は、(例えば、閉じ込められた空気により)比較的に低い光透過特性を有することがある。このような材料を介して光透過率と流体移動の両方を得るために、材料の1つ以上の部分を緻密化して、それらの部分を通る光透過特性を高めることができる。したがって、カバー層30の治療ゾーン16は、膨張材料の緻密化、親水処理、又は本明細書で説明するその他の処理を含む手順の組み合わせによる光透過特性を備えることができる。緻密化により、バルーンアセンブリ14の壁を透過する所定の波長(例えば、400~700nm)の光の有効量又は用量の透過が可能になる。
【0135】
例えば、選択された領域を緻密化することによって、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16内に活性化サブゾーン16b及びデリバリーサブゾーン16aのパターンを作成することができる(例えば、デリバリーサブゾーン16aは、流体デリバリーのための細孔又はチャンネルを有する領域に対応する)。このようなパターン化は、所望に応じて均一であっても又はランダムであってもよい。例えば、交互のリング形状の活性化ゾーン及びデリバリーゾーンに対応する、交互のリング又は周領域の繰り返しパターンを実装することができる。したがって、カバー層30の治療ゾーン16は、動作条件下(例えば、選択された治療デリバリー圧力)で、光透過性かつ治療媒体に対して透過性の両方となるように構成することができる。
【0136】
ここでバルーンアセンブリ14の非治療ゾーン18に目を向けると、様々な材料及び方法は、体腔6(例えば、導管組織)の治療を標的とする所望の領域の外側で少なくとも部分的に制限又は防止するための所望の特性を達成するために実装されうる。非治療ゾーン18は、マスキングされたゾーン又はマスキングしているゾーンを含むことができる。例えば、
図3を参照すると、バルーンアセンブリ14のショルダー20は、部分的又は全体的に、デバイス10の非治療ゾーン18を含むことができる。幾つかの実施形態において、ショルダー20は、バルーンアセンブリが血管形成術圧力にあるときに、血管壁と好ましく接触せず、したがって、血管壁のこの部分の治療を所望しないことができる。したがって、ショルダー部分20は、治療を不可能にする所定の特性を含むことができ、したがって非治療ゾーン18の一部である。
【0137】
非治療ゾーン18は、治療媒体のデリバリー、治療媒体の活性化又はその両方を制限又は回避するように構成されうる。例えば、非治療ゾーン18をマスクして、光及び/又は治療媒体が拡張層25又はカバー層30の非治療ゾーン18を通過するのを防止又は制限することができる。マスキングは、非治療ゾーン18でバルーンアセンブリ14又はカバー層30に取り付けられたフィルム又はホイルを含むことができ、フィルム又はホイルは、動作圧力において非光透過性又は光遮断性及び/又は非透過性である。活性化遮断(例えば、光遮断)特徴は、非治療ゾーン18で拡張層25及び/又はカバー層30に組み込まれる特定の接着剤、添加剤、染料又は顔料の結果であることができる。放射線不透過性材料、添加剤、充填剤又は粉末は、タンタル(又は酸化タンタル)、チタン、金、白金又は炭素を含むことができる。
【0138】
デバイス10の非治療ゾーン18を通る光の透過を防止する別の方法は、空気閉じ込めを使用して非治療ゾーン18、バルーンアセンブリ14及び/又はカバー層30を調製することを含む。これは、光の透過を妨げるのに十分な空気を閉じ込める微細構造を有する膨張材料又は他の材料を組み込むことを含む、当業者に知られている様々な方法で達成することができる。非治療ゾーン18上で疎水性コーティング、充填剤又は接着剤などの疎水性特性を利用することができる。これは、非治療ゾーン18が濡れるのを防ぐのに役立つことができ、したがって、それらの領域での光透過率を制限又は低下させる。非治療ゾーン18がバルーンアセンブリ14を通る流体移送の防止又は制限を含むときに、流体移送の防止又は制限は、非治療ゾーン18を形成するために使用される材料の結果であることができる。例えば、非透過性材料はビニルを含むことができる。フッ素化エチレンプロピレン(「FEP」)もまた、非治療ゾーン18における流体の移送又は滲出を防止するために実装されうる。あらゆる数のコーティング、フィルム又は接着剤を、非治療ゾーン18に追加することができ、バルーンアセンブリ14及び/又はカバー層30、例えば上で論じたものを通る流体移送を防止するのを支援することができる。
【0139】
本明細書に記載される幾つかの実施形態は、治療効果の活性化を必要とするため、治療デバイス10に含まれることができる追加の構成要素を含めて、これについてより詳細に説明する。治療用化合物の活性化に光活性化が必要である実施形態において、治療デバイスは光透過機能を備えていることができる。これには、光源7がデバイス10に統合されるか、又はデバイス10に結合されることを挙げることができる。
【0140】
図6に示されるような1つの実施形態において、シャフト12は、シャフト12のある部分から別の部分に光を伝達するための光通過用ルーメン23を含むことができる。例えば、光通過用ルーメン23は、治療デバイス10のハンドル端からシャフト12に沿ってバルーンアセンブリ14を含むステムチューブ13まで光を伝達することができる。光通過用ルーメン23は、光がバルーンアセンブリ14の近くで放出されるように、ステムチューブ13で開放されていることができる。ステムチューブ13は、透明なポリマー又は他の透明な材料を含むことができ、それを通して、光は光通過用ルーメン23の端から伝達されうる。このように、治療用化合物を活性化するために、光はカバー層30及び/又は拡張層25を通って透過することができる。幾つかの実施形態において、ステムチューブ13は、シャフト12の長手方向の長さに沿って下方に延在することができる。
【0141】
光は、光通過用ルーメン23から、治療ゾーン16、より具体的にはバルーンアセンブリ14の活性化サブゾーン16bを通って、血管壁に放射されうる。血管壁の組織に接触して浸透した光活性化可能な治療用化合物が光によって活性化されると、治療機能は付与される。非治療ゾーン18は、治療ゾーン16と比較して、光の透過を防止又は低減するように構成され、その結果、血管壁への光の透過を防止又は低減し、治療化合物が不活性なままとされる。
【0142】
他の実施形態において、光源7は、バルーンアセンブリ14及びステムチューブ13において、バルーンアセンブリ14及びステムチューブ13の近くで、又はバルーンアセンブリ14及びステムチューブ13とともにデバイス10に直接結合される。例えば、光源はステムチューブ13内に埋め込まれ、このため、ステムチューブ13からデバイス10の治療ゾーン16を通して光を直接発することができる。幾つかの実施形態において、デバイス10は、バルーンアセンブリ14及び/又はカバー層30の治療ゾーン16又はその近くに適用される照明付きフィルムを含むことができる。
【0143】
提供される治療ゾーン16及び非治療ゾーン18の具体例には、バルーンアセンブリ14の光透過性及び流体透過性が備えられているが、これらの例は限定されない。例えば、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16及び非治療ゾーン18に組み込まれることができる他の特徴としては、導電性、選択的透過性、超音波能力、共鳴、磁気又は強磁性特性などを挙げることができる。
【0144】
上述したように、様々な例において、デバイスは外科手術、より具体的には経カテーテル外科手術に使用するために動作可能である。例えば、治療デバイス10は、患者2の体腔6(例えば、血管)を治療するための血管形成術処置に関連して使用することができる。シャフト12及びバルーンアセンブリ14を含むデバイス10の一部は、挿入部位4で患者の体腔6内に導入されうる。次いで、治療デバイス10は、バルーンアセンブリが体腔6の標的領域に到達するまで、患者の血管系内を前進させることができる。体腔6の標的領域には、血管壁の罹患又は損傷、又は血管壁へのプラークの蓄積が含まれ、その結果、時間の経過とともに蓄積、閉塞又は部分閉塞が生じる。デバイス10は、生理学的又は解剖学的問題を矯正又は治療するために体腔6に治療をデリバリーするように動作可能である。
【0145】
1つの例示的な血管形成治療を参照すると、バルーンアセンブリ14が血管形成圧力まで膨張すると、閉塞した血管がバルーンアセンブリ14によって拡張されることができ、ここで、バルーンアセンブリ14は血管壁に接触して、狭くなった血管を広げる。次に、バルーンアセンブリ14は、バルーンアセンブリ14の長さに沿って、あるいはバルーンアセンブリ14の治療ゾーン16内で治療用化合物を放出する。治療用化合物がバルーンから放出されると、それは血管壁に直接デリバリーされる。治療用化合物は、血管が治療前の直径に戻る傾向を低減するための細胞外マトリックス(例えば、コラーゲン及び/又はエラスチン)架橋剤を含むことができ、治療媒体中又は治療媒体としてデリバリーされうる。さもなければ、バルーンアセンブリの膨張を超えてさらなる介入がなければ、バルーンアセンブリ14が収縮し、何らかの他の補強がなければ血管壁に対して力を与えなくなった後に、血管の可塑性又は弾性の性質によって血管は元の形状に戻る可能性がある。治療媒体は、バルーンアセンブリ14が血管壁と係合している間に、バルーンアセンブリ14からデリバリーされうる。
【0146】
治療用化合物を含む治療媒体を制御された方法でデリバリーするために、カバー層30を拡張層25と組み合わせて実装することができる。拡張層25は、加圧拡張媒体を膨張チャンバ26に提供することにより血管形成圧力まで膨張させることができる。上記の方法の一部を参照すると、膨張チャンバ26及びデリバリーチャンバ32が独立して充填及び排出できるようにすることによって、外科医は、まずデバイス10を血管の閉塞部付近の適切な位置に移動させることができる。膨張チャンバ26は、デバイス10が血管壁及び閉塞部に対して力を加えるように、血管形成圧力に対する塩類溶液などの膨張媒体で満たされることができる。塩類溶液又は加圧拡張媒体は、血管形成術中にバルーンアセンブリ14を位置決めするための、染料、放射線不透過性材料又はその他の検出可能な材料などのコントラスト剤を含むことができる。これにより、外科医はデバイス10を位置決めすることができるとともに、バルーンアセンブリ14が膨張したときに血管内での接触及び適合が許容できるものであることを確認することができる。
【0147】
血管内で所望の配置及び適合が達成されると、デリバリーチャンバ32は加圧治療媒体で満たされることができ、その後、それはカバー層30を通して移送される。しかしながら、幾つかの実施形態において、外科医は、拡張媒体を膨張チャンバ26からわずかに排出又は除去することができる。これにより、カバー層30のデリバリーチャンバ32を充填するための空間が生成されうる。デリバリーチャンバ32は、治療媒体で満たされることができ、治療媒体は、デリバリーチャンバ32が所定の圧力以上であるときに、カバー層30を通って滲出するか、又は移動する。デリバリーチャンバ32が、加圧治療媒体がカバー層30を通過することを可能にする圧力差に対する適切な圧力に達していないならば、拡張層25をさらに膨張させて、制御された方法でデリバリーチャンバ32内の圧力を増加させることができる。したがって、加圧治療媒体は、デリバリーチャンバ32及び膨張チャンバ26の両方の充填及び排出を通じて制御して放出されうる。このプロセスは、持続放出及び血管組織のより深い浸透を提供するために持続及び反復されうる。幾つかの実施形態において、治療用化合物の希釈のため、又は治療用化合物もしくは患者の体との有害な相互作用のために、膨張媒体はデリバリーチャンバ32及び/又は患者の血管内に放出されることは望ましくない場合がある。したがって、幾つかの実施形態において、膨張チャンバ26とデリバリーチャンバ32との間の流体移送の発生を防止又は低減するのに役立つように、動作条件下で拡張層25が非透過性であることを保証することが好ましい場合がある。
【0148】
治療媒体(例えば、ナフタルイミド、リボフラビン5’-ホスフェート、又はローズベンガル)が光などによって活性化されなければならない実施形態において、方法は、治療媒体に光を提供する工程を含みうる。これは、光源7からデバイス10に光を提供することによって達成されうる。光は、光通過用ルーメン23、治療ゾーン16、特に前述した活性化サブゾーン16bを通って、次いで活性化される治療媒体に伝達される。
【0149】
幾つかの実施形態において、膨張媒体の光透過率を約50~90%効率、70~87%効率、又は約80%効率まで高めるために、コントラスト剤を含む塩類溶液をさらに希釈することができる。
【0150】
様々な治療が血管壁にデリバリーされうることが認識され、したがって、本明細書で論じられる治療は、本明細書で説明されるデバイス及び方法と関連して利用されうる治療の種類を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0151】
1つの実施形態において、治療用化合物としては、組織の結合及び組織内のコラーゲンの架橋を促進する薬剤が挙げられる。これについては、例えば、2009年4月7日のUtechtらの米国特許第7,514,399号明細書、2012年8月14日のUtechtらの米国特許第8,242,114号明細書、2013年10月1日のUtecht らの米国特許第8,546,384号明細書、Utechtらの米国特許第8,632,565号明細書、2014年6月3日のUtechtらの米国特許第8,741,270号明細書、2015年9月8日のUtechtらの米国特許第9,125,938号明細書、2017年11月21日のUtechtらの米国特許第9,822,189号明細書、2018年8月21日のUtechtらの米国特許第10,053,521号明細書に記載されている。2018年11月20日のHabererらの米国特許第10,131,635号明細書に記載されているような歯垢軟化剤を含む他の治療手段をデリバリーすることもできる。例えば、デバイス10は、天然組織内のコラーゲンの架橋を促進する治療用化合物を提供することができ、ここで、治療用化合物は、所定の波長の光によって活性化される。
【0152】
治療用化合物の活性化に光透過が必要な実施形態において、治療ゾーン16及び治療ゾーン18は光透過率によって区別されうる。組織は、治療ゾーン16の接触領域の外側で治療用化合物に暴露されることができるが、治療用化合物の活性化がなければ、組織は治療上の利益を得ることができない。これは、治療用化合物の活性化が一般に光透過による治療ゾーン16の接触領域に限定されるためである。したがって、活性化は治療ゾーン16で最も顕著である。したがって、幾つかの実施形態において、流体の伝達はデバイス10の治療ゾーン16のみに限定されなくてよい。例えば、カバー層30を実装する実施形態において、カバー層30の全表面領域は、所定の圧力勾配で流体透過性であることができ、これにより、滲出媒体又は治療用化合物がカバー層30を通って移動し、所定の圧力の前に、その圧力で、又はその圧力を超えて周囲の組織に接触して浸透することが可能になる。
【0153】
しかしながら、幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16など、バルーンアセンブリ14の特定の領域又はゾーンへの流体移送を制限することが望ましい場合がある。非治療ゾーンは、非治療ゾーン18の透過性を制限又は限定する非透過性材料、コーティング又は処理を含むことができる。例えば、バルーンアセンブリ14のショルダー20は非治療ゾーン18を含むことができる。流体移送の制限は、治療用化合物が光活性化に関係なく活性である様々な分野において重要であることができる。したがって、これらの実施形態において、治療ゾーン16は特に流体移送を特徴とし、非治療ゾーン18は非流体移送又は制限された流体移送を特徴とすることができる。
【0154】
バルーンアセンブリが拡張層25及びカバー層30を含む実施形態において、治療ゾーン16は、拡張層25及びカバー層30にわたる選択された表面領域を含むことができる。非治療ゾーン18は、治療ゾーン16によって表されない領域又は表面上のバルーンアセンブリ14及びカバー層30の両方の上に含まれることもできる。前述したような非治療ゾーンを含むそのような領域は、バルーンアセンブリ14のショルダー20を含むことができる。幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリ14を取り囲むカバー層30は、ショルダー20及び本体など、拡張層25と同様の形状因子を含むことができる。
【0155】
さらに、拡張層25及びカバー層30を実装する幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリ14は、拡張層25上に治療ゾーン16及びカバー層30上に治療ゾーン16を含むことができる。拡張層25及びカバー層30は異なる機能を有することができるので、幾つかの実施形態において、拡張層25の治療ゾーン16とカバー層30の治療ゾーン16は異なる特徴を有しうる。さらに参照すると、治療ゾーン16は、様々な異なる機能を提供することができる。前述したように、様々な特徴はサブゾーンとして記述されうる。サブゾーンは、治療ゾーン16内の様々な特徴を表すことができ、例えば、カバー層30の治療ゾーン16は、活性化サブゾーン16b及びデリバリーサブゾーン16aを含むことができ、一方、拡張層25の治療ゾーン16は、活性化サブゾーン16bを含むことができるが、デリバリーサブゾーン16aを含まないことができる。
【0156】
バルーンアセンブリ14及びサブゾーンを有する治療ゾーン16に関して、例として特定の実施形態が提供されたが、本開示は、提供された特定の組み合わせに限定されるものではない。光がバルーンアセンブリ14を通って伝達される実施形態において、実装される材料は、カバー層30と拡張層25の両方に関して変化しうる。
【0157】
より具体的な例において、デバイス10が拡張層25及びカバー層30を含むときに、拡張層25上の治療ゾーン16は、光透過性である活性化サブゾーン16bを含み、そしてカバー層30上の対応する治療ゾーン16も、光透過性である活性化サブゾーン16bを含むことができる。しかしながら、拡張層の治療ゾーン16は流体移送を防止することができるが、カバー層30の対応する治療ゾーン16は流体移送を可能にするデリバリーサブゾーン16aを含む。したがって、カバー層30は、活性化可能な治療媒体を含む流体移送を可能にすることができ、活性化可能な治療媒体は、拡張層25とカバー層30の両方を通過する光によって活性化することができる。例えば、活性化可能な治療媒体はコラーゲンの架橋を促進する治療用化合物を含むことができる。これらの例は参照のためにのみ提供されており、治療ゾーン16は、限定するわけではないが、活性化サブゾーン16b及びデリバリーサブゾーン16aを含む、サブゾーンの組み合わせを含むことができることに留意されたい。
【0158】
組織内のコラーゲンを架橋するための治療の活性化を促進するために、デバイス10は光透過能力を備えることができる。これは、デバイス上に直接光源を含むか、又は、デバイスに接続できる光源を含むことができる。
図6及び
図7に示すような1つの実施形態において、シャフト12は、シャフト12のある部分から別の部分に光を伝達するための光通過用ルーメン23を含むことができる。例えば、光通過用ルーメン23は、カテーテル展開デバイスのハンドル端からシャフト12に沿って、カバー層30及び/又はバルーンアセンブリ14を含むことができるステムチューブ13まで光を伝達することができる。光通過用ルーメン23は、光がバルーンアセンブリ14の近くで発せられるようにステムチューブ13で開放することができる。ステムチューブ13は、光通過用ルーメン23の端部から光が伝達されうる透明なポリマー又は他の透明な材料を含むことができる。したがって、光は、治療用化合物を活性化するために、カバー層30及び/又は拡張層25を通って透過することができる。幾つかの実施形態において、ステムチューブ13は、シャフト12の長手方向の長さに沿って下方に延在することができる。
【0159】
デバイス10が治療ゾーン16及び非治療ゾーン18を含む実施形態において、光は光通過用ルーメン23から、カバー層30及び/又は拡張層25の治療ゾーン16を通って、血管壁上に放射される。血管壁の組織に接触して浸透した治療用化合物が光によって活性化されると、化合物は血管のコラーゲンの架橋を促進する。非治療ゾーン18は、治療ゾーン16と比較して光の伝達、したがって血管壁への光の透過を防止又は低減するように構成されており、これにより治療用化合物は不活性であるままとなり、したがってコラーゲンの架橋を促進しないか、又はより低い程度に促進する。
【0160】
他の実施形態において、光源は、バルーンアセンブリ14及びステムチューブ13を含むデバイス10に反対端で直接結合される。例えば、光源はステムチューブ13に埋め込まれてよく、このようにして、デバイス10の治療ゾーン16を通してステムチューブ13から直接的に光を発することができる。別の代替実施形態において、デバイス10は、バルーンアセンブリ14及び/又はカバー層30の治療ゾーン16又はその近くに適用される照明付きフィルムを含むことができる。
【0161】
様々な代替実施形態は本開示の範囲内にあり、本明細書で説明される。
図4に示されるように、バルーンアセンブリ14及びカバー層30はステムチューブ13の周りに配置されそして包囲している。
図5に示されるとおりの代替実施形態において、バルーンアセンブリ14及びカバー層30は、ステムチューブ13の周りに部分的にのみ配置されうる。これにより、血管壁の特定の領域にのみ治療を施すことが可能になる。あるいは、これは、カバー層30及び/又は拡張層25上に長手方向のストリップで治療ゾーン16を設けることによってデバイス10によって達成されうる。この実施形態において、カバー層30及び拡張層25はステムチューブ13の全周にわたって配置され、治療ゾーン16はカバー層30及び拡張層25の長手方向の長さに沿って配置される。したがって、非治療ゾーン18も同様に、カバー層30及びバルーンアセンブリ14の長手方向の長さに沿って配置され、ここで、非治療ゾーン18は、治療ゾーン16に対してデバイス10の異なる弧長に配置される。
【0162】
幾つかの実施形態において、カバー層30が剥ぎ取り式カバーを備えうることに留意されたい。剥ぎ取り式カバーは、剥ぎ取り式カバーが治療ゾーン16を含まない実施形態で実装されうる。例えば、バルーンアセンブリ14は、活性化可能な治療用化合物を患者の血管にデリバリーするために、血管形成術に関連して使用されうる。この例における治療用化合物は光によって活性化可能である。剥ぎ取り式カバーにより、デバイス10は治療用化合物を患者の血管内に滲出させることができるが、光透過性ではない。剥ぎ取り式カバーは、治療用化合物を活性化して効果を与えるために光を患者の血管に伝達するためにバルーンアセンブリ14から取り外すことができる。
【0163】
幾つかの実施形態において、追従性バルーンアセンブリは、デバイス10に関連して利用されうる。追従性バルーンアセンブリは、追従性ラテックス材料を含むことができ、また、フィルムカバーを含むことができる。他の実施形態では、デバイス10は、治療化合物を血管に移送させるために使用され、バルーンアセンブリに支持されない又は連結して使用されないカバー層30を含むことができる。
【0164】
図8に見られるような他の実施形態において、バルーンアセンブリ14は、中央に開口部又はバイパス管腔35を含むように、又はバルーンアセンブリ14の外側部分が動脈壁と接触している間に血液がバルーンアセンブリ14を通って流れることを可能にし、治療をデリバリーする別の方法を含むように形成されうる。バイパス管腔35は、アパチャを通って流れる血液が治療用化合物を放出するバルーンアセンブリ14の表面と接触しないようにシールされうる。したがって、バイパス管腔35は、バルーンアセンブリ14が展開時に血管を通る血流を妨害したり又は閉塞したりしないように、長手方向軸11の近く又はそれにほぼ平行に走ることができる。
【0165】
バルーンアセンブリ14のみを含み、カバー層を含まない実施形態において、加圧拡張媒体は治療用化合物を含むことができ、バルーンアセンブリ14は、血管を治療するためにバルーンアセンブリ14を通して流体を移送させるように動作可能である。この実施形態において、バルーンアセンブリ14は拡張層25を含む。拡張層25は、治療ゾーン16及び非治療ゾーン18を含むことができる。治療ゾーン16は、デリバリーサブゾーン16a及び活性化サブゾーン16bなどの本明細書に記載されるとおりの特徴を含むことができる。拡張層25は、膨張チャンバ26内に導入される加圧治療媒体によって膨張されうる。拡張層25は、膨張チャンバ26が一旦所定の圧力に到達し又はそれを超えると、血管壁に接触し、拡張層25を通して治療媒体を分配又は滲出し始めることができる。場合により、治療媒体が血管壁にデリバリーされた後に、光活性化の前に、バルーンアセンブリ内に残っている治療媒体はバルーンアセンブリから抜き出され、不活性流体で置換されることができ、前記不活性流体は、例えば、限定するわけではないが、塩類溶液である。バルーンアセンブリから治療媒体を抜き出すことは、限定するわけではないが、例として、バルーンアセンブリ内の活性化を防止し、治療媒体に対する光透過性を向上させるために有益であることができる。次いで、治療デバイス10を作動させて、治療ゾーン16を通して光波を発し、血管壁にデリバリーされた治療媒体の治療用化合物を活性化することができる。拡張層25を有し、カバー層を有しない治療デバイス10の特定の実施形態が特定の実施形態で記載されたが、本明細書に開示される様々な特徴は、この特定の実施形態を参照して実装され、組み合わせられてよいことが認識されるであろう。
【0166】
幾つかの実施形態において、治療デバイス10のバルーンアセンブリ14の一部は、内側複合材バルーン層と外側複合材バルーン層などの複数の層の複合材として形成されうる。1つの実施形態において、カバー層は、内側複合材バルーン層及び外側複合材バルーン層を含むことができる。内側複合材バルーン層は、例えば、曲がった又は蛇行したフィブリルと、場合により、エラストマーコーティング又は充填剤などの複合材とを有する多孔質収縮膜であることができる。内側複合材バルーン層はらせん状に巻かれてもよく、あるいは同心円状に巻かれ又は押し出された形状などの他の形状をとってもよい。内側複合材バルーン層は、所定の条件下で流体の移送を可能にするように選択及び/又は変性された材料を実装することができる。例えば、内側複合材バルーン層は、所定の圧力又は圧力範囲で膜を横切る治療媒体の移送を容易にするために処理又は他の方法で変性されうる。開示された構造が流体を移送又は滲出させる圧力又は圧力範囲としては、約1気圧~約100気圧、約2気圧~約50気圧、約2.5気圧~約20気圧、約3気圧~約10気圧、約3気圧、約4気圧、約5気圧、約6気圧、約7気圧、約8気圧、約10気圧、約12気圧、又は材料及び材料選択によって決定される他の圧力が挙げられる。幾つかの実施形態において、内側複合材バルーン層は、流体が膜を通って移送する圧力に応じて選択されうる。内側複合材バルーン層は、巻き付けられ、押出成形され、及び/又はモールド成形された材料(例えば、フィルム)の少なくとも1つの層を含む。幾つかの実施形態において、内側複合材バルーン層は、一緒に巻き付けられ、押出成形され及び/又はモールド成形された材料の複数の層、例えば2~100のフィルム層を含む。幾つかの実施形態において、内側複合材バルーン層は、約2~約75層、約2~約20層、及び約2~約10層を含む。幾つかの実施形態において、内側複合材バルーン層は約2~4層に限定され、したがって内側複合材バルーン層を通る高レベルの光透過率が可能になる。高レベルの光透過率は、約20%~約100%であることができる。幾つかの実施形態において、内側複合材バルーン層は、約10~40層に限定されうる。内側バルーン層の光透過率は、材料の選択、巻き付けに使用される材料の厚さ、構築に使用される材料層の数、及び/又は製造前、製造中又は製造後の材料層の処理(例えば、フィルムの緻密化及び/又は湿潤化を可能にするための処理)により調整されうる。幾つかの実施形態において、内側複合材バルーン層は、少なくとも40%の光透過率を許容することができる。幾つかの実施形態において、内側複合材バルーン層は、少なくとも60%の光透過率を許容することができる。幾つかの実施形態において、内側複合材バルーン層は、少なくとも80%の光透過率を許容することができる。内部複合材バルーン層には特定の強度要件がない場合があることに留意されたい。したがって、これらの実施形態において、内側複合材バルーン層は、デリバリーサブゾーン16a及び活性化サブゾーン16bの両方を同一の広がりで画定することができる。
【0167】
外側複合材バルーン層は、少なくとも20%の光透過率を許容する材料を含むことができ、それにより、外側複合材層を通る高い光透過率が可能になる。幾つかの実施形態において、外側複合材バルーン層は、非孔質で、薄い及び/又は緻密な材料(例えば、吸収された及び/又はコーティングされたフルオロエラストマーを含む二次成分を含む又は含まないePTFEなどの膨張フッ素ポリマーを含む、緻密化された膨張材料)から形成される。外側複合材バルーン層は、例えばらせん状に巻かれても、同心円状に巻かれてもよく、あるいは押出成形又はモールド成形などの他の方法を使用して形成されてもよい。多孔性又は強制多孔性を提供するために、外側複合材バルーン層を貫通して小さな穴又はアパチャが形成されてもよい。穴は、限定するわけではないが、ドリル開け又はレーザー切断を含む任意の方法で形成することができる。内側複合材バルーン層が浸水圧力(「WEP」)性能を制御するため、特定の浸水圧力(「WEP」)性能に合わせて穴を調整する必要はない。外側複合材バルーン層は、手順中に達成される負荷の下で多孔性を導入するリスクを伴うことなく、バルーンの直径及びその強度の制御を容易にするように選択及び/又は変性される(多孔性は不透明性を誘発し、したがって光を遮断又はフィルタリングする)。したがって、これらの実施形態において、外側複合材バルーン層は、デリバリーサブゾーン16a及び活性化サブゾーン16bの両方を同一の広がりで画定することができる。
【0168】
幾つかの実施形態において、外側複合材層は、らせん状に巻かれているか、又は同心円状に巻かれているか又は押出された形状などの他の形状をとってもよい、二次成分(例えば、吸収及び/又はコーティングされたフルオロエラストマー)を含む又は含まないePTFEなどの、膨張されて収縮されたフッ素ポリマーを含む、収縮された微細構造(例えば、曲げられた又はs-形状のフィブリル化構造)を有する膨張材料の複数の層を含むことができる。幾つかの実施形態において、外側複合材層は、2018年9月18日にCampbellらに付与された米国特許第10,076,642号明細書に記載されているような追従性バルーンと同様に形成又は構築されうる。複数の層は、バルーンアセンブリ14の直径及び強度を制御するように調整された構造であることができる。外側複合材層はまた、手順中に光透過性を提供するために水/血液湿潤性を確保するためにPVAコーティングされうる。したがって、これらの実施形態において、外側複合材バルーン層は、デリバリーサブゾーン16a及び活性化サブゾーン16bの両方を同一の広がりで画定することができる。
【0169】
内側複合材バルーン層と外側複合材バルーン層が互いに係合すると、それらは一体型デバイス10のバルーンアセンブリ14のカバー層30を形成することができ、内側複合材バルーン層と外側複合材バルーン層は同一の広がりを持つデリバリーサブゾーンと活性化サブゾーン16a、16bを画定し、ここで、カバー層30は、カバー層30の軸方向内側に位置する拡張層25と組み合わせて使用されている。カバー層が含まれない実施形態において、内側複合材バルーン層及び外側複合材バルーン層は、一緒に係合されてバルーンアセンブリ14を形成する。両方の実施形態において、バルーンアセンブリ14は、治療媒体(例えば、ナフタルイミド、リボフラビン5’-ホスフェート又はローズベンガルなど、以前に開示されたものを含むフォトルミネッセンス化合物)をバルーンアセンブリ14を通してデリバリーし、かつ、治療媒体を活性化させるために光を透過させるように動作可能である。このような治療媒体は、露光の強度及び長さに応じて、様々な速度で光によって活性化されうる。したがって、前述したように、一体型デバイス10は、デバイスの一部をデリバリー部位から除去することなく、又は組織壁との接触を遮断することなく、血管を拡張し、治療媒体をデリバリーし、治療媒体を活性化するように動作可能である。
【0170】
図9~11bは、治療デバイス10の様々な追加又は代替の特徴を示す。例えば、デバイス10は、所定の圧力又は圧力範囲で流体を移送させるように選択及び/又は変性された材料又は材料の層(例えば、フィルム)を含むことができる。材料の局所的な領域は、光の透過を可能にするために緻密化されることができ、緻密化された領域は活性化サブゾーン16bを画定する。材料の緻密化は、限定するわけではないが、機械的又は熱的緻密化を含む幾つかのプロセスを介して達成されうる。緻密化プロセス中に、緻密化された材料の領域について、材料は緻密化領域の多孔性を減少又は喪失することができ、これにより、緻密化ゾーンが同一の広がりを持つデリバリーサブゾーン16a及び活性化サブゾーン16bを有することを低減し又は妨げる。この例における活性化サブゾーン16bは、緻密化領域を含む。幾つかの実施形態において、緻密化領域は少なくとも40%の光透過率を許容することができる。幾つかの実施形態において、緻密化領域は少なくとも60%の光透過率を許容することができる。幾つかの実施形態において、緻密化領域は少なくとも80%の光透過率を許容することができる。
【0171】
材料の非緻密化領域は治療媒体の滲出を可能にし、一方、緻密化領域は光透過を可能にする。したがって、この例において、デリバリーサブゾーン16aは、滲出が発生する非緻密化領域を含む。治療媒体のデリバリー及び活性化を最適化するために、緻密化の様々なパターンを実装することができる。例えば、有効用量を得るためにより多くの体積をデリバリーする必要がある治療媒体は、緻密化領域と比較してより高い割合の非緻密化領域を含むことができる。逆に、光へのより長い暴露、光のより大きな強度、又は光のより直接的な暴露を必要とする治療媒体は、緻密化領域と比較してより低い割合の非緻密化領域を有するバルーンアセンブリ14とともに使用されうる。緻密化領域と非緻密化領域との相対的な割合は、治療媒体、治療対象の組織及びその他の関連要素の特定の要件に合わせて調整されうる。
【0172】
光透過のための対応するゾーンを提供するために、材料上の緻密化の様々なパターンを実装することができる。例えば、緻密化の1つのパターンは、それぞれが実質的にひし形の形状である非緻密化領域を画定する緻密化格子を含むことができる。1つのひし形パターンは
図9~11及び13に見ることができる。別の緻密化パターンは、それぞれが実質的に正方形である非緻密化領域を生成することができる。1つの正方形パターンは
図12に見ることができる。別の緻密化パターンは、それぞれが実質的にスリットの形状である非緻密化領域を生成することができる。1つのスリットパターンは
図14に見ることができる。別の緻密化パターンは、それぞれが実質的に円の形状である非緻密化領域を生成することができる。1つの円パターンは
図16~17に見ることができる。別の緻密化パターンは、それぞれが実質的に任意の多角形である非緻密化領域を生成することができる。1つの多角形パターンは
図18に見ることができる。多角形領域及び非多角形領域を含む様々な形状及びサイズである緻密化領域及び非緻密化領域に対して任意の数の緻密化パターンを実装できることは、本開示の範囲内である。様々な領域の形状又はサイズが材料全体にわたって不均一であってもよいことも考えられる。提供された例のいずれについても、他の実施形態に従って、緻密化領域と非緻密化領域とを逆転させることができる。さらに、いずれの例においても、パターンは互い違いに配置されたり、交互に配置されたり、変更されたりすることができる。
【0173】
緻密化領域及び非緻密化領域のパターン及び相対的割合は、標的組織への均一な治療媒体のデリバリー及びデリバリーされた治療媒体への適切な光透過率の要件を満たすために調整されうる。例えば、緻密化領域は、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16の約40%~約98%を含むことができる。幾つかの実施形態において、緻密化領域は、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16の少なくとも40%を含むことができる。幾つかの実施形態において、緻密化領域は、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16の少なくとも50%を含むことができる。幾つかの実施形態において、緻密化領域は、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16の少なくとも60%を含むことができる。幾つかの実施形態において、緻密化領域は、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16の少なくとも70%を含むことができる。幾つかの実施形態において、緻密化領域は、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16の少なくとも80%を含むことができる。幾つかの実施形態において、緻密化領域は、バルーンアセンブリ14の治療ゾーン16の少なくとも90%を含むことができる。
【0174】
光透過率のある範囲の値は、様々な方法で治療ゾーン16を形成するために使用される材料を調製することによって得ることができる。さらに、構造的一体性、追従性などを維持するための適切な物理的及び材料的特性を維持しながら、光透過率の所望の値に到達するために要因の組み合わせを実装することができる。例えば、治療ゾーン16は、デリバリーサブゾーン16a及び活性化サブゾーン16bを含んで形成されてよく、活性化サブゾーン16bは、材料の巻き角、使用される材料の層の数、使用されるオーバーラップ張力のレベル、マンドレルと組み合わせた下敷き層の使用による実行されるクックサイクルの数、パターン化された穴の使用を含むマンドレルの設計などを選択することによって、所定の光透過率に調整される。これらの要因を変化させることにより、光透過率を変化させて、所望の特定の光透過率を得ることができる。
【0175】
幾つかの実施形態において、治療ゾーン16は、治療ゾーン16全体にわたってバルーンアセンブリ14を介したデリバリー及び活性化の両方を可能にするように治療ゾーン16が動作可能であるように、緻密化されることができる。別の言い方をすると、治療ゾーンは、緻密化領域と非緻密化領域の別個のサブゾーン(例えば、パターン)を含まない。1つの例において、治療ゾーン16は、ePTFEのノード及びフィブリル構造によって形成された細孔が少なくとも部分的に治療ゾーン16内に残り、治療ゾーン16が十分に光透過性であり、所定の波長で少なくとも閾値量の光を通過させて、治療媒体を活性化する(例えば、治療媒体が光活性化可能であるときに)ことができるように緻密化されたePTFE材料から形成されうる。したがって、治療ゾーン16を通って遍在的に滲出及び光透過を可能にするものと記載される緻密化は、「中間緻密化」と考えることができる。
【0176】
幾つかの実施形態において、巻き付けられ、押出成形され及び/又はモールド成形された材料(例えば、フィルム)は、一体型デバイス10のバルーンアセンブリ14のカバー層30を形成し、これは、カバー層30に対して軸方向内側に位置する拡張層25と組み合わせて使用される。カバー層が含まれない実施形態において、巻き付けられ、押出成形され及び/又はモールド成形された材料は、バルーンアセンブリ14を形成し、前記バルーンアセンブリ14は、血管を拡張し、バルーンアセンブリ14を通して治療媒体をデリバリーし、光を伝達して治療媒体を活性化するように動作可能である。したがって、前述したように、一体型デバイス10は、デバイスの一部をデリバリー部位から除去することなく、又は組織壁との接触を遮断することなく、血管を拡張し、治療媒体をデリバリーし、治療媒体を活性化するように動作可能である。
【0177】
緻密化領域及び非緻密化領域を有するバルーンアセンブリ14を調製するための1つの方法としては、押出成形材料及び/又はモールド成形材料をパターン化デバイス上に巻き付けることが挙げられる。パターン化デバイスとしては、限定するわけではないが、ステントの本体内に又はステントの本体を通って形成又はレーザカットされたパターンを有するステントを挙げることができる。パターン化デバイスは、材料を巻き付ける表面として使用することができる。この材料をらせん状に巻き付けてバルーンアセンブリを形成することができる。材料がらせん状に巻き付けられるときに、らせん巻きは約3度~約20度の角度を成すことができる。したがって、様々な実施形態において、らせん巻きは、約4度、5度、6度、7度、8度、8.3度、9度、10度、12度、15度又は20度の角度である。パターン化デバイスの周囲には、限定するわけではないが、様々な多孔質及び非孔質の微細構造のePTFEフィルム、連続的及び離散的(例えばパターン化された)組み合わせの両方のePTFEフィルムを他の様々なポリマー及びフルオロポリマーと含む複合材、ePTFEフィルム及びそのポリアミドフィルムの複合材、低WEP(例えば、約1~5atm又は約2atmの水侵入圧力)、中程度のWEP(例えば、約5~14atm又は約6atmの水侵入圧力)、高WEP(例えば、約14atm以上の水侵入圧力)及びオープンWEP材料(例えば、約0~1atmの水侵入圧力)、ePTFEフィルム及びFEPフィルムを含む、様々な材料を巻き付けることができる。
【0178】
巻き付けに材料の任意の数の組み合わせを使用することができ、また巻き付けの任意の数の層を実装することができることは本開示の範囲内である。幾つかの層は強い力で巻き付けられることができる。また、巻き付けは同心円状に行われてもよく、また、幾つかの層はらせん状に巻き付けられ、幾つかの層は同心円状に巻き付けられてもよいことも本開示の範囲内である。幾つかの実施形態において、巻き付けられる前又は巻き付けられた後の材料の一部は変性されてもよく、1つの例としては、吸収領域に沿って不浸透性の領域を提供するように、材料の一部が吸収されうることが挙げられる。例えば、材料の一部にテコタン溶液を染み込ませることができる。開示された巻き付け及び吸収方法は、この例に特有のものではなく、他の例にも適用できることに留意されたい。
【0179】
1つの材料及び/又は複数の材料及び所望の層又は巻き付け数がパターン化デバイスに適用されると、パターン化デバイス及び材料は、所定の温度で所定の時間加熱又は焼成されうる。材料が硬化を経験すると、パターン化デバイスから材料を除去することができる。幾つかの実施形態において、硬化又は焼成された材料は、パターン化デバイスから除去されるとき又は除去された後に裏返される。パターン化デバイスと接触していた材料の部分は緻密化領域であり、そこを透過するように動作可能である。非緻密化部分は、治療媒体がそこを通過できるように動作可能である。
【0180】
別の実施形態において、デバイス10は、所定の圧力で滲出するように調整された材料を含むことができ、材料の局所領域に熱可塑性材料(例えば、FEP、ウレタンなど)をドープ又は吸収させて、光の透過を可能する。ドープ又は吸収領域は、熱可塑性材料が接触して材料を通って吸い上げられるときに形成され、光学透明性(すなわち、光透過性)を提供する。ドープ又は吸収領域は、活性化サブゾーン16bを画定する。局所領域のドープ又は吸収の結果の1つとしては、局所領域における多孔性の減少又は喪失を挙げることができる。ドープ又は吸収プロセス中に、吸収された材料の領域について、材料は吸収領域で多孔性を減少又は喪失する可能性があり、これにより、吸収ゾーンは同一の広がりを持つデリバリーサブゾーン16a及び活性化サブゾーン16bを有することが低減され又は妨げられる。この例における活性化サブゾーン16bは、吸収領域を含む。幾つかの実施形態において、吸収領域は少なくとも40%の光透過率を許容することができる。幾つかの実施形態において、吸収領域は少なくとも60%の光透過率を許容することができる。幾つかの実施形態において、吸収領域は少なくとも80%の光透過率を許容することができる。
【0181】
材料の非吸収領域は治療媒体の滲出を可能にし、一方、吸収領域は光透過を可能にする。したがって、この例において、デリバリーサブゾーン16aは、滲出が生じる非吸収領域を含む。治療媒体のデリバリー及び活性化を最適化するために、様々なパターンの処理を実施することができる。例えば、有効用量を得るためにより多くの体積をデリバリーする必要がある治療媒体は、吸収領域と比較してより高い割合の非吸収領域を含むことができる。逆に、光へのより長い暴露、より大きな強度、又はより直接的な光への暴露を必要とする治療媒体は、吸収領域と比較してより低い割合の非吸収領域を有するバルーンアセンブリ14とともに使用することができる。吸収領域と非吸収領域の相対的な割合は、治療媒体、治療対象の組織及びその他の関連要素の特定の要件に合わせて調整することができる。
【0182】
光透過のための対応するゾーンを提供するために、巻き付け、押出成形及び/又はモールド成形された材料の様々なパターンの処理が実施されうる。例えば、吸収の1つのパターンは、それぞれが実質的にひし形の形状である非吸収領域を画定する格子を含むことができる。以前に開示されたパターンのいずれも、本実施形態に適用可能である。
【0183】
吸収領域及び非吸収領域のパターン及び相対的割合は、標的組織への均一な治療媒体のデリバリー及びデリバリーされた治療媒体への適切な光透過率の要件を満たすように調整されうる。幾つかの実施形態において、巻き付けられ、押出成形され及び/又はモールド成形された材料は、一体型デバイス10のバルーンアセンブリ14のカバー層30を形成し、カバー層30に対して軸方向内側に位置する拡張層25と組み合わせて使用される。カバー層が含まれない実施形態において、材料はバルーンアセンブリ14を形成し、前記バルーンアセンブリ14は血管を拡張し、バルーンアセンブリ14を通して治療媒体をデリバリーし、治療媒体を活性化するために光を伝達するように動作可能である。したがって、前述したように、一体型デバイス10は、デバイスの一部をデリバリー部位から除去することなく、又は組織壁との接触を遮断することなく、血管を拡張し、治療媒体をデリバリーし、治療媒体を活性化するように動作可能である。
【0184】
幾つかの実施形態において、追加の材料は、膨張中に滲出が生じるべきではないバルーンアセンブリの領域(例えば、ショルダー部分20)に追加されうる。
【0185】
カバー層30及び拡張層25が実装されている実施形態において、拡張層25は、従来のバルーン形成方法を使用して形成されうる。カバー層30は、所定の膨張圧力で所定の直径まで膨張するように動作可能な非追従性ナイロン又は同様の材料(例えば、ポリエチレン、PET、PEBAX又は他の半追従性材料)バルーンを含むことができる。カバー層30は、低WEP圧PTFEフィルムを含むことができる。低WEP圧PTFEフィルムは、例えば、らせん状に巻かれたり、シガレット状に巻かれたりすることができ、あるいは押出成形又はモールド成形などの他の方法を使用して形成されることもできる。カバー層30は、カバー層30が滲出する閾値圧力を増加させるように選択及び/又は変性されうる。さらに、カバー層30は、バルーンアセンブリ14の膨張抵抗及び/又は直径制御性を支援するように選択されうる。特に、カバー層30がある程度の膨張抵抗及び/又は直径制御性を提供するように選択されるときに、カバー層30は、滲出の一貫性を高め、管腔内治療媒体の制御された一貫した圧力を提供するように動作可能である。拡張層25は、管腔内治療媒体の圧力を増加させるために使用され、それによってカバー層30のデリバリーサブゾーン16aを通して治療媒体を押し出すことができる。カバー層30及び拡張層25の一方又は両方は光透過性であることができる。幾つかの実施形態において、カバー層30及び/又は拡張層25は、少なくとも40%の光透過率を許容しうる。幾つかの実施形態において、カバー層30及び/又は拡張層25は、少なくとも60%の光透過率を許容しうる。幾つかの実施形態において、カバー層30及び/又は拡張層25は、少なくとも80%の光透過率を許容しうる。したがって、前述したように、一体型デバイス10は、デバイスの一部をデリバリー部位から除去することなく、又は組織壁との接触を遮断することなく、血管を拡張し、治療媒体をデリバリーし、治療媒体を活性化するように動作可能である。
【0186】
カバー層30及び拡張層25が実装されている実施形態において、拡張層25は、従来のバルーン形成方法を使用して形成されうる。カバー層30は、所定の膨張圧力で所定の直径まで膨張するように動作可能である薄いエラストマーウレタン材料を含むことができる。カバー層30は、二次成分(例えば、吸収及び/又はコーティングされたフルオロエラストマー)を含む又は含まない、らせん状に巻かれた、膨張されて収縮されたePTFEなどのフルオロポリマーを含む、収縮された微細構造(例えば、曲がった又はS字形のフィブリル化構造)を有する膨張材料を含むことができ、あるいは、同心円状に巻かれた形状又は押出された形状などの他の形状をとることができる。カバー層30は、直径及び長さを規定する機械的構造を提供することができる。さらに、カバー層30は、所定の圧力で滲出することができる。拡張層25は、血管形成術レベルの圧力まで膨張し、そして収縮することができる。カバー層30は、カバー層30が滲出させる閾値圧力を増加させるように選択及び/又は変性されうる。拡張層25は、管腔内治療媒体の圧力を増加させるように使用され、それによってカバー層30のデリバリーサブゾーン16aを通して治療媒体を押し出すことができる。カバー層30及び拡張層25の一方又は両方は光透過性であることができる。幾つかの実施形態において、カバー層30及び/又は拡張層25は、少なくとも40%の光透過率を許容しうる。幾つかの実施形態において、カバー層30及び/又は拡張層25は、少なくとも60%の光透過率を許容しうる。幾つかの実施形態において、カバー層30及び/又は拡張層25は、少なくとも80%の光透過率を許容しうる。したがって、前述したように、一体型デバイス10は、デバイスの一部をデリバリー部位から除去することなく、又は組織壁との接触を遮断することなく、血管を拡張し、治療媒体をデリバリーし、治療媒体を活性化させるように動作可能である。
【0187】
別の例において、二次成分(例えば、吸収及び/又はコーティングされたフルオロエラストマー)を含む又は含まないePTFEなどの膨張フルオロポリマーを含む、少なくとも20%の光透過性(濡れているか否かにかかわらず)である、緻密化された膨張材料から形成されて、所定の圧力まで一定直径を維持できる構造部材を形成するバルーンアセンブリ14が提供されうる。所定の圧力が達成されるか又は超えると、バルーンアセンブリ14を通る幾つかの細孔構造は開かれ、及び/又は増大してデリバリーサブゾーン16aを形成し、治療媒体の滲出を可能にするが、他の部分は開かれず、バルーンアセンブリ14の一部は増大されないままで、例えば光透過性である活性化サブゾーン16bとしての光透過特性を保持する。バルーンアセンブリ14は光透過性であるため、治療媒体を活性化するために光を提供することもできる。幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリ14は、少なくとも40%の光透過率を許容することができる。幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリ14は、少なくとも60%の光透過率を許容することができる。幾つかの実施形態において、バルーンアセンブリ14は、少なくとも80%の光透過率を許容することができる。したがって、前述したように、一体型デバイス10は、デバイスの一部をデリバリー部位から除去することなく、又は組織壁との接触を遮断することなく、血管を拡張し、治療媒体をデリバリーし、治療媒体を活性化するように動作可能である。
【0188】
上述の例によれば、バルーンアセンブリは、以前に開示されたような光遮断ゾーンを含むことができる。幾つかの実施形態において、光遮断ゾーンは、約0%~約5%の光透過率を可能にするようにマスクされるか、又は他の方法で変性又は提供されてもよい。
【0189】
治療用化合物をデリバリーする方法は本明細書で考えられる。この方法は、一体型デバイス10、シャフト12及びバルーンアセンブリ14を提供することを含む。バルーンアセンブリ14は、治療用化合物がデリバリーされる治療ゾーン16を含む。この方法は、バルーンアセンブリ14を流体、例えば治療用化合物で満たすことを含む。バルーンアセンブリ14は、初期滲出の開始が起こる所定の圧力まで充填される。初期滲出の開始が起こった後に、バルーンアセンブリ14は、初期滲出の後に静定圧力に達することが可能であり、この静定圧力は、初期滲出の開始が起こる圧力よりも低い。次に、バルーンアセンブリ14内の流体の圧力は、完全な滲出閾値が得られるまで増加される。持続的な滲出が可能になるように圧力を維持することができる。持続的な滲出の後に、バルーンアセンブリ14への流体の導入は減少又は停止され、その時点でバルーンアセンブリ14はある圧力に静定することができる。次に、バルーンアセンブリ14は、持続的な滲出の後に、滲出前の最高の持続可能な圧力の前の圧力に加圧されて戻されることができる。滲出前の最高の持続可能な圧力により、流体をさらにデリバリーすることなく、バルーンアセンブリ14を膨張させ、幾つかの実施形態においては所定の形状で、組織に係合させることができる。方法中の任意の時点で、流体をバルーンアセンブリ14から除去し、第二の流体で満たすことができる。例えば、第一の流体は治療用化合物であることができ、第二の流体は塩類溶液であることができる。第二の流体は、前記標的にデリバリーされた治療用化合物の活性化(例えば、光活性化を介して)に寄与しうる。
【0190】
図19A~19C及び20を参照すると、標的組織部位に流体をデリバリーする方法の例が示されている。
図19Aは、腸骨動脈の治療前の血管造影図を示す。血管造影図は、治療に使用するバルーンアセンブリ14のサイズを決定するために使用される。
図19B及び19Cは、バルーンアセンブリ14が動脈内に配置されたときの動脈の分枝の血管造影図を示す。バルーンアセンブリは膨張し、幾つかの実施形態において、図示のように滲出している。
図19B及び
図19Cにおいて、側副動脈を流れるコントラスト剤を見ることができ、コントラスト剤溶液の滲出が確認されている。
図20に見られるように、
図19A~19Bの腸骨動脈が剖検で示されている。青色の染料で染色された動脈が示されており、青色の染料はバルーンアセンブリ14を通って透過され、所望の部位の組織にデリバリーされた。
【0191】
前述の実施形態は、治療媒体を血管壁にデリバリーするように動作可能なバルーンアセンブリに関して説明されている。バルーンアセンブリ以外の他の形状要素も予想されることが理解される。別の実施形態によれば、バルーンアセンブリの代わりに、治療デバイス10はパッチアセンブリ50を含む。
図21及び22は、それぞれ、1つの実施形態によるパッチアセンブリ50の上面図及び断面図である。パッチアセンブリ50は、
図23に示されるように、患者2の広い表面に配置されうる平らなシートを画定する。流体デリバリーシステムである治療デバイス10は、患者の組織に治療媒体をデリバリーするように動作可能である。治療デバイス10は、壁54を画定するデリバリーチャンバ32を含むパッチアセンブリ50を含み、壁54は、流体である治療媒体のデリバリーチャンバ32からデリバリーチャンバ32の外面56への制御された通過を可能にするように動作可能である多孔性を有する平面治療ゾーン16を画定するカバー層30を含む。デリバリーチャンバ32は、活性化可能な治療媒体をデリバリーチャンバ32の治療ゾーン16にデリバリーして、患者の組織に移送させ、活性化可能な治療媒体を組織で活性化するように構成されている。治療デバイス10は、デリバリーチャンバ32に治療媒体を供給するため、また別の実施形態によれば、治療ゾーン16を通過した治療媒体に照明し活性化するための光源7を配置するための流体チャンネル27を画定するシャフト12を含む。
図23に示されるように、パッチアセンブリ50の治療ゾーン16は、皮膚の表面上に配置されることができ、他の実施形態において、治療ゾーン16を治療対象の組織と係合した状態とするために、限定するわけではないが、心臓壁又は胃壁などの器官の表面上に配置されうる。パッチアセンブリ50は、特定の目的に適するように、硬くても又は柔軟であってもよい。硬いパッチアセンブリ50は、限定するわけではないが、例として、パッチアセンブリ50の形状に適合しうる組織との係合を促すのに適している可能性がある。限定するわけではないが、例として、パッチアセンブリ50が治療対象の組織の形状に適合する必要がある場合には、可撓性パッチアセンブリ50が適している可能性がある。活性化光源7は、カバー層30、パッチアセンブリ50に光を通すことによって治療部位を照明し、又は治療部位からパッチアセンブリ50を除去した後に、治療部位を照明することができる。別の実施形態において、パッチアセンブリ50は、デリバリーチャンバに隣接する膨張チャンバをさらに含み、膨張チャンバは拡張層内で画定され、膨張チャンバは、膨張チャンバを膨張させるための加圧拡張媒体を受け入れるように構成されており、膨張チャンバの膨張は、組織に対して治療ゾーンを強制的に係合させるように動作可能である。
【0192】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して、両方で上で説明された。当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0192
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0192】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して、両方で上で説明された。当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲内にある限り、本発明の変更及び変形を包含することが意図されている。
(態様)
(態様1)
患者の組織に治療をデリバリーするための治療デバイスであって、
壁を画定するデリバリーチャンバを含む流体デリバリーシステムを含む平坦なシートを画定するパッチアセンブリを含み、ここで、前記壁は、平面治療ゾーンを画定するカバー層を含み、前記平面治療ゾーンは前記デリバリーチャンバから前記平面治療ゾーンの外面への流体の制御された通過を可能にするように動作可能な多孔性を有し、前記デリバリーチャンバは、活性化可能な治療媒体を受け入れ、前記活性化可能な治療媒体を前記治療ゾーンにデリバリーして、患者の組織に移送させるように構成されており、前記デリバリーチャンバは、組織において前記活性化可能な治療媒体を活性化するように動作可能な光透過用導管を提供するように動作可能である、治療デバイス。
(態様2)
前記デリバリーチャンバの前記治療ゾーンと光学的に連通している光源をさらに含む、態様1記載の治療デバイス。
(態様3)
前記治療ゾーンの少なくとも一部は光透過性となるように構成されている、態様1~2のいずれか1項記載の治療デバイス。
(態様4)
光透過性となるように構成された前記治療ゾーンの部分は、250nm~700nmの光波長範囲にわたって少なくとも40%の光透過率を有する、態様3記載の治療デバイス。
(態様5)
前記デリバリーチャンバは拡張層を含む、態様1~4のいずれか1項記載の治療デバイス。
(態様6)
前記デリバリーチャンバに隣接する膨張チャンバをさらに含み、前記膨張チャンバは前記拡張層内に画定され、前記膨張チャンバは、前記膨張チャンバを膨張させるための加圧拡張媒体を受け入れるように構成されており、前記膨張チャンバの膨張は、組織に対して前記治療ゾーンを強制的に係合させるように動作可能である、態様5記載の治療デバイス。
(態様7)
前記デリバリーチャンバは、前記拡張層と前記カバー層との間に位置し、前記デリバリーチャンバは、患者の組織にデリバリーするための前記活性化可能な治療媒体を受け入れるように構成されている、態様5~6のいずれか1項記載の治療デバイス。
(態様8)
前記デリバリーチャンバは、前記膨張チャンバから流体的に分離されている、態様7記載の治療デバイス。
(態様9)
前記拡張層は、非追従性材料、半追従性材料、追従性材料又はそれらの組み合わせを含む、態様5~8のいずれか1項記載の治療デバイス。
(態様10)
前記チャンバはデリバリーサブゾーンをさらに含み、前記カバー層は、前記活性化可能な治療媒体が前記デリバリーチャンバ内の閾値圧力を超えたときに前記デリバリーサブゾーンから前記活性化可能な治療媒体を滲出するように構成された多孔性を有する材料を含む、態様5~9のいずれか1項記載の治療デバイス。
(態様11)
前記シャフトは、前記膨張チャンバと流体連通する膨張導管と、前記デリバリーチャンバと流体連通するデリバリー導管とを含む、態様6~10のいずれか1項記載の治療デバイス。
(態様12)
前記活性化可能な治療媒体は、光活性化される細胞外マトリックス架橋促進剤を含む、態様1~11のいずれか1項記載の治療デバイス。
(態様13)
前記デリバリーチャンバは、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリペリン又はエレクトロスピニングされたPTFEの少なくとも1つの層を含む、態様1~12のいずれか1項記載の治療デバイス。
(態様14)
患者の体の組織に治療を提供する方法であって、前記方法は、
態様1~13のいずれか1項記載の治療デバイスの治療ゾーンを患者の体の組織に対して配置すること、
前記治療ゾーンにおいて前記活性化可能な治療媒体を患者の組織にデリバリーすること、及び、
組織において前記活性化可能な治療媒体を活性化すること、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織に治療をデリバリーするための治療デバイスであって、
壁を画定するデリバリーチャンバを含む流体デリバリーシステムを含む平坦なシートを画定するパッチアセンブリ
と、
シャフトと、
を含み、ここで、前記壁は、平面治療ゾーンを画定するカバー層を含み、前記平面治療ゾーンは前記デリバリーチャンバから前記平面治療ゾーンの外面への流体の制御された通過を可能にするように動作可能な多孔性を有し、前記デリバリーチャンバは、活性化可能な治療媒体を受け入れ、前記活性化可能な治療媒体を前記治療ゾーンにデリバリーして、患者の組織に移送させるように構成されており、前記デリバリーチャンバは、組織において前記活性化可能な治療媒体を活性化するように動作可能な光透過用導管を提供するように動作可能である、治療デバイス。
【請求項2】
前記デリバリーチャンバの前記治療ゾーンと光学的に連通している光源をさらに含む、請求項1記載の治療デバイス。
【請求項3】
前記治療ゾーンの少なくとも一部は光透過性となるように構成されている、請求項1~2のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項4】
光透過性となるように構成された前記治療ゾーンの部分は、250nm~700nmの光波長範囲にわたって少なくとも40%の光透過率を有する、請求項3記載の治療デバイス。
【請求項5】
前記デリバリーチャンバは拡張層を含む、請求項
1記載の治療デバイス。
【請求項6】
前記デリバリーチャンバに隣接する膨張チャンバをさらに含み、前記膨張チャンバは前記拡張層内に画定され、前記膨張チャンバは、前記膨張チャンバを膨張させるための加圧拡張媒体を受け入れるように構成されており、前記膨張チャンバの膨張は、組織に対して前記治療ゾーンを強制的に係合させるように動作可能である、請求項5記載の治療デバイス。
【請求項7】
前記デリバリーチャンバは、前記拡張層と前記カバー層との間に位置し、前記デリバリーチャンバは、患者の組織にデリバリーするための前記活性化可能な治療媒体を受け入れるように構成されている、請求項5~6のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項8】
前記デリバリーチャンバは、前記膨張チャンバから流体的に分離されている、請求項
6記載の治療デバイス。
【請求項9】
前記拡張層は、非追従性材料、半追従性材料、追従性材料又はそれらの組み合わせを含む、請求項5~
6のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項10】
前記
治療ゾーンはデリバリーサブゾーンをさらに含み、前記カバー層は、前記活性化可能な治療媒体が前記デリバリーチャンバ内の閾値圧力を超えたときに前記デリバリーサブゾーンから前記活性化可能な治療媒体を滲出するように構成された多孔性を有する材料を含む、請求項5~
6のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項11】
前記シャフトは、前記膨張チャンバと流体連通する膨張導管と、前記デリバリーチャンバと流体連通するデリバリー導管とを含む、請求項
6記載の治療デバイス。
【請求項12】
前記活性化可能な治療媒体は、光活性化される細胞外マトリックス架橋促進剤を含む、請求項1~
2のいずれか1項記載の治療デバイス。
【請求項13】
前記デリバリーチャンバは、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリペリン又はエレクトロスピニングされたPTFEの少なくとも1つの層を含む、請求項1~
2のいずれか1項記載の治療デバイス。
【国際調査報告】