(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】グリーンエネルギ蓄熱システム
(51)【国際特許分類】
F03G 7/04 20060101AFI20240614BHJP
F03G 6/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
F03G7/04
F03G6/00
F03G6/00 551
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576030
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022033092
(87)【国際公開番号】W WO2022261491
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520481747
【氏名又は名称】ホルテック インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】シン、クリシュナ、ピー
(72)【発明者】
【氏名】ランパル、インドレッシュ
(72)【発明者】
【氏名】アガセ、スティーブン ジェイ
(57)【要約】
熱エネルギ貯蔵システムは、熱エネルギを貯蔵することが可能な相変化材料(PCM)のベッドを含む内部空洞、溶融相変化材料に埋め込まれたヒーターのアレイ、およびチューブバンドルを含む1つまたは複数の格納容器を含む。ヒーターは電力源に電気的に接続され、PCMを加熱して溶融状態にすることができる。チューブバンドルは、溶融PCMに埋め込まれた熱交換器チューブを備え、熱交換器チューブのチューブ側を通して作動流体(例えば、水など)を搬送するように構成されている。チューブは、それぞれ容器に挿入可能かつ容器から取り外し可能な複数の個別のチューブカートリッジに配置することができる。運転中、作動流体は溶融相変化材料から貯蔵された熱エネルギを吸収して加熱される。PCMは、オフピーク需要期間の間に電力網から抽出したエネルギにより加熱される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギを貯蔵可能な相変化材料のベッドを含む内部空洞を画定する細長い本体と;
前記相変化材料に埋め込まれた複数のヒーターであって、電源に電気的に結合するように構成され、前記相変化材料を加熱して溶融状態にするように動作可能なヒーターと;
前記溶融相変化材料に埋め込まれた複数の熱交換器チューブを含むチューブバンドルであって、前記熱交換器チューブは、前記溶融相変化材料から熱エネルギを吸収するために、前記熱交換器チューブを通して作動流体を搬送するように構成されている、チューブバンドルを備える;
熱エネルギ格納容器。
【請求項2】
前記作動流体が水を含む;
請求項1に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項3】
前記熱エネルギ格納容器が、前記熱エネルギ格納容器に入る前記水を液体状態から前記熱エネルギ格納容器から出る蒸気に変えるように構成される;
請求項2に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項4】
前記熱エネルギ格納容器が、第1の温度で液体状態の前記水を受け取り、前記第1の温度より高温の第2の温度で液体状態の前記水を排出するように構成される;
請求項2に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項5】
前記熱エネルギ格納容器が、第1の蒸気温度で飽和蒸気を受け取り、前記第1の蒸気温度より高温の第2の温度で過熱状態の前記蒸気を排出するように構成される;
請求項2に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項6】
前記熱エネルギ格納容器の前記本体は、縦方向に細長い円筒形であり、前記熱交換器チューブは、前記水が前記熱交換器チューブ内の前記溶融相変化材料のベッドを縦に流れるように、縦に細長く、互いに平行である;
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項7】
前記ヒーターは、前記溶融相変化材料に直接接触する内側のセラミックコアと外側の金属シースを備える複数の縦に細長いバヨネット型加熱要素からなり、前記加熱要素は前記熱交換器チューブの間に配置される;
請求項6に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項8】
前記加熱要素は、前記熱エネルギ格納容器の上部閉鎖蓋から縦方向に片持ち支持されている;
請求項7に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項9】
前記チューブバンドルの前記熱交換器チューブは、複数の個別チューブカートリッジ内に配置され、各チューブカートリッジは、前記上部閉鎖蓋のそれぞれの開口部を介して前記熱エネルギ格納容器内に取り外し可能に挿入可能である;
請求項8に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項10】
前記チューブカートリッジはそれぞれ、前記熱エネルギ格納容器の上部閉鎖蓋に結合された上部ヘッドを備え、各カートリッジの前記熱交換器チューブの上端は、前記ヘッドを通って延び、前記ヘッドに結合される;
請求項9に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項11】
前記チューブカートリッジは、前記上部閉鎖蓋から縦方向に片持ち支持されている。
請求項10に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項12】
各チューブカートリッジの前記熱交換器チューブは、前記水が前記溶融相変化材料のベッドを複数回通過し、前記作動流体が通過するたびに連続的により高い温度に加熱されるように構成されている;
請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項13】
各チューブカートリッジの前記熱交換器チューブの一部は上昇流チューブであり、前記熱交換器チューブの一部は下降流チューブである。
請求項12に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項14】
各チューブカートリッジの前記上昇流チューブの一部は、上部チューブ支持プレートに取り付けられたクロスフロー管路によって、対応する下降流チューブ部材と流体連通する;
請求項13に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項15】
前記チューブカートリッジは、前記熱交換器チューブの下端に結合された下部チューブ支持プレートをさらに備え、前記下部チューブ支持プレートは、前記チューブカートリッジとともに前記空洞からスライドして取り外し可能なように、前記熱エネルギ格納容器の前記本体に固定されていない;
請求項14に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項16】
各チューブカートリッジの前記上昇流チューブ部材は、前記下部チューブ支持プレートに取り付けられたクロスフロー管路により、対応する下降流チューブ部材に流体的に結合される;
請求項15に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項17】
各チューブカートリッジは、前記チューブカートリッジの前記チューブ内に作動流体を導入するための流体入口と、前記チューブカートリッジから前記作動流体を排出するための流体出口とを備える;
請求項15または請求項16に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項18】
各チューブカートリッジは、前記チューブカートリッジ内の前記熱交換器チューブのそれぞれの直径よりも大きな直径を有する下降管を備える;
請求項8ないし請求項17のいずれか1項に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項19】
前記下降管は、縦方向に配置され、少なくとも1つの熱交換器チューブの下端に流体的に結合される。
請求項18に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項20】
前記下降管は、上部で前記チューブカートリッジの前記上部ヘッドと、下部で下部チューブ支持プレートによって支持される;
請求項19に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項21】
前記下降管の下端は、下部環状ヘッダーによって支持され、前記下部環状ヘッダーと流体的に結合され、前記下降管の上端は、前記チューブカートリッジの前記上部ヘッドに取り付けられた上部環状ヘッダーによって支持され、前記上部環状ヘッダーと流体的に結合され、前記熱交換器チューブは、前記下部環状ヘッダーおよび前記上部環状ヘッダーと流体的に結合される;
請求項18に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項22】
前記下降管の上端は、前記チューブカートリッジに水を導入するように構成された入口パイプに流体的に結合され、
各カートリッジの前記熱交換器チューブは、前記チューブカートリッジから水を排出するように構成された出口パイプに流体的に結合される。
請求項18ないし請求項21のいずれか1項に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項23】
前記熱エネルギ格納容器は、前記熱エネルギ格納容器の上部ヘッドに配置された複数のフローリングヘッダーをさらに備え、各リングヘッダーは、各チューブカートリッジの前記入口パイプおよび前記出口パイプの一方に直接または間接的に流体連通している。
請求項22に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項24】
前記フローリングヘッダーの一部は、前記チューブカートリッジ内の前記熱交換器チューブに水を供給する入口フローリングヘッダーであり、前記フローリングヘッダーの一部は、前記チューブカートリッジ内の前記熱交換器チューブから水を集める出口フローリングヘッダーである;
請求項23に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項25】
前記フローリングヘッダーは互いに同心に配置されている。
請求項24に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項26】
前記入口フローリングヘッダーは前記出口フローリングヘッダーから流体的に隔離されている;
請求項25に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項27】
前記入口フローリングヘッダーは、クロスフロー管路によって流体的に結合された少なくとも2つのヘッダーを備え、前記出口フローリングヘッダーは、クロスフロー管路によって流体的に結合された少なくともヘッダーを備える;
請求項26に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項28】
前記熱エネルギ格納容器のチューブ状本体は、最内側シェルと最外側シェルを備える縦に細長い側壁と、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成され、大気圧以下に排気される真空環状体とを備える;
請求項1に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項29】
前記熱エネルギ格納容器の前記空洞内の熱を保持するように構成された断熱材を含む、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成された断熱環状体をさらに備える;
請求項28に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項30】
前記真空環状体は前記最外側シェルと前記最外側シェルに近接する中間シェルとの間に形成され、前記断熱環状体は前記中間シェルと前記最内側シェルとの間に形成される;
請求項29に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項31】
前記最内側シェル、前記最外側シェルおよび前記中間シェルは、ステンレス鋼で形成される;
請求項30に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項32】
前記真空環状体の内側に面する前記最外側シェルと前記中間シェルの対向面は、熱を反射する反射面を形成するために研磨されている;
請求項31に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項33】
前記溶融相変化材料は、前記ヒーターから放出される熱エネルギによって加熱されると、粒状の固体状態から液体状態に変化するように動作可能である;
請求項1に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項34】
前記溶融相変化材料は塩である;
請求項1ないし請求項33のいずれか1項に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項35】
蒸気タービンと、蒸気復水器と、ボイラーアセンブリと、ボイラー給水を閉鎖流ループを通って循環させるポンプとを、流体連通させた閉鎖流ループと;
前記蒸気タービンおよび電力網に動作可能に連結された発電機を備え;
前記ボイラーアセンブリは、熱エネルギボイラー容器と、前記熱エネルギボイラー容器に流体的に結合された熱エネルギ過熱器容器とを含み、熱エネルギボイラー容器と熱エネルギ過熱器容器は、
熱エネルギを貯蔵することが可能な溶融相変化材料のベッドを含む内部空洞を画定する細長いチューブ状本体と;
前記溶融相変化材料に埋め込まれたヒーターのアレイであって、前記ヒーターは、前記電力網に電気的に結合され、前記溶融相変化材料を加熱するために通電される、ヒーターのアレイと;
前記溶融相変化材料に埋め込まれた複数の熱交換器チューブを含むチューブバンドルであって、前記熱交換器チューブを介してボイラー給水を搬送するように構成された熱交換器チューブを含む、チューブバンドルを含み;
前記熱エネルギボイラー容器は、その中の前記溶融相変化材料によって加熱されて飽和蒸気を生成する液体状態のボイラー給水を受けるように構成され、前記熱エネルギ過熱器容器は、その中の前記溶融相変化材料によって過熱状態に加熱される飽和蒸気を受けるように構成され;
前記過熱蒸気は前記蒸気タービンを通り、前記発電機を回転させて電気を発生させる;
熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項36】
前記熱エネルギボイラー容器の上流で、前記閉鎖流ループに流体的に結合された熱エネルギ予熱容器をさらに備え、前記熱エネルギ予熱容器は、
熱エネルギを貯蔵することが可能な溶融相変化材料のベッドを含む内部空洞を画定する細長いチューブ状本体と;
前記溶融相変化材料に埋め込まれたヒーターのアレイであって、前記ヒーターは、前記電力網に電気的に結合され、前記溶融相変化材料を加熱するように動作可能な、ヒーターのアレイと;
前記溶融相変化材料に埋め込まれた複数の熱交換器チューブを含むチューブバンドルであって、前記熱交換器チューブは前記熱交換器チューブのチューブ側を通して前記ボイラー給水を搬送するように構成された、チューブバンドルを備え;
前記熱エネルギ予熱容器は、前記閉鎖流ループから第1の温度で液体状態の前記ボイラー給水を受け取り、液体状態の前記ボイラー給水をより高い第2の温度まで加熱するように動作可能であり;
前記熱エネルギボイラー容器は、前記閉鎖流ループを介して、前記第2の温度で前記液体状態の前記ボイラー給水を受け取る;
請求項35に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項37】
前記ヒーターは、前記電力網のピーク時以外の負荷需要時間帯に前記電力網から取り出された電力によって通電される;
請求項35または請求項36に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項38】
前記発電機は、前記電力網の負荷需要ピーク時に前記電力網に電力を供給する;
請求項37に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項39】
前記熱エネルギボイラー容器内の前記相変化材料は、前記熱エネルギ過熱器容器内の前記相変化材料と少なくとも1つの特性によって異なる;
請求項35または請求項36に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項40】
前記特性は、溶融温度である;
請求項39に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項41】
前記特性は、相変化材料の種類である;
請求項39に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項42】
前記相変化材料は塩である;
請求項35ないし請求項41のいずれか1項に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項43】
前記熱エネルギボイラー容器と前記熱エネルギ過熱器容器の前記チューブ状本体は円筒形であり、最内側シェルと最外側シェルを備える縦方向に細長い側壁と、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成され、大気圧以下に排気される真空環状体と、前記熱エネルギボイラー容器と前記熱エネルギ過熱器容器の前記空洞内に熱を保持するように構成された断熱材を含む、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成された断熱環状体を備える;
請求項35に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項44】
前記最外側シェルに近接して配置された中間シェル、および前記最外側シェルと前記最内側シェルの間に形成された真空環状体をさらに備える;
請求項43に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項45】
固体状態の相変化材料のベッドを含む内部空洞と、前記相変化材料に埋め込まれた複数のチューブを備えるチューブバンドルとを備える熱エネルギ格納容器を提供する、提供工程と;
前記相変化材料の前記ベッドに埋め込まれた複数の加熱要素にエネルギを供給し、前記相変化材料を加熱して固体状態から溶融状態に変化させる、エネルギ供給工程と;
第1の温度の作動流体を前記溶融相変化材料を通して流し、前記作動流体をより高い第2の温度に加熱する、流し工程を備える;
作動流体の加熱方法。
【請求項46】
前記作動流体は水を含む;
請求項45に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項47】
前記相変化材料は塩である;
請求項46に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項48】
前記水は前記熱エネルギ格納容器に流入するのに液体状態であり、前記相変化材料により第1の温度からより高い第2の温度まで液体状態で加熱される;
請求項47に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項49】
前記水は前記熱エネルギ格納容器に流入するのに液体状態であり、前記相変化材料によって加熱されて前記水が蒸気に変換される;
請求項47に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項50】
前記水は前記熱エネルギ格納容器に流入する飽和蒸気であり、前記相変化材料によって過熱蒸気に加熱される;
請求項47に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項51】
前記加熱要素は電力網に電気的に接続され、
前記エネルギ供給工程は、前記加熱要素が前記電力網のオフピーク負荷需要期間に前記電力網から電力を取り出すことを含む;
請求項45に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項52】
前記加熱要素は電力網に電気的に接続され、
前記エネルギ供給工程は、前記加熱要素が前記電力網のオフピーク負荷需要期間に前記電力網から電気を取り出すことを含む;
請求項50に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項53】
前記過熱蒸気を発電を行う蒸気タービン発電機に流す工程と、
前記発電した電力を電力需要ピーク時に前記電力網に供給する工程とをさらに含む;
請求項52に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項54】
前記熱エネルギ格納容器は、円筒形であり、最内側シェルと最外側シェルを備えた縦方向に細長い側壁と、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成され、大気圧以下に排気される真空環状体と、前記熱エネルギ格納容器の前記空洞内で熱を保持するように構成された断熱材を含む、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成された断熱環状体を備える;。
請求項45に記載の作動流体の加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2022年1月10日出願の米国仮特許出願第63/297,899号および2021年6月10日出願の米国仮特許出願第63/209,234号の優先権の利益を主張する。前述の出願はそのすべてを参照して本書に組み込む。
【0002】
[技術分野]
本発明は、エネルギ貯蔵システムに関し、より詳細には、電力網または他の電力源から吸収した電力から熱エネルギを貯蔵するように動作する吸熱相変化材料(PCM)を利用し、地域暖房または他の目的のために温水を、または、電力網の負荷需要ピーク時にランキンサイクルによる発電のための蒸気を作り出すシステムなどに関する。
【背景技術】
【0003】
伝統的なエネルギ発電から無公害の「グリーン」エネルギへの転換が加速するなか、世界中の何万もの化石燃料火力発電所(特に石炭火力発電所)が、早期の停止と廃炉に向かっている。実際、経済の脱炭素化という新たなコンセンサスに支えられ、より環境に優しい無公害の「グリーン」な代替発電を支持して、古い化石燃料発電所の廃止プロセスはすでに始まっている。化石燃料ボイラー(すなわち蒸気発生器)以外の
図1Aに示す従来の蒸気-電力ランキン発電サイクルの他の設備が、多くの場合、完全に機能し、運転継続が可能なままであるにもかかわらず、結果として生じる資本資産の破壊と浪費は、数兆ドルに上ると見積もられている。
【0004】
グリーン再生可能エネルギの増加のもう一つの結果は、発電レベルの変動(高および低)が大きくなることである。このため、このようなグリーン発電システムによって電力網に供給される電力を平準化するためのエネルギ貯蔵システムが必要となる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、環境に優しい「グリーン」な熱エネルギ貯蔵システムを提供し、そのシステムは、熱伝達作動流体を加熱するために必要なときに、その貯蔵された熱エネルギを提供する。作動流体は、いくつかの実施形態および用途では水または水混合物であってもよいが、他の用途では他の種類の作動流体を使用してもよい。そのシステムは、電力源から得られる熱を吸収・貯蔵する相変化材料(PCM)のベッドを含む1つ以上の熱エネルギ格納容器を含む。PCMは、様々な目的のために要求に応じて容器を流れる作動流体を加熱する。
【0006】
いくつかの実施形態では、本発明の熱エネルギ貯蔵システムは、地域暖房や他の用途のための水を加熱するために使用されてもよい。他の実施形態では、熱エネルギ貯蔵システムは、電力を生成するための蒸気を生成するために使用されてもよい。これらの用途のいずれにおいても、本明細書でさらに説明するように、電力は、エネルギ価格が低いときに電力網のオフピーク負荷需要期間に容器内のPCMを加熱するために、電力網などの電力源から抽出されることが好ましいが、これらの熱エネルギシステムは、必要に応じて、ピーク負荷需要期間を含む他の期間に電力源から電力を抽出してもよい。したがって、電力網や他の貯蔵源などから電力を引き出して熱エネルギとして貯蔵するタイミングは、特定の期間に限定されない。
【0007】
上記の後者の用途では、本明細書で開示する技術は、ランキン発電サイクルの従来の化石燃料ボイラー部分を、化石燃料を消費することなく、エネルギ貯蔵装置と対応する「オンデマンド」蒸気発生・発電装置の両方として機能する「グリーンボイラー」に置き換える。こうして、化石燃料発電所への莫大な設備投資が大幅に節約されるとともに、人類のエネルギ脱炭素化目標が十分に実現されるであろう。
【0008】
本開示によるグリーン熱エネルギ貯蔵および発電システムは、電力網の変動する負荷需要に電力出力を合わせる手段を提供し、本システムは、既存の化石エネルギ発電所に後付けして設置することができ、発電所で化石燃料の使用を排除して必要に応じて蒸気および電力を提供するように動作させることができるため、本明細書では「グリーンボイラー」という名称が与えられている。ターボジェネレータと、従来の化石燃料を燃やす発電所に残存するランキンサイクル機器のインフラは維持され、化石燃料ボイラーとそれに関連するサブシステムのコンポーネントだけが取り外され、交換される。
【0009】
したがって、ここに開示されたグリーンボイラー技術は、既存の発電所の化石燃料燃焼ボイラーを「グリーンボイラーシステム」に置き換え、発電所をエネルギ貯蔵設備とクリーンな発電設備の両方に変えることを想定している。グリーンボイラーシステムは、ある実施形態では、関連する太陽光発電所、風力発電所、原子力発電所から入力エネルギを受け取る、独立型のエネルギ貯蔵装置でもありうる。
【0010】
現在の「グリーンボイラー」のコンセプトは、1日24時間のほとんどの時間帯において、発電所から電力網に供給される電力が、実際のリアルタイムでの消費者(産業、商業、住宅など)の電力需要を上回っているという事実に依拠している。つまり、安価な余剰電力があるにもかかわらず、残念ながら無駄になってしまう時間帯があるということである。グリーンボイラーは、余剰エネルギを電力網から、あるいは代わりに併設のグリーンエネルギ発電所(太陽光、風力、原子力など)から直接取り込み、一実施形態では、限定されないが溶融塩ベッドなどの相変化材料(PCM)にエネルギを熱貯蔵する。
【0011】
発電に関しては、PCMグリーンボイラーは、ランキン発電サイクルのためのボイラー給水(フィードウォーター)を沸騰・過熱し、電力網が現在の需要を満たすために電力不足に直面するたびに、「要求に応じて(オンデマンド)」電力を生産するように構成され、機能する。したがって、電力網が電力不足に直面した場合、グリーンボイラーは、電力網の電力負荷変動期に使用される従来の小型天然ガスまたはディーゼル・ピーク発電ユニットに代わって、さらにピーク発電ユニットとして機能することができる。言い換えれば、電力需要が電力網のベースロードユニットからの供給力を上回った場合に、グリーンボイラーが作動する。こうして、化石燃料ボイラーを備えた従来の大規模な「ベースロード」汚染化石燃料発電所は、ピーク発電の役割を果たすオンデマンドのクリーンエネルギ発電機に転換される。
【0012】
社会学的な見地から言えば、再編成された発電所は(多少の再訓練を経て)労働者の雇用を継続するため、発電所の受け入れ地域社会への影響はほとんどない。しかし、炭化水素の排出源は有利に排除される。さらに、石炭火力発電所では、ボイラーで石炭を燃やした結果生じる残留フライアッシュやボトムアッシュも排除される。一部の石炭火力発電所では、灰を処理する方法として湿式樋流し法を使用しているため、そのような廃棄物蒸気から灰に含まれる懸濁物質、「重金属」、またはその他の成分を除去し、規制の排出制限を満たすための排水処理と浄化に関連するコストは軽減される。
【0013】
原理的には、環境的にクリーンではないボイラーをグリーンボイラー技術に転換することは、世界中のどの化石燃料プラントにも例外なく適用できる。したがって、発電経済の脱炭素化は、遅滞なく、最大限の便宜性をもって実施することができる。スコーピング計算では、グリーンボイラーへの転換が、既存の化石燃料を燃やす発電所の脱炭素化にとって、資本コストの点で圧倒的に安価なルートであることが示されている。運転コストも同様に、他のどのエネルギ貯蔵・供給技術よりも低い。
【0014】
既存の化石燃料・石炭燃焼ボイラー、石油燃焼ボイラー、または天然ガス燃焼ボイラーを、流体的に相互接続し、加熱された相変化材料(PCM)格納容器のアセンブリからなる「グリーンボイラー」に置き換えることは、一実施形態ではその各々が溶融塩に熱エネルギを格納するが、本明細書に開示される革新的なグリーンエネルギ貯蔵および発電システムの非限定的な一側面である。
【0015】
溶融塩PCM格納容器はそれぞれ、電力網に供給される利用可能な発電量が需要を上回った場合に、塩の在庫またはベッドに埋め込まれた加熱要素のアレイを介して電力網(または併設されたクリーンエネルギ発電所)から抽出された電力で、その中に含まれる固体塩粒子を加熱して溶融するように構成され、動作可能である。各PCM格納容器は、ランキンサイクルのボイラー給水を容器の内部チューブ側で容器を通して搬送し流すために、溶融塩ベッドから流体的に隔離された複数の熱交換器チューブを含むチューブバンドルを備える。容器のシェル側(各容器内のチューブの外側)には、チューブの外側と密接に直接接触する溶融塩がある。グリーンボイラーランキンサイクルの発電機が電気的に接続されている電力網の運転中、グリーンボイラーは、溶融塩に蓄えられた熱エネルギを利用して、熱交換器容器に収容された順次融点の高くなるカスケード状の塩ベッドでボイラー給水を加熱し、蒸気を発生させる。蒸気は蒸気タービンに供給され、蒸気タービンを駆動する。蒸気タービンは、電力網のピーク負荷時に「要求に応じて」発電を行うため、既知の方法で蒸気タービンに機械的に連結された発電機を回転させる。
【0016】
一実施形態では、グリーンボイラーシステムの溶融塩PCM格納容器は細長く、水側で流体連通して、ボイラー給水(まだ液相)を予熱するオプションのプレヒーター、水を加熱して湿り(すなわち飽和)蒸気に変換するボイラー、および蒸気を乾燥させて(すなわち水分を除去して)蒸気タービンに供給される過熱状態にするスーパーヒーターを含んでもよい。流入するボイラー給水が十分に高温であれば、プレヒーターは省略できる。蒸気タービンの上流には、過熱蒸気をスーパーヒーター容器から直接受け取り回収する蒸気回収容器が含まれる実施形態もある。前述の容器はすべて、保温のために厳重に断熱されているのが好ましく、共通の筐体構造またはハウジング内に集めて収容してもよい。容器は、一実施形態では縦に細長く、勾配または高所上の鉄筋コンクリートの支持パッド上に設置することができる。
【0017】
化石燃料ボイラーの改修・交換プログラムでは、グリーンボイラーシステムの過熱蒸気のエンタルピーが、交換する化石燃料ボイラーの設計基準蒸気量となるようなサイズに設定されることは注目に値する。したがって、機器の熱負荷に変化がないため、発電所の機器のバランスを変更することなく使用することができる。
【0018】
地域暖房の用途では、上述したものと同様の構造の1つまたは複数の加熱PCM格納容器が、溶融塩ベッドに蓄えられた熱エネルギを利用して温水を加熱・生成し、その温水をポンプで汲み上げて地元の市町村に配給し、建物を暖房することができる。水は約93℃(華氏約200度)まで加熱され、加熱のために飽和状態だが沸騰していない状態に保たれる。複数の加熱溶融塩格納容器を並列流的に配置し、流体的に結合して、地域暖房に必要な総量の温水を供給してもよい。有利な点は、人口やインフラの増加に伴い地域暖房の需要が増加した場合、PCM格納容器を追加できるモジュラーシステムを提供できることである。
【0019】
一態様において、熱エネルギ格納容器は、熱エネルギを貯蔵するように動作可能な相変化材料のベッドを含む内部空洞を画定する細長い本体と、相変化材料に埋め込まれたヒーターのアレイであって、ヒーターは、電力源に電気的に結合するように構成され、相変化材料を加熱して溶融状態に溶融するように動作可能である、ヒーターのアレイと、溶融相変化材料に埋め込まれた複数の熱交換器チューブからなるチューブバンドルであって、熱交換器チューブは、溶融相変化材料から熱エネルギを吸収するために熱交換器チューブを通して作動流体を搬送するように構成されている、チューブバンドルと、を備える。相変化材料は塩であってもよく、作動流体は水単独または水混合物(例えば、水とグリコール)を含んでもよい。
【0020】
別の態様において、熱エネルギ貯蔵および発電システムは、蒸気タービン、蒸気復水器、ボイラーアセンブリ、および閉鎖流ループを通してボイラー給水を循環させるように動作可能なポンプを流体連通させてなる閉鎖流ループと、蒸気タービンおよび電力網に動作可能に連結された発電機と、ボイラーアセンブリであって、熱エネルギボイラー容器と、ボイラー容器に流体連通可能に連結された熱エネルギスーパーヒーター容器であって、各容器は、熱エネルギを貯蔵するように動作可能な溶融相変化材料のベッドを含む内部空洞を画定する細長いチューブ状本体と、溶融相変化材料に埋め込まれたヒーターのアレイであって、電力網に電気的に結合され、溶融相変化材料を加熱するように通電されるヒーターのアレイと、溶融相変化材料に埋め込まれた複数の熱交換器チューブからなるチューブバンドルであって、熱交換器チューブのチューブ側を通してボイラー給水を搬送するように構成された熱交換器チューブとを備えるボイラーアセンブリとを備え、熱エネルギボイラー容器は、その中の溶融相変化材料によって加熱されて飽和蒸気を生成する液体状態の給水を受けるように構成され、熱エネルギスーパーヒーター容器は、その中の溶融相変化材料によって過熱状態に加熱される飽和蒸気を受けるように構成され、過熱蒸気は、発電機を回転させて電気を生成する蒸気タービンを流れる。いくつかの実施形態では、システムは、ボイラー容器の上流で閉鎖流ループに流体的に結合された熱エネルギプレヒーター容器をさらに備える。プレヒーター容器は、ボイラー容器やスーパーヒーター容器と同様に構成され、同じ特徴を有していてもよい。 相変化材料は塩であってもよく、各容器で異なる種類の塩を使用してもよい。
【0021】
別の態様において、作動流体を加熱する方法は、固体状態の相変化材料のベッドを含む内部空洞と、相変化材料のベッドに埋め込まれた複数のチューブからなるチューブバンドルとを含む熱エネルギ格納容器を提供する工程と、相変化材料のベッドに埋め込まれた複数の加熱要素にエネルギを与えて、相変化材料を固体状態から溶融状態に加熱して変化させる工程と、第1の温度の作動流体をより高い第2の温度に加熱する溶融相変化材料を通して作動流体を流す工程とを備える。相変化材料は塩であってもよく、作動流体は水単独または水混合物(例えば、水とグリコール)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、水は熱エネルギ格納容器に入るのに液体状態であり、相変化材料によって第1の温度から液体状態のより高い第2の温度まで加熱される。別の実施形態では、容器に入る水は液体状態であり、相変化材料によって水を蒸気に変換するように加熱される。さらに別の実施形態では、水は熱エネルギ格納容器に入る飽和蒸気であり、相変化材料によって過熱蒸気に加熱される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の例示的な実施形態の特徴を、以下の図面を参照して説明するが、類似の要素には類似の符号が付される。
【0023】
【
図1A】
図1Aは、蒸気を生成するために汚染する化石燃料ボイラーを使用する従来のランキン発電サイクルシステムの概略図である。
【0024】
【
図1B】
図1Bは、サイクル用の蒸気を生成するための本開示による無公害熱エネルギ貯蔵グリーンボイラーを含む、本開示によるランキン発電サイクルシステムの概略図である。
【0025】
【
図2】
図2は、本開示による一組の熱エネルギ貯蔵容器を含むグリーンボイラーの斜視図である。
【0026】
【
図3】
図3は、
図2の熱エネルギ貯蔵容器の1つの上部の1つの部分斜視図である。
【0027】
【0028】
【
図5】
図5は、
図3に類似した部分斜視図であるが、容器の上部開閉蓋も断面で示している。
【0029】
【
図6】
図6は、容器のチューブバンドルの上部を示す上面斜視図である。
【0030】
【
図7】
図7は、チューブバンドルの下部の上面透視図である。
【0031】
【
図8】
図8は、チューブバンドルの上部の下面透視図である。
【0032】
【
図9】
図9は、チューブバンドルの下部の下面透視図である。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【
図16】
図16は、容器を通る作動流体の6パスチューブ側フロー用に構成されたチューブバンドルの熱交換器チューブカートリッジの第1実施形態の上面斜視図である。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【
図23】
図23は、容器を通る作動流体の3パスチューブ側フロー用に構成されたチューブバンドルの熱交換器チューブカートリッジの第2実施形態の上面斜視図である。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【
図27】
図27は、チューブカートリッジを通るチューブ側作動流体流路を示す斜視図である。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【
図31】
図31は、容器を通る作動流体のシングルパス管側フロー用に構成されたチューブバンドルの熱交換器チューブカートリッジの第3実施形態の上面斜視図である。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
すべての図面は概略図であり、必ずしも縮尺通りではない。 ある図において参照番号で指定されている部品は、特に異なる部品番号でラベル付けされ、本明細書で説明されない限り、簡潔にするために番号指定なしで他の図に表示されている部分と同じ部品であるとみなしてもよい。 本明細書において、同じ通し番号を持つが異なるアルファベットの接尾の複数の図から構成される通し番号への参照は、別段の指示がない限り、同じ通し番号を共有するすべての図への一般的な参照と解釈されるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の特徴および利点は、例示的な(「例」)実施形態を参照することによって本明細書に図示および説明される。 この例示的な実施形態の説明は、添付の図面と関連して読まれることが意図されており、これらの図面は、本明細書全体の一部と見なされる。 したがって、本開示は、単独でまたは他の特徴の組み合わせで存在し得る特徴のいくつかの可能な非限定的な組み合わせを説明しているそのような例示的な実施形態に特に限定されるべきではない。
【0063】
本明細書に開示された実施形態の説明において、方向または向きに関する言及は、単に説明の便宜のために意図されたものであり、本発明の範囲を限定することを何ら意図するものではない。「下」、「上」、「水平」、「鉛直」、「上方」、「下方」、「上へ」、「下へ」、「頂部」「底部」およびその派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」など)といった相対的な用語は、その時点で説明されている向き、または議論中の図面に示されている向きを指すものと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためだけのものであり、装置が特定の方向に構築され、または操作されることを要求するものではない。「取り付けられた」、「付属した」、「接続された」、「結合された」、「相互接続された」などの用語は、明示的に別段の記載がない限り、構造体が直接的または間接的に介在構造体を介して互いに固定または取り付けられる関係、および可動または固定の両方の取り付けまたは関係を指す。
【0064】
全体を通して使用されているように、本明細書で開示されている範囲は、範囲内にある各値および各値を説明するための略記として使用される。範囲内の任意の値を範囲の境界端として選択することができる。さらに、先行特許または特許出願について本明細書で引用したすべての文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。本開示の定義と引用文献の定義に齟齬がある場合は、本開示が優先される。
【0065】
図1Aは、発電に必要な蒸気を発生するための大型化石燃料ボイラーを備えた、従来の発電蒸気-電気ランキン発電サイクルを示す。基本的なサイクル機器(補助システムを除く)には、図示のように、化石燃料焚きボイラー(石炭、石油、天然ガスなど)、蒸気タービン発電機セット、蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮して液体に戻す復水器、および、復水器から取り出したボイラー給水(熱交換作動流体)を、各構成要素を流体的に結合する配管で形成された閉鎖流ループを通して循環させるボイラー給水ポンプが含まれる。発電機は蒸気タービンに機械的に結合され、電力網(図示の送電線送電塔で代表される)に電気的に結合される。ボイラーで生成された蒸気は、タービンブレードの列を介してタービンシャフトを回転させ、その結果、ステーター(磁石)内で発電機のローターを回転させ、機械エネルギを電気エネルギに変換することが知られている。ランキンサイクル発電システムおよびその発電動作は、これ以上詳しく説明するまでもなく、当業者にはよく知られている。
【0066】
液体状態のボイラー給水を蒸気に変換するランキンシステムの化石燃料ボイラー(蒸気発生器)は、このようなボイラーと関連補助装置は、オンデマンド発電のためにすぐに始動できないから、従来、電力網のベースロード需要を満たすベース電気負荷運転に使用されてきた。実際、化石燃料を使用するベースロードプラントの始動プロセス全体では、全機器を全負荷に到達するための全圧力・全温度の運転条件まで引き上げるのに何時間もかかる。
【0067】
図1Bは、本開示による無公害「グリーンボイラー」技術を備える蒸気発生器を含む、クリーンエネルギ「グリーン」ランキン発電サイクルシステムを示している。グリーンボイラーは、
図1Aの化石燃料蒸気ボイラーを、本明細書でさらに説明するように、相変化材料(PCM)の格納容器と熱交換器の両方として構成された熱エネルギ格納容器に置き換えたものである。一実施形態では、PCMは溶融塩である。
【0068】
本熱エネルギ貯蔵・発電システム100は、負荷需要のピーク時に電力網に電力を生成・供給する「ピーキング」発電システムとして構成・使用することができる。逆に、電力網のエネルギが余っている「オフピーク」負荷需要期間に電力網から取り出された電気エネルギは、本明細書で既に説明したように、グリーンボイラーの溶融塩ベッドを「充電」するために使用される。
【0069】
図1Bに示すグリーン熱エネルギ貯蔵・発電システム100は、蒸気タービン102、これに機械的に結合され、電力網104に動作可能に接続された発電機103、蒸気復水器105、ボイラー給水ポンプ106、および溶融塩を充填した熱エネルギ貯蔵ボイラー120を、これらに限定されることではなく、含んでもよい。給水ポンプは、図示されているように、ランキンサイクルの水を受ける構成要素を流体的に結合する配管によって形成された閉鎖流ループ110を通して、ボイラー給水を循環させる。本グリーンボイラーアセンブリを除き、クリーンエネルギーランキンサイクルの残りの構成要素は、従来のランキンサイクルと同様に、前述の既知の方法で作動し、電気を生産する。
【0070】
前述のランキンサイクルで使用されるオンデマンド発電用途の場合、熱エネルギ貯蔵ボイラー120は、流体的に結合され相互接続された複数の熱エネルギ格納容器121を備えるアセンブリであってもよい。熱エネルギ格納容器は、作動流体の流れの順に、オプションの熱エネルギ予熱器容器121A、熱エネルギボイラー容器121B、および熱エネルギ過熱器容器121Cを含んでいてもよい。これらの容器は、図示のように直列流配置で配管される(作動流体の流れ方向矢印参照)。図示の実施形態における作動流体は水を含み、これは
図1Bのランキンサイクルにおけるボイラー給水であってもよい。一部の実施形態では、凝縮器から流入する給水が十分に高温である場合、予熱容器を省略することができる。使用される場合、予熱容器は、第1の温度の「冷たい」液体状態の供給水を受け取り、液体状態のまま、より高い第2の温度まで供給水を加熱する。加熱された給水はボイラー容器に流れ、そこでさらに加熱され、液体状態から飽和蒸気に相変化して過熱器容器に流れる。過熱器容器は飽和蒸気を過熱状態に加熱する。過熱蒸気は、閉鎖流ループ110内を蒸気タービン102(
図1B)へ流れて蒸気タービン102を駆動し、発電機シャフトまたはローターを回転させて発電し、電力網に供給される。
【0071】
予熱器容器121A、ボイラー容器121B、および過熱器容器121Cは、異なる温度で作動流体(例えば、液体状態の水または蒸気)を受け取り、流体を異なる温度および条件に加熱しなければならないので、各容器で使用されるPCM(相変化材料)は、例えば、限定されないが、PCMの溶融温度および/または種類を含む少なくとも1つの特性において異なっていてもよい。PCMは、要求される熱負荷に適した特性を持つ塩であってもよい。
【0072】
最初に適用できる
図2~15を参照すると、各容器は、各容器の幾何学的中心を通る鉛直中心線軸CAを示す、縦方向に向いた細長い本体123を概して備える同様の構造を有している。容器本体はそれぞれ、実質的に容器の高さ全体(容器の上部および底部閉鎖構造の厚さを除く)にわたって延びる縦内部空洞122を含む。内部空洞はそれぞれ、ボイラー運転中に溶融塩が格納容器121に流入したり、格納容器121から流出したりしないように、容器内に捕捉状態で収容される溶融塩のベッドBを含む。ボイラー給水FWのような作動流体のみが、本明細書でさらに説明されるように、カスケード直列方式で容器を流れる。
【0073】
熱エネルギ格納容器本体123は、容器の内部空洞122を画定する円筒形の縦側壁124によって画定されるように、一実施形態では円筒形であってもよい。各容器は、側壁124の上端に結合され、容器の上部を画定する上部閉鎖蓋125を含み、底部閉鎖板126は側壁の下端に結合され、容器の底部を画定する。蓋125と底部閉鎖板126は側壁の端部に密封され、空洞122を流体密に囲み、溶融塩ベッドを漏れなく封じ込める役割を果たす。一実施形態では、蓋125および底部閉鎖板126は、円筒容器側壁124の各端部にシール溶接されてもよい。別の実施形態では、蓋125は、ボルトなどの複数のねじ付き締結具を介して、容器本体123(例えば、側壁124)の上端部に着脱可能に結合されてもよい。その他の着脱可能な固定方法を用いてもよい。
【0074】
熱エネルギ格納容器121は、図示のように、鉄筋コンクリートパッド135によって支持され、その上に縦方向に取り付けられる。一実施形態では、各容器は、容器の底部をコンクリートパッドの上方に持ち上げる複数の構造脚129を備えてもよい。構造脚は、特に地震時の安定性を確保するために、下部容器本体123に溶接され、複数のアンカーボルト(図示せず)または他の適切な方法を介してコンクリートパッドに固定されてもよい。
【0075】
容器本体123の円筒状側壁124は、最内側シェル130、最外側シェル131、および最外側シェルに近接して配置されるが最外側シェルから半径方向に離間した中間シェル132からなる複合構造を有しもてよい(例えば、
図13-
図15参照)。 従って、中間シェル132は、最内側シェルよりも最外側シェルに近い。 各シェル130-132は、中空のチューブ状円筒形状を有する。
【0076】
シェル130-132、上部閉鎖蓋125、および底部閉鎖板126を含む熱エネルギ格納容器121の本体123は、一実施形態では、好ましくはステンレス鋼を含む鋼などの適切な金属で形成されてもよい。容器本体のこれらの部品は、いくつかの実施形態では側壁124に取り外し可能に結合される可能性のある上部閉鎖蓋125を除いて、溶接アセンブリを形成するために互いに溶接されてもよい。
【0077】
一実施形態では、真空環状体128が最設けられ、外側シェル131と中間シェル132との間に形成されてもよい。真空環状体は、大気圧以下(すなわち負圧)または真空Vに排気・密閉され、側壁構造内の熱エネルギ格納容器121を内部で熱的に断熱する役割を果たす。一実施形態では、真空環状体は約0.067kPa(0.5Torr)まで排気されてもよい。複数の縦方向に間隔をおいて配置された環状シェル支持リブ134が、最外側シェル131と中間シェル132の間に取り付けられ、内部が真空にさらされたときの真空環状体128の崩壊を防止することができる。リブ134は、金属材料(例えば、鋼または好ましくはステンレス鋼)で形成され、シェル131および132に溶接される。リブ134は、容器空洞122から最外側シェル131への伝導性熱伝達を低減するために、いくつかの実施形態では断熱されてもよい。
【0078】
一実施形態では、真空環状体128に向かって内側に面するステンレス鋼で形成され得る最外側シェル131および中間シェル132の対向面は、熱を内側に反射するための反射面を形成し、真空環状体の断熱値を増加させるために高度に研磨される。
【0079】
熱エネルギ格納容器121をさらに断熱するために、図示のように、断熱環状体127を最内側シェル130と中間シェル132との間に形成してもよい。断熱環状体127は、真空環状体128よりも半径方向の幅が大きく、適切な断熱材133を含んでもよい。断熱環状体127および真空環状体128の各々は、溶融塩ベッドBを収容する容器空洞122の少なくとも全高に亘って延在し、いくつかの実施形態では側壁124の全高に亘って延在することは注目に値する(例えば、
図13および
図14参照)。
【0080】
熱エネルギ格納容器121はそれぞれ、溶融塩ベッドBに埋め込まれるが溶融塩ベッドBから流体的に隔離された複数の熱交換器チューブ141を含むチューブバンドル140をさらに備える。水(
図1Bのランキンサイクルのボイラー給水を含む)または他の種類の作動流体は、各容器を貫通するチューブの内部(チューブ内部側)を流れる。容器のシェル側(伝熱管の外側)には溶融塩があり、熱伝達のために伝熱管の外側と密接に直接接触している。熱交換器チューブは、チューブバンドルの伝熱表面積を最大化するために、容器の空洞122の全高の90%以上にわたって延びていてもよい。
【0081】
一実施形態では、チューブバンドル140の熱交換器チューブ141は、複数の個々のチューブカートリッジ142に分離され、配置され、クラスタ化されてもよく、各チューブカートリッジ142は、容器の上部閉鎖蓋125に形成された対応する相補的に構成されたカートリッジ開口部146を通って容器121に取り外し可能に挿入可能である。カートリッジ142は、有利なことに、容器121の内部空洞にアクセスするために上部閉鎖蓋125を取り外すことなく交換可能であり、このことにより、チューブの交換が容易になり、交換コストが削減される。各カートリッジのチューブは、作動流体を加熱するために容器空洞122内の溶融塩ベッドBから熱を吸収するように、作動流体を縦方向にシングルパスまたはマルチパスするように配置および構成してもよい。
【0082】
図16-
図22は、説明用の6パスチューブカートリッジ142Aを備えるチューブカートリッジ142の第1の実施形態を描いており、図示されているところでは、
図3-
図15の熱エネルギ貯蔵容器121に設置された状態で様々に描かれている。いくつかの追加例として、
図23-30は、3パスチューブカートリッジ142Bを描いている。
図31-37は、1パスチューブカートリッジ142Cを描いている。水またはPCM含有熱エネルギ格納容器121で加熱された別のもののような作動流体を所望の温度まで十分に加熱するために、意図された用途に適した任意の数のチューブパスを使用することができる。パスの数に関係なく、各チューブカートリッジ142は、6パスチューブカートリッジ142Aに関してさらに詳細に説明する同様の特徴を共有する。
【0083】
概して
図3-22を適宜参照すると、各チューブカートリッジ142(例えば、142A、142B、142C)は、上面147aおよび対向する底面147bを含む、一実施形態では固体構造の金属円筒形ヘッド147を備える。ヘッド147は、容器上部閉鎖蓋125の厚さと実質的に同程度の厚さを有する(例えば、
図5および
図14参照)。ヘッド147は、上部閉鎖蓋125のそれぞれの円形カートリッジ開口部146に挿入可能であり、溶融したPCMまたは関連する蒸気がチューブカートリッジと蓋との界面を介して周囲大気に漏れないように、シール溶接を介するなど固定された流体密封方法で蓋125に結合される。各チューブカートリッジ142は、チューブカートリッジ142または熱交換器チューブ141のどの部分も蓋の下の容器のどの部分によっても支持されないように、図示のように、吊り下げられた縦片持ち梁方式で容器蓋125によって完全に支持されてもよい。チューブカートリッジ142は、図示のように手方向に細長い構造である。
【0084】
熱交換器チューブ141は、チューブカートリッジヘッド147から金属製の下部チューブ支持プレート145まで互いに平行に縦方向に延びている。プレート145は、図示のような環状平坦リングなどの任意の適切な形状を有してよい。チューブの上端は、チューブカートリッジヘッド147に剛的に取り付けられ結合され、
図20に最もよく示されるように、そこを完全に貫通して延びる。チューブ141の下端は、下部チューブ支持プレート145を完全に貫通して延びて、固く結合される。チューブは、カートリッジヘッド147と下部チューブ支持プレート145に密封溶接されてもよい。下部チューブ支持プレート145は、チューブカートリッジ142と共に容器空洞122からスライド可能に取り外し可能なように、容器本体121に固定的に取り付けられていないことは注目に値する。
【0085】
各チューブカートリッジ142は、水(例えば、ボイラー給水など)または一部の用途では蒸気などの作動流体を導入するためのカートリッジ流体入口150と、加熱された後の水または蒸気を排出するためのカートリッジ流体出口151とをさらに備える。入口と出口は、熱交換器チューブ141の直径よりも大きな直径を有する任意の適切な構成のパイプの一部によって形成されてもよい。入口と出口は、支持のためにチューブカートリッジヘッド147に堅固に取り付けられ、結合されている。入口150は、チューブカートリッジヘッド147を完全に貫通して縦に延び、下部チューブ支持プレート145(例えば、
図20参照)に結合された下降管152に流体結合されている。いくつかの実施形態では、下降管を下部チューブ支持プレートの上面に結合し、密封溶接してもよい。下降管152の真下および管内のチューブ支持プレート145内にある流孔(見えない)により、入口水流が別の上昇流熱交換器チューブ141に向きを変えるためにプレートの下を通過することができる。
【0086】
引き続き一般的に、
図3-
図15に取り付け状態で一般的に示され、
図16-
図22に分離して具体的に示された6パスチューブカートリッジ142Aを参照する。6パスチューブカートリッジ142Aは、水(または場合によっては蒸気)がPCMベッドから熱を吸収することによって連続的に高温に加熱されるにつれて、水が溶融PCM(相変化材料)のベッドを複数回(例えば6回)通過するように構成された熱交換器チューブ141からなる。従って、どのようなマルチパスチューブカートリッジの各チューブカートリッジの熱交換器チューブ141の一部は上昇流チューブであり、一部は下降流チューブであってもよい。各チューブカートリッジの上昇流チューブは、クロスフロー管路153によって対応する下降流チューブ部材に流体的に結合され、マルチパスチューブ流配置を形成するためにその逆も可能である。複数のクロスフロー管路153がチューブカートリッジヘッド147の上面に密封可能に取り付けられ(例えば、溶接)、クロスフロー管路153が下部チューブ支持プレート145に密封可能に取り付けられる。クロスフロー管路は、水/蒸気の流れをチューブカートリッジ142内で上下180度反転させる。
【0087】
クロスフロー管路153は、チューブカートリッジ142内の流路設計に応じて、単一の熱交換器チューブ141、または複数のチューブに流体結合するように構成されてもよいことに留意されたい。従って、クロスフロー管路は、熱交換器チューブ141または流体入口150からの流れを複数のチューブに分割して分配したり(例えば、
図24または
図30のティー形状の入口クロスフロー管路153aを参照)、複数の熱交換器チューブからの流れを単一の流れに結合したり(例えば、
図23、
図27、または
図29のティー形状の出口クロスフロー管路153aを参照)してもよい。
【0088】
上昇流チューブと下降流チューブとの間に漏れのない流体結合がなされる限り、クロスフロー管路153の任意の適切な構成を使用することができ、これには、例えば、限定されないが、箱形管路(153b)、円形パイプ部管路(153a)、またはその他が含まれる。クロスフロー管路153は、流体入口150および出口151を、対応する上昇流チューブに流体的に結合するために使用してもよいことに着目されたい。
【0089】
図23-30は、上述した6パスチューブカートリッジ142Aと構造が類似している3パスチューブカートリッジ142Bを示している。同じような特徴には同じようなラベルが付けられ、すでに前述したとおりである。構成/構造におけるいくつかの相違点は、下部チューブ支持プレート145が中実の円形形状を有し、下降管152が、6パスチューブカートリッジ142A(例えば、
図16参照)のように半径方向にオフセットされているのとは対照的に、中央に配置されていることである。
【0090】
3パスチューブカートリッジ142Bを示す
図27は、熱エネルギ格納容器121内のPCMベッドBを縦方向に通過する際に、水(液体または蒸気状態)などの作動流体がチューブカートリッジ142Bを通過する経路を示すチューブ側流体流れ矢印を含む。熱交換器チューブ141は、上昇流チューブとしても下降流チューブとしても機能することがわかる。同じ技法が、6パスチューブカートリッジ142AまたはPCMを通過する他の数のパスを有する任意の複数パスチューブカートリッジにも適用可能である。
【0091】
図31-
図37は、単一パスチューブカートリッジ142Cを描いており、このチューブカートリッジ142Cもまた、構造において上述した3パスチューブカートリッジ142Aおよび6パスチューブカートリッジ142Aに概ね類似している。同じような特徴には同じようなラベルが付けられることは、すでに前述したとおりである。一つの違いは、マルチパスチューブカートリッジの下部チューブ支持プレートが、円形断面の配管で形成された下部環状ヘッダー148に置き換えられていることである。中央に位置する下降管152は環状ヘッダーに流体連通している。 熱交換器チューブ141の下端は、図示のように順に環状ヘッダー148に直接流体連通している。運転中、作動流体(例えば、水など)は、下降管152を通って縦方向で下方に流れ、環状ヘッダー148に入り、そこから流れが熱交換器チューブに均等に分配される。その後、流れはチューブ内を上方に進み、熱を吸収するためにPCMベッドBを通過するチューブ内単一パスを形成する。一実施形態では、単一パスチューブカートリッジは、チューブの上端が流体的に結合されたチューブから上向きに流れる作動流体を受ける配管の円形部分によって形成された上部環状ヘッダー149を含んでもよい。環状ヘッダー149は、図示のように、チューブカートリッジの上部ヘッド147の上面に取り付けられている。
【0092】
チューブカートリッジ142は、パス数に関係なく、ヘッド147と下部チューブ支持プレート145を含め全体的金属構造である。単一パスチューブカートリッジ142Cの流体入口150、流体出口151、クロスフロー管路153、および下部環状ヘッダー148は、好ましくは、鋼またはステンレス鋼などの適切な金属材料で形成される。ステンレス鋼は耐食性に優れているため、一般的に好まれ、可能であれば使用される。熱交換器チューブ141は、可能であればステンレス鋼を含む任意の適切な材料で作られてもよい。チューブ材料の種類は、PCM材料の化学的性質によって腐食性の影響を受けないように、使用される特定の種類のPCM材料との適合性と使用のために選択することができる。他の金属材料を前述の部品のいずれかに使用してもよい。
【0093】
流入する冷却作動流体(例えば、一実施形態では水または蒸気)をチューブカートリッジ142に分配し、またはチューブカートリッジから流出する加熱作動流体を集めるために、各熱エネルギ格納容器121は、複数の入口ヘッダーおよび出口ヘッダーを備える。一実施形態では、
図3、
図5、
図6、
図8、および
図11に最もよく示されている入口リングヘッダー160および出口リングヘッダー161を含む、金属製の環状または円形のリングヘッダーを設けることができる。一実施形態では、
図3、
図5、
図6、
図8、および
図11に最もよく示されている入口リングヘッダー160および出口リングヘッダー161を含む、金属製の環状または円形のリングヘッダーを設けてもよい。図示された実施形態は、一対の入口リングヘッダー160および一対の出口リングヘッダー161を含む。入口リングヘッダーと出口リングヘッダーは、互いに対して同心に配置され、整列している。従って、リングヘッダーは、図示の入れ子配列を形成するために、異なる直径を有してもよい。さらに、入口リングヘッダーと出口リングヘッダーが互いに隣接せず、散在するように、入口リングヘッダーと出口リングヘッダーを交互に配置してもよい。1つの入口リングヘッダー160は、分配のために冷却された作動流体を受け取るヘッダー入口パイプ162を含み、一つの出口リングヘッダー161は、チューブカートリッジ142から集められた加熱された作動流体を排出するヘッダー出口パイプ163を含む。ジャンパーパイプ164を、流入する作動流体が一方のリングヘッダーから他方のリングヘッダーに移送されるように、2つの入口リングヘッダー160を流体的に結合させるために使用してもよい。図示のように、2つの出口リングヘッダー161を流体的に結合するために、同様の配置とジャンパーパイプ164を使用してもよい。入口リングヘッダーおよび出口リングヘッダーの数は、チューブカートリッジ142の数とその配置に依存する。各チューブカートリッジ142からの流体入口150は、入口リングヘッダー160の1つに流体結合されている。各チューブカートリッジからの流体出口は、出口リングヘッダー161の1つに流体連通している。
【0094】
一実施形態では、容器の入口リングヘッダー160および出口リングヘッダー161は、熱エネルギ格納容器121の上部閉鎖蓋125の上方に配置され、それによって支持されてもよい。一実施形態では、構造的スタンドオフ部材165を使用して、各リングヘッダーを上方に持ち上げ、蓋の上面から支持してもよい(
図3に概略的に示す)。どのようなタイプの構造部材(ロッド、アングルなど)を用いてもよい。 リングヘッダー160、161は、鋼または好ましくはステンレス鋼などの適当な金属で形成される。
【0095】
運転中、水(液体または蒸気状)のような流入冷却作動流体流は、ヘッダー入口パイプ162から第1入口リングヘッダー160に入る。流れの一部は、1つ以上のジャンパーパイプ164を介して第2入口リングヘッダー160に移送される。他の実施形態では、流入する作動流体は、直列流の代わりに、分岐され、両方の入口リングヘッダーに同時に均等に分配されてもよい。流出リングヘッダー161の配置とフロースキームも逆にして、同様である。
【0096】
いずれの場合も、流入流は各入口リングヘッダー160からチューブカートリッジ142に分配され、そこで流体は容器121のPCMベッドを1回または複数回通過し、加熱される。加熱された作動流体(液体または蒸気状)は、一対の出口リングヘッダー161によってチューブカートリッジから集められ、容器121の流体出口181を介して排出される。一実施形態では、容器流体出口181は、出口リングヘッダー161の1つに流体的に結合され、接続されてもよい。ヘッダー入口パイプ162も同様に、入口リングヘッダー160の1つに流体的に結合され、接続されてもよい。入口パイプ162および出口パイプ163は、適切な構成を有する適切な金属配管で形成することができる。
【0097】
熱交換器チューブ141は、PCMに蓄えられた熱(熱エネルギ)が熱交換器チューブ141内のPCMベッドBを流れる水に伝達され吸収される毎に、粒状PCMが液体/溶融状態から少なくとも部分的に固体状態との間で周期的な相変化を起こすため、時間の経過とともに亀裂が生じ、漏れる可能性がある。ある種の溶融塩のようなPCMの腐食性の性質は、チューブ材料に腐食作用を及ぼし、時間の経過とともにひび割れや漏れを引き起こす可能性がある。これらの状況のいずれにせよ、チューブの交換と、影響を受けた熱エネルギ格納容器121の休止が必要となる。
【0098】
有利なことに、本明細書に開示されるチューブカートリッジ142は、熱エネルギ貯蔵容器121の閉鎖蓋125を取り外すことなく、個々のカートリッジおよびそれらに関連するチューブ(その一部は漏れる可能性がある)を迅速に交換し、同一の新しい完全に事前組み立てされたチューブカートリッジと交換することを可能にする。これによって、時間のかかる個別の漏れが発生した熱交換器チューブの交換や穴埋めが不要になる。熱エネルギ格納容器121が使用可能な状態に戻された後、旧チューブカートリッジの損傷および漏れるチューブを交換/修理してもよい。このことにより、容器のメンテナンスと修理が劇的に簡素化され、休止期間が短縮され、その結果、容器をより早く運転状態に復帰させ、収益の損失を最小限に抑えることができる。
【0099】
提供される各熱エネルギ格納容器121は、溶融相変化材料(PCM)に埋め込まれ、PCMを加熱するように動作可能なヒーターの配列を含む。ヒーターは、目的とした用途のため、市販の適切な電気接点やコネクターを介するなど、利用可能な電力源に電気的に結合するように構成されている。電力源は、公共事業によって管理されている商用地域電力網であってもよいし、場合によっては、工業プラントでの発電のようなローカル電力源であってもよい。ヒーターは、電力源から受け取った電力をPCMを加熱するために使用される熱エネルギに変換する。
【0100】
図3―14はPCMヒーターを様々に示す。一実施形態では、ヒーター170は、内側セラミックコア172と、熱エネルギ格納容器121の内部空洞122内のPCMと直接接触する外側金属シース171とを備える、複数の縦方向に細長いバヨネット型加熱要素170を備える。加熱要素は、縦に細長い/配向しており、円筒形の構成を有してもよい。加熱要素170は、図示のように、縦チューブカートリッジ142とそれらに関連する熱交換器チューブ141との間に放射状に散在している。PCMを十分に加熱し溶融させるために、必要に応じて、適当な数の加熱要素を設けてもよい。
【0101】
加熱要素170の上端部174はそれぞれ、熱エネルギ格納容器121の上部閉鎖蓋125に相補的に構成された開口部175内に配置され、そこを通過する(例えば、
図5および
図14参照)。上部174は、半径方向に突出した環状の取り付けフランジ176を画定し、この取り付けフランジは、容器の上部閉鎖蓋125の露出した上面に着座する。各加熱要素170の上部円筒形電気連結ボス173は、蓋から上方に突出し、容器121の電力供給源または電源に電気接続するための電気接点/端子を含む。
【0102】
加熱要素170は、本明細書で先に説明した個々の熱交換器チューブカートリッジ142と同様に、吊り下げ式かつ縦片持ち式で、熱エネルギ格納容器121の上部閉鎖蓋125に着脱可能に取り付けられる。従って、容器の内部空洞122内には、上蓋の下方以外には、加熱要素を支持するものがない。加熱要素170は、有利なことに、容器121の内部空洞にアクセスするために上部閉鎖蓋125を取り外すことなく交換可能であり、このことにより加熱要素の交換がより好都合になり、交換コストが削減される。
【0103】
いくつかの実施形態において、加熱要素170は、PCMを収容する容器121の内部空洞122の大部分、および実質的に全高にわたって延びる縦方向の長さまたは高さを有する(例えば、
図13を参照)。いくつかの実施形態では、加熱要素170は、熱交換器チューブカートリッジ142よりも長い縦方向の高さまたは長さを有する。このことにより、容器空洞122内の粒状PCMの捕獲ベッド全体(固体状態/形態の場合)が、加熱要素にエネルギが与えられたときに、加熱要素からの熱にさらされ溶融されることが確かになる。
【0104】
チューブカートリッジ142および加熱要素170が熱エネルギ格納容器121に設置されると、粒状PCMは、加熱要素にエネルギ供給される前に、チューブ141、下降管152、および加熱要素の間の間隙を満たす。加熱要素にエネルギ供給されると、粒状PCM粒子は液体または溶融状態に変換され、容器の空洞122内の同じ内部空間を占め、チューブ内の作動流体への熱伝達を最大化するために構成部品と直接沿った形で接触する。
【0105】
最初に熱エネルギ格納容器121にPCMを充填するために、容器の上部閉鎖蓋125を貫通するように構成された、充填および圧力開放組合せ装置166が提供される(例えば、
図5参照)。装置166は、適切な構成のPCM移送配管167を介して内部容器空洞122に流体連通している。この装置はPCMを充填するために開閉可能で、PCM充填完了後に閉じることができる。熱エネルギ格納容器121内の圧力が、あらかじめ設定された装置の最大設定圧力を超えた場合、装置が開いて過剰圧力を大気に逃がす。必要な機能を提供するために、市販されている適切な装置または特注装置を使用してもよい。
【0106】
本発明の別の態様によれば、熱エネルギ貯蔵システムは、有利なことにもともとモジュール式である。言い換えれば、複数の熱エネルギ格納容器121は、各容器内のPCM(相変化材料)ベッドに蓄えられた熱エネルギを介して作動流体を加熱するためにそれらを利用する施設の設計および運転要件を満たすために、任意の設置に対して提供されてもよい。このシステムの用途としては、地域暖房、工業プロセス、その他の加熱液体用途の温水(またはグリコールと水などの混合水)の生成、および、蒸気暖房、工業プロセス、発電、その他の用途の蒸気の生成が含まれる。配置される熱エネルギ格納容器121の数は、液体または気体(例えば、蒸気)状態の作動流体を、意図された用途のニーズを満たすのに十分な体積/量と温度で生成するように選択される。加えて、限定はしないが、例えば地域暖房または他の用途における人口およびインフラ(例えば、住宅など)の増加のような需要の増加に応じて、現状のモジュラーシステムで、作動流体加熱能力を追加することができる。
【0107】
加熱された作動流体の容量および温度要件を満たすために、個々の熱エネルギ格納容器121は、直列流配置(例えば、
図2参照)、または並列流配置で流体的に結合され得る。それで、任意の適切な流れスキームを使用することができる。熱エネルギ格納容器121の数、熱サービス負荷、および流体配置を必要に応じて選択することは、当業者の範囲内である。
【0108】
必要な熱負荷と運転パラメータ(すなわち、水と水の混合物である作動流体を、熱エネルギ貯蔵容器121に入る入口温度から所望の出口温度まで加熱する)に合わせてカスタマイズされ、選択された、適切なPCM(相変化材料)を使用することができる。好ましいが非限定的な実施形態では、PCMは塩であり、この塩は、電力網または他の供給源のような利用可能な電力源から抽出された電力によって通電されたときに加熱要素170によって加熱されると、粒状固体状態から溶融状態に変換されてもよい。必要な熱負荷に応じて選択された、適切な塩を使用することができる。
【0109】
各熱エネルギ貯蔵容器121内のPCMベッドBを形成するために使用され得る塩のいくつかの例を以下の表に示す:
【表1】
【0110】
塩の溶融温度と潜熱特性は、要求される熱負荷と作動流体の温度上昇に適した塩の選択を指示する特性であり要因である。したがって、
図1Bに示すグリーン熱エネルギ貯蔵・発電システム100のアプリケーション(すなわち、プレヒーター、ボイラー、およびスーパーヒーター)におけるグリーンボイラー120の各熱エネルギ貯蔵容器121で使用される塩の種類は、カスタマイズされて異なっていてもよいことに留意されたい。単に地域暖房のために単に水を加熱するなどの用途にかかわらず、熱エネルギ貯蔵容器121の熱負荷および性能は、熱エネルギシステムの要求される温度上昇目標を満たすように高度にカスタマイズ可能であることは、当業者には明らかである。
【0111】
本明細書に開示される熱エネルギ格納容器121は、熱エネルギ吸収PCMベッドを介して様々な目的および用途の水(例えば、ボイラー給水、水とグリコールなどの混合水、または通常の水)を加熱するために限定ではなく記載されるが、本発明はこの点で限定されない。したがって、熱エネルギ格納容器121は、容器の熱交換器チューブを通して流動可能なあらゆる種類の流体を加熱するために使用することができる。したがって、グリーン熱エネルギ貯蔵システム100の無数の応用が可能であり、本開示の範囲内である。
【0112】
前述の説明および図面は、本開示の例示的な実施形態を表すものであるが、添付の特許請求の範囲の思想および範囲ならびに均等物の範囲から逸脱することなく、様々な追加、修正および置換を行うことができることが理解されるであろう。特に、本発明は、その思想または本質的特徴から逸脱することなく、他の形態、構造、配置、比率、寸法、および他の要素、材料、および構成要素で具体化され得ることは、当業者には明らかであろう。さらに、本開示の範囲内で、本明細書に記載された方法/工程の多数の変形を行うことができる。当業者であればさらに、本実施形態は、本明細書に記載される原理から逸脱することなく、特定の環境および動作要件に特に適合する、本開示の実施において使用される構造、配置、比率、寸法、材料、および構成要素などの多くの変更を伴って使用され得ることを理解するであろう。したがって、現在開示されている実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、制限的なものではないと考えられる。添付の特許請求の範囲は、その範囲および均等物の範囲から逸脱することなく、当業者によってなされ得る本開示の他の変形および実施形態を含むように、広く解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギを貯蔵可能な相変化材料のベッドを含む内部空洞を画定する細長い本体と;
前記相変化材料に埋め込まれた複数のヒーターであって、電源に電気的に結合するように構成され、前記相変化材料を加熱して溶融状態にするように動作可能なヒーターと;
前記溶融相変化材料に埋め込まれた複数の熱交換器チューブを含むチューブバンドルであって、前記熱交換器チューブは、前記溶融相変化材料から熱エネルギを吸収するために、前記熱交換器チューブを通して作動流体を搬送するように構成されている、チューブバンドルを備える;
熱エネルギ格納容器。
【請求項2】
前記作動流体が水を含む;
請求項1に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項3】
前記熱エネルギ格納容器が、前記熱エネルギ格納容器に入る前記水を液体状態から前記熱エネルギ格納容器から出る蒸気に変えるように構成される;
請求項2に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項4】
前記熱エネルギ格納容器が、第1の温度で液体状態の前記水を受け取り、前記第1の温度より高温の第2の温度で液体状態の前記水を排出するように構成される;
請求項2に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項5】
前記熱エネルギ格納容器が、第1の蒸気温度で飽和蒸気を受け取り、前記第1の蒸気温度より高温の第2の温度で過熱状態の前記蒸気を排出するように構成される;
請求項2に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項6】
前記熱エネルギ格納容器の前記本体は、縦方向に細長い円筒形であり、前記熱交換器チューブは、
前記作動流体が前記熱交換器チューブ内の前記溶融相変化材料のベッドを縦に流れるように、縦に細長く、互いに平行である;
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項7】
前記ヒーターは、前記溶融相変化材料に直接接触する内側のセラミックコアと外側の金属シースを備える複数の縦に細長いバヨネット型加熱要素からなり、前記加熱要素は前記熱交換器チューブの間に配置される;
請求項6に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項8】
前記加熱要素は、前記熱エネルギ格納容器の上部閉鎖蓋から縦方向に片持ち支持されている;
請求項7に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項9】
前記チューブバンドルの前記熱交換器チューブは、複数の個別チューブカートリッジ内に配置され、各チューブカートリッジは、前記上部閉鎖蓋のそれぞれの開口部を介して前記熱エネルギ格納容器内に取り外し可能に挿入可能である;
請求項8に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項10】
前記チューブカートリッジはそれぞれ、前記熱エネルギ格納容器の上部閉鎖蓋に結合された上部ヘッドを備え、各カートリッジの前記熱交換器チューブの上端は、前記ヘッドを通って延び、前記ヘッドに結合される;
請求項9に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項11】
前記チューブカートリッジは、前記上部閉鎖蓋から縦方向に片持ち支持されている。
請求項10に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項12】
各チューブカートリッジの前記熱交換器チューブは、
前記作動流体が前記溶融相変化材料のベッドを複数回通過し、前記作動流体が通過するたびに連続的により高い温度に加熱されるように構成されている;
請求項11に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項13】
各チューブカートリッジの前記熱交換器チューブの一部は上昇流チューブであり、前記熱交換器チューブの一部は下降流チューブである。
請求項12に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項14】
各チューブカートリッジの前記上昇流チューブの一部は、上部チューブ支持プレートに取り付けられたクロスフロー管路によって、対応する
下降流チューブと流体連通する;
請求項13に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項15】
前記チューブカートリッジは、前記熱交換器チューブの下端に結合された下部チューブ支持プレートをさらに備え、前記下部チューブ支持プレートは、前記チューブカートリッジとともに前記空洞からスライドして取り外し可能なように、前記熱エネルギ格納容器の前記本体に固定されていない;
請求項14に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項16】
各チューブカートリッジの
前記上昇流チューブは、前記下部チューブ支持プレートに取り付けられたクロスフロー管路により、対応する
下降流チューブに流体的に結合される;
請求項15に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項17】
各チューブカートリッジは、前記チューブカートリッジの前記チューブ内に作動流体を導入するための流体入口と、前記チューブカートリッジから前記作動流体を排出するための流体出口とを備える;
請求項15に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項18】
各チューブカートリッジは、前記チューブカートリッジ内の前記熱交換器チューブのそれぞれの直径よりも大きな直径を有する下降管を備える;
請求項10に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項19】
前記下降管は、縦方向に配置され、少なくとも1つの熱交換器チューブの下端に流体的に結合される。
請求項18に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項20】
前記下降管は、上部で前記チューブカートリッジの前記上部ヘッドと、下部で下部チューブ支持プレートによって支持される;
請求項19に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項21】
前記下降管の下端は、下部環状ヘッダーによって支持され、前記下部環状ヘッダーと流体的に結合され、前記下降管の上端は、前記チューブカートリッジの前記上部ヘッドに取り付けられた上部環状ヘッダーによって支持され、前記上部環状ヘッダーと流体的に結合され、前記熱交換器チューブは、前記下部環状ヘッダーおよび前記上部環状ヘッダーと流体的に結合される;
請求項18に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項22】
前記下降管の上端は、前記チューブカートリッジに
作動流体を導入するように構成された入口パイプに流体的に結合され、
各カートリッジの前記熱交換器チューブは、前記チューブカートリッジから水を排出するように構成された出口パイプに流体的に結合される。
請求項18に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項23】
前記熱エネルギ格納容器は、前記熱エネルギ格納容器の上部ヘッドに配置された複数のフローリングヘッダーをさらに備え、各リングヘッダーは、各チューブカートリッジの前記入口パイプおよび前記出口パイプの一方に直接または間接的に流体連通している。
請求項22に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項24】
前記フローリングヘッダーの一部は、前記チューブカートリッジ内の前記熱交換器チューブに
作動流体を供給する入口フローリングヘッダーであり、前記フローリングヘッダーの一部は、前記チューブカートリッジ内の前記熱交換器チューブから
作動流体を集める出口フローリングヘッダーである;
請求項23に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項25】
前記フローリングヘッダーは互いに同心に配置されている。
請求項24に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項26】
前記入口フローリングヘッダーは前記出口フローリングヘッダーから流体的に隔離されている;
請求項25に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項27】
前記入口フローリングヘッダーは、クロスフロー管路によって流体的に結合された少なくとも2つのヘッダーを備え、前記出口フローリングヘッダーは、クロスフロー管路によって流体的に結合された少なくとも
2つのヘッダーを備える;
請求項26に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項28】
前記熱エネルギ格納容器の
細長い本体は、最内側シェルと最外側シェルを備える縦に細長い側壁と、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成され、大気圧以下に排気される真空環状体とを備える;
請求項1に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項29】
前記熱エネルギ格納容器の前記空洞内の熱を保持するように構成された断熱材を含む、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成された断熱環状体をさらに備える;
請求項28に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項30】
前記真空環状体は前記最外側シェルと前記最外側シェルに近接する中間シェルとの間に形成され、前記断熱環状体は前記中間シェルと前記最内側シェルとの間に形成される;
請求項29に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項31】
前記最内側シェル、前記最外側シェルおよび前記中間シェルは、ステンレス鋼で形成される;
請求項30に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項32】
前記真空環状体の内側に面する前記最外側シェルと前記中間シェルの対向面は、熱を反射する反射面を形成するために研磨されている;
請求項31に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項33】
前記溶融相変化材料は、前記ヒーターから放出される熱エネルギによって加熱されると、粒状の固体状態から液体状態に変化するように動作可能である;
請求項1に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項34】
前記溶融相変化材料は塩である;
請求項33に記載の熱エネルギ格納容器。
【請求項35】
蒸気タービンと、蒸気復水器と、ボイラーアセンブリと、ボイラー給水を閉鎖流ループを通って循環させるポンプとを、流体連通させた閉鎖流ループと;
前記蒸気タービンおよび電力網に動作可能に連結された発電機を備え;
前記ボイラーアセンブリは、熱エネルギボイラー容器と、前記熱エネルギボイラー容器に流体的に結合された熱エネルギ過熱器容器とを含み、熱エネルギボイラー容器と熱エネルギ過熱器容器は、
熱エネルギを貯蔵することが可能な溶融相変化材料のベッドを含む内部空洞を画定する細長いチューブ状本体と;
前記溶融相変化材料に埋め込まれたヒーターのアレイであって、前記ヒーターは、前記電力網に電気的に結合され、前記溶融相変化材料を加熱するために通電される、ヒーターのアレイと;
前記溶融相変化材料に埋め込まれた複数の熱交換器チューブを含むチューブバンドルであって、前記熱交換器チューブを介してボイラー給水を搬送するように構成された熱交換器チューブを含む、チューブバンドルを含み;
前記熱エネルギボイラー容器は、その中の前記溶融相変化材料によって加熱されて飽和蒸気を生成する液体状態のボイラー給水を受けるように構成され、前記熱エネルギ過熱器容器は、その中の前記溶融相変化材料によって過熱状態に加熱される飽和蒸気を受けるように構成され;
前記過熱蒸気は前記蒸気タービンを通り、前記発電機を回転させて電気を発生させる;
熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項36】
前記熱エネルギボイラー容器の上流で、前記閉鎖流ループに流体的に結合された熱エネルギ予熱容器をさらに備え、前記熱エネルギ予熱容器は、
熱エネルギを貯蔵することが可能な溶融相変化材料のベッドを含む内部空洞を画定する細長いチューブ状本体と;
前記溶融相変化材料に埋め込まれたヒーターのアレイであって、前記ヒーターは、前記電力網に電気的に結合され、前記溶融相変化材料を加熱するように動作可能な、ヒーターのアレイと;
前記溶融相変化材料に埋め込まれた複数の熱交換器チューブを含むチューブバンドルであって、前記熱交換器チューブは前記熱交換器チューブのチューブ側を通して前記ボイラー給水を搬送するように構成された、チューブバンドルを備え;
前記熱エネルギ予熱容器は、前記閉鎖流ループから第1の温度で液体状態の前記ボイラー給水を受け取り、液体状態の前記ボイラー給水をより高い第2の温度まで加熱するように動作可能であり;
前記熱エネルギボイラー容器は、前記閉鎖流ループを介して、前記第2の温度で前記液体状態の前記ボイラー給水を受け取る;
請求項35に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項37】
前記ヒーターは、前記電力網のピーク時以外の負荷需要時間帯に前記電力網から取り出された電力によって通電される;
請求項35または請求項36に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項38】
前記発電機は、前記電力網の負荷需要ピーク時に前記電力網に電力を供給する;
請求項37に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項39】
前記熱エネルギボイラー容器内の前記相変化材料は、前記熱エネルギ過熱器容器内の前記相変化材料と少なくとも1つの特性によって異なる;
請求項35または請求項36に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項40】
前記特性は、溶融温度である;
請求項39に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項41】
前記特性は、相変化材料の種類である;
請求項39に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項42】
前記相変化材料は塩である;
請求項35に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項43】
前記熱エネルギボイラー容器と前記熱エネルギ過熱器容器の前記チューブ状本体は円筒形であり、最内側シェルと最外側シェルを備える縦方向に細長い側壁と、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成され、大気圧以下に排気される真空環状体と、前記熱エネルギボイラー容器と前記熱エネルギ過熱器容器の前記空洞内に熱を保持するように構成された断熱材を含む、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成された断熱環状体を備える;
請求項35に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項44】
前記最外側シェルに近接して配置された中間シェル、および前記最外側シェルと前記最内側シェルの間に形成された真空環状体をさらに備える;
請求項43に記載の熱エネルギ貯蔵および発電システム。
【請求項45】
固体状態の相変化材料のベッドを含む内部空洞と、前記相変化材料に埋め込まれた複数のチューブを備えるチューブバンドルとを備える熱エネルギ格納容器を提供する、提供工程と;
前記相変化材料の前記ベッドに埋め込まれた複数の加熱要素にエネルギを供給し、前記相変化材料を加熱して固体状態から溶融状態に変化させる、エネルギ供給工程と;
第1の温度の作動流体を前記溶融相変化材料を通して流し、前記作動流体をより高い第2の温度に加熱する、流し工程を備える;
作動流体の加熱方法。
【請求項46】
前記作動流体は水を含む;
請求項45に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項47】
前記相変化材料は塩である;
請求項46に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項48】
前記水は前記熱エネルギ格納容器に流入するのに液体状態であり、前記相変化材料により第1の温度からより高い第2の温度まで液体状態で加熱される;
請求項47に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項49】
前記水は前記熱エネルギ格納容器に流入するのに液体状態であり、前記相変化材料によって加熱されて前記水が蒸気に変換される;
請求項47に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項50】
前記水は前記熱エネルギ格納容器に流入する飽和蒸気であり、前記相変化材料によって過熱蒸気に加熱される;
請求項47に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項51】
前記加熱要素は電力網に電気的に接続され、
前記エネルギ供給工程は、前記加熱要素が前記電力網のオフピーク負荷需要期間に前記電力網から電力を取り出すことを含む;
請求項45に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項52】
前記加熱要素は電力網に電気的に接続され、
前記エネルギ供給工程は、前記加熱要素が前記電力網のオフピーク負荷需要期間に前記電力網から電気を取り出すことを含む;
請求項50に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項53】
前記過熱蒸気を発電を行う蒸気タービン発電機に流す工程と、
前記発電した電力を電力需要ピーク時に前記電力網に供給する工程とをさらに含む;
請求項52に記載の作動流体の加熱方法。
【請求項54】
前記熱エネルギ格納容器は、円筒形であり、最内側シェルと最外側シェルを備えた縦方向に細長い側壁と、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成され、大気圧以下に排気される真空環状体と、前記熱エネルギ格納容器の前記空洞
内で熱を保持するように構成された断熱材を含む、前記最内側シェルと前記最外側シェルの間に形成された断熱環状体を備える;。
請求項45に記載の作動流体の加熱方法。
【国際調査報告】