(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】少なくとも1つの光パターンを車両周囲に投影するための方法および少なくとも1つのプロジェクタを備える車両
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
G01C21/26 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576062
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022065539
(87)【国際公開番号】W WO2023285037
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021003558.5
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ハノー・ヴェーバー
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129EE02
2F129EE25
2F129EE27
2F129EE28
2F129EE36
2F129EE37
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE86
2F129EE93
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF12
2F129GG17
2F129HH12
(57)【要約】
本発明は、車両(2)に装備されている少なくとも1つのプロジェクタ(3)によって少なくとも1つの光パターン(1)を車両周囲に投影するための方法に関する。本発明は、車両(2)の駐車後、ナビゲーション目的地(4)の方向に人を向かわせるため、光パターン(1)が、ナビゲーション目的地(4)に到達するために選択すべき経路の形で、ナビゲーションを続行するためのナビゲーション指示を含むものであることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)に装備されている少なくとも1つのプロジェクタ(3)によって少なくとも1つの光パターン(1)を車両周囲に投影するための方法において、
前記車両(2)の駐車後、ナビゲーション目的地(4)の方向に人を向かわせるため、前記光パターン(1)が、前記ナビゲーション目的地(4)に到達するために選択すべき経路の形で、ナビゲーションを続行するためのナビゲーション指示を含むものであることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記光パターン(1)を用いて、前記車両周囲に、テキスト、少なくとも1つの記号(5)、および/または少なくとも地図(6)が投影されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光パターン(1)は、路面に投影されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記光パターン(1)の少なくとも一部がアニメーション化されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの光パターン(1)を前記車両周囲に投影するために、前記車両(2)の前照灯(3.1)および/または前記車両(2)の外部ミラー(7)に組み込まれたプロジェクタ(3)が使用されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記前照灯(3.1)はマトリクスヘッドライトとして設計されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記光パターン(1)が前記車両周囲に対して目標を定めて位置調整されることによって、規定された方向で前記光パターン(1)が前記車両周囲に投影されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記光パターン(1)を投影するために外部ミラー(7)に組み込まれた少なくとも1つのプロジェクタ(3)を使用する場合、前記光パターン(1)を前記車両周囲に対して目標を定めて位置調整する際に、前記外部ミラー(7)が接続されている車両ドアのドア開角度が考慮されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ドア開角度が、角度センサによって、および/または前記外部ミラー(7)に組み込まれているカメラ(8)で生成されたカメラ画像の解析によって検出されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのプロジェクタ(3)、ナビゲーション装置(9)、および演算器(10)を備える車両(2)において、
前記プロジェクタ(3)、前記ナビゲーション装置(9)、および前記演算器(10)は、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するように設定されていることを特徴とする、前記車両(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルに詳細に定義されている種類の、車両に装備されている少なくとも1つのプロジェクタによって少なくとも1つの光パターンを車両周囲に投影するための方法、ならびに請求項10のプレアンブルに詳細に定義されている種類の車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のナビゲーションシステムの支援により、今日、人々は快適かつ簡単に自分の位置を確認することができる。ルート案内を使用すれば、人は例えば道路地図を手がかりに、自ら手作業で該当する走行ルートを計画しなくても、確実に車両で知らない場所にたどり着くことができる。さらに、人は該当する走行ルートを覚える必要もない。対応するナビゲーションシステムは、車両に組み込まれていてよいし、または携帯端末として実施されていてもよい。
【0003】
しかしながら、車両で走行する場合、目的地の直ぐ近くに着けるわけではなく、ほとんどが目的地からいくらか離れた場所で終了する。原因としては、目的地付近に空いている駐車場がないことが考えられる。従って、車両を運転する人は、特に駐車スペースの空き状況が悪い市街地においては、目的地に到着する前に空き駐車スペースを利用するか、または目的地を通過して、目的地よりも先の方で空き駐車スペースを探す必要がある。
【0004】
次に、適当な駐車スペースが見つかり、徒歩で目的地に向かうために車両を運転する人が車両から降りても、車両の駐車場所から目的地まで行く道を見つけるために、再び自分の位置を確認する必要がある。空き駐車スペースを探す時間が長ければ長いほど、また駐車スペースが本来の目的地から遠ければ遠いほど、走行後の徒歩でのナビゲーションの経路探索も、より複雑になる。
【0005】
特に、車両に組み込まれているナビゲーション装置を使用する場合、車両を離れるとナビゲーションの案内が使用できないため、目的地までの最短距離を探すのが難しくなる。そこで、車両を運転する人は、ナビゲーションを続行するために、スマートフォンを利用することができる。しかし、その場合、車両を運転する人は、目的地をスマートフォンに再度プログラミングする必要があり、そのことに時間を費やすことになる。車両を運転する人が、例えば約束の場所に行く途中で、時間的に厳しい状況にある場合は、そのことによって貴重な時間が失われる。
【0006】
一般的な従来技術から、車両周囲に光パターンを投影するための方法および装置が公知である。例えば、特許文献1は、車両での画像投影方法を開示している。このとき、車両は、該当するプロジェクタを使って車両の軌道に応じて記号を車両周囲に投影する。そのような記号は、例えば、車両が自動制御されるか、それとも手動制御されるかの表示を含むことができる。また、その記号は、信号機の現在点灯中の信号のような周囲の特徴を含み、それによって、例えば下を向いてスマートフォンを見ている人に、信号機が赤であり、光パターンを投影している車両がスマートフォンを見ている人の前を曲がることを示すようにすることもできる。この場合、車両から周囲に投影される記号は、それらの記号が適用される目標物体に従って方向付けられる。
【特許文献1】DE102018120330A1
【0007】
さらに、特許文献2から、車両のアシスタントシステムが公知である。このアシスタントシステムは、車両前照灯を制御して、ナビゲーションの目的地を照射することを可能にし、それによって、車両を運転する人が、ルート案内の目標物体を特に簡単に見つけ出せるようにするものである。従って、車両を運転する人は、目的地を見つけるために、例えばさまざまな建物の家屋番号を確認する必要はない。しかし、ナビゲーション目的地を照射するためには、目的地または目標物体の見える範囲に車両がいる必要がある。
【特許文献2】DE102018000275A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、車両に装備されている少なくとも1つのプロジェクタによって少なくとも1つの光パターンを車両周囲に投影するための改善された方法を提供するという課題に基づいており、本方法の支援により、車両を運転する人は、車両を駐車した後、特に確実かつ快適にナビゲーション目的地まで案内される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づき、この課題は、請求項1の特徴を有する、車両に装備されている少なくとも1つのプロジェクタによって少なくとも1つの光パターンを車両周囲に投影するための方法、ならびに請求項10の特徴を備える車両によって解決される。有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項から明らかである。
【0010】
車両に装備されている少なくとも1つのプロジェクタによって少なくとも1つの光パターンを車両周囲に投影するための方法では、本発明に基づき、車両の駐車後、ナビゲーション目的地の方向に車両を運転する人を向かわせるため、光パターンが、ナビゲーション目的地に到達するために選択すべき経路の形で、ナビゲーションを続行するためのナビゲーション指示を含むものである。
【0011】
本発明に基づく方法の支援により、車両を駐車した後でも、人は確実に、車両の使用中に実行されたナビゲーションのナビゲーション目的地まで特に快適に到達することが可能になる。これにより、人は、ナビゲーションの指示により、ナビゲーション目的地まで徒歩で行き着くための最適な経路を迅速かつ容易に選択することができる。このとき、最適とは、徒歩で行く経路が距離的に特に短く、および/または時間的に特に速く移動できることを意味している。このとき、車両が目標物体の見える範囲にあるかどうかは重要ではない。これにより、人がナビゲーション目的地に到着するより前に車両を駐車スペースに駐車しても、ナビゲーション目的地が見える範囲に駐車しても、あるいはナビゲーション目的地を通過した後に駐車しても、人にとって確実な経路探索が可能になる。さらに、人は、経路探索にスマートフォンなどの携帯端末を使用する必要もないので、時間の節約にもなる。
【0012】
本方法の有利な発展形態では、テキスト、少なくとも1つの記号、および/または少なくとも地図が、光パターンを用いて車両周囲に投影される。テキスト、記号、および/または地図の支援により、ナビゲーション目的地に到達するために選択すべき経路を、特に直感的に、従って簡単に理解できるように人に認識させることができる。例えば「左」、「直進」、「角を曲がる」といった方向指示、「100メートル以内」等の距離情報をテキスト形式で出力したり、「スタート」、「目的地」、「交差点を渡る」、道路名称、家屋番号等のヒントを表示したりすることもできる。
【0013】
記号としては、矢印といった方向を示す記号を表示したり、例えば家、工場、道路、ターゲットマーカー、スタートマーカー、ターゲットフラッグ等の形のピクトグラムを表示したりすることができる。
【0014】
特に好適には、地図が車両周囲に投影される。地図の支援により、人は、ナビゲーション目的地に行き着くにはどの経路を取る必要があるか、素早く認識することができる。このとき、地図は、任意の程度に抽象化することができる。地図は詳細に実施することもでき、道路名称や家屋番号以外に、関連するすべての道路、建物を地図に含めることもできるし、または人が選択すべき経路だけを含めることもできる。特に、地図は、(駐車している)車両およびナビゲーション目的地が位置している周辺のできる限り小さな地図部分に限定されている。従って、無関係な情報の表示が回避されるので、人にとって、選択すべき経路の直感的認識が容易になる。
【0015】
本方法のさらなる有利な形態によれば、光パターンが路面に投影される。車両を駐車している地面などの路面に光パターンを投影することにより、さまざまな状況で光パターンを車両周囲にも投影できることが確保される。家屋の壁のように垂直な投影面がない場合、および/または1台分しかない駐車スペースに車両を駐車し、車両の前後に他の車両がある場合でも、障害なく光パターンを路面に投影することが可能である。このとき、路面は任意の構造を有していてよい。例えば、アスファルト、縁石、砂利等であってよい。これに加え、人もまた路面上を移動することにより、例えば地図による光パターンでは、地図の中へ自分を置くことが特に簡単にできる。
【0016】
本方法のさらなる有利な形態では、さらに、光パターンの少なくとも一部がアニメーション化される。例えば、テキストブロック、個々の記号、および/または地図部分といった個々の光パターンセグメントは、点滅、移動が可能であり、あるいは明るさ、コントラスト、および/または色などの任意のダイナミクスを変化させることができる。光パターンの個々の部分のサイズを変化させることもできる。例えば、車両周囲付近の地図を車両周囲に投影し、その人からナビゲーション目的地に至る経路をより明るく強調表示し、この経路上で、特に明るく点灯している、および/または点滅している矢印を経路に沿って進めることができる。また、例えば信号または横断歩道などで、人が道路を横断しなければならない箇所など、潜在的な危険箇所を強調表示することもできる。このとき、地図の該当する領域を、例えば赤で点滅させることができる。
【0017】
本方法のさらに有利な形態によれば、少なくとも1つの光パターンを車両周囲に投影するために、車両の前照灯および/または車両の外部ミラーに組み込まれたプロジェクタが使用される。車両の前照灯を利用して投影する場合、車両前照灯はいずれにせよ存在しているので、独立したプロジェクタを省略することができる。しかし、1台分しかない狭い駐車スペースに車両を駐車する場合、車両の前に駐車している別の車両によって光路が遮られるため、人が十分に視認できる光パターンを車両前照灯によって周囲に投影することができない場合がある。
【0018】
しかし、車両の外部ミラーに組み込まれたプロジェクタの支援により、困難な駐車状況においても、視認可能な光パターンを車両周囲に投影することができる。このとき、プロジェクタは、該当する外部ミラーの任意の箇所に組み込まれていてよい。例えば、外部ミラーの下側でプロジェクタを外部ミラー内に組み込み、路面の方向に向けることができる。
【0019】
光パターンを投影する場合、さまざまな技術を使用することができる。例えば、車両前照灯および/またはプロジェクタは、レーザーまたはその他の光源、例えばLED、蛍光管、ハロゲンランプ等を含むことができる。通常、該当するプロジェクタは、少なくとも1つの光源の他にも、ミラー、レンズ、フィルタ、アクチュエータ等のさらなる構成要素を備えている。
【0020】
本方法のさらなる有利な形態は、さらに、投影のために使用される前照灯がマトリクスヘッドライトとして設計されている。マトリクスヘッドライトは、高解像度ピクセルヘッドライトとも呼ばれ、車両周囲に高解像度画像を投影することができる。個々の照明要素、またはピクセルをオンまたはオフにすることより、任意に形成された光パターンを生成可能である。しかし、一般に、車両の前照灯は、光線の目標を定めた方向への転換のために、例えばいわゆるマイクロレンズおよび/またはマイクロミラーを有することもできる。マイクロレンズまたはマイクロミラーは、アレイとも呼ばれるフィールドに配置されていてよい。
【0021】
本方法のさらなる有利な形態によれば、光パターンが車両周囲に対して目標を定めて位置調整されることによって、規定された方向で光パターンが車両周囲に投影される。車両周囲に対する光パターンの適切な位置調整により、人の方向付けを改善することができる。例えば、地図の形の光パターンでは、地図の方位が実際の方位と一致するように、地図が周囲に対して位置を調整することができる。従って、地図に含まれる道路などの構成要素も実際の方向に対応している。
【0022】
本方法のさらなる有利な形態では、さらに、光パターンを投影するために外部ミラーに組み込まれた少なくとも1つのプロジェクタを使用する場合、光パターンを車両周囲に対して目標を定めて位置調整する際に、外部ミラーが接続されている車両ドアのドア開角度が考慮されるようになっている。ドア開角度が考慮されなければ、車両ドアの開閉時に光パターンの向きが周囲に対して変化することになる。それにより、人は、選択すべき経路を直感的に把握できなくなるであろう。しかし、車両のドア開角度が補正されることにより、ドアが開閉されていたり、動いたりする場合でも、光パターンは規定された方向に従って車両周囲に投影される。
【0023】
好ましくは、ドア開角度が、角度センサによって、および/または外部ミラーに組み込まれているカメラで生成されたカメラ画像の解析によって検出される。角度センサは、磁石および/またはポテンショメータの使用など、さまざまな技術を使って構成することができる。該当する角度センサは、車両と、この車両に取り付けられている車両ドアとの間の任意の箇所に接続されていてよい。しかし、カメラを設けることにより、可動部品またはセンサの使用を省略することができ、これにより、ドア開角度の確実な検出が可能になる。例えばポテンショメータを使用した角度センサは、その耐用年数にわたって摩耗するおそれがあり、このことは、間違った角度が検出される原因となる。このことは、カメラを使用してドア開角度を検出することよって回避できる。このとき、該当するカメラによって生成されたカメラ画像は、車内の任意の演算器で解析することができる。
【0024】
少なくとも1つのプロジェクタ、ナビゲーション装置、および演算器を備える車両の場合、本発明に基づき、プロジェクタ、ナビゲーション装置、および演算器は、前述の方法を実行するように設定されている。この車両は、乗用車、トラック、トランスポータ、バス等、任意の車両であってよい。ナビゲーション装置は、出発地点からナビゲーション目的地に行き着くために、車両を運転する人が車両で走行するルートを計算する。次に、実際のナビゲーション目的地からある程度離れた距離に車両を駐車すれば、人は、本発明に基づく方法および本発明に基づく車両の支援によって、徒歩でナビゲーション目的地まで素早く、簡単に、かつ直感的に行き着くことができる。
【0025】
このように、ナビゲーション装置は、車両が駐車される場所を検出し、本来のナビゲーション目的地に到達するために、人はどの経路を徒歩で移動しなければならないかを、車両周囲に投影されたナビゲーション指示の支援によってその人に示す。ナビゲーション装置は、車両に組み込まれているナビゲーションシステムであってよい。また、スマートフォンなどの携帯端末でも、またはほとんどの場合、「ナビ」と呼ばれる携帯ナビゲーション機器であってもよい。車両またはナビゲーション装置の地理的位置を特定するために、GPS、Beidou、Galileo等の全地球航法衛星システムを使用することができる。演算器は、ナビゲーション装置内、プロジェクタ内、または車内に組み込まれていてもよい。例えば、演算器は、中央ボードコンピュータ、テレマチックユニット、または車両サブシステムのその他の制御装置であってよい。演算器または別個の演算器の支援により、少なくとも1つのプロジェクタを制御するための制御コマンドが生成される。
【0026】
本発明に基づく方法および車両のさらなる有利な実施形態は、以下に図を用いて詳しく説明する実施例からも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ナビゲーションを続行するために、ナビゲーション指示を車両周囲に投影する本発明に基づく駐車車両を上から見た図である。
【
図2】単純なナビゲーション指示を上から見た図である。
【
図3】複雑なナビゲーション指示を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、空き駐車スペース11に駐車された本発明に基づく車両2を上から見た図を示している。これは、市街地の駐車スペース11である。駐車スペース11は、道路13と家屋の壁14との間にある歩道上にある。
【0029】
車両2を運転する人は、出発地点から、
図2および
図3において記号で示されているナビゲーション目的地4まで車両2で移動する。しかし、ナビゲーション目的地4の直ぐ近くには空き駐車スペースがないので、車両を運転する人は、空き駐車スペース11に車両2を駐車した。ナビゲーション目的地4に行き着くためには、その人は残りの区間を徒歩で移動しなければならない。空き駐車スペース11がナビゲーション目的地4から遠く離れているほど、また市街地に曲がり角が多いほど、その人にとって経路探索は難しくなる。さらに、空き駐車スペース11に車両2を駐車した後、本来のナビゲーション目的地4がどの方向に位置しているかを見つけるため、もう一度位置確認をする必要がある。
【0030】
人が車両2を駐車した後でナビゲーション目的地4に到達しやすくするため、本発明に基づく車両2は、ナビゲーション指示を車両周囲に投影するための少なくとも1つのプロジェクタ3と、ルート探索のためのナビゲーション装置9と、センサ信号の解析、ルート計算、および/または少なくとも1つのプロジェクタ3の制御を行うための演算器10とを備える。このとき、演算器10は、ナビゲーション装置9にも組み込まれていてよい。
【0031】
プロジェクタ3は、例えば車両2の外部ミラー7に組み込まれていてよく、または車両2の前照灯3.1から構成されていてよい。そのようなプロジェクタの支援により、光パターン1が車両周囲に投影され、このとき、光パターン1には、ナビゲーションを続行するためのナビゲーション指示が含まれる。ナビゲーション指示自体は、人がナビゲーション目的地4に到達するまでに選択すべき経路を含んでいる。
【0032】
光パターン1は、車両の前方、側方、および/または後方に投影することができる。一般には、光パターン1を、家屋の壁14のような垂直面に投影することも可能である。
図1の例では、車両2が右前照灯3.1でのみ前方に光パターン1を投影している。しかし、一般には、両方の車両前照灯3.1を光パターン1の投影に使用することも可能である。これにより、特に大きな光パターン1を生成することができる。しかし、車両2の前方に、ここには図示されていない別の車両が駐車している場合、人が視認可能な光パターン1を周囲に投影することはできなくなる。しかし、外部ミラー7に組み込まれたプロジェクタ3の支援により、そのような状況でも人は光パターン1を確実に視認できるようになる。
図1では、車両2の右外部ミラー7に組み込まれているプロジェクタ3でのみ光パターン1が生成される。一般には、左外部ミラー7に組み込まれているプロジェクタ3でもそのような光パターン1を生成することができる。しかし、
図1の例では、これが道路13に投影されることになり、人は、該当する光パターン1(図示されていない)を見るために道路13の領域に立つことになるだろう。これにより、人は交通の妨げになるばかりか、事故に巻き込まれる危険もある。そのため、光パターン1の投影は、歩道12の方向、または家屋の壁14の方向に行うことが好ましい。一般に、車両2は、別の箇所にもプロジェクタ3を有することができる。例えば、バンパ、ドア、テールゲート等にプロジェクタ3を組み込むこともできる。
【0033】
光パターン1の支援、または光パターン1に含まれるナビゲーション指示の支援により、人は、本来車両2で到達すべきナビゲーション目的地4の方向に指示される。これにより、人は、特に簡単かつ迅速に、ナビゲーション目的地4がどの方向にあるかを認識することができ、ナビゲーション目的地4の方向に徒歩で移動することができる。
【0034】
図2は、光パターン1の詳細図である。図示されているのは、該当する外部ミラー7を備える車両2の一部である。外部ミラー7には、プロジェクタ3が、例えば下側に組み込まれている。プロジェクタ3以外に、外部ミラー7は追加的にカメラ8も備えている。カメラ8の支援により、路面ならびに車両2の一部が検出され、それにより、カメラ8によって生成されたカメラ画像における車両2と路面の方向から、外部ミラー7を含む車両ドアが、現在どのようなドア開角度で開いているかを推察することができる。この情報は、車両周囲に対する光パターン1の向きを調整するために使用される。これにより、光パターン1に含まれるナビゲーション指示が実際でもナビゲーション目的地4の方向を指すように、光パターン1を常に投影することが保証される。
【0035】
図2では、光パターン1が矢印の形の記号5を含んでいる。この矢印はナビゲーション目的地4の方向を示し、人は、ナビゲーション目的地4までどの方向に進めばよいかを、迅速かつ簡単に視認することができる。ナビゲーション目的地4は、
図2および
図3においてゴールフラッグによって象徴化されている。
【0036】
本発明に基づく方法の有利な形態によれば、光パターン1または一部の光パターン1は、アニメーション化されていてもよい。例えば、
図2に示されている矢印は、ナビゲーション目的地4の方向に進むこともできる。このことは、実線の矢印と破線の矢印によって象徴化されている。このように、実線の矢印は、破線の矢印の位置まで進むことができる。アニメーションの支援により、人は、ナビゲーション目的地4に到達するためにどの方向に進めばよいかを、より迅速かつ直感的に認識することができる。
【0037】
しかし、人が車両2を単に「道路沿い」に駐車するのではなく、空き駐車スペース11を見つけるために1つまたは複数の交差点に入る必要があった場合、単純な矢印の形のナビゲーション指示では、徒歩でナビゲーション目的地4に到達できる道のりを人に伝えるには十分ではなくなる。
【0038】
しかし、
図3に示されている地
図6の支援により、複雑な駐車状況においてもナビゲーション目的地4に到達できる道のりを人に指示することができる。このとき、
図3に示されている地
図6には、比較的小さな地図部分だけが示されているが、人がナビゲーション目的地4に到達するためにどの経路15を選択すればよいかを認識するには十分である。地
図6は、任意に抽象化することができる。例えば、地
図6は、道路13、車両2、ナビゲーション目的地4を含むことができる。また、道路名称をテキストの形で示すこともできる。
【0039】
しかし、地
図6はまた、例えば経路15が2箇所でそれぞれの道路13を横断するという追加情報を含むこともできる。このことは、斜線で示された2つの面16によって象徴化されている。斜線で示された面16は、例えば信号領域または横断歩道であり得る。ここでも光パターン1は、アニメーションを有していてよい。例えば、斜線で示された面16は点滅してもよく、および/または経路15を構成する個々の点線がナビゲーション目的地4の方向に移動してもよい。
【0040】
また、ナビゲーション目的地4が、現在、車両2からどの程度離れているかという情報も表示することができる。そのような表示は、例えば「徒歩3分」のような時間的表示、および/または例えば「500メートル」のような距離を含むことができる。人が急いでいる場合は、約束の時間を守れるか、それとも場合によっては遅れるかを、これによって推定することができる。
【0041】
人の快適性をさらに改善するため、例えばPoint of Interest(POI)が地
図6に記入されていてもよい。例えばナビゲーション目的地4までの経路15上にカフェがある場合、人はそこでコーヒーを買うことができる。
【0042】
このとき、人は、ナビゲーションルートを車両2のナビゲーション装置9に最初にプログラミングする際、光パターン1がナビゲーション指示を出力する抽象化レベルを規定することができる。これにより、人は、車両2の駐車後にナビゲーション指示の表示に対する自身の要求をかなえることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)に装備されている少なくとも1つのプロジェクタ(3)によって少なくとも1つの光パターン(1)を車両周囲に投影するための方法において、
前記車両(2)の駐車後、ナビゲーション目的地(4)の方向に人を向かわせるため、前記光パターン(1)が、前記ナビゲーション目的地(4)に到達するために選択すべき経路の形で、ナビゲーションを続行するためのナビゲーション指示を含むものであることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記光パターン(1)を用いて、前記車両周囲に、テキスト、少なくとも1つの記号(5)、および/または少なくとも地図(6)が投影されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光パターン(1)は、路面に投影されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記光パターン(1)の少なくとも一部がアニメーション化されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの光パターン(1)を前記車両周囲に投影するために、前記車両(2)の前照灯(3.1)および/または前記車両(2)の外部ミラー(7)に組み込まれたプロジェクタ(3)が使用されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項6】
前記前照灯(3.1)はマトリクスヘッドライトとして設計されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記光パターン(1)が前記車両周囲に対して目標を定めて位置調整されることによって、規定された方向で前記光パターン(1)が前記車両周囲に投影されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項8】
前記光パターン(1)を投影するために外部ミラー(7)に組み込まれた少なくとも1つのプロジェクタ(3)を使用する場合、前記光パターン(1)を前記車両周囲に対して目標を定めて位置調整する際に、前記外部ミラー(7)が接続されている車両ドアのドア開角度が考慮されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ドア開角度が、角度センサによって、および/または前記外部ミラー(7)に組み込まれているカメラ(8)で生成されたカメラ画像の解析によって検出されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのプロジェクタ(3)、ナビゲーション装置(9)、および演算器(10)を備える車両(2)において、
前記プロジェクタ(3)、前記ナビゲーション装置(9)、および前記演算器(10)は、請求項1
または2に記載の方法を実行するように設定されていることを特徴とする、前記車両(2)。
【国際調査報告】