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特表2024-5226633次元印刷用ポリプロピレンランダムコポリマー及びそれから製造されるフィラメント
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  • 特表-3次元印刷用ポリプロピレンランダムコポリマー及びそれから製造されるフィラメント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】3次元印刷用ポリプロピレンランダムコポリマー及びそれから製造されるフィラメント
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/314 20170101AFI20240614BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20240614BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240614BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240614BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/118
B33Y70/00
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576156
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022032889
(87)【国際公開番号】W WO2022261362
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,147
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】バイ,リアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シャオフイ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジル
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA11
4F213AB07
4F213AB11
4F213AB16
4F213AB25
4F213AC02
4F213AR12
4F213AR15
4F213WA25
4F213WA97
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL15
4F213WL22
4F213WL27
4F213WL74
4F213WL87
4F213WL96
(57)【要約】
低収縮特性を有するポリプロピレンポリマーを含有するポリマー組成物が開示される。ポリマー組成物は、3次元印刷システムでの使用に特によく適している。例えば、ポリプロピレンポリマーを含有するポリマー組成物を配合し、フィラメント、ロッド又はペレットに形成した後、3次元プリンタに供給することができる。ポリプロピレンポリマーは、制御された量のコモノマー含有量及びキシレン可溶分含有量を有するランダムポリプロピレンコポリマー又はターポリマーであり得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元押出印刷システム用のポリマー材料であって、前記ポリマー材料は、3次元印刷システムに供給するのに適したサイズ及び形状を有する供給原料を含み、前記供給原料は、ポリマー組成物から構成され、前記ポリマー組成物は、約60重量%を超える量のポリプロピレンポリマーを含み、前記ポリプロピレンポリマーは、ポリプロピレンランダムコポリマー又はターポリマーを含み、前記ポリプロピレンポリマーは、約20g/10分~約200g/10分のメルトフローレートを有し、前記ポリプロピレンポリマーは、
主モノマーとして、エチレン又はブテンの少なくとも1種のコモノマーを含有するプロピレンと、
約3重量%~約25重量%の総コモノマー含有量と、
0重量%~約10重量%のエチレン含有量と、
0重量%~約20重量%のブテン含有量と、
約4.5重量%~約45重量%のキシレン可溶分含有量と、を含む、ポリマー材料。
【請求項2】
前記供給原料がフィラメントを含み、前記フィラメントが、約0.5mm~約5mm、例えば約1mm~約4mmのフィラメント直径を有する、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項3】
前記供給原料がポリマーペレット又はポリマーロッドを含む、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項4】
前記ポリプロピレンポリマーが、約3重量%~約10重量%のエチレン含有量を有するプロピレンとエチレンとのコポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項5】
前記ポリプロピレンポリマーが、約5重量%~約9重量%のエチレン含有量を有するプロピレンとエチレンとのコポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項6】
前記ポリプロピレンポリマーが、約5重量%~約20重量%のブテン含有量を有するプロピレンとブテンとのコポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項7】
前記ポリプロピレンポリマーが、プロピレン、エチレン、及びブテンターポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項8】
前記ポリプロピレンポリマーが、約5重量%~約40重量%のキシレン含有量を有する、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項9】
前記ポリプロピレンポリマーが約50%未満の結晶化度を有する、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項10】
前記ポリプロピレンポリマーが、約2.5~約10の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項11】
前記ポリマー組成物が充填剤を更に含む、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項12】
前記充填剤が、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、又はそれらの混合物を含む、請求項11に記載のポリマー材料。
【請求項13】
前記充填剤が、約0重量%~約40重量%の量で前記ポリマー組成物中に存在する、請求項11又は請求項12に記載のポリマー材料。
【請求項14】
前記ポリプロピレンポリマーが、非フタレート触媒を使用してチーグラー・ナッタ触媒されている、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項15】
前記ポリプロピレンポリマーが、約70重量%を超える量で前記ポリマー組成物中に存在する、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項16】
前記ポリマー組成物が、核形成剤を更に含む、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項17】
前記ポリマー組成物が加工助剤を更に含む、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のポリマー材料を含む、3次元押出印刷システム用のプリンタカートリッジ。
【請求項19】
前記供給原料がフィラメントを含み、前記フィラメントが前記プリンタカートリッジ内のスプールの周りに巻かれている、請求項18に記載のプリンタカートリッジ。
【請求項20】
3次元印刷装置と、請求項18に記載のプリンタカートリッジとを備える3次元印刷システム。
【請求項21】
請求項1~17のいずれか一項に記載のポリマー材料から形成される3次元物品。
【請求項22】
前記物品が前記ポリマー材料から層ごとに形成された、請求項21に記載の3次元物品。
【請求項23】
請求項1~17のいずれか一項に記載のポリマー材料を含むポリマー材料から3次元構造を選択的に形成することを含む、3次元物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月10日に出願された米国仮特許出願第63/209,147号の利益を主張し、その内容が任意及び全ての目的で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
付加製造の1つのタイプは、3次元印刷と呼ばれる。3次元印刷中、部品は、デジタルモデルから3次元物体を作成するために、層ごとに形成又は構築される。3次元印刷によって、複雑な形状を有する部品を迅速かつ経済的な方法で設計及び作成することができる。例えば、3次元印刷を使用して、試験することができるプロトタイプを迅速に製造することができる。技術が進歩するにつれて、3次元印刷はまた、全ての異なる産業及び分野において部品及び物品を大量生産するために使用されることができる。
【0003】
3次元印刷の1つのタイプにおいて、ポリマーフィラメントは、加熱されたノズルに供給され、ノズルは、溶融熱可塑性材料を堆積表面上に堆積させる。溶融熱可塑性材料は、3次元印刷物品が形成されるまで、一度に1層ずつ塗布される。特定の形状を有する3次元物品を製造するために、溶融熱可塑性ポリマーがノズルを通して押し出されている間に、ノズル、堆積表面、又はその両方が移動される。異なる構成要素の移動は、コンピュータ支援設計を使用してコンピュータによって制御することができる。
【0004】
例えば、3次元印刷に使用される熱可塑性ポリマーは、圧密物品を形成するために層状に塗布されたときに互いに熱的に結合することができなければならない。更に、熱可塑性ポリマーは低収縮特性を有するべきである。ポリマーがプロセス中及び部品が形成された後に収縮する傾向を有する場合、印刷部品の角部を持ち上げて変形させる反りが生じ得る。例えば、熱可塑性ポリマーは、加熱されると膨張し、その後、冷却して固化するにつれて収縮する傾向を有する。熱可塑性ポリマーが過度に収縮すると、印刷された物品の異なる層が分離して、著しい反りだけでなく欠陥部分をもたらす可能性がある。ポリマー収縮は、印刷物品を製造するために使用されるフィラメントにおいても問題となり得る。例えば、熱可塑性ポリマーフィラメントは、印刷中にバルク収縮を受ける可能性があり、これはまた、得られる物品の最上層に欠陥を引き起こす可能性がある。これらの欠陥は、より高い分子量及びより高い弾性を有するプリントフィラメントの収縮に起因する。
【0005】
3次元印刷において過去に使用されてきた熱可塑性ポリマーとしては、ポリ乳酸及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)が挙げられる。ポリ乳酸及びABSは一般に、約1%以下の収縮特性を示す。しかしながら、ポリ乳酸及びABSは、望ましい層間接着力よりも低い層間接着力を示す。ABSポリマーはまた、3次元印刷プロセス中にVOCを生成する可能性がある。一方、ポリ乳酸は親水性であり、印刷中に問題を引き起こす可能性がある。したがって、ポリ乳酸フィラメントは、典型的には、印刷プロセスの前に湿気を避けるために密封パッケージで保管される必要がある。
【0006】
ポリ乳酸及びABSは様々な欠点を有するが、ポリプロピレンポリマーなどのいくつかの熱可塑性ポリマーは、収縮及び反りの問題のために、3次元印刷プロセスにおいてあまり使用されていない。しかしながら、ポリプロピレンポリマーは、ポリマーを成形品の製造における使用に十分に適したものにする優れた物理的特性を有する。したがって、上記に鑑みて、3次元印刷プロセスにおいて使用することができるポリプロピレンポリマーを含有するポリマー組成物に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
一般に、本開示は、3次元物品を製造するための材料押出プロセスにおける使用によく適したポリプロピレンポリマーを含有するポリマー組成物に関する。本開示は、3次元押出印刷システムのためのポリマー材料も対象とする。本開示によれば、ポリプロピレンポリマーを含有するポリマー組成物は、低い収縮及び反り特性を示すように配合される。
【0008】
一実施形態では、例えば、本開示は、3次元押出印刷システムのためのポリマー材料に関する。ポリマー材料は、3次元印刷システムに供給されるのに適したサイズ及び形状を有する供給原料の形態である。供給原料は、連続フィラメントを含んでもよい。フィラメントの形態である場合、フィラメントは、約0.5mm~約6mm、例えば約1.0mm~約4mmのフィラメント直径を有することができる。あるいは、供給原料は、ポリマーペレット又はポリマーロッドを含んでもよい。本開示によれば、供給原料は、約50重量%を超える量のポリプロピレンポリマーを含有するポリマー組成物からなる。例えば、ポリマー組成物は、約60重量%を超える量、例えば、約70重量%を超える量、例えば、約80重量%を超える量、例えば、約90重量%を超える量のポリプロピレンポリマーを含むことができる。
【0009】
ポリマー材料に含まれるポリプロピレンポリマーは、3次元印刷プロセスで使用するために特に構成される。ポリプロピレンポリマーは、例えば、ポリプロピレンランダムコポリマー又はターポリマーを含む。より具体的には、ポリプロピレンポリマーは、主モノマーとしてプロピレンを含み、エチレン又はブテンの少なくとも1つのコモノマーを含有する。ポリプロピレンポリマーの総コモノマー含有量は、約3重量%~約25重量%である。例えば、ポリプロピレンポリマーは、0重量%~約10重量%のエチレン含有量を有することができ、0重量%~約20重量%のブテン含有量を有することができる。ポリプロピレンポリマーは、約4.5重量%~約45重量%、例えば約5重量%~約30重量%、例えば約10重量%~約30重量%のキシレン可溶分含有量を有することができる。一態様では、キシレン可溶分含有量は、約12%超、例えば約18%超、例えば約20%超であり得る。例えば、ポリプロピレンポリマーは、約20g/10分~約200g/10分、例えば約20g/10分~約100g/10分のメルトフローレートを有することができる。
【0010】
一実施形態において、ポリプロピレンポリマーは、プロピレンとエチレンとのコポリマーを含む。コポリマーは、約3重量%~約10重量%、例えば約5重量%~約9重量%のエチレン含有量を有することができる。あるいは、ポリプロピレンポリマーは、プロピレンとブテンのコポリマーを含むことができる。プロピレン及びブテンランダムコポリマーは、約5重量%~約20重量%、例えば約10重量%~約18重量%のブテン含有量を有することができる。更に別の実施形態において、ポリプロピレンポリマーは、プロピレン、エチレン、及びブテンターポリマーを含むことができる。
【0011】
ポリプロピレンポリマーは、約50%未満、例えば約40%未満の結晶化度を有することができる。ポリプロピレンポリマーは、約2.5~約10、例えば約3~約6の分子量分布(Mw/Mn)を有することができる。ポリプロピレンポリマーは、例えば非フタレート触媒を使用してチーグラー・ナッタ触媒され得る。触媒は、例えば、置換フェニレンジエステルを含むことができる。
【0012】
一態様では、ポリマー材料は、ポリプロピレンポリマーに加えて1つ以上の充填剤を含有することができる。充填剤は、例えば、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、又はそれらの混合物であり得る。充填剤は、ポリマー組成物中に約0重量%~約40重量%の量で存在することができる。
【0013】
本開示は、3次元押出印刷のためのプリンタカートリッジも対象とする。プリンタカートリッジは、上述のようなポリマー材料から作られた供給原料を含む。例えば、フィラメントの形態である場合、ポリマー材料は、スプールの周りに巻かれたプリンタカートリッジ内に含まれ得る。
【0014】
本開示はまた、上述のような3次元印刷装置及びプリンタカートリッジを備える3次元印刷システムに関する。本開示はまた、材料押出プロセスにおいて層ごとに形成された3次元物品に関する。本開示はまた、上述のポリマー材料から3次元構造を選択的に形成することを含む材料押出方法に関する。
【0015】
本開示の他の特徴及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の完全かつ有効な開示は、添付の図面を参照することを含む、本明細書の残りの部分においてより具体的に記載される。
図1】本開示に従って使用され得る材料押出システムの一実施形態の平面図である。
図2】本開示に従って使用され得るプリンタカートリッジの一実施形態の斜視図である。
図3】以下の実施例に記載される反り試験に使用されるモデルの寸法を示す斜視図である。
図4】以下の実施例に記載される反り試験に使用される別のモデルの寸法を有する斜視図である。
【0017】
本明細書及び図面における参照文字の繰り返し使用は、本発明の同じ又は類似の特色又は要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
当業者は、本考察が例示的な実施形態の説明のみであり、本開示のより広い態様を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、要素を記載する文脈において(特に、後続の特許請求の範囲の文脈において)、「a」及び「an」及び「the」及び同様の指示語等の単数形冠詞は、本明細書において別段の記載がないか、又は文脈によって明確に矛盾することがない限り、単数形及び複数形の両方を網羅するよう解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別途指示がない限り、この範囲内に属する各別個の値を個々に指す簡略な方法の役目を果たすことを意図しているに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別途指示がない限り、又は別様に内容が明らかに矛盾していない限り、任意の好適な順序で行われ得る。本明細書に提供されるあらゆる及び全ての例、又は例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、実施形態をよりよく説明することを意図しているに過ぎず、別途指示がない限り、特許請求の範囲に制限を課すものではない。本明細書における文言は、任意の請求されない要素を不可欠なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者に理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化するであろう。当業者に明確ではない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮して、「約」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味し、例えば、「約10重量%」は、「9重量%~11重量%」を意味することが理解される。「約」が用語の前にあるとき、その用語は、「約」による変更なしのその用語と同様の用語を開示するものとして解釈されるべきであることが理解されるべきであり、例えば、「約10重量%」は、「9重量%~11重量%」を開示し、及び「10重量%」を開示している。
【0021】
本開示で使用される「及び/又は」という句は、列挙されたメンバーのいずれか1つを個別に、又はそれらの任意の2つ以上の組合せを意味すると理解され、例えば、「A、B、及び/又はC」は、「A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、又はA、B、及びCの組合せ」を意味する。
【0022】
当業者によって理解されるように、あらゆる及び全ての目的で、特に書面による説明を提供するという観点で、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる及び全ての可能性のある部分範囲及びその部分範囲の組み合わせも包含する。いずれの列挙された範囲も、同じ範囲が、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに細分されることを十分に記載し、それを可能にすることが簡単に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、及び上部3分の1などに容易に細分され得る。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「を超える」、「未満」などの全ての文言は、列挙される数を含み、かつその後、上で論じた部分範囲に細分され得る範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の原子を有する群は、1、2、又は3個の原子を有する群を指す。同様に、1~5個の原子を有する群は、1、2、3、4、又は5個の原子を有する群などを指す。
【0023】
「プロピレン-エチレンコポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、エチレンモノマーを二次構成成分として有する大部分の重量パーセントのプロピレンモノマーを含有するコポリマーである。「プロピレン-エチレンコポリマー」(ポリプロピレンランダムコポリマー、PPR、PP-R、RCP、又はRACOとも呼ばれる)は、ポリマー鎖中にランダム又は統計的分布で存在するエチレンモノマーの個々の繰り返し単位を有するポリマーである。
【0024】
「プロピレン-ブテンコポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、ブテンモノマーを二次構成成分として有する大部分の重量パーセントのプロピレンモノマーを含有するコポリマーである。「プロピレン-ブテンコポリマー」(また、ポリプロピレン-ブテンランダムコポリマーとも呼ばれる)は、ポリマー鎖中にランダム又は統計的分布で存在するブテンモノマーの個々の繰り返し単位を有するポリマーである。
【0025】
メルトフローレート(Melt flow rate、MFR)は、本明細書で使用される場合、プロピレン系ポリマーについて2.16kgの重量で230℃でASTM D1238試験法に従って測定される。
【0026】
キシレン可溶分(XS)は、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂の試料を高温キシレンに溶解し、溶液を25℃に冷却した後に溶液中に残る樹脂の重量パーセントとして画定される。これは、90分の沈殿時間を使用するASTM D5492-06による重量XS法とも呼ばれ、本明細書では「湿式法」とも呼ばれる。XSはまた、以下のようなViscotek Flow Injection Polymer Analysis (FIPA)法に従って測定することができる。0.4gのポリマーを、130℃で60分間撹拌しながら20mLのキシレンに溶解する。次いで、溶液を25℃に冷却し、60分後、不溶性ポリマー画分を濾別する。得られた濾液を、THF移動相を1.0mL/分で流すViscotek ViscoGEL H-100-3078カラムを使用するフローインジェクションポリマー分析によって分析する。カラムを、45℃で動作する光散乱の粘度計及び屈折計検出器を備えたViscotek Model 302 Triple Detector Arrayに結合する。機器較正を、Viscotek PolyCAL(商標)ポリスチレン標準で維持する。二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)グレードのDow5 D98などのポリプロピレン(PP)ホモポリマーは、方法の性能をチェックするための対照として5D98を使用することにより、Viscotek機器と試料前処理手順で一貫した結果が得られることを保証するための参照物質として使用される。5D98の値は、最初は上記のASTM方法を使用した試験から導出される。
【0027】
上述のASTM D5492-06法は、キシレン可溶性部分を決定するために適合され得る。一般に、手順は、2gの試料を秤量すること、及び24/40の継手を備えた400mLフラスコ中で200mLのo-キシレンに試料を溶解することからなる。フラスコを水冷凝縮器に接続し、内容物を撹拌し、窒素(N2)下で加熱還流し、次いで、更に30分間還流を維持する。次いで、溶液を25℃の温度制御された水浴中で90分間冷却して、キシレン不溶性画分の結晶化を可能にする。溶液が冷却され、不溶性画分が溶液から沈殿すると、キシレン不溶部分(xylene insoluble、XI)からのキシレン可溶性部分(XS)の分離は、25ミクロン濾紙を通して濾過することによって達成される。100mlの濾液を予め秤量したアルミニウムパンに収集し、o-キシレンをこの100mlの濾液から窒素流下で蒸発させる。溶媒が蒸発したら、パン及び内容物を100℃の真空オーブンに30分間又は乾燥するまで入れる。次いで、パンを室温まで冷却し、秤量する。キシレン可溶性部分は、XS(重量%)=[(m-m2/m100として計算され、式中、mは使用される試料の元の重量であり、mは空のアルミニウムパンの重量であり、mはパン及び残留物の重量である(本明細書及び本開示の他の箇所のアスタリスクは、識別された用語又は値が乗算されることを示す)。
【0028】
エチレン又はブテン含有量はまた、フーリエ変換赤外法(Fourier Transform Infrared method、FTIR)を使用して測定され、これは、最初の方法として、13C NMRを使用して決定されたエチレン又はブテン値に相関される。ポリマー中のモノマーの配列分布は、13C-NMRによって決定することができ、これにより、隣接するプロピレン残基に関連してブテン残基を位置特定することもできる。13C NMRは、エチレン含有量、ブテン含有量、三連子分布、及び三連子タクチシティを測定するために使用することができ、以下のように実行される。
・試料は、0.025MのCr(AcAc)3を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物約2.7gをNorell 1001-710mmのNMR管内の試料0.20gに添加することによって調製される。加熱ブロックを使用して管及びその内容物を150℃に加熱することによって、試料は、溶解及び均質化される。各試料は、均質性を確実にするために目視検査される。
・データは、Bruker Dual DUL 高温CryoProbeを備えたBruker400MHz分光計を使用して収集される。データは、データファイルごとに512のトランジェント、6秒のパルス反復遅延、90度のフリップ角、及び120℃の試料温度での逆ゲート減結合を使用して取得される。全ての測定は、ロックモードで非スピン試料に対して行われる。試料を、データ取得の前に10分間熱平衡化させる。mmタクチシティのパーセント及びブテンの重量%は、当該技術分野で一般的に使用される方法に従って計算し、これは、以下のように簡潔に要約される。
・共鳴の化学シフトの測定に関して、頭-尾結合からなり、同じ相対キラリティを有する5個の連続プロピレン単位の配列中の第3の単位のメチル基は、21.83ppmに設定される。上述の値を参照として使用することによって、他の炭素共鳴の化学シフトが決定される。メチル炭素領域(17.0~23ppm)に関するスペクトルは、第1の領域(21.1~21.9ppm)、第2の領域(20.4~21.0ppm)、第3の領域(19.5~20.4ppm)、及び第4の領域(17.0~17.5ppm)に分類することができる。スペクトル中の各ピークは、例えば、Polymer,T.Tsutsui et al.,Vol.30,Issue 7,(1989)1350-1356及び/又はMacromolecules,H.N.Cheng,17(1984)1950-1955(これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる)における論文などの文献源を参照して帰属される。
便宜上、ブテン含有量はまた、フーリエ変換赤外法(Fourier Transform Infrared method、FTIR)を使用して測定され、これは、最初の方法として、上記の13C NMRを使用して決定されたブテン値に相関される。2つの方法を使用して実施された測定間の関係及び一致は、例えば、J.R.Paxson,J.C.Randall,「Quantitative Measurement of Ethylene Incorporation into Propylene Copolymers by Carbon-13 Nuclear Magnetic Resonance and Infrared Spectroscopy」,Analytical Chemistry,Vol.50,No.13,Nov.1978,1777-1780に記載されている。
【0029】
Mw/Mn(「MWD」とも呼ばれる)及びMz/Mwは、ポリプロピレンのゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)分析方法に従ってGPCによって測定される。ポリマーは、IR5 MCT(テルル化カドミウム水銀高感度、熱電冷却IR検出器)、Polymer Charの四細管粘度計、Wyattの8角MALLS、及び3つのAgilent Plgel Olexis(13um)を備えた、Polymer Char High Temperature GPCで分析する。オーブン温度を150℃に設定する。溶媒は、約200ppmの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含有する窒素パージされた1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。流速は1.0mL/分であり、注入量は200μlであった。2mg/mLの試料濃度は、試料をN2パージ及び予熱したTCB(200ppmのBHTを含有)に、穏やかに撹拌しながら160℃で2時間溶解させることによって調製する。データ処理の目的のために、積分限界は、低分子量で3500g/molに対応し、シグナル強度が高分子量でベースラインと一致する点に設定される。
【0030】
GPCカラムセットは、20種の狭い分子量分布のポリスチレン標準を実行することによって較正される。標準の分子量(MW)は266~12,000,000g/molの範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有されていた。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも1ディケードの分離を有する。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量については20mLの溶媒中0.005gで、1,000,000g/mol未満の分子量については20mLの溶媒中0.001gで調製される。ポリスチレン標準を撹拌しながら160℃で60分間溶解する。狭い標準混合物が最初に実行され、分解の影響を最小限に抑えるために、分子量が最も高い成分の順で実行する。対数分子量較正は、溶出体積の関数として4次多項式フィットを使用して生成される。同等のポリプロピレン分子量は、報告されているポリプロピレン(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,and A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.,29,3763-3782(1984))及びポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971))のMark-Houwink係数を使用して次の式を使用して計算され、
【0031】
【数1】
式中、MppはPP相当のMWであり、MPSはPS相当のMWであり、logK、並びにPP及びPSのMark-Houwink係数の値は、以下の表に列挙する。
【0032】
【表1】
【0033】
アイゾット衝撃強度は、ASTM D 4101により調製された試験片を用いてASTM D256に従って測定される。
【0034】
融点又は溶融温度及び結晶化温度は、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)を使用して決定される。融点は、試験中に形成される一次ピークであり、典型的には、形成する二次ピークである。「結晶性」という用語は、結晶構造を形成する原子又は分子の配列の規則性を指す。ポリマー結晶性は、DSCを使用して調べることができる。Tmeは、溶融が終了する温度を意味し、Tmaxは、ピーク溶融温度を意味し、両方とも、最終加熱工程からのデータを使用してDSC分析から当業者によって決定される。DSC分析のための1つの好適な方法は、TA Instruments,IncからのモデルQ1000(商標)DSCを使用する。DSCの較正は、以下の様態で実行される。最初に、アルミニウムDSCパン内で、いずれの試料もない状態でセルを-90℃から290℃まで加熱することによってベースラインを得る。次いで、7ミリグラムの新鮮なインジウム試料を、試料を180℃まで加熱し、試料を10℃/分の冷却速度で140℃まで冷却し、続いて試料を140℃で1分間等温的に保ち、続いて試料を10℃/分の加熱速度で140℃から180℃まで加熱することによって分析する。インジウム試料の融解熱及び溶融の開始を決定し、溶融の開始については156.6℃から0.5℃以内であり、融解熱については28.71J/gから0.5J/g以内であることを確認する。次いで、脱イオン水を、DSCパン中の新鮮な試料の小滴を10℃/分の冷却速度で25℃から-30℃まで冷却することによって分析する。試料を-30℃で2分間等温的に保ち、10℃/分の加熱速度で30℃まで加熱する。溶融の開始を決定し、0℃から0.5℃以内であることを確認する。
【0035】
高結晶性ポリプロピレンポリマーにおける結晶化度を決定する1つの方法は、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)によるものである。プロピレンポリマーの小さい試料(ミリグラムサイズ)をアルミニウム製DSCパン中に密封する。試料を25センチメートル/分の窒素パージを用いてDSCセルに入れ、約-80℃に冷却する。10℃/分で225℃まで加熱することによって、試料について標準的な熱履歴を確立する。次いで、試料を約-80℃に冷却し、10℃/分で225℃まで再加熱する。2回目の走査で観察された融解熱(ΔH観察)を記録する。観察された融解熱は、以下の式によって、ポリプロピレン試料の重量に基づく重量パーセントで結晶化度に関連付けられる。
【0036】
【数2】
ここで、B.Wunderlich,Macromolecular Physics,Volume 3,Crystal Melting,Academic Press,New Your,1980,p 48において報告されているように、アイソタクチックポリプロピレンの融解熱(ΔHアイソタクチックPP)は、164.92ジュール/ポリマー1グラム(Joules per gram、J/g)である。
【0037】
あるいは、結晶化度はまた、加熱結晶化熱(heat of crystallization upon heating、HCH)法を使用して決定され得る。HCH法では、試料を200℃で平衡化し、その温度で3分間保持する。等温工程の後、データ保存をオンにし、試料を10℃/分で-80℃まで傾斜を設ける。-80℃に到達したら、データサンプリングを停止し、試料をその温度で3分間保持する。第2の等温工程の後、データ保存をオンにし、試料を10℃/分で200℃まで傾斜を設ける。
【0038】
一般に、本開示は、付加製造のための、特に3次元押出印刷システムで使用するためのポリマー組成物又はポリマー材料に関する。本開示はまた、印刷カートリッジ、3次元印刷システム、及びポリマー材料から3次元物品を形成するための方法に関する。一般に、ポリマー材料又はポリマー組成物はポリプロピレンポリマーを含有する。より詳細には、ポリマー組成物は、1つ以上のコモノマーを含有するポリプロピレンランダムコポリマー又はランダムターポリマーを含有する。コモノマーは、例えば、α-オレフィンコモノマーを含むことができ、エチレン、ブテン、又はそれらの混合物であることができる。
【0039】
本開示のポリマー組成物は、3次元プリンタシステム、特に材料押出を使用するプリンタシステムにおけるポリマー材料として使用することができる。例えば、本開示のポリプロピレンポリマーは、多くの他の望ましい物理的特性と組み合わせて、溶融加工中に最小量の収縮を示すように特に配合される。例えば、3次元印刷システムを使用して本開示に従って作製されたポリマー物品は、反りをほとんど又は全く示さない。
【0040】
加えて、本開示のポリプロピレンランダムコポリマー又はターポリマーは、他の熱可塑性ポリマー、特にポリ乳酸及びABSなどの3次元印刷において従来使用されているポリマーに勝る多くの利点を提供する。例えば、本開示のポリプロピレンポリマーは、ポリ乳酸ポリマー及びABSポリマーよりも良好な耐薬品性を有する。ポリ乳酸及びABSと比較して、本開示のポリプロピレンポリマーはまた、3次元印刷プロセス中に2つの隣接する融合層間のより良好な層間接着を示す。このようにして、本開示に従って作製された印刷物品は、改善された機械的強度を示すことができる。本開示のポリプロピレンポリマーはまた、印刷中に揮発性有機化合物を放出せず、疎水性であり、湿気が印刷プロセスを妨げることを防止する。本開示のポリプロピレンポリマーはまた、比較的強靭であり、ポリ乳酸よりも高い耐衝撃性を示す。
【0041】
本開示によるポリプロピレンポリマーの配合において、キシレン可溶分含有量を増加させ、ポリマーの結晶化度を低下させるために、コモノマーがポリマー鎖に導入される。低下した結晶化度は、ポリマーの収縮特性を低下させ、3次元印刷プロセスに従って形成されるポリマー物品の反りを最小限に抑える。ポリプロピレンポリマーの結晶化度は、約50%未満、例えば約48%未満、例えば約46%未満、例えば約44%未満、例えば約42%未満、例えば約40%未満、例えば約38%未満であり得る。結晶化度は一般に約10%より大きく、例えば約20%より大きい。
【0042】
一態様において、本開示のポリプロピレンランダムコポリマー又はターポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒を使用して作製される。チーグラー・ナッタ触媒ではあるが、ポリプロピレンポリマーは比較的狭い分子量分布を有するように配合することができる。例えば、ポリマーの分子量分布を狭くすることも、3次元印刷中の反りの問題を制御するのに役立つと考えられる。知られていないが、狭い分子量分布は、印刷中の剪断応力結晶化における核としてより少ない長鎖分子を提供し得、これは、結晶化速度を減速させ、収縮及び反りを低減させ得ると考えられる。加えて、狭い分子量分布を有するポリプロピレンポリマーは、球晶に接続されたより少ない結合鎖を有し得、これは、冷却中の球晶間のより少ない長距離収縮をもたらすと考えられる。例えば、本開示のポリプロピレンポリマーは、約10未満、例えば約8未満、例えば約6未満、例えば約4未満、かつ一般に約2超、例えば約2.5超、例えば約2.8超、例えば約3超の分子量分布(Mw/Mn)を有することができる。
【0043】
本開示のポリプロピレンポリマーは、少なくとも1つのコモノマーと組み合わされた大部分の重量パーセントのプロピレンモノマーを含むことができる。コモノマーは、1つ以上のアルファ-オレフィンであり得る。コモノマーは、例えば、エチレンであってもよく、ブテンであってもよく、又はエチレンとブテンとの組合せであってもよい。ポリプロピレンポリマーの総コモノマー含有量は、一般に約3%超、例えば約5%超、例えば約8%超であり、一般に約25%未満、例えば約18%未満である。
【0044】
一態様において、ポリプロピレンポリマーは、プロピレンとエチレンとのランダムコポリマーである。プロピレン-エチレンランダムコポリマーのエチレン含有量は、約3重量%超、例えば約4重量%超、例えば約5重量%超、例えば約6重量%超、例えば約7重量%超、かつ一般に約10重量%未満、例えば約9重量%未満であり得る。
【0045】
代替的には、ポリプロピレンポリマーは、ポリプロピレン-ブテンランダムコポリマーとすることができる。コポリマーのブテン含有量は、約5重量%超、例えば約7重量%超、例えば約9重量%超、例えば約11重量%超、例えば約13重量%超、かつ一般に約20重量%未満、例えば約18重量%未満であり得る。
【0046】
更に別の実施形態では、ポリプロピレンポリマーは、プロピレン-エチレン-ブテンターポリマーであり得る。ターポリマーは、エチレンを約1重量%~約10重量%の量で含有することができ、ブテンを約3重量%~約20重量%の量で含有することができる。
【0047】
本開示のポリプロピレンポリマーは、一般に、約4.5重量%超のキシレン可溶分(XS)含有量を有する。例えば、ポリプロピレンポリマーは、約7重量%超、例えば約10重量%超、例えば約12重量%超、例えば約15重量%超、例えば、約17重量%超、例えば、約20重量%超、例えば、約22重量%超のキシレン可溶分含有量を有することができる。キシレン可溶分含有量は一般に約45重量%未満、例えば約30重量%未満である。
【0048】
組成物中に存在するポリプロピレンポリマーは、一般に、約20~約100g/10分の範囲のメルトフローインデックス(MFI)を有することができるが、より高い又はより低いメルトフローインデックスを有するポリプロピレンも本明細書に包含される。例えば、ポリプロピレンポリマーは、約25g/10分を超えるメルトフローインデックスを有し得、例えば、約30g/10分を超え、例えば、約35g/10分を超え、例えば、約40g/10分を超え得る。ポリプロピレンポリマーのメルトフローインデックスは、約200g/10分未満であり得、例えば、約100g/10分未満、例えば、約80g/10分未満、約70g/10分未満、約60g/10分未満、約55g/10分未満であり得る。
【0049】
ポリプロピレンポリマーは、ポリプロピレンポリマー組成物中に、少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも96重量%の量で存在し得る。一実施形態において、ポリプロピレンポリマー組成物は、ほぼ排他的にポリプロピレンポリマーを含有することができる。例えば、ポリプロピレンポリマーは、約96重量%を超える量で存在することができ、例えば約97重量%を超える量、例えば約98重量%を超える量、例えば約99重量%を超える量で存在することができる。
【0050】
一実施形態では、本開示のポリプロピレンポリマーは、過酸化物分解することができ、これはメルトフローレートを増加させ、分子量分布を減少させることができる。
【0051】
過酸化物クラッキングはまた、ビスブレーキングプロセスとも称される。ビスブレーキング中、ポリプロピレンポリマーのより高いモル質量鎖は、より低いモル質量鎖との関連で切断される。ビスブレーキングは、ポリマーの平均分子量の全体的な減少及びメルトフローレートの上昇をもたらす。ビスブレーキングによって、より低い分子量分布又は多分散インデックスを有するポリマーを製造することができる。ポリマー内で起こるビスブレーキングの量は、クラッキング比を用いて定量化することができる。クラッキング比は、ポリマーの最終メルトフローレートをポリマーの初期メルトフローレートで割ることによって計算される。
【0052】
ランダムポリプロピレンコポリマーは、ビスブレーキング剤として過酸化物を使用して、本開示によるビスブレーキングに供することができる。典型的な過酸化物ビスブレーキング剤は、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン(DHBP)、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチル-ペルオキシ)ヘキシン-3(DYBP)、ジクミル-ペルオキシド(DCUP)、ジ-tert-ブチル-ペルオキシド(DTBP)、tert-ブチル-クミル-ペルオキシド(BCUP)、及びビス(tert-ブチルペルオキシ-イソプロピル)ベンゼン(DIPP)である。上記の過酸化物は、単独で又はブレンドで使用することができる。
【0053】
ランダムポリプロピレンコポリマーのビスブレーキングは、第1の押出機での溶融加工中に実施され得る。例えば、ランダムポリプロピレンコポリマーを押出機を通して供給することができ、ポリマーが溶融状態になったら、ビスブレーキング剤を押出機に添加することができる。あるいは、ビスブレーキング剤をポリプロピレンポリマーとプレブレンドすることができる。一態様では、例えば、ビスブレーキング剤を最初にポリプロピレンポリマーなどのポリマーと配合して、マスターバッチを形成することができる。次いで、ビスブレーキング剤を含有するマスターバッチをポリプロピレンポリマーとブレンドし、押出機を通して供給することができる。更に別の態様では、ビスブレーキング剤は、ポリマー粉末上に吸収されるなどして、ランダムポリプロピレンコポリマーと物理的にブレンドされ得る。一般に、任意の好適な押出機をビスブレーキング中に使用することができる。例えば、押出機は、単軸押出機、逆回転二軸押出機、同方向回転二軸押出機、遊星歯車押出機、リング押出機、又は任意の好適な混練装置であることができる。
【0054】
ランダムポリプロピレンコポリマーに添加されるビスブレーキング剤の量は、所望のクラッキング比を含む様々な要因に依存し得る。一般に、ビスブレーキング剤又は過酸化物は、約0.001重量%超、例えば約0.005重量%超、例えば約0.01重量%超、例えば約0.015重量%超、例えば約0.02重量%超、例えば約0.04重量%超、例えば約0.05重量%超、例えば約0.08重量%超の量でランダムポリプロピレンコポリマー又はターポリマーに添加され得る。一般に、ビスブレーキング剤は、約0.2重量%未満の量、例えば約0.15重量%未満の量、例えば約0.1重量%未満の量でポリプロピレンポリマーに添加される。
【0055】
本開示のポリプロピレンポリマーは、異なる方法で形成することができる。一実施形態では、ポリマーはチーグラー・ナッタ触媒される。触媒は、例えば、特定の用途に応じて変化し得る固体触媒成分を含むことができる。
【0056】
固体触媒成分は、(i)マグネシウム、(ii)周期表IV~VIII族の元素の遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、並びに/又は(i)及び/若しくは(ii)のアルコキシド、並びに(iv)(i)、(ii)、及び(iii)の組み合わせを含み得る。好適な触媒成分の非限定的な例としては、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、及びマグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、及びそれらの組み合わせのアルコキシドが挙げられる。
【0057】
一実施形態では、触媒成分の調製は、混合マグネシウム及びチタンアルコキシドのハロゲン化を含む。
【0058】
様々な実施形態では、触媒成分は、マグネシウム部分化合物(MagMo)、混合マグネシウムチタン化合物(MagTi)、又は安息香酸含有塩化マグネシウム化合物(BenMag)である。一実施形態では、触媒前駆体は、マグネシウム部分(「MagMo」)前駆体である。MagMo前駆体は、マグネシウム部分を含む。好適なマグネシウム部分の非限定的な例としては、無水塩化マグネシウム及び/又はそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド若しくはアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハライド、及び/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド又はアリールオキシドが挙げられる。一実施形態では、MagMo前駆体は、マグネシウムジ(C1~4)アルコキシドである。更なる実施形態では、MagMo前駆体は、ジエトキシマグネシウムである。
【0059】
別の実施形態では、触媒成分は、混合マグネシウム/チタン化合物(「MagTi」)である。「MagTi前駆体」は、式MgTi(OR)fXを有し、式中、Rは、1~14個の炭素原子又はCOR′を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルであり、式中、R’が、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルであり、各OR基は、同じであるか、又は異なり、Xは、独立して、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは塩素であり、dは、0.5~56、又は2~4であり、fは、2~116、又は5~15であり、gは、0.5~116、又は1~3である。前駆体は、その調製に使用される反応混合物からアルコールを除去する制御された沈殿によって調製される。一実施形態では、反応媒体は、芳香族液体、特に塩素化芳香族化合物、最も特にクロロベンゼンと、アルカノール、特にエタノールとの混合物を含む。好適なハロゲン化剤としては、四臭化チタン、四塩化チタン又は三塩化チタン、特に四塩化チタンが挙げられる。ハロゲン化に使用される溶液からアルカノールを除去すると固体の前駆体が沈殿し、これは特に望ましい形状及び表面積を有する。更に、得られた前駆体は、粒子サイズが特に均一である。
【0060】
別の実施形態では、触媒前駆体は、安息香酸含有塩化マグネシウム材料(「BenMag」)である。本明細書で使用される場合、「安息香酸含有塩化マグネシウム」(「BenMag」)は、安息香酸内部電子供与体を含有する触媒(すなわち、ハロゲン化触媒成分)であり得る。BenMag材料は、ハロゲン化チタンなどのチタン部分も含み得る。安息香酸内部供与体は不安定であり、触媒及び/又は触媒合成中に他の電子供与体によって置き換えられることができる。好適な安息香酸基の非限定的な例としては、安息香酸エチル、安息香酸メチル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-エトキシ安息香酸メチル、p-エトキシ安息香酸エチル、p-クロロベンゾエートが挙げられる。一実施形態では、ベンゾエート基はエチルベンゾエートである。一実施形態では、BenMag触媒成分は、安息香酸化合物の存在下で、任意の触媒成分(すなわち、MagMo前駆体又はMagTi前駆体)のハロゲン化の生成物であり得る。
【0061】
別の実施形態では、固体触媒成分は、マグネシウム部分、チタン部分、エポキシ化合物、有機ケイ素化合物、及び内部電子供与体から形成することができる。一実施形態では、有機リン化合物を固体触媒成分に組み込むこともできる。例えば、一実施形態では、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物は、エポキシ化合物、有機リン化合物、及び炭化水素溶媒を含む混合物中に溶解することができる。得られた溶液を、有機ケイ素化合物の存在下でチタン化合物で処理し、任意選択的に内部電子供与体で処理して、固体沈殿物を形成することができる。次いで、固体沈殿物を更なる量のチタン化合物で処理することができる。触媒を形成するために使用されるチタン化合物は、以下の化学式を有することができる:
Ti(OR)4-g
式中、各Rは、独立して、C~Cアルキルであり、Xは、Br、Cl、又はIであり、gは、0、1、2、3、又は4である。
【0062】
いくつかの実施形態では、有機ケイ素は、モノマー化合物又はポリマー化合物である。有機ケイ素化合物は、-Si-O-Si-基を1分子中又は他の分子間に含んでいてもよい。有機ケイ素化合物の他の例示的な例としては、ポリジアルキルシロキサン及び/又はテトラアルコキシシランが挙げられる。そのような化合物は、単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。有機ケイ素化合物は、アルミニウムアルコキシド及び内部電子供与体と組み合わせて使用することができる。
【0063】
上記で言及したアルミニウムアルコキシドは、式Al(OR’)3を有するものであってもよく、式中、各R’は、個々に、20個までの炭素原子を有する炭化水素である。これは、各R’が個々にメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチルなどである場合を含み得る。
【0064】
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物の例としては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、及びフッ化マグネシウムが挙げられる。一実施形態では、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物は塩化マグネシウムである。
【0065】
エポキシ化合物の例としては、以下の式のグリシジル含有化合物が挙げられるが、これらに限定されない:
【0066】
【化1】
式中、「a」は1、2、3、4、又は5であり、XはF、Cl、Br、I、又はメチルであり、Rは、H、アルキル、アリール、又はシクリルである。一実施形態では、アルキルエポキシドはエピクロロヒドリンである。いくつかの実施形態では、エポキシ化合物は、ハロアルキルエポキシド又は非ハロアルキルエポキシドである。
【0067】
更に別の実施形態では、実質的に球状のMgCl-nEtOH付加物は、噴霧結晶化プロセスによって形成されてもよい。このプロセスでは、MgCl-nROH溶融物(nが1~6である)は、20~80℃の温度で容器の上部に不活性ガスを導入しながら容器内に噴霧される。溶融液滴を、-50~20℃の温度で不活性ガスが導入される結晶化領域に移し、溶融液滴を、球形の非凝集固体粒子に結晶化する。球状のMgCl粒子は、次いで、所望のサイズに分類される。望ましくないサイズの粒子は、リサイクルすることができる。触媒合成のための好ましい実施形態では、球状のMgCl前駆体は、約15~150マイクロメートル、好ましくは20~100マイクロメートル、最も好ましくは35~85マイクロメートルの間の平均粒径(Malvern d50)を有する。
【0068】
触媒成分は、ハロゲン化によって固体触媒に変換することができる。ハロゲン化は、内部電子供与体の存在下で触媒成分をハロゲン化剤と接触させることを含む。ハロゲン化は、触媒成分中に存在するマグネシウム部分を、チタン部分(チタンハロゲン化物など)が堆積されているハロゲン化マグネシウム担体へと変換する。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、ハロゲン化中、内部電子供与体は、(1)マグネシウム系担体上のチタンの位置を調節し、(2)マグネシウム及びチタン部分の、それぞれのハロゲン化物への変換を促進し、(3)変換中にハロゲン化マグネシウム担体の微結晶サイズを調節すると考えられる。したがって、内部電子供与体の提供は、立体選択性が向上した触媒組成物をもたらす。
【0069】
一実施形態では、ハロゲン化剤は、式Ti(ORを有するハロゲン化チタンであり、式中、R及びXが、上記のように定義され、fは、0~3の整数であり、hは、1~4の整数であり、f+hは、4である。一実施形態では、ハロゲン化剤はTiCl4である。更なる実施形態では、ハロゲン化は、塩素化又は非塩素化芳香族液体、例えばジクロロベンゼン、o-クロロトルエン、クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、又はキシレンの存在下で行われる。更に別の実施形態では、ハロゲン化は、ハロゲン化剤と塩素化芳香族液体との混合物であって、40~60体積パーセントのハロゲン化剤、例えばTiClを含む混合物の使用によって行われる。
【0070】
一実施形態では、得られる固体触媒組成物は、総固形分重量に基づいて約1.0重量パーセント~約6.0重量パーセント、又は約1.5重量パーセント~約4.5重量パーセント、又は約2.0重量パーセント~約3.5重量パーセントのチタン含有量を有する。固体触媒組成物中のチタン対マグネシウムの重量比は、好適には約1:3~約1:160、又は約1:4~約1:50、又は約1:6~1:30である。一実施形態では、内部電子供与体は、約0.005:1~約1:1、又は約0.01:1~約0.4:1の内部電子供与体対マグネシウムのモル比で触媒組成物中に存在し得る。重量パーセントは、触媒組成物の総重量に基づく。
【0071】
上記のように、触媒組成物は、マグネシウム部分、チタン部分、及び内部電子供与体の組み合わせを含み得る。触媒組成物は、触媒成分及び内部電子供与体を内部電子供与体が組み込まれたマグネシウム部分とチタン部分との組み合わせに変換する前述のハロゲン化手順によって、生成される。触媒組成物が形成される触媒成分は、マグネシウム部分前駆体、混合マグネシウム/チタン前駆体、ベンゾエート含有塩化マグネシウム前駆体、マグネシウム、チタン、エポキシ、及びリン前駆体、又は球状前駆体を含む、上述の触媒前駆体のいずれかであり得る。
【0072】
様々な異なる種類の内部電子供与体が固体触媒成分に組み込まれてもよい。一実施形態では、内部電子供与体は、フェニレン置換ジエステルなどのアリールジエステルである。一実施形態では、内部電子供与体は、以下の化学構造を有し得、
【0073】
【化2】
式中、R、R、R及びRは、各々1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、このヒドロカルビル基は、分岐鎖若しくは直鎖構造を有するか又は7~15個の炭素原子を有するシクロアルキル基を含み、E及びEは、同じであっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を有するアルキル、1~20個の炭素原子を有する置換アルキル、1~20個の炭素原子を有するアリール、1~20個の炭素原子を有する置換アリール、又は1~20個の炭素原子を有し、任意選択的にヘテロ原子を含んでいてもよい不活性官能基からなる群から選択され、X1及びX2は、各々O、S、アルキル基、又はNRであり、Rは、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であるか、又は水素である。
【0074】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」及び「炭化水素」という用語は、分岐鎖若しくは非分岐鎖の飽和若しくは不飽和の、環式、多環式、縮合、又は非環式種、並びにそれらの組み合わせを含む、水素及び炭素原子のみを含有する置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビル」及び「置換炭化水素」という用語は、1つ以上の非ヒドロカルビル置換基により置換されたヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」とは、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表のIV、V、VI、及びVII族からの非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、N、O、P、B、S、及びSiが挙げられる。置換ヒドロカルビル基はまた、ハロヒドロカルビル基及びケイ素含有ヒドロカルビル基を含む。本明細書で使用される場合、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1つ以上のハロゲン原子により置換されたヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「ケイ素含有ヒドロカルビル基」という用語は、1つ以上のケイ素原子により置換されたヒドロカルビル基である。ケイ素原子は、炭素鎖中にあってもよく、又はなくてもよい。
【0076】
一態様では、置換フェニレンジエステルは以下の構造(I)を有する:
【0077】
【化3】
【0078】
一実施形態では、構造(I)は、イソプロピル基であるR及びRを含む。R、R、及びR~R14の各々は、水素である。
【0079】
一実施形態では、構造(I)は、R及びRのそれぞれをメチル基として含み、Rはシクロヘキシル基などのシクロアルキル基である。R、及びR~R14の各々は、水素である。
【0080】
一実施形態では、構造(I)は、R、R、及びR10の各々をメチル基として含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R~R、及びR11~R14の各々は、水素である。
【0081】
一実施形態では、構造(I)はR、R、及びR12のそれぞれをメチル基として含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0082】
一実施形態では、構造(I)は、Rをメチル基として含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、エチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0083】
一実施形態では、構造(I)は、R、R、R、R、R10、R12、及びR14の各々をメチル基として含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R、R11、及びR13の各々は、水素である。
【0084】
一実施形態では、構造(I)は、Rをメチル基として含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R10、R12、及びR14の各々は、i-プロピル基である。R、R、R、R、R11、及びR13の各々は、水素である。
【0085】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,536,372号に詳細に記載されているR~R14の各々の代替物を含む、構造(II)~(V)からなる群から選択される構造を有する。
【0086】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはエトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0087】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、フッ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0088】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0089】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、臭素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0090】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、ヨウ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0091】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R11、及びR12の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0092】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R11、及びR13の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R12、及びR14の各々は、水素である。
【0093】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R、R、及びR~R14の各々は、フッ素原子である。
【0094】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、トリフルオロメチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0095】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、エトキシカルボニル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0096】
一実施形態では、Rはメチル基であり、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはエトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0097】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、ジエチルアミノ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0098】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R、R、及びR~R14の各々は、水素である。
【0099】
一実施形態では、構造(I)は、R及びRを含み、これらの各々は、sec-ブチル基である。R、R、及びR~R14の各々は、水素である。
【0100】
一実施形態では、構造(I)は、各々メチル基であるR及びRを含む。R、R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0101】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含む。Rは、i-プロピル基である。R、R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0102】
一実施形態では、構造(I)は、R、R、及びRを含み、これらの各々は、i-プロピル基である。R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0103】
上記の固体触媒成分に加えて、本開示の触媒系はまた、共触媒を含むことができる。共触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、マグネシウムの水素化物、アルキル、又はアリール、及びそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、共触媒は、式RAlで表されるヒドロカルビルアルミニウム共触媒であり、式中、各Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はヒドリドラジカルであり、少なくとも1つのRは、ヒドロカルビルラジカルであり、2つ又は3つのRラジカルは、環式ラジカルに接合され、ヘテロ環式構造を形成することができ、各Rは、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビルラジカルである各Rは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する。更なる実施形態では、各アルキルラジカルは、直鎖又は分岐鎖であり得、そのようなヒドロカルビルラジカルは、混合ラジカルであり得、すなわち、ラジカルは、アルキル、アリール、及び/又はシクロアルキル基を含有し得る。好適なラジカルの非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシル、n-ウンデシル、n-ドデシルである。
【0104】
好適なヒドロカルビルアルミニウム化合物の非限定的な例は、次のとおりである:トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウム、二水素化イソブチルアルミニウム、二水素化n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリ-n-デシルアルミニウム、トリ-n-ドデシルアルミニウム。一実施形態では、共触媒は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、及び水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウムから選択される。
【0105】
一実施形態では、共触媒は、トリエチルアルミニウムである。アルミニウム対チタンのモル比は、約5:1~約500:1、又は約10:1~約200:1、又は約15:1~約150:1、又は約20:1~約100:1である。別の実施形態では、アルミニウム対チタンのモル比は、約45:1である。
【0106】
好適な触媒組成物としては、固体触媒成分、共触媒、及び2つ以上の異なる成分の混合外部電子供与体(mixed external electron donor、M-EED)であり得る外部電子供与体を挙げることができる。好適な外部電子供与体又は「外部供与体」としては、1つ以上の活性制限剤(ALA)及び/又は1つ以上の選択性制御剤(SCA)が挙げられる。本明細書で使用される場合、「外部供与体」は、触媒性能を改変するプロ触媒形成とは関係なく添加される成分、又は成分の混合物を含む組成物である。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」は、触媒の存在下で重合温度が閾値温度(例えば、約95℃超の温度)を上回って上昇するにつれて触媒活性を低下させる組成物である。「選択性制御剤」は、ポリマーのタクチシティを改善する組成物であり、改善されたタクチシティは、一般に、増加したタクチシティ若しくは減少したキシレン可溶分、又はこれらの両方を意味すると理解される。上記定義は相互に排他的ではなく、単一の化合物が、例えば、活性制限剤及び選択性制御剤の両方として分類され得ることが理解されるべきである。
【0107】
本開示に従った選択性制御剤は、一般に有機ケイ素化合物である。例えば、一態様では、選択性制御剤はアルコキシシランであり得る。
【0108】
一実施形態では、アルコキシシランは、以下の一般式:SiRm(OR’)4-m(I)を有し得、式中、Rは、独立して、出現ごとに、水素、又は1つ以上の14、15、16、若しくは17族のヘテロ原子を含有する1つ以上の置換基により任意選択的に置換されたヒドロカルビル又はアミノ基であり、当該R’は、水素及びハロゲンを除く最大20個の原子を含有し、R’は、C1~4アルキル基であり、mは、0、1、2、又は3である。一実施形態では、RはC6-12アリール、アルキル又はアラルキル、C3-12シクロアルキル、C3-12分岐アルキル、又はC3-12環式又は非環式アミノ基であり、R’はC1-4アルキル、及びmは、1又は2である。一実施形態では、例えば、第2の選択性制御剤はn-プロピルトリエトキシシランを含むことができる。使用可能な他の選択性制御剤としては、プロピルトリエトキシシラン又はジイソブチルジメトキシシランを挙げることができる。
【0109】
一実施形態では、触媒系は、活性制限剤(ALA)を含むことができる。ALAは、重合反応器の不具合を抑制又はそうでなければ防止し、重合プロセスの継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器温度が上昇するにつれて増加する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点温度近くで高い活性を維持する。発熱重合反応によって発生した熱は、凝集物を形成するポリマー粒子を生じさせる可能性があり、最終的にポリマー生成プロセスの継続を中断することにつながる場合がある。ALAは、高温で触媒活性を低下させ、それによって、反応器の不具合を防止し、粒子の凝集を低減(又は防止)し、重合プロセスの継続を確実にする。
【0110】
活性制限剤はカルボン酸エステルであってもよい。脂肪族カルボン酸エステルは、C~C30脂肪族酸エステルであり得、モノ又はポリ(2つ以上)のエステルであり得、直鎖又は分岐状であり得、飽和又は不飽和であり得、及びそれらの任意の組み合わせであり得る。C~C30脂肪族酸エステルはまた、1つ以上の14、15、又は16族のヘテロ原子を含有する置換基により置換され得る。好適なC~C30脂肪族酸エステルの非限定的な例としては、脂肪族C4~30モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C4~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アリルモノ及びジエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アルキルエステル、並びにC2~100(ポリ)グリコール又はC2~100(ポリ)グリコールエーテルのC4~20モノ又はポリカルボキシレート誘導体が挙げられる。更なる一実施形態では、C~C30脂肪族酸エステルは、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、オレエート、セバケート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジアセテート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジミリステート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジラウレート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジオレエート、グリセリルトリ(アセテート)、C2~40脂肪族カルボン酸のグリセリルトリ-エステル、及びそれらの混合物であり得る。更なる一実施形態では、C~C30脂肪族エステルは、イソプロピルミリステート、ジ-n-ブチルセバケート、又は吉草酸ペンチルである。
【0111】
上記のような本開示の触媒系は、オレフィン系ポリマーを製造するために使用することができる。本プロセスは、重合条件下でオレフィンを触媒系と接触させることを含む。
【0112】
次いで、本開示に従って作製されたポリプロピレンランダムコポリマー及びターポリマーは、3次元印刷システムに供給されるように構成されたサイズ及び形状を有する供給原料を製造するために、様々なポリマー組成物に組み込むことができる。供給原料は、ポリマーペレット、ポリマーロッド又は連続フィラメントの形態であってよい。フィラメントを製造するために使用されるポリマー組成物は、ポリプロピレンポリマーを単独で、又は様々な他の添加剤及び成分と組み合わせて含有することができる。
【0113】
例えば、一実施形態では、ポリマー組成物は、1つ以上の酸化防止剤を含有することができる。充填剤は、例えば、非有機充填剤であってもよい。ポリマー組成物中に含有され得る充填剤としては、タルク粒子、炭酸カルシウム粒子、ガラス繊維、金属及び合金又はそれらの混合物が挙げられる。1つ以上の充填剤をポリマー組成物中に約0重量%を超える量で含めることができ、例えば約2重量%を超える量、例えば約5重量%を超える量、一般的には約40重量%未満の量、例えば約20重量%未満の量、例えば約10重量%未満の量、例えば約8重量%未満の量、例えば約6重量%未満の量である。
【0114】
一態様では、ポリマー組成物は、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤(例えば、ホスファイト)、及び制酸剤(例えば、CaSt又はZnO)を含有し得る。一態様では、酸化防止剤は、Irganox 3114、Cyanox 1790、又はIrganox 1425WLなどのガス退色防止特性を有する。あるいは、酸化防止剤系は、非ガス退色、すなわち、フェノール系酸化防止剤を含み得ず、HALS(ヒンダードアミン光安定剤)と、ヒドロキシルアミン安定剤(例えば、Irganox FS042)及びホスファイト二次酸化防止剤のいずれか/両方との組み合わせに基づき得る。酸化防止剤は、ポリマーブレンド中のポリマー成分及び有機添加剤の酸化を最小限に抑え得る。ポリマー組成物は、例えば、ホスファイト及び/又はホスホネート酸化防止剤を単独で、又は他の酸化防止剤と組み合わせて含有し得る。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールなどのフェノール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3’5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[(メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、アクリロイル変性フェノール、オクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(例えば、BASFによって供給されているIrganox 3114)、カルシウム-ビス(((3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-エチルホスホネート)(例えば、BASFによって供給されているIrganox 1425WL)が挙げられる。使用され得る別の酸化防止剤は、1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[[4-(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル]メチル](例えば、SolvayからのCyanox 1790)である。別の態様では、酸化防止剤は、N,N-ジオクタデシルヒドロキシルアミン(例えば、FS042)であり得る。ホスファイト及びホスホナイトは、一般に、上記ヒンダードフェノールと組み合わせて使用され得る。ヒドロキシルアミンは、一般に、ヒンダードアミン光安定剤又はホスファイトと組み合わせて使用され得る。他の酸化防止剤としては、ベンゾフラノン誘導体、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0115】
ポリマー組成物はまた、酸捕捉剤として作用する制酸剤も含有し得る。制酸剤は、ステアレート、金属酸化物、ヒドロタルサイト、水酸化炭酸マグネシウムアルミニウム、又はこれらの混合物であり得る。特定の制酸剤の例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0116】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、潤滑剤を含み得る。好適な潤滑剤の非限定的な例としては、脂肪アルコール及びそれらのジカルボン酸エステル、短鎖アルコールの脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸、オリゴマー脂肪酸エステル、長鎖アルコールの脂肪酸エステル、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、天然及び合成パラフィンワックス、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。使用され得る脂肪酸アミド潤滑剤の一実施形態は、N,N’-エチレンビスステアラミドである。十分な量で含まれる場合、様々なステアレートも潤滑剤として機能し得る。例えば、ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸金属塩のより高いレベルは、内部潤滑剤として機能し得る。
【0117】
ポリマー組成物はまた、加工助剤を含有することができる。加工助剤の一例はフルオロカーボンポリマーである。例えば、組成物はポリテトラフルオロエチレン粒子を含有することができる。加工助剤は、約0重量%~約5重量%、例えば約0.01重量%~約1.5重量%の量で存在することができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、任意選択的に、ポリマーブレンドのUV放射による分解を防止又は低減し得る安定剤を含み得る。好適なUV安定剤の非限定的な例としては、ベンゾフェノン、ヒンダードアミン、ベンゾトリアゾール、アリールエステル、オキサニリド、アクリル酸エステル、ホルムアミジン、カーボンブラック、ニッケルクエンチャー、フェノール系酸化防止剤、金属塩、亜鉛化合物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0119】
一態様において、ポリマー組成物はまた、1つ以上の着色剤を含有することができる。着色剤は、染料又は顔料であり得る。一実施形態では、特定の色を有するフィラメントを製造するために、着色剤のブレンドを使用することができる。
【0120】
一実施形態では、ポリマー組成物は、核形成剤を含有することができる。利用される場合、核形成剤は特に限定されない。一実施形態では、核形成剤は、以下の構造(VIII)によって表されるリン酸エステル金属塩のようなリン系核形成剤の群から選択されてもよい。
【0121】
【化4】
式中、R1が、酸素、硫黄、又は炭素原子数が1~10個の炭化水素基であり、R2及びR3のそれぞれが、水素、又は炭素原子数が1~10個の炭化水素若しくは炭化水素基であり、R2及びR3は互いに同じであっても異なっていてもよく、2つのR2、2つのR3、又はR2及びR3が互いに結合して環を形成していてもよく、Mは一価から三価の金属原子であり、nは1から3の整数であり、mは0又は1のいずれかであり、但し、n>mである。
【0122】
上記式で表されるα核形成剤の例としては、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチル-フェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-i-プロピル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチル-フェニル)-ホスフェート]、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-t-オクチルフェニル)ホスフェート]、ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチル-フェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジメチル-フェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、バリウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム(4,4’-ジメチル-5,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)ホスフェート、カルシウム-ビス-[(4,4’-ジメチル-6,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)ホスフェート]、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチル-フェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-メチルフェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-エチル-フェニル)ホスフェート、カリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、バリウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、アルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチル-フェニル)ホスフェート]、アルミニウム-トリス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]が挙げられる。
【0123】
リン系核形成剤の第2の群としては、例えば、アルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ-[d,g]-ジオキサ-ホスホシン-6-オキシダト]及びそれらとミリスチン酸リチウム又はステアリン酸リチウムとのブレンドが挙げられる。
【0124】
核形成剤の他の例としては、ソルビトール系核形成剤(例えば、1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4ジ(エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールなど)、パインロジン、ポリマー核形成剤(例えば、ビニルシクロアルカンポリマー、ビニルアルカンポリマー、ロジン酸の部分金属塩など)、タルク、安息香酸ナトリウムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0125】
核形成剤の市販の例としては、Asahi Denka Kokaiから入手可能なADK STAB NA-11、ADK STAB NA-21、ADK STAB NA-21 E、ADK STAB NA-21 F、及びADK STAB NA-27;Milliken & Companyから入手可能なMillad NX8000、Millad 3988、Millad 3905、Millad 3940、Hyperform HPN-68L、Hyperform HPN-715、及びHyperform HPN-20E;並びにCiba Specialty Chemicals製のIrgaclear XT 386を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0126】
一実施形態では、核形成剤は、ソルビトールアセタール誘導体などのソルビトール化合物を含み得る。一実施形態では、例えば、核形成剤は、ジベンジルソルビトールを含み得る。
【0127】
いくつかの実施形態において添加剤として使用することができるソルビトールアセタール誘導体に関して、ソルビトールアセタール誘導体を構造(IX)に示す。
【0128】
【化5】
式中、R1~R5は、水素及びC1~C3アルキルから選択される同じ又は異なる部分を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、R1~R5は水素であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は2,4-ジベンジリデンソルビトール(「DBS」)である。いくつかの実施形態では、R1、R4、及びR5は水素であり、R2及びR3はメチル基であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は1,3:2,4-ジ-p-メチルジベンジリデン-D-ソルビトール(「MDBS」)である。いくつかの実施形態では、R1~R4はメチル基であり、R5は水素であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチロベンジリデノ)ソルビトール(「DMDBS」)である。いくつかの実施形態では、R2、R3、及びR5はプロピル基(-CH-CH-CH)であり、R1及びR4は水素であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は1,2,3-トリデオキシ4,6:5,7-ビス-O-(4-プロピルフェニルメチレン)ノニトール(「TBPMN」)である。
【0130】
使用され得る核形成剤の他の例としては、1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフチリデン)ソルビトール、ビスアミド、例えば、ベンゼントリスアミド、及び核形成剤の任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0131】
ポリマー組成物中に存在する場合、1つ以上の核形成剤は一般に約0ppmを超える量で添加され、例えば約200ppmを超える量、例えば約1,800ppmを超える量、例えば約2,000ppmを超える量、例えば約2,200ppmを超える量である。1つ以上の核形成剤は、一般に約20,000ppm未満、例えば約15,000ppm未満、例えば約10,000ppm未満、例えば約8,000ppm未満、例えば約5,000ppm未満の量で存在する。
【0132】
ポリマー組成物が配合されたら、ポリマー組成物を溶融加工して供給原料にすることができる。供給原料は、ポリマーペレット又はポリマーロッドを含むことができる。一実施形態では、供給原料は押出フィラメントを含むことができる。供給原料は、3次元プリンタシステムへの組み込みに容易に適合されるプリンタカートリッジに組み込むことができる。
【0133】
例えば、図2を参照すると、プリンタカートリッジ10の一実施形態が示されている。例示のみを目的として、図2に示されるカートリッジ10は、供給原料としてポリマーフィラメントを受容するように特に適合される。プリンタカートリッジ10は、例えば、スプール12を含む。本開示のポリマー組成物がフィラメントの形態である場合、フィラメントはスプール12の周りに巻き付けられ得る。スプール12は、プリンタカートリッジ10内の軸14の周りに嵌合する中心孔を画定することができる。
【0134】
図2に示すように、必ずしも必要ではないが、スプール12は、使用前にフィラメントを外部環境から保護するハウジング16内に封入することができる。
【0135】
プリンタカートリッジ10は、特定のタイプの印刷システムでの使用によく適した形状及び構成を有することができる。一実施形態では、例えば、プリンタカートリッジ10は、プリンタシステムがプリンタカートリッジを識別することを可能にする識別装置18を含むことができる。識別装置18は、例えば、機械可読チップなどの機械可読コンポーネントを含むことができる。
【0136】
上述したように、本開示のポリマー組成物は、3次元プリンタによって物品を製造する際に使用するのに特によく適している。
【0137】
一般的に言えば、本開示では、様々な3次元プリンタシステムのいずれかを用いて、3次元物品を製造することができる。図1を参照すると、例えば、図2に示されるようなプリンタカートリッジ10を受容するように構成され得る、押出成形ベースの3次元プリンタシステム30の一実施形態が示される。プリンタシステム30は、ポリマー材料34と係合する一対のフィードローラ32を含む。ポリマー材料34は、本開示のポリマー組成物から作製される。この実施形態では、ポリマー材料34はフィラメントの形態である。供給ローラ32は、フィラメント34を非常に正確な量で下流プロセスに供給及び後退させるために、所望の速度で時計回り及び/又は反時計回りに回転することができる。フィラメント34は、供給ローラ32から、ノズル38の上流に配置された加熱装置36に供給される。加熱装置36は、フィラメントを使用可能な温度まで溶融する。ノズル38はフィラメント34をプラットフォーム40上に押し出す。一般に、ポリマー材料34は、ノズルに供給されるフィラメントよりも小さい直径でノズル38を出る。次に、ノズル38及び/又はプラットフォーム40は、3次元物品を層ごとに形成するために、あるパターンで移動される。一実施形態では、ノズル38及び/又はプラットフォーム40は、X及びY平面内だけでなく、Z平面内でも移動される。
【0138】
印刷システム30はまた、1つ以上のプログラム可能な装置又はマイクロプロセッサを備え得るコントローラ42を含むことができる。コントローラ42は、3次元物品50を形成するための所望の方法でプラットフォーム40上にポリマー材料を堆積させるために、特定のパターンを記憶し、次いで印刷システム30を制御することができる。
【0139】
図1に示すように、印刷プロセス中、ポリマー材料34は加熱されて溶融状態になる。フィラメントは、層ごとにプラットフォーム40上に堆積し、連続する各層と熱的に結合する。
【0140】
本開示は、以下の実施例を参照してよりよく理解され得る。
【実施例
【0141】
12の異なるポリプロピレンポリマーをフィラメントに形成し、3次元プリンタを使用して試験した。ポリマーの化学組成と様々な特性を含む12の異なる試料を以下の表(試料No.1~12)に示す。試料No.13は、3次元印刷用の市販のポリプロピレンフィラメントを表す。
【0142】
【表2】
注:試料番号13のEtは13C-NMRによって試験し、他の全てはFTIRによって試験した。試料番号13のXS含有量は湿式法によって試験し、他の全てはViscotek FIPA法によって試験した。
【0143】
3次元(3D)印刷フィラメントを、Wellzoom自動ワインダを備えたWellzoom B2デスクトップフィラメント押出機上で試料ペレットから押出した。フィラメントの直径は1.75mm±0.05mmに制御された。
【0144】
3D印刷プロセスは、Creality 3D Ender 23Dプリンタで終了した。印刷された部品は、異なる試験目的のための3つのモデルターゲットを有する(図3及び図4、寸法(mm)を参照)。
【0145】
反り試験:反り高さを試験するために、薄い厚さ(印刷中のz方向)を有する試験バー(図3)を設計した。図3に示すように、正方形の中心を有するモデルはモデル番号1であり、円形の中心を有するモデルはモデル番号2である。反り高さは、試験棒を逆さまに配置したときに試験棒の中心部から基板まで測定される距離である。より高い反り高さは、より深刻な反りを表す。
【0146】
バルク収縮試験:厚い厚さ(印刷中のz方向)を有する試験キューブ(図4)を設計して、バルク収縮を試験した。立方体の3Dモデルを図4に示す。底部変形、表面仕上げ及び上部シールを考慮して、1~5(1が最悪であり、5が最良である)にスケールされた異なるスコアを印刷された立方体に与えた。合計スコアは0~15のスケールであり、上述の3つのスコアの合計である。
【0147】
3次元印刷中、ノズル直径を0.4mmに設定し、ノズル温度を230℃に設定し、層厚さを0.3mmに設定し、床温度を60°Fに設定した。使用した床材料は、物品が形成される際に物品への接着のために使用される感圧ポリプロピレンテープであった。印刷速度は2,400mm/分であった。輪郭速度を50%に設定し、第1層速度を20%に設定し、高さを90%に設定した。滲出制御収縮を無効にし、内部充填率を20%に設定した。
【0148】
以下の結果を得た。
【0149】
【表3】
【0150】
反り試験からの反り高さ(より小さい反り高さが好ましい)及びバルク収縮試験からの合計スコア(より高いスコアが好ましい)に基づいて、試料番号1は最良の印刷性能を示す。
【0151】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変更は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全部又は一部において相互に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者は、前述の説明が単なる例示によるものであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【0152】
本技術はまた、本技術の個別の態様の単一の例示として意図される、本明細書に記載の特定の態様に関して限定されない。当業者には明らかとなるであろうように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、本技術の多くの修正及び変形が行われ得る。本技術の範囲内の機能的に同等の方法は、本明細書に列挙されたものに加えて、前述の説明から当業者に明らかとなる。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本技術は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、標識化合物、又は生物系に限定されず、これらは当然のことながら変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用する用語は、単に特定の態様を説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲、その中の定義、及びそれらのいずれの等価物によってのみ示される本技術の広さ、範囲、及び趣旨によってのみ例示とみなされることが意図される。
【0153】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素(element)又は要素(elements)、限定(limitation)又は限定(limitations)の不存在下で好適に実践され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などの用語は、広範囲に、かつ限定せずに読み取られるべきである。加えて、本明細書で用いられる用語及び表現は、限定的なものではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示され、記載される特徴又はそれらの一部分のいずれの等価物も除外することを意図していないが、様々な修正が特許請求される技術の範囲内で可能であることが認識される。加えて、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、具体的に列挙されたこれらの要素、並びに特許請求される技術の基本的な特徴及び新規の特徴に物質的に影響しないこれらの追加の要素を含むことが理解されよう。「からなる(consisting of)」という語句は、指定されてないあらゆる要素を除外する。
【0154】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されることを認識するであろう。一般的な開示に含まれるより狭い種及び亜属のグループ分けの各々も、本発明の一部を形成する。これには、削除された材料が本明細書に具体的に列挙されているかどうかに関係なく、属から任意の対象を除去する条件又は否定的な制限を伴う本発明の一般的な説明が含まれる。
【0155】
当業者によって理解されるように、あらゆる及び全ての目的で、特に書面による説明を提供するという観点で、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる及び全ての可能性のある部分範囲及びその部分範囲の組み合わせも包含する。列挙されたいずれの範囲も、十分に説明されており、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解できると容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で述べられる各範囲は、下3分の1、中3分の1、及び上3分の1などに容易に分解することができる。また、当業者には理解されるであろうように、「最大」、「少なくとも」、「を超える」、「より小さい」などの文言はすべて、列挙された数を含み、上で述べられたように続いて部分範囲に分解することができる範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各個々のメンバーを含む。
【0156】
すべての刊行物、特許出願、発行された特許、及び本明細書で参照される他の文書(例えば、定期刊行物、記事、及び/又は教科書)は、各個別の刊行物、特許出願、発行された特許、又は他の文書が、具体的かつ個別的に示されて、その全体が参照によって組み込まれるように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる記載内容に含まれる定義は、それらが本開示における定義に矛盾する限りにおいて除外される。
【0157】
本技術は、以下の文字を付けたパラグラフで列挙される特徴及び特徴の組み合わせを含み得るが、それらに限定されず、以下のパラグラフは、本明細書に添付の特許請求の範囲を限定するもの、又は全てのそのような特徴が必ずそのような特許請求の範囲に含まれなければならないと命令するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
A.3次元押出印刷システム用のポリマー材料であって、ポリマー材料は、3次元印刷システムへの供給に適したサイズ及び形状を有する供給原料を含み、供給原料は、ポリマー組成物からなり、ポリマー組成物は、約60重量%超の量のポリプロピレンポリマーを含み、ポリプロピレンポリマーは、ポリプロピレンランダムコポリマー又はターポリマーを含み、ポリプロピレンポリマーは、約20g/10分~約200g/10分のメルトフローレートを有し、ポリプロピレンポリマーは、
主モノマーとして、エチレン又はブテンの少なくとも1種のコモノマーを含有するプロピレンと、
約3重量%~約25重量%の総コモノマー含有量と、
0重量%~約10重量%のエチレン含有量と、0重量%~約20重量%のブテン含有量と、約4.5重量%~約45重量%のキシレン可溶分含有量と、を含む。
B.供給原料がフィラメントを含み、フィラメントが、約0.5mm~約5mm、例えば約1mm~約4mmのフィラメント直径を有する、段落Aに記載のポリマー材料。
C.供給原料がポリマーペレット又はポリマーロッドを含む、段落Aに記載のポリマー材料。
D.ポリプロピレンポリマーが、約3重量%~約10重量%のエチレン含有量を有するプロピレンとエチレンとのコポリマーを含む、段落A~Cのいずれか1つに記載のポリマー材料。
E.ポリプロピレンポリマーが、約5重量%~約9重量%のエチレン含有量を有するプロピレンとエチレンとのコポリマーを含む、段落A~Dのいずれか1つに記載のポリマー材料。
F.ポリプロピレンポリマーが、約5重量%~約20重量%のブテン含有量を有するプロピレンとブテンとのコポリマーを含む、段落A~Eのいずれか1つに記載のポリマー材料。
G.ポリプロピレンポリマーが、プロピレン、エチレン、及びブテンターポリマーを含む、段落A~Fのいずれか1つに記載のポリマー材料。
H.ポリプロピレンポリマーが、約5重量%~約40重量%、例えば約10重量%~約30重量%のキシレン含有量を有する、段落A~Gのいずれか1つに記載のポリマー材料。
I.ポリプロピレンポリマーが、約50%未満、例えば約40%未満の結晶化度を有する、段落A~Hのいずれか1つに記載のポリマー材料。
J.ポリプロピレンポリマーが、約2.5~約10、例えば約3~約6の分子量分布(Mw/Mn)を有する、段落A~Iのいずれか1つに記載のポリマー材料。
K.ポリマー組成物が充填剤を更に含む、段落A~Jのいずれか1つに記載のポリマー材料。
L.充填剤が、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、又はこれらの混合物を含む、段落Kに記載のポリマー材料。
M.充填剤が、約0重量%~約40重量%の量でポリマー組成物中に存在する、段落K又は段落Lに記載のポリマー材料。
N.ポリプロピレンポリマーが、非フタレート触媒を使用してチーグラー・ナッタ触媒されている、段落A~Mのいずれか1つに記載のポリマー材料。
O.ポリプロピレンポリマーはポリマー組成物中に約70重量%を超える量で存在し、例えば約80重量%を超える量、例えば約90重量%を超える量、かつ一般に約99重量%未満の量、例えば約96重量%未満の量である、段落A~Nのいずれか1つに記載のポリマー材料。
P.ポリマー組成物が、核形成剤を更に含む、段落A~Oのいずれか1つに記載のポリマー材料。
Q.ポリマー組成物が加工助剤を更に含む、段落A~Pのいずれか1つに記載のポリマー材料。
R.段落A~Qのいずれか1つに記載のポリマー材料を含む、3次元押出印刷システム用のプリンタカートリッジ。
S.ポリマー材料がフィラメントを含み、フィラメントがプリンタカートリッジ内のスプールの周りに巻かれている、段落Rに記載のプリンタカートリッジ。
T.3次元印刷システムであって、3次元印刷装置と、段落R又は段落Sに記載のプリンタカートリッジとを備える、3次元印刷システム。
U.段落A~Qのいずれか1つに記載のポリマー材料から形成される3次元物品。
V.物品がポリマー材料から層ごとに形成された、段落Uに記載の3次元物品。
W.段落A~Qのいずれか1つに記載のポリマー材料から3次元構造を選択的に形成することを含む、3次元物品を製造する方法。
【0158】
他の実施形態は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、以下の特許請求の範囲に記載される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】