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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】左心耳閉鎖デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576163
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022036092
(87)【国際公開番号】W WO2023283176
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/219,696
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジャン-フン
(72)【発明者】
【氏名】ナテサン、ハリシャンカー
(72)【発明者】
【氏名】チャウ、ザイナ エム.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD54
4C160DD65
(57)【要約】
左心耳閉鎖デバイスは、近位ハブと遠位ハブで結合された複数の支柱を有する拡張可能な骨組みを含み得る。骨組みが第1の位置に完全に拘束されると、支柱の第1のセグメントが、中心長手方向軸と平行に遠位ハブから第1の屈曲部まで遠位方向に延び、支柱の第2のセグメントが第1の屈曲部から近位方向に延びる。骨組みの第1の量は、第2の位置では拘束されず、第2の位置で第1のセグメントは、中心長手方向軸と平行に遠位ハブから第1の屈曲部まで遠位方向に延び、第2のセグメントは、第1の屈曲部から近位方向かつ半径方向外側に第2の屈曲部まで延び、支柱の第3セグメントは、第2屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に第3屈曲部まで延び、支柱の第4セグメントは第3屈曲部から近位方向に送達シース内まで延びる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左心耳閉鎖デバイスであって、
中心長手方向軸の周りに配置された複数の支柱であって、互いに近位ハブ及び遠位ハブで結合された前記複数の支柱を有する拡張可能な骨組みを含み、
前記拡張可能な骨組みが送達シースによって第1の位置に完全に拘束されると、前記複数の支柱の第1のセグメントが、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の第2のセグメントが前記第1の屈曲部から近位方向に延び、
前記拡張可能な骨組みの第1の量は、第2の位置では前記送達シースによって拘束されず、
前記第2の位置では、前記複数の支柱の第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から近位方向かつ半径方向外側に第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から近位方向に前記送達シース内まで延びる、左心耳閉鎖デバイス。
【請求項2】
前記第2の位置では、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記拡張可能な骨組みの内部に向かって内側に開く鋭角を形成する、請求項1に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項3】
前記第1の量よりも多い前記拡張可能な骨組みの第2の量は、第3の位置では前記送達シースによって拘束されず、
前記第3の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から前記中心長手方向軸とほぼ垂直に半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に前記第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記送達シース内に配置された前記近位ハブに向かって近位方向に延びる、請求項1又は2に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項4】
前記第3の位置では、前記第2のセグメント及び前記第3のセグメントは、前記中心長手方向軸に向かって内側に開く鋭角を形成する、請求項3に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項5】
前記第3の位置では、前記第3のセグメント及び前記第4のセグメントは、前記中心長手方向軸に対して外側に開く鈍角を形成する、請求項3又は4に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項6】
前記第2の量よりも多い前記拡張可能な骨組みの第3の量は、第4の位置では前記送達シースによって拘束されず、
前記第4の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から遠位方向かつ半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に前記第3の屈曲部に向かって延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記送達シース内に配置された前記近位ハブに向かって近位方向に延びる、請求項3~5のいずれか一項に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項7】
前記第4の位置では、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記拡張可能な骨組みの内部に向かって内側に開く鈍角を形成する、請求項6に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項8】
前記第4の位置では、前記第2のセグメント及び前記第3のセグメントは、前記中心長手方向軸に向かって内側に開く鋭角を形成する、請求項6又は7に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項9】
前記第4の位置では、前記第3のセグメント及び前記第4のセグメントは、前記中心長手方向軸に対して外側に開く鈍角を形成する、請求項6~8のいずれか一項に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項10】
前記第3の量よりも多い前記拡張可能な骨組みの第4の量は、第5の位置では前記送達シースによって拘束されず、
前記第5の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から遠位方向かつ半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向に前記第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記近位ハブに向かって半径方向内側に延びる、請求項6~9のいずれか一項に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項11】
前記第5の位置では、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、内側に開く鈍角を形成する、請求項10に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項12】
前記第5の位置では、前記第2のセグメント及び前記第3のセグメントは、内側に開く鋭角を形成する、請求項10又は11に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項13】
前記第5の位置では、前記第3のセグメント及び前記第4のセグメントは、内側に開く約90度以下の角度を形成する、請求項10~12のいずれか一項に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項14】
前記遠位ハブは前記第1の屈曲部の近位に配置される、請求項1~13のいずれか一項に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項15】
前記第2の位置では、前記遠位ハブは前記第2の屈曲部の遠位に配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して医療デバイスに関し、より具体的には、心臓の左心耳(LAA)への移植を含む経皮的医療処置での使用に適合する医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
左心耳は、心臓の左心房に付いている小さな器官である。心臓が正常に機能しているときは、左心房が収縮して血液を左心室に送り込むと、左心耳は収縮して血液を左心房に送り込む。左心耳の収縮能力は、左心室の充填の改善を助け、それによって心拍出量を維持する役割を果たす。しかし、心房細動を患う患者では、左心耳が適切に収縮しないか空になることがあるため、その内部に停滞した血液がたまり、これは左心耳内での望ましくない血栓の形成をもたらす可能性がある。
【0003】
左心耳内で形成された血栓は、この領域から剥がれて血流に入る可能性がある。血管内を移動する血栓は、最終的には下流のより細い血管を塞ぎ、それによって脳卒中や心臓発作を引き起こす可能性がある。臨床研究では、心房細動患者の血栓の大部分が左心耳から発生することが示されている。治療法として、左心耳を閉鎖するために配置される医療デバイスが開発されている。既知の医療デバイス及び方法には、それぞれ何らかの長所と短所がある。代替となる医療デバイス及び導入器、ならびに医療デバイス及び導入器を製造及び使用するための代替方法を提供する必要性が継続的に存在する。
【発明の概要】
【0004】
一例では、左心耳閉鎖デバイスは、中心長手方向軸の周りに配置された複数の支柱であって、互いに近位ハブ及び遠位ハブで結合された前記複数の支柱を有する拡張可能な骨組みを含み得る。前記拡張可能な骨組みが送達シースによって第1の位置に完全に拘束されると、前記複数の支柱の第1のセグメントが、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の第2のセグメントが前記第1の屈曲部から近位方向に延びる。前記拡張可能な骨組みの第1の量は、第2の位置では前記送達シースによって拘束されない。前記第2の位置では、前記複数の支柱の第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から近位方向かつ半径方向外側に第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から近位方向に前記送達シース内まで延びる。
【0005】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第2の位置では、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記拡張可能な骨組みの内部に向かって内側に開く鋭角を形成する。
【0006】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第1の量よりも多い前記拡張可能な骨組みの第2の量は、第3の位置では前記送達シースによって拘束されない。前記第3の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から前記中心長手方向軸とほぼ垂直に半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に前記第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記送達シース内に配置された前記近位ハブに向かって近位方向に延びる。
【0007】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第3の位置では、前記第2のセグメント及び前記第3のセグメントは、前記中心長手方向軸に向かって内側に開く鋭角を形成する。
【0008】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第3の位置では、前記第3のセグメント及び前記第4のセグメントは、前記中心長手方向軸に対して外側に開く鈍角を形成する。
【0009】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第2の量よりも多い前記拡張可能な骨組みの第3の量は、第4の位置では前記送達シースによって拘束されない。前記第4の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から遠位方向かつ半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に前記第3の屈曲部に向かって延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記送達シース内に配置された前記近位ハブに向かって近位方向に延びる。
【0010】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第4の位置では、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記拡張可能な骨組みの内部に向かって内側に開く鈍角を形成する。
【0011】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第4の位置では、前記第2のセグメント及び前記第3のセグメントは、前記中心長手方向軸に向かって内側に開く鋭角を形成する。
【0012】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第4の位置では、前記第3のセグメント及び前記第4のセグメントは、前記中心長手方向軸に対して外側に開く鈍角を形成する。
【0013】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第3の量よりも多い前記拡張可能な骨組みの第4の量は、第5の位置では前記送達シースによって拘束されない。前記第5の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から遠位方向かつ半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向に前記第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記近位ハブに向かって半径方向内側に延びる。
【0014】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第5の位置では、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、内側に開く鈍角を形成する。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第5の位置では、前記第2のセグメント及び前記第3のセグメントは、内側に開く鋭角を形成する。
【0015】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第5の位置では、前記第3のセグメント及び前記第4のセグメントは、内側に開く約90度以下の角度を形成する。
【0016】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記遠位ハブは前記第1の屈曲部の近位に配置される。
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第2の位置では、前記遠位ハブは前記第2の屈曲部の遠位に配置される。
【0017】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、左心耳閉鎖デバイスは、中心長手軸の周りに配置された複数の支柱であって、互いに近位ハブ及び遠位ハブで結合された前記複数の支柱を有する拡張可能な骨組みを含み得る。前記拡張可能な骨組みが完全に拘束された状態から完全に拘束されていない状態に移行するにつれて、前記拡張可能な骨組みは複数の位置を経て連続的に遷移する。第1の位置では、前記複数の支柱の第1のセグメントが、中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の第2のセグメントが、前記第1の屈曲部から近位方向かつ中心長手方向軸とほぼ平行に延びる。第2の位置では、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記中心長手方向軸の周りを円周方向に回転した場合、前記第1の屈曲部から前記第2の屈曲部に向かって近位方向に半径方向外側に先細りとなるほぼ円錐形の形状を画定する。
【0018】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第2の位置では、前記遠位ハブは前記第1の屈曲部の近位に配置され、前記遠位ハブは前記第2の屈曲部の遠位に配置される。
【0019】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第3の位置では、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記中心長手方向軸の周りを円周方向に回転した場合、前記中心長手方向軸に対してほぼ垂直に配向されたほぼ平らな形状を画定する。
【0020】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、前記第4の位置において、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記中心長手方向軸の周りを円周方向に回転した場合、前記第1の屈曲部から前記第2の屈曲部に向かって遠位方向に半径方向外側に先細りとなるほぼ円錐形の形状を画定する。
【0021】
本明細書に開示される任意の例に加えて、又はそれに代えて、左心耳閉鎖デバイスシステムは、送達シースの内部に延びる管腔を有する前記送達シースと、中心長手方向軸の周りに配置された複数の支柱であって、互いに近位ハブ及び遠位ハブで結合された前記複数の支柱を有する拡張可能な骨組みを備える左心耳閉鎖デバイスとを含み得る。前記拡張可能な骨組みが前記送達シースの管腔内の第1の位置に配置されると、前記複数の支柱の第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから遠位方向に第1の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の第2のセグメントが前記第1の屈曲部から近位方向に延びる。前記送達シースと前記拡張可能な骨組みとの間の相対的な軸方向の移動により、第2の位置では前記拡張可能な骨組みの一部が露出する。前記第2の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から近位方向かつ半径方向外側に第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記送達シース内まで近位方向に延びる。前記送達シースと前記拡張可能な骨組みとの間の相対的な軸方向の移動により、前記拡張可能な骨組みは、前記第2の位置よりも第3の位置においてより多く露出する。前記第3の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から前記中心長手方向軸にほぼ垂直に、前記第2の屈曲部まで半径方向外側に延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に前記第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記送達シース内に配置された前記近位ハブに向かって近位方向に延びる。前記送達シースと前記拡張可能な骨組みとの間の相対的な軸方向の移動により、前記拡張可能な骨組みは、前記第3の位置よりも第4の位置においてより多く露出する。前記第4の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から遠位方向かつ半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に前記第3の屈曲部に向かって延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記送達シース内に配置された前記近位ハブに向かって近位方向に延びる。前記送達シースと前記拡張可能な骨組みとの間の相対的な軸方向の移動により、第5の位置において前記拡張可能な骨組みのすべてが露出する。前記第5の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から遠位方向かつ半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは前記第2の屈曲部から前記第3の屈曲部まで近位方向に延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記近位ハブに向かって半径方向内側に延びる。
【0022】
いくつかの実施形態、態様、及び/又は例の上記の概要は、本開示の各実施形態又はすべての実装を説明することを意図したものではない。図面及び詳細な説明は、これらの実施形態の態様をより具体的に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解することができる。
図1】左心耳閉鎖デバイスシステムの側面図である。
図2】左心耳閉鎖デバイスシステムの側面図である。
図3】左心耳閉鎖デバイスの選択された態様を示す。
図4図3の左心耳閉鎖デバイスの選択された態様を示す。
図5図3~4の左心耳閉鎖デバイスの展開に関連する選択された態様を示す概略部分断面図である。
図6図3~4の左心耳閉鎖デバイスの展開に関連する選択された態様を示す概略部分断面図である。
図7図3~4の左心耳閉鎖デバイスの展開に関連する選択された態様を示す概略部分断面図である。
図8図3~4の左心耳閉鎖デバイスの展開に関連する選択された態様を示す概略部分断面図である。
図9図3~4の左心耳閉鎖デバイスの展開に関連する選択された態様を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の態様は、様々な修正及び代替形態に従うことができるが、例を図面に示し、本明細書で説明する。しかしながら、本開示の態様を記載された特定の実施形態に限定する意図ではないことを理解されたい。逆に、本開示は、その趣旨及び範囲内にあるすべての修正、均等物、及び代替物を包含するものとする。
【0025】
詳細な説明
以下の説明は、図面を参照して読まれるべきであるが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、いくつかの図を通して同様の参照番号は同様の要素を示している。詳細な説明及び図面は、本開示を例示することを意図したものであり、限定するものではない。当業者は、説明及び/又は示された様々な要素が、本開示の範囲から逸脱することなく様々な組み合わせ及び構成で配置され得ることを認識するであろう。詳細な説明及び図面は、本開示の例示的な態様を示す。しかしながら、明瞭さと理解を容易にするために、各図面にはすべての特徴及び/又は要素が示されていない場合があるが、別段の指定がない限り、そうした特徴及び/又は要素は存在すると理解され得る。
【0026】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本明細書では、明示的に示されているかどうかにかかわらず、すべての数値は「約」という用語によって修飾されているものとみなされる。数値の文脈における「約」という用語は、全般的に、当業者が記載された値と同等である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考えるであろう数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれ得る。「約」という用語の他の使用法(例えば、数値以外の文脈における)は、別段の指定がない限り、本明細書の文脈から理解され、本明細書の文脈と一致するように、通常の慣例的な定義を有するとみなされ得る。
【0027】
上限・下限による数値範囲の記載には、上限・下限を含む、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
【0028】
様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関するいくつかの適切な寸法、範囲、及び/又は値が開示されているが、当業者であれば、本開示に触発されて、所望の寸法、範囲、及び/又は値が明示的に開示されているものから逸脱する場合があることを理解するであろう。
【0029】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つ」、「その」、及び「前記」には、内容が明らかにそうでないことを示していない限り、複数の指示対象が含まれる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「又は」という用語は、内容が明らかにそうでないことを示していない限り、総じて「及び/又は」を含む意味で使用される。理解を容易にするために、本開示の特定の特徴は、複数であるか又は開示される実施形態内で繰り返される場合でも、単数形で説明される場合があることに留意されたい。特徴の各例は、明示的に反対の記載がない限り、単一の開示を含む、及び/又は単一の開示によって包含される場合がある。簡略化及び明確化の目的で、本開示のすべての要素が必ずしも各図に示されたり、以下で詳細に説明されたりするわけではない。しかしながら、明確に反対の記載がない限り、以下の説明は複数ある構成要素のいずれか及び/又はすべてに等しく適用され得ることが理解されるであろう。さらに、明確にするために、一部の要素又は特徴のすべての例が各図に示されているわけではない場合がある。
【0030】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形などの相対的な用語は、通常、デバイスのユーザ/操作者/マニピュレータに対する様々な要素の位置決め、方向、及び/又は操作に関して考慮される。ここで、「近位」及び「後退」は、ユーザに近い、又はユーザに向かっていくことを示す又は指すものであり、「遠位」及び「前進」は、ユーザから遠い、又はユーザから離れていくことを示す又は指すものである。場合によっては、「近位」及び「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられることがあり、そのような例は当業者には容易に明らかであろう。「上流」、「下流」、「流入」、及び「流出」などの他の相対的な用語は、体管腔、血管などの管腔内、又はデバイス内の流体の流れの方向を指す。「軸方向」、「円周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」など、及び/又はその変形などのさらに他の相対的な用語は、通常、開示された構造又はデバイスの中心長手方向軸に対する方向及び/又は配向を指す。
【0031】
「範囲」という用語は、記載又は特定された寸法の最大の測定値を意味すると理解され得、ただし、その範囲又は寸法の前に「最小」が付けられているか、又は「最小」として識別されている場合、これは、記載又は特定された寸法の最小測定値を意味すると理解され得る。例えば、「外側範囲」は外側寸法を意味すると理解され、「半径方向範囲」は半径方向寸法を意味すると理解され、「長手方向範囲」は長手方向寸法を意味すると理解され得る。「範囲」の各例は異なる場合があり(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、円周方向など)、個々の用法の文脈から当業者には明らかであろう。通常、「範囲」は、意図された使用法に従って測定された可能な最大の寸法と考えられ、一方、「最小範囲」は、意図された使用法に従って測定された可能な最小の寸法と考えられる。場合によっては、「範囲」は、通常、平面及び/又は断面内で直角に測定され得るが、特定の文脈から明らかなように、角度方向、半径方向、円周方向(例えば、円弧に沿って)などの(ただしこれらに限定されない)異なる方法で測定される場合もある。
【0032】
「モノリシック」及び「単一」という用語は、通常、単一の構造又は基本ユニット/要素から作られる、又はそれからなる要素を指すものとする。モノリシック及び/又は単一要素には、複数の個別の構造又は要素を組み立てて又は結合して作られた構造及び/又は特徴は含まれないものとする。
【0033】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、又は特性を含む必要はないことに留意されたい。さらに、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性がある実施形態に関連して説明されている場合、明確に反対の記載がない限り、その特定の特徴、構造、又は特性を他の実施形態に関連して有効にすることは、明示的に記載されているか否かに関わらず、当業者の知識の範囲内である。すなわち、以下に説明する様々な個々の要素は、特定の組み合わせで明示的に示されていなくても、当業者には理解され得るように、他の追加の実施形態を形成するために、又は説明される実施形態を補足及び/又は充実させるために、互いに組み合わせることができるか、又は配置可能であると考えられる。
【0034】
明確にする目的で、本明細書及び/又は特許請求の範囲全体にわたって、記載及び/又は請求される様々な特徴を命名及び/又は区別するために、特定の識別用の数値命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)が使用される場合がある。数値命名法は限定を意図するものではなく、単なる例示であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、簡潔さと明確さのために、以前に使用された数値命名法の変更及び逸脱が行われる場合がある。つまり、「第1の」要素として識別された特徴は、後に「第2」の要素、「第3の」要素などと称されたり、完全に省略されたり、及び/又は異なる特徴が「第1の」要素と呼ばれたりする場合がある。各例における意味及び/又は名称は、当業者には明らかであろう。
【0035】
左心耳は、患者の心臓の左心房に付着しており、左心房と連通し得る。患者によっては、左心耳が複雑な形状及び/又は不規則な表面積を有する場合がある。当業者はまた、本明細書に開示される医療デバイス及び方法が、必要に応じて左心耳の様々なサイズ及び形状に適合できることを認識するであろう。左心耳は、左心耳の本体の深さに沿って配置されたほぼ長手方向の軸を含み得る。本体は、近位口を形成する壁及び小孔を含み得る。いくつかの実施形態では、小孔及び/又は壁の横方向の範囲は、長手方向軸に沿った本体の深さより小さくてもよく、又は本体の深さは、小孔及び/又は壁の横方向の範囲よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、左心耳は、本体の遠位部分に関連付けられた尾状要素を含んでもよく、この要素は、本体から半径方向又は横方向に突き出てもよい。
【0036】
以下の図は、左心耳閉鎖デバイス、左心耳閉鎖デバイスシステム、及び/又は左心耳閉鎖デバイス及び/又は左心耳閉鎖デバイスシステムを使用する方法の選択された構成要素及び/又は配置を示す。どの図においても、簡略化のために、いくつかの特徴が示されていないか、又は概略的に示されている場合があることに留意されたい。インプラント及び/又はシステムのいくつかの構成要素に関する追加の詳細は、他の図でより詳細に示され得る。左心耳の閉塞について述べているが、左心耳閉鎖デバイス及び/又は左心耳閉鎖デバイスシステムは、患者における他のインターベンション及び/又は経皮的医療処置にも使用され得る。同様に、経皮展開に関して本明細書に記載されるデバイス及び方法は、必要に応じて、他のタイプの外科手術に使用され得る。例えば、いくつかの例では、デバイスは非経皮的処置で使用され得る。本開示によるデバイス及び方法は、解剖学的構造内での他の使用のために適合させ及び構成することもできる。
【0037】
図1~2は、左心耳を閉塞するために使用され得る左心耳閉鎖デバイスシステム10の選択された構成要素及び/又は配置を示す。どの図においても、簡略化のために、左心耳閉鎖デバイスシステム10のいくつかの特徴が示されていないか、又は概略的に示されている場合があることに留意されたい。左心耳閉鎖デバイスシステム10のいくつかの構成要素に関する追加の詳細は、他の図でより詳細に示され得る。
【0038】
左心耳閉鎖デバイスシステム10は、近位開口部から遠位開口部まで延びる管腔42を有する送達シース40と、管腔42内にスライド可能に配置されたコアワイヤ30と、左心耳を閉塞するための左心耳閉鎖デバイス100とを含み得る。左心耳閉鎖デバイス100は、左心耳閉鎖デバイス100が送達構成で遠位開口部の近位で管腔42内に配置される完全に拘束された構成(例えば、図1)と、完全に拘束されていない構成(例えば、図2)との間で移行するように構成された拡張可能な骨組み110(例えば、図3)を含むことができ、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110は、左心耳閉鎖デバイス100が送達シース40に対して平行移動する際に、完全に拘束された構成と完全に拘束されていない構成との間で移行するように構成されている。少なくともいくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、完全に拘束されていない構成に向けて自ずから付勢され得る。
【0039】
左心耳閉鎖デバイス100は、コアワイヤ30の遠位部分に配置され得、かつ/又はコアワイヤ30の遠位部分に解放可能に固定され得る。コアワイヤ30は、送達シース40の管腔42内にスライド可能及び/又は回転可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、コアワイヤ30の近位端は、臨床医又は開業医による手動操作のために、送達シース40の近位端及び/又は管腔42の近位開口部よりも近位に延びることができる。いくつかの実施形態では、左心耳閉鎖デバイス100は、コアワイヤ30の遠位端に取り外し可能に取り付けられ、接合され、固定され、又はその他の方法で接続され得る。コアワイヤ30は、送達シース40に対して左心耳閉鎖デバイス100を軸方向に移動させるように構成され得、かつ/又はそのように移動可能であり得る。一例では、送達シース40を一定の位置に保持しながら、コアワイヤ30を遠位方向に前進させることができる。別の例では、送達シース40を近位方向に後退させながら、コアワイヤ30を遠位方向に前進させることができる。さらに別の例では、送達シース40をコアワイヤ30及び/又は左心耳閉鎖デバイス100に対して近位方向に後退させながら、コアワイヤ30を一定の位置に保持することができる。他の構成も考えられる。送達シース40及び/又はコアワイヤ30は、選択されたレベルの軸方向の剛性及び/又は押し込み特性を有し得ると同時に、患者の脈管構造を通ってナビゲーションを可能にする選択されたレベルの可撓性も有し得る。
【0040】
左心耳閉鎖デバイスシステム10、コアワイヤ30、送達シース40、及び/又は左心耳閉鎖デバイス100などのための材料のいくつかの適切な、ただし非限定的な例を以下に述べる。本明細書に開示される任意の例示的な左心耳閉鎖デバイスは、上述の例示的な左心耳閉鎖デバイスシステム10に従って使用され得る、及び/又はそれに関連付けられて使用され得ることが企図される。
【0041】
左心耳閉鎖デバイス100は、完全に拘束された構成と完全に拘束されていない構成との間で中心長手方向軸に沿って軸方向及び/又は半径方向に移行するように構成された拡張可能な骨組み110を含み得る。完全に拘束された構成では、拡張可能な骨組み110は、軸方向に伸長し及び/又は半径方向に圧縮され得る。完全に拘束されていない構成では、拡張可能な骨組み110は、軸方向に短縮され、及び/又は半径方向に拡張され得る。
【0042】
完全に拘束されていない構成における左心耳閉鎖デバイス100の選択された態様を示す図3に見られるように、拡張可能な骨組み110は、中心長手方向軸の周りに配置された複数の支柱を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の支柱は複数の区画を画定し得る。いくつかの実施形態では、複数の区画は複数の閉鎖区画であり得る。いくつかの実施形態では、複数の区画は複数の開放区画であり得る。いくつかの実施形態では、複数の区画は、複数の開放区画及び複数の閉鎖区画を様々な組み合わせ及び/又は配置で含むことができる。
【0043】
拡張可能な骨組み110は、近位ハブ112及び遠位ハブ114を含み得る。いくつかの実施形態では、近位ハブ112及び/又は遠位ハブ114は、その中心が長手方向軸上にあり、及び/又は長手方向軸と同軸であり得る。複数の支柱は、互いに近位ハブ112及び/又は遠位ハブ114で結合され、及び/又は近位ハブ112及び/又は遠位ハブ114に固定的に取り付けられ得る。近位ハブ112は、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110をコアワイヤ30に解放可能に接続、固定、及び/又は取り付けるように構成され得る。いくつかの実施形態では、近位ハブ112は、コアワイヤ30の雄ネジが切られた遠位端に回転可能に係合及び/又は螺合するように構成された雌ネジを含み得る。左心耳閉鎖デバイス100をコアワイヤ30に取り外し可能に固定するための他の構成も考えられる。本明細書に記載されているように、明瞭性を高めるために、一部の特徴が示されていない図が存在する。
【0044】
拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱は、管状部材から形成及び/又は切断され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱は、一体的に形成され、及び/又は単一部材から切り出され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱は、単一の管状部材から一体的に形成及び/又は切断され、その後、完全に拘束されていない構成の所望の形状に形成及び/又は熱硬化され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱は、単一の平らな部材又はシートから一体的に形成及び/又は切断され、その後、管状構造に丸められ又は形成され、続いて、完全に拘束されていない構成の所望の形状に形成及び/又は熱硬化され得る。拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱を作成及び/又は形成するいくつかの例示的な手段及び/又は方法には、レーザー切断、機械加工、打ち抜き、スタンピング、放電加工(EDM)、化学的溶解などが含まれる。他の手段及び/又は方法も考えられる。
【0045】
当業者には理解されるように、解剖学的特徴のサイズ及び/又は形状は変化し得る。いくつかの実施形態では、左心耳は、不規則な(例えば、細長い及び/又は長方形の)断面形状を有し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、左心耳内で展開及び/又は拡張されたときに、左心耳の側壁の外形及び/又は表面形状に対して準拠性があり、実質的に適合し、かつ/又は密封係合する。いくつかの実施形態では、左心耳閉鎖デバイス100は、周囲の組織及び/又は左心耳の側壁によって決定されるように、完全に拘束されていない構成よりも小さい、又はそれとは異なるサイズ、程度、又は形状まで拡張することができる。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、左心耳の側壁が拡張可能な骨組み110の外形に実質的に適合するように、左心耳の組織を成形し及び/又は伸長させるように構成され得る。他の構成も考えられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、完全に拘束されていない構成でそこから半径方向外側に延びる少なくとも1つの固定部材116を含み得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、拡張可能な骨組み110から半径方向外側に延びる少なくとも1つの固定部材116を含み得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、拡張可能な骨組み110の近位肩部に近接して拡張可能な骨組み110から半径方向外側に延びる少なくとも1つの固定部材116を含み得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、拡張可能な骨組み110の中央部に近接して拡張可能な骨組み110から半径方向外側に延びる少なくとも1つの固定部材116を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの固定部材116は、左心耳の本体の側壁と係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの固定部材116は、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110の中心長手方向軸に対して近位方向に延びる及び/又は近位方向に向けられた自由端を有するJ字形フックとして形成され得る。他の構成も考えられる。
【0047】
いくつかの実施形態では、左心耳閉鎖デバイス100は、図4に見られるように、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の少なくとも一部に接続され、それに接触して配置され、その上に配置され、その周囲に配置され、及び/又はその半径方向外側に配置された閉塞要素120を任意選択で含んでもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、近位ハブ112に取り付けられてもよく、及び/又は近位ハブ112のところで拡張可能な骨組みに取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、近位ハブ112から半径方向外側に延びてもよく、かつ/又は近位ハブ112から遠位方向に延びてもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、複数の別個の位置で拡張可能な骨組み110に取り付けられ、及び/又は固定され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの固定部材116のうちの1つ、一部、及び/又はすべてが、閉塞要素120(存在する場合)を通って延びることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、膜、織物、メッシュ、組織成分、又は別の適切な構造を含み得る。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は多孔質であり得る。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は非多孔質であり得る。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、選択されたガス及び/又は流体に対して透過性であり得る。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、血液、水などの選択されたガス及び/又は流体に対して実質的に不透過性であり得る。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、血栓及び/又は塞栓物質が左心耳から左心房及び/又は患者の血流に流出するのを防ぐように設計、サイズ設定及び/又は構成されてもよい。いくつかの実施形態では、閉塞要素120は、移植後に内皮形成を促進するように構成されてもよく、それによって、標的部位(例えば、左心耳など)を患者の循環系から効果的に除去する。閉塞要素120の材料のいくつかの適切な、ただし非限定的な例を以下に説明する。
【0049】
図5~9は、左心耳閉鎖デバイス100の展開中の左心耳閉鎖デバイス100及び/又は左心耳閉鎖デバイスシステム10の選択された態様を概略的に示す。明確にするため、及び理解を容易にするために、左心耳閉鎖デバイス100のいくつかの要素は示されていないが、本開示の他の図及び/又は説明に従って及び/又は一貫して存在すると理解されるべきである。図5~8は、左心耳閉鎖デバイス100の部分断面図を示す。図9は、他の図から理解できるように、隠れた特徴を示すために破線を使用して左心耳閉鎖デバイス100を示す。閉塞要素120は図9には示されていない。図5~9から、左心耳閉鎖デバイス100の拡張可能な骨組み110が完全に拘束された状態から完全に拘束されていない状態に移行すると、拡張可能な骨組み110は複数の位置を経て連続的に遷移し得ることが分かる。いくつかの実施形態では、前記複数の位置は、本明細書に記載されるように、第1の位置、第2の位置、第3の位置、第4の位置、及び/又は第5の位置を含み得る。いくつかの実施形態では、前記複数の位置は追加の位置及び/又は他の位置を含み得る。
【0050】
ここで図5に戻ると、いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、送達シース40によって第1の位置に完全に拘束され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、第1の位置で送達シース40の管腔42内に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第1のセグメント130は、遠位ハブ114から遠位方向に、中心長手方向軸とほぼ平行に第1の屈曲部132まで延び、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第2のセグメント140は、第1の屈曲部132から近位方向に延び得る。いくつかの実施形態では、第1の位置において、第2のセグメント140は、第1の屈曲部132から近位方向に、中心長手方向軸にほぼ平行に延びることができる。第1の位置では、遠位ハブ114は第1の屈曲部132の近位に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1のセグメント130は、遠位ハブ114に固定され得る。いくつかの実施形態では、第1のセグメント130は、遠位ハブ114に固定的に取り付けられ得る。例えば、第1のセグメント130は、遠位ハブ114に溶接、接着等され得る。他の構成も考えられる。
【0051】
いくつかの実施形態では、図6に見られるように、送達シース40と拡張可能な骨組み110との間の相対的な軸方向の移動により、第2の位置で拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の一部が露出し得る。いくつかの実施形態では、第1の量の拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱は、第2の位置で送達シース40から露出し、及び/又は送達シース40によって拘束されない。いくつかの実施形態では、第1の量は、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の軸方向の長さ、体積、重量、及び/又は表面積の約55%未満であり得る。いくつかの実施形態では、第1の量は、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の軸方向の長さ、体積、重量、及び/又は表面積の約15%~約55%であり得る。他の構成及び/又は範囲も考えられる。いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110は、約6ミリメートル(mm)から約10mmの最大半径方向範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110は、約8mmの最大半径方向範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110の最大半径方向範囲は、送達シース40の遠位端の最大外側範囲の約2倍又は約200%であり得る。他の構成及び/又はサイズも考えられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第1のセグメント130は、遠位ハブ114から遠位方向に、中心長手方向軸とほぼ平行に第1の屈曲部132まで延び得る。第2の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第2のセグメント140は、第1の屈曲部132から近位方向かつ半径方向外側に、第2の屈曲部142に向かって、及び/又は第2の屈曲部142まで延び得る。第2の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第3のセグメント150は、第2の屈曲部142から近位方向かつ半径方向内側に、第3の屈曲部152に向かって、及び/又は第3の屈曲部152まで延び得る。いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第4のセグメント160は、第3の屈曲部152から近位方向に送達シース40の管腔42内に延び得る。いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第4のセグメント160は、第3の屈曲部152から送達シース40の管腔42内に配置された近位ハブ112に向かって近位方向に延び得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2の位置では、遠位ハブ114は第1の屈曲部132の近位に配置される。いくつかの実施形態では、第2の位置では、遠位ハブ114は、第2の屈曲部142の遠位に配置され得る。例えば、第2の位置では、遠位ハブ114は、第2の屈曲部142の少なくとも一部を含む、及び/又は第2の屈曲部142に接しかつ中心長手方向軸に対して垂直に配向した平面よりも遠位に配置され得る。いくつかの実施形態では、第2の位置では、複数の支柱の第1のセグメント130及び複数の支柱の第2のセグメント140は、拡張可能な骨組み110の内部に向かって内側に開く鋭角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第2の位置では、複数の支柱の第1のセグメント130及び複数の支柱の第2のセグメント140は、中心長手方向軸から半径方向外側に開く鋭角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第2のセグメント140は、中心長手方向軸の周りを円周方向に回転した場合、第1の屈曲部132から第2の屈曲部142に向かって近位方向に半径方向外側に先細りとなるほぼ円錐形の形状を画定し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、送達シース40と拡張可能な骨組み110との間の相対的な軸方向の移動により、図7に見られるように、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱は、第2の位置よりも第3の位置においてより多く露出し得る。いくつかの実施形態では、第1の量よりも多い拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の第2の量が、第3の位置で送達シース40から露出され、かつ/又は送達シース40によって拘束されない。いくつかの実施形態では、第2の量は、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の軸方向の長さ、体積、重量、及び/又は表面積の約75%未満であり得る。いくつかの実施形態では、第2の量は、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の軸方向の長さ、体積、重量、及び/又は表面積の約40%~約75%であり得る。他の構成及び/又は範囲も考えられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、第3の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第1のセグメント130は、遠位ハブ114から遠位方向に、中心長手方向軸とほぼ平行に第1の屈曲部132まで延び得る。第3の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第2のセグメント140は、第1の屈曲部132から半径方向外側かつ中心長手方向軸に対してほぼ垂直に、第2の屈曲部142に向かって、及び/又は第2の屈曲部142まで延び得る。第3の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第3のセグメント150は、第2の屈曲部142から近位方向かつ半径方向内側に、第3の屈曲部152に向かって、及び/又は第3の屈曲部152まで延び得る。いくつかの実施形態では、第3の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第4のセグメント160は、第3の屈曲部152から送達シース40の管腔42内に近位方向に延び得る。いくつかの実施形態では、第3の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第4のセグメント160は、第3の屈曲部152から送達シース40の管腔42内に配置された近位ハブ112に向かって近位方向に延び得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、第3の位置では、遠位ハブ114は第1の屈曲部132の近位に配置される。いくつかの実施形態では、第3の位置では、複数の支柱の第1のセグメント130及び複数の支柱の第2のセグメント140は、拡張可能な骨組み110の内部に向かって開くほぼ直角の角度を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第3の位置では、複数の支柱の第1のセグメント130及び複数の支柱の第2のセグメント140は、中心長手方向軸から半径方向外側に開くほぼ直角の角度を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第3の位置では、複数の支柱の第2のセグメント140及び複数の支柱の第3のセグメント150は、拡張可能な骨組み110の内部に向かって半径方向内側に開く鋭角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第3の位置では、複数の支柱の第2のセグメント140及び複数の支柱の第3のセグメント150は、中心長手方向軸に向かって半径方向内側に開く鋭角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第3の位置では、複数の支柱の第3のセグメント150及び複数の支柱の第4のセグメント160は、中心長手方向軸から半径方向外側に開く鈍角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第3の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第2のセグメント140は、中心長手方向軸の周りを円周方向に回転した場合、中心長手方向軸に対してほぼ垂直に配向されたほぼ平面形状を画定し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、送達シース40と拡張可能な骨組み110との間の相対的な軸方向の移動により、図8に見られるように、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱は、第3の位置よりも第4の位置においてより多く露出し得る。いくつかの実施形態では、第2の量よりも多い拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の第3の量が、第4の位置で送達シース40から露出され、かつ/又は送達シース40によって拘束されない。いくつかの実施形態では、第3の量は、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の軸方向の長さ、体積、重量、及び/又は表面積の約95%未満であり得る。いくつかの実施形態では、第3の量は、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の軸方向の長さ、体積、重量、及び/又は表面積の約60%~約95%であり得る。他の構成及び/又は範囲も考えられる。
【0058】
いくつかの実施形態では、第4の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第1のセグメント130は、遠位ハブ114から遠位方向に、中心長手方向軸とほぼ平行に第1の屈曲部132まで延び得る。第4の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第2のセグメント140は、第1の屈曲部132から遠位方向かつ半径方向外側に第2の屈曲部142に向かって、及び/又は第2の屈曲部142まで延び得る。第4の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第3のセグメント150は、第2の屈曲部142から近位方向かつ半径方向内側に、第3の屈曲部152に向かって、及び/又は第3の屈曲部152まで延び得る。いくつかの実施形態では、第4の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第4のセグメント160は、第3の屈曲部152から送達シース40の管腔42内に配置された近位ハブ112に向かって近位方向に延び得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、第4の位置では、遠位ハブ114は第1の屈曲部132の近位に配置される。いくつかの実施形態では、第4の位置では、複数の支柱の第1のセグメント130及び複数の支柱の第2のセグメント140は、拡張可能な骨組み110の内部に向かって内側に開く鈍角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第4の位置では、複数の支柱の第2のセグメント140及び複数の支柱の第3のセグメント150は、中心長手軸に向かって半径方向内側に開く鋭角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第4の位置では、複数の支柱の第3のセグメント150及び複数の支柱の第4のセグメント160は、中心長手方向軸から半径方向外側に開く鈍角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第4の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第2のセグメント140は、中心長手方向軸の周りを円周方向に回転した場合、第1の屈曲部132から第2の屈曲部142に向かって遠位方向に半径方向外側に先細りとなるほぼ円錐形の形状を画定し得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、送達シース40と拡張可能な骨組み110との間の相対的な軸方向の移動により、図9に見られるように、第5の位置にある拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の実質的にすべてが露出し得る。いくつかの実施形態では、第3の量よりも多い拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の第4の量が、第5の位置で送達シース40から露出され、及び/又は送達シース40によって拘束されない。いくつかの実施形態では、第4の量は、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の軸方向の長さ、体積、重量、及び/又は表面積の約95%を超えてもよい。いくつかの実施形態では、第4の量は、拡張可能な骨組み110及び/又は複数の支柱の軸方向の長さ、体積、重量、及び/又は表面積の約100%であり得る。他の構成及び/又は範囲も考えられる。
【0061】
いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、第5の位置では完全に拘束されていない構成であり得る。いくつかの実施形態では、完全に拘束されていない構成では、拡張可能な骨組みは、約16ミリメートル(mm)から約40mmの最大半径方向範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、完全に拘束されていない構成では、拡張可能な骨組みは約16mmの最大半径方向範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、完全に拘束されていない構成では、拡張可能な骨組みは約20mmの最大半径方向範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、完全に拘束されていない構成では、拡張可能な骨組みは約25mmの最大半径方向範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、完全に拘束されていない構成では、拡張可能な骨組みは約30mmの最大半径方向範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、完全に拘束されていない構成では、拡張可能な骨組みは約35mmの最大半径方向範囲を有し得る。いくつかの実施形態では、完全に拘束されていない構成では、拡張可能な骨組みは約40mmの最大半径方向範囲を有し得る。他の構成及び/又はサイズも考えられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、第5の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第1のセグメント130は、遠位ハブ114から遠位方向に、中心長手方向軸とほぼ平行に第1の屈曲部132まで延び得る。第5の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第2のセグメント140は、第1の屈曲部132から遠位方向かつ半径方向外側に第2の屈曲部142に向かって、及び/又は第2の屈曲部142まで延び得る。第5の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第3のセグメント150は、第2の屈曲部142から近位方向に、第3の屈曲部152に向かって、及び/又は第3の屈曲部152まで延び得る。いくつかの実施形態では、第5の位置、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第3のセグメント150は、第2の屈曲部142から近位方向に、中心長手方向軸とほぼ平行に第3の屈曲部152に向かって、及び/又は第3の屈曲部152まで延び得る。いくつかの実施形態では、第5の位置では、拡張可能な骨組み110の複数の支柱の第4のセグメント160は、第3の屈曲部152から近位ハブ112に向かって、及び/又は近位ハブ112まで半径方向内側に延び得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、第5の位置では、遠位ハブ114は第1の屈曲部132の近位に配置される。いくつかの実施形態では、第5の位置では、複数の支柱の第1のセグメント130及び複数の支柱の第2のセグメント140は、拡張可能な骨組み110の内部に向かって内側に開く鈍角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第5の位置では、複数の支柱の第2のセグメント140及び複数の支柱の第3のセグメント150は、中心長手方向軸に向かって半径方向内側に開く鋭角を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第5の位置では、複数の支柱の第3のセグメント150及び複数の支柱の第4のセグメント160は、拡張可能な骨組み110の内部に向かって半径方向内側に開く約90度以下の角度を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。いくつかの実施形態では、第5の位置では、複数の支柱の第3のセグメント150及び複数の支柱の第4のセグメント160は、中心長手方向軸に向かって半径方向内側に開く約90度以下の角度を形成する、及び/又は形成するように交差し得る。
【0064】
左心耳を閉塞するための方法は、左心耳閉鎖デバイス100を患者の心臓の左心耳内に前進させることを含み得る。例えば、左心耳閉鎖デバイス100を、送達シース40の管腔42内で完全に拘束された構成で左心耳まで前進させることができる。この方法は、左心耳内で拡張可能な骨組み110を送達シース40から展開することを含み得る。この方法は、左心耳内で拡張可能な骨組み110を完全に拘束された構成から完全に拘束されていない構成に拡張及び/又は移行させることをさらに含み得る。
【0065】
拡張可能な骨組み110が完全に拘束された状態から完全に拘束されていない状態に移行するにつれて、拡張可能な骨組み110は、本明細書に記載されるように、複数の位置を経て連続的に遷移することができる。いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110は、患者の心臓、左心房、及び/又は左心耳内で移動及び/又はナビゲートされ得る。第2の位置では、拡張可能な骨組み110は、概して丸みを帯びた非外傷性の形状を形成し得る。いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110の最大半径方向範囲は、送達シース40の遠位端の最大外側範囲の約2倍又は約200%であり得る。いくつかの実施形態では、第2の位置では、拡張可能な骨組み110の最大半径方向範囲は約8ミリメートルであり得る。他の構成及び/又はサイズも考えられる。いくつかの実施形態では、医師は、患者の解剖学的構造内でのナビゲーションツールとして、概して丸みを帯びた非外傷性の形状を使用することができる。
【0066】
完全に拘束されていない構成(例えば、第5の位置)において、及び/又はその近くでは、拡張可能な骨組み110は、左心耳の本体の側壁と接触し、係合し、及び/又はそれに固定されるように押し付けられてもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能な骨組み110は、左心耳の壁との接触により、完全に拘束されていない構成(例えば、第5の位置)を完全に達成できないことがある。しかしながら、拡張可能な骨組み110の遠位部分の反転形状(例えば、第1のセグメント130、第1の屈曲部132、第2のセグメント140、及び第2の屈曲部142)は、拡張可能な骨組み110が遠位方向に伸びることを妨げることができる。これにより、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110を左心耳内に配置すること、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110を左心耳に対して封止すること、及び/又は左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110を左心耳内に固定することは損なわれ得るが、代わりに、第3のセグメント150に対して圧縮力が適用され、及び/又は第2の屈曲部142が、遠位ハブ114を近位ハブ112に向かって近位方向に付勢し得る。したがって、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110の最終形状は、より予測可能であり、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110の左心耳内での配置及び固定が改善され得る。
【0067】
少なくともいくつかの実施形態では、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110は、左心耳の小孔を横切って広がり得る。いくつかの実施形態では、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110は、左心耳の小孔を完全に横切って広がり、それによって、左心耳を患者の循環系から効果的に除去することができる。
【0068】
左心耳閉鎖デバイス100の左心耳内での位置決めに満足したら、コアワイヤ30を左心耳閉鎖デバイス100から切り離し、それによって左心耳閉鎖デバイス100を左心耳に、及び/又は左心耳の中に配置したままにしておくことができる。いくつかの実施形態では、コアワイヤ30を左心耳閉鎖デバイス100から切り離すことは、コアワイヤ30の雄ねじ付き遠位端を左心耳閉鎖デバイス100及び/又は近位ハブ112に対して回転させることで、左心耳閉鎖デバイス100からコアワイヤ30の係合を外すことを含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、送達シース40及び/又はコアワイヤ30は、近位ハブ112に対するコアワイヤ30の回転を防止するように構成されたキー構造を含み得る。そのような実施形態では、キー構造は、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は近位ハブ112に対してコアワイヤ30を回転させる前に解除される。キー構造が係合すると、コアワイヤ30の回転が左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110に伝達され得る。いくつかの実施形態では、左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110の回転は、例えば、非対称及び/又は不規則な小孔及び/又は左心耳に関して、左心耳に対する左心耳閉鎖デバイス100及び/又は拡張可能な骨組み110の位置決め及び/又は配向を容易にし得る。他の構成、目的、及び/又は結果も考えられる。
【0070】
システムの様々な構成要素(及び/又は本明細書に開示される他の要素)及び本明細書に開示されるその様々な構成要素に使用できる材料には、医療デバイス及び/又はシステムに一般的に関連する材料が含まれ得る。簡潔にするために、以下の説明ではシステムについて言及する。しかしながら、これは、本明細書に記載されるデバイス及び方法を限定することを意図したものではなく、この議論は、本明細書に開示される他の要素、部材、構成部品、又はデバイス、例えば、限定するものではないが、左心耳閉鎖デバイス、送達シース、コアワイヤ、拡張可能な骨組み、閉塞要素など、及び/又はそれらの要素もしくは構成部品にも適用され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、システム及び/又はその構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示されている)、金属-ポリマー複合材料、セラミック、それらの組み合わせなど、又は他の適切な材料から作製され得る。
【0072】
適切な金属及び合金の例には、ステンレス鋼、例えば、444V、444L、及び314LVステンレス鋼;軟鋼;ニッケルチタン合金、例えば、線形弾性及び/又は超弾性ニチノール;その他のニッケル合金、例えば、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:N06625、例えばINCONEL(登録商標)625、UNS:N06022、例えばHASTELLOY(登録商標)C-22、UNS:N10276、例えばHASTELLOY(登録商標)C276、その他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、UNS:N04400、例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(商標)400、NICORROS(登録商標)400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R44035、例えばMP35-Nなど)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、UNS:N10665、例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2など)、その他のニッケル-クロム合金、その他のニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-コバルト合金、その他のニッケル-鉄合金、その他のニッケル-銅合金、その他のニッケル-タングステン合金又はタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R44003、例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)など);白金高含有ステンレス鋼;チタン;それらの組み合わせ;など;又は他の適切な材料が挙げられる。
【0073】
本明細書で示唆されているように、市販のニッケル-チタン合金又はニチノール合金の中には「線形弾性」又は「非超弾性」と呼ばれるカテゴリーがある。これらは、従来の形状記憶や超弾性の種類と化学的には似ているかもしれないが、独特の有用な機械的特性を示し得る。線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、その応力-ひずみ曲線において、超弾性ニチノールのような実質的な「超弾性プラトー」又は「フラッグ領域(flag region)」を示さないという点で超弾性ニチノールと区別され得る。その代わりに、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールでは、回復可能なひずみが増加するにつれて、塑性変形が始まるまで、実質的に又はある程度線形の関係(完全に線形の関係である必要はない)で、又は少なくとも、超弾性ニチノールで見られる超弾性プラトー及び/又はフラッグ領域よりは線形に近い関係で、応力が増加し続ける。したがって、本開示の目的では、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、「実質的に」線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールとも呼ばれる。
【0074】
場合によっては、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが(例えば、塑性変形する前に)実質的に弾性を維持しながら最大約2~5%のひずみを受け入れることができるのに対し、超弾性ニチノールは、塑性変形する前に最大約8%のひずみを受け入れることができるという点でも、超弾性ニチノールと区別され得る。これらの材料は両方とも、塑性変形する前に約0.2~0.44パーセントのひずみしか受け入れられないステンレス鋼(これは組成に基づいて区別可能でもある)などの他の線形弾性材料と区別することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたり、示差走査熱量測定(DSC)及び動的金属熱分析(dynamic metal thermal analysis:DMTA)によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を全く示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性体及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金において、約-60セルシウス度(℃)~約120℃の範囲でDSC及びDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化が存在しなくてもよい。したがって、そのような材料の機械的曲げ特性は、通常、この非常に広い温度範囲にわたって温度の影響を受けないものであり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度又は室温での線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば体温での機械的特性と実質的に同じであり、その温度では、超弾性プラトー及び/又はフラッグ領域を示さない。言い換えれば、幅広い温度範囲にわたって、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性及び/又は非超弾性特性及び/又は特性を維持する。
【0076】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50~約60重量パーセント範囲のニッケル及び残りは本質的にチタンのものであってもよい。いくつかの実施形態では、組成は約54~約57重量パーセントのニッケルの範囲にある。適切なニッケル-チタン合金の一例は、日本の神奈川県の古河テクノマテリアル社から市販されているFHP-NT合金である。他の適切な材料としては、ULTANIUM(商標)(Neo-Metricsから入手可能)及びGUM METAL(登録商標)(トヨタから入手可能)が挙げられる。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用することで、所望の特性を達成することができる。
【0077】
少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び/又は他の要素の一部又は全部は、放射線不透過性材料でドープされ、放射線不透過性材料で作られ、又はその他の方法で放射線不透過性材料を含んでもよい。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーン又は他の画像化技術上に比較的明るい画像を生成できる材料であると理解されている。この比較的明るい画像は、ユーザが本明細書に開示されるシステム及び/又は他の要素の位置を決定するのを助ける。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性フィラーを充填したポリマー材料などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルも、同じ結果を達成するために、本明細書に開示されるシステム及び/又は他の要素の設計に組み込むことができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性が、本明細書に開示されるシステム及び/又は他の要素に与えられる。例えば、システム及び/又はその構成要素もしくはその一部は、画像を実質的に歪めず、また、実質的なアーチファクト(例えば、画像内のギャップ)を生じさせない材料で作製され得る。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像にアーチファクトを生じさせる可能性があるため、適切ではない場合がある。システム又はその一部は、MRI機器が画像化できる材料から作製されてもよい。これらの特性を示すいくつかの材料には、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(商標)などのUNS:R44035)、ニチノールなど、その他が含まれる。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び/又は他の要素は、ポリマー又は他の適切な材料から作製され得るか、又はそれらを含み得る。適切なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えばデュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標))、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)又はElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名PEBAX(登録商標)として入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、MARLEX(登録商標)高密度ポリエチレン、MARLEX(登録商標)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材料などが挙げられる。いくつかの実施形態では、シースは液晶ポリマー(LCP)とブレンドすることができる。例えば、混合物は最大約6パーセントのLCPを含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び/又は他の要素は、構造上又は構造内に配置された布地材料を含み得る。布地材料は、組織の内方成長を促進するように適合されたポリマー材料又は生体材料などの生体適合性材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、布地材料は生体吸収性材料を含み得る。適切な布地材料のいくつかの例としては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンなどのポリオレフィン材料、及び/又はそれらのブレンドもしくは組み合わせが挙げられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び/又は他の要素は、繊維材料を含み、及び/又は繊維材料から形成され得る。適切な繊維材料のいくつかの例としては、平らな、成形された、撚られた、テクスチャード加工された、防縮加工された、又は未収縮の合成糸が挙げられる。本開示での使用に適した合成生体適合性糸としては、限定するものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート、ポリアミド、ナフタレンジカルボキシレン誘導体、天然絹、及びポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。さらに、少なくとも1つの合成糸は、金属糸又はガラスもしくはセラミック糸又は繊維であってもよい。有用な金属糸は、ステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタルもしくはNi-Co-Cr系合金から製造されるか、又はそれらを含む糸などを含む。糸は、炭素、ガラス又はセラミック繊維をさらに含んでもよい。望ましくは、糸は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリナフタレン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含むがこれらに限定されない熱可塑性材料から作られる。糸は、マルチフィラメント、モノフィラメント、又は紡績タイプのものであり得る。選択される糸のタイプ及びデニールは、生体適合性及び移植可能なプロテーゼ、より具体的には望ましい特性を有する血管構造を形成する方法で選択され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び/又は他の要素は、適切な治療薬を含み得、及び/又は適切な治療薬で処理され得る。適切な治療薬のいくつかの例としては、抗血栓形成剤(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など);抗増殖剤(エノキサパリン、アンジオペプチン、平滑筋細胞の増殖をブロックできるモノクローナル抗体、ヒルジン、及びアセチルサリチル酸など);抗炎症薬(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、及びメサラミンなど);抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン及びチミジンキナーゼ阻害剤など);麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン、及びロピバカインなど);抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、及びダニ抗血小板ペプチドなど);血管細胞増殖促進剤(増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写活性化剤、及び翻訳プロモーターなど);血管細胞増殖阻害剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害性抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒素からなる二機能性分子、抗体と細胞毒素からなる二機能性分子など);コレステロール低下剤;血管拡張剤;及び内因性血管作動性機構を妨害する薬剤が挙げられる。
【0083】
本開示は多くの点で例示にすぎないことを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、細部、特に形状、サイズ、及び工程の並び順に関して変更を加えることができる。これには、適切な範囲で、ある例示的な実施形態の特徴のいずれかを他の実施形態で使用することを含み得る。当然ながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現する文言で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左心耳閉鎖デバイスであって、
中心長手方向軸の周りに配置された複数の支柱であって、互いに近位ハブ及び遠位ハブで結合された前記複数の支柱を有する拡張可能な骨組みを含み、
前記拡張可能な骨組みが送達シースによって第1の位置に完全に拘束されると、前記複数の支柱の第1のセグメントが、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の第2のセグメントが前記第1の屈曲部から近位方向に延び、
前記拡張可能な骨組みの第1の量は、第2の位置では前記送達シースによって拘束されず、
前記第2の位置では、前記複数の支柱の第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から近位方向かつ半径方向外側に第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から近位方向に前記送達シース内まで延びる、左心耳閉鎖デバイス。
【請求項2】
前記第2の位置では、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記拡張可能な骨組みの内部に向かって内側に開く鋭角を形成する、請求項1に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項3】
前記第1の量よりも多い前記拡張可能な骨組みの第2の量は、第3の位置では前記送達シースによって拘束されず、
前記第3の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から前記中心長手方向軸とほぼ垂直に半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に前記第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記送達シース内に配置された前記近位ハブに向かって近位方向に延びる、請求項1に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項4】
前記第3の位置では、前記第2のセグメント及び前記第3のセグメントは、前記中心長手方向軸に向かって内側に開く鋭角を形成する、請求項3に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項5】
前記第3の位置では、前記第3のセグメント及び前記第4のセグメントは、前記中心長手方向軸に対して外側に開く鈍角を形成する、請求項3に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項6】
前記第2の量よりも多い前記拡張可能な骨組みの第3の量は、第4の位置では前記送達シースによって拘束されず、
前記第4の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から遠位方向かつ半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向かつ半径方向内側に前記第3の屈曲部に向かって延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記送達シース内に配置された前記近位ハブに向かって近位方向に延びる、請求項3に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項7】
前記第4の位置では、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記拡張可能な骨組みの内部に向かって内側に開く鈍角を形成する、請求項6に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項8】
前記第4の位置では、前記第2のセグメント及び前記第3のセグメントは、前記中心長手方向軸に向かって内側に開く鋭角を形成する、請求項6に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項9】
前記第4の位置では、前記第3のセグメント及び前記第4のセグメントは、前記中心長手方向軸に対して外側に開く鈍角を形成する、請求項6に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項10】
前記第3の量よりも多い前記拡張可能な骨組みの第4の量は、第5の位置では前記送達シースによって拘束されず、
前記第5の位置では、前記複数の支柱の前記第1のセグメントは、前記中心長手方向軸と平行に前記遠位ハブから前記第1の屈曲部まで遠位方向に延び、前記複数の支柱の前記第2のセグメントは、前記第1の屈曲部から遠位方向かつ半径方向外側に前記第2の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第3のセグメントは、前記第2の屈曲部から近位方向に前記第3の屈曲部まで延び、前記複数の支柱の前記第4のセグメントは、前記第3の屈曲部から前記近位ハブに向かって半径方向内側に延びる、請求項6に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項11】
前記第5の位置では、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、内側に開く鈍角を形成する、請求項10に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項12】
前記第5の位置では、前記第2のセグメント及び前記第3のセグメントは、内側に開く鋭角を形成する、請求項10に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項13】
前記第5の位置では、前記第3のセグメント及び前記第4のセグメントは、内側に開く約90度以下の角度を形成する、請求項10に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項14】
前記遠位ハブは前記第1の屈曲部の近位に配置される、請求項1に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【請求項15】
前記第2の位置では、前記遠位ハブは前記第2の屈曲部の遠位に配置される、請求項1に記載の左心耳閉鎖デバイス。
【国際調査報告】