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特表2024-522669局所プロバイオティクス送達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】局所プロバイオティクス送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9728 20170101AFI20240614BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20240614BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240614BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61K8/9728
A61K8/99
A61K8/31
A61K8/73
A61K8/81
A61Q19/00
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576204
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022033500
(87)【国際公開番号】W WO2022266150
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,978
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524155460
【氏名又は名称】ヴァンテージ スペシャルティ イングリーディエンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グルーバー,ジェームズ,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】マテウ,フアン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】パール,アダム
(72)【発明者】
【氏名】リーマー,ジェド
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB212
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC232
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC642
4C083AC682
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD211
4C083AD242
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD662
4C083BB01
4C083BB11
4C083BB51
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC23
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD22
(57)【要約】
(a)少なくとも1つの静止状態の乾燥プロバイオティクスと、(b)少なくとも1つのワックスと、(c)複数のイオン性又はイオン化可能なペンダント基を有する少なくとも1つのポリマーと、から構成される局所プロバイオティクス送達システム。送達システムは、好ましくは、実質的に、無水であり、実質的に、防腐剤を含まない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所プロバイオティクス送達システムであって、(a)少なくとも1つの静止状態の乾燥プロバイオティクスと、(b)少なくとも1つのワックスと、(c)複数のイオン性又はイオン化可能なペンダント基を有する少なくとも1つのポリマーと、から構成される、局所プロバイオティクス送達システム。
【請求項2】
複数のイオン性又はイオン化可能なペンダント基を有する前記少なくとも1つのポリマーが、多糖類であり、前記少なくとも1つのワックスが、自己乳化性である、請求項1に記載の局所プロバイオティクス送達システム。
【請求項3】
複数のイオン性又はイオン化可能なペンダント基を有する前記ポリマーが、多糖類であり、前記少なくとも1つのワックスが、自己乳化性ではなく、前記局所プロバイオティクス送達システムが、少なくとも1つの乳化剤を更に含む、請求項1に記載の局所プロバイオティクス送達システム。
【請求項4】
前記ポリマーが、ペンダントアルカリ金属カルボキシレート基又はアンモニウムカルボキシレート基を有する、請求項1に記載の局所プロバイオティクス送達システム。
【請求項5】
複数のイオン性又はイオン化可能なペンダント基を有する前記ポリマーが、ポリアクリル酸ナトリウムである、請求項4に記載の局所プロバイオティクス送達システム。
【請求項6】
複数のイオン性又はイオン化可能なペンダント基を有する前記ポリマーが、ポリ四級化合物である、請求項1に記載の局所プロバイオティクス送達システム。
【請求項7】
1つ以上の乳化剤、油、及び/又は活性成分を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の局所プロバイオティクス送達システム。
【請求項8】
実質的に、無水である、請求項1~7のいずれか一項に記載の局所プロバイオティクス送達システム。
【請求項9】
実質的に、防腐剤を含まない、請求項8に記載の局所プロバイオティクス送達システム。
【請求項10】
(i)請求項1~9のいずれか一項に記載の局所プロバイオティクス送達システムと、(ii)非細胞毒性の非静菌性液体担体と、から構成される、ケラチン基質への適用のためのクリーム、ローション、セラム、マスク、又はスプレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
皮膚マイクロバイオームのバランスの維持を助けること、及び/又は皮膚マイクロバイオームの腸内毒素症を予防することによるものを含む、皮膚の利益を提供するための方法及び組成物。
【背景技術】
【0002】
ヒトマイクロバイオームプロジェクト(Human Microbiome Project)は、5つの微生物群集:鼻腔、口腔、皮膚、胃腸管、及び尿生殖路を特徴付けている。これらの微生物群集におけるバランスを達成及び維持することは、パーソナルケア/化粧品産業及び医学における研究者及び製品開発者の焦点であり、依然として続いている。1つのアプローチは、様々な有益な微生物を生来存在する微生物に送達することである。
【0003】
皮膚科学的研究は、皮膚表面上の共生細菌種を同定し、ざ瘡、湿疹、酒さ、及び乾癬を含む炎症性皮膚疾患、並びに「乾燥」及び「感受性」の皮膚をもたらし得る、「善玉」細菌と「悪玉」細菌との間の繊細なバランスの変化の防止を助けるそれらの役割を明らかにした。例えば、health.clevelandclinic.org/what-are-probiotic-skin-care-products-and-do-you-need-them/を参照されたい(細菌のアンバランスは、ざ瘡、酒さ、湿疹、乾燥及び鱗状肌を含む「再燃」及び皮膚科学的な問題を引き起こし得る)。パーソナルケア及び消費者(処方なし)スキンケア産業におけるプロバイオティクスの役割の拡大は、総説「Probiotics and Prebiotics in Dermatology」.J.Amer.Acad.Dermatol.,2014;71:4,814-821に記載された。また、「Probiotics in Skincare:What They Are and How They Work?It’s All About Good Bacteria」Elle(UK Edition)(2020年3月27日)、「Good-For-You Bacteria:The Best Skin-Care Products Infused with Probiotics」Allure(2020年10月10日)、「Why You Should Make Probiotic Skincare Products a Part of Your Beauty Routine」Woman’s World(2019年7月29日)も参照されたい。
【0004】
L’Orealの研究者らは、Vitreoscilla filiformis細菌抽出物の局所適用によるアトピー皮膚炎の症状改善能を調査した。Eur.J.Dermatol.Jul-Aug 2006;16(4):380-4を参照されたく、また、米国特許出願公開第20140106016(A1)号(フケ)及び米国特許出願公開第20150125412号(頭皮の過剰脂漏状態)も参照されたい。
【0005】
Gaia ABとUniversity of Malmoとの間の共同研究者は、アトピー皮膚炎の治療におけるLactobacillus reuteri DSM 17938の使用を報告した2020;8:1026.(doi:10.3390/microorganisms8071026)。
【0006】
Azitra及びBayerは、皮膚の疾患及び状態(乾燥皮膚、赤い皮膚、薄片状皮膚、又は炎症を起こした皮膚、敏感で湿疹しやすい皮膚)の治療のために、皮膚マイクロバイオーム由来の天然の共生細菌であるStaphylococcus epidermisを使用した生物工学マイクロバイオーム製品(「生きた生物療法」製品と記載される)を開発した。
【0007】
プロバイオティクス成分は、BASF Care Creations(Relipidium(登録商標)A00265)、Symrise(SymReboot(商標)LI 9)、Chemisches Laboratorium Dr. Kurt Richter GmbH(Bifida発酵溶解物を含有するProBioBalance NP、ProRenew Complex-Lactococcus発酵溶解物)、Bio Component Research(Elmwood Park,NJ、DermaForce IQ、DermaSpring IQ、Elasitflex IQ、GentleGuard IQ、RoyalTea IQの供給業者)を含む原材料供給業者によって提供される
【0008】
代表的なプロバイオティクス消費スキンケアブランドとしては、AOBiome Therapeutics(アンモニア酸化細菌を特徴とするMother Dirt Restorative Skin Probioticsを販売している)、Yun Probiotherapy、及びAurelia Skincareが挙げられる。
【0009】
細菌、真菌、カビ、及び胞子を含む全ての生物に見出されるエネルギー分子であるアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate、ATP)の持続性は、食品、化粧品、及び医療環境を含む硬質表面の両方における清潔さ及び衛生を測定する方法として使用されてきた。例えば、L Jimenez,「Molecular diagnosis of microbial contamination in cosmetic and pharmaceutical products:a review」J.AOAC Int.May-Jun 2001;84(3):671-5を参照されたい。
【0010】
ヒト皮膚細胞からの残留ATPの測定は、手指衛生を評価するために使用されてきた。2017年に、Liceagaらは、Hygiena(登録商標)SystemSURE(商標)ルミノメーターを使用して手洗い前後の皮膚上のATPレベルを測定することによる、消毒手洗い(Hibiclens(登録商標))に対するオゾン処理水の有効性の評価を発表した。https://www.beckershospitalreview.com/quality/hand-hygiene-skin-atp-study-hand-washing-with-tap-water-and-soap-vs-ozonated-water-and-soap-vs-antiseptic-and-ozonated-water-vs-antiseptic-and-tap-water.html
【0011】
米国特許第9,271,924号には、ATPアッセイ(ATPレベルの変化を測定する)によって、ヒト皮膚共生微生物に対してプレバイオティクス活性を示す成分を同定するハイスループットの段階的スクリーニング方法及びそのような成分を含む化粧品組成物が記載されている。
【0012】
皮膚マイクロバイオームのアンバランス(腸内毒素症)を評価する従来技術の方法は、16S rRNA配列決定による試料採取(スワブ、生検、掻爬、テープ剥離)を含む。Ogai K.et al.「Skin Microbiome Collection by Tape-Stripping」Front Microbiol.2018 Oct 2;9:2362。
【0013】
ほとんどのパーソナルケア製剤は、約70~95パーセントの水で構成され、環境に著しい影響を与える。比較すると、無水(又は実質的に無水)製品は、製造コストの点(他では非混和性成分、例えば、水及び油を組み合わせるために、多くの場合、必要とされるエネルギー集約的な加熱プロセスを排除する)だけでなく、包装及び輸送コスト(必要な棚の空間がより少なく、重量がより少ない)も、必要とするエネルギーが実質的により少ない。水を排除することは、更なる利点を提供する。ヒト及び環境の健康の懸念を引き起こす防腐剤は、無水製品において低減又は排除され得る。
【0014】
水を添加することによって作製される、「家庭用」、「自身で行う」パーソナルケア製品は、米国特許出願第10/165,369号(2002年6月7日出願)及び同第11/373,731号(2006年3月10日出願)に記載されており、両方とも現在放棄されており、自立型、閉鎖型、開放可能な容器内に密封された粒子を開示している。開封時に、液体又は半固体(ゲル)が容器内容物に添加され、混合されて、化粧品組成物を形成する。米国特許出願第10/409,578号には、同様に、各々別々に提供される以下の3つの構成要素から構成される既製化粧品が記載されている:(i)化粧品活性成分の混合物、(ii)水性担体媒体、(iii)増粘剤。組み合わせ、混合すると、その構成要素は、化粧品クリーム又はローションを形成する。
【0015】
特に、より環境的に信頼のおける無水(又は実質的に無水)形態での、生存能力のある微生物を皮膚に送達する製品、及び健康でバランスのとれた皮膚マイクロバイオームを支持するのに役立つ成分に対して、長年にわたるが満たされていない必要性が依然として存在したままである。本出願に記載され、特許請求されるように、本発明の独創的な局所プロバイオティクス送達システムは、この必要性を満たす。JV Gruber and J Reimer,「Delivering Probiotics by Just-Add-Water Tech」,Personal Care Magazine,57-61(June 2022)を参照されたい。
【発明の概要】
【0016】
皮膚マイクロバイオームバランスの達成及び維持、並びに/又は皮膚マイクロバイオームの腸内毒素症の低減若しくは予防を助ける局所プロバイオティクス送達システムであって、(a)任意選択で、プレバイオティクス及び/又は微生物の溶解物のうちの一方又は両方を有する静止状態の乾燥プロバイオティクスと、(b)少なくとも1つのワックスと、(c)カルボキシル、ヒドロキシル、サルフェート、チオール、アミン、アミド、イミド、イミン、及び/又はニトリル基、それらの塩、並びに前述のものの組み合わせから選択される複数のペンダントイオン化可能又はイオン性部分を有する少なくとも1つのポリマーと、から構成されるか、それらから本質的になるか、又はそれらからなり、局所プロバイオティクス送達システムが、好ましくは、フレーク、スラブ、粉末、ペースト、半固体、又はスラリーである、局所プロバイオティクス送達システム。
【0017】
第1の態様では、局所プロバイオティクス送達システムの必須構成要素であるポリマーは、多糖類である。これらの実施形態では、少なくとも1つのワックスは、自己乳化性であっても非自己乳化性であってもよい。少なくとも1つのワックスが自己乳化性でない場合、局所プロバイオティクス送達システムは、少なくとも1つの乳化剤を含有する。
【0018】
別の態様では、局所プロバイオティクス送達システムの必須構成要素であるポリマーは、ペンダントアルカリ金属カルボキシレート基若しくはアンモニウムカルボキシレート基を有するか、又はポリマーは、ポリ四級化合物である。
【0019】
本発明の局所プロバイオティクス送達システムは、好ましくは、「実質的に無水」であり、これは、5%未満の水、好ましくは、2.5%未満の水、より好ましくは、1%未満の水、更により好ましくは、0.5%未満の水、なお更により好ましくは、0.1%未満の水を含有することを意味する。
【0020】
本発明の局所プロバイオティクス送達システムは、好ましくは、「実質的に防腐剤を含まない」ものであり、これは、細菌、酵母、及び/又はカビの増殖を遅延させ、かつ/又は死滅させる1つ以上の成分を0.25%未満含有することを意味する。
【0021】
局所プロバイオティクス送達システムは、例えば、体液又は組織を含む水源と、任意選択で、水溶性成分と接触することによって水和されたときに「活性化」される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
「プロバイオティクス」とは、摂取されるか、又は身体に適用された場合に健康の利益を有することが意図されている生きた微生物である。2021年6月15日にアクセスされたwww.nccih.nih.gov/health/probiotics-what-you-need-to-knowを参照されたい。
【0023】
プロバイオティクス微生物の非限定的であるが好ましい例としては、以下が挙げられる:(i)以下の群から選択されるグラム陽性細菌:Lactobacillus、Bifidobacterium、Staphylococcus、好ましくは、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus、好ましくは、Streptococcus pyogenes、Cutibacteria、好ましくは、Cutibacteria avidum、(ii)Saccharomyces boulardiiなどの酵母、及び(iii)Malasezziaなどの真菌。
【0024】
「プレバイオティクス」とは、所望の微生物の増殖又は活性を選択的に刺激する非消化性食品構成要素である。
【0025】
本発明で使用されるプロバイオティクスという用語は、プロバイオティクス及びプレバイオティクスから構成される製品である「シンバイオティクス」もまた包含する。
【0026】
「ポストバイオティクス」は、プロバイオティクス細菌由来の1つ以上の生存可能でない細菌産物又は代謝副産物である。ポストバイオティクスは、典型的には、プロバイオティクス細菌を作製する発酵プロセス中に産生される。https://www.dermatologytimes.com/view/role-biotics-skincareのDermatology Times,Vol.41,No.5(May 2020)(2022年6月9日にアクセスされた)。
【0027】
「静止状態の乾燥プロバイオティクス」は、好ましくは、細菌及び酵母から選択される、脱水された生存可能な微生物であり、それは、(a)皮膚マイクロバイオームのバランスの維持及び/又は皮膚マイクロバイオームの腸内毒素症の予防を助けることによるものを含む皮膚利益を提供し、(b)好ましくは、非細胞毒性の非静菌性液体担体で水和されたときに活発に増殖及び分裂する状態に再構成され得る。
【0028】
「生存可能な」微生物は、活発に増殖及び分裂することができる。微生物生存能力は、膜透過性及びDNA結合を測定するアッセイを含む、当業者に公知の画像化アッセイを使用して決定され得る。
【0029】
フルオレセインイソチオシアネート(Fluorescein Isothiocyanate、FITC)及びスルホローダミン101酸塩化物(「Texas Red(登録商標)」としても知られる)、並びにヨウ化ヘキシジウム、ヨウ化プロミジウム、及びエチジウムホモダイマー-2を含む蛍光標識を含む膜透過性及び不透過性DNA色素を使用して、細菌生存能力を評価する。
【0030】
酵母細胞生存能力を、蛍光シグナルとしてFITC及び4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)色素、並びにCalcofluor White M2Rを使用して評価する。
【0031】
微生物の「溶解物」は生存可能ではなく、したがって、上で定義された「プロバイオティクス」ではない。溶解物の非限定的な例としては、以下が挙げられる:BASF Care CreationsからRelipidium(登録商標)A00265として市販されている、Lactobacillus株によってバイオ発酵された酵母加水分解物(INCI名:加水分解酵母タンパク質、ブチレングリコール、ペンチレングリコール)、ProBioBalance NP(Bifida発酵溶解物)及びProRenew(商標)Complex(Lactococcus発酵溶解物)は、両方とも、Chemisches Laboratorium Dr.Kurt Richter GmbHから入手可能である。DERMAFORCE IQ(商標)は、Bio Component Researchから市販されている2つの溶解物、Lactobacillus発酵溶解物及びSaccharomyces溶解物の組み合わせである。
【0032】
「非細胞毒性」とは、微生物が、以下に記載される細菌及び酵母生存能力試験に基づいて生存可能であることを意味する。
【0033】
「非静菌性」は、細菌が繁殖を停止しないことを意味する。
【0034】
「皮膚マイクロバイオームの腸内毒素症」は、常在性皮膚微生物叢及び一過性皮膚微生物叢の分類学的組成のバランス又は分布の破壊を意味する。
【0035】
「常在性皮膚微生物叢」は、表皮の上部に見出され、毛包の中及びその周囲に集まり、Staphylococcus、Micrococcus、Corynebacterium、Brevibacterium、Dermabacter、及びMalasezziaを含む。
【0036】
「一過性皮膚微生物叢」には、グラム陽性Clostridia細菌及びグラム陰性Acinetobacterが含まれる。
【0037】
「皮膚マイクロバイオームの腸内毒素症」は、皮膚マイクロバイオームを含む微生物の数(当技術分野では「微生物バイオロード」とも呼ばれる)及び/又はバランスの変化又は改変である。それは、相対光単位(Relative Light Unit、RLU)で表される生物発光(生物蛍光としても知られる)によって検出される細菌ATPの量/濃度の変化として表される。RLUの変化は、(i)ヒト皮膚の切片(例えば、掌側前腕)上のRLUで表される生物発光を測定すること、(ii)皮膚マイクロバイオームの腸内毒素症を引き起こすことが知られている成分(例えば、3%のH)を皮膚の切片にスワブで塗り、次いで、RLUの低減を測定すること、(iii)再構成された後の本発明の局所プロバイオティクス送達システム(非細胞毒性の非静菌性液体担体で水和されるか又は組み合わされる)又は本発明の局所プロバイオティクス送達システムを含有する最終製品(以下に定義される)を適用し、(ベースライン及びH適用後に対する)RLUの増加を測定することによって決定され得る。
【0038】
「最終製品」は、局所適用化粧品、パーソナルケア製品(石鹸、ボディウォッシュ、シャンプーを含む)、又は皮膚科学的製品(米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration、FDA)によって発行されたOver-The-Counter Monographにおける医薬品有効成分リスト、又はFDA若しくは化粧品、パーソナルケア製品、及び皮膚科学的製品に対して同等の責任を有する外国(米国以外)の規制当局によって承認された略式新薬承認申請(Abbreviated New Drug Application、ANDA)の新薬申請(New Drug Application、NDA)の対象のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含む)を意味する。
【0039】
「実質的に均一に分散された」とは、製品(ここでは、再構成された/水和された局所プロバイオティクス送達システム)が、不透明度チャート(例えば、Leneta Company、Manwah,NJ製のForm 2A)の黒色部分上に適用され、フィルムアプリケーター(例えば、BYK Gardner,Columbia,Maryland製)を使用して約0.0015インチの厚さを有するフィルムに広げられた場合に、縞、凝集、及び/又は他の不均一性の兆候が、拡大の助けなしでは視覚的に明らかではなく、製品がざらざらした感触がないか、又は手触りが荒くないことを意味する。
【0040】
当技術分野ではヒアルロナンとしても知られる、ヒアルロン酸(hyaluronic acid、「HA」)は、2つの二糖、D-グルクロン酸及びD-N-アセチルグルコサミンの繰り返し単位を有するムコ多糖である。
【0041】
HAポリマー鎖は、ベータ-1,4グリコシド結合を介して互いに結合する反復する二糖モノマーから構成され、1kDa~2,000kDa超の範囲の分子量を有し得る。
【0042】
本発明の開示の範囲内で、HAは、ヒアルロン酸及びヒアルロン酸のアルカリ又はアルカリ土類塩を含み、ヒアルロン酸ナトリウム(NaHA)がHAの好ましい塩である。NaHAは、天然起源のもの(例えば、雄鶏の鶏冠から抽出されたもの)であり得るか、又は発酵させたもの(酵母及びカビに由来)であり得る。
【0043】
「ガム」は、植物によって滲出される多糖類であって、湿っているときにはゼラチン状であるが、乾燥すると固まって樹脂状物質を形成する。ガムは、植物から直接の滲出物であるか、又は滲出物の水溶液若しくは懸濁液、分画(例えば、濾過又は遠心分離)、熱処理、噴霧乾燥、酵素処理又は化学的誘導体化を受けた滲出物であり得る。ガムの非限定的な例としては、使用され得る、キサンタンガム、アストラガルスグミファー(トラガカント)ガム、サイモプシステトラゴノロバ(Cyamopsis Tetragonoloba)(グアー)ガム、カロブ(Carob)ガム(カロブシード(Carob Seed)ガム、カロブビーン(Carob Bean)ガム、ローカストビーン(Locust Bean)ガムとしても知られる)、アラビアガム(アカシアセネガル又はアカシアセヤル由来)、Juniperus Phoeniceaガム抽出物、タラガム、カラヤガム、ガティガム、チェリーガム、アプリコットガム、タマリンドガム、メスキートガム、カラマツガム、サイリウム、又はフェヌグリークガムが挙げられる。
【0044】
「カラギーナン」は、紅藻(Rodophyceae)から抽出された多糖類であり、その塩であるカラギーナンカルシウム、カラギーナンカリウム、及びカラギーナンナトリウムを含む。
【0045】
「アルギネート」は、β-D-マンヌロン酸及びα-L-グルクロン酸の直鎖構造を有する褐藻類(Phaeophyceae)からの抽出物である。アルギネートは、マンヌロン酸のホモポリマー配列(Mブロック)、グルクロン酸のホモポリマー配列(Gブロック)、並びにマンヌロン酸及びグルクロン酸の混合配列(MGブロック)であり得る。アルギネートの一般的な藻類供給源としては、Laminaria digitata、Ecklonia maxima、Macrocystis pyrifera、Lessonia nigrescens、Ascophyllum nodosum、Laminaria japonica、Durvillea antartica、Durvillea potatorum、及びLaminaria hyperboreaが挙げられる。本発明の記載において使用される場合、「アルギネート」は、アルギン酸の塩を含み得る。
【0046】
「ペクチン」は、2つの主要ドメインから構成されるヘテロ多糖であり、その両方ともα-D-ガラクツロン酸(GalA)残基を含有する:α-(1→4)結合したα-D-GalA残基からなるホモガラクツロナンドメイン、並びにα-(1→4)結合したα-D-GalA及びα-(1→2)結合したα-L-ラムノースの繰り返し単位からなる骨格を有するラムノガラクツロナンIドメイン。市販のペクチンは、メチルエステル化の程度に基づいて分類される:「低」-50%未満のメチルエステル基、及び「高」-50%以上のメチルエステル基。
【0047】
好ましい実施形態の第1の群では、本発明の局所プロバイオティクス送達システムは、(i)アニオン性、カチオン性、両性、又は化学修飾であり得る多糖、及び(ii)少なくとも1つのワックスから本質的になる。多糖含有局所プロバイオティクス送達システムが少なくとも1つの自己乳化性ワックスを含有しない場合、それは少なくとも1つの乳化剤も含有する。
【0048】
アニオン性多糖には、各々上で定義されたヒアルロナン、アルギネート、カラギーナン、ガム、及びペクチンが挙げられる。
【0049】
カチオン性多糖類としては、キトサン、カチオン性グアーガム、カチオン性ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0050】
両性多糖類又は化学修飾多糖類としては、カルボキシメチル-キトサン、N-ヒドロキシ-ジカルボキシエチル-キトサン、セチルヒドロキシエチルセルロース、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピルエーテルクロリド、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、及びCasalpina spinosaヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが挙げられる。
【0051】
局所プロバイオティクス送達システムにおける使用に好適な特に好ましいが非限定的な多糖は、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、キサンタン、デンプン、カチオン性グアー、及びカチオン性イヌリンである。
【0052】
本発明の第1の態様による局所プロバイオティクス送達システムの必須構成要素である多糖及びワックスの非限定的な例は、
(i)ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ヒドロキシプロピルグアー、セチルアルコール、ポリソルベート60、及びステアリン酸グリセリル、並びに
(ii)セテアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル、デヒドロキサンタンガム、及びセテアリルグルコシドである。
【0053】
ある特定の実施形態では、多糖ベースのプロバイオティクス送達システムを使用して、静止状態の乾燥したプロバイオティクスを哺乳動物の粘膜組織(例えば、口腔、鼻、又は泌尿生殖器)に送達し得る。
【0054】
実施形態の第2の群では、局所プロバイオティクス送達システムの必須構成要素であるポリマーは、ペンダントアルカリ金属カルボキシレート基又はアンモニウムカルボキシレート基を有する。この実施形態の範囲内の1つの特に好ましいポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウムである。
【0055】
本発明の第2の態様による局所プロバイオティクス送達システムの必須構成要素である、ペンダントアルカリ金属カルボキシレート基又はアンモニウムカルボキシレート基を有するポリマーと、ワックスとの組み合わせの非限定的な例としては、以下が挙げられる:
(i)ポリアクリル酸ナトリウム及び以下のワックスのうちの1つ:蜜蝋、カルナバワックス、ヒマワリ種子ワックス、又は合成ワックス、
(ii)セテアリルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム及びポリソルベート60、
(iii)(i)セテアレス-20及びポリアクリル酸ナトリウム又は(ii)グリセリルステアレート、PEG-100ステアレート、及びポリアクリル酸ナトリウムと組み合わせた、セテアリルアルコール及びステアリン酸、
(iv)セチルアルコール、グリセリルステアレート、ステアリン酸、グリコールステアレート、及び(i)アクリル酸ナトリウム/アクリロルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー又は(ii)ステアラミドAMP、カルボマー、
(v)(i)アクリル酸ナトリウム/アクリロルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー又は(ii)ポリアクリル酸ナトリウム及びポリソルベート80と組み合わせた、セチルアルコール、グリセリルステアレート、及びカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、
(vi)ポリアクリル酸ナトリウム/アクリロルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、及び(i)ヒマワリ種子ワックス、(ii)セチルアルコール、グリコールステアレート、グリセリルステアレート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、又は(iii)ポリソルベート80、グリセリルステアレート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド。
(vii)一緒に、及び更に(i)ポリビニルピロリドン、(ii)ポリシリコーン-11、又は(iii)ポリソルベート80及びポリシリコーン-11と組み合わせた、ポリエチレン及びポリアクリル酸ナトリウム、並びに
(viii)合成ワックス及びポリアクリル酸ナトリウム、単独及びポリシリコーン-11との更なる組み合わせ。
【0056】
「ワックス」は、好ましくは、約30℃~約165℃、より好ましくは約35℃~100℃の融点を有する、可逆的な固体-液体の状態変化を受ける、室温で固体又は半固体の親油性脂肪物質である。しかし、100℃超の融点を有するワックス、及び室温(25℃)、又はそれを下回る融点を有するワックスが、本発明のある特定の実施形態で使用され得る。この定義によれば、ワックスは、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のエステル(脂肪アルコール及び脂肪酸のエステルを含む)、及び炭化水素を含む。
【0057】
実施形態の第3の群では、本発明の局所プロバイオティクス送達システムは、(i)任意選択で、プレバイオティクス及び/又は微生物の溶解物のうちの一方又は両方を有する静止状態の乾燥プロバイオティクスと、(ii)ポリ四級化合物(好ましくは、ポリクオタニウム7又はポリクオタニウム37)と、(iii)ワックスと、から本質的になる。
【0058】
本発明の第3の態様による局所プロバイオティクス送達システムの必須構成要素であるポリ四級化合物及びワックスの組み合わせの1つの非限定的な例は、セテアリルアルコール、PEG-150ジステアレート、及びポリクオタニウム-37である。
【0059】
本発明の局所プロバイオティクス送達システムは、天然ワックス、合成ワックス、天然ワックスの組み合わせ、合成ワックスの組み合わせ、又は天然ワックスと合成ワックスとの組み合わせを含み得る。
【0060】
ワックスは、非微粉化、微粉化、又は自己乳化性であり得る。
【0061】
好ましいが非限定的なワックスとしては、ヒマワリワックス、カンデリラワックス、オリーブワックス、及びカルナウバワックスが挙げられる。
【0062】
自己乳化性であるか、又は自己乳化性となるように作製され得るワックスの好ましいが非限定的な例としては、ポリエチレン、パラフィン、グリセリルモノステアレート、及びポリグリセリル-3ステアレートが挙げられる。
【0063】
ある特定の実施形態において、ワックスは、微粉化ワックスであり、好ましくは5~50ミクロンの平均粒径を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、局所プロバイオティクス送達システムは、「実質的に無水」であり、これは、5%未満の自由水、好ましくは、2.5%未満の自由水、より好ましくは、1%未満の自由水、更により好ましくは、0.5%未満の自由水、なお更により好ましくは、0.1%未満の自由水を含有することを意味する。明確にするために、「自由水」は、「結合水」、すなわち、本発明の局所プロバイオティクス送達システムの不可欠な部分であり、その構造又は組成を変化させることなく除去されることができない水と区別される。
【0065】
本発明の局所プロバイオティクス送達システムは、当業者に既知のブレンド又は混合デバイス(例えば、V-ブレンダー、Rossミル回転ブレンダー、タンブルブレンダー、振動ブレンダー)を使用して、少なくとも1つの静止状態の乾燥プロバイオティクスを、任意選択で、プレバイオティクス及び/又は溶解物のうちの一方又は両方と、イオン性又はイオン化可能なペンダント基を有する少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つのワックスと組み合わせることによって形成される。
【0066】
驚くべきことに、そして予期せぬことに、静止状態の乾燥プロバイオティクスは、最大45℃の温度で生存可能なままである。
【0067】
本発明の局所プロバイオティクス送達システムが再構成された後の静止状態の乾燥プロバイオティクスの生存能力は、以下の試験方法によって実証される。
1.本発明の局所プロバイオティクス送達システムは、4℃、25℃、40℃、及び50℃で最大4週間保存される。
2.1週間間隔で(すなわち、保存の7日目、14日目、21日目、及び28日目に、局所送達システムを保存から取り出す。5グラムの局所プロバイオティクス送達システムを95グラムの水と組み合わせ、混合して(750RPMで20分間)、プロバイオティクススキンクリームを形成する。
3.1グラムのステップ2からのクリームを、9mLの3M(登録商標)緩衝化ペプトン水ブロスISO(「3Mブロス」)に添加し、完全に溶解するまでボルテックスする。各々1:9の比の3つの更なる連続希釈物を調製する。
4.次いで、4番目の連続希釈物を、3M(登録商標)ペトリフィルム乳酸菌計数プレート(「3Mフィルム」)上にプレーティングし、次いで、これを約32℃で24時間インキュベートする。
5.微生物バイオロードを、24時間のインキュベーション期間の終わりに定量する。生存能力は、インキュベーション後に少なくとも50CFU/グラム、好ましくは、少なくとも100CFU/グラム、1,000CFU/グラムが計数された場合に確認される。
【0068】
使用時に、局所プロバイオティクス送達システムは、液体担体、好ましくは、水又は水と1つ以上の水溶性成分との混合物と組み合わせることによって再構成される/水和される。液体担体に含まれ得る水溶性成分の非限定的な例としては、グリセリン、2~20単位のポリグリセリンと、少なくとも1つの8~22個の炭素の分岐脂肪酸残基とを有するポリグリセリン脂肪酸エステル、又は低級グリコール(すなわち、6個未満の炭素を有する)が挙げられるが、エタノール及びイソプロパノールは除く。
【0069】
好ましい実施形態、実質的に防腐剤を含まないものでは、局所プロバイオティクス送達システムは、単回適用に十分な量で最終製品(例えば、エマルション)に再構成される/水和される。
【0070】
他の実施形態では、局所プロバイオティクス送達システムは、保存され、複数回適用に使用されるのに十分な量で最終製品に再構成される/水和される。
【0071】
本発明の一態様は、局所プロバイオティクス送達システムは、「家庭用」又は「自身で行う」のプロバイオティクススキンケア組成物(例えば、クリーム、ローション、セラム)に指向されており、局所プロバイオティクス送達システムは、水、又は他の非細胞毒性の非静菌性液体担体と混合する準備ができている別個の容器(例えば、パケット又は小袋)に保存されている。
【0072】
一組の実施形態では、局所プロバイオティクス送達システムは、2つのセクション間に継ぎ目又は他のセパレータを有する2つのセクションに分割された単一の小袋(又はパケット)内に保存され、第1のセクションは、(i)静止状態の乾燥したプロバイオティクス及び/又はシンバイオティクス及び/又は溶解物と、(ii)複数のペンダントイオン化可能又はイオン性部分を有する少なくとも1つのポリマーと、(iii)少なくとも1つのワックスと、から構成され、第2のセクションは、以下に記載されるように、1つ以上の油、乳化剤、及び他の「活性成分」から構成される。
【0073】
局所プロバイオティクス送達システムは、瓶又はチューブ中で提供され得る。
【0074】
「家庭用」又は「自分で行う」プロバイオティクススキンケア組成物(例えば、小袋、パケット、瓶、又はチューブ内)は、(i)計量器具、(ii)混合器具、及び/又は(iii)容器のうちの1つ以上から更に構成されるキットの一部として提供され得る。
【0075】
局所プロバイオティクス送達システムは、ある特定の実施形態では、好ましくは、45℃未満の温度に加熱及び混合され得る。そのような加熱/混合デバイスの1つが、特許付与前の米国特許出願第2021/0106508号及び同第2021/0106959号に記載されている。
【0076】
本発明の局所プロバイオティクス送達システムは、皮膚、爪、又は毛髪に適用された場合、当技術分野では一般に「活性成分」と呼ばれる、1つ以上の美容及び/又は治療効果を提供する1つ以上の成分を含有し得る。
【0077】
「活性成分」は、約0.001重量%~約20重量%、好ましくは、粉末の約0.005重量%~約10重量%、より好ましくは、粉末の約0.01重量%~約5重量%、更により好ましくは、約0.1重量%~約2.0重量%の範囲の濃度で、本発明の局所プロバイオティクス送達システムに組み込まれ(すなわち、含まれ)得、ざ瘡、乾癬、又は酒さを含む炎症性皮膚疾患の治療のための薬剤、抗微生物及び抗真菌活性物質、痒み防止剤、局所麻酔薬、日焼け止め、皮膚軟化剤及び皮膚鎮静剤、非ステロイド性抗炎症剤、ヒアルロン酸及びグリコールを含む湿潤剤及び保湿剤。皮膚バリア保護剤、植物由来の油及びバターを含む脂質及びセラミド。剥離剤及び離脱剤、ビタミン、タンパク質、及びペプチドを含む、小じわ及びしわの出現を低減させる抗酸化剤及び「老化防止」剤、皮膚漂白剤及び美白剤、人工日焼け剤を含む。
【0078】
植物由来の油及びバターの好ましいが非限定的な例としては、以下が挙げられる:アプリコット油、アボカド油、キャノーラ油、ヒマシ油、ココナッツ油、綿実油、ユーカリ油、マツヨイグサ油、アマニ油、ブドウ種子油、ホホバ油、ラベンダー油、マカダミアナッツ油、オリーブ油、ペパーミント油、米ぬか油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、スイートアーモンド油、ティーツリー油、小麦胚芽油、カカオバター、及びシアバター。
【0079】
好ましいビタミン及びビタミン誘導体としては、アスコルビン酸及びそのエステルアスコルビルパルミテート及びアスコルビルホスフェートマグネシウム、トコフェロール及びそのエステルトコフェリルアセテート、レチノール及びそのエステル、レチニルパルミテート、レチンアルデヒド、パンテノール、並びにナイアシンアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
好ましい皮膚美白成分としては、アルブチン、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビルホスフェートマグネシウム及びアスコルビルグルコサミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
好ましい「老化防止」剤としては、「エネルギーを与える」成分(例えば、カフェイン、テオフィリン、アデノシン)及び皮膚剥離剤(例えば、グルコサミン、ヒドロキシ酸)、並びにプロテアーゼ酵素(例えば、ブロメライン、パパイン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
本発明の局所プロバイオティクス送達システムに含まれ得る植物抽出物の非限定的な例は、以下から抽出され得る:アセロラ、キンミズヒキ、アレッポトウガラシ、アルファルファ、藻類、アルガオイ(algaeoy)、アルカンナ根、アーモンド、アーモンド、アロエベラ、アメリカニンジン、アムラ果実、センシンレン、アンゼリカ、アニス、リンゴ、アプリコット、杏仁、アプリコットの葉、アルブツス、アルニカ、クズウコン、アーティチョーク、アサフェティダ、アスコフィルム属、アシュワガンダ、アスパラガス、レンゲ、自己消化酵母、アボカド、バームミント、ギレアデバーム、カナダバルサム、竹、バナナ、バナナの葉、メギ(barberry)、大麦麦芽、バジル、ヤマモモ樹皮、ヤマモモ、ゲッケイジュ、クマコケモモ、ビーバーム、ブナの木の実、ビーポーレン、ビート、ベンゾイン、メギ属、メギ(berberry)、ベルガモット、ビルベリー、ビルベリーの葉、カバノキの樹皮、カバノキの葉、ビストート、苦瓜、ダイダイ、ダイダイの皮、アメリカウメモドキ、ブラックベリーの果実、ブラックベリーの葉、ブラックコホッシュ、クロスグリ、アラゲハンゴンソウの種子、ブラックヘナ、黒胡椒、クロミキイチゴ、黒米、アメリカショウマ、クロクルミの殻、クロクルミの葉、ヒバマタ、赤根草、ブルーアガベウアスph(blue agaveueous ph)、ブルーアガベ、ブルーベリー、ブルーコーン、アヤメ、ウスベニアオイ、紫トウモロコシ、ルリジサ、ボスウェリアセラータ、ブラジルナッツ、ブロッコリー、芽キャベツ、ブークー、クロウメモドキの樹皮、ミシマサイコの根、ゴボウ、ワレモコウの根、ナギイカダ、キャベツ、サボテン、cactusueous、生サボテン(cactus fresh)、キンセンカ、樟脳、カンタロープ、トウガラシ、キャラウェイ、カルダモンの種子、ニンジン、ニンジンの種子、カスカラサグラダ、桂皮、キャットニップ、キャッツクロー、スギ材、クサノオウ、セロリ、カモミール、チェストツリーベリー、チェリモヤ、チェリー、栗、ハコベ、キク、キナノキ、シナモン、クレアリーセージ、ヤエムグラ、丁子、ココア、ココナッツ、コーヒー、フキタンポポ、ヒレハリソウ、ヒレハリソウの根、コンズランゴ、コーンフラワー、コリアンダー、ヤグルマギク、トウモロコシ、トウモロコシの毛、綿実、キバナノクリンザクラ、クランベリー、クレインズビル、キュウリ、クミンの種子、ラッパスイセン、デイジー、ダムアナ、タンポポ、ナツメヤシ、デビルズクロー、ディル、トウキ、キキョウナデシコの種子、ダルス、ナス、アメリカニワトコ、ニワトコの花、オオグルマ、ユーカリ、ベニバナセンブリ、マツヨイグサ、コゴメグサ、ウイキョウの種子、コロハ、ナツシロギク、イチジク、アマニ、フォティの根、フランキンセンス、フリージア、カラクサケマン、ガランガの根、マンネンタケ属、クチナシ、ニンニク、リンドウ、ゼラニウム、ショウガの根、イチョウの葉、イチョウ、ぎんなん、チョウセンニンジン、ゴジベリー、アキノキリンソウ、ヒドラスチス、ヒドラスチス、ゴツコラ、ブドウ、グレープフルーツ、グレープフルーツの皮、グレープフルーツの種子、ブドウの葉、ブドウの種子、ブドウのシードイ(seedoy)、ブドウの皮、サヤマメ、ガラナ、グァバ、ハワイアンティ、ハワイアン白ショウガ、サンザシベリー、ヘーゼルナッツ、ギョリュウモドキ、ハイビスカス、ハチミツ、甘露、ホップ、ニガハッカ、ホーニーゴ-トウィード、トチノキ、西洋ワサビ、つくし、ハックルベリー、ヒアシンス、オトギリソウ、ヒソップ、アイスランドコケ、ホウセンカ、キンレンカ、インド大麻の根、アイリッシュモス、タイセイの根、イタリアオリーブ、セイヨウキヅタ、日本茶、イタドリ、ジャスミン、ホウセンカ、ホホバミール、ナツメの果実、ジュニパーベリー、カフェライムリーフ、カンガルーポー、カバカバ、キウイ、キウイの種子、コーラの実、ハゴロモグサ、アツモリソウ、コンブ、ラベンダー、レシチン、レモンバイオフラボノイド、レモン果実、レモングラス、レモンギンバイカ、レモンの皮、レモンバーベナ、レタス、地衣類、甘草根、スズラン、ライムの花、ライムの果実、ライムの皮、シナノキの花、シナノキの木、イナゴマメ、ラビッジの根、ハウチワマメの種子、コウボク、マンダリンオレンジマンゴー、ハナハッカ、ウスベニタチアオイ、シモツケ、メイヤーレモン、レンゲソウ、キビ、ミモザの樹皮、ヤドリギ、モラス、ワサビノキの種子、ヨモギ、桑の樹皮、桑の葉、モウズイカ、マッシュルーム、ミルラ、ギンバイカ、ニーム、ネロリ、イラクサ、中性ヘンナ、ノニ、ナツメグ、オークの樹皮、エンバク、エンバク粉、オートミール、オリーブの葉、タマネギ、ウーロン茶、オレンジバイオフラボノイド、オレンジの花、オレンジの果実、オレンジの皮、蘭、ヒイラギナンテン、ニオイイリスの根、パンジー、パパイアの果実、パパイアの葉、マテ茶、パセリ、パセリの種子、トケイソウ、パッションフルーツ、パチョリ、パウダルコ茶、モモ、トウニン、モモの葉、エンドウ、ナシの果実、ペリトリー、メグサハッカ、牡丹の花、牡丹、ペパーミント、ツルニチニチソウ、柿の果実、柿の葉、キハダ、パイナップル、松の樹皮、まつぼっくり、ピンクペッパーコーン、プランクトン、オオバコ、プラム、プルメリア、ザクロ、ケシ、ケシの種子、ジャガイモ、アメリカサンショウ、ウチワサボテン、ウチワサボテン、ホコツシ、クズ属、カボチャ除虫菊、セイヨウナツユキソウ、カリンの種子、キノア、ラズベリー、ラズベリーの葉、ムラサキツメクサの花、レッドヘンナ、ランタナの根、紫檀、赤蔓、ジオウ、ハリモクシュク、フッカツソウ、ラタニアの根、ダイオウの根、米ぬか、ローマンカモミール、ルイボス、バラ、ローズヒップ、ローズマリー、シタン、roucouyerの種子、ローヤルゼリー、ハス、ハスの種子、ベニバナ、サフラン、セージ、サルサパリラ、サッサフラス、ノコギリヤシベリー、マツブサ属、サジー、シーフェンネル、海ぶどう、シーケルブ、セネガの根、ゴマの種子、トクサ、ヒメスイバ、シイタケ、シベリアニンジン、タツナミソウ、アカニレの樹皮、ヒロハセネガ、キラヤ、サボンソウ、アマドコロ、サザンウッド、大豆、サルオガセモドキ、オランダハッカ、ホウレンソウ、スピルリナ、スターフルーツ、スターゲイザー、セイヨウオトギリソウ、ストーンルート、イチゴ、イチゴの葉、サトウキビ、サトウカエデ、白膠木、スマの根、ヒマワリの花弁、ヒマワリの種子、スリナムチェリー、菖蒲、セツワンラビッジの根、タマリンド、タンジェリン、タンジェリンの皮、ヨモギギク、タロイモの根、茶、ブルーボネットの種子、タイ茶、アザミ、タイム、オニユリ、トマト、タチキジムシロ、ゲッカコウ、ウコン、ウワウルシ、カノコソウ、バニラ、ガマズミ属、スミレ、クルミの種子、ワサビ、オランダガラシ、睡蓮、スイカ、ヌマハッカ、小麦、小麦ふすま、小麦胚芽、カモジグサ、白ユリの根、白イラクサ、白スイレン、白茶、野生の桜皮、野生の桜桃、野生のミント、ヤナギの樹皮、ウインターグリーン、マンサク、ヤム、ノコギリソウ、イエロードック、イエルバサンタ、及びユッカ。
【0083】
本発明の局所プロバイオティクス送達システムに添加され得る界面活性剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:ココアミドプロピルベタイン、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、メチルココイルタウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム(Sodium Lauryl Sulfate、SLS)、ラウレス硫酸ナトリウム(Sodium Laureth Sulfate、SLES)。ある特定の好ましい実施形態では、界面活性剤は、SLSでもSLESでもない。界面活性剤は、カチオン性(例えば、ステアラミドプロピルジメチルアミン)であり得る。
【0084】
局所プロバイオティクス送達システムに含まれ得る乳化剤としては、以下が挙げられる:水中油型乳化剤(例えば、セテアレス-20)、水中シリコーン型乳化剤(例えば、PEG-12ジメチコン)、油中水型乳化剤(例えば、ポリグリセリル-4オレアート)、シリコーン中水型乳化剤(例えば、PEG/PPG-30/10ジメチコン又はラウリルPEG/PPG-18/18メチコン)。
【0085】
局所プロバイオティクス送達システムに含まれ得る乳化剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、又は両性であり得る。
【0086】
本発明の局所プロバイオティクス送達システムに含まれ得る多官能性陽イオン性コンディショニング乳化剤の2つの非限定的であるが好ましい例は、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘントリモニウムクロリド、ステアラミドプロピルジメチルアミン、又はセトリモニウムクロリドである。
【0087】
以下の実施例は、例示である。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者には修正が明らかであり、容易に行うことができる。添付の特許請求の範囲は、実施例に限定されない。
【0088】
実施例1~5:プロバイオティクスを有する局所プロバイオティクス送達システム
【0089】
【表1】
【0090】
実施例6~8:微生物溶解物を有する局所プロバイオティクス送達システム
【0091】
【表2】
【0092】
実施例9~12:最終局所製品
最終局所製品は、実施例1~8によって例示される本発明の局所プロバイオティクス送達システムを水に添加し、他の成分と組み合わせることによって作製され得る。有利なことに、そのような製剤は、均質な製品を獲得するために異なる相を加熱することなく作製され得る。
【0093】
実施例9:プロバイオティクス皮膚鎮静ローション
【0094】
【表3】
【0095】
500~700RPMで連続的にプロペラ混合しながら、相A成分を一度に1つずつ添加する。各成分は、残りの相の添加前に溶解/分散される。連続プロペラ混合しながら、相B成分を相Aに一度に1つずつ添加する。
【0096】
実施例10-プロバイオティクス皮膚クリーム
【0097】
【表4】
【0098】
プロペラ撹拌しながら、副容器中で相A成分を予備混合する。相B成分を主容器に添加し、均質になるまでプロペラで混合する。相Aを相Bに添加し、均質になるまでプロペラミキサーで混合する。相Cを相A/Bに添加し、均質になるまで混合する。
【0099】
実施例11-プロバイオティクス皮膚保湿セラム
【0100】
【表5】
【0101】
主混合容器に相A成分を添加し、プロペラミキサーでよく混合する。相B成分を相Aに一度に1つずつ添加し、均質になるまでよく混合する。相C成分を相A/B混合物に添加し、均質になるまでよく混合する。相D成分を相A/B/C混合物に添加し、均質になるまでよく混合する。
【0102】
実施例12-優しいプロバイオティクス皮膚洗浄剤
【0103】
【表6】
【0104】
相A成分を一度に1つずつ主混合容器に添加し、プロペラミキサーで十分に撹拌する。相B成分を相Aに添加し、均質になるまで混合する。相C成分を相A/B混合物に添加し、均質になるまで混合する。
【0105】
上記の実施例は、バリア機能の改善、経表皮水分損失の低減、及び皮膚マイクロバイオームの腸内毒素症をもたらすか、又はそれによって引き起こされる状態の改善を含む、皮膚の利益を提供するために、局所プロバイオティクス送達システムが様々な局所調製物においてどのように使用され得るかを実証することを意味する。これらは限定を意味するものではなく、成分を含有する製剤の他の例も可能である。
【0106】
本発明の組成物及び方法の記載において、以下の慣例が理解されるべきである:数字は、「約」という用語によって修飾される。数値範囲は、列挙された範囲内の数及び所与の範囲の間の部分範囲の組み合わせを含むことを意味する。例えば、1~5の範囲は、1、2、3、4及び5、並びに2~5、3~5、2~3、2~4、1~4などの部分範囲を含む。「少なくとも1つ」は、1つ以上を意味すると理解される必要があり、個々の構成要素及び混合物/組み合わせも含む。別途明記しない限り、全てのパーセンテージ、比率、及び割合は、重量によるものであり、全ての温度は、摂氏温度である。
【0107】
上で引用した科学刊行物は、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、文献の引用は、それが先行技術であることを承認するものとして解釈されるべきではない。本発明の開示における用語の使用と、参照により組み込まれる文書との間に矛盾がある範囲では、本明細書における意味又は定義が適用される。
【国際調査報告】