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特表2024-522674電気的なエネルギを提供する燃料電池システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】電気的なエネルギを提供する燃料電池システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04791 20160101AFI20240614BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20240614BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240614BHJP
   H01M 8/04082 20160101ALI20240614BHJP
【FI】
H01M8/04791
H01M8/0438
H01M8/04746
H01M8/04082
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576320
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022065087
(87)【国際公開番号】W WO2022263193
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021206158.3
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】マレブライン,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】リンク,マティアス
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA28
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127DB02
5H127DC02
5H127DC05
5H127DC12
5H127DC15
5H127DC56
(57)【要約】
【課題】 紹介する本発明は、電気的なエネルギを提供する燃料電池システム(100)に関する。
【解決手段】 燃料電池システム(100)は、アノードガスを圧送する送風機(101)と、送風機(101)の羽根車の運動の測定値を求める運動センサ(103)と、コントロールユニット(105)と、を備えている。コントロールユニット(105)は、送風機(101)の、運動センサ(103)によりスタート回転数と所定の目標回転数との間の回転数領域内で求められた測定値に、燃料電池システム(100)のアノード回路内の物質組成の状態を、所定の割り当てスキーマを用いて割り当て、かつ燃料電池システム(100)を、割り当てられた状態に応じて調整すべく、構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的なエネルギを提供する燃料電池システム(100)であって、
前記燃料電池システム(100)は、
-アノードガスを圧送する送風機(101)と、
-前記送風機(101)の羽根車の運動の測定値を求める運動センサ(103)と、
-コントロールユニット(105)と、
を備え、
前記コントロールユニット(105)は、
前記送風機(101)の、前記運動センサ(103)によりスタート回転数と所定の目標回転数との間の回転数領域内で求められた測定値に、前記燃料電池システム(100)のアノード回路内の物質組成の状態を、所定の割り当てスキーマを用いて割り当て、かつ前記燃料電池システム(100)を、割り当てられた前記状態に応じて調整すべく、
構成されている、
電気的なエネルギを提供する燃料電池システム(100)。
【請求項2】
前記コントロールユニット(105)は、前記回転数領域内で求められた前記測定値の第1および第2オーダの勾配を特定すべく、構成されており、かつ
前記割り当てスキーマは、前記第1および第2オーダの勾配のそれぞれの値に、前記アノード回路内の水素および/または水および/または窒素の対応する濃度値を割り当てる、
ことを特徴とする、請求項1記載の燃料電池システム(100)。
【請求項3】
前記割り当てスキーマは、前記測定値の第1オーダの勾配が、所定の第1の勾配閾値を上回っており、かつ前記測定値の第2オーダの勾配が、所定の第2の勾配閾値を下回っているとき、それぞれの求められた測定値に状態「低水素濃度」を割り当て、かつ
前記割り当てスキーマは、前記測定値の前記第2オーダの勾配が、前記目標回転数の50%前後の回転数領域内で、ゼロより小さくかつ所定の負閾値より大きい負の値を取るとき、それぞれの求められた測定値に状態「中水素濃度」を割り当て、かつ
前記割り当てスキーマは、前記測定値の前記第2オーダの勾配が、前記目標回転数の50%前後の前記回転数領域内で、前記負閾値より小さい負の値を取るとき、それぞれの求められた測定値に状態「低水素濃度」を割り当てる、
ことを特徴とする、請求項2記載の燃料電池システム(100)。
【請求項4】
前記コントロールユニット(105)は、前記燃料電池システム(100)の掃気弁(107)を、物質組成の求められた状態に応じて動作制御すべく、構成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料電池システム(100)。
【請求項5】
前記割り当てスキーマは、求められた前記測定値の第1オーダの勾配の値が、正の値と負の値との間で変動するとき、求められた前記測定値に状態「前記アノード回路内の水」を割り当て、かつ前記コントロールユニット(105)は、前記割り当てスキーマが、それぞれの求められた測定値に前記アノード回路内の水を割り当てるケースのために、前記掃気弁(107)が周期的に開弁および閉弁するように、前記掃気弁を動作制御すべく、構成されていることを特徴とする、請求項4記載の燃料電池システム(100)。
【請求項6】
前記コントロールユニット(105)は、前記割り当てスキーマが、求められた前記測定値に前記アノード回路内の低水素濃度を割り当てるとき、前記掃気弁(107)を、前記送風機(101)の前記目標回転数に到達するまで連続的に開弁すべく、構成されていることを特徴とする、請求項4記載の燃料電池システム(100)。
【請求項7】
前記運動センサ(103)は、前記送風機にある運動量を求める回転数センサおよび/またはモーメントセンサ、特に前記送風機(101)に向かって流れる電流を求める電流センサであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料電池システム(100)。
【請求項8】
前記割り当てスキーマは、求められた前記測定値の第2オーダの勾配の値が、掃気プロセス後、所定の掃気閾値を下回っているとき、求められた前記測定値に状態「凍結した掃気弁」を割り当てることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料電池システム(100)。
【請求項9】
燃料電池システム(100)を運転する方法(300)であって、
前記方法(300)は、
アノードガスを圧送する前記燃料電池システム(100)の送風機(101)の羽根車の運動の測定値を、スタート回転数と所定の目標回転数との間の回転数領域内で、運動センサ(103)により求める求めステップ(301)と、
前記運動センサ(103)により前記回転数領域内で求められた測定値を、前記燃料電池システム(100)のアノード回路内の物質組成の状態に、所定の割り当てスキーマを用いて割り当てる割り当てステップ(303)と、
前記割り当てステップ(303)において割り当てられた前記状態に応じて前記燃料電池システム(100)を調整する調整ステップ(305)と、
を含む、
燃料電池システム(100)を運転する方法(300)。
【請求項10】
前記調整ステップ(305)は、前記燃料電池システム(100)の掃気弁(107)の動作制御を含むことを特徴とする、請求項9記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的なエネルギを提供する燃料電池システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素をベースとする燃料電池は、オフガスとして水しか出さず、かつ高速での補給を可能にするので、未来のモビリティコンセプトと見なされている。
【0003】
水素が空気と反応する際に燃料電池のカソード側に生じる水の一部は、膜を通してアノード側に拡散し、アノード側で、供給される新鮮な水素と混じり合う。これに類似した形で、空気の構成要素である窒素が、カソードからアノードへと輸送される。これにより、アノード側には、運転中、水素、窒素および水からなるガス混合物あるいは物質組成が生じる。
【0004】
燃料電池システムの燃料電池への水素の充分な供給を保証すべく、水素は、通例、化学量論的に過剰に供給される。効率向上のために、かつ水素損失の低減のために、アノードオフガスは、通例、再循環回路内において戻し案内され、新鮮な水素と混合される。
【0005】
望ましくない種である窒素および水を除去すべく、燃料電池システムのアノード回路は、周期的に掃気される。このために掃気弁、すなわち、いわゆる「パージ弁」が開弁されると同時に、高められた量の新鮮な水素が供給される。このような掃気プロセスは、しかし、一般に、選択的には実施されないので、水素までも排出されてしまう。
【0006】
再循環流動を形成する圧力勾配を、能動型の送風機、例えばコンプレッサにより、かつ/または受動的にエジェクタ、すなわち、いわゆる「ジェットポンプ」により生成する、アノード回路の構成に関する様々なトポロジが知られている。
【0007】
燃料電池システムのスタート時、まず、アノード回路には、それぞれのカソード遮断弁がまだ閉弁されている間に、新鮮な水素が満たされる。このことは、「フラッシュ」として知られている。フラッシュ時は、まだ、それぞれの燃料電池内で利用できる酸素のみが変換される。同時に、アノード回路内に存在している窒素および水は、掃気弁の開弁によりアノード回路から除去される。
【0008】
掃気プロセスのために必要最小限の継続時間を定めるように努められる。それというのも、さもなければ、掃気プロセスにより排出される水素が、燃料電池システムのオフガス経路内に、爆発性の混合物のかたまりを形成してしまうという危険が生じるからである。これを防止すべく、通例、空気圧縮機あるいは送風機が動作制御され、その結果、流出する水素は、爆発の危険が生じない程度に希釈される。
【0009】
しかし、問題は、車両内の構成スペースに余裕がないことに基づき、通例、アノード回路内の水素濃度を直接測定する可能性がないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
紹介する本発明の範囲内において、燃料電池システム、および燃料電池システムを運転する方法を紹介する。本発明のさらなる特徴および詳細は、それぞれの従属請求項、明細書および図面から看取可能である。その際、本発明に係る燃料電池システムとの関連で説明する特徴および詳細が、本発明に係る方法との関連でも当てはまり、それぞれその逆もまた然りであり、その結果、個々の発明の態様についての開示に関して、常に相互に参照されるあるいは参照され得ることは、自明である。
【0011】
紹介する本発明は、特に燃料電池システムによる電気的なエネルギの効率的な提供に用いられる。特に、紹介する本発明は、車両の効率的な運転に用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これにより、本発明の第1の態様によれば、電気的なエネルギを提供する燃料電池システムを紹介する。燃料電池システムは、アノードガスを圧送する送風機と、送風機の運動を測定する運動センサと、コントロールユニットと、を備えている。コントロールユニットは、運動センサによりスタート回転数、特にゼロと、所定の目標回転数との間の回転数領域内で求められた測定値に、燃料電池システムのアノード回路内の物質組成の状態を、所定の割り当てスキーマを用いて割り当て、かつ燃料電池システムを、割り当てられた状態に応じて調整すべく、構成されている。
【0013】
送風機とは、紹介する本発明の関連では、駆動部と、回転可能な羽根車とを有する、空気を圧送する機構、例えばコンプレッサと解すべきである。
【0014】
目標回転数とは、紹介する本発明の関連では、送風機の運転のために予め定められた回転数と解すべきである。
【0015】
物質組成の状態とは、紹介する本発明の関連では、特に物質組成の物質の濃度分布および/または集合状態と解すべきである。相応に物質濃度の状態は、物質濃度の化学的かつ/または物理的な状態を表している。
【0016】
送風機の状態とは、紹介する本発明の関連では、例えば任意の時間窓内の回転数および/または送風機の羽根車を動かす運動量と解すべきである。
【0017】
割り当てスキーマとは、紹介する本発明の関連では、特に割り当てテーブルであって、それぞれの測定値にそれぞれの状態を割り当てる、あるいはそれぞれの測定値にそれぞれの状態を割り当てるべく構成されている、割り当てテーブルと解すべきである。
【0018】
アノードガスとは、紹介する本発明の関連では、燃料電池システムのアノードサブシステム内を流動するガス、例えば水素-窒素-水の混合物と解すべきである。
【0019】
運動センサとは、紹介する本発明の関連では、本発明により設けられた送風機の運動のために評価可能な変数を求めるセンサ、特にコンビネーションセンサと解すべきである。その際、変数とは、回転数、加速度、モーメント、ジャークおよび/または送風機モータに供給される電流と解し得る。
【0020】
紹介する本発明は、燃料電池システムのアノード回路内に設けられた送風機の羽根車に、回転数の変化時、特にスタート後の回転立ち上がり時に生じる抵抗が、対応する燃料電池システムのアノード回路内の物質組成の状態に応じて変化するという原理に基づいている。相応に、送風機の回転数推移および/または送風機を動かすモーメント推移は、回転数の変化時、例えば回転立ち上がり時、特に燃料電池システムのスタートプロセス時あるいは送風機のスタートプロセス時、アノード回路内に存在しているそれぞれの物質およびそれらの濃度、すなわち存在している物質組成の状態に応じて変化する。
【0021】
水素は、密度の低いガスであるので、特に低い機械的な抵抗を引き起こし、これに対して窒素は、水素と比較して明らかに密度が高く、相応により高い機械的な抵抗を引き起こす。特に高い機械的な抵抗は、水、特に凍った水により生じる。
【0022】
アノード回路内のそれぞれの物質とそれらの濃度とにより引き起こされる機械的な抵抗と、アノード回路内で作業する送風機の回転数推移との間の相互作用に基づき、送風機の回転数推移および/またはモーメント推移における特徴的な変数を基に、アノード回路内の物質組成の状態、特に水素濃度は、推定可能である。
【0023】
それぞれの燃料電池システムのアノード回路内の物質組成の目下の状態がわかるとすぐに、燃料電池システムは、例えば掃気プロセスの継続時間が、ベース値を基準に延長または短縮され、あるいは例えばアノード回路内の窒素濃度に応じて選択されることにより、目下の状態に合わせて調整され得る。相応に、掃気プロセスの継続時間は、動的に調整されることができ、従来技術において一般的であるように、最大の窒素濃度に合わせて設計される必要がない。掃気プロセスの動的に適合される継続時間により、相応に、水素の吹き出しは、最小化され、かつ燃料電池システムの効率は、最大化される。
【0024】
コントロールユニットは、回転数領域内で求められた測定値の第1および第2オーダの勾配を特定すべく、構成されているようにしてもよい。さらに、割り当てスキーマは、第1および第2オーダの勾配のそれぞれの値に、アノード回路内の水素および/または水および/または窒素の対応する濃度値を割り当てるようにしてもよい。
【0025】
それぞれ異なるオーダの勾配を基に、測定値内、特に回転数推移および/またはモーメント推移内の特徴的な領域、例えば上がりまたは下がりは、圧縮されて図示され得る。特に、それぞれ異なるオーダの複数の勾配を、本発明により設けられた割り当てスキーマにより照合すると、それぞれ異なる状態あるいはそれぞれ異なる物質組成の、信頼の置ける判別あるいは識別が実施され得る。
【0026】
割り当てスキーマは、測定値の第1オーダの勾配が、所定の第1の勾配閾値を上回っており、かつ測定値の第2オーダの勾配が、所定の第2の勾配閾値を下回っているとき、それぞれの求められた測定値に状態「低水素濃度」を割り当て、かつ割り当てスキーマは、測定値の第2オーダの勾配が、目標回転数の50%前後の回転数領域内で、ゼロより小さくかつ所定の負閾値より大きい負の値を取るとき、それぞれの求められた測定値に状態「中水素濃度」を割り当て、かつ割り当てスキーマは、測定値の第2オーダの勾配が、目標回転数の50%前後の回転数領域内で、負閾値より小さい負の値を取るとき、それぞれの求められた測定値に状態「低水素濃度」を割り当てるようにしてもよい。アノード回路内の高水素濃度の場合、例えば80Vol.%を超える水素濃度の場合、燃料電池システムの送風機の回転数トラジェクトリは、略線形であり、目標回転数は、数秒後に到達される。これにより、この場合、第1オーダの勾配は、最大の値に到達し、第2オーダの勾配、すなわち傾斜の変化は、目標回転数付近まで、小さな値しか示さない。
【0027】
紹介する本発明の構成において設けられる閾値は、求められる測定値次第で正または負に構成されていることがあるので、例えばモーメント値の、回転数値とは逆の挙動をマッピングすることが可能である。
【0028】
それゆえ、割り当てスキーマは、回転数値の第1オーダの勾配が、所定の第1の勾配閾値を上回っており、かつ回転数値の第2オーダの勾配が、所定の第2の勾配閾値を下回っているとき、それぞれの求められた回転数値に状態「低水素濃度」を割り当て、かつ割り当てスキーマは、回転数値の第2オーダの勾配が、目標回転数の50%前後の回転数領域内で、ゼロより小さくかつ所定の負閾値より大きい負の値を取るとき、それぞれの求められた回転数値に状態「中水素濃度」を割り当て、かつ割り当てスキーマは、回転数値の第2オーダの勾配が、目標回転数の50%前後の回転数領域内で、負閾値より小さい負の値を取るとき、それぞれの求められた回転数値に状態「低水素濃度」を割り当てるようにしてもよい。
【0029】
代替的または付加的に、割り当てスキーマは、モーメント値の第1オーダの勾配が、所定の第1の勾配閾値を下回っており、かつモーメント値の第2オーダの勾配が、所定の第2の勾配閾値を上回っているとき、それぞれの求められたモーメント値に状態「低水素濃度」を割り当て、かつ割り当てスキーマは、モーメント値の第2オーダの勾配が、目標モーメントの50%前後のモーメント領域内で、ゼロより大きくかつ所定の負閾値より小さい負の値を取るとき、それぞれの求められたモーメント値に状態「中水素濃度」を割り当て、かつ割り当てスキーマは、モーメント値の第2オーダの勾配が、目標モーメントの50%前後のモーメント領域内で、負閾値より小さい負の値を取るとき、それぞれの求められたモーメント値に状態「低水素濃度」を割り当てるようにしてもよい。
【0030】
アノード回路内の高水素濃度の場合、例えば80Vol.%を超える水素濃度の場合、燃料電池システムの送風機の回転数トラジェクトリは、略線形であり、目標回転数は、数秒後に到達される。これにより、この場合、第1オーダの勾配は、最大の値に到達し、第2オーダの勾配、すなわち傾斜の変化は、目標回転数付近まで、小さな値しか示さない。
【0031】
中水素濃度の場合、例えば50~70Vol.%の場合、燃料電池システムの送風機の回転数トラジェクトリは、目標回転数の50%を超える領域内に屈曲を有し、その結果、回転数トラジェクトリあるいは回転数推移は、より扁平になり、かつ第2オーダの勾配は、負になる。
【0032】
低水素濃度の場合、例えば0~50Vol.%の場合、燃料電池システムの送風機の回転数トラジェクトリは、目標回転数の約50%を上回ると強く屈曲し、その結果、第2オーダの勾配は、より高い負の値を取る。同時に、掃気プロセスの度に回転数の段状の高まりが発生し、その結果、第2オーダの勾配は、短時間、正の値を取ることが観察され得る。
【0033】
さらに、コントロールユニットは、燃料電池システムの掃気弁を、物質組成の求められた状態に応じて動作制御すべく、構成されているようにしてもよい。
【0034】
掃気弁を燃料電池システムのアノード回路内の物質組成の求められた状態に応じて動作制御することで、掃気弁は、動的に制御されることができ、その結果、水素の不必要な導出は、最小化され、かつ燃料電池システムの効率は、最大化される。
【0035】
さらに、割り当てスキーマは、求められた測定値の第1オーダの勾配の値が、正の値と負の値との間で変動するとき、求められた測定値にアノード回路内の水を割り当て、かつコントロールユニットは、割り当てスキーマが、それぞれの求められた測定値にアノード回路内の水を割り当てるケースのために、掃気弁が周期的に開弁および閉弁するように、掃気弁を動作制御すべく、構成されているようにしてもよい。
【0036】
掃気弁を周期的あるいはパルス状に、例えば数秒、特に1秒~10秒、好ましくは3秒~5秒の周期で開弁および閉弁することで、水は、特に良好に燃料電池システムから導き出されることが可能である。それというのも、周期的な開弁および閉弁により、水は、掃気弁に向かって駆動されるからである。周期的な開弁および閉弁時、掃気弁は、例えば反復式に、所定の継続時間の間、開弁され、類似の継続時間の短い中間フェーズの間、再び閉弁される。
【0037】
さらに割り当てスキーマは、求められた測定値の第1オーダの勾配の値が、正の値と負の値との間で変動するとき、求められた測定値にアノード回路内の水を割り当て、かつコントロールユニットは、割り当てスキーマが、それぞれの求められた測定値にアノード回路内への水を割り当てるケースのために、掃気弁が周期的に開弁および閉弁するように、掃気弁を動作制御すべく、構成されているようにしてもよい。
【0038】
それゆえ、割り当てスキーマは、求められた回転数値の第1オーダの勾配の値が、正の値と負の値との間で変動するとき、求められた回転数値にアノード回路内の水を割り当て、かつコントロールユニットは、割り当てスキーマが、それぞれの求められた回転数値にアノード回路内への水を割り当てるケースのために、掃気弁が周期的に開弁および閉弁するように、掃気弁を動作制御すべく、構成されているようにしてもよい。
【0039】
代替的または付加的に、割り当てスキーマは、求められたモーメント値の第1オーダの勾配の値が、負の値と正の値との間で変動するとき、求められたモーメント値にアノード回路内の水を割り当て、かつコントロールユニットは、割り当てスキーマが、それぞれの求められたモーメント値にアノード回路内への水を割り当てるケースのために、掃気弁が周期的に開弁および閉弁するように、掃気弁を動作制御すべく、構成されているようにしてもよい。
【0040】
燃料電池システムのアノード回路内の低水素濃度は、窒素がアノード回路内に蓄積したことを意味している。窒素の高められた密度は、アノード回路内で作業する送風機の回転数が、高水素濃度時よりも緩慢に上昇することに至らしめる。このことは、送風機の回転立ち上がり時に求められた測定値の第1オーダの勾配が、所定の閾値より下にあることを意味する。第1オーダの勾配は、しかし、水がアノード回路内にあるとき、閾値を上回る。
【0041】
さらに、それぞれの送風機の目標回転数の50%を上回る領域内で、回転数トラジェクトリの屈曲が発生し、その結果、第2オーダの勾配は、短時間、負になる。この場合、掃気弁は、連続的に開弁され、少なくとも、送風機がその目標回転数に到達する時点まで、開放維持される。この領域内では、水素濃度は、通例、70Vol.%を上回っており、このことは、燃料電池システムの確実なスタートのために充分である。
【0042】
さらにコントロールユニットは、割り当てスキーマが、求められた測定値にアノード回路内の低水素濃度を割り当てるとき、掃気弁を、送風機の目標回転数に到達するまで連続的に開弁すべく、構成されているようにしてもよい。
【0043】
掃気弁を連続的に開弁することで、高い窒素濃度を効率的に下げることができ、かつ相応に燃料電池システムの問題のない運転を可能とし得る。
【0044】
さらに運動センサは、回転数センサおよび/またはモーメントセンサ、例えば、送風機に向かって流れる電流、すなわち、送風機により取り込まれる電流を求める電流センサであるようにしてもよい。
【0045】
モーメントセンサ、すなわち、本発明により設けられた送風機の羽根車にある運動量を求めるセンサ、特に、電流の強さを求めるセンサは、燃料電池システムの送風機のモーメント推移あるいはモーメントトラジェクトリを求めるのに特に有利であることがわかっている。
【0046】
例示的にモーメントセンサは、本発明により設けられた送風機内に組み込まれていてもよいし、または送風機に対して付加的なあるいは外部のモーメントセンサとして構成されていてもよい。
【0047】
モーメントセンサにより求められた信号の第1および第2オーダの勾配の分析と、回転数飛躍的変化時、あるいは送風機の立ち上がり、特に最初の立ち上がり時の、モーメントセンサにより求められた信号値の最大値に到達する時間とを基に、回転数飛躍的変化の開始時の水素濃度は、推定され、かつ/または目標回転数の到達は、検出され得る。代替的または付加的に、最大値の通過後の、モーメントセンサにより求められた信号値の分析により、水素濃度は、推定され得る。
【0048】
さらに割り当てスキーマは、求められた測定値の第2オーダの勾配の値が、掃気プロセス後、所定の掃気閾値を下回っているとき、求められた測定値に状態「凍結した掃気弁」を割り当てるようにしてもよい。
【0049】
それゆえ、割り当てスキーマは、求められた回転数値の第2オーダの勾配の値が、掃気プロセス後、所定の掃気閾値を下回っているとき、求められた回転数値に状態「凍結した掃気弁」を割り当てるようにしてもよい。
【0050】
代替的または付加的に、割り当てスキーマは、求められたモーメント値の第2オーダの勾配の値が、掃気プロセス後、所定の掃気閾値を上回っているとき、求められたモーメント値に状態「凍結した掃気弁」を割り当てるようにしてもよい。
【0051】
送風機回転数が、掃気プロセスの度に段状に上昇する場合、このことは、通例、掃気プロセスにより、新鮮な水素が、アノード回路内に流動することに起因している。それというのも、アノード回路内を循環する媒体の密度が下がり、送風機がより少ない流動抵抗を克服すればよくなるからである。水素をアノード回路内に供給する水素弁の動作制御は、通例、圧力に関して実施され、その結果、水素弁の開弁により、目標圧力をアノード回路内に調整あるいは維持するように試みられる。掃気弁が凍結していると、掃気弁の開弁時、新鮮な水素の供給によって補償される圧力降下が起こらない。これにより、掃気プロセス中の水素供給は、起こらず、かつ送風機回転数は、段状の高まりを受けず、このことは、送風機回転数の第2オーダの勾配の変化によって認識され得る。掃気プロセスの場合、直接的に送風機回転数の第2オーダの勾配の高まりが発生しなければ、掃気弁の凍結と結論付けなければならない。
【0052】
第2の態様において、紹介する本発明は、燃料電池システムを運転する方法に関する。本方法は、アノードガスを圧送する燃料電池システムの送風機の測定値を、スタート回転数と所定の目標回転数との間の回転数領域内で、運動センサにより求める求めステップと、運動センサにより回転数領域内で求められた測定値を、燃料電池システムのアノード回路内の物質組成の状態に、所定の割り当てスキーマを用いて割り当てる割り当てステップと、割り当てステップにおいて割り当てられた状態に応じて、燃料電池システムを調整する調整ステップと、を含んでいる。
【0053】
紹介する本方法は、特に紹介する燃料電池システムの運転に用いられる。
【0054】
調整ステップは、燃料電池システムの掃気弁の動作制御を含むようにしてもよい。
【0055】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、以下の記述から看取可能である。該記述において、図面を参照しながら本発明の実施例について詳しく説明する。なお、特許請求の範囲および明細書で言及する特徴は、それぞれ、それ自体単独でも、任意の組み合わせでも、発明にとって本質的であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明に係る燃料電池システムの可能な一構成の概略的な構造を示す図である。
図2】本発明に係る燃料電池システムの可能な一構成の送風機の回転数信号の様々な推移を示す図である。
図3】本発明に係る方法の可能な一構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1には、燃料電池システム100を示してある。燃料電池システム100は、アノードガスを圧送する送風機101と、送風機101の羽根車の運動の測定値を求める運動センサ103と、コントロールユニット105と、を備えている。
【0058】
コントロールユニット105は、送風機101の、運動センサ103によりスタート回転数、特にゼロと、所定の目標回転数との間の回転数領域内で求められた測定値に、燃料電池システム100のアノード回路内の物質組成の状態を、所定の割り当てスキーマを用いて割り当て、かつ燃料電池システム100を、割り当てられた状態に応じて調整すべく、構成されている。
【0059】
燃料電池システム100を調整すべく、コントロールユニット105は、例えば燃料電池システム100の掃気弁107を開弁または閉弁することができ、これに起因して、アノード回路内の物質組成の状態を変更することができる。特にコントロールユニット105は、掃気弁107が開弁される継続時間を、割り当てスキーマによりそれぞれの求められた測定値に割り当てられた状態に応じて、動的に変更し得る。運動センサ103により求められる測定値は、送風機の羽根車の回転数の回転数値および/または羽根車を動かすのに必要な運動量のモーメント値であってもよい。相応に、運動センサ103により求められる測定値は、羽根車に作用する力、特に羽根車により動かしたいガスの抵抗に依存している。ガスの密度、および相応にガスの抵抗は、それぞれの成分、特に水素の濃度に応じて変化するので、測定値を基に、羽根車により動かされるガスのそれぞれの成分の濃度が、推定され得る。その際、特に羽根車の加速および/もしくは制動時のモーメント値ならびに/または回転数値は、ガスのそれぞれの成分の濃度を特定するための特徴的な変数であり得る。相応に、特に測定値の変化の第2および/または第3グレードの勾配は、ガスのそれぞれの成分の濃度を特定するために援用され得る。
【0060】
図2には、グラフ201,203および205を示してあり、これらのグラフ201,203および205は、それぞれ、グラフの横座標軸に時間、そしてグラフの縦座標軸に燃料電池システムのアノード回路内で作業する送風機の回転数をとって示してある。
【0061】
推移207,209および211は、アノード回路内の水素濃度の変化を示している。
【0062】
推移213,215および217は、掃気弁の動作を示している。
【0063】
推移219,221および223は、運動センサの測定値の推移、例えば送風機の回転数推移を示している。
【0064】
推移225は、グラフ201,203および205について同じであり、送風機の所定の回転数目標値を表示している。
【0065】
グラフ201,203および205を比較すると、推移207に示す低水素濃度時、推移219に示すように、まず、目標回転数の約50%までの回転数の迅速な上昇が実施され、続いて、緩慢な上昇が実施されることがわかる。それゆえ推移219は、目標回転数の50%のところで強く屈曲し、その結果、推移219の第2オーダの勾配は、この箇所において強く負の値を取る。同時に、掃気プロセスの度に回転数の段状の高まりが起こり、この回転数の段状の高まり時、推移219の第2オーダの勾配は、短時間、正の値を取ることが観察され得る。
【0066】
推移209に示す中水素濃度時、回転数の推移221は、目標回転数の50%を超える領域内に屈曲を有し、その結果、推移221は、より扁平になり、かつ推移221の第2オーダの勾配は、負になる。
【0067】
推移211に示す高水素濃度時、略線形に延びる回転数の推移223が生じ、目標回転数は、数秒後に到達される。これにより、この場合、推移223の第1オーダの勾配は、最大の値に到達し、推移223の第2オーダの勾配は、目標回転数付近まで、小さな値しか示さない。
【0068】
さらに、グラフ201,203および205を比較すると、存在している水素濃度、あるいはアノード回路内の含水量次第で、送風機により取り込まれる電流の明らかに異なる推移225,227および229が生じることが看取可能である。
【0069】
点231における目標回転数の到達時、電流の推移225は、顕著に屈曲する。この屈曲は、これにより送風機の加速プロセスの終了と結び付けられ得る。同時に、電流の推移は、それぞれ存在している水素濃度に応じて異なる定常値を目標回転数の到達後に取ることが明らかになる。このことは、異なる水素濃度が、異なる密度、ひいては送風機のための異なる抵抗に至ることから、結果として生じる。これにより、立ち上がり中の電流の推移の分析は、開始時および掃気プロセスの結果としての水素濃度を特定するために使用され得る。相応に、回転数飛躍的変化後の定常値を基に、回転数飛躍的変化後に存在している水素濃度が、推定され得る。
【0070】
図3には、燃料電池システムを運転する方法300を示してある。方法300は、燃料電池システムのアノードガスを圧送する送風機の羽根車の運動の測定値を、スタート回転数、特にゼロと、所定の目標回転数との間の回転数領域内で、運動センサにより求める求めステップ301と、運動センサによりこの回転数領域内で求められた測定値を、燃料電池システムのアノード回路内の物質組成の状態に、所定の割り当てスキーマを用いて割り当てる割り当てステップ303と、割り当てステップにおいて割り当てられた状態に応じて、燃料電池システムを調整する調整ステップ305と、を含んでいる。
【符号の説明】
【0071】
100 燃料電池システム
101 送風機
103 運動センサ
105 コントロールユニット
107 掃気弁
201 グラフ
203 グラフ
205 グラフ
207 推移、アノード回路内の水素濃度の変化
209 推移、アノード回路内の水素濃度の変化
211 推移、アノード回路内の水素濃度の変化
213 推移、掃気弁の動作
215 推移、掃気弁の動作
217 推移、掃気弁の動作
219 推移、運動センサの測定値、送風機の回転数
221 推移、運動センサの測定値、送風機の回転数
223 推移、運動センサの測定値、送風機の回転数
225 推移、送風機の所定の回転数目標値、送風機により取り込まれる電流
227 推移、送風機により取り込まれる電流
229 推移、送風機により取り込まれる電流
231 点、目標回転数の到達
300 燃料電池システムを運転する方法
301 求めステップ
303 割り当てステップ
305 調整ステップ
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的なエネルギを提供する燃料電池システム(100)であって、
前記燃料電池システム(100)は、
-アノードガスを圧送する送風機(101)と、
-前記送風機(101)の羽根車の運動の測定値を求める運動センサ(103)と、
-コントロールユニット(105)と、
を備え、
前記コントロールユニット(105)は、
前記送風機(101)の、前記運動センサ(103)によりスタート回転数と所定の目標回転数との間の回転数領域内で求められた測定値に、前記燃料電池システム(100)のアノード回路内の物質組成の状態を、所定の割り当てスキーマを用いて割り当て、かつ前記燃料電池システム(100)を、割り当てられた前記状態に応じて調整すべく、
構成されている、
電気的なエネルギを提供する燃料電池システム(100)。
【請求項2】
前記コントロールユニット(105)は、前記回転数領域内で求められた前記測定値の第1および第2オーダの勾配を特定すべく、構成されており、かつ
前記割り当てスキーマは、前記第1および第2オーダの勾配のそれぞれの値に、前記アノード回路内の水素および/または水および/または窒素の対応する濃度値を割り当てる、
ことを特徴とする、請求項1記載の燃料電池システム(100)。
【請求項3】
前記割り当てスキーマは、前記測定値の第1オーダの勾配が、所定の第1の勾配閾値を上回っており、かつ前記測定値の第2オーダの勾配が、所定の第2の勾配閾値を下回っているとき、それぞれの求められた測定値に状態「低水素濃度」を割り当て、かつ
前記割り当てスキーマは、前記測定値の前記第2オーダの勾配が、前記目標回転数の50%前後の回転数領域内で、ゼロより小さくかつ所定の負閾値より大きい負の値を取るとき、それぞれの求められた測定値に状態「中水素濃度」を割り当て、かつ
前記割り当てスキーマは、前記測定値の前記第2オーダの勾配が、前記目標回転数の50%前後の前記回転数領域内で、前記負閾値より小さい負の値を取るとき、それぞれの求められた測定値に状態「低水素濃度」を割り当てる、
ことを特徴とする、請求項2記載の燃料電池システム(100)。
【請求項4】
前記コントロールユニット(105)は、前記燃料電池システム(100)の掃気弁(107)を、物質組成の求められた状態に応じて動作制御すべく、構成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料電池システム(100)。
【請求項5】
前記割り当てスキーマは、求められた前記測定値の第1オーダの勾配の値が、正の値と負の値との間で変動するとき、求められた前記測定値に状態「前記アノード回路内の水」を割り当て、かつ前記コントロールユニット(105)は、前記割り当てスキーマが、それぞれの求められた測定値に前記アノード回路内の水を割り当てるケースのために、前記掃気弁(107)が周期的に開弁および閉弁するように、前記掃気弁を動作制御すべく、構成されていることを特徴とする、請求項4記載の燃料電池システム(100)。
【請求項6】
前記コントロールユニット(105)は、前記割り当てスキーマが、求められた前記測定値に前記アノード回路内の低水素濃度を割り当てるとき、前記掃気弁(107)を、前記送風機(101)の前記目標回転数に到達するまで連続的に開弁すべく、構成されていることを特徴とする、請求項4記載の燃料電池システム(100)。
【請求項7】
前記運動センサ(103)は、前記送風機にある運動量を求める回転数センサおよび/またはモーメントセンサ、特に前記送風機(101)に向かって流れる電流を求める電流センサであることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の燃料電池システム(100)。
【請求項8】
前記割り当てスキーマは、求められた前記測定値の第2オーダの勾配の値が、掃気プロセス後、所定の掃気閾値を下回っているとき、求められた前記測定値に状態「凍結した掃気弁」を割り当てることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の燃料電池システム(100)。
【請求項9】
燃料電池システム(100)を運転する方法(300)であって、
前記方法(300)は、
アノードガスを圧送する前記燃料電池システム(100)の送風機(101)の羽根車の運動の測定値を、スタート回転数と所定の目標回転数との間の回転数領域内で、運動センサ(103)により求める求めステップ(301)と、
前記運動センサ(103)により前記回転数領域内で求められた測定値を、前記燃料電池システム(100)のアノード回路内の物質組成の状態に、所定の割り当てスキーマを用いて割り当てる割り当てステップ(303)と、
前記割り当てステップ(303)において割り当てられた前記状態に応じて前記燃料電池システム(100)を調整する調整ステップ(305)と、
を含む、
燃料電池システム(100)を運転する方法(300)。
【請求項10】
前記調整ステップ(305)は、前記燃料電池システム(100)の掃気弁(107)の動作制御を含むことを特徴とする、請求項9記載の方法(300)。
【国際調査報告】