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特表2024-522679アクチュエータ・パラメータのシステム内推定のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】アクチュエータ・パラメータのシステム内推定のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576385
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022030541
(87)【国際公開番号】W WO2022265825
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,128
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/574,188
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517401657
【氏名又は名称】シーラス ロジック インターナショナル セミコンダクター リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイナガ、ジョージ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヤンコ、マルコ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】マルシェ エマニュエル エイ.
(72)【発明者】
【氏名】メランソン、ジョン エル.
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA20
5D107BB08
5D107CC09
5D107CD01
5D107CD08
5D107DE00
(57)【要約】
アクチュエータのためのアクチュエータ・パラメータを原位置及びリアルタイムで推定する方法は、アクチュエータを含むデバイスのリアルタイムの動作中に、デバイスのユーザに知覚できない試験信号によりアクチュエータを駆動することと、アクチュエータと関連し、試験信号によって生じた電圧及び電流を測定することと、電圧及び電流に基づいて、アクチュエータの1つ又は複数のパラメータを決定することと、1つ又は複数のパラメータに基づいて、アクチュエータのアクチュエータ・タイプを決定することと、アクチュエータ・タイプに基づいて、アクチュエータへの再生信号を制御することと、を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータのためのアクチュエータ・パラメータを原位置及びリアルタイムで推定する方法であって、
前記アクチュエータを含むデバイスのリアルタイムの動作中に、前記デバイスのユーザに知覚できない試験信号により前記アクチュエータを駆動することと、
前記アクチュエータと関連し、前記試験信号によって生じた電圧及び電流を測定することと、
前記電圧及び前記電流に基づいて、前記アクチュエータの1つ又は複数のパラメータを決定することと、
前記1つ又は複数のパラメータに基づいて、前記アクチュエータのアクチュエータ・タイプを決定することと、
前記アクチュエータ・タイプに基づいて、前記アクチュエータへの再生信号を制御することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数のパラメータは、前記アクチュエータの機械的インピーダンス・パラメータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数のパラメータは、前記アクチュエータの電気的インピーダンス・パラメータを含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記試験信号は、知覚できない持続時間を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記知覚できない持続時間は、おおよそ5ミリ秒未満である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記試験信号は、知覚できない振幅を有する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記知覚できない振幅は、おおよそ170ミリボルト~おおよそ130ミリボルトである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記試験信号は、前記アクチュエータを刺激するための前記アクチュエータの最終的なアプリケーションで通常は使用されない周波数範囲を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記電流を測定することは、前記アクチュエータと直列の感知抵抗器の端子間の検知電圧を測定することを含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記感知抵抗器が第1の抵抗を有し、前記電流が測定される特性モードと、
前記感知抵抗器が前記第1の抵抗よりも著しく小さい第2の抵抗を有する起動モードと、
を含む複数のモードにおいて前記デバイスを動作させることを更に含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
アクチュエータのためのアクチュエータ・パラメータを原位置及びリアルタイムで推定するシステムであって、
前記アクチュエータを含むデバイスのリアルタイムの動作中に、前記アクチュエータを駆動するために、前記デバイスのユーザに知覚できない試験信号を生成するように構成された試験信号ジェネレータと、
前記アクチュエータと関連し、前記試験信号によって生じた電圧及び電流を測定し、
前記電圧及び前記電流に基づいて、前記アクチュエータの1つ又は複数のパラメータを決定し、
前記1つ又は複数のパラメータに基づいて、前記アクチュエータのアクチュエータ・タイプを決定し、
前記アクチュエータ・タイプに基づいて、前記アクチュエータへの再生信号を制御する、
ように構成された測定サブシステムと、
を備えた、システム。
【請求項12】
前記1つ又は複数のパラメータは、前記アクチュエータの機械的インピーダンス・パラメータを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ又は複数のパラメータは、前記アクチュエータの電気的インピーダンス・パラメータを含む、請求項11から13までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記試験信号は、知覚できない持続時間を有する、請求項11から13までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記知覚できない持続時間は、おおよそ5ミリ秒未満である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記試験信号は、知覚できない振幅を有する、請求項11から15までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記知覚できない振幅は、おおよそ170ミリボルト~おおよそ130ミリボルトである、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記試験信号は、前記アクチュエータを刺激するための前記アクチュエータの最終的なアプリケーションで通常使用されない周波数範囲を有する、請求項11から17までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記電流を測定することは、前記アクチュエータと直列の感知抵抗器の端子間の検知電圧を測定することを含む、請求項11から18までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記測定システムは、
前記感知抵抗器が第1の抵抗を有し、前記電流が測定される特性モードと、
前記感知抵抗器が前記第1の抵抗よりも著しく小さい第2の抵抗を有する起動モードと、
を含む複数のモードにおいて前記デバイスを動作させるように更に構成される、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、線形共振アクチュエータ又は触覚トランスデューサなどの電磁アクチュエータに関連するパラメータのシステム内検出に関する。
【背景技術】
【0002】
振動-触覚トランスデューサ、例えば、線形共振アクチュエータ(LRA:linear resonant actuator)は、ユーザへの振動的フィードバックを生成するために、携帯電話などのポータブル・デバイスにおいて広く使用される。様々な形式の振動-触覚フィードバックは、ユーザの皮膚に様々な触感を生じさせ、最新のデバイスにおける人間と機械の相互作用においてますます重要な役割を果たす可能性があります。
【0003】
LRAは、質量-バネ・電気-機械・振動システムとしてモデル化され得る。適切に設計又は制御された駆動信号により駆動されると、LRAは、或る所望の形式の振動を生成し得る。例えば、ユーザの指に対する鮮明且つ明確な振動パターンは、機械的なボタン・クリックを模倣する知覚を生じさせるために使用され得る。この明確な振動は、機械的ボタンに代わる仮想スイッチとして使用され得る。
【0004】
図1は、デバイス100における振動-触覚システムの例を示す。デバイス100は、増幅器102に印加される信号を制御するように構成されたコントローラ101を含み得る。増幅器102は次いで、信号に基づいて触覚トランスデューサ103を駆動し得る。コントローラ101は、トリガによってトリガされて信号を出力し得る。トリガは、例えば、デバイス100のスクリーン又は仮想ボタン上の圧力センサ又は力センサを含み得る。
【0005】
様々な形式の振動-触覚フィードバックの中で、持続時間のある音の振動は、着信又はメッセージ、緊急アラート、タイマ警告などの特定の予め定義されたイベントをデバイスのユーザに通知するための重要な役割を果たし得る。音の振動通知を効率的に生成するために、触覚アクチュエータをその共振周波数で動作させることが望ましい場合がある。
【0006】
触覚トランスデューサの共振周波数fは、
【数1】

として近似的に推定され得る。Cは、バネ・システムのコンプライアンスであり、Mは、等価移動質量であり、等価移動質量は、触覚トランスデューサにおける実際の可動部分及び触覚トランスデューサを保持するポータブル・デバイスの質量の両方に基づいて決定され得る。
【0007】
個々の触覚トランスデューサのサンプルごとのばらつき、モバイル・デバイス・アセンブリのばらつき、経年劣化によるコンポーネントの一時的な変化、自己発熱によるコンポーネントの変化、ユーザーがデバイスを握るさまざまな強さなどの使用条件により、触覚トランスデューサの振動共振は、時間ごとに変化する可能性がある。
【0008】
図2Aは、質量-バネ・システム201を含む線形システムとしてモデル化された線形共振アクチュエータ(LRA)の例を示す。LRAは、印加される電圧レベル、動作温度、動作周波数などに応じて異なる動作をする可能性がある非線形コンポーネントである。ただし、これらのコンポーネントは、特定の条件内では線形コンポーネントとしてモデル化される場合がありうる。
【0009】
図2Bは、LRAの質量-バネ・システム201の電気的等価モデルを含む、線形システムとしてモデル化されたLRAの例を示す。この例では、LRAは、電気及び機械的要素を有する第3次システムとしてモデル化される。特に、Re及びLeは、それぞれ、コイル-磁気システムのDC抵抗器及びコイル・インダクタンスであり、Blは、コイルの磁力係数である。駆動増幅器は、出力インピーダンスRoの電圧波形V(t)を出力する。端子電圧V(t)は、触覚トランスデューサの端子間で検知され得る。質量-バネ・システム201は、速度u(t)で移動する。
【0010】
LRAなどの電磁負荷は、コイル・インピーダンスZcoil及び機械的インピーダンスZmechの合計:
LRA=Zcoil+Zmech (2)
として見られるインピーダンスZLRAによって特徴付けられ得る。
【0011】
コイル・インピーダンスZcoilは、インダクタンスLeと直列の直流(DC:direct current)抵抗Re:
coil=Re+s*Le (3)
を含み得る。
【0012】
機械的インピーダンスZmechは、触覚トランスデューサの質量-バネ・システムの機械的摩擦を表わす電気抵抗を表わす共振抵抗Resと、触覚トランスデューサの質量-バネ・システムの等価移動質量Mを表わす電気容量を表わすキャパシタンスCmesと、触覚トランスデューサの質量-バネ・システムのコンプライアンスCを表わすインダクタンスLcesと、を含む3つのパラメーによって定義され得る。全機械的インピーダンスの電気的等価物は、Res、Cmes、Lcesの並列接続である。この並列接続のラプラス変換は、
【数2】

によって記述される。
【0013】
触覚トランスデューサの共振周波数fは、
【数3】

として表わすことができる。
【0014】
LRAの品質係数Qは、
【数4】

として表わすことができる。
【0015】
式(6)を参照すると、この式には抵抗器ReとResの並列接続を記述する部分式(すなわち、
【数5】

)が含まれると共に、図2Bでは、それらの抵抗器は直列接続で示される、ということが直感的に理解できないかもしれません。しかしながら、駆動電圧Veが発振しているが、その後、突然にターンオフしてゼロになるケースもあり得る。図2Bに示される電圧増幅器は、低いソースインピーダンス、理想的にはゼロのソースインピーダンスを有すると考えられ得る。これらの条件の下、駆動電圧Veがゼロになると、電圧増幅器は、回路から実質的に消える。この時点で、図2Bの抵抗器Reの最上部の端子は、抵抗器Resの最下部の端子と同様に接地され、そのため、式(6)に反映されているように、抵抗器ReとResは実際に並列に接続される。
【0016】
LRA又はマイクロスピーカなどの電磁トランスデューサは、応答時間が遅い場合があり得る。図3は、LRAの駆動信号例、LRAを流れる電流、及びLRAの逆起電力(逆EMF:back electromotive force)を記述する、LRAの応答例のグラフであり、そのような逆EMFは、トランスデューサの可動要素(例えば、コイル又は磁石)の速度に比例し得る。図3に示されるように、逆EMFのアタック時間は、エネルギーがLRAに伝達されるにつれて低速になり、LRAに蓄積された機械的エネルギーが放電されるにつれて駆動信号の終了後に、逆EMFの「リンギング」が発生する場合がある。触覚LRAのコンテキストでは、そのような動作特性により 、「鮮明な」触覚応答ではなく、「どろどろとした」クリック感またはパルス感が生じる可能性がある。よって、LRAが、図4に示される応答と類似の応答を代わりに有することが望ましい場合があり、その応答では、駆動信号が終了した後にリンギングが最小限に抑えられ、触覚コンテキストにおいてより「鮮明な」触覚応答を提供できる可能性がある。したがって、処理された駆動信号がトランスデューサに印加されるとき、トランスデューサの速度又は逆EMFが図4のそれらにより近づくように、駆動信号に処理を適用することが望ましい場合がある。この背景技術の章に図4を含めることによって、出願人は、図4の最適化された波形を従来技術として認めることを意図していないことを留意されたい。
【0017】
LRAまたはその他のアクチュエータの性能を最適化して、より望ましい応答を生成するには、トランスデューサ駆動システムが特定のアクチュエータモデルに最適化された調整パラメータを適用する必要がある場合があり、これには従来、コストのかかる工場での校正手順の実装が必要になる場合がある。したがって、ユーザ経験に影響を与えることなく、システムの電源オン中、又はアクチュエータの使用中に、アクチュエータ・パラメータ測定をシームレスに実行することによって、工場での較正を低減させることが望ましい場合がある。
【0018】
人間の触覚システムは特に、100~400ヘルツの範囲の周波数に敏感である。したがって、LRAは、150ヘルツ~250ヘルツの範囲にある共振周波数を有するように設計されることが多い。この共振特性は、ほとんどの場合、加速立ち上がり時間が比較的長いことを意味する。さらに、LRAの質量が動き始めた後、入力電圧の振幅を減少させても、質量の動きの振幅が瞬時に減少しない可能性がある。代わりに、質量の動きは、ゆっくりと減衰する。最適化されたチューニング・パラメータの使用により、LRAアルゴリズムは、複数のLRAサンプルにわたって一貫した加速を可能にし、立ち上がり/制動時間を短縮し、及び/又はエンドユーザの触覚効果の経験を向上し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許出願第16/816,790号
【特許文献2】米国特許出願第16/816,833号
【特許文献3】米国特許出願第16/842,482号
【特許文献4】米国特許出願第16/369,556号
【特許文献5】米国特許出願第17/497,110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本開示の教示によれば、電磁アクチュエータに関連するパラメータの決定に関連する欠点および問題を軽減または除去することができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示の実施例によれば、アクチュエータのためのアクチュエータ・パラメータを原位置及びリアルタイムで推定する方法は、アクチュエータを含むデバイスのリアルタイムの動作中に、デバイスのユーザに知覚できない試験信号によりアクチュエータを駆動することと、アクチュエータと関連し、試験信号によって生じた電圧及び電流を測定することと、電圧及び電流に基づいて、アクチュエータの1つ又は複数のパラメータを決定することと、1つ又は複数のパラメータに基づいて、アクチュエータのアクチュエータ・タイプを決定することと、アクチュエータ・タイプに基づいて、アクチュエータへの再生信号を制御することと、を含み得る。
【0022】
本開示の実施例によれば、アクチュエータのためのアクチュエータ・パラメータを原位置及びリアルタイムで推定するシステムは、アクチュエータを含むデバイスのリアルタイムの動作中に、アクチュエータを駆動するために、デバイスのユーザに知覚できない試験信号を生成するように構成された試験信号ジェネレータと、アクチュエータと関連し、試験信号によって生じた電圧及び電流を測定し、電圧及び電流に基づいて、アクチュエータの1つ又は複数のパラメータを決定し、1つ又は複数のパラメータに基づいて、アクチュエータのアクチュエータ・タイプを決定し、アクチュエータ・タイプに基づいて、アクチュエータへの再生信号を制御する、ように構成された測定サブシステムと、を含み得る。
【0023】
本開示の技術的な利点は、本明細書に含まれる図面、説明、及び請求項から当業者にとって容易に明らかになり得る。実施例の目的及び利点は、少なくとも請求項において特に指摘される要素、特徴、及び組み合わせによって実現及び達成されよう。
【0024】
先述の全体的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例および例示的であり、本開示に示される請求項を限定しないことが理解されよう。
【0025】
本実施例及びその利点は、添付図面と併せて以下の説明を参照することによってより完全に理解され得、添付図面では、同様の参照符号は、同様の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本分野において既知である、デバイスにおける振動-触覚システムの例を示す図である。
図2A】本分野において既知である、線形システムとしてモデル化された線形共振アクチュエータ(LRA)の例を示す図である。
図2B】本分野において既知である、線形システムとしてモデル化された線形共振アクチュエータ(LRA)の例を示す図である。
図3】本分野において既知である、電磁負荷の例示的な波形のグラフを示す図である。
図4】本開示の実施例に係る、電磁負荷の望ましい例示的な波形のグラフを示す図である。
図5】本開示の実施例に係る、例示的なモバイル・デバイスの選択された構成要素のブロック図を示す図である。
図6】本開示の実施例に係る、一体型触覚システムの選択された構成要素のブロック図を示す図である。
図7】本開示の実施例に係る、電磁負荷を含む例示的なシステムの選択された構成要素を示す図である。
図8】本開示の実施例に係る、電流を測定するための感知抵抗の例示的な実装態様の回路図を示す図である。
図9】本開示の実施例に係る、アクチュエータ・パラメータのシステム内推定及びその補償のための例示的な方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明は、本開示に係る例示的な実施例を示す。更なる例示的な実施例及び実装態様が当業者にとって明らかであろう。さらに、当業者であれば、以下に説明する実施形態の代わりに、またはそれに関連して、様々な等価な技術を適用することができ、そのような等価物はすべて本開示に包含されるものとみなすべきであることを認識するであろう。
【0028】
様々な電子デバイス又はスマート・デバイスは、トランスデューサ、スピーカ、及び音響出力トランスデューサ、例えば、適切な電気駆動信号を音波圧力波または機械振動などの音響出力に変換するための任意のトランスデューサを有し得る。
例えば、多くの電子デバイスは、例えば、オーディオコンテンツの再生、音声通信、および/または可聴通知の提供などの音声生成のための1つまたは複数のスピーカまたはラウドスピーカを含み得る。
【0029】
そのようなスピーカ又はラウドスピーカは、電磁アクチュエータ、例えば、音声コイルモータから構成されることがあり、このアクチュエータは、可撓性振動板、例えば従来のラウドスピーカコーンに機械的に結合されるか、またはデバイスの表面、例えばモバイルデバイスのガラススクリーンに機械的に結合される。また、一部の電子デバイスも、例えば、近接検出タイプ用途における使用及び/又はマシン・ツー・マシン通信のための超音波を生成できる音響出力トランスデューサを含み得る。
【0030】
多くの電子デバイスは、加えて又は代わりに、触覚制御フィードバックまたはユーザーへの通知のための振動を生成するよう調整された、より特殊な音響出力トランスデューサ、例えば触覚トランスデューサを含む場合がある。加えて又は代わりに、電子デバイスは、アクセサリ装置の対応するコネクタと着脱可能な嵌合接続を行うためのコネクタ、例えば、ソケットを有し得、接続されるときにアクセサリ装置の上述したタイプの1つ又は複数のトランスデューサを駆動するよう、コネクタに駆動信号を提供するように構成され得る。よって、そのような電子デバイスは、適切な駆動信号によりホスト・デバイス又は接続されたアクセサリのトランスデューサを駆動するための駆動回路を含む。音響トランスデューサ又は触覚トランスデューサの場合、駆動信号は一般に、アナログの時間変化する電圧信号、例えば、時間変化する波形である。
【0031】
図5は、本開示の実施例に係る、例示的なホスト・デバイス502の選択された構成要素のブロック図を示す。図5に示されるように、ホスト・デバイス502は、エンクロージャ501、コントローラ503、メモリ504、力センサ505、マイクロフォン506、線形共振アクチュエータ507、無線送信機/受信機508、スピーカ510、及びイッタイガタ触覚システム512を含み得る。
【0032】
エンクロージャ501は、ホスト・デバイス502の様々な構成要素を収容するための任意の適切な筐体、ケーシング、又は他のエンクロージャを含み得る。エンクロージャ501は、プラスチック、金属、及び/又は任意の他の適切な材料から構成され得る。さらに、エンクロージャ501は、ホスト・デバイス502がホスト・デバイス502のユーザの人により容易に持ち運べるように(例えば、サイズおよび形状が)適合されてもよい。したがって、ホスト・デバイス502は、スマートフォン、タブレット・コンピューティング・デバイス、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス、携帯情報端末、ノートブック・コンピュータ、ビデオ・ゲーム・コントローラ、又はホスト・デバイス502のユーザの人により容易に持ち運べるいずれかの他のデバイスを含み得るが、これらに限定されない。
【0033】
コントローラ503は、エンクロージャ501内に収容され得、プログラム命令を解釈及び/若しくは実行し、並びに/又はデータを処理するように構成されたいずれかのシステム、デバイス、又は装置を含み得、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:applikation speshifwic integrated circuit)、或いはプログラム命令を解釈及び/若しくは実行し、並びに/又はデータを処理するように構成されたいずれかの他のデジタル又はアナログ回路を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、コントローラ503は、プログラム命令を解釈及び/若しくは実行し、並びに/又はメモリ504及び/若しくはコントローラ503にアクセス可能な他のコンピュータ可読媒体に記憶されたデータを処理する。
【0034】
メモリ504は、エンクロージャ501内に収容されてよく、コントローラ503に通信可能に結合されてよく、プログラム命令および/またはデータを一定期間保持するように構成された任意のシステム、デバイス、または装置(例えば、コンピュータ可読媒体)を含んでもよい。メモリ504は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、電気的消去可能なプログラマブル・リードオンリ・メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read-only memory)、パーソナル・コンピュータ・メモリ・カード・インターナショナル・アソシエーション(PCMCIA:Personal Computer Memory Card International Association)カード、フラッシュ・メモリ、磁気記憶装置、光磁気記憶装置、又は揮発性メモリ若しくはホスト・デバイス502への電源がオフされた後もデータを保持する不揮発性メモリの任意の適切な選択及び/又はアレイを含み得る。
【0035】
マイクロフォン506は、エンクロージャ501内に少なくとも部分的に収容されてよく、コントローラ503に通信可能に結合されてよく、マイクロフォン506に入射する音をコントローラ503によって処理され得る電気信号に変換するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を含んでよく、そのような音は、ダイヤフラム又は膜で受けとった音波振動に基づいて変化する電気キャパシタンスを有するダイヤフラム又は膜を使用して、電気信号に変換される。マイクロフォン506は、静電マイクロフォン、コンデンサ・マイクロフォン、エレクトレット・マイクロフォン、微小電気機械システム(MEMS:microelectromechanical system)マイクロフォン、又は任意の他の適切な容量性マイクロフォンを含んでよい。
【0036】
無線送信機/受信機508は、エンクロージャ501内に収容されてよく、コントローラ503に通信可能に結合されてよく、アンテナを利用して、無線-周波数信号を生成及び送信すると共に、無線-周波数信号を受信し、そのような受信信号によって搬送される情報をコントローラ503が使用可能な形式に変換するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を含み得る。無線送信機/受信機508は、セルラ通信(例えば、2G、3G、4G、LTEなど)、短距離無線通信(例えば、BLUETOOTH(登録商標))、商業的無線信号、テレビ信号、サテライト無線信号(例えば、GPS)、Wireless Fidelityなどを含む、様々なタイプの無線-周波数信号を送信及び/又は受信するように構成され得るが、それらに限定されない。
【0037】
スピーカ510は、エンクロージャ501内に少なくとも部分的に収容されてよく、エンクロージャ501の外側にあってよく、コントローラ503に通信可能に結合されてよく、電気オーディオ信号入力に応答して音を生成するように構成されたいずれかのシステム、デバイス、又は装置を含み得る。いくつかの実施例では、スピーカは、動的ラウドスピーカを含んでよく、動的ラウドスピーカは、円筒磁気ギャップを通って軸方向に動くように音声コイルを拘束する可撓性サスペンションを介して剛体フレームに機械的に結合された軽量ダイヤフラムを採用する。電気信号が音声コイルに印加されると、音声コイル内の電流によって磁場が生成され、可変電磁石となる。コイル及びドライバの磁気システムは相互作用し、機械的な力を生成してコイル(および取り付けられたコーン)を前後に動かし、それによって、増幅器から印加された電気信号の制御の下で音を再生する。
【0038】
力センサ505は、エンクロージャ501内に収容されてよく、力、圧力、又は接触(例えば、人間の指との相互作用)を検知し、そのような力、圧力、又は接触に応答して電気信号又は電子信号を生成するための任意の適切なシステム、デバイス、又は装置を含み得る。いくつかの実施例では、そのような電気信号又は電子信号は、力センサに印加される力、圧力、又は接触の大きさの関数であり得る。それらの実施例及び他の実施例では、そのような電子信号又は電気信号は、触覚フィードバックが与えられる入力信号に関連付けられた汎用入力/出力信号(GPIO:general purpose input/output signal)を含み得る。力センサ505は、容量性変位センサ、誘導力センサ(例えば、抵抗性-誘導性-容量性センサ)、歪みゲージ、圧電力センサ、力検知抵抗、圧電力センサ、薄膜力センサ、又は量子トンネリング・コンポジット・ベース力センサを含み得るが、それらに限定されない。本開示における明確化及び説明の目的のために、本明細書で使用される用語「力」は、力だけでなく、力を示す物理量、または力に類似する物理量、例えば圧力および接触などを指し得るが、それらに限定されない。
【0039】
線形共振アクチュエータ507は、エンクロージャ501内に収容されてよく、単一の軸を横切る機械振動力を生成するための任意の適切なシステム、デバイス、又は装置を含み得る。例えば、いくつかの実施例では、線形共振アクチュエータ507は、交流電圧に依存して、ばねに接続された可動質量体に押し付けられた音声コイルを駆動することができる。音声コイルがバネの共振周波数で駆動されると、線形共振アクチュエータ507は、知覚可能な力で振動し得る。よって、線形共振アクチュエータ507は、特定の周波数範囲内の触覚用途において有益であり得る。明確化及び説明の目的のために、本開示は、線形共振アクチュエータ507の使用に関連して説明されるが、線形共振アクチュエータ507の代わりに又は加えて、他の任意のタイプの振動アクチュエータ(例えば、偏心回転質量アクチュエータ)を代わりに使用できることを理解されたい。加えて、線形共振アクチュエータ507の代わりに又は加えて、複数の軸にわたって振動機械力を生成するように構成されたアクチュエータを使用できることも理解されたい。本開示において他の個所で説明されるように、線形共振アクチュエータ507は、一体型触覚システム512から受信した信号に基づいて、機械的ボタンの交換および容量性センサのフィードバックのうちの少なくとも1つについて、ホストデバイス502のユーザに触覚フィードバックを提供し得る。
【0040】
一体型触覚システム512は、エンクロージャ501内に収容されてよく、力センサ505及び線形共振アクチュエータ507に通信可能に結合されてよく、ホスト・デバイス502に印加された力(例えば、ホスト・デバイス502の仮想ボタンに人間の指によって印加された力)を示す信号を力センサ505から受信し、ホスト・デバイス502に印加された力に応答して、線形共振アクチュエータ507を駆動するための電子信号を生成するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を含み得る。本開示の実施例に係る一体型触覚システムの詳細は、図6に示される。
【0041】
図5では、特定の例示的な構成要素がホスト・デバイス502に一体化されているとして示されているが(例えば、コントローラ503、メモリ504、力センサ505、マイクロフォン506、無線送信機/受信機508、スピーカ510)、本開示に係るホスト・デバイス502は、上に具体的に列挙していない1つ又は複数の構成要素を含み得る。例えば、図5は、或るユーザ・インタフェース構成要素を表わすが、ホスト・デバイス502は、図5に表わされるものに加えて1つ又は複数の他のユーザ・インタフェース構成要素(キーパッド、タッチスクリーン、及びディスプレイを含むが、それらに限定されない)を含み得、よって、ユーザが、ホスト・デバイス502及びその関連する構成要素と相互作用し、及び/又は操作することを可能にする。
【0042】
図6は、本開示の実施例に係る、一体型触覚システム512Aの選択された構成要素のブロック図を示す。いくつかの実施例では、一体型触覚システム512Aは、図5の一体型触覚システム512を実装するために使用され得る。図6に示されるように、一体型触覚システム512Aは、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)602、メモリ604、及び増幅器606を含み得る。
【0043】
DSP602は、プログラム命令を解釈及び/若しくは実行し、並びに/又はデータを処理するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を含み得る。いくつかの実施例では、DSP602は、プログラム命令を解釈及び/若しくは実行してよく、メモリ604及び/若しくDSP602にアクセス可能な他のコンピュータ可読媒体に記憶されたデータを処理し得る。
【0044】
メモリ604は、DSP602に通信可能に結合することができ、プログラム命令および/またはデータを一定期間保持するように構成された任意のシステム、デバイス、または装置(例えば、コンピュータ可読媒体)を含むことができる。メモリ604は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブル・リードオンリ・メモリ(EEPROM)、パーソナル・コンピュータ・メモリ・カード・インターナショナル・アソシエーション(PCMCIA)カード、フラッシュ・メモリ、磁気記憶装置、光学磁気記憶装置、又は揮発性メモリ若しくはホスト・デバイス502への電源がオフされた後もデータを保持する不揮発性メモリのいずれかの適切な選択及び/又は配列を含み得る。
【0045】
増幅器606は、DSP602に電気的に結合することができ、入力信号VIN(例えば、時間変化する電圧または電流)の電力を増大させて出力信号VOUTを生成するように構成された任意の適切な電子システム、デバイス、または装置を備えることができる。例えば、増幅器606は、電源(明示的には示されていない)からの電力を使用して、信号の振幅を増大させることができる。増幅器606は、D級増幅器を含むがこれに限定されない、任意の適切な増幅器クラスを含むことができる。
【0046】
動作中、メモリ604は、1つ又は複数の触覚再生波形を記憶し得る。いくつかの実施例では、1つ又は複数の触覚再生波形の各々は、時間の関数としての線形共振アクチュエータ(例えば、線形共振アクチュエータ507)の所望の加速度として触覚応答a(t)を定義し得る。DSP602は、力センサ505に印加された力を示す力信号VSENSEを受信するように構成され得る。検知された力を示す力信号VSENSEの受信に応答して、又はそのような受信とは独立して、DSP602は、メモリ604から触覚再生波形を取得し、そのような触覚再生波形を処理して、処理済み触覚再生信号VINを決定することができる。増幅器606がクラスD増幅器である実施例では、処理された触覚再生信号VINは、パルス幅変調信号を含み得る。検知された力を示す力信号VSENSEの受信に応答して、DSP602は、処理された触覚再生信号VINを増幅器606に出力させることができ、増幅器606は、処理された触覚再生信号VINを増幅して線形共振アクチュエータ507を駆動するための触覚出力信号VOUTを生成し得る。
【0047】
いくつかの実施例では、一体型触覚システム512Aは、単一の集積回路上に形成され得、よって、触覚フィードバック制御に対する既存のアプローチよりも低い待ち時間が可能になる。単一のモノシリック集積回路の一部として一体型触覚システム512Aを提供することによって、様々なインタフェースと一体型触覚システム512Aのシステム構成要素との間の待ち時間を低減又は除去し得る。
【0048】
図7は、本開示の実施例に係る、電磁負荷701を含む例示的なシステム700の選択された構成要素を示す。システム700は、モバイル・デバイス、ホーム・アプリケーション、車両、及び/又はヒューマン-マシン・インタフェースを含む任意の他のシステム、デバイス、若しくは装置を含むが、それらに限定されず、或いはそれらと一体であってよい。電磁負荷701は、触覚トランスデューサ、ラウドスピーカ、マイクロスピーカ、圧電トランスデューサ、音声-コイル・アクチュエータ、ソレノイド、又は他の適切なトランスデューサを含むが、それらに限定されず、複合インピーダンスを有する任意の適切な負荷を含み得る。
【0049】
動作中、システム700のトランスデューサ駆動サブシステム705の信号ジェネレータ724は、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)(いくつかの実施例では、触覚波形信号又はオーディオ信号などの波形信号であり得る)を生成し得る。未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)は、信号ジェネレータ724によって受信された所望の再生波形に基づいて生成され得る。
【0050】
未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)は、波形プリプロセッサ726によって受信され得、波形プリプロセッサ726は、インピーダンス測定サブシステム708によって生成された1つ又は複数のパラメータに基づいて未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)を修正し得、そのような1つ又は複数のパラメータは、電磁負荷701と関連付けられ得る。
【0051】
処理されたトランスデューサ駆動信号x(t)は次に、増幅器706によって増幅されて、電磁負荷701を駆動するための駆動信号V(t)を生成し得る。駆動信号V(t)に応答して、電磁負荷701の検知された端子電圧V(t)は、端子電圧検知ブロック707、例えば、ボルト-メータによって検知され、第1のアナログ-デジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)703によってデジタル表現に変換され得る。同様に、検知された電流I(t)は、第2のADC704によってデジタル表現に変換され得る。電流I(t)は、電磁負荷701の端子に結合された抵抗器Rを有するシャント・抵抗器702の両端で検知され得る。
【0052】
図7に示されるように、トランスデューサ駆動サブシステム705は、インピーダンス測定サブシステム708を含み得、インピーダンス測定サブシステム708は、電磁負荷701のDC抵抗器Re及びコイル・インダクタンスLeを含むが、それらに限定されない電磁負荷701のインピーダンスを推定し得る。そのような測定に基づいて、インピーダンス測定サブシステム708は、波形プリプロセッサ726に、そのようなパラメータ及び/又は任意の他の適切なパラメータ(例えば、機械的インピーダンス・パラメータRes、Cmes、及びLces)を通信し得る。そのようなパラメータに基づいて、波形プリプロセッサ726は、電磁負荷701の性能を最適化することを意図した方式で未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)を修正し得る(例えば、触覚効果の鮮明さに対する人間の知覚を高めるために、電磁負荷の駆動又は制動を修正する)。
【0053】
電磁負荷701の電気的及び/又は機械的インピーダンスの1つ又は複数の構成要素を推定するためのアプローチの例は、以下に限定されるものではないが、2020年3月12日に出願され、「Methods and Systems for Improving Transducer Dynamics」と題する米国特許出願第16/816,790号、2020年3月12日に出願され、「Methods and Systems for Estimating Transducer Parameters」と題する米国特許出願第16/816,833号、2020年4月7日に出願され、「Thermal Model of Transducer for Thermal Protection and Resistance Estimation」と題する米国特許出願第16/842,482号、2019年3月29日に出願され、「Driver Circuitry」と題する米国特許出願第16/369,556号、及び2021年10月8日に出願され、「Systems and Methods for Sensing Displacement of an Electromechanical Transducer」と題する米国特許出願第17/497,110号において説明され、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
例えば、図2Bを参照すると、アクチュエータの移動質量の速さ及び位置の両方は、逆EMFVbemf(前進、Vと称される)及びIのそれぞれによって捕捉され得る(例えば、逆EMFVは、移動質量の速度に比例し、電流Iは、移動質量の位置に比例する)。図2Bに例示されるトランスデューサ・モデルの線形状態空間モデルは、以下の式によって表わされる。
【数6】

ここで、図2Bに例示されるトランスデューサ・モデルの電圧Veは、検知された端子電圧V(t)によって与えられ得る。したがって、インピーダンス測定サブシステム708は、対象の周波数領域を励起する電流及び入力電圧の測定が利用可能である場合、DC抵抗器Re、コイル・インダクタンスLe、並列機械抵抗器Res、並列キャパシタンスCmes、及び/又は並列インダクタンスLcesを含む、アクチュエータの内部パラメータの1つ又は複数の推定を提供し得る。
【0055】
動作中にそのようなインピーダンス・パラメータを原位置で推定するために、インピーダンス測定サブシステム708は、試験信号(例えば、パイロット・トーン信号)を生成し得、波形プリプロセッサ726は、そのような試験信号を未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)と組み合わせて、処理されたトランスデューサ駆動信号x(t)を生成し、又は未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)をミュートし、処理されたトランスデューサ駆動信号x(t)として試験信号を生成し得るか、のいずれかである。そのような試験信号は、人間が知覚できない持続時間、人間が知覚できない振幅、及び/又は電磁負荷701を刺激するための電磁負荷701の最終的なアプリケーションで通常は使用されない周波数(例えば、電磁負荷701の共振周波数とははるかに異なる周波数)を有するトランスデューサ駆動信号を有し得る。したがって、システム700がリアルタイムで動作及び使用される場合、試験信号はシステム700のユーザによって感知されない可能性がある。例えば、知覚できない持続時間は、おおよそ5ミリ秒であり得る。別の例では、知覚できない振幅は、おおよそ170ミリボルト~おおよそ330ミリボルトであり得る。電磁負荷701を刺激するための電磁負荷701の最終的なアプリケーションで通常は使用されない周波数は、電磁負荷701のタイプに依存することがあり、電磁負荷701のタイプに基づいて変化し得る。
【0056】
更に、インピーダンス測定サブシステム708は、電磁負荷701に試験信号を駆動することによって生じた、検知端子電圧V(t)及び検知電流I(t)を測定し得る。加えて、インピーダンス測定サブシステム708は、電磁負荷701のパラメータ(例えば、DC抵抗Re、コイル・インダクタンスLe、並列機械的抵抗Res、並列キャパシタンスCmes、及び/又は並列インダクタンスLces)を推定でき、波形プリプロセッサ726にそのようなパラメータを通信し得る。
【0057】
次に、波形プリプロセッサ726は、システム内700に存在する電磁負荷701のタイプを決定し、それに基づいて、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)の最適化された制御を実行して、処理されたトランスデューサ駆動信号x(t)を生成し得る。
【0058】
図8は、本開示の実施例に係る、感知抵抗器702の例示的な実装態様の回路図を示す。図8に示されるように、感知抵抗器702は、抵抗器802及び抵抗器803の使用の選択をするためのスイッチ801と共に、2つの選択可能な抵抗器802及び803を用いて実装され得る。抵抗器802の抵抗は、抵抗器803の抵抗よりも著しく高くなり得る。
【0059】
インピーダンス測定サブシステム708及び波形プリプロセッサ726による試験信号の再生の間、感知抵抗器702の両端の電圧降下に対する許容度はより高くなり得、これは、感知抵抗器702の端子に結合された同一の電圧測定デバイス(例えば、第2のADC704)を使用して生じた検知電流I(t)の測定の信号対雑音比を高めるために、試験信号を再生している間のみ、抵抗値Rが望ましくなり得ることを意味する。したがって、システム700は、2つの異なるモード、a)より大きな抵抗器802が選択され、インピーダンス測定サブシステム708が検知電流I(t)を測定する特性モードと、b)より小さい抵抗器803が選択され(例えば、電磁負荷701の所望の触覚動作の影響をより小さくするために)、意図した人間が知覚可能な波形が電磁負荷701に駆動される起動モードと、において動作し得る。図には詳細には示されないが、インピーダンス測定サブシステム708及び/又はトランスデューサ駆動サブシステム705の別の部分は、スイッチ801を動作して抵抗器802と抵抗器803との間で選択するための制御信号を生成し得る。
【0060】
図9は、本開示の実施例に係る、アクチュエータ・パラメータのシステム内推定及びその補償のための例示的な方法のフローチャートを示す。或る実施例によれば、方法900は、ステップ902において開始し得る。上述したように、本開示の教示は、システム700の様々な構成において実装され得る。したがって、方法900についての好ましい初期化ポイント及び方法900を含むステップの順序は、選ばれる実装態様に依存し得る。
【0061】
ステップ902において、システム700は、電源をオン又はリセットし得る。ステップ904において、トランスデューサ駆動サブシステム705の全て又は一部を実装するためのファームウェアをロードした後、システム700は、特性モードに入り得、インピーダンス測定サブシステム708は、電磁負荷701を駆動するための駆動信号V(t)として試験信号を駆動させてよい。ステップ906において、インピーダンス測定サブシステム708は、電磁負荷701に試験信号を駆動することによって生じた、検知端子電圧V(t)及び検知電流I(t)を測定し得る。ステップ908において、インピーダンス測定サブシステム708は、電磁アクチュエータ701のパラメータ(例えば、DC抵抗Re、コイル・インダクタンスLe、並列機械抵抗Res、並列キャパシタンスCmes、及び/又は並列インダクタンスLces)を推定し、波形プリプロセッサ726にそのようなパラメータを通信し得る。
【0062】
ステップ910において、波形プリプロセッサ726は、システム700に存在する電磁負荷701のタイプを決定し得る。ステップ912において、システム700は、起動モードに入り得、起動モードでは、波形プリプロセッサ726は、未処理トランスデューサ駆動信号x’(t)の最適化された制御を実行し、処理されたトランスデューサ駆動信号x(t)を生成し得る。
【0063】
図9は、方法900に関して取られる特定の数のステップを開示するが、それは、図9に表わされるステップよりも多い又は少ないステップにより実行され得る。加えて、図9は、方法900に関して実行されるステップの特定の順序を開示するが、方法900を含むステップは、任意の適切な順序において完了され得る。
【0064】
方法900は、トランスデューサ駆動サブシステム705、その構成要素、又は方法900を実施するように動作可能な任意の他のシステムを使用して実施され得る。特定の実施例では、方法900は、コンピュータ可読媒体に組み込まれたソフトウェア及び/又はファームウェアで部分的に又は完全に実施され得る。
【0065】
以上は、線形電磁負荷への適用を説明したが、開示したものと類似又は同様のシステム及び方法を、他の線形システム又は非線形システムに適用され得ることを理解されたい。
【0066】
本明細書で使用されるように、2つ以上の要素が相互に「結合される(coupled)」と言及されるとき、そのような用語は、間接的に又は直接に、仲介要素により又は仲介要素なしに接続されるかどうかに関わらず、適用可能なように、そのような2つ以上の要素が電子的に通信し又は機械的に通信していることを示す。
【0067】
本開示は、当業者が把握する、本明細書における実施例への全ての変更、置き換え、変形、改変、及び修正を包含する。同様に、適切である場合、添付の請求項は、当業者が把握する、本明細書における実施例への全ての変更、置き換え、変形、改変、及び修正を包含する。その上、添付の請求項における、特定の機能を実行するように適応され、するように配列され、する能力を有し、するように構成され、するように有効にされ、するように動作可能であり、又はするように動作する、装置又はシステム又は装置若しくはシステムの構成要素への言及は、その装置、システム、又は構成要素がそのように適応され、配列され、能力を有し、構成され、有効にされ、動作可能であり、又は動作する限り、それが又はその特定の機能が活性化され、電源オンされ、又はアンロックされるかどうかに関わらず、その装置、システム、又は構成要素を包含する。したがって、開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明されるシステム、装置、及び方法に修正、追加、又は省略が行われ得る。例えば、システム及び装置の構成要素は、統合又は分離され得る。その上、本明細書で開示されるシステム及び装置の動作は、より多くの構成要素、より少ない構成要素、又は他の構成要素によって実行され得、説明される方法は、より多くのステップ、より少ないステップ、又は他のステップを含み得る。加えて、ステップは、いずれかの適切な順序において実行され得る。本明細書において使用されるように、「各々(each)」は、セットの各々の数又はセットのサブセットの各々の数を指す。
【0068】
例示的な実施例が図において例示され、以下で説明されるが、本開示の原理は、現在既知であるか否かに関わらず、いずれかの数の技術を使用して実装され得る。本開示は、図面において例示され、上記説明された例示的な実装態様及び技術に何ら限定されるべきではない。
【0069】
他に特に述べられない限り、図面において表わされる項目は、必ずしも同一縮尺ではない。
【0070】
本明細書で記述される全ての例及び条件付き言語は、本分野を促進するための発明者によって貢献される開示及び概念を理解する際に読み手を支援するための教育的な目的を意図しており、それらに限定されないが、そのような特に記述された例及び状況であると解釈される。本開示の実施例が詳細に説明されてきたが、開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置き換え、及び改変が行われ得ることを理解されるべきである。
【0071】
特定の利点が上に列挙されてきたが、様々な実施例は、列挙された利点の一部を含み得、列挙された利点を含み得ず、又は列挙された利点の全てを含み得る。加えて、他の技術的利点は、先述の図及び説明をレビューした後に当業者にとって容易に明らかになり得る。
【0072】
以下に添付される請求項を解釈する際に本出願に関して発行されるいずれかの特許の特許庁及びいずれかの読み手を補助するために、用語「means for」又は「step for」が特定の請求項において明確に使用されない限り、出願人は、35 U.S.C.Section 112(f)を発動するように、添付の請求項又は請求する要素のいずれかをそれらが意図することを望まない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】