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特表2024-522690ルートアナログ歯科インプラント、ならびにルートアナログ歯科インプラントを設計および製造するためのシステム、デバイス、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ルートアナログ歯科インプラント、ならびにルートアナログ歯科インプラントを設計および製造するためのシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577138
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022034388
(87)【国際公開番号】W WO2022271734
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/213,192
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/251,623
(32)【優先日】2021-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/573,606
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523466167
【氏名又は名称】アイデンティカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】サンダーソン,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バウマン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】マーフィ,コリン
(72)【発明者】
【氏名】デューケーネル,ブランドン
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA03
4C159AA17
4C159AA30
(57)【要約】
ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、歯科インプラントの根元部分のほぼ中心に位置付けられるコアを含み得る。コアは、歯科インプラントに機械的強度および/または支持を提供し得、1つまたは複数の支柱を含み得る。ルートアナログ歯科インプラントは、コアの垂直な向きの外表面の一部に位置付けられる多孔性表面をさらに含み得る。支柱は、ルートアナログ歯科インプラントに機械的強度および/または支持を提供するように構成および配置され得る。
【選択図】図14A1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルートアナログ歯科インプラントの根元部分において、前記ルートアナログ歯科インプラントの前記根元部分は、抜歯された歯根の歯槽窩内に適合するように構成され、前記根元部分は、
前記ルートアナログ歯科インプラントに機械的強度を提供するように構成されたコアであって、前記コアの中心線の曲率は、前記抜歯された歯根の中心線の曲率に従うように構成され、前記コアの前記中心線は、前記コアのほぼ垂直な向きの中心に位置付けられ、前記抜歯された歯根の前記中心線は、前記歯根のほぼ垂直な向きの中心に位置付けられる、コアと、
前記コアの一部に位置付けられる多孔性表面であって、前記多孔性表面の外部幾何形状は、前記歯槽窩内に適合するように構成される、多孔性表面と、
前記ルートアナログ歯科インプラントに機械的強度を提供するように構成された支柱であって、前記支柱は、前記コアの外表面から前記多孔性表面内へ、前記コアの長さの一部に沿って延びる、支柱と
を備える、ルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項2】
前記支柱の外表面は、前記多孔性表面の前記外部幾何形状内に適合する、請求項1に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項3】
前記多孔性表面は、複数の相互接続された重複する要素を含む、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項4】
前記多孔性表面は、複数の相互接続された重複する要素を含み、前記複数の相互接続された重複する要素のうちの少なくともいくつかは、表面粗さを含む、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項5】
前記多孔性表面は、複数の突出部を含む、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項6】
前記多孔性表面は、複数の空洞を含む、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項7】
前記多孔性表面の厚さは、前記コアの長さに沿って変化する、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項8】
前記支柱の厚さは、前記コアの長さに沿って可変である、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項9】
複数の支柱をさらに備える、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項10】
前記支柱の形状は、前記コアの中心線の曲率の形状に応答する、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項11】
前記ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、複数の支柱を含み、前記コアは、舌側側面、頬側側面、近心側面、および遠心側面を有し、さらに、前記複数の支柱のうちのより多くの支柱が、前記近心側面および前記遠心側面から延びるよりも、前記舌側側面および前記遠心側面から延びる、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項12】
前記ルートアナログ歯科インプラントが前記歯槽窩内に挿入されるとき、前記歯槽窩は変形されていない、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項13】
前記コアは、テンプレートコアを使用して設計される、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項14】
前記インプラントは、付加製造プロセスを使用して製造される、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項15】
前記コアに近接して位置付けられる冠状セクションをさらに備え、前記冠状セクションは、前記歯槽窩の堤部に係合するように構成された表面テクスチャリングを有する、請求項1または2に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項16】
抜歯された歯根の歯槽窩内に適合するように構成されたルートアナログ歯科インプラントの根元部分において、前記根元部分は、
前記ルートアナログ歯科インプラントに対して構造的支持および機械的支持を提供するように構成されたコアであって、前記コアの中心線の曲率は、前記抜歯された歯根の中心線の曲率に従うように構成され、前記コアの前記中心線は、前記コアのほぼ垂直な向きの中心に位置付けられ、前記抜歯された歯根の前記中心線は、前記歯根のほぼ垂直な向きの中心に位置付けられる、コアと、
前記コアの一部に位置付けられる多孔性表面であって、前記多孔性表面の外部幾何形状は、変形されていない歯槽窩内に適合するように構成される、多孔性表面と
を備える、ルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項17】
前記コアから前記多孔性表面内へ延びる、複数の垂直な向きの支柱をさらに備える、請求項16に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項18】
前記多孔性表面は、複数の相互接続された重複する要素を含む、請求項16または17に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項19】
前記多孔性表面は、複数の空洞を含む、請求項16または17に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項20】
多孔性表面の厚さは、円周方向に、および前記コアの前記中心線に沿って変化する、請求項16または17に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【請求項21】
前記多孔性表面の厚さは、前記コアの中心線の曲率の形状に応答する、請求項16または17に記載のルートアナログ歯科インプラントの根元部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年1月11日に出願され、「ROOT-ANALOG DENTAL IMPLANTS AND SYSTEMS,DEVICES,AND METHODS FOR DESIGNING AND MANUFACTURING SAME」と題された米国特許出願第17/573,606号、2021年6月21日に出願され、「SYSTEMS,DEVICES,AND METHODS FOR DESIGNING AND MANUFACTURING A DENTAL IMPLANT USING ADDITIVE MANUFACTURING TECHNIQUES」と題された米国仮出願第63/213,192号、および2021年10月02日に出願され、「SYSTEMS,DEVICES,AND METHODS FOR DESIGNING AND MANUFACTURING A DENTAL IMPLANT WITH AN IMPLANT CORE」と題された米国仮出願第63/251,623号の国際特許出願であり、これらの優先権を主張し、これらの出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般に、歯科の分野に関し、より詳細には、歯科インプラントの分野に関する。本発明は、歯科インプラントを設計および製造するためのコンピュータ支援設計および/または付加製造技術の使用の分野にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、従来の歯科インプラントは、最初の抜歯に続く、長期にわたる治癒段階の後に、抜歯された歯によって空けられた部位内に設置される。この治癒段階期間中に、歯の歯槽の窩(tooth alveolar socket)(以下、適宜「歯槽窩」と称する。)の骨構造は、身体によって再吸収され、抜歯の部位を覆う、骨および軟組織の層に置換される。これらの従来の歯科インプラントは、標準的な形状およびサイズで提供されるので、歯科インプラントを収容するためには、治癒した骨内に適切なサイズの孔を生み出すためにドリルが使用されなければならない(すなわち、オステオトミー)。残念ながら、歯槽窩の周りの本来の硬組織および軟組織は、このドリリングプロセス期間中に支持されず、歯肉縁の審美的な態様および機能的な態様に影響を一般に与える、骨および歯肉線の欠陥をもたらすことが多い。また、この方法論は、柔らかい髄骨内への歯科インプラントの設置を必要とし、これは、歯科インプラントと完全に一体化し(すなわち、オッセオインテグレーション)、通常の機能のために必要とされる強度および安定性を提供するには、かなりの時間を必要とする。従来の歯科インプラントの設置は、ドリルによるオステオトミー内へ歯科インプラントをねじ込むこと、または圧入することによって達成され得る。オッセオインテグレーションに続いて、永久クラウンが、取り付け可能なアバットメントを介して、歯科インプラントに対して取り付けられる。
【0004】
この方法論は、損傷を受けた歯の抜歯、オステオトミーの実行、歯科インプラントの設置、および患者に対する永久クラウンの設置の間に、長い待機および治癒時間を必要とすることがある。また、神経損傷は、必要とされるオステオトミーをドリリングすることに関連付けられる固有のリスクである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの歯科インプラントシステム、歯科インプラントデバイス、およびこれらを作製するための方法が、本明細書において説明される。これらの各々は、例えば、三次元(3D)印刷を介した付加製造の使用を採用して、これらの設計の製作を可能にし得る。
【0006】
歯科インプラントは、非外傷的に抜歯された歯/歯根の三次元スキャンを使用して設計され得る。歯科インプラントのいくつかの根元セクションの表面は、多孔性で格子状の構造を用いて設計および製作され得る。多孔性で格子状の構造は、例えば、歯科インプラント挿入を容易にするように、挿入時および/もしくは歯科インプラントの根元部分が歯槽窩内に存在する間における、歯槽窩を囲む骨に対する応力を低減するように、ならびに/または治癒後に骨と歯科インプラントとの間のより良好な係合を提供するように構成され得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書において説明されるプロセスは、抜歯された歯を置換するための複数の歯科インプラントを設計するために使用されてよく、複数の歯科インプラントの各々は、異なる特徴部を有する。次いで、歯科インプラント歯科医は、例えば、表示デバイス(例えば、コンピュータモニタ)上で歯科医に対して表示され得る、複数の仮想的に設計された歯科インプラントから適当な歯科インプラントを選択し得る。
【0008】
いくつかの場合に、歯科インプラントは、応力集中を緩和するために、および/または薬物、骨成長因子、抗生物質等の注射のためのメカニズムを提供するために、歯科インプラントの内部に位置付けられた中空内部セクションを歯科インプラントが含有するように、設計および製作され得る。中空セクションは、歯科インプラント内に完全に密閉されてもよく、または歯科インプラントの根元部分の表面と連通する孔を有してもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、開示されるルートアナログ歯科インプラントの根元部分(「ルートアナログ歯科インプラント」とも本明細書において称される)は、2つの部分において設計および製作され得る。2つの部分が接続された場合、ルートソケット(root socket)における歯科インプラントの一部は、外側へ拡張して、歯槽窩に直接係合し得、これは、ルートソケットにおける歯科インプラントの固定の提供を支援し得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、インプラントの根元部分(すなわち、歯槽窩の縁にまたは歯槽窩の縁の下方に位置付けられたインプラントの一部)は、3つのセクション、すなわち、歯が抜歯された歯槽窩の縁の近くに位置付けられた冠状セクション、歯槽窩の頂点に位置付けられた頂点セクション、および冠状セクションと頂点セクションとの間に位置付けられた骨幹部セクションを有し得る。
【0011】
時には、冠状セクションは、3Dスキャンに対して調整されたサイズおよび形状を有してもよく、その結果、例えば、頬舌方向における断面直径が例えば0.01mmから1.5mmだけ低減され、ただし、この低減は、頬側表面、舌側表面、または両方に生じ得る。いくつかの場合において、断面直径における低減は、例えば、歯槽窩幾何形状、骨形態、および/または顎内の歯の位置に応答してもよい。断面直径の目的は、細い頬側プレートまたは舌側プレートに沿った応力遮蔽を低減することであり得る。断面直径における頬舌方向の低減は、インプラントが設置されている骨の形態に依存して、インプラントの表面の周りの最大の頬舌方向の低減から、徐々に、線形に、またはより急激に、減少し得る。
【0012】
骨幹部セクションおよび頂点セクションは、インプラント根元セクションの頬側表面および/または舌側表面に沿った断面積における低減も有し得る。いくつかの場合において、頂点からおよそ1.0~3.0mmだけ低減された断面直径を有し得るインプラントの頂点セクションは、同じ拡張/低減方式には従わないかもしれないが、根元の形を模倣するように、またはあらゆる向きにおいて若干の低減を有するように設計されてもよく、それにより、設置時に、インプラントは骨に隣接して据えられ得る。
【0013】
表面または表面の一部は、例えば、据えられたインプラントのオッセオインテグレーションおよび/または安定性を促進するマクロ多孔性表面(格子、孔、ディボットなど)を生み出すために、マクロ特徴部を備えて設計され得る。この多孔性表面の奥行きは、0.25mmから2.0mmの厚さに及び得る。いくつかの場合において、マクロ特徴部の一部または全部の表面は、より小さな表面特徴部を有してもよく、より小さな表面特徴部は、例えば、インプラント設置時にインプラント根元セクションと歯槽窩の骨との間の摩擦を増加させること、および/または、オッセオインテグレーションの改善のためにインプラントの根元セクションの表面積を増加させることに役立ち得る。これらの特徴部は、小さなディボットまたは隆起したバンプもしくはエッジを含んでもよく、より小さなスケールでは、様々なレベルの表面粗さを含んでもよい。これらの特徴部のサイズは、付加製造技術の解像度に限定され得るが、サブミクロンスケールまで潜在的に低減され得る。
【0014】
いくつかの場合において、インプラントの根元セクションの骨幹部セクションおよび/または頂点セクションは、インプラントおよび/またはインプラントの根元セクションに機械的強度を提供するように構成された中央コアを有してもよく、それにより、インプラントは、そのインプラントが機能的に使用されるようになれば故障しない。コアは、機能的な使用(すなわち、咀嚼および/または咬合)からの反復的な負荷に耐えるための十分な機械的強度を有するように設計され得る。
【0015】
時には、中央コアは、中実の、ほとんど中実の、および/または密に配置された材料を有してもよく、その結果、その構造において空所を欠き、または空所がほとんどなく、それにより、材料強度が改善される。中実の、またはほとんど中実のコアのサイズ、形状、位置、および/または構成は、インプラントの形状、ならびにインプラントを囲む多孔性表面(例えば、格子)および/または根元セクションに存在する支柱の量に依存し得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、コアは、根元部分の外側表面の曲率と異なる曲率を有し得る。言いかえれば、根元部分の骨幹部セクションおよび頂点セクションの多孔性のシェルの厚さは、円周方向および/または垂直方向において変化し得る。
【0017】
時には、コアは、様々なレベルの堅牢性を有して設計および製作されてもよい。例えば、コアは、中央コアセクションにおいて堅牢性がより低い(空所が多い)、またはその逆の(すなわち、インプラントの根元セクションの外表面へ外側に放射状に広がるにつれて、コアにおける空所の数/ボリュームが増加する状態で、中央コアセクションにおける堅牢性を増加させた)、中実の円周状の「シェル」を有してもよい。
【0018】
コアの外部は、支柱またはリブなどの特徴部を含んで、インプラント根元セクションの機械的強度を改善し得る。これらの特徴部(簡潔さのために「支柱」と本明細書において称される)は、Iビーム、三角形または他の突出する特徴部を含むが、これらに限定されない、任意の適当な断面形状であってもよく、垂直な向き、水平な向き、螺旋状の向き、ジグザグまたは波状にされて、機械的強度を改善し得る。いくつかの場合において、これらの特徴部は、多孔性のシェルの外面まで、またはさらには多孔性のシェルの外面を越えて、根元セクションの多孔性のシェル/外面へ突出してもよい。突出する特徴部は、インプラント根元部分に対する、任意の所与の高さにおける機械的強度要件に依存して、根元部分の冠状セクションの最も近くで最大程度の突出を有するように設計され、頂点へ向かって突出部の高さまたはレベルがさらに下方へ減少し得る。突出部は、歯槽の解剖学的形状に従い、埋め込み時および歯槽窩内に存在する期間中に、歯槽窩の全体に係合すると共に、歯槽窩を囲む骨に対する応力を緩和し得る。
【0019】
本明細書において開示されるようなルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、コアと、多孔性表面と、1つまたは複数の支柱とを含み得る。コアは、歯科インプラントの根元部分のほぼ中心に位置付けられ得、ルートアナログ歯科インプラントに対して機械的強度および/または支持を提供するように構成され得る。コアは、歯科インプラントのほぼ垂直な向きの中心に位置付けられ得る。いくつかの実施形態において、コアの密度は、コアの水平断面にわたって可変であってもよい。
【0020】
多孔性表面は、コアの垂直な向きの外面の一部に位置付けられ得る。多孔性表面の外面は、歯根が除去された歯槽窩内に適合するように構成され得る。時には、多孔性表面は、複数の重複する要素を含んでもよく、いくつかの実施形態において、複数の重複する要素のうちの少なくともいくつかは、相互接続され、および/またはテクスチャリングされ得る。例示的なテクスチャリングは、複数のくぼみおよび/または複数の孔を含む。
【0021】
支柱は、コアの外表面から多孔性表面へ、コアの長さの一部に沿って延び得る。時折、ルートアナログ歯科インプラントは、コアの外周の周りに配置され得る複数の支柱を含んでもよい。いくつかの実施形態において、多孔性表面は、支柱を覆ってもよい。支柱は、例えば、三角形の断面、正方形の断面、湾曲した断面、六角形の断面、および/または五角形の断面を有し得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、コアと、垂直な向きの支柱と、外表面とを含み得る。コアは、歯科インプラントの根元部分のほぼ中心に位置付けられ得、歯科インプラントに対して機械的強度および/または支持を提供するように構成され得る。コアは、歯科インプラントのほぼ垂直な向きの中心に位置付けられ得、冠状セクション、頂端セクション、および冠状セクションと頂端セクションとの間に位置付けられた骨幹部セクションを含み得る。時には、コアの密度は、コアの水平断面にわたって可変であってもよい。
【0023】
1つまたは複数の垂直な向きの支柱は、コアの骨幹部セクションの外表面から、骨幹部セクションの長さの一部に沿って延び得る。垂直な向きの支柱は、例えば、三角形の断面、正方形の断面、湾曲した断面、六角形の断面、および/または五角形の断面を有し得る。
【0024】
外表面は、コアの骨幹部セクションおよび頂端セクションの一部を覆うように構成され、位置付けられ得、外表面は、抜歯された歯根の対応する骨幹部セクションおよび頂端セクションの形状に近似する、ルートアナログ歯科インプラントに対する外表面を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態において、外表面は、多孔性であってもよく、および/または、垂直な支柱を覆うようにさらに配置され、位置付けられてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、コアと、多孔性表面とを含み得る。コアは、歯科インプラントの根元部分のほぼ中心に位置付けられ得、ルートアナログ歯科インプラントに対して機械的強度および/または支持を提供し得、歯科インプラントのほぼ垂直な向きの中心に位置付けられ得る。
【0026】
多孔性表面は、コアの垂直な向きの外表面の一部に位置付けられ得、歯根が除去された歯槽窩内に適合するように構成され得る。多孔性表面は、複数の重複する要素を含んでもよく、複数の重複する要素のうちのいくつかは、相互接続され、および/またはテクスチャリングされ得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、抜歯された歯根の歯槽窩内に適合するように構成され得る。時には、歯槽窩は、歯槽窩へのルートアナログインプラントの根元部分の挿入に先立って、変形されないことがある(例えば、オステオトミーが行われない)。ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、例えば、付加製造プロセスを介して製造されてもよく、その結果、例えば、ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、単一ユニットとして構築される。いくつかの実施形態において、根元部分は、歯槽窩の堤部に係合するように構成された表面テクスチャリング(例えば、溝)を任意選択で有し得る冠状セクションを含んでもよい。時には、ルートアナログ歯科インプラントは、患者の歯肉内であるが、歯肉頂部または歯肉線の下方に収まるように構成された経歯肉セクションも含み得る。ルートアナログ歯科インプラントは、その上に位置付けられるクラウンと協働するように構成されたアバットメントも含み得る。
【0028】
本明細書において開示されるルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、コアと、多孔性表面と、支柱とを含み得る。コアは、ルートアナログ歯科インプラントに対して機械的強度および/または支持を提供するように構成され得、コアの中心線の曲率は、抜歯された歯根の中心線の曲率に従うように構成され得、その結果、例えば、ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、歯槽窩から抜歯された歯と同様の様式で歯槽窩内へ適合し得る。いくつかの場合において、例えば、コアの断面積が、根元セクションの冠状セクションの近くでより大きくなり、根元セクションの頂点の近くでより小さくなるように、コアの断面積は、コアの中心線に沿って可変である。
【0029】
多孔性表面は、コアの一部(例えば、骨幹部セクションおよび/または頂端セクション)に位置付けられ得、多孔性表面の外表面は、歯槽窩内に適合するように構成され、サイズ設定され、形状化される。多孔性表面の空隙率は、歯槽窩内へのルートアナログ歯科インプラントの根元部分のオッセオインテグレーションを促進するように構成され得る。いくつかの場合において、多孔性表面は、その内部での骨成長を許容するように構成された複数の空洞を含んでもよい。時には、多孔性表面は、複数の重複する要素を含んでもよく、いくつかの場合において、これらの重複する要素は、相互接続され、および/またはテクスチャリングされ得る。いくつかの実施形態において、多孔性表面は、支柱を覆う。いくつかの実施形態において、例えば、多孔性表面が、根元セクションの冠状セクションの近くでより厚くなり、根元セクションの頂点の近くでより薄くなるように、多孔性表面の厚さは、コアの長さに沿って変わり得る。
【0030】
支柱は、ルートアナログ歯科インプラントに対して機械的強度および/または機械的支持を提供するように構成され得、コアの外表面から多孔性表面へ、コアの長さの一部に沿って延び得る。いくつかの実施形態において、根元セクションは、コアの外周の周りに配置される複数の支柱を含んでもよい。支柱は、不規則な断面、湾曲した断面、三角形の断面、正方形の断面、湾曲した断面、六角形の断面、および五角形の断面を含むが、これらに限定されない、任意の形状を有し得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、抜歯された歯根の歯槽窩内に適合するように構成され得る。時には、歯槽窩は、歯根の抜歯に続いて変形されないことがある。根元部分は、コアと、多孔性表面と、1つまたは複数の支柱とを含み得る。コアは、ルートアナログ歯科インプラントに対して機械的強度を提供するように構成され得る。コアの中心線の曲率は、抜歯された歯根の中心線の曲率に従うように構成され得る。コアの中心線は、コアのほぼ垂直な向きの中心に位置付けられ得、抜歯された歯根の中心線は、歯根のほぼ垂直な向きの中心に位置付けられ得る。いくつかの場合において、コアは、テンプレート、または予め設計されたコア、および/またはコアの基礎設計を使用して、設計され得る。
【0032】
多孔性表面は、コアの一部に位置付けられ得、多孔性表面の形状および/または外部幾何形状は、歯槽窩内に適合するように構成され得る。時には、多孔性表面は、複数の相互接続された重複する要素を含んでもよい。いくつかの状況において、多孔性表面は、複数の相互接続された重複する要素を含んでもよく、複数の相互接続された重複する要素のうちのいくつかは、表面粗さおよび/またはテクスチャを有する。いくつかの実施形態において、多孔性表面は、複数の突出部および/または空洞を含んでもよい。時には、多孔性表面の厚さは、コアの長さに沿って変化してもよい。いくつかの実施形態において、多孔性表面の厚さは、コアの中心線の曲率の形状に応答してもよい。
【0033】
1つまたは複数の支柱は、ルートアナログ歯科インプラントに対して機械的強度を提供するように構成され得る。支柱は、コアの外表面から多孔性表面へ、コアの長さの一部に沿って延び得る。時には、支柱の外表面は、多孔性表面の外部幾何形状内に適合する。いくつかの状況において、例えば、支柱が、ルートアナログ歯科インプラントの冠状部分の近くでより厚くなるように、支柱の厚さおよび/または幅は、コアの長さに沿った可変であってもよい。いくつかの実施形態において、支柱の形状は、コアの中心線の曲率の形状に応答してもよい。付加的に、または代替的に、いくつかの実施形態において、ルートアナログ歯科インプラントの根元部分は、複数の支柱を含んでもよく、コアは、舌側側面、頬側側面、近心側面、および遠心側面を有し得る。これらの実施形態においては、支柱のうちのより多くが、近心側面および/または遠心側面から延びるよりも、舌側側面および/または唇側側面から延び得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、根元部分は、コアに近接して位置付けられた冠状セクションをさらに含んでもよく、いくつかの状況において、冠状セクションは、表面テクスチャリング(例えば、突部、空洞、および/または粗さ)を有してもよい。
【0035】
本発明およびその実施形態は、添付の図面の図において、限定ではなく、例として例示される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】本発明のいくつかの実施形態に合致する、付加製造技術を使用して歯科インプラントを設計および製造するために使用され得るシステムのブロック図である。
図1B】本発明のいくつかの実施形態に合致する、本明細書において開示されるプロセスのためのデータを記憶し、および/または命令を実行し得る例示的なプロセッサベースのシステムのブロック図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、患者の下顎内の歯の根元を示す、患者の下顎のX線画像である。
図3A】本発明のいくつかの実施形態に合致する、歯科インプラントを設計するためのプロセスを例示するフローチャートの第1の部分を提供する図である。
図3B】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図3Aの歯科インプラントを設計するためのプロセスを例示するフローチャートの第2の部分、または続き、を提供する図である。
図4A】本発明のいくつかの実施形態に合致する、歯槽窩から抜歯されるべき歯の側面図である。
図4B】本発明のいくつかの実施形態に合致する、歯槽窩から抜歯されたばかりの、図4Aの歯の側面図であり、歯槽窩の空洞、または空所を示す図である。
図5A1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、抜歯された歯の第1のモデルの近心/遠心図である。
図5A2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図5A1の抜歯された歯の第1のモデルの頬側/舌側図である。
図5B1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図5A1の第1のモデルの近心/遠心図測定値を提供する図である。
図5B2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第1のモデル上に重ねられた頬側線および舌側角度線を表す注釈付きの、図5A1の第1のモデルの頬側/舌側図である。
図5B3】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第1のモデル上に重ねられたモデル化された歯の全長、モデル化された根元長さ、およびモデル化された近心/遠心幅を表す注釈付きの、図5A1の第1のモデルの近心/遠心図である。
図5B4】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第1のモデル上に重ねられたモデル化された頬側/舌側幅を表す注釈付きの、図5A1の第1のモデルの頬側/舌側図である。
図5C1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第2のモデルの例示を提供する図である。
図5C2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第3のモデルの例示を提供する図である。
図5D1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第4のモデルの近心/遠心側面図である。
図5D2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図5C2の第3のモデル上に重ねられた、図5D1の第4のモデルの頬側/舌側側面図である。
図5D3】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図5D1の第4のモデルの断面の不規則な形状を示す図である。
図5E1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第4のモデル上に重ねられた第5のモデル507の頬側/舌側側面図である。
図5E2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第4のモデル上に重ねられた第5のモデルの断面を提供する図である。
図6A】本発明のいくつかの実施形態に合致する、例示的なコアベース構造の側面図である。
図6B】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図6Aのコアベース構造の断面図である。
図6C】本発明のいくつかの実施形態に合致する、4本の支柱を含む別の例示的なコアベース構造の断面図である。
図6D】本発明のいくつかの実施形態に合致する、2本の支柱を含む別の例示的なコアベース構造の断面図である。
図6E】本発明のいくつかの実施形態に合致する、支柱を有しない別の例示的なコアベース構造の断面図である。
図7A】本発明のいくつかの実施形態に合致する、コアベース構造にオーバーレイされた例示的なルートアナログ歯科インプラントモデルの側面図である。
図7B】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図7Aのコアベース構造にオーバーレイされたルートアナログ歯科インプラントモデルの断面図である。
図7C】本発明のいくつかの実施形態に合致する、ルートアナログ歯科インプラントモデルの輪郭上に重ねられた、モデル化された統合されたコアの側面図である。
図7D】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図7Cのルートアナログ歯科インプラントモデルの輪郭上に重ねられた、モデル化された統合されたコアの断面図である。
図7E】本発明のいくつかの実施形態に合致する、多孔性表面を有する例示的なルートアナログ歯科インプラントモデルの側面図である。
図7F】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図7Eの例示的なルートアナログ歯科インプラントモデルの水平断面図である。
図7G】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図7Eの例示的なルートアナログ歯科インプラントモデルの垂直断面図である。
図7H】本発明のいくつかの実施形態に合致する、冠状セクションに対して追加される複数の円周溝を有する、例示的なルートアナログ歯科インプラントモデルの側面図である。
図7I】本発明のいくつかの実施形態に合致する、溝付きの冠状セクションの上方に位置付けられた経歯肉部分を含む、例示的なルートアナログ歯科インプラントモデルの側面図である。
図7J】本発明のいくつかの実施形態に合致する、アバットメントを含む、完全な歯科ルートアナログ歯科インプラントモデルの例示的なモデルの側面図である。
図8A】本明細書において説明される1つまたは複数の設計プロセスおよび/または設計プロセス特徴を使用して製作される例示的なルートアナログ歯科インプラントの近心-遠心側面図である。
図8B】本発明のいくつかの実施形態に合致する、多孔性表面がその上に位置付けられない、図8Aの例示的なルートアナログ歯科インプラントの統合されたコアの近心-遠心側面図である。
図8C】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図8Bの統合されたコアの断面図である。
図8D】本発明のいくつかの実施形態に合致する、歯槽窩内へ部分的に挿入された、図8Aのルートアナログ歯科インプラントの近心-遠心側面図である。
図8E】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図8Dの歯槽窩内へ完全に挿入された、図8Aのルートアナログ歯科インプラントの近心-遠心側面図である。
図8F】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図8Dの歯槽窩内へ完全に挿入された、図8Aのルートアナログ歯科インプラントの頬側/舌側側面図である。
図8G】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図8Fの一部の近接詳細図である。
図8H】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図8Aのルートアナログ歯科インプラントの冠状セクションおよび骨幹部/頂端セクションの近心/遠心断面図である。
図8I】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図8Aのルートアナログ歯科インプラントの冠状セクションおよび骨幹部/頂端セクションの頬側/舌側断面図である。
図8J】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図8Aのルートアナログ歯科インプラントの断面画像である。
図9A1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、例示的な湾曲した歯根の第1の湾曲した歯モデルの近心/遠心図である。
図9A2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図9A1の第1の湾曲した歯モデルの頬側/舌側図である。
図10A1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第2の湾曲した歯モデルの近心/遠心図である。
図10A2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図10A1の第2の湾曲した歯モデルの頬側/舌側図である。
図10A3】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図10A1の第2の湾曲した歯モデルの第1の断面の断面図である。
図10A4】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図10A1の第2の湾曲した歯モデルの第2の断面の断面図である。
図10A5】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図10A1の第2の湾曲した歯モデルの第3の断面の断面図である。
図10A6】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図10A1の第2の湾曲した歯モデルの第4の断面の断面図である。
図10B1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、第3の湾曲した歯モデルの近心/遠心図である。
図10B2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図10B1の第3の湾曲した歯モデルの頬側/舌側図である。
図11A】本発明のいくつかの実施形態に合致する、湾曲した頬側/舌側の中心線を有するコアベースモデルの近心-遠心図である。
図11B】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図11Aのコアベースモデルの頬側/舌側図である。
図11C】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図11Aおよび図11Bのコアモデルの第1の断面の断面図である。
図11D】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図11Aおよび図11Bのコアモデルの第2の断面の断面図である。
図11E】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図11Aおよび図11Bのコアモデルの第3の断面の断面図である。
図11F】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図11Aおよび図11Bのコアモデルの第4の断面の断面図である。
図12A1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、統合されたコアの近心/遠心図である。
図12A2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図12A1の統合されたコアの頬側/舌側図である。
図13A1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、多孔性表面を含む、完全なインプラントモデルの例示的な近心/遠心図である。
図13A2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図13A1の完全なインプラントモデルの頬側/舌側図である。
図14A1】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図13A1および図13A2の完全なインプラントモデルと、アバットメントの最上部に位置付けられたモデル化されたクラウンとを含むシステムの近心/遠心図である。
図14A2】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図14A1のシステムの近心/遠心図である。
図15A】本発明のいくつかの実施形態に合致する、本明細書において説明される1つまたは複数の設計プロセスおよび/または設計プロセス特徴を使用して製作される例示的なルートアナログ歯科インプラントの頬側/舌側側面図である。
図15B】本発明のいくつかの実施形態に合致する、図15Aの例示的なルートアナログ歯科インプラントの近心-遠心側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図面全体にわたって、同じ参照符号および文字は、特に明記しない限り、例示される実施形態の同様の特徴、要素、構成要素、または部分を指すために使用される。さらに、ここで、主題の発明が、図面を参照しつつ、詳細に説明されることになるが、説明は、例示的な実施形態に関連して行われる。変更および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような主題の発明の真の範囲および趣旨から逸脱せずに、説明される実施形態に対して行われ得ることが意図される。
【0038】
本明細書において開示されるようなルートアナログ歯科インプラントは、抜歯に先立つ歯ならびに/または抜歯された歯および/もしくは歯根の三次元スキャン、CTスキャン、口腔内スキャン、および/または他の画像を使用して設計され得る。抜歯された歯についての形状およびサイズ情報を保存するために、歯根が顎から1つの(または少数の)部分で抜歯され、当該部分が、次いで、スキャンされ、または他の方法で撮像され、抜歯された歯を置換するためのインプラントを設計するためのモデルとして使用され得るように、歯を非外傷的に抜歯することが有利であり得る。インプラント設計プロセスは、抜歯された歯根の三次元スキャンまたは他の画像および情報を、抜歯された歯と置換するための歯科インプラントの三次元モデルを設計するためのベースとして使用し得、三次元モデルは、次いで、例えば、三次元印刷などの付加製造プロセスを使用して製作され得る。一旦製造されると、本明細書において説明される1つまたは複数のプロセスを使用して設計されたルートアナログ歯科インプラントは、顎骨が顎骨自体を再形成して、空いた歯槽窩を埋めることに先立って、スキャンおよび/または撮像された歯/歯根が抜かれた、元の変形されていない歯槽窩内へ、直接挿入され得る。したがって、本明細書において説明されるルートアナログ歯科インプラントは、変形されていない歯槽窩内に据えられ得、それによって、即時インプラントのために行われ得るような、頂端オステオトミーにより歯槽窩を変形する必要性、または、空いた窩内へ骨が成長するのを待ち、後続のオステオトミーを生み出して、従来のねじもしくは圧入型の円筒形インプラントを挿入する必要性を排除する。
【0039】
歴史的に、歯科インプラントは、サブトラクティブな手段を使用して、または、最終的な所望の形状が達成されるまで材料の除去を使用して、中実の材料から製造されてきた。この方法は、ミル、旋盤もしくは他の機械または方法を使用して、材料を除去する。これらの方法は、特に大量の同一の製品が製造される場合に、有利である。しかしながら、歯科インプラントを製造するサブトラクティブな方法にとっての1つの欠点は、これらのプロセスを、カスタマイズされた、またはパーソナライズされたルートアナログ歯科インプラントを生成するために適応させることが困難であることである。なぜならば、そのようにすることは、各歯科インプラントがそれ自体の形状および仕様を有することができるように、個々のカスタマイズされたインプラントごとにサブトラクティブインプラント製作機器を再構成することを必要とすることになり、これは、機械が部分ごとに個々にセットアップされることを必要とし、したがって、各歯科インプラントのコストを増加させるからである。これらの再構成努力は、インプラントを製造するために必要な時間を増加させ、それらを製造するためのコストを増加させる。
【0040】
歯科インプラントのサブトラクティブな製造にとって別の欠点は、歯科インプラントに含まれ得る特徴の固有の制限である。例えば、歯科インプラントの内部にあり得る(例えば、歯科インプラントの表面上にはないことがある)特徴を切り出すことまたはあつらえることは困難であるので、サブトラクティブな手段によって生み出すことが困難または不可能である、望まれ得る特徴部(例えば、骨成長を促進させるための多孔性の外部、またはインプラントの耐久性および/もしくは強度を支援するための構造的特徴部)がある。
【0041】
原材料が粉末形態であり、高度に集中した熱源を使用して中実部へと融合される付加製造技術は、歯科インプラント設計が、特定の患者および/または特定の歯に対してカスタマイズされる状況において、または、サブトラクティブな製造方法を使用して達成することが困難または不可能である、歯科インプラントに対して望まれる特徴部がある場合に、サブトラクティブな製造よりも有利な製造方法となり得る、歯科インプラントを形成する代替的な手段を提供する。
【0042】
いくつかの実施形態において、本明細書において説明される歯科インプラントのうちの1つまたは複数は、挿入の後に、機械的なおよび/または構造的な強度および/または支持を歯科インプラントに対して提供するように構成された、1つまたは複数の機械的強度および/または支持機構、すなわち支柱を含んでもよく、その結果、例えば、挿入された歯科インプラントは、咀嚼および/または抜去から、挿入された歯科インプラントに対して加えられる力および/または負荷などの様々な力に耐え得る。いくつかの実施形態において、支柱は、歯科インプラント本体の軸および/または中心線から、インプラント本体の表面へ垂直に延び得る。付加的に、または代替的に、支柱は、歯科インプラント本体の中心から頂点へ向かって延び得るが、インプラント本体の表面までは延びなくてもよく、これらの実施形態において、支柱は、本明細書において説明されるような多孔性表面および/または格子構造などの歯科インプラントの別の部分によって覆われ得る。
【0043】
支柱は、例えば、根元中心線と共軸でなく、したがって、咀嚼する間にインプラントに対して加えられ得る曲げモーメントを生み出す負荷の下で、インプラントに対して強度および安定性を提供するように設計および/または構成され得る。いくつかの実施形態において、支柱設計(例えば、インプラント上の、またはインプラント内の、サイズ、形状、および位置)は、例えば、本明細書において説明されるコンピュータ支援設計ソフトウェアおよび/またはより多くのプロセスを使用して、歯科インプラントに対する強度要件および負荷要件に準拠するように構成され得る。
【0044】
いくつかの場合において、インプラント設計プロセスは、抜歯された歯、歯槽窩、および/または患者の1つまたは複数の特性に基づき得る、インプラントに対する多くの因子および/または特徴を組み込み得る。例えば、インプラントおよび/または支柱設計および/または構成は、根元形状(曲率、長さ、テーパの量等)、患者の顎のどこに歯が位置付けられたか、および/または、歯がその寿命中に被ると予想される剪断/圧縮ひずみの程度に基づき得る。インプラント設計および/または構成に組み込まれ得る他の因子は、歯槽窩内のインプラントのオッセオインテグレーションの予想されるレート、ならびに/または、骨移植が必要となり得るかどうか、および骨移植がどの程度必要となり得るかを含む。付加的に、または代替的に、インプラントおよび/または支柱設計は、1つもしくは複数の臨床医の嗜好に適応するように、および/または、科学的な証拠に基づいて、その特定の場合に対して最も適切な設計を提供するようにカスタマイズされてもよい。例えば、歯科医または口腔外科医が、作業のための特定の好ましい設計を有する場合、その嗜好は、インプラントの設計へ組み込まれ得る。別の例において、患者が、歯槽窩を囲む、壊れやすいまたは比較的薄い骨を有することを臨床医が観察した場合、こうした観察は、インプラントが歯槽窩内に適切に適合し、歯槽窩を囲む骨の一定の領域を過度にひずませないように、インプラントの設計に含まれ得る。付加的に、または代替的に、歯科医または臨床医は、ルートアナログインプラントの一部の表面テクスチャ(例えば、研磨済み、高度に研磨済み、粗い、マイクロテクスチャリング済み、粗い等)、冠状溝の形状、サイズ、および/もしくは数、アバットメントの形状、サイズ、位置、および/もしくはクラウン係合機構、ならびに/または、ルートアナログ歯科インプラントの経歯肉セクションの形状、サイズ、位置、および/もしくは表面テクスチャリングに関する可変の嗜好を有してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、支柱設計および/または構成は、例えば、抜歯された歯根の三次元スキャン、X線、歯および/もしくは歯槽窩の口腔内スキャン、ならびに/または、CTスキャンもしくはMRIスキャンなどの外部スキャン上で示されるような、例えば、抜歯された歯および/または歯根の形状および/またはサイズの分析に応答し得る。
【0046】
支柱は、任意の断面サイズ、形状、または、正方形、矩形、星形、六角形、丸型、三角形、複数の湾曲した延在部、およびIビーム形状を含むが、これらに限定されない形状の組み合わせであってもよい。いくつかの場合において、支柱のサイズおよび/または向きは、インプラント根元セクションの長さに沿って変化してもよい。例えば、支柱は、根元セクションの頂点の近くでより細くなり、冠状セクションにおける、または冠状セクションの近くにおける最大厚さへと厚さが徐々に増加してもよい。付加的に、または代替的に、寸法(例えば、厚さ、幅、または高さ)は、根元セクションの断面積が、冠状セクションから頂点セクションへ減少するにつれて、支柱の寸法が、インプラント根元の強度要件に依存してサイズを変化させるように、インプラントの根元セクションの全体的なサイズに比例してもよい。
【0047】
支柱と多孔性表面との両方が、ルートアナログ歯科インプラントの設計において使用される実施形態において、支柱は、インプラントのマイクロ幾何形状を提供し得る。時には、支柱がインプラントの外表面へ延びる場合、インプラントの外表面と一致する支柱の表面は、骨成長のための表面を提供するように構成され得る、小さな表面特徴部、またはナノ表面特徴部(例えば、くぼみまたはクロスハッチング)を含み得る。時には、支柱は、マクロ幾何形状を提供してもよく、格子および/または多孔性構造は、マイクロ幾何形状を提供してもよく、付加的なさらに小さな特徴、例えば、ナノサーフェス、スパイク、および/または延在部などが、1つまたは複数の支柱ならびに/または格子および/もしくは多孔性構造の部分に対して適用され、および/または設計されてもよい。いくつかの実施形態において、インプラントのための支柱および/もしくは格子の設計は、例えば、臨床的な検討事項および/もしくは嗜好、歯のタイプ、口内の歯の位置、解剖学上のバリエーション、患者の嗜好および/もしくは特性、クラウン特性、歯の向き、ならびに/または、抜歯された歯および/もしくはインプラントを囲む歯の特徴に応答し得る。
【0048】
時には、1つまたは複数の支柱の形状、サイズ、向き、および/または構成は、例えば、抜歯された歯根および/もしくは歯が抜歯された歯槽窩の特性、ならびに/または支柱が設置されるルートアナログインプラント内の場所に応答し得る。例えば、いくつかの場合において、ルートアナログインプラントのコアの外表面の頬側および/または舌側側面に位置付けられる支柱は、インプラントコアから、および/またはコアを覆う(すなわち、浅いことがある)多孔性表面へ、比較的大きい横方向のまたは垂直な距離だけ延びて、この態様において、より大きな機械的強度を提供し得る。付加的に、または代替的に、ルートアナログ歯科インプラントのコアの近心および/または遠心側面に位置付けられる支柱は、この態様における曲げモーメントが比較的より小さいので、コアの外表面から比較的小さい横方向のまたは垂直な距離だけ延びてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、支柱は、ルートアナログ歯科インプラントのコアの円周の周りに等距離で位置付けられ得る。代替として、支柱は、ルートアナログ歯科インプラントのコアの円周の周りに不規則な手法で位置付けられてもよい。これらの場合において、1つまたは複数の支柱の位置付けは、例えば、歯根の特性および/またはルートアナログ歯科インプラント特性に応答し得る。例えば、ルートアナログ歯科インプラントの近心および/または遠心側面よりも、頬側および/または舌側側面に、より多くの支柱が位置付けられてもよい。なぜならば、ルートアナログ歯科インプラントの頬側および/または舌側側面は、機能するインプラントに与えられる負荷に対して、より大きな機械的耐性を必要とするからである。ルートアナログ歯科インプラントの頬側および/または舌側側面に、より多くの支柱を位置付けることは、インプラントに機械的強度を提供すること、ならびに/またはルートアナログ歯科インプラントの比較的より広い頬側および/もしくは舌側側面に沿った力の分散を支援し得る。
【0050】
多くの場合、歯科インプラントの主要な要件は、予想される最大負荷(引張強度/圧縮強度/剪断強度)または経時的な反復負荷(疲労)の下で、歯科インプラントが機械的な障害を起こさないことを確実にするために、咀嚼によって歯科インプラントに対して与えられる力に、歯科インプラントが耐えなければならないことである。これは、歯科インプラントの期待寿命にわたって反復される咀嚼の周期的な力だけでなく、一回の咀嚼からの最大咬合力も含む。典型的には、歯科インプラントの製造業者は、数百万回の周期にわたる平均的な力および最大の力に基づいて、歯科インプラントが破損しない最大咬合力と、反復負荷との両方に耐えられることを確実にするために、自社製品を試験する。
【0051】
歯科インプラントに対して与えられる負荷は、歯科インプラントの根元部分の最上部またはその近く(例えば、冠状セクションに対応する歯科インプラントの部分)において最大となり、歯科インプラントの根元部分もしくは頂点またはその近くにおいて最小となる傾向がある。このような理由で、歯科インプラントの頂点またはその近くにおける材料を除去する機会がある。なぜならば、その材料は、歯科インプラントの機能または性能に貢献しないからである。
【0052】
ここで図を参照すると、図1Aは、3Dレーザ印刷などの付加製造技術を使用して、歯科インプラントを設計および製造するために使用され得るシステム100のブロック図である。システム100は、臨床医デバイス110、1つまたは複数の撮像デバイス115、通信ネットワーク120、コンピュータ/プロセッサ/メモリ125、歯科インプラント製作ツール130、および/または三次元スキャナー135を含み得る。通信ネットワーク120は、システム100の2つ以上の構成要素間の通信を支援するように構成された任意のネットワークであり得る。例示的な通信ネットワーク120は、インターネットを含む。
【0053】
臨床医デバイス110は、任意のデバイス、例えば、コンピュータ、タブレットコンピュータ、および/またはスマートフォンなどであってもよく、これは、システム100の1つまたは複数のデバイスと通信するように構成された、臨床医のオフィス(例えば、歯科医のオフィス)内に存在する。臨床医デバイス110は、患者情報および/または抜歯情報を、例えば、コンピュータ/プロセッサ/メモリ125へ通信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、臨床医デバイス110は、例えば、患者の口、顎、および/または歯の1つまたは複数の画像、例えばX線またはスキャンなどに関する情報を見るために、または得るために、撮像デバイス115と通信し得る。いくつかの場合において、撮像デバイス115は、臨床医のオフィス内にあってもよい。付加的に、または代替的に、撮像デバイス115は、別個の施設(例えば、病院または医療クリニック)内に存在してもよい。例示的な撮像デバイス115は、X線機械、口腔内スキャナー、およびCTスキャンデバイスを含むが、これらに限定されない。
【0054】
コンピュータ/プロセッサ/メモリ125は、例えば、本明細書において開示される方法のうちの1つまたは複数に従って、付加製造を使用して歯科インプラントを設計するように構成され得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ/プロセッサ/メモリ125は、例えば、通信ネットワーク120を介して、図1Bに示され、以下に説明されるようなプロセッサベースのシステム102と通信し得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ/プロセッサ/メモリ125は、有線接続および/または無線接続(例えば、通信ネットワーク120)を介して互いと通信する複数個のハードウェアに分散され、および/または存在し得る。いくつかの実施形態において、コンピュータ/プロセッサ/メモリ125は、例えば、人工知能および/または機械学習を使用して、1つまたは複数の動作を実行することが可能な深層ニューラルネットワークとして構成されてもよい。
【0055】
三次元スキャナー135は、抜歯された歯根を三次元でスキャンし、通信ネットワーク120を介して臨床医デバイス110および/またはコンピュータ/プロセッサ/メモリ125へ三次元スキャンを通信するように構成され得る。
【0056】
歯科インプラント製作ツール130は、本明細書において開示される歯科インプラントおよび/または歯科インプラント構成要素のうちの1つまたは複数の製作のための命令を受け取るように構成され得る。歯科インプラント製作ツール130は、例えば、3Dプリンター、コンピュータ支援製造(CAM)モジュール、および/またはミリングマシンであってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、システム100の全ての構成要素が同じ場所に存在しなくてもよい。例えば、三次元スキャナー135は、歯科医のオフィス内に存在してもよく、抜歯された歯根の三次元スキャンを、通信ネットワーク120を介してシステム100の他の構成要素へ通信し得る。
【0058】
図1Bは、本明細書において説明されるプロセスのうちの1つまたは複数についての命令を記憶および/または実行し得るプロセッサベースのシステム102の一例を提供する。プロセッサベースのシステム102は、例えば、臨床医デバイス110および/またはコンピュータ/プロセッサ/メモリ125内に存在し得る。本発明の実施形態に従って採用され得る様々なプロセッサベースのシステムの全てが、システム102の特徴の全てを有するわけではないことに留意されたい。例えば、一定のプロセッサベースのシステムは、そのプロセッサベースのシステムに通信可能に結合されたクライアントコンピュータによって表示機能が提供され得るので、または表示機能が不要なこともあるので、ディスプレイを含まなくてもよい。そのような詳細は、本発明にとって重要ではない。
【0059】
システム102は、情報を通信するためのバス103または他の通信機構と、情報を処理するための、バス103に結合されたプロセッサ104とを含む。システム102は、情報と、プロセッサ104によって実行されるべき命令とを記憶するための、バス103に結合されたメインメモリ106、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスなども含む。メインメモリ106は、プロセッサ104によって実行されるべき命令の実行期間中に、一時変数または他の中間情報を記憶するためにも使用され得る。システム102は、プロセッサ104のための静的情報および命令を記憶するための、バス103に結合された読み出し専用メモリ(ROM)108または他の静的記憶デバイスをさらに含む。プロセッサ104が読み出すことができるハードディスク、フラッシュメモリベースの記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体(例えば、ブルーレイディスク(登録商標)、デジタル多用途ディスク(DVD)-ROM)、または任意の他の記憶媒体のうちの1つまたは複数であり得る、記憶デバイス111が提供され、情報および命令(例えば、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等)を記憶するためにバス102に結合される。
【0060】
システム102は、ユーザに対して情報を表示するために、バス103を介してフラットパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合され得る。英数字キーおよび他のキーを含むキーボードなどの入力デバイス114は、情報およびコマンド選択をプロセッサ104へ通信するために、バス103に結合され得る。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ104へ通信するための、およびディスプレイ112上でのカーソル移動を制御するためのカーソル制御デバイス116、例えば、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどである。他のユーザインターフェースデバイス、例えば、マイクロフォン、スピーカなどは、詳細に図示されていないが、ユーザ入力の受け取りおよび/または出力の提示に関与し得る。
【0061】
本明細書において言及されるプロセスは、メインメモリ106に記憶されるプロセッサ可読命令の適当なシーケンスを実行するプロセッサ104によって実装され得る。そのような命令は、記憶デバイス111などの別のプロセッサ可読媒体からメインメモリ106に読み込まれ得、メインメモリ106に含有される命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に、関連付けられたアクションを行わせる。代替的な実施形態において、ハードワイヤード回路構成またはファームウェア制御される処理ユニット(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ)が、プロセッサ104およびその関連付けられたコンピュータソフトウェア命令の代わりに、またはこれらと組み合わせて使用されて、本発明を実装してもよい。プロセッサ可読命令は、任意のコンピュータ言語においてレンダリングされ得る。
【0062】
システム102は、バス103に結合された通信インターフェース118も含み得る。通信インターフェース118は、コンピュータネットワークとの双方向データ通信チャネルを提供し得、これは、上記に論じられたプラズマ処理システムへの接続性を提供する。例えば、通信インターフェース118は、互換性のあるLANにデータ通信接続を提供するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよく、これ自体が、他のコンピュータシステムに通信可能に結合される。そのような通信パスの正確な詳細は、本発明にとって重要ではない。重要なことは、システム102が、通信インターフェース218を通じてメッセージおよびデータを送ることおよび受け取ることができ、そのようにして、他のコントローラ等と通信することができるということである。
【0063】
図2は、本発明のいくつかの実施形態に合致する、患者の下顎内の歯の根元を示す、患者の下顎のX線画像200である。特に、X線画像200は、下顎輪郭の前方、または頂点に位置付けられた第2の歯202よりも、第1の歯201の近心側面および遠心側面において、近心-遠心距離幅がより大きい状態で、患者の顎内の歯根間の変化する近心-遠心幅を示す。
【0064】
図3Aおよび図3Bは、歯科インプラントを設計するためのプロセス300を例示するフローチャートを提供する。プロセス300は、例えば、プロセッサ(例えば、コンピュータ/プロセッサ/メモリ125および/またはプロセッサ104)と通信するメモリ(例えば、メモリ106)に記憶された命令のセットを実行するプロセッサまたはコンピュータによって、実行され得る。いくつかの実施形態において、プロセス300は、プロセス300またはその一部を実行するように構成された、1つまたは複数の特別に設計されたソフトウェアパッケージおよび/または独自のソフトウェアパッケージを使用して、実行され得る。いくつかの場合において、300の1つまたは複数のステップは、機械学習プロセスの実行を介して、例えば複数の抜歯された歯根からのデータを分析した機械学習プロセスを介して開発されたアルゴリズムの適用を介して、または、プロセス300の1つもしくは複数のステップを実行するように構成された深層ニューラルネットワークに情報を入力することを介して、自動的に実行され得る。時には、プロセス300の1つまたは複数のステップは、分散コンピューティングネットワーク、および/または、歯科インプラント設計専門家とインターフェースするローカルコンピュータを介して、実行されてもよい。付加的に、または代替的に、いくつかの実施形態において、プロセス300の1つまたは複数のステップは、コンピュータ支援描画ソフトウェアプログラムを使用して、実行されてもよい。図4A図4B、および図5A図5Gは、抜歯された歯を描く一連の図面と、プロセス300のような歯科インプラント設計プロセスの実行期間中に発生し得るような、歯科インプラントのモデルに対する一連の反復とを提供し、プロセス300の例示的な関連するステップに関して以下に論じられることになる。
【0065】
ステップ305において、抜歯された歯、抜歯された歯根、および/または歯が抜歯された患者に関する情報が、例えば、プロセッサベースのシステムによって受け取られ得、プロセッサベースのシステムは、いくつかの実施形態において、コンピュータ/プロセッサ/メモリ125などのコンピュータ支援設計(CAD)モジュールを組み込むように構成されたプロセッサを含み得る。多くの場合において、ステップ305において受け取られる情報は、抜歯された歯根、抜歯された歯根の破片、および/または歯が抜歯された歯槽窩の、1つまたは複数の二次元または三次元の画像および/またはスキャンを含む。この情報は、例えば、口腔内スキャナー、X線画像、CTスキャン画像、三次元スキャナー135のような三次元スキャナー、および/または、臨床医デバイス110のような臨床医デバイスから/を介して、受け取られ得る。付加的に、または代替的に、ステップ305において受け取られる情報は、抜歯前または抜歯後の、患者、歯および/もしくは歯根のスキャン、ならびに/または、対象となる歯/歯根および隣接する歯および/もしくは対向する歯列のスキャンであってもよい。これらのスキャンは、例えば、CTスキャン、X線、および/または口腔内スキャンであり得る。付加的に、または代替的に、ステップ305において受け取られる情報は、1つまたは複数の患者特性、例えば、性別、年齢、骨の健康状態、期待される治癒率、骨の厚さ、骨の密度、および/または審美的な検討事項などであってもよい。
【0066】
任意選択で、いくつかの実施形態において、1つまたは複数の患者特性(例えば、年齢、性別、骨の質、骨の寸法、骨の密度、一般的な健康状態、および/もしくは、患者の免疫力が低下しているかどうか)、ならびに/または、臨床医の嗜好(例えば、オクルージョン、および/もしくは、機能的な要件、審美的な要件、および/もしくは補綴的な要件)が、ステップ305において受け取られてもよい。これらの特性および/または嗜好は、プロセス300のルートアナログ歯科インプラントモデルおよび/またはその特徴部を設計するために使用され得る。患者の特性に関する一例において、患者が比較的低い骨の密度、厚さ、および/または品質を有する場合、インプラントは、歯槽窩の頬側および/または舌側側面に対して比較的最小限の力を加えるように設計され得る。別の例において、患者が比較的若い場合、インプラントは、長年にわたってインプラントに対して加えられる咀嚼負荷に耐えるために、機械的強度および/または支持および/または支柱が強化されて、寿命が最大になるように設計され得る。
【0067】
ステップ305において受け取られ得る臨床医の嗜好は、例えば、インプラントの挿入についての臨床医の嗜好、ならびに/または、インプラントの設計、機能、動作、耐久性、および/もしくは審美性についての嗜好に適応し得るインプラントを設計するために使用され得る。付加的に、または代替的に、臨床医の嗜好は、最終的な歯根インプラントの形状および/または設計についての嗜好を含んでもよい。いくつかの実施形態において、患者に関する臨床医および/もしくは歯科医からの情報、ならびに/または臨床医の嗜好は、例えば、インプラントについての処方の一部として、ステップ305において受け取られ得る。処方は、例えば、患者のための審美的な要件および/またはインプラントの設計についての臨床医の嗜好も含んでもよく、そのいくつかの例が、以下のプロセス300の論考において提供される。
【0068】
図4Aは、歯槽窩425から抜歯されるべき歯400の例示を提供する。歯400は、クラウン405と、根元410と、歯400の歯槽窩425の縁または堤部と一致する、歯上の位置を示す根元マーク415とを含む。根元マーク415は、根元410からのクラウン405の境界を描く。図4Aは、患者の顎骨420の上方に位置付けられた歯肉上部エッジ(マージン)412が、歯槽窩425の壁に近接した状態で、患者の口内の歯肉層422内に歯400がどのように適合しているかも示す。図4Bは、歯槽窩425から抜歯されている歯400を示しており、歯槽窩425の空洞、または空所を示す。
【0069】
次に、ステップ310において、抜歯された歯根の第1のモデルが、生成され得る。第1のモデルは、ステップ305において受け取られたデータを使用して生成される、抜歯された歯(例えば、抜歯された歯400)の二次元または三次元レンダリングであってもよく、抜歯された歯根のサイズ、形状、および/または寸法と緊密にまたは正確に一致し得る。いくつかの実施形態において、ステップ310の実行は、抜歯された歯のクラウンおよび根元に関する、ステップ305において受け取られた三次元画像および/またはスキャンの一部を決定することを含み得る。この決定は、第1のモデル上の根元マーク415のような根元マークの位置の分析を介して行われ得、その結果、第1の側(例えば、顎骨から離れて、患者の口内へ延びる歯の側)に位置付けられる、抜歯された歯の一部が、歯冠(例えば、クラウン405)であると決定され、第2の側(例えば、顎骨内へ延びる歯の側)に位置付けられる、抜歯された歯の一部が、歯根(例えば、根元410)であると決定される。
【0070】
図5A1は、歯400の第1のモデル501の近心/遠心図を提供し、図5A2は、歯400の第1のモデル501の頬側/舌側図を提供し、歯400の第1のモデル501は、例えばステップ305において受け取られ得る、抜歯された歯400の三次元スキャン、抜歯された歯400のCTスキャン、抜歯された歯400の口腔内スキャン、および/または抜歯された歯400のX線画像を例えば使用して、ステップ310において生成され得る。第1のモデル501は、変形されていない歯400の二次元または三次元レンダリングであり得る(すなわち、歯400の輪郭、寸法、および/または形状を複製したモデルである)。第1のモデル501は、根元マーク415の位置に対応するモデル化された根元マーク511と、根元マーク511を第1のモデル501の円周の周りに延ばした根元線513と、歯肉上部エッジ412に対応し得るモデル化された歯肉上部エッジ512と、歯肉層422に対応し得る歯肉層522とを含む。図5Aの実施形態において、根元線513は、第1のモデル501の円周を横切る根元線を示す破線により、(図における向きで)左側および右側へ延ばされている。
【0071】
任意選択で、ステップ312において、抜歯された歯根がインプラント設計プロセス300に対して適切かどうか、および/または互換性を有するかどうかを決定するための予備設計チェックが行われてもよい。いくつかの実施形態において、ステップ312は、抜歯された歯根の第1のモデルと、1つまたは複数の予め生成されたおよび/もしくはテンプレートのインプラント設計、ならびに/または、プロセス300を使用して設計されたインプラントに対する設計エンベロープとを比較して、抜歯された歯を置換するためのインプラントを設計するパラメータが、プロセス300を使用して設計されるインプラントに対して必要とされる設計パラメータと互換性を有する(例えば、設計パラメータ内に適合する)かどうかを確かめることによって実行され得る。設計エンベロープパラメータは、例えば、1つまたは複数の方向(例えば、近心側、遠心側、頬側、および/または舌側)における、歯根の長さ、幅、円周、形状、および/または角度を含んでもよい。
【0072】
図5B1図5B4は、プロセス300の実行全体にわたって使用され得る、および/またはステップ312において行われる予備設計チェックへ組み込まれ得る、第1のモデルの様々な測定値についての注釈を提供する、第1のモデル501の近心/遠心図および頬側/舌側図を提供する。例えば、図5B1は、第1のモデル501上に重ねられた近心角度線590および遠心角度線591を表す注釈付きの、第1のモデル501の近心/遠心図を提供する。近心角度線590および遠心角度線591は各々、それぞれ第1のモデル501の近心側または遠心側の外部エッジに最もよく適合する単一の線であり得る。いくつかの実施形態において、近心角度線590および/または遠心角度線591は、歯根の頂点から1.5から2mmの点を通って、歯の輪郭の堤部(例えば、クラウンの最上部)における1つまたは複数の点間に引かれた線であって、抜歯された歯のそれぞれの近心側または遠心側とアラインされた線であり得る。近心角度線590および遠心角度線591は、第1のモデル501の近心側および/または遠心側との間の互いに対する角度592を確立するために使用され得る。例示的な角度592は、15~45度の例示的な範囲内に収まり得る。一旦角度592が決定されると、その角度は、プロセス300を使用して設計されるルートアナログ歯科インプラントについての設計エンベロープに対して必要とされる最小角度と比較され得る。この比較の結果は、抜歯された歯のためのルートアナログインプラントが、最低限の設計要件を満たすプロセス300を使用して設計され得るかどうかを決定するために使用され得る。
【0073】
図5B2は、第1のモデル501上に重ねられた頬側角度線593および舌側角度線594を表す注釈付きの、第1のモデル501の頬側/舌側図を提供する。頬側角度線593および舌側角度線594は各々、第1のモデル501のそれぞれ頬側または舌側の外部エッジに最もよく適合する単一の線であり得る。いくつかの実施形態において、頬側角度線593および/または舌側角度線594は、歯根の頂点から1.5から2mmの点を通って、歯の輪郭の堤部(例えば、クラウンの最上部)における1つまたは複数の点間に引かれた線であって、抜歯された歯のそれぞれの近心側または遠心側とアラインされた線であり得る。
【0074】
頬側角度線593および舌側角度線594は、第1のモデル501の頬側および/または舌側との間の互いに対する角度595を確立するために使用され得る。一旦頬側/舌側角度595が決定されると、その角度は、プロセス300を使用して設計されるルートアナログ歯科インプラントについての設計エンベロープに対して必要とされる最小角度と比較され得る。この比較の結果は、抜歯された歯のためのルートアナログインプラントが、角形成についての最低限の設計要件を満たすプロセス300を使用して設計され得るかどうかを決定するために使用され得る。例示的な角形成の最低限の設計要件は、5~40度の間である。
【0075】
図5B3は、モデル化された歯の全長596、モデル化された根元長さ597、およびモデル化された近心/遠心幅598が第1のモデル501上に重ねられた、第1のモデル501の近心/遠心図を提供する。図5B4は、モデル化された頬側/舌側幅599が第1のモデル501上に重ねられた、第1のモデル501の頬側/舌側図を提供する。頬側/舌側幅598および/または近心/遠心幅598も、クラウンの堤部において、および/または(図に示されるような)下方に位置する場所において測定され得る。モデル化された歯の全長596は、モデル化された歯根の頂点から、モデル化された歯冠の頂点への、モデル501の全長の測定値および/または計算値とし得る。モデル化された根元長さ597は、モデル化された歯根の頂点から、根元マーク511および/または根元線513への、モデル501の根元セクションの全長の測定値および/または計算値とし得る。モデル化された近心/遠心幅598は、モデル化された歯根の近心側から遠心側への、モデル501の全幅の測定値および/または計算値とし得る。モデル化された頬側/舌側幅599は、モデル化された歯根の頬側から舌側への、モデル501の全幅の測定値および/または計算値とし得る。いくつかの実施形態において、モデル化された近心/遠心幅598は、モデル化された歯根の根元マーク511および/または根元線513において、またはその近くで、測定および/または計算されてもよい。一旦、モデル化された歯の全長596、モデル化された根元長さ597、モデル化された近心/遠心幅598、および/または頬側/舌側幅599が決定されると、それぞれの各値は、プロセス300を使用して設計されるルートアナログ歯科インプラントについての設計エンベロープに対して必要とされる、それぞれのモデル化された歯の最小長さ、モデル化された最小根元長さ、モデル化された最小近心/遠心幅、および/または最小頬側/舌側幅と比較され得る。この比較の結果は、抜歯された歯のためのルートアナログインプラントが、最低限の設計要件を満たすプロセス300を使用して設計され得るかどうかを決定するために使用され得る。
【0076】
ステップ315において、ステップ310の抜歯された歯根の第1のモデルは、歯根に関しない、第1のモデルのいずれかの部分または全ての部分を除去し(すなわち、歯根の上方の歯の部分に関する、根元の上方に存在する、第1のモデルの部分を除去し)、それによって、歯根の修正されたモデルを生成するように変形され得る。いくつかの実施形態において、ステップ315の実行は、三次元モデルの形状における不規則な部分(例えば、組織片、歯面における不規則な部分、歯根のフック部等)を除去することを含んでもよく、その結果、例えば、モデルの根元部分は、設計プロセスの完了に先立って、滑らかな、またはほぼ滑らかな外表面を有する。
【0077】
ステップ320において、第2のモデルの態様、側面、および/または部分が、識別および/または決定され得る。いくつかの実施形態において、ステップ320の実行は、例えば、歯根の変形されたモデルの頬側、舌側、近心側、遠心側、冠状部分、骨幹部部分、および/または根元先端/頂端領域の識別を含み得る。
【0078】
図5C1は、第1のモデル501の変形されたバージョンである例示的な第2のモデル504の例示を提供しており、第1のモデル501の変形されたバージョンにおいて、歯400のクラウン部に対応する、三次元スキャンの部分(すなわち、根元線513の上方に位置付けられた三次元スキャンの部分)は、例えばステップ315の実行を介して除去されている。図5C1は、ステップ320の実行を介して決定および/または識別され得るような、第2のモデル504の完全な冠状セクション515’、骨幹部セクション520、および頂点セクション525も示す。図5C1の実施形態において、完全な冠状セクション515’は、根元マーク415に近接した、および/または根元マーク415に当接する、抜歯された歯根415の一部に対応し、頂点セクション525は、抜歯された歯根の頂点(すなわち、図4Aおよび図4Bの向きで歯根の底部)に対応し、骨幹部セクション520は、抜歯された歯根の中間部分に対応し、第2のモデル504の完全な冠状セクション515’と頂点セクション525との間に位置する。第2のモデル504のセクションについての例示的な寸法は、以下の通りである。完全な冠状セクション515’は、1~4mmの長さであってよく、骨幹部セクション520は、3~10mmの長さであってよく、頂点セクション525は、1.5~4mmの長さであってもよい。
【0079】
任意選択で、ステップ325において、ステップ315の歯根の第2のモデルの長さ(すなわち、歯根の底から最上部への距離)は調整されてもよく、それによって、第3のモデルを生成する。ステップ325において実行される調整は、例えば、根元線に近接した、モデルのエッジから0.15mmから0.7mmを除去することによって、歯根の変形されたモデルの高さを短縮することを例えば含む。いくつかの実施形態において、ステップ325の実行は、例えば、歯の抜歯および/または本明細書において説明されるようなルートアナログ歯科インプラントの据え付けから身体/歯槽窩が回復する場合に、自然治癒プロセスに起因する骨量減少および/または再吸収によって引き起こされ得る、歯槽窩の形状および/またはサイズにおける予想される変化(例えば、奥行きにおける減少および/または円周の拡張)を決定することを含み得る。いくつかの実施形態において、予想される変化は、例えば、歯根の抜歯の後に身体の炎症反応によって引き起こされ得る、歯槽窩の上部エッジまたは縁における骨量減少に起因し得る。歯科インプラントの根元部分のサイズおよび形状は、歯槽窩のサイズおよび/または形状における予想される変化に応答し(例えば、短縮され)得る。時には、治癒プロセスに応じた歯槽窩のサイズおよび/または形状における予想される変化を決定することは、例えば、患者特性、歯の位置付け、顎骨特性等に応答してもよい。
【0080】
図5C2は、第3のモデル505の例示を提供しており、第3のモデル505において、第3のモデル504の(図における向きで)上部部分が、歯の抜歯治癒プロセス期間中に歯槽窩425の高さにおける予想される変化に応答して除去され、その結果、完全な冠状セクション515’の高さが、例えば、0.15~0.7mmだけ低減されて、図5C2において見られるような変形された冠状セクション515(これは本明細書において「冠状セクション515」とも称され得る)が生成されている。図5C2は、第2のモデル504上にオーバーレイされた第3のモデル505の例示を提供しており、その結果、それらの間の差異(図5C2において高さの差異527として図示される)が視覚化され得る。
【0081】
ステップ330において、ステップ325の歯根の第2の(または、ステップ325が実行される場合には、第3の)モデルのサイズ、断面積、および/またはボリュームは、例えば、冠状セクション515および/または骨幹部セクション520および/または頂点セクション525の長さに沿って、冠状セクション515および/または骨幹部セクション520および/または頂点セクション525において頬側側面および/または舌側側面のエッジから0.3~0.7mmを除去することによって、例えば、ステップ325の歯根の変形されたモデルの幅を狭めることおよび/または低減することによって、ステップ325の歯根の変形されたモデルの幅および/または断面直径を低減するために、さらに変形され得、それによって、第4のモデルを生成する。いくつかの実施形態において、この調整は、例えば、モデルの長さに沿って例えば0.3~0.7mmだけ、ステップ325のモデルの頬側および/または舌側のエッジを内側へ移動させ、それによって、歯根モデルの全体的なボリューム、幅、および断面積を低減することによって行われ得る。
【0082】
付加的に、または代替的に、ステップ330の実行は、第2のモデルまたは第3のモデルの(その長さに沿った)近心側および/または遠心側の水平断面積または円周を拡張し、それによって、近心および/または遠心拡張部を生み出すことを含んでもよい。これらの実施形態において、例えば、対応するインプラント(例えば、図8D図8J図15Aおよび図15Bに関してそれぞれ以下に論じられるようなインプラント800または1500)が、歯槽窩内に存在する場合、歯槽窩の近心壁および/または遠心壁に対して適用される摩擦および/または圧縮の大きさを増加させるために、近心拡張部および/または遠心拡張部は、歯槽窩の隣接する近心および/または遠心の骨壁に当接するように、および/または押し込むように構成され得る。近心拡張部および/または遠心拡張部の外部形状または輪郭は、湾曲した断面および/または放物線状の断面を有してもよく、その結果、拡張部の頂点は、近心側面および/または遠心側面における第4のモデルの長手方向中心に、またはその近くに位置付けられる。いくつかの場合において、近心拡張部および/または遠心拡張部の形状および/またはサイズは、互いの鏡像であり得、他の場合において、サイズおよび/または形状(例えば、頂点の位置、曲率の度合い等)は、近心突部564と遠心突部566との間で変化してもよい。近心突部および/または遠心突部の幅についての例示的な寸法は、モデルの近心長さおよび/または遠心長さに沿って0.1~0.75mmである。いくつかの場合において、近心突部および/または遠心突部の幅は、長さに沿って変化してもよく、その結果、近心突部および/または遠心突部の幅は、モデルの冠状セクションにおいて0.05~0.2mm、骨幹部セクションにおいて0.02~0.3、および根元部分の頂端セクションにおいて0.01~0.35mmになる。
【0083】
図5D1は、第3のモデル505と第4のモデル506との間の差異が視覚化され得るように、第3のモデル505がその上に重ねられた状態の、近心側面526および遠心側面528を有する例示的な第4のモデル506(実線で示される)の近心/遠心側面図を提供する。第4のモデル506は、ステップ330の実行を介して生成され得、第4のモデル506の幅は、インプラントの近心根元部分および/または遠心根元部分の長さに沿って変形され、その結果、第3のモデル505の近心側面526および/または遠心側面528が、第4のモデル506を外側へ押し、それによって、近心突部564および遠心突部566を形成し、これは、第3のモデル505の対応する断面円周と比較して、増加した断面円周を有する第4のモデル506を提供し、その例は、図5D3の断面に示され、図5D3は、第3のモデル505の断面の不規則な形状を示す。近心突部564および/または遠心突部566の形状(例えば、幅、ボリューム、または断面積)は、それぞれの近心側面526および遠心側面528の長さに沿って変化し得る。近心突部564の例示的な近心幅565および/または遠心突部566の例示的な遠心幅567は、例えば、インプラントの根元セクションの長さに沿って0.1mm~3mm変化し得る。
【0084】
図5D2は、第3のモデル505(破線で示される)上に頬側側面572および舌側側面574が重ねられた第4のモデル506(実線で示される)の頬側/舌側側面図を提供しており、その結果、それらの間の差異が視覚化され得る。上記で解説されたように、第4のモデル506は、ステップ330の実行を介して生成され得、その結果、第4のモデル506の幅がその長さに沿って変形され、その結果、第3のモデル505の対応する頬側側面および舌側側面と比較して、第4のモデル506の頬側側面および舌側側面が凹んでおり、または内側へ押されており、それによって、第4のモデル506についての凹んだ頬側側面526および凹んだ舌側側面529を生み出す。凹んだ頬側側面526および凹んだ舌側側面529の形状(例えば、幅、ボリューム、または断面積)は、それぞれの舌側側面574および頬側側面572の長さに沿って変化し得、頬側側面の凹んだ空間582の形状(すなわち、第3のモデル505の頬側側面と第4のモデル506の凹んだ頬側側面526との間の差異)および/または舌側側面の凹んだ空間531の形状(すなわち、第3のモデル505の舌側側面と第4のモデル506の凹んだ舌側側面529との間の差異)は、インプラントの根元セクションの長さに沿って、例えば、0.1mm~1.0mm変化し得る。
【0085】
図5D3は、水平軸575および垂直軸573が重ねられた、断面線A-Aに沿った、図5D1および図5D2に示される第3の(破線として示される)および第4の(実線として示される)モデル505および506の重ね合わせの断面画像を提供し、水平軸575は、近心/遠心軸に対応し、垂直軸573は、頬側/舌側軸に対応する。水平軸575および垂直軸573は、中心点において交差する。図5D3の断面は、第3のモデル505と比較した場合の、第4のモデル506の頬側側面572および舌側側面574に沿ったボリュームにおける低減を示し、頬側側面の凹んだ空間582の寸法は、第3のモデル505と第4のモデル506との間の頬側側面の形状における変化を表し、舌側側面の凹んだ空間531の寸法が、第3のモデル505と第4のモデル506との間の舌側側面の形状における変化を表す。また、図5D3の断面は、第3のモデル505と比較した場合の、第4のモデル506の近心側面526および遠心側面528に沿ったボリュームにおける増加を、それぞれ近心突部564および遠心突部566として示す。近心突部564および遠心突部566の形状は、近心突部564および遠心突部566の最大幅が、第3のモデル505および第4のモデル506の水平軸575におよそ沿って発生する状態で、水平断面に沿って変化する。
【0086】
骨幹部セクションおよび/または頂端セクションの全体的なボリュームにおける低減を有して設計される歯科インプラントは、歯槽窩に対する圧力を全体的に低減するのに、特に、ボリュームが低減された側(例えば、顔/頬側側面)に対応する歯槽窩の領域における圧力を低減するのに、有用であり得る。例えば、顎骨の骨の密度および/または骨の厚さの度合いは、近心側面および/または遠心側面において、より小さいことがあり、歯科インプラントは歯槽窩内で骨を押すので、(歯科インプラントの存在によって生み出されるような)力の長期にわたる適用は、応力遮蔽を通じて骨吸収を悪化させ得る。近心側面および/または遠心側面における歯科インプラントのボリュームの低減は、この効果を防止または緩和するのに役立ち、それによって、歯槽窩における/近接した不十分なオッセオインテグレーションおよび/または骨量減少に関連付けられるリスクを低減し得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、第4のモデル506の頬側側面および/もしくは舌側側面の凹みの度合い、ならびに/または、第4のモデル506の近心側面および遠心側面の拡張の度合い(例えば、近心突部564および/もしくは遠心突部566のサイズおよび/もしくは形状)は、例えば、抜歯された歯根のサイズ、抜歯された歯根の位置、歯が抜歯された歯槽窩の特性、患者特性、患者の嗜好、ならびに/または、臨床医の嗜好および/もしくは要件(これらの全てがステップ305において受け取られ得る)に応答し得る。例えば、患者が比較的薄い頬側壁を有する場合(例えばステップ305において受け取られ得る情報)、第3のモデルの頬側側面および/または舌側側面を、これらの側面が凹まされていたであろうよりも大きい程度(例えば、より大きな頬側壁厚を有する患者のための歯根モデルに対して適用される凹みの量)まで凹ませて、第4のモデルを生成することによって、第4のモデル506が生成され得、および/またはステップ330が実行され得、その結果、患者の歯槽窩の比較的薄い頬側側面および/または舌側側面に対して、より小さい応力が与えられる。第4のモデルを生成するために第3のモデルの頬側側面および/または舌側側面における凹みをこのように増加させることは、歯槽窩の頬側側面および/または舌側側面に対して、より小さい応力を加えるインプラントをもたし得、これは、歯槽窩内に存在する場合にインプラントによって引き起こされる骨に対する応力に起因する骨量減少を最小限にすることを支援し得、これは、薄い頬側プレートを有する患者にとって役立ち得る。この例を続けると、ステップ330の実行は、例えば、歯槽窩の近心側面および/または遠心側面の間の摩擦および/またはこれらに対する圧縮を増加させるために、第4のモデル506の近心拡張部および/または遠心拡張部のサイズおよび/または断面積を増加させることも含んでもよく、これは、特に、患者の歯槽窩の頬側側面および/または舌側側面との接触および/またはこれらに対する圧力が低減される場合に、歯槽窩内のインプラントの根元部分の保持を支援し得る。
【0088】
ステップ335において、ステップ330の変形された歯根モデルの骨幹部セクションおよび頂端セクションの外部ボリュームは、例えば、外部の多孔性の外層を適用するための空間を提供するために低減され得、それによって、第5のモデルを生成する。ステップ335の実行は、例えば、ステップ330の歯根モデルの骨幹部セクションおよび/または頂端セクションの外部エッジを、例えば0.1mmから1.0mmだけ内側へ移動することによって達成され得、その結果、ルートアナログ歯科インプラントモデルの残りの骨幹部セクションおよび頂端セクションのボリュームが、例えば3~5%だけ低減され得る。図5E1および図5E2は、ステップ335がどのように実行され得るかという例を提供する。図5E1は、冠状セクション515と組み合わされた骨幹部および頂点セクション524とを含む第5のモデル507の頬側/舌側側面図を提供する。図5E1において、組み合わされた骨幹部および頂点セクション524のサイズおよび/またはボリュームは、例えば、ステップ335の実行の結果として変形および/または低減されて、図5E1に示されるような骨幹部/頂端コア542を生み出し得る。図5E1は、多孔性表面の受け入れのために構成された多孔性表面空間544を示すために、第4のモデル506上に重ねられた第5のモデル507も示す。多孔性表面空間544の内側境界は、骨幹部/頂端コア542によって定義され、多孔性表面空間544の外側境界は、第4のモデル506の外側境界536によって定義される。多孔性表面空間544は、ステップ335の実行を介して行われる、骨幹部セクションおよび頂端セクションの外部ボリュームの低減を表し得る。図5E2は、線B-Bに沿った、図5E1に示される、第4のモデル506および第5のモデル507の重ね合わせの断面を提供し、骨幹部/頂端コア542は、図に示されるように多孔性表面空間544によって囲まれている。図5E2は、骨幹部/頂端コア542の断面形状も示しており、断面形状は、図5E2の実施形態において不規則である。コア542の不規則形状は、線B-Bに対応する位置に沿った、第1のモデル501の断面の形状に類似し得るが、それよりも小さくなり得る。
【0089】
ステップ340において、歯根コアベース構造(本明細書において「コアベース」とも称される)が、設計され得、および/または、それに関する情報がステップ305において受け取られた歯のためのコア構造を設計する際に使用するための複数の歯根コアベース構造から選択され得る。歯根コアベース構造は、抜歯された歯を置換するために使用され得る歯科インプラントについての最小限の機械的および/または構造的(例えば、剛性、耐久性、負荷要件等)強度標準に準拠するように構成され得る。いくつかの実施形態において、複数のコアベース構造が、例えば、ステップ340および/またはインプラント設計プロセス全体のより迅速な実行を促進するために、プロセス300の実行に先立って設計されてもよい。複数のコアベース構造の各々は、例えば、歯のタイプ、歯のサイズ、根元サイズ、根元形状、歯の位置、患者特性、および/または臨床医の嗜好に基づいて、異なる用途および/または異なる状況における使用のために、設計および/または構成され得る。
【0090】
多くの場合において、コアベース構造は、冠状セクションと、組み合わされた骨幹部/頂端セクションとを有し得る。冠状セクションの円周は、硬い、ほぼ平坦な、または滑らかな外表面を有し得る。コアベース構造の骨幹部セクションの外表面は、骨幹部セクションの長さの一部に沿って、その外表面から延びる、1つまたは複数の支柱または他の機械的強度および/もしくは支持機構(例えば、螺旋状の拡張部、同心の円形の、湾曲した拡張部、拡張部等)を有し得る。一旦コアベース構造が設計および/または選択されると、それは第5のモデルと統合および/またはオーバーレイされ得、それによって、歯科インプラントの根元部分の第6のモデルを生成する。
【0091】
図6Aは、例示的なコアベース構造モデル601の側面図を提供し、図6Bは、線C-Cに沿ったコアベース構造モデル601の断面図を提供する。コアベース構造モデル601は、堅い/滑らかな外表面を有する冠状セクション615と、コア中心630の外表面から延びる、6つの任意選択の支柱620A、620B、620C、620D、620E、および620F(620D、620E、および620Fは、図6Bの断面図にのみ示されている)とを含む。支柱620A、620B、620C、620D、620E、および620Fは、冠状セクション615の(図6Aの向きで)下部エッジから、コアベース構造の骨幹部セクションの一部の長さに沿って延びて、組み合わされた骨幹部/頂端セクション624のほぼ中間点に至る。コアベース構造モデル601の断面形状は、規則的であり、そこから対称的に延びる拡張部(支柱)を有する円形であるが、これは必ずしもそうである必要はない。いくつかの実施形態において、コアベース構造モデル601は、時には、抜歯された歯根の断面形状にマッピングされるように構成され得る非円形の(例えば、楕円形のまたは不規則な)断面形状を有してもよい。
【0092】
図6Cは、コアベース構造モデル602の円周の周りにほぼ等距離で配置された、4つの支柱620G、620H、620I、および620Jを含む、別の例示的なコアベース構造モデル602の断面を提供する。図6Dは、コアベース構造603の円周の周りにほぼ等距離で配置された、2つの支柱620Kおよび620Lを含む、別の例示的なコアベース構造モデル602の断面を提供する。図6Eは、楕円状の形状を有し、支柱を有しない、さらに別の例示的なコアベース構造モデル604の断面を提供する。
【0093】
一旦コアベース構造モデルが選択および/または設計されると、それは、ステップ335の第5のモデルと比較されて、例えば、第5のモデルが、コアベースによって確立された、1つまたは複数の機械的要件、構造的要件、および/またはサイズ要件内に適合するかどうかが決定され得る(ステップ342)。いくつかの実施形態において、ステップ342の実行は、モデル501、504、505、506、および/または507などの、抜歯された歯および/またはルートアナログ歯科インプラントのモデルの外表面内にコアベース構造が適合するかどうかを決定することを含み得る。第5のモデルが要件内に適合しない場合、別のコアベース構造が、第5のモデルとの比較のために選択され得(すなわち、ステップ340が反復され得)、および/または、プロセス300が終了し得る。なぜならば、インプラントは、インプラントについての機械的要件および/または構造的要件に準拠する手法で製造されることができないことがあり得るからである。第5のモデルが機械的におよび/または構造的に準拠する場合、プロセス300は、ステップ345(図3Bに示される)へ続き得る。
【0094】
ステップ342がどのように実行され得るかの視覚的な例は、図7A(側面図)および図7B(線D-Dに沿った断面図)を介して提供され、これは、ステップ340において選択および/または設計されたコアベース構造モデル601などのコアベース構造上にオーバーレイされた第5のモデル507の例を示す。図7Aに示されるように、コアベース構造モデル601の冠状セクション615は、第5のモデル507の冠状セクション515内に適合し、これは、第5のモデル507の冠状セクション515が、コアベース構造モデル601の冠状セクション615によって確立される機械的要件および/または構造的要件内に適合することを示す。コアベース構造モデル601の組み合わされた骨幹部および頂端セクション624のコア中心630も、第5のモデル507の組み合わされた骨幹部および頂端セクション524内に適合し、これは、第5のモデル507の組み合わされた骨幹部および頂端セクション524が、組み合わされた骨幹部および頂端セクション624の機械的要件および/または構造的要件に準拠することを示す。コア中心630が、組み合わされた骨幹部および頂端セクション524の境界を越えて延び、および/または、コアベース601のボリュームが、第5のモデル507の外側表面内に完全に適合しない場合、それは、プロセス300を使用して設計されたインプラントが、機械的要件および/または構造的要件を満たすのに十分に大きい/堅固なコア構造を有しないことがあり得ることを示し得る。
【0095】
また、支柱620A、620B、および620Cの外表面は、プロセス300を使用して設計されたインプラントの外表面の輪郭内に適合する。図7Aおよび図7Bに示されるように、支柱620A、620C、620D、および620Fの一部は、第5のモデル507の対応する一部の輪郭、または境界を越えて延び、図7Cおよび図7Dに関して以下に論じられるように、組み合わされた骨幹部および頂端セクション524の外部上に追加された多孔性表面へ突出し得る。
【0096】
図7Cは、第5のモデル507(破線で示される)の輪郭の上に重ねられた、統合されたコアまたは第6のモデル702の側面図を提供し、図7Dは、(線E-Eに沿った)その断面図を提供する。図7Cおよび図7Dは、骨幹部/頂点コア542からの支柱620A、620C、620D、および620Fの突出と、これらの支柱が第5のモデル507の輪郭を越えて延びない様子とを示す。支柱620Bおよび620Eは、第5のモデル507の輪郭を越えて延びず、そのため、骨幹部/頂点コア542によって覆われている。
【0097】
ステップ345において、多孔性表面は、骨幹部セクション520および/または頂点セクション525などの第6のモデルの一部の外表面に追加され得、それによって、第7のモデルを生成し、その一例が、図7Eおよび図7Fに示される。ほとんどの実施形態において、ステップ345において追加される多孔性表面の外部エッジは、第5のモデルの骨幹部セクション520および/または頂点セクション525の輪郭を越えて延びない。多孔性表面は、0~2.0mmの深さであり得、そこに1つまたは複数の孔または空間を含み得、プロセス300の実行を介して開発されたモデルを使用して製造されたインプラントが歯槽窩内へ埋め込まれた場合に、1つまたは複数の孔または空間内で、骨が成長し得る。多孔性の被覆および/または格子ネットワークについての例示的な仕様は、以下の通りである:40~85%の範囲内の空隙率、公称0~2mmまたは0.5~0.65mmの範囲内の表面厚さ、および200~600マイクロメートルの範囲内の平均孔径。
【0098】
いくつかの実施形態において、多孔性表面は、一連の重複したおよび/もしくは相互接続された構造またはストランドならびに/または材料のマトリクスもしくはメッシュであってもよい。多孔性表面構造は、例えば、付加製造、例えば、レーザを使用した3D印刷、選択的なレーザ焼結、Eビームまたは他の集中エネルギーなどを使用して、粉末状の生体適合性材料(例えば、チタンおよび/またはセラミック)を、一例として特定の固体の形態へ融合して、歯科インプラントを製造することによって達成され得、多孔性構造/格子は、多孔性構造/格子によって覆われるモデルの骨幹部セクション520および/または頂点セクション525の部分のためのベース上にオーバーレイされる。いくつかの実施形態において、多孔性表面は、ルートアナログ歯科インプラントのコアまたは内部構成要素と同時に、層ごとに製造されるように構成され得る。いくつかの場合において、多孔性表面は、均一な手法(例えば、多孔性被覆および/もしくは格子ネットワークの厚さが、全体的に均一であり得る)、または非均一な手法(例えば、多孔性表面の厚さが、全体的に均一ではないことがあり得る)で追加され得る。
【0099】
いくつかの場合において、多孔性表面の1つまたは複数の特徴(例えば、密度、格子を構成するスレッドの直径、厚さ、相互接続の度合い、重複パターン、パターン、幅、長さ等)は、例えば、歯科インプラントについての強度要件および/または適用要件に応答するように構成され得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の多孔性表面特性は、歯槽窩の骨の特性および/または抜歯された歯の特性と一致するように、および/または互換性を有するように構成され得る。例示的な骨の特性および/または歯の特性は、密度、組織タイプ、および、病気が存在するかどうかを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、多孔性表面またはその一部は、格子の外部エッジから延びる、1つまたは複数の突出部を含み得る。突出部は、歯槽窩の骨に係合し、歯槽窩内での保持を改善するように構成され得る。突出部の例示的な形状は、スパイクおよびノブを含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、多孔性表面は、オッセオインテグレーションに好都合であろう格子支柱または他の多孔性表面要素の外側表面に対して、表面テクスチャを提供するように構成され得る、小さな表面特徴部またはナノ表面特徴部(例えば、テクスチャリング、くぼみ、またはクロスハッチング)を含み得る。時には、これらの特徴は、格子全体にわたってあってもよく、他の時には、マイクロ表面テクスチャまたはナノ表面テクスチャが、インプラントの根元セクションの外表面上のみに、または外表面上へ向かって存在し得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、ステップ345の実行は、例えば、歯槽窩の開口部または最上部の寸法(例えば、直径、半径、円周、開口部内の不規則形状の位置等)を決定するために、歯槽窩(例えば、歯槽窩425)の分析および/または歯槽窩の画像を含んでもよく、その結果、寸法および/または構成が、例えば、歯槽窩の最上部における開口部のサイズおよび形状に適応するような手法で、第5のモデル507の表面への追加のために選択され得、その結果、例えば、多孔性の被覆および/または格子ネットワークを有する歯科インプラントが、歯槽窩の縁で骨を損傷せずに、歯槽窩の開口部を通過することができるようになる。
【0102】
図7Eは、例示的な第7のモデル703の側面図を提供し、例示的な第7のモデル703は、ステップ345の実行を介して生成され得、第6のモデル702の組み合わされた骨幹部/頂端セクション524/624の外表面に対して多孔性表面730が追加されて、多孔性表面により被覆された骨幹部/頂端セクション724が生成されている。いくつかの場合において、多孔性表面730は、第6のモデル702の骨幹部/頂端表面と第5のモデル507の対応する骨幹部/頂端表面との間の空間を占有し得る。多孔性表面730の外表面および/または外部幾何形状は、歯が抜歯された歯槽窩内に適合するように設計され得、その結果、多くの場合、患者の口内にインプラントを据え付けるときに、および/またはその前に、歯科医または他の臨床医によって、歯槽窩の変形なしに、例えば、第7のモデル703を使用して製造されたインプラントと歯槽窩との間の密接な適合が達成され得る。時には、多孔性表面730の外部幾何形状は、近心拡張部564および/または遠心拡張部566をさらに延ばすように設計され得、その結果、第7のモデル703に基づいたルートアナログ歯科インプラントが製造される場合、ルートアナログ歯科インプラントの多孔性表面の近心側面および/または遠心側面は、歯槽窩の対応する部分へ延び、および/または対応する部分を押し込み得る。付加的に、または代替的に、多孔性表面730の外部幾何形状は、凹んだ頬側側面526および/または凹んだ舌側側面529の凹みが維持され、その結果、多孔性表面730の頬側側面および/または舌側側面も、凹んだ頬側側面526および/または凹んだ舌側側面529と同様の手法で凹むように設計されてもよい。このようにして、ルートアナログ歯科インプラントの多孔性表面の頬側側面および/または舌側側面は、歯槽窩の対応する部分へ延びず、および/または対応する部分を押し込まなくなり得る。
【0103】
図7Fは、ルートアナログの第7のモデル703の線G-Gに沿った水平断面図を提供し、多孔性表面730が多孔性表面空間544をどのように占有するかを示す。
【0104】
図7Gは、第7のモデル703の線G-Gに沿った垂直断面図を提供し、多孔性表面730が多孔性表面空間544をどのように占有するかを示す。図7Gは、モデル515/615の冠状セクションに近接して位置付けられた、第7のモデル703の近心側面の多孔性表面730の第1の例示的な厚さ782、第7のモデル703の冠状セクション515/615と頂点との間のおよそ3分の2の、骨幹部/頂端セクションの近心側面に位置付けられた、第7のモデル703の近心側面の多孔性表面730の第2の例示的な厚さ784、第7のモデル703の頂点に位置付けた、多孔性表面730の第3の例示的な厚さ786、第7のモデル703の頂点に近接した、第7のモデル703の遠心側面の多孔性表面730の第4の例示的な厚さ788、および、第7のモデル703の冠状セクション515/615と頂点との間のおよそ3分の1の、骨幹部/頂端セクションの遠心側面に位置付けられた、多孔性表面730の第5の例示的な厚さ789も示す。
【0105】
ステップ350において、1つまたは複数の円周溝が、ステップ345の第7のモデルの冠状セクション515に対して追加され得、それによって、第8のモデルを生成し、その一例は、図7Hによって提供され、以下に論じられる。例えば、歯槽窩内における、ステップ350の実行を介して生成されたモデルを使用して製造された歯科インプラントの保持、歯槽窩内のインプラントのオッセオインテグレーション、ならびに/または、インプラントの挿入に続く、歯槽窩内への異物(例えば、液体および/もしくはバクテリア)の進入の予防を促進するために、円周溝は、歯槽窩に存在する皮質骨に係合するように構成され得る。図7Hは、複数の円周溝735が第7のモデル703の冠状セクション515に対して追加され、それによって、第8のモデル704の溝付きの冠状セクション717を生成する、例示的なルートアナログ歯科インプラントモデル704の側面図を提供する。
【0106】
ステップ355において、経歯肉部分が、第8のモデルに対して根元線に近接して追加され、それによって、第9のモデルが生成され得る。製造された歯科インプラントが、歯槽窩内に挿入されるが、歯肉線の下方/上方へ挿入される場合、経歯肉部分は、歯槽窩の縁の上方(下顎における歯の場合)または下方(上顎における歯の場合)に存在するように構成され得る。経歯肉部分の高さは、歯槽窩に近接した、患者の口の歯肉高さを超えて延びないように構成され得る。いくつかの実施形態において、経歯肉部分は、「プラットホーム切り替え」効果を可能にするように構成され得る。代替として、経歯肉部分は、抜歯された歯根の三次元画像および/またはスキャンの最上部を、例えば、1~3mmだけ円筒状に延ばし、次いで、(例えば、横向きの「v」字状の形状を生み出すために)円筒の最上部と底部との間の円筒の一部を収縮させることによって設計されてもよい。
【0107】
いくつかの場合において、インプラントの経歯肉部分の表面プロファイル設計は、例えば、プロセス300のステップ305において受け取られる入力から使用してモデル化され得る。これらの入力は、この領域における歯の表面プロファイル、歯肉マージン(歯に対する歯肉の最上部を描く円周線)、プラットホーム切り替えの存在または程度などの医師の嗜好、マージン高さ低減等を含み得る。経歯肉設計に対する医師の嗜好は、記載された嗜好、または利用可能なオプションのリストからの嗜好の選択を含み得る。
【0108】
図7Iは、溝付きの冠状セクション717の(図7Iにおける向きで)上方に位置付けられた経歯肉部分740を含む、例示的な第9のモデル705の側面図を提供する。経歯肉部分740は、根元の溝付きの冠状セクションから、指定された高さへ延び、指定された高さは、インプラント医師の嗜好、および他の患者特性、例えば、歯肉組織厚さ、患者の健康状態、年齢および歯の位置などに依存して、歯肉マージンに一致し、または若干低減され得る。経歯肉部分740は、プラットホーム切り替え効果を可能にするように構成された、例示的な円周上の「V」字形インデントまたはノッチ719も有する。
【0109】
ステップ360において、クラウンと協働するように構成されたアバットメントは、第9のモデルの経歯肉部分の最上部(下顎における歯の場合)または底部(上顎における歯の場合)に対して追加され、それによって、第10のモデルが生成され得る。いくつかの実施形態において、クラウンがアバットメントに対して確実に取り付けられ得、クラウンが患者の口内の他の歯に適合し、および/または他の歯と適当に協働するように、アバットメントのサイズおよび/または形状は、クラウンと協働するように構成され得る。時には、これは、特徴(例えば、高さ、幅、隆起部深さ、角度等)が、アバットメントの設計および/または選択に組み込まれ得るように、抜歯されるべき患者の歯および周囲の歯の術前の口腔内スキャンおよび/またはCTスキャンの使用を介して達成され得る。いくつかの場合において、アバットメントは、適当なサイズ(例えば、断面積、高さ等)の予め設計された面取り形状であってもよい。いくつかの場合において、アバットメントの高さは、歯科専門家(例えば、歯を抜歯した歯科専門家)によって提供される情報(例えば、抜歯された歯に隣接する歯の高さ、自身の歯が抜歯された患者の咀嚼習慣、歯槽窩を構成する骨の強度もしくは厚さ、および/または、患者が歯周病を有するかどうか)を使用して、選択されてもよい。付加的に、または代替的に、アバットメントの高さは、抜歯に先立つ、患者の口全体のモデル、印象、および/またはスキャンを使用して選択されてもよい。図7Jは、例示的な第10のモデル706の側面図を提供し、例示的な第10のモデル706は、アバットメント745を含む、完全な歯科ルートアナログ歯科インプラントモデル706に対応する。
【0110】
いくつかの実施形態において、ステップ350および355の経歯肉部分および/またはアバットメントは、例えば、根元線513のような根元線に対して、ある角度になるように設計され得、その結果、例えば、アバットメントに対して適合されるクラウンの向きの角度が、抜歯された歯根の向きと一致する方向、および/または患者の口内の他の歯と良好に協働する方向に向けられ得る。
【0111】
任意選択で、ステップ365において、ステップ360の第10のモデルが最終化され、それによって、歯科インプラントの最終モデルが生成され得る。ステップ365の実行は、歯科インプラントの完全なモデルを生成する(例えば、変形されたモデルを、製作用の適当なフォーマットに変換する)ための、1つまたは複数の付加的な最終化ステップの実行を含み得る。いくつかの実施形態において、ステップ365は、任意選択であってもよく、本方法は、ステップ360のモデルが最終的な歯科ルートアナログ歯科インプラントモデルとなるように、ステップ360からステップ370をスキップしてもよい。
【0112】
ステップ370において、ステップ370の第10のおよび/または最終的な歯科ルートアナログ歯科インプラントモデルの設計チェックは、歯科ルートアナログ歯科インプラントモデルが適切に設計されており、例えば、全ての歯科インプラント要件、患者要件、および/または臨床医要件を満たすかどうかを決定するために行われ得る。設計チェックの実行は、例えば、歯科インプラントの最終モデルと抜歯された歯根の元の三次元画像および/もしくはスキャンとの比較、歯科インプラントの最終モデルと歯科インプラントについての設計パラメータとの比較、ならびに/または、最終モデル歯科インプラントと、歯根が抜歯された歯槽窩の画像、三次元スキャン、および/もしくは印象との比較を含んでもよい。いくつかの実施形態において、設計チェックは、歯科インプラントが適切に機能するかどうか、例えば、オステオインテグレーションのための十分な表面積ならびに/または(例えば、耐久性および機能性のための)十分な強度を有するかどうかを決定するためのステップの実行を伴い得る。例えば、設計チェック370は、例えば、所定のルートアナログ歯科インプラント設計仕様に対して、最終モデルのパラメータを比較することを含んでもよい。例えば、設計チェック370は、最終モデルの歯根部分の表面積および/または(例えば、数学的にモデル化され得る)異なる点における歯科インプラントの強度を、指定された規制標準、例えば、政府機関(例えば、米国食品医薬品局(FDA)および/もしくは欧州医薬品庁)ならびに/または、医療および/もしくは歯科の審査組織もしくは協会(例えば、米国のアメリカ歯科医師会(ADA)および/もしくは欧州歯科公衆衛生協会(EADPH))などによって示されるものなどに対して比較することを含んでもよい。
【0113】
第10のおよび/または最終モデルが設計チェック(ステップ375)に合格しない場合、最終的な歯科ルートアナログ歯科インプラントモデルの誤差分析が実行され得、その結果、第10のおよび/または最終的な歯科ルートアナログ歯科インプラントモデルに対して調整が行われ得(ステップ380)、ステップ370が再び実行され得る。第10のおよび/または最終的な歯科ルートアナログ歯科インプラントモデルが設計チェック(ステップ375)に合格した場合、最終的な歯科ルートアナログ歯科インプラントモデルは、製造用にフォーマット化され得る(ステップ385)。いくつかの実施形態において、ステップ385の実行は、最終モデルに基づいた歯科インプラントの製造のための1つまたは複数の命令の生成も含んでもよい。いくつかの場合において、ステップ385の実行は、製造デバイス(例えば、三次元プリンター)への通信のために、最終モデルをCAMソフトウェアに変換することを含む。いくつかの実施形態において、ステップ385の実行は、材料(例えば、チタンもしくは他の生体適合性材料)に基づいて歯科インプラントを生成するための命令を受け取ること、もしくは適応すること、および/または、歯科インプラントを製造するために使用される付加製造プロセスを含んでもよい。ステップ390において、フォーマット化された第10のおよび/もしくは最終モデル、ならびに/または、第10のおよび/もしくは最終的なルートアナログ歯科インプラントモデルに基づいてルートアナログ歯科インプラントを製造するための命令が、3Dプリンターなどのインプラント製作ツールへ通信され得る。
【0114】
図8Aは、プロセス300またはその一部などの、1つまたは複数の設計プロセス、設計プロセス特徴、および/または本明細書において説明されるモデルを使用して作製されるルートアナログ歯科インプラント800の近心-遠心側面図を提供する。ルートアナログ歯科インプラント800は、アバットメント845、経歯肉セクション840、「V」字形インデントまたはノッチ819、複数の円周溝835を含む冠状セクション817、ならびに、コア842から延びる2つの支柱820Aおよび820Cを有するコア842を覆う多孔性表面830を含む骨幹部/頂端セクション824を含む。コア842および支柱820Aおよび820Cに関するさらなる詳細は、図8Bに関して以下に提供される。ルートアナログインプラント800は、例えば、金属(例えば、チタン)粉末のレーザ焼結などの付加製造プロセス(例えば、三次元印刷)を使用して作製され得る。
【0115】
図8Aの実施形態において、アバットメント845は、患者の歯槽窩の縁、または堤部の上方に延びるクラウン(図示せず)への取り付けおよびクラウンとの協働を可能にするように構成および/または製造され得る。いくつかの場合において、アバットメント845は、モデル化されたアバットメント745に対応し得る。経歯肉セクション840は、アバットメント845と冠状セクション817の水平な向きのエッジとの間に位置するように、ルートアナログ歯科インプラント800内に位置付けられ得る。経歯肉セクション840は、設計またはモデル化された経歯肉セクション740に従って製造されるように構成され得る。冠状セクション817は、経歯肉セクション840と、組み合わされた骨幹部/頂端セクション824との間に位置するように、ルートアナログ歯科インプラント800内に位置付けられ得る。冠状セクション817は、設計またはモデル化された冠状セクション717に従って製造されるように構成され得る。図8Aの実施形態において、冠状セクション817は、冠状セクション817の一部を包囲する6つの円周溝835を含んでおり、ルートアナログ歯科インプラント800の埋め込み時に、患者の歯槽窩の対応する冠状セクションとの係合を提供するように構成される。多孔性表面830は、例えば、その中へおよび/またはその上に歯槽窩からの骨が成長し得る、1つまたは複数の孔、開口部、相互接続されたおよび/または重複する構造を有するように、付加製造プロセスを介して製造されて、モデル化された多孔性表面730に関して上記に論じられたような、歯槽窩内へのルートアナログ歯科インプラント800のオッセオインテグレーションを促進し得る。
【0116】
多孔性表面830は、コア802の骨幹部/頂端824セクションならびに支柱820Aおよび820Cを覆ってもよく、これは図8Bにも示されている。図8Bは、統合されたコアの特徴部がより明確に見られ得るように、コア上に位置付けられた多孔性表面なしの、例示的なルートアナログ歯科インプラントのコア802の近心-遠心側面図を提供する。コア802は、例えば、第6のモデル702に関して上記に論じられたようなモデル化されたものに対応し得、支柱820Aおよび820Cは、本明細書において論じられるようなモデル化された支柱620Aおよび620Cに対応し得る。コア802は、多孔性表面輪郭836も示し、これは、その中におよび/またはその上に多孔性表面830が適用され得る、モデル化された多孔性表面536および多孔性表面空間844に対応し得る。多孔性表面空間844は、モデル化された多孔性表面空間544に対応し得る。
【0117】
図8Cは、図8Bに示されるようなコア802の(線H-Hに沿った)断面図を提供する。図8Cの断面は、図示されるように、コア802の骨幹部/頂端824セクションから多孔性表面空間844内へ延びる、4つの支柱820A、820C、820D、および820Fを有するコア802の円周を示す。
【0118】
いくつかの実施形態において、ルートアナログ歯科インプラント800を製造するプロセスは、例えば、まず、統合されたコア842が製造され、次いで、多孔性表面830、円周溝835、経歯肉部分840、およびアバットメント845が、製造された統合されたコア842上に追加される、2つの(またはより多くの)ステップのプロセスを伴い得る。しかしながら、ほとんどの場合において、ルートアナログ歯科インプラント800の全体は、付加製造プロセスを介して同時(すなわち、処理期間または印刷期間)に製造される。
【0119】
図8Dは、患者の顎骨420内に位置付けられた歯槽窩425内へ、歯肉層422を通って部分的に挿入されたルートアナログ歯科インプラント800の近心-遠心側面図を提供し、図8Eは、歯槽窩425内へ、歯肉層422を通って完全に挿入されたルートアナログ歯科インプラント800の近心-遠心側面図を提供し、図8Eは、歯槽窩425内へ完全に挿入されたルートアナログ歯科インプラント800の頬側/舌側側面図を提供する。ルートアナログ歯科インプラント800は、歯科医または他の臨床医によって、医師自身の両手ならびに/またはインプラント着座デバイス(例えば、超音波震動デバイスおよび/もしくは機械力伝達デバイス(例えば、マレット))を使用して、歯槽窩425内へ挿入され得る。図8Eにおいて見られ得るように、ルートアナログ歯科インプラント800は、本明細書において説明される設計プロセスに従って、近心方向および遠心方向において歯槽窩425より若干大きい。この拡張は、ルートアナログ歯科インプラント800の近心拡張部および遠心拡張部に起因しており、これらは、プロセス300の実行においてモデル化され、図5D1および図5D3に示されており、ルートアナログ歯科インプラント800を製造するために使用される命令へ変換される。図8Fは、歯槽窩425内に完全に挿入されたルートアナログ歯科インプラント800の頬側/舌側側面図を提供する。上記で説明したように、ルートアナログ歯科インプラント800は、歯槽窩435内を直接押圧しないように構成され得る。図8Gは、「A」とラベル付けされた、図8Fの一部の近接詳細図を提供する。図8Gにおいて見られ得るように、インプラント800の頬側側面は、ソケット部位425の壁に直接係合せず、または接触せず、これは、本明細書において開示されるような、例えば、図5D2および図5D3に示されるような、頬側/舌側方向におけるインプラント800の幅のモデル化された狭窄と合致する。
【0120】
図8Hは、例えば、図8Eにおいて示されるように、近心側面および遠心側面がソケット部位425内に据えられた、ルートアナログ歯科インプラント800(実線で示される)の冠状セクション817および骨幹部/頂端824セクションの近心/遠心側面の、垂直断面図を提供する。図8Hは、近心拡張部864および遠心拡張部866を含むために、ルートアナログ歯科インプラント800がどのように構成され、形状化されるかを示しており、近心拡張部864および遠心拡張部866は、本明細書において開示される、モデル化された/設計された近心突部564および遠心突部566に対応し、および/または合致し得る。近心拡張部864および遠心拡張部866は、ソケット部位425の対応する断面円周と比較して、増加した断面円周を有するルートアナログ歯科インプラント800を提供する。近心突部864および/または遠心突部866の形状(例えば、幅、ボリューム、または断面積)は、ルートアナログ歯科インプラント800のそれぞれの近心側面および遠心側面の長さに沿って変化し得る。近心突部864の例示的な近心幅865および/または遠心突部866の例示的な遠心幅867は、例えばインプラントの根元セクションの長さに沿って、0.1mm~3mm異なり得る。
【0121】
図8Iは、例えば図8Eに示されるように、頬側側面832および舌側側面829がソケット部位425内に据え付けられている、ルートアナログ歯科インプラント800(実線で示される)の冠状セクションおよび骨幹部/頂端セクションの頬側/舌側断面図を提供する。図8Iに示されるように、頬側側面832および舌側側面829は、ソケット部位425の対応する部分に直接当接せず、これは、ソケット部位425の頬側側面および/または舌側側面に対して適用される力を低減し得る。頬側側面826および舌側側面829の形状(例えば、幅、ボリューム、または断面積)は、それぞれの舌側側面および頬側側面の長さに沿って変化し得、頬側側面の凹んだ空間882(すなわち、頬側側面826とソケット部位425の頬側側面との間の差異)の形状および/または舌側側面の凹んだ空間831(すなわち、舌側側面829とソケット部位425の舌側側面との間の差異)の形状は、例えば、インプラントの根元セクションの長さに沿って、0.1mm~1.0mm異なり得る。
【0122】
図8Jは、グリッドが重ねられた、断面線A-A(図8Hに示される)に沿ったルートアナログ歯科インプラント800の断面像を提供し、ただし、水平軸875は、近心/遠心軸に対応し、垂直軸873は、頬側/舌側軸に対応する。図8Jの断面は、ルートアナログ歯科インプラント800の頬側側面および舌側側面に沿ったボリュームにおける低減を、頬側側面826および舌側側面829として示しており、頬側側面空間882の寸法は、ルートアナログ歯科インプラント800とソケット部位425との間の頬側側面の形状における変化を表し、舌側側面の凹んだ空間831の寸法は、ルートアナログ歯科インプラント800とソケット部位425との間の舌側側面の形状における変化を表す。
【0123】
いくつかの場合において、歯および/または歯根は、湾曲しており、および/または、線形でない(例えば、湾曲した)中心線、もしくは患者の顎骨に対して完全には垂直でない中心線を有し、非線形のおよび/または湾曲した歯および/または歯根と置換するためのルートアナログインプラントを設計および/または製造するためのプロセスは、プロセス300と同様であってもよく、以下に開示されるような1つまたは付加的なステップを有する。一旦そのような例示的な湾曲した歯が、第1の湾曲した歯モデル901を用いてモデル化されると、第1の湾曲した歯モデル901は、図9Aおよび図9Bに示されており、図9Aは、第1の湾曲した歯モデル901の近心/遠心図を提供し、図9A2は、第1の湾曲した歯モデル901の頬側/舌側図を提供する。第1の湾曲した歯モデル901は、例えば、上記に説明されたプロセス300のステップ305において受け取られ得る、抜歯された歯の3次元スキャン、CTスキャン、口腔内スキャンおよび/またはX線画像などの、例えば、ステップ305において受け取られる情報を使用して、例えば、ステップ310の実行を介して、生成され得る。第1の湾曲した歯モデル901は、歯が抜歯された歯槽窩の堤部が第1の湾曲した歯モデル901上のどこに位置付けられるかを示す根元線913を含む。第1の湾曲した歯モデル901は、歯が抜歯された歯槽窩に近接した、患者の口の歯肉上部エッジに対応し得る、モデル化された歯肉上部エッジ512も含む。
【0124】
図10A1は、近心/遠心図を提供し、図10A2は、冠状部分1015と、組み合わされた骨幹部/頂端セクション1024Aとを含む、抜歯された歯根の第2の湾曲した歯モデル1001の頬側/舌側図を提供する。第2の湾曲した歯モデル1001は、例えば、ステップ315に続いて生成されてもよく、第1の湾曲した歯モデル901が、ステップ315に関して上記に説明された手法と同様の手法で、そのクラウン部を除去し、第1の湾曲した歯モデル901の外表面から1つまたは複数の突出部を除去するように変形される。図10A1は、近心/遠心方向における第2の湾曲した歯モデル1001の曲率もしくは非線形性を示し、または曲率もしくは非線形性を定義する中心線1090の近心/遠心図も提供する。時には、歯中心線1090は、第1の湾曲した歯モデル1000を生成するために使用された、抜歯された歯および/または抜歯された歯根の形状および/または曲率の度合いを近似し得る。図10A2は、頬側/舌側方向における抜歯された歯/第2の湾曲した歯モデル1001の曲率を描き、または示す中心線1090の頬側/舌側側面図も提供する。図10A1および図10A2に示されるように、中心線1090は、近心/遠心側面から見た場合よりも、頬側/舌側側面から見た場合に、より湾曲している。いくつかの場合において、歯中心線1090は、中心軸、または第2の湾曲した歯モデル1001の中心を通って延びる中間線を表してもよく、歯中心線1090の位置および/または曲率は、その長さに沿った複数の点において、第2の湾曲した歯モデル1001の頬側側面と舌側側面との間の中間点を測定すること、またはさもなければ計算することによって、および、その長さに沿って、第2の湾曲した歯モデル1001の近心側面と遠心側面との間の中間点を測定すること、またはさもなければ計算することによって、決定され得る。付加的に、または代替的に、第2の湾曲した歯根モデルの中心点は、例えば、図5D3に示されるように、頬側/舌側軸と近心/遠心軸とが交差または重複し得る場所を決定することによって、その長さに沿った複数の点において決定され得る。いくつかの実施形態において、これらの頬側/舌側中間点および近心/遠心中間点は、予備モデル1001の長さに沿って、0.1~10mmごとに計算され、それによって、例えば、1つまたは複数の数学的プロセス(例えば、頬側/舌側中間点および/または近心/遠心中間点の1つまたは複数の位置についての回帰分析、最良適合分析、および/または標準偏差分析)を使用して、抜歯された歯根の曲率を定義またはモデル化するために使用され得る、一連の頬側/舌側中間点および近心/遠心中間点を生み出し得る。
【0125】
図10A1および図10A2は、図10Aおよび図10Bに示されるような第2のモデル1001の長さに沿って位置付けられた、4本の水平断面線A-A、B-B、C-C、およびD-Dも示す。図10A3は、線A-Aに沿った第1の水平断面1001Aを示す断面図であり、図10A4は、線B-Bに沿った第2の水平断面1001Bに対応し、図10A5は、線C-Cに沿った第3の水平断面に1001Cに対応し、図10A6は、線D-Dに沿った第4の水平断面1001Dに対応する。図10A3図10A6の各々は、第2のモデル1001のそれぞれの部分の断面の近似幾何学的中心点1040を示し、近似幾何学的中心点、中間点、重心1040Aは、第1の断面1001Aの近似幾何学的中心点に対応し、近似幾何学的中心点1040Bは、第2の断面1001Bの近似幾何学的中心点に対応し、近似幾何学的中心点1040Cは、第3の断面1001Cの近似幾何学的中心点に対応し、近似幾何学的中心点1040Dは、第4の断面1001Dの近似幾何学的中心点に対応する。
【0126】
図10A3図10A6は、それぞれ水平断面1001A~1001D上に重ねられた極グリッドも示しており、極グリッドの中間点(すなわち、極グリッド上のグリッド線同士が交差する場所)が、それぞれの断面の近似幾何学的中心点1040とアラインされている。図10A3図10A6の極グリッドの各々は、4本のグリッド線1035を含み、各グリッド線1035は、隣接するグリッド線1035に対しておよそ45度の角度に位置付けられ、それによって、それぞれの断面のボリュームを8つの部分に分割する。各グリッド線1035の寸法、長さ、または大きさは、それぞれのグリッド線1035に沿った、抜歯された歯根の第2のモデルの直径の長さを示し得る。例えば、図10A3は、第1の長さ(例えば、6~10mm)の第1のグリッド線1035A1、第2の長さ(例えば、4.5~9mm)の第2のグリッド線1035A2、第3の長さ(例えば、3~8.5mm)の第3のグリッド線1035A3、および、第4の長さ(例えば、4.5~8mm)の第4のグリッド線1035A4を有する第1のグリッドを提供する。図10A4は、第1の長さ(例えば、5~10mm)の第1のグリッド線1035B1、第2の長さ(例えば、3.5~9mm)の第2のグリッド線1035B2、第3の長さ(例えば、1.5~8mm)の第3のグリッド線1035B3、および、第4の長さ(例えば、3.5~8mm)の第4のグリッド線1035B4を有する第2のグリッドを提供する。図10A5は、第1の長さ(例えば、5~9mm)の第1のグリッド線1035C1、第2の長さ(例えば、3~8mm)の第2のグリッド線1035C2、第3の長さの第3のグリッド線1035C3、および、第4の長さ(例えば、4~7mm)の第4のグリッド線1035C4を有する第3のグリッドを提供し、図10A6は、第1の長さ(例えば、4~7mm)の第1のグリッド線1035D1、第2の長さ(例えば、3~7mm)の第2のグリッド線1035D2、第3の長さ(例えば、2.5~7.5mm)の第3のグリッド線1035D3、および、第4の長さ(例えば、3.5~7.5mm)の第4のグリッド線1035D4を有する第4のグリッドを提供する。グリッド線1035の長さのうちの1つまたは複数は、抜歯された歯の1つもしくは複数の寸法、ならびに/または、抜歯された歯および/もしくはそれぞれの断面の外部エッジもしくは輪郭の形状および/もしくはサイズを決定するために使用され得る。
【0127】
中心線1090は、例えば、回帰分析および/または最良適合分析を使用して、冠状セクションの最上部から予備モデル1001の頂点へ、近似幾何学的中心点1040A、1040B、1040C、および1040Dの間に、線(例えば、最良適合線)および/または曲線(例えば、最良適合曲線)を描くことによって決定され得る。また、図10A3図10A6の各々は、抜歯された歯根の予備モデルのそれぞれの断面点における、抜歯された歯根の予備モデルの近似外部形状または輪郭を示す。
【0128】
いくつかの実施形態において、歯中心線1090は、曲線(例えば、非線形の線、その長さに沿って直線から逸脱する線、および/もしくは、滑らかで連続的な様式で真直から逸脱する線)、または曲線の一部(例えば、弧)であってもよい。いくつかの実施形態において、歯中心線1090の曲線の形状(例えば、長さに沿った真直からの逸脱の度合い)は、例えば、近似幾何学的中心点1040A、1040B、1040C、および/または1040Dについての位置情報を使用して行われる数学的プロセスの実行を介して展開され得る、関数または方程式によって定義されてもよい。行われ得る例示的な数学的プロセスは、歯中心線1090が、その長さに沿って近似幾何学的中心点1040A、1040B、1040C、および/または1040Dの位置に緊密にアラインするように、または重複するように、歯中心線1090の形状および/または曲率の度合いを定義する関数を生成するための、近似幾何学的中心点1040A、1040B、1040C、および/または1040Dについての位置情報の回帰分析を含むが、これらに限定されない。
【0129】
図10B1は、第3の湾曲した歯モデル1002の近心/遠心図を提供し、図11B2は、第3の湾曲した歯モデル1002の頬側/舌側図を提供する。湾曲した歯モデル1002は、変形された組み合わされた骨幹部/頂端セクション1024Bを生み出すために、例えば、図5E1および/または図5E2に示されるような多孔性表面空間544と同様の手法での多孔性表面の適用に適応するために、組み合わされた骨幹部/頂端セクション1024Aが、その長さに沿ってその円周/幅を減少させるために、どのように変形されたかを示す。第2の湾曲した歯モデル1001は、例えば、プロセス300に関して上記に説明されたステップ335の実行、および第5のモデル507の生成を介して、第3の湾曲した歯モデル1002へ変換され得る。いくつかの実施形態において、第2の湾曲した歯モデル1001を第3の湾曲した歯モデル1002へ変換することは、ステップ320、325、および/または330の実行も含み得る。
【0130】
図11Aは、近心/遠心図を提供し、図11Bは、歯中心線1090と一致する、および/または歯中心線1090によって定義されるコア中心線1092を有するコアベースモデル1100の頬側/舌側図を提供する。付加的に、または代替的に、コア中心線1092の形状は、構造的な検討事項を含むが、これらに限定されない他の因子を使用して、定義および/またはパラメータ化され、埋め込み時に歯槽窩に潜在的に損傷を引き起こさないインプラントの曲率の度合いを有してもよい。
【0131】
コアベースモデル1100は、冠状セクション1115と、組み合わされた骨幹部/頂端セクション1124とを有する。コアベースモデル1100は、コアベースモデル601と同様であってもよく、コア中心1130の円周の周りに配置され、コア中心1130へ(図11Aおよび図11Bの向きで)下方へ垂直に延びる複数の支柱1120A、1120B、および(図11Aに示されるような)1120C、および(図11Bに示されるような)1120Dを含み得る。支柱1120A、1120B、1120C、および/または1120Dは、支柱620A、620B、620C、620D、620E、および/または620Fに類似し得る。
【0132】
図11Aおよび図11Bは、図11Aおよび図11Bに示されるような、コアベースモデル1100の長さに沿って位置付けられる、4本の水平断面線A-A、B-B、C-C、およびD-Dも提供する。図11A3は、線A-Aに沿った第1の水平断面1101Aを示す断面図であり、図11A4は、線B-Bに沿った第2の水平断面1101Bに対応し、図11A5は、線C-Cに沿った第3の水平断面1101Cに対応し、図11A6は、線D-Dに沿った第4の水平断面1101Dに対応する。図11A3図11A6の各々は、第1のモデルの断面の近似幾何学的中心点1140を示し、近似幾何学的中心点、中間点、重心1140Aは、第1の断面1101Aの近似幾何学的中心点に対応し、近似幾何学的中心点1140Bは、第2の断面1101Bの近似幾何学的中心点に対応し、近似幾何学的中心点1140Cは、第3の断面1101Cの近似幾何学的中心点に対応し、近似幾何学的中心点1140Dは、第4の断面1101Dの近似幾何学的中心点に対応する。頬側/舌側中心線1190および/または近心/遠心中心線1191は、冠状セクションの最上部から第1のモデル1101の頂点へ、近似幾何学的中心点1140A、1140B、1140C、および1140Dの間に線(例えば、最良適合線)および/または曲線(例えば、最良適合曲線)を描くことによって決定され得る。
【0133】
図11A3図11A6は、それぞれ水平断面1101A~1101D上に重ねられた極グリッドも示し、極グリッドの中間点(すなわち、極グリッド上のグリッド線同士が交差する場所)が、それぞれの断面の近似幾何学的中心点1140とアラインされている。図11C図11Fの極グリッドは各々、4本のグリッド線1135を含み、各グリッド線1135は、隣接するグリッドに対しておよそ45度の角度に位置付けられている。各グリッド線1135の寸法、長さ、または大きさは、それぞれのグリッド線1135に沿った、抜歯された歯根の第2のモデルの直径の長さを示し得る。例えば、図11Cは、第1の長さ(例えば、6~10mm)の第1のグリッド線1135A1、第2の長さ(例えば、4.5~9mm)の第2のグリッド線1135A2、第3の長さ(例えば、3~8.5mm)の第3のグリッド線1135A3、および、第4の長さ(例えば、4.5~8mm)の第4のグリッド線1135A4を有する第1のグリッドを提供し、図11Dは、第1の長さ(例えば、5~10mm)の第1のグリッド線1135B1、第2の長さ(例えば、3.5~9mm)の第2のグリッド線1135B2、第3の長さ(例えば、1.5~8mm)の第3のグリッド線1135B3、および、第4の長さ(例えば、3.5~8mm)の第4のグリッド線1135B4を有する第2のグリッドを提供し、図11Eは、第1の長さ(例えば、5~9mm)の第1のグリッド線1135C1、第2の長さ(例えば、2~7mm)の第2のグリッド線1135C2、第3の長さ(例えば、1~6mm)の第3のグリッド線1135C3、および、第4の長さ(例えば、2~5.5mm)の第4のグリッド線1135C4を有する第3のグリッドを提供し、図11Fは、第1の長さ(例えば、2~5mm)の第1のグリッド線1135D1、第2の長さ(例えば、3~5.5mm)の第2のグリッド線1135D2、第3の長さ(例えば、2~7mm)の第3のグリッド線1135D3、および、第4の長さ(例えば、2~7mm)の第4のグリッド線1135D4を有する第4のグリッドを提供する。
【0134】
グリッド線1135の1つまたは複数の長さは、コアベースモデル1100の1つもしくは複数の寸法、ならびに/または、コアベースモデル1100および/もしくはその断面の外部エッジまたは輪郭の形状および/もしくはサイズを定義するために使用され得る。いくつかの実施形態において、断面1001Aおよび1001Bの外部形状、ならびに第2のモデル(図10A3および図10A4に示される)の第1および第2のグリッドのグリッド線の大きさは、第1の断面1101Aおよび第2の断面1101Bの外部の形状、ならびに図11Cおよび図11Dに示されるコアベースモデル1100の第1および第2のグリッドのグリッド線の大きさ、ならびに、時には、第1の断面1101Aおよび/または第2の断面1101Bに対応する位置におけるコアベースモデル1100のサイズおよび形状と同様であってもよい。
【0135】
第3の断面1101Cの外部形状は、コアベースモデル1100から突出する支柱1120を有しないコアベースモデル1100の部分の形状および輪郭と共に、コアベースモデル1100の外部エッジの周りに位置付けられるような、6本の支柱1120A、1120B、1120C、1120D、1120E、および1120Fの形状および位置を示す。第3の断面1101Cの第3のグリッドのグリッド線1135のうちのいくつかの長さは、第2のモデル1000の第3の断面1001Cの第3のグリッドのグリッド線1035の対応する形状および/または長さよりも小さくなり得、その結果、インプラントモデルが置換するように設計される、抜歯された歯根の外部プロファイルまたは幾何形状の範囲内にインプラントモデルの外部プロファイルを維持しながら(例えば、図7C図8Cおよび関連付けられた論考を参照)、コアモデル1100は、モデルに対して多孔性層が適用および/または付加され得る凹んだ空間を提供し得る。このようにして、コアベースモデル1100(またはその変形されたバージョン)を組み込むことによって製造されるインプラントは、本明細書において開示されるように、インプラントが置換している歯が抜歯された歯槽窩の壁内に適合し得る。特に、コアベースモデル1100の第3の断面1101Cの第1のグリッド線1135C1は、支柱1120Bおよび1120Eに対応し、第1のグリッド線1035C1とほぼ等しい長さを有し、第2のグリッド線1135C2および第3のグリッド線1135C4は、それぞれ第2のグリッド線1035C2および第3のグリッド線1035C3よりも短い長さ(例えば、0.3~3.5mm)を有し、第4のグリッド線1135C4は、1つ(支柱1120A)とのみ交差し、第4のグリッド線1035C4よりも短い長さ(例えば、0.2~3mm)を有する。支柱1120A、1120B、1120C、1120D、1120E、および/または1120Fは、(例えば、以下に論じられる、図12A1の支柱1120Aおよび1120Cと、図12A2の支柱1120Bおよび1120Dとについて示されるように)第3の断面1001Cの輪郭へ延びてもよく、ならびに/または、第3の断面1001Cの輪郭へ部分的にのみ延び得る(例えば、支柱1120Bのように、図12A1の統合されたコア1200によって覆われ得る)。
【0136】
コアベースモデル1100の第4の断面1101Dの外部輪郭は、その第2のモデルの第4の断面1001Dの対応する第4の外部輪郭よりも小さい(例えば、0.5~3.5mm)。
【0137】
いくつかの実施形態において、コア中心線1190は、曲線(例えば、非線形の線、その長さに沿って直線から逸脱する線、および/もしくは、滑らかで連続的な様式で真直から逸脱する線)、または曲線の一部(例えば、弧)であってもよい。中心線1090の曲線の形状(例えば、長さに沿った真直からの逸脱の度合い)は、例えば、近似幾何学的中心点1140A、1140B、1140C、および/または1140Dについての位置情報を使用して行われる数学的プロセスの実行を介して展開され得る、関数または方程式によって定義されてもよい。行われ得る例示的な数学的プロセスは、中心線1190が、その長さに沿って近似幾何学的中心点1140A、1140B、1140C、および/または1140Dの位置に緊密にアラインするように、または重複するように、中心線1190の形状および/または曲率の度合いを定義する関数を生成するための、近似幾何学的中心点1140A、1140B、1140C、および/または1140Dについての位置情報の回帰分析を含むが、これらに限定されない。
【0138】
付加的に、または代替的に、コア中心線1092の形状および/または曲率は、歯中心線1092の形状および/または曲率に基づいてもよい。
【0139】
図12A1は頬側/舌側図を提供し、図12A2は、変形されたモデル1002とコアベースモデル1100との間の統合のモデルである、統合されたインプラントモデルおよびコアベース1200(「統合されたコア」としても知られている)の近心/遠心図を提供する。統合されたコア1200は、統合されたコアの骨幹部/頂端セクション1224内の支柱1120Aおよび1120C(図12D1の場合)ならびに支柱1120Bおよび1120D(図12D2の場合)の突出部分も示す。統合されたコア1200は、冠状セクション1215も有する。統合されたコア1200の1つまたは複数の特徴部は、第6のモデル702の1つまたは複数の特徴部に類似し得る。
【0140】
図13A1は、近心/遠心図を提供し、図13A2は、完成したインプラントモデル1300の組み合わされた骨幹部/頂端セクション1324において、統合されたコア1200の組み合わされた骨幹部/頂端セクション1224上に位置付けられた多孔性表面1330を含む、完成したインプラントモデル1300の頬側/舌側図を提供する。完成したインプラントモデル1300は、モデル化されたアバットメント745と同様のモデル化されたアバットメント1345、モデル化された冠状リング735と同様であり得る冠状リング1335のアレイを含む冠状セクション1315、および、経歯肉セクション740と同様であり得る経歯肉セクション1340も含む。
【0141】
図14A1は、近心/遠心図を提供し、図14A2は、完成したインプラントモデル1300と、アバットメント1345の最上部に位置付けられたモデル化されたクラウン1414とを含むモデル化されたシステム1400の頬側/舌側図を提供する。完成したインプラントモデル1300および/またはモデル化されたシステム1400は、例えば、本明細書において開示されるように、および/またはステップ390の実行を介して、ルートアナログ歯科インプラントの製造のために使用される命令のセットへ変換され得る。ルートアナログ歯科インプラントの製造のための命令が、ルートアナログ歯科インプラントを製造するためにどのように使用され得るかという一例が、図15Aおよび図15Bに示されており、図15Aは、ルートアナログ歯科インプラント1500の頬側/舌側図を提供し、図15Bは、完成したインプラントモデル1300に基づいて、命令を使用して製造されるルートアナログ歯科インプラント1500の近心/遠心図を提供する。ルートアナログ歯科インプラント1500は、ルートアナログ歯科インプラント1500の組み合わされた骨幹部/頂端セクション1524において多孔性表面1530(これは多孔性表面1330に対応する)を含む。ルートアナログ歯科インプラント1500は、モデル化されたアバットメント1345に対応するアバットメント1545、冠状リング1335のアレイに対応する冠状リング1535のアレイを含む、冠状セクション1315に対応する冠状セクション1515も含む。ルートアナログ歯科インプラント1500は、経歯肉セクション1340に対応する経歯肉セクション1540も含む。
【0142】
付加的に、または代替的に、いくつかの実施形態において、本明細書において開示されるコアのうちの1つまたは複数は、抜歯された歯根の対応する水平断面の不規則形状と同様であるが、その不規則形状よりも小さい不規則形状を有する水平断面を有し得る。コアの不規則形状は、抜歯された歯根の対応する水平断面における、抜歯された歯根の解剖学的形状と同様であり得る。いくつかの実施形態において、コアの全ての水平断面は、抜歯された歯根の対応する水平断面の不規則形状に対応する不規則形状を有することになる。いくつかの場合において、コアの垂直長さが、第1の一連の水平断面へと分割され、抜歯された歯根の垂直の長さが、第2の一連の水平断面へと分割されるように、コアは設計および/または製造されてもよく、さらに、第1の一連の水平断面の各水平断面は、第2の一連の水平断面の対応する水平断面と同様であり、それよりも小さい形状を有する。
【0143】
付加的に、または代替的に、いくつかの実施形態において、本明細書において開示されるコアのうちの1つまたは複数は、抜歯された歯根の中心線に従うようにおよび/または対応するように、構成され、配置され、および/または定義される中心線を有してもよい。コアの中心線は、ほぼ垂直に向けられ得、抜歯された歯の曲率(もしくは曲率の度合い)と同様の曲率(もしくは曲率の度合い)を有し、および/または、抜歯された歯根の解剖学的中心線と同様である。いくつかの場合において、曲率は非線形であってもよい。
【0144】
付加的に、または代替的に、いくつかの実施形態において、本明細書において開示されるコアのうちの1つまたは複数は、抜歯された歯根の中心の非線形曲率線に従うようにおよび/または対応するように、構成され、設計され、および/または定義され得る、中心の非線形曲率線を有してもよい。コアの中心の非線形曲率線は、ほぼ垂直に向けられ得、抜歯された歯根の中心の非線形曲率線も、ほぼ垂直に向けられ得る。いくつかの場合において、コアの曲率は、コアの垂直長さに沿って配置された一連の中間点によって定義されてもよく、各中間点は、コアの垂直長さに沿った異なる位置における、コアの水平断面の中間点に対応し、抜歯された歯根の曲率は、抜歯された歯根の垂直長さに沿って配置された一連の中間点によって定義されてもよく、コアの各中間点は、コアおよび抜歯された歯根の垂直長さに沿って位置付けられた、抜歯された歯根の水平断面の中間点にそれぞれ対応してもよい。
【0145】
付加的に、または代替的に、いくつかの実施形態において、本明細書において開示されるコアのうちの1つまたは複数は、抜歯された歯根の曲率に対応するようにおよび/または従うように、構成され、設計され、および/または定義され得る曲率を有してもよく、コアの曲率は、ほぼ垂直に向けられてもよく、抜歯された歯根の曲率は、ほぼ垂直に向けられてもよい。
【0146】
したがって、ルートアナログ歯科インプラント、ならびにルートアナログ歯科インプラントを設計および製造するための方法が、本明細書において開示されてきた。ルートアナログ歯科インプラントを設計および製造するための方法は、多くの状況ならびに抜歯された歯根のタイプおよび幾何形状に適応するように適合され得、その結果、本明細書において開示されるように設計および製造されるルートアナログ歯科インプラントは、抜歯された歯に関する個々の状況、ならびに、例えば、インプラントタイプおよび/またはその構成に対する臨床医および/または患者の嗜好に合わせて、カスタマイズされ得る。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A1
図5A2
図5B1
図5B2
図5B3
図5B4
図5C1
図5C2
図5D1
図5D2
図5D3
図5E1
図5E2
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図9A1
図9A2
図10A1
図10A2
図10A3
図10A4
図10A5
図10A6
図10B1
図10B2
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A1
図12A2
図13A1
図13A2
図14A1
図14A2
図15A
図15B
【国際調査報告】