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特表2024-522691接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法
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  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図1A
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図1B
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図1C
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図2
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図3
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図4
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図5
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図6A
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図6B
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図6C
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図7A
  • 特表-接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法 図7B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/257 20210101AFI20240614BHJP
【FI】
A61B5/257
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577143
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 FI2022050417
(87)【国際公開番号】W WO2022263724
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】20215709
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベファー、モハマドホセイン
(72)【発明者】
【氏名】フットゥネン、オッリ - ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】ヒイトラ - ケイネネン、ヨハンナ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127AA03
4C127AA04
4C127LL13
(57)【要約】
接着性皮膚パッチ、並びに、非常に薄い、皮膚の変形に対して容易に共形になる、及び、それでもなお、商業生産のために自動化され得る順次進行する工業プロセスにおいて製造され得る、接着性皮膚パッチの提供を可能にする方法。接着性皮膚パッチは、皮膚への接触、及び、外部電気的接触部のためのアクセスをもたらす導電性部分を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシロキサンの第1の層と、第1の導体と、接着剤層とを含む接着性皮膚パッチであって、
前記第1の導体は、導体領域と、前記導体領域との電気的接続の様態にある検知領域とを含んでおり、
ポリシロキサンの前記第1の層は、前記第1の導体の前記導体領域の少なくとも一部分に対する、又は、1つ若しくは複数のビアにより前記第1の導体の前記導体領域に電気的に接続されるさらなる導電性層に対する開口部を含み、
前記接着剤層は、前記第1の導体の前記検知領域の少なくとも一部分に対する開口部を含む、接着性皮膚パッチ。
【請求項2】
前記第1の導体は、前記導体領域と前記検知領域とを含んでいるパターンへと形成される導体層であることを特徴とする、請求項1に記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項3】
前記ポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項4】
前記第1の導体の前記導体領域の前記一部分は、前記検知領域との電気的接続のための接触部を設けるように形成されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項5】
前記接着性皮膚パッチは、前記第1の導体と前記接着剤層との間のポリシロキサンの第2の層を含み、
前記接着剤層及びポリシロキサンの前記第2の層は、前記検知領域の少なくとも一部分に対する共通の開口部を含む
ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項6】
前記開口部を越えた領域において、ポリシロキサンの前記第1の層及びポリシロキサンの前記第2の層は、水密様式において前記第1の導体を囲むことを特徴とする、請求項5に記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項7】
前記接着性皮膚パッチは、1つ又は複数のさらなる導体を含み、各導体は、ポリシロキサンの1つ又は複数の中間層により、別の導体から分離され、
前記接着性皮膚パッチの前記導体は、ポリシロキサンの1つ又は複数の中間層を通って伸長するビアにより、電気的に接続される
ことを特徴とする、請求項1から6までのいずれかに記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項8】
前記ビアのうちの少なくとも1つは、ポリシロキサンの2つ以上の中間層を通って、2つの導体を相互接続することを特徴とする、請求項7に記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項9】
前記皮膚パッチは、遊離可能部分を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれかに記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項10】
前記遊離可能部分は、液体可溶性ポリマの層を含むことを特徴とする、請求項9に記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項11】
前記液体可溶性ポリマは、水に関して可溶性であることを特徴とする、請求項10に記載の接着性皮膚パッチ。
【請求項12】
接着性皮膚パッチのための層構造を創出するための方法であって、
液体可溶性ポリマの層上に、開口部を含むようにパターニングされ、弾性固体として機能するように硬化させられる、ポリシロキサンの第1の層を堆積させるステップ、
ポリシロキサンの前記第1の層上に、導体領域と、前記導体領域との電気的接続の様態にある検知領域とを含む第1の導体を堆積させるステップ、又は、ポリシロキサンの前記第1の層上に、第2の導体、ポリシロキサンの少なくとも1つの中間層、及び、導体領域と検知領域とを含む第1の導体を堆積させるステップであって、前記第1の導体の前記導体領域若しくは前記第2の導体は、ポリシロキサンの前記第1の層内の前記開口部と少なくとも一部分が一致するように整合される、第2の導体、中間層、及び、第1の導体を堆積させるステップ、
前記第1の導体上に、前記第1の導体の前記検知領域と一致する開口部を含むようにパターニングされる皮膚接着剤の層を堆積させるステップ
を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の導体を、前記導体領域と前記検知領域とを含んでいるパターンへと形成される導電層として設けることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の導体上に、皮膚接着剤の前記層に対してパターニングされる前記開口部と一致し、前記検知領域と一致する開口部を含むようにパターニングされる、ポリシロキサンの第2の層を堆積させることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
最初に支持基板のシートの表面上に、液体可溶性ポリマの前記層を堆積させることを特徴とする、請求項12から14までに記載の方法。
【請求項16】
前記層構造は、ロール・ツー・ロール・プロセスにおいて創出され、前記層構造は、前記堆積段階を通って順次進行する前記ロール・ツー・ロール・プロセスのウェブから形成されることを特徴とする、請求項12から15までのいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記層構造は、シート・ツー・シート印刷プロセスにおいて創出され、前記層構造は、前記堆積段階を通る進行シーケンスにおいて処理される支持基板シート上で形成されることを特徴とする、請求項12から15までのいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記第1の導体の前記堆積は、2つの部分において実行され、前記導体領域は、ポリシロキサンの前記第2の層の前記堆積の前に堆積させられ、前記検知領域は、ポリシロキサンの前記第2の層内の前記開口部内へと、ポリシロキサンの前記第2の層の前記堆積の前又は後に堆積させられることを特徴とする、請求項12から16までのいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記第2の導体を、第2の導電性層の形式において堆積させること、
前記第2の導電性層上に、ポリシロキサンの1つ又は複数の中間層を堆積させること、
凹部によって、ポリシロキサンの前記1つ又は複数の中間層をパターニングすること、
前記凹部が、導電性材料によって埋められた様態になり、以て、前記第1の導体を前記第2の導体に電気的に接続するビアを形成するように、前記第1の導体を堆積させること
を特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の導体を、前記第2の導体と第3の導体とを含む第2の導電性層の一部分として堆積させること、
ポリシロキサンの前記中間層のうちの少なくとも1つの上に、導体領域と、前記導体領域との電気的接続の様態にある検知領域とを含む第4の導体を堆積させること、
凹部によって、前記第3の導体と前記第4の導体との間のポリシロキサンの中間層をパターニングすること、
前記凹部が、導電性材料によって埋められた様態になり、以て、前記第3の導体を前記第4の導体に電気的に接続するビアを形成するように、前記第4の導体を堆積させること
を特徴とする、請求項19に記載の接着性皮膚パッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、プリンテッド・エレクトロニクスに、並びに特に、改善された接着性皮膚パッチ、及び、その接着性皮膚パッチを製造するための改善された方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
直接的な皮膚センサ相互作用からの情報を処理する監視アプリケーションの使用が、継続的に増大している。例えば、人の睡眠の質、身体的状態、又は、運動の有効性を継続的に監視することは、すでにかなりありふれたものである。診断アプリケーションは、検査室環境の外側で、より長い時期の間、監視される被験体の選択された生命信号を観測することを試みる。これらの目的のために、いろいろな種類のセンサ及び電極が、例えば、腕時計、リング、ストラップ、及びベルト内へと仕掛けられている。
【0003】
1つの重要なタイプの皮膚上デバイス(on-skin device)は、医療用途においてすでに相当の年月の間使用されている、接着によって張り付けられ除去可能な皮膚パッチである。しかしながら、頻繁な、及び/又は長期間の使用のための、手ごろに価格設定され心地よく着用される皮膚パッチは、まだ利用可能でない。多くの市販で入手可能な皮膚パッチは、依然として、皮膚上に、具体的に言えばより長い時間の間、糊付けされるときに心地よくなく感じる剛性の基板シートを含む。それらの皮膚パッチは、さらには、外向きに突出し、人の衣服の下に目立たずに隠され得ない構成要素を含む傾向にある。構成要素又は接続のうちの少なくとも一部は、露出されさえし、そのことによって、パッチは、多湿の、又は濡れた状態において安全に使用され得ない。
【0004】
一部のより近時の解決法は、従来の補強基板を含むのではなく、可撓性構成要素と統合された硬質構成要素のハイブリッドの組み合わせから形成される皮膚パッチを付与する。しかしながら、それらの皮膚パッチもまた、使用における心地よさの同じ欠如という難があり、複雑な統合のレベルに起因して、それらの皮膚パッチは、製造するのが相対的に高価である傾向にある。そのようなハイブリッドの解決法は、皮膚パッチが、心地よく使用され、容易に替えられ、その皮膚パッチの使用の後に処分されることを必要とする用途における使用に、現実には適さない。
【0005】
表皮エレクトロニクス(epidermal electronics)は、超薄の、軽量の、及び可撓性の、又は伸張可能でさえあるデバイスが、共形接触(conformal contact)によって皮膚上に装着される、新しい部類のウェアラブル技術である。しかしながら、研究における少なからぬ進歩にもかかわらず、いくつかの制限要因が、実践的な応用における表皮エレクトロニクスの活用を妨げてきた。使用におけるとき、皮膚パッチは、機械的変形及び湿度変化にさらされ、構造であって、薄く可撓性であり、その構造において湿気から導電性部分を適切に保護する、構造を設けることは、複雑な技術的難題である。加えて、今までのところ、カスタマイズされた製作方法のみが、明示された見本を生産するために使用されており、接続性問題点は、完全には解決されていないままであった。下側の皮膚接触部を伴う非常に薄いパッチの画像が、すでに刊行物に載っているものの、示される出力接続は、単に追加的な外部配線配置構成を頼りとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、接着性皮膚パッチ、並びに、非常に薄い、皮膚の変形に対して容易に共形になる、及び、それでもなお、商業生産のために自動化され得る順次進行する工業プロセスにおいて製造され得る、接着性皮膚パッチの提供を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項において説述されることを特徴とする、接着性皮膚パッチ及び方法により達成される。本開示の例示的な実施例は、従属請求項において開示される。
【0008】
後述において、本発明の実現のための実例が、付随する図面を参照して、より詳細に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】例示的な接着性皮膚パッチのための実例層構造を例解する図である。
図1B】例示的な接着性皮膚パッチのための実例層構造を例解する図である。
図1C】例示的な接着性皮膚パッチのための実例層構造を例解する図である。
図2】接着性皮膚パッチの皮膚上部分の上面視図を示す図である。
図3】接着性皮膚パッチのための層状構造を創出するための方法の段階を例解する図である。
図4】層状構造によって形成された例示的な皮膚パッチを示す3つの画像を含む図である。
図5】接着性皮膚パッチについての有利な使用事例を例解する図である。
図6A】皮膚パッチのための例示的な多層積重体内の皮膚上部分の層を例解する図である。
図6B】皮膚パッチのための例示的な多層積重体内の皮膚上部分の層を例解する図である。
図6C】皮膚パッチのための例示的な多層積重体内の皮膚上部分の層を例解する図である。
図7A】皮膚パッチのためのさらなる例示的な多層積重体内の皮膚上部分の層を例解する図である。
図7B】皮膚パッチのためのさらなる例示的な多層積重体内の皮膚上部分の層を例解する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aから図1Cは、被験体の皮膚上に配置される接触部を通して被験体に関する情報を収集する、ウェアラブル電子デバイス、又は、ウェアラブル電子デバイスの一部分として応用可能である接着性皮膚パッチのための実例層構造を例解する。
【0011】
皮膚上に共形可能に(conformably)定着する接着性パッチは、実のところ、その接着性パッチが、何らかの補強支持構造なしに、製造され得ない、又は皮膚上に移動させられ得ないほどに薄いことを必要とする。図1Aから図1Cの層積重体は、そうして、皮膚上部分100及び遊離可能(releasable)部分102を示し、皮膚上部分100は、使用中に被験体の皮膚に張り付けられたままである皮膚パッチを形成し、遊離可能部分102は、皮膚上部分100が皮膚上に安全及び共形可能に張り付けられた後に、層積重体から除去され得る。遊離可能部分は、接着性パッチの実際の使用に先立つ様々な製造及び移動段階のための必要な補強をもたらす。
【0012】
本文書における用語、層は、1つ又は複数の先に堆積させられた層により形成される下側の表面を全面的又は部分的に被覆する、ある厚さの堆積させられた材料を指す。下側の表面は、例えば、その表面が平面状の基板シートによってもたらされるならば、平面状であることがあり、又は、その下側の表面は、先に堆積させられた層におけるパターン若しくは編成に由来して、湾曲させられることがある。順次進行する堆積段階において、現在堆積させられる層は、下側の表面の外形に対して共形になり、例えば、下側のパターニングされた凹部を、そのようなものが下側の層において実在するならば、埋める傾向にある。
【0013】
本文書における用語、コネクタは、コネクタ領域、又は、コネクタ領域及び検知領域の組み合わせを含む、導電性要素を指す。コネクタは、1つの層パターンとして、又は、2つの層、コネクタ領域のための層及び検知領域のための層を含むパターンとして実現されることがある。図1Aから図6Bは、コネクタが導電性層パターンとして設けられる実例を示す。図7は、コネクタの領域が、一方が他方上に積重された、2つの層パターンによって実現される実例を示す。
【0014】
図1Aは、皮膚パッチのための基本的な層積重体の実例を概略的に示す。この実例において、遊離可能部分102は、液体可溶性ポリマ106の層を含む。液体可溶性ポリマ106は、皮膚上部分100のための運搬体として層積重体内で機能する物質である。液体可溶性ポリマ106は、工業製造プロセスの層堆積ステップにおいて形成される、集積ウェブ又はシートのための基板として働くのに十分に頑丈であるポリマ材料である。その液体可溶性ポリマ106は、製作及び移動段階中に皮膚上部分100に張り付けられたままであるが、皮膚に対する皮膚上部分が皮膚上へと張り付けられたときに容易に溶解され得る。有利には、液体可溶性ポリマは、皮膚上部分が皮膚上に配置された後に、層が非常に容易に洗い流され得るように、水に関して可溶性である。しかしながら、他の液体溶剤に関して可溶性のポリマが、範囲の中で応用されることがある。液体可溶性ポリマ106の層は、皮膚上部分よりも少なからず弾性でないように構成され、そのことによって、その層は、本質的には伸張するのではなく、皮膚上パッチへの機械的支持をもたらし、そうして、貼付段階中の超薄部分のしわ寄り又は硬化を防止する。例えば、液体可溶性ポリマの材料組成は、要される剛性をもたらすように選択されることがあり、及び/又は、液体可溶性ポリマ106の層は、皮膚上部分100よりも少なからず厚いことがある。
【0015】
図1Bは、遊離可能部分が、さらなる支持層104を含む二重層組み合わせである、代替的な層積重体を概略的に示す。この二重層構造は、ある種の段階における層積重体への機械的応力が、例えば層積重体がロール・ツー・ロール処理により製造されるときに高い、実現形態にとって有利である。支持層104は、そうして有利には、ロール・ツー・ロール処理にとって十分に可撓性であるが、工業製造プロセスの層堆積ステップにおいて形成される、集積ウェブ又はシートのための基板として働くのに十分に頑丈である材料から作製される。支持層104は、さらには、皮膚パッチの他の部分を、ユーザまでのその皮膚パッチの途中で保護するために使用され得る。例えば、支持層104は、貼付の時間において皮膚パッチが図1Aの層積重体のみを含むように、皮膚パッチが皮膚上へと張り付けられる前に、液体可溶性ポリマ106の層から除去されるように設計されることがある。代替的には、支持層104は、液体可溶性ポリマ106の層及び支持層104の両方が、薄い、及び容易にしわくちゃになる皮膚上部分100を保護することを、その皮膚上部分100が皮膚上へと安全に張り付けられるまで行うように、皮膚パッチが皮膚上へと張り付けられる後に、液体可溶性ポリマ106の層から除去されるように設計されることがある。種々の材料が、支持層のために使用され得るものであり、そのような材料の実例は、ポリマ、紙、板紙、及び類するものを含む。有利には、支持層は、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)から作製され、そのPETは、そのPETの材料特性のゆえに、この目的に非常に良好に適する。PET膜は、ロール・ツー・ロール処理に良好に適合し、ロール・ツー・ロール処理にとって十分に弾性であるPET膜は、それでもなお、非常に良好に、層積重体の、より柔らかい、及びより弾性の部分を支持する。PET膜は、さらには、支持層が液体可溶性ポリマ106の層から取り外されることを必要とするときに、使用するのが容易である。
【0016】
皮膚上部分100は皮膚パッチであり、その皮膚パッチは、接着剤層と、弾性層と、それらの接着剤層と弾性層との間で囲まれる導電性層とを、その皮膚パッチの基本的な形式において含む。図1A及び図1Bは、ポリシロキサンの第1の層108と、導電性層110の形式における導体と、接着剤層114とを含む皮膚上部分100の実例を示す。用語、ポリシロキサンは、ここでは、さらにはシリコーンとして知られている重合シロキサンを指す。シリコーンは、それらのシリコーンを皮膚パッチにおける使用にとって有用にする多くの特質、例えば、一部を述べると、低い熱的伝導率、低い化学反応性、低い毒性、熱的安定性、電気的絶縁を呈する。非常に薄い皮膚パッチの文脈において、選択されたポリシロキサンが、パターニングされた形式を創出するように下側の層積重体上へと流体として堆積させられ、次いで、弾性固体として機能するように硬化させられ得るということが、とりわけ有利である。用語、弾性固体は、ここでは、固体形式を有するが、ゴムに類する弾力性をもたらすポリマを指す。これらの実例実施例のための有利なタイプのポリシロキサンは、さらにはジメチルポリシロキサン又はジメチコンとして知られているポリジメチルシロキサン(PDMS:polydimethylsiloxane)を含むシリコーン組成物を包含する。PDMSの機械的特質は、PDMSが硬化させられる前に決定され得る種々の要因により、影響を及ぼされ、そのため、それらの機械的特質は、弾性固体として硬化の後に機能するように調節するのが相対的に容易である。硬化の前のPDMSの粘弾性特質に起因して、そのPDMSは、さらには、順次進行する工業プロセスの集積ウェブ又はシート上への堆積について良好に適合する。
【0017】
接着剤層は、例えば、市販で入手可能なアクリル系皮膚接着剤及びシリコーン系皮膚接着剤から選択される、任意のタイプの共形性の皮膚に優しい接着剤を伴って設けられることがある。図1A及び図1Bの実施例についての本質的な要件は、接着剤層の材料は、弾性層構造へと形成され得るものであり、その構造は、皮膚に張り付くが、使用中にその構造のパターニングされた形式を維持するということである。
【0018】
図1Cは、ポリシロキサンの第1の層108と、導電性層110と、ポリシロキサンの第2の層112と、接着剤層114とを含む皮膚上部分100の実例を示す。ポリシロキサンの第2の層は、導電性層と接着剤層との間に追加的な保護及び/又は電気的絶縁層を設けるために、層積重体内に含まれることがある。
【0019】
図1Aから図1Cのすべての実例において、導体は、導体領域116と、導体領域116との電気的接続の様態にある検知領域118とを含んでいるパターンへと形成される導電性層110である。一部の用途において、導体領域116及び検知領域118は、少なくとも部分的に重なることがある。すべての図1Aから図1Cから確認され得るように、ポリシロキサンの第1の層108は、導体領域116の少なくとも一部分に対する開口部120を含む。この文脈における表現「に対する開口部」は、上に皮膚上部分が堆積させられた層が、2つの相互に直交する平面内方向IP1及びIP2において広がる平面状の基準平面150を形成し、層積重体は、図1Aから図1Cにおいて示されるように、2つの平面内方向に直交する平面外方向OPにおいて成長させられるということを考慮することにより解釈され得る。1つの層内の、別の層内の一部分に対する開口部は、開口部が、層厚さにおける不連続部であり、基準平面における、前記開口部の射影、及び、その別の層内の前記一部分の射影が、少なくとも部分的に一致するということを意味する。順次進行する工業層堆積プロセスにおいて、下側の層内の開口部は、典型的には、次に堆積させられる層の物質によって、少なくとも部分的に埋められた様態になる。このことは、実のところ、結果的に生じる構造が、実質的に空隙空間を含まないということを意味し、用語、開口部は、この文脈において、空きの凹部を指さない。
【0020】
したがって、図1Aにおける開口部120は、ポリシロキサンの第1の層108の層構造内の不連続部であり、基準平面における、開口部120の射影、及び、導体領域116の射影は、少なくとも部分的に一致する。導体領域の層が堆積させられるとき、その層は、開口部120を少なくとも部分的に埋め、導電性部分の表面を、局所的に、ポリシロキサンの第1の層108の側部と並んだ様態に至らせ得る。遊離可能部分の液体可溶性ポリマ106が除去されるとき、ポリシロキサンの第1の層108、及びさらには、導体領域116のこの局所的に露出される部分が露出される。したがって、層状構造の態様は、外部電気的接続のための接触部を設けるように、革新的に使用され始めている。層堆積中、導体領域116の流体材料は、開口部120を少なくとも部分的に埋め、それゆえに、検知領域118への導電性経路のためのむき出しのインターフェースをもたらす。外部電気的接続のためのこのインターフェースは、液体可溶性ポリマ106が層積重体の表面から溶剤によって分散されるときに、さらなる動作又は追加的な配線配置構成なしで、使用のために利用可能となる。後程、より詳細に説明されることになるように、開口部120は、順次する進行工業プロセスにおいて従来のパターニング手段によって設けられ得るが、本明細書において提示される特異的な層状積重体構造に起因して、その開口部120は、検知領域118の皮膚接触部を通して入手可能な電気的情報のための出力を提供する。
【0021】
検知領域118は、ここでは、材料又は材料の構造化された組み合わせを含む層パターンの一部分を表し、その一部分のある種の電気的特性は、被験体の皮膚上で検出可能な変化の関数として変化する。そのような変化は、例えば、表面電位における変化、化学的変化、温度変化、又は機械的変化(例えば、歪み)であることがある。図1の実例において、検知領域は、興奮性細胞により発生させられる生体電位に応答的である銀/塩化銀ペースト(Ag/AgCl)の組み合わせを含む。この応答は、外部電気的接続によって測定可能信号として検出され得る。測定可能生体電位信号の実例は、一部の名前を挙げると、心電図(ECG:electrocardiogram)、筋電図(EMG:electromyogram)、脳波図(EEG:electroencephalogram)、眼電図(EOG:electrooculogram)を含む。
【0022】
図1A及び図1Bにおいて、内で示されるように、接着剤層114は、検知領域118の少なくとも一部分に対する開口部124を含む。やはり、この表現は、開口部124が、接着剤層114の層厚さにおける不連続部であり、基準平面150における、開口部124の射影、及び、検知領域118の射影が、少なくとも部分的に一致するということを意味する。開口部124の役割は、検知領域118を皮膚側で露出された様態にしておくことである。接着剤層114は非常に薄く、皮膚上部分100の層構造全体は、非常に可撓性及び共形性であり、人間の皮膚は非常に可撓性であり、そのため、実のところ、この開口部は、皮膚と検知領域118との間に空隙空間を形成するのではなく、検知領域は、直接的な皮膚接触が検知領域118による測定のために達成され得るように、使用において皮膚を圧迫する。
【0023】
1Cの構成において、ポリシロキサンの第2の層112は、導電性層と接着剤層114との間にあり、さらには、検知領域118の少なくとも一部分に対する開口部122を含む。開口部122は、そうして、ポリシロキサンの第2の層112の層厚さにおける不連続部であり、基準平面における、開口部122の射影、及び、検知領域118の射影は、少なくとも部分的に一致する。開口部122の役割は、検知領域118を皮膚側で露出するために、接着剤層114上の開口部124と組み合わさることである。ポリシロキサンの第2の層112は非常に薄く、皮膚上部分100の層構造全体は、非常に可撓性及び共形性であり、人間の皮膚は非常に可撓性であり、そのため、実のところ、ポリシロキサンの第2の層112及び接着剤層内の開口部は、皮膚と検知領域118との間に空隙空間を形成するのではなく、検知領域は、直接的な皮膚接触が測定のために達成され得るように、使用において皮膚を圧迫する。
【0024】
図1Cから確認され得るように、故意に開口部120、122を通して露出された様態にしておかれる導電性層110の一部分にもかかわらず、導電性層110の残部は、ポリシロキサンの第1の層108とポリシロキサンの第2の層112との間で密接に圧迫される。このことは、開口部120、122を越えた領域において、ポリシロキサンの第1の層及びポリシロキサンの第2の層が、水密様式において導電性層を囲むということを意味する。湿度における変化にさらすことを低減することにより、このパッケージ化された層構造は、測定の動作の安定性をさらに改善する。
【0025】
要される共形性のために、接着剤層の厚さは、好ましくは100μm未満であり、いっそう好ましくは5μmから15μmの間である。導電性層の厚さは、好ましくは30μm未満であり、いっそう好ましくは5μmから15μmの間である。ポリシロキサンの層の厚さは、好ましくは100μm未満であり、いっそう好ましくは5μmから15μmの間である。導電性層の厚さは、好ましくは30μm未満であり、いっそう好ましくは5μmから15μmの間である。液体可溶性ポリマの層の厚さは、好ましくは200μm未満であり、いっそう好ましくは50μmから100μmの間である。支持層の厚さは、好ましくは200μm未満であり、いっそう好ましくは20μmから50μmの間である。
【0026】
図2は、遊離可能部分の除去の後の、図1Aから図1Cの層構造によって例解された接着性皮膚パッチの皮膚上部分200の上面視図を示す。構造は、図1Cを参照して説明されるが、すでに解説されたように、皮膚パッチは、必ずしもポリシロキサンの第2の層を含まない。皮膚上部分200の外面は、開口部204を含むポリシロキサンの第1の層202の表面から形成される。導体領域の第1の部分206は、ポリシロキサンの第1の層202内の開口部204を通して、外部電気的接続のためにアクセス可能である。導体領域の第2の部分208は、ポリシロキサンの第1の層202と、そのポリシロキサンの第1の層202の下のポリシロキサンの第2の層又は接着剤層との間の、皮膚上部分200の外面の下で密接に囲まれる。導体領域の第2の部分208は、検知領域210までで終了し、その検知領域210は、さらには、ポリシロキサンの第1の層202の下で安全に固定されるが、接着剤層内の開口部を通して、又は、ポリシロキサンの第2の層、及び、ポリシロキサンの第2の層を下側の皮膚に結合する接着剤層内の共通の開口部を通して、下側の皮膚に露出される。図1及び図2によって説明された層構造は、どのように導体領域の第1の部分206と検知領域との間の導電性経路が、追加的な外部配線配置構成、又は、製造中の他の複雑な手順なしに、統合された形式において設けられるかを示す。図2において示される形式及びパターンは、単に例示的であるということが留意される。幅広い種々の電極及び導体形式が、導体のパターンにおいて応用されることがある。
【0027】
図3は、図1C及び図2によって説明された接着性皮膚パッチのための層状構造を創出するための方法の段階を例解する。図3の説明のための追加的な詳細が、図1及び図2から参照されることがあり、逆もしかりである。図3は、段階及びそれらの段階の順序を、単純化された形式において提示する概略的図面であり、リール、モータの配置構成、及び、リールをロールするための機構そのものは、プリンテッド・エレクトロニクスの技術分野における当業者によく知られており、本明細書において、より詳細に論考されないことになる。
【0028】
方法において、取り組まれることになるウェブは、プロセスのためにリーリングされる支持層運搬体を土台とする。有利には、運搬体は、ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製され、そのPETは、0.01~0.5ミリメートルの程度のサブミリメートル厚さにおいてでさえ、ロール・ツー・ロール・リーリングに良好に適合し、後続の堆積段階のための堅牢及び保護的な基盤をもたらす。液体可溶性ポリマの層が、次いで、運搬体の表面上に堆積させられる(段階300)。液体可溶性ポリマは、液体形式において運搬体の表面上に付与されることがあり、後続の堆積段階の前に硬化させられることを必要とすることがある。硬化は、乾燥、熱処置、化学的処置、又は類するものを含むことがある。
【0029】
次の段階において、ポリシロキサンの第1の層が、液体可溶性ポリマの層上に堆積させられる(段階302)。ポリシロキサンは、例えば、ポリジメチルシロキサン系材料であることがある。ポリシロキサンの第1の層は、少なくとも1つの開口部を含み、そのため、その第1の層は、パターニングされた形式において堆積させられることを必要とする。有利には、パターニングは、ポリシロキサンによって被覆されることを意図されない、液体可溶性ポリマの、下側の表面の一部分を、PETに類する保護マスク膜によってマスクすることにより実現される。保護マスク膜は、典型的には、ポリシロキサンが次の堆積段階のために硬化させられる前に除去される。スロット・ダイ・コーティング又はスクリーン印刷に類する、パターニングのための他の方法が、保護の範囲から逸脱することなく応用されることがある。
【0030】
次の段階において、導体領域と検知領域とを含む導電性層パターンが、ポリシロキサンの第1の層上に堆積させられる(段階304)。図3は概略的であるということが留意されるべきである。選択されたパターニング方法及び材料に依存して、堆積ステップ304は、1つのプロセス段階において実現されることがあり、又は、その堆積ステップ304は、2つ以上のサブ段階、例えば、1つの材料によって導体領域を堆積させるためのサブ段階、及び、別の材料によって検知領域を堆積させるための別のサブ段階を含むことがある。有利には、導体領域は、銅又は銀に類する、高度に導電性の材料から作製される。検知領域は、ある分量の材料又は材料の組み合わせを含むことがあり、この分量の材料/複数の材料の電気的特性は、被験体の皮膚上で検出可能な変化の関数として変化する。検知領域は、代替的には、材料の構造化された組み合わせを含むことがあり、その組み合わせの電気的特性は、被験体の皮膚上の検出可能な変化に応答的である。進行シート又はウェブ上に導電性パターンを堆積させるための多くの知られている方法、例えば、スクリーン印刷、孔版印刷が存する。堆積において、導電性層のパターンは、パターンの導体領域が、ポリシロキサンの第1の層内の開口部と少なくとも一部分が一致するように整合されるように位置を定められる。このことは、堆積中、堆積させられた材料が、ポリシロキサンの、下側の第1の層内の開口部を少なくとも部分的に埋めるということを意味する。
【0031】
次の段階において、ポリシロキサンの第2の層が、導電性層上に堆積させられる(段階306)。さらには、ポリシロキサンの第2の層は、少なくとも1つの開口部を含み、そのため、その第2の層は、パターニングされた形式において堆積させられることを必要とする。有利には、パターニングは、ポリシロキサンによって被覆されることを意図されない、液体可溶性ポリマの、下側の表面の一部分を、PET又はポリエチレン(PE:polyethylene)に類する保護マスク膜によってマスクすることにより実現される。ポリシロキサンは、典型的には、硬化させられることを必要とし、保護マスク膜は、好ましくは、ポリシロキサンが次の堆積段階のために硬化させられる前に除去される。上記で述べられたように、スロット・ダイ・コーティングに類する、パターニングのための他の方法が、保護の範囲から逸脱することなく応用されることがある。
【0032】
最終的には、皮膚接着剤の層が、ポリシロキサンの第2の層上に堆積させられる(段階308)。さらには、検知領域と一致する開口部を含むようにパターニングされた皮膚接着剤の層。皮膚接着剤の層は、ポリシロキサンの第2の層が導電性層上に堆積させられる前に、ポリシロキサンの第2の層上に堆積させられ得るものであり、又は、堆積は、別個の段階として実現され得る。
【0033】
ロール・ツー・ロール処理は、製品を製造するために使用される製作方法である。ロール・ツー・ロール・プロセスにおいて、材料のウェブが、1つのリールから別のリール上へと継続的に送り込まれ得るものであり、同じ時間において、材料が、所望される製品を生産するために、進行ウェブに追加され、又は、その進行ウェブから除去され得る。図3によって説明されるように、規定された層構造の手段により、接着性皮膚パッチの継続的な流れが、本明細書において説明される層堆積段階を通って順次進行する工業ロール・ツー・ロール・プロセスにおける集積ウェブとして形成され得る。ロール・ツー・ロール処理は、リーリングされるウェブに所定の堅牢性を求めるので、図1Cにおいて提示される二重層構造が、そのような用途にとって有利であることがある。プロセス・パラメータ(ウェブの速度に類する)、及び、液体可溶性ポリマ106の材料特性を調整することにより、処理方法は、段階301なしに実現され、すなわち、ポリシロキサンの第1の層を、液体可溶性ポリマの膜上に堆積させることにより開始し得る。
【0034】
代替法として、層状構造は、順次進行するシート・ツー・シート印刷プロセスにおいて工業的に製作され得るものであり、説明された堆積段階は、基板シート上で進行的に実行される。より詳細な実現形態実例として、シート・ツー・シート・プロセスにおいて、水溶性のポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)膜が、ワイヤ・バー・コーティングによりPET運搬体膜上に形成され得る(段階300)。予混合2成分PDMS系シリコーン・エラストマが、次いで、ワイヤ・バー・コーティングによりPVA膜の一部分上に堆積させられる(段階302)。PVA膜の一部分は、PET膜によってPVA膜をマスクすることにより、露出された様態にしておかれ、マスキングPET膜は、シリコーン・エラストマを硬化させる前に除去される。次の段階において、銀相互接続パターンが、シリコン・エラストマ層上に一部分が、及び、露出されたPVA層上に一部分が、スクリーン印刷により製作される(段階304)。露出されたPVA上の銀相互接続パターンの一部分は、次いで、(皮膚上へと装着されるときに)外部電気的接続のための露出されたパッドを形成する。銀相互接続パターンは、次いで、シリコーン・エラストマの別の層によって、ワイヤ・バー・コーティングにより封入される(段階306)。皮膚電極の区域は、ワイヤ・バー・コーティングの前に保護ポリエチレン(PE)ライナ(低粘着度接着剤を伴う)膜のシートによってシリコーン・エラストマ層をマスクし、硬化の前にマスク膜を除去することにより、露出された様態にしておかれる。銀/塩化銀(Ag/AgCl)皮膚電極が、次いで、露出された相互接続上に製作される(段階304)。次いで、シリコーン系2成分皮膚接着剤が、ワイヤ・バー・コーティングにより堆積させられる(段階308)。銀/塩化銀皮膚電極は、コーティングの後に除去される保護ポリエチレン(PE)ライナ膜によってマスクされる。任意選択で、とりわけ商業生産において、保護膜が、同じプロセスにおいて皮膚接着剤層上に積層され得る。
【0035】
図4は、図1及び図2によって説明された層状構造によって形成された例示的な皮膚パッチを示す3つの画像を含む。見本は、どのように良好に超薄皮膚パッチが、応力のもとでさえ((i)圧縮、(ii)ねじれ、(iii)伸張)、皮膚と共形になるかを示す。
【0036】
図5は、本明細書において説明される層構造によって形成された接着性皮膚パッチについての有利な使用事例を例解する。図5は、図2によってより詳細に解説された、例示的な皮膚パッチの2つの物品500、502を示す。これらの皮膚パッチ500、502の各々は、層積重体内の導電性層の検知領域から形成される皮膚電極504、506を含む。これらの皮膚パッチ500、502の各々は、さらには、外部接触部508、510と、外部接触部を皮膚電極に電気的に接続する導電性経路512、514とを含む。外部接触部及び導電性経路は、さらには、層積重体内の導電性層の導体領域から形成される。図5は、さらには、介在ユニット504、皮膚パッチ500、502の外部接続に接続され得る別個の電気的デバイスを示す。介在要素504は、皮膚電極から導出された信号に基づいて、情報を処理、記憶、及び/又は出力するように構成される電気的構成要素を含む、より複雑なデバイスであり得る。配置構成は、例えば心電図(ECG)監視のための、非常にコンパクトな仕組みをもたらす。
【0037】
より早期に説明された実例において、導体は、ポリシロキサンの第1の層108と接着剤層114との間に、又は、ポリシロキサンの第1の層108とポリシロキサンの第2の層112との間にある導電性層110を含む。導電性層110の検知領域118は、そうして、皮膚接触部に対して開口し、導体領域116は、ポリシロキサンの第1の層108内の凹部120を通して、外部接触部に対して直接的に開口する。しかしながら、皮膚パッチは、さらには、1つ又は複数の導体を含む多層構造であることがあり、各導体は、ポリシロキサンの少なくとも1つの層により、他の導体から分離され、そうして電気的に隔離されることがある。導体は、ポリシロキサンの1つ又は複数の中間層を通って伸長するビアにより、電気的に接続され得る。ビアは、ポリシロキサンの1つの分離層を通って伸長することがあり、又は、そのビアは、ポリシロキサンの2つ以上の中間層を通って、2つの導電性層を相互接続することがある。ビアは、一部の構成において、1つ又は複数の導電性層パターンを通って伸長し、そうして、3つ以上の導電性層を相互接続することがある。
【0038】
図6Aから図6Cは、皮膚パッチのための例示的な多層積重体内の皮膚上部分600の層を例解する。図1Aから図1C、及び、図6Aから図6Cにおいて互いと対応する要素は、同様の参照番号によって指し示され、それらの要素のための追加的な説明は、図1Aから図1Cの説明から参照されることがある。図6Aの皮膚上部分600は、図1Cの実施例に対応し、ポリシロキサンの第1の層608と、第1の導電性層610の形式における第1の導体と、ポリシロキサンの第2の層612と、接着剤層614とを含む。第1の導電性層610は、導体領域616と、導体領域616との電気的接続の様態にある検知領域618とを含んでいるパターンへと形成される。しかしながら、後に続く実例において、多層構造の皮膚上部分は、ポリシロキサンの第1の層608と、第1のコネクタの第1の導電性層610との間のさらなる層を含む。図6Aの実例におけるさらなる層は、図6Aにおいて示される順序において、第1の導電性層610の堆積の前にポリシロキサンの第1の層608上に堆積させられる、ポリシロキサンの第3の層652と、第2の導電性層650とを含む。第2の導電性層650は、少なくとも1つの導体の形式へとパターニングされる。第1の導体は、第1の導電性層610の形式においてもたらされ、検知領域618と、導体領域616とを含む。使用において、検知領域618は、ポリシロキサンの第2の層612内の開口部622、及び、接着剤層614内の開口部624を通して、皮膚と接触している様態になる。しかしながら、ここでは、ポリシロキサンの第1の層608内の開口部620は、第1の導電性層610の導体領域616に対して直接的にではなく、第2の導電性層650によりもたらされる第2の導体に対して開口する。この第2の導体は、ビア658の手段により、第1の導電性層610内の導体領域616に電気的に接続される。皮膚上で発生させられる信号は、そうして、第2の導電性層650を通してアクセス可能になる。
【0039】
製造プロセスにおいて、2つの導電性層の間のビアは、最初に、導電性層同士の間のポリシロキサンの中間層又は複数の中間層に対して凹部をパターニングすることにより形成される。導電性層が凹部の上方に堆積させられるとき、その凹部は、導電性層の流体導電性材料によって埋められた様態になり、硬化の後にビアを形成する。図6Aの実例において、ビア658は、ポリシロキサンの第3の層652を通って伸長する凹部をパターニングすることにより形成される。ポリシロキサンの第3の層652は、この実例において、ビア658のための凹部がポリシロキサンの第3の層652を通って伸長するようにパターニングされ、第1の導電性層610の導体領域616が堆積させられるとき、流体導電性材料が凹部を埋め、ビア658が形成される。
【0040】
したがって、図6Aの実例において、第1の導体は、第1の導電性層610によりもたらされ、第2の導体は、第2の導電性層650によりもたらされる。ビア658は、第1の導体及び第2の導体を電気的に接続する。したがって、第1の導体の皮膚接触部を通して(第1の導電性層610の検知領域618を通して)発生させられる信号は、第2の導体を通してアクセスされ得る(ポリシロキサンの第1の層608内の開口部620を通しての導電性層650へのアクセス)。代替的には、電気的信号が、第2の導体を通して皮膚上に送り込まれることがある。
【0041】
図6Bの実例は、さらなる選択肢を例解し、ポリシロキサンの第1の層608と、第1の導電性層610との間の前記さらなる層は、図6Aによって説明された第2の導電性層650、ポリシロキサンの第3の層652と、さらには、第3の導電性層654と、ポリシロキサンの第4の層656とを含む。これらの層は、第1の導電性層610の前に、及び、図6Bにおいて示される順序において、ポリシロキサンの第1の層上に堆積させられる。
【0042】
図6Bの実例において、第2の導電性層650は、2つの別個の層部分650-1及び650-2を含むパターンへと形成される。これらの部分650-1及び650-2は、ポリシロキサンの第3の層652の堆積により、電気的に隔離された様態になり、そうして、2つの別個の導体を形成する。第3の導体が、そうして、第2の導電性層650の第2の部分650-2によりもたらされ得る。第4の導体が、検知領域670と導体領域672とを含む第3の導電性層654によりもたらされ得る。第3の導電性層654の検知領域670は、接着剤層614、ポリシロキサンの第2の層612、及び、ポリシロキサンの第4の層656内の開口部を通して、皮膚に露出された様態になる。多層構造に起因して、接着性パッチは、そうして、パッチの総体的な表面区域内の様々な場所における皮膚電極を含み得る。図6Bにおいて示されるように、第3の導電性層654の導体領域672は、ビア658の手段により、第2の導電性層650の部分650-2に別個に接続されることがある。したがって、第4の導体の皮膚接触部を通して(第3の導電性層654の検知領域670を通して)発生させられる信号は、第3の導体を通して外部的にアクセスされ得る(ポリシロキサンの第1の層608内の開口部678を通しての部分650-2へのアクセス)。代替的には、電気的信号が、第3の導体を通して入力され、第4の導体を通して皮膚上に送り込まれた様態になることがある。
【0043】
図6Cは、接着剤層614が、第1の導電層610の検知領域618に対する開口部624を含むようにパターニングされ、構造が、図1C又は図6A及び図6Bにおいて示されるポリシロキサンの第2の層612を含まないということにおいて、図1Aの実例と対応する実例を例解する。第1の導電性層610よりも下の層において、積重体は、図6Bの実例によって説明された層を含む(incude)。
【0044】
論考されたように、ビアは、交差なしにポリシロキサンの層を通って伸長し得る。このことは、説明された積重体が、皮膚パッチ内の自由に選択された場所において、入力及び出力インターフェースの様々な組み合わせを設け得るということを意味する。多層形式によって、エレクトロニクス、並びに以て、より複雑な回路及び動作機能の、高密度のパッケージングが可能になる。より早期に硬化させられる形式において凹部を埋め得る、及びさらには、凹部を形成するためにパターニングされ硬化させられ得る、流体の発明性のある使用に起因して、総体的な構造は、それでもなお、多層形式へと積重されるときでさえ、極めて薄いままである。したがって、パッチが接着によって皮膚上に張り付けられるとき、そのパッチは、皮膚のしわ、輪郭、及び弾性的な動きと共形になり、そのことによって、皮膚パッチによって実現される測定により引き起こされる支障は最小化される。
【0045】
図6A図6Cにおいて確認され得るように、導電性層によりもたらされる導体は、必ずしも下側の表面区域全体を被覆しないパターンである。図において、層積重体内の、参照番号のない箱は、堆積プロセスのウェット段階に起因して、導電性層の、下側のパターンにより被覆されない領域の少なくとも一部分を埋める、ポリシロキサン又は接着剤材料の物量を例解する。
【0046】
図7A及び図7Bは、皮膚パッチのための多層積重体内の皮膚上部分700についてのさらなる実例を例解する。図1Aから図1C図6Aから図6C、及び、図7Aから図7Bにおいて互いと対応する要素は、同様の参照番号によって指し示され、それらの要素のための追加的な説明は、図1Aから図1Cの、及び、図6Aから図6Cの説明から参照されることがある。
【0047】
図7Aの実例は、図6Bによって説明された実例と対応する。図6Bにおいてのように、皮膚上部分700は、ポリシロキサンの第1の層708と、第1の導電性層710によりもたらされる第1の導体と、ポリシロキサンの第2の層712と、接着剤層714とを含む。第1の導電性層710は、導体領域716と、導体領域716との電気的接続の様態にある検知領域718とを含んでいるパターンへと形成される。さらには、この実例において、多層構造のさらなる層は、図7Aにおいて示される順序において、第2の導電性層750と、ポリシロキサンの第3の層752と、ポリシロキサンの第4の層756とを含む。第2の導電性層750は、やはり、導電性材料の2つの別個の層部分750-1及び750-2の形式へとパターニングされる。これらの部分750-1及び750-2は、ポリシロキサンの第3の層752の堆積により、電気的に隔離された様態になり、そうして、2つの別個の導体、第2の導体及び第3の導体を形成する。
【0048】
しかしながら、今回は、第4の導体は、2つの重なる導電層、第3の導電性層780及び第4の導電性層782によりもたらされる。第3の導電性層780は、第4の導体の導体領域をもたらし、第4の導電性層782は、第4の導体の検知領域をもたらす。第3の導電性層780は、ポリシロキサンの第3の層752上のパターンとして堆積させられ、第4の導電性層782は、第3の導電性層780上のパターンとして堆積させられる。ポリシロキサンの第4の層756は、第3の導電性層780の頂部上に堆積させられ、第4の導電性層782は、そのウェット堆積段階中に、下側の第3及び第4の導電性層780、782内の空隙空間を埋める。ポリシロキサンの第3の層754及びポリシロキサンの第4の層756は、ビア758のための凹部を含むようにパターニングされ、その凹部は、第1の導電層710の導体領域716の堆積において、導電性材料によって埋められた様態になる。ポリシロキサンの第3の層754は、さらには、ビア774のための凹部を含むようにパターニングされ、その凹部は、第3の導電層780の堆積において、導電性材料によって埋められた様態になる。第4の導電性層782の後に堆積させられる、ポリシロキサンの第2の層712及びポリシロキサンの第4の層756、並びに接着剤層714は、第4の導体の導電性層782の少なくとも一部分に対する開口部をもたらす凹部を含むようにパターニングされる。
【0049】
したがって、図7Aの実例において、第1の導体の皮膚接触部を通して(第1の導電性層710の検知領域718を通して)発生させられる信号は、第2の導体を通して外部的にアクセスされ得る(ポリシロキサンの第1の層708内の開口部720を通しての部分750-1へのアクセス)。代替的には、電気的信号が、第2の導体を通して入力され、第1の導体を通して皮膚上に送り込まれることがある。第3の導体は、第2の導電性層750の第2の部分750-2によりもたらされ、第4の導体は、第3の導電性層780及び第4の導電性層782の組み合わせによりもたらされる。第4の導体の皮膚接触部を通して(第3の導電性層782によりもたらされる検知領域を通して)発生させられる信号は、第3の導体を通して外部的にアクセスされ得る(ポリシロキサンの第1の層708内の開口部778を通しての部分750-2へのアクセス)。代替的には、電気的信号が、第3の導体を通して入力され、第4の導体を通して皮膚上に送り込まれることがある。
【0050】
図7Aの実例において、ポリシロキサンの第4の層756、ポリシロキサンの第2の層712、及び接着剤層714は、ポリシロキサンの第3の層752の頂部上に形成され、第4の導体の検知領域782を、その検知領域782が接着剤層により包囲される位置において露出する。このことは、第3のコネクタ780の周りの皮膚への確固とした接続が確実にされるということを意味する。
【0051】
図7Bは、構造が、図7Aにおいて示されるポリシロキサンの第2の層712を含まないということにおいて、図1A又は図6Cの実例と対応する実例を例解する。第1の導電性層710よりも下の層において、積重体は、図7Aの実例によって説明された層を含む。
【0052】
本明細書において説明された実例は、本発明を開示するために必要な要素及び用語の概略的及び非制約的な例解である。例えば、一部の実例において検知領域及び導体領域の両方をもたらす導電性層は、一方の導電性層が検知領域をもたらし、他方の導電性層が導体領域をもたらす、2つの導電性層により置換されることがあり、逆もしかりである。図6Aから図6C、及び、図7Aから図7Cの実例積重体は、ポリシロキサンの第2の層を伴う、及び伴わない積重体を示すが、ポリシロキサン又は他の適する材料の、1つ又は複数の追加的な層が、同じくらい良好に積重体内に含まれ得る。当業者にとって、説明された構造及び堆積段階が、ここでは明白に示されないが、添付される特許請求の範囲の範囲により包含される、様々な可能な実現形態選択肢を有するということは明らかである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
【国際調査報告】