(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】二相及び調整可能な流体の流れを用いた、ガラスを製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C03B 17/06 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
C03B17/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577382
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022032471
(87)【国際公開番号】W WO2022271442
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】油田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】アグラワル,アンモル
(72)【発明者】
【氏名】センパ,マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クニタケ,ミキ ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】モラガ,フランシスコ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ムディラージ,シャム プラサド
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ウェンチャオ
(57)【要約】
ガラスを製造するための装置及び方法は、溶融ガラスから熱を抽出するように構成された熱抽出器を含む。熱抽出器は、第1の導管と、該第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管を含みうる少なくとも1つの第2の導管とを備えている。第1の導管及び少なくとも1つの第2の導管は流体を流すように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスを製造するための装置において、
溶融ガラスから熱を抽出するように構成された熱抽出器であって、該熱抽出器が第1の導管と少なくとも1つの第2の導管とを備えており、前記第1の導管及び前記少なくとも1つの第2の導管が前記熱抽出器の長さに沿って延在し、前記第1の導管及び前記少なくとも1つの第2の導管の各々が流体を流すように構成されている、熱抽出器
を備えている、ガラスを製造するための装置。
【請求項2】
前記第1の導管が液体を流すように構成されており、前記少なくとも1つの第2の導管が、前記第1の導管を周方向に取り囲み、ガスを流すように構成されている複数の第2の導管を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記熱抽出器が実質的に円筒形の本体を含み、前記第1の導管が前記実質的に円筒形の本体の中心軸に沿って延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の導管が、前記液体を前記熱抽出器の前記長さに沿って第1の方向に流すように構成されており、前記第2の導管のうちの少なくとも1つが、前記ガスを前記第1の方向に流すように構成されており、前記第2の導管のうちの少なくとも1つが、前記ガスを前記熱抽出器の前記長さに沿って対向する第2の方向に流すように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、前記熱抽出器と流体連通した流体移送機構をさらに備えており、該流体移送機構が、前記熱抽出器の前記複数の第2の導管にガスを供給するように構成されたガス入口導管、前記熱抽出器の前記複数の第2の導管からガスを受け取るように構成されたガス出口導管、液体を前記熱抽出器の前記第1の導管に供給するように構成された液体入口導管、及び前記熱抽出器の前記第1の導管から液体を受け取るように構成された液体出口導管を備えている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記流体移送機構が、前記熱抽出器の第1の端部と流体連通した第1のセクションと、前記熱抽出器の第2の端部と流体連通した第2のセクションとを備えており、前記第1のセクションにおいて、前記ガス入口導管が前記ガス出口導管を周方向に取り囲み、前記ガス出口導管が前記液体入口導管を周方向に取り囲んでおり、前記第2のセクションにおいて、前記ガス入口導管が前記ガス出口導管を周方向に取り囲み、前記ガス出口導管が前記液体出口導管を周方向に取り囲んでいる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の導管がガスを流すように構成されており、前記少なくとも1つの第2の導管が液体を流すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2の導管が、前記第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が複数の半径方向に延在するチャネルを備えており、各半径方向に延在するチャネルが、前記第1の導管と前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つとの間に延在し、ガスを前記第1の導管から前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つに向かって流すように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の第2の導管の各々が、軸長に沿って延在する複数の開口を備えた流体移送機構の軸長に沿って延在し、前記複数の開口の各々が、前記複数の第2の導管の各々から液体を流すように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
ガラスを製造する方法であって、
ガラス送給デバイスから溶融ガラスを流すステップ、
熱抽出器を用いて前記溶融ガラスから熱を抽出するステップであって、該熱抽出器が第1の導管と少なくとも1つの第2の導管とを備えており、前記第1の導管及び前記少なくとも1つの第2の導管が前記熱抽出器の長さに沿って延在し、前記抽出するステップが、前記第1の導管及び前記少なくとも1つの第2の導管を通して流体を流すことを含む、抽出するステップ
を含む、方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2の導管が、前記第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管を含み、前記抽出するステップが、前記第1の導管を通る液体と前記複数の第2の導管の各々を通るガスを流すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抽出するステップが、前記第1の導管を通るガスと前記少なくとも1つの第2の導管を通る液体を流すことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2の導管が、前記第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記装置が複数の半径方向に延在するチャネルを備えており、各半径方向に延在するチャネルが、前記第1の導管と前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つとの間に延在し、前記抽出するステップが、ガスを前記第1の導管から前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つに向かって流すことを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2021年6月21日出願の米国仮特許出願第63/212,863号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願はさらに、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2022年5月16日出願の米国仮特許出願第63/342,273号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0003】
本開示は、概して、ガラスを製造するための装置及び方法に関し、より詳細には、二相及び調整可能な流体の流れを用いた、ガラスを製造するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
テレビ並びに電話及びタブレットなどの携帯端末を含めた、ディスプレイ用途のガラスシートなどのガラス物品の製造において、溶融ガラスは、成形デバイスから溶融ガラスを流すことによってガラスシートへと成形することができる。このようなディスプレイ用途は、ますます平坦な薄いガラスの需要を包含している。成形デバイスから流れるガラスの粘度に応じて、所望の特性を備えたガラス物品を効率的かつ確実に形成するために、ガラスの粘度を迅速に変更又は調整することが必要とされる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、ガラスを製造するための装置を含む。該装置は、溶融ガラスから熱を抽出するように構成された熱抽出器を備えている。熱抽出器は、第1の導管と少なくとも1つの第2の導管とを備えており、該少なくとも1つの第2の導管は、第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管を含みうる。第1の導管及び少なくとも1つの第2の導管は、熱抽出器の長さに沿って延在する。第1の導管及び少なくとも1つの第2の導管の各々は、流体を流すように構成される。
【0006】
本明細書に開示される実施形態はまた、ガラスを製造する方法も含む。該方法は、ガラス送給デバイスから溶融ガラスを流すステップを含む。該方法は、熱抽出器を用いて溶融ガラスから熱を抽出するステップも含む。熱抽出器は、第1の導管と少なくとも1つの第2の導管とを含み、該少なくとも1つの第2の導管は、第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管を含みうる。第1の導管及び少なくとも1つの第2の導管は、熱抽出器の長さに沿って延在する。抽出するステップは、第1の導管及び少なくとも1つの第2の導管を通して流体を流すことを含む。
【0007】
本明細書に開示される実施形態のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載されており、一部にはその説明から当業者には容易に明らかになり、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、本明細書に記載されるように開示される実施形態を実施することによって認識される。
【0008】
前述の概要及び後述する詳細な説明はいずれも、特許請求の範囲に記載される実施形態の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は本開示のさまざまな実施形態を例証しており、その説明とともに、それらの原理及び動作を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例となるフュージョンダウンドローガラス製造装置及びプロセスの概略図
【
図2】本明細書に開示される実施形態による、対向する一対の成形ロールを備えた例となるガラス製造装置の概略的な斜視端面図
【
図3】本明細書に開示される実施形態による、単一の成形ロールを備えた例となるガラス製造装置の概略的な斜視端面図
【
図4】本明細書に開示される実施形態による、単一の成形ロール160と対向する一対の成形ロール100とを備えた例となるガラス製造装置の概略的な斜視端面図
【
図5】本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器の概略的な端部断面図
【
図6】本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器の概略的な側面断面図
【
図7】本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器及び流体移送機構の概略的な側面断面図
【
図8】本明細書に開示される実施形態による、単一の成形ロールを備えた例となるガラス製造装置の概略的な斜視側面図
【
図9】本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器の概略的な側面図
【
図11】本明細書に開示される実施形態による、例となる流体移送機構の概略的な側面図
【
図13】本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器の概略的な側面図
【
図16】本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器の概略的な側面図
【
図18】本明細書に開示される実施形態による、例となる流体移送機構の概略的な側面図
【
図20】本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器の概略的な側面図
【
図23】本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器の概略的な側面断面図
【
図26A】本明細書に開示される実施形態による、例となるノズルの概略的な上面図
【
図26B】本明細書に開示される実施形態による、例となるノズルの概略的な底面図
【
図27】本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器の概略的な側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
これより、その例が添付の図面に示されている本開示の好ましい実施形態について、詳細に説明する。可能な場合はいつでも、同一又は類似した部分についての言及には、図面全体を通して同じ参照番号が用いられる。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0011】
本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現することができる。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、その1つの特定の値から及び/又は他方の特定の値までを含む。同様に、例えば先行詞「約」の使用によって、値が近似値として表される場合、その特定の値は別の実施形態を形成することが理解されよう。さらには、範囲の各々の端点は、他の端点に関連して、及び他の端点とは独立してのいずれにおいても重要であることが理解されよう。
【0012】
本明細書で使用される方向用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部)は、描かれた図を参照してのみ作られており、絶対的な方向を意味することは意図していない。
【0013】
特に明記しない限り、本明細書に記載されるいずれの方法も、その工程が特定の順序で実行されることを必要とすること、若しくは、装置には特定の向きが必要であると解釈されることは決して意図していない。したがって、方法クレームが、そのステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、若しくは装置クレームが個々の構成要素に対する順序又は向きを実際に記載していない場合、あるいは、ステップが特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲又は明細書に別段に明確に述べられていない場合、若しくは装置の構成要素に対する特定の順序又は向きが記載されていない場合には、いかなる意味においても、順序又は方向が推測されることは決して意図していない。これには、次のような解釈のためのあらゆる非明示的根拠が当てはまる:ステップの配置、動作フロー、構成要素の順序、又は構成要素の方向に関する論理的事項;文法上の編成又は句読点から派生した平明な意味;及び、明細書に記載される実施形態の数又はタイプ。
【0014】
本明細書で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。よって、例えば、「ある1つの(a)」構成要素への言及は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、そのような構成要素を2つ以上有する態様を含む。
【0015】
本明細書で用いられる場合、「溶融ガラス」という用語は、その液相温度(それを超えると結晶相がガラスと平衡状態で共存することができない温度)以上にある、ガラス組成物を指す。
【0016】
本明細書で用いられる場合、「液相粘度」という用語は、その液相温度でのガラス組成物の粘度を指す。
【0017】
図1に例示的なガラス製造装置10が示されている。幾つかの例では、ガラス製造装置10は、溶融容器14を含むことができるガラス溶融炉12を備えることができる。溶融容器14に加えて、ガラス溶融炉12は、原料を加熱して該原料を溶融ガラスへと変換する加熱素子(本明細書でさらに詳しく説明される)などの1つ以上の追加の構成要素を含む。さらなる例では、ガラス溶融炉12は、溶融容器の近傍からの熱損失を低減する熱管理装置(例えば断熱構成要素)を含んでいてもよい。さらに別の例では、ガラス溶融炉12は、原材料のガラス溶融物への溶融を促進する電子デバイス及び/又は電気機械デバイスを含むことができる。さらにまた、ガラス溶融炉12は、支持構造(例えば、支持シャーシ、支持部材等)又は他の構成要素を含んでいてもよい。
【0018】
ガラス溶融容器14は、典型的には耐火セラミック材料、例えばアルミナ又はジルコニアを含む耐火セラミック材料などの耐火材料で構成される。幾つかの例では、ガラス溶融容器14は、耐火セラミックブリックで構成されていてもよい。ガラス溶融容器14の特定の実施形態は、以下により詳細に説明される。
【0019】
幾つかの例では、ガラス溶融炉をガラス製造装置の構成要素として組み込んで、ガラス基板、例えば連続長のガラスリボンを製造することができる。幾つかの例では、本開示のガラス溶融炉は、スロットドロー装置、フロートバス装置、フュージョンプロセスなどのダウンドロー装置、アップドロー装置、プレス圧延装置、チューブドロー装置、又は本明細書に開示される態様からの利益を享受するであろう他の任意のガラス製造装置を含む、ガラス製造装置の構成要素として組み込まれてもよい。例として、
図1は、その後に個別のガラスシートへと加工するためにガラスリボンを溶融延伸するためのフュージョンダウンドローガラス製造装置10の構成要素としてのガラス溶融炉12を概略的に示している。
【0020】
ガラス製造装置10(例えばフュージョンダウンドロー装置10)は、任意選択的に、ガラス溶融容器14に対して上流に位置付けられた上流側ガラス製造装置16を含みうる。幾つかの例では、上流側ガラス製造装置16の一部又は全体をガラス溶融炉12の一部として組み込むことができる。
【0021】
図示される例に示すように、上流側ガラス製造装置16は、貯蔵ビン18、原料送給デバイス20、及び該原料送給デバイスに接続されたモータ22を備えることができる。貯蔵ビン18は、矢印26で示すように、ガラス溶融炉12の溶融容器14に供給することができる、ある量の原料バッチ材料24を保管するように構成することができる。原料バッチ材料24は、典型的には、1つ以上のガラス形成金属酸化物と1つ以上の改質剤とを含む。幾つかの例では、原料送給デバイス20が所定量の原料バッチ材料24を貯蔵ビン18から溶融容器14へと送給するように、モータ22によって原料送給デバイス20に動力を与えることができる。さらなる例では、モータ22は、溶融容器14の下流で感知された溶融ガラスのレベルに基づいて制御された速度で原料バッチ材料24を導入するように原料送給デバイス20に動力を与えることができる。その後、溶融容器14内の原料バッチ材料24を加熱して溶融ガラス28を形成することができる。
【0022】
ガラス製造装置10はまた、任意選択的に、ガラス溶融炉12に対して下流に位置付けられた下流側ガラス製造装置30を含むことができる。幾つかの例では、下流側ガラス製造装置30の一部をガラス溶融炉12の一部として組み込むことができる。幾つかの事例では、以下で論じる第1の接続導管32、又は下流側ガラス製造装置30の他の部分をガラス溶融炉12の一部として組み込むことができる。第1の接続導管32を含む下流側ガラス製造装置の要素は、貴金属から形成することができる。適切な貴金属には、白金、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、及びパラジウムからなる金属の群から選択される白金族金属、又はそれらの合金が含まれる。例えば、ガラス製造装置の下流構成要素は、約100質量%から約60質量%の白金及び約0質量%から約40質量%のロジウムを含む白金-ロジウム合金から形成することができる。しかしながら、他の適切な金属として、モリブデン、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、及びそれらの合金を挙げることができる。酸化物分散強化(ODS)貴金属合金も可能である。
【0023】
下流側ガラス製造装置30は、溶融容器14の下流に位置し、かつ、上記第1の接続導管32によって溶融容器14に結合された、清澄容器34などの第1の調整(すなわち、処理)容器を含みうる。幾つかの例では、溶融ガラス28は、第1の接続導管32によって溶融容器14から清澄容器34へと重力供給されてもよい。例えば、重力によって、溶融ガラス28を、溶融容器14から清澄容器34へと第1の接続導管32の内部経路を通過させることができる。しかしながら、他の調整容器を、例えば溶融容器14と清澄容器34との間など、溶融容器14の下流に配置することができるものと理解されたい。幾つかの実施形態では、一次溶融容器からの溶融ガラスをさらに加熱して溶融プロセスを継続するか、又は清澄容器に入る前に溶融容器内の溶融ガラスの温度より低い温度へと冷却する調整容器を溶融容器と清澄容器との間に用いることができる。
【0024】
気泡は、清澄容器34内の溶融ガラス28から、さまざまな技法によって除去することができる。例えば、原料バッチ材料24は、加熱されると化学還元反応を被り、酸素を放出する、酸化スズなどの多価化合物(すなわち清澄剤)を含みうる。他の適切な清澄剤としては、限定はしないが、ヒ素、アンチモン、鉄、及びセリウムが挙げられる。清澄容器34は、溶融容器温度より高い温度へと加熱され、それによって溶融ガラスと清澄剤を加熱する。清澄剤の温度誘発性の化学還元によって生じた酸素気泡は、清澄容器内の溶融ガラスを通って上昇し、ここで、溶融炉内で生成した溶融ガラス内のガスは、清澄剤によって生成された酸素気泡中に拡散又は一体化しうる。次に、拡大した気泡は、清澄容器内の溶融ガラスの自由表面へと上昇し、その後、清澄容器から排出されうる。酸素気泡はさらに、清澄容器内での溶融ガラスの機械的混合も生じさせることができる。
【0025】
下流側ガラス製造装置30は、溶融ガラスを混合するための混合容器36など、別の調整容器をさらに含むことができる。混合容器36は、清澄容器34の下流に配置することができる。混合容器36を使用して均質なガラス溶融組成物をもたらし、それによって、そうでなければ清澄容器から出る清澄された溶融ガラス内に存在しうる化学的又は熱的不均一性のコードを低減することができる。示されるように、清澄容器34は、第2の接続導管38によって混合容器36に連結されうる。幾つかの例では、溶融ガラス28は、第2の接続導管38によって清澄容器34から混合容器36へと重力供給することができる。例えば、重力によって、溶融ガラス28を、清澄容器34から混合容器36へと第2の接続導管38の内部経路を通過させることができる。混合容器36が清澄容器34の下流に示されているが、混合容器36は、清澄容器34の上流に位置付けられてもよいことに留意すべきである。幾つかの実施形態では、下流側ガラス製造装置30は、例えば清澄容器34の上流の混合容器と清澄容器34の下流の混合容器など、複数の混合容器を含んでいてもよい。これらの複数の混合容器は、同じ設計のものであっても、異なる設計のものであってもよい。
【0026】
下流側ガラス製造装置30は、混合容器36の下流に配置することができる送給容器40などの別の調整容器をさらに含んでいてもよい。送給容器40は、溶融ガラス28を調整し、下流の成形装置内へと供給することができる。例えば、送給容器40は、出口導管44によって送給デバイス42への溶融ガラス28の一定の流れを調整及び/又は提供するためのアキュムレータ及び/又は流量制御装置として機能することができる。示されるように、混合容器36は、第3の接続導管46によって送給容器40に連結されうる。幾つかの例では、溶融ガラス28は、第3の接続導管46によって混合容器36から送給容器40へと重力供給されうる。例えば、重力によって、第3の接続導管46の内部経路を通って混合容器36から送給容器40へと溶融ガラス28を駆動させることができる。
【0027】
下流側ガラス製造装置30は、上述の送給デバイス42と入口導管50とを含む成形装置48をさらに含むことができる。出口導管44は、溶融ガラス28を送給容器40から成形装置48の入口導管50へと送給するように位置付けることができる。例えば、出口導管44は入口導管50の内面に入れ子にされ、かつ、そこから離間され、それによって出口導管44の外面と入口導管50の内面との間に位置付けられた溶融ガラスの自由表面を提供することができる。スロットドローガラス製造装置内の送給デバイス42は、溶融ガラスが流れて単一のガラスリボン58を生成する、送給オリフィス(例えば、スロット)46を備えることができ、該ガラスは、重力、エッジロール72、及びプルロール82などによってガラスリボンに張力を印加することにより、ガラスが冷えてガラスの粘度が増すにつれてガラスリボンの寸法を制御するように、底部エッジ56から延伸方向又は流れ方向60に延伸される。したがって、ガラスリボン58は、粘弾性転移を経て、ガラスリボン58に安定した寸法特性を与える機械的性質を獲得する。ガラスリボン58は、送給デバイス42の下流に位置づけられた対向する一対の成形ロール100と接触させることができる。
【0028】
図2は、本明細書に開示される実施形態による対向する一対の成形ロール100を備えた例となるガラス製造装置10の概略的な斜視端面図を示している。具体的には、
図2は、溶融ガラスをガラス送給デバイス42の送給オリフィス(例えばスロット)46に通して延伸方向60に流し、ガラスリボン58を形成するステップを示している。加えて、
図2は、ガラスリボン58の対向する側辺をガラス送給デバイス42の延伸方向60の下流に位置づけられた対向する一対の成形ロール100と接触させるステップを示しており、対向する対の各成形ロール100は、ガラスリボン58の対向する側辺の幅方向(
図8に「W」で示されている)に沿って延在する。成形ロール100の各々は、例えば、時計回り方向(破線の曲線矢印で示されている)に回転することができる。
【0029】
図3は、本明細書に開示される実施形態による単一の成形ロール160を備えた、例となるガラス製造装置10の概略的な斜視端面図を示している。具体的には、
図3は、溶融ガラスをガラス送給デバイス42の送給オリフィス(例えばスロット)46に通して延伸方向60に流し、ガラスリボン58を形成するステップを示している。加えて、
図3は、ガラスリボン58の第1の側をガラス送給デバイス42の延伸方向60の下流に位置づけられた単一の成形ロール160と接触させるステップを示しており、単一の成形ロール160は、ガラスリボン58の第1の側の幅方向(
図8に「W」で示されている)に沿って延在する。単一の成形ロール160は、例えば、時計回り方向(破線の曲線矢印で示で示されている)に回転することができる。
【0030】
図4は、本明細書に開示される実施形態による、単一の成形ロール160と対向する一対の成形ロール100とを備えた、例となるガラス製造装置10の概略的な斜視端面図を示している。具体的には、
図4は、溶融ガラスをガラス送給デバイス42の送給オリフィス(例えばスロット)46に通して延伸方向60に流し、ガラスリボン58を形成するステップを示している。加えて、
図4は、ガラスリボン58の第1の側をガラス送給デバイス42の延伸方向60の下流に位置づけられた単一の成形ロール160と接触させるステップ、及びガラスリボン58の対向する側辺を単一の成形ロール160の延伸方向60の下流に位置づけられた対向する一対の成形ロール100とさらに接触させるステップを示している。
【0031】
図5は、本明細書に開示される実施形態による例となる熱抽出器200の概略的な端部断面図を示している。熱抽出器200は、ガラスリボン58に接触するように構成されており、ガラスリボン58に対して回転可能である。熱抽出器200は単一の成形ロール160を備えており、該成形ロール160は、第1の導管162と、該第1の導管162を周方向に取り囲む複数の第2の導管164とを備えている。別の言い方をすると、熱抽出器200は、第1の導管162が中心軸に沿って延在する、実質的に円筒形の本体を備えている。
図5に示されるように、第1の導管162の直径は、複数の第2の導管164のいずれの直径よりも大きい。例えば、第1の導管162の直径は、複数の第2の導管162のいずれかの直径の約2倍から約10倍、さらには約3倍から約6倍を含めた、複数の第2の導管164のいずれかの少なくとも約2倍、例えば少なくとも約3倍、さらには少なくとも約4倍の直径でありうる。また、
図5は8つの第2の導管164を示しているが、本明細書に開示される実施形態は、熱抽出器200が任意の数の第2の導管164を備えているものを含む。
【0032】
本明細書に開示される実施形態は、第1の導管162が液体を流すように構成されており、複数の第2の導管164がガスを流すように構成されているものを含む。ある特定の例となる実施形態では、液体は、水であるか、又は水を含むことができ、ガスは、空気であるか、又は空気を含むことができる。本明細書に開示される実施形態は、液体及び/又はガスが、例えば、有機液体、窒素、ヘリウム、ネオン、又はアルゴンを含むものを含むこともできる。
【0033】
図6は、本明細書に開示される実施形態による例となる熱抽出器200の概略的な側面断面図を示している。具体的には、
図6は、
図5に示される例となる熱抽出器200の概略的な側面断面図を示しており、該熱抽出器200は単一の成形ロール160を備えており、該成形ロール160は、第1の導管162と、該第1の導管162を周方向に取り囲む複数の第2の導管164とを備えている。
【0034】
図6に示されるように、第1の導管162は、熱抽出器200の長さに沿って第1の方向に(
図6にLFとして示されている)液体を流すように構成されており、第2の導管164のうちの少なくとも1つは、第1の方向に(
図6にGF1として示されている)ガスを流すように構成されており、第2の導管164のうちの少なくとも1つは、熱抽出器200の長さに沿って対向する第2の方向に(
図6にGF2として示されている)ガスを流すように構成されており、したがって、動作中、液体が第1の導管162内を熱抽出器200の長さに沿って第1の方向(LF)に流れ、ガスが第2の導管164のうちの少なくとも1つ内に第1の方向(GF1)に流れ、ガスが第2の導管164のうちの少なくとも1つ内に熱抽出器200の長さに沿って対向する第2の方向(GF2)に流れる。
【0035】
図5に示されるようなある特定の例となる実施形態では、ガスは、熱抽出器200の第1の導管162を周方向に取り囲む交互の第2の導管164内を反対方向に流れうる。例えば、第2の導管164のうちの第1の導管では、ガスは、熱抽出器200の長さに沿って第1の方向に流れることができる一方、第2の導管164のうちの隣接する第2の導管では、ガスは、熱抽出器200の長さに沿って対向する第2の方向に流れることができ、熱抽出器200の第1の導管162を周方向に取り囲む第2の導管164のすべてについても同様である。
【0036】
したがって、本明細書に開示される実施形態は、ガスが、熱抽出器200の第2の導管164の半分に沿って第1の方向に流れ、熱抽出器200の第2の導管164の残りの半分に沿って対向する第2の方向に流れるものを含む。本明細書に開示される実施形態は、ガスが、熱抽出器200の第2の導管164の半分より多くに沿って第1の方向に流れ、熱抽出器200の第2の導管164の半分未満に沿って対向する第2の方向に流れるものを含む。本明細書に開示される実施形態は、ガスが、熱抽出器200の第2の導管164の半分未満に沿って第1の方向に流れ、熱抽出器200の第2の導管164の残りの半分より多くに沿って対向する第2の方向に流れるものも含む。
【0037】
熱抽出器200の異なる第2の導管164に沿ってガスを対向する方向に流すことにより、熱抽出器200の長さに沿ってより均一な温度分布を可能にすることができる。例えば、
図8に示されるように、単一の成形ロール160を備えた熱抽出器200は、ガラスリボン58の第1の幅方向端部58aに近接する第1の端部160aとガラスリボン58の第2の幅方向端部58bに近接する第2の端部160bとをさらに含むことができ、熱抽出器200の第1の端部160aの表面温度(T1)は、熱抽出器200の第2の端部160bの表面温度(T2)の約5℃以内、例えば、約0.5℃から約5℃以内を含めた、約3℃以内、さらには約1℃以内にある。
【0038】
図7は、本明細書に開示される実施形態による、例となる熱抽出器200及び流体移送機構170の概略的な側面断面図を示している。熱抽出器200は単一の成形ロール160を含み、該成形ロール160はガラスリボン58に対して回転可能であり、第1の導管162と、該第1の導管162を周方向に取り囲む複数の第2の導管164とを備えている。流体移送機構170は、熱抽出器200の第1の端部160aと流体連通した第1のセクション170aと、熱抽出器200の第2の端部160bと流体連通した第2のセクション170bとを含む。加えて、流体移送機構170の第1及び第2のセクション170a、170bの各々は、熱抽出器200の複数の第2の導管164内にガスを供給するように構成されたガス入口導管176a、176bと、熱抽出器200の複数の第2の導管164からガスを受け取るように構成されたガス出口導管174a、174bとを含む。さらには、流体移送機構170の第1のセクション170aは、液体を熱抽出器200の第1の導管162内に供給するように構成された液体入口導管172aを含み、流体移送機構170の第2のセクション170bは、熱抽出器200の第1の導管162から液体を受け取るように構成された液体出口導管172bを含む。加えて、流体移送機構170の第1及び第2のセクション170a、170bの各々において、ガス入口導管176a、176bは、ガス出口導管174a、174bを周方向に取り囲み、一方、第1のセクション170aでは、ガス出口導管174aは液体入口導管172aを周方向に取り囲み、第2のセクションでは、ガス出口導管174bは液体出口導管172bを周方向に取り囲む。流体移送機構170の第1のセクション170aに流入する(及び流体移送機構170の第2のセクション170bから流出する)ガスの流れは、GF1として示されており、流体移送機構の第2のセクション170bに流入する(及び流体移送機構170の第1のセクション170aから流出する)ガスの流れは、GF2として示されている一方、流体移送機構170の内外への液体の流れは、LFとして示されている。
【0039】
熱抽出器が単一の成形ロール160を備えている、
図5~8に示されているものなど、ある特定の例となる実施形態では、成形ロール160と接触する前(
図8にV1で示されている)のガラスリボン58の粘度は、約1ポアズ(P)から約10キロポアズ(kP)、例えば約10ポアズ(P)から約1キロポアズ(kP)の範囲にあり、及び成形ロール160と接触した後(
図8にV2で示されている)のガラスリボン58の粘度は、約50キロポアズ(kP)から約500キロポアズ(kP)、例えば約100キロポアズ(kP)から約200キロポアズ(kP)の範囲にある。
【0040】
また、熱抽出器200は単一の成形ロール160を備えているものとして
図5~8に示されているが、本明細書に開示される実施形態は、熱抽出器200が、溶融ガラス及び/又はガラスリボン58と接触するように構成されていない対向する一対の成形ロール100及び/又は熱抽出構成要素(図示せず)などの他のガラス製造構成要素を備えているものを含む。
【0041】
ある特定の例となる実施形態では、単一の成形ロール160は、その開示全体がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2009/070236号に示され記載されている成形ロールに従って構成することができる。単一の成形ロール160は、成形ロール160とガラスリボン58との間に制御可能な接着力を提供するように構成することができる。単一の成形ロール160の直径は、いかなる特定の値にも限定されないが、例えば、約50ミリメートルから約500ミリメートルの範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲にありうる。加えて、単一の成形ロール160は、任意の特定の耐火性材料には限定されないが、金属材料(例えば、ステンレス鋼、及び/又はニッケル、及び/又はコバルト基合金、及び/又はニッケルクロム基超合金、例えば、Inconel)及び/又は耐火性セラミック材料を含みうる、耐火性材料を含みうる。
【0042】
ある特定の例となる実施形態では、成形ロール100は、その開示全体がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、国際公開第2009/070236号に示され記載されている成形ロールに従って構成することができる。成形ロール100の直径は、いかなる特定の値にも限定されないが、例えば、約20ミリメートルから約400ミリメートルの範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲にありうる。加えて、成形ロール100は、任意の特定の耐火性材料には限定されないが、金属材料(例えば、ステンレス鋼、及び/又はニッケル、及び/又はコバルト基合金、及び/又はニッケルクロム基超合金、例えば、Inconel)及び/又は耐火性セラミック材料を含みうる、耐火性材料を含みうる。
【0043】
ある特定の例となる実施形態では、熱抽出器200は、約10W/m・Kから約500W/m・Kの範囲、例えば約15W/m・Kから約300W/m・K、さらには約20W/m・Kから約100W/m・Kの範囲の25℃における熱伝導率を有する材料を含む。ある特定の例となる実施形態では、熱抽出器200は、Inconel、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、コバルト、銀、金、白金、アルミニウム、モリブデン、タングステン、又は銅から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0044】
ある特定の例となる実施形態では、第1の導管162を通って流れる液体は、少なくとも約20℃の温度、例えば約20℃から約100℃の範囲の温度、例えば約30℃から約90℃、さらには約40℃から約80℃の温度を有する。ある特定の例となる実施形態では、第2の導管164の1つ以上を通って流れるガスは、少なくとも約20℃の温度、約20℃から約600℃、例えば約30℃から約500℃、さらには約40℃から約400℃などの範囲の温度を有する。
【0045】
送給デバイス42は、例えば、特定の耐火性材料に限定されないが、金属材料(例えば、白金又はその合金)及び/又は耐火性セラミック材料を含むことができる耐火物で構成することができる。
【0046】
送給デバイス42(例えば、送給オリフィス46)と単一の成形ロール160との間の最近接距離は、いかなる特定の値にも限定されないが、例えば、約2ミリメートルから約5メートルの範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。
【0047】
送給デバイス42(例えば、送給オリフィス46)とそれらの最近接点における成形ロール100との間の最近接距離(すなわち、それらのニップ距離)は、いかなる特定の値にも限定されないが、例えば、約2ミリメートルから約5メートルの範囲、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲でありうる。
【0048】
ある特定の例となる実施形態では、送給デバイス42から流れる溶融ガラスは、約100キロポアズ(kP)以下の液相粘度、例えば約100ポアズ(P)から約100キロポアズ(kP)の範囲の液相粘度、さらには約500ポアズ(P)から約50キロポアズ(kP)の範囲の液相粘度、さらには約1キロポアズ(kP)から約20キロポアズ(kP)の範囲の液相粘度、並びにそれらの間のすべての範囲及び部分範囲を含みうる。
【0049】
ある特定の例となる実施形態では、成形デバイス(例えば、送給デバイス42)から流れる溶融ガラスは、約900℃以上の液相温度、例えば約900℃から約1,450℃の範囲の液相温度、さらには約950℃から約1,400℃の範囲の液相温度、さらには約1,000℃から約1,350℃の範囲の液相温度を含みうる。
【0050】
ある特定の例となる実施形態では、少なくとも1つの成形ロール160又は100との接触時及び/又は接触後に、ガラスリボン58は、約0.5ミリメートル未満の厚さ、例えば約0.4ミリメートル未満の厚さ、さらには約0.3ミリメートル未満の厚さ、さらには約0.2ミリメートル未満の厚さ、約0.2ミリメートルから約0.4ミリメートルの厚さを含む、約0.1ミリメートルから約0.5ミリメートルの厚さなどを有する。
【0051】
ある特定の例となる実施形態では、熱抽出器200は、送給デバイス42から流れる溶融ガラスからのさまざまな量の熱を抽出するために使用することができる。例えば、限定はしないが、溶融ガラスの流量、溶融ガラスの温度、溶融ガラスの粘度、溶融ガラスの液相粘度、溶融ガラスの液相温度、ガラスリボン58の所望の幅、又はガラスリボン58の所望の厚さを含めた、さまざまな動作条件に応じて、溶融ガラスから抽出される熱の量を増減することが望ましい場合がある。
【0052】
ある特定の例となる実施形態では、送給デバイス42から流れる溶融ガラスから抽出される熱の量は、熱抽出器200を通って流れる少なくとも1つの流体の1つ以上のパラメータを変更することによって調整又は変更することができる。例えば、送給デバイス42から流れる溶融ガラスから抽出される熱の量は、第1の導管162を通る液体の流量、第1の導管162を通って流れる液体の温度、複数の第2の導管164のうちの少なくとも1つを通る少なくとも1つのガスの流量、又は複数の第2の導管164のうちの少なくとも1つを通って流れる少なくとも1つのガスの温度のうちの少なくとも1つを変化させることによって調整又は変更することができる。
【0053】
例えば、送給デバイス42から流れる溶融ガラスから抽出される熱の量は、第1の導管162を通る液体の流量を増加させることによって、第1の導管162を通って流れる液体の温度を低下させることによって、複数の第2の導管164のうちの少なくとも1つを通る少なくとも1つのガスの流量を増加させることによって、又は複数の第2の導管164のうちの少なくとも1つを通って流れる少なくとも1つのガスの温度を低下させることによって、増加させることができる。
【0054】
加えて、送給デバイス42から流れる溶融ガラスから抽出される熱の量は、第1の導管162を通る液体の流量を低下させることによって、第1の導管162を通って流れる液体の温度を増加させることによって、複数の第2の導管164のうちの少なくとも1つを通る少なくとも1つのガスの流量を低下させることによって、又は複数の第2の導管164のうちの少なくとも1つを通って流れる少なくとも1つのガスの温度を増加させることによって、低下させることができる。
【0055】
ある特定の例となる実施形態では、フィードバック制御機構又はフィードフォワード制御機構などの制御機構(図示せず)を使用して、溶融ガラス及び/又はガラスリボン58を制御又は調整することができ、この制御機構は、1つ以上の場所で溶融ガラス及び/又はガラスリボン58の少なくとも1つの条件を測定又は監視することができる。このような一又は複数の条件には、溶融ガラス及び/又はガラスリボン58の温度、粘度、厚さ、及び/又は流量が含まれるが、これらに限定されない。前記条件のうちの1つ以上に応じて、制御機構は、例えば、熱抽出器200を通って流れる少なくとも1つの流体の1つ以上のパラメータを制御又は調整することができる。
【0056】
図9は、本明細書に開示される実施形態による例となる熱抽出器200’の概略的な側面図を示している。
図10A及び10Bは、
図9の例となる熱抽出器200’の概略的な端部断面図を示しており、
図10Aは
図9の線A-Aに沿った断面図を示しており、
図10Bは
図9の線B-Bに沿った断面図を示している。
【0057】
熱抽出器200’は、第1の導管162’が中心軸に沿って延在する、実質的に円筒形の本体を備えている。熱抽出器200’は、該熱抽出器200’の軸長に沿って延在し、第1の導管162’の一部を周方向に取り囲む、複数の保持チャネル180をさらに備えている。加えて、熱抽出器200’は、各保持チャネル180に沿って周期的に延在する複数の空洞182を備えている。さらには、熱抽出器200’は、複数の半径方向に延在するチャネル184を備えており、各半径方向に延在するチャネル184は、第1の導管162’と複数の空洞182のうちの1つとの間に延在する。
【0058】
図11及び12は、それぞれ、本明細書に開示される実施形態による例となる流体移送機構170’の概略的な側面図及び端部断面図を示している。流体移送機構170’は、第2の導管164’が中心軸に沿って延在する、実質的に円筒形の本体を含む。流体移送機構170’は、その軸長に沿って延在する複数の開口186も含む。また、開口186は約120度離れて位置づけられているものとして
図12に示されているが、本明細書に開示される実施形態は、開口186が互いに対して他の配向で位置づけられているものを含む。
【0059】
図13は、本明細書に開示される実施形態による例となる熱抽出器200’の概略的な側面図を示している。
図14A及び14Bは、
図13の例となる熱抽出器200’の概略的な端部断面図を示しており、
図14Aは
図13の線A-Aに沿った断面図を示しており、
図14Bは
図13の線B-Bに沿った断面図を示している。
【0060】
熱抽出器200’は、第1の導管162’が中心軸に沿って延在する、実質的に円筒形の本体を備えている。熱抽出器200’は、複数の流体移送機構170’も備えており、該複数の流体移送機構170’の各々は、熱抽出器200’の保持チャネル180に沿って位置づけられており、複数の流体移送機構170’の各々は、第2の導管164’が中心軸に沿って延在する、実質的に円筒形の本体を備えている。さらには、熱抽出器200’は、複数の半径方向に延在するチャネル184を備えており、各半径方向に延在するチャネル184は、第1の導管162’と第2の導管164’との間に延在する。
【0061】
本明細書に開示される実施形態は、熱抽出器200’を介して熱を抽出することが、第1の導管162’を通るガス及び複数の第2の導管164’の各々を通る液体を流すことを含むように、第1の導管162’がガスを流すように構成されており、複数の第2の導管164’が液体を流すように構成されているものを含む。ある特定の例となる実施形態では、ガスは空気を含むことができ、液体は水を含むことができる。
【0062】
図15は、
図14Bの熱抽出器200’の一部の概略的な端部断面図を示している。具体的には、
図15は、
図14Bの領域Xに示されている熱抽出器200’の一部の概略的な端部断面図を示している。
図15に示されるように、流体移送機構170’は、熱抽出器200’の空洞182内に延在する。
図15にさらに示されるように、ガスが半径方向に延在するチャネル184を介して第1の導管162’から第2の導管164’に向かって流れるように、ガス(破線矢印Gで示されている)は、半径方向に延在するチャネル184から第2の導管164’を含む流体移送機構170’に向かって流れる(次に、第1の導管162’から半径方向に延在するチャネル184に流入する)。一方、液体(実線矢印Lで示されている)は、第2の導管164’から開口186を通って第1の導管162’から流れるガスに向かって流れる。次に、気液混合物(点線矢印GLで示されている)は、熱抽出器200’の周囲に向かって半径方向外側に流れる。
【0063】
図16は、本明細書に開示される実施形態による例となる熱抽出器200”の概略的な側面図を示している。
図17は、
図16の線C-Cに沿った
図16の例となる熱抽出器200”の概略的な端部断面図を示している。熱抽出器200”は、第1の導管162’が中心軸に沿って延在する、実質的に円筒形の本体を備えている。熱抽出器200”は、該熱抽出器200”の軸長に沿って延在し、第1の導管162’の一部を周方向に取り囲む、複数の空洞188をさらに備えている。さらには、熱抽出器200”は、複数の半径方向に延在するチャネル184を備えており、各半径方向に延在するチャネル184は、第1の導管162’と複数の空洞188のうちの1つとの間に延在する。
【0064】
図18は、本明細書に開示される実施形態による、例となる流体移送機構170”の概略的な側面図を示しており、
図19Aは、90度回転した
図18の領域Yに示されている流体移送機構170”の一部の側面図を示しており、
図19Bは、流体移送機構170”の概略的な端部断面図を示している。流体移送機構170”は、第2の導管164’が中心軸に沿って延在する、実質的に円筒形の本体を備えている。流体移送機構170”は、その軸長に沿って延在する複数の開口186も備えている。加えて、流体移送機構170”は複数の溝190を備えており、各溝190は、各開口186を包含する流体移送機構170”の外周領域の一部に沿って延在する。また、開口186は、約180度離れて位置づけられているものとして
図19Bに示されているが、本明細書に開示される実施形態は、開口186が互いに対して他の配向で位置づけられているものを含む。
【0065】
図20は、本明細書に開示される実施形態による例となる熱抽出器200”の概略的な側面図を示している。
図21は、
図20の線C-Cに沿った
図16の例となる熱抽出器200”の概略的な端部断面図を示している。熱抽出器200”は、第1の導管162’が中心軸に沿って延在する、実質的に円筒形の本体を備えている。熱抽出器200”は、複数の流体移送機構170”も備えており、該複数の流体移送機構170”の各々は、熱抽出器200”の空洞188に沿って位置づけられており、複数の流体移送機構170”の各々は、第2の導管164’が中心軸に沿って延在する、実質的に円筒形の本体を備えている。さらには、熱抽出器200”は、複数の半径方向に延在するチャネル184を備えており、各半径方向に延在するチャネル184は、第1の導管162’と第2の導管164’との間に延在する。
【0066】
本明細書に開示される実施形態は、熱抽出器200”を介して熱を抽出することが、第1の導管162’にガスを流し、複数の第2の導管164’の各々に液体を流すことを含むように、第1の導管162’がガスを流すように構成されており、複数の第2の導管164’が液体を流すように構成されているものを含む。ある特定の例となる実施形態では、ガスは空気を含むことができ、液体は水を含むことができる。
【0067】
図22は、
図21の熱抽出器200”の一部の概略的な端部断面図を示している。具体的には、
図22は、
図21の領域Zに示されている熱抽出器200”の一部の概略的な端部断面図を示している。
図22に示されるように、流体移送機構170”は、熱抽出器200”の空洞188内に延在する。
図21にさらに示されるように、ガスが半径方向に延在するチャネル184を介して、第1の導管162’から第2の導管164’に向かって流れるように、ガス(破線矢印Gで示されている)は、半径方向に延在するチャネル184から第2の導管164’を含む流体移送機構170”に向かって流れる(次に、第1の導管162’から半径方向に延在するチャネル184に流入する)。一方、液体(実線矢印Lで示されている)は、第2の導管164’から開口186を通って、溝190を介して第1の導管162’から流れるガスに向かって流れる。その後、気液混合物(点線矢印GLで示されている)は、熱抽出器200”の周囲に向かって半径方向外側に流れる。
【0068】
流体移送チャネル170”は、熱抽出器200”の空洞188に締りばめすることができ、ろう付け及び/又は溶接などの当業者に知られている方法を使用して熱抽出器200”に固定することができる。
【0069】
図23は、本明細書に開示される実施形態による例となる熱抽出器200’’’の概略的な側面断面図を示している。
図24は、
図23の例となる熱抽出器200’’’の概略的な端部断面図を示している。熱抽出器200’’’は、ほぼ平行な軸に沿って延在する2つの円筒形の本体を備えており、第1の導管162”は第1の軸に沿って延在し、第2の導管164”は第2の軸に沿って延在する。熱抽出器200’’’は複数のチャネル192も含み、該複数のチャネル192の各々は、第1の導管162”の直径にわたって延在し、第2の導管164”からの流体を、第1の導管162”からの流体を第2の導管164”から流れる流体と混合するように構成されたノズル194に向かって流すように構成されている。各チャネル192は、流体移送機構254を第1の導管162”及び/又は第2の導管164”に固定するための締結部品256(例えば、ねじ付き部材)を備えた流体移送機構254内に延在する。
【0070】
ある特定の例となる実施形態では、第1の導管162”は空気などの気体を流すように構成されており、第2の導管164”は水などの液体を流すように構成される。したがって、本明細書に開示される実施形態は、複数のチャネル192の各々が、第2の導管164”からの液体を、第1の導管162”からのガスを第2の導管164”から流れる液体と混合するように構成されたノズル194に向かって流すように構成されているものを含む。
【0071】
図25は、
図24の熱抽出器200’’’の一部の概略的な端部断面図を示している。具体的には、
図25は、
図24の領域Nに示されている熱抽出器200’’’の一部の概略的な端部断面図を示している。
図25に示されるように、流体移送機構254は、入口開口252を通ってノズル194の空洞250内に延びる。
図25にさらに示されるように、ガス(破線矢印Gで示される)は、半径方向開口198を介して空洞250内に流入する。一方、液体(実線矢印Lで示される)は、チャネル192から空洞250内に流入する。気液混合物(点線矢印GLで示される)は、出口開口196を介して空洞250から流出する。
【0072】
図26A及び26Bは、それぞれ、本明細書に開示される実施形態による例となるノズル194の概略的な上面図及び底面図を示している。ノズル194は、半径方向開口198によって周方向に取り囲まれた出口開口196及び入口開口252を含む。
【0073】
図27は、本明細書に開示される実施形態による例となる熱抽出器200””の概略的な側面断面図を示している。
図28は、
図27の例となる熱抽出器200””の概略的な端部断面図を示している。熱抽出器200””は、同じ軸に沿って延在する2つの円筒形の本体を含んでおり、第1の導管162”は、第2の導管164”が第1の導管162”に包まれるように、第2の導管164”を周方向に取り囲んでいる。熱抽出器200””は複数のチャネル192’も備えており、該複数のチャネル192’の各々は、第1の導管162”の半径方向長さにわたって延在し、第2の導管164”からの流体を、第1の導管162”からの流体を第2の導管164”から流れる流体と混合するように構成されたヘッド領域194’に向かって流すように構成されている。各チャネル192’は、流体移送機構254’を第1の導管162”及び/又は第2の導管164”に固定するための締結部品256(例えば、ねじ付き部材)を備えた流体移送機構254’内に延在する。
【0074】
熱抽出器200””は、第2の導管164”を第1の導管162”内に位置決めして固定するためのチャネル192’として、第1の導管162”の反対側の半径方向長さにわたって延在する締結部品260(例えば、ねじ付き部材)も含む。
【0075】
ある特定の例となる実施形態では、第1の導管162”は空気などの気体を流すように構成されており、第2の導管164”は水などの液体を流すように構成される。したがって、本明細書に開示される実施形態は、複数のチャネル192’の各々が、第2の導管164”からの液体を、第1の導管162”からのガスを第2の導管164”から流れる液体と混合するように構成されたヘッド領域194’に向かって流すように構成されているものを含む。
【0076】
図29は、
図28の熱抽出器200””の一部の概略的な端部断面図を示している。具体的には、
図29は、
図28の領域Mに示されている熱抽出器200””の一部の概略的な端部断面図を示している。
図29に示されるように、ガス(破線矢印Gで示されている)は、半径方向開口198’を介して空洞250’内に流入する。一方、液体(実線矢印Lで示されている)は、チャネル192’から空洞250’内に流入する。その後、気液混合物(点線矢印GLで示されている)は、出口開口196’を介して空洞250’から流出する。
【0077】
ある特定の例となる実施形態では、熱抽出器200’、200”、200’’’及び/又は200””を通って流れる空気などのガスは、流体移送機構170’及び/又は170”を通って流れる水などの液体と同じ方向に、第1の導管162’の軸長に沿って流れる。ある特定の例となる実施形態では、熱抽出器200’、200”及び/又は200’’’を通って流れる空気などのガスは、流体移送機構170’及び/又は170”を通って流れる水などの液体とは反対の方向に、第1の導管162’の軸長に沿って流れる。
【0078】
ある特定の例となる実施形態では、フィードバック制御機構又はフィードフォワード制御機構などの制御機構(図示せず)を使用して、熱抽出器200’、200”、200’’’、及び/又は200””を通って流れるガスの1つ以上のパラメータ、例えば流量又は温度を制御又は調整することができ、また、流体移送機構170’及び/又は170”を通って流れる液体の1つ以上のパラメータ、例えば流量又は温度を制御又は調整することができる。
【0079】
図9~29は、ほぼ円形の断面及びほぼ円筒形の流体移送機構170’及び170”を備えた、ほぼ円筒形の熱抽出器200’、200”、200’’’、及び200””を示しているが、本明細書に開示される実施形態は、熱抽出器200’、200”、200’’’及び/又は200””及び/又は流体移送機構170’及び/又は170”が多角形の断面を有するものなど、他の形状を有するものを含む。
【0080】
本明細書に開示される実施形態は、熱抽出器200、200’、200”、200’’’、及び/又は200””が、熱抽出器200、200’、200”、200’’’、及び/又は200””を周方向に取り囲むより大きい直径のロールに包まれているものを含む。例えば、熱抽出器200、200’、200”、200’’’、及び/又は200””は、単一の成形ロール160及び/又は対向する一対の成形ロール100に包まれていてもよい。
【0081】
本明細書に開示される実施形態はまた、ガラスを製造するための1つ以上の装置を含むシステムも含むことができる。例えば、本明細書に開示される実施形態は、溶融ガラスから熱を抽出する熱抽出器を備えたガラスを製造するためのシステムを含むことができ、熱抽出器は、第1の導管と、該第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管とを備えており、第1の導管及び複数の第2の導管は、熱抽出器の長さに沿って延在する。液体又はガスなどの流体が第1の導管を通って流れ、液体又はガスなどの流体が複数の第2の導管を通って流れる。
【0082】
本明細書に開示される実施形態は、溶融ガラスの温度、粘度、流量、液相粘度、及び/又は液相温度のうちの少なくとも1つに関連する変数が存在しうるものが含まれるが、これらに限定されない、さまざまな処理条件下で、所望の特性を備えたガラス物品の効率的かつ信頼性の高い製造を可能にすることができる。
【0083】
本明細書に開示される実施形態には、本明細書に記載される方法によって製造される、ガラスシートを含めたガラス物品、並びにそのようなガラス物品を組み込んだ電子デバイスも含まれる。
【0084】
上記の実施形態は、スロットドロープロセスを参照して説明されているが、このような実施形態は、フュージョンドロープロセス、フロートプロセス、アップドロープロセス、チューブドロープロセス、及びプレス圧延プロセスなどの他のガラス成形プロセスにも適用可能であるものと理解されたい。
【0085】
本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に対してさまざまな修正及び変形がなされうることは、当業者にとって明白であろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に入ることを条件として、そのような修正及び変形にも及ぶことが意図されている。
【0086】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0087】
実施形態1
ガラスを製造するための装置において、
溶融ガラスから熱を抽出するように構成された熱抽出器であって、該熱抽出器が第1の導管と少なくとも1つの第2の導管とを備えており、前記第1の導管及び前記少なくとも1つの第2の導管が前記熱抽出器の長さに沿って延在し、前記第1の導管及び前記少なくとも1つの第2の導管の各々が流体を流すように構成されている、熱抽出器
を備えている、ガラスを製造するための装置。
【0088】
実施形態2
前記第1の導管が液体を流すように構成されており、前記少なくとも1つの第2の導管が、前記第1の導管を周方向に取り囲み、ガスを流すように構成されている複数の第2の導管を含む、実施形態1に記載の装置。
【0089】
実施形態3
前記熱抽出器が実質的に円筒形の本体を含み、前記第1の導管が前記実質的に円筒形の本体の中心軸に沿って延在する、実施形態1に記載の装置。
【0090】
実施形態4
前記熱抽出器が前記溶融ガラスに接触するように構成される、実施形態1に記載の装置。
【0091】
実施形態5
前記熱抽出器が、ガラス送給デバイスから流れるガラスリボンの第1の側と接触するように構成された単一の成形ロールを含む、実施形態3に記載の装置。
【0092】
実施形態6
前記熱抽出器が対向する一対の成形ロールを備えており、前記対向する対の各成形ロールが、ガラス送給デバイスから流れるガラスリボンの対向する側辺と接触するように構成されている、実施形態3に記載の装置。
【0093】
実施形態7
前記第1の導管が、前記液体を前記熱抽出器の前記長さに沿って第1の方向に流すように構成されており、前記第2の導管のうちの少なくとも1つが、前記ガスを前記第1の方向に流すように構成されており、前記第2の導管のうちの少なくとも1つが、前記ガスを前記熱抽出器の前記長さに沿って対向する第2の方向に流すように構成されている、実施形態2に記載の装置。
【0094】
実施形態8
前記装置が、前記熱抽出器と流体連通した流体移送機構をさらに備えており、該流体移送機構が、前記熱抽出器の前記複数の第2の導管にガスを供給するように構成されたガス入口導管、前記熱抽出器の前記複数の第2の導管からガスを受け取るように構成されたガス出口導管、液体を前記熱抽出器の前記第1の導管に供給するように構成された液体入口導管、及び前記熱抽出器の前記第1の導管から液体を受け取るように構成された液体出口導管を備えている、実施形態7に記載の装置。
【0095】
実施形態9
前記流体移送機構が、前記熱抽出器の第1の端部と流体連通した第1のセクションと、前記熱抽出器の第2の端部と流体連通した第2のセクションとを備えており、前記第1のセクションにおいて、前記ガス入口導管が前記ガス出口導管を周方向に取り囲み、前記ガス出口導管が前記液体入口導管を周方向に取り囲んでおり、前記第2のセクションでは、前記ガス入口導管が前記ガス出口導管を周方向に取り囲み、前記ガス出口導管が前記液体出口導管を周方向に取り囲んでいる、実施形態8に記載の装置。
【0096】
実施形態10
前記熱抽出器が、約10W/m・Kから約500W/m・Kの範囲の25℃における熱伝導率を有する材料を含む、実施形態1に記載の装置。
【0097】
実施形態11
前記第1の導管がガスを流すように構成されており、前記少なくとも1つの第2の導管が液体を流すように構成されている、実施形態1に記載の装置。
【0098】
実施形態12
前記装置が、液体を、前記少なくとも1つの第2の導管から、前記第1の導管からのガスを前記液体と混合するように構成されたノズル又はヘッド領域に向かって流すように構成された複数のチャネルを含む、実施形態11記載の装置。
【0099】
実施形態13
前記少なくとも1つの第2の導管が、前記第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管を含む、実施形態11記載の装置。
【0100】
実施形態14
前記装置が複数の半径方向に延在するチャネルを備えており、各半径方向に延在するチャネルが、前記第1の導管と前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つとの間に延在し、ガスを前記第1の導管から前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つに向かって流すように構成されている、実施形態13記載の装置。
【0101】
実施形態15
前記複数の第2の導管の各々が、軸長に沿って延在する複数の開口を備えた流体移送機構の軸長に沿って延在し、前記複数の開口の各々が、前記複数の第2の導管の各々から液体を流すように構成されている、実施形態13記載の装置。
【0102】
実施形態16
前記液体が水を含み、前記ガスが空気を含む、実施形態2又は11記載の装置。
【0103】
実施形態17
ガラスを製造する方法であって、
ガラス送給デバイスから溶融ガラスを流すステップ、
熱抽出器を用いて前記溶融ガラスから熱を抽出するステップであって、該熱抽出器が第1の導管と少なくとも1つの第2の導管とを備えており、前記第1の導管及び前記少なくとも1つの第2の導管が前記熱抽出器の長さに沿って延在し、前記抽出するステップが、前記第1の導管及び前記少なくとも1つの第2の導管を通して流体を流すことを含む、抽出するステップ
を含む、方法。
【0104】
実施形態18
前記少なくとも1つの第2の導管が、前記第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管を含み、前記抽出するステップが、前記第1の導管を通る液体と前記複数の第2の導管の各々を通るガスを流すことを含む、実施形態15に記載の方法。
【0105】
実施形態19
前記熱抽出器が実質的に円筒形の本体を含み、前記第1の導管が前記実質的に円筒形の本体の中心軸に沿って延在する、実施形態17に記載の方法。
【0106】
実施形態20
前記熱抽出器が前記溶融ガラスと接触する、実施形態17に記載の方法。
【0107】
実施形態21
前記熱抽出器が、前記ガラス送給デバイスから流れるガラスリボンの第1の側と接触する単一の成形ロールを含む、実施形態20に記載の方法。
【0108】
実施形態22
前記成形ロールと接触する前の前記ガラスリボンの粘度が約1ポアズ(P)から約10キロポアズ(kP)の範囲にあり、前記成形ロールと接触した後の前記ガラスリボンの前記粘度が約50キロポアズ(kP)から約500キロポアズ(kP)の範囲にある、実施形態21に記載の方法。
【0109】
実施形態23
前記熱抽出器が、前記ガラスリボンの第1の幅方向端部に近接する第1の端部と、前記ガラスリボンの第2の幅方向端部に近接する第2の端部とを備えており、前記熱抽出器の前記第1の端部の表面温度が、前記熱抽出器の前記第2の端部の表面温度の約5℃以内にある、実施形態22に記載の方法。
【0110】
実施形態24
前記熱抽出器が対向する一対の成形ロールを備えており、前記対向する対の各成形ロールが、前記ガラス送給デバイスから流れるガラスリボンの対向する側辺と接触する、実施形態20に記載の方法。
【0111】
実施形態25
前記液体が前記第1の導管内を前記熱抽出器の前記長さに沿って第1の方向に流れ、ガスが前記第2の導管のうちの少なくとも1つ内を前記第1の方向に流れ、ガスが前記第2の導管のうちの少なくとも1つ内を前記熱抽出器の前記長さに沿って対向する第2の方向に流れる、実施形態18に記載の方法。
【0112】
実施形態26
前記溶融ガラスから抽出される熱の量が、前記第1の導管を通る前記液体の流量、前記第1の導管を通って流れる前記液体の温度、前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つを通る少なくとも1つのガスの流量、又は前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つを通って流れる少なくとも1つのガスの温度のうちの少なくとも1つを変化させることによって変化する、実施形態18に記載の方法。
【0113】
実施形態27
前記抽出するステップが、前記第1の導管を通るガスと前記少なくとも1つの第2の導管を通る液体を流すことを含む、実施形態17に記載の方法。
【0114】
実施形態28
前記抽出するステップが、液体を、複数のチャネルを通して前記少なくとも1つの第2の導管から、前記第1の導管からのガスを前記液体と混合するノズル又はヘッド領域に向かって流すことを含む、実施形態27に記載の方法。
【0115】
実施形態29
前記少なくとも1つの第2の導管が、前記第1の導管を周方向に取り囲む複数の第2の導管を含む、実施形態27に記載の方法。
【0116】
実施形態30
前記装置が複数の半径方向に延在するチャネルを備えており、各半径方向に延在するチャネルが、前記第1の導管と前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つとの間に延在し、前記抽出するステップが、ガスを前記第1の導管から前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つに向かって流すことを含む、実施形態29に記載の方法。
【0117】
実施形態31
前記複数の第2の導管の各々が、軸長に沿って延在する複数の開口を備えた流体移送機構の軸長に沿って延在し、前記抽出するステップが、前記複数の第2の導管の各々から、前記複数の開口の各々を通して、前記第1の導管から流れる前記ガスに向かって、かつ前記複数の第2の導管のうちの少なくとも1つに向かって、液体を流すことを含む、実施形態30に記載の方法。
【0118】
実施形態32
前記液体が水を含み、前記ガスが空気を含む、実施形態18又は27に記載の方法。
【0119】
実施形態33
実施形態17から31のいずれかに記載の方法によって作られたガラス物品。
【0120】
実施形態34
実施形態33に記載のガラス物品を含む電子デバイス。
【符号の説明】
【0121】
10 ガラス製造装置
12 ガラス溶融炉
14 溶融容器
16 上流側ガラス製造装置
18 貯蔵ビン
20 原料送給デバイス
22 モータ
24 原料バッチ材料
28 溶融ガラス
30 下流側ガラス製造装置
32 第1の接続導管
34 清澄容器
36 混合容器
38 第2の接続導管
40 送給容器
42 送給デバイス
44 出口導管
46 第3の接続導管
50 入口導管
58 ガラスリボン
72 エッジロール
82 プルロール
100 一対の成形ロール
160 単一の成形ロール
162、162’、162” 第1の導管
164、164’、164” 第2の導管
170、170’、170”、254、254’ 流体移送機構
172a 液体入口導管
172b 液体出口導管
174a、174b ガス出口導管
176a、176b ガス入口導管
180 保持チャネル
182、188、250、250’ 空洞
184、192、192’ チャネル
186 開口
190 溝
194 ノズル
194’ ヘッド領域
196、196’ 出口開口
198 半径方向開口
200、200’、200”、200’’’、200”” 熱抽出器
252 入口開口
256 締結部品
【国際調査報告】