(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】シリコン材料処理装置、シリコン棒生産設備及びシリコン材料処理方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20240614BHJP
C30B 15/02 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C30B29/06 502A
C30B15/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577406
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2022122975
(87)【国際公開番号】W WO2023124337
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111622589.5
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522248559
【氏名又は名称】西安奕斯偉材料科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 1-3-029, No.1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(71)【出願人】
【識別番号】522248560
【氏名又は名称】西安奕斯偉硅片技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】XI’AN ESWIN SILICON WAFER TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】陳 凡
(72)【発明者】
【氏名】張 鵬舉
(72)【発明者】
【氏名】郭 超超
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF05
4G077PB11
4G077PB13
(57)【要約】
シリコン材料処理装置、シリコン棒生産設備及びシリコン材料処理方法であって、シリコン材料処理装置は、材料ロードエリア、スキャンエリア及び材料装入エリアを含む材料フィード部材と、スキャンエリアに対応して設けられ、スキャンエリアに位置するシリコン材料のシリコン材料情報を収集するためのスキャン部材であって、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴及び寸法特徴のうち、1つ又は複数が含まれるスキャン部材と、スキャン部材に接続され、シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するためのコントローラと、材料装入エリアに対応して設けられ、材料装入戦略に従って、材料装入エリアに位置するシリコン材料を目標位置に移動する材料装入部材とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン材料を搬送するための材料フィード部材であって、搬送方向に沿って順次に設けられた材料ロードエリア、スキャンエリア及び材料装入エリアを含み、前記材料フィード部材には、搬送すべきシリコン材料が前記材料ロードエリアにて添加される材料フィード部材と、
前記スキャンエリアに対応して設けられ、前記スキャンエリアに位置するシリコン材料のシリコン材料情報を収集するためのスキャン部材であって、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴及び寸法特徴のうち、1つ又は複数が含まれるスキャン部材と、
前記スキャン部材に接続され、前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するためのコントローラと、
前記材料装入エリアに対応して設けられ、前記材料装入戦略に従って、前記材料装入エリアに位置するシリコン材料を目標位置に移動する材料装入部材と
を含む、シリコン材料処理装置。
【請求項2】
前記材料フィード部材は、環状に設けられた伝送ベルトを含み、シリコン材料の搬送過程において、前記伝送ベルトは、前記材料ロードエリアから前記スキャンエリア及び前記材料装入エリアに至る方向に沿って循環回動する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記材料フィード部材は、前記材料装入エリアと前記材料ロードエリアとの間に位置するクリーニングエリアを更に含み、前記シリコン材料処理装置は、前記クリーニングエリアに対応して設けられたクリーニング部材であって、前記伝送ベルトにおける前記クリーニングエリアに位置する部分をクリーニングするためのクリーニング部材を更に含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記材料フィード部材は、前記材料ロードエリアと前記スキャンエリアとの間に位置する除塵エリアを更に含み、前記シリコン材料処理装置は、前記除塵エリアに対応して設けられた除塵部材であって、前記除塵エリアに位置するシリコン材料に対して除塵処理を行うための除塵部材を更に含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記除塵部材は、複数のエアーノズル、弧状軌道及び駆動部材を含み、前記弧状軌道は、前記伝送ベルトの上方に跨設され、前記エアーノズルは、前記弧状軌道上に設けられ、且つ前記伝送ベルトに向いて設けられ、前記駆動部材は、前記エアーノズルを駆動して前記弧状軌道上で往復移動させるためのものである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
結晶引上げ装置及び材料供給装置を含み、前記シリコン材料処理装置は、前記結晶引上げ装置にシリコン材料を提供するためのものであり、前記材料供給装置は、請求項1~5の何れか一項に記載のシリコン材料処理装置である、シリコン棒生産設備。
【請求項7】
シリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップであって、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴及び寸法特徴のうち、1つ又は複数が含まれるステップと、
前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するステップと、
前記材料装入戦略に従って、材料装入部材を制御して目標位置へシリコン材料を提供させるステップと
を含む、シリコン材料処理方法。
【請求項8】
前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴が含まれ、上述のシリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップは、
前記シリコン材料の全体形状をスキャンにより得て、前記全体形状に従って、前記シリコン材料の稜角係数であって、稜角の数及び稜角の鋭利度のうち、1つ又は複数が含まれる稜角係数を確定することと、
前記シリコン材料の表面構造をスキャンし、前記表面構造に従って、前記シリコン材料の平滑度係数を確定することと、
前記シリコン材料の形状特徴を含むシリコン材料情報であって、前記形状特徴には、前記稜角係数及び前記平滑度係数が含まれるシリコン材料情報を生成することと
を含む、請求項7に記載のシリコン材料処理方法。
【請求項9】
前記シリコン材料情報には、シリコン材料の寸法特徴が含まれ、上述のシリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップは、
前記シリコン材料の異なる次元での最大寸法をスキャンすることと、
前記シリコン材料の異なる次元での最大寸法の差分に従って、前記シリコン材料の寸法特徴を確定することと、
前記寸法特徴を含むシリコン材料情報を生成することと
を含む、請求項7に記載のシリコン材料処理方法。
【請求項10】
上述の前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するステップは、
シリコン棒の生産状態に従って、シリコン材料の形状特徴に対応する形状区間及び寸法特徴に対応する寸法区間のうち、少なくとも1つが含まれる材料投入区間を確定することと、
シリコン材料情報が前記材料投入区間を満たすシリコン材料を、添加すべきシリコン材料としてマークすることと、
シリコン材料情報が前記材料投入区間を満たさないシリコン材料を、再循環シリコン材料としてマークすることと
を含む、請求項7に記載のシリコン材料処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月28日に中国で出願された中国特許出願第202111622589.5号の優先権を主張し、その内容の全ては、参照により本願に組み込まれる。
本願は、半導体加工の技術分野に関し、特に、シリコン材料処理装置、シリコン棒生産設備及びシリコン材料処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術における単結晶シリコンであるシリコン棒の製作の際、主に、ポリシリコンであるシリコン材料を原料とし、シリコン材料を加熱して溶解した後、結晶引上げプロセスを介して、単結晶シリコンであるシリコン棒の製作を完成させる。関連技術における材料投入方式としては、通常、一定の重量ごとに、シリコン材料を溶解する坩堝内にシリコン材料を周期的に添加し、シリコン材料が加熱されて溶解されると、シリコン液が形成されるが、異なる形状及び異なる寸法のシリコン材料は、溶解速度及び効率が異なるため、シリコン材料の供給速度は、重量的に均一であるものの、シリコン液の供給速度にばらつきが生じ、その結果、結晶引上げ過程中に断線が発生し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の実施例は、結晶引上げ過程中に断線が発生し得るという問題を解決するためのシリコン材料処理装置、シリコン棒生産設備及びシリコン材料処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一局面において、本願の実施例には、
シリコン材料を搬送するための材料フィード部材であって、搬送方向に沿って順次に設けられた材料ロードエリア、スキャンエリア及び材料装入エリアを含み、前記材料フィード部材には、搬送すべきシリコン材料が前記材料ロードエリアにて添加される材料フィード部材と、
前記スキャンエリアに対応して設けられ、前記スキャンエリアに位置するシリコン材料のシリコン材料情報を収集するためのスキャン部材であって、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴及び寸法特徴のうち、1つ又は複数が含まれるスキャン部材と、
前記スキャン部材に接続され、前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するためのコントローラと、
前記材料装入エリアに対応して設けられ、前記材料装入戦略に従って、前記材料装入エリアに位置するシリコン材料を目標位置に移動する材料装入部材と
を含む、シリコン材料処理装置が提供されている。
【0005】
いくつかの実施例において、前記材料フィード部材は、環状に設けられた伝送ベルトを含み、シリコン材料の搬送過程において、前記伝送ベルトは、前記材料ロードエリアから前記スキャンエリア及び前記材料装入エリアに至る方向に沿って循環回動する。
【0006】
いくつかの実施例において、前記材料フィード部材は、前記材料装入エリアと前記材料ロードエリアとの間に位置するクリーニングエリアを更に含み、前記シリコン材料処理装置は、前記クリーニングエリアに対応して設けられたクリーニング部材であって、前記伝送ベルトにおける前記クリーニングエリアに位置する部分をクリーニングするためのクリーニング部材を更に含む。
【0007】
いくつかの実施例において、前記材料フィード部材は、前記材料ロードエリアと前記スキャンエリアとの間に位置する除塵エリアを更に含み、前記シリコン材料処理装置は、前記除塵エリアに対応して設けられた除塵部材であって、前記除塵エリアに位置するシリコン材料に対して除塵処理を行うための除塵部材を更に含む。
【0008】
いくつかの実施例において、前記除塵部材は、複数のエアーノズル、弧状軌道及び駆動部材を含み、前記弧状軌道は、前記伝送ベルトの上方に跨設され、前記エアーノズルは、前記弧状軌道上に設けられ、且つ前記伝送ベルトに向いて設けられ、前記駆動部材は、前記エアーノズルを駆動して前記弧状軌道上で往復移動させるためのものである。
【0009】
第二局面において、本願の実施例には、結晶引上げ装置及び材料供給装置を含み、前記シリコン材料処理装置は、前記結晶引上げ装置にシリコン材料を提供するためのものであり、前記材料供給装置は、上記の何れか一項に記載のシリコン材料処理装置である、シリコン棒生産設備が提供されている。
【0010】
第三局面において、本願の実施例には、
シリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップであって、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴及び寸法特徴のうち、1つ又は複数が含まれるステップと、
前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するステップと、
前記材料装入戦略に従って、材料装入部材を制御して目標位置へシリコン材料を提供させるステップと
を含む、シリコン材料処理方法が提供されている。
【0011】
いくつかの実施例において、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴が含まれ、上述のシリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップは、
前記シリコン材料の全体形状をスキャンにより得て、前記全体形状に従って、前記シリコン材料の稜角係数であって、稜角の数及び稜角の鋭利度のうち、1つ又は複数が含まれる稜角係数を確定することと、
前記シリコン材料の表面構造をスキャンし、前記表面構造に従って、前記シリコン材料の平滑度係数を確定することと、
前記シリコン材料の形状特徴を含むシリコン材料情報であって、前記形状特徴には、前記稜角係数及び前記平滑度係数が含まれるシリコン材料情報を生成することと
を含む。
【0012】
いくつかの実施例において、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の寸法特徴が含まれ、上述のシリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップは、
前記シリコン材料の異なる次元での最大寸法をスキャンすることと、
前記シリコン材料の異なる次元での最大寸法の差分に従って、前記シリコン材料の寸法特徴を確定することと、
前記寸法特徴を含むシリコン材料情報を生成することと
を含む。
【0013】
いくつかの実施例において、上述の前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するステップは、
シリコン棒の生産状態に従って、シリコン材料の形状特徴に対応する形状区間及び寸法特徴に対応する寸法区間のうち、少なくとも1つが含まれる材料投入区間を確定することと、
シリコン材料情報が前記材料投入区間を満たすシリコン材料を、添加すべきシリコン材料としてマークすることと、
シリコン材料情報が前記材料投入区間を満たさないシリコン材料を、再循環シリコン材料としてマークすることとを含む。
【発明の効果】
【0014】
本願の実施例における材料フィード部材は、スキャンエリアを含み、スキャンエリアに対応するスキャン部材を設けることで、スキャンエリアに位置するシリコン材料のシリコン材料情報を収集でき、さらに、シリコン材料情報に従って、それに応じた材料装入戦略を生成可能である。本実施例に係る技術案によれば、材料装入過程では、シリコン材料の形状及び寸法等の特徴によるシリコン材料の溶解速度への影響を考慮しているため、より安定したシリコン液の供給を実現でき、結晶引上げ工程中におけるシリコン棒の断線の可能性を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願の一実施例におけるシリコン材料処理方法のフローチャートである。
【
図2】本願の一実施例における材料フィード部材のエリア区画の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願の実施例における添付図面を参照して、本願の実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、明らかなことに、説明される実施例は、本願の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。矛盾しない限り、下記実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせ可能である。本願における実施例に基づいて、当業者によって創造的な労働を払わずに得られた他の実施例は、全て本願の保護範囲内に含まれる。
【0017】
本願の実施例は、シリコン材料処理装置を提供している。
【0018】
一実施例において、当該シリコン材料処理装置は、材料フィード部材200、スキャン部材、コントローラ及び材料装入部材を含む。
【0019】
本願の実施例は、シリコン材料処理方法を更に提供している。
【0020】
図1に示すように、一実施例において、当該シリコン材料処理方法は、
シリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップであって、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴及び寸法特徴のうち、1つ又は複数が含まれるステップ101と、
前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するステップ102と、
前記材料装入戦略に従って、材料装入部材を制御して目標位置へシリコン材料を提供させるステップ103と
を含む。
【0021】
当該シリコン材料処理方法には、本実施例におけるシリコン材料処理装置が適用される例を挙げて説明する。
【0022】
いくつかの実施例において、材料フィード部材200は、シリコン材料を搬送するためのものであり、
図2に示すように、材料フィード部材200は、搬送方向に沿って順次に設けられた材料ロードエリア、スキャンエリア及び材料装入エリアを含む。
【0023】
本実施例において、搬送すべきシリコン材料は、材料ロードエリアにて材料フィード部材200に添加され、材料装入エリアにて目標位置に移動される。材料装入部材は、材料装入エリアに対応して設けられ、材料装入部材としては、材料装入エリアのシリコン材料を掴んで目標位置に移動するために、ロボットハンド等の機器が選択されてもよく、一般的に、シリコン材料は、材料装入エリアにて結晶引上げ装置に移動されて、結晶引上げプロセスの原料とされ、つまり、目標位置は、結晶引上げ装置の材料ロードエリアであってもよい。
【0024】
スキャン部材は、スキャンエリアに対応して設けられ、本実施例におけるスキャン部材は、カメラ、レーザースキャナ等のスキャン部材であってもよく、当該スキャン部材は、シリコン材料をスキャンすることで、スキャンエリアに位置するシリコン材料のシリコン材料情報を収集するためのものである。そのうち、シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴及び寸法特徴のうち、1つ又は複数が含まれる。
【0025】
コントローラは、スキャン部材に接続され、コントローラは、シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するためのものである。
【0026】
理解できることに、異なる形状及び異なる寸法のシリコン材料は、溶解速度が異なる。例示的に、同じ重量となる2つのシリコン材料の場合、同じ条件では、寸法の小さいシリコン材料の方は、溶解速度が速くなり、更に例えば、同じサイズとなる2つのシリコン材料の場合、平滑な表面とされるシリコン材料の方は、その溶解速度が、凹凸な表面とされるシリコン材料の溶解速度よりも小さくなる。
【0027】
本実施例において、シリコン材料情報をスキャンにより得た後、さらに、それに応じた材料装入戦略を生成し、材料装入部材は、材料装入戦略に従って、材料装入エリアに位置するシリコン材料を目標位置に移動する。このように、材料装入の進行状況を制御することで、シリコン液の供給速度をより安定させることができるため、結晶引上げプロセスをより安定させ、シリコン棒の断線の可能性を低減する。
【0028】
本願の実施例における材料フィード部材200は、スキャンエリアを含み、スキャンエリアに対応するスキャン部材を設けることで、スキャンエリアに位置するシリコン材料のシリコン材料情報を収集でき、さらに、シリコン材料情報に従って、それに応じた材料装入戦略を生成可能である。本実施例に係る技術案によれば、材料装入過程では、シリコン材料の形状及び寸法等の特徴によるシリコン材料の溶解速度への影響を考慮しているため、より安定したシリコン液の供給を実現でき、結晶引上げ工程中におけるシリコン棒の断線の可能性を低減する。
【0029】
いくつかの実施例において、
図2に示すように、材料フィード部材200は、環状に設けられた伝送ベルトを含み、シリコン材料の搬送過程において、伝送ベルトは、材料ロードエリアからスキャンエリア及び材料装入エリアに至る方向に沿って循環回動し、
図2における矢印は、伝送ベルトの回動方向を表す。
【0030】
理解されたいのは、環状に分布される伝送ベルトは、円形であってもよいし、非円形であってもよく、例示的に、空港の手荷物受取システムのように、伝送ベルトは、循環移動されてもよく、こうすれば、仮に1つのシリコン材料が材料装入部材によって目標位置に移動されなかったら、当該シリコン材料は、伝送ベルトに循環移動させられることになる。
【0031】
もし現在の材料装入エリア内のシリコン材料が材料装入要件を満たさない場合、当該シリコン材料の材料装入を一時的にスキップして、当該シリコン材料を、材料ロードエリア及びスキャンエリアを通過するように再度循環させ、当該シリコン材料が材料装入要求を満たすようになると、当該シリコン材料を目標位置に移動してもよい。
【0032】
当該環状に設けられた伝送ベルトによれば、要件を満たさないシリコン材料が材料装入エリアに蓄積されてしまうことを回避でき、材料装入効果の向上に役立つ。
【0033】
いくつかの実施例において、材料フィード部材200は、材料装入エリアと材料ロードエリアとの間に位置するクリーニングエリアを更に含み、シリコン材料処理装置は、クリーニングエリアに対応して設けられたクリーニング部材であって、伝送ベルトにおけるクリーニングエリアに位置する部分をクリーニングするためのクリーニング部材を更に含む。こうすれば、伝送ベルトの清浄度が保証され、シリコン材料による汚染の減少に役立つ。
【0034】
いくつかの実施例において、材料フィード部材200は、材料ロードエリアとスキャンエリアとの間に位置する除塵エリアを更に含み、シリコン材料処理装置は、除塵エリアに対応して設けられた除塵部材であって、除塵エリアに位置するシリコン材料に対して除塵処理を行うための除塵部材を更に含む。
【0035】
いくつかの実施例において、除塵部材は、複数のエアーノズル、弧状軌道及び駆動部材を含み、弧状軌道は、伝送ベルトの上方に跨設され、エアーノズルは、弧状軌道上に設けられ、且つ伝送ベルトに向いて設けられ、駆動部材は、エアーノズルを駆動して弧状軌道上で往復移動させるためのものである。
【0036】
本実施例において、高圧エアポンプに接続されるエアーノズルが設けられており、エアーノズルは、弧状軌道上で往復移動するため、複数の角度で除塵操作を実行でき、後続のスキャンエリア及び材料装入エリアへの様々な不純物、塵やシリコン材料の粉末の進入が回避され、シリコン材料のスキャン過程への干渉の回避に役立ち、不純物がシリコン材料に付着して後続の結晶引上げ工程に影響を与えてしまうことも回避できる。
【0037】
いくつかの実施例において、シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴が含まれ、上述のシリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップは、
前記シリコン材料の全体形状をスキャンにより得て、前記全体形状に従って、前記シリコン材料の稜角係数を確定することと、
前記シリコン材料の表面構造をスキャンし、前記表面構造に従って、前記シリコン材料の平滑度係数を確定することと、
前記シリコン材料の形状特徴を含むシリコン材料情報であって、前記形状特徴には、前記稜角係数及び前記平滑度係数が含まれるシリコン材料情報を生成することと
を含む。
【0038】
本実施例では、シリコン材料の形状について、主に、シリコン材料の稜角に関連する情報を統計し、本実施例において、稜角に関連する情報を示すために稜角係数が使用され、具体的に、稜角係数には、稜角の数及び稜角の鋭利度のうち、1つ又は複数が含まれ、そのうち、稜角の数が多いほど、シリコン材料の溶解速度が速くなり、稜角の鋭利度が大きいほど、シリコン材料の溶解速度が速くなるため、本実施例において、稜角係数は、稜角の数及び稜角の鋭利度と、正の相関にある値として設定されてもよい。
【0039】
例示的に、或るシリコン材料の稜角の数は10個であり、その中の8個の稜角の鋭利度が90度超であれば、これら8個の稜角の鋭利度係数が0.8とされ、残りの2個の稜角が90度未満であれば、これら2個の稜角の鋭利度係数が1とされ、このように、各稜角の鋭利度係数を重み付けすることで、当該シリコン材料の稜角係数としては、0.8*8+1*2=8.4を得ることができる。他の条件が同じの場合、稜角係数の大きいシリコン材料ほど、その溶解速度も速くなる。
【0040】
更に例えば、シリコン材料は、表面の平滑度が高いほど、その溶解速度が遅くなるため、平滑度係数は、0~1の数値として定義され、そして、平滑度が高いほど、平滑度係数が小さくなる。
【0041】
いくつかの実施例において、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の寸法特徴が含まれ、上述のシリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップは、
前記シリコン材料の異なる次元での最大寸法をスキャンすることと、
前記シリコン材料の異なる次元での最大寸法の差分に従って、前記シリコン材料の寸法特徴を確定することと、
前記寸法特徴を含むシリコン材料情報を生成することと
を含む。
【0042】
本実施例において、異なる次元とは、シリコン材料の長さと、幅と、高さとの3つの次元であってもよく、一般的には、シリコン材料の形状が不均一となるため、本実施例では、各次元での最大寸法を取得する。
【0043】
例示的に、同じ体積及び重量となるシリコン材料が2つあり、一方が比較的細長いもので、他方が球形に近いものであれば、球形のシリコン材料の方は、その溶解速度が細長いシリコン材料の溶解速度よりも小さくなり、これは、もしシリコン材料の3つの次元の寸法が比較的近い場合、当該シリコン材料の溶解速度が遅くなり、もし3つの次元の寸法の差が大きい場合、その溶解速度が速くなることとして理解されてもよい。
【0044】
本実施例において、異なる次元での最大寸法を取得した後、異なる次元での最大寸法の大小関係に従って、当該シリコン材料の寸法特徴として1つの寸法係数を確定する。
【0045】
これは、シリコン材料の3つの次元の寸法が近いほど、当該寸法係数が小さくなり、当該シリコン材料の溶解速度が遅くなり、シリコン材料の3つの次元の寸法の差が大きいほど、当該寸法係数が大きくなり、当該シリコン材料の溶解速度が速くなることとして理解されてもよい。
【0046】
このように、シリコン材料の各次元での寸法特徴によれば、当該シリコン材料については、寸法特徴に関連するシリコン材料情報を確定できる。
【0047】
いくつかの実施例において、上述の前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するステップは、
シリコン棒の生産状態に従って、シリコン材料の形状特徴に対応する形状区間及び寸法特徴に対応する寸法区間のうち、少なくとも1つが含まれる材料投入区間を確定することと、
シリコン材料情報が前記材料投入区間を満たすシリコン材料を、添加すべきシリコン材料としてマークすることと、
シリコン材料情報が前記材料投入区間を満たさないシリコン材料を、再循環シリコン材料としてマークすることとを含む。
【0048】
シリコン材料の寸法特徴及び形状特徴を確定した後、シリコン材料の寸法特徴及び形状特徴の両方によれば、当該シリコン材料の溶解速度に関連する溶解係数を1つ確定可能となり、例示的に、S0=A*S1+B*S2という式で溶解係数を計算してもよい。
ここで、S0は溶解係数であり、A及びBは2つの係数であり、必要や経験に応じて設定可能である。S1は、寸法特徴に従って確定される係数であり、S2は、形状特徴に従って確定される係数であり、具体的に、上記鋭利度係数及び平滑度係数に対する重み付けで得てもよい。
【0049】
実施の際、現在の生産進行状況に基づいて、現在添加する必要のあるシリコン材料の溶解係数の範囲を確定し、1つのシリコン材料については、要件を満たすものであれば、当該シリコン材料を、添加すべきシリコン材料としてマークし、当該シリコン材料が材料装入エリアに移動されると、材料装入部材を介して当該シリコン材料が結晶引上げ装置の材料ロードエリアに移動される。
【0050】
1つのシリコン材料については、要件を満たさないものであれば、当該シリコン材料を再循環シリコン材料としてマークし、当該シリコン材料が伝送部材を介して再度循環伝送されるため、材料投入過程への干渉が回避される。
【0051】
例示的に、現在の生産進行状況に基づいて、溶解係数が5~10の区間にあるシリコン材料を現在添加可能とされた場合、1つのシリコン材料については、もしその溶解係数が8であれば、当該シリコン材料が、添加すべきシリコン材料としてマークされ、もしその溶解係数が12であれば、当該シリコン材料が、再循環シリコン材料としてマークされる。
【0052】
さらに、いくつかの実施例において、シリコン材料の材料装入効果を向上させるために、複数のシリコン材料の総合的な溶解係数を統計してもよい。こうすれば、溶解速度の速いシリコン材料及び溶解速度の遅いシリコン材料を同時に添加することで、それらの溶解速度のバランスを整えることができ、材料装入効果の向上に役立つ。
【0053】
本願の実施例は、シリコン棒生産設備を提供しており、当該シリコン棒生産設備は、結晶引上げ装置及び材料供給装置を含み、前記シリコン材料処理装置は、前記結晶引上げ装置にシリコン材料を提供するためのものであり、前記材料供給装置は、上記の何れか1つのシリコン材料処理装置である。本実施例に係る技術案は、上記シリコン材料処理装置の実施例の全ての技術案を含んでいるため、少なくとも上記の技術的効果を全て実現できるが、ここで繰り返して述べない。
【0054】
上述したのは、本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲は、これに限定されない。当業者であれば、本願に開示の技術的範囲内で、変形や置換を容易に想到できるが、これらの変形や置換は、全て本願の保護範囲内とされるべきである。したがって、本願の保護範囲は、添付された特許請求の範囲に準じるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン材料を搬送するための材料フィード部材であって、搬送方向に沿って順次に設けられた材料ロードエリア、スキャンエリア及び材料装入エリアを含み、前記材料フィード部材には、搬送すべきシリコン材料が前記材料ロードエリアにて添加される材料フィード部材と、
前記スキャンエリアに対応して設けられ、前記スキャンエリアに位置するシリコン材料のシリコン材料情報を収集するためのスキャン部材であって、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴及び寸法特徴のうち、1つ又は複数が含まれるスキャン部材と、
前記スキャン部材に接続され、前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するためのコントローラと、
前記材料装入エリアに対応して設けられ、前記材料装入戦略に従って、前記材料装入エリアに位置するシリコン材料を目標位置に移動する材料装入部材と
を含
み、
前記材料フィード部材は、環状に設けられた伝送ベルトを含み、シリコン材料の搬送過程において、前記伝送ベルトは、前記材料ロードエリアから前記スキャンエリア及び前記材料装入エリアに至る方向に沿って循環回動し、
前記目標位置は、結晶引上げ装置の材料ロードエリアであり、前記材料装入部材により前記目標位置に移動されていないシリコン材料は、前記伝送ベルトにより循環移動させられる、シリコン材料処理装置。
【請求項2】
前記材料フィード部材は、前記材料装入エリアと前記材料ロードエリアとの間に位置するクリーニングエリアを更に含み、前記シリコン材料処理装置は、前記クリーニングエリアに対応して設けられたクリーニング部材であって、前記伝送ベルトにおける前記クリーニングエリアに位置する部分をクリーニングするためのクリーニング部材を更に含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記材料フィード部材は、前記材料ロードエリアと前記スキャンエリアとの間に位置する除塵エリアを更に含み、前記シリコン材料処理装置は、前記除塵エリアに対応して設けられた除塵部材であって、前記除塵エリアに位置するシリコン材料に対して除塵処理を行うための除塵部材を更に含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記除塵部材は、複数のエアーノズル、弧状軌道及び駆動部材を含み、前記弧状軌道は、前記伝送ベルトの上方に跨設され、前記エアーノズルは、前記弧状軌道上に設けられ、且つ前記伝送ベルトに向いて設けられ、前記駆動部材は、前記エアーノズルを駆動して前記弧状軌道上で往復移動させるためのものである、請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
結晶引上げ装置及び材料供給装置を含み、前記シリコン材料処理装置は、前記結晶引上げ装置にシリコン材料を提供するためのものであり、前記材料供給装置は、請求項1~
4の何れか一項に記載のシリコン材料処理装置である、シリコン棒生産設備。
【請求項6】
シリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップであって、前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴及び寸法特徴のうち、1つ又は複数が含まれるステップと、
前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するステップと、
前記材料装入戦略に従って、材料装入部材を制御して目標位置へシリコン材料を提供させるステップと
を含
み、
上述の前記シリコン材料情報に従って材料装入戦略を生成するステップは、
シリコン棒の生産状態に従って、シリコン材料の形状特徴に対応する形状区間及び寸法特徴に対応する寸法区間のうち、少なくとも1つが含まれる材料投入区間を確定することと、
シリコン材料情報が前記材料投入区間を満たすシリコン材料を、添加すべきシリコン材料としてマークすることと、
シリコン材料情報が前記材料投入区間を満たさないシリコン材料を、再循環シリコン材料としてマークすることとを含む、シリコン材料処理方法。
【請求項7】
前記シリコン材料情報には、シリコン材料の形状特徴が含まれ、上述のシリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップは、
前記シリコン材料の全体形状をスキャンにより得て、前記全体形状に従って、前記シリコン材料の稜角係数であって、稜角の数及び稜角の鋭利度のうち、1つ又は複数が含まれる稜角係数を確定することと、
前記シリコン材料の表面構造をスキャンし、前記表面構造に従って、前記シリコン材料の平滑度係数を確定することと、
前記シリコン材料の形状特徴を含むシリコン材料情報であって、前記形状特徴には、前記稜角係数及び前記平滑度係数が含まれるシリコン材料情報を生成することと
を含む、請求項
6に記載のシリコン材料処理方法。
【請求項8】
前記シリコン材料情報には、シリコン材料の寸法特徴が含まれ、上述のシリコン材料のシリコン材料情報を取得するステップは、
前記シリコン材料の異なる次元での最大寸法をスキャンすることと、
前記シリコン材料の異なる次元での最大寸法の差分に従って、前記シリコン材料の寸法特徴を確定することと、
前記寸法特徴を含むシリコン材料情報を生成することと
を含む、請求項
6に記載のシリコン材料処理方法。
【国際調査報告】