(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分を有するケーシングを備える乾燥粉末鼻吸入器
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20240614BHJP
A61M 15/08 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M15/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577416
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 SE2022050671
(87)【国際公開番号】W WO2023282821
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516293691
【氏名又は名称】イコノヴォ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ラストウ オレスト
(72)【発明者】
【氏名】カールソン シモン
(57)【要約】
ケーシング(19)を備える乾燥粉末鼻吸入器(10)が提供される。ケーシング(19)は、第一のケーシング部分(11)と、第二のケーシング部分(12)と、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)を接続するヒンジ構成部(40)とを備える。乾燥粉末吸入器(10)は、第一のケーシング部分(11)及び第二のケーシング部分(12)を一緒に折り畳むことによって組み立てられる。第一のケーシング部分(11)は、蓋ホイル(95)を受け入れるためのキャビティ(81)を備え、前記キャビティは、乾燥粉末薬剤を収容するように適合されている。第一のケーシング部分(11)及び第二のケーシング部分(12)は、一緒に折り畳まれると、入口(9)から蓋ホイル(95)が外に延びることを可能にするための入口(9)と、薬剤を提供するための出口(8)とを形成するように適合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(19)を備える乾燥粉末吸入器(10)であって、前記ケーシング(19)が、
第一のケーシング部分(11)と、
第二のケーシング部分(12)と、
前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)を接続するヒンジ構成部(40)と
を備え、
前記乾燥粉末吸入器(10)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)を一緒に折り畳むことによって組み立てられ、
前記第一のケーシング部分(11)が、用量ブリスターホイル(95)を受け入れるためのキャビティ(81)を備え、前記キャビティ(81)が、乾燥粉末薬剤を収容するように適合され、
前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)が、一緒に折り畳まれたときに、入口(9)を形成するように適合され、そこから蓋ホイル(95)が外に延びることを可能になり、
前記ケーシング(19)が、薬剤を提供するための出口ノズル(8)をさらに備え、前記出口ノズル(8)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)の一方から角度(α)で延びる、乾燥粉末吸入器(10)。
【請求項2】
前記出口ノズル(8)が管状の出口ノズル(8)であり、好ましくは前記ケーシング(19)に隣接するより幅が広い端部を有するテーパ状になっている、請求項1に記載の吸入器(10)。
【請求項3】
前記乾燥粉末吸入器(10)が、前記キャビティ(81)を密閉するために前記第一のケーシング部分(11)に取り外し可能に取り付けられる蓋ホイル(95)を備える、請求項1又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項4】
前記第一のケーシング部分(12)が突出肩部(45)を備え、前記突出肩部(45)が前記蓋ホイル(95)を受け入れるように適合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項5】
前記ノズル出口(8)が、前記ケーシング(19)の前記第二のケーシング部分(12)に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項6】
前記角度(α)が少なくとも45度であり、好ましくは前記角度(α)が、70~90度、例えば70度、80度、又は90度である、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項7】
薬剤の凝集を防止するように適合された流れ誘導要素(30)をさらに備え、前記流れ誘導要素(30)が、前記キャビティ(81)と前記ノズル出口(8)との間で前記ケーシング(19)の内部に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項8】
前記流れ誘導要素(30)が、前記第一のケーシング部分(11)から突出する、請求項7に記載の吸入器(10)。
【請求項9】
前記流れ誘導要素(30)が、前記ノズル出口(8)に対して延びるテーパ状の端部を有する実質的に液滴形状である、請求項7又は8に記載の吸入器(10)。
【請求項10】
前記薬剤を前記ノズル出口(8)に誘導するように適合された流れ誘導肩部(35)をさらに備え、前記流れ誘導肩部(35)が、前記キャビティ(81)とヒンジ構成部(40)との間で前記ケーシング(19)の内部に配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項11】
前記流れ誘導肩部(35)が、馬蹄形であり、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)が一緒に折り畳まれたときに、前記ノズル出口(8)を囲むように適合される、請求項10に記載の吸入器(10)。
【請求項12】
前記流れ誘導肩部(35)が傾斜内面(36)をさらに備え、前記傾斜内面(36)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)が一緒に折り畳まれたときに、前記ノズル出口(8)に対向する、請求項10又は11に記載の吸入器(10)。
【請求項13】
前記第二のケーシング部分(12)又は前記第一のケーシング部分(11)が、前記第二のケーシング部分(12)から突出する一組の内壁(14)を備え、前記一組の内壁(14)が、前記第二のケーシング部分(12)に沿って平行に延在し、前記一組の内壁(14)の各内壁が、流れを前記ノズル出口(8)に対して内側に誘導するように適合された少なくとも1つの内側誘導部分(15)を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項14】
前記第二のケーシング部分(12)が、前記入口(9)を通って入る流れを前記キャビティ(81)に向かって誘導するように適合された流れ誘導部材(48)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項15】
前記ケーシング部分(11、12)の一方が少なくとも1つのラッチノブ(22)を備え、前記ケーシング部分(11、12)の他方が少なくとも1つの開口部(21)を備え、前記少なくとも1つの開口部(21)が、前記ケーシング部分(11、12)を折り畳まれた位置に保持するために、前記少なくとも1つのラッチノブ(22)を受け入れるように適合されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項16】
前記ヒンジ構成部(40)が、折り畳み部分(42)を備え、前記折り畳み部分(42)はそこから突出する支持部材(41)を備え、前記ケーシング部分(11、12)が一緒に折り畳まれると、前記支持部材(42)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)と当接するように適合される、請求項1~15のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項17】
前記蓋ホイル(95)が、接着剤によって前記第一のケーシング部分(11)に取り外し可能に取り付けられる、請求項3~16のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項18】
前記蓋ホイル(95)がアルミニウムから作製される、請求項3~17のいずれか一項に記載の吸入器(10)。
【請求項19】
乾燥粉末吸入器(10)を提供する方法であって、前記方法が、
ケーシング(19)を提供するステップであって、前記ケーシング(19)が、第一のケーシング部分(11)と、第二のケーシング部分(12)と、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)を接続するヒンジ構成部(40)とを備え、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)が、一緒に折り畳まれると、入口(9)を形成するように適合され、そこから蓋ホイル(95)が外に延びることが可能になり、前記ケーシング(19)が、薬剤を提供するための出口ノズル(8)をさらに備え、前記出口ノズル(8)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)の一方からある角度で延びる、ステップと、
前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)を一緒に折り畳むことによって前記吸入器(10)を組み立てるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、薬剤吸入器の分野に関し、より詳細には、乾燥粉末吸入器に関する。吸入器は、第一のケーシング部分と、第二のケーシング部分と、前記第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分を接続するヒンジ構成部とを備えるケーシングを備え、吸入器は、第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分を一緒に折り畳むことによって組み立てられる。吸入器はさらに、入口及びケーシングからある角度で延びる出口を備える。
【背景技術】
【0002】
製薬分野では、ワクチン投与又は呼吸器疾患及び/又はその他の疾患の治療に関して、吸入器が広く使用されている。多くの薬物、ワクチン、薬剤及びその他の物質は、血流への迅速な吸収及び投与部位での局所作用のために、経鼻投与によって肺又は鼻道に吸入される。
【0003】
吸入薬は、懸濁液を含む液体、及び粉末の形態の2つの主なカテゴリに分類される。カテゴリの選択は、吸入する薬物、薬剤などの特性によって異なる。
【0004】
最も一般的なタイプの吸入器は加圧計量式吸入器である。このタイプの吸入器では、薬剤は噴射剤を含む加圧キャニスタ内の溶液に保存されるのが最も一般的であるが、これは懸濁液の場合もある。キャニスタはプラスチック製の手動アクチュエータに取り付けられる。作動すると、計量式吸入器は、エアロゾル形態で固定用量の薬剤を放出する。
【0005】
別の種類の吸入器はネブライザであり、これは、水性製剤から生成されたエアロゾルとして薬剤を供給する。
【0006】
ここで言及する種類は、乾燥粉末吸入器の形態のさらに別のタイプである。乾燥粉末吸入器は、吸入器を通じて吸入される、事前に計量されたカプセル化された用量又は装置によって計量された用量の粉末薬剤を放出する。装置によって計量された用量の粉末薬剤を有する吸入器は、通常、粉末薬剤を収容する薬剤リザーバを備えた吸入器であり、その薬剤リザーバから、計量された用量が異なる用量計量構成を使用して引き出され、その後、前記用量が吸入される。
【0007】
単位用量の乾燥粉末吸入器は、一般的に、ユーザに適切な用量の薬剤を提供するだけでなく、衛生状態を確保するために使用される。単位用量の乾燥粉末吸入器は、封入された用量を含み、用量が吸入された後に廃棄される。
【0008】
さらに、前記吸入器は、1回分の用量しか含まないため、用量計量構成を必要とせず、それらのそれほど複雑ではない設計のために、製造コストが大幅に安価になる。
【0009】
それらの低コスト及び1回分の投薬量の機能性のために、単位用量の乾燥粉末は、多くの場合、射出成形によって、通常、大量に製造される。
【0010】
吸入器の機能を保証するために、前記吸入器は、そのケーシング内にいくつかのコンポーネント、例えば、ブリスターホイル、より最適な凝集防止のための流れ誘導要素などを設ける必要がある。さらに、薬剤の用量を収容するためのリザーバは、適切な用量で満たされる必要がある。
【0011】
したがって、単位用量の乾燥粉末吸入器のケーシングは、従来、少なくとも2つの別個のケーシング部分で製造され、それにより、ケーシング部分には必要な成分及び用量が提供される。
【0012】
通常、このような1回用量の乾燥粉末吸入器の生産には大量の生産量が伴うため、結果として生じる複数のケーシング部分の接合及び取り扱いにより、より高価になるだけでなく、製造及び組み立てがかなり複雑になる。
【0013】
乾燥粉末吸入器の既知の欠点は、粉末薬物が吸入器内で移動するのを防ぐために、投与の間、装置を特定の配向、例えば水平配向に保たなければならないことである。これは、経鼻投与が好ましい投与経路である場合に特に問題となる。なぜなら、ユーザが吸入器を回転させず、又は方向を誤らずに吸入ノズルを鼻前庭に配置することが難しいためである。
【0014】
従来技術のこれらの欠点及び制限を考慮すると、必要とされているのは、それほど複雑ではなく、よりコスト効率の高い方法で組み立てられ、製造できる、粉末薬物又はワクチンの経鼻投与用の乾燥粉末吸入器である。
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明は、好ましくは、当該技術分野における上記の欠陥及び欠点の1つ以上を単独で又は任意の組み合わせで軽減、緩和、又は除去することを目的とし、ケーシングを備える乾燥粉末吸入器を提供することによって少なくとも上記の問題を解決し、このケーシングは、第一のケーシング部分と、第二のケーシング部分と、前記第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分を接続するヒンジ構成部とを備え、乾燥粉末吸入器は、第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分を一緒に折り畳むことによって組み立てられ、第一のケーシング部分は、用量ブリスターホイルを受け入れるためのキャビティを備え、前記キャビティは、乾燥粉末薬剤を収容するように適合されており、第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分は、一緒に折り畳まれると、入口を形成するように適合され、そこから外に蓋ホイルが延びることが可能になり、ケーシングは、薬剤を提供するための出口ノズルをさらに備え、前記出口ノズルは、前記第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分の一方からある角度で延びる。
【0016】
さらに、本発明は、好ましくは、当該技術分野における上記の欠陥及び欠点の1つ以上を単独で又は任意の組み合わせで軽減、緩和、又は除去することを目的とし、乾燥粉末吸入器を提供する方法を提供することによって少なくとも上記の問題を解決し、この方法は、ケーシングを提供するステップであって、ケーシングは、第一のケーシング部分と、第二のケーシング部分と、前記第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分を接続するヒンジ構成部とを備え、第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分は、一緒に折り畳まれると、入口であって、そこから外に蓋ホイルが延びることを可能にするための入口と、薬剤を提供するための出口とを形成するように適合されている、ステップと、第一のケーシング部分及び第二のケーシング部分を一緒に折り畳むことによって吸入器を組み立てるステップとを含む。
【0017】
さらに有利な実施形態は、添付の従属する特許請求の範囲に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明が可能とするこれら及び他の態様、特徴及び利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の説明から明らかとなり解明されるであろう。
【0019】
【
図1】蓋ホイルがなく、ケーシングが展開された状態の一実施形態の吸入器の斜視図である。
【
図2】蓋ホイルがなく、ケーシングが展開された状態の一実施形態の吸入器の斜視図である。
【
図3】蓋ホイルがあり、ケーシングが展開された状態の一実施形態の吸入器の斜視図である。
【
図4】蓋ホイルがなく、ケーシングが折り畳まれた状態の一実施形態の吸入器の長手方向断面図である。
【
図5】蓋ホイルがなく、ケーシングが折り畳まれた状態の一実施形態の吸入器の斜視図である。
【
図6】蓋ホイルがなく、ケーシングが折り畳まれた状態の一実施形態の吸入器の下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、薬剤吸入器、特に乾燥粉末吸入器に適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てる。しかしながら、本発明はこの用途に限定されるものではなく、入口及び出口も、薬剤リザーバも有する他の多くの吸入器に適用できることが理解されるであろう。
【0021】
図1は、乾燥粉末吸入器10を示す。乾燥粉末吸入器10はケーシング19を備え、ケーシングは好ましくは乾燥粉末吸入器10の外形を形成する。
【0022】
ケーシング19は、第一のケーシング部分11と第二のケーシング部分12とを備え、ケーシング19は、第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12を接続するヒンジ構成部40をさらに備える。ケーシング19は、入口9と、出口8とをさらに備え、前記出口8は管状の円筒形のノズルの形態である。したがって、管状の出口8の横断面は円形である。さらに、出口8は好ましくはテーパ状であり、ケーシング19に隣接するほど幅が広く、ノズル出口8の外端に向かってより狭くなる。出口8は、ケーシング19から角度α(
図2に示す)で延びる。
図2では、出口は、ケーシング19の長手方向の延在部に対して垂直な方向に延びている。しかしながら、出口8は、代わりに、45度よりも大きい、好ましくは50度、60度、70度、80度又は90度などの45度から90度の間の角度αで延びてもよい。
【0023】
ノズル出口8の上端は、ユーザが快適に吸入器10を使用するように、好ましくは丸みを帯びている(
図4及び
図5に示す)。しかしながら、ノズル出口8は、円形以外の断面形状、例えば、楕円形、長方形、三角形、又は鼻前庭へのノズル出口8の挿入を可能にする任意の他の形状を有してもよい。
【0024】
前記図を参照すると、第一のケーシング部分11は、蓋ホイル(
図3に示す)を受け入れるためのキャビティ81を備え、キャビティ81は、乾燥粉末薬剤(薬物又はワクチン物質など)を収容するように適合されている。これは、例えば、キャビティ81をケーシング19の内側の残りの部分から密閉し、薬剤を湿気から保護するために、キャビティ81の周囲壁に蓋ホイルをヒートシール、すなわち溶接することによって達成することができる。これにより、乾燥粉末薬剤は、ケーシング19の入口9及び出口8を通って乾燥粉末薬剤が漏れる危険を全く伴わずに、吸入器10の輸送中及び取り扱い中に所定の位置に維持され得る。
【0025】
ヒンジ構成部40によって、第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12を折り畳むことによって吸入器10を組み立てることができる。したがって、第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12は、一緒に折り畳まれると、入口9を形成するように適合され得、そこから蓋ホイル95が外に延びることが可能になる。出口8は、経鼻投与を通じてユーザの鼻道に薬剤を提供するように構成される。
【0026】
したがって、従来のように、ユーザは、中の乾燥粉末薬剤を露出させるように、まず蓋ホイル95を取り外すことによって吸入器10を操作することができる。次に、ユーザは、ノズル出口8を鼻前庭に配置し、吸入することにより、経鼻投与によって薬剤を吸入することができ、こうして乾燥粉末薬剤が吸入器10のケーシング19を通ってユーザに向かって流れることができ、それにより、入口9が空気をケーシング19に入れ、乾燥粉末薬剤を出口8の方へ押し進めることができる。これにより、ユーザは、ケーシング19のキャビティ81内に提供された乾燥粉末薬剤を自分の鼻前庭及び鼻道に吸入することができ、それにより、治療が終了すると、吸入器10は廃棄されてもよい。
【0027】
出口ノズル8がケーシング19から横方向に延びているため、ユーザは、経鼻投与中に吸入器10を回転させる必要がない。したがって、ユーザが出口8を鼻前庭に挿入している間、ケーシング19を水平位置に保つことができる。これにより、ケーシング内での粉末薬剤の移動が防止され、最大量の薬剤がユーザに投与される首尾良い鼻腔吸入が容易になる。
【0028】
好ましくはPP又はPEなどのプラスチック材料であり得るケーシング19は、射出成形によって製造され得る。第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12を相互接続するヒンジ構成部40により、ケーシング19は少なくとも組み立ての大部分の間、一体であるため、輸送及び組み立てはかなり簡素化される。
【0029】
ヒンジ機能40により、ケーシング部分11、12は、流れ誘導要素及び蓋ホイルなどの残りのコンポーネントの挿入前に接続され得るため、ケーシング19を簡単な方法で輸送及び配送することが可能になる。
【0030】
これが特に有利なのは、キャビティ81内に薬剤を充填し、前記薬剤を密閉することは、通常、ケーシング19の製造とは別の場所で行われているが、蓋ホイル95によってなされるからである。薬剤を充填及び密閉する現場に配布する前にケーシング部分11、12を接続することによって、組み立て及び輸送中に取り扱うコンポーネントの数が大幅に減り、よりコスト効率の高い取り扱い及び輸送が可能になる。
【0031】
さらに、相互接続されたケーシング部分11、12は、充填及び密閉操作が複雑で時間のかかる結合操作を実行する必要がないため、はるかに使いやすくコスト効率の高い最終組み立て及び薬剤の充填を可能にする。代わりに、ケーシング19は、乾燥粉末薬剤を「装填」した後、一緒に折り畳むだけであり得る。
【0032】
経鼻投与用の出口ノズル8もケーシング19のケーシング部分11、12とともに一体に射出成形されており、第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12が一緒に折り畳まれると入口9が形成される。これにより、ケーシング全体を1つの製造ステップで製造することができ、別個の部分を別々に扱い、次いで一緒に取り付ける必要がある従来の吸入器と比較して、組み立て及び製造の複雑さ及びコストが大幅に削減される。
【0033】
ケーシング全体を一体で射出成形できることにより、ケーシングの各キャビティが個別であるため、ケーシングは許容誤差の影響をさらに受けにくくなる。これにより、第一のケーシング部分11は、同じキャビティに成形される第二のケーシング部分12と適合するだけでよい。ケーシング部分が別々に射出成形される従来の射出成形プロセスでは、第一のケーシング部分の各々が第二のケーシング部分の各々と適合する必要があり、これは、適切に組み立てることができない許容誤差のために、いくつかのケーシング部分を廃棄しなければならない可能性をもたらす。したがって、ケーシング全体を一体で射出成形できることは、よりコスト効率が高く信頼性の高い製造プロセスを可能とする。
【0034】
さらに
図1を参照すると、入口9は、ケーシング部分11、12のそれぞれの端部に切り欠きを設けることによって形成することができ、それにより、ケーシングが折り畳まれた位置にあるときに、前記切り欠きが一緒になって前記入口9を形成するように適合される。ヒンジ構成部40は、旋回軸を形成するように、前記第一のケーシング部分11と前記第二のケーシング部分12との間に配置される。
【0035】
したがって、第一のケーシング部分11は、第一の端部71及び第二の端部72を備え、第二のケーシング部分12は、対応する第一の端部73及び対応する第二の端部74を備える。第二の端部73、74は、ヒンジ構成部40によって接続される。
【0036】
したがって、
図2に示すように、ケーシングが折り畳まれた位置にあるとき、入口9は、第一のケーシング部分11の第一の端部71、及び第二のケーシング部分12の対応する第一の端部73によって形成され得る。第一の端部71及び対応する第一の端部73の各々は、吸入器10の長手方向軸に直交する平面に沿って延びる切り欠きを備えることができ、それにより、ケーシングが折り畳まれた位置にあるときに、切り欠きが入口9を一緒に形成する。
【0037】
再び
図1を参照すると、第一のケーシング部分12は、突出肩部45、すなわち、ケーシング19が折り畳まれた位置にあるときに第一のケーシング部分11から第二のケーシング部分12に向かって突出する肩部をさらに備え、それにより、前記突出肩部45は、蓋ホイル95(
図3に示す)を受け入れるように適合される。
【0038】
突出肩部45は、好ましくは入口9とキャビティ81との間に配置される。好ましくは、前記突出肩部45は、入口9とキャビティ81との間に配置され、ケーシング19が折り畳まれた位置にあるときに第二のケーシング部分12と一緒に入口9を形成するようになる。
【0039】
これが特に有利なのは、突出肩部45が折り畳まれた位置にある入口9の周囲のケーシング19の固有の中空形状に対抗できるので、前記入口9の周囲のケーシング部分11、12間のより滑らかな移行を達成するからである。突出肩部45がないと、ケーシング19が入口9のすぐ下流で急な発散部分を形成するため、空気流が乱流になるリスクがある。これにより、空気流の一部がキャビティ81を通過するだけとなる場合があり、それにより、ケーシング19内の乾燥粉末薬剤の凝集を防止するように、より大きな空気流が必要とされる。しかしながら、突出肩部45は、入口9に入る空気の流れを誘導し、入口9の周りの発散角を減少させることによって発散流効果を低減し、それにより、より効率的な凝集防止が達成される。
【0040】
吸入器10は、薬剤の凝集を防止するように適合された流れ誘導要素30を少なくとも1つ、好ましくは、複数個さらに備えることができる。したがって、吸入器10は、吸入器10が折り畳まれた構成にあるときに、吸入器10のキャビティ81と出口8との間でケーシング19内に配置される流れ誘導要素30を備える。換言すれば、流れ誘導要素30は、ケーシング19が折り畳まれた位置にあるとき、キャビティ81の下流かつ出口8の上流に配置され得る。
【0041】
流れ誘導要素30を設けることにより、吸入器10を通過する空気流、すなわち薬剤のための入口9から出口8への空気流の誘導が可能になり、より層流の空気パターンが達成される。これにより、1回の吸入でより多くの空気が吸入器10全体を通過できるようになり、それにより、薬剤の凝集を減らすことができ、したがって薬剤が患者の鼻道の奥まで到達する可能性が増加する。
【0042】
さらに、前記流れ誘導要素30による空気流への衝突効果により、吸入中に吸入器10を通って流れる空気中に含まれる粉末が、前記流れ誘導要素30と衝突してさらに一層分散し、それにより、凝集をより減らすことができる。
【0043】
前記流れ誘導要素30は、第一及び/又は第二のケーシング部分から突出する一体化された要素であってもよい。流れ誘導要素30は、また、流れ誘導要素インサート31に設けられてもよく、流れ誘導要素インサート31は、好ましくは第一及び/又は第二のケーシング部分に受け入れられ、それらに取り付けられるプレートの形状である。
【0044】
有利なことに、流れ誘導要素30は、第一のケーシング部分11、すなわちキャビティ81を備えるケーシング部分から突出することができる。吸入器10の折り畳み可能な設計により、流れ誘導要素とケーシング部分との間に小さな隙間が必要とされ、これには、2つのケーシング部分11、12を折り曲げて連結する能力を保証するために、前記流れ誘導要素30は設けられていない。
【0045】
薬剤の凝集防止を最適化及び最大化するために、流れ誘導要素30は、出口に対して延びるテーパ状の端部を備えた実質的に液滴形状である。
【0046】
さらに、第一のケーシング部分11は流れ誘導肩部35を備える。この肩部は馬蹄形であり、第一のケーシング部分11の内面から上方に延びる。ケーシング19が折り畳まれた状態にあるとき、薬剤が上方に向けて管状のノズル出口8に誘導されるように流れ誘導肩部35はノズル出口8の周囲に隣接して配置される。粉末薬剤が管状のノズル出口8に容易に流れるように、流れ誘導肩部35の傾斜内面36は肩部35の誘導効果にさらに寄与する。流れ誘導肩部35はまた、粉末薬剤がノズル出口8に誘導されずにユーザによって鼻から吸入されることなく出口8を通過することを防止する。
【0047】
第二のケーシング部分12は、前記第二のケーシング部分12から突出する一組の内壁14を備え、一組の内壁14は、第二のケーシング部分12に沿って平行に延在し、それにより、一組の内壁14の各内壁は、流れを出口8に向かって内側に誘導するように適合された少なくとも1つの内側誘導部分15を有する。したがって、吸入器10を通って流れる空気は、吸入器の長手方向の中心軸に向かって収束することができ、これにより、出口8の付近での衝突効果による、すなわち出口8を囲む壁による乱流のリスクが低減される。したがって、より多くの空気が吸入中に吸入器10全体、すなわち入口9から出口8まで通過できるようになり、これにより、凝集がさらに一層減少し、より多くの乾燥粉末薬剤がユーザの鼻前庭/鼻道に入ることが可能になる。
【0048】
内壁14は、ケーシング19が折り畳まれた位置にあるとき、ケーシング19の全長に沿って吸入器10の長手方向の中心線に沿って各側に1つずつ延在する。前記内側誘導部分15は、ケーシングが折り畳まれた位置にあるとき、出口8に対して斜め内側に向けられたテーパ状の角度を有する少なくとも1つのテーパ状の部分を有する内壁14によって形成され得る。
図1に示すように、内側誘導部分15の各々は、ケーシングが折り畳まれた位置にあるとき、出口8に対して斜め内側に向けられた2つのテーパ状の角度を有する。
【0049】
当業者が理解するように、前記一組の内壁14は第一のケーシング部分11上に設けることもでき、それにより、第一のケーシング部分11は上記による一組の内壁14を備えることができる。前記第二のケーシング部分12は、入口9を通って入る流れをキャビティ81に向かって誘導するように適合された流れ誘導部材48をさらに備えることができる。したがって、入口9に入る空気は第一のケーシング部分11のキャビティ81に向かって推し進められ、それにより、キャビティ81はキャビティ81の底面に衝突する空気の分散効果により、乾燥粉末薬剤を効率的に空にすることができる。したがって、乾燥粉末薬剤の初期の凝集防止は吸入中に直ちに達成され、これにより、乾燥粉末薬剤がキャビティ81内に詰まるリスクだけでなく、吸入器10を通る薬剤の凝集防止が不十分になるリスクも低減する。
【0050】
前記
図1に示すように、流れ誘導部材48は、吸入器10の長手方向軸に対して直角に、すなわち第二のケーシング部分12の幅に沿って延びるフィンであってもよく、したがって、前記フィンは、空気をキャビティに向かって誘導するように空気が吸入器10を通って移動する際に衝突するように適合された角張った面を有してもよい。
【0051】
好ましくは、前記流れ誘導部材48は、吸入器10の流れ通過領域の長手方向の境界を画定する内壁14の間に延在してもよい。
【0052】
第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12を折り畳まれた位置に一緒に保持するために、ケーシング部分11、12の一方は少なくとも1つのラッチノブ22を備えることができ、それにより、他方のケーシング部分11、12は少なくとも1つの開口部(aperture)21を備えることができる。少なくとも1つの開口部21は、ケーシング部分11、12を折り畳まれた位置に保持するために、少なくとも1つのラッチノブ22を受け入れるように適合される。これにより、ケーシング部分11、12は、ノブ22及び/又は開口部21を形成する材料の弾性変形によるケーシング19の材料の保持特性によって簡単に一緒にラッチされ得、それにより、ネジなどの追加の機械的固定要素が必要とされないため、組み立てプロセスがより簡素化され、よりコスト効率が高くなる。
【0053】
さらに
図1を参照すると、第一のケーシング部分11には、ケーシングが折り畳まれた位置にあるとき、第二のケーシング部分12に設けられた一対のノブ22を受け入れるための一対の開口部21が設けられてもよい。前記図に示すように、一対のノブ及び一対の開口部は、ケーシング19が折り畳まれた位置にあるとき、入口9の両側にあるように、それぞれのケーシング部分に配置され得る。
【0054】
図1及び
図2を参照すると、ヒンジ構成部40は、折り畳み部分42を備え、折り畳み部分42は、そこから突出する支持部材41を備え、それにより、支持部材41は、前記ケーシング部分11、12が一緒に折り畳まれたときに、第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12に当接するように適合される。したがって、折り畳み部分42はケーシング19の旋回軸を画定し、それにより、支持部材41は、前記折り畳み部分42によって画定された旋回軸に沿って平行に配置される。ケーシング19が、第一のケーシング部分11と支持部材42との間、及び第二のケーシング部分12と支持部材42との間の当接の結果として折り畳まれた位置にあるとき、前記支持部材41は、第一のケーシング部分11と第二のケーシング部分11との間の設定距離を保証する。
【0055】
支持部材42は、折り畳まれた位置において第一のケーシング部分11と第二のケーシング部分12との間の内腔の高さを形成する設定空間を画定する。支持部材42は各々、ケーシング19が折り畳まれた位置にあるときに第一のケーシング部分11に当接するように適合された第一の相43と、ケーシング19が折り畳まれた位置にあるときに第二のケーシング部分12に当接するように適合された第二の相43とを有してもよい。各々の支持ブロック42の第一及び第二の相43は平行な対向面である。
【0056】
図1及び
図3を参照すると、支持要素30は実質的に台形の形状を有してもよく、それにより、支持要素30の底部相は、上部相、すなわち支持要素30の突出相よりも実質的に幅が広い。底部相は、好ましくは、ケーシングが完全に展開された状態にあるとき、第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12と位置合わせされる。したがって、第一のケーシング部分11は、支持要素41の対角相43に当接するように適合された対角壁相87を備え得る。それに応じて、第二のケーシング部分12は、支持要素41の対応する対角相43に当接するように適合された対角壁相88を備え得る。したがって、ケーシング部分と支持要素との間の接合部において十分な密閉が達成される。
【0057】
図2を参照すると、吸入器10のケーシング19の外面が展開位置で示されている。第一のケーシング部分11は、第一の端部71及び第二の端部72を有し、第二のケーシング部分12は、対応する第一の端部73及び対応する第二の端部74を備える。第二の端部72、74は、支持部材41及び折り畳み部分42を備えるヒンジ構成部40によって接続される。前記折り畳み部分42は、さらに、一対の折り畳み要素を備えてもよく、その各々は、第一のケーシング部分11と第二のケーシング部分12との間に延在し、それによって、第一のケーシング部分11と第二のケーシング部分12とを相互接続する。
【0058】
好ましくは、支持部材41は、折り畳み部分、すなわち一対の折り畳み要素の各々から各々の1つが延びる一対の突出部によって形成される一対の支持部材41であってもよい。これにより、ヒンジ構成部40を一体で射出成形することができ、それにより、ケーシング19全体及びヒンジ構成部40全体を一体に成形することができる。これにより、吸入器の製造コストがさらに削減されるだけでなく、製造プロセスにおける許容誤差のリスクも削減される。
【0059】
出口8は、第二のケーシング部分12の第二の端部74に配置され、実質的に円筒形状を有する。出口ノズル8は、ユーザの鼻前庭に適合するのに十分な高さを有する。ノズル出口8は、ケーシング19の平面に対して角度αで延びる。
図2では、ノズル出口8は、第二のケーシング部分12から、吸入器10の長手方向の延在部に対して実質的に垂直に、すなわち横方向に延びる。しかしながら、前述したように、出口8は、ケーシング19の平面に対して50度、60度、70度、又は80度の角度αで延びてもよい。さらに、出口ノズル8はわずかにテーパ状であり、第二のケーシング部分12の隣接では幅が広くなり、その外端では幅が狭くなる。この形状により、ユーザの鼻前庭へのノズル8の適合が容易になり、ユーザにとって出口ノズル8がより快適になる。
【0060】
図3を参照すると、薬剤リザーバ内に薬剤を密閉するために、乾燥粉末吸入器10は、乾燥粉末薬剤を収容するように適合されたキャビティ81を密閉するために第一のケーシング部分11に取り外し可能に取り付けられる蓋ホイル95を備え得る。蓋ホイル95は、好ましくは、その有利な密閉特性のため、アルミニウムで作製され得る。
【0061】
有利なことに、蓋ホイル95は、ヒートシールによって第一のケーシング部分11に取り外し可能に取り付けられ得る。しかしながら、クランプ構成などの機械的固定手段も同様に適用可能である。
【0062】
さらに、前記蓋ホイル95はまた、好ましくは接着剤によって、第一のケーシング部分11の突出肩部45に取り外し可能に取り付けられてもよい。
【0063】
図4は、吸入器10及びそのケーシング19の長手方向断面図を示す。ケーシング19は、第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12を接続するヒンジ構成部40を備えた折り畳まれた位置にある。
図4に明確に示すように、出口ノズル8はテーパ形状を有し、第二のケーシング部分12から横方向に延びる。
図4では、肩部45の上に蓋ホイル95は配置されていない。したがって、キャビティ81は開いており、その中に収容されている薬剤は、出口8を通る経鼻投与によって吸入され得る。ユーザが薬剤を吸入すると、流れ誘導要素30及び流れ誘導肩部35が薬剤を出口8に向かって誘導する。
図4に示すように、流れ誘導肩部35の傾斜内面36は、ケーシング部分11、12の第二の端部72、74に対向する出口8の縁部に当接する。さらに、出口8は、管状のノズル出口8の内腔内に延びる丸みを帯びた傾斜した内面16を有する。丸みを帯びた内面16及び流れ誘導肩部35の傾斜した内面36は一緒になって、粉末薬剤をノズル出口8に誘導する丸みを帯びた偏向を形成する。
【0064】
折り畳まれた状態の吸入器10のケーシング19を示す
図5を参照すると、吸入器10の組み立て中に、第一のケーシング部分11が底部となるように位置決めされ得る。
図5では、ケーシング19は下から見た図である。
【0065】
これにより、底部ケーシング部分、すなわち第一のケーシング部分11のキャビティ81内に投与され得る乾燥粉末薬剤の簡単な投与が可能になる。その後、ブリスターホイル95を設けることができ、それにより、前記ブリスターホイル95をキャビティ、すなわちキャビティ及び突出肩部45を取り囲む壁にヒートシールすることができる。
【0066】
この段階で、ブリスターホイル95は、前記キャビティ81の上部に、入口9を部分的に形成する第一のケーシング部分11の第一の端部71から外側に相当な距離だけ延びるように配置される。
【0067】
さらに、流れ誘導要素30は、第一のケーシング部分11に取り付けられてもよい。好ましくは、これは、第一のケーシング部分11に固定されるように適合された流れ誘導要素インサート31に設けられた流れ誘導要素30によって実行される。前記流れ誘導要素インサート31は、第一のケーシング部分11に固定するためのプレートであり、それにより、ケーシングが折り畳まれた位置にあるとき、流れ誘導要素30は、インサート31から第二のケーシング部分12に対して突出する。
【0068】
最後に、ケーシング部分を一緒に折り畳むことができ、それにより、ケーシング部分が互いに接触し、したがって吸入器10のケーシングを形成する。
【0069】
図6を参照すると、完全に折り畳まれた状態のケーシング部分19が上部から見た斜視図で示されている。前記図に見られるように、出口8は、第二のケーシング部分12から横方向に、実質的に垂直に延びている。
【0070】
さらに
図6を参照すると、流れ誘導部材48は、ケーシング19の内部に、すなわち、ケーシング19が折り畳まれた位置にあるとき、第一のケーシング部分11に対して延びるディンプルの形態の内側突出部によって形成され得る。
【0071】
本発明はさらに、乾燥粉末吸入器を提供する方法に関することができ、この方法は、ケーシング19を提供するステップを含み、ケーシング19は、第一のケーシング部分11と、薬剤を提供するためのノズル出口8を備えた第二のケーシング部分12と、前記第一のケーシング部分11及び前記第二のケーシング部分12を接続するヒンジ構成部40とを備え、第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12は、一緒に折り畳まれると、入口9を形成するように適合され、そこから蓋ホイル95が延びることが可能になる。この方法は、さらに、第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分12を一緒に折り畳むことによって吸入器10を組み立てるステップを含む。
【0072】
この方法はまた、前記ケーシング19を折り畳む前に、ヒンジ構成部40によって第一のケーシング部分11及び第二のケーシング部分を接続してケーシング19を形成するステップを含んでもよい。
【0073】
あるいは、この方法は、前記ケーシング19を折り畳む前にケーシング19を射出成形するステップを含んでもよく、それにより、第一のケーシング部分11、第二のケーシング部分12及びヒンジ構成部40が、前記ケーシング部分18の一体化された部分となる。
【0074】
本発明は特定の実施形態を参照して上記に説明しているが、本明細書に記載の特定の形態に限定することを意図するものではない。むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0075】
特許請求の範囲において、「含む(comprises)/含んでいる(comprising)」という用語は、他の要素又はステップの存在を排除するものではない。さらに、個別に列挙されているが、複数の手段、要素、又は方法のステップは、例えば、単一のユニット又はプロセッサよって実装されてもよい。さらに、個々の特徴は異なる請求項に含まれる場合があるが、これらを有利に組み合わせることができる可能性があり、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実現不可能及び/又は有利ではないことを意味するものではない。さらに、単数の参照は複数を排除するものではない。「1つの(a)」、「1つの(an」)、「第一の」、「第二の」などの用語は、複数を排除するものではない。特許請求の範囲における参照符号は、単に明確な例として提供されており、いかなる形でも特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(19)を備える乾燥粉末吸入器(10)であって、前記ケーシング(19)が、
第一のケーシング部分(11)と、
第二のケーシング部分(12)と、
前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)を接続するヒンジ構成部(40)と
を備え、
前記乾燥粉末吸入器(10)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)を一緒に折り畳むことによって組み立てられ、
前記第一のケーシング部分(11)が、用量ブリスターホイル(95)を受け入れるためのキャビティ(81)を備え、前記キャビティ(81)が、乾燥粉末薬剤を収容するように適合され、
前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)が、一緒に折り畳まれたときに、入口(9)を形成するように適合され、そこから蓋ホイル(95)が外に延びることを可能になり、
前記ケーシング(19)が、薬剤を提供するための出口ノズル(8)をさらに備え、前記出口ノズル(8)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)の一方から角度(α)で延びる、乾燥粉末吸入器(10)。
【請求項2】
前記出口ノズル(8)が管状の出口ノズル(8)であり、好ましくは前記ケーシング(19)に隣接するより幅が広い端部を有するテーパ状になっている、請求項1に記載の吸入器(10)。
【請求項3】
前記乾燥粉末吸入器(10)が、前記キャビティ(81)を密閉するために前記第一のケーシング部分(11)に取り外し可能に取り付けられる蓋ホイル(95)を備える、請求項1又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項4】
前記第一のケーシング部分(12)が突出肩部(45)を備え、前記突出肩部(45)が前記蓋ホイル(95)を受け入れるように適合されている、請求項1
又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項5】
前記ノズル出口(8)が、前記ケーシング(19)の前記第二のケーシング部分(12)に配置される、請求項1
又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項6】
前記角度(α)が少なくとも45度であり、好ましくは前記角度(α)が、70~90度、例えば70度、80度、又は90度である、請求項1
又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項7】
薬剤の凝集を防止するように適合された流れ誘導要素(30)をさらに備え、前記流れ誘導要素(30)が、前記キャビティ(81)と前記ノズル出口(8)との間で前記ケーシング(19)の内部に配置されている、請求項1
又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項8】
前記流れ誘導要素(30)が、前記第一のケーシング部分(11)から突出する、請求項7に記載の吸入器(10)。
【請求項9】
前記流れ誘導要素(30)が、前記ノズル出口(8)に対して延びるテーパ状の端部を有する実質的に液滴形状である、請求項
7に記載の吸入器(10)。
【請求項10】
前記薬剤を前記ノズル出口(8)に誘導するように適合された流れ誘導肩部(35)をさらに備え、前記流れ誘導肩部(35)が、前記キャビティ(81)とヒンジ構成部(40)との間で前記ケーシング(19)の内部に配置されている、請求項1
又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項11】
前記流れ誘導肩部(35)が、馬蹄形であり、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)が一緒に折り畳まれたときに、前記ノズル出口(8)を囲むように適合される、請求項10に記載の吸入器(10)。
【請求項12】
前記流れ誘導肩部(35)が傾斜内面(36)をさらに備え、前記傾斜内面(36)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)が一緒に折り畳まれたときに、前記ノズル出口(8)に対向する、請求項
10に記載の吸入器(10)。
【請求項13】
前記第二のケーシング部分(12)又は前記第一のケーシング部分(11)が、前記第二のケーシング部分(12)から突出する一組の内壁(14)を備え、前記一組の内壁(14)が、前記第二のケーシング部分(12)に沿って平行に延在し、前記一組の内壁(14)の各内壁が、流れを前記ノズル出口(8)に対して内側に誘導するように適合された少なくとも1つの内側誘導部分(15)を有する、請求項1
又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項14】
前記第二のケーシング部分(12)が、前記入口(9)を通って入る流れを前記キャビティ(81)に向かって誘導するように適合された流れ誘導部材(48)を備える、請求項1
又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項15】
前記ケーシング部分(11、12)の一方が少なくとも1つのラッチノブ(22)を備え、前記ケーシング部分(11、12)の他方が少なくとも1つの開口部(21)を備え、前記少なくとも1つの開口部(21)が、前記ケーシング部分(11、12)を折り畳まれた位置に保持するために、前記少なくとも1つのラッチノブ(22)を受け入れるように適合されている、請求項1
又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項16】
前記ヒンジ構成部(40)が、折り畳み部分(42)を備え、前記折り畳み部分(42)はそこから突出する支持部材(41)を備え、前記ケーシング部分(11、12)が一緒に折り畳まれると、前記支持部材(42)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)と当接するように適合される、請求項1
又は2に記載の吸入器(10)。
【請求項17】
前記蓋ホイル(95)が、接着剤によって前記第一のケーシング部分(11)に取り外し可能に取り付けられる、請求項
3に記載の吸入器(10)。
【請求項18】
前記蓋ホイル(95)がアルミニウムから作製される、請求項
3に記載の吸入器(10)。
【請求項19】
乾燥粉末吸入器(10)を提供する方法であって、前記方法が、
ケーシング(19)を提供するステップであって、前記ケーシング(19)が、第一のケーシング部分(11)と、第二のケーシング部分(12)と、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)を接続するヒンジ構成部(40)とを備え、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)が、一緒に折り畳まれると、入口(9)を形成するように適合され、そこから蓋ホイル(95)が外に延びることが可能になり、前記ケーシング(19)が、薬剤を提供するための出口ノズル(8)をさらに備え、前記出口ノズル(8)が、前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)の一方からある角度で延びる、ステップと、
前記第一のケーシング部分(11)及び前記第二のケーシング部分(12)を一緒に折り畳むことによって前記吸入器(10)を組み立てるステップと
を含む、方法。
【国際調査報告】