(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】動物用抗寄生生物装備品の制御システムおよび装備品
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20240614BHJP
A01K 13/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A01M1/20 Z
A01M1/20 A
A01K13/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577504
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 FR2022000057
(87)【国際公開番号】W WO2022263731
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522452329
【氏名又は名称】エービー7 サンテ
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】カルメ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】グェン,ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルベール,アルノー
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121AA12
2B121CB02
2B121CB21
2B121CB35
2B121CB47
2B121CB52
2B121CB66
2B121CB69
2B121EA01
2B121EA13
2B121FA14
(57)【要約】
【課題】寄生生物、特にサシチョウバエおよびマダニによる動物への侵襲リスクを制限することを可能にする動物用装備品の制御システムを提供する。
【解決手段】本発明は、動物用装備品の制御システムにおいて、装備品が、活性薬剤コンテナおよび、制御可能な噴霧メカニズムを伴うネブライザ本体を含む、活性薬剤を噴霧するための詰替え可能なデバイスと、装備品を装着している動物またはその環境に関する測定値を獲得する少なくとも1つのセンサとを含んでおり、前記制御システムが、少なくとも1つのセンサによって獲得された第1のデータを含むデータを受信するための受信ユニットと、受信したデータに応じて寄生生物による動物への侵襲リスクを計算すること、および決定された制御法則を得るために、こうして計算された侵襲リスクに応じて噴霧メカニズムの制御法則を決定すること、を目的とする決定ユニットと、決定された制御法則を噴霧メカニズムに送信するための伝送ユニットとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物用装備品(10)の制御システム(12)において、装備品(10)が、
- 活性薬剤コンテナ(18)および、制御可能な噴霧メカニズム(22)を伴うネブライザ本体(20)を含む、活性薬剤を噴霧するための詰替え可能なデバイス(14)と、
- 少なくとも1つのセンサのセット(16)であって、装備品(10)を装着している動物またはその環境に関する測定値を獲得することのできる少なくとも1つのセンサのセット(16)と、
を含んでおり、
前記制御システム(12)が、
- データを受信するための受信ユニット(30)であって、受信ユニット(30)によって受信される前記データが、少なくとも1つのセンサのセット(16)によって獲得された第1のデータを含んでいる、受信ユニット(30)と、
- 受信したデータに応じて寄生生物による動物への侵襲リスクを計算し、この計算された侵襲リスクが、少なくとも3つの明確に異なる値にしたがって評価されること、および、
- 決定された制御法則を得るために、こうして計算された侵襲リスクに応じて噴霧メカニズム(22)の制御法則を決定すること、
を目的とする決定ユニット(32)であって、複数の動作モードの中から1つの動作モードを選択することによって制御法則を決定し、各々の動作モードが、予め決定された持続時間の間の噴霧メカニズムの活動化回数および各々の活動化の持続時間をコード化する制御法則であり、活動化回数および各々の活動化の持続時間が、各々の動作モードに特定的である、決定ユニット(32)と、
決定された制御法則を噴霧メカニズム(22)に送信するための伝送ユニット(34)と、
を統合するコンピュータ(38)を含む制御システム。
【請求項2】
少なくとも1つのセンサのセット(16)が、温度センサ(26)、湿度センサ(27)および動物の追跡デバイス(28)を含み、決定ユニット(32)が、温度センサ、湿度センサおよび動物の追跡デバイスの測定値の各々に応じて動物への侵襲リスクを計算する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
少なくとも1つのセンサのセット(16)が、加速度計またはジャイロスコープのうちの少なくとも1つを含む移動測定ユニットを含み、第1のデータが、動物の移動の特性を含み、特性が、動物の移動の振幅、動物の運動の頻度、動物がカバーする距離、動物の移動の方向、または動物の移動の持続時間の中から選択される、請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
決定ユニット(32)が、受信したデータの第1のセットに基づいて一寄生種についての第1の侵襲リスクを計算することができ、決定ユニット(32)がまた、受信したデータの第2のセットに基づいて一寄生種についての第2の侵襲リスクを計算することもでき、第1のセットが、第2のセットとは明確に異なり、決定ユニット(32)が、好ましくは第1の侵襲リスクおよび第2の侵襲リスクの値の算術平均として、第1の侵襲リスクおよび第2の侵襲リスクの値に基づいて寄生生物による動物への侵襲リスクを計算する、請求項1から3のいずれか一つに記載の制御システム。
【請求項5】
決定ユニット(32)が、センサのセット(16)からのデータの組合せにしたがって、各々の侵襲リスクを評価することができる、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
動作モードが、主動作モード、例えば2つの主動作モード(MP1、MP2)および、少なくとも1つの二次的動作モードを含み、主動作モードが、予め決定された持続時間が1回の活動化の持続時間の100倍よりも大きい動作モードであり、二次的動作モードが、予め決定された持続時間が、1回の活動化の持続時間の50倍よりも小さい動作モードである、請求項1から5のいずれか一つに記載の制御システム。
【請求項7】
決定ユニット(32)が、侵襲リスクに関する基準が確認されているか否かを決定でき、かつ前記基準が確認されている場合には、二次的動作モードを選択することができる、請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
受信ユニット(30)により受信されるデータが、第2のデータを含み、第2のデータが、動物に関する情報であり、制御デバイスが、第2のデータに応じて選択された主動作モードで制御法則を初期化することができる、請求項1から7のいずれか一つに記載の制御システム。
【請求項9】
受信ユニット(30)によって受信されるデータが、ボタンの手動式活動化に関する第3のデータを含み、このとき制御法則のユニットが、第3のデータに応じて二次的動作モードを選択する、請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
- 活性薬剤コンテナ(18)および、制御可能な噴霧メカニズム(22)を伴うネブライザ本体(20)を含む、活性薬剤を噴霧するための詰替え可能なデバイス(14)と、
- 少なくとも1つのセンサのセット(16)であって、装備品(10)を装着している動物またはその環境に関する測定値を獲得することのできる少なくとも1つのセンサのセット(16)と、
- 請求項1から9のいずれか一つに記載の制御システム(12)と、
を含む、動物用装備品(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用装備品の制御システムに関する。
本発明は、また、このような制御システムを含む装備品およびこのような装備品を制御するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
大部分の動物と同様に、犬は、寄生生物による攻撃を受ける可能性がある。
「寄生生物」なる用語は、特に、ただし非排他的に、さまざまな種類の刺咬昆虫、例えばノミ、サシバエ、ウマバエ、蚊、サシチョウバエおよびマダニとして理解される。
前記刺咬昆虫の中でも、いくつかは、動物に重篤な疾病を媒介する可能性が高い。
特に、それはサシチョウバエおよびダニの場合であり、これらをできるかぎり動物に近づかないようにしなければならない。
【0003】
サシチョウバエは、形態学的には蚊に近いサシバエである。
犬を刺すことによって、サシチョウバエは、リーシュマニア症を媒介する可能性がある。
この疾病は、全身倦怠感、食欲不振および皮膚障害となって現れ、完治は不可能である。
【0004】
マダニは、ダニ類の寄生性昆虫である。
多くの場合、それが繁殖する高茎イネ科草本中に生息して、この寄生生物は、付着した動物の血液を摂取する。
マダニは、ひとたび犬の皮膚上のしかるべき場所に落ちつくと、犬の血を数日間吸い上げてから離れる。
【0005】
マダニは、犬にとって無痛であるものの、それでも大きなリスクではある。
当然のことながら、マダニは重篤な疾病を運ぶというのがその理由である。
犬の血を吸い唾液と混ぜることにより、マダニは、特にいくつかの血液疾患を犬に媒介する可能性がある。
いくつかの事例において、これらの疾病は、動物の死につながる可能性がある。
このような理由から、何としてもマダニによる犬への侵襲を回避することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、寄生生物、特に刺咬昆虫、例えばノミ、サシバエ、ウマバエ、蚊、特にサシチョウバエおよびマダニによる動物への侵襲リスクを制限することを可能にする動物用装備品の制御システムに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本明細書は、動物用装備品の制御システムにおいて、装備品が、
- 活性薬剤コンテナおよび、制御可能な噴霧メカニズムを伴うネブライザ本体を含む、活性薬剤を噴霧するための詰替え可能なデバイスと、
- 少なくとも1つのセンサのセットであって、装備品を装着している動物またはその環境に関する測定値を獲得することのできる少なくとも1つのセンサのセットと、
を含んでおり、
前記制御システムが、
- データを受信するための受信ユニットであって、該受信ユニットによって受信される前記データが、少なくとも1つのセンサのセットによって獲得された第1のデータを含んでいる、受信ユニットと、
- 受信したデータに応じて寄生生物による動物への侵襲リスクを計算し、決定された制御法則を得るために、こうして計算された侵襲リスクに応じて噴霧メカニズムの制御法則を決定するための決定ユニットと、
- 決定された制御法則を噴霧メカニズムに送信するための伝送ユニットと、
を含んでいる、制御システムについて記述している。
【0008】
活性薬剤を噴霧するためのデバイスについて各々記述している米国特許出願公開第2017/0006826号明細書および国際公開第2020/074796号と比較して、このような制御システムは、自律式でかつ適応性あるシステムである。
【0009】
実際、該制御システムは、少なくとも1つのセンサを用いて決定された噴霧メカニズムの動作モードひいては薬量を動物への侵襲リスクに合わせて調整することを可能にする。
【0010】
侵襲リスクは、局所的に計算され、こうして該制御システムは、測定されたリスクに応じて噴霧メカニズムの動作モードの切替えをひき起こす能力を有する。
【0011】
換言すると、該制御システムは、リアルタイムで寄生生物による動物への侵襲リスクを最もうまく制限する方法を決定し、処置を適用するために噴霧用デバイスを制御する能力を有する。
【0012】
デジタル制御される化学物質を分散させるためのデバイスについて記述する米国特許出願公開第2020/108408号明細書と比較して、該制御システムは、持続時間および頻度の観点から見て好適な動作モードを提案しているのであり、化学物質を適用することと適用しないこととの間の選択を提案しているのではないという意味合いにおいて、適応性を備えたものである。
【0013】
さらに、該制御システムは、計算された侵襲リスクを得、この計算されたリスクに基づいて動作モードを適応させることを可能にするシステムである。
【0014】
特定の実施形態によると、該制御システムは、単独で考慮されるかまたは技術的に可能な全ての組合せにしたがって考慮された、以下の特徴のうちの単数または複数のものを有する。
- 少なくとも1つのセンサのセットは、温度センサ、湿度センサおよび動物の追跡デバイスを含み、決定ユニットは、温度センサ、湿度センサおよび動物の追跡デバイスの測定値の各々に応じて動物への侵襲リスクを計算する、
- 少なくとも1つのセンサのセットは、加速度計またはジャイロスコープのうちの少なくとも1つを含む運動測定ユニットを含み、第1のデータは、動物の移動の特性を含み、特性は、動物の移動の振幅、動物の運動の頻度、動物がカバーする距離、動物の移動の方向、または動物の移動の持続時間の中から選択される、
- 決定ユニットは、受信したデータの第1のセットに基づいて一寄生種についての第1の侵襲リスクを計算することができ、決定ユニットはまた、受信したデータの第2のセットに基づいて一寄生種についての第2の侵襲リスクを計算することもでき、第1のセットは、第2のセットとは明確に異なり、決定ユニットは、好ましくは第1の侵襲リスクおよび第2の侵襲リスクの値の算術平均として、第1の侵襲リスクおよび第2の侵襲リスクの値に基づいて寄生生物による動物への侵襲リスクを計算する。
- 各々の侵襲リスクは、少なくとも3つの値にしたがって、好ましくは、それぞれ低リスク、中リスクおよび高リスクに対応する3つの値にしたがって評価される。
- 決定ユニットは、複数の動作モードの中から1つの動作モードを選択することによって制御法則を決定することができ、各々の動作モードは、予め決定された持続時間の間の噴霧メカニズムの活動化回数および各々の活動化の持続時間をコード化する制御法則であり、活動化回数および各々の活動化の持続時間は、各々の動作モードに特定的である。
- 動作モードは、主動作モード、例えば2つの主動作モード、および少なくとも1つの二次的動作モードを含み、主動作モードは、予め決定された持続時間が1回の活動化の持続時間の100倍よりも大きい動作モードであり、二次的動作モードは、予め決定された持続時間が1回の活動化の持続時間の50倍よりも小さい動作モードである。
- 決定ユニットは、侵襲リスクに関する基準が確認されているか否かを決定でき、かつ前記基準が確認されている場合には、二次的動作モードを選択することができる。
- 受信ユニットにより受信されるデータは、第2のデータを含み、第2のデータは、動物に関する情報であり、制御デバイスは、第2のデータに応じて選択された主動作モードで制御法則を初期化することができる。
- 受信ユニットによって受信されるデータは、ボタンの手動式活動化に関する第3のデータを含み、このとき制御法則のユニットは、第3のデータに応じて二次的動作モードを選択する。
【0015】
本明細書はまた、
- 活性薬剤コンテナおよび、制御可能な噴霧メカニズムを伴うネブライザ本体を含む、活性薬剤を噴霧するための詰替え可能なデバイスと、
- 少なくとも1つのセンサのセットであって、装備品を装着している動物またはその環境に関する測定値を獲得することのできる少なくとも1つのセンサのセットと、
- 上述の制御システムと、
を含む、動物用装備品にも関する。
【0016】
本明細書はまた、以下を含む動物用装備品を制御するための方法を記述し、
- 活性薬剤コンテナおよび、制御可能な噴霧メカニズムを伴うネブライザ本体を含む、活性薬剤を噴霧するための詰替え可能なデバイス、
- 少なくとも1つのセンサのセットであって、装備品を装着している動物またはその環境に関する測定値を獲得することのできる少なくとも1つのセンサのセット、
制御方法は、制御システムによって実装され、および以下の、
- データを受信するステップであって、受信されたデータが、第1のデータを含み、該第1のデータが、少なくとも1つのセンサのセットによって獲得されたデータであるステップ、
- 受信したデータに基づいて寄生生物による動物への侵襲リスクを計算するステップ、
- 決定された制御法則を得るために、決定された侵襲リスクに基づいて噴霧メカニズムの制御法則を決定するステップ、
- 決定された制御法則を噴霧メカニズムに送信するステップ、
を含む。
【0017】
本明細書において、「~に適した」なる表現は、互換的に、「~に好適である」、「~に適応されている」、または「~するように構成されている」ことを意味する。
【0018】
本発明の特徴および利点は、単に非限定的な例として記された以下の説明を、添付図面を参照しながら読んだ時点で明白になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】動物用装備品および制御システムの概略図である。
【
図2】制御システムにより実装された制御方法のフローチャートの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
動物用装備品10および制御システム12は、
図1に示されている。
【0021】
装備品10は、動物の身体の一部に装着されるように意図された要素である。
【0022】
記載されている例において、装備品10は、首輪、すなわち動物の首の周りに装着されるように意図された要素である。
【0023】
代替的には、ハーネス、ベルトまたはストラップもまた、装備品とみなすことができる。
【0024】
動物は、飼育動物、特に猫または犬である。
【0025】
装備品10は、噴霧用デバイス14およびセンサのセット16を含む。
【0026】
噴霧用デバイス14は、活性薬剤を噴霧するためのデバイスである。
【0027】
噴霧用デバイス14は、活性薬剤の液滴の雲を噴霧することができる。
噴霧される液滴は、比較的細かく、典型的には、1マイクロメートル(μm)~20μm、好ましくは1μm~10μmのサイズを有する。
【0028】
噴霧用デバイス14は、動物の特定の部域、詳細には鼻鋤骨器官(ヤコブソン器官と呼ばれることがさらに多い)の上に局在化された形で活性薬剤を噴霧することを可能にする。
【0029】
噴霧用デバイス14は、また、対象の動きとは独立して多方向に使用され得る。
したがって、該噴霧用デバイス14は、噴霧用デバイス14の配向およびそれに課せられる動きの如何に関わらず、活性薬剤を効果的に噴霧する能力を有する。
【0030】
このために、噴霧用デバイス14は、活性薬剤コンテナ18と、制御可能な噴霧メカニズム22を伴うネブライザ本体20とを含む。
【0031】
活性薬剤コンテナ18は、充填可能で再利用可能なカートリッジ、またはさらに使用後に使い捨てのカートリッジであってよい。
【0032】
記載されている例によると、コンテナ18は、交換対象のカートリッジ内に含まれている。
【0033】
これにより、詰め替え可能な噴霧用デバイス14、すなわちコンテナ18が空になった時点で使用後に再充填できるデバイスを得ることが可能となる。
【0034】
代替的には、コンテナ18は、コンテナ18の表面上に直接組込まれた充填用バルブを含む。
【0035】
ネブライザ本体20は、液体活性薬剤を液滴の雲へと噴霧化することができる。
【0036】
このために、ネブライザ本体20は、噴霧メカニズム22を含めた多数の要素を含む。
【0037】
噴霧メカニズム22は、制御可能である。
【0038】
このことは、すなわち、制御法則によって噴霧メカニズム22の活動化が可能になることを意味している。
したがって、制御法則は、活性薬剤の噴霧を遠隔制御および/または始動させることを可能にする。
【0039】
記載されている例によると、制御法則が、噴霧メカニズム22による活性薬剤の噴霧を始動させる場合、噴霧メカニズムは、噴霧の持続時間のみに左右される一定量の液体を送出し、流量は、噴霧メカニズム22によって固定されている。
したがって、噴射される液体の体積は、50μl~3mlであり得る。
【0040】
圧電型噴霧メカニズムが、こうして制御され得る噴霧メカニズム22の一例である。
【0041】
圧電型噴霧メカニズムは、活性薬剤と接触状態にある圧電ディスクを含むメカニズムであり、前記ディスクは、噴霧を可能にする周波数で振動する。
【0042】
有利には、ネブライザ本体20は、活性薬剤を所望の部域内で適切に噴霧できるようにするため、圧電型噴霧メカニズム22の配向システム24を備えている。
【0043】
活性薬剤は、圧電型デバイスと接触することができるために液体組成物中に調合された物質であり、このデバイスの振動周波数が液体の霧化そして雲またはミストの形態での物質の分散を可能にする。
【0044】
活性薬剤を含有する液体組成物は、水性、アルコール性、水アルコール性または油性またはエマルジョンの形態のものであり、その性質は活性薬剤に適応させられることになる。
【0045】
特定の実施形態によると、組成物は、溶媒を含まず専ら純粋な活性薬剤で構成されている。
【0046】
別の実施形態によると、活性薬剤は、少なくとも1つの溶媒を用いて組成物中に希釈される。
使用可能な溶媒の例としては、詳細には、芳香族または脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、芳香族または脂肪族アルコール、エステル、エーテルおよびケトン、または水が含まれる。より好ましくは、使用可能な溶媒は、植物油または動物油のようなトリグリセリド、またはエタノールのようなアルコール溶媒である。
【0047】
調合アジュバント、例えば安定剤、界面活性剤、共力剤、抗菌剤などを添加することも可能である。
【0048】
活性薬剤は、液体組成物の0.01%~100%、好ましくは0.1%~50%、さらに一層優先的には0.5%~30%を占める。
【0049】
ここで、活性薬剤は、殺虫剤または忌避剤である。
【0050】
殺虫剤および忌避剤は、上述の有害生物との闘いにおいて使用される。
例えば殺虫剤および忌避剤は、特にピレスロイド、ピレトリンおよびそれらの誘導体、カルバメート、ホルムアミジン、カルボン酸エステル、N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)、イカリジン、フェニルピラゾール、有機リン化合物、有機ハロゲン化合物、ネオニコチノイド、アベルメクチンおよびそれらの誘導体、スピノシン、精油およびそれらの構成成分(例:テルペンおよびそれらの誘導体(アルコール、エステル、アルデヒド)、セスキテルペンおよびそれらの誘導体(アルコール、エステル、アルデヒド)からなる群の中から選択される。
【0051】
一変形形態として、活性薬剤は、精油、例えばラベンダーの精油、ユーカリレモンの精油、シトロネラ、ラベンダー、マーゴサ、ペパーミント、スペアミント、ペニーロイヤル、ウィンターグリーンもしくはバジルのような精油またはそれらの混合物の中から選択される忌避剤または殺虫剤である。
【0052】
一代替案によると、忌避剤は、ゲラニオール、リモネン、メントール、アルファピネン、リナロール、シトリオジオール、シトロネラールなどの精油の構成成分またはそれらの混合物の中から選択される。
【0053】
図1に描かれている例によると、センサのセット16は、温度センサ26、湿度センサ27および動物の追跡デバイス28である3つのセンサを含む。
【0054】
温度センサ26は、動物の環境の温度を測定することができる。
【0055】
湿度センサ27は、動物の環境の湿度レベルを決定することができる。
【0056】
動物の追跡デバイス28は、空間内における動物の位置を特定することができる。
【0057】
一例として、動物の追跡デバイス28は、グローバル・ポジショニング・システム(略語GPSとして言及されることの方が多い)である。
【0058】
代替的または付加的には、動物の追跡デバイス28は、サテライトマッピングなどの、動物が位置特定されているゾーンの侵襲レベルを識別し特徴付けすることを可能にする任意のデータベースに結合され得る。
【0059】
制御システム12は、装備品10、詳細には噴霧メカニズム22を制御することができる。
【0060】
制御システム12は、装備品10の一部である。
この意味合いにおいて、制御システム12は、装備品の制御システム12である。
【0061】
制御システム12は、受信ユニット30、決定ユニット32、伝送ユニット34およびマンマシンインタフェース36を含む。
【0062】
受信ユニット30は、データを受信することができる。
【0063】
記載されている例によると、受信ユニット30により受信されるデータは、センサのセット16からのデータを含む。
【0064】
決定ユニット32は、受信したデータに応じて噴霧メカニズム22の制御法則を決定することができる。
【0065】
こうして、決定ユニット32は、決定された制御法則を得る。
【0066】
伝送ユニット34は、噴霧メカニズム22に対して決定された制御法則を送信することができる。
【0067】
マンマシンインタフェース36は、ユーザ、詳細には動物の飼い主が制御システム12と対話できるようにする。
【0068】
マンマシンインタフェース36は、例えば、ユーザが情報または指令を入力することと、ユーザに情報を提供することの両方を可能にするタッチスクリーンである。
このようなマンマシンインタフェース36は、こうして、入力デバイスと出力デバイスの機能を組合わせている。
【0069】
一代替案として、別個の入力デバイスおよび出力デバイスが、使用される。
【0070】
一例として、入力デバイスは、キーボードである。
一代替案として、入力デバイスは、ポインティング周辺機器(例えばマウス、タッチパッドおよびグラフィックタブレット)、音声認識デバイス、オキュロメータまたは触覚デバイスである。
【0071】
同様にして、出力デバイスは、出力の視覚的表現を可能にする表示スクリーンであってよい。
他の実施形態において、出力デバイスは、プリンタ、拡張および/または仮想表示ユニット、出力を可聴形態で表現するための拡声器または別のサウンド発生用デバイス、振動および/または匂いを生成するユニットまたは電気信号を生成するように適応されたユニットである。
【0072】
図1の事例では、制御システム12は、物理的に2つの部分で実装され、第1の部分は、受信ユニット30、決定ユニット32および伝送ユニット34を統合し、第2の部分は、マンマシンインタフェース36に対応している。
【0073】
ここでは、第1の部分は、装備品10内に設置された電子回路であり、一方第2の部分は、端末40である。
【0074】
記載されている実施形態において、第1の部分は、コンピュータ38である。
【0075】
コンピュータ38は、コンピュータ38のレジスタおよび/またはメモリ内の電子的または物理的数量で表わされたデータを操作しかつ/またはレジスタメモリまたは他のタイプの表示デバイス、伝送デバイスまたは記憶デバイス内の物理的データに対応する他の類似のデータへと変換するように設計された電子回路である。
【0076】
具体的例として、コンピュータ38は、シングルコアまたはマルチコアプロセッサ(例えば中央処理ユニット(CPU))、グラフィック処理ユニット(GPU)、マイクロコントローラおよびデジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理回路(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))、インサイチュプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス(PLD)およびプログラマブル論理アレイ(PLA)、状態機械、論理ゲートおよび個別的ハードウェア構成要素を含む。
【0077】
コンピュータ38は、センサのセット16のセンサ各々に対し電気的に接続されている。
【0078】
一代替案として、バスまたは入出力インタフェースによりセンサと通信可能にすることが構想できる。
【0079】
記載されている例において、端末40は、スマートホンである。
【0080】
スマートホンは、通信ネットワークを介してコンピュータ38と通信状態にあるアプリケーションを実装することができる。
【0081】
アプリケーションは、通常、外部ソースからダウンロードされたプログラム命令セットである。
【0082】
例えば、プログラム命令の形態は、ソースコード形態、コンピュータ実行可能形態またはソースコードとコンピュータ実行可能形態の間の任意の中間形態、例えばインタプリタ、アセンブラ、コンパイラ、リンカ、またはローカライザを介したソースコードの変換の結果としてもたらされる形態である。
代替的には、プログラム命令は、マイクロコード、ファームウェア命令、状態定義データ、集積回路構成データ(例えばVHDL)またはオブジェクトコードである。
【0083】
一変形形態として、他の物理的実装が、可能である。
【0084】
例えば、コンピュータ38は、装備品10に対して遠隔のものであり得る。
このような場合、コンピュータ38は、有線システムによるかまたはアンテナを使用して、センサのセット16からデータを受信する。
【0085】
コンピュータ38およびマンマシンインタフェース36を、リモートコントロールなどの単一システムの形態で作製することを考慮することも可能である。
【0086】
コンピュータ38は、端末40のコンピュータの一部であることもまた企図可能であると思われる。
このような場合、一例として、アプリケーションまたは他の任意のコンピュータプログラムが、全てのユニットのアクションを行なうことができると思われる。
【0087】
このような実施形態は、単一のコンピュータ上で全面的にまたは部分的に実施される実行に対応するが、異なる機能の実行が、複数のコンピュータの間で分散されたシステムによって(詳細にはクラウドコンピューティングの使用を介して)実施されることもまた可能である。
【0088】
ここで、制御システム12の動作について、装備品10を制御する方法の動作の例のフローチャートを示す
図2を参照して説明する。
【0089】
記載されている例において、制御システム12は、複数の動作モードにしたがって噴霧用デバイス14を制御することができる。
【0090】
定義上、動作モードとは、予め決定された持続時間の間の噴霧メカニズム22の活動化回数および各々の活動化の持続時間をコードする制御法則である。
【0091】
活動化回数は、予め決定された持続時間の間に噴霧メカニズム22が始動させられる回数である。
【0092】
活動化時間は、噴霧メカニズム22の活動化の開始と噴霧メカニズム22の活動化の終了の間に経過する時間的間隔である。
【0093】
これらのさまざまなパラメータは、動物に対する活性薬剤の投与薬量に対応する。
【0094】
活動化回数および各々の活動化の持続時間は、各々の動作モードに特定的である。
【0095】
換言すると、各々の動作モードは、特定の薬量に対応する。
【0096】
動作モードは、主動作モードMP1およびMP2、ならびに少なくとも1つの二次的動作モードMS1およびMS2を含む。
【0097】
記載されている例は、決して限定的でないこと、そして主動作モードの数は、二次的動作モード数と全く同様に任意の数であり得ることがここで想起される。
【0098】
主動作モードMP1またはMP2は、予め決定された持続時間が1回の活動化の持続時間の100倍より大きい動作モードである。
【0099】
したがって、主動作モードMP1またはMP2は、バックグラウンド処理に対応する。
【0100】
例えば、予め決定された持続時間は、およそ数日であり、一方活動化の持続時間は、1分未満である。
【0101】
二次的動作モードMSは、予め決定された持続時間が1回の活動化の持続時間の50倍未満である動作モードである。
【0102】
記載されている例において、予め決定された持続時間は、およそ数時間の規模である。
【0103】
したがって、二次的動作モードMS3またはMS4は、スポット処置に対応する。
【0104】
記載されている例によると、非限定的に、主動作モードMP1およびMP2の数は、2である。
【0105】
第1の主動作モードMP1は、1に等しい活動化回数に対応し、予め決定された持続時間は、3日であり、活動化の持続時間は、30秒である。
【0106】
したがって、第1の主動作モードMP1は、特定の侵襲リスクが全く無い動物に好適な処置(弱処置)に対応する。
【0107】
第2の主動作モードMP2は、2に等しい活動化回数に対応し、予め決定された持続時間は、1日であり、活動化持続時間は、30秒である。
【0108】
したがって、第2の主動作モードMP2は、特定の侵襲リスクを有する動物に好適な処置(平均処置)に対応する。
【0109】
活動化回数、予め決定された持続時間および活動化持続時間についてのこれらの異なる値に関して、いくつかの考察を行なうことができる。
【0110】
したがって、各々の主動作モードMP1またはMP2は、予め定義された持続時間に対応し、活動化時間の差異は、1以上、ここでは1に等しい。
【0111】
各々の主動作モードMP1およびMP2は、同じ活動化持続時間に対応する。
【0112】
当然のことながら、以上で説明したことは非限定的である。
【0113】
例えば、主動作モードMP1およびMP2の各々の活動化持続時間は、異なるものであり得ると考えられる。
【0114】
典型的には、第1の主動作モードMP1の活動化持続時間は、1秒~1分であり、第2の主動作モードMP2の活動化持続時間は、1秒~1分であり、活動化回数は、1回~2回に等しく、予め決定された持続時間は、1日~3日である。
【0115】
二次的動作モードMS1およびMS2の数は、
図2の事例において2に等しい。
【0116】
記載されている例によると、第1の二次的動作モードMS1は、8時間の予め決定された持続時間および40秒の活動化持続時間において、1に等しい活動化回数に対応する。
【0117】
第2の二次的動作モードMS2は、6時間の予め決定された持続時間および40秒の活動化持続時間において、1に等しい活動化回数に対応する。
【0118】
当然のことながら、以上で説明してきたことは、非限定的である。
【0119】
例えば、二次的動作モードMS3およびMS4の各々の活動化持続時間は、異なるものであり得ると考えられる。
【0120】
典型的には、第1の補助的動作モードMS3の活動化持続時間は、1秒~1分であり、第2の補助的動作モードMS4の活動化持続時間は、1秒~1分であり、活動化回数は、1または2回に等しく、予め決定された持続時間は、5時間~10時間である。
【0121】
以上で記したように、どの動作モードが適切であるかを決定するのは決定ユニット32である。
【0122】
このために、決定ユニット32は、さまざまな動作モード間で切換えるための基準を使用する。
【0123】
切換え基準の各々は、受信したデータに左右され、これらの基準が、それ自体受信したデータに左右される寄生生物による動物への侵襲リスクによって左右されることを意味している。
【0124】
これらの異なる切換え基準について説明する前に、ここで決定ユニット32が寄生生物による侵襲リスク、より具体的にはノミ、サシチョウバエおよびマダニについての侵襲リスクをどのように計算するかについて記述する。
【0125】
記載されている例によると、センサのセット16からのデータと組合わせて、予め記憶されたデータおよび/またはインターネット接続によりアクセス可能なデータからの、または衛星、航空機、ドローンからの撮像データ、ローカルリスクマップおよび気象データをコンパイルするプラットフォームからのデータが使用される。
【0126】
上述のデータには、マップおよびテーブルが含まれる。
【0127】
マップは、地理的位置例えば、寄生生物の3つの侵襲リスクレベル、典型的にはグリーン(弱)、オレンジ(中)およびレッド(高)とを結びつける地理的マップであってよい。
【0128】
装備品10が内含するマップが、各寄生生物タイプについて1つずつ存在する。
【0129】
さらに、地理的マップのメモリフットプリントは、1つの地理的位置セットをグループ化するエリアである典型的に100といった制限された数のエリアを使用すること、そしてエリアに対して、全ての地理的位置についての平均侵襲リスクレベルに対応する侵襲レベルを割当てることによって削減される。
【0130】
このようなマップを得るためには、既存の情報を用いて、それを処理し(例えば平均および/または補間を行なうことによる)、マップに対応するデータ、この場合はグリーン、オレンジおよびレッドエリアの限界を得ることが可能である。
【0131】
したがって、追跡デバイスが動物の位置を示している場合、これにより、使用されている単数または複数のマップ中で動物がいるエリア、ひいては付随するリスクレベルを得ることが可能になる。
【0132】
こうして、決定ユニット32は、位置データに応じて一寄生種についての第1の侵襲リスクを計算する。
【0133】
テーブルは、対になった温度と湿度レベル、典型的には低、中および高という寄生生物についての3つの侵襲リスクレベルを結び付けるテーブルである。
【0134】
寄生生物の各タイプについて、装備品10が内含するテーブルが1つ存在する。
【0135】
さらに、対についての間隔を使用し、これらの間隔に対して、間隔の全ての値についての平均侵襲レベルに対応する侵襲リスクのレベルを割当てることによって、テーブルのメモリフットプリントは削減される。
【0136】
非限定的例として、温度を5°の8つの間隔に分類することができると考えられ、最後の間隔は35℃超の温度に対応し、湿度レベルは、10%の8つの間隔に分類され得ると考えられ、第1の間隔は40%未満であり、最後の間隔は90%超である。
【0137】
これにより、記憶すべきテーブルのボックス数を制限することが可能になる。
【0138】
温度センサおよび湿度センサは、温度および湿度を提供することから、決定ユニット32は、3つの侵襲リスクレベル(低、中および高)を決定する。
【0139】
したがって、決定ユニット32は、また、温度および湿度に応じて一寄生種についての第2の侵襲リスクを計算する。
【0140】
第1の侵襲リスクおよび第2の侵襲リスクは、2つの明確に異なる受信データセットに由来する。
【0141】
第1および第2の侵襲リスクから、決定ユニット32は、第1の侵襲リスクおよび第2の侵襲リスクの値の関数を適用することによって寄生生物による動物の全体的な侵襲リスクを計算する。
【0142】
一例として、決定ユニット32は、第1の侵襲リスクおよび第2の侵襲リスクの値の算術平均を使用してもよい。
【0143】
しかしながら、特に温度および湿度データを優先する加重平均といった他の計算方式を企図することが可能である。
【0144】
このような演算を、下表に記すことができる。
【0145】
【0146】
記載されている例において、サシチョウバエおよびマダニの場合については、以上で説明したばかりの技術が実行される。
【0147】
ノミについては、マップの使用はあまり好適ではなく、侵襲リスクは直接、温度および湿度に関するテーブルよって得られる侵襲リスクである。
【0148】
したがって、各寄生生物について動物への侵襲リスクを決定することとして説明した。
【0149】
上述の通り、次にこの計算された侵襲リスクからどの動作モードが適切であるかを決定するのは、決定ユニット32である。
【0150】
このために、決定ユニット32は、2つのサブユニットのセットとして見られることができ、第1のサブユニットは、予め決定された持続時間の間の噴霧メカニズムの活動化回数を決定し、第2のサブユニットは、各々の活動化についての持続時間を決定する。
【0151】
これら2つのサブユニットの各々は、セット16が与える値を用いて、関係するサブユニットが計算する数量の値を決定する。
【0152】
記載されている例によると、より具体的には、ここで説明することになる基準を評価することが可能になるのは、各寄生生物についての動物への侵襲リスクに基づいているからである。
【0153】
決定ユニット32は、第1の主動作モードMP1と第1の二次的動作モードMS1の間の遷移が表示されているか否かを決定するために、第1の基準C1を使用する。
【0154】
この例に関して、遷移とは、1つの方向(ここでは主動作モードMP1および第1の二次的動作モードMS1から)または別の方向(ここでは第1の二次的動作モードMS1および第1の主動作モードMP1から)での切換えとして理解される。
【0155】
説明されている事例では、第1の基準C1は、各寄生生物についての動物への各侵襲リスクの最大値が2のリスクに等しい場合に満たされる。
【0156】
決定ユニット32は、第1の主動作モードMP1と第2の二次的動作モードMS2の間の遷移が表示されているか否かを決定するために、第2の基準C2を使用する。
【0157】
説明されている事例では、第2の基準C2は、各寄生生物についての動物への各侵襲リスクの最大値が3のリスクに等しい場合に満たされる。
【0158】
決定ユニット32は、第2の主動作モードMP2と第1の二次的動作モードMS1の間の遷移が表示されているか否かを決定するために、第3の基準C3を使用する。
【0159】
説明されている事例では、第3の基準C3は第1の基準C1と類似している、すなわち第3の基準C3は、各寄生生物についての動物への各侵襲リスクの最大値が2のリスクに等しい場合に満たされる。
【0160】
決定ユニット32は、第2の主動作モードMP2と第2の二次的動作モードMS2の間の遷移が表示されているか否かを決定するために、第4の基準C4を使用する。
【0161】
説明されている事例では、第4の基準C4は第2の基準C2と類似している、すなわち第4の基準C4は、各寄生生物についての動物への各侵襲リスクの最大値が3のリスクに等しい場合に満たされる。
【0162】
決定ユニット32は、第1の二次的動作モードMS1と第2の二次的動作モードMS2の間の遷移が表示されているか否かを決定するために、第5の基準C5を使用する。
【0163】
説明されている事例では、第5の基準C5は基準C2およびC4と類似している、すなわち第5の基準C5は、各寄生生物についての動物への各侵襲リスクの最大値が3のリスクに等しい場合に満たされる。
【0164】
また、第1の主動作モードMP1から第2の主動作モードMP2へ、およびその逆に切換えることは禁止されているという点を指摘することができる。
【0165】
初期化時点で、制御デバイスは、第2のデータに基づいて選択された主動作モードMP1またはMP2で制御法則を初期化する。
【0166】
第2のデータは、動物に関する情報である。
【0167】
例えば、ユーザに対し質問表が提供され、ユーザは端末40でそれに記入する。
主動作モードMP1またはMP2は、典型的には、これらの回答に応じたスコアの計算によってこれらの質問に対する回答にしたがって選択される。
【0168】
質問は、症候の存在、生活習性または潜在的に関連性ある最近の事象の存在に関係することができることになる。
【0169】
例えば、動物が都市環境または農村環境のいずれで暮らしているか、動物が単独で暮しているか、他の動物の存在下で暮らしているか、動物が庭に出入りできるか、動物が現在治療中であるか、動物が定期的に治療を受けているか、または動物が先月中に侵襲を受けているか尋ねられるかもしれない。
【0170】
また、動物にとって適切な主動作モードをより良く決定するために、動物の品種および/または動物の年齢を尋ねることも企図され得ると考えられる。
実際、侵襲リスクは、寄生生物との接触に多少の差こそあれさらされる動物の品種および/またはサイズに関連し得る。
【0171】
このような制御システム12は、侵襲を回避するために好適な制御法則を生成することを可能にする。
【0172】
実際、動物が装備品10を装着した直後から、リスクは連続的に得られることから、制御システム12は、リスクをより良く決定することを可能にする。
【0173】
その上、制御システム12は、リアルタイムで動物を最も良く処置する方法を決定し、処置を適用する目的で噴霧用デバイス14を制御する能力を有する。
【0174】
同様の利点の恩恵を受ける他の実施形態も、構想可能である。
【0175】
詳細には、センサのセット16は、異なるものであってよい。
【0176】
一例として、センサのセット16はまた、移動を測定するためのユニットも含んでいてよい。
【0177】
移動測定ユニットは、動物の移動の少なくとも1つの特性を獲得する能力を有するユニットである。
【0178】
例示として、ここで移動測定ユニットは、加速度計およびジャイロスコープを含むが、これら2つのうちの一方だけを含むこともできると思われる。
【0179】
移動測定ユニットは、動物の移動の振幅、動物の移動の頻度、動物がカバーする距離、動物の移動方向または動物の移動持続時間の中から選択された特性を獲得することができる。
【0180】
移動測定ユニットは、こうして、過剰な舐め行為または不審な引掻き行為の検出を可能にすることができる。
このことは、移動ユニット26が動物の行動を分析するために前記移動の特性を得ることを可能にするということを暗に意味している。
【0181】
さらに、他のセンサを変形形態として、または追加で使用することも可能である。
【0182】
例えば、心拍数モニター、血圧モニター、または体温センサが、企図され得る。
【0183】
別の例によると、受信ユニット30によって受信されるデータは、ボタンの手動による活動化に関する第3のデータを含み、このとき、制御法則ユニットは第3のデータに応じて二次的動作モードMSを選択する。
【0184】
ボタンは、タッチスクリーンの一部域または物理的ボタンであり得る。
【0185】
こうして、ユーザは、適切とみなした場合に処置を適応させることができる。
【0186】
代替的にまたは付加的に、決定ユニット32は、上述したばかりのものとは異なる制御法則にしたがって動作することができる。
詳細には、追加のCk基準によって互いに結び付けられた主MPiおよび二次的MSjの動作モードのあらゆる組合せを企図することが可能であり、ここでi、jおよびkは、先験的に同一である理由の無い1以上の整数である。
【0187】
さらに、それぞれ低リスク、中リスクおよび高リスクに対応する3つの値にしたがって侵襲リスクが評価される1つの例が提示された。
【0188】
侵襲リスクは、異なる値数、詳細には3つ以上の数の値にしたがって評価することができる。
【0189】
特定の実施形態によると、決定ユニット32は、制御法則を学習することができる。
【0190】
決定ユニット32は、特に、主MPiおよび二次的MSj動作モードの特性、それらの回数ならびに基準Ckであり得る。
【0191】
このために、決定ユニット32は、「機械学習」と呼ばれることの方が多い機械または人工学習技術を実装する。
【0192】
例として、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト技法、サポートベクターマシン技法、またはベイジアン技法を企図してもよい。
【0193】
決定ユニット32は、例えば、犬の行動の一時的分析を行ない、かつ/または二次的動作モードMSへの切換えの間の共通点を識別することができると思われる。
【0194】
例えば、1日の一定の時刻が、二次的動作モードMSへの切換えが表示されるリスク時刻であり得る。
【0195】
典型的には、森の中での週末散歩は、概して公知の時間的間隔で発生し、予防策として二次的動作モードMS1またはMS2への切換えが表示され得る事象である。
【0196】
このような機械学習技術はまた、特に飼い主が提供する現場の実態に基づいて、リスクの推定を改善するために使用可能であると思われる。
【0197】
リスクの推定を改善するためには、他のデータも使用することもまた、構想可能である。
【0198】
一例として、テリトリ内の寄生生物分布データ、地質学的データ(数年にわたる履歴)、河川の変化、植生データおよびその変化および気象データに言及することができる。
【0199】
このようなデータは、詳細には、上述の情報を提供するかまたは処理モジュールがこの情報を抜粋することのできる衛星データに由来し得る。
【0200】
各実施形態において、制御システム12は、寄生生物、特に刺咬昆虫、例えばノミ、サシバエ、ウマバエ、蚊、特にサシチョウバエおよびマダニによる動物への侵襲リスクを制限することを可能にする。
【0201】
したがって、制御システム12、少なくとも1つのセンサのセット16および噴霧用デバイス14の使用により装備品10は、寄生生物がいる環境内で少なくとも予防的に動物を処置するための方法を実装する能力を有するものとなることから、装備品10をインテリジェントなものにすることのできる制御システム12が記述された。
【0202】
したがって、本発明は、動物用装備品10のための制御システム12において、装備品10が、
- 活性薬剤コンテナ18および、制御可能な噴霧メカニズム22を伴うネブライザ本体20を含む、活性薬剤を噴霧するための詰替え可能なデバイス14と、
- 少なくとも1つのセンサのセット16であって、装備品10を装着している動物またはその環境に関する測定値を獲得することのできる少なくとも1つのセンサのセット16と、
を含んでおり、
前記制御システム12が、
- データを受信することのできる受信ユニット30であって、受信ユニット30によって受信される前記データが、少なくとも1つのセンサのセット16によって獲得された第1のデータを含んでいる、受信ユニット30と、
受信データに基づいて寄生生物による動物への侵襲リスクを計算し、この計算された侵襲リスクが、少なくとも3つの明確に異なる値にしたがって評価されること、および、
決定された制御法則を得るために、計算された侵襲リスクに基づいて噴霧メカニズム22の制御法則を決定すること、
を目的とする決定ユニット32であって、複数の動作モードの中から1つの動作モードを選択することによって制御法則を決定し、各々の動作モードが、予め決定された持続時間の間の噴霧メカニズムの活動化回数および各々の活動化の持続時間をコード化する制御法則であり、活動化回数および各々の活動化の持続時間が、各々の動作モードに特定的である、決定ユニット32と、
- 決定された制御法則を噴霧メカニズム22に送信することのできる伝送ユニット34と、
を統合するコンピュータ38を含む制御システム12に関する。
【0203】
本発明は、また、
- 活性薬剤コンテナ18および、制御可能な噴霧メカニズム22を伴うネブライザ本体20を含む、活性薬剤を噴霧するための詰替え可能なデバイス14と、
- 少なくとも1つのセンサのセット16であって、装備品10を装着している動物またはその環境に関する測定値を獲得することのできる少なくとも1つのセンサのセット16と、
- 以上で定義された通りの制御システム12と、
を含む、動物用装備品10にも関する。
【0204】
最後に、本発明は、
- 活性薬剤コンテナ18および、制御可能な噴霧メカニズム22を伴うネブライザ本体20を含む、活性薬剤を噴霧するための詰替え可能なデバイス14と、
- 少なくとも1つのセンサのセット16であって、装備品10を装着している動物またはその環境に関する測定値を獲得することのできる少なくとも1つのセンサのセット16と、
を含む動物用装備品10を制御するための方法において、上述の制御システム12によって実装され、かつ、
- データを受信するステップであって、受信されたデータが、第1のデータを含み、該第1のデータが、少なくとも1つのセンサのセット16によって獲得されたデータであるステップと、
- 受信したデータに基づいて寄生生物による動物への侵襲リスクを計算するステップであって、計算された侵襲リスクが、少なくとも3つの明確に異なる値にしたがって評価されるステップと、
- 決定された制御法則を得るために、決定された侵襲リスクに基づいて噴霧メカニズム22の制御法則を決定するステップであって、複数の動作モードの中から1つの動作モードを選択することによって制御法則の決定が実装され、各々の動作モードが、予め決定された持続時間の間の噴霧メカニズムの活動化回数および各々の活動化の持続時間をコード化する制御法則であり、活動化回数および各々の活動化の持続時間が、各々の動作モードに特定的であるステップと、
- 決定された制御法則を噴霧メカニズム22に送信するステップと、
を含む方法に関する。
【符号の説明】
【0205】
10 動物用装備品
12 制御システム
14 噴霧用デバイス
16 センサのセット
18 活性薬剤コンテナ
20 ネブライザ本体
22 噴霧メカニズム
24 配向システム
26 温度センサ
27 湿度センサ
28 追跡デバイス
30 受信ユニット
32 決定ユニット
34 伝送ユニット
36 マンマシンインタフェース
38 コンピュータ
40 端末
【先行技術文献】
【特許文献】
【0206】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0006826号明細書
【特許文献2】国際公開第2020/074796号
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/108408号明細書
【国際調査報告】