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▶ サドレア ラボラトリーズ プロプライエタリー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】薬剤送達システム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20240614BHJP
   A61M 39/24 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61M5/20 560
A61M39/24 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577616
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 AU2022050593
(87)【国際公開番号】W WO2022261707
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2021901792
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2021901794
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523469940
【氏名又は名称】サドレア ラボラトリーズ プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】サドレア ポール ハロルド マーティン
(72)【発明者】
【氏名】サドレア ジョン ウィロビー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE15
4C066QQ15
(57)【要約】
本出願の例は、第1のプランジャと、第2のプランジャと、第2のプランジャ及び第1のプランジャの少なくとも一部分を受容するように構成された容器と、を備える薬剤送達装置を開示する。容器及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバを画定する。容器は、希釈チャンバ開口部を画定する。第1のプランジャ、容器、及び第2のプランジャは、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定する。第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された一方向弁を備える。一方向弁は、弁の入口側に弁閾値力を超える力が印加されると、閉位置から開位置に移動するように構成されている。弁閾値力は、第2のプランジャの離脱力と第1のプランジャの離脱力との合計よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置であって、
第1のプランジャと、
第2のプランジャと、
前記第2のプランジャと前記第1のプランジャの少なくとも一部分とを受容するように構成された容器と、を備え、
前記容器及び前記第2のプランジャが、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバを画定し、
前記容器が、希釈チャンバ開口部を画定し、
前記第1のプランジャ、前記容器、及び前記第2のプランジャが、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定し、
前記第2のプランジャが、前記活性剤チャンバから前記希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された一方向弁を備え、
前記一方向弁は、前記弁の入口側に弁閾値力を超える力が印加されると、閉位置から開位置に移動するように構成されており、
前記弁閾値力が、前記第2のプランジャの離脱力と前記第1のプランジャの離脱力との合計よりも小さく、
前記薬剤送達装置が、医薬製剤を前記活性剤チャンバから前記一方向弁を通して前記希釈チャンバ内に押し込んで、前記希釈チャンバ内の前記希釈剤と混合し、混合された前記希釈剤及び医薬製剤を、前記希釈チャンバ開口部を通して前記希釈チャンバから押し出すように動作可能である、薬剤送達装置。
【請求項2】
前記弁閾値力が、前記第2のプランジャの前記離脱力よりも小さい、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記第1のプランジャが、前記第2のプランジャに面する凹面を有する、請求項1又は2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記第2のプランジャが、前記第1のプランジャに面する凸面と、前記希釈チャンバ開口部に面する凸面と、を有する、請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記第1のプランジャ及び第2のプランジャは、前記第1のプランジャが前記第2のプランジャと接触するように移動させられるときに、前記第1のプランジャと前記第2のプランジャとの間に空隙が存在するように成形されている、上記請求項のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記容器の遠位端が、前記希釈チャンバ開口部を画定し、前記第2のプランジャは、前記第2のプランジャが前記容器の前記遠位端に向かって更に移動することができない端部位置まで、前記容器の前記遠位端に向かって移動可能であり、前記第2のプランジャが、前記第2のプランジャを前記容器の前記遠位端に取り付ける吸引力を防止するように、前記端部位置において、前記第2のプランジャの少なくとも一部と前記容器の前記遠位端との間に隙間が存在するように成形されている、上記請求項のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
前記容器の前記遠位端に面する前記第2のプランジャの側部が、前記端部位置において前記容器の遠位端に当接する第1の部分と、前記端部位置において前記容器の前記遠位端に当接しない第2の部分と、を含む、請求項6に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
前記一方向弁が、ダックビル弁である、上記請求項のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
前記一方向弁が、前記第2のプランジャの主本体内に含まれており、前記主本体が、少なくとも1つの出口開口部を含み、前記主本体が、前記一方向弁の出口から前記少なくとも1つの出口開口部に通じる少なくとも1つの内部チャネルを含む、上記請求項のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
前記第2のプランジャの前記主本体が、少なくとも2つの出口開口部を備える、請求項9に記載の薬剤送達装置。
【請求項11】
前記少なくとも2つの出口開口部は、医薬製剤が前記一方向弁を通って前記活性剤チャンバから押し出されるときに、前記希釈チャンバの第1の角部の方へ向けられる医薬製剤の第1の噴流と、前記希釈チャンバの第2の角部の方へ向けられる医薬製剤の第2の噴流とを生成するように構成されている、請求項12に記載の薬剤送達装置。
【請求項12】
前記装置は、前記医薬製剤の第1及び第2の噴流が前記希釈チャンバの内面で反発し、それによって、前記希釈チャンバ内での前記医薬製剤と希釈剤との逆行混合を促進するように構成されている、請求項11に記載の薬剤送達装置。
【請求項13】
前記一方向弁が、前記少なくとも2つの出口開口部のうちの第1の開口部及び第2の開口部を接合する線に実質的に垂直なスリットを有するダックビル弁である、請求項10~12のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項14】
前記第2のプランジャの前記主本体が、3つの出口開口部を備える、請求項9~13のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項15】
前記3つの出口開口部のうちの中央開口部が、前記希釈チャンバ開口部の方へ向けられる医薬製剤の第3の噴流を生成するように構成されている、請求項14に記載の薬剤送達装置。
【請求項16】
前記第2のプランジャが、前記容器の長手方向軸に沿って少なくとも9mmの長さを有する、上記請求項のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項17】
導管装置であって、前記導管装置が、
導管装置ハウジングであって、
第1のハウジングポート(179)、及び
第2のハウジングポート(181)、を含む、導管装置ハウジングと、
前記第1のハウジングポート及び前記第2のハウジングポートを接続する導管(23)と、を備え、
前記第1のハウジングポート(179)が、前記希釈チャンバ出口開口部(51)に接続するように構成された第1のコネクタを備え、
前記第2のハウジングポート(181)が、患者に接続するチューブに接続するように構成された第2のコネクタを備える、導管装置と組み合わせられる、上記請求項のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項18】
前記第1のプランジャが、プランジャ管腔を備え、前記プランジャ管腔が、前記プランジャ管腔を通して前記活性剤チャンバ内に医薬製剤を送達するために、第1のプランジャ管腔開口部と第2のプランジャ管腔開口部との間に延在する、上記請求項のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項19】
前記第1のプランジャが前記容器内に更に移動することができないように、前記第1のプランジャの位置を前記容器に対して固定するためのプランジャロックを備え、任意選択で、前記プランジャロックが、前記第1のプランジャの突出部(例えば、フランジ)を受容するための第1の溝と、前記容器の突出部(例えば、フランジ)を受容するための第2の溝と、を含み得る、上記請求項のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項20】
前記容器は、注入の開始時に前記第2のプランジャが前記容器内に位置決めされることになる開始位置を示すマーキングを有する、上記請求項のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の薬剤送達装置を調製する方法であって、前記方法が、
a)前記希釈チャンバに希釈剤を充填することと、
b)前記活性剤チャンバに医薬製剤を充填することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記希釈チャンバは、前記活性剤チャンバが医薬製剤で充填される前に、希釈剤で充填される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記活性剤チャンバは、前記希釈チャンバが希釈剤で充填される前に、活性剤で充填される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記活性剤チャンバが、前記第1のプランジャのプランジャ管腔を介して活性剤で充填される、請求項21又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記希釈チャンバを充填する前に、前記第2のプランジャは、前記注入の開始時に前記希釈チャンバが有することになる前記希釈チャンバの初期容積を画定する開始位置に位置決めされる、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
活性剤チャンバと、希釈チャンバと、前記活性剤チャンバ及び前記希釈チャンバを接続する一方向弁と、希釈チャンバ開口部とを備える薬剤送達装置を調製する方法であって、前記方法が、
c)前記薬剤送達装置を注入ドライバに接続することと、
d)既知の所定の容積の延長チューブを、前記薬剤送達装置の前記希釈チャンバ開口部に取り付けることと、
e)医薬製剤を、前記活性剤チャンバから前記一方向弁を通して前記希釈チャンバ内に通過させ、前記希釈チャンバ内で希釈剤と混合させ、次いで前記希釈チャンバ開口部を通して、前記延長チューブ内に出すことによって、前記薬剤送達装置をプライミングし、これにより、前記既知の所定の容積の延長チューブが、前記注入の第1の部分を形成することになる希釈された医薬製剤で充填されることと、を含み、前記延長チューブ内の前記希釈された医薬製剤の濃度プロファイルが、前記注入の第1の部分の所望の用量プロファイルに従う、方法。
【請求項27】
前記薬剤送達装置をプライミングした後、前記延長チューブを患者に取り付け、前記注入ドライバを使用して、前記医薬製剤を前記希釈チャンバ内の前記希釈剤と混合することによって前記医薬製剤を希釈するように、前記薬剤送達装置を制御し、所定の用量プロファイルに従って、前記希釈された医薬製剤を前記患者に送達することを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項21~25のいずれか一項に記載の調製方法に従って、請求項1~20のいずれか一項に記載の薬剤送達装置を調製することと、請求項26又は27に記載の方法に従って、前記薬剤送達装置をプライミングすることと、を含む、方法。
【請求項29】
薬剤送達システムであって、
請求項1~20のいずれか一項に記載の薬剤送達装置と、
注入デバイスと、を備え、
前記注入デバイスが、
少なくとも1つの注入デバイスプロセッサと、
注入デバイスメモリであって、前記少なくとも1つの注入デバイスプロセッサによってアクセス可能なプログラム命令を記憶しており、前記少なくとも1つの注入デバイスプロセッサに、所定の用量プロファイルに従って前記医薬製剤を患者に送達するように前記薬剤送達装置を制御させるように構成されている、注入デバイスメモリと、を備える、薬剤送達システム。
【請求項30】
前記注入デバイスは、前記医薬製剤が、前記所定の用量プロファイルに従って前記薬剤送達装置によって送出されるように、注入デバイスアクチュエータを作動させて、前記第1のプランジャを変位させるように構成されているか、又は
前記注入デバイスは、前記医薬製剤が前記薬剤送達装置によって送出されるように、前記希釈チャンバ出口に注入圧力を印加し、それによって、前記第1のプランジャの変位を引き起こすように構成されている、請求項29に記載の薬剤送達システム。
【請求項31】
前記システムが、前記薬剤送達装置への既知の所定の容積の延長チューブを更に備え、前記プロセッサが、前記注入の開始前にプライミングプロセスを実施するように構成されており、前記プライミングプロセスが、
医薬製剤を前記活性剤チャンバから前記一方向弁を通って前記希釈チャンバ内に通過させ、前記希釈チャンバ内で希釈剤と混合させ、次いで前記希釈チャンバ開口部を通して、前記延長チューブ内に出すことによって、前記薬剤送達装置をプライミングし、これにより、前記既知の所定の容積の延長チューブが、前記注入の第1の部分を形成することになる希釈された医薬製剤で充填されることを含み、前記延長チューブ内の前記希釈された医薬製剤の濃度プロファイルが、前記注入の第1の部分の所望の用量プロファイルに従う、請求項29又は30に記載の薬剤送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載される実施形態は、混合流体を送達するためのシステム、装置、及び方法に関する。具体的には、記載される実施形態は、医薬製剤を投与するためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製剤(静脈注射薬など)を患者に投与することは、多くのリスクを伴う可能性がある。このリスクは、特定の静脈注射薬に対する薬物過敏反応を有する患者に特に関連している。特定の静脈注射薬に対する薬物過敏反応は、予測することが不可能ではないにせよ、典型的には困難である。特に、特定の患者において薬物過敏反応を誘発し得る薬物の特定の用量は、薬物の投与前に予測することが困難である。
【0003】
任意の患者が薬物に対する致死的反応を患うリスクを低減するために、特定の静脈注射薬を投与する1つの方法は、患者に、サブマキシマルな有害反応を引き起こすこととなろう特定の用量(試験用量と称される)を与えることである。試験用量は、治療用量の薬物の送達前に送達される。
【0004】
試験用量に対する反応として、任意のサブマキシマル又は軽微な有害反応を検出すると、静脈注射薬の投与は、より重篤な有害反応の発症、又は患者の最終的な死亡のリスクを最小化するために直ちに中止され得る。
【0005】
とは言え、試験用量を投与するという実践は、日常的ではなく、推奨もされない。これは、特に次の理由に当てはまる。
-サブマキシマル反応を典型的に誘発することとなる試験用量は、典型的には、患者に与えられる治療用量の0.01%~0.1%程度であり、この量の試験用量の調製は、時間がかかり、困難である。
-検出可能なサブマキシマル反応を誘発することとなる試験用量は、患者間で変動し、治療用量の0.01%~100%で変動する可能性がある。例えば、特定の患者について、治療用量の0.01%、1%、10%又は100%のうちのいずれか1つで検出可能なサブマキシマル反応が生じ得、これは患者間で変動する。
【0006】
とりわけ、これらの理由により、臨床医は、治療用量の投与中に有害反応が生じるかどうかを確認するために、試行を実施するための適切な試験用量を選定することが困難になるか、又は不可能にさえなる。特に、比較的小さい試験用量を投与することは、患者に有害反応を引き起こさない場合があるが、比較的大きい用量(各患者に固有の特定の閾値を上回る)を投与することは、生命を脅かす有害反応を引き起こす可能性がある。この反応は、患者の死亡につながり得る。したがって、試験用量を投与することは、試験用量の提供が緩和する意図を有していた生命を脅かす状態につながり得る。
【0007】
その特定の患者に対して、治療用量のどのような特定の割合を試験用量として患者に投与すべきかを決定することが困難であることに起因して、現在の慣行は、一定の注入(短時間の「プッシュ」又は固定の期間にわたる一定の注入のいずれか)を介して静脈注射薬を投与することである。このことには、上掲したものと同様のリスクがある。患者がその特定の薬物に対して過敏性又はアレルギー性であるかどうかを確認することなく、薬物の治療用量を投与することは、患者に致死薬物用量を投与すること、又は深刻な有害反応を引き起こし得る。
【0008】
更に、現在、患者に投与され得る任意の試験用量は、必ず、特定の患者が必要とする治療用量の注入の前に、かつこの注入とは別に行われる。別個の試験用量の調製には、各試験用量のための、及び更には治療用量のための、多数の医薬製剤の調製が必要である。このプロセスは煩雑であり、したがって、典型的には、試験用量は、患者に提供されない。代わりに、治療用量は、薬物に対する患者の反応を試験していない状態で患者に提供される。これにより、特定の患者(特定の薬物に対して薬物過敏反応を有する)が、この特定の薬物を投与されている間、致死的状態を患い得るリスクが増加する。このことは、全治療用量(固定の期間にわたる「プッシュ」又は一定の注入)を投与するための現在の方法が、重度な有害反応を引き起こすために典型的に必要とされるものと比較して、注入プロセスの開始時に比較的大きな用量を提供するため、特に当てはまる。これにより、臨床医が、医薬製剤を注入されている患者が薬物に対して有害(すなわち、陰性)反応を起こしていることを検出するのに十分な時間が与えられない。
【0009】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、デバイス、物品などに関するあらゆる議論は、これらの事項のいずれか又は全てが、従来技術の基礎の一部を形成するか、又は添付の特許請求の範囲の各々の優先日の前に存在したように、本開示に関連する分野における一般的な一般知識であったことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0010】
本明細書全体を通して、「備える(comprise)」という語、又は「備える(comprises)」若しくは「備える(comprising)」などの変化形は、定められた要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の包含を意味するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の除外を意味するものではないことが理解されるであろう。
【発明の概要】
【0011】
本明細書全体を通して、「備える(comprise)」という語、又は「備える(comprises)」若しくは「備える(comprising)」などの変化形は、定められた要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の包含を意味するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の除外を意味するものではないことが理解されるであろう。
【0012】
本開示の第1の態様は、薬剤送達装置を提供し、薬剤送達装置は、第1のプランジャと、第2のプランジャと、第2のプランジャ及び第1のプランジャの少なくとも一部分を受容するように構成されている容器と、を備え、容器及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成された希釈チャンバを画定し、容器は、希釈チャンバ開口部を画定し、第1のプランジャ、容器、及び第2のプランジャは、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定し、第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを可能にし、かつ希釈チャンバから活性剤チャンバへの流体のフローを阻止するように構成された一方向弁を備える。
【0013】
本開示の第2の態様は、薬剤送達装置を提供し、薬剤送達装置は、第1のプランジャと、第2のプランジャと、第2のプランジャ及び第1のプランジャの少なくとも一部分を受容するように構成された容器と、を備え、容器及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバを画定し、容器は、希釈チャンバ開口部を画定し、第1のプランジャ、容器、及び第2のプランジャは、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定し、第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された一方向弁を備え、一方向弁は、弁の入口側に弁閾値力を超える力が印加されると、閉位置から開位置に移動するように構成されており、弁閾値力は、第2のプランジャの離脱力と第1のプランジャの離脱力との合計よりも小さく、薬剤送達装置は、医薬製剤を、一方向弁を通して希釈チャンバ内に押し込み、活性剤チャンバから希釈チャンバ内の希釈剤と混合し、混合された希釈剤及び医薬製剤を、希釈チャンバ開口部を通して希釈チャンバから押し出すように動作可能である。希釈チャンバ内の希釈剤と医薬製剤との混合は、希釈された医薬製剤が希釈チャンバ開口部を通って希釈チャンバから排出されるのと同時に生じ得る。
【0014】
本開示の第3の態様は、薬剤送達装置を提供し、薬剤送達装置は、第1のプランジャと、第2のプランジャと、第2のプランジャ及び第1のプランジャの少なくとも一部分を受容するように構成された容器と、を備え、第1のプランジャは、容器とともに封止して第1の封止部を提供するように構成されており、第2のプランジャは、容器とともに封止して第2の封止部を提供するように構成されており、容器及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバを画定し、容器は、希釈チャンバ開口部を画定し、第1のプランジャ、容器、及び第2のプランジャは、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定し、第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された一方向弁を備え、第2のプランジャの離脱力は、第1のプランジャの離脱力よりも大きい。
【0015】
本開示の第1、第2、又は第3の態様は、以下の更なる特徴のいずれかを有し得る。
【0016】
容器は、活性剤チャンバ開口部、及び活性剤チャンバポート開口部を備える活性剤チャンバポートを画定し得る。活性剤チャンバポートは、活性チャンバ開口部と希釈チャンバ開口部との間の容器の側部に位置決めされ得る。例えば、第1のプランジャの初期位置と第2のプランジャの初期位置との間である。
【0017】
弁閾値力は、第2のプランジャの離脱力よりも小さくてもよい。第1のプランジャは、第2のプランジャに面する凹面を有し得る。第2のプランジャは、第1のプランジャに面する凸面と、希釈チャンバ開口部に面する凸面と、を有し得る。
【0018】
第1のプランジャ及び第2のプランジャは、第1のプランジャが第2のプランジャと接触するように移動させられるときに、第1のプランジャと第2のプランジャとの間に空隙が存在するように成形され得る。空隙は、気泡捕捉部として機能し得る。第2のプランジャは、医薬製剤の浪費を最小化する一方で、また第1のプランジャが第2のプランジャと接触するように移動させられるときに、任意の気泡が第1のプランジャと第2のプランジャとの間に捕捉されるための空間を許容するように、第1のプランジャの形状に部分的に適合し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、容器の遠位端は、希釈チャンバ開口部を画定し、第2のプランジャは、第2のプランジャが容器の遠位端に向かって更に移動することができない端部位置まで、容器の遠位端に向かって移動可能であり、第2のプランジャは、第2のプランジャを容器の遠位端に取り付ける吸引力を防止するように、端部位置において、第2のプランジャの少なくとも一部と容器の遠位端との間に隙間が存在するように成形されている。第2のプランジャは、容器の遠位端への第2のプランジャの吸引を防止するために、容器の遠位端とは異なる形状又はプロファイルを有し得る。
【0020】
第2のプランジャは、第2のプランジャが、希釈チャンバの内容物を排出するように、容器の遠位端と接触するように移動させられるときに、医薬製剤及び/又は希釈剤の浪費を最小化するように、容器の遠位端に部分的に適合し得る。第2のプランジャが容器の遠位端と接触するように移動させられるときに、第2のプランジャは容器の遠位端に部分的に適合するので、第2のプランジャの少なくとも一部と容器の遠位端との間に隙間が依然として存在し、第2のプランジャを容器の遠位端に付着させる吸引力を防止するようにする。
【0021】
いくつかの実施形態では、容器の遠位端に面する第2のプランジャの側部が、端部位置において容器の遠位端に当接する第1の部分と、端部位置において容器の遠位端に当接しない第2の部分と、を含む。
【0022】
一方向弁は、ダックビル弁であり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、一方向弁は、第2のプランジャの主本体内に含まれており、主本体は、少なくとも1つの出口開口部を含み、主本体は、一方向弁の出口から少なくとも1つの出口開口部に通じる少なくとも1つの内部チャネルを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャの主本体は、少なくとも2つの出口開口部を備える。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの出口開口部は、医薬製剤が一方向弁を通って活性剤チャンバから押し出されるときに、希釈チャンバの第1の角部の方へ向けられる医薬製剤の第1の噴流と、希釈チャンバの第2の角部の方へ向けられる医薬製剤の第2の噴流とを生成するように構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、装置は、医薬製剤の第1及び第2の噴流が希釈チャンバの内面で反発し、それによって希釈チャンバ内での医薬製剤と希釈剤との逆行混合を促進するように構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、一方向弁は、少なくとも2つの出口開口部のうちの第1の開口部及び第2の開口部を接合する線に実質的に垂直なスリットを有するダックビル弁である。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャの主本体は、3つの出口開口部を備える。
【0029】
いくつかの実施形態では、3つの出口開口部の中間開口部は、希釈チャンバ開口部の方へ向けられる医薬製剤の第3の噴流を生成するように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、容器の長手方向軸に沿って少なくとも9mmの長さを有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャは、プランジャ管腔を備え、プランジャ管腔は、プランジャ管腔を通して活性剤チャンバ内に医薬製剤を送達するために、第1のプランジャ管腔開口部と第2のプランジャ管腔開口部との間に延在する。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャが容器内に更に移動することができないように、第1のプランジャの位置を容器に対して固定するためのプランジャロックが更に提供され、任意選択で、プランジャロックは、第1のプランジャの突出部(例えば、フランジ)を受容するための第1の溝と、容器の突出部(例えば、フランジ)を受容するための第2の溝と、を含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、容器は、注入の開始時に第2のプランジャが容器内に位置決めされることになる開始位置を示すマーキングを有する。
【0034】
本開示の第4の態様は、導管装置であって、導管装置が、第1のハウジングポートと、第2のハウジングポートと、第1のハウジングポート及び第2のハウジングポートを接続する導管とを含む導管装置ハウジングと、を含み、第1のハウジングポートが、希釈チャンバ出口開口部に接続するように構成された第1のコネクタを含み、第2のハウジングポートが、患者に接続するチューブに接続するように構成された第2のコネクタを含む、導管装置と組み合わせられる、上記請求項のいずれかに記載の薬剤送達装置を提供する。
【0035】
本開示の第5の態様は、上記の態様に記載の薬剤送達装置を調製する方法を提供し、方法は、a)希釈チャンバを希釈剤で充填することと、b)活性剤チャンバを医薬製剤で充填することと、を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、希釈チャンバは、活性剤チャンバが医薬製剤で充填される前に、希釈剤で充填される。
【0037】
いくつかの実施形態では、希釈チャンバは、希釈チャンバ開口部を介して充填され、活性剤チャンバは、容器の側部上の活性剤ポートで充填される。
【0038】
いくつかの実施形態では、活性剤チャンバは、希釈チャンバが希釈剤で充填される前に、活性剤で充填される。
【0039】
いくつかの実施形態では、活性剤チャンバは、第1のプランジャのプランジャ管腔を介して活性剤で充填される。
【0040】
一例では、希釈チャンバを充填する前に、第2のプランジャは、注入の開始時に希釈チャンバが有することになる希釈チャンバの初期容積を画定する開始位置に位置決めされる。第2のプランジャは、開始位置と同じ、又は開始位置よりも容器の遠位端から更に離れた初期位置において、臨床医に提供され得る。
【0041】
本開示の第6の態様は、薬剤送達装置を調製する方法を提供し、薬剤送達装置は、活性剤チャンバと、希釈チャンバと、活性剤チャンバ及び希釈チャンバを接続する一方向弁と、希釈チャンバ開口部とを備え、方法は、c)薬剤送達装置を注入ドライバに接続することと、d)既知の所定の容積の延長チューブを、薬剤送達装置の希釈チャンバ開口部に取り付けることと、e)医薬製剤を、活性剤チャンバから一方向弁を通して希釈チャンバ内に通過させ、希釈チャンバ内で希釈剤と混合させ、次いで、希釈チャンバ開口部を通して、延長チューブ内に出すことによって、薬剤送達装置をプライミングし、これにより、既知の所定の容積の延長チューブが、注入の第1の部分を形成することになる希釈医薬製剤で充填されることと、を含み、延長チューブ内の希釈された医薬製剤の濃度プロファイルは、注入の第1の部分の所望の用量プロファイルに従う。
【0042】
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置をプライミングした後、延長チューブを患者に取り付け、注入ドライバを使用して、医薬製剤を希釈チャンバ内の希釈剤と混合することによって医薬製剤を希釈するように薬剤送達装置を制御し、所定の用量プロファイルに従って、希釈された医薬製剤を患者に送達すること。
【0043】
本開示の第7の態様は、薬剤送達システムを提供し、薬剤送達システムは、上記請求項のいずれか1つに記載の薬剤送達装置と、注入デバイスと、を備え、注入デバイスは、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサと、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサによってアクセス可能なプログラム命令を記憶する注入デバイスメモリであって、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサに、所定の用量プロファイルに従って医薬製剤を患者に送達するように薬剤送達装置を制御させるように構成されている、注入デバイスメモリと、を備える。
【0044】
いくつかの実施形態では、注入デバイスは、医薬製剤が、所定の用量プロファイルに従って薬剤送達装置によって送出されるように、注入デバイスアクチュエータを作動させて、第1のプランジャを変位させるように構成されているか、又は注入デバイスは、医薬製剤が薬剤送達装置によって送出されるように、希釈チャンバ出口に注入圧力を印加し、それによって、第1のプランジャの変位を引き起こすように構成されている。
【0045】
いくつかの実施形態では、システムは、薬剤送達装置への既知の所定の容積の延長チューブを更に備え、プロセッサは、注入の開始前にプライミングプロセスを実施するように構成されており、プライミングプロセスは、医薬製剤を、活性剤チャンバから一方向弁を通して希釈チャンバ内に通過させ、希釈チャンバ内で希釈剤と混合させ、次いで希釈チャンバ開口部を通して、延長チューブ内に出すことによって、薬剤送達装置をプライミングし、これにより、既知の所定の容積の延長チューブが、注入の第1の部分を形成することになる希釈された医薬製剤で充填されることを含み、延長チューブ内の希釈された医薬製剤の濃度プロファイルは、注入の第1の部分の所望の用量プロファイルに従う。
【0046】
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置が提供される。薬剤送達装置は、第1のプランジャと、第2のプランジャと、第2のプランジャ及び第1のプランジャの少なくとも一部分を受容するように構成された容器と、を備える。容器及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバを画定する。容器は、希釈チャンバ開口部を画定する。第1のプランジャ、容器、及び第2のプランジャは、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定する。第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された弁を備える。第1のプランジャは、第1のプランジャ管腔開口部と第2のプランジャ管腔開口部との間に延在するプランジャ管腔を備える。
【0047】
いくつかの実施形態では、活性剤チャンバは、プランジャ管腔を通して医薬製剤を受容するように構成されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャは、第1のプランジャ管腔開口部を画定する第1のルアーロックコネクタを備える。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャ管腔開口部は、プランジャ管腔入口である。
【0050】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャ管腔開口部は、プランジャ管腔出口である。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャは、プランジャ管腔から活性剤チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された一方向弁を備える。
【0052】
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置は、第1のプランジャに接続して第1のプランジャ管腔開口部を覆うように構成された第1のプランジャキャップを更に備える。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャキャップは、第1のプランジャの第1のルアーロックコネクタと接続するように構成された第2のルアーロックコネクタを備える。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャは、第1の空気管腔開口部と第2の空気管腔開口部との間に延在する空気管腔を備える。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャ及び第2のプランジャが、各々、容器の長手方向軸に対して変位させられるように構成されている。
【0056】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャが、第1のプランジャと希釈チャンバ開口部との間に配設されている。
【0057】
いくつかの実施形態では、容器は、内側容器表面を画定し、第1のプランジャは、第1のプランジャ封止面を備え、第1のプランジャ封止面は、内側容器表面とともに封止して、内側容器表面と第1のプランジャ封止面との間の流体フローを阻止するように構成されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャは、第1のプランジャOリングを備え、第1のプランジャOリングは、第1のプランジャ封止面を備える。
【0059】
いくつかの実施形態では、容器は、内側容器表面を画定し、第2のプランジャは、第2のプランジャ封止面を備え、第2のプランジャ封止面は、内側容器表面とともに封止して、内側容器表面と第2のプランジャ封止面との間の流体フローを阻止するように構成されている。
【0060】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、第2のプランジャOリングを備え、第2のプランジャOリングは、第2のプランジャ封止面を備える。
【0061】
いくつかの実施形態では、弁が、入口側及び出口側を備える。
【0062】
いくつかの実施形態では、弁が、入口側に圧力を印加すると、閉位置から開位置に移動するように構成されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、弁が、入口側に印加された圧力を取り除くと、開位置から閉位置に移動するように構成されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、弁が、閉位置に向けて付勢されている。
【0065】
いくつかの実施形態では、弁が、入口側に圧力を印加すると分離するように構成されている複数のフラップを備える。
【0066】
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置は、希釈チャンバ開口部に流体接続されるように構成された導管を更に備え、導管は、所定の容積を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置は、希釈チャンバ開口部を覆うために容器に接続するように構成された希釈チャンバポートキャップを更に備える。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャは、容器とともに封止して第1の封止部を提供するように構成されている。
【0069】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、容器とともに封止して第2の封止部を提供するように構成されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャの離脱力は、第1のプランジャの離脱力よりも大きい。
【0071】
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置が提供される。薬剤送達装置は、第1のプランジャと、第2のプランジャと、第2のプランジャ及び第1のプランジャの少なくとも一部分を受容するように構成された容器と、を備える。容器及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバを画定する。容器は、希釈チャンバ開口部を画定する。第1のプランジャ、容器、及び第2のプランジャは、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定する。第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された弁を備える。
【0072】
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置が提供される。薬剤送達装置は、第1のプランジャと、第2のプランジャと、第2のプランジャ及び第1のプランジャの少なくとも一部分を受容するように構成された容器と、を備える。容器及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバを画定する。容器は、希釈チャンバ開口部を画定する。第1のプランジャ、容器、及び第2のプランジャは、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定する。第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された弁を備える。弁は、弁の入口側に弁閾値力を超える力が印加されると、閉位置から開位置に移動するように構成されている。弁閾値力は、第2のプランジャの離脱力と第1のプランジャの離脱力との合計よりも小さい。
【0073】
いくつかの実施形態では、弁閾値力は、第2のプランジャの離脱力よりも小さい。
【0074】
いくつかの実施形態では、弁の開弁力は、第2のプランジャの離脱力よりも小さい。
【0075】
いくつかの実施形態では、弁は、弁の入口側に印加された力が取り除かれると、開位置から閉位置に移動するように構成されている。
【0076】
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置が提供される。薬剤送達装置は、第1のプランジャと、第2のプランジャと、第2のプランジャ及び第1のプランジャの少なくとも一部分を受容するように構成された容器と、を備える。第1のプランジャは、容器とともに封止して第1の封止部を提供するように構成されている。第2のプランジャは、容器とともに封止して第2の封止部を提供するように構成されている。容器及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバを画定する。容器は、希釈チャンバ開口部を画定する。第1のプランジャ、容器、及び第2のプランジャは、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定する。第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された弁を備える。第2のプランジャの離脱力は、第1のプランジャの離脱力よりも大きい。
【0077】
いくつかの実施形態では、容器は、活性剤チャンバ開口部を画定する。
【0078】
いくつかの実施形態では、容器は、活性剤チャンバポート開口部を備える活性剤チャンバポートを画定する。
【0079】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャは、第1の数のOリングを備える。
【0080】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、第2の数のOリングを備える。
【0081】
いくつかの実施形態では、第2の数は、第1の数よりも大きい。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1の数のOリングのうちの1つ以上は、第1の直径の第1のOリングと、第1の溝幅の第1のOリング溝と、を備える。
【0083】
いくつかの実施形態では、第2の数のOリングのうちの1つ以上は、第2の直径の第2のOリングと、第2の溝幅の第2のOリング溝と、を備える。
【0084】
いくつかの実施形態では、第2の直径は、第1の直径よりも大きい。
【0085】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成されている弁装置を備え、弁装置は、弁を備える。
【0086】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、第2の弁を備える。
【0087】
いくつかの実施形態では、弁及び第2の弁は、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成されている。
【0088】
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置が提供される。薬剤送達装置は、第1のプランジャと、第2のプランジャと、第2のプランジャ及び第1のプランジャの少なくとも一部分を受容するように構成された容器と、第1のプランジャが変位させられたときに、第2のプランジャの変位に抵抗するように構成された少なくとも1つの抵抗要素と、を備える。容器及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバを画定する。容器は、希釈チャンバ開口部を画定する。第1のプランジャ、容器、及び第2のプランジャは、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバを画定する。第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成された弁を備える。
【0089】
いくつかの実施形態では、容器は、活性剤チャンバ開口部を画定する。
【0090】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抵抗要素は第2のプランジャOリングを備える。
【0091】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、第2のプランジャOリングを備える。
【0092】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャは、第1の数の第1のプランジャOリングを備える。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1の数の第1のプランジャOリングのうちの1つ以上は、第1の直径の第1のプランジャOリングと、第1の溝幅の第1のプランジャOリング溝と、を備える。
【0094】
いくつかの実施形態では、第2の数の第2のプランジャOリングのうちの1つ以上は、第2の直径の第2のプランジャOリングと、第2の溝幅の第2のプランジャOリング溝と、を備える。
【0095】
いくつかの実施形態では、第2の直径は、第1の直径よりも大きい。
【0096】
いくつかの実施形態では、第2の溝幅は、第1の溝幅よりも小さい。
【0097】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成されている弁装置を備え、弁装置は、弁を備える。
【0098】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、第2の弁を備える。
【0099】
いくつかの実施形態では、弁及び第2の弁は、活性剤チャンバから希釈チャンバへの医薬製剤のフローを制御するように構成されている。
【0100】
いくつかの実施形態では、弁は、弁の入口側に弁閾値力を超える力が印加されると、閉位置から開位置に移動するように構成されている。
【0101】
いくつかの実施形態では、弁閾値力は、第2のプランジャの離脱力及び第1のプランジャの離脱力の合計よりも小さい。
【0102】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャの離脱力は、第1のプランジャの離脱力よりも大きい。
【0103】
いくつかの実施形態では、導管装置が提供される。導管装置は、第1のハウジングポートと、第2のハウジングポートと、第1のハウジングポート及び第2のハウジングポートを接続する導管と、を備える、ハウジングを備える。いくつかの実施形態では、第1のハウジングポートは、第1のコネクタを備え、第2のハウジングポートは、第2のコネクタを備える。
【0104】
いくつかの実施形態では、導管は、ハウジング内でコイル状である。
【0105】
いくつかの実施形態では、導管は、所定の容積を有する。
【0106】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、導管装置の長手方向に平行な方向に、第2のコネクタから離間されて延在するカラーを更に備える。
【0107】
いくつかの実施形態では、カラーは、容器と係合するように構成されている。
【0108】
いくつかの実施形態では、第1のコネクタは、希釈チャンバ開口部を画定する希釈チャンバポートに接続するように構成されている第3のルアーロックコネクタである。
【0109】
いくつかの実施形態では、第2のコネクタは、第4のルアーロックコネクタである。
【0110】
いくつかの実施形態では、薬剤送達システムが提供される。薬剤送達システムは、上述した薬剤送達装置の実施形態のうちのいずれか1つと、上述した導管装置の実施形態のうちのいずれか1つと、を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、薬剤送達システムが提供される。薬剤送達システムは、上述した薬剤送達装置、及び注入デバイスのうちのいずれか1つを備える。注入デバイスは、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサと、注入デバイスメモリと、を備える。注入デバイスメモリは、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサによってアクセス可能なプログラム命令を記憶し、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサに、医薬製剤が薬剤送達装置によって送出されるように、注入デバイスアクチュエータを作動させて、第1のプランジャを変位させるように構成されている。
【0112】
いくつかの実施形態では、薬剤送達システムが提供される。薬剤送達システムは、上述した薬剤送達装置の実施形態、及び注入デバイスのうちのいずれか1つを含む。注入デバイスは、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサと、注入デバイスメモリであって、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサによってアクセス可能なプログラム命令を記憶しており、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサに、医薬製剤が薬剤送達装置によって送出されるように、希釈チャンバ出口に注入圧力を印加するように注入デバイスを制御させ、それによって、第1のプランジャの変位を引き起こすように構成されている、注入デバイスメモリと、を備える。
【0113】
次に、本開示の実施形態を、添付の図面を参照して、非限定的な例によってのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1A】いくつかの実施形態による、薬剤送達システムの斜視図である。
図1B】いくつかの実施形態による、図1に示される薬剤送達システムのブロック図である。
図2】いくつかの実施形態による、薬剤送達装置の断面の側面図である。
図3】薬剤送達装置の容器の一部分が透明である、図2の薬剤送達装置の斜視図である。
図4】いくつかの実施形態による、薬剤送達システムの斜視図である。
図5A】いくつかの実施形態による、薬剤送達システムの操作の方法を示す。
図5B】いくつかの実施形態による、薬剤送達システムの操作の方法を示す。
図5C】いくつかの実施形態による、薬剤送達システムの操作の方法を示す。
図5D】いくつかの実施形態による、薬剤送達システムの操作の方法を示す。
図5E】いくつかの実施形態による、薬剤送達システムの操作の方法を示す。
図6】いくつかの実施形態による、図1図5Eの薬剤送達装置の操作の方法を示す。
図7】いくつかの実施形態による、図1図5Eの薬剤送達装置の別の操作の方法を示す。
図8】いくつかの実施形態による、図1図5Eの薬剤送達装置を調製するための方法を示す。
図9】いくつかの実施形態による、図1図5Eの薬剤送達装置を調製するための別の方法を示す。
図10】いくつかの実施形態による、第2のプランジャに面する凹面を有する第1のプランジャと、第1のプランジャに面する凸面及び容器の遠位端に面する凸面を有する第2のプランジャと、を有する薬剤送達装置を示す。
図11】いくつかの実施形態による、一次プランジャのためのキャップ及びキャップのための支持構造を示す。
図12】いくつかの実施形態による、プランジャ管腔を備える薬剤送達装置を示す。
図13A】いくつかの実施形態による、図12の薬剤送達装置の断面の概略図である。
図13B】いくつかの実施形態による、希釈剤及び医薬製剤で充填されたときの図12の薬剤送達装置の断面の概略図である。
図14】いくつかの実施形態による、図12図13Bの薬剤送達装置を調製する方法を示す。
図15】いくつかの実施形態による、代替の第1のプランジャと、代替の第2のプランジャと、を備える薬剤送達装置の実施形態を示す。
図16】いくつかの実施形態による、図15の薬剤送達装置を調製する方法を示す。
図17】いくつかの実施形態による、薬剤送達装置を調製する方法を示す。
図18】いくつかの実施形態による、薬剤送達装置を調製する別の方法を示す。
図19A】いくつかの実施形態による、プランジャが異なる位置にある薬剤送達装置の側面図を示す。
図19B】いくつかの実施形態による、プランジャが異なる位置にある薬剤送達装置の側面図を示す。
図20A】いくつかの実施形態による、第1の状態でのOリングを備える薬剤送達装置の側面図を示す。
図20B】いくつかの実施形態による、第1の状態でのOリングを備える別の薬剤送達装置の側面図を示す。
図20C】いくつかの実施形態による、Oリングの断面図を示す。
図21】いくつかの実施形態による、第1の状態での薬剤送達装置の側面図を示す。
図22】いくつかの実施形態による、第1の状態での突出部を備える薬剤送達装置の側面図を示す。
図23】いくつかの実施形態による、薬剤送達装置の部分断面の側面図である。
図24】いくつかの実施形態による、薬剤送達装置の部分断面の側面図である。
図25A】いくつかの実施形態による、第2のプランジャを示す。
図25B】いくつかの実施形態による、別の第2のプランジャを示す。
図25C】いくつかの実施形態による、プランジャを示す。
図25D】いくつかの実施形態による、プランジャを示す。
図26】いくつかの実施形態による、空気捕捉部を提供するように成形された第1のプランジャ及び第2のプランジャを有する薬剤送達装置を示す。
図27】いくつかの実施形態による、単一の出口を有する第2のプランジャを示す。
図28】いくつかの実施形態による、2つの出口を有する第2のプランジャを示す。
図29A】いくつかの実施形態による、2つの出口を有する第2のプランジャを示す。
図29B】いくつかの実施形態による、2つの出口及び水平ダックビル弁を有する第2のプランジャの平面図を示す。
図29C】いくつかの実施形態による、2つの出口及び垂直ダックビル弁を有する第2のプランジャの平面図を示す。
図30A】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの2つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図30B】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの2つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図30C】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの2つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図30D】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの2つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図30E】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの2つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図30F】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの2つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図31】いくつかの実施形態による、3つの出口を有する第2のプランジャの斜視図を示す。
図32】いくつかの実施形態による、3つの出口を有する第2のプランジャの断面図を示す。
図33A】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの3つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図33B】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの3つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図33C】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの3つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図33D】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの3つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図33E】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの3つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図33F】いくつかの実施形態による、第2のプランジャの3つの出口を通って希釈チャンバ内に放出され、医薬製剤を希釈剤と混合する医薬製剤の噴流を示す。
図34】いくつかの実施形態による、複数のチャネル及び出口を有する第2のプランジャの内部構造を示す。
図35】いくつかの実施形態による、薬剤送達システムを示す。
図36】いくつかの実施形態による、導管装置又は薬剤送達装置に接続され得る一次入口及び二次入口を有するポンプを示す。
図37】いくつかの実施形態による、導管装置及び薬剤送達装置の一部分の斜視図を示す。
図38】いくつかの実施形態による、図37の導管装置及び薬剤送達器具の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0115】
本開示は、医薬製剤を投与するためのシステムに関する。特に、医薬製剤を投与するための薬剤送達装置のいくつかの実施形態が開示される。
【0116】
説明で使用される「活性剤」という用語は、「活性成分」又は「薬物」に対応し得るか、又は「活性成分」又は「薬物」とも称され得ることが理解されよう。すなわち、本開示全体を通して、「活性成分」、「活性剤」、及び「薬物」という用語は、患者に投与されることとなる活性剤を記述するために使用されている。いくつかの実施形態では、医薬製剤が、患者に送達され得る。医薬製剤は、活性剤を含み得る。医薬製剤はまた、1つ以上の他の構成要素を含んでもよい。例えば、医薬製剤は、溶媒を含んでもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、医薬製剤は、活性剤及び溶媒を含み得る。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、希釈剤を含み得る。すなわち、いくつかの実施形態では、医薬製剤は、活性剤、溶媒、及び/又は希釈剤を含み得る。医薬製剤は、特定の濃度の活性剤を含み得る。これは、活性剤濃度と称される場合がある。医薬製剤は、溶液であってもよい。いくつかの実施形態では、説明で使用される「薬物」という用語は、「医薬製剤」の活性剤に対応し得ることが理解されよう。
【0117】
薬剤送達システム
図1A図1B図4、及び図5A図5Eは、いくつかの実施形態による、システム1を示している。いくつかの実施形態では、システム1は、流体送達システム1である。いくつかの実施形態では、システム1は、薬剤送達システム1である。薬剤送達システム1は、流体送達装置2を備える。流体送達装置2は、流体を混合し、混合された流体を送出するように構成されている。いくつかの実施形態では、流体送達装置2は、薬剤送達装置2の形態である。図2図3図6、及び図7は、いくつかの実施形態による、薬剤送達装置2を示している。
【0118】
薬剤送達システム1は、医薬製剤を患者に提供するように構成されている。薬剤送達システム1は、流量送達関数に近似する目標流量に従って、医薬製剤を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、薬剤送達システム1は、国際特許出願PCT/AU2020/051363号に記載されるような目標流量に従って医薬製剤を提供するように構成されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。いくつかの実施形態では、薬剤送達システム1は、オーストラリア仮特許出願第2021/901792号に記載されるような目標流量に従って医薬製剤を提供するように構成されており、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。目標流量は、経時的に変化し得る。
【0119】
PCT/AU2020/051363及びオーストラリア仮特許出願第2021/901792号に記載されているように、注入デバイスは、薬剤送達装置を制御して患者に医薬製剤を静脈内送達するように構成され得、注入デバイスは、プロセッサと、プロセッサによって実行可能な命令を記憶しているメモリと、を備え、命令は、薬剤送達装置に、所定の用量プロファイルに従って医薬製剤を患者に送達させ、所定の用量プロファイルは、治療用量を投与する第1の段階の間に、医薬製剤に対する患者の有害反応の安全な検出、又は医薬製剤に対する患者の減感作を容易にする方式で、所定の注入時間にわたって患者に医薬製剤の治療用量を送達するように設計されている。
【0120】
いくつかの例では、所定の用量プロファイルは、用量率が所定の注入時間にわたって変化するようなものである。いくつかの例では、患者に送達される累積用量は、所定の注入時間の少なくとも一部分にわたって、指数関数的に増加するか、又は経時的に増加する速度で増加する。いくつかの例では、用量プロファイルは、累積用量が治療用量の0.01%及び0.1%に達する間の第1の期間と、累積用量が治療用量の0.1%及び1%に達する間の第2の期間とが存在するようなものであり、第1の期間及び第2の期間は、少なくとも6分、少なくとも5分、少なくとも4分、少なくとも3分、2分~10分、及び少なくとも有害反応の潜在的期間からなる群から選択される。
【0121】
注入デバイスのプロセッサは、注入デバイスを制御することによって、所定のプロファイルに従って医薬製剤を送達するように、薬剤送達装置を制御し得る。例えば、注入デバイスは、医薬製剤が所定の用量プロファイルに従って送達されるように、ポンプを駆動してもよく、又は薬剤送達装置のプランジャを駆動するように制御されてもよい。例えば、プロセッサは、所定の注入時間をいくつかの注入ステップに分割し、各注入ステップの目標流量又は目標送出体積を決定して、各注入ステップの目標流量又は目標送出体積に従ってアクチュエータが制御されるときに、所定の用量プロファイルが実現されるようにし得る。所定の用量プロファイルの注入ステップの目標流量又は目標送出体積は、メモリに記憶されている、又はリアルタイムで計算されたルックアップテーブルを参照することによって決定され得る。いずれの場合も、患者に送達される薬物の累積用量は、非常に低いレベルで開始し、注入の過程で増加し、場合によっては、注入が進むにつれて用量率が増加する。注入は、例えば、20~180分間持続し得る。用量率は比較的低くてもよく、注入の最初の部分、例えば注入の最初の10分間にわたってのみゆっくりと増加する。
【0122】
多くの注入ドライバにとって、低い注入速度を正確に送達することが困難になる場合がある。したがって、いくつかの例では、薬剤送達装置は、希釈剤を含む別個の希釈チャンバ内に医薬製剤を排出する活性剤チャンバを備え得、希釈された医薬製剤は、次いで、例えば延長チューブなどの導管を通って患者に流入し得る。このようにして、医薬製剤は、注入の開始時に大幅に希釈され得るので、低い注入速度を送達しながら、より高い用量率を使用することができる。希釈チャンバ内の及び患者に送達される医薬製剤の濃度は、注入の少なくとも一部にわたって変化し得、増加し得る。1つの便利な実装形態は、以下でより詳細に説明されるように、活性剤チャンバ及び希釈チャンバを画定する一対のプランジャを有するシリンジの形態の薬剤送達装置である。
【0123】
薬剤送達システム1は、注入デバイス3(シリンジドライバ、蠕動ポンプ、容積ポンプ、又は類似の薬物注入ポンプなど)を備える。注入デバイス3は、注入ドライバ3を備えるか、又は注入ドライバ3の形態であり得る。注入デバイス3は、真空注入デバイス3を備えるか、又は真空注入デバイス3の形態であり得る。注入デバイス3が真空注入デバイス3を備えるか、又は真空注入デバイス3の形態である場合、注入デバイス3は、医薬製剤が薬剤送達装置2によって送出されるように、希釈チャンバ開口部53に注入圧力(すなわち、真空圧力61)を印加し、それによって、第1のプランジャ13の変位を引き起こし得る。医薬製剤は、目標流量で送出され得る。
【0124】
注入デバイス3は、注入デバイス3が、薬剤送達装置2から患者に医薬製剤を送達する流量を制御するための制御ユニットを備える。制御ユニットは、注入デバイス3を制御するためのハードウェア及びソフトウェアを備える。ソフトウェアは、流量送達関数によって決まる流量を計算するように設計されたアルゴリズムを実行するための複数の命令を含む。いくつかの実施形態では、流量送達関数は、医薬製剤が薬剤送達装置2によって患者に提供される流量を特徴付ける。図1Bは、薬剤送達システム1のブロック図を示している。
【0125】
薬剤送達装置2は、第1のプランジャ13を備える。第1のプランジャ13はまた、一次プランジャと称される場合がある。薬剤送達装置2は、第2のプランジャ14を備える。第2のプランジャ14はまた、分離プランジャと称される場合がある。薬剤送達装置2は、容器11を備える。容器11はまた、バレル11と称される場合がある。容器11は、第2のプランジャ14を受容することに対して構成されている。容器11は、第1のプランジャ13の少なくとも一部分を受容するように構成されている。これは、第1のプランジャ13の遠位部分であり得る。
【0126】
第2のプランジャ14は、容器11内に受容されると、容器11内の2つのチャンバを画定する。特に、第2のプランジャ14は、容器11内に受容されると、第1のチャンバ15及び第2のチャンバ25を画定する。第1のチャンバ15は、第1の流体を保管するように構成されている。第1の流体は、活性剤及び溶媒を含む溶液であり得る。活性剤は、本明細書に記載する通りであり得る。溶媒は、本明細書に記載する通りであり得る。第1のチャンバ15は、活性剤チャンバ15と称される場合がある。第2のチャンバ25は、第2の流体を保管するように構成されている。第2の流体は、希釈剤であり得る。希釈剤は、本明細書に記載の通りであり得る。第2のチャンバ25は、混合チャンバ25又は希釈チャンバ25と称される場合がある。特に、容器11及び第2のプランジャ14は一体となって、希釈チャンバ25を画定する。希釈チャンバ25は、希釈剤を受容するように構成されている。第1のプランジャ13、容器11、及び第2のプランジャ14は一体となって、活性剤チャンバ15を画定する。
【0127】
活性剤チャンバ15は、活性剤を受容するように構成されている。いくつかの実施形態では、活性剤は、固体(例えば、結晶形態又は粉末)であり得る。そのような場合、活性剤チャンバ15は、溶媒を受容するように構成され得る。溶媒は、固体活性剤を溶解するように構成されている。したがって、医薬製剤は、溶媒中に溶解した活性剤を含む。すなわち、医薬製剤は、活性剤及び溶媒を含む溶液を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、活性剤チャンバ15は、医薬製剤を受容するように構成されている。本明細書に記載される場合、医薬製剤は、活性剤(溶解した場合)及び溶媒を含む溶液であり得る。このような場合、活性剤チャンバ15は、活性剤及び溶媒を含む溶液として、医薬製剤を受容するように構成される。
【0129】
第2のプランジャ14は、活性剤チャンバ15に含まれる流体(例えば、医薬製剤)の希釈チャンバ25内へのフローを可能にするように構成されている。希釈チャンバ25は、活性剤チャンバ15から流れる医薬製剤(又は活性剤)と混合するための希釈剤を含む。
【0130】
第2のプランジャ14は、弁39を備える。弁39はまた、弁手段39と称される場合がある。弁39は、活性剤チャンバ15から希釈チャンバ25に入る医薬製剤のフローを制御するように構成されている。言い換えると、第2のプランジャ14は、活性剤チャンバ15から希釈チャンバ25への医薬製剤のフローを制御するように構成された弁39を備える。希釈チャンバ25は、容器11の遠位端に近接し、活性剤チャンバ15は、容器の遠位端から更に離れている。図6に示すように、使用中、医薬製剤は、弁39を通して活性剤チャンバ15から希釈チャンバ25内に排出され、希釈チャンバ開口部51を通して希釈チャンバ25から排出され得る。希釈チャンバ開口部51は、患者に通じる延長チューブなどの導管23に接続され得る。このようにして、医薬製剤は、希釈チャンバ内で希釈剤と混合され得、希釈された医薬製剤は、装置から放出され、患者に静脈内に送達され得る。流体がチャンバを通って希釈チャンバ開口部から連続的に押し出され得るので、希釈チャンバ内の医薬製剤及び希釈剤の混合は、希釈された医薬製剤が希釈チャンバ開口部を通って放出されるのと同時に起こり得る。
【0131】
図5A図5D及び図6では、希釈チャンバ25は容器11の遠位端に向かっており、活性剤チャンバ15は近位端に向かっている。本開示の例ではチャンバの順序が異なるため、この配置は、希釈チャンバが近位端にあり、活性剤チャンバが遠位端にある従来技術の二重チャンバシリンジとは異なる。いくつかの例では、本開示の医療用送達装置には、臨床医によって充填される空の希釈及び活性剤チャンバが提供され得る。これは、シリンジには、固体薬物で事前に充填された遠位端に活性剤チャンバが、及び希釈剤で事前に充填された近位端に希釈チャンバが提供されている、従来技術の二重チャンバシリンジとは異なる。
【0132】
弁39は、一方向弁であり、活性剤チャンバ15から希釈チャンバ25への流体のフローを可能にするが、希釈チャンバから活性剤チャンバ内への流体のフローを阻止する。弁39は、印加された圧力に応答して医薬製剤のフローを制御するように構成され得る。圧力は、第1のプランジャ13によって印加され得る。代替的に、圧力は、第1のプランジャ13を介して印加され得る。少なくとも図1図8に示される特定の配置では、弁39はダックビル弁41を備える。ダックビル弁41は、第1のプランジャ13に圧力が印加されると、互いに分離してダックビル弁41を開放する、複数のフラップ43を備える。第1のプランジャ13に印加されている圧力が取り除かれると、フラップ43は、その元の状態に戻ってダックビル弁41を閉鎖し、活性剤チャンバ15中への医薬製剤の逆流を妨げる。
【0133】
弁39(又は弁手段39)は、入口側45及び出口側47を備える。弁39(又は弁手段39)は、入口側45に圧力が印加されると、閉位置から開位置に移動するように構成されている。医薬製剤を変位させるために容器11内の第1のプランジャ13を長手方向に変位させる(又は作動させる)ことによって、弁39(又は弁手段39)の入口側45に、圧力が印加され得る。弁39(又は弁手段39)は、入口側に印加された圧力が取り除かれると、開位置から閉位置に移動するように構成されている。弁39(又は弁手段39)は、入口側45に印加された圧力が圧力閾値を超える場合に、閉位置から開位置に移動するように構成されてもよい。弁39(又は弁手段39)は、入口側45に印加された圧力が圧力閾値を下回る場合に、開位置から閉位置に移動するように構成されてもよい。
【0134】
弁39(又は弁手段39)は、閉位置に向けて付勢されている。弁39(又は弁手段39)は、複数のフラップ43を備える。複数のフラップ43は、入口側45に圧力が印加されると、分離するように構成されている。第1のプランジャ13は、活性剤チャンバ15中の医薬製剤の全て又は大部分が希釈チャンバ25に移送されると、第2のプランジャ14に接触するように構成されている。また、第1のプランジャ13の更なる作動は、第2のプランジャ14の移動をもたらすこととなる。したがって、第1のプランジャ13の作動は、第2のプランジャ14の移動を引き起こし、希釈チャンバ25中の医薬製剤を薬剤送達装置2によって出力させる。
【0135】
容器11は、少なくとも1つの第1のポート49を備える。第1のポート49は、容器充填ポート49と称される場合がある。第1のポート49は、活性剤チャンバポート49と称される場合がある。これは、第1のポート49が薬剤送達装置2の活性剤チャンバ15へのアクセスを提供することができることが理由であり得る。活性剤チャンバポート49は、活性剤チャンバポート開口部54を画定する。活性剤チャンバポート開口部17は、活性剤チャンバ15及び/又は容器11の内部にアクセスすることができる容器11内の開口部である。薬剤送達システム1は、第1のポートキャップ50を備える。第1のポートキャップ50は、活性剤チャンバポート49を覆うように構成されている。第1のポートキャップ50は、活性剤チャンバポートキャップ50と称される場合がある。
【0136】
容器は、第2のポート51を備える。第2のポート51は、容器出口ポート51と称される場合がある。第2のポート51はまた、希釈チャンバポート51と称される場合がある。希釈チャンバポート51は、希釈チャンバ開口部53を画定する。希釈チャンバ開口部53は、希釈チャンバ25及び/又は容器11の内部にアクセスすることができる容器11内の開口部である。薬剤送達システム1は、第2のポートキャップ52を備える。第2のポートキャップ52は、容器出口ポートキャップ52と称される場合がある。第2のポートキャップ52は、希釈チャンバポートキャップ52と称される場合がある。希釈チャンバポートキャップ52は、希釈チャンバポート51を覆うように構成されている。
【0137】
容器充填ポート49は、容器11を医薬製剤で充填することを可能にする。希釈チャンバポート51は、(1)希釈チャンバ25を希釈剤で提出すること、又は(2)患者に送達するために容器11から(特に、希釈チャンバ25から)活性剤と希釈剤との混合物(薬学的組成物)が出ることを許容することのいずれかを可能にする。
【0138】
前述したように、容器11は、活性剤チャンバ開口部17を備える。活性剤チャンバ開口部17は、第1のプランジャ13の少なくとも一部分を受容するように構成されている。特に、活性剤チャンバ15は、活性剤チャンバ開口部17を備える。活性剤チャンバポート開口部49は、第2の活性剤チャンバ開口部と見なされ得る。言い換えれば、活性剤チャンバ15は、医薬製剤を受容するように構成されている第2の活性剤チャンバ開口部を備えるといってよい。活性剤チャンバポート開口部49は、容器11の壁内に画定される。活性剤チャンバ15は、第2の活性剤チャンバポート開口部49を介して活性剤チャンバ15内に医薬製剤を導入することによって、医薬製剤で充填され得る。活性剤チャンバポート49は、したがって、活性剤チャンバ入口と称される場合がある。
【0139】
前述したように、容器11は、希釈チャンバポート51を備える。特に、希釈チャンバ25が、希釈チャンバポート51を備える。したがって、第2のポート51は、希釈チャンバポート51と称される場合がある。希釈チャンバポート51は、希釈チャンバ開口部53を備える。したがって、希釈チャンバポート51は、薬剤送達装置2及び/又は希釈チャンバ25の出口ポート51と見なされ得る。
【0140】
図に示される配置では、活性剤チャンバポート49及び希釈チャンバポート51は、雄型ルアーロックコネクタ(すなわち、第1のルアーロックコネクタ)を備えるように示されている。代替的な配置では、例えば、活性剤チャンバポート49及び/又は希釈チャンバポート51は、雌型ルアーロックコネクタ(すなわち、第2のルアーロックコネクタ)を備え得る。
【0141】
活性剤チャンバポートキャップ50は、活性剤チャンバポート49のルアーロックコネクタへの相補的なルアーロックコネクタを備え得る。活性剤チャンバポートキャップ50は、活性剤チャンバポート49に接続されている間、活性剤チャンバポート49を通る流体フローを阻止する。希釈チャンバポートキャップ52は、希釈チャンバポート51のルアーロックコネクタへの相補的なルアーロックコネクタを含み得る。希釈チャンバポートキャップ52は、希釈チャンバポート51に接続されている間、希釈チャンバポート51を通る流体フローを阻止する。
【0142】
第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14は、各々、容器11の長手方向軸21に対して変位させられるように構成されている。第2のプランジャ14は、第1のプランジャ13と希釈チャンバ開口部53(及び希釈チャンバポート51)との間に配設されている。第2のプランジャ14は、活性剤チャンバポート49(及び活性剤チャンバポート開口部)と希釈チャンバ開口部53との間に配設されている。
【0143】
容器11は、内側容器表面55を画定する。第1のプランジャ13は、第1のプランジャ封止面57を備える。第1のプランジャ13は、内側容器表面55とともに封止するように構成されている。特に、第1のプランジャ13は、内側容器表面55とともに封止して、内側容器表面55と第1のプランジャ封止面57との間の流体フローを阻止するように構成されている。第1のプランジャ13は、第1のプランジャ封止面57とともに封止するように構成されている。
【0144】
第2のプランジャ14は、第2のプランジャ封止面59を備える。第2のプランジャ14は、内側容器表面55とともに封止するように構成されている。特に、第2のプランジャ封止面59は、内側容器表面55とともに封止して、内側容器表面55と第2のプランジャ封止面59との間の流体フローを阻止するように構成されている。第2のプランジャ14は、第2のプランジャ封止面59とともに封止するように構成されている。
【0145】
薬剤送達装置2は、導管23を備え得る。導管23は、希釈チャンバ開口部53に流体接続されるように構成されている。導管23は、所定の容積を有する。すなわち、導管23の長さ及び内部表面積は、導管23が所定の容積を画定するようなサイズにされている。したがって、導管23は、希釈された医薬製剤が患者に送達される前に、ある容積の希釈された医薬製剤を保持又は保管することができる。導管23は、最小容積延長チューブと称される場合がある。導管23は、患者に送達される第1の容積の注入を維持するように構成されている。第1の注入の容積は、希釈チャンバ25中における効果的な混合をもたらすこととなる速度でのプライミングプロセスによって調製され得る。この時間の間は医薬製剤が患者に送達されないため、このことは、可能である。したがって、希釈チャンバ25から出る混合された流体を導管23の端部まで駆動しながら、プライミング時に、異なる流量を第1の容積に使用することができる。薬剤送達装置2の導管23は、所定の容積を有するように記載されているが、所定の容積の導管を、本明細書に開示される薬剤送達装置のいずれかとともに使用して、同様の機能及び利点を達成することができることが理解されよう。
【0146】
注入デバイス3は、コンピュータシステム5を備える。注入デバイス3は、駆動機構9を備える。ドライブ機構9は、シリンジドライバを備え得る。駆動機構9は、コンピュータシステム5によって制御される。特に、コンピュータシステム5は、(薬剤送達装置2に含まれる)薬物を特定の方式で、例えば流量送達関数に従って患者に送達するために、駆動機構9を制御するように適合されている。
【0147】
コンピュータシステム5は、少なくとも1つのプロセッサ27を備える。コンピュータシステム5は、メモリ29を備える。メモリ29は、ランダムアクセスメモリ(RAM)の形態であり得る。コンピュータシステム5は、データ記憶デバイス31を備える。コンピュータシステム5は、ユーザインターフェース33を備える。ユーザインターフェース33は、ディスプレイ35及び/又はキーボード37を含み得る。コンピュータシステム5の特定の構成要素は、システムバス39を介して、コンピュータシステム5及び/又は注入デバイス3の1つ以上の他の構成要素と通信し得る。
【0148】
少なくとも1つのプロセッサ27は、メモリ29に記憶された注入デバイスプログラム命令を実行して、注入デバイスを本明細書に記載するように機能させるように構成されている。言い換えれば、注入デバイスプログラム命令は、少なくとも1つのプロセッサ27によってアクセス可能であり、少なくとも1つのプロセッサ27を本明細書に記載するように機能させるように構成されている。
【0149】
いくつかの実施形態では、注入デバイスプログラム命令は、プログラムコードの形態である。少なくとも1つのプロセッサ27は、1つ以上のマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はプログラムコードを読み出し、実行することができる他のプロセッサを備える。
【0150】
メモリ29は、1つ以上の揮発性又は不揮発性メモリタイプを備え得る。例えば、メモリ29は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、又はフラッシュメモリのうちの1つ以上を含み得る。メモリ29は、少なくとも1つのプロセッサ27によってアクセス可能なプログラムコードを記憶するように構成されている。プログラムコードは、実行可能なプログラムコードモジュールを含み得る。言い換えると、メモリ29は、少なくとも1つのプロセッサ27によって実行可能であるように構成された実行可能コードモジュールを記憶するように構成されている。実行可能コードモジュールは、少なくとも1つのプロセッサ27によって実行されると、本明細書に記載するように、少なくとも1つの注入デバイスプロセッサ27に特定の機能を実施させる。
【0151】
注入デバイス3が真空注入デバイス3を備えるか、又は真空注入デバイス3の形態である場合、注入デバイス3は、医薬製剤が薬剤送達装置2によって目標流量で送出されるように、希釈チャンバ開口部に注入圧力(すなわち、真空圧力61)を印加し、それによって、第1のプランジャ13の変位を引き起こし得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、注入デバイス3は、第1のプランジャ13を作動させるように構成されている。注入デバイス3は、医薬製剤が薬剤送達装置2によって送出されるように、注入デバイスアクチュエータを作動させて、第1のプランジャ13を変位させるように構成され得る。医薬製剤は、目標流量で送出され得る。
【0153】
コンピュータシステム5は、任意選択で、患者に注入され得る各特定の薬物の最大許容薬物投与速度を内有する薬物ライブラリ及びデータベースを含んでもよい。注入デバイス3の使用中(例えば、流量送達関数の実行中)に予想される薬物送達速度が最大許容薬物投与速度を超える場合には、注入速度は、希釈チャンバ25を出る薬物の濃度が最大許容薬物投与速度を超えないように、最大許容注入速度に従って低減されることとなる。このことにより、注入時間が注入に意図されるよりも長くなる結果となり得るが、最大の許容又は示唆される医薬品投与速度を超えないことが確保される。
【0154】
本開示の本方法に従って医薬製剤を注入する方法の間、薬物送達速度が最大許容薬物投与速度を超えるかどうかを確認するために、コンピュータシステム5によって薬物ライブラリにアクセスしてもよく、そうである場合、注入速度を、最大許容注入速度に従って低減して、最大許容薬物投与速度を与えることとなる。
【0155】
プロセッサ27は、例えば、流量送達関数のいずれかに従って薬物を送達するために、注入デバイス3の駆動機構9を制御するための命令を実行し得る。プロセッサ27によって実行されるコードは、コンピュータシステム5のメモリ29に記憶されてもよいし、データ記憶デバイス31を通して外部ソースから提供されてもよい。このソフトウェアは、医薬製剤が流量送達関数によって指示される医薬製剤の注入速度に一致又は近似する特定の流量で薬剤送達装置2から出るように、注入デバイス3の駆動機構を制御するための命令を含むことになる。
【0156】
図4及び図5A図5Eは、注入デバイス3に取り付けられ、それによって薬剤送達システム1を形成している、薬剤送達装置2を示している。図4及び図5A図5Eの注入デバイス3は、シリンジドライバ3の形態である。図6は、いくつかの実施形態による、薬剤送達装置2の操作の第1の方法600を示している。図5A図6の薬剤送達装置2の操作の第1の方法600は、薬剤送達装置2の長手方向軸21に平行な方向に、第1のプランジャに力を印加することによって、第1のプランジャ13を作動させることを含む。力は、第1のプランジャ13に接触して、これを押す注入ドライバ9によって印加される。図5A図6は、第1の方法600に従って、活性剤チャンバ15及び希釈チャンバ25を空にすることに関与するいくつかのステップを示している。
【0157】
図5A図5Eに示すように、薬学的組成物(すなわち、薬剤送達装置2によって送出される溶液)の調製は、活性剤チャンバ15に含まれる医薬製剤が、希釈剤チャンバ25内に送達され、希釈剤チャンバ25に含まれる希釈剤と(弁39を介して)混合するように、第1のプランジャ13を押すステップを含む。図6において、このステップは、602及び604に示されている。
【0158】
602において、薬剤送達装置2は、プライミング状態にある。プライミング状態では、活性剤チャンバ15は医薬製剤で充填され、希釈チャンバ25は希釈剤で充填され、導管23は希釈剤でプライミングされる。
【0159】
図5A図5C及び図6の602及び604において、注入デバイス3は、第1のプランジャ13と係合し、これを作動させる。注入デバイス3は、薬剤送達装置2の長手方向軸21に平行な方向に、第1のプランジャ13を作動させる。図5A図5C及び604において、一次プランジャ13は、弁手段39と協同して希釈チャンバ25内に特定の混合プロファイルを提供して、医薬製剤を希釈剤と適正に混合することを可能にするために、医薬製剤が希釈チャンバ25内に送達されるように、注入デバイス3によって押される。
【0160】
活性剤チャンバ15に含まれる医薬製剤が希釈チャンバ25内に送達される際、薬学的組成物(この場合、希釈された医薬製剤)を生成するための混合が生じ、次いで、薬学的組成物は、患者への注入のために導管23に送達される。薬学的組成物が導管23内に送達される際、希釈チャンバ25内の活性剤の濃度は、注入中に医薬製剤が希釈チャンバ25内に送達されるにつれて増加する。
【0161】
図5D及び図5Eにおいて、並びに図6の606~610において、活性剤チャンバ15は空にされている。すなわち、第1のプランジャ13は、第2のプランジャ14に接触している。また、第1のプランジャ13の更なる作動は、第2のプランジャ14の移動を引き起こす。第2のプランジャ14の移動は、希釈チャンバ25内の流体(すなわち、希釈された医薬製剤、又は薬学的組成物)を、希釈チャンバポート51を通して変位させる。希釈チャンバ25内の流体は、患者に提供するために導管23内に変位される。
【0162】
薬学的組成物を患者に送達するために、薬学的組成物が特定のプロファイルに従って送達されるような方式で、(第2のプランジャ14が一次プランジャ13に当接して)第1のプランジャ13が押される。特に、第1のプランジャ13は、特定のアルゴリズムに基づいて駆動される。
【0163】
最初に、特定のアルゴリズムに基づいて第1のプランジャ13が駆動され、かつ導管23が患者に流体接続される前に、注入デバイス3を動作させて、薬学的組成物の送達のために患者に流体接続されるように導管23を充填する(すなわち、プライミングする)ような方式で第1のプランジャ13を駆動する。
【0164】
代替的に、いくつかの実施形態では、第1のプランジャ13が特定のアルゴリズムに基づいて駆動され、導管23が患者に流体接続される前に、導管23は希釈剤で充填される。次いで、注入デバイス3は、第1のプランジャ13が特定のアルゴリズムに基づいて駆動される前に、導管23内の希釈剤の容積を患者に変位させ、導管23を希釈された医薬製剤で充填するために必要な容積を送達し得る。
【0165】
図7は、いくつかの実施形態による、薬剤送達装置2の操作の第2の方法700を示している。薬剤送達装置2の操作の第2の方法700は、希釈チャンバポート51に真空圧力61を印加することによって、第1のプランジャ13を作動させることを含む。力は、注入ドライバ3の真空ポンプによって印加され得る。真空圧力61は、第1のプランジャ13に力を印加する。力は、第1のプランジャ13を、薬剤送達装置2の長手方向軸21に平行な方向に、第2のプランジャ14に向かって移動させる。図7は、第2の方法700に従って、活性剤チャンバ15及び希釈チャンバ25を空にすることに関与するステップの数を示している。
【0166】
702において、薬剤送達装置は、プライミング状態にある。プライミング状態では、活性剤チャンバ15は医薬製剤で充填され、希釈チャンバ25は希釈剤で充填され、導管23は希釈剤でプライミングされる。
【0167】
704において、注入デバイス3は、真空圧力61を希釈チャンバポート51に印加する。真空圧力61は、導管23を介して印加され得る。本明細書に記載するように、薬剤送達装置2は、第1のプランジャ13が真空圧力61によって移動するように構成されている。第1のプランジャ13は、最初は、第2のプランジャ14の著しい移動を伴わずに、真空圧力61によって移動させられる。704において、第1のプランジャ13が移動し、それによって、医薬製剤を活性剤チャンバ15から弁39を介して希釈チャンバ25内に変位させる。第1のプランジャ13の移動はまた、希釈チャンバポート51を通して薬学的組成物(すなわち、希釈チャンバ25内の希釈された医薬製剤)を変位させる。薬剤送達装置2は、第1の中間状態で704で示されている。第1の中間状態では、第1のプランジャ13は、活性剤チャンバ15から医薬製剤を部分的に空にしている。
【0168】
706において、第1のプランジャ13は、第2のプランジャ14に接触している。注入デバイス3は、第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14の両方の移動を引き起こす真空圧力61を印加し続ける。第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14の移動は、希釈チャンバポート51を通して希釈チャンバ25(薬学的組成物)内の流体を変位させる。
【0169】
708において、第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14は両方とも、真空圧力61によって移動させられる。薬剤送達装置2が、第2の中間状態で708で示されている。第2の中間状態では、第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14は、希釈チャンバ25から薬学的組成物を部分的に空にしている。
【0170】
710において、第2のプランジャ14は、容器11に接触している。特に、第2のプランジャ14が、容器11の遠位端63に接触している。この時点で、活性剤チャンバ15及び希釈チャンバ25の両方が空になっている。
【0171】
薬剤送達装置2を調製するための方法800
図8は、いくつかの実施形態による、図1図5Eの薬剤送達装置2を調製するための方法800を示している。802において、薬剤送達装置2は、初期状態にある。初期状態では、第1のプランジャ13が、第2のプランジャ14と接触している。更に、第2のプランジャが、容器11の遠位端63と接触している。
【0172】
臨床医は、活性剤チャンバポート49を活性剤チャンバポートキャップ50で覆う。臨床医は、充填導管65を薬剤送達装置2の希釈チャンバポート51に接続する。充填導管65は、希釈チャンバポート51のルアーロックコネクタへの相補的なルアーロックコネクタを備え得る。充填導管65は、針の形態であり得る。
【0173】
臨床医は、充填導管65の遠位端を希釈剤容器67内に挿入する。希釈剤容器67は、希釈剤を含む。臨床医は、充填導管65の遠位端を、希釈剤容器67に記憶されている希釈剤中に挿入する。
【0174】
804において、臨床医は、第1のプランジャ13を希釈チャンバポート51から離すように移動させる。第1のプランジャ13を希釈チャンバポート51から離すように移動させることは、第2のプランジャ14を第1のプランジャ13とともに希釈チャンバポート51から引き離し、これは、第1のプランジャ13と第2のプランジャ14との間に実質的に気密の封止部が存在するためである。第1のプランジャ13を希釈チャンバポート51から離すように移動させることはまた、希釈剤を希釈剤容器67から薬剤送達装置2内に引き込む。
【0175】
第1のプランジャ13を希釈チャンバポート51から離すように移動させることは、希釈チャンバ25の容積を増加させる。増加した希釈チャンバ25の容積は、第2の出口51を通って引き出される希釈剤によって占有される。臨床医は、第1のプランジャ13(及び第2のプランジャ14)を希釈チャンバポート51から離れるように、初期希釈チャンバプランジャ位置に移動させる。希釈チャンバ25は、第1のプランジャ13が初期希釈チャンバプランジャ位置にあるときの初期希釈チャンバ容積である。初期希釈チャンバ容積は、注入中に患者に提供されることになる希釈剤の容積に関連し得る。例えば、初期希釈チャンバ容積は、注入中に患者に提供されることになる希釈剤の容積よりも大きくてもよい。
【0176】
806において、臨床医は、希釈チャンバポート51から充填導管65を取り外す。臨床医は、希釈チャンバポート51が上向き方向69に面するように、薬剤送達装置2を移動させる。臨床医は、薬剤送達装置2を移動させて(例えば、薬剤送達装置2を叩くことによって)、希釈チャンバ25内の希釈剤内に存在し得る気泡を希釈チャンバポート51に向かって移動させる。次に、臨床医は、第1のプランジャ13(及び第2のプランジャ14)を希釈チャンバポート51に向かって希釈チャンバプランジャ位置に移動させ、それによって、過剰な空気を希釈チャンバポート51から押し出す。希釈チャンバ25は、第1のプランジャ13が希釈チャンバプランジャ位置にあるときの希釈チャンバ注入容積である。希釈チャンバの注入容積は、注入中に患者に提供されることになる希釈剤の容積に関連し得る。例えば、希釈チャンバの注入容積は、注入中に患者に提供されることになる希釈剤の容積に対応し得る。
【0177】
808において、臨床医は、希釈チャンバポートキャップ52で希釈チャンバポート51を覆う。希釈チャンバポートキャップ52は、希釈チャンバポート51のルアーロックコネクタへの相補的なルアーロックコネクタを含み得る。希釈チャンバポートキャップ52は、希釈チャンバポート51に接続されている間、希釈チャンバポート51を通る流体フローを阻止する。
【0178】
臨床医は、活性剤チャンバポートキャップ50を活性剤チャンバポート49から取り外す。臨床医は、充填シリンジ71の出口を活性剤チャンバポート49に接続する。充填シリンジ71は、充填シリンジチャンバ72内の注入に使用されることになる医薬製剤を含む。
【0179】
810において、臨床医は、充填シリンジ71の充填シリンジプランジャ73を作動させる。充填シリンジプランジャ73の作動は、充填シリンジ71の出口を通して、医薬製剤を薬剤送達装置2内に変位させる。医薬製剤は、第1のプランジャ13に圧力を印加し、容器11内の第1のプランジャ13の変位を引き起こす。医薬製剤によって印加される圧力は、第1のプランジャ13を第2のプランジャ14から離すように移動させる。
【0180】
代替的に、臨床医は、第1のプランジャ13を第2のプランジャ14から離すように移動させ、活性剤チャンバ15の容積を増加させることができる。このことは、充填シリンジ71の出口で真空圧力を生成し、医薬製剤を充填シリンジ71から活性剤チャンバ15内に変位させる。
【0181】
第1のプランジャ13を第2のプランジャ14から離すように移動させることは、活性剤チャンバ15の容積を増加させる。増加した活性剤チャンバ15の容積は、医薬製剤によって占有される。第1のプランジャ13は、初期活性剤チャンバ第1のプランジャ位置に移動させられる。活性剤チャンバ15は、第1のプランジャ13が初期活性剤チャンバ第1のプランジャ位置にあるときの初期活性剤チャンバ容積である。初期活性剤チャンバ容積は、注入中に患者に提供されることになる医薬製剤の容積に関連し得る。例えば、初期活性剤チャンバ容積は、注入中に患者に提供されることになる医薬製剤の容積よりも大きくてもよい。
【0182】
812において、臨床医は、充填シリンジ71を取り外す。臨床医は、第1のポート51が略上向き方向69に面するように、薬剤送達装置2を移動させる。臨床医は、薬剤送達装置2を移動させて(例えば、薬剤送達装置2を叩くことによって)、活性剤チャンバ15内の医薬製剤内にあり得る気泡を活性剤チャンバポート49に向かって移動させる。次に、臨床医は、第1のプランジャ13を活性剤チャンバポート49に向かって活性剤チャンバプランジャ位置に移動させ、それによって、活性剤チャンバ15内に残っている空気を、活性剤チャンバポート49を通して押し出す。活性剤チャンバ15は、第1のプランジャ13が活性剤チャンバプランジャ位置にあるときの活性剤チャンバ注入容積である。活性剤チャンバ注入容積は、注入中に患者に提供されることになる医薬製剤の容積に関連し得る。例えば、活性剤チャンバの注入容積は、注入中に患者に提供されることになる医薬製剤の容積に対応し得る。
【0183】
814において、臨床医は、活性剤チャンバポート49を活性剤チャンバポートキャップ50で覆う。薬剤送達装置2は、後の注入のために保管されてもよく、又は注入で使用されてもよい。
【0184】
薬剤送達装置2を調製するための方法900
図9は、いくつかの実施形態による、図1図5Eの薬剤送達装置2を調製する方法900を示している。902において、薬剤送達装置2は、初期状態にある。初期状態では、第1のプランジャ13が、第2のプランジャ14と接触している。更に、第2のプランジャ14は、容器11の遠位端63と接触している。初期状態では、活性剤チャンバポートキャップ50及び希釈チャンバポートキャップ52は、薬剤送達装置2に接続されていない。
【0185】
904において、臨床医は、第1のプランジャ13を希釈チャンバポート51から離すように移動させる。第1のプランジャ13を希釈チャンバポート51から離すように移動させることは、第2のプランジャ14を第1のプランジャ13とともに希釈チャンバポート51から引き離し、これは、第1のプランジャ13と第2のプランジャ14との間に実質的に気密の封止部が存在するためである。臨床医は、第1のプランジャ13を希釈チャンバポート51から引き離し、活性剤チャンバポート49を通過させる。
【0186】
第1のプランジャ13が活性剤チャンバポート49を通って移動させられると、第1のプランジャ13と第2のプランジャ14との間の実質的に気密の封止部は、活性剤チャンバポート49によって破られる。すなわち、空気は、活性剤チャンバポート開口部54を介して、第1のプランジャ13と第2のプランジャ14との間の薬剤送達装置に入ることができる。したがって、第2のプランジャ14は、第1のプランジャ13が希釈チャンバポート51から更に離れて移動するにつれて、第1のプランジャ13とともに移動を停止する。第2のプランジャ14は、希釈チャンバプランジャ位置に残される。
【0187】
906及び908において、臨床医は、第1の充填シリンジ71を使用して、希釈チャンバ25を希釈剤で充填する。第1の充填シリンジ71は、希釈剤を含む第1の充填シリンジチャンバ72を備える。第1の充填シリンジ71は、例えば、針であり得る第1の充填シリンジ導管75を備える。906において、臨床医は、第1の充填シリンジ導管75を希釈チャンバポート51に挿入する。
【0188】
908において、臨床医は、第1の充填シリンジプランジャ73を作動させて、第1の充填シリンジチャンバ72から第1の充填シリンジ導管75を通して、希釈チャンバ25内に希釈剤を変位させる。第1の充填シリンジ導管75の外径は、希釈チャンバポート51の開口部の内径よりも小さい。したがって、希釈チャンバ25内に変位したときに希釈剤に存在する気泡は、充填中に第1の充填シリンジ導管75を通過し、希釈チャンバ25から流出することができる。
【0189】
910において、臨床医は、第2の出口51を希釈チャンバポートキャップ52で覆う。次に、臨床医は、第1のプランジャ13を活性剤チャンバプランジャ位置に移動させる。活性剤チャンバプランジャ位置は、必要な医薬品調製量(すなわち、活性剤チャンバ15の必要な容量)に対応する。
【0190】
912において、臨床医は、第2の充填シリンジ71Aを使用して、活性剤チャンバ15を医薬製剤で充填する。第2の充填シリンジ71Aは、医薬製剤を含む第2の充填シリンジチャンバ72Aを備える。第2の充填シリンジ71Aは、例えば、針であり得る第2の充填シリンジ導管75Aを備える。臨床医は、第2の充填シリンジ導管75Aを活性剤チャンバポート49に挿入する。
【0191】
臨床医は、第2の充填シリンジプランジャ73Aを作動させて、医薬製剤を第2の充填シリンジチャンバ72Aから第2の充填シリンジ導管75Aを通して活性剤チャンバ15内に変位させる。第2の充填シリンジ導管75Aの外径は、活性剤チャンバポート開口部54の内径よりも小さい。したがって、活性剤チャンバ15内に変位したときに医薬製剤に存在する気泡は、充填中に第2の充填シリンジ導管75Aを通過し、活性剤チャンバポート開口部54から流出することができる。
【0192】
914において、臨床医は、活性剤チャンバポート49を活性剤チャンバポートキャップ50で覆う。それによって、薬剤送達装置2は、保管状態となり、後の注入のために保管することができ、又は注入で使用することができる。
【0193】
凹状の第1のプランジャ及び両凸状の第2のプランジャを備える薬剤送達装置2
図10は、第1のプランジャ及び第2のプランジャが特定の形状を有する薬剤送達装置2の例を示している。同様の参照番号は、前述の図面と同様の部品を示す。第1のプランジャ13は、第2のプランジャに面する凹面13Aを有する。第2のプランジャ14は、両凸状と説明され得、第1のプランジャに面する凸面14Aと、容器及び希釈チャンバ開口部51の遠位端に面する凸面14Bと、を有する。希釈チャンバ開口部は、開口部からの流体の流出を防止するために、エンドキャップ52を取り付けることによって閉じられ得る。この例では、弁39は、第2のプランジャ14から外向きに突出する。これは、容器11の遠位端からの第2のプランジャの分離を維持するのに役立ち得る。他の例では、弁39は、外側に突出していない場合がある。更に他の例では、弁39は、容器壁又は希釈チャンバ開口部51との接触による歪みから弁39を保護するために、第2のプランジャ内に完全に含まれ得る。第1のプランジャ13は、ガスケット部分と、ガスケット部分から容器11の近位端に戻るように延在するシャフト94と、を備え得る。シャフト94は、第1のプランジャ13を通って活性剤チャンバ11内への流体のフローを可能にするための管腔93を有し得る。この管腔93は、例えば、活性剤チャンバ15を医薬製剤で充填するため、又は活性剤チャンバ15から空気を吸引するために使用され得る。
【0194】
第1のプランジャ及び第2のプランジャの対向面13A、14Aは、互いに少なくとも部分的に一致し得る。これは、医薬製剤が第1のプランジャと第2のプランジャとの間に捕捉されることを最小化する、又は防止することによって、医薬製剤の浪費を最小化する。希釈チャンバ開口部52に面する第2のプランジャの表面14Bが凹状であるため、これは、特に容器11の遠位端の内面が凸状である場合、第2のプランジャが容器の遠位端に接触するように移動するときに、流体の全て又は大部分が希釈チャンバから排出されることを可能にするので、医薬製剤の浪費を最小化するのに役立ち得る。凹状の第1のプランジャ及び両凸状の第2のプランジャの更なる例は、図26で後述する。
【0195】
図11は、第1のプランジャ13の遠位端に取り付けられ得るキャップ107の例を示している。図示するように、キャップ107は、第1のプランジャ13のシャフト94に取り付けられる。キャップ107は、第1のプランジャが容器11内に押し込まれるときにキャップ107の屈曲を防止するために、複数の支柱107A~107C又は他の支持構造を有し得る。これは装置の精度を向上させるのに役立ち、なぜなら、キャップ107の屈曲が不正確さを引き起こし、デバイスを充填するとき又は注入中に、第1のプランジャを所望の位置に移動させることを困難にする可能性があるためである。キャップ107は、支柱内の中央部分107Dを更に備え得、中央部分は、プランジャ管腔にねじ込まれ得る。キャップ107は、支柱107A~107Cによって支持されるエンドプレート107Eを有し得、このエンドプレートは、シリンジ駆動アクチュエータ又は臨床医が押して、第1のプランジャ13を容器11の遠位端に向かって移動させることができる表面を形成し得る。
【0196】
プランジャ管腔93を備える薬剤送達装置2
図12は、いくつかの実施形態による、薬剤送達装置2の別の実施形態の断面の斜視図を示している。図13Aは、空のときの図12の薬剤送達装置2の断面の概略図である。図13Bは、希釈剤及び医薬製剤で充填されたときの薬剤送達装置2の断面の概略図である。
【0197】
図12図13A、及び図13Bを参照すると、薬剤送達装置2は、本明細書に記載の薬剤送達装置2の他の実施形態と類似又は同じいくつかの特徴を備える。図12の薬剤送達装置2は、本明細書に記載される薬剤送達装置2の他の実施形態の特徴及び/又は構成要素を備え得ることが理解されるであろう。
【0198】
薬剤送達装置2は、第1のプランジャ13を備える。薬剤送達装置2は、第2のプランジャ14を備える。薬剤送達装置2は、容器11を備える。容器11は、第2のプランジャ14を受容するように構成されている。容器11は、第1のプランジャ13の少なくとも一部分を受容するように構成されている。容器11及び第2のプランジャは、希釈剤を受容するように構成されている希釈チャンバ25を画定する。希釈チャンバ25は、薬剤送達装置2の他の実施形態を参照して本明細書に記載される通りであり得る。第1のプランジャ13、容器11、及び第2のプランジャ14は、活性剤チャンバ15を画定する。活性剤チャンバ15は、医薬製剤を受容するように構成されている。活性剤チャンバ15は、薬剤送達装置2の他の実施形態を参照して本明細書に記載される通りであり得る。
【0199】
容器11は、希釈チャンバポート51を備える。希釈チャンバポート51は、希釈チャンバ開口部53を画定する。希釈チャンバポート51及び/又は希釈チャンバ開口部53は、希釈チャンバ25及び/又は容器11に出入りする流体のフローを可能にするように構成されている。希釈チャンバポート51及び/又は希釈チャンバ開口部53は、薬剤送達装置2の他の実施形態を参照して本明細書に記載される希釈チャンバポート51及び/又は希釈チャンバ開口部53と同じであるか又は類似し得る。薬剤送達装置2は、希釈チャンバポートキャップ52を備える。希釈チャンバポートキャップ52は、薬剤送達装置2の他の実施形態を参照して本明細書に記載される希釈チャンバポートキャップ52と同じであるか又は類似し得る。希釈チャンバポートキャップ52は、容器11に接続して希釈チャンバ開口部53を覆うように構成されている。
【0200】
第2のプランジャ2は、弁39を備える。弁39は、活性剤チャンバ15から希釈チャンバ25への医薬製剤のフローを制御するように構成されている。弁39は、薬剤送達装置2の他の実施形態を参照して本明細書に記載の弁39と同じであるか又は類似し得る。例えば、弁39は、弁入口側45及び弁出口側47を備える。弁39は、本明細書に記載するように、入口側45に圧力が印加されると、閉位置から開位置に移動するように構成されている。弁39は、本明細書に記載するように、入口側45に印加された圧力が取り除かれると、開位置から閉位置に移動するように構成されている。
【0201】
第1のプランジャ13は、プランジャ管腔93を備える。プランジャ管腔93は、第1のプランジャ管腔開口部95と第2のプランジャ管腔開口部97との間に延在する。プランジャ管腔93は、第1のプランジャ13のシャフト94を通って延在する。シャフト94はまた、ロッドと称される場合がある。使用中、プランジャ管腔93は、薬剤送達装置2の長手方向軸21に略平行である。活性剤チャンバ15は、プランジャ管腔93を通して医薬製剤を受容するように構成されている。
【0202】
第1のプランジャ管腔開口部95は、プランジャ管腔入口である。第1のプランジャ管腔開口部95は、プランジャ管腔93を通して提供されることになる医薬製剤を受容するように構成されている。第2のプランジャ管腔開口部97は、プランジャ管腔出口である。第2のプランジャ管腔開口部97は、プランジャ管腔93内の医薬製剤が活性剤チャンバ15内に流入することを可能にするように構成されている。
【0203】
第1のプランジャ13は、第1のプランジャコネクタ96を備える。第1のプランジャコネクタ96は、第1のルアーロックコネクタの形態である。第1のプランジャコネクタ96は、第1のプランジャ管腔開口部95を画定する。
【0204】
第1のプランジャ13は、第1のプランジャOリング99を備える。第1のプランジャOリング99は、第1のプランジャ封止面101を備える。第1のプランジャ13は、第1の封止部を提供するために、容器11とともに封止するように構成されている。特に、第1のプランジャ封止面101は、内側容器表面55とともに封止して、内側容器表面55と第1のプランジャ封止面101との間の流体フローを阻止するように構成されている。
【0205】
代替的に、いくつかの実施形態では、第1のプランジャ13は、第1のプランジャ封止部分を備える。第1のプランジャ封止部分は、エラストマー部分であり得る。第1のプランジャ封止部分は、本明細書に記載する通りであり得る。第1のプランジャ封止部分は、内側容器表面55とともに封止して、内側容器表面55と第1のプランジャ封止面101との間の流体フローを阻止するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1のプランジャ封止部分は、突出部分を備える。突出部分は、第1のプランジャ13の円周の周りに延在し得る。突出部分は、内側容器表面55とともに封止して、内側容器表面55と第1のプランジャ封止面101との間の流体フローを阻止するように構成され得る。
【0206】
第1のプランジャ13は、一方向弁(図示せず)を備える。一方向弁は、第1のプランジャ13の遠位端64に配設され得る。例えば、一方向弁は、開いたときに、第2のプランジャ管腔開口部97を画定し得る。一方向弁は、有利には、流体が活性剤チャンバ15に入ると、逆方向に流れることなく、流体が第1のプランジャ管腔開口部95から活性剤チャンバ15にプランジャ管腔93を通って流れることを可能にする。
【0207】
薬剤送達装置2は、第1のプランジャキャップ107を備える。第1のプランジャキャップ107は、第1のプランジャ13に接続するように構成されている。特に、第1のプランジャキャップ107は、第1のプランジャ13に接続して、第1のプランジャ管腔開口部95を覆うように構成されている。第1のプランジャキャップ107は、第1のプランジャコネクタ96に接続するように構成されている。したがって、第1のプランジャキャップ107は、第1のプランジャコネクタ96の相補的なコネクタ(例えば、相補的なルアーロックコネクタ)を備え得る。図示の実施形態では、第1のプランジャキャップ107は、第1のプランジャ13の第1のルアーロックコネクタ(すなわち、第1のプランジャコネクタ96のルアーロックコネクタ)と接続するように構成された第2のルアーロックコネクタを備える。
【0208】
第2のプランジャ14は、第1のプランジャ13と希釈チャンバ開口部53との間に配設されている。第2のプランジャ14は、第2のプランジャOリング103を備える。第2のプランジャOリング103は、第2のプランジャ封止面105を備える。第2のプランジャ14は、容器11とともに封止して第2の封止部を提供するように構成されている。特に、第2のプランジャ封止面105は、内側容器表面55とともに封止して、内側容器表面55と第2のプランジャ封止面105との間の流体フローを阻止するように構成されている。
【0209】
代替的に、いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14は、第2のプランジャ封止部分を備える。第2のプランジャ封止部分は、エラストマー部分であり得る。第2のプランジャ封止部分は、例えば、図27A及び図27Bを参照して、本明細書に記載する通りであり得る。第2のプランジャ封止部分は、内側容器表面55とともに封止して、内側容器表面55と第2のプランジャ封止面105との間の流体フローを阻止するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2のプランジャ封止部分は、突出部分を備える。突出部分は、第2のプランジャ14の円周の周りに延在し得る。突出部分は、内側容器表面55とともに封止して、内側容器表面55と第2のプランジャ封止面105との間の流体フローを阻止するように構成され得る。
【0210】
第1のプランジャ13は、容器11の長手方向軸21に対して容器11内で変位するように構成されている。第2のプランジャ14は、容器11の長手方向軸21に対して容器11内で変位するように構成されている。
【0211】
第2のプランジャ14の離脱力は、本明細書により詳細に記載されるように、第1のプランジャ13の離脱力よりも大きい。弁39の弁閾値力は、本明細書により詳細に記載されるように、第1のプランジャ13の離脱力と第2のプランジャ14の離脱力との合計よりも小さい。例えば、このアプローチは、注入デバイスが真空ポンプである場合に使用され得る。いくつかの実施形態では、弁閾値力は、第2のプランジャ14の離脱力よりも小さい。例えば、このアプローチは、注入デバイスがシリンジドライバである場合に使用され得る。弁閾値力は、弁を開くために必要な力である。弁が第2のプランジャの一部であるため、弁が開いており、流体が弁を通って流れているときに、この流体のフローは、流体フローの方向に第2のプランジャにいくらかの力を印加する。開いている弁を通る流体のフローによって引き起こされる第2のプランジャ上のこの力は、開弁力と称される。開弁力は、開いている弁の抵抗に比例し得る。装置は、開弁力が高流量であっても第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなるように設計され得、第2のプランジャが、弁を通る高流量によって移動させられないようになっている。
【0212】
薬剤送達装置2は、導管(図示せず)を備える。導管は、希釈チャンバ開口部53に流体接続されるように構成されている。導管は、所定の容積を有する。図12に関して示される薬剤送達装置2の導管は、本明細書の他の場所に記載される導管23と類似するか又は同じであり得る。
【0213】
図13A及び図13Bに示すように、第1のプランジャ13は、遠位端64を備える。第1のプランジャ13の遠位端64は、第2のプランジャ14に接触するように構成されている。第1のプランジャ13の遠位端64は、凸状、例えば円錐形である。第1のプランジャ13の遠位端64は、頂点66を備える。第1のプランジャ13の遠位端64は、基部68を備える。図示の構成では、頂点66は、第1のプランジャ13の遠位端64の中央部分にある。頂点66は、基部88よりも第2のプランジャ14の弁39に近い。頂点66は、基部68よりも希釈チャンバポート51に近い。
【0214】
第2のプランジャ14は、近位端70を備える。第2のプランジャ14の近位端70は、第1のプランジャ13に接触するように構成されている。第2のプランジャ14の近位端70は、凹状であり、例えば、逆円錐形のプロファイルを有し得る。すなわち、第2のプランジャ14の近位端70は、凹部、例えば円錐形窪みを画定する。第2のプランジャ14の近位端70は、第1のプランジャ13の凸状、例えば円錐形の遠位端64を受容するように構成されている。他の例では、図10及び図26に記載されるように、第1のプランジャの遠位端66は凹状であり得、第2のプランジャの近位端70は凸状であり得る。
【0215】
薬剤送達装置2を調製するための方法1400
図14は、いくつかの実施形態による、図12図13Bを参照して記載される薬剤送達装置2を調製する方法1400を示している。すなわち、方法1400は、本明細書に記載されるプランジャ管腔93を備える薬剤送達装置2を調製するためのものである。
【0216】
1402において、薬剤送達装置2は、初期状態にある。初期状態では、第1のプランジャ13が、第2のプランジャ14と接触している。更に、第2のプランジャ14は、容器11の遠位端63と接触している。初期状態では、希釈チャンバポートキャップ52は、薬剤送達装置2に接続されている。
【0217】
1404において、臨床医は、第1のプランジャキャップ107を取り外す。臨床医は、充填シリンジ71を第1のプランジャコネクタ96に接続する。
【0218】
1406において、臨床医は、第1の充填シリンジ71を使用して、医薬製剤で活性剤チャンバ15を充填する。第1の充填シリンジ71は、医薬製剤を含む第1の充填シリンジチャンバ72を備える。臨床医は、第1の充填シリンジプランジャ73を作動させて、医薬製剤を第1の充填シリンジチャンバ72からプランジャ管腔93を介して活性剤チャンバ15内に変位させる。
【0219】
1408において、臨床医は、第1の充填シリンジ71を取り外し、希釈チャンバポート51が上向き方向69に面するように薬剤送達装置2を移動させる。臨床医は、薬剤送達装置2を移動させて(例えば、薬剤送達装置2を叩くことによって)、活性剤チャンバ15内の医薬製剤内にあり得る気泡を弁39及び希釈チャンバポート51に向かって移動させる。次に、臨床医は、第1のプランジャ13を希釈チャンバポート51に向かって移動させる。これは、弁39及び第2の出口51から医薬製剤に存在し得る気泡を変位させる。
【0220】
1410において、臨床医は、第1のプランジャ13を第2の出口51から離すように移動させる。これはまた、第2のプランジャ14を第2の出口51から離すように移動させ、それによって、希釈チャンバ25の容積を生成する。
【0221】
1412において、臨床医は、第2の充填シリンジ71Aを使用して、希釈チャンバ25を希釈剤で充填する。第2の充填シリンジ71Aは、希釈剤を含む第2の充填シリンジチャンバ72Aを備える。第2の充填シリンジ71Aは、例えば、針であり得る第2の充填シリンジ導管75Aを備える。臨床医は、第2の充填シリンジ導管75Aを希釈チャンバポート51内に挿入する。
【0222】
臨床医は、第2の充填シリンジプランジャ73Aを作動させて、第2の充填シリンジチャンバ72Aから第2の充填シリンジ導管75Aを通して希釈チャンバ25内に希釈剤を変位させる。第2の充填シリンジ導管75Aの外径は、希釈チャンバ開口部53の内径よりも小さい。したがって、希釈チャンバ25内に変位させられたときに希釈剤に存在する気泡は、充填中に第2の充填シリンジ導管75Aを通過し、希釈チャンバ25から流出することができる。
【0223】
1414において、臨床医は、希釈チャンバポートキャップ52で希釈チャンバポート51を覆う。それによって、薬剤送達装置2は、保管状態となり、後の注入のために保管することができ、又は注入で使用することができる。
【0224】
代替の第1のプランジャ13及び第2のプランジャ13の構成
図13A及び図13Bに示すように、第1のプランジャ13は、円錐形の遠位端64を備え、第2のプランジャ14は、第1のプランジャ13の円錐形の遠位端64を受容するように構成されている逆円錐形のプロファイルを有する近位端70を備える。図15は、代替の第1のプランジャ13及び代替の第2のプランジャ14を備える薬剤送達装置2の実施形態を示している。
【0225】
図15の薬剤送達装置2の第1のプランジャ13の遠位端80は、第2のプランジャ14に接触するように構成されている。しかしながら、この場合、第2のプランジャ14の遠位端70は円錐形である。第2のプランジャ14の遠位端70は、頂点76を備える。第2のプランジャ14の遠位端70は、基部78を備える。図示の構成では、頂点76は、第2のプランジャ14の近位端の中央部分にある。頂点76は、長手方向軸21に平行な方向に、基部78よりも第2のプランジャ14の弁39から更に離れている。同様に、頂点76は、長手方向軸21に平行な方向に、基部78よりも希釈チャンバポート51から更に離れている。
【0226】
第1のプランジャ13は、近位端80を備える。第1のプランジャ13の近位端80は、第2のプランジャ14に接触するように構成されている。第1のプランジャ13の近位端80は、逆円錐形プロファイルを有する。すなわち、第1のプランジャ13の近位端80は、円錐形の窪みを画定する。第1のプランジャ13の近位端80は、第2のプランジャ14の円錐形の近位端70を受容するように構成されている。
【0227】
薬剤送達装置2を調製するための方法1600
図16は、いくつかの実施形態による、図15を参照して説明される薬剤送達装置2を調製する方法1600を示している。すなわち、方法1600は、本明細書に記載するように、円錐形プロファイルを有する近位端70を有する第2のプランジャ14と、第2のプランジャの近位端70を受容するように構成されている逆円錐形プロファイルを有する遠位端を有する第1のプランジャ13と、を備える薬剤送達装置2を調製するためのものである。
【0228】
1602において、薬剤送達装置2は、初期状態にある。初期状態では、第1のプランジャ13が、第2のプランジャ14と接触している。更に、第2のプランジャ14は、容器11の遠位端63と接触している。初期状態では、希釈チャンバポートキャップ52は、薬剤送達装置2に接続されている。
【0229】
1604において、臨床医は、第1のプランジャキャップ107を取り外す。臨床医は、充填シリンジ71を第1のプランジャコネクタ96に接続する。
【0230】
1606において、臨床医は、第1の充填シリンジ71を使用して、医薬製剤で活性剤チャンバ15を充填する。第1の充填シリンジ71は、医薬製剤を含む第1の充填シリンジチャンバ72を備える。臨床医は、第1の充填シリンジプランジャ73を作動させて、医薬製剤を第1の充填シリンジチャンバ72からプランジャ管腔93を介して活性剤チャンバ15内に変位させる。
【0231】
1808において、臨床医は、第1の充填シリンジ71を取り外す。臨床医は、薬剤送達装置2を移動させて(例えば、薬剤送達装置2を叩くことによって)、活性剤チャンバ15内の医薬製剤内にあり得る気泡を第1のプランジャ13の第2のプランジャ管腔開口部97に向かって移動させる。第1のプランジャ13の遠位端80が逆円錐形プロファイルを有するので、医薬製剤中の空気は、第1のプランジャ13の第2のプランジャ管腔開口部97に蓄積される。次に、臨床医は、第1のプランジャ13を希釈チャンバポート51に向かって移動させる。これは、プランジャ管腔93及び第1のプランジャ13の第1のプランジャ管腔開口部95から医薬製剤に存在し得る気泡を変位させる。代替的に、臨床医は、第1の充填シリンジ71を取り外す前に、空気を取り除き得る。臨床医は、これを達成するために、第1の充填シリンジプランジャ73を作動させて真空圧を引き起こし、空気を第1の充填シリンジ71内に吸引し得る。
【0232】
1610において、臨床医は、第1のプランジャキャップ107を第1のプランジャコネクタ96に再接続する。臨床医は、希釈チャンバポートキャップ52を希釈チャンバポート51から取り外す。臨床医は、第1のプランジャ13を第2の出口51から離すように移動させる。これはまた、第2のプランジャ14を第2の出口51から離すように移動させ、それによって、希釈チャンバ25の容積を生成する。
【0233】
1612において、臨床医は、第2の充填シリンジ71Aを使用して、希釈チャンバ25を希釈剤で充填する。第2の充填シリンジ71Aは、希釈剤を含む第2の充填シリンジチャンバ72Aを備える。第2の充填シリンジ71Aは、例えば、針であり得る第2の充填シリンジ導管75Aを備える。臨床医は、第2の充填シリンジ導管75Aを希釈チャンバポート51内に挿入する。
【0234】
臨床医は、第2の充填シリンジプランジャ73Aを作動させて、第2の充填シリンジチャンバ72Aから第2の充填シリンジ導管75Aを通して希釈チャンバ25内に希釈剤を変位させる。第2の充填シリンジ導管75Aの外径は、希釈チャンバポート51の開口部の内径よりも小さい。したがって、希釈チャンバ25内に変位させられたときに希釈剤に存在する気泡は、充填中に第2の充填シリンジ導管75Aを通過し、希釈チャンバ25から流出することができる。
【0235】
1614において、臨床医は、希釈チャンバポートキャップ52で希釈チャンバポート51を覆う。それによって、薬剤送達装置2は、保管状態となり、後の注入のために保管することができ、又は注入で使用することができる。
【0236】
薬剤送達装置が、活性剤チャンバ及び希釈チャンバが空である状態で臨床医に(例えば、工場又は保管場所から)提供され、臨床医が、使用前にチャンバを充填する、様々な例示的な方法が上述されている。ここで、活性剤チャンバ及び希釈チャンバを充填する2つの更なる例示的な方法を、図17及び図18を参照して説明する。
【0237】
これらの例示的な方法の両方において、希釈チャンバを充填する前に、第2のプランジャ14(「分離プランジャ」とも称される)は、注入の開始時に希釈チャンバが有することになる希釈チャンバ25の初期容積を画定する開始位置に位置決めされる。
【0238】
装置は、第2のプランジャ14が、開始位置と同じ初期位置にあるか、又は開始位置よりも容器の遠位端から更に離れた初期位置にある状態で、臨床医に(例えば、工場又は保管庫から)提供され得る。初期位置が開始位置と同じでない場合、臨床医は、充填プロセスの第1の部分として、第2のプランジャを開始位置に移動させる。活性剤及び希釈チャンバを充填する前の第2のプランジャのこの移動は、保管中に発生した可能性のあるシリンジの壁に対する分離プランジャの高い圧迫が破壊され得ることを確実にし、また、臨床医が使用前に二次プランジャが正しい開始位置にあることを確認したことを確実にする。第2のプランジャの初期位置が開始位置と同じである場合、デバイスを充填するためのステップが少なくなるが、それでも二次プランジャが注入前の正しい開始位置にあることを確実にするのに役立つ。
【0239】
容器11は、注入の開始時に第2のプランジャが容器内に位置決めされることになる開始位置を示すマーキングを有し得る。これは、第2のプランジャが開始位置にない場合、臨床医が第2のプランジャの位置を確認し、第2のプランジャを開始位置に移動させるのを支援する。容器はまた、注入の開始時に第1のプランジャが有することになる、第2のプランジャの初期位置(初期位置が開始位置と異なる場合)及び/又は第1のプランジャの開始位置を示すマーキングを有し得る。
【0240】
いくつかの例では、開始位置は、第2のプランジャが開始位置にあるときに希釈チャンバが10mLの容積を有するように位置決めされる。いくつかの例では、第2のプランジャの初期位置は、15mLの希釈チャンバ容積を提供する位置にある。この場合、臨床医は、第2のプランジャを15mLマークから10mLマークに移動させる。
【0241】
図17に示される充填方法では、医薬製剤を活性剤チャンバ15内に注射する前に、第1のプランジャ13が引き込められ、エンドキャップ52が取り外される。これにより、医薬製剤が注射されるときに、空気がシリンジの開放端から流出することが可能になる。
【0242】
図17を参照すると、第1のステップ17-1で、薬剤送達装置は、臨床医によって受容される。装置は、空の希釈チャンバ及び空の活性剤チャンバを有する。臨床医は、この段階で無菌包装から装置を取り外し得る。第2のステップ17-2において、エンドキャップ52は切り離され、第1のプランジャ13は、(第1のプランジャと第2のプランジャとの間の隙間内の空気圧を通して)第2のプランジャを開始位置に押すように、容器内に更に押し込まれる。開始位置は、容器上にマーキングすることによって示され得る。他の例では、装置には、すでに開始位置にある第2のプランジャが提供され得る。ブロック17-3において、プランジャ管腔キャップ(「軸方向充填キャップ」とも称される)が切り離され、第1のプランジャは次いで、第1のプランジャの開始位置まで引き込められる。第1のプランジャの開始位置は、例えば、容器11上にマーキングされてもよく、又はガスケット若しくは第1のプランジャの他の部分が容器のリップ、フランジ又は突出部に接触し、それによって第1のプランジャの引き込みを停止するまで、第1のプランジャを引き込めることによって見出されてもよい。空気がプランジャ管腔を通って第1のプランジャと第2のプランジャとの間の活性剤チャンバ15内に流れることができるため、第1のプランジャは、第2のプランジャを移動させることなく引き込められ得る。
【0243】
ステップ17-4において、例えば、医薬製剤を含む医薬製剤シリンジをプランジャ管腔に接続し、プランジャ管腔を通して医薬製剤を活性剤チャンバ内に注射することによって、活性剤チャンバ内に医薬製剤が注射される。このステップでは、装置は、希釈チャンバ開口部が上向きになるように位置決めされる(例えば、保持される)。
【0244】
ステップ17-5において、エンドキャップ52は、希釈チャンバ開口部上に戻される。次いで、装置は、希釈チャンバ開口部が下向きになるように反対方向に回転され、医薬製剤シリンジが使用されて、活性剤チャンバ25内に形成されたあらゆる気泡を除去する(例えば、吸引する)。
【0245】
ステップ17-6において、プランジャ管腔キャップがプランジャ管腔に戻される。ステップ17-7において、医薬製剤シリンジは、希釈チャンバ開口部から切り離され得る。
【0246】
ステップ17-8において、希釈チャンバ内に希釈剤が注射される。例えば、エンドキャップ25は、希釈チャンバ開口部から取り外され得、希釈チャンバ開口部を通して希釈剤を希釈チャンバ内に注射するために使用される希釈シリンジである。ステップ17-9において、希釈剤シリンジが希釈チャンバ開口部から取り外され得、脱気泡が実施され得、エンドキャップ25が希釈チャンバ開口部上で取り替えられ得る。
【0247】
図18に示される充填方法は、図17の充填方法と同様であるが、主な違いは、エンドキャップ52が所定の位置にあり、第1のプランジャ13が、医薬製剤を活性剤チャンバ内に注射又は吸引する前に、第2のプランジャ2に隣接していることである。プランジャロッド94を薬物チャンバから離すように移動させる(及びエンドキャップ52がシリンジの端部の上に所定の位置にある)ことによる吸引は、医薬製剤が空の希釈チャンバ内に誤って注射される可能性のある活性剤チャンバ内に正圧が発生しないことを確実にするのに役立つ。
【0248】
ステップ18-1及び18-2において、図32のステップ32-2と同様に、エンドキャップ25が取り外され、第2のプランジャを開始位置に移動させるように第1のプランジャが移動させられる。ステップ18-3において、エンドキャップ25は、希釈チャンバ開口部上で取り替えられる。ステップ18-4において、プランジャ管腔キャップが、プランジャ管腔から取り外される。ステップ18-5において、装置は、希釈チャンバ開口部が上方を向いた状態で位置決めされ、医薬製剤シリンジが使用されて、プランジャ管腔を介して医薬製剤を活性剤チャンバ内に注射し、活性剤チャンバ内のあらゆる残りの空気が下向きに吸引され、医薬製剤シリンジ内に引き込まれる。ステップ18-6において、装置は、希釈チャンバ開口部が下方を向くように、また空気が活性剤チャンバから医薬製剤シリンジ内に吸引されるように、再び配向される。ステップ18-7において、プランジャ管腔キャップが、プランジャ管腔上で取り替えられ、エンドキャップ25が、希釈チャンバ開口部から取り外される。ステップ18-8において、装置は、希釈チャンバ開口部が上方を向くように再び配向される。次いで、希釈剤シリンジが、希釈チャンバ開口部に接続される。ステップ18-9において、希釈剤を希釈チャンバ内に注射し、気泡を希釈チャンバから吸引するために、希釈剤シリンジが使用される。ステップ18-10において、エンドキャップ25は、希釈チャンバ開口部上で取り替えられ得る。
【0249】
薬剤送達装置2の代替構成
いくつかの実施形態では、薬剤送達装置2の1つ以上の特徴は、特定の機能的特徴を提供するように調整され得る。図19A図24は、薬剤送達装置2の複数の代替構成を示している。図19図24の各々に示される薬剤送達装置2の実施形態は、少なくともいくつかの点で、前述の薬剤送達装置2と同じであるか又は類似し得る。例えば、図19A図24の各々に示される薬剤送達装置2の実施形態は、第1のプランジャ13と、第2のプランジャ14と、容器11と、弁39(又は弁手段)と、希釈チャンバポート51と、を含む。少なくとも第1のプランジャ13、第2のプランジャ14、一方向弁39(又は弁手段)、容器11、及び希釈チャンバポート51のうちの1つ以上は、関連する開示に記載される任意の相違に関する点を除き、(例えば、前述の実施形態のうちの1つ以上を参照して)本明細書に記載する通りであり得る。
【0250】
前述したように、図19A図24を参照して記載された薬剤送達装置2の代替構成は、容器11を備え得る。容器11は、第2のプランジャ14と第1のプランジャ13の少なくとも一部分とを受容するように構成されている。容器11及び第2のプランジャ14は、希釈チャンバ25を画定する。希釈チャンバ25は、希釈剤を受容するように構成されている。第2のポート51は、希釈チャンバポート51と称される場合がある。容器11は、希釈チャンバ開口部51を画定する。第1のプランジャ13、容器11、及び第2のプランジャ14は、医薬製剤を受容するように構成されている活性剤チャンバ15を画定する。図19Aにおいて、第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14は、注入の開始時にそれらが有する開始位置で注入前の状態にある。図19Bにおいて、第1のプランジャ13は、第2のプランジャ14に接触するように、容器11内に更に移動させられている。
【0251】
一方、図19A図24は、第2のプランジャに面する凸状の遠位面を有する第1のプランジャと、第1のプランジャに面する平坦な近位面を有する第2のプランジャとを示しているが、この配置は、例えば、本出願の別の箇所に記載され、図10又は図26に示すように、第1のプランジャが凹状の遠位面を有し、第2のプランジャが凸状の近位面を有するように変更されてもよい。更に、図19A図24に示される装置は、容器の側部に活性剤ポート49及び活性剤ポートキャップ50を有するが、この配置は、活性剤ポート49及び活性剤ポートキャップ50がないように変更されてもよい。活性剤ポート49は、活性剤チャンバを充填するために使用され得るが、活性剤ポート49が存在しない場合、活性剤チャンバは、他の方法で充填され得、例えば、容器11の近位開口部を通して(例えば、第1のプランジャが取り外される場合)、第1のプランジャのプランジャ管腔を通して充填され、又は装置は、活性剤チャンバが予め充填された状態で提供され得る。
【0252】
第1のプランジャ13は、第1の封止部を提供するために、容器11とともに封止するように構成されている。第1の封止部は、本明細書に記載する通りであり得る。第2のプランジャ14は、容器11とともに封止して第2の封止部を提供するように構成されている。第2の封止部は、本明細書に記載する通りであり得る。容器11は、本明細書に記載するように、活性剤チャンバ開口部17を備える。
【0253】
第2のプランジャ14は、一方向弁39を備える。弁39は、本明細書に記載するように、活性剤15チャンバから希釈チャンバ25への医薬製剤のフローを制御するように構成されている。弁39は、弁39の入口側に弁閾値力を超える力が印加されると、閉位置から開位置に移動するように構成されている。弁39は、弁39の入口側に印加された力が取り除かれると、開位置から閉位置に移動するように構成されている。
【0254】
シリンジ内のプランジャの離脱力は、プランジャの静摩擦を破断するために必要な力と見なされ得る。薬剤送達装置2の文脈では、第1のプランジャ13の離脱力は、第1のプランジャ13の静摩擦(すなわち、第1のプランジャ13と容器11との間の静摩擦)を破断するために必要な力と見なされ得る。すなわち、第1のプランジャ13の離脱力は、第1のプランジャ13が静止しているとき、第1のプランジャ13の移動を引き起こすために必要な力と見なされ得る。活性剤チャンバ15が医薬製剤を含むとき、及び/又は希釈チャンバ25が希釈剤を含むとき、離脱力が考慮され得る。第1のプランジャ13の離脱力は、第1のプランジャ離脱力と称される場合がある。第1のプランジャ13の離脱力は、第1の離脱力と称される場合がある。
【0255】
第2のプランジャ14の離脱力は、第2のプランジャ14の静摩擦(すなわち、第2のプランジャ14と容器11との間の静摩擦)を破断するために必要な力と見なされ得る。すなわち、第2のプランジャ14の離脱力は、第2のプランジャ14が静止しているとき、第2のプランジャ14の移動を引き起こすために必要な力と見なされ得る。活性剤チャンバ15が医薬製剤を含むとき、及び/又は希釈チャンバ25が希釈剤を含むとき、離脱力が考慮され得る。第2のプランジャ14の離脱力は、第2のプランジャ離脱力と称される場合がある。第2のプランジャ14の離脱力は、第2の離脱力と称される場合がある。
【0256】
弁閾値力は、第2のプランジャ14の離脱力と第1のプランジャの離脱力との合計よりも小さくてもよい。
いくつかの実施形態では、弁閾値力は、第2のプランジャ14の離脱力と第1のプランジャ13の離脱力との合計よりも小さい。言い換えれば、弁閾値力は、第2の離脱力と第1の離脱力との合計よりも小さい。このような構成は、注入デバイス3が真空注入デバイス3である場合に有益であり得る。つまり、そのような構成は、注入デバイス3が真空圧力61を薬剤送達装置2の希釈チャンバポート51に印加する場合に有益であり得る。そのような場合、真空圧力61が弁39を開くのに十分な力を弁39に及ぼすと、第2のプランジャ14は移動しない。
【0257】
前述したように、注入デバイス3は、薬剤送達装置2の希釈チャンバポート51に真空圧力61を印加し得る。真空圧力61は、希釈チャンバ25内の流体(すなわち、希釈剤)に真空力を印加する。希釈チャンバ25内の流体は一般に圧縮不可能であるため、真空力も第2のプランジャ14に印加される。真空力が弁力閾値を超える(それによって弁39を開く)場合、真空力は、第2のプランジャ14の弁39を介して、活性剤チャンバ15内の流体(すなわち、医薬製剤)に伝達され得る。真空力が弁39の出口側47に印加されると、弁39が開くことができ、真空力61が活性剤チャンバ15内の医薬製剤に伝達され得る。また、医薬製剤は流体であるため、一般的に圧縮不可能である。したがって、真空力はまた、第1のプランジャ13に印加される。
【0258】
真空力は弁39を開くのに十分であり、それによって第1のプランジャ13の移動を引き起こす。したがって、真空圧力61は、医薬製剤を希釈チャンバ25内に引き込む。それによって、真空圧力61の制御は、希釈チャンバ25内への医薬製剤の流量の制御を可能にする。
【0259】
弁閾値力は、第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくてもよい。これは、医薬製剤が真空圧力61によって活性剤チャンバ15から引き出されている間、第2のプランジャ14が静止したままであることを確実にする。いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14の離脱力は、第1のプランジャ13の離脱力よりも大きい。
【0260】
希釈チャンバ25及び活性剤チャンバ15の各々における流体が圧縮不可能であるため、第2のプランジャ14が、弁39が開く前に真空圧によって移動させられるためには、真空圧は、第1のプランジャ13の離脱力及び第2のプランジャ14の離脱力の両方を克服しなければならない(両方が移動するため)ことに留意されたい。流体が完全に圧縮不可能ではない場合があるため、いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14の離脱力は、弁閾値力よりも大きくなければならない。
【0261】
弁39が開位置にあるとき、第2のプランジャ14を横切る力(低流量では)はほとんどない。この力は、弁39を横切る抵抗に比例する。いくつかの実施形態では、弁39が開位置にあるときに弁39を横切る力は、開弁力と称される。弁39が開位置にあるとき、注入デバイス3が第1のプランジャ13の離脱力よりも大きい真空圧力を発生させることができる限り、第1のプランジャ13は移動する。
【0262】
弁39が高流量で開位置にあるとき、開弁力はより大きくなる。すなわち、開弁力は、高流量でより大きい。いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14の離脱力は、注入の最大流量において開弁力よりも大きい。これにより、第1のプランジャ13が第2のプランジャ14に接触する前に、第2のプランジャ14は移動しないことが確実となる。いくつかの実施形態では、第2のプランジャの離脱力は、約450グラムである。
【0263】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14の離脱力は、力警報閾値未満である。力警報閾値は、注入デバイス3が警報する力である。注入デバイス3の警報は、閉塞を示す場合がある。いくつかの実施形態では、力警報閾値は1,200グラムであり得る。
【0264】
図20Aは、いくつかの実施形態による、第1の状態の薬剤送達装置2の側面図を示している。第1の状態は、注入前の状態であり得る。第1の状態は、注入の第1の段階を示し得る。
【0265】
図20Bは、いくつかの実施形態による、第1の状態の別の薬剤送達装置2の側面図を示している。第1の状態は、注入前の状態であり得る。第1の状態は、注入の第1の段階を示し得る。
【0266】
図20A及び図20Bに示される薬剤送達装置2は、第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14を備える。第1のプランジャ13は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。第2のプランジャ14は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、容器11を備える。容器11は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、活性剤チャンバ15を備える。活性剤チャンバ15は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、希釈チャンバ25を備える。希釈チャンバ25は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、活性剤チャンバポート49を備える。活性剤チャンバポート49は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、希釈チャンバポート51を備える。希釈チャンバポート51は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、弁39を備える。弁39は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。
【0267】
図20A及び図20Bに示すように、いくつかの実施形態では、第1のプランジャ13は、第1の数のOリング109を備える。第1の数のOリング109は、第1のプランジャOリング110を備える。第1の数のOリング109は、第1のプランジャ13と容器11との間にいくつかのOリング接合部を提供するように構成されている。Oリング接合部の数は、Oリング109の第1の数に対応する。すなわち、Oリング接合部の数は、第1の数のOリング109のOリングの数と同じである。
【0268】
また、図20A及び図20Bに示すように、いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14は、第2の数のOリング111を備える。第2の数のOリング111は、第2のプランジャOリング112を備える。第2の数のOリング111は、第2のプランジャ14と容器11との間に第2の数のOリング接合部を提供するように構成されている。第2の数のOリング接合部は、第2の数のOリング111に対応する。すなわち、第2の数のOリング接合部は、第2の数のOリング111のOリングの数と同じである。
【0269】
図20Aに示す実施形態では、第1の数は、1である。すなわち、第1の数のOリング109は、1つのOリング110を含む。第2の数は、1よりも大きい。すなわち、第2の数のOリング111は、2つ以上のOリング112、113を含む。特に、第2の数は、2である。すなわち、第2の数のOリング111は、2つのOリング112、113を含む。第2の数は、第1の数よりも大きい。第1の数のOリング109のOリングと第2の数のOリング111のOリングとは、同じであり得る。すなわち、第1の数のOリング109及び第2の数のOリング111のOリングは、同じ寸法を有し得る。
【0270】
図20Bに示す実施形態では、第1の数は、2である。すなわち、第1の数のOリング109は、2つのOリングを含む。第2の数は、2よりも大きい。すなわち、第2の数のOリング111は、3つ以上のOリングを含む。特に、第2の数は、3である。すなわち、第2の数のOリング111は、3つのOリング112、113を含む。第2の数は、第1の数よりも大きい。第1の数のOリング109のOリングと第2の数のOリング111のOリングとは、同じであり得る。すなわち、第1の数のOリング109及び第2の数のOリング111のOリングは、同じ寸法を有し得る。
【0271】
図20A及び図20Bに示す実施形態において、Oリングは、同等のサイズである。すなわち、各Oリングによって提供されるOリング接合部の強度は、概して同様である。
【0272】
図20Cは、いくつかの実施形態による、Oリング113の断面を示している。Oリング113は、第1の数のOリング109及び/又は第2の数のOリング111のうちの1つ以上を示し得る。Oリング113は、Oリング溝115内に位置決めされる。第1のプランジャ13は、そのようなOリング溝115を備え得る。例えば、第1の数のOリング109のうちの1つ以上は、図20Cに示すようなOリング溝内に配設され得る。同様に、第2のプランジャ14は、そのようなOリング溝115を備え得る。例えば、第2の数のOリング111のうちの1つ以上は、図20Cに示されるようなOリング溝内に配設され得る。
【0273】
Oリング113は、Oリング直径117で寸法決めされている。Oリング溝115は、溝幅119を備える。Oリング直径117は、溝幅119よりも小さくてもよい。Oリング直径117は、溝幅119と同じであってもよい。Oリング直径117は、溝幅119よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の数のOリング109のうちの1つの直径は、第1の直径と称される。同様に、第2の数のOリング111のうちの1つの直径は、第2の直径と称される。いくつかの実施形態では、第1の数のOリング109のうちの1つが配設される溝は、第1の溝と称される。第1の溝は、第1の溝幅を有し得る。同様に、第2の数のOリング111のうちの1つが配設される溝は、第2の溝と称される。第2の溝は、第2の溝幅を有し得る。
【0274】
いくつかの実施形態では、第2の直径は、第1の直径よりも大きい。すなわち、第2の数のOリング111のうちの1つ以上の直径は、第1の数のOリング109のうちの1つ以上の直径よりも大きい。これは、第1の数のOリング109のうちの関連するOリングのOリング接合部に関連付けられた離脱力と比較すると、第2の数のOリング111のうちの関連するOリングのOリング接合部に関連付けられた離脱力を増加させる。
【0275】
したがって、弁閾値力が第1のプランジャ13の離脱力と第2のプランジャ14の離脱力との合計よりも小さくなるように薬剤送達装置2を提供することは、いくつかの方法で達成され得る。同様に、第2のプランジャ14の離脱力が第1のプランジャ13の離脱力よりも大きくなるように、薬剤送達装置2を提供することは、第1の数のOリング109及び第2の数のOリング111の特徴を調整することによって、いくつかの方法で達成され得る。同様に、開弁力が第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなるように薬剤送達装置2を提供することは、いくつかの方法で達成され得る。
【0276】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14の各々の離脱力は、第1の数又は第2の数を制御することによって制御され得る。そのような場合、各Oリングに関連付けられた寸法は、同等であり得る。すなわち、第1の数のOリング109のOリングの直径は、第2の数のOリング111のOリングの直径と類似しているか又は同じであり得る。したがって、第2の数が第1の数よりも大きい場合、第2のプランジャ14の離脱力は、第1のプランジャ13の離脱力よりも大きい。第1の数は、弁閾値力が第1のプランジャ13の離脱力よりも大きくなるように選択され得る。
【0277】
いくつかの実施形態では、第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14の各々の離脱力は、第1の数のOリング109及び第2の数のOリング111のOリングに関連付けられた寸法を制御することによって制御され得る。例えば、第2の数のOリング111の溝の溝幅は、第1の数のOリング109の溝の溝幅よりも小さいサイズにすることができる。そのような場合、第2の数のOリング111によって提供されるOリング接合部は、より多くの力を克服する必要があり、それによって、第2のプランジャ14の離脱力を増加させる。そのような場合、これらの寸法は、第2のプランジャ14の離脱力が第1のプランジャ13の離脱力よりも大きくなるように制御され得る。同様に、これらの寸法は、弁閾値力が第1のプランジャ13の離脱力と第2のプランジャ14の離脱力との合計よりも小さくなるように制御され得る。同様に、これらの寸法は、弁閾値力が第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなるように制御され得る。同様に、これらの寸法は、開弁力が第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなるように制御され得る。
【0278】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抵抗要素121は、第2の数のOリング111のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、第2の数のOリング111の各々は、少なくとも1つの抵抗要素121のうちの1つであると見なされる。
【0279】
図21は、いくつかの実施形態による、第1の状態の別の薬剤送達装置2の側面図を示している。第1の状態は、注入前の状態であり得る。第1の状態は、注入の第1の段階を示し得る。
【0280】
図21に示される薬剤送達装置2は、第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14を備える。第1のプランジャ13は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。第2のプランジャ14は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、容器11を備える。容器11は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、活性剤チャンバ15を備える。活性剤チャンバ15は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、希釈チャンバ25を備える。希釈チャンバ25は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、活性剤チャンバポート49を備える。活性剤チャンバポート49は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、希釈チャンバポート51を備える。希釈チャンバポート51は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。
【0281】
本明細書に記載される場合、第2のプランジャ14は、弁39を備える。いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14は、弁装置149を備える。弁装置149は、活性剤チャンバ15から希釈チャンバ25への医薬製剤のフローを制御するように構成されている。弁装置149は、弁39を備え得る。本明細書に記載するように、弁39は、ダックビル弁41であり得る。弁39は、複数のフラップ43を備え得る。
【0282】
いくつかの実施形態では、弁装置149は、複数の弁39を備える。複数の弁のうちの1つ以上は、ダックビル弁41であり得る。複数の弁39のうちの1つ以上は、複数のフラップ43を備え得る。例えば、弁装置149は、第1の弁39A及び第2の弁39Bを備え得る。第1の弁39A及び第2の弁39Bの各々は、活性剤チャンバ15から希釈チャンバ25への医薬製剤のフローを制御するように構成されている。
【0283】
弁閾値力が、第1のプランジャ13の離脱力と第2のプランジャ14の離脱力との合計よりも小さくなるように薬剤送達装置2を提供することは、いくつかの方法で達成され得る。弁閾値力が第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなるように薬剤送達装置2を提供することは、いくつかの方法で達成され得る。同様に、第2のプランジャ14の離脱力が第1のプランジャ13の離脱力よりも大きくなるように薬剤送達装置2を提供することは、いくつかの方法で達成され得る。同様に、開弁力が第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなるように薬剤送達装置2を提供することは、いくつかの方法で達成され得る。
【0284】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14の離脱力は、弁39及び/又は弁装置149の態様を制御することによって制御され得る。同様に、開弁力は、弁39及び/又は弁装置149の態様を制御することによって制御され得る。例えば、弁39が製造されている材料は、弁39を開くのに必要な力に、及び開弁力(すなわち、弁39が開位置にあるときの弁39を横切る力)にも影響を与え得る。同様に、フラップ43の寸法は、弁39を開くために必要な力に、及び開弁力にも影響を与え得る。弁装置149の弁の数はまた、弁39を開くのに必要な力に、及び開弁力にも影響を与え得る。開弁力は、弁装置149の各弁39の抵抗に比例するので、より多くの弁39を追加するか、又は弁39の抵抗を変化させる(例えば、弁材料、幾何学形状、デュロメータ、フラップ構成、開口部のサイズなどを変更することによって、開いたときのそれぞれの弁39の断面積を変化させることによって)、弁装置149全体の抵抗を減少させることができ、それによって開弁力を減少させる。
【0285】
弁閾値力、第1のプランジャ13の離脱力、及び第2のプランジャ14の離脱力は、弁閾値力が第1のプランジャ13の離脱力と第2のプランジャ14の離脱力との合計よりも小さく、及び/又は第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなることを確実にするために、本明細書に記載するように制御され得る。弁装置149はまた、弁閾値力が第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなるように制御され得る。例えば、弁装置149の弁39が製造される材料は、弁閾値力を低減するように変更され得る。同様に、第2のプランジャ14の開弁力及び離脱力は、開弁力を第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなることを確実にするために、本明細書に記載するように制御され得る。例えば、開弁力は、弁装置149内の弁39の数を増加させることによって、又は弁39が開いているときに弁装置149の弁39の開口部のサイズを増加させることによって減少させることができる。
【0286】
図22は、いくつかの実施形態による、第1の状態の薬剤送達装置2の側面図を示している。第1の状態は、注入前の状態であり得る。第1の状態は、注入の第1の段階を示し得る。
【0287】
図22に示される薬剤送達装置2は、第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14を備える。第1のプランジャ13は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。第2のプランジャ14は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、容器11を備える。容器11は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、活性剤チャンバ15を備える。活性剤チャンバ15は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、希釈チャンバ25を備える。希釈チャンバ25は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、活性剤チャンバポート49を備える。活性剤チャンバポート49は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、希釈チャンバポート51を備える。希釈チャンバポート51は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。薬剤送達装置2は、弁39を備える。弁39は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書に記載する通りであり得る。
【0288】
図22に示される実施形態において、薬剤送達装置2は、突出部147を備える。突出部147は、第2のプランジャ14の変位を阻止するように構成されている。特に、突出部147は、第2のプランジャ14の希釈チャンバポート51への変位を阻止するように構成されている。容器11は、突出部147を備える。突出部147は、内側に突出する。突出部147は、環状突出部である。突出部147は、容器11の内部の周りに延在する。突出部147は、活性剤チャンバポート49と希釈チャンバポート51との間にある。突出部147を使用して、第2のプランジャ14の離脱力を増加させることができる。
【0289】
弁閾値力が、第1のプランジャ13の離脱力と第2のプランジャ14の離脱力との合計よりも小さくなるように薬剤送達装置2を提供することは、いくつかの方法で達成され得る。同様に、第2のプランジャ14の離脱力が第1のプランジャ13の離脱力よりも大きくなるように薬剤送達装置2を提供することは、いくつかの方法で達成され得る。同様に、開弁力が第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなるように薬剤送達装置2を提供することは、いくつかの方法で達成され得る。いくつかの実施形態では、これらのうちの1つ以上は、突出部147を適切に寸法決めすることによって、少なくとも部分的に達成される。
【0290】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14の離脱力は、突出部の態様を制御することによって制御することができる。例えば、突出部147が容器11内に突出する程度を制御することができる。突出部147が容器11の内面55から容器11内に延在する程度は、突出部寸法であり得る。これはまた、半径方向突出寸法と称される場合がある。長手方向軸21に平行な方向の突出部147の厚さは、長手方向突出部寸法であり得る。突出部寸法及び長手方向突出部寸法はまた、第2のプランジャ14の離脱力を制御するように制御され得る。
【0291】
突出部147が容器11内に突出する程度を増加させることは、第2のプランジャ14の離脱力を増加させることができ、これは、突出部147によって第2のプランジャ14に印加される抵抗力を克服しなければならないためである。同様に、長手方向突出部寸法を増加させることは、第2のプランジャ14の離脱力を増加させることができる。したがって、第2のプランジャ14の離脱力は、少なくとも部分的に、突出部147によって提供される第2のプランジャ14の移動に対する抵抗の結果として、第1のプランジャ13の離脱力よりも大きくすることができる。突出部147の寸法(例えば、突出部寸法)は、弁閾値力が第1のプランジャ13の離脱力と第2のプランジャ14の離脱力との合計よりも小さくなることを確実にするために、本明細書に記載するように制御され得る。同様に、突出部147の寸法は、弁閾値力が第2のプランジャ14の離脱力よりも小さくなることを確実にするために、本明細書に記載するように制御され得る。
【0292】
いくつかの実施形態では、抵抗要素121は突出部147を備える。
【0293】
第1のプランジャ13及び第2のプランジャ14の各々の離脱力は、上述したように、各プランジャに関連付けられたOリングの数及びOリングの寸法を制御することによって制御され得る。しかしながら、離脱力を制御する他の方法が可能である。いくつかの例では、離脱力は、図21に示すように弁の数を通して、又は図22に示すように、第2のプランジャの移動を阻止する突出部147を提供することによって制御され得る。更に他の例では、(図19Aに示されるように)第2のプランジャの移動を阻止するために、第2のプランジャの溝139と係合する係合位置、及び(図19Bに示されるように)作動要素133が第2のプランジャの溝139と係合せず、第2のプランジャの移動を阻止しない非係合位置に移動可能な作動要素133を備える停止システム131が存在し得る。更に他の例(図示せず)では、容器の遠位端及び第2のプランジャの開始位置に近い容器内面の第1の部分は、容器の近位端に向かう容器内面の第2の部分よりも粗い表面を有し得、表面の粗い第1の部分が、第2のプランジャの、容器の遠位端に向かう開始位置を越える移動を阻止するようにする。更に他の例では、離脱力は、容器の遠位端と第2のプランジャの遠位面との間のばねによって、又は第2のプランジャの移動を阻止するために第2のプランジャの近位面に係合部材を提供することによって、制御され得る。
【0294】
第2のプランジャ14
図24は、いくつかの実施形態による、薬剤送達装置2の部分断面の側面図を示している。第2のプランジャ14の実施形態を図23に示す。図23の第2のプランジャ14は、第2のプランジャ封止部分151を備える。第2のプランジャ14は、第2のプランジャ封止支持部分153を備える。第2のプランジャ封止支持部分153は、第2のプランジャ封止部分151に接続するように構成されている。第2のプランジャ封止支持部分153は、第2のプランジャ封止部分151を支持するように構成されている。いくつかの実施形態では、第2のプランジャ封止部分151はエラストマー材料を備える。いくつかの実施形態では、封止支持部分153は、非エラストマー又は比較的剛性の材料(封止部分151の材料よりも剛性が高い)を備える。第2のプランジャ封止支持部分153は、第2のプランジャ封止部分151がその形状を維持するのを支援する。第2のプランジャ封止支持部分153は、ソフトプッシュ接続で第1のプランジャ封止部分151に接続され得る。すなわち、第2のプランジャ封止支持部分153は、第2のプランジャ封止部分151内の窪みによって受容され得る。第2のプランジャは、弁39を備える。弁39は、本明細書に記載する通りであり得る。第2のプランジャ14は、弁コネクタ部分155を備える。弁コネクタ部分155は、弁39を第2のプランジャ封止支持部分153に確実に接続するように構成されている。
【0295】
図23は、いくつかの実施形態による、薬剤送達装置2の部分断面の側面図を示している。第2のプランジャ14は、第2のプランジャ窪み157を備える。第2のプランジャ窪み157は、円錐形窪みである。第2のプランジャ窪み157は、第1のプランジャ13を受容するように構成されている。
【0296】
弁39は、図23及び図24に示される第2のプランジャ14の頂点159を超えて延在する。弁39の外形寸法は、希釈チャンバポート51のチャネルの外形寸法よりも大きくてもよい。したがって、弁39は、第2のプランジャ14が容器の遠位端63に向かって移動させられるときに、容器11の内面に接触し得る。したがって、弁39は、第2のプランジャが容器11の遠位端63に接触する程度を防止又は最小化し得る。これにより、第2のプランジャ14が容器11の遠位端63に接着する程度を低減することができ、それによって、第2のプランジャ14を容器11の遠位端63から取り外して、例えば、第2の注入のためにリセットすることができる容易さの改善を提供する。
【0297】
更に、記載された弁39の設計は、薬剤送達装置2がプライミングされ得る容易さを改善する。第2のプランジャ14が容器11の遠位端63の形状に対応するように成形される場合、第2のプランジャ14は、プライミングの前に容器11の遠位端63に吸引され得、これは、希釈チャンバ25を充填することの難しさを増加させる可能性がある。記載するように第2のプランジャ14を提供することは、この問題を克服し得る。
【0298】
いくつかの実施形態では、弁39は、略前方方向に(すなわち、弁39から離れるように希釈チャンバポート51に向かって)延在する突出部(図示せず)を備え得る。この突出部は、第2のプランジャ14が容器11に吸引する程度を最小化にするために容器11に接触するように作用し得る。いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14の頂点159を越えて延在する弁39の代わりに、弁39は、第2のプランジャ14内に含まれ得る。
【0299】
いくつかの実施形態では、弁39は、容器11に接触しないようなサイズにされる。具体的には、弁39は、希釈チャンバポート51に接触しない。これは、接触によって生じ得る弁39の歪みを低減する。
【0300】
図25Aは、いくつかの実施形態による第2のプランジャ14を示している。図25Aの第2のプランジャ14は、前部分161を備える。図27Aの第2のプランジャ14は、後部分163を備える。前部分161は、円錐形である。前部分161は、後部分163から前部分深さ165だけ離れるように延在する。後部分163は、前部分161から後部分深さ167だけ離れるように延在する。前部分深さ165は、後部分深さ167よりも大きい。いくつかの実施形態では、前部分深さ165は後部分深さ167よりも小さい。
【0301】
後部分163は、後部分溝168を備える。後部分溝168は、第1の角度付き縁169及び第2の角度付き縁171を備える。第2の角度付き縁171と第2のプランジャ14の長手方向軸173との間の角度は、第1の角度付き縁169と第2のプランジャ14の長手方向軸173との間の角度よりも大きい。
【0302】
図25Bは、いくつかの実施形態による第2のプランジャ14を示している。図25Bの第2のプランジャ14は、前部分161を備える。図25Bの第2のプランジャ14は、後部分163を備える。いくつかの実施形態では、前部分161は、円錐形である。いくつかの実施形態では、前部分161は、半球形である。前部分161は、後部分163から前部分深さ165だけ離れるように延在する。後部分163は、前部分161から後部分深さ167だけ離れるように延在する。前部分深さ165は、後部分深さ167よりも小さい。いくつかの実施形態では、前部分深さ165は後部分深さ167よりも大きい。
【0303】
後部分163は、後部分溝168を備える。後部分溝168は、第1の角度付き縁169及び第2の角度付き縁171を備える。いくつかの実施形態では、第2の角度付き縁171と第2のプランジャ14の長手方向軸173との間の角度は、第1の角度付き縁169と第2のプランジャ14の長手方向軸173との間の角度と同じである。いくつかの実施形態では、第2の角度付き縁171と第2のプランジャ14の長手方向軸173との間の角度は、第1の角度付き縁169と第2のプランジャ14の長手方向軸173との間の角度よりも大きい。いくつかの実施形態では、第2の角度付き縁171と第2のプランジャ14の長手方向軸173との間の角度は、第1の角度付き縁169と第2のプランジャ14の長手方向軸173との間の角度よりも小さい。
【0304】
第2のプランジャ14が容器11内で反転又は回転して位置合わせされなくなるのを阻止又は防止するために、様々な特徴が提供され得る。いくつかの実施形態では、第2のプランジャは、容器の長手方向軸に沿って少なくとも9mmの長さを有する。これは、第2のプランジャが位置合わせされなくなるのを防止するのに役立つ。この少なくとも9mmの長さは、例えば、希釈チャンバ開口部に面する第2のプランジャの遠位側と、第1のプランジャに面する第2のプランジャの近位側との間の長さであり得る。いくつかの例では、容器壁と接触する第2のプランジャの一部の長さ167は、少なくとも9mmであり得る。いくつかの例では、長さは9mm~11mmである。
【0305】
いくつかの例では、後部分深さ167は、前部分深さ165よりも大きく、これは、第2のプランジャ周辺縁を容器11の内壁と接触させ、第2のプランジャ14が容器内で反転するのを防止するのに役立ち得る。
【0306】
いくつかの実施形態では、容器11の内面55は潤滑され得る。例えば、容器11の内面55は、油で潤滑され得る。この潤滑は、第2のプランジャ14が反転又は回転して位置合わせされなくなる可能性を低減することができる。これは、第2のプランジャ14がスライドすることができる程度の改善を提供することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14の高さ(すなわち、長手方向軸21gに平行な方向における第2のプランジャ14の寸法)を増加させて、第2のプランジャ14が反転又は回転する可能性を低減することができる。いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14のサイズは、第2のプランジャ14の圧縮がその周囲で概ね一定であるように制御される。例えば、第2のプランジャ14は、第2のプランジャ14の前縁における横方向の圧縮が、第2のプランジャ14の後縁における横方向の圧縮と概ね同じになるようなサイズであり得る。これは、第2のプランジャが位置合わせされなくなるのを防止するのに役立ち得る。
【0307】
いくつかの実施形態では、容器11の遠位端63は、凹部、例えば円錐形窪みを画定すると見なされ得る。第2のプランジャ14は、本明細書に記載するように、容器11に接触するように移動させられるように記載される。いくつかの実施形態では、第2のプランジャ14の遠位端(例えば、第1の部分161)は、本明細書に記載するように、凸状、例えば、円錐状であり得る。しかしながら、第2のプランジャ14の高さは、第2のプランジャ14の凸状遠位面(すなわち、第2のプランジャ14の前部分161の湾曲面)が、容器11の遠位端63の内面と直接整列しない、一致しない、又は部分的にのみ一致するようなものであり得る。例えば、第2のプランジャ14の遠位端の凸状(例えば、円錐形)形状及び容器11の遠位端63の凹状(例えば、円錐形)窪みは、異なるプロファイルを有し得る。これは、有利には、第2のプランジャ14が容器11に吸引し得る程度を低減することができる。この構成はまた、有利には、第2のプランジャ14の前部分161の湾曲面が希釈チャンバポート51に対して封止することを可能にし得る。その結果、弁39を出る流体は、希釈チャンバ25に入ることなく、希釈チャンバポート51を通って導かれ得る。これは、薬剤送達装置2を充填するときに有用であり得る。
【0308】
図25C及び図25Dは、いくつかの実施形態による、第1のプランジャ13を示している。図25C及び図25Dの第1のプランジャ13は、前部分161を備える。図25C及び図25Dの第1のプランジャ13は、後部分163を備える。第1のプランジャ13の前部分161は、第2のプランジャ14に接触するように構成されている。前部分161は、凹状(例えば、逆円錐形)のプロファイルを有する。すなわち、第1のプランジャ13の前部分161は、凹状(例えば、円錐形)窪み193を画定する。凹状(例えば、円錐形)窪み193は、切頭円錐形に対応するプロファイルを有し得る。
【0309】
前部分161は、後部分163から前部分深さ165だけ離れるように延在する。後部分163は、前部分161から後部分深さ167だけ離れるように延在する。前部分深さ165は、後部分深さ167よりも大きい。いくつかの実施形態では、前部分深さ165は後部分深さ167よりも小さい。
【0310】
第1のプランジャ13は、第1のプランジャ溝168を備える。第1のプランジャ溝168は、第1の角度付き縁169及び第2の角度付き縁171を備える。いくつかの実施形態では、第2の角度付き縁171と第1のプランジャ13の長手方向軸との間の角度は、第1の角度付き縁169と第1のプランジャ143の長手方向軸との間の角度と同じである。いくつかの実施形態では、第2の角度付き縁171と第1のプランジャ13の長手方向軸との間の角度は、第1の角度付き縁169と第1のプランジャ13の長手方向軸との間の角度よりも大きい。いくつかの実施形態では、第2の角度付き縁171と第1のプランジャ13の長手方向軸との間の角度は、第1の角度付き縁169と第1のプランジャ13の長手方向軸との間の角度よりも小さい。
【0311】
図26は、いくつかの実施形態による、薬剤送達装置2の実施形態を示している。
【0312】
図26の実施形態では、第1のプランジャ13は、第2のプランジャ14に面する凹状(遠位)面195を有する。例えば、第1のプランジャ13の遠位面は、凹状窪みを画定し得る。凹状窪みは、円錐形プロファイルを有し得る。第2のプランジャ14は、第1のプランジャに面する凸状(遠位)面197を有する。例えば、第2のプランジャの近位面は、円錐台形部分197を備え得る。図26には示されていないが、第2のプランジャは、他の実施形態で前述されるように、弁を含み得る。
【0313】
第1のプランジャ13が第2のプランジャ14に接触すると、第1のプランジャ13と第2のプランジャ14との間に空隙199が画定される。空隙199は、空気が薬剤送達装置2内に蓄積することを可能にし、空気が希釈チャンバ25及び/又は患者に注射される程度を防止又は最小化する。したがって、空隙は、気泡捕捉部として機能し得る。いくつかの実施形態では、空隙199は、第1のプランジャ13の凹状(例えば、円錐形)窪み195、及び第2のプランジャ14の円錐台形部分197によって画定され得る。図26の空隙199は、プランジャの中央部分の間に形成されるが、他の例では、空隙は、一方の側に寄った周辺位置を有することができる。
【0314】
概して、第1のプランジャ及び第2のプランジャは、第1のプランジャが第2のプランジャと接触するように移動させられるときに、第1のプランジャと第2のプランジャとの間に空隙が存在するように成形され得る。第2のプランジャは、医薬製剤の浪費を最小化するために第1のプランジャの形状に部分的に適合し得るが、空隙が存在するため、第1のプランジャが第2のプランジャと接触するように移動させられるときに、第1のプランジャと第2のプランジャとの間に気泡が捕捉される空間を許容する。
【0315】
第2のプランジャ14は、容器11の遠位端11Aに面する(遠位)凸面198を有し得る。容器の遠位端11Aは、希釈チャンバ開口部51を画定する容器の端部である。第2のプランジャ14は、容器の遠位端11Aに向かって、第2のプランジャが容器の遠位端に向かって更に移動することができない端部位置まで移動可能である。例えば、第2のプランジャの端部位置は、第2のプランジャ14が容器の遠位端11Aに当接する位置であり得る。第2のプランジャ14の遠位側198は、端部位置において、第2のプランジャの少なくとも一部と容器の遠位端との間に隙間が存在するように成形される。隙間は、第2のプランジャが容器の遠位端に付着する(吸引又はその他の原因による)のを防止するのに役立つ。例えば、第2のプランジャの遠位面は、第2のプランジャの容器の遠位端への吸引又は付着を防止するために、容器の遠位端とは異なる形状又はプロファイルを有し得る。
【0316】
第2のプランジャの遠位側又は遠位面198は、希釈チャンバ25の内容物を、希釈チャンバ開口部51を通して排出するように、第2のプランジャ14が容器の遠位端と接触するように移動させられるときの医薬製剤及び/又は希釈剤の浪費を最小化するように、容器11Aの遠位端に部分的に適合し得る。第2のプランジャ14が容器の遠位端11Aと接触するように移動させられるときに、第2のプランジャが容器の遠位端に部分的にしか適合しないため、第2のプランジャの少なくとも一部と容器の遠位端との間には依然として隙間が存在するであろう。この隙間は、第2のプランジャを容器の遠位端に付着させる吸引力を防止するのに役立つ。これは、例えば、第2のプランジャの遠位端及び異なるプロファイルを有する容器の遠位端によって達成され得る。
【0317】
この隙間を達成するために、容器の遠位端に面する第2のプランジャの遠位側は、端部位置において容器の遠位端に当接する第1の部分と、端部位置において容器の遠位端に当接しない第2の部分と、を含み得る。例えば、第1の部分は、第2のプランジャから突出する部分、弁(弁が第2のプランジャから突出する場合)、又は第2のプランジャの遠位面の一部であり得る。いくつかの例では、第1の部分は、第2のプランジャの遠位面の一部であり、第2のプランジャが容器の遠位端に接触するように移動させられるときに、第2のプランジャの遠位面積の5%~50%が容器の遠位端に接触又は当接する。
【0318】
前述したように、第2のプランジャは、一方向弁を有する。いくつかの例では、図27に示すように、一方向弁39は、第2のプランジャ14の主本体14Mの内側に含まれ得る。これは、容器11の縁との接触によって一方向弁を歪みから保護するのに役立つ。いくつかの例では、第2のプランジャ14の主本体14Mは、少なくとも1つの出口開口部223と、一方向弁39の出口から少なくとも1つの出口開口部223に通じる少なくとも1つの内部チャネル222と、を含む。いくつかの例では、一方向弁39は、ダックビル弁であり得る。
【0319】
図27には、1つの出口開口部223がある。他の例では、第2のプランジャ14の主本体は、2つ以上の出口開口部を有し得る。図28は、同様の参照番号が同様の部品を表すが、主本体14Mが2つの出口開口部223A及び223Bを有する、図27と同様の配置を示している。主本体の第1の内部チャネル219は、第1の出口開口部223Aに通じ、第2の内部チャネル221は、第2の出口開口部223Bに通じる。この場合、参照番号217は、第1のチャネル及び第2のチャネルを分離する主本体の一部を示す。
【0320】
図29Aは、第1及び第2の出口開口部223A、223Bを示す、図28の第2のプランジャ14の前面(遠位端)からの斜視図である。図29Bは、一方向弁が出口開口部に対して水平に配置される1つの可能な配置を示す平面図である。すなわち、ダックビル弁であり得る一方向弁は、第1の開口部223A及び第2の開口部223Bを接合する線に実質的に垂直なスリットを有する。他の例では、一方向弁は、異なる向きを有し得る。例えば、図29Cに示すように、弁は、第1の出口開口部223A及び第2の出口開口部223Bを接合する線と平行な弁スリットを有する垂直方向を有し得る。
【0321】
いくつかの例では、弁39の出口側47に配設された分散部材が存在し得る。分散部材は、弁39を通って流れる流体の流路に配設され得る。分散部材は、弁39を通って流れる流体を分散させるように構成され得る。これは、希釈チャンバ25内の流体の混合を改善することができる。いくつかの例では、分散部材は、第1の分散チャネル219及び第2の分散チャネル221を画定し得る。弁39を通って流れる流体は、第1の分散チャネル219及び第2の分散チャネル221を通って押し流され、希釈チャンバ25内で混合する程度を増加させる。
【0322】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの出口開口部223A、223B及び/又は内部チャネル(又は分散チャネル)は、医薬製剤が一方向弁を通って活性剤チャンバから押し流されるときに、希釈チャンバ25の第1の角部の方へ向けられる医薬製剤の第1の噴流と、希釈チャンバ25の第2の角部の方へ向けられる医薬製剤の第2の噴流とを生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、装置は、医薬製剤の第1及び第2の噴流が希釈チャンバの内面で反発し、それによって希釈チャンバ内での医薬製剤と希釈剤との逆行混合を促進するように構成されている。
【0323】
いくつかの実装形態では、出口開口部及びチャネルは、流路の外側部分から弁39を通って流れる流体の流路の中央部分内に延在する分散部材によって形成され得る。分散部材は、分散チャネルを画定し得る。分散チャネルを通って流れる流体の方向は、分散部材によって変化する。これは、流体が希釈チャンバ25内で混合する程度を増加させる。
【0324】
噴流及び混合の例を図30A図30Fに示す。図30A図30Fは、プライミングプロセスを示しているが、同様の噴流及び混合は、注入中に生じる。図30Aは、第1の時間、例えば、プライミングを開始した後の0.25秒を示しており、この時間に、2つの噴流が生成される。図30Bは、第2の時間、例えば、0.41秒後を示しており、この時間に、2つの噴流の各々が希釈チャンバのそれぞれの角部に到達する。図30Cは、第3の時間、例えば、1.51秒後を示しており、この時間に、2つの噴流が希釈チャンバ出口に到達する。図30Dは、第4の時間、例えば、1.95秒後を示しており、この時間に、逆行混合が生じ始める。図30Eは、第5の時間、例えば、2.15秒後を示しており、この時間に、医薬製剤は、希釈チャンバに取り付けられた導管(例えば、延長チューブ)に入り始める。図30Fは、第6の時間、例えば、2.90秒後を示しており、この時間に、良好な混合が生じる。
【0325】
いくつかの実施形態では、第2のプランジャの主本体は、3つの出口開口部を備え得る。この場合、3つの出口開口部の中間開口部、及び/又は第3の出口開口部に通じる内部チャネルは、希釈チャンバ開口部の方へ向けられる医薬製剤の第3の噴流を生成するように構成され得る。
【0326】
図31は、3つの出口開口部223A、223B、及び223Cを有する第2のプランジャ41の例示的な斜視図を示している。3つの出口は、列に配置され得る。中間出口は、周辺出口よりも小さくてもよい。図32は、3つの出口開口部223A、223B、223Cを有する第2のプランジャ14の例示的な断面図を示している。同様の参照番号は、図27図31のような同様の部品を示している。
【0327】
噴流及び混合の例を図33A図33Fに示す。図33A図33Fは、プライミングプロセスを示しているが、同様の噴流及び混合は、注入中に生じる。図33Aは、第1の時間、例えば、プライミングを開始した後の0.26秒を示しており、この時間に、1つの中央噴流及び2つの横方向噴流が生成される。図30Bは、第2の時間、例えば、0.60秒後を示しており、この時間に、中央噴流は希釈チャンバ出口に到達し、2つの横方向噴流の各々が希釈チャンバの中間側壁に到達する。図30Cは、第3の時間、例えば、0.8秒後を示しており、この時間に、中央噴流が希釈チャンバ開口部に取り付けられた導管に入り、2つの横方向噴流が希釈チャンバのそれぞれの角部に到達する。図30Dは、第4の時間、例えば、1.67秒後を示しており、この時間に、横方向噴流が希釈チャンバ出口に到達する。図30Eは、第5の時間、例えば2.6秒後を示しており、この時間に、横方向噴流の逆行混合が生じ始める。図30Fは、第6の時間、例えば、3.2秒後を示しており、この時間に、横方向噴流の逆行移動が中央噴流の前方移動と衝突して更なる乱流及び混合を引き起こす。
【0328】
図34は、主本体内に弁29を含む主本体を有する第2のプランジャ14の例の断面図であり、主本体は、複数の(例えば、3つの)出口開口部及び複数の内部チャネルを有し、各内部チャネルは、それぞれの出口開口部に通じている。各チャネルは、異なる方向又は角度で延在し得る。したがって、3つの出口及び3つの出口チャネルが存在するが、それらが異なる方向に延在するため、図34の断面では、第1のチャネル219及び第1の出口223A、並びに第2の出口チャネル221の一部のみが見ることができる。
【0329】
図35は、いくつかの実施形態による薬剤送達システム1を示している。薬剤送達システム1は、遠隔活性剤15Aを含む。遠隔活性剤チャンバ15Aは、薬剤送達装置2の活性剤チャンバ15に加えて存在する。すなわち、遠隔活性剤チャンバ15Aは、薬剤送達装置2から離れるように配設され、活性剤チャンバ導管201によって本明細書に記載する薬剤送達装置2のプランジャ管腔93に流体接続され得る。活性剤チャンバ導管201は、遠隔活性剤チャンバ15Aの出口及び第1のプランジャコネクタ96に接続するように構成され得る。
【0330】
医薬製剤を遠隔活性剤チャンバ15Aから薬剤送達装置2の活性剤チャンバ15内に圧送するために、外部ポンプ15Aが使用され得る。この配置では、薬剤送達装置2の活性剤チャンバ15は、一定の容積に維持される。医薬製剤のフローは、例えば、蠕動ポンプ又は他のポンプであり得る外部ポンプ15Bによって駆動される。ポンプ15Bは、医薬製剤のフローが、活性剤チャンバ15内へ、希釈チャンバ25(図示せず)内の弁39(図示せず)を通って、希釈チャンバ開口部51を通って出るように駆動し得る。
【0331】
活性剤チャンバ15を一定の容積に維持するために、薬剤送達システム1は、プランジャロック203を備え得る。プランジャロック203は、第1のプランジャ13を特定の位置に固定する。これにより、医薬製剤は、希釈剤と混合するために弁39を介して希釈チャンバ25内に送達され、患者に送達するために希釈チャンバ開口部から流出することが可能になる。第1のプランジャは移動しないので、第2のプランジャも所定の位置に留まり、したがって、希釈チャンバの容積も固定される。
【0332】
プランジャロック203は、本体205を備える。本体205は、支持面上に載置するための下面207を備える。本体205は、第1の溝209を備える。本体は、第2の溝211を備える。第1の溝209は、第1のプランジャ13の第1のプランジャフランジ213を受容するように構成されている。第2の溝211は、容器11の容器フランジ215を受容するように構成されている。プランジャロック203は、第1のプランジャ13が容器11内に静止するように、第1のプランジャ13を特定の位置に固定するように構成されている。
【0333】
外部ポンプは、特定の用量プロファイルに従って医薬製剤を駆動するように制御され得る。例えば、医薬製剤は、希釈チャンバが一定の容積であるときに所望の用量プロファイルを送達するのに適した関数によって決定される変化する流量で流れるようにされ得る。例えば、活性剤投与の速度は、国際特許出願PCT/AU2020/051363号に記載されるように、Sadleir関数によって支配され得、その出願の内容は、その全体が参照により組み込まれている。いくつかの実施形態では、活性剤投与の速度は、国際特許出願PCT/AU2020/051363号に記載されるように、容積Sadleir関数の増加によって支配され得る。
図36は、患者に投与される2つの別個の医薬製剤が存在し得る別の例を示している。この場合、一次医薬製剤は、第1の入口201を通ってポンプ15Bに入り得る。ポンプ15Bは、上記の様々な例に記載されているように、薬剤送達デバイス2によって送出された第2の医薬製剤を受容し得る第2の入口を有する。ポンプ15Bは、第1及び第2の医薬製剤を組み合わせて、それらを、出口導管23を通して(例えば、静脈内投与によって)患者に送出し得る。ポンプ15Bは、医薬製剤中に形成された任意の気泡を捕捉するための空気捕捉部15Cを含み得る。
用量プロファイルは、用量率が低く保たれるべきである注入の初期部分に高感度であり得るので、薬剤送達装置2は、以下に記載するように、導管装置175によって出口202に取り付けられ得る。
導管装置は、高い注入速度を使用して、導管23を所望の濃度プロファイルで希釈された医薬製剤で充填するプライミングプロセスを可能にし、注入の第1の部分が、プライミングプロセスの一部として導管23内で調製された希釈された医薬製剤からなるように、用量率を注入の第1の部分で正確に達成することができる。このアプローチがなければ、注入の最初の部分で所望の低いが増加する用量率を達成することは困難であり得る。
【0334】
図37は、いくつかの実施形態による、導管装置175及び薬剤送達装置2の一部分の斜視図を示している。ハウジング177及び導管11は、図37において両方とも部分的に透明である。図38は、いくつかの実施形態による、導管装置175及び薬剤送達装置2の斜視図を示している。ハウジング177及び導管11は、図38において両方とも部分的に透明である。
【0335】
ハウジングは、第1のハウジングポート179を備える。第1のハウジングポート179は、第1のハウジング開口部180を備える。第1のハウジング開口部180は、第1のハウジングポート179を通って延在する。第1のハウジングポート179は、第1のコネクタを備える。第1のコネクタは、第1のハウジングルアーロックコネクタであり得る。第1のハウジングルアーロックコネクタは、雄型ルアーロックコネクタであり得る。代替的に、第1のホース化ルアーロックコネクタは、雌型ルアーロックコネクタであり得る。第1のハウジングポート179は、薬剤送達装置2の希釈チャンバポート51に接続するように構成されている。
【0336】
ハウジング177は、第2のハウジングポート181を備える。第2のハウジングポート181は、第2のハウジング開口部182を備える。第2のハウジング開口部182は、第2のハウジングポート181を通って延在する。第2のハウジングポート181は、第2のハウジングコネクタを備える。第2のハウジングコネクタは、第2のハウジングルアーロックコネクタであり得る。第2のハウジングコネクタは、第2のハウジングルアーロックコネクタであり得る。第2のハウジングルアーロックコネクタは、メスルアーロックコネクタであり得る。代替的に、第2のホース化ルアーロックコネクタは、雄型ルアーロックコネクタであり得る。第2のハウジングコネクタは、チューブに接続するように構成されている。
【0337】
導管23は、第1のハウジングポート179と第2のハウジングポート181とを接続する。具体的には、導管23は、第1のハウジング開口部180と第2のハウジング開口部182とを流体接続する。導管23は、ハウジング175内でコイル状になっている。具体的には、ハウジング175は、導管チャンバ183を備える。導管23は、導管チャンバ183内でコイル状になっている。導管チャンバ183は、ハウジング175の中間壁185と遠位端187との間に延在する。導管23は、本明細書に記載するように、所定の容積を有する。
【0338】
ハウジング175は、カラー186を備える。カラー186は、第2のハウジングポート181から離れるように、中間壁185から離れるように延在する。特に、カラー186は、導管装置175の長手方向軸193に略平行な方向に第2のハウジングポート181から離れるように延在する。導管装置175の長手方向軸193は、導管装置175が薬剤送達装置2に接続されているときに、薬剤送達装置2の長手方向軸21に略平行であり得る。
【0339】
薬剤送達システム1は、本明細書に記載する任意の薬剤送達装置2と、導管装置175と、を備え得る。カラー186は、容器11と係合するように構成されている。特に、カラー186は、締まり嵌めを介して容器11と係合するように構成され得る。締まり嵌めは、内側カラー表面189と外側容器表面191との間であり得る。
【0340】
導管23及び/又は導管装置175は、いくつかの重要な利点を提供する。薬剤送達装置2が最初に注入デバイス3と係合しているときに、システムには「緩み」の量が存在する。これは、例えば、注入デバイス3の注入ドライバ(例えば、注入デバイス3のアクチュエータ)と薬剤送達装置との間の圧縮の欠如、薬剤送達装置2の流体及び構成要素の圧縮性、又は他の理由がある可能性があるためである。本明細書に記載する、所定の容積(例えば、所定の最小容積)である導管23は、この「緩み」を緩和することができる。
【0341】
薬剤送達装置2は、注入デバイス3と係合(すなわち、接続)することができ、注入デバイス3は、薬剤送達装置2から導管23の端部まで流体を駆動するように操作することができる。次いで、流体を停止させることができる。薬学的組成物及び/又は医薬製剤がこの期間中に患者に入らないため、流体の流速は関連しない。したがって、所定の目標流量からの流量の任意の変動は、関係ない。更に、このプロセスを完了すると、システムから「緩み」が除去され、したがって、所望の流量に従って注入が開始されると、問題とならない。
【0342】
更に、医薬製剤は、弁39を通過するときに、必ずしも希釈剤と完全に混合しない場合がある。これは、弁39を通過する流体の低運動エネルギーに起因して(例えば、注入の初期段階で)流量が低い場合に、特にあり得る。したがって、医薬製剤が注入の早期に患者に提供される速度が影響を受ける。記載するように、所定の容積(例えば、所定の最小容積)を有する導管23を提供することは、これを緩和する。
【0343】
これは、注入の初期段階中に送達される混合された(すなわち希釈された)医薬製剤の容積が低く、導管23の総容積未満であり得るためである。導管23が患者に接続される前にプライミングされるので、この期間中の流量は、任意に高くなってもよい。したがって、臨床医は、プライミング中に医薬製剤と希釈剤との混合を改善する流量を使用することができる。次いで、プライミング中に生成された流体は、導管23の長さに沿って保管される。希釈された医薬製剤は、導管23の患者の末端に存在し、医薬製剤の濃度は、希釈チャンバ25の近いほど増加する。
【0344】
導管23が患者に接続され、所定の流量プログラムが開始されると、プライミングステップ中に生成された希釈された医薬製剤が患者に送達される。注入の早期に混合された希釈された医薬製剤は、注入のはるかに後の段階で、流量がより高いときに患者に送達されるため、医薬製剤の送達速度への影響ははるかに低くなる。
【0345】
ほとんどの場合、図36の導管装置175及び二重入口ポンプは使用されない。多くの場合、薬剤送達装置2は、医薬製剤の唯一の供給源として使用され、希釈チャンバ出口は、既知の容積の導管23(例えば、延長チューブ)に接続され得、これにより導管23のプライミングは、導管23が患者に取り付けられて注入を開始する前に、上述したものと同じ方式で行うことができる。
【0346】
流体送達システム1は、薬剤送達システム1の文脈で説明されているが、いくつかの実施形態では、流体送達システム1は、医薬製剤の送達以外の目的に使用され得ることが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、流体送達システム1は、産業プロセス又は別のプロセスの一部として混合流体を送達するように構成される。これらの場合、第1のチャンバ15に保管されている第1の流体は、第1の工業用流体であり得、第2のチャンバ25に保管されている第2の流体は、第2の工業用流体であり得る。流体送達装置2は、工業プロセス又は別のプロセスの一部として第1の流体及び第2の流体の混合物を制御可能に送達するように構成され得る。本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に多数の変形及び/又は修正が行われ得ることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、全ての点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【0347】
例えば、本開示は、薬剤送達システム1及び薬剤送達装置2のいくつかの実施形態を記載している。本明細書に記載する薬剤送達装置2の実施形態のうちの特定の1つは、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の薬剤送達装置2の別の実施形態の1つ以上の特徴及び/又は構成要素を含むことができることが理解されるであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
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【国際調査報告】