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特表2024-522769自己免疫性血液学的疾患を治療する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】自己免疫性血液学的疾患を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20240614BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61K31/454
A61P7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577713
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 IB2022055639
(87)【国際公開番号】W WO2022264101
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/212,465
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(72)【発明者】
【氏名】シューバルト ウェレンシーク,アンナ スベーニャ
(72)【発明者】
【氏名】ユンゲ,グイド
(72)【発明者】
【氏名】ホルブロ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】チャウラ,ラーガバ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA53
(57)【要約】
本明細書には、自己免疫性良性血液学的疾患(例えば、ITP、CAD、wAIHA、及びTTP)をB因子阻害剤LNP023(イプタコパン)又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩で治療する方法が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象、例えば、患者において自己免疫性血液学的疾患を治療する方法であって、前記方法が、前記対象、例えば、前記患者に治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)を投与し、それによって前記対象、例えば、患者を治療することを含み、前記自己免疫性血液学的疾患が、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)の前記治療有効量が、約50mg~約200mg、約50mg、約100mg、又は約200mgの用量を含む(前記投与量が、イプタコパン塩酸塩の前記無水遊離塩基に関連する)、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)の前記治療有効量が、前記対象、例えば、前記患者に1日1回(q.d.)又は1日2回(b.i.d.)投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩、例えば、イプタコパン塩酸塩一水和物、例えば、イプタコパン塩酸塩一水和物H型)を前記対象、例えば、前記患者に経口投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記対象、例えば、前記患者に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩を、約200mgの用量で1日2回(b.i.d.)経口投与することを含み、前記自己免疫性血液学的疾患が、免疫性血小板減少症(ITP)、又は寒冷凝集素症(CAD)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ITPの前記対象、例えば、患者が、自己免疫性良性血液学的疾患を治療することを意図して投与される少なくとも1つの特有の前治療、例えば、コルチコステロイド、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、抗Rho(D)免疫グロブリン、及びトロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)で以前に治療されているか、又は現在治療されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
CADの前記対象、例えば、患者が、自己免疫性良性血液学的疾患を治療することを意図して投与される少なくとも1つの特有な前治療、例えば、血漿交換療法、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、リツキシマブ、及びベンダムスチンの内の少なくとも1つで以前に治療されているか、又は現在治療されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
治療することが、治療前と比べて血小板数の増加、例えば、少なくとも10k/μL、15k/μL、20k/μL、25k/μL、30k/μL、35k/μL、40k/μL、45k/μL、50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、若しくは100k/μLだけの増加を達成すること、又は少なくとも50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、100k/μL、110k/μL、120k/μL、130k/μL、140k/μL、150k/μL、180k/μL、200k/μL、若しくは250k/μLの血小板数を達成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
治療することが、治療前と比べて、出血の減少、例えば、Kaufmanらによって定義された(Kaufman RM,Djulbegovic B,Gernsheimer T,et al(2015)Platelet transfusion:a clinical practice guideline from the AABB.Ann Intern Med;162(3):205-13)修正WHO出血スコアの改善、例えば、1、2、3、又は4の改善を達成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
治療することが、血小板数の増加を少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも10週間にわたって維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
治療することが、治療前と比べてヘモグロビンレベルの増加、例えば、少なくとも1.5g/dL、1.75g/dL、2.0g/dL、2.5g/dL、3.0g/dL、4.0g/dL、若しくは5.0g/dLだけの増加を達成すること、又は少なくとも10g/dL、11g/dL、12g/dL、13g/dL、14g/dL、若しくは15g/dLのヘモグロビンレベルを達成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
治療することが、治療前と比べて輸血の必要性の低減を達成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
治療することが、ヘモグロビンレベルを少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも10週間にわたって維持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
治療することが、治療前と比べて、例えば、FACIT-倦怠感スケールによる倦怠感の重症度における低減を達成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
治療を必要とする対象、例えば、患者における自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA又はTTPの治療で使用するためのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩であって、前記治療が、前記対象、例えば、前記患者に治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)を投与し、それによって前記対象、例えば、患者を治療することを含み、前記自己免疫性血液学的疾患が、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)からなる群から選択される、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の対象、例えば、患者での自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA、又はTTPの治療における使用であって、前記治療が、前記対象、例えば前記患者に治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)を投与し、それによって前記対象、例えば、患者を治療することを含み、前記自己免疫性血液学的疾患が、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)からなる群から選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、自己免疫性良性血液学的疾患、特に免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を、B因子阻害剤LNP023(イプタコパン(iptacopan))又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩で治療する方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
自己免疫性良性血液学的疾患は、対象における血液細胞を標的化し、最終的にそれを破壊する免疫によって総合的に特徴付けられる多数の適用症を説明する。例えば、特発性血小板減少症(ITP)は、自己免疫性の大部分が、IgGが媒介する血小板減少症であり、これは、典型的には、特定の根本的な原因が不在である場合、急性出血の徴候を示す。これは希少疾患と考えられているが、米国では推定有病者数が86,000人であり、最も一般的な自己免疫性血学的疾患である。
【0003】
新たに診断された特発性ITPに対する標準的治療には、コルチコステロイド、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、又は抗Rho(D)免疫グロブリンの投与が含まれる。しかしながら、これらの治療を受けている大部分の成人は最終的には再発し、更なる療法を必要とすることになり、エルトロンボパグ、アバトロンボパグ及びロミプロスチム、並びにリツキシマブ、フォスタマチニブといったトロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)、及び脾臓摘出術を含む後続の治療選択肢を伴う。これらの選択肢にも関わらず、医療ニーズ、すなわち再発/難治性患者の持続的寛解を誘導する療法及び効果予測バイオマーカーを用いた標的療法に対するニーズは、依然として満たされていないままである。
【0004】
別の例示的な自己免疫性良性血液学的疾患は特発性寒冷凝集素症(CAD)であり、これは低温又はウイルス感染によって引き起こされることが多い自己免疫性溶結性貧血である。「特発性」という用語は、特定の根本的な原因の不在を意味するが、最近の証拠から患者の大部分が、実際には低悪性度リンパ増殖性疾患を有することが示唆されている(Berentsen S et al(2019)J Blood Med p.93-103)。特発性CADは、米国で5,000人の推定有病者数を有する希少疾患であり、通常、溶結性貧血の徴候及び症状を伴い、急激に現れる。特発性CADは、ほぼ例外なく成人を冒し、発症年齢の中央値は67歳である。
【0005】
急性特発性CADに対する標準的治療には、血漿交換療法、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、及び/又は赤血球輸血が含まれる。難治性症例のための主な治療選択肢はベンダムスチンを伴うか、又は伴わないリツキシマブからなる。これらの選択肢にも関わらず、医療ニーズ、すなわち再発/難治性患者の持続的寛解を誘導する療法及び効果予測バイオマーカーを用いた標的療法に対するニーズは、依然として満たされていないままである。
【0006】
イプタコパン(LNP023)は補体B因子(FB)に結合し、C3-(すなわち、C3bBb)及びC5(C3bBbC3b)転換酵素を阻害し、それによって膜侵襲複合体(MAC)の形成をブロックする、経口投与される低分子量のファースト・イン・クラスの選択的プロテアーゼ阻害剤である。更に、イプタコパンは、細胞増幅相をブロックし、補体活性化プロセスを停止させる。複数のインビトロ及びインビボ非臨床機構研究において、イプタコパンは、補体第二経路の阻害を実証している(Schubart A,et al.(2019)Proc Natl Acad Sci USA;116(16):7926-31)。したがって、イプタコパンは、対象における自己免疫性良性血液学的疾患、特にITP及びCAD患者の治療のために治療利益をもたらす傾向性が高い。
【発明の概要】
【0007】
本明細書には、自己免疫性良性血液学的疾患、特に免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を、LNP023(イプタコパン)又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩で治療する方法が記載される。更に、本開示は、ITP又はCADを有する対象において、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の安全性及び有効性を決定するための概念実証のアダプティブバスケット第2相試験に関する。実施形態では、対象は、高補体活性化若しくは低補体活性化を有しているか、又はそれらであると診断されている。実施形態では、対象は、血小板減少症、貧血、若しくは溶血を有しているか、又はそれらであると診断されている。実施形態では、患者は、抗C5抗体療法を含む補体阻害剤療法に対する治療経験がない。実施形態では、患者は、補体阻害剤療法、免疫抑制療法、又はITP若しくはCADの治療のために規定された他の療法で以前に治療されているか、又は現在治療されている。
【0008】
本開示はまた、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩に関連する医薬組成物、使用、キットなどに関する。
【0009】
イプタコパンは補体経路のB因子阻害剤のクラスに属し、活性化の初期メカニズムには関係なく、C3活性化によって引き起こされる補体系の増幅を阻害又は抑制することによって作用する。
【0010】
イプタコパンは、4-((2S,4S)-(4-エトキシ-1-((5-メトキシ-7-メチル-1H-インドール-4-イル)メチル)ピペリジン-2-イル))安息香酸として化学的に表示され、以下の化学構造によって表すことができる。
【化1】
【0011】
イプタコパンは、4-((2S,4S)-(4-エトキシ-1-((5-メトキシ-7-メチル-1H-インドール-4-イル)メチル)ピペリジン-2-イル))安息香酸塩酸塩として化学的に表示され、以下の化学構造によって表すことができる。
【化2】
【0012】
イプタコパン、イプタコパン塩酸塩、及び調製方法は、米国特許第9,682,968号明細書及び同第10,093,663号明細書(実施例26a、26c及び26dを参照されたい)に開示されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
この試験の治験薬として使用されるイプタコパン塩酸塩の形態は、以下の式に示されるような一水和物(H型):
【化3】

(2S,4S)-2-(4-カルボキシフェニル)-4-エトキシ-1-[(5-メトキシ-7-メチル-1H-インドール-4-イル)メチル]ピペリジン-1-イウムクロリド-水(1/1)
である。
【0014】
イプタコパン塩酸塩一水和物H型及びその調製のための方法は、国際公開第2021/234544号パンフレットとして公開された米国特許出願第63/026,637号明細書及び米国特許出願第63/052,699号明細書に開示されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
一態様では、本開示は、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、又は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を、対象において、例えば、それを必要とする患者において治療するための方法を提供し、本方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を治療有効量で経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む。
【0016】
一態様では、本開示は、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、又は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療を、対象において、例えば、その治療を必要とする患者において行うための方法を提供し、本方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を約50mg~約200mg、約50mg、約100mg、又は約200mgを経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0017】
一態様では、本開示は、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、又は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を、対象において、例えば、それを必要とする患者において治療するための方法を提供し、本方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を1日1回(q.b.)、又は1日2回(b.i.d)、例えば、約12時間毎に経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0018】
一態様では、本開示は、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、又は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を、対象において、例えば、それを必要とする患者において治療するための方法を提供し、本方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を2、4、6、8、10、12、14、16、20、又は24時間毎に経口投与し、それによって、対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0019】
別の態様では、本開示は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩で治療された、又はそれで治療されている対象、例えば、患者において自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、又は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療の有効性を評価する方法を提供し、本方法は、対象、例えば、患者における(i)血小板数、(ii)ヘモグロビンレベル、(iii)Bb因子レベル、(iv)Wieslab、(v)sC5b-9レベル、(vi)C3/C4、及び(vi’)C4dレベルからなる群から選択されるバイオマーカーのレベルを取得し、それによって治療の有効性を評価することを含む。方法は、(i)~(vi’)のいずれかの少なくとも1つを取得することを含む。
【0020】
実施形態では、方法は、対象の患者における第2のバイオマーカーのレベルを取得することを更に含む。実施形態では、第2のバイオマーカーは、(vii)乳酸脱水素酵素レベル、(viii)総ビリルビン値、(ix)網状赤血球数、(x)ハプトグロビンレベル、(xi)抗血小板抗体レベル、(xii)幼若血小板比率、(xiii)寒冷凝集素力価、(xiv)総抗グロブリン力価、及び(xv)寒冷凝集素温度振幅からなる群から選択される。方法は、(vii)~(xv)のいずれかの少なくとも1つを取得することを含む。
【0021】
別の態様では、本開示は、対象、例えば、患者における自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、又は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療で使用するためのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を提供する。
【0022】
別の態様では、本開示は、対象、例えば、患者における自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、又は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療のための医薬品の製造における、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の使用を提供する。
【0023】
本明細書に記載の治療方法は、更に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療の前及び/又は治療後に様々な評価工程を含むことができる。実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の投与の前、投与中、及び/又は投与後、方法は、PK及びPDパラメーター(例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の血漿濃度)を評価する工程を更に含む。評価は、血液又は血漿などの体液の、例えば、質量分析法、例えば、LC-MSによる試料分析によって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1:試験デザインの概略図を表示する。
図2-1】図2:治療期間の初期段階(パートA)中の評価スケジュールを開示する表である。
図2-2】(上記の通り。)
図2-3】(上記の通り。)
図2-4】(上記の通り。)
図2-5】(上記の通り。)
図3-1】図3:延長治療期間(パートB)中の評価スケジュールを開示する表である。
図3-2】(上記の通り。)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書において、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を有する対象において、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の使用方法、並びにその安全性及び有効性を決定するための第2相臨床試験が記載される。対象は、高補体活性化又は低補体活性化を有するか、又は示し得る。実施形態では、対象は、そのような自己免疫性良性血液学的疾患を治療することを意図して施される少なくとも1つの特有な療法で以前に治療されているか、又は現在治療されている。本明細書に記載の使用及び試験は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の血液学的パラメーター、貧血、溶血、並びに倦怠感に関する患者報告アウトカム(PRO)(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy(FACIT)-倦怠感)、及び生活の質を含む自己免疫性良性血液学的疾患に関連する一連の有効性評価に対する効果を開示する。
【0026】
加えて、この試験は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の、ITP、CAD、wAIHA、及びTTPなどの自己免疫性良性血液学的疾患を有する患者の治療として開発するための重要な試験として機能することになる。したがって、本明細書において、ITP、CAD、wAIHA、及びTTPなどの自己免疫性良性血液学的疾患の治療を、それを必要とする対象において行う方法が記載され、本方法は、対象に、用量、例えば、1日1回若しくは1日2回の用量の、治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を、例えば、約50mg~約200mg、約50mg、約100mg、又は約200mgの用量で、例えば、経口投与することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水塩基を指す)。また、本明細書において、標的患者集団を選択する方法、標的患者集団の治療を監視する方法、並びに標的患者集団の治療の安全性及び有効性を評価する方法も記載される。
【0027】
本開示の詳細は、以下の添付の説明に記載されている。本明細書に記載のものに類似するか、同等の方法及び材料が本開示の実践又は試験に使用することができるが、例示的な方法及び材料が本明細書に記載される。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。明細書及び添付の特許請求の範囲において、文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形は複数形も含む。別途定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で引用される全ての特許及び刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
定義
特定の定義が提供されない限り、本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、並びに医薬品化学及び創薬化学に関連して使用される命名法、並びにその手順及び技術は周知であり、当該技術分野において一般的に使用されるものである。標準的技術が化学合成、及び化学分析に使用され得る。特定のそのような技術及び手順は、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,21st edition,2005で見出すことができ、これはいかなる目的においても参照により本明細書に組み込まれる。許可されている場合、本開示全体を通して言及された全ての特許、出願、公開出願、及びその他の刊行物並びにその他のデータは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
特に明記されない限り、以下の用語は以下の意味を有する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「約」は、値の±10%以内を意味する。
【0031】
本明細書で使用される場合、「投与すること(administering)」又は「投与(administration)」は、薬剤を個体に提供することを意味し、医療専門家による投与及び自己投与が含まれるが、これらに限定されない。薬剤の個体への投与は、連続的、長期間にわたる、短期間又は断続的であり得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「取得する」又は「取得すること」は、物理的実体(例えば、試料、例えば、血液試料又は血漿試料)、又は値、例えば、数値の所有を、物理的実体又は値を「直接的に取得する」若しくは「間接的に取得する」によって得ることを指すような用語として本明細書で使用される。「直接的に取得する」は、プロセス(例えば、分析法)を実施して物理的実体又は値を得ることを意味する。「間接的に取得する」は、別の集合体又は供給源(例えば、物理的実体又は値を直接的に取得した第三者の実験室)から物理的実体又は値を受けることを指す。値を直接的に取得することは、試料又は別の物質における物理的変化を含むプロセスを実施すること、例えば、物質、例えば、試料における物理的変化を含む分析プロセスを実施すること、分析的方法、例えば、本明細書に記載される方法を血液などの体液の試料分析によって、例えば、質量分析法、例えば、LC-MS、例えば、LC-MS/MS法によって実施することを含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、「用量」は、単回投与で、又は特定の期間中に提供される薬剤の特定量を意味する。ある特定の実施形態では、用量は、カプセルで投与される。本明細書で使用される場合、投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「個体」、「患者」、「参加者」、又は「対象」は互換的に使用され、治療又は療法のために選択された個体(例えば、ヒト)を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、イプタコパンの生理学的及び薬学的に許容される塩を意味し、すなわち、イプタコパンの所望の生物学的活性を保持し、それに対して望ましくない毒物学的影響を付与しない塩を意味する。用語「薬学的に許容される塩」又は「塩」は、無機又は有機酸及び塩基を含む薬学的に許容される非毒性の酸又は塩基から調製された塩を含む。イプタコパンの「薬学的に許容される塩」は、当該技術分野において周知の方法によって調製され得る。薬学的に許容される塩のレビューについては、Stahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)を参照されたい。イプタコパン塩酸塩及びその調製のための方法は、米国特許第9,682,968号明細書及び同第10,093,663号明細書(実施例26dを参照されたい)に開示されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
本明細書に使用される用語「水和物」は、水が結晶構造中で協働するか、若しくは結晶構造で収容されている、例えば、水が結晶構造の一部であるか、又は結晶中に閉じ込められている(水包有物)どちらかの結晶性固体を指す。これにより、水は、化学量論的な量又は非化学量論的な量で存在することができる。水が化学量論的な量で存在する場合、水和物は、ギリシャ数字の接頭語を付加することによって示され得る。例えば、水和物は、水/化合物の化学量論に依存して半水和物又は一水和物と称され得る。水分含量は、例えば、カールフィッシャー電量測定法によって測定することができる。
【0037】
本明細書で使用される用語「無水形態」又は「無水物」は、水が結晶構造中で協働していないか、若しくは結晶構造で収容されていない結晶性固体を指す。無水形態は、依然として残留水を含有してもよく、残留水は結晶構造の一部ではないが、結晶の表面上に吸着され得るか、又は結晶の無秩序な領域に吸収され得る。典型的には、無水形態は、結晶性形態の重量に基づいて、3.0重量%を超える水を含有せず、例えば、1.0重量%以下の水を含有する。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「治療する」は、疾患又は疾病、例えば、ITP、CAD、wAIHA、及びTTPなどの自己免疫性良性血液学的疾患の発症又は進行を減少させ、抑制し、弱め、軽減し、阻止し、又は安定化させることを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「特有な前療法」は、試験中の適応症を治療することを意図して施された任意の薬剤、又は任意のタイプの非薬理学的介入(例えば、脾臓摘出術、血漿交換療法)を意味する。血液製剤輸血は、前療法としてみなされない。いかなる特有な前療法も、それが中止され、再開されるか、又は異なる組み合わせで供与される場合であっても一回にカウントされる。異なるコルチコステロイドは、単一の特有な前療法としてカウントされ、一方トロンボポイエチン受容体作動薬などの他の薬物クラスの異なるメンバーは、異なる特有な前療法としてカウントされることになる。
【0040】
特に明記されない限り、用語の従来の定義が優先し、従来の安定な原子価が全ての式及び基で推定され、達成される。
【0041】
冠詞「a」及び「an」は、本開示では冠詞の文法的対象物の1つ又は2つ以上(例えば、少なくとも1つ)を指すように使用される。例として、「an element」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0042】
使用方法
自己免疫性良性血液学的疾患は、とりわけ宿主血液細胞又は血液学的組織を標的とする免疫及び/又は分解によって特徴付けられる一連の疾患を含む。例示的な自己免疫性良性血液学的疾患には、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)が挙げられる。
【0043】
本明細書では、治療を必要とする対象、例えば、患者において、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA又はTTPの治療で使用するための、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩が提供され、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩は、本明細書に記載されるような治療有効量で経口投与されるべきである。
【0044】
本明細書では、治療を必要とする対象、例えば、患者において、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA又はTTPを治療するための、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩が提供され、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩は、本明細書で記載されるような治療有効量で投与されるべきである。
【0045】
本明細書では、治療を必要とする対象、例えば、患者において、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA又はTTPの治療で使用するための、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を含む医薬組成物が提供され、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩は、本明細書に記載されるような治療有効量で投与されるべきである。
【0046】
本明細書では、治療を必要とする対象、例えば、患者において、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA又はTTPを治療するための、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を含む医薬組成物が提供され、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩は、本明細書に記載されるような治療有効量で投与されるべきである。
【0047】
簡略化するために、以下の記述において、用語「イプタコパン又はその薬学的に許容される塩」、「イプタコパン塩酸塩」、「イプタコパン塩酸塩一水和物」、又は「イプタコパン塩酸塩一水和物H型」(まとめて「イプタコパン実体」と称される)は、必要に応じて、用語「[前述のイプタコパン実体のいずれか]を含む医薬組成物」で置き換えられてもよい。
【0048】
本明細書では、治療を必要とする対象、例えば、患者において、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA又はTTPを治療するための方法が提供され、本方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を治療有効量で投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0049】
実施形態では、方法は、イプタコパン塩酸塩を対象、例えば、患者に経口投与することを含む。実施形態では、方法は、イプタコパン塩酸塩一水和物を対象、例えば、患者に経口投与することを含む。実施形態では、方法は、イプタコパン塩酸塩一水和物H型を、対象、例えば、患者に経口投与することを含む。
【0050】
実施形態では、方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を、治療有効量で、例えば、約50mg~約200mg、約50mg、約100mg、又は約200mgで経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0051】
実施形態では、方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を、治療有効量で、1日1回(q.d.)又は1日2回(b.i.d.)経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0052】
実施形態では、方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を、治療有効量で、例えば、約200mgの用量で、例えば、1日2回(b.i.d.)、例えば、約12時間毎に経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0053】
実施形態では、方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を、治療有効量で、例えば、約200mgの用量で、例えば、1日1回(q.d.)経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0054】
実施形態では、方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を、治療有効量で、例えば、約100mgの用量で、例えば、1日2回(b.i.d.)、例えば、約12時間毎に経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0055】
実施形態では、方法は、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を、治療有効量で、例えば、約100mgの用量で、例えば、1日1回(q.d.)経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0056】
本明細書には、治療を必要とする対象、例えば、患者における自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA及びTTPの治療のための医薬品の製造におけるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の使用が提供され、医薬品は、対象、例えば、患者に治療有効量で、例えば、約50mg~約200mg、約50mg、約100mg、又は約200mgで、例えば、1日1回(q.d.)又は1日2回(b.i.d.)、例えば、約12時間毎に経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0057】
本明細書には、治療を必要とする対象、例えば、患者における自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA及びTTPの治療におけるイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の使用が提供され、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に、治療有効量で、例えば、約50mg~約200mg、約50mg、約100mg、又は約200mgで、例えば、1日1回(q.d.)又は1日2回(b.i.d.)、例えば、約12時間毎に経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0058】
本明細書には、治療を必要とする対象、例えば、患者における自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA及びTTPの治療のためのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の使用が提供され、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に、治療有効量で、例えば、約50mg~約200mg、約50mg、約100mg、又は約200mgで、例えば、1日1回(q.d.)又は1日2回(b.i.d.)、例えば、約12時間毎に経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0059】
上記の本開示の態様は、必要に応じて自由に組み合わされてもよい以下の実施例で更に例示される。特定の例示された実施例のいくつかがまた、以降に記載される。
【0060】
実施形態では、自己免疫性良性血液学的疾患は、ITP、CAD、wAIHA又はTTPである。
【0061】
実施形態では、免疫性血小板減少症(ITP)は、特発性ITPである。
【0062】
実施形態では、寒冷凝集素症(CAD)は、特発性CADである。
【0063】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に投与されるか、又は投与されるべきである。
【0064】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に約50mg~約200mgの用量で経口投与されるか、又は経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0065】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に約50mgの用量で経口投与されるか、又は経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0066】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に約100mgの用量で経口投与されるか、又は経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0067】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に約200mgの用量で経口投与されるか、又は経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0068】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に1日1回経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0069】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に1日2回、例えば、約12時間毎に経口投与されるか、又は経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0070】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に200mgの用量で1日1回経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0071】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に200mgの用量で1日2回、例えば、約12時間毎に経口投与されるか、又は経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0072】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に100mgの用量で1日1回経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0073】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に100mgの用量で1日2回、例えば、約12時間毎に経口投与されるか、又は経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0074】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に自己免疫性良性血液学的疾患を治療するための単剤療法として経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0075】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者にITPを治療するための単剤療法として経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0076】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者にCADを治療するための単剤療法として経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0077】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者にwAIHAを治療するための単剤療法として経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0078】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者にTTPを治療するための単剤療法として経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0079】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に約1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヶ月間、4ヶ月間、6ヶ月間、8ヶ月間、10ヶ月間、12ヶ月間、15ヶ月間、18ヶ月間、20ヶ月間、24ヶ月間、28ヶ月間、32ヶ月間、又は36ヶ月間経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0080】
実施形態では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、対象、例えば、患者に自己免疫性良性血液学的疾患を治療するための1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて経口投与されるか、又は経口投与されるべきである。
【0081】
実施形態では、治療すること又は治療は、イプタコパン塩酸塩を対象、例えば、患者に経口投与することを含む。
【0082】
実施形態では、治療すること又は治療は、イプタコパン塩酸塩一水和物を対象、例えば、患者に経口投与することを含む。
【0083】
実施形態では、治療すること又は治療は、イプタコパン塩酸塩一水和物H型を対象、例えば、患者に経口投与することを含む。
【0084】
実施形態では、方法は、イプタコパン塩酸塩を対象、例えば、患者に経口投与することを含む。
【0085】
実施形態では、方法は、イプタコパン塩酸塩一水和物を対象、例えば、患者に経口投与することを含む。
【0086】
実施形態では、方法は、イプタコパン塩酸塩一水和物H型を対象、例えば、患者に経口投与することを含む。
【0087】
一実施形態では、経口投与されるか、又は経口投与されるべきイプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、イプタコパン塩酸塩である。
【0088】
一実施形態では、経口投与されるか、又は経口投与されるべきイプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、イプタコパン塩酸塩一水和物である。
【0089】
一実施形態では、経口投与されるか、又は経口投与されるべきイプタコパン又はその薬学的に許容される塩は、イプタコパン塩酸塩一水和物H型である。
【0090】
実施形態では、経口投与されるべき医薬品は、イプタコパン塩酸塩を含む。
【0091】
実施形態では、経口投与されるべき医薬品は、イプタコパン塩酸塩一水和物を含む。
【0092】
実施形態では、経口投与されるべき医薬品は、イプタコパン塩酸塩一水和物H型を含む。
【0093】
実施形態では、対象、例えば、患者は、持続的な血小板減少症又は継続する溶血を有しているか、又はそれを有すると診断されている。
【0094】
実施形態では、対象、例えば、患者は、脾腫、肝腫大、又はびまん性リンパ節腫脹を有する証拠がないか、又はこれらの診断を受けていない。
【0095】
実施形態では、対象、例えば、患者は、細菌若しくはウイルス感染(例えば、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Steptococcus pneumonia)、又はインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染の証拠を有していないか、又はその診断を受けていない。
【0096】
実施形態では、対象、例えば、患者は、18歳以上である。
【0097】
実施形態では、対象、例えば、患者は、自己免疫性良性血液学的疾患を治療することを意図して、例えば、ITP又はCADのための治療を意図して投与された少なくとも1つの特有の前治療で以前に治療されている。
【0098】
実施形態では、対象、例えば、患者は、コルチコステロイド、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、又は抗Rho(D)免疫グロブリン、及びトロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)のうちの少なくとも1つで以前に治療されているか、又は現在治療されている。
【0099】
実施形態では、対象、例えば、患者は、血漿交換療法、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、リツキシマブ、及びベンダムスチンのうちの少なくとも1つで以前に治療されているか、又は現在治療されている。
【0100】
実施形態では、対象、例えば、患者は、補体阻害剤療法の経験がない。
【0101】
実施形態では、対象、例えば、患者は、補体阻害剤療法(例えば、抗C5療法)、免疫抑制療法(例えば、コルチコステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、若しくはリツキシマブなどの免疫抑制剤)、又はITP、CAD、wAIHA及びTTPなどの自己免疫性良性血液学的疾患のために処方された他の療法で以前に治療されていないか、又はそれらで現在治療されていない。
【0102】
実施形態では、対象、例えば、患者は、補体阻害剤療法で以前に治療されていないか、又は現在治療されていない。
【0103】
実施形態では、対象、例えば、患者は、抗C5療法で以前に治療されていないか、又は現在治療されていない。
【0104】
実施形態では、抗C5療法は、抗C5モノクローナル抗体療法又はそのバイオ後続品である。
【0105】
実施形態では、対象、例えば、患者は、免疫抑制療法(例えば、コルチコステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、若しくはリツキシマブなどの免疫抑制剤)、又は自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA若しくはTTPのために処方された他の療法で以前に治療されているか、又は現在治療されている。
【0106】
実施形態では、対象、例えば、患者は、トロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)で以前に治療されているか、又は現在治療されている。
【0107】
実施形態では、対象、例えば、患者は、ITPに対して、トロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)で以前に治療されているか、又は現在治療されている。
【0108】
実施形態では、対象、例えば、患者は、コルチコステロイドで以前に治療されているか、又は現在治療されている。
【0109】
実施形態では、対象、例えば、患者は、ITPに対して、コルチコステロイドで以前に治療されているか、又は現在治療されている。
【0110】
実施形態では、対象、例えば、患者は、血漿交換又は血漿輸注(PE/PI)で以前に治療されていないか、又は現在治療されていない。実施形態では、対象、例えば、患者は、標的化Bリンパ球枯渇療法(例えば、リツキシマブ)、全身性コルチコステロイド、免疫抑制剤若しくは抗腫瘍薬(例えば、Rho(D)IG、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、シクロスポリン、シクロホスファミド、IVIG、ミコフェノール酸モフェチル、ビンクリスチン)、抗血栓薬、抗血小板療法、ゲムフィブロジル、CYP2C8阻害剤(例えば、クロピドグレル)、及び排出トランスポーターP-gpのための基質(例えば、ジオキシン、キニジン、パクリタキセル、フェンタニル、フェニトイン)からなる群から選択される薬物治療で以前に治療されていないか、又は現在治療されていない。
【0111】
実施形態では、対象、例えば、患者は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の投与前にワクチン接種されている。
【0112】
実施形態では、対象、例えば、患者は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Steptococcus pneumoniae)、及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)の感染のうちの1つ以上に対してワクチン接種されている。
【0113】
実施形態では、対象、例えば、患者は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の投与の少なくとも1週間、又は少なくとも2週間、3週間、4週間、又はそれ以上前にワクチン接種されている。
【0114】
実施形態では、対象、例えば、患者は、補体第二経路を調節する成分における遺伝子突然変異を有しているか、又は有していると決定されている。
【0115】
実施形態では、対象、例えば、患者は、ITP又はCADなどの自己免疫性良性血液学的疾患に関連する遺伝子突然変異を有しているか、又は有していると決定されている。
【0116】
実施形態では、対象、例えば、患者は、C3(補体成分3)、CD46(分化抗原群46)、MCP(膜補因子タンパク質)、CFB(補体因子B)、CFH(補体因子H)、CFHR(補体因子H関連タンパク質)、及びCFI(補体因子I)からなる群から選択される遺伝子突然変異を有しているか、又はそれを有すると決定されている。
【0117】
実施形態では、対象、例えば、患者は、例えば、重度腎臓病(例えば、CKDステージ4、透析)、進行性心疾患(例えば、NYHAクラスIV)、重度肺高血圧症(例えば、WHOクラスIV)からなる群から選択される併存疾患を有さないか、又は不安定性血栓事象を経験したことがない。実施形態では、対象、例えば、患者は、続発性免疫不全症(HIV検査の陽性結果を含む)、又はB型肝炎ウイルス(HBV)若しくはC型肝炎ウイルス(HCV)による感染を有していない。実施形態では、対象、例えば、患者は、補体不全症、例えば、後天性若しくは先天性補体不全症を有していない。
【0118】
実施形態では、対象、例えば、患者は、例えば、スクリーニング期間中に、又はスクリーニング期間の開始前に、ITPに対してイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の治療前に約30k/μL以下の血小板数を有する。
【0119】
実施形態では、ITPに対して対象、例えば、患者を治療することは、血小板数における血液学的正常化、例えば、参照基準(例えば、未処置対象における血小板レベル)と比較して、血小板レベルにおける増加、例えば、約10k/μL超、15k/μL、20k/μL、25k/μL、30k/μL、35k/μL、40k/μL、45k/μL、50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、100k/μL、又はそれ以上の増加を達成することを含む。実施形態では、対象は、参照基準(例えば、未処置対象における血小板レベル)と比較して、血小板レベルにおける増加、例えば、約10k/μL~100k/μL、又は約25k/μL~75k/μL、又は約30~60k/μLを達成する。血小板数における血液学的正常化を確立するための関連するガイドラインは、例えば、ITPについてのASH 2019ガイドライン(Neunert et al(2019)Blood Adv 3(23):3829-3866;Provan et al(2019)Blood Adv)に提供されている。
【0120】
実施形態では、ITPに対して対象、例えば、患者を治療することは、治療の前と比べて、血小板数における増加、例えば、少なくとも10k/μL、15k/μL、20k/μL、25k/μL、30k/μL、35k/μL、40k/μL、45k/μL、50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、又は100k/μLだけの増加を達成することを含む。
【0121】
実施形態では、ITPに対して対象、例えば、患者を治療することは、少なくとも50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、100k/μL、110k/μL、120k/μL、130k/μL、140k/μL、150k/μL、180k/μL、200k/μL、又は250k/μLの血小板数を達成することを含む。
【0122】
実施形態では、ITPに対して対象、例えば、患者を治療することは、治療前と比べて、出血の減少、例えば、Kaufmanらによって定義された(Kaufman RM,Djulbegovic B,Gernsheimer T,et al(2015)Platelet transfusion:a clinical practice guideline from the AABB.Ann Intern Med;162(3):205-13)修正WHO出血スコアの改善、例えば、1、2、3、又は4の改善を達成することを含む。
【0123】
実施形態では、血小板数における増加を達成することは、血小板数における増加を少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間にわたって維持することを含む。
【0124】
実施形態では、血小板数における血液学的正常化は、血小板数を少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間にわたって維持することを含む。
【0125】
実施形態では、対象、例えば、患者は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療の前に、約150k/μL未満の血小板数(血液の1マイクロリットル当たり)を有する。実施形態では、血小板数(血液の1マイクロリットル当たり)は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療後に、約150k、約175k/μL以上、約200k/μL以上、約225k/μL以上、約250k/μL以上、約275k/μL以上、約300k/μL以上、約325k/μL以上、約350k/μL以上、約375k/μL以上、約400k/μL以上、約425k/μL以上、約450k/μL以上に正常化される。実施形態では、血小板数(血液の1マイクロリットル当たり)は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療後に約150k/μL~約450k/μLの範囲に正常化される。
【0126】
実施形態では、CADに対して対象、例えば、患者は、例えば、スクリーニング期間の開始前に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療の前に、約10g/dL以下であるヘモグロビンレベルを有する。
【0127】
実施形態では、CADに対して対象、例えば、患者を治療することは、ヘモグロビンレベルにおける血液学的正常化、例えば、参照基準(例えば、未処置の対象におけるヘモグロビンレベル)と比較して、ヘモグロビンレベルにおける増加、例えば、約0.5g/dL超、約0.75g/dL、約1.0g/dL、約1.25g/dL、約1.5g/dL、約1.75g/dL、約2.0g/dL、約2.5g/dL、約3.0g/dL、約4.0g/dL、約5.0g/dL、又はそれ以上だけの増加を達成することを含む。実施形態では、対象は、参照基準(例えば、未処置の対象におけるヘモグロビンレベル)と比較して、ヘモグロビンレベルの増加、例えば、約0.1g/dL~約10g/dL、又は約0.5g/dL~約5g/dL、又は約0.5g/dL~約2.5g/dLの増加を達成する。血小板数における血液学的正常化を確立するための関連するガイドラインは、例えば、関連する文献(Berentsen et al(2021)Blood,p.1295-1303)に提供されている。
【0128】
実施形態では、CADに対して対象、例えば、患者を治療することは、治療前と比べて、ヘモグロビンレベルにおける増加、例えば、少なくとも1.5g/dL、1.75g/dL、2.0g/dL、2.5g/dL、3.0g/dL、4.0g/dL、又は5.0g/dLだけの増加を達成することを含む。
【0129】
実施形態では、CADに対して対象、例えば、患者を治療することは、少なくとも10g/dL、11g/dL、12g/dL、13g/dL、14g/dL、又は15g/dLのヘモグロビンレベルを達成することを含む。実施形態では、CADに対して対象、例えば、患者を治療することは、例えば、少なくとも12g/dL、13g/dL、14g/dL、15g/dL、16g/dL、又は17g/dLのヘモグロビンレベルにおける血液学的正常化を達成することを含む。
【0130】
実施形態では、CADに対して対象、例えば、患者を治療することは、治療前と比べて輸血の必要性の低減を達成することを含む。
【0131】
実施形態では、ヘモグロビンレベルにおける増加を達成することは、ヘモグロビンレベルを少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも10週間にわたって維持することを含む。
【0132】
実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、治療前と比べて、例えば、FACIT-倦怠感スケールによる倦怠感の重症度における低減を達成することを含む。
【0133】
実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、治療前と比べて、基礎療法、例えば、トロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)及びコルチコステロイドの漸減又は中止を達成することを含む。
【0134】
実施形態では、方法は、対象、例えば、患者において、(iii)Bb因子、(iv)Wieslab、(v)sC5b-9、(vi)C3/C4、及び(vi’)C4dのレベルを取得することを含む。実施形態では、方法は、(iii)Bb因子のレベルを取得することを含む。実施形態では、方法は、(iv)Wieslabのレベルを取得することを含む。実施形態では、方法は、(v)sC5b-9のレベルを取得することを含む。実施形態では、方法は、(vi)C3/C4のレベルを取得することを含む。実施形態では、方法は、(vi’)C4dのレベルを取得することを含む。
【0135】
実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、治療前と比べて、基礎療法の漸減を達成することを含む。
【0136】
実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、基礎療法の中止を達成することを含む。
【0137】
実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、治療前と比べて、トロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)の漸減を達成することを含む。
【0138】
実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、トロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)の中止を達成することを含む。
【0139】
実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、治療前と比べて、コルチコステロイドの漸減を達成することを含む。
【0140】
実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、コルチコステロイドの中止を達成することを含む。
【0141】
実施形態では、方法は、対象患者において追加のバイオマーカーのレベルを取得することを更に含む。実施形態では、第2のバイオマーカーは、(vii)乳酸脱水素酵素(LDH)レベル、(viii)総ビリルビン値、(ix)網状赤血球数、(x)ハプトグロビンレベル、(xi)抗血小板抗体レベル(例えば、GPIIb、GPIIIa、GPIIb/GPIIIa、又はGPIbIXに対する)、(xii)幼若血小板比率、(xiii)寒冷凝集素力価、(xiv)総抗グロブリン力価、及び(xv)寒冷凝集素温度振幅からなる群から選択される。実施形態では、方法は、(vii)を取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(viii)を取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(ix)を取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(x)を取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(xi)を取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(xii)を取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(xiii)を取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(xiv)を取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(xv)を取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(v)~(xv)のうちの2つを取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(v)~(xv)のうちの3つを取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(v)~(xv)のうちの4つを取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(v)~(xv)のうちの5つを取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(v)~(xv)のうちの6つを取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(v)~(xv)のうちの7つを取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(v)~(xv)のうちの8つを取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(v)~(xv)のうちの9つを取得することを更に含む。実施形態では、方法は、(v)~(xv)の各々を取得することを更に含む。実施形態では、対象、例えば、患者におけるバイオマーカーのレベルは、血液又は血漿などの体液の試料分析によって取得される。
【0142】
実施形態では、対象、例えば、患者は、例えば、スクリーニング期間中又はスクリーニング期間の開始前に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療の前に基準値上限(ULN)の約1.5倍以上であるLDHレベルを有する。実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、例えば、ベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、対象、例えば、患者におけるLDHのレベルを低減することを含む。
【0143】
実施形態では、対象、例えば、患者におけるLDHのレベルは、例えば、ベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%だけ低減される。実施形態では、LDHレベルは、例えば、ベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、又は少なくとも約70%だけ低減される。実施形態では、LDHレベルは、例えば、ベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の投与前の対象におけるLDHのレベルと比較して、少なくとも約30%又は40%だけ低減される。
【0144】
実施形態では、対象、例えば、患者を治療することは、腎機能を改善することを含む。
【0145】
実施形態では、対象、例えば、患者は、コルチコステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、又はリツキシマブなどの免疫抑制剤で治療されたか、又は治療されている。免疫抑制剤の追加の例は、Bagga et al.(2019)Pediatric Nephrology 34:1465-1482において見出すことができる。
【0146】
実施形態では、対象、例えば、患者は、コルチコステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、又はリツキシマブなどの免疫抑制剤で治療されていないか、又は現在治療されていない。実施形態では、対象、例えば、患者は、補体因子Hに対する抗体を有しているか、又は有すると決定されている。
【0147】
別の態様では、本開示は、対象、例えば、患者における自己免疫性良性血液学的疾患の治療のための医薬品の製造における、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の使用を提供し、医薬品は、対象、例えば、患者に約200mgの用量で経口投与されるべきである(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。実施形態では、医薬品は、毎日、例えば、1日2回対象、例えば、患者に投与される。
【0148】
実施形態では、経口投与されるべき医薬品は、イプタコパン塩酸塩である。実施形態では、経口投与されるべき医薬品は、イプタコパン塩酸塩一水和物である。実施形態では、経口投与されるべき医薬品は、イプタコパン塩酸塩一水和物H型である。
【0149】
実施形態では、対象、例えば、患者は、高補体活性又は低補体活性を有しているか、又は有すると診断されている。
【0150】
別の態様では、本開示は、対象、例えば、患者における自己免疫性良性血液学的疾患の治療で使用するための、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を提供する。実施形態では、治療は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を約200mgの用量で経口投与することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。実施形態では、治療は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を約200mgの用量で1日2回(b.i.d.)経口投与することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。実施形態では、治療は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を、対象、例えば、患者に2、4、6、8、10、12、14、16、20、又は24時間毎に投与することを含む。実施形態では、イプタコパンは、対象、例えば、患者に約1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヶ月間、4ヶ月間、6ヶ月間、8ヶ月間、10ヶ月間、12ヶ月間、15ヶ月間、18ヶ月間、20ヶ月間、24ヶ月間、28ヶ月間、32ヶ月間、又は36ヶ月間投与される。
【0151】
患者選択及びモニタリング
開示された方法の例として、第2相試験は、対象の少なくとも部分集団において、補体活性化の証拠を有する自己免疫性良性血液学的疾患と診断された対象を登録することになる。試験は、2つの初期コホート、すなわち、ITP及びCADを有するアダプティブバスケット試験として設計される。試験は、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)及び/又は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と診断された対象が含まれる追加のコホートを含むように変更されてもよい。
【0152】
特発性ITPコホートにおいて、対象は、ITP及び持続的な血小板減少症を有するか、それらであると診断される。
【0153】
特発性CADコホートにおいて、対象は、CAD、持続的貧血、及び溶血の証拠を有するか、又はそれらを有すると診断される。
【0154】
自己免疫性良性血液学的疾患(例えば、ITP又はCAD)の病因に関与することが知られている選択された遺伝子セットに対して遺伝学的検査が行われ、それは、遺伝学的検査が試験治療応答、移植後の再燃及び再発などの重要な予後に関する情報を提供するためである。しかしながら、この特定の遺伝子解析は、スクリーニングプロセス又は適格性の決定の一部ではない。追加の評価は、関連するバイオマーカー(血小板数、ヘモグロビン、Bb因子、Wieslab、sC5b-9、及びC3/C4)並びに補体タンパク質に対する自己抗体(H因子自己抗体など)の評価を含む。治験責任医師によってITP又はCADの臨床診断が確認されると、遺伝学的検査及びバイオマーカー/自己抗体検査が、現地の規制により許可されている場所で、及び患者から特定の同意を得た後に実施されることになる。
【0155】
イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩は、補体活性化を阻害することができる。したがって、対象、例えば、患者は、まず、対象、例えば、患者が自己免疫性良性血液学的疾患(例えば、ITP又はCAD)の証拠、例えば、低血小板数(<150×10/L)、溶結性貧血(LDH≧1.5×ULN、ヘモグロビン≦LLN)を有しているかどうかを決定するために患者を評価し、任意選択で対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を投与することによって、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療に対して選択することができる。
【0156】
実施形態では、対象、例えば、患者は、ある特定のPK/PDパラメーター、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩のレベル、血小板のレベル、及び/又はヘモグロビンのレベルを評価することによって監視され得る。
【0157】
有効性評価
自己免疫性良性血液学的疾患の治療の成功を決定するための主要有効性評価は、外因性救援療法なしでの対象の血小板数又はヘモグロビンレベルの評価を含む。したがって、本明細書では、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩で、約200mgの用量にて、例えば、1日2回(b.i.d.)で治療される、又は治療された対象、例えば、患者における治療の有効性を評価する方法が提供され、本方法は、対象において、血小板数又はヘモグロビンレベルの変化、例えば、対象において外因性救援療法なしでの変化を評価し、治療の有効性を評価することを含む。
【0158】
実施形態では、対象は、ITPを有するか、又はITPを有していると診断されている。実施形態では、ITPを有するか、又はITPを有していると診断されている対象の有効性を評価することは、対象の血小板数における変化を評価することを含む。実施形態では、対象は、CADを有するか、又はCADを有していると診断されている。実施形態では、CADを有するか、又はCADを有していると診断されている対象の有効性を評価することは、対象のヘモグロビンレベルにおける変化を評価することを含む。
【0159】
別の態様では、本開示は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩で、約200mgの用量にて1日2回(b.i.d.)治療されるか、又は治療された患者集団における治療の有効性を評価する方法を提供し、方法は、選択されたアウトカムを達成している患者集団の割合を決定して、治療の有効性を評価することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0160】
実施形態では、選択されたアウトカムを達成している患者集団の割合は、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上である。実施形態では、選択されたアウトカムを達成している患者集団の割合は、約30%~約70%である。
【0161】
実施形態では、選択されたアウトカムを達成することは、約10k/μL超、15k/μL、20k/μL、25k/μL、30k/μL、35k/μL、40k/μL、45k/μL、50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、100k/μL、又はそれ以上の血小板数を達成することを含む。実施形態では、対象は、参照基準(例えば、未処置の対象における血小板レベル)と比較した血小板レベルの増加、例えば、約10k/μL~100k/μL、又は25k/μL~約75k/μL、又は約30~60k/μLを達成する。実施形態では、選択されたアウトカムを達成することは、50k/μLの血小板数を達成することを含む。
【0162】
実施形態では、血小板数(血液1リットル当たり)は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療後に、約150k/μL以上、約175k/μL以上、約200k/μL以上、約225k/μL以上、約250k/μL以上、約275k/μL以上、約300k/μL以上、約325k/μL以上、約350k/μL以上、約375k/μL以上、約400k/μL以上、約425k/μL以上、約450k/μL以上に正常化され、例えば、約150k/μL~約450k/μLの範囲に正常化される。
【0163】
実施形態では、選択されたアウトカム、例えば、血小板数における増加を達成することは、血小板数を少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間にわたって血小板数を維持することを含む。
【0164】
実施形態では、選択されたアウトカムを達成することは、ヘモグロビンレベルにおける増加、例えば、参照基準(例えば、未処置の対象におけるヘモグロビンレベル)と比較したヘモグロビンレベルにおける増加、例えば、約0.5g/dL超、0.75g/dL、1.0g/dL、1.25g/dL、1.5g/dL、1.75g/dL、2.0g/dL、2.5g/dL、3.0g/dL、4.0g/dL、5.0g/dL、又はそれ以上を達成することを含む。実施形態では、対象は、参照基準(例えば、未処置の対象におけるヘモグロビンレベル)と比較して、ヘモグロビンレベルにおける増加、例えば、約0.1g/dL~約10g/dL、又は約0.5g/dL~5g/dL、又は約0.5g/dL~2.5g/dLを達成する。実施形態では、選択されたアウトカムを達成することは、1.5g/dL以上の対象におけるヘモグロビンレベルの増加を達成することを含む。
【0165】
実施形態では、選択されたアウトカム、例えば、ヘモグロビンレベルにおける増加を達成することは、ヘモグロビンレベルを少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間にわたってヘモグロビンレベルを維持することを含む。
【0166】
実施形態では、選択されたアウトカムは、Bb因子、Wieslab、sC5b-9、C3/C4、総ビリルビン、網状赤血球数、ハプトグロビン、抗血小板抗体レベル(例えば、GPIIb、GPIIIa、GPIIb/GPIIIa、又はGPIbIXに対する)、幼若血小板比率、寒冷凝集素力価、総抗グロブリン力価、及び寒冷凝集素温度振幅からなる群から選択されるバイオマーカーのレベルの正常化を含む。
【0167】
実施形態では、LDHのレベルは、ULN(基準値上限)未満である。
【0168】
別の態様では、本開示は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩で約200mgの用量にて1日2回(b.i.d.)で治療されるか、又は治療された患者集団における治療の有効性を評価する方法を提供し、方法は、例えば、ベースラインと比較した場合の、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療前の患者集団におけるヘモグロビンレベルと比較した場合の、約1.0、1.5、又は2.0g/dL以上の血小板数における増加を達成する患者集団の割合を決定し、治療の有効性を評価することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0169】
実施形態では、血小板数における増加を達成する患者集団の割合は、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上である。
【0170】
別の態様では、本開示は、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩で約200mgの用量にて1日2回(b.i.d.)で治療されるか、又は治療された患者集団における治療の有効性を評価する方法を提供し、方法は、例えば、ベースラインと比較した場合の、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療前の患者集団における血小板数と比較した場合の、約25、50、又は100k/μL以上のヘモグロビンレベルにおける増加を達成する患者集団の割合を決定し、治療の有効性を評価することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)。
【0171】
実施形態では、ヘモグロビンレベルにおける増加を達成する患者集団の割合は、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上である。
【0172】
具体的実施形態
様々な具体的な実施形態が例示され、記載されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが明らかであろう。本開示は、以下に記載される番号付き実施形態によって例示される。
1.治療を必要とする対象、例えば、患者において自己免疫性血液学的疾患を治療する方法であって、方法が、対象、例えば、患者に、治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)を経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む、方法。
2.自己免疫性血液学的疾患が、免疫性血小板減少症(ITP)、寒冷凝集素症(CAD)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)からなる群から選択される、実施形態1に記載の方法。
3.自己免疫性血液学的疾患が、免疫性血小板減少症(ITP)である、実施形態1又は2に記載の方法。
4.自己免疫性血液学的疾患が、寒冷凝集素症(CAD)である、実施形態1又は2に記載の方法。
5.対象、例えば、患者に治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)を経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)の治療有効量が、約50mg~約200mg、約50mg、約100mg、又は約200mgの用量を含む(投与量が、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)が、対象、例えば、患者に1日1回(q.d.)又は1日2回(b.i.d.)投与される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)が、対象、例えば、患者に少なくとも6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間、又はそれ以上長く投与される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.方法が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)を、対象、例えば、患者に経口投与することを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.方法が、イプタコパン塩酸塩一水和物(例えば、イプタコパン塩酸塩一水和物H型)を、対象、例えば、患者に経口投与することを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.対象、例えば、患者が、補体阻害剤療法で以前に治療されていない、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.対象、例えば、患者が、抗C5療法、免疫抑制療法(例えば、免疫抑制剤)、又は自己免疫性血液学的状態、例えば、ITP若しくはCADのために処方された他の療法で以前に治療されていないか、又は現在治療されていない、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.対象、例えば、患者が、補体阻害剤療法で以前に治療されているか、又は現在治療されている、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
14.対象、例えば、患者が、抗C5療法で以前に治療されているか、又は現在治療されている、実施形態13に記載の方法。
15.対象、例えば、患者が、200ng/mL以上のsC5b-9レベルを有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.対象、例えば、患者が、200ng/mL未満のsC5b-9レベルを有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
17.自己免疫性良性血液学的疾患が、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)からなる群から選択される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
18.対象、例えば、患者が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の投与前にワクチン接種されている、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.対象、例えば、患者が、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Steptococcus pneumoniae)、又はインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染のうちの1つ以上に対してワクチン接種されている、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
20.対象、例えば、患者が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の投与の、少なくとも1週間前又は少なくとも2週間前、例えば、約14日前にワクチン接種されている、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.対象、例えば、患者が、抗生物質療法、例えば、予防的抗生物質療法を受けている、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
22.対象、例えば、患者が、自己免疫性良性血液学的疾患を治療することを意図して投与される少なくとも1つの特有の前治療で以前に治療されているか、又は現在治療されている、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
23.対象、例えば、患者が、コルチコステロイド、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、抗Rho(D)免疫グロブリン、及びトロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)のうちの少なくとも1つで以前に治療されているか、又は現在治療されている、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
24.対象、例えば、患者が、ITPに対して、コルチコステロイド、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、抗Rho(D)免疫グロブリン、及びトロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)のうちの少なくとも1つで以前に治療されているか、又は現在治療されている、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
25.対象、例えば、患者が、血漿交換療法、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、リツキシマブ、及びベンダムスチンのうちの少なくとも1つで以前に治療されているか、又は現在治療されている、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
26.対象、例えば、患者が、CADに対して血漿交換療法、静注用免疫グロブリン製剤(IVIG)、リツキシマブ、及びベンダムスチンのうちの少なくとも1つで以前に治療されているか、又は現在治療されている、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
27.治療することが、参照基準(例えば、未処置対象)と比較して、対象における血小板数の増加、例えば、約10k/μL超、15k/μL、20k/μL、25k/μL、30k/μL、35k/μL、40k/μL、45k/μL、50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、100k/μL、又はそれ以上の増加を含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
28.治療することが、血小板数における増加、例えば、治療前と比べて、少なくとも10k/μL、15k/μL、20k/μL、25k/μL、30k/μL、35k/μL、40k/μL、45k/μL、50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、又は100k/μLだけの増加を達成することを含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
29.治療することが、少なくとも50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、100k/μL、110k/μL、120k/μL、130k/μL、140k/μL、150k/μL、180k/μL、200k/μL、又は250k/μLの血小板数を達成することを含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
30.治療することが、治療前と比べて、出血における低減、例えば、修正WHO出血スコアの改善、例えば、Kaufmanら(Kaufman RM,Djulbegovic B,Gernsheimer T,et al(2015)Platelet transfusion:a clinical practice guideline from the AABB.Ann Intern Med;162(3):205-13)に定義されているような、例えば、1、2、3、又は4のスコアの改善を達成することを含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
31.治療することが、血小板数の増加を少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間にわたって維持することを含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
32.血小板数における増加が、血小板数を少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間にわたって維持することを含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.対象、例えば、患者が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療の前に、約150k/μL未満の血小板数(血液1リットル当たり)を有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
34.血小板数(血液1マイクロリットル当たり)が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療後に、約150k/μL以上、約175k/μL以上、約200k/μL以上、約225k/μL以上、約250k/μL以上、約275k/μL以上、約300k/μL以上、約325k/μL以上、約350k/μL以上、約375k/μL以上、約400k/μL以上、約425k/μL以上、約450k/μL以上に正常化される、例えば、約150k/μL~約450k/μLの範囲に正常化される、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
35.対象、例えば、患者が、CADに対して、例えば、スクリーニング期間中又はスクリーニング期間の開始前に、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の治療前に約10g/dL未満であるヘモグロビンレベルを有する、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
36.治療することが、参照基準(例えば、未処置対象)と比較して、対象におけるヘモグロビンレベルの増加、例えば、約0.5g/dL超、0.75g/dL、1.0g/dL、1.25g/dL、1.5g/dL、1.75g/dL、2.0g/dL、2.5g/dL、3.0g/dL、4.0g/dL、5.0g/dL、又はそれ以上の増加を含む、実施形態35に記載の方法。
37.対象、例えば、患者を治療することが、例えば、ベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療の前の対象、例えば、患者におけるヘモグロビンレベルと比較して、対象、例えば、患者におけるヘモグロビンレベルを増加させること、例えば、約0.2g/dL以上だけ、約0.3g/dL以上だけ、約0.4g/dL以上だけ、約0.5g/dL以上だけ、約0.75g/dL以上だけ、約1g/dL以上だけ、約1.25g/dL以上だけ、約1.5g/dL以上だけ、約1.75g/dL以上だけ、約2g/dL以上だけ、約2.25g/dL以上だけ、約2.5g/dL以上だけ、約2.75g/dL以上だけ、又は約3g/dL以上、例えば、約2g/dL以上だけ増加させることを含む、実施形態35又は36に記載の方法。
38.治療することが、ヘモグロビンレベルにおける血液学的正常化、例えば、参照基準(例えば、未処置対象におけるヘモグロビンレベル)と比較したヘモグロビンレベルにおける増加、例えば、約0.5g/dL超、約0.75g/dL、約1.0g/dL、約1.25g/dL、約1.5g/dL、約1.75g/dL、約2.0g/dL、約2.5g/dL、約3.0g/dL、約4.0g/dL、約5.0g/dL、又はそれ以上だけの増加を達成することを含む、実施形態35~37のいずれか1つに記載の方法。実施形態では、対象は、参照基準(例えば、未処置対象におけるヘモグロビンレベル)と比較したヘモグロビンレベルにおける増加、例えば、約0.1g/dL~約10g/dL、又は約0.5g/dL~約5g/dL、又は約0.5g/dL~約2.5g/dLだけの増加を達成する。
39.治療することが、治療前と比べて、ヘモグロビンレベルにおける増加、例えば、少なくとも1.5g/dL、1.75g/dL、2.0g/dL、2.5g/dL、3.0g/dL、4.0g/dL、又は5.0g/dLだけの増加を達成することを含む、実施形態35~38のいずれか1つに記載の方法。
40.治療することが、少なくとも10g/dL、11g/dL、12g/dL、13g/dL、14g/dL、又は15g/dLのヘモグロビンレベルを達成することを含む、実施形態35~39のいずれか1つに記載の方法。
41.治療することが、少なくとも12g/dL、13g/dL、14g/dL、15g/dL、16g/dL、又は17g/dLのヘモグロビンレベルにおける血液学的正常化を達成することを含む、実施形態35~40のいずれか1つに記載の方法。
42.治療することが、治療前と比べて、輸血の必要性の低減を達成することを含む、実施形態35~41のいずれか1つに記載の方法。
43.治療することが、ヘモグロビンレベルを、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間にわたって維持することを含む、実施形態35~42のいずれか1つに記載の方法。
44.方法が、対象、例えば、患者におけるBb因子、Wieslab、sC5b-9、及びC3/C4からなる群から選択されるバイオマーカーのレベルを評価することを更に含む、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
45.方法が、乳酸脱水素酵素(LDH)、総ビリルビン、網状赤血球数、ハプトグロビン、抗血小板抗体レベル(例えば、GPIIb、GPIIIa、GPIIb/GPIIIa、又はGPIbIXに対する)、幼若血小板比率、寒冷凝集素力価、総抗グロブリン力価、及び寒冷凝集素温度振幅からなる群から選択されるバイオマーカーのレベルを評価することを更に含む、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
46.対象、例えば、患者における血小板レベル、ヘモグロビンレベル、又は別のバイオマーカーのレベルが、試料分析によって取得される、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
47.治療することが、治療前と比べて、例えば、FACIT-倦怠感スケールによる倦怠感の重症度における低減を達成することを含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載の方法。
48.治療することが、治療前と比べて、基礎療法、例えば、トロンボポイエチン受容体作動薬(TPO-RA)及びコルチコステロイドの漸減又は中止を達成することを含む、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。
49.治療を必要とする対象、例えば、患者において免疫性血小板減少症(ITP)を治療する方法であって、方法が、対象、例えば、患者に治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)、例えば、約200mgの用量で経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量は、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)、方法。
50.イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)が、対象に、約200mgの用量で1日2回(b.i.d.)経口投与される、実施形態49に記載の方法。
51.イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)が、対象、例えば、患者に1日2回(b.i.d.)投与される、実施形態49又は50に記載の方法。
52.イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)が、対象、例えば、患者に1日2回(b.i.d.、)少なくとも12週間にわたって投与される、実施形態49~51のいずれか1つに記載の方法。
53.方法が、対象、例えば、患者にイプタコパン塩酸塩(例えば、イプタコパン塩酸塩一水和物)を経口投与することを含む、実施形態49~52のいずれか1つに記載の方法。
54.方法が、対象、例えば、患者にイプタコパン塩酸塩一水和物(例えば、イプタコパン塩酸塩一水和物H型)を経口投与することを含む、実施形態49~53のいずれか1つに記載の方法。
55.対象、例えば、患者が、血小板減少症を有しているか、又は有していると診断されている、実施形態49~54のいずれか1つに記載の方法。
56.対象、例えば、患者が、200ng/mL以上のsC5b-9レベルを有する、実施形態49~55のいずれか1つに記載の方法。
57.対象、例えば、患者が、200ng/mL未満のsC5b-9レベルを有する、実施形態49~55のいずれか1つに記載の方法。
58.治療することが、参照基準(例えば、未処置対象)と比較して、対象における血小板数の増加、例えば、約10k/μL超、15k/μL、20k/μL、25k/μL、30k/μL、35k/μL、40k/μL、45k/μL、50k/μL、60k/μL、70k/μL、80k/μL、90k/μL、100k/μL、又はそれ以上だけの増加を含む、実施形態49~57のいずれか1つに記載の方法。
59.血小板数における増加が、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、又は少なくとも約10週間にわたって血小板数を維持することを含む、実施形態58に記載の方法。
60.対象、例えば、患者が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療前に約150k/μL未満の血小板数(血液1リットル当たり)を有する、実施形態49~59のいずれか1つに記載の方法。
61.血小板数(血液1マイクロリットル当たり)が、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療後に、約150k/μL以上、約175k/μL以上、約200k/μL以上、約225k/μL以上、約250k/μL以上、約275k/μL以上、約300k/μL以上、約325k/μL以上、約350k/μL以上、約375k/μL以上、約400k/μL以上、約425k/μL以上、約450k/μL以上に正常化され、例えば、約150k/μL~約450k/μL Lの範囲に正常化される、実施形態49~60のいずれか1つに記載の方法。
62.方法が、対象、例えば、患者におけるBb因子、Wieslab、sC5b-9、及びC3/C4からなる群から選択されるバイオマーカーのレベルを評価することを更に含む、実施形態49~61のいずれか1つに記載の方法。
63.方法が、乳酸脱水素酵素(LDH)、総ビリルビン、網状赤血球数、ハプトグロビン、抗血小板抗体レベル(例えば、GPIIb、GPIIIa、GPIIb/GPIIIa、又はGPIbIXに対する)、幼若血小板比率、寒冷凝集素力価、総抗グロブリン力価、及び寒冷凝集素温度振幅からなる群から選択されるバイオマーカーのレベルを評価することを更に含む、実施形態49~62のいずれか1つに記載の方法。
64.対象、例えば、患者における血小板レベル又は別のバイオマーカーのレベルが、試料分析によって取得される、実施形態49~63のいずれか1つに記載の方法。
65.治療を必要とする対象、例えば、患者において寒冷凝集素症(CAD)を治療する方法であって、方法が、対象、例えば、患者にイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)を約200mgの用量で経口投与し、それによって対象、例えば、患者を治療することを含む(投与量が、イプタコパン塩酸塩の無水遊離塩基に関連する)、方法。
66.イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)が、対象に、約200mgの用量で1日2回(b.i.d.)投与される、実施形態65に記載の方法。
67.イプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)が、対象、例えば、患者に少なくとも6週間、8週間、10週間、12週間、14週間、16週間以上にわたって投与される、実施形態65又は66に記載の方法。
68.治療有効量のイプタコパン又はその薬学的に許容される塩(例えば、イプタコパン塩酸塩)が、対象、例えば、患者に1日2回(b.i.d.)、少なくとも12週間にわたって投与される、実施形態65~67のいずれか1つに記載の方法。
69.方法が、対象、例えば、患者にイプタコパン塩酸塩(例えば、イプタコパン塩酸塩一水和物)を経口投与することを含む、実施形態65~68のいずれか1つに記載の方法。
70.方法が、対象、例えば、患者にイプタコパン塩酸塩一水和物(例えば、イプタコパン塩酸塩一水和物H型)を経口投与することを含む、実施形態65~69のいずれか1つに記載の方法。
71.対象、例えば、患者が、貧血若しくは溶血を有しているか、又はそれらを有していると診断されている、実施形態65~70のいずれか1つに記載の方法。
72.治療することが、参照基準(例えば、未処置対象)と比較して、対象におけるヘモグロビンレベルの増加、例えば、約0.5g/dL超、0.75g/dL、1.0g/dL、1.25g/dL、1.5g/dL、1.75g/dL、2.0g/dL、2.5g/dL、3.0g/dL、4.0g/dL、5.0g/dL、又はそれ以上の増加を含む、実施形態65~71のいずれか1つに記載の方法。
73.対象、例えば、患者を治療することが、例えば、ベースラインと比較して、例えば、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩による治療前の対象、例えば、患者におけるヘモグロビンレベルと比較して、対象、例えば、患者におけるヘモグロビンレベルを増加させること、例えば、約0.2g/dL以上だけ、約0.3g/dL以上だけ、約0.4g/dL以上だけ、約0.5g/dL以上だけ、約0.75g/dL以上だけ、約1g/dL以上だけ、約1.25g/dL以上だけ、約1.5g/dL以上だけ、約1.75g/dL以上だけ、約2g/dL以上だけ、約2.25g/dL以上だけ、約2.5g/dL以上だけ、約2.75g/dL以上だけ、又は約3g/dL以上、例えば、約2g/dL以上増加させることを含む、実施形態65~72のいずれか1つに記載の方法。
74.方法が、対象、例えば、患者におけるBb因子、Wieslab、sC5b-9、及びC3/C4からなる群から選択されるバイオマーカーのレベルを評価することを更に含む、実施形態65~73のいずれか1つに記載の方法。
75.方法が、乳酸脱水素酵素(LDH)、総ビリルビン、網状赤血球数、ハプトグロビン、抗血小板抗体レベル(例えば、GPIIb、GPIIIa、GPIIb/GPIIIa、又はGPIbIXに対する)、幼若血小板比率、寒冷凝集素力価、総抗グロブリン力価、及び寒冷凝集素温度振幅からなる群から選択されるバイオマーカーのレベルを評価することを更に含む、実施形態65~74のいずれか1つに記載の方法。
76.対象、例えば、患者におけるヘモグロビンレベル又は別のバイオマーカーのレベルが、試料分析によって取得される、実施形態65~75のいずれか1つに記載の方法。
77.治療を必要とする対象、例えば、患者において自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA、又はTTPの治療で使用するためのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩であって、治療が、実施形態1~76のいずれか1つに記載の方法による、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩。
78.治療を必要とする対象、例えば、患者において自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA、又はTTPの治療で使用するためのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩を含む医薬組成物であって、治療が、実施形態1~76のいずれか1つに記載の方法による、医薬組成物。
79.対象、例えば、患者において自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA、又はTTPの治療における、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の使用であって、治療が、実施形態1~76のいずれか1つに記載の方法による、使用。
80.対象、例えば、患者において自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP、CAD、wAIHA、又はTTPの治療のための医薬品の製造における、イプタコパン又はその薬学的に許容される塩、例えば、イプタコパン塩酸塩の使用であって、治療が、実施形態1~76のいずれか1つに記載の方法による、使用。
【実施例
【0173】
本開示は、以下の実施例によって更に例示され、実施例は、本明細書に記載される特定の手段に範囲又は趣旨において限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、ある特定の実施形態を例示するために提供されており、本開示の範囲に対する限定は、それによって意図されないことを理解するべきである。更に、最終的手段が、それらの様々な他の実施形態、変更、及び等価物に対して必要とされ得ること、それら自体を、本開示の趣旨及び/又は添付の請求項の範囲から逸脱することなく、当業者に提案し得ることが更に理解されるべきである。
【0174】
【表1】
【0175】
【表2】
【0176】
【表3】
【0177】
【表4】
【0178】
【表5】
【0179】
【表6】
【0180】
【表7】
【0181】
【表8】
【0182】
実施例1.自己免疫性良性血液学的疾患(ITP又はCAD)を有する成人患者において、1日2回経口投与されるLNP023(イプタコパン)塩酸塩の有効性及び安全性を評価するためのアダプティブバスケット試験
目的
この試験は、少なくとも患者のサブセットにおいて、補体活性化の証拠を有する異なる自己免疫性良性血液学的疾患におけるイプタコパン治療についての可能性を評価するための概念実証試験である。この試験は、2つの初期コホート/適応症、すなわちITP及びCADを伴うアダプティブバスケット試験(図1)である。追加のコホート/適応症、例えば、wAIHA及び/又はTTPは、治験実施計画書の改訂によって付加されてもよい。この試験は、コホートに応じて自己免疫性良性血液学的疾患、特にITP及びCADに関連する広範囲にわたる有効性評価に対する試験治療のイプタコパンの効果を評価するものである。コホート1(ITP)については、重要な評価項目は、対象における血小板数の増加、例えば、ベースラインと比較して、少なくとも2週間連続して持続する≧50k/μLへの血小板数の増加を誘導するためのイプタコパンの能力である。コホート2(CAD)については、重要な評価項目は、ヘモグロビンレベルにおける増加、例えば、ベースラインと比較して、少なくとも2週間連続して持続する≧1.5g/dLのヘモグロビンレベルの増加を誘導するためのイプタコパンの能力である。
【0183】
この試験は、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP又はCADを有する患者に対する治療薬としてのイプタコパンの開発のための極めて重要な臨床試験として機能することになる。この試験の12週のコア治療期間(85日目)からのデータは、極めて重要な有効性及び安全性データを提供することになる。24ヶ月の延長治療相は、自己免疫性良性血液学的疾患、例えば、ITP又はCADを有する患者において、イプタコパンに対して更なる長期の安全性及び有効性データを提供することになる。
【0184】
治験薬
この第3相試験に選択された治験薬、イプタコパン塩酸塩の形態は、以下の式:
【化4】

(2S,4S)-2-(4-カルボキシフェニル)-4-エトキシ-1-[(5-メトキシ-7-メチル-1H-インドール-4-イル)メチル]ピペリジン-1-イウムクロリド-水(1/1)
で示されるような一水和物H型である。
【0185】
したがって、実施例1では、「イプタコパン」は、イプタコパン塩酸塩一水和物H型を意味する。イプタコパン塩酸塩一水和物H型及びその調製のための方法は、国際公開第2021/234544号パンフレットとして公開された米国特許出願第63/026,637号明細書及び米国特許出願第63/052,699号明細書に開示されており、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0186】
主要目的及び評価項目
主要目的は、対照コホートに依存する。コホート1(ITP)については、主要目的は、救援療法を使用することなく、参加者において血小板数の増加(例えば、臨床的に意味のある増加)を誘導するためのイプタコパンの能力を評価することである。評価項目は、治療期間のA相中(12週間)の少なくとも2週間連続して持続する≧50k/μLへの血小板数の増加の観察である。コホート2(CAD)については、主要目的は、救援療法を使用することなく、参加者におけるヘモグロビンレベルの増加(例えば、臨床的に意味のある増加)を誘導するためのイプタコパンの能力を評価することである。評価項目は、治療期間のA相中(12週間)の少なくとも2週間連続して持続する≧1.5g/dLのヘモグロビンレベルの増加の観察である。
【0187】
副次的目的及び評価項目/エスティマンド
副次的目的は、
・第1の奏効に至るまでの時間を評価することである。コホート1(ITP)については、≧50k/μLの第1の血小板数に至るまでの時間が評価されることになる。コホート2(CAD)については、ベースラインより≧1.5g/dLの第1のヘモグロビンレベルに至るまでの時間が評価されることになる。
・治療期間のパートA中(12週間)の奏効期間を評価することである。コホート1(ITP)については、血小板数が≧50k/μLを維持する期間が測定されることになる。コホート2(CAD)については、ヘモグロビンレベルがベースラインより≧1.5g/dLを維持する期間が測定されることになる。
・治療期間のパートA中(12週間)の奏効の大きさを評価することである。コホート1(ITP)については、ベースラインからの血小板数の増加の大きさが測定されることになる。コホート2(CAD)については、ベースラインからのヘモグロビンレベルの増加の大きさが測定されることになる。
・治療期間のパートA中(12週間)の救援療法の必要性を評価することである。コホート1及び2の両方についての評価項目は、救援療法が治療期間中に利用されたかどうかであろう。
・治療期間のパートA中(12週間)に自己免疫性良性血液学的疾患、特にITP及びCADを有する対象において、イプタコパンの安全性及び忍容性を評価することである。コホート1及び2の両方について、対象安全性パラメーターは、例えば、バイタルサイン、有害事象、血液検査、血液化学検査、生殖並びに甲状腺ホルモン、凝固、尿検査、及びECGをチェックすることによって厳重に監視され、評価が実行される。
・治療期間のパートA中(12週間)のイプタコパンの薬物動態を評価することである。コホート1及び2の両方については、対象においてCmax、AUCtau、AUClast、Ctrough、及びTmaxレベルを含むイプタコパンPKパラメーターが評価されることになる。
・治療期間のパートA中(12週間)の関連する疾患バイオマーカーに及ぼすイプタコパンの効果を評価することである。コホート2(CAD)のみについて、乳酸脱水素酵素(LDH)、総ビリルビン、網状赤血球数、及びハプトグロビンレベルが評価されることになる。
追加の目的は、
・補体経路バイオマーカーに及ぼすイプタコパンの効果を評価することである。コホート1及び2の両方について、Bb因子、Wieslab、sC5b-9、及びC3/C4を含むバイオマーカーのレベルが評価されることになる。
・追加の疾患バイオマーカーに及ぼすイプタコパンの効果を評価することである。コホート1(ITP)については、抗血小板抗体のレベル及び幼若血小板比率が測定されることになる。コホート2(CAD)については、直接抗グロブリンレベル(DAT)、寒冷凝集素力価、及び寒冷凝集素温度振幅が測定されることになる。
・生活の質に及ぼすイプタコパンの効果を評価することである。コホート1及び2の両方について、26週目において、患者報告全体的倦怠感重症度及び健康関連の生活の質(ここでは、評価項目は、慢性疾患患者の倦怠感評価スコア(FACIT-倦怠感)、(慢性疾患患者の倦怠感評価スコア)、症状の全般改善度(Patient Global Impression of Severity(PGIS))、EuroQol 5-レベルEQ-5Dバージョン(EQ-5D-5L)及びショートフォーム36項目健康調査バージョン2(Short-form 36 health survey questionnaire version 2(SF-36 v2))についての患者報告アウトカムスコアにおけるベースラインからの変化によって決定される)が評価されることになる。コホート1(ITP)のみについて、ITP患者評価質問票(ITP-PAQ)が追加的に実施されることになる。
・疾患バイオマーカーレベルに対するイプタコパンの休止の影響を評価することである。コホート1(ITP)については、血小板数が監視されることになる。コホート2(CAD)については、ヘモグロビン、LDH、総ビリルビン、網状赤血球、及びハプトグロビンレベルを含むバイオマーカーが評価されることになる。
・対象において出血に及ぼすイプタコパン投与の影響を評価することである。コホート1(ITO)のみについて、WHO出血スコアが評価されることになる。
・治療期間のパートB中(24ヶ月間)のレスポンダーにおいて疾患バイオマーカーに対するイプタコパンによる長期治療の効果を評価することである。コホート1及び2の両方について、血小板数及びヘモグロビンレベルを含む血液学的パラメーターと共に、疾患特異的バイオマーカーにおける変化が評価されることになる。コホート1(ITP)については、疾患特異的バイオマーカーには、抗血小板抗体のレベル及び幼若血小板比率が含まれる。コホート2(CAD)については、疾患特異的バイオマーカーには、直接抗グロブリンレベル(DAT)、寒冷凝集素力価、及び寒冷凝集素温度振幅が含まれる。
・治療期間のパートB中(24ヶ月間)のレスポンダーにおいていずれかの併用基礎療法を漸減又は中止するための能力を評価することである。コホート1及びコホート2の両方について、これが適用可能なコホート及び対象に対して、いずれかの併用基礎療法を漸減又は中止するための能力が評価されることになる。
・イプタコパンの安全性及び有効性をより良く理解するために、遺伝学的研究を実施することである(有害事象/重篤な有害事象、安全性臨床検査パラメーター及びバイタルサインを含む)。
【0188】
主要エスティマンドは、自己免疫性良性血液学的疾患を有する参加者において、試験治療の中止又は新しい療法の開始を問わずに、イプタコパンの(奏効のタイプ)に対する効果を理解することである。この試験と関連する副次的エスティマンドはない。
【0189】
試験デザインの理論的根拠
第2相試験は、自己免疫性良性血液学的疾患(ITP又はCAD)を有する患者において、1日2回経口投与されるイプタコパンの有効性、安全性、及び薬物動態を調べるための、探索的、多施設、シングルアーム(各コホートの範囲内)、非盲検、非検証的アダプティブバスケット試験としてデザインされる。シングルアームデザイン(各コホートの範囲内)は、以下の理由でこの試験に対して選択された:
・プラセボ対照デザインは非倫理的であるとみなされ、なぜなら、ITP及びCADを含む自己免疫性良性血液学的疾患が、重篤で、非常に稀であり、早期治療を必要とする「急速に進行する疾患であるためである。更に、SoCが利用可能である国々では、プラセボアームは正当化されないであろう。
・シングルアーム、非盲検デザインは、これらの患者集団において、ランダム化比較試験(対Soc)として試験の実行することに関連する課題(Bell SA,et al.(2014)A comparison of interventional clinical trials in rare versus non-rare diseases:an analysis of ClinicalTrials.gov.Orphanet J Rare Dis;9:170)が大きなサンプルサイズを必要とするために、希少疾患において広く用いられている。この疾患の稀な性質及びこの患者集団を妥当な時間枠内に動員するという課題のために、シングルアーム試験デザインにより、ITP及びCADを含む自己免疫性良性血液学的疾患を有する患者にとって有益である可能性のある治療のためのデータを早期に利用できるようになる。
主要評価項目及び副次的有効性評価項目の大部分を含むこのシングルアーム非盲検デザインと関連するバイアスを最小限に抑えるために、臨床検査室評価を介して客観的に測定される(すなわち、血小板、ヘモグロビンなど)いくつかの尺度がこの試験に含まれている。
【0190】
多施設設定は、この稀な適応症に対して地理的に広範囲の地域からの患者の適切な動員、及び代表的な登録を確実にするためにこの試験のために選択されている。
【0191】
副次的有効性評価項目は、疾患特異的バイオマーカーにおける変化及び血液学的パラメーター(血小板数及びヘモグロビン)における改善を含む患者予後に対して、臨床的に重要である主要な血液学的パラメーターを含む。
【0192】
試験デザイン
この第2相試験は、自己免疫性良性血液学的疾患、特にITP及びCADを有すると診断され、更に血小板減少症(ITPの場合)又は貧血及び溶血(CADの場合)と診断された成人患者における多施設、シングルアーム、非盲検試験である。試験は、図1に示すような4つの期間からなるであろう。
・最長5週間続くスクリーニング期間
・主要有効性及び安全性分析のための12週の二重コホート、非盲検コア治療期間(パートA)
・フォローアップ/ウォッシュアウト期間
・イプタコパンの長期安全性、忍容性、及び有効性を評価するための24ヶ月の非盲検延長治療期間(パートB)
【0193】
スクリーニングから試験来院の終了(EOS)までの全試験期間は、主要評価項目を満たしていない対象(ノンレスポンダー)については、およそ5ヶ月である。パートAにおける初期治療後に、主要評価項目を満たしている対象(レスポンダー)は、ウォッシュアウト後にパートBに参加するように提案されることになる。パートBでは、治療に反応する対象には、イプタコパンへの長期アクセス(24ヶ月の治療)が提供されることになる。レスポンダーに対する全試験期間は、最長30ヶ月である(図1)。安全性及び有効性評価は、評価スケジュールに指定されているように、来院時に実行されることになる(図2~3)。薬物動態(PK)及びバイオマーカー(BM)の試料も採取される。
【0194】
スクリーニング期間は、ITP又はCADのいずれかの鑑別診断を確立し、また全ての患者がワクチン接種状況などの組み入れ基準を満たすことを確実にする。スクリーニング期間は、適格性を評価するために最長5週間であり得る。スクリーニング期間後に、対象は、治療期間のパートAを開始する。パートAは、12週間の治療期間(1日目~85日目)を含み、これは200mgのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩の1日2回(b.i.d.)の投与を含む。任意の前から存在する基礎療法(該当する場合)は、パートA中に変更されないままとなる。対象は、A相の最初の4週間に毎週評価を受け、続いてその後の8週間は2週間毎に評価を受けることになる。安全性及び有効性評価は、パートAについての評価スケジュールに指定されているように(図2)、来院時に行われ、バイオマーカー(BM)試料が採取される。また、パートAには、2回のPKプロファイリングを行う日がある。12週のパートA治療期間は、主要及び副次的有効性評価項目、並びに安全性及び忍容性に対するイプタコパンの効果を評価するのに適切であると考えられる。
【0195】
パートAの終了時に、対象は、コホート特異的主要評価項目(例えば、血小板数又はヘモグロビンレベル)を彼らが満たすかどうかに基づいて、レスポンダー又はノンレスポンダーとして分類されることになる。ノンレスポンダー(及びパートBに移動することを望まないレスポンダー)は、イプタコパンの最後の投与から4週間の安全性フォローアップ期間を有するであろう。参加者は試験完了評価を受け、イプタコパンの最後の投与からおよそ4週間後のEOS来院中に試験を完了することになる。全ての参加者は、最後の来院からおよそ30日でフォローアップの連絡を受けることになる。
【0196】
レスポンダーは、パートBにおける任意選択の治療延長に参加するように提案される。パートBを開始する前に、全ての適格な対象は、最長4週間続くウォッシュアウト期間を受けることになる。ウォッシュアウト期間後に、患者は、EOSパートA/パートBの1日目の来院を行う。いずれかのフォローアップ/ウォッシュアウト来院時に、重要な安全性カットオフレベルに達した参加者は、ウォッシュアウトを短縮する機会を得て、4週間のウォッシュアウトの完了前にEOSパートA/パートBの1日目の来院に移行する。
【0197】
パートA及びその後のウォッシュアウト期間後に、適格なレスポンダーは、パートB治療期間を継続する。B相期間は24ヶ月続き、自己免疫性良性血液学的疾患、特にITP及びCADにおけるイプタコパンに対する長期安全性データ及び有効性データを提供することになる。パートBは、200mgのイプタコパン又はその薬学的に許容される塩の1日2回(b.i.d.)の投与を含む。任意の前から存在する基礎療法は、治療の2週間後に漸減され得る。パートB中の評価は、本明細書及び図3に要約されている。治療相の完了後に、対象は4週間のフォローアップ期間に移動し、パートBのEOSにおいて試験を完了する。全ての対象は、最後の治療後およそ30日のフォローアップ評価を有することになる。
【0198】
中間解析(IA)を各コホートについて別々に実施する。最初のIAは、成人参加者のおよそ半分が12週間の試験治療を完了した時点で実施されることになる。このIAの目的は、イプタコパンの有効性及び安全性の予備的証拠を提供することである。2回目のIAは、コホート内の全ての参加者が治療期間のパートA(12週)を完了した後に実施されるであろう。追加のIAは、現在の臨床試験についての意思決定を指示するために行われてもよく、又は任意の安全性の懸念がある場合に行われてもよい。IAは、12週における主要評価項目(完全TMA奏効)及び自己免疫性良性血液学的疾患を有する患者における臨床的利益に関連するその構成要素[血液学的正常化(血小板数並びにヘモグロビンレベル)及び他の疾患特異的バイオマーカーの監視]の解析を含む。加えて、安全性評価項目(バイタルサイン、安全性臨床検査値、有害事象、重篤な有害事象、中止など)が検討される。
【0199】
典型的な献血よりも少ない量が、5ヶ月の期間(パートA)又は25ヶ月の期間(パートB)にわたって各参加者から試験の一部として採血されることが計画される。おおよその容量が決定される。採血のタイミングは、評価スケジュールに概説されている(図2~3)。血液ログの概要は、臨床検査室マニュアルに提供されている。試料収集、処理、保管、及び出荷についての指示書もまた、臨床検査室マニュアルにおいて入手可能である。
【0200】
試験集団は、2つのコホートに対して合計で約30人の登録参加者を含むであろう。コホート1(ITP)については、特発性ITPを有するおよそ20人の患者が登録され、各々およそ10人の参加者が、それぞれ高補体活性及び低補体活性を有する。コホート(CAD)については、特発性CADを有するおよそ10人の参加者が登録される。患者選定委員会は、患者の適格性を検討し、患者の試験への登録を確認するために設置され得る。臨床診療が異なり得る世界中の複数のセンターで実施されるので、委員会は、特発性ITP又はCADの診断において存在し得る地理的差異を標準化するために、患者選択基準の独立した審査を確立することができる。
【0201】
用量及び期間の理論的根拠
200mgのb.i.d.でのイプタコパン(投与量は、イプタコパンの無水遊離塩基に関連する)は、C3腎症(C3G)(CLNP023X2202及びCLNP023B12001B)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)(CLNP023X2204及びCLNP023X2201)、並びにIgA腎症(IgAN)(CLNP023X2203)におけるヒト初回投与(FIH)試験及び第2相試験を含む最初に行われた他の試験からの安全性、有効性、及び好ましいベネフィットリスク比データに基づいてこの試験のために選択された。
【0202】
FIH試験では、200mgのイプタコパンの単回投与を受けた参加者について、投与後2時間でおよそ80%以上の阻害を伴い、AP活性(Wieslab)の急激な抑制があった。APの抑制(80%以上の阻害)は、200mgのb.i.d.での投与の14日間にわたって持続した。健康なボランティアにおいてイプタコパンによるFIH試験からのデータを用いて開発された暴露-反応モデルは、約200mg b.i.d.の用量が大部分の参加者において、APの>90%阻害(Wieslabアッセイ)を達成するのに必要であることを予測している。前臨床試験は、200mg b.i.d.投与後のヒト曝露に対する許容可能な安全マージンを支持した。
【0203】
健康なボランティアにおける初回ヒト投与試験で観察されたPK/PDプロファイルを考慮すると、この試験に対して200mg b.i.d容量のイプタコパンが選択される。
【0204】
スクリーニング
スクリーニングは、本明細書に、例えば図1に概説されている通りに行われる。試験を開始する前に、対象はスクリーニング期間に参加し、ここでは、必要なワクチン接種を受けていなかった参加者は、ワクチン接種を受ける必要がある。ワクチンは、できるだけ多くの血清型(髄膜炎菌血清型A、C、Y、W-135、Bを含む)をカバーするべきである。患者の負担を最小限に抑えるために、多価ワクチンの使用が、現地で入手可能であり、現地のガイドラインや規制に従うために推奨される(例えば、血清型A、C、Y及びW-135をカバーする髄膜炎菌(N.meningitidis)の四価ワクチン並びに23種の肺炎球菌(S.pneumoniae)血清型をカバーするニューモバックス-23(Pneumovax-23)。ワクチン接種の種類及びブースター要件については、現地のガイドライン及び現地で入手可能なワクチンを使用する(また添付文書を参照する)。ワクチン接種は、可能な限り早く開始するべきである。イプタコパン試験治療を開始する前にワクチン接種を受けていなかった患者は、ワクチン接種前及びワクチン接種後少なくとも2週間に適切な予防的抗体を受ける必要がある。適格基準を満たしていない場合、試験参加者は、スクリーニングに脱落したとみなされ、更に進むべきではない。試験参加者は、再スクリーニング可能である。
【0205】
治療期間A
適格基準を満たすことが確認される参加者は、非盲検のコア治療期間に進むことになる。200mg b.i.d.でのイプタコパンによる治療は、第1日目(1日目)に開始し、図2に記載されているスケジュールに従って試験来院及び対応する評価を伴って12週間継続する。
【0206】
莢膜保有菌による感染のリスクの増加が知られているため、全ての参加者には、患者安全カードが提供される。参加者は、細菌感染の臨床徴候に注意し、感染の疑いがある場合には直ちに治験責任医師又は現地の医師に連絡するように指示される。指示された場合、抗生物質治療はできるだけ早く開始されるべきである。
【0207】
コア治療期間中にイプタコパン試験治療投与を中止する参加者は、(同意が撤回されない限り)試験を中止すべきではないが、コア治療の12週目の来院までの全ての来院及び評価を完了する必要がある。これらの患者については、彼らを試験の延長治療相では追跡しないので、12週目の来院評価及びEoT後7日目の安全性フォローアップの電話による連絡が、試験の試験終了時(EoS)の来院/評価として実施されるべきである。
【0208】
コア治療期間は、12週目の来院評価を完了して終了する。試験参加者がコア治療期間中のいずれかの時点で同意を撤回した場合、患者の離脱来院評価を記録するための最後の来院が、試験の終了(EoS)時来院として実施されるものとする。
【0209】
治療期間B
26週の治療期間Aの完了後、試験参加者には、およそ4週間のウォッシュアウト期間が提供されてから、ノンレスポンダー又はレスポンダーとして分類される。全てのレスポンダーは、イプタコパンによる試験治療を継続し、治療期間B、又は延長治療期間に入ることになり、これは最長24ヶ月間行われる。図3に詳説される試験来院及び評価が続いて行われる。
【0210】
治療割り付け
この試験ではランダム化は実施されず、全ての適格な参加者は、非盲検でイプタコパン200mg b.i.d.治療を受けることになる。
【0211】
研究対象集団
試験には、ITP又はCADのいずれかと診断された≧18歳の患者が登録される。コホート1(ITP)については、特発性ITPを有するおよそ20人の患者が登録され、それぞれ、約10人の参加者が、高い補体活性化を示し、他の10人の参加者が低い補体活性化を示す。コホート2(CAD)については、特発性CADを有するおよそ10人の参加者が登録される。
【0212】
組み入れ基準
この試験に組み入れるのに適格な参加者は、以下の基準のうちの全てを満たさねばならない:
1.書面によるインフォームドコンセント
2.治療の開始前に、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)及び肺炎球菌(Steptococcus pneumoniae)に対するワクチン接種が必要であり、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)の感染対するワクチン接種は推奨される。
コホート1(ITP)特異的組み入れ基準
3.ベースライン時に特発性ITPと診断された≧18歳の年齢の男性及び女性参加者
4.参加者は、ITPを治療することを意図して施された任意の薬剤、又は任意のタイプの非薬理学的介入(例えば、脾臓摘出術)として定義される少なくとも1つの特有な前療法を受けている必要がある
5.持続性の血小板減少症
コホート2(CAD)に特異的な組み入れ基準
6.a)いかなる治療も必要とせず、且つb)脾腫、肝腫大、又はびまん性リンパ節腫脹の証拠がない低悪性度リンパ増殖性疾患という設定で生じるCADを含む特発性CADと診断された、ベースライン時に≧18歳の年齢の男性及び女性参加者
7.C3dのみについて直接抗グロブリン試験が陽性であり、且つ4℃で≧64の寒冷凝集素力価
8.進行する溶血の臨床検査による証拠
9.持続性の貧血
10.参加者は、CADを治療することを意図して施された任意の薬剤、又は任意のタイプの非薬理学的介入(例えば、血漿交換療法)として定義される少なくとも1つの特有な前療法を受けている必要がある。
【0213】
除外基準
以下の基準のうちのいずれかを満たす参加者は、この試験における組み入れに適格ではない:
全てのコホート
・登録時、又は登録から半減期の5倍以内に、若しくは30日以内のいずれかの長い方の期間中の他の治験薬の使用、又は現地の規制で要求されている場合はそれ以上の期間中の他の治験薬の使用
・プロトコルで禁止されている薬物の過去の使用又は併用
・遺伝性又は後天性補体欠損症が既知であるか、又は疑われていること
・陽性HIV試験結果を含む、原発性又は続発性免疫不全症の既往歴
・B型肝炎ウイルス又はC型肝炎ウイルスもよる慢性感染
・髄膜炎菌(N.meningitidis)、肺炎球菌(S.pneumoniae)、又はインフルエンザ菌(H.influenzae)を含む莢膜保有生物によって引き起こされる回帰侵襲性感染症の既往歴
・初回試験薬投与前14日以内の任意の活動性感染症の存在又は疑い(治験責任医師の判断に基づく)
・参加者の試験の参加を妨げる可能性が高いと考えられる何らかの医学的状態
・限局性非黒色腫皮膚癌、子宮頸部上皮癌、又はCADの場合、低悪性度のリンパ増殖性疾患を除いて、過去5年以内に診断された何らかの悪性疾患
・骨髄/造血幹細胞又は固形臓器移植を受けたことがある
・妊娠の可能性がある女性は、生理的に妊娠することが可能な全ての女性を指すが、治験薬の投与中及び最後のイプタコパン投与後1週間避妊の効果的な方法を使用する。
【0214】
コホート1(ITP)特異的除外基準
・ある特定の自己免疫性疾患、免疫不全症候群、感染症、悪性腫瘍、薬物治療の設定において発症する可能性がある続発性ITP
・ベースライン前の少なくとも4週間の安定した投与量とする限りにおいてのトロンボポイエチン受容体アゴニスト(TPO-RA)又は低用量コルチコステロイドを除いて、ITPに向けられる基本療法は許可されない
・異常な凝固スクリーニング検査値(PT/INR、PTT)
【0215】
コホート2(CAD)特異的除外基準
・ある特定の感染症、自己免疫性疾患、及び悪性腫瘍(低悪性度のリンパ増殖性疾患を除く)の設定において発症する可能性がある続発性寒冷凝集素症候群
・CADに向けられる基本療法は許可されない
【0216】
経口避妊薬を使用する場合、女性は、治験薬を服用する前に最低3ヶ月間同じピルで安定した状態を維持しなければならない。女性は、適切な臨床プロファイル(例えば、妥当な年齢、血管運動神経症状の既往歴)を伴い12ヶ月間の自然(自発的)無月経である場合、閉経後とみなされる。女性は、閉経後出るか、或いは少なくとも6週間前に外科的な両側卵巣摘出術(子宮摘出の有無にかかわらず)、子宮全摘術又は両側排卵結紮術を受けている場合、妊娠の可能性がないとみなされる。卵巣摘出術のみが該当する場合、ホルモンレベルを追跡調査することにより、女性の生殖状態が確認されている場合にのみ妊娠の可能性がないとみなされる。妊娠を防ぐために、現地の規制が上記の避妊方法から逸脱している場合、現地の規制が適用され、ICFに記載される。
【0217】
治療
このシングルアーム非盲検試験において試験治療を開始する全ての参加者は、イプタコパン200mg b.i.d.投与を受ける。イプタコパン位以外の治療はこの試験では含まれない(治験薬の詳細については、表3を参照されたい)。
【0218】
【表9】
【0219】
治療期間
コア治療期間の計画された期間は12週間(パートA)であり、その後、最長24ヶ月の延長治療期間(パートB)が続く。参加者は、許容できない毒性のために早期に試験治療を中止する場合があり、及び/又は試験治療は治験責任医師若しくは参加者の判断で中止される。
【0220】
参加者が、コア治療期間中に何らかの理由で試験治療を中止する場合、12週目までの試験評価を継続するためにあらゆる努力を払う必要がある。
【0221】
禁止薬剤
以下の表4に列挙される治療及び処置の使用は、イプタコパン投与中には許可されない。
【0222】
【表10】
【0223】
【表11】
【0224】
来院スケジュール及び評価
図2~3に示される評価スケジュールは、どの評価が実施されるか、並びにいつそれらが実施されるのかをリストしている。コア治療期間中に何らかの理由で試験治療を中止する参加者は、12週目までの試験評価を継続し、全ての予定された来院評価を完了する必要がある。何らかの理由で試験の延長治療期間中にイプタコパン試験治療を中止する参加者は、24ヶ月まで試験を継続し、全ての予定された来院評価を完了せねばならない。
【0225】
図2及び3の両方において、表中の「X」は、臨床データベース中に記録されているか、又はベンダーから電子的に受け取った評価を示す。表中の「S」は、参加者の原資料にのみあり、臨床データベースに記録する必要がない評価を示す。
【0226】
以下の評価が同じ時点で実施されることが予定されている場合、以下の順序が提案される:
1.PRO/CinRO
2.ECG
3.バイタルサイン
4.血液試料採取
5.薬物投与
【0227】
PKプロファイリングについては、PK試料をプロトコルで指定された時間に採取するように、あらゆる努力を払わねばならない。他の評価、例えば、PRO、ECG及びバイタルサインは、PK試料後に採取され得る。
【0228】
有効性
有効性/薬物動態評価は、コホート1及びコホート2の各々における対象に対して、図2~3に示される評価スケジュールで画定された時点で収集される。
【0229】
安全性
図2~3の評価スケジュールと併せて行われるべきである安全性評価を、以下の表5に提供する。
【0230】
【表12】
【0231】
【表13】
【0232】
有害事象(AE)とは、試験への参加のための書面によるインフォームドコンセントを提供した後に、治験参加者における任意の不都合な医学的事象(例えば、好ましくなく且つ意図しない兆候[異常な検査所見を含む]、症状又は疾患)である。したがって、AEは、医薬品(治験薬)の使用に時間的若しくは因果的に関連している場合があるか、又はそうでない場合がある。有害事象の発生は、試験中の各来院において、参加者への非指示的な質問によって求められねばならない(例えば、図2~3を参照されたい)。有害事象は、来院中若しくは来院の間、又は身体検査所見、臨床検査所見、或いは他の評価を通して参加者によってそれらが志願される場合、検出され得る。
【0233】
有害事象は、それらに関連する徴候、症状、又は診断の下に記録する必要があり、以下の情報を伴う(可能な限り):
1.重症度評価:
・軽度:通常、一時的な性質のものであり、一般に通常の活動を妨げないもの
・中等度:通常の活動を妨げるほど不快感があるもの
・重度:通常の活動を妨げるもの
2.試験治療に対するその関係。事象が、有効性の欠如又は基礎疾患の進行(すなわち、試験適応症の進行)によるものである場合、因果関係の評価は、通常、「疑われない」となろう。この指針の理論的根拠は、有効性の欠如又は基礎疾患の進行の症状が治験薬によって引き起こされるのではなく、その投与があるにも関わらずそれらが起こり、及び/又は有効性の欠如と基礎疾患の進行の両方が単一の参加者ではなくコホートの分析によってのみ有意義に評価することができるということである。
3.その期間(開始日及び終了日又は進行中)及びアウトカムは、報告されねばならない
4.重篤度基準を満たしているかどうか
5.試験治療に関して取られた措置。
全ての有害事象は、適切に処置される必要がある。治療は、以下の1つ以上を含み得る:
・投与量変更せず
・投与量を減少/増加する
・治験薬の中断/永久的な中止
6.そのアウトカム
インフォームドコンセントの時点で既に存在していた状態は、参加者の既往歴に記録されねばならない。有害事象(AEを構成する臨床検査室異常値を含む)は、個々の根底にある徴候及び症状ではなく、可能な限り診断を用いて説明される必要がある。
【0234】
有害事象モニタリングは少なくとも30日間継続され、その後試験治療の最後の投与が続くべきである。
【0235】
一旦有害事象が検出されると、それが解消されるまで、又は永続的であると判断されるまで追跡される必要性があり(例えば、試験の終了時まで継続し)、重症度の変化、それを治療するために必要とされる介入との疑わしい関係、及びアウトカムについて、来院のたびに(又は必要に応じてより頻繁に)評価を行う必要がある。
【0236】
異常な臨床検査値又は試験結果が有害事象を構成するのは、以下の基準のうちの少なくとも1つをそれらが満たしている場合に限られる:
・それらが、臨床的徴候又は症状を誘発する場合
・それらが、臨床的に重要であるとみなされる場合
・それらが、治療を必要とする場合
【0237】
臨床的に重要な異常な臨床検査室値又は試験結果は、正常範囲/臨床的に注目すべき範囲外の値のレビュー、ベースライン若しくは前回の来院からの著しい変化、又は基礎疾患を有する参加者において非典型的であると考えられる値の見直しを通して特定されねばならない。
【0238】
重篤な有害事象(SAE)は、以下の基準のうちの1つ以上に合う、任意の有害事象[既存の望ましくない徴候、症状、又は医学的状態の出現(若しくは既存の疾患の悪化)]と定義される:
・死に至るもの
・生命を脅かすもの:SAEに関する生命を脅かすとは、反応時に参加者が死亡の危険にさらされていた反応を指し、これは、仮にそれがより重篤であれば死亡を引き起こした可能性がある反応を指すものではない(ICH-E2Dガイドラインを参照されたい)
・永続的又は顕著な障害/機能不全に陥るもの
・先天異常/出生時欠損を構成するもの
・以下の入院の場合を除いて、治療のための入院又は現在の入院期間の延長が必要となるもの
・状態の何らかの悪化とは無関係な、試験中の適応症の日常的な治療又はモニタリングのための入院
・試験中の適応症とは無関係で、インフォームドコンセントに署名して以来悪化していない、既存の状態に対する選択的又は事前に計画された治療のための入院
・参加者の全身状態における悪化がない場合の社会的理由及び休息ケアのための入院
・上記のSAEの定義を満たさず、入院に至らない事象に対する緊急外来ベースの治療のための入院
・医学的には重要なもの、例えば、参加者を危険にさらすか、又は上で列挙したアウトカムのうちの1つを防ぐために医学的又は外科的介入が必要であり得る事象として定義される。
【0239】
直ちに生命を脅かすものではなく、又は死亡若しくは入院をもたらすものではないが、参加者を危険にさらす可能性があるか、又は上で列挙されている他のアウトカムのうちの1つを防ぐために介入を必要とする可能性がある重要な医学的事象などの、他の状況を重大な反応とみなすべきかどうかを決定する際には、医学的及び科学的判断が下されるべきである。そのような事象は、「医学的に重要」とみなされるべきである。そのような事象の例は、アレルギー性気管支痙攣、血液疾患、又は入院若しくは依存症や乱用の発症に至らない痙攣のための緊急治療室又は自宅での集中的治療である(ICH-E2Dガイドラインを参照されたい)。
【0240】
全ての悪性腫瘍は、他の基準が満たされていない場合、「医学的に重要」な下で重篤と評価される。感染性因子の医薬品を介した感染の疑いも重篤な有害反応とみなされる。製剤の意図的な誤用又は乱用の報告は全て、臨床事象が発生したかどうかにかかわらず、重大な有害事象とみなされる。
【0241】
試験の中止及び完了
参加者に対する試験治療の中止は、何らかの理由で試験治療が永続的に中止された場合に発生し(もしあるならば、試験治療を施す計画された完了前に)、参加者又は治験責任医師のいずれかによって開始することができる。
【0242】
試験の完了は、最後の参加者が試験終了時の来院を終了し、この来院に関連する繰り返しの評価が文書化され、治験責任医師によって適切にフォローアップされたときとして定義されるか、又は早期試験終了の決定が発生した場合、その決定の日として定義される。試験を完了した参加者は、シングルアーム、非盲検、イプタコパンロールオーバー継続プログラム(REP)において登録するために適格であり得る。何らかの理由で試験から永続的に撤退した参加者は、REPで登録するために適格ではない。
【0243】
等価物
当業者は、日常の実験以外によっても、本明細書に具体的に記述された本発明の特定の実施形態に対する多数の等価物を認識するか、又は確認することができるであろう。そのような等価物は、次の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図3-1】
図3-2】
【国際調査報告】